JP2000239778A - 化成処理性に優れたアルミニウム合金材 - Google Patents

化成処理性に優れたアルミニウム合金材

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JP2000239778A
JP2000239778A JP4795499A JP4795499A JP2000239778A JP 2000239778 A JP2000239778 A JP 2000239778A JP 4795499 A JP4795499 A JP 4795499A JP 4795499 A JP4795499 A JP 4795499A JP 2000239778 A JP2000239778 A JP 2000239778A
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aluminum alloy
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Mariko Sakata
真理子 坂田
Takeshi Owaki
武史 大脇
Kazumi Yanagisawa
佳寿美 柳澤
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼材と同じ条件で表面にリン酸亜鉛処理な
どの化成処理を施す場合でも、化成処理性が優れたAl合
金材を提供することを目的とする。 【解決手段】 化成処理後に塗装されて用いられるア
ルミニウム合金材であって、アルミニウム合金材表面
に、厚さが100 Å以下のアルミニウムの酸化皮膜を有す
るとともに、該酸化皮膜を入射角75度の平行偏光使用に
よるFTIR分析し、水酸基のスペクトルを吸光度表示した
際の、3500カイザーの波数部分に生じるスペクトルピー
ク高さが0.007 以下となるように、酸化皮膜中の水酸基
を抑制することである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装後に使用され
た際の、耐糸錆性などの耐食性や外観性 (美観や鮮映性
など) を保証するための化成処理性に優れたAl-Mg-Si系
アルミニウム合金材 (以下、アルミニウムを単にAlと言
う) に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、排気ガス等による地球環境問題に
対して、自動車車体の軽量化による燃費の向上が追求さ
れており、自動車車体への圧延板材あるいは押出形材等
のAl合金材の適用も増加しつつある。現在の車体は、成
形した鋼板を抵抗スポット溶接にてハット形状に組み立
てて構成すモノコック構造である。しかし、前記軽量化
のために、これらの板材をAl合金材にするための板材の
成形技術や接合、溶接技術が開発され、Al合金の押出に
より一体化させた形材 (中空断面など断面形状が長さ方
向のどの位置でも本質的に同一である形材) を使用した
スペースフレーム構造なども提案されている。
【0003】また、Al合金は、鋼に比してその比重が1/
3 であること、優れたエネルギー吸収性を有すること、
更には断面形状の自由度が高いという特性を有すること
から、車体重量を増加させずに、安全基準への対応や車
体性能を向上させるために、自動車のパネル材やドアビ
ームやサイドメンバーなどのフレーム、バンパーステイ
などのバンパー補強材等に採用され、これらの需要が伸
びている。
【0004】しかし、例えば自動車車体にAl合金材が使
用される場合、オールアルミ車などの一部を除いて、大
部分の自動車車体は従来からの鋼板などの鋼材とAl合金
材とが複合化されて用いられる。例えば鋼板製からなる
ドアの部材とAl合金形材製のドアビームとが複合材料の
ドア部材として車体に取り付けられる。
【0005】通常、自動車の製造ラインにおいて、成
形、組み立て後の車体は、化成処理性改善の前処理とし
て、リン酸チタンのコロイド分散液により処理されたあ
と、リン酸亜鉛処理およびカチオン電着塗装処理などの
塗装下地処理を施され、その後、焼付け硬化する中塗
り、上塗りなどの塗装を施される。そして、この製造ラ
インにおける各工程条件は基本的に、これまで使用され
ている鋼材の条件に見合ったものとなっている。したが
って、自動車車体に使用されるAl合金材は、従来の鋼材
とともに、言い換えると、鋼材と同じ条件で表面にリン
酸亜鉛処理およびカチオン電着塗装処理などの塗装下地
処理が施されることになる。
【0006】しかし、Al合金材の場合、鋼材よりもリン
酸亜鉛処理性が劣るため、Al合金材表面に、均一で適当
量のリン酸亜鉛の皮膜が確保されにくいという問題があ
る。仮にリン酸塩処理性が悪いと、その後に塗装により
形成される塗膜の密着性が低下する。そしてこの結果、
塗装後に糸錆状の腐食や塗膜のふくれが生じ、自動車と
しての耐食性や外観性を低下させるという問題がある。
【0007】このため、Al合金材のリン酸塩処理性を改
善するために、従来からリン酸塩処理浴の側を改善する
ことが行われている。例えば、その代表例としては、リ
ン酸塩処理浴に数十〜数百ppm 程度のフリーフッ素(F)
イオンを添加することが行われている。
【0008】この他、Al合金材側のリン酸塩処理性を改
善して、塗装後の前記耐食性や外観性を向上させる技術
が種々提案されている。例えば、特開平04-41646号や特
開平07-3371 号公報には、6000系Al合金について、Zn、
Cuなどのリン酸塩処理性改善元素を添加してリン酸塩処
理性を改善する技術が開示されている。また、特開平08
-277434 号公報には、Znなどのリン酸塩処理性改善元素
を添加およびCuをリン酸塩処理性を阻害する元素として
逆に規制してリン酸塩処理性を改善する技術が開示され
ている。更に、特開平08-92773号公報には、Al合金材表
面の酸化皮膜を酸性溶液中で除去して、リン酸塩処理性
を改善する技術が開示されている。
【0009】また、Al合金板の表面を改質することも種
々行われている。例えば、特開平6-287672号公報では、
Al合金板に0.01〜5wt%のCuを含有させるとともに、Al合
金板表面にCuを0.1 〜10wt% 優先析出させ、析出したCu
をリン酸塩処理の際のカソード反応点として働かせて、
リン酸塩処理性を改善することが開示されている。
【0010】更に、Al合金板の表面のAlの酸化皮膜に着
目し、酸化皮膜の厚さを50〜150 Å或いは70Å以下程度
とするとともに、リン酸塩処理性を阻害するAlの酸化皮
膜中のMgの酸化物(MgO) を規制してリン酸塩処理性を改
善することが、特開平2-250944号や特開平5-70970 号、
或いは特開平8-92773 号などの公報に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記リン酸塩処理浴の
側を改善する技術として、フリーフッ素(F) イオンの添
加によって、Al合金材のリン酸塩処理性自体は改善され
る。しかし、Al合金材表面へのリン酸塩皮膜の形成は、
Al合金材表面からのAlイオンの溶出によって促進される
ため、Al合金材のリン酸塩処理性がよくなるほど、Al合
金材表面からのAlイオンの溶出量が多くなる。そして、
このAlイオンの溶出が多くなると、肝心の鋼材の方のリ
ン酸塩処理性を阻害するという新たな問題を生じる。更
に、有害なフッ素イオンを多量に使用するという問題が
あり、また、これらを含む廃液の処理の問題がある。
【0012】勿論、前記Alイオンの溶出の問題は、リン
酸塩処理浴より、蓄積したAlイオンを除去してやれば良
いが、除去に伴うリン酸塩浴のロス分や、処理設備のコ
ストが大きく、省エネや効率化が厳しく追求される自動
車の製造ラインからすると、コストアップにつながって
しまう。
【0013】したがって、フッ素を使用しないリン酸塩
溶液乃至フッ素濃度を100ppm以下の低濃度としたリン酸
塩溶液により処理しても、リン酸塩処理性が向上するAl
合金材が求められている。
【0014】また、前記Al合金材側のリン酸塩処理性を
改善する技術として、Zn、Cuなどのリン酸塩処理性改善
元素を添加乃至成分量を調整してリン酸塩処理性を改善
する技術は、これら成分調整した6000系Al合金において
も、リン酸塩処理性は改善されるものの、塗装後に糸錆
状の腐食や塗膜のふくれが生じることを完全には防止で
きない。
【0015】更に、前記Al合金材表面の酸化皮膜を酸性
溶液中で除去して、リン酸塩処理性を改善する技術も、
リン酸塩処理性を改善することができない場合があり、
塗装後に糸錆状の腐食や塗膜のふくれが生じる場合があ
る。
【0016】そして、前記Al合金板表面にCuを析出させ
る技術は、Al合金板に0.01〜5wt%のCuを含有させる必要
が有り、Al合金板自体にCuを含有する乃至リン酸塩処理
後にAl合金板表面にCuが残留すると、却って塗装後の耐
蝕性の内、特に耐糸さび性を劣化させるという問題があ
る。
【0017】また、前記Al合金板の表面のAlの酸化皮膜
の制御技術では、リン酸塩処理性を阻害するAlの酸化皮
膜中のMgの酸化物(MgO) を規制しても、リン酸塩処理性
を改善することができない場合があり、塗装後に糸錆状
の腐食や塗膜のふくれが生じる場合がある。
【0018】特に、製造されたAl合金板は、通常、一定
期間在庫乃至保管された上で、前記自動車材用などとし
て加工し使用されるが、特に、前記在庫乃至保管される
期間が長くなるほど、長期保管後のAl合金板をリン酸亜
鉛などの化成処理をした場合、化成処理性が低下し、化
成処理ムラや、著しい場合には塗装後の耐糸錆び性が低
下する現象が生じる。そして、この現象に対しては、前
記Alの酸化皮膜中のMgの酸化物の規制だけではなく、リ
ン酸塩処理浴に前記フッ素を高濃度に添加する技術、リ
ン酸塩処理性改善元素を添加乃至成分量を調整する技
術、或いはAl合金材表面の酸化皮膜を酸性溶液中で除去
する方法でも、同様に完全に防止することはできない。
【0019】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、鋼材と同じ条件で表面にリ
ン酸亜鉛処理などの化成処理を施す場合でも、化成処理
性が優れたAl合金材を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明Al合金材の要旨は、化成処理後に塗装されて
用いられるアルミニウム合金材であって、アルミニウム
合金材表面に、厚さが100 Å (オングストローム) 以下
のアルミニウムの酸化皮膜を有するとともに、該酸化皮
膜を入射角75度の平行偏光使用によるFTIR (フーリエ変
換式赤外分光光度計) 分析し、水酸基のスペクトルを吸
光度表示した際の、3700カイザー(cm -1) から2700カイ
ザーまでをベースラインとした時の、3500カイザーの波
数部分に生じるスペクトルピーク高さが0.007 以下とな
るように、酸化皮膜中の水酸基を抑制することである。
【0021】本発明の上記要旨とし、Al酸化皮膜中の水
酸基の量を一定以下に抑制することにより、鋼材と同じ
低いフリーフッ素イオン濃度条件で表面にリン酸亜鉛処
理などの化成処理する場合でも、また、長期保管後にリ
ン酸亜鉛処理などの化成処理された場合でも、塗装下地
処理としての化成処理性を確保し、Al合金材表面にリン
酸亜鉛などの化成処理皮膜を十分付着生成させることが
可能となる。この結果、その後の塗装により形成される
塗膜の密着性が向上し、塗装後に糸錆状の腐食や塗膜の
ふくれが生じることがなく、自動車パネル材やフレーム
材などの耐食性や外観性を低下させることが無い。
【0022】本発明者らは、製造されたAl合金材表面の
Al酸化皮膜中の、或いは、特に長期保管された際のAl合
金材表面のAl酸化皮膜中の水酸基の量が、リン酸亜鉛処
理性に大きな影響を与えていることを知見した。即ち、
酸化皮膜中の[Al2O3・XH2O]で表される結合水や水酸化
アルミニウム[Al(OH)3] などの水酸基を有する化合物の
量が、リン酸亜鉛などの化成処理皮膜のAl合金材表面へ
のつきまわり性 (Al合金材表面への均一な付着と付着量
の確保) に対し、大きな悪影響を与えていることを知見
した。
【0023】
【発明の実施の形態】そこで、本発明においては、Al合
金材表面のAl酸化皮膜の厚さを100 Å以下に特定すると
ともに、前記酸化皮膜を入射角75度の平行偏光使用によ
るFTIR (フーリエ変換式赤外分光光度計) 分析した際の
3500カイザー(cm -1) の波数部分に生じる水酸基の吸収
の大きさが、3700カイザーから2700カイザーまでをベー
スラインとした時のピーク高さにして、0.007 以下とな
るように、酸化皮膜中の水酸基を抑制する。
【0024】(Al酸化皮膜の厚さ)Al合金材表面のAl酸化
皮膜の厚さはリン酸亜鉛などの化成処理性の点からは薄
いほど好ましい。Al酸化皮膜の厚さが100 Åを越えた場
合には、却って化成処理時にAl酸化皮膜が溶解 (エッチ
ング) しにくくなり、リン酸亜鉛などの化成処理皮膜の
付着性が悪くなる。化成処理皮膜の付着性が悪くなる
と、皮膜の付着量が低下し、塗装後耐蝕性としての耐糸
さび性を低下させる。したがって、Al合金材表面のAl酸
化皮膜の厚さは100 Å以下とする。
【0025】なお、Al合金材表面のAl酸化皮膜の膜厚
は、X線光電子分光法(XPS) により、比較的簡単に、か
つ精度良く測定することができる。酸化皮膜の膜厚の測
定方法としては、他に、ハンターホール法や静電容量法
等があるが、酸化皮膜は薄膜であり、測定方法が違う
と、測定値のバラツキが生じる場合があるので、本発明
のAl箔表面の酸化皮膜の膜厚は前記XPS により測定する
ものとする。
【0026】具体的な測定方法は、酸化皮膜中のAl原子
から放出され、XPS の検出器で観測される光電子数
(NOX) 、下地Al基板中Al原子から放出され、XPS の検出
器で観測される光電子数(NAl) を用い、d=20 cosθ In
(1.15 NOX/NAl+1)の算出式 (但し、θは光電子の検出
角度) により、酸化皮膜の膜厚d(Å: オングストロー
ム) を算出する。
【0027】(酸化皮膜中の水酸基)本発明においては、
リン酸塩処理などの化成処理性の改善のために、Al合金
材表面のAl酸化皮膜中の水酸基の量 (水酸基を有する化
合物の量、即ち水酸化物量) を規制する。即ち、前記酸
化皮膜中の水酸基を、酸化皮膜を該酸化皮膜を入射角75
度の平行偏光使用によるFTIR (フーリエ変換式赤外分光
光度計) 分析し、水酸基のスペクトルを吸光度表示した
際の、3700カイザー(cm -1) から2700カイザーまでをベ
ースラインとした時の3500カイザーの波数部分に生じる
スペクトルピーク高さが0.007 以下となるように、酸化
皮膜中の水酸基を抑制する。
【0028】図1 にAl酸化皮膜を前記FTIR分析した際の
吸光度表示した水酸基のスペクトルを示す。このFTIR分
析した際の、3500cm-1の波数部分に生じるスペクトルA
1、A2は、Al酸化皮膜中の[Al2O3・XH2O] で表される結
合水や水酸化Al[Al(OH)3] 等の水酸基を有する化合物の
存在を示す指標である。そして、その3500cm-1の波数部
分に生じるスペクトルの、3700カイザーから2700カイザ
ーまでをベースラインCとした時の、ベースラインC か
らスペクトルピークまでの高さh1、h2は、これら水酸基
を有する化合物のAl酸化物中での存在量を示す指標であ
る。因みに図1 において、h1は0.017(比較例) 、h2は0.
005(発明例) である。なお、1000cm-1の波数部分に生じ
るスペクトルB1、B2は酸化Alの存在量を示す指標であ
る。
【0029】そして、前記スペクトルの、ベースライン
からスペクトルピークまでの高さがh1のように0.007 を
越えた場合、Al酸化皮膜中の水酸基が特に増加し、前記
した通りリン酸亜鉛などの化成処理皮膜のAl合金材表面
に対するつきまわり性= Al合金材表面への均一な付着と
付着量の確保に対し悪影響を与える。この結果、リン酸
亜鉛などの化成処理皮膜の付着性が悪くなる。したがっ
て、前記スペクトルの、ベースラインからスペクトルピ
ークまでの高さはh2のような0.007 以下とする。
【0030】(水酸化物の挙動)化成処理におけるAl酸化
皮膜中の水酸化物の挙動は、物質の表面電位 (ゼータ電
位) の点から説明される。即ち、Al酸化皮膜の主成分
である酸化Al、酸化皮膜中の水酸化物として代表的な
水酸化Alおよびリン酸亜鉛処理におけるリン酸亜鉛皮
膜のAl合金材表面への付着を律速する (リン酸亜鉛処理
の前処理として用いられるリン酸チタンの、各々の表面
電位 (ゼータ電位) を例にして説明する。酸化Al(Al
2O3) 、水酸化Al(Al(OH)3) 、リン酸チタンの、3 者の
存在するPHと表面電位との関係を図2 に示す。図2 にお
いて、リン酸チタンのコロイド分散液(コロイダルチタ
ン) のPHは、概ね点線で示すPH8.8 の部分であり、この
PH部分におけるリン酸チタンの表面電位( ○印) はマイ
ナス、酸化Alの表面電位( △印) はプラス、水酸化Al表
面電位( □印) はマイナスとなっている。
【0031】つまり、リン酸チタンのマイナスの表面電
位に対し、酸化Alの表面電位は、その逆のプラスの表面
電位となっており、図3(a)に示す通り、リン酸チタンが
Al合金材表面に付着する際にはAl合金材最表面の酸化Al
が逆の表面電位であるため、静電吸着が働き、より良く
付着する方向に働く。一方、リン酸チタンのマイナスの
表面電位に対し、水酸化Alの表面電位は、同じマイナス
の表面電位であり、図3(b)に示す通り、Al合金材表面に
付着しようとするリン酸チタンと酸化Alとは静電反発が
働き、リン酸チタンが付着しにくい方向に働く。したが
って、Al合金材表面の酸化皮膜中の水酸化Alが増加する
ほど、リン酸チタンがAl合金材表面に付着する際には、
静電反発が働くことになり、リン酸チタンの付着性を阻
害し、リン酸チタンの付着量が減少する。このため、リ
ン酸チタンの付着によって律速されるところの、引き続
くリン酸亜鉛処理におけるリン酸亜鉛の生成を著しく低
下させる。
【0032】なお、Al酸化皮膜中の水酸化物によって、
Al合金材表面の化成処理皮膜のつきまわり性が阻害され
るのは、リン酸亜鉛などのリン酸塩処理だけではなく、
リン酸- クロム酸塩系皮膜皮膜を設ける化成処理、クロ
ム酸塩系皮膜やジルコニウムやチタンを含む非クロム酸
塩系皮膜を設ける化成処理、或いはベーマイトなどのAl
の水和酸化物系皮膜を設ける化成処理でも同様に生じ
る。したがって、本発明における化成処理とは、塗装下
地処理として汎用されているこれら化成処理皮膜全般の
ことを言う。
【0033】更に、本発明の別の実施態様として、水酸
化物を規制したAl酸化皮膜が、リン酸塩処理などの化成
処理されるまでの経時変化によって、水酸化物が増加し
ないように、更に表面に、Al合金材を大気や腐食雰囲気
と遮断する防錆のための表面処理や、或いは成形性やリ
ン酸塩処理性の向上などの他の機能を付加する表面処理
を行っても良い。表面処理としては、例えば、亜鉛めっ
き、潤滑油や防錆油塗布、樹脂層や樹脂層フィルムなど
の被覆などがある。特に、亜鉛めっきは、リン酸塩処理
などの化成処理性にも優れており、Al合金材の化成処理
性をより優れたものとすることができる。但し、この亜
鉛めっきの場合には、化成処理後、亜鉛めっき層が残留
すると、却って耐糸さび性などの塗装後の耐蝕性を劣化
させる。したがって、リン酸塩処理などの化成処理後
に、Al合金材の表面に亜鉛めっき層が残留しない量乃至
厚さだけ亜鉛めっきを施すことが好ましい。
【0034】次に、本発明Al合金材に適用するAl合金を
説明する。本発明Al合金材には、自動車、船舶などの輸
送機材や構造材あるいは部品用などの、具体的な用途毎
の特性を満足するために、AA乃至JIS 3000系、5000系、
6000系、7000系等から選択されるAl合金が適宜使用され
る。
【0035】但し、この中でも、特に自動車のパネル材
やフレーム材として、基本的に、耐力が120N/mm2以上で
プレス成形性や曲げ加工性に優れることや、成形後の塗
装焼付後に150N/mm2以上、好ましくは200N/mm2以上の耐
力となる人工時効硬化性、あるいは、合金元素量が少な
く、スクラップが元の合金用の溶解原料として使用でき
るリサイクル性などの特性に優れていることが必要であ
る。このためには、Al合金の中でもAl-Mg-Si系の6000系
Al合金が最も好ましいが、Al-Mg 系の5000系Al合金を用
いても良い。
【0036】以下、Al-Mg-Si系の6000系Al合金におけ
る、好ましい化学成分組成について説明する。前記自動
車のパネル材やフレーム材としての要求諸特性を満足す
るためには、基本的にSi:0.2〜1.8%(mass%、以下同じ)
、Mg:0.2〜1.6%を含有し、その他、Zn:0.005〜1.0%、C
u:0.005〜1.5%、Ti:0.001〜0.1%、B:1.〜300ppmなどを
必要により選択的に含むAl合金とすることが好ましい。
しかし、6000系Al合金の各成分規格通りにならずとも、
前記基本的な特性を有してさえいれば、更なる特性の向
上や他の特性を付加するための、適宜成分組成の変更は
許容される。この点、上記元素の成分範囲の変更や、よ
り具体的な用途および要求特性に応じて、Fe、Ni、V 、
Mn、Cr、Zr、Sc、Agなどの他の元素を適宜含むことは許
容される。
【0037】(Al合金材の製造方法)本発明におけるAl合
金材自体は常法により製造が可能である。例えば、6000
系Al合金成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯
を、例えば、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造
法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。次
いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間
圧延および冷間圧延 (必要により中間焼鈍) 、または押
出、或いは鍛造などの塑性加工方法により、板材、型
材、線棒材、鍛造材など、所望のAl合金材の形状に塑性
加工される。そして、塑性加工された圧延材あるいは押
出材は、圧延あるいは押出や鍛造ままか、必要によりT6
処理 (溶体化処理後焼入れ) 或いは時効処理、過時効処
理などの調質処理が行われ、前記した所望の機械的性質
とされる。
【0038】(水酸基量の制御)なお、Al合金材表面のAl
酸化皮膜の膜厚とともに、Al酸化皮膜中の水酸基の量
は、Al合金材が高温下で、水または水蒸気に晒される時
間が長いほど、多くなる傾向にある。したがって、Al合
金材表面のAl酸化皮膜の膜厚とAl酸化皮膜中の水酸基の
量を制御するために、Al合金材が高温下に晒される、特
に前記熱間圧延や押出加工、或いは熱間鍛造などの製造
工程では、熱間加工後に放冷するのではな水冷等の強制
冷却を行って急冷することが好ましい。
【0039】放冷のように、Al合金材が高温下、大気中
の水分または水蒸気に晒される時間が長いと、Al酸化皮
膜の膜厚とともに、Al酸化皮膜中の水酸基の量は多くな
る。これに対し、乾燥気体( 空気等) による空冷、或い
は空冷よりも、更に水やミスト (水或いは気水混合) に
よるシャワーやスプレー等の水冷、或いは同じ水冷でも
更に水量を多くした水冷により急冷すると、Al合金材が
高温下に晒される時間が、より短縮されて好ましい。ま
た、この水冷や水量の増加は、Al合金材の耐力などの強
度を向上させ、Mg2 Siなどの析出物の粒界への析出を抑
制して成形性や機械的特性を向上させる点からも好まし
い。また、前記中間焼鈍や溶体化および焼入れ処理など
の熱処理工程も同様であり、熱処理後に、前記熱間加工
と同様の空冷、より好ましくは、水量の多い水冷を行っ
て急冷することが好ましい。
【0040】但し、前記押出加工後に水冷する場合、高
温での水蒸気雰囲気となり、この雰囲気下で生成する酸
化皮膜には、水酸化AlやAlの水和酸化物が生成し易くな
るという問題がある。この点、特に熱間押出において
は、Al酸化皮膜中の水酸基の制御の点からは、空冷する
ことが好ましい。また、空冷するに際しても、強制冷却
用の空気や気体、あるいはその後の冷却乃至保管におけ
る雰囲気の制御をすることが好ましい。単に空冷するだ
けでは、形材が冷却されるまでに、一定の時間必要であ
り、この冷却過程での雰囲気中に、水蒸気や水分などが
多量に存在する場合には、やはり、生成する酸化皮膜に
は、水酸化Alが生成し易く、本発明で規定する前記水酸
基の規定を上限に外れる可能性が多くなる。
【0041】この点は、調質処理(T3 〜T10)でも同様で
あって、このような調質処理の場合には、Al合金形材の
機械的な特性を制御するとともに、Al酸化皮膜の膜厚が
過度に厚くならないように、また、生成する酸化皮膜中
の水酸基が増加しないように、雰囲気を制御することが
好ましい。
【0042】また、これらのAl酸化皮膜の膜厚乃至皮膜
中の水酸基の制御を行ったAl合金材であっても、工程都
合上長期間保管したものなど、Al合金材表面のAl酸化皮
膜の膜厚乃至Al酸化皮膜中の水酸基の量が増加した可能
性のあるものについては、アルカリ或いは酸等によりエ
ッチングを行い、一旦水酸基の量が増加したAl酸化皮膜
を除去することが好ましい。しかし、アルカリエッチン
グの場合等、エッチングの条件によっては、却って、水
酸基の量が増加したAl酸化皮膜が残留乃至生成する可能
性があるので、水酸基の量が増加しないよう、酸でスマ
ットの除去処理を行う等エッチング条件を選択する。
【0043】更に、製造後のAl合金材を保管する際の、
Al酸化皮膜中の水酸基の量の増加を抑制するために、Al
合金材表面に防錆油を塗布する乃至前記亜鉛めっきを施
すことも有効である。以上のAl合金材製造上の対策を行
うことにより、このAl合金材を使用する側におけるAl酸
化皮膜の膜厚乃至皮膜中の水酸基の量の増加を抑制した
長期の保管が可能になる。
【0044】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示
す組成のAl合金の鋳塊をDC鋳造法により溶製後、470 ℃
×8 時間の範囲で均質化熱処理を施し、厚さ2.5mm まで
熱間圧延した。次に厚さ1.0mm まで冷間圧延してコイル
化し、連続焼鈍炉を用いて急速加熱して560 ℃で溶体化
処理した後水冷による急冷を行ってAl板を作成した。そ
して、Al酸化皮膜の厚さを溶体化処理時間を変えること
により制御するとともに、Al酸化皮膜中の水酸基量を、
溶体化処理後の冷却速度 (冷却水量大と小)を変えるこ
とにより制御した。
【0045】また、表1 に示す組成のAl合金の鋳塊をDC
鋳造法により溶製後、470 ℃×8 時間の範囲で均質化熱
処理を施した後、熱間押出により、厚さ2.0mm の矩形中
空形材を作成し、その後硝石炉を用いて560 ℃で1 時間
溶体化処理した後急冷を行った。そして、Al酸化皮膜の
厚さとAl酸化皮膜中の水酸基量を、押出直後のプラテン
内での急冷条件 (空冷: 冷却空気の吹きつけ、水冷: ス
プレーによる冷却水噴射) を変えることにより制御し
た。
【0046】更に、板材の溶体化処理後の水冷材、形材
の押出後の空冷材について、大気雰囲気で6 カ月放置
し、Al酸化皮膜の厚さとAl酸化皮膜中の水酸基量を増加
させたもの (表2 の備考欄に放置と表示) も用意した。
また、板材について、溶体化および焼入れ処理後に、50
℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液と80℃の10wt% 硫酸水
溶液との2 段階の洗浄を行ったものも用意した。
【0047】そして、これらAl板材と矩形中空形材より
供試材を採取し、供試材表面の断面について、X 線光電
子分光法により、供試材表面のAl酸化皮膜の厚さを測定
した。また、Al酸化皮膜中の水酸基の量を、酸化皮膜を
入射角75度の平行偏光使用によるFTIR (フーリエ変換式
赤外分光光度計) 分析し、水酸基のスペクトルを吸光度
表示した際の、3700カイザー(cm -1) から2700カイザー
までをベースラインとした時の、3500カイザーの波数部
分に生じるスペクトルピーク高さを測定することにより
測定した。これらの結果を表2 に示す。
【0048】因みに、表2 の発明例の内、溶体化処理後
に水量を大として水冷で焼入れ処理したAl板および前記
押出後直ちに水量を大として水冷した矩形中空形材は、
いずれも、後述する塗装焼付後に200N/mm2以上の耐力を
有していた。
【0049】次に、これら供試材をそのまま( 発明例N
o.2のみはジンケート処理により亜鉛めっきを1g/m2
面に付着させ、1 ケ月放置後) 、リン酸チタンのコロイ
ド分散液による処理を行い、次いでフッ素を50ppm の低
濃度含むリン酸亜鉛浴に浸漬してリン酸亜鉛処理を行
い、各々の供試材へのリン酸亜鉛の被覆率と皮膜重量を
測定した。リン酸亜鉛の被覆率の測定は、1000倍のSEM
観察により、各々の供試材表面の単位面積 (0.04mm2)当
たりの、リン酸亜鉛が被覆された供試材表面面積率を求
めて行った。また、リン酸亜鉛の皮膜重量は、リン酸亜
鉛を付着した供試材重量と、この供試材を室温の30% 硝
酸水溶液に1 分間浸漬してリン酸亜鉛を除去した後の供
試材重量との差より測定した。
【0050】そして、更にこのリン酸亜鉛皮膜を設けた
供試材に、カチオン電着塗装およびスプレー塗装により
2 コート2 ベークの塗装皮膜を設け、これら塗膜を設け
た供試材に対し、耐糸錆性評価試験を行った。これらの
結果を表3 に示す。なお、2コート2 ベークの塗装皮膜
は、中塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステルメラ
ミン系塗装皮膜を設けて、140 ℃×20分の焼き付けを行
い、更に上塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステル
メラミン系塗装皮膜を設けて、180 ℃×20分の焼き付け
を行った。
【0051】耐糸錆性評価試験は、塗装試験片に一片が
7cm のクロスカットを施した後、35℃の3%HCl 水溶液に
2 分間浸漬した後、40℃、85%RH の恒温恒湿の雰囲気に
1500時間放置し、その後発生した糸錆の最大長さL(クロ
スカットより垂直方向の距離) を測定した。耐糸錆性評
価は、表1 の比較例No.12 のAl合金塗装試験片に発生し
た糸錆の最大長さL を1 とし、これとの比較で、◎:L≦
0.1 、○:0.1<L ≦0.5 、△:0.5<L <1 、×:L≧1 と
評価した。なお、この耐糸錆性評価試験は、例えば5%Na
Cl溶液などに浸漬して同様の条件で試験を行うような他
の耐糸錆性評価試験に比して、HCl 水溶液に浸漬してい
るなどの点で、より厳しい試験条件となっている。
【0052】表2 、3 から明らかな通り、Al酸化皮膜の
厚さが100 Å以下で、Al酸化皮膜中の水酸基が少ない
(水酸基のスペクトルピーク高さが0.007 以下) 発明例N
o.1〜11は、Al酸化皮膜中の水酸基が多い (水酸基のス
ペクトルピーク高さが0.007 を越える) 比較例No.12 〜
15に比して、リン酸亜鉛浴中のフッ素 (フリーフッ素)
量が50ppm と低濃度の場合に、リン酸亜鉛の皮膜重量は
変わらないものの、リン酸亜鉛の被覆率が高くなってい
る。そして、耐糸さび性も向上している。これは発明例
のリン酸亜鉛の方がAl合金材表面全体を均一に被覆した
結果、耐糸さび性の向上に寄与しているものと推考され
る。
【0053】また、リン酸亜鉛浴中のフッ素 (フリーフ
ッ素) 量が200ppmと高い場合でも、Al酸化皮膜の厚さが
100 Å以下で、Al酸化皮膜中の水酸基が少ない発明例N
o.1〜11は、Al酸化皮膜中の水酸基が多い比較例No.12
〜15に比して、リン酸亜鉛の皮膜重量は変わらないもの
の、リン酸亜鉛の被覆率が高くなっている。そして、耐
糸さび性も向上している。これらの結果から、Al酸化皮
膜中の水酸基が多い比較例では、リン酸亜鉛がAl合金材
表面を均一に被覆できないこと、およびAl酸化皮膜中の
水酸基を規制することが、リン酸亜鉛のAl合金材表面の
均一被覆に寄与し、このリン酸亜鉛の均一被覆が、耐糸
さび性の向上に大きく寄与していることが裏付けられ
る。
【0054】なお、発明例の内でも、溶体化および焼入
れ処理時の水冷における水量が少なく、かつ溶体化処理
後の洗浄の影響で、発明例No.4、5(板材) は、Al酸化皮
膜中の水酸基が比較的多くなっている。また、発明例N
o.7は溶体化および焼入れ処理時の水冷における水量が
多いにも拘わらず、後で放置されたためにAl酸化皮膜中
の水酸基が比較的多くなっている。更に、押出形材の場
合には、発明例No.11 の空冷材よりも、発明例No.10 の
水冷材の方がAl酸化皮膜中の水酸基が比較的多くなって
いる。
【0055】一方、比較例No.11 〜14は、板材は、溶体
化および焼入れ処理時の水冷における水量が少ないか、
放置された影響によって、また、形材は、押出後の水冷
の影響によってか、押出後放冷したため、Al酸化皮膜の
厚さが100 Åを越えるか、水酸基が多くなっている。こ
の結果、発明例に比して、リン酸亜鉛の皮膜重量の割り
には、リン酸亜鉛の被覆率が少ない。そして、かつリン
酸亜鉛がAl合金材表面に均一に付着しておらず、リン酸
亜鉛で被覆されていないAl合金材表面が多くなってい
る。したがって、耐糸錆性が著しく劣っている。
【0056】これらの結果から、本発明における前記Al
酸化皮膜の厚さと水酸基の規定の臨界的意義が裏付けら
れる。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、Al合金材を長期保管し
ても、塗装後の耐糸錆性などの耐食性や外観性を保証す
るためのリン酸塩処理などの化成処理性に優れたAl合金
材を提供することができる。したがって、Al合金材の自
動車、車両、船舶などの輸送機材用への用途の拡大を図
ることができる点で、多大な工業的な価値を有するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al酸化物皮膜をFTIR分析した際のスペクトルを
示す説明図である。
【図2】各物質の表面電位とPHとの関係を示す説明図で
ある。
【図3】リン酸チタンのAl合金材表面への付着状況を示
す説明図である。
【符号の説明】
A1、A2: Al酸化物中の水酸基を示すスペクトル、 B1、B2: 酸化Alを示すスペクトル、 C:スペクトルのベースライン、 h1、h2: スペクトルのベースラインからスペクトルピー
クまでの高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 (72)発明者 柳澤 佳寿美 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA09 AA21 AA22 BA03 BA04 BA08 BA11 BB07 BB08 CA16 CA23 CA28 EA11 EA17

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化成処理後に塗装されて用いられるアル
    ミニウム合金材であって、アルミニウム合金材表面に、
    厚さが100 Å (オングストローム) 以下のアルミニウム
    の酸化皮膜を有するとともに、該酸化皮膜を入射角75度
    の平行偏光使用によるFTIR (フーリエ変換式赤外分光光
    度計) 分析し、水酸基のスペクトルを吸光度表示した際
    の、3700カイザー(cm -1) から2700カイザーまでをベー
    スラインとした時の、3500カイザーの波数部分に生じる
    スペクトルピーク高さが0.007以下となるように、酸化
    皮膜中の水酸基を抑制することを特徴とする化成処理性
    に優れたアルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金材が、Si:0.2〜1.
    8%(mass%、以下同じ) 、Mg:0.2〜1.6%を含むAl-Mg-Si系
    アルミニウム合金材である請求項1に記載の化成処理性
    に優れたアルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金材が、熱間加工後
    および/ または溶体化処理後に水冷されたものである請
    求項1または2に記載の化成処理性に優れたアルミニウ
    ム合金材。
  4. 【請求項4】 前記化成処理がリン酸塩処理である請求
    項1乃至3の何れか1項に記載の化成処理性に優れたア
    ルミニウム合金材。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム合金材が、リン酸塩処
    理の前処理として、リン酸チタンのコロイド分散液によ
    り処理されるものである請求項4に記載の化成処理性に
    優れたアルミニウム合金形材。
  6. 【請求項6】 前記リン酸塩の浴中のフリーフッ素イオ
    ン量が100ppm以下である請求項4または5に記載の化成
    処理性に優れたアルミニウム合金形材。
  7. 【請求項7】 前記アルミニウム合金材が、鋼材ととも
    に同一のラインでリン酸塩処理された後に塗装される請
    求項4乃至6の何れか1項に記載の化成処理性に優れた
    アルミニウム合金材。
  8. 【請求項8】 前記アルミニウム合金材が板材である請
    求項1乃至6の何れか1項に記載の化成処理性に優れた
    アルミニウム合金材。
  9. 【請求項9】 前記アルミニウム合金材が押出材である
    請求項1乃至7の何れか1項に記載の化成処理性に優れ
    たアルミニウム合金材。
  10. 【請求項10】 前記Al合金材の塗装焼きつけ硬化処理
    後の耐力が150N/mm2以上である請求項1乃至9の何れか
    1項に記載の化成処理性に優れたアルミニウム合金材。
  11. 【請求項11】 前記アルミニウム合金材が自動車材用
    である請求項1乃至10の何れか1項に記載の化成処理
    性に優れたアルミニウム合金材。
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