JPWO2019163155A1 - 耐食性及び強度に優れたアルミニウム合金材及びその製造方法 - Google Patents

耐食性及び強度に優れたアルミニウム合金材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1種の溶質元素を含むアルミニウム合金からなる基材と、基材の少なくとも一つの面上に形成された、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を含む皮膜とからなるアルミニウム合金材に関する。本発明のアルミニウム合金材を皮膜の上からX線回折したときのプロファイルにおいて、前記溶質元素を含む少なくとも1種の化合物の回折ピークがn本と、水酸化酸化アルミニウムの回折ピークが1本観察されて、前記化合物のn本の回折ピークのピーク強度をそれぞれXnとし、水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度をSとしたとき、1.4≦Xn/Sとなるような化合物の回折ピークが少なくとも1つ観察される。

Description

本発明は、耐食性と強度の双方において改良がなされたアルミニウム合金材及びその製造方法に関する。詳しくは、防食効果が高い緻密な皮膜を有すると共に、基材となるアルミニウム合金についての強度改善がなされたアルミニウム合金材に関する。
アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金は、鉄鋼材料よりも軽量であり、樹脂等の有機材料に比べて高剛性である上に、リサイクル可能である等の多くの利点を有する。そのため、近年、鉄鋼材料に代替すべく自動車や航空機等の輸送機器の構成材料としても多く利用されている。
融点の比較的低いアルミニウム合金にとって、上述した用途の使用環境は高温環境といえる。そのため、アルミニウム合金材の表面酸化による腐食が懸念される。アルミニウムは空気中に放置すると自然酸化膜が生成され不動態化するが、この自然酸化皮膜の厚さは数ナノメートル程度あるので、極度の湿気、酸またはアルカリ環境化において腐食し易い。そこで、従来から、アルミニウム合金の耐食性を向上させるための表面処理方法が検討されている。現在では、使用環境に応じ、アルマイト処理、ベーマイト処理およびめっき処理の他に、リン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ノンクロメート処理等の化成処理が知られている。これら各種の化成処理では、HSO4等の酸やアルカリ、Cr等の重金属イオンを含む処理液に、被処理材となるアルミニウム合金を接触・浸漬して合金表面に防食皮膜を形成する。
上記のような化成処理等の表面処理技術においては、特異な処理液の調達や廃液処理のためのコスト増大の問題や環境に対する負荷の問題があった。そこで、上記化成処理よりも効率的で環境負荷の小さい表面処理方法として、水蒸気を適用した表面処理技術が着目されている(特許文献1)。本発明者等も、アルミニウム合金材の耐食性向上のため、所定の温度範囲の水蒸気を合金表面に接触させる表面処理方法を開示している。このようなアルミニウム合金材の水蒸気処理においては、表面に水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を主成分とする皮膜が形成され、この皮膜の防食作用により耐食性が向上する。
また、上記特許文献2における本発明者等によるアルミニウム合金材の水蒸気処理は、皮膜形成による耐食性向上に加えて、基材となるアルミニウム合金の強度向上を図ることができることが確認されている。この水蒸気処理は、基材に接触する水蒸気の温度及び圧力を最適化することで、基材であるアルミニウム合金に含まれる溶質元素からなる析出物の粒径等の分布状態を調整し、基材の強度を向上させている。
特開2011−121306号公報 国際公開第2017/135363号パンフレット
水蒸気処理は、比較的簡易にアルミニウム合金基材に耐食性を付与することができる上に、廃液処理等の観点から安全性・環境適合性も有する。また、特許文献2の水蒸気処理については、防食皮膜の形成と基材の強度向上を一の工程で同時に達成できるというメリットもある。但し、上述したアルミニウム合金材の適用範囲の拡大傾向を考慮したとき、より耐食性に優れたものが望まれている。
本発明は以上のような背景のもとになされたものであり、水蒸気処理による皮膜を供えるアルミニウム合金材に関し、従来よりも耐食性に優れたものを提供することを目的とする。この目的において、本発明は、強度向上も併せて達成できるものであり、耐食性及び強度の双方について改良されたアルミニウム合金材及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記した従来技術を考慮しながら鋭意検討を行い、水蒸気処理によるアルミニウム合金材の耐食性改善の方向性として、皮膜の発生源となるアルミニウム合金基材の構成を調整することに着目した。水蒸気処理では、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を主成分とする皮膜が生成するが、水蒸気を使用する以上、その組成自体を大きく変更することは難しい。本発明者等は、皮膜の防食効果の向上の手段として、皮膜の組成よりもその緻密性や密着性、更に、AlO(OH)結晶の均一性等の構造的因子の改善の方に可能性があると考察した。
そして、本発明者等は、水蒸気処理前、即ち、皮膜が生成する前の段階でアルミニウム合金基材の材料組織を最適化することで、より効果的な防食作用が生じることを見出した。
もっとも、基材の材料組織と防食作用との関係に関しては、特許文献2で水蒸気処理中の組織調整に関する検討がなされている。しかし、本発明者等の検討によれば、水蒸気処理による材料組織の調整では、耐食性及び強度の改善効果が必ずしも十分ではないと考察している。そして、本発明者等は、アルミニウム合金基材の耐食性の更なる向上のためには、皮膜が生成する前の基材の材料組織を最適に制御することが好ましいと考えた。また、この制御され最適化した材料組織を有するアルミニウム合金材は、強度面でも従来以上の効果を発揮することができることも見出した。本発明者等は、そのような耐食性及び強度において優れたアルミニウム合金材の構成を特定すべき検討した結果、本発明に想到した。
即ち、本発明は、少なくとも1種の溶質元素を含むアルミニウム合金からなる基材と、前記基材の少なくとも一つの面上に形成された皮膜と、からなるアルミニウム合金材であって、前記皮膜は、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を含むものであり、アルミニウム合金材を皮膜の上からX線回折したときのプロファイルにおいて、前記溶質元素を含む少なくとも1種の化合物の回折ピークがn本と、2θ=14°〜15°の範囲に現れる水酸化酸化アルミニウムの回折ピークが1本観察されており、前記化合物のn本の回折ピークのピーク強度をそれぞれXn(n=1、2、3・・・)とし、2θ=14°〜15°の範囲に現れる前記水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度をSとしたとき、Xn/S≧1.4となるような化合物の回折ピークが少なくとも1つ観察されることを特徴とするアルミニウム合金材である。
上記のとおり、本発明に係るアルミニウム合金材は、アルミニウム合金からなる基材と、この基材の表面上の水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を主成分とする皮膜とからなる。この基材は、材料組織の制御の結果、基材であるアルミニウム合金の溶質元素に由来する化合物が析出している。本発明においては、この基材の材料組織の構成を特定するため、アルミニウム合金材をX線回折分析(XRD)したときに現れる化合物の回折ピークを利用する。以下、本発明に係るアルミニウム合金材の詳細を説明するため、その各構成及びX線回折における特徴について説明する。
I.アルミニウム合金基材
本発明の基材となるアルミニウム合金は、アルミニウムを主成分としつつ少なくとも1種の溶質元素が添加された合金である。溶質元素としては、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)の少なくとも1種以上の元素が添加されたアルミニウム合金が基材となる。本発明の基材は、これらの溶質元素を合計で0.1質量%以上50質量%未満含むアルミニウム合金が好ましい。
具体的なアルミニウム合金としては、国際アルミニウム合金名で規定されている各種のアルミニウム合金が挙げられる。例えば、2000系合金のAl−Cu系合金(ジュラルミン、超ジュラルミン)、6000系合金のAl−Mg−Si系合金、7000番のAl−Zn−Mg系合金、Al−Zn−Mg−Cu系合金(超々ジュラルミン)等の各種のアルミニウム合金が適用できる。但し、これらのような規格化された合金系に限られることはなく、広範な組成の合金系が適用できる。
II.皮膜
本発明に係るアルミニウム合金材において、基材表面に形成された皮膜は合金材の耐食性を確保するための重要な構成である。この皮膜は、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を主として含む膜である。水酸化酸化アルミニウムは、ベーマイトとも称されており、化学的安定性を有し高い防食効果を有する。この皮膜の組成は、水酸化酸化アルミニウムを必須的に含み、それのみで構成されていても良い。但し、皮膜に水酸化酸化アルミニウム以外の物質が含まれていても良い。例えば、基材であるアルミニウム合金の溶質元素や、その化合物(金属間化合物、酸化物、水酸化物等)を微量含んでいても良い。また、皮膜形成のために基材と接触する水蒸気中の成分由来の化合物(酸化物、水酸化物、水和物、塩類)も含まれる場合がある。本発明の皮膜は、後述するLDHを含むことも容認しつつ、水酸化酸化アルミニウムを10質量%以上含んでいれば良い。
また、従来技術においては、水蒸気処理による皮膜の成分として水酸化酸化アルミニウムに加えて、Al系の層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:以下、場合によりLDHと称することがある。)が含まれることが述べられている。LDHとは、アルミニウム合金の溶質元素に由来する2価金属(M)の水酸化物に、3価金属であるAlのイオンが2価金属サイトに置換した複水酸化物が積層構造を形成してなる化合物であり、「 [M2+ 1−xAl3+ (OH)][An− x/n・yHO]」の化学式で示される。この化学式において、An−は陰イオンであり、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)、硝酸イオン(NO )、硫酸イオン(SO 2−)、フッ素イオン(F)、塩素イオン(Cl)等となることが多い。
本発明の皮膜において、上記LDHは含まれても良いが、必須の構成ではない。上記従来技術においては、LDHは、その特異な挙動(ホスト−ゲスト反応による陰イオン交換能)に基づき、皮膜の耐食性を向上させる作用があると述べられている。本発明者等は、LDHの効能に関して否定はしないが、本発明の皮膜はLDHが常に生成するものではないことが確認されている。また、本発明者等は、本発明における耐食性向上の作用は、皮膜中でのLDHの存在を必要条件とすることはなく、水酸化酸化アルミニウムの形成のみでも発揮されるものと考察している。従って、本発明の皮膜でLDHは必須の構成ではない。但し、LDHが皮膜中に存在することは忌避されない。
本発明の皮膜は、その厚さが0.05〜100μmであるものが好ましい。0.05μm未満の皮膜では微小な傷が生じた場合、そこから基材の侵食が発生することになる。100μmを超えると、応力や熱衝撃により皮膜に割れ、剥離が生じることがあり、却って耐食性が劣る場合があるからである。
III.X線回折分析におけるピーク強度比
本発明に係るアルミニウム合金材は、基材の溶質元素の化合物の分散状態に関する材料組織が制御されており、これにより防食効果の高い皮膜が形成されており、更に、基材の強度も向上する。本発明では、この基材の材料組織の状態を特定するため、合金材をX線回折分析して得られるプロファイルに基づく、化合物のピーク強度を利用する。
ここで、アルミニウム合金基材の材料組織は、マトリックとなるアルミニウム母相に、溶質元素を含む化合物が析出し分散した組織を呈している。この化合物は、アルミニウム合金の溶質元素で構成される化合物である。化合物の具体的な構成は、基材となるアルミニウム合金の組成に基づく。上記のとおり、アルミニウム合金基材の溶質元素としては、亜鉛、マグネシウム、ケイ素、銅、マンガン、リチウム、鉄、ニッケル、銀、ジルコニウム、クロム等が添加されていることが多い。この場合、アルミニウム合金基材中で分散する化合物は、これらの金属元素の少なくとも1種よりなる。具体的には、Mg−Si系化合物(MgSi等)、Mg−Zn系化合物(MgZn等)、Al−Mg−Zn系化合物(MgZnAl等)、Cu−Mg系化合物(CuMg等)、Al−Fe系化合物(AlFe等)、Al−Fe−Si系化合物(Al12FeSi等)、Al−Cu系化合物(CuAl等)、Al−Cu−Mg系化合物(AlCuMg、AlCuMg等)、Al−Mn系化合物(AlMn等)、Al−Mn−Fe系化合物(AlMnFe等)、Al−Mn−Si系化合物、Al−Fe−Mn−Si系化合物等の化合物が分散する。
本発明に係るアルミニウム合金をX線回折分析したとき、上記した溶質元素の化合物の少なくとも1種の化合物のピークが観察される。化合物の回折ピークは、複数種の化合物のものが観察されることが多く、また、同じ化合物でも回折面により複数のピークが観察される。
一方、本発明に係るアルミニウム合金をX線回折分析したとき、皮膜を構成する水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))のピークが明瞭に観察される。特に、2θ=14°〜15°の範囲において、水酸化酸化アルミニウムのピークが明瞭に現れる。本発明では、この2θ=14°〜15°で現れる水酸化酸化アルミニウムのピークの強度を基準として、各化合物のそれぞれのピークの強度比を測定し、本発明に係るアルミニウム合金であるかを判定する。
即ち、本発明では、X線回折分析によりn本の化合物のピークが観察されたとき、各回折ピークのピーク強度をそれぞれXn(n=1、2、3・・・)とする(nは正の整数)。また、2θ=14°〜15°の範囲に現れる水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度をSとする。そして、各化合物のピーク強度と水酸化酸化アルミニウムのピーク強度との比(Xn/S((n=1、2、3・・・))を測定する。
本発明においては、上記のようにして算出されるピーク強度比(Xn/S)が1.4以上(Xn/S≧1.4)となっていることを要する。本発明においては、基材の材料組織制御が十分進行していることを要する。この組織制御の進度は、化合物の成長の程度が目安となる。化合物のピーク強度と水酸化酸化アルミニウムのピーク強度との比(Xn/S)が○○○未満である場合、化合物の成長が不十分であり、組織制御も完了していないと判定される。そして、そのような制御不十分な基材のもとに生成する皮膜は防食効果に不足することから、かかる基準を設定するものである。尚、このピーク強度との比(Xn/S)の測定・計算は、化合物のピーク全てに対して行っても良い。但し、観察された複数のピークの中から強度の高いピークを1つ又は2つ程度抽出し、ピーク強度比(Xn/S)を算出し、その結果が1.4以上であれば本発明の範囲内であると判定しても良い。
化合物のピーク強度と水酸化酸化アルミニウムのピーク強度との比(Xn/S)の上限に関しては、100とすることが好ましい。化合物の成長にも限界があることが想定され、現実的には100を超えた強度比を発現させることが難しいと考えられるからである。また、耐食性と強度とのバランスにおいて、化合物の過度の成長は好ましくないことが想定される。水酸化酸化アルミニウムのピーク強度との比が1.4以上となるような化合物の組成は限定されない。基材の組成に応じて異なることがある。また、そのようなピークは、少なくとも一つ観察されれば良いが、複数観察されても良い。1種の化合物に由来のピークが複数観察されても良く、複数種の化合物に由来するピークが個々に観察されていても良い。
上述のとおり、本発明のアルミニウム合金基材としては、規格化されたアルミニウム合金である2000系合金(Al−Cu系合金)、6000系合金(Al−Mg−Si系合金)、7000系合金(Al−Zn−Mg系合金、Al−Zn−Mg−Cu系合金)等が適用できる。具体例として、これらのアルミニウム合金を本発明に適用するとき、X線回折で観察される可能性のある化合物の構成、及び、水酸化酸化アルミニウムのピーク強度(S)に対比するのに好適な化合物の構成(ピーク位置)を下記のとおり示す。
Figure 2019163155
尚、本発明に係るアルミニウム合金の皮膜には、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))が必須的に含まれる。そして、水酸化酸化アルミニウムの存在を確認するためには、X線回折パターンにおいて、2θ=14°〜15°で現れる水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度(S)が、アルミニウム合金材の回折ピーク(2θ=38°〜39°)のピーク強度(A)に対して、ピーク強度比(S/A)が0.01以上となっていることが好ましい。このピーク強度比(S/A)の上限に関しては、0.5以下が好ましい。
以上説明したX線回折のプロファイルは、アルミニウム合金材の皮膜の上から分析可能である。X線回折分析における検出深さは、使用する管球のターゲットの種類、入射角度等によって多少差があるが、一般的な条件のもとでの検出深さは数nm〜数十μmである。そのため、皮膜が形成されたアルミニウム合金材をそのまま分析しても、皮膜中の水酸化酸化アルミニウムと基材表面の材料中の化合物の双方を検出できる。X線回折分析は、公知の条件を適用できるが、好ましくは、X線源としてCukα線を用い、2θ=5〜90°の範囲で測定する。また、ピーク強度の算出に際しては、バックグランドの影響を排除した状態で行うことが好ましい。
以上の説明のとおり、本発明に係るアルミニウム合金材は、最適に組織調整されたアルミニウム合金基材とその上に形成された皮膜により、耐食性と強度との双方において優れている。尚、本発明に係るアルミニウム合金材について、その形状は限定されることはなく、板状、管状等あらゆる形状のものが適用できる。また、寸法についても制限はない。本発明に係るアルミニウム合金材の製造過程で適用される水蒸気処理には、形状的制限・寸法的制限を課すことなく皮膜を形成することができるからである。更に、皮膜の形成は部分的なものであってもよく、片面又は両面のいずれでも良い。
IV.本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法
上述したように、本発明に係るアルミニウム合金材の製造においては、水蒸気処理による皮膜の形成がなされる。そして、本発明の特徴は、皮膜形成前にアルミニウム合金基材の材料組織の制御を行う点にある。この基材の組織制御の工程では、基材を高温加熱して溶体化した後に、所定温度で加熱して化合物の分散状態を調整する。
即ち、本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法は、少なくとも1種の溶質元素を含むアルミニウム合金からなる基材を、450℃〜570℃に加熱し冷却して溶体化した後、前記溶体化した基材を50℃〜300℃で0.1時間〜168時間加熱する組織制御処理を行い、前記組織制御処理後の基材を温度100℃〜350℃の水蒸気と接触させ、前記基材上に皮膜を形成する工程を含むものである。
(i)基材の組織制御工程
アルミニウム合金基材に対する材料組織の制御は本発明の必須工程である。この組織制御工程は、皮膜形成前の基材の材料組織について、好適なサイズの化合物が均一に分散した状態にして、防食効果に優れた皮膜を生成させるための工程である。また、化合物の分散状態を好適化することで、基材の強度を向上させる作用を有する。基材を組織制御処理することで皮膜の防食効果が向上する理由に関しては必ずしも明らかではない。本発明者等は、基材中の化合物の分散状態の変化により、化合物周辺の表面状態に変化が生じ、基材表面に形成する皮膜の密着性或いは形態性に好適な変化が生じることが耐食性向上の要因と推察する。
基材の組織制御処理は、溶体化した後の基材に対して行われる。製造上がり・市販製品の一般的なアルミニウム合金材においては、不規則化合物の分散や粗大化合物の分散や化合物の不足等といった、皮膜形成を不均一・不規則にする可能性がある材料組織となっていることが予測される。そのため、溶体化処理で基材の組織状態を均質化してから組織制御することで、安定した特性の合金材を得ることとする。溶体化処理は、基材を450℃〜570℃に加熱した後に冷却する。加熱時間は、0.1〜48時間とするのが好ましい。冷却は、水冷が好ましく、5℃以下の水冷を用いた方がさらに好ましい。
溶体化処理により均質化した基材を組織制御処理する。組織制御処理は、基材を50℃〜300℃で0.1時間〜168時間加熱する。この熱処理により、溶質元素による化合物の生成・析出や、溶質元素のアルミニウム母相への再溶解・再析出による化合物の分散状態の再編・微細化が進行する。その結果、基材の材料組織が好適な状態に制御される。この熱処理温度は、50℃〜300℃とする。50℃未満では、上記の溶質元素の拡散が生じ難く、組織制御の進行が非常に遅滞する。一方、300℃超では化合物の過剰な粗大化が生じることがある他、再結晶により基材の機械的特性が変動するおそれがある。また、加熱時間は、0.1〜168時間とする。0.1時間未満では、上記の溶質元素の拡散が不十分であるため材料組織の変化が乏しく、168時間熱処理しても変化に差はなく非効率だからである。尚、この組織制御処理の好適な条件は、100℃〜250℃で0.5時間〜24時間加熱とする。
(ii)水蒸気処理工程
そして、上記のような組織調整処理工程を経た基材について、水蒸気を接触処理させ皮膜を形成することで、本発明に係るアルミニウム合金材となる。この皮膜形成のための水蒸気処理工程では、水蒸気の温度を100℃〜350℃とする。100℃未満の水蒸気処理では、水酸化酸化アルミニウムの十分な生成が認められず皮膜に耐食性を付与することができない。一方、350℃を超えると水酸化酸化アルミニウムの粗大化が進行し、皮膜が多孔質化する等の不具合がある。水蒸気の温度は、140〜280℃とするのがより好ましい。
基材に接触させる水蒸気は、水の加熱・気化により生成するが、水蒸気源として用いる水としては、工業用水や水道水が使用でき、純水の使用が好ましい。また、適宜の塩を含む水溶液も使用できる。純水を使用する場合、電気伝導率が1mS/m以下のイオン交換水、蒸留水、超純水の使用が好ましい。また、塩を含む水溶液としては、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、フッ化物塩の水溶液の蒸気を利用することができる。これらの塩はアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)の塩(炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等)や、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)の塩(炭酸カルシウム、硝酸カルシウム等)の他、貴金属の塩、コモンメタルの塩等が適用できる。これらの塩を1種又は複数種を組み合わせた水溶液を使用することができる。
水蒸気の圧力は、0.1〜10MPaの範囲が好ましい。圧力は、より好ましくは0.2〜5MPaとする。加圧水蒸気を適用すると、飽和蒸気と亜臨界水の2相平衡状態となり、皮膜の形成に対する反応性を促進させることが可能となる。処理時の水蒸気の圧力を一定に保持することで、均一な皮膜を形成することができる。
水蒸気とアルミニウム合金基材とを接触させる方法については、特に限定されることはない。水蒸気処理は、所定の反応器・容器等の閉空間内の水蒸気に処理材となるアルミニウム合金を暴露して処理を行っても良い。具体的手法として、容器に基材を水と共に配置し、温度・圧力を制御して発生した水蒸気雰囲気中に基材を曝露することで処理が可能である。また、水蒸気を処理材に直接的に噴射して処理を行っても良い。
尚、本発明者等による従来技術(特許文献2)である、皮膜形成と組織制御とを同時に進行させる水蒸気処理の条件は、水蒸気温度を150℃以上200℃未満(好ましくは170℃以上190℃以下)としている。よって、本発明の水蒸気処理の条件は、この従来技術よりも広い範囲のものが適用できる。本発明では、水蒸気処理の前に材料組織を当該従来技術よりも好適な状態に制御している。そのため、水蒸気処理については広範な公知の条件が適用できる。但し、上記した特許文献2記載の条件での水蒸気処理を行うことも当然に許容される。
以上説明したように、本発明に係るアルミニウム合金材は、基材の材料組織を最適な状態に制御したことにより、従来技術に対して優れた防食作用を有する皮膜を供える。また、基材の組織制御は、強度向上にも寄与し、従来技術よりも高強度の合金材となっている。本発明は、簡易でありながら有効性が高く、大型の部材や構造物に対応できるので広範な利用が期待できる。
本実施形態で使用した水蒸気処理装置の構成を概略説明する図。 第1実施形態及び比較例1のアルミニウム合金材の表面(皮膜)のSEM写真。 第1実施形態及び比較例1のアルミニウム合金材のXRDプロファイル。 第1実施形態及び比較例1のアルミニウム合金材の分極曲線。 第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金材の表面(皮膜)のSEM写真。 第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金材のXRD分析結果。 第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金材の分極曲線。
第1実施形態:以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態では、アルミニウム合金基材として、7000系のアルミニウム合金であるAl−5.6質量%Zn−2.6質量%Mg−Cu合金(7075合金)を用い、これを組織制御処理及び水蒸気処理して皮膜を供えるアルミニウム合金材を製造し、評価した。
本実施形態では、前記組成の市販材を用意して、20×20mm、厚さ1.5mmに切り出したものを試験片とした。まず、この試験片について組織制御処理を行った。試験片を470℃で2時間加熱した後、水冷して溶体化処理した。そして、試験片をオイルバス(シリコーンオイル)中で、120℃で24時間加熱して組織制御処理を行った。
組織制御処理を行った試験片について、水蒸気処理を施し皮膜形成を行った。水蒸気処理では、図1に示す蒸気養生装置を用いた。図1の蒸気養生装置は、横型のオートクレーブであり、下部に蒸気源となる純水(20ml)が注入されている。装置上部には試験片を複数吊り下げできるようになっている。皮膜形成は、温度180℃、圧力1.0MPaで処理時間を1時間として温度及び圧力を保持して処理した。
比較例1:皮膜形成前の組織制御処理を行ったアルミニウム合金材に対する比較例として、基材をそのまま水蒸気処理し、皮膜を形成してアルミニウム合金材を製造した。このときの水蒸気処理の条件は、本実施形態と同じとした。
尚、この本実施形態及び比較例1の水蒸気処理の条件(温度180℃、圧力1.0MPa)は、特許文献2に記載された水蒸気処理の条件の範囲内である。よって、比較例1においては、水蒸気処理中に組織制御(化合物の析出)がある程度は進行していると予測される。
以上の工程で製造した本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材について、SEM観察による皮膜の表面形態を観察した。図2は、各アルミニウム合金材の表面形態を示すSEM写真である。図2より、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材のいずれにおいても、AlO(OH)と推定される結晶が緻密に形成されている。皮膜形成前の組織制御を行った本実施形態のアルミニウム合金材の方が、結晶粒のサイズが微細に見られるものの、両者の外観に関してはさほど大きな差異はないと判断できる。
次に、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材に対するX線回折分析(XRD)を行った。XRDは、X線源をCu−Kαとして、電圧50kV、電流300mAで測定した。XRDは、皮膜を形成した本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材と、皮膜形成していないアルミニウム合金材の試験片について行った。
図3は、各アルミニウム合金材のXRDのプロファイルである。皮膜形成のない基材のプロファイルと対比すると、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材には、いずれも2θ=14°付近でAlO(OH)由来の回折ピークが明瞭に観察される。
そして、本実施形態のアルミニウム合金材においては、基材の主要な溶質元素であるMg、Zn、Cuのうち、Mg、Znの化合物であるMg−Zn系化合物(MgZn)に由来する強い回折ピークが2θ=19.5°付近で観察される。また、本実施形態のアルミニウム合金材には、Mg−Zn系化合物以外の化合物として、Cu−Mg系化合物(CuMg)、Al−Fe系化合物(AlFe)、Al−Cu−Mg系化合物(AlCuMg、AlCuMg)等が観察される。
本実施形態のアルミニウム合金材に関しては、複数現れた化合物の回折ピークの中で、2θ=19.7°付近で観察されたMg−Zn系化合物のピークの強度をXとし、2θ=14.5°付近のAlO(OH)のピークの強度をSとして、それらの比X/Sを算出した。このピーク強度比X/Sの算出結果は、4.0であった。尚、本実施形態では、水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度(S)は、アルミニウム合金材の回折ピーク(2θ=38°〜39°)のピーク強度(A)に対して、ピーク強度比S/Aが0.1であった。
一方、水蒸気処理前の組織制御処理のない比較例1のアルミニウム合金材においても、Mg−Zn系化合物(MgZn)に由来する回折ピークが観察されている。そこで、本実施形態と同様、2θ=19.5°付近で観察されたMg−Zn系化合物のピークの強度と、2θ=14°付近のAlO(OH)のピークの強度との比を算出した。この比較例1の化合物のピーク強度比X/Sは、1.3であり、本実施形態の値(4.0)に対して明らかに低い値であった。これは、水蒸気処理による皮膜形成前に、基材に適切な組織制御処理を行った結果、化合物(Mg−Zn系化合物等)が析出し微細分散したことに起因すると考えられる。尚、この比較例1の水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度(S)については、ピーク強度比S/Aが0.08であった。
そして、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材について、耐食性及び強度に関する評価試験を行った。耐食性評価としては、合金材について分極曲線の測定を行った。分極曲線の測定に使用した電解液は5質量%NaCl溶液とした。測定前に溶液を窒素でバブリングした後、ポテンショ/ガルバノスタット(VersaSTAT4、Princeton Applied Research製)を使用して分極曲線を測定した。強度評価は、基材表面についての硬度測定を行った。硬度の測定は、測定前に皮膜を機械研磨して除去した試料表面について測定した。硬度測定は、マイクロビッカース硬さ試験機(HM−103、株式会社ミツトヨ製)を使用し、測定条件としては、試験荷重2.94N、荷重時間15sとした。
図4は、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材の分極曲線を示す。図4には、皮膜形成のないアルミニウム合金基材の分極曲線も記載している。これらの分極曲線に基づき、各試料の腐食電流密度と腐食電位を読み取った。
表2に、本実施形態及び比較例のアルミニウム合金材について、分極曲線から読み取った腐食電流密度及び腐食電位と、各合金材の基材について測定されたビッカース硬度の値を示す。
Figure 2019163155
表2から、水蒸気処理により皮膜形成した本実施形態及び比較例1のアルミニウム合金材は、皮膜のない基材と比較して腐食電流密度の大幅な低下が見られ、皮膜による耐食性向上の効果が確認される。そして、本実施形態と比較例1とを対比すると、本実施形態の組織制御を行ったアルミニウム合金材は、比較例1と比較して、腐食電流密度が更に低下すると共に、腐食電位が貴化することが分かる。この結果から、水蒸気処理前の組織制御処理によるアルミニウム合金材は、従来技術に対して耐食性が向上していることが分かる。
また、基材の強度(硬度)に関しても、本実施形態のアルミニウム合金材は、比較例1のアルミニウム合金材よりも硬度が高いことが分かる。比較例1でも、水蒸気処理の過程での組織調整とそれによる硬度上昇は見られるが、本実施形態の方が硬度上昇の効果は大きい。以上から、本発明の水蒸気処理前の組織制御処理により、化合物の分散状態が好適化されたアルミニウム合金材は耐食性と強度の双方において優れることが確認された。
第2実施形態:本実施形態では、アルミニウム合金基材として、6000系のアルミニウム合金であるAl−0.6質量%Mg−1.0質量%Si合金(6022合金)を用い、第1実施形態と同様に組織制御処理及び水蒸気処理してアルミニウム合金材を製造して特性を評価した。
この実施形態では、市販のアルミニウム合金の板材について、第1実施形態と同様に試験片に加工し、組織制御処理を行った。組織制御処理においては、試験片を560℃で30分間加熱する溶体化処理を行い、180℃で6時間加熱して組織制御処理を行った。そして、第1実施形態と同様の条件(温度180℃、圧力1.0MPa)で水蒸気処理を施し皮膜形成を行った。また、この第2実施形態に対する比較例として、水蒸気処理のみを行ったものも用意した(比較例2)。
そして、第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金について、皮膜の表面形態観察(SEM)、XRD、分極曲線及び硬度測定を行った。これらの分析・試験の条件は第1実施形態と同じである。
図5は、本実施形態のアルミニウム合金材表面のSEM写真である。第1実施形態と同様に、AlO(OH)と推定される結晶が緻密に形成されている。この実施形態でも、比較例との比較において外観上大きな差異は見られなかった。
そして、本実施形態のアルミニウム合金材のXRDのプロファイルを図6に示す。本実施形態のアルミニウム合金材においても、基材の溶質元素(Mg、Si)に基づき、Mg−Si系化合物(例えば、MgSi)の他、Cu−Mg系化合物等が観察される。
そして、本実施形態のアルミニウム合金材に関しては、複数現れた化合物の回折ピークの中で、2θ=35.7°付近で観察されたMg−Si系化合物のピークの強度をXとし、2θ=14.2°付近のAlO(OH)のピークの強度をSとして、それらの比X/Sを算出した。このピーク強度比X/Sの算出結果は、1.7であった。一方、比較例2のアルミニウム合金材においても、同じ化合物のピークに基づき、化合物のピーク強度比X/Sを算出すると、0.6となった。尚、本実施形態では、水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度(S)は、アルミニウム合金材の回折ピーク(2θ=38°〜39°)のピーク強度(A)に対して、ピーク強度比S/Aが0.07であった。また、比較例2のピーク強度比S/Aは0.03であった。
また、図7に、第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金材についての分極曲線を示す。更に、表3には第2実施形態及び比較例2のアルミニウム合金材と基材の腐食電流密度、腐食電位、ビッカース硬度の値を示す。
Figure 2019163155
表2から、第2実施形態のアルミニウム合金材においても、比較例2と比較して、腐食電流密度の低下と腐食電位の貴化が見られる。また、硬度に関しても第2実施形態の基材の方が高い。従って、この実施形態の結果からも、水蒸気処理前の組織制御処理により、化合物の分散状態が好適化されたアルミニウム合金材は耐食性と強度の双方において優れることが確認された。
以上説明したように、本発明に係るアルミニウム合金材は、水蒸気処理による皮膜を形成する前に、基材の材料組織を最適な状態に制御することで、高い防食作用を有する皮膜が形成されている。また、材料組織が好適化された基材は、強度も向上しているので従来技術よりも高強度の合金材となっている。本発明は、自動車や航空機等の輸送機器の構成材料の他、各種用途のアルミニウム合金に応用できる技術である。

Claims (4)

  1. 少なくとも1種の溶質元素を含むアルミニウム合金からなる基材と、前記基材の少なくとも一つの面上に形成された皮膜と、からなるアルミニウム合金材であって、
    前記皮膜は、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))を含むものであり、
    アルミニウム合金材を皮膜の上からX線回折したときのプロファイルにおいて、前記溶質元素を含む少なくとも1種の化合物の回折ピークがn本と、2θ=14°〜15°の範囲に現れる水酸化酸化アルミニウムの回折ピークが1本観察されており、
    前記化合物のn本の回折ピークのピーク強度をそれぞれXn(n=1、2、3・・・)とし、2θ=14°〜15°の範囲に現れる前記水酸化酸化アルミニウムの回折ピークのピーク強度をSとしたとき、1.4≦Xn/Sとなるような化合物の回折ピークが少なくとも1つ観察されることを特徴とするアルミニウム合金材。
  2. 溶質元素は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)の少なくともいずれかである請求項1記載のアルミニウム合金材。
  3. 皮膜の厚さは、0.05〜100μmである請求項1又は請求項2記載のアルミニウム合金材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアルミニウム合金材の製造方法であって、
    少なくとも1種の溶質元素を含むアルミニウム合金からなる基材を、450℃〜570℃に加熱し冷却して溶体化した後、
    前記溶体化した基材を50℃〜300℃で0.1時間〜168時間加熱する組織制御処理を行い、
    前記組織制御処理後の基材を温度100℃〜350℃の水蒸気と接触させ、前記基材上に皮膜を形成する工程を含むアルミニウム合金材の製造方法。
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