JPWO2019124322A1 - 表示体及び表示体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、色の変化については、OVDの材料や構造に起因して色を呈して色が変化する現象があり、光の波長によって光自体の性質が異なることに由来している。本明細書中では、このような色の変化を呈する色を構造色と称している。構造色の発現に関わる光学現象としては、多層膜干渉、薄膜干渉、屈折、分散、光散乱、Mie散乱、回折、回折格子などがある。
OVDは、回折格子を用いて立体的な表現や、画像のチェンジングを表現することで偽造防止効果を出してきた。しかし、OVDは、回折格子による表現では虹色の干渉光が生じるため、色が特定できずに真贋判定が困難なことに加え、色の表現が限定的であった。
特許文献1には、RGB分解画像を組み合わせることにより、カラー表現が可能な光学素子が記載されている。しかし、この光学素子は、回折格子によるカラーの表現では干渉光が生じてしまうため、特定の色の表現は困難である。
一方、特許文献2に記載の技術は、レンチキュラーレンズと印刷の組み合わせにより特定のカラー表現が可能である。また、特許文献3に記載の技術は、マイクロ構造と光学素子の透明性を利用することで、印刷との組み合わせにより虹色表現以外の方法でカラーの表現を実現している。
しかし、特許文献2及び3に記載の光学素子は、印刷層を設けるために、透過による下地の視認性とカラー表現の効果を両立していない。
また、1つの表示体で2以上の画像を視認できる表示体は、オバートフィーチャーを備えた偽造防止媒体として利用されている。
このようなバートフィーチャーを備えた表示体は、表示体に出現する画像の視認性が要求される。
よって、上記表示体に関して、観察者に対して美観に富んだ表示体の提供が求められており、照明からの入射光により様々な視覚効果を有する光学的な技術が求められている。
その他にも、特許文献6に記載した表示体は、プリズム構造の一方向の斜面に光反射層を積層し、特定の角度で反射性を有する方式が挙げられている。
また、特許文献5のインクジェットを利用したメタリック画像の印刷は、プリズム面に合わせて印刷するにはどうしても解像度が落ちてしまい、プリズム構造自体が観察されてしまうおそれがある。このため、特許文献5の表示体の視認性が落ちてしまう。
また、特許文献6の反射特性を有した表示体は、照射した入射光を特定の角度で反射することは可能であるが、着色させることが困難であり、単調な画像しか形成することができない。
特許文献2,5,6の表示体は異なる角度で2つの画像を視認することは共通である。
本実施形態は、上記のような点に着目してなされたのもので、複数の観察条件でそれぞれ異なる画像が出現し、検証性に優れ、結果として、偽造防止耐性を高めた表示体を提供することを目的としている。
上記の機能層は、着色層や光学変化層でできる。光学変化層は、誘電体多層やコレステリック液晶層等である。
本開示の態様は、簡易な構成にもかかわらず、特定の色つき画像を、特定の観察角度で出現させることができる。この結果、本発明の態様は、観察方法を変えると、それぞれ異なる画像が観察できる。本開示の様態では、観察方法によりによって切り替わる画像を、正規品と対比し、真正かどうかが分かる。そのため、検証性が高い。言い換えれば、偽造品の検知性が高い。また、観察方法によりによって切り替わる画像は、新規の視覚効果として、本開示の表示体を印象的なものとする。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨を説明するものであり、以下の実施形態の解釈を限定すべきものではない。本発明の代表的なものであることを理解されたい。以下に説明する代表的な実施形態は、本発明の一例に過ぎず、当業者であれば、その設計を適宜変更することが可能である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。 図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。 本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の代表的なものであることを理解されたい。以下に説明する代表的な実施形態は、本発明の一例に過ぎず、当業者であれば、その設計を適宜変更することが可能である。 なお、便宜上の理由がない限り、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
ここで、以下の第1〜第4実施形態は、第2の面に設ける機能層が着色層の場合の実施形態である。また、第5実施形態は、第2の面に設ける機能層が光学変化層の場合の実施形態である。これら第1〜5の実施形態は本開示の実施形態である。
まず、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の表示体1は、平面視で、複数の表示領域を有する。本実施形態では、連続する2つの表示領域2、3を示しているが、3つ以上の表示領域を有していても良いし、各表示領域が離れていても良い。以下、表示領域2、3を単に領域2、3とも呼ぶ。
また図2に示すように、本実施形態の表示体1は、基材層5と、基材層5の上に形成されたマイクロ凹凸構造層4と、マイクロ凹凸構造層4の凹凸を覆うように形成された保護層6とを備える。
ここで、本実施形態では、基材層5の下面位置若しくはマイクロ凹凸構造層4の下面位置を基準面Hとした。すなわち、マイクロ凹凸構造層4の基準面Hとは反対の面側に、マイクロ凹凸構造層4の凹凸を被覆し且つ光を透過する材料からなる保護層6が配置されていることになる。
また、基準面Hが曲面であっても良い。
本実施形態では、基材層5は、マイクロ凹凸構造層4と一体に形成される層とできる。基材層5は、省略してもよい。また、基材層5、マイクロ凹凸構造層4(着色層7を除く)及び保護層6はそれぞれ、光を透過する樹脂材料から構成されている。また、マイクロ凹凸構造層4と保護層6の光の屈折率は異なっていても良く、同じでもよい。ここで、保護層6は、後述のマイクロ凹凸構造層4と同じ材料から構成としてもよい。なお、保護層6は、省略しても良い。
本実施形態では、領域2、3にマイクロ凹凸構造層4を設ける共に、領域2に対応する部分にのみ、後述の着色層7を設ける場合を説明する。
マイクロ凹凸構造層4は、図2に示すように、基準面H上に、基準面Hに沿って複数のマイクロ構造体4Aが配置されることで構成された構造体である。
各マイクロ構造体4Aは、図3に示すように、側面視で基準面Hに対し上方に傾斜した第1の面4Aaと、基準面Hに対する傾斜角αが第1の面4Aaの傾斜角βよりも大きな第2の面4Abと有する断面三角形形状のプリズム構造体からなる。マイクロ構造体4Aは、その断面三角形形状の底辺に当たる底面4Ac位置が基準面Hと平行となるように設定される。なお第1の面4Aaや第2の面4Abの面は、平坦な面でも良いし、プロフィールが曲面状の曲率を持った面でもあってもよい。
また、複数のマイクロ構造体4Aは、基準面Hに沿って連続して配置されていても良いし、隣り合うマイクロ構造体4Aの間に隙間を持って配置されていても良い。図2では、鋸刃状凹凸等に連続して形成されている場合を示している。隣り合うマイクロ構造体4Aの間に隙間を設ける場合には、その隙間を介して隣り合うマイクロ構造体4Aの底面4Acにおける横方向長さ(図に2おける底面4Acの左右方向の寸法)以下にすることができる。これにより、光学的機能の有効性を高められる。
基準面Hに対する第2の面4Abの傾斜角αは、第1の面4Aaの傾斜角βよりも大きく設定されている。第2の面4Abの傾斜角αは、80度以上100度以下の範囲とできる。本実施形態では、第2の面4Abを基準面Hに対し鉛直方向に配置して垂直面とし、第2の面4Abの傾斜角αを90度に設定した場合を説明する。
なお、マイクロ構造体4Aのサイズは、マイクロメートルサイズとすることで、マイクロ構造体4Aの寸法は、複数のマイクロ構造体4Aによる凹凸構造によって、回折による虹色の干渉光が発生しにくい寸法となるように設定できる。
マイクロ凹凸構造層4、すなわちマイクロ構造体4Aは、光透過性材料とできる。
マイクロ凹凸構造層4に適用する材料は、熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化樹脂を単独又はこれらを複合した材料とできる。また、上記以外のものであっても、上記凹凸を形成可能で且つ光を透過可能な材料を適用してもよい。熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂とできる。ウレタン樹脂は、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂とできる。熱硬化樹脂は、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂とできる。
マイクロ構造体4Aを構成する凹凸を、エンボス法で紫外線硬化性樹脂に形成する場合を説明する。
この場合、マイクロ凹凸構造層4の材料は、紫外線硬化性樹脂を適用できる。紫外線硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマー等の紫外線硬化性樹脂とできる。モノマーは、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等とできる。オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートとできる。ポリマーは、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂とできる。
更には、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基をもつモノマー、オリゴマー、ポリマー等を混合することや、これらに予め反応基を設けておき、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋材、有機ジルコニウム架橋剤、有機アルミネート等で互いに架橋することや、これらに予め反応基を設けておき、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋材、有機ジルコニウム架橋剤、有機アルミネート等で、その他の樹脂骨格と架橋することも可能である。このような方法は、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基をもつポリマーであって、常温下で固形で存在し、タックが少なく、成形性が良く原版汚れの少ないポリマーを得ることも可能である。
また、適用する製造方法において成型可能な、ある程度の流動性を有すること、及び、成型後の塗膜が、所望する耐熱性や耐薬品性が得られることを考慮して材料を選択することができる。
保護層6は、マイクロ凹凸構造層4の凹凸を保護する層である。
保護層6は空気等の気体又は固体からなり、固体からなる場合、マイクロ凹凸構造層を構成するものと同様に、熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂とできる。内部に気体を封止した中空体状の層で保護層6を形成することができる。すなわち、保護層6を気体から構成することができる。
保護層6の屈折率がn1、マイクロ凹凸構造層の屈折率がn2であるとき、屈折率差によって以下3つに場合分けすることが可能である。
屈折率差によりマイクロ凹凸構造層4が反射層として作用するため、保護層6とマイクロ凹凸構造層4の界面にて反射が生じる。その場合、界面で反射する光によって着色層が観察される。
・n1=n2のとき(屈折率差が0.2以下である場合)
層間で屈折率差が生じない場合、入射角によらず光は透過する。そのため、マイクロ凹凸構造層の角度α及びβの値と視覚効果追加層の屈折率によって、観察される画像が決定する。
・n1>n2のとき(屈折率差が0.2以上である場合)
高屈層から低屈層に光が入射する場合、入射角が臨界角以上では界面にて全反射する。全反射した場合には、着色層の色が確認され、臨界角以下でマイクロ凹凸構造層を透過した場合には、視覚効果追加層の屈折率に応じて、着色層が観察される。
基材層5の材料は、マイクロ凹凸構造層4と同じ材料としてもよい。また、基材層5は、マイクロ凹凸構造層4と一体でもよい。基材層5は、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムの材料は、は、熱可塑性ポリマーとできる。熱可塑性ポリマーは、PETやPPとできる。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、着色層7が、領域2に配置されたマイクロ構造体4Aの第2の面4Abに設けられている。着色層7により、表示体が色を発するようにできる。
本実施形態の着色層7は、インキを印刷し形成できる。インキは、可視インキ、不可視インキとできる。可視インキは、顔料インキ、染料インキとできる。可視インキは光学可変インキとできる。光学可変インキは、磁性を帯びた磁性インキとできる。光学可変インキは、光干渉機能を有したパールインキとできる。不可視インキは、紫外線吸収インキ、赤外線吸収インキ、蛍光インキとできる。着色層7の印刷に適用できるインキはこれらに限らず、一般的に印刷可能なものインキとできる。印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、オフセットグラビア印刷、スクリーン印刷とできる。また、これ以外にも、一般的な印刷を適用ができる。また、着色層7は、樹脂を塗布により形成することもできる。塗布は、グラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコートとできる。塗布する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱可塑樹脂とできる。樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂とできる。印刷、コートのほかにも、キャスト法式や樹脂押し出し方式、ラミネート方式などにより着色層7を設けることが可能である。
ここで、着色層7は、例えば0.5μm以上1μmm以下の膜厚からなる薄膜からなる。このため、着色層7を膜厚方向から見た場合、着色層7は視認されない。なお、この着色層7の膜厚分だけ、隣り合うマイクロ構造体4Aの間に隙間を設けても良いし、設けなくても良い。また、着色層7の膜厚分だけ、着色層7を設けるマイクロ構造体4Aの横方向の寸法を短くしても良い。
着色層7の材料は、インキ、金属、樹脂とできる。着色層7のインキは、可視インキ、不可視インキとできる。は、可視インキは顔料インキ、染料インキとできる。不可視インキは、紫外線吸収インキ、赤外線吸収インキ、蛍光インキとできる。領域2に設ける着色層7が赤外線吸収インキや紫外線吸収インキからなるとき、特定の角度から観察したときに、赤外光又は紫外光によって観察される画像を出現できる。このように可視光以外の領域に吸収波長を持つインキにより、検出機でのモチーフの検証や、特殊光源下での目視によるモチーフの検証ができる。また、可視顔料インキは光学可変インキとできる。光学可変インキは、可視光での干渉性を有するパールインキとできる。また、光学可変インキは磁性を帯びた磁性インキとできる。
第2の面4Abに着色層7を設ける方法は、マイクロ凹凸構造層4の凹凸の表面に対し、着色層7を塗工又は堆積によって設けた後に、ドライエッチング又はウェットエッチングによって着色層7が不要な領域を取り除く方法とできる。
着色層7は、インキを印刷して形成できる。印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷とできる。着色層7は、樹脂をコートすることで形成できる。コ−トは、グラビアコート、ダイコートとできる。また、印刷、コートのほかにも、キャスト法式や樹脂押し出し方式、ラミネート方式などにより視覚効果追加層8を設けることが可能である。
ドライエッチングは、反応性レーザービームエッチング、反応性ガスエッチング、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング、イオンビームエッチングとできる。ウェットエッチングは化学処理により不要な部分を取り除くエッチング方法とできる。また、着色層7の樹脂として紫外線、電子線硬化性の樹脂を部分的に露光し、不要な領域を取り除き、必要な領域を残し、片方の斜面にのみ着色層7を設けることが可能である。
各マイクロ構造体4Aは、第1の面4Aaでは光が透過し、第2の面4Abでは、着色層7を設けることで、反射、散乱、回折、干渉、吸収のうち少なくとも一つ、言い換えれば、それらのいずれか又はそれら複数の光学現象を生じる。なお、着色層7は、薄膜から構成される場合に限定されず、第2の面4Abを粗面にして、着色層7としても良い。この場合、着色層7は白っぽく視認される。
具体的には、図6(a)に示すように、第2の面4Ab、つまり着色層7を直接臨む側(左側とも呼ぶ)から、斜めに表示体1を観察する条件では、図6(b)に示すように、領域2において、第2の面4Abに設けた着色層7が可視である。そして、その領域2において、その着色層7が特定の配置で整列されている場合には、その着色層7の配置によるモチーフを表示体は表示する。観察者は表示されたモチーフを観察できる。つまり、モチーフは可視とできる。表示されたモチーフには情報が記録されてもよい。記録された情報は、認証情報、識別情報、個別情報とできる。情報は、テキスト、マーク、シンボル、シグナル、しるし(sign)とできる。シンボルは、国旗、盾、剣、槍、防具、花、葉、植物、鳥、熱帯魚、昆虫、動物(animal)とできる。表示面1Sと対向する平面視において、画像31が有する輪郭は、画像31を出現させるモチーフの輪郭とほぼ等しい。そのため、モチーフにより出現する画像から情報を読むことができる。
更に、図6(e)に示すように、第1の面4Aaを直接臨む側(右側)から、斜めに表示体1を観察する条件では、図6(f)に示すように、領域2において、第2の面4Abに設けた着色層7が可視となる。ただし、図5のように、マイクロ構造体4Aを介して着色層7の裏面側が見えることから、第2の面4Ab、つまり着色層7を直接臨む側から、斜めに表示体1を観察した条件とは異なって見える。斜面に設けられた着色層7がマイクロ凹凸構造層越しに部分的に可視となり、図6(f)に示すように、縞状のモチーフを見ることができる。
次に、着色層7が金属膜などによって反射層となっている場合の効果について説明する。
第2の面4Ab、つまり着色層7を直接臨む側からの斜め方向からの光路は、図5に示すように、着色層7で反射して下方に抜けるため、着色層7は観察されず、表示体1の下方に置かれた物が見える。真上から観察した場合には、着色層7は観察されず、表示体1の真下に置かれた物が見える。第1の面4Aaを直接臨む側から、斜めに表示体1を観察した場合にも、着色層7の裏面で反射して下方に抜けるため、着色層7は観察されず、表示体1の下方に置かれた物が見える。
このように、着色層7が反射層である場合には、着色層7で反射若しくは、着色層7での反射することが無く直接、表示体1の下方が見える状態となる。ただし、後述のように、マイクロ凹凸構造層4の下層に印刷層その他の視覚効果追加層8を配置した場合には、観察する角度によって視覚効果追加層8の見え方が異なる状態となる。
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、図7に示すように、第1実施形態とは、マイクロ凹凸構造層4の下層に視覚効果追加層8を設けた点が異なる。このため、視覚効果追加層8以外は、第1実施形態と同様な構成であるため、視覚効果追加層8を主として説明する。なお、第2実施形態の図では、基材層5を省略した構成を示しているが、基材層5を有していても良い。
視覚効果追加層8は、マイクロ凹凸構造層4の基準面H側に設けられる。視覚効果追加層8は、印刷層、反射層、マイクロ凹凸構造層4とは屈折率の異なる層のいずれか又はその組み合わせから構成される。すなわち、視覚効果追加層8は、印刷層、反射層、屈折率の異なる層からなるか、これらの組み合わせによって2層以上の多層として構成される。多層の視覚効果追加層8は、屈折率の異なる層と印刷層との組み合わせ、屈折率の異なる層と反射層との組み合わせ、屈折率の異なる層から構成できる。2層の視覚効果追加層8も、同様である。
視覚効果追加層8は印刷層とできる。印刷層は、インキを印刷し形成できる。インキは、可視インキ、不可視インキとできる。可視インキは、顔料インキ、染料インキとできる。可視インキは光学可変インキとできる、顔料インキは、磁性を帯びた磁性インキとできる。光学可変インキは、光干渉機能を有したパールインキとできる。不可視インキは、紫外線吸収インキ、赤外線吸収インキ、蛍光インキとできる。視覚効果追加層8の印刷に適用できるインキはこれらに限らず、一般的に印刷可能なものインキとできる。印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、オフセットグラビア印刷、スクリーン印刷とできる。また、これ以外にも、一般的な印刷を適用ができる。また、視覚効果追加層8は、樹脂を塗布により形成することもできる。塗布は、グラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコートとできる。塗布する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱可塑樹脂とできる。樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂とできる。印刷、コートのほかにも、キャスト法式や樹脂押し出し方式、ラミネート方式などにより視覚効果追加層8を設けることが可能である。
視覚効果追加層8は反射層とできる。反射層は可視光を反射する。特に、反射層は、可視光を鏡面反射する。反射層は金属層とできる。反射層は、堆積で形成できる。堆積は、物理堆積、化学堆積あるいは、その双方とできる。物理堆積は、蒸着、スパッタとできる。金属層の材料は、金属材料の単体又はこれらの合金とできる。金属は、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Agとできる。また、反射層は、金属層に限らず、反射性のインキを塗布又は印刷した層とできる。
マイクロ凹凸構造層4とは屈折率の異なる層(以下、単に屈折層とも呼ぶ)は、マイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8との界面で全反射する層とすることができる。屈折層は、マイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8との界面で全反射する層ため、マイクロ凹凸構造層4よりも屈折率の低い材料を用いることができる。全反射する層は、反射を高めることができるため、表示体の光学効果を高める。屈折層の材料は、無機材料、有機材料、有機無機複合材料であっても良い。また屈折層を有機材料から構成し、有機材料に、無機微粒子、有機微粒子、有機無機複合微粒子、中空粒子を添加して屈折率を調整するようにしても良い。この場合に微粒子表面に官能基を設けて分散性や膜強度を改善することが可能である。また、微粒子の分散性を改善するための分散剤や界面活性剤を添加することや、膜強度を改善するために架橋剤を添加しても良い。屈折層を設ける方法としては、先に述べた印刷層を屈折層の下層に設ける。
次に、視覚効果追加層8が設けられている場合の効果について以下説明する。
図8(a)に示すように、第2の面4Ab、つまり着色層7を直接臨む側から、斜めに表示体1を観察した場合には、図8(b)に示すように、領域2において、第2の面4Abに設けた着色層7が確認され、領域3では、マイクロ凹凸構造層4を透過して視覚効果追加層8が見える。なお、領域2において、その着色層7が特定の配置で整列されている場合には、表示体は、その着色層7の配置に応じたモチーフが形成できる。表示体は、モチーフの画像を出現できる。つまり、観察者はモチーフの表示を観察できる。言い換えれば、モチーフは可視とできる。モチーフには情報が記録されてもよい。記録された情報は、認証情報、識別情報、個別情報とできる。情報は、テキスト、マーク、シンボル、シグナル、しるし(sign)とできる。シンボルは、国旗、盾、剣、槍、防具、花、葉、植物、鳥、熱帯魚、昆虫、動物(animal)とできる。表示面1Sと対向する平面視において、画像31が有する輪郭は、画像31を出現させるモチーフの輪郭とほぼ等しい。そのため、モチーフにより出現する画像から情報を読むことができる。
また、図8(e)に示すように、第1の面4Aaを直接臨む側から、斜めに表示体1を観察する条件では、図8(f)に示すように、領域2において、第2の面4Abに設けた着色層7が可視となる。ただし、マイクロ構造体4Aを介して着色層7の裏面側が見えることから、第2の面4Ab、つまり着色層7を直接臨む側から、斜めに表示体1を観察した場合とは異なるように見える。言い換えれば、領域2において、斜面に設けられた着色層7がマイクロ凹凸構造層越しに部分的に可視となると共に下層の視覚効果追加層8も部分的に可視とできる。
ただし、視覚効果追加層8が反射層からなる場合には、図9に示すように、(a)、(c)、(e)のどの方向から観察しても、図9(b)、(d)、(f)のように、領域2では着色層7が視認される。
すなわち、着色層7を設けた第2の面4Ab側から斜めに表示体1を観察する条件では、入射した光が領域3では視覚効果追加層8で反射する。この条件で、領域2で着色層7が可視とできる。
第1の面4Aa側から斜めに観察した条件では、領域2では、マイクロ凹凸構造層を介して直接に見える着色層7と視覚効果追加層8に反射して写った着色層7の像とによって、着色層7だけが観察され、領域3では反射層が観察できる。
このように、視覚効果追加層8が反射層であるときは、どの観察方向からでも、領域2では着色層7の色が可視とできる。
視覚効果追加層8の屈折率がマイクロ凹凸構造層4よりも低い場合、マイクロ凹凸構造層4から視覚効果追加層8への入射角が臨界角以上のとき、その界面で全反射が起きる。
全反射について、図10及び図11を用いて説明する。図10は臨界角を説明する断面図である。
媒質iと媒質tは平らな界面を有しており、媒質iの屈折率は ni 、媒質tの屈折率は nt である。臨界角θはスネルの法則と屈折率の定義から、(1)式で求められる。
sinθ = nt /ni ・・・(1)
なお、図示しないが、臨界角θよりも小さい角度で入射した光はスネルの法則に従った屈折角で屈折して二つの媒質界面を透過する。
図11にてマイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8(低屈折層)との界面にて全反射するメカニズムについて説明する。先にも述べた通り、屈折率が高い材料から低い材料に光が入射するとき、入射角が臨界角以上では界面で全反射する。臨界角は材料の屈折率差に依存し、(1)式によって導かれる。マイクロ凹凸構造層4内を通って、視覚効果追加層8との界面で全反射するためには入射角4a及び6aが臨界角以上である必要がある。
(入射角6a)=β−(屈折角5b) ・・・(2)
入射角6aが臨界角になるとき、スネルの法則と屈折率の定義より(3)式が成立する。
sin(α−5b)=n3/n2 ・・・(3)
また、マイクロ凹凸構造層の外部から内部に入射する光についてもスネルの法則より(4)式が成立する。
n1・sin5a=n2・sin5b ・・・(4)
そして、図12(a)に示すように、着色層7を設けた第2の面4Ab側から斜めに表示体1を観察した条件では、領域3では視覚効果追加層8は光を透過し、領域2では着色層7が見ることができるため、図12(b)に示すように、表示体に、モチーフの画像が出現し、表示体はモチーフを表示する。図12(c)に示すように、真上から表示体1を観察する条件では、領域2及び3ではマイクロ凹凸構造層4を透過し視覚効果追加層8が見えることができるため、図12(d)に示すように、表示体のモチーフの画像は消失する。
ここで、視覚効果追加層8は、予め設定した波長域の可視光を吸収する吸収層でもよい。
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、図13に示すように、第2実施形態とは、着色層7の上に隠蔽層9を設けた点が異なる。このため、隠蔽層以外は、第2実施形態と同様な構成であるため、隠蔽層9ついて主に説明する。なお、図13では、基材層5を省略した構成を示しているが、基材層5を有していても良い。また、着色付与層を省略しても良い。
隠蔽層9は、マイクロ構造体4Aに形成した着色層7の上に形成される。隠蔽層9は、一つの着色層7の全部を覆うように形成しても良いし、一部分だけを覆うように形成しても良い。着色層7の一部分だけを隠蔽層9が覆う場合、着色層7の半分以上、つまり、50%以上の面積を覆うことができる。これにより、隠蔽層9は、着色層を隠蔽できる。隠蔽は、部分的な隠蔽でも、隠蔽により視覚的な差異が生じればよい。視覚的な差異は、着色層7の退色とできる。退色は、着色層7の見た目上での彩度の低下とできる。
隠蔽層9は着色層7の色を隠すものである。隠蔽層9自身は、色が付いていても良い。
隠蔽層9は、インキなどの着色層7及び視覚効果追加層8と同様の材料が使用でき、着色層7と同様の方法にて設けることができる。隠蔽層9のインキとしては可視領域以外の光を吸収するものを用いても良く、これによって検出機を用いた画像の検証や、特殊光源下での目視による画像の検証が可能となる。成形方法としても先に述べたものと同様である。
着色層7における、マイクロ凹凸構造層4側とは反対側の面に隠蔽層9を設ける効果について説明する。
隠蔽層9を設けることで、着色層7の表面側と裏面の光学効果を簡易に変えることが可能となる。
特に、視覚効果追加層8が上記のような反射層又は屈折層で構成する場合、つまり特定の角度によって着色層7が反射して見える構成の場合に、隠蔽層9を設けると効果的である。
まず、視覚効果追加層8が反射層である場合について説明する。
図14(a)に示すように、表示体1を第2の面4Ab側から観察した場合、領域2において、隠蔽層9が視認されるため、図14(b)のように、モチーフを表示する。つまり、モチーフの画像が出現する。これにより、モチーフが観察される。
一方、図14(c)(e)に示すように、真上から及び第1の面4Aa側から観察した場合には、領域2では視覚効果追加層8に反射した着色層7が、領域3では視覚効果追加層8が視認されるため、図14(d)(f)に示すように、同じモチーフを表示する。つまり、モチーフの画像が出現する。これにより、モチーフが観察される。
次に、視覚効果追加層8が屈折層である構成について説明する。
前述した通りマイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8の屈折率に依存して臨界角が存在するため、全反射が起きる。
図15(a)に示すように、第2の面4Ab側から斜めに観察する条件では、領域3では視覚効果追加層8を透過し、領域2では着色層7が可視となるため、図15(b)のように、モチーフを表示する。つまり、モチーフの画像が出現する。これにより、モチーフが観察される。
また図15(c)に示すように、表示体1を真上から観察する条件では、領域2、3とも、マイクロ凹凸構造層4を透過し視覚効果追加層8が可視となるため、図15(d)のように、視覚効果追加層8によるモチーフを表示できる。つまり、モチーフの画像が出現する。これにより、モチーフが観察される。
一方、図15(g)に示すような全反射する観察条件では、領域2では視覚効果追加層8との界面で反射した着色層7が、領域3では全反射が視認されるため、図15(h)のように、領域3の全反射によるモチーフを表示する。つまり、モチーフの画像が出現する。これにより、モチーフが観察される。
更に、視覚効果追加層8として屈折層を設けることで同一方向から観察したときに異なる角度で見たときの透過と着色層7の色変化を付与することができるため、透過と2色の色変化を着色層7と隠蔽層9とで実現できる。
また、視覚効果追加層8が設けられていない場合でも隠蔽層9を設けることによって、マイクロ構造の着色層7及び隠蔽層9が設けられている側から観察する条件と、マイクロ凹凸構造層4の底面4Ac側から観察する条件とで、異なる色とできる。
本実施形態の基本構成は、上記各実施形態と同様であるが、マイクロ凹凸構造層4(マイクロ構造体4A)及び着色層7の構成が異なる。その他の構成は、適宜、第1〜第3実施形態の構成を適用することができる。
上記第1実施形態は、マイクロ凹凸構造層4を構成する各マイクロ構造体4Aが、気体、液体又は固体のいずれ1つからなる構成である。マイクロ構造体4Aが熱可塑性樹脂の場合は、その融解温度(JIS k7121)若しくは軟化温度(JIS k 6863)が表示体1を使用する際の雰囲気温度範囲よりも高い樹脂を採用する。
更に、本実施形態では、マイクロ構造体4A内に複数の磁性粒子20が含有され、その磁性粒子20が第2の面4Ab側に寄せられて当該第2の面4Ab側に集積することで、着色層7を構成している。磁性インキは、複数の磁性粒子20を含んでいる。
磁性粒子20の表面に対してインキによる着色を行うようにしても良い。磁性粒子20の大きさは、マイクロ構造体4A内を移動可能な大きさとする。磁性粒子20は、最大径が0.1μm以上6μm以下とできる。最大径は、顕微鏡で計測できる。
第4実施形態のマイクロ凹凸構造層4(マイクロ構造体4A)の製造方法について説明する。
保護層6を構成する構造体に対して、ナノインプリント法、エンボス法等の構造形成プロセスによって、凹凸構造を形成する。凹凸構造は複数のマイクロ構造体4Aを有する。
マイクロ構造体に使用できる固体としては、有機材料、無機材料、又はそれらの混合体でも良い。有機材料は、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などのマイクロ構造体4Aと同様の樹脂とできる。
複数の磁性粒子20を含んだ液体(水など)、複数の磁性粒子20を含んだ上記固体のいずれかを充填した状態では、図17に示すように、マイクロ構造体4A内で複数の磁性粒子20が分散した状態となっている。
磁性粒子20が鱗片状の場合には、磁石の真下に位置したときには、磁力線に沿って立ち上がった状態となり、更に、右側に向かう磁力線によって右側に傾きながら、第1の面4Aaに沿って第2の面4Ab側に移動する。
ここで、磁性粒子20はマイクロオーダーの大きさであるため、磁性が作用しなければ、マイクロ構造体4Aの主成分が気体又は液体であっても、移動しない。
なお、図16では、磁性粒子20と対向する位置にだけ視覚効果追加層8を設ける構成を示しているが、第2実施形態と同様に、第2の面4Abの全面に形成しても良い。
また基材層5の代わりに視覚効果追加層8を設けても良い。
更に、磁性粒子20で着色層7を設ける代わりに、第2の面4Abの内側面に、上述のような薄膜からなる着色層7を設けるようにしても良い。
本実施形態の基本構成は、上記各実施形態と同様であるが、第1の面に設ける機能層が光学変化層の構成である。
光学変化層以外の他の構成は、適宜、第1〜第4実施形態の構成を適用することができる。
本実施形態の表示体1は、図23に示すように、特定の観察角度において、少なくとも1つの画像31を視認可能な表示面1Sを備えている。
表示体1において、表示面1Sは画像31が表示される面である。表示面1Sに表示されている画像31は1つの領域で構成されていても良く、また、複数の領域の集合によって構成されてあっても良い。表示面1Sは、平面であっても良いし、曲面であっても良い。
画像31を形成する画像形成層は、上述のような、複数のマイクロ構造体4Aが配置されたマイクロ凹凸構造層4から構成されている。
マイクロ凹凸構造層4が一方向に連続して並列させた構成の場合、互いに隣り合うマイクロ構造体4A同士は、構造を区画する1つの辺を共有している。
第2の面4Abに積層された第2の面光学変化層30SAと第1の面4Aaに積層した第1の面光学変化層30SBの関係は、層厚が30SA<30SBであることが好適である。
また、光学変化層30を構成する金属反射層について、可視光領域の波長に対し、第2の面4Abに備えられた金属反射層30B2は、反射率の総和より透過率の総和が高く、第1の面4Aaに備えられた金属反射層30B1は、反射率の総和より透過率の総和が低くなるよう構成できる。これにより良好な視覚効果が実現できる。
観察者15は表示体1の表示面1Sを観察することで、表示体に形成されたモチーフの画像31を観察ができる。言い換えれば、モチーフを表示することができる。すなわち、モチーフの画像が出現する。ただし、表示面1Sに直交する方向から可視光の波長を有した光源16から、表示体に可視光が照射されている条件では、図25(a)のように、表示体1を正面から観察すると、画像31は観察できない。すなわち、モチーフの画像は消失する。
ここで、表示体を観察する光源16は、可視光の波長の光は、平行光とできる。これにより、表示体を均質に観察することができる。
図26(a)で示すように、表示面1Sに対向する側の光源16から照射した表示面1Sに直交する光は、第1の面4Aaに入射する。このとき、光学変化層30の最表面は金属反射層となるため、鏡面反射が起こる。
例えば、第1の面4Aaの傾斜角を45度とした構成では、鏡面反射によって、入射してきた光の方向に反射する。よって、観察者15が45度の角度で観察した場合、この反射を認識することが可能となる。このとき、画像31(ハート形状の)は無彩色で高輝度の画像(ハート形状)となる。
すなわち、第2の面4Abと第1の面4Aaに備えられた誘電体多層によって、多層干渉が生じ、特定の波長の反射率が高くなり、観察者15は特定の波長の光を観察できる。よって、観察者15が表示体1を正面で観察した際に、画像31は特定の波長に着色された形状として観察できる。特定の波長は、青として、400nm以上、490nm未満の範囲、更には、435nm以上、480nm以下の範囲とできる。特定の波長は、緑として、490nm以上、580nm以下の範囲、更には、500nm以上、560nm以下の範囲とできる。この回折した光は、画像を表示できる。特定の波長は、赤として、595nm以上、800nm以下、更には、610nm以上、750nm以下の範囲とできる。
一般に、光の干渉現象は、図27のように説明することができる。
すなわち、光波の波面の一部が、薄膜(媒質II)の上面で反射し、一部が層(媒質II)の中に屈折しながら入射して、下面で反射する。そして、上面で2つの光波が干渉しあって、観察者の目に届くとした時、2つの光波の経路差は、AED−BDとすることができる。
n2×AED−n1×BD=n2×AED−n2×AC … (5)
また、n2×AED−n2×ACは、n2×CEDとすることができるため、(6)式とすることができる。
n2×AED−n2×AC=n2×CED … (6)
ここで、層(媒質II)の下面に対する点Dの対象点をD’とすると、EDとED’が等しいことから、(7)式が成立する。
CED=CD’ … (7)
n2×CED=n2×DD’cosθ=2n2dcosθ … (8)
層(媒質II)によって生じた光路差に応じて、点Dから射出される反射光は、層(媒質II)の上面における反射光と層(媒質II)内から射出される反射光との干渉が生じる。
このとき、n1<n2であれば、2つの光が強め合う波長は、(m+1/2)λとすることができるため、(9)式が成立する条件で、層(媒質II)を設計することで、設計された色を表示できる。
2n2dcosθ=(m+1/2)λ … (9)
(但し、m=0、1、2、3、…)
画像31は複数の領域によって構成された画像であっても良い。図28では、画像31は領域31Aと領域31Bで構成されている。その構成には、ハート形状を形成する。
マイクロ凹凸構造層4のそれぞれの領域には、複数のマイクロ構造体が備えられ、領域31Aと領域31Bの中に配置されるマイクロ構造体は、領域毎に個別に一様な配列が配置されてもよい。また、領域毎に第1の面4Aaの傾斜角はそれぞれの領域毎で異なっていてもよい。
複数のマイクロ構造体が一定の周期で配列された場合、回折効果が生じてしまうが、1μm以上に設定することで、可視光の回折を低減できる。また、周期を300μm以下とすることにより、人の目の分解能より小さいくすることができ、表示体1を観察する際に観察者15によってマイクロ構造体が認識されない。つまり、マイクロ構造体が一体として観察される。この結果、表示体の視認性を高めることができる。またその美観を高めることができる。
領域によって、第1の面4Aaの傾斜角が異なる構成では、図29(b)で示すように、観察者15がそれぞれの領域によって、異なる反射特性を観察できる。より詳しく説明すると、観察角度が限定されることで、第1の面4Aaの傾斜角に応じて領域毎の反射光量が異なり、観察者15には無彩色は変わりないが、濃淡情報として領域毎に識別することが可能となる。
更に、図29(c)で示すように、領域毎に第1の面4Aaの傾斜角を異ならせることにより、第1の面4Aaに備えられた誘電体多層に入射する角度が領域毎に変化する。このため、それぞれの領域において強め合う波長が変化し、領域毎に異なる波長の反射光を射出することが可能となる。
よって、観察者15が表示体1を観察した際に、画像31は領域毎に特定の波長の光が認識され、領域毎に色が異なる。これにより、表示体の美観を高められる。
他の構成として、領域毎に第2の面4Abと第1の面4Aaの配置方向が異なる構成としても良い。
領域毎の構造の高さを一定とし、構造の周期を変化させることにより加工を容易とできる。
また、本実施形態の応用として、マイクロ凹凸構造層4の下層、すなわち表示面(1S)側とは反対側に、全面又は一部に印刷層を設けてもよい。この場合、図29(a)の観察条件で画像31を認識させないことに加えて、新たな画像として印刷層を表示することが可能となる。
このような吸収層を設けることにより、特定の波長域に対して、透過よりも吸収の比率が高まり、観察者15は、吸収された波長域の色の補色を観察できる。従って、第1の面光学変化層(30SB)の誘電体多層による干渉光と組み合わせることにより、誘電体多層の干渉により強め合う波長以外の波長域を吸収させた表示もできる。この結果、彩度が高められた画像31を表示することも可能となる。
更には、マイクロ凹凸構造層4の第2の面4Ab及び第1の面4Aaから構成された画像領域に隣接あるいは離間した領域には、平坦面、マット面、回折構造、あるいはマイクロ凹凸構造層4の表面からの距離が異なる複数の面(plane)からなるマイクロ構造体、光の半波長以上の格子が一方向に並んだ一次元格子や、光の波長以下で、2方向の交差する方向に配列された二次元格子などのマイクロ構造体を設けてもよい。
このような複数の面を構成することにより、深さあるいは高さに応じて、特定の色を表現することが可能となる。
また、上述の一次元格子の場合には、格子の並ぶ方向に応じて回折光を一方向に回折することができ、上述の二次元格子の場合には、光を吸収しやすくなる特性を有する。
このような構造を第2の面4Ab及び第1の面4Aaからなる画像領域のほかにマイクロ凹凸構造層4に設けることにより、より高い美観を付与することが可能となる。
上述した表示体1を製造する方法は、マイクロ凹凸構造層4に設けられるマイクロ構造体を複製する工程と、マイクロ構造体の第2の面4Abと第1の面4Aaに光学変化層30を備える工程を含むものとできる。
上記マイクロ凹凸構造層4に設けられるマイクロ構造体を複製する工程は、原版からエンボスにより複製する方法とできる。原版は平板状の基板が有する一方の面に感光性材料を塗布した後、感光性材料をレーザービームや電子ビームをスキャンにより露光し、その後現像することで、マイクロ凹凸構造の形状が形成された原版を得る方法で製造できる。
なお、金属製のスタンパを製造する方法は、この他に、旋盤技術を用いた金属基板の切削加工であっても良い。
上述のようにして得られたスタンパを用いてマイクロ構造体を複製する方法は、熱エンボス法、キャスト法、フォトポリマー法によって成形物を形成する方法とできる。その後、得られた成形物の表面に光学変化層30を蒸着方法などによって形成することによって、表示体1を得ることができる。
マイクロ凹凸構造層4に対して、プラスチックフィルムを基材とすることができる。プラスチックフィルムは、透明なプラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、塩化ビニルやポリビニルアルコールなどのビニル樹脂などの樹脂のプラスチックフィルムとできる。
マイクロ凹凸構造層4の材料は、樹脂とできる。マイクロ凹凸構造層4の材料は更に、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング材、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、染料や顔料などの着色剤、及び、光安定化剤などの少なくとも1つ、すなわち、いずれか一つ、又は、複数を含んでも良い。
重合性化合物としては、光ラジカル重合が可能な化合物とできる。具体的に、重合性化合物は、エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を有したモノマー、オリゴマー又はポリマーとできる。あるいは光ラジカル重合が可能な化合物として、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエイスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート及びポリエステルアクリレート等のオリゴマー、又はウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート等のようなポリマーとしてもよい。
この光ラジカル重合開始剤は、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系化合物、アントラキノン及びメチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−アミノアセトフェノン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モリホリノプロパン−1−オン等のフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、又は、ミヒラーズケトンとできる。
また、これらの重合性化合物には、増感剤などが添加されてあっても良いし、あるいは重合開始剤や増感剤などを含まず、放射線として電子線などを用いる方法とできる。
光学変化層30は、堆積により形成できる。堆積は、物理堆積、化学堆積とできる。物理堆積は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンクラスタービーム法とできる。化学堆積法は、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学堆積とできる。
光学変化層30の形成材料は、金属反射層とできる。金属反射層は、金属及び合金のいずれかを用いることが出来る。金属は、アルミニウム、金、銀、プラチナ、ニッケル、錫、クロム、及びジルコニウムとできる。合金は、これらの金属の合金とできる。また、誘電体多層は、高屈折材料と低屈折材料を交互に堆積し形成することができる。誘電体多層の材料は、ニッケルなどの金属の他に、チタンやタンタル、及び珪素といった金属や半導体の酸化物や硫化亜鉛、フッ化マグネシウムとできる。
この構成によれば、表示体を正面から観察する条件、異なる角度から観察する条件、表示体を可視光線で裏面から照射した際に観察する条件、など少なくとも3つの観察条件で第2の面と第1の面での光学機能が変化し、異なる画像を観察することができる。言い換えれば、3つの観察条件での第2の面と第1の面での光学機能の変化により、表示体は異なる画像が出現する。これにより表示体を検証できる。
そして、その複数の領域において、少なくとも一部の領域で第2の面に積層された光学変化層の層厚と上記第1の面に積層された上記光学変化層の層厚の差が、他の領域と異なっている構成では、領域毎に異なる色を認識することが可能であり、領域毎にカラフルな画像を形成できる。また、画像に様々な色を着色できる。
また、複数のマイクロ構造体4Aが設けられている面とは反対側の面の少なくとも一部に、第1の面の傾斜角あるいは上記光学変化層の層厚に応じた反射光の波長域、又は透過光の波長域を吸収する吸収層を更に設けた構成では、表示体の裏面から可視光を照射して正面から観察する条件では、不要な波長の吸収により、出現する画像を高彩度とできる。
また、複数のマイクロ構造体4Aが周期的な構造で構成され、一部又は全部の領域同士の周期性が、互いに異なっている構成では、表示体を正面から観察する条件、異なる角度から観察する条件には、表示体を可視光源で裏面から照射した際に観察する条件など少なくとも3つの観察方法で領域毎に異なる可視性(visibility)を付与することが可能である、そのため、3つの観察方法での画像の外観をそれぞれ違うものとできる。また、1つのモチーフに様々な外観の画像を付与できる。
以上説明したように、本発明の表示体とすることにより、識別性の高い表示体を得ることができる。
また、上述のような表示体とすることにより、少なくとも3つの観察方法で、表示体のモチーフの画像は、それぞれ異なる外観を有する。異なる外観の画像は、観察者の検証に役立つ。そのため、検証性の高い表示体を得ることができる。
(1)上記の第1〜第4実施形態では、領域2のマイクロ構造体4Aに着色層7を設けた場合を示したが、領域3のマイクロ構造体4Aに、領域2とは異なる着色層7を設けても良い。すなわち、領域毎に異なる着色層7を設けても良い。
第1実施形態の構成では、着色層7の設けられていない領域3はマイクロ構造体4Aのみが存在するため光が透過する。このため、第2実施形態のように、色を表現するためには視覚効果追加層8としての印刷層や反射層を設ける必要があった。
これに対し、異なる領域に異なる着色層7を設けることで、領域3を、視覚効果追加層8なしに同時に領域2とは異なる色とできる。
更に、領域毎に、マイクロ構造体4Aの第1の面4Aaの傾斜角βが異なるように構成しても良い。
領域毎に第1の面4Aaの向きや傾斜角が異なるマイクロ構造体と、上記のような着色層7を設けることで幅広い色の表現が可能となる。
図19のように、第1実施形態の構成に対し、領域2と領域3で、異なる着色層7を設けると共にマイクロ構造体の第1の面4Aaの向きを反対側にした場合について説明する。
また、図20(c)に示すように、表示体1の表示面側を真上から観察した場合には、領域2、3ともマイクロ凹凸構造層4を透過するため色は見られず、図20(d)のような画像が出現する。
更に、図20(e)のように、表示体1の表示面側を他方(右側)から斜めに観察した場合には、領域2では部分的に着色層7aが、領域3では着色層7bが視認されるため、図20(f)のような画像が出現する。
この場合、これらによって透過の効果や、特定角度での特殊波長による認識が可能となる。
視覚効果追加層8として印刷層を設けた場合、透過時に下地の絵柄を観察することが可能である。また、視覚効果追加層8として屈折率の異なる層を設けた場合、同じ観察方向でもマイクロ凹凸構造層の斜面をなす角度を換えることによって、全反射する臨界角が異なるため、表示体は色が出現する状態、消失する状態を有することができる。色が出現する状態、消失する状態は、切り替えることができる。この切り替えは、観察方向による切り替えとできる。
この場合には、モチーフは1種類となるが、角度による色の出現、消失ができる。
(6)視覚効果追加層8に屈折率の異なる層を設けた場合に、マイクロ凹凸構造層4の角度を段階的に変化させてもよい。
この場合、臨界角を調整し、連続して動いて見える画像を表示できる。
このように隠蔽層9が異なるとき、特定の角度でのみ画像を出現させることできる。
上述の実施形態では、透過以外の手法によってモチーフが消えた状態とできなかったが、視覚効果追加層8が同じで、隠蔽層9が異なる構成では、全体の色を均一とし、画像を不可視状態とできる。
視覚効果追加層8が反射層又は屈折率の異なる層の場合、着色層7のパターンが、マイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8の界面に全反射して視認されるときと、隠蔽層9が視認されるときとで、異なる画像を表示できる。このようにして、隠蔽層9が異なることによる検証性の高い表示ができる。
この場合、図22(a)に示すように、表示体1を一方(左側)から斜めに観察する条件では、領域3では隠蔽層9bが、領域2では隠蔽層9aが可視であるため、図22(b)に示すように、表示体に、領域3、領域2による画像が出現する。
図22(c)に示すように、表示体1を真上から観察する条件では、領域2及び3では光がマイクロ凹凸構造層4を透過し、視覚効果追加層8が可視であるため、図22(d)に示すように、画像が観察される。つまり、表示体に、領域2及び3による画像が出現する。
(9)視覚効果追加層8が領域毎に異なるように構成しても良い。
この場合、視覚効果追加層8は領域毎に異なる外観を示すようなる。
部分的に色の付いた印刷が設けられており、別の部分は屈折率が異なる層や反射層が設けられていても良い。これによって部分的に全反射による特定の角度で着色層7の色を観察することができる。印刷は、特定の形状の領域を有することができる。また、印刷の領域の形状は、テキスト、シグナル、象徴、マークとしてもよい。印刷は、認証情報、識別情報、個別情報を印刷の領域の形状、印刷の階調として記録できる。
金属層30Bは、純金属及び合金と出来る。金属は、アルミニウム、金、銀、プラチナ、ニッケル、錫、クロム、及びジルコニウムとでき、合金は、これらの金属の合金とできる。また、誘電体層30Aは、高屈折材料、低屈折材料又はその組み合わせによって形成できる。誘電体層は、金属や金属酸化物、酸化ケイ素、硫化金属、フッ化金属、金属窒化物とできる。金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化チタン等とできる。金属硫化物は、硫化亜鉛等とできる。フッ化金属はフッ化マグネシウムなどとできる。誘電体層は、単層又は多層である。
第1の面4Aaに設ける金属反射層30B1は、可視光領域の波長に対して、反射率の総和より透過率の総和が高くできる。
より詳細には、光学変化層30は、マイクロ凹凸構造層の第1の面4Aaに、第1の誘電体多層を堆積し、次に、第1の誘電体多層を堆積したのと同じ種類の堆積で金属反射層を堆積し、次に、金属反射層を堆積したのと同じ種類の堆積で第2の誘電体層を堆積する方法で形成できる。
本実施形態では、マイクロ構造体の複製だけでは、光学効果の再現が不可能である、偽造防止効果の高い、かつ幅広い色表現ができる表示体1を提供することが可能となり、高い偽造防止効果を必要とするIDカードやパスポート、紙幣への利用が可能である。
また、上述のような表示体とすることにより、複数の観察方法で、それぞれ異なる視覚効果を有する、そのため、識別性の高い、表示体を得ることができる。
以下に、機能層として着色層を適用した実施形態に係る表示体の実験結果を説明する。
(実験結果1)
本発明に係る表示体1をフォトポリマー法にて製造するため、以下手順にて実施した。本実験結果では、マイクロ凹凸構造層4と視覚効果追加層8の屈折率差を出すため、マイクロ凹凸構造層4に高屈折材料を用い、視覚効果追加層8には低屈折材料を用いた。
はじめに、厚み23μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体上に、視覚効果追加層8として高屈折率層を形成した。下記の視覚効果追加層インキ組成物を乾燥膜厚1μm以上2μm以下となるようにグラビア印刷法によって塗工し、窒素パージ環境下にて高圧水銀灯で300mJ/cm2の紫外線露光を行い乾燥させた。OP−38Zは硬化後屈折率1.38である。
下記のマイクロ凹凸構造層インキ組成物を乾燥膜厚10μmとなるようにグラビア印刷法によって塗工した後に、塗工面に対して、鋸刃状凹凸構造を有する円筒状の原版を、プレス圧力を2Kgf/cm2、プレス温度を80℃、プレススピードを10m/minにて押し当てて成形加工を実施した。
成形と同時に、PETフィルム越しから、高圧水銀灯で300mJ/cm2の紫外線露光を行い、原版の凹凸形状がマイクロ凹凸構造層に形状転写されたと同時に硬化させた。成形後のマイクロ凹凸構造層における複数のマイクロ構造体となる「鋸刃状凹凸構造」は、深さ5μm、周期30μmであり、且つ垂直面と斜面から成る鋸刃状凹凸構造であった。
紫外線硬化型低屈樹脂(テ゛ィフェンサOP-3801 DIC製) 70.0質量部
MEK 30.0質量部
「マイクロ凹凸構造層インキ組成物」
紫外線硬化型高屈樹脂(ハイパーテックUR−108N 日産化学工業製)
「着色層形成インキ」
染料(VALIFAST YELLOW420 オリエント化学工業製) 3.4質量部
染料(VALIFAST ORANGE3209オリエント化学工業製) 1.6質量部
シランカップリング剤(DOWCORNINGZ6030 東レタ゛ウコーニンク゛製)
1.2質量部
ME 93.8質量部
「隠蔽層形成インキ」
染料(VALIFAST BLACK1807 オリエント化学工業製) 5.0質量部
シラン 1.2質量部
MEK 93.8質量部
マイクロ構造の斜面側に着色層7が形成された表示体1の作成方法について説明する。視覚効果追加層8及びマイクロ凹凸構造層4の形成方法、使用インキについては実験結果1と同じである。着色層7の形成方法としては実験結果1に記載の方法と同様にバーコーターにて塗工し乾燥させた後、隠蔽層9のインキを塗工乾燥し、レーザーエッチングにより垂直面に着色層7と隠蔽層9が設けられた表示体1を得た。
本開示の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含むことができる。更に、本開示の範囲は、請求項により画される発明の特徴(feature)に限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴(feature)、その特徴(feature)のあらゆる組み合わせも含む。
本開示及び特に添付の特許請求の範囲内で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は、一般的に、「オープンな」用語として意図される。例えば、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「含むがそれに限定されない」などと解釈されるべきである。
また、用語、構成、フィーチャー、側面、実施形態を解釈する場合、図面を参照すべきである。図面により、直接的かつ明確な事項は、テキストと同等に、補正の根拠とすべきである。
1S 表示面
4 マイクロ凹凸構造層
4A マイクロ構造体
4Aa 第1の面
4Ab 第2の面
4Ac 底面
5 基材層
6 保護層
7、7a、7b 着色層
8 視覚効果追加層
9、9a、9b隠蔽層
20 磁性粒子
21 磁石
30 光学変化層
30A、30A1、30A2 誘電体多層
30B、30B1、30B2 金属反射層
H 基準面
Claims (20)
- 基材層の下面位置若しくはマイクロ凹凸構造層の下面位置を基準面とし、その基準面上に、上記基準面に沿って複数のマイクロ構造体が配置されたマイクロ凹凸構造層を有し、
上記各マイクロ構造体は、側面視で上記基準面に対し傾斜した第1の面と、上記基準面に対する傾斜角が第1の面よりも大きな第2の面と有し且つ光を透過する材料からなる断面三角形形状のプリズム構造体からなり、
上記複数のマイクロ構造体の全部若しくは一部のマイクロ構造体における第2の面に、機能層を設けたことを特徴とする表示体。 - 上記第1の面に、可視光の波長を光学的に変化させる光学変化層が設けられ、上記光学変化層は、誘電体多層と金属反射層の積層体から構成されることを特徴とする請求項1に記載した表示体。
- 上記機能層は、可視光の波長を光学的に変化させる光学変化層であり、その光学変化層は、誘電体多層と金属反射層の積層体から構成され
上記第2の面に積層された上記光学変化層に対し、上記第1の面に積層された上記光学変化層が厚く、上記第2の面に備えた上記金属反射層は、可視光領域において反射率の総和に比べて透過率の総和が高く、上記第1の面に備えた上記金属反射層は、上記反射率の総和に比べて上記透過率の総和が低いことを特徴とする請求項2に記載した表示体。 - 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、上記複数の領域において、少なくとも一部の領域で上記第2の面に積層された上記光学変化層の層厚と上記第1の面に積層された上記光学変化層の層厚の差が、他の領域と異なっていることを特徴とする請求項3に記載した表示体。
- 上記機能層は、顔料、インキ、金属、樹脂のいずれか又はその組み合わせから構成される着色層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した表示体。
- 上記機能層を設ける上記マイクロ構造体は、内部に複数の磁性粒子を含有し、上記第2の面側に集積した複数の磁性粒子で、上記機能層を構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した表示体。
- 上記機能層を設ける上記マイクロ構造体は、気体、液体又は固体からなることを特徴とする請求項6に記載した表示体。
- 上記マイクロ凹凸構造層は、可視光が入射した際に、少なくとも特定の波長に対して吸収よりも透過の比率が高いことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載した表示体。
- 上記マイクロ凹凸構造層は、上記基準面に直交した方向から、可視光を照射する場合と、上記直交した方向とは異なる特定の方向から可視光を照射する場合とで、反射率が異なることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載した表示体。
- 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、且つ上記複数のマイクロ構造が周期的な構造で構成され、少なくとも一部の領域同士の周期性が、互いに異なっていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載した表示体。
- 上記複数のマイクロ構造の上記周期が、1μm以上300μm以下の範囲であることを特徴とする請求項10に記載した表示体。
- 上記マイクロ凹凸構造層の上記基準面側の少なくとも一部に視覚効果追加層が設けられ、
上記視覚効果追加層は、印刷層、反射層、上記マイクロ凹凸構造層とは屈折率が異なる層のいずれか又はその組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載した表示体。 - 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、領域毎に設ける上記視覚効果追加層が異なることを特徴とする請求項12に記載した表示体。
- 上記視覚効果追加層は、上記第1の面の傾斜角あるいは上記光学変化層の反射光の波長域、または、透過光の波長域を吸収する吸収層であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載した表示体。
- 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、領域毎に、マイクロ構造体の第1の面の傾斜角及びマイクロ構造体の向きのうちの一方又は両方が異なることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載した表示体。
- 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、領域毎に、上記マイクロ構造体に設ける上記機能層が異なることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載した表示体。
- 上記機能層の全部若しくは一部の機能層の上に、隠蔽層が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載した表示体。
- 上記マイクロ構造体を配置する領域を複数有し、領域毎に、上記マイクロ構造体に設ける上記隠蔽層が異なることを特徴とする請求項17に記載した表示体。
- 上記マイクロ凹凸構造層の上記基準面とは反対の面側に、上記マイクロ凹凸構造層の凹凸を被覆し且つ光を透過する材料からなる保護層を有することを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載した表示体。
- 請求項6に記載した表示体の製造方法であって、
外部から付加する磁力によって、上記マイクロ構造体内の磁性粒子を上記第2の面側に集積させる工程を有することを特徴とする表示体の製造方法。
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