JPWO2019124440A1 - 化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具 - Google Patents

化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具 Download PDF

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Abstract

各種の菌が穂筆内の塗布液の浸透していない箇所で繁殖せず衛生的で、抗菌剤の消失が少ない化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具を提供する。この化粧料塗布具用穂筆は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が化粧料容器の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、該穂筆の内部に化粧料塗布具内部の液体化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の該フィラメントの表面に形成させる。

Description

本発明は、抗菌性を持つ毛材を用いた化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びその化粧塗布具用穂筆を用いた化粧料塗布具に関する。更に詳しくは、樹脂製フィラメント又は獣毛等の毛材の材質等に関わらず、塗布性に優れ、かつ化粧料の防腐性に優れる化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びその化粧塗布具用穂筆を用いた化粧料塗布具に関する。
従来、化粧料塗布具用の穂筆の毛材には、例えば、リス毛、馬毛、山羊毛等の獣毛が使用されており、これらの獣毛は、肌当たりが良い、即ち塗布感が良く、また、液体の含み性及び転着性(吐出能)が良好であるといわれている。
しかしながら、獣毛は、上記の有利な点があるが天然資源であるために、その供給量に限界がある等の欠点があり、近年では獣毛の代替品として、合成繊維から作られた化粧用ブラシ毛材が提案されている。更に、これら穂筆に防菌・抗菌対策を施している先行技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、獣毛に抗菌あるいは抗腐敗剤を表面にコーティング又は塗布した穂筆が開示されている。習字又は描画の後に使用者が洗筆したか否かに関わらず穂筆に水分が含まれたままキャップ等で密閉されずに放置されることになるため、そこでバクテリア等の菌が獣毛のタンパク質や墨汁の膠等を餌に繁殖し、穂筆が痩せたり脱毛したりすることを阻止しようとするものである。この特許文献1の開示は、開放されたところに保管される穂筆の劣化を防止しようとするものであり、穂筆内に化粧料及び使用者の唾液や涙等を含んだまま保管する化粧用穂筆内の防腐とは異なるものである。
特許文献2には、上記のように水分が含まれたまま、今度はキャップ等で密閉された場合にも、水の蒸発が緩やかで乾燥までに相当な時間を要することになるためカビの発生などの不衛生な問題が生じる問題が挙げられており、これを防止するためにキャップに通気孔を設け、更には、先軸にも通気孔を設け、塗布部の乾燥を促進させることが開示されている。このような処置では、塗布部の乾燥を完了させることは難しく、特に先軸に覆われた部分は通気孔が小さいために水の蒸発は非常に緩やかで、周囲の条件によっては蒸発の完了までに菌類の発生が有り得る。
特許文献3には、キャップ内部にペン体への装着時にペン先に接触するフェルト体を設け、このフェルト体に抗菌剤を含ませた防菌・防カビ効果に優れる筆記具用キャップが開示されている。この構成であれば、そもそもペン先はキャップのし忘れ等以外では開放されて放置されることはないものであるが、使用時に空気中を浮遊する菌類の胞子等が付着してもフェルト体に含ませた抗菌剤によって菌類の繁殖を防ぐことが可能である。更には、外気温の上下によりインク溶媒(水)が蒸発と凝結を繰り返し、キャップ内に結露水が溜まった場合にもフェルト体に抗菌剤が含まれているためにバクテリア等の菌の繁殖が防がれる可能性が高い。
しかしながら、この構成は、ペン先がある程度の硬さを有しフェルト体に押し込める場合においてのみ有効であるため、所謂穂筆のような柔弱なペン先には不向きである。ここではインクについての防腐には効果を示すものであるが、使用開始後に穂筆内に化粧料及び使用者の唾液や涙等を含んだまま保管する化粧用穂筆内の防腐とは異なるものである。
特許文献4には、ポリトリメチレンテレフタレート等の毛材に銀を含む抗菌性の無機粒子を混練して製造した抗菌性化粧用ブラシが開示されている。ここで開示されるブラシは、樹脂製の毛材に抗菌性の無機粒子を混練して製造しているためにフィラメントが容易に切断してしまう恐れがあり、抗菌性無機粒子の混練量を多くすることができないなどの製造上不都合の多いものである。また抗菌性無機粒子を混練したフィラメントは、抗菌性無機粒子を混練しないフィラメントと比較して、フィラメントの特性である引張強さや伸長弾性率などの低下が見られ、所望のブラシ特性が発現し難い場合がある。さらに使用開始後ブラシ内で繁殖する可能性のある多様な菌類全てに対して効果を発揮させられない場合がある。
特許文献5には、遠赤外線を放射するセラミックスを、コーティング、練り込み又は含浸させた糸等で穂筆の尾部を縛って穂筆を形成させ、この糸等からの遠赤外線の照射によって殺菌処理を行う穂筆が開示されている。この方法では、遠赤外線を吸収しやすい水又はエタノール等の物質が必要であるので非水系の溶媒を使用する際には効果が薄く、少数の菌には有効でも元々多数の菌を含む唾液等に対しては不向きな方法といえる。
実開平4−7181号公報(全文明細書、考案が解決しようとする課題、作用など) 特開2016−87289号公報(特許請求の範囲、発明を実施するための形態など) 特開平8−230385号公報(特許請求の範囲など) 特開2014−87637号公報(要約文、特許請求の範囲など) 実開平4−60482号公報(全文明細書、実施例、第2図など)
そこで、本発明は、上記先行技術の欠点に鑑み、これを解消しようとするものであり、化粧料塗布具の塗布部として使用される穂筆において、化粧料の塗布性に優れ、かつ穂筆内の防腐性、特に使用中の防菌性に優れる化粧塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、少なくとも液体化粧料が浸透し難い穂筆の後部のフィラメントを、所定濃度の抗菌剤液でコートし抗菌剤の皮膜を形成することなどで、穂筆に浸透する化粧料に長期に亘り菌類の繁殖が起こらないことを見出した。また、このような処置により抗菌剤皮膜の脱落・欠損が起こり難く最後まで滑らかな塗布が可能であることを知見した。更には、使用の結果、唾液等の浸透が液体化粧料の浸透し難い穂筆の後部での菌類の繁殖が起こらないことを見出し、上記目的の化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具を完成したのである。
即ち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1) 本発明の化粧料塗布具用穂筆は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したことを特徴とする。
前記穂筆用フィラメント内部に抗菌剤が含まれていることが好ましい。
また、本発明の化粧料塗布具用穂筆は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませることを特徴とする。
前記抗菌剤が常温で固体であることが好ましい。
(2) 本発明の化粧料塗布具は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆を備えた化粧料塗布具であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したことを特徴とする。
また、本発明の化粧料塗布具は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆を備えた化粧料塗布具であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませることを特徴とする。
前記化粧料塗布具に収容される液体化粧料の粘度は、コーンプレート型粘度計のずり速度3.83s−1による25℃における測定において粘度50mPa・s以上であることが好ましい。
前記化粧料塗布具の塗布部の前記穂筆が、キャップによって覆われていることが好ましい。
前記キャップは、キャップ内部とキャップ外部とを連通する通気孔を備えることが好ましい。
前記穂筆後部の外周が、前記化粧料塗布具の先端部に覆われることが好ましい。
(3)本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法は、獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
少なくとも、抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る溶剤に溶解させた溶液に獣毛の根元方向の少なくとも後端、又は、樹脂製フィラメントの少なくとも後端を浸漬させる工程と、
その後に乾燥して該溶剤の除去を行う工程と、
該溶剤の除去を行った獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法は、獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
少なくとも、該獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させ穂筆を形成させる工程と、
抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る溶剤に溶解させた溶液に前記穂筆の少なくとも後端を浸漬させる工程と、
その後に乾燥して有機溶剤の除去を行う工程と、
を備えたことを特徴とする。
(4) 更に、本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法は、樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程と、
その後に該樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
前記抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程が、抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントと、それ以外の樹脂製フィラメントと、を長手方向で融着させ、該融着した樹脂製フィラメントを融着部を概ね中央にして切断する工程であることが好ましい。
前記抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に含ませる工程が、
抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントを先端方向半分を切削により抗菌剤を除く工程であることが好ましい。
上記(3)、(4)の本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法において、樹脂製フィラメントは、少なくとも先端部はテーパ状に形成されていることが好ましい。
また、上記(3)、(4)の本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法において、抗菌剤が常温で固体であることが好ましい。
本発明によれば、化粧料塗布具用穂筆は後部のフィラメント表面に抗菌剤の被覆層を有しているので、抗菌剤が少しずつ穂筆に入った雑菌等による汚染部に作用し雑菌の繁殖を抑制することで優れた抗菌効果、防臭効果が得られる。
また、後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませなる化粧料塗布具用穂筆においても、抗菌剤が少しずつ穂筆に入った雑菌等による汚染部に作用し雑菌の繁殖を抑制することで優れた抗菌効果、防臭効果が得られる。
更に、用いる抗菌剤が、特に常温で固体であれば、防腐あるいは抗菌効果が長続きし、更に優れた抗菌効果、防臭効果が得られる化粧料塗布具用穂筆が得られる。
本発明の化粧料塗布具は、上記効果を有する化粧料塗布具用穂筆を備えたものであるので、抗菌剤が少しずつ穂筆に入った雑菌等による汚染部に作用し雑菌の繁殖を抑制し、少しずつ塗布具を使用しても衛生的であり、抗菌剤の脱落もないため、毎日少しずつ使い続ける化粧料塗布具に好適である。
本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法では、上記効果を有する化粧料塗布具用穂筆を効率よく、容易に製造することができる利点を有する。
本発明の化粧料塗布具用穂筆の実施形態の一例を示すものであり、高粘度の液体化粧料を、穂筆内の吐出口より、穂筆先端方向に向かって吐出させた実施形態の模式図である。ここでは、穂筆の周面は化粧料塗布具の軸先端部(いわゆる先軸部)では覆われていない状態を示す。 図1と同様に、高粘度の液体化粧料を、穂筆内の吐出口より、穂筆先端方向に向かって吐出させた実施形態の模式図である。ここでは、穂筆の周面は化粧料塗布具の軸先端部(いわゆる先軸部)で覆われている状態を示す。 本発明の化粧料塗布具の実施形態の一例を示す縦断面図である。
以下に、本発明の化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具の各実施形態を詳述する。
(化粧料塗布具用穂筆)
本発明の化粧料塗布具用穂筆は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の化粧料塗布具用穂筆は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませることを特徴とするものである。
(フィラメント)
本発明に用いることができる穂筆用フィラメントとしては、例えば、樹脂製フィラメント、獣毛繊維などを用いることができ、これらは、それぞれ単独で、または、混合(混毛)して用いてもよいものである。
本発明の化粧料塗布具用穂筆において、例えば、樹脂製フィラメントなどを使用する場合、獣毛繊維(例えば、リス毛)のように、直径(φ)45〜150μm、特に45〜80μm程度の太さとすることによって、リス毛の化粧用毛材と同様に、使用感に大変優れたものとなる。従来、舞台用の化粧に用いられる板ブラシに使用されるフィラメントの太さは、腰の強さが必要なために約150μmと太いものが使われている。フィラメントの太さとしては、この使用感と腰の強さとのバランスを見ながら適宜選択を行っていくこととなる。
用いる穂筆用フィラメント(獣毛繊維、樹脂製フィラメント)の直径(φ)は、45μm〜150μmのものが使用される。また、樹脂製フィラメントは、先端部方向がテーパ状に形成されないものでよいが、好ましくは、使用感、塗布感などの点からテーパ状に形成された先細部を備えたものが好ましい。
(獣毛繊維)
前記穂筆用フィラメントとして獣毛繊維を用いる場合には、狸、羊、馬、いたち、猫、兎等の獣毛繊維を単独又は二種以上の混毛を行い、尾端に熱を加えながら糸で縛り、穂筆を製造することができる。言うまでもなく、これら獣毛と合成樹脂製繊維との混毛を行うことも可能である。
(合成樹脂製繊維)
穂筆に用いる樹脂製フィラメントとしては、構成する合成樹脂製繊維の素材として、例えば、6,6−ナイロン,6−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を用いることができる。
この合成樹脂製繊維としては、上記のとおり直径(φ)が45μm〜150μmのものが適度な弾力が得られると共に、曲がりや折れなどの抑制効果も有しており、ブラシとして好適に利用することができる。より好ましい直径(φ)としては、製造上の取り扱い易さ、体感の弾性等の理由から70μm〜150μmがより好ましい。
なお、前記直径(φ)は、円柱部(後述するテーパ面が形成されていない部分)の径である。また、前記合成樹脂製繊維は、円柱状以外に、その断面形状が楕円形状、星型形状、まゆ型形状、十字型形状、多角形型形状のいずれであっても良い。
また、用いる穂筆用フィラメント(獣毛繊維、樹脂製フィラメントを構成する合成樹脂製繊維)の数(本数)は、化粧料塗布具の用途により適宜設定することができるが、化粧料塗布具の用途としてリップ等の比較的中位の塗布面積を要求される場合は、通常植設する本数として500〜800本のものを好適に利用することができる。また、アイライナー等の比較的細い描線が求められる場合は、植設される繊維束の数は、通常200〜400本植設されるものを好適に利用することができる。
更には、合成樹脂製繊維を用いる場合には、ブラシ部を構成する合成樹脂製繊維としては、先端に向かうにしたがって径が徐々に小さく形成され、先端部に先細りのテーパ面が形成されたテーパ繊維(特定合成樹脂製繊維)を含むこともできる。このテーパ繊維のテーパ面長さは、通常、合成樹脂製繊維の先端から0〜13mmの範囲に形成されている。
また、用いる穂筆用フィラメント(獣毛繊維、樹脂製フィラメントを構成する合成樹脂製繊維)の長さ(全長)は、液体化粧料種、化粧料塗布具の用途等により変動するものであり、13〜60mm程度である。
(抗菌剤)
用いる抗菌剤は、液体化粧料に使用可能、穂筆に用いるフィラメントに塗布可能、かつ、その塗膜あるいは被覆層(抗菌剤層)を維持できるもの、すなわち、抗菌剤の塗膜(抗菌剤層)などをフィラメント表面に形成できるもの、更に、フィラメント表面への形成と共に、穂筆に用いるフィラメント内部に抗菌剤を含めることができるものであれば、制限なく使用できる。なお、本発明では、抗菌剤には防腐剤を含むものである。
具体的には、安息香酸およびその塩類(アルカリ金属塩、アミン塩、以下同様)、サリチル酸およびその塩類、ソルビン酸およびその塩類、デヒドロ酢酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステルおよびそのナトリウム塩、フェノキシエタノール、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルフェネシン、クロルヘキシジン及びその塩、臭化アルキルイソキノリウム、チモール、ヒノキチオール、ピリチオン亜鉛、ポリアミノプロピルビグナイド、メチルイソチアゾリノン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、感光素、イソプロピルメチルフェノール、及び、エチルヘキシルグリセリン、ペンタンジオール、ヘキサンジオールオクタンジオールなどのアルカンジオール、ベンゾイミダゾール、アルベンダゾール、プリンなどのベンゾイミダゾール系抗菌剤、銀含有ガラス、酸化亜鉛含有ガラス、硫化亜鉛、酸化チタン、ジルコニウム化合物、などの少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
好ましくは、液体化粧料へ又は唾液等への溶解度が低いもの、かつ、常温(25℃、以下同様)で固体のものから選ばれるものが望ましい。
液体化粧料へ又は唾液等への溶解度が低ければ、対象に僅かずつ溶け出して本発明の効果を長期間維持することができる。また、常温で固体であれば長期に亘って塗膜あるいは抗菌層等を維持することができる。驚くべきことに、常温で固体の抗菌剤は、用いるフィラメントへの付着性に優れており、かつ、フィラメントを屈曲させても付着したまま脱落しない密着性にも優れていた。このような抗菌剤として、特に、パラオキシ安息香酸エステルおよびそのナトリウム塩、及び、クロルヘキシジンを挙げることができる。
これらの抗菌剤は、有機溶剤、水(精製水、蒸溜水、イオン交換水、純水等)などの溶剤に希釈させて、この希釈液に上記の所定箇所となるフィラメントあるいは穂筆を浸漬(浸漬処理)させ、及び/又は、噴霧による塗布、電着、グラフト化、プライマー処理化などによる塗布処理させることにより、抗菌剤のコート(被覆)を行うことができる。
用いることができる有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール等の揮発性を有する低級アルコール、アセトンなどのケトン系、ノルマルヘキサンなどアルカン系、酢酸ブチル、酢酸エチルなどの1種または2種以上を用いることができる。好ましくは、安全性、乾燥性、匂い等の点からエタノールが望ましい。
この抗菌剤の濃度が高ければ高いほどフィラメント表面に隙間なく厚みを持ってコートができることになるが、常温で固体の抗菌剤、例えば、パラベン類の場合、希釈液の濃度が10質量%以上になると、コートした抗菌剤が僅かな力によって脱落してしまい、期待する抗菌効果が得られないことが多くなる。むしろ5質量%程度の濃度の方が結果的に良好な効能を発揮する。言うまでもないが、この濃度が低すぎ、例えば、0.01質量%以下であるとフィラメント表面のコートは不十分なものとなり、こちらも期待する抗菌効果が得られないこととなる。前記の抗菌剤の粉末を使用する場合、希釈させる代わりに分散させ、この分散液に上記のフィラメントあるいは穂筆を浸漬させ、抗菌剤のコートを行うことができる。
上記溶剤による希釈液(抗菌剤)の濃度は、後述する所定の被覆量などになればよく、0.1〜40質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜10質量%、より好ましくは、0.1〜7質量%、特に好ましくは、0.5〜5質量%が望ましい。
また、上記分散液は、前記抗菌剤の粉末を分散維持するための分散剤と抗菌剤のコートを維持するためのバインダーが含まれることにより効果の持続が可能となる。
用いることができる分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸系分散剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤の少なくとも1種が挙げられ、また、用いることができるバインダーとしては、例えば、アクリル系エマルション、アクリル酸エステル共重合、ウレタンの少なくとも1種が挙げられる。分散剤とバインダーを兼用する添加物であれば、その添加剤のみの添加でもよい。分散液の抗菌剤の濃度は上記の希釈液の濃度に準じるものである。
一方、エッチング処理、紫外線照射などにより繊維表面を改質することで、バインダーを使用しなくても、抗菌剤のコートを持続することが可能となる。
また、本発明の化粧料塗布具用穂筆では、上記抗菌剤の塗膜や被膜(抗菌剤層)を所定箇所となる後部のフィラメント表面に形成と共に、穂筆に用いるフィラメント内部に抗菌剤を含める形態としては、例えば、獣毛繊維を用いる場合は、抗菌剤含有液を高温高圧環境下で含浸させる方法などで行うことができ、また、樹脂製フィラメントを構成する合成樹脂製繊維を用いる場合は、合成樹脂繊維の作製時に、樹脂材料と抗菌剤を混練して、樹脂製フィラメント内(全体)に抗菌剤を含ませる形態や、樹脂材料と抗菌剤を混練して、樹脂製フィラメント内の後部のみに抗菌剤を含ませる形態、繊維断面を芯鞘構造にし、その鞘部分にのみ樹脂材料と抗菌剤を混練した材料を用い繊維の表面部のみ抗菌剤を含ませる形態、繊維断面を複数に分割(サイドバイサイド断面)にしその一部を樹脂材料と抗菌剤を混練した材料を用い繊維表面の一部分のみ抗菌剤を含ませる形態などが挙げられる。
本発明では、上述の如く、抗菌剤の被覆を少なくとも穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成するもの、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませるものなどであるので、上記浸漬処理、樹脂への混練処理が好ましい。
ここで、本発明において、上記浸漬処理による被膜等、また、更に浸漬処理及びフィラメント内部に抗菌剤を含ませる場合において、後部の穂筆用フィラメントの表面などに形成する全体の抗菌剤量は、液体化粧料種、化粧料塗布具の大きさ、構造等により変動するが、穂筆用フィラメントの全重量に対して、好ましくは、0.1〜10質量%程度の量で、十分に本発明の効果を発揮せしめることができ、更に好ましくは、0.5〜10質量%、より好ましくは、0.5〜6質量%、特に、0.5〜5質量%である。
本発明の化粧料塗布具用穂筆において、例えば、図1のように、液体化粧料として、高粘度の液体リップグロスの化粧料塗布具を使用した場合には、高粘度の液体リップグロス30が浸透し難い穂筆10の部分、すなわち、穂筆10の後部Xに、唇に付いている唾液等の汚染物が浸透してしまい、そこで菌類が繁殖して悪臭を発生させる恐れがあるが、その部分に抗菌剤がコートされていれば雑菌の繁殖を抑制することで優れた防臭効果が得られる。この場合、液体化粧料である高粘度の液体のリップグロス30を化粧料塗布具から穂筆10内部中央へ吐出口21より吐出させると、高粘度の液体リップグロスは穂筆の先端方向へ、ゆっくり浸透し、穂筆10の後部、即ち、吐出口21よりも後方(X)には浸透し難い。この液体のリップグロス30の浸透し難い部分に唾液等が侵入してしまうと、液体のリップグロス30の処方として通常配合されている防菌剤が効果を発揮し難くなり唾液等の侵入箇所において菌類が繁殖し悪臭を発生させることとなる。
この不具合は、例えば、図2のような、いわゆる先軸部40によって穂筆10後部が覆われている化粧料塗布具において、より顕著である。即ち、先軸部40により覆われている穂筆10後部Xは、唾液等が侵入したまま保湿された状態が保たれ、菌類にとって理想的な繁殖条件が維持されやすいからである。ここに、例えば、先行技術文献で開示した特許文献2にあるような、穂筆10後部が収納される内部と先軸部40表面とを結ぶ連通孔が設けられていたとしても、小さな連通孔では水の蒸発は非常に緩やかなものとなるため、周囲の環境次第では菌類の繁殖条件が維持されやすいものとなる。
このため、図1又は図2のような穂筆の塗布部を持つ化粧料塗布具にあっては、例えば、高粘度の液体化粧料を収容する場合には、穂筆10の後部Xに抗菌対策を行っておく必要性があるものとなる。本発明は、各種抗菌剤を上記穂筆10の後部X(吐出口21よりも後方)に浸漬などによる塗布等しておけば、菌類の繁殖を抑制し異臭の発生を抑えることができるものとなる。
この化粧料塗布具用穂筆において、図面上、穂筆の全長をXとし、X=X(穂筆前部の長さ)+X(穂筆後部の長さ、吐出口21よりも後方の長さ)とするものであり、また、黒色部分が吐出口21より穂筆10の前部(X)内に吐出された液体化粧料(リップグロス)30を示すものであり、矢印が吐出される方向を示すものである。更に、図示符号11は穂筆10を融着などにより収束する顎部である。
なお、X(穂筆後部の長さ、吐出口21よりも後方の長さ)は、化粧料塗布具の用途により、変動するものであり、各種用途(リップグロス、アイライナー等)に好適な範囲が設定でき、1/1.2X〜1/3Xである。
また、上記の塗布すべき抗菌剤を、収容する液体化粧料30の主溶剤に対して難溶性のものにすることで、穂筆10内に吐出された液体化粧料30の防腐に対しても効果があり、特に、抗菌剤が常温で固体であれば、防腐あるいは抗菌効果が長続きして好ましいものとなる。
このように構成される本発明の化粧料塗布具用穂筆は、上述の如く、抗菌剤の被覆を、または、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませたものを少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメント(X)の表面や、樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませたものを形成したものであれば本発明の効果を発揮できるものである。
また、この抗菌剤の被覆をした穂筆用フィラメント(獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメント)より構成される穂筆は、穂筆全体に対して、少なくとも0.5%以上含まれていれば本発明の効果を発揮でき、更に好ましくは、1〜100%、より好ましくは、10〜100%、特に、50〜100%とすることが望ましい。
更に、樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませたものを使用する場合は、穂筆全体に対して、0.5〜100%、更に好ましくは、1〜100%、より好ましくは、10〜100%、特に、50〜100%とすることが望ましい。
(化粧料塗布具用穂筆の製造方法)
本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法としては、例えば、(1)上述の獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、少なくとも、上述の抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る上述の溶剤に溶解させた溶液に獣毛繊維の根元方向の少なくとも後端、及び/又は、樹脂製フィラメントの少なくとも後端を浸漬させる工程と、その後に乾燥して該溶剤の除去を行う工程と、該溶剤の除去を行った獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法、(2)上述の獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、少なくとも、該獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させ穂筆を形成させる工程と、上述の抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る上述の溶剤に溶解させた溶液に前記穂筆の少なくとも後端を浸漬させる工程と、その後に乾燥して有機溶剤の除去を行う工程と、を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法、(3)上述の樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程と、その後に該樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法が挙げられる。
具体的には、獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントの表面に、浸漬又は塗布等の方法によって抗菌剤の有機溶剤などの溶液をコーティングし、乾燥工程(自然乾燥、温風乾燥、恒温槽等、以下同様)によって有機溶剤などを除去した後、他の獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントとともに集束させる、あるいは、コーティング前に獣毛繊維及び/又は樹脂製フィラメントを集束させ穂筆を作製し、この穂筆後部ごと浸漬又は塗布等の方法によって抗菌剤の有機溶剤などの溶液をコーティングし、乾燥工程によって有機溶剤などを除去して、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部(図面上ではX)の穂筆用フィラメントの表面に形成した抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆を製造することができる。
上記製造方法において、樹脂製フィラメントは、上述したテーパ状に形成された先細部を備えたものを用いることが好ましい。
上記製造の際のフィラメントには、あらかじめフィラメント内に抗菌剤を混練したものでも、全く抗菌剤を混練していないものでも良いものである。さらには抗菌剤を混練したフィラメントのみを集束して、更に上述の穂筆の後部X(吐出口21よりも後方)に抗菌剤の被覆を施してもよいものである。
また、上記(3)の製造方法において、前記抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程が、抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントと、それ以外の樹脂製フィラメントと、を長手方向で融着させ、該融着した樹脂製フィラメントを融着部を概ね中央にして切断する工程であることが好ましく、並びに、前記抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に含ませる工程が、抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントを先端方向半分を切削により抗菌剤を除く工程であることが好ましい。
このように製造された化粧料塗布具用穂筆において、抗菌剤を常温で固体のものにより所定箇所にコーティングや混練などされた穂筆を使用に際し、屈曲させると、乾燥し固着している抗菌剤がフィラメントから剥離して脱落してしまうことが予想された。しかし、上記したとおり、所定の被覆量などであれば、このような脱落はほとんど起こらなかった。例えば、高粘度の液体化粧料又は唾液等を、この穂筆に含浸させない場合に穂筆に力をかけ屈曲させても、抗菌剤の脱落はほとんど見られなかった。
このように構成される本発明の化粧料塗布具用穂筆の製造方法では、上記抗菌効果、防臭効果、耐屈曲性を有する化粧料塗布具用穂筆を効率よく、容易に製造することができる。
(化粧料塗布具等)
本発明の化粧料塗布具は、液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆を備えた化粧料塗布具であって、
該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したもの、または、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませなることを特徴とするものである。
本発明の化粧料塗布具に用いる液体化粧料としては、特に限定されず、例えば、美爪料組成物(ネイル液)、アイシャドウ液、アイブロー液、皮膚彩色用化粧料液、液体染毛料、アイライナー液、唇用化粧料液(リップグロス含む)などが挙げられる。また、液体化粧料30の粘度は、液体化粧料種により変動するが、コーンプレート型粘度計のずり速度3.83s−1による25℃における測定において50mPa・s以上であることが望ましい。この粘度が50mPa・s未満であると液体化粧料を穂筆が保持できず、垂れ落ちが起き易くなるからである。更に好ましくは、200〜10000mPa・sである。
本発明の化粧料塗布具の実施形態の一例を、例えば、図3などに基づき具体的に説明する。
図3に示すように、本実施形態の化粧料塗布具Aは、軸筒5の前端開口部50には継ぎ手4が取り付けられており、その継ぎ手4の前端側内径部41には、パイプ(導入孔部に相当)22が圧入され固定されている。このパイプ22の目的は、軸筒5内(タンク6内)の液体化粧料30をパイプ22の内部のパイプ孔23を通してパイプ吐出口21先端に導くことである。パイプ吐出口21先端は穂筆10の内部にあり、液体化粧料30をその穂筆10の必要とする位置に導き、その穂筆10に供給する。そのパイプ22の外径寸法は穂筆10の大きさにより、設定が制限されるがその制限内で、自由に設定することができる。また、軸筒5内の液のタンク6に充填される高粘度の液体化粧料30は、使用勝手などを考慮し設定される。
図3における液押し出し部7は、軸筒5後端に取り付けられた操作体80を軸筒5に対して回転させる。操作体80に対して繰り出し体81は回転方向には拘束されるが、操作体80の前方方向には摺動自由である。また、ネジ軸82は繰り出し体81に対して回転方向には拘束されるが前方には自由に摺動できる。ネジ軸82はネジ体71と螺合しネジ体71は軸筒5に対して固定されており、ネジ軸82に前端にはピストン61が取り付けられている。
図3に示す化粧料塗布具Aでは、上記の通り軸筒5後端の操作体80を回転させピストン61を前方に押し出す。そうするとタンク6内の液体化粧料30が押し出され、パイプ孔23、パイプ22、そしてパイプ吐出口21の順に通過し、穂筆10前部の内部へ吐出される。操作体80等にリミッターを設ける等の処置により穂筆10から液体化粧料が垂れ落ちない程度の量が吐出されるように調製を行うことができる。
液体化粧料の粘度調整によっても垂れ落ちが起きにくいようにすることもできる。穂筆の状況によって異なるが、上記したような穂筆10を用いる場合は、上述の如く、コーンプレート型粘度計のずり速度3.83s−1による25℃における測定において50mPa・s以上であることが望ましい。
液体化粧料30が穂筆10前部(X)に行き渡り、図1又は図2に示すように、使用者には使用可能であると判断される状況となっても、液体化粧料30は穂筆10後部(X)に十分には行き渡り難く、穂筆10後部(X)は液体化粧料30で十分に濡れた状態とはならず、それは使用者にも認識され辛い。穂筆10後部(X)の液体化粧料30で十分に満たされていない部分、並びに、穂筆10と先軸部40との隙間には、使用により付着した唾液等の侵入及び付着が起こりやすく、液体化粧料に配合している抗菌剤の効果も及びにくいので菌類の繁殖が起こり易い。また、未使用の場合でも、液体化粧料の溶媒として水が含まれていると、穂筆を保護するキャップ9をした状態で寒暖差の激しい場所で保管を行った場合、キャップ9内部で結露が起こり、キャップ9内側や穂筆10後部に抗菌剤を含まない水が侵入し、やはり菌類の繁殖が起こりやすくなる。ここでは被せてあるキャップ9に通気孔は設けていないが、結露防止等のためキャップ9にキャップ内部とキャップ外部とを連通する通気孔を設けてもよい。
本実施形態の化粧料塗布具用穂筆10は、後部(X)の穂筆用フィラメント表面に抗菌剤の被覆(抗菌剤層)を有しているので、抗菌効果に優れている。また、本実施形態では、穂筆10の後部(X)の外周が、前記化粧料塗布具の先端部に覆われて、埃や浮遊する雑菌等が侵入しない構造となっている。
例えば、アイライナー液を瞼に塗布するアイライナー塗布具を使用したときは、瞼についていた埃又は目やになどの汚れが塗布部に移って穂筆10内に入り、そこで雑菌が繁殖して悪臭を発生させる恐れがあるが、この穂筆10では、抗菌剤が少しずつ汚染部に作用し雑菌の繁殖を抑制することで優れた防臭効果が得られることとなる。
このように構成される本発明の化粧料塗布具は、上記効果を有する化粧料塗布具用穂筆を備えたものであるので、抗菌剤が少しずつ穂筆に入った雑菌等による汚染部に作用し雑菌の繁殖を抑制し、少しずつ塗布具を使用しても衛生的であり、抗菌剤の脱落もないため、毎日少しずつ使い続ける化粧料塗布具に好適となるものである。
次に、本発明の化粧料塗布具用穂筆、その製造方法、化粧料塗布具の実施例、比較例により、本発明を更に上述する。本発明は、下記実施例等に限定されるものではない。
(液体化粧料の調製:高粘度のリップグロス、全量100質量%)
雲母チタン 0.20質量%
ベンガラ被覆雲母チタン 0.43質量%
エステルガム 20.00質量%
1,3−ブチレングリコール 2.00質量%
グリチルレチン酸ステアリル 0.20質量%
トコフェロール 0.20質量%
パラベン類 0.30質量%
(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン 14.00質量%
リンゴ酸ジイソステアリル 20.67質量%
ヒマシ油 35.00質量%
サフラワー油 7.00質量%
上記処方をメディアミルによる湿式粉砕処理とディスパーミキサーによる混合撹拌により調製した。
この液体化粧料の粘度は、コーンプレート型粘度計(VISCOMETER TV-20、TOKIMEC社製)のずり速度3.83s−1による25℃における測定において200mPa・sであった。
この液体化粧料を、下記構成の穂筆を備える化粧料塗布具(三菱鉛筆製UC−18C、図1〜図3準拠)に充填し、穂筆に液体化粧料(リップグロス)を吐出させ、下記各評価方法により、穂筆の初期抗菌性、唇への塗布後1週間の穂筆での抗菌性、化粧料未吐出時の抗菌剤の脱落の有無について評価した。
(実施例1、2)
メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)のエタノール5質量%溶液へ6−ナイロン繊維製のテーパ繊維(直径φ150μm、長さ28mm)の後半分(X:長さ14mm、以下同様)を浸漬後乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維と、通常の6−ナイロン繊維製のテーパ繊維(直径φ150μm、長さ28mm)を1:1(本数:各300本)で混毛し後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆(図示符号10、以下同様)の周縁部を先軸部(図示符号40、以下同様)で覆ったものを実施例1、覆わないものを実施例2として、通気孔を持つキャップをそれぞれ被せ、化粧料塗布具とした。抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各3.0質量%であった。
(実施例3、4)
獣毛繊維(リス、直径φ5μm、長さ28mm、本数:1000本)を束ねた後、尾部を糸で縛り、後半分を、1,2−ヘキサンジオールのエタノール5質量%溶液へ浸漬させ、乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維束の外径を10mmとした穂筆を得、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い、通気孔を持つキャップを被せたものを実施例3、通気孔の無いキャップをそれぞれ被せたものを実施例4とした。この抗菌剤の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各1.0質量%であった。
(実施例5、6)
ポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)の後半分をヒビテン液(クロルヘキシジングルコン酸塩の5%水溶液、以下同様)へ浸漬後乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維束の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。
この穂筆の後方から連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆ったものを実施例5、覆わないものを実施例6として、通気孔を持つキャップをそれぞれ被せた。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各3.0質量%であった。
(実施例7、8)
ポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ100μm、長さ28mm、本数:500本)の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。この繊維束の後半分を、ヒビテン液へ浸漬後乾燥させた。この防腐剤を吸着させた穂筆後方から、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆ったものを実施例7、覆わないものを実施例8として、通気孔の無いキャップを被せ塗布具とした。この抗菌剤の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各5.0質量%であった。
(実施例9、10)
ポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ100μm、長さ28mm、本数:500本)の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。この繊維束の後半分に、1,2−ヘキサンジオールのエタノール5質量%溶液へ浸漬後エタノールを蒸発させた。この防腐剤を吸着させた穂筆に、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い通気孔を持つキャップを被せたものを実施例9、穂筆の周縁部を先軸部で覆わず通気孔の無いキャップを被せたものを実施例10とした。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各1.0質量%であった。
(実施例11、12)
ポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。その穂筆の全てをメチルパラベンのエタノール5質量%溶液へ浸漬させ、乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維束の外径を10mmとした穂筆を得、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆ったものを実施例11、覆わないものを実施例12として、通気孔を持つキャップをそれぞれ被せた。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各5質量%であった。
(実施例13、14)
ポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。この繊維束の後半分を、ヒビテン液へ浸漬後乾燥させた。この防腐剤を吸着させた穂筆後方から、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆ったものを実施例13、覆わないものを実施例14として、キャップを被せず塗布具とした。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各1質量%であった。
(実施例15、16)
通常のポリブチレンテレフタレート繊維と、銀含有ガラスを混練させて含ませたポリブチレンテレフタレート繊維と、を横方向の切断面同士を丁寧に融着させ、この融着部が中央となるように長さを揃え銀含有ガラスを含まない方が先細となるようなテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)とした。
この銀含有ガラスを含む部分を後方とし、後方の端部、即ち、後端部を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。その穂筆の一部はそのまま、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。
また、別の一部はメチルパラベンのエタノール5質量%溶液へ浸漬させ、乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維束の外径を10mmとした穂筆を得、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。何れも連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い、メチルパラベンのコーティングを行わなかったものを実施例15、コーティングを行ったもの実施例16として、通気孔を持つキャップをそれぞれ被せた。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各5質量%であった。
(実施例17、18)
銀含有ガラスを混練させて含ませたポリブチレンテレフタレート繊維の先端を、切削により先鋭化し、長さを揃え、先細となるようなテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)とした。この銀含有ガラスを含む繊維の前半分の表面を拡大して観察したところ銀含有ガラスの露出は見られなかった。この銀含有ガラスを含む繊維の後方の端部、即ち、後端部を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。その穂筆の一部はそのまま、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。また別の一部はメチルパラベンのエタノール5質量%溶液へ浸漬させ、乾燥させた。この防腐剤を吸着させた繊維束の外径を10mmとした穂筆を得、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。何れも連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い、メチルパラベンのコーティングを行わなかったものを実施例17、コーティングを行ったもの実施例18として、通気孔を持つキャップをそれぞれ被せた。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、各5質量%であった。
(比較例1〜4)
実施例1、2の6−ナイロン繊維製のテーパ繊維(直径φ150μm、長さ28mm、本数:300本)をそのまま後端を融着させ外径を10mmとした穂筆を得た。穂筆後部から連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い通気孔を持つキャップを被せたものを比較例1、覆わずに通気孔を持つキャップを被せたものを比較例2、先軸部で覆い通気孔の無いキャップを被せたものを比較例3、覆わずに通気孔の無いキャップを被せたものを比較例4として夫々塗布具とした。
(比較例5、6)
実施例5、6のポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)をそのまま後端を融着させ外径を10mmとした穂筆を得た。穂筆後部から連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い、通気孔を持つキャップを被せたものを比較例5、通気孔の無いキャップを被せたものを比較例6として夫々塗布具とした。
(比較例7、8)
通常のポリブチレンテレフタレート繊維製のテーパ繊維(直径φ70μm、長さ28mm、本数:800本)の後端を融着させ顎部を形成させ外径を10mmとした穂筆を得た。この繊維束の後半分を、メチルパラベンのエタノール10重量%溶液へ浸漬後乾燥させた。この防腐剤を吸着させた穂筆後方から、連通路となるパイプを14mm挿入した後、UC−18C容器先端に装着した。連通路の吐出口までの穂筆の周縁部を先軸部で覆い通気孔の無いキャップを被せ塗布具としたものを比較例7とした。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、0.3質量%であった。
前記比較例7の繊維束の後半分を、メチルパラベンのエタノール20質量%溶液へ浸漬後乾燥させ、他は同様に塗布具としたものを比較例8とした。この抗菌剤(防腐剤)の浸漬乾燥後の塗布量は、穂筆全重量に対して、0.1質量%であった。
〔穂筆の初期抗菌性(未使用時1週間経過後の抗菌性)の評価〕
クリーンルーム内において、実施例1〜18並びに、比較例1〜8の化粧料塗布具に収容した上記リップグロスを穂筆で留まる程度に吐出させ、比較例1、2以外はキャップを被せ、25℃、65%の恒温恒湿室に1週間静置し、その後に穂筆のリップグロス液を培地(SCDA培地)に滴下して、バクテリアチャレンジ試験(ISO11930:2012に準じて試験)を実施した。
培地では、滴下後、実施例1〜3、5〜9、11〜14、16、18及び比較例7、8では1週間経過後バクテリアは全て死滅し、実施例4及び10、15、17ではバクテリアはほぼ死滅したのに対し、比較例1、2、6ではバクテリアは一部死滅し防腐効力が一部無くなった液体(リップグロス液)が穂筆内に存在していることが分り、更に比較例3〜5では死滅せず、防腐効力の無くなった液体(リップグロス液)が穂筆内に存在していることが分かった。
(使用後1週間の穂筆での抗菌性)
上記初期抗菌性評価においてリップグロス液を吐出させた化粧料塗布具を用いて、夫々を10人の被験者に時間を空けて使用してもらい、実施例13、14以外は上記したキャップを被せ、25℃、65%の恒温恒湿室に1週間静置し、穂筆の臭いをチェックした。
実施例1〜3、5〜9、11〜14、16、18及び比較例7、8では、臭気は感じられず、実施例4、10、15、17ではほぼ臭気が感じられなかったが、比較例1、2、6では弱い異臭が感じられ、比較例3〜5では強い異臭が感じられた。
(抗菌剤の脱落試験)
上記実施例1〜18及び比較例7、8の穂筆を、水平に置いた黒い紙面上で、後端を上に持ち先端から押し付けて最後まで押し込んだ後、紙面を観察し抗菌剤の脱落の有無を確認した。実施例2、6、8、10、12及び14、17、18では抗菌剤の細かい粉と思われるものが僅かに見られ、比較例7はメチルパラベンの粉となってほぼ完全に脱落し、比較例8は比較例7よりも更に脱落が多かった。
(−10℃〜40℃・24時間サイクル1週間経過後のキャップ内結露)
上記実施例14、15以外の試料を−10℃〜40℃の24時間1サイクルの恒温槽に1週間静置し、その後、キャップ内の結露の様子を観察した。通気孔の無いキャップを被せた試料、即ち、実施例1、2、4、7、8、10、比較例3〜5、7、8で結露が見られた。
以上の穂筆の初期抗菌性、唇への塗布後1週間の穂筆での抗菌性、化粧料未吐出時の抗菌剤の脱落の各評価結果を総合すると、本発明範囲となる実施例1〜18は、樹脂製フィラメントや獣毛繊維の毛材の材質に関わらず、各種の菌が穂筆内の塗布液の浸透していない箇所で繁殖せず衛生的で、抗菌剤の消失が少なく、耐屈曲性に優れる化粧料塗布具用穂筆、その製造方法及びそれを用いた化粧料塗布具が得られることが確認された。
A 化粧料塗布具
10 穂筆
11 顎部
21 吐出口
22 パイプ
23 内部のパイプ孔
30 液体リップグロス
4 継ぎ手
40 先軸部
41 継ぎ手の前端側内径部
5 軸筒
50 軸筒の前端開口部
6 タンク
61 ピストン
7 液押し出し部
71 ネジ体
80 操作体
81 繰り出し体
82 ネジ軸
9 キャップ
X 穂筆の全長
穂筆の前部
穂筆の後部

Claims (17)

  1. 液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
    該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したことを特徴とする化粧料塗布具用穂筆。
  2. 前記穂筆用フィラメント内部に抗菌剤が含まれていることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具用穂筆。
  3. 液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆であって、
    該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませることを特徴とする化粧料塗布具用穂筆。
  4. 前記抗菌剤が常温で固体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧料塗布具用穂筆。
  5. 液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆を備えた化粧料塗布具であって、
    該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、抗菌剤の被覆を少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントの表面に形成したことを特徴とする化粧料塗布具。

  6. 液体化粧料を収容する化粧料塗布具の塗布部として後部が該化粧料を収容する化粧料収容部の先端に装着されている穂筆用フィラメントを含む穂筆を備えた化粧料塗布具であって、
    該穂筆の内部に該化粧料塗布具内部の該化粧料収容部と連通する吐出口を備え、少なくとも該穂筆内部吐出口よりも後部の穂筆用フィラメントに、抗菌剤を混練し、該樹脂製フィラメント内に抗菌剤を含ませることを特徴とする化粧料塗布具。
  7. 前記化粧料塗布具に収容される液体化粧料の粘度が、コーンプレート型粘度計のずり速度3.83s−1による25℃における測定において粘度50mPa・s以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の化粧料塗布具。
  8. 前記化粧料塗布具の塗布部の前記穂筆が、キャップによって覆われていることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の化粧料塗布具。
  9. 前記キャップはキャップ内部とキャップ外部とを連通する通気孔を備えることを特徴とする請求項8に記載の化粧料塗布具。
  10. 前記穂筆後部の外周が、前記化粧料塗布具の先端部に覆われることを特徴とする請求項5〜9の何れか一項に記載の化粧料塗布具。
  11. 獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
    少なくとも、抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る溶剤に溶解させた溶液に獣毛繊維の根元方向の少なくとも後端、又は、樹脂製フィラメントの少なくとも後端を浸漬させる工程と、
    その後に乾燥して該溶剤の除去を行う工程と、
    該溶剤の除去を行った獣毛繊維、又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、
    を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  12. 獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
    少なくとも、該獣毛繊維又は樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させ穂筆を形成させる工程と、
    抗菌剤を該抗菌剤が溶解し得る溶剤に溶解させた溶液に前記穂筆の少なくとも後端を浸漬させる工程と、
    その後に乾燥して溶剤の除去を行う工程と、
    を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  13. 樹脂製フィラメントを含む化粧料塗布具用穂筆の製造方法であって、
    抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程と、
    その後に該樹脂製フィラメントを含む毛束を集束させる工程と、
    を備えたことを特徴とする抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  14. 前記、抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に混練させる工程が、
    抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントと、それ以外の樹脂製フィラメントと、を長手方向で融着させ、
    該融着した樹脂製フィラメントを融着部を概ね中央にして切断する工程であることを特徴とする請求項13に記載の抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  15. 前記抗菌剤を、樹脂製フィラメントの少なくとも後端に含ませる工程が、
    抗菌剤を樹脂製フィラメントに混練させた、抗菌剤を含む樹脂製フィラメントを先端方向半分を切削により抗菌剤を除く工程であることを特徴とする請求項13に記載の抗菌性を有する化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  16. 請求項11〜15に記載の樹脂製フィラメントは、少なくとも先端部はテーパ状に形成されていることを特徴とする化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
  17. 前記抗菌剤が常温で固体であることを特徴とする請求項11〜16の何れか一項に記載の化粧料塗布具用穂筆の製造方法。
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