JPWO2019124199A1 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂中に溶融混練された後の繊維長L÷繊維径の比A及び、A=a×L+bの回帰分析により得られる定数bがともに5以上の微結晶セルロース繊維とを含む熱可塑性樹脂組成物である。微結晶セルロース繊維の熱分解温度は265℃以上であることが好ましい。

Description

本発明は、繊維強化された熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂組成物においては、その性能の向上を図るために充填材など各種添加剤が添加されることが一般的である。例えば、機械的強度の向上を目的としてガラス繊維などの繊維状充填材が添加される。一方、有機物は無機物よりも低比重の傾向にあることから、軽量化を目的として、ガラス繊維などの無機繊維に代わり、有機繊維が添加されることがある。有機繊維としては、セルロース繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維などが知られており、中でも、セルロース繊維は植物由来であることから環境への負荷が少なく有用である。
そこで、無機繊維に代え、セルロース繊維を添加して機械的強度(剛性)の向上を図った樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この樹脂組成物は、特定の変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT樹脂)と、セルロース繊維とを含む。セルロース繊維は耐熱性が不十分であることから、セルロース繊維を含む樹脂組成物においては、加工温度をセルロース繊維の耐熱温度以上の温度に設定することができない。そのため、セルロース繊維が劣化しないように、融点が低い熱可塑性樹脂を用いることを余儀なくされるが、特許文献1においては、PBT樹脂を変性して低融点化して用いている。
特開2011−6530号公報
上記のように、セルロース繊維を添加することにより、軽量化や機械的強度の向上を図ることができる。しかしながら、上記の通り、セルロース繊維は有機物であるが故に耐熱性が十分とは言えず、加工温度を高くすることができない。そこで、セルロース繊維を用いながらも、一定以上の耐熱性を有し、機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物が望まれる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、セルロース繊維を用いながらも、一定以上の耐熱性を有し、かつ、機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
(1)熱可塑性樹脂と、下記(I)及び(II)をともに満たす微結晶セルロース繊維とを含む熱可塑性樹脂組成物。
(I)前記熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の、任意の箇所に含まれる150個以上の前記微結晶セルロース繊維から、繊維長を基準に上位10%の粒子群を抽出し、当該粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L及び繊維径を測定し、繊維長L÷繊維径にて算出した比Aの平均値が5以上である。
(II)a及びbを定数として、前記粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L、及び繊維長L÷繊維径の比Aをもとに、式「A=a×L+b」にて前記粒子群を回帰分析して得られる換算式における定数bの値が5以上である。
(2)微結晶セルロース繊維の下記(III)で示される熱分解温度が265℃以上である前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(III)前記微結晶セルロース繊維を、30℃から600℃まで10℃/minで昇温した際に、105℃における重量に対し1%の重量減少が見られる温度。
本発明によれば、セルロース繊維を用いながらも、一定以上の耐熱性を有し、かつ、機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂中に溶融混練された後の繊維長L÷繊維径の比A及び、A=a×L+bの回帰分析により得られる定数bがともに5以上の微結晶セルロース繊維とを含むことを特徴としている。
以下に、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中の各成分について説明する。
[熱可塑性樹脂]
本実施形態に係る熱可塑性樹脂は、併用する微結晶セルロース繊維の熱分解温度よりも融点が低い熱可塑性樹脂(結晶性樹脂)が用いられる。微結晶セルロース繊維の熱分解温度よりも融点が高い樹脂を用いると、加工温度が微結晶セルロースの耐熱温度を超え、微結晶セルロースが劣化、変色するといった問題が生じるからである。当該熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT樹脂」とも呼ぶ。)、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。以下に、PBT樹脂を挙げて説明するが、本実施形態においてはそれに限定されるものではない。
(ポリブチレンテレフタレート樹脂)
PBT樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られる樹脂である。PBT樹脂は、ホモポリブチレンテレフタレートに限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物の効果を阻害しない限り特に限定されない。PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。
PBT樹脂の固有粘度(IV)は、0.65〜1.20dL/gであることが好ましい。かかる範囲の固有粘度のPBT樹脂を用いる場合には、得られる樹脂組成物が特に機械的特性と流動性に優れたものとなる。逆に固有粘度0.65dL/g未満では優れた機械的特性が得られず、1.20dL/gを超えると優れた流動性が得られないことがある。
また、固有粘度が上記範囲のPBT樹脂は、異なる固有粘度を有するPBT樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度0.9dL/gのPBT樹脂と固有粘度0.7dL/gのPBT樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.8dL/gのPBT樹脂を調製することができる。PBT樹脂の固有粘度(IV)は、例えば、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
PBT樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
PBT樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に使用できるコモノマー成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−カルボキシ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(ε−カプロラクトン等)等のC3−12ラクトン;これらのコモノマー成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体、酸ハロゲン化物、アセチル化物等)が挙げられる。
[微結晶セルロース繊維]
本実施形態においては、熱可塑性樹脂中に溶融混練された後の熱可塑性樹脂組成物において、下記の条件(I)及び(II)をともに満たす状態となる微結晶セルロース繊維を用いる。
(I)熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の、任意の箇所に含まれる150個以上の前記微結晶セルロース繊維から、繊維長を基準に上位10%の粒子群を抽出し、当該粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L及び繊維径を測定し、繊維長L÷繊維径にて算出した比Aの平均値が5以上である。
(II)a及びbを定数として、前記粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L、及び繊維長L÷繊維径の比Aをもとに、式「A=a×L+b」にて前記粒子群を回帰分析して得られる換算式における定数bの値が5以上である。
なお、条件(I)において、成形品に含まれる微結晶セルロース繊維を抽出する際には、成形品の任意の箇所を切削して採取した小片状の試料を加熱加圧して、例えば厚さ50μm程度の薄膜フィルムにした状態で顕微鏡を用いて観察する。そのときの温度は熱可塑性樹脂の融点+20℃の温度であり、圧力は上記の厚さに加工できるよう、熱可塑性樹脂の粘度等を考慮して適宜調節すればよい。なお、薄膜フィルムの厚さについても、50μmはあくまで目安であり、これに限定される訳ではない。すなわち、フィルムが厚すぎて微結晶セルロース繊維が重なり合い、観察が困難になってしまうような場合はより薄くすればよく、反対にフィルムが薄すぎて微結晶セルロース繊維が潰れて本来の形状が測定できないような場合はより厚くすればよい。
微結晶セルロース繊維が当該条件を満たすものであることで、樹脂組成物の機械的強度を向上させることができる。逆に、当該条件を満たさないものであると樹脂組成物の機械的強度に劣る。さらに、上記微結晶セルロース繊維により、樹脂組成物の耐トラッキング性の向上を図ることもできる。
上述の条件(I)における繊維長L÷繊維径の比A、及び条件(II)における換算式中の定数bの値はいずれも5.2以上が好ましく、5.5以上(例えば6以上)がより好ましい。当該比A及び定数bの上限は、通常15である。このような微結晶セルロースは、パルプ原料から、セルロース結晶部を取り出して得ることができる。
また、微結晶セルロース繊維は、一般的なセルロース繊維よりも耐熱温度が高いため、比較的融点が高い(例えば220℃以上の)熱可塑性樹脂に添加して用いることができる。
ここで、前記比Aと定数bの測定方法についてより具体的に説明する。以下の説明は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形品における比A及び定数bの測定・算出方法についての説明である。まず、成形品の一部を採取してガラス板に挟み、熱可塑性樹脂の融点+20℃の温度で加熱加圧し、厚さ50μm程度の薄膜フィルムを作製する。作製した薄膜フィルムを光学顕微鏡で観察し、150個以上のセルロース粒子(繊維)のうち、繊維長を基準に大きいものから上位10%の粒子群を抽出する。なお、光学顕微鏡の倍率は対象の微結晶セルロース粒子(繊維)のサイズに応じ適宜選択可能であり、通常500〜1200倍である。抽出した粒子群中の個々のセルロース粒子(繊維)の繊維長L及び繊維径(直径)を測定し、繊維長L÷繊維径の比Aを算出する。次いで、定数a及びbと、上記の比A及び繊維長Lによる式「A=a×L+b」にて上記粒子群を回帰分析して換算式を得て、定数bの値を求める。この式は比Aと繊維長Lの一次式であることから、定数bは、繊維長Lが限りなく小さい場合における繊維長L÷繊維径の比Aということができる。
なお、微結晶セルロース繊維は、熱可塑性樹脂との溶融混練などにより切断されて繊維長Lが変化するため、溶融混練前後で比Aや定数bの数値が異なるが、本実施形態における比Aや定数bは、溶融混練後、つまり切断された後における数値である。
本実施形態に係る微結晶セルロース繊維の繊維径は1〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。この繊維径とは、上述の微結晶セルロース繊維の繊維長の測定と同様である。すなわち、まず、成形品の一部を採取してガラス板に挟み、熱可塑性樹脂の融点+20℃の温度で加熱加圧して作製した薄膜フィルムを光学顕微鏡(倍率は対象の微結晶セルロース繊維のサイズに応じ適宜選択、通常500〜1200倍)で観察する。次いで、150個以上の微結晶セルロース繊維のうち、繊維長を基準に大きいものから上位10%を抽出した個々の微結晶セルロース粒子(繊維)の直径を測定し、それを平均した値が繊維径である。ここで、微結晶セルロース繊維の断面が真円でない場合や、1個の繊維の中で直径が均一でなく場所による違いがある場合は、それらの最大値を繊維径の値とする。これは上述の繊維長L÷繊維径の比Aの算出における繊維径の測定においても同様である。また、微結晶セルロース繊維の繊維長は、上述の条件(I)及び(II)を満たすものである限り特に制限はない。なお、本実施形態に係る微結晶セルロース繊維は、繊維径の下限が1μmであることから、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルは含まない。
本実施形態において、微結晶セルロース繊維の熱分解温度は265℃以上であることが好ましい。当該熱分解温度が265℃以上であると、併用する熱可塑性樹脂として、例えば250℃程度の高い融点のものを選択することが可能となる。そして、この場合、加工温度を270℃程度とすることができる。微結晶セルロース繊維の熱分解温度は270℃であることがより好ましく、280℃以上であることがさらに好ましい。この熱分解温度は、示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6200)を用い、窒素雰囲気下で、30℃から600℃まで、10℃/minで昇温した際の重量減少を測定することで求めることができる。なお、100℃近傍から水分の乾燥による重量減少が生じるため、105℃での重量(水分が抜けた後の重量)から1%の重量が減少した温度を熱分解温度とした。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、微結晶セルロース繊維の含有量は、十分な機械的強度を得る観点から、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、3〜50質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましい。
[他の成分]
本実施形態においては、その効果を害さない範囲で、上記各成分の他、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ち、バリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤、耐加水分解性向上剤、流動性改良剤、靱性改良剤等を配合してもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を得る方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで成形品を作製することができる。
以下に、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜3、参考例]
各実施例・比較例において、表1に示す比率(質量%)で、PBT樹脂と、微結晶セルロース繊維とを原料とし、32mmφの2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、押出しペレットを得た。具体的には、原料供給部とダイ先端部をシリンダ温度260℃、その間を200〜260℃とし、吐出量15kg/h、スクリュ回転数200rpmで上記原料を溶融混練して押出し、PBT樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物)からなるペレットを得た。また、比較例3ではセルロース繊維以外の微粒子状フィラーとして、タルクを添加して、同様の溶融混練によりPBT樹脂組成物からなるペレットを得た。参考例においては、PBT樹脂を単独で用いてペレットを得た。表1に示す各成分の詳細を以下に示す。なお、セルロース繊維1〜3は微結晶セルロース繊維である。
PBT樹脂:ウィンテックポリマー(株)製、固有粘度0.8dl/g、CEG=28meq/kgのポリブチレンテレフタレート樹脂
セルロース繊維1:JRS Pharma製、VIVAPUR 105
セルロース繊維2:旭化成(株)製、CEOLUS ST−100
セルロース繊維3:JRS Pharma製、HEWETEN 101
セルロース繊維4:日本製紙(株)製、KCフロック W−50GK
タルク:松村産業(株)製、クラウンタルクPP
Figure 2019124199
微結晶セルロース繊維1〜4の繊維長L、繊維径、繊維長L÷繊維径の比A、回帰分析により求めたA=a×L+bにおける定数b、及び熱分解温度を下記表2に示す。なお、比A及び定数bは既述のようにして求めた。従って、表2に示す繊維長などの最大及び最小は、繊維長が大きいものから上位10%を抽出したうちの最大及び最小であり、平均値は抽出したものの平均値である。
Figure 2019124199
[評価]
上記のようにして得られた、各実施例・比較例のPBT樹脂組成物及び参考例のPBT樹脂を、射出成形機(東芝機械製、EC40)に投入して、シリンダ温度260℃、金型温度90℃にて、ISO3167に準拠し、厚み4mmtの1A型引張試験片を成形した。
(1)明度(L値)
得られた試験片の明度(L値)を、日本電色工業(株)製SE6000を用いて測定した。測定結果を表1に示す。一般的に明度(L値)の数値が大きいほど、熱による変色が抑えられ、特に耐熱性が高いことを示す。
(2)曲げ強さ・曲げ弾性率・曲げ破断歪
得られた試験片を切削し、ISO3167に準じた曲げ試験片(幅10mm、厚み4mmt)を作製し、ISO178に準じて曲げ強さ、曲げ弾性率及び曲げ破断歪みを測定した。測定結果を表1に示す。
(3)曲げ強さの成形品内バラつき
日本製鋼所製射出成形機(型締力40トン)のシリンダ部にガス注入機構(窒素ボンベに接続された発泡剤供給機構と導入速度調整容器とを備え、所定の圧力でガスを注入する機構)を設置した射出発泡成形機を用い、以下のようにして発泡成形品を得た。すなわち、まず、6MPaに制御した状態でシリンダの飢餓ゾーンにダイレクトに注入した窒素ガスと、飢餓供給にてホッパより適正量のペレットを供給して計量可塑化した実施例・比較例のPBT樹脂組成物とを混練した。次いで、シリンダ温度260℃、金型温度80MPa、保圧0MPaにて射出発泡成形を行い、80mm×80mm×2mmの平板状の発泡成形品(幅80mm、厚さ1.5mmのフィルムゲート)を得た。発泡成形品の重量減少率(窒素ガスを注入せず、保圧を60MPaとして通常の射出成形を行った未発泡の成形品に対する、発泡成形品の重量減少率)は、発泡成形時のV−P射出切替え位置の変更により調整し、10%となるようにした。その後、発泡成形品を、ゲート側の端辺及び反ゲート側の端辺からそれぞれ13mm幅で切断し、80mm×13mm×2mmの短冊状試験片を得た。このようにして得たゲート側の短冊状試験片と反ゲート側の短冊状試験片を用いて、オリエンテック社製万能試験機RTC−1325Aにて、上押し治具R5mm、下支持台R2mm、スパン32mm(片側16mm)、速度2mm/minの条件で曲げ強さを測定し、曲げ強さの成形品内バラつきを評価した。また、窒素ガスを注入せず、保圧を60MPaとして通常の射出成形を行った未発泡成形品でも同様に、曲げ強さの成形品内バラつきを評価した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1及び2においては、曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げ破断歪及び発泡成形品における曲げ強さの成形品内バラつきが良好な結果が得られたことが分かる。つまり、加工温度の高い熱可塑性樹脂中に溶融混練されても強度低下が生じておらず、耐熱性及び機械的特性の優れた樹脂組成物が得られていることが分かる。なお、実施例1では、特に熱分解温度の高い微結晶セルロースを用いているため、明度も良好なものとなっている。また、実施例2では発泡成形品において、特にゲート側と反ゲート側での曲げ強度の差が小さく、成形品内での強度バラつきが小さいものが得られている。これについて、実施例1、2とも未発泡成形品では成形品内での強度バラつきが小さかったのに対し、発泡成形品では実施例1と2で成形品内の強度バラつきに差が生じている。この理由は定かではないが、微結晶セルロースの形状によって成形品内の発泡状態の均一性に差が生じるためである可能性があり、実施例2のような比Aの最大値と最小値の差が小さい(例えば10以下となる)微結晶セルロース繊維を用いることで、成形品内の発泡状態のバラつき、ひいては曲げ強さの場所によるバラつきを抑えられたものと推測される。これらに対して、比Aと定数bが5未満の微結晶セルロース繊維を用いた比較例1は、明度は良好であったが、機械的特性において劣っていた。また、従来のセルロース繊維を用いた比較例2は、比Aや定数bは高くとも熱分解温度が低いため、加工温度の高い熱可塑性樹脂中に溶融混練された際の変色や強度低下により、機械的特性や明度に劣っていた。
[実施例3〜6、比較例4]
各実施例・比較例において、表3に示す比率(質量%)で、PBT樹脂と、微結晶セルロース繊維及び/又はガラス繊維とを原料とし、実施例1と同様にしてペレットを得た。なお、PBT樹脂及び微結晶セルロース繊維(セルロース繊維1又は2)は、実施例1〜2で示したものと同じである。また、ガラス繊維は以下の通りである。
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製、ECS03T−187(平均繊維径13μm、平均繊維長3mm)
[評価] 〜耐トラッキング性〜
実施例3〜6、比較例4及び参考例で得られたペレットを用い、IEC60112第3版に準拠して試験片を作製しつつ、0.1質量%塩化アンモニウム水溶液と白金電極を用いて、試験片にトラッキングが生じる印加電圧(V:ボルト)を測定した。なお、最大印加電圧は600Vである。測定結果を表3に示す。
Figure 2019124199
表3より、実施例3及び4と参考例はいずれも最大印加電圧の600Vであり、これらの例の比較から、セルロース繊維1及び2、すなわち微結晶セルロース繊維は樹脂組成物の耐トラッキング性を悪化させないことが分かる。
一方、微結晶セルロース繊維の代わりにガラス繊維を用いた比較例4においては、耐トラッキング性が悪化している。ところが、比較例4におけるガラス繊維の添加量はそのままとし、セルロース繊維2(微結晶セルロース繊維)を添加した実施例5及び6においては耐トラッキング性が比較例4よりも改善している。
以上より、微結晶セルロース繊維を添加することにより、樹脂組成物の耐トラッキング性を向上することが可能であることが分かる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂と、下記(I)及び(II)をともに満たす微結晶セルロース繊維とを含む熱可塑性樹脂組成物。
    (I)前記熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の任意の箇所に含まれる、150個以上の前記微結晶セルロース繊維から、繊維長を基準に上位10%の粒子群を抽出し、当該粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L及び繊維径を測定し、繊維長L÷繊維径にて算出した比Aの平均値が5以上である。
    (II)a及びbを定数として、前記粒子群中の個々の前記微結晶セルロース繊維の繊維長L、及び繊維長L÷繊維径の比Aをもとに、式「A=a×L+b」にて前記粒子群を回帰分析して得られる換算式におけるbの値が5以上である。
  2. 前記微結晶セルロース繊維の下記(III)で示される熱分解温度が265℃以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    (III)前記微結晶セルロース繊維を30℃から600℃まで10℃/minで昇温した際に、105℃における重量に対し1%の重量減少が見られる温度。
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