JP2013249343A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、摺動部品及び複合部品 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、摺動部品及び複合部品 Download PDF

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JP2013249343A JP2012123254A JP2012123254A JP2013249343A JP 2013249343 A JP2013249343 A JP 2013249343A JP 2012123254 A JP2012123254 A JP 2012123254A JP 2012123254 A JP2012123254 A JP 2012123254A JP 2013249343 A JP2013249343 A JP 2013249343A
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美香 神谷
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Abstract

【課題】金属との摺動性、特に高荷重下での耐摩耗性を備える成形体を得ることができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び当該ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる摺動部品と、金属からなる相手材とを備える複合部品を提供すること。
【解決手段】本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリエチレン樹脂(B)を10質量部以上100質量部以下含み、摺動剤(C)を1質量部以上10質量部以下含み、無機充填剤(D)を30質量部以上60質量部以下含み、相溶化剤(E)を0.5質量部以上15質量部以下含み、上記相溶化剤(E)はグリシジル基含有反応性化合物である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、摺動部品及び複合部品に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的性質、電気的性質、化学的性質等の諸特性に優れるとともに、加工性が良好であることから、エンジニアリングプラスチックとして、自動車部品、電気・電子部品、OA機器部品等、幅広い用途に使用されている。
上記の用途において、ローラー、歯車、金属シャフトの軸受け等の摺動部品へのポリブチレンテレフタレート樹脂の使用が広がっている。このような摺動部品は、使用時に摺動や滑動等の動きを伴うため、高い耐摩耗性を備えることが要求される。
ここで、摺動部品に耐摩耗性を与えるために、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリエチレン及び繊維状強化材等を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
特開平05−222278号公報
しかし、特許文献1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られる成形体は、特に高面圧下での摺動における耐摩耗性が十分に高くなかった。
本発明は、特に高面圧下での耐摩耗性を備える成形体を得ることができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び当該ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる摺動部品と、金属からなる相手材とを備える複合部品を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、相溶化剤が配合されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)、ポリエチレン樹脂(B)、摺動剤(C)、無機充填剤(D)、及び、相溶化剤(E)としてグリシジル基含有反応性化合物を所定量含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によれば、特に高面圧下での耐摩耗性を備える成形体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、
ポリエチレン樹脂(B)を10質量部以上100質量部以下含み、
摺動剤(C)を1質量部以上10質量部以下含み、
無機充填剤(D)を30質量部以上60質量部以下含み、
相溶化剤(E)を0.5質量部以上15質量部以下含み、
上記相溶化剤(E)はグリシジル基含有反応性化合物である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(2) 上記ポリエチレン樹脂(B)は、高密度ポリエチレンである(1)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(3) 上記摺動剤(C)は、脂肪酸エステルである(1)又は(2)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、面圧0.49MPa及び0.98MPaにおいて下記の方法で測定された自材摩耗量が20mg以下である摺動部品。
回転側:自材
固定側:鋼材製の試験サンプル
線速度:30.0cm/秒
摺動時間:24時間
摺動面積:2.0cm
雰囲気温度:23℃
自材摩耗量(mg)=摺動前の試験片の質量−摺動後の試験片の質量
(5) 面圧0.98MPaでの自材摩耗量が10mg以下である(4)に記載の摺動部品。
(6) (1)から(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる摺動部品、又は、(4)もしくは(5)に記載の摺動部品と、
金属からなる相手材と、を備える複合部品。
本発明によれば、特に高面圧下での耐摩耗性を備える成形体を得ることができるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び当該ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる摺動部品と、金属からなる相手材とを備える複合部品が提供される。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物>
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)、ポリエチレン樹脂(B)、摺動剤(C)、無機充填剤(D)、及び相溶化剤(E)を含む。以下、各成分について説明する。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)はホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体が好ましい。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に使用できるコモノマー成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−カルボキシ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(ε−カプロラクトン等)等のC3−12ラクトン;これらのコモノマー成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体、酸ハロゲン化物、アセチル化物等)が挙げられる。
以上説明したコモノマー成分を共重合したポリブチレンテレフタレート共重合体は、いずれもポリブチレンテレフタレート樹脂(A)として好適に使用できる。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)として、ホモポリブチレンテレフタレート重合体とポリブチレンテレフタレート共重合体とを組み合わせて使用してもよい。
[ポリエチレン樹脂(B)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物にポリエチレン樹脂(B)を配合することで、当該樹脂組成物から得られる成形体に耐摩耗性を付与できるため、成形体の摺動性を向上させることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して10質量部以上100質量部以下、好ましくは10質量部以上60質量部以下のポリエチレン樹脂(B)を含む。ポリエチレン樹脂(B)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して100質量部超であると、ポリブチレンテレフタレート樹脂の持つ機械特性、耐熱性及び耐薬品性が損なわれる可能性がある。ポリエチレン樹脂(B)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して10質量部未満であると、成形体に好ましい耐摩耗性を付与できない可能性がある。
本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)としては、特に限定されないが、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。上記のうち、高密度ポリエチレンを使用すると、特に高い耐摩耗性を付与された成形体が得られる点で好ましい。
本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)が低密度ポリエチレンである場合、樹脂の密度は0.91g/cm以上0.925g/cm未満である。本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)が中密度ポリエチレンである場合、樹脂の密度は0.925g/cm以上0.94g/cm未満である。本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)が高密度ポリエチレンである場合、樹脂の密度は0.94g/cm以上である。高密度ポリエチレンの密度の上限は、靭性を損なわないという観点で0.97g/cmが好ましい。密度が0.91g/cmより小さいと本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られる成形体の剛性が低下する可能性がある。
本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)はISO11443に準拠した、温度260℃、せん断速度1216s−1で測定した溶融粘度(MV)が、50Pa・s以上220Pa・s以下である。50Pa・sより小さいと、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られる成形体の剛性が低下する可能性がある。220Pa・sを超えると本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形性が悪化する可能性がある。
本発明において用いるポリエチレン樹脂(B)としては、バイオ由来の原料を用いて重合したポリエチレン樹脂を用いてもよい。特に、バイオエタノールを脱水して得られるエチレンを用いて重合したポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。かかるポリエチレン樹脂を用いることにより、将来的に枯渇が懸念される石油資源の使用量を低減することができる。また、原料となる植物が光合成により二酸化炭素を吸収しているとして材料の二酸化炭素排出量を、ライフサイクル全体で考えるカーボンニュートラルの構想に基づき二酸化炭素排出量を低減することが可能となる。
[摺動剤(C)]
摺動剤とは、成形体に耐摩耗性を与える成分である。本発明における摺動剤は、ポリエチレン樹脂(B)とともに、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られる成形体に優れた耐摩耗性を付与する。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において用いる摺動剤(C)は脂肪酸エステルが好ましい。このような脂肪酸エステルとしては、長鎖脂肪酸とアルコールとのエステルが挙げられる。
本発明において用いる脂肪酸エステルを構成する長鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、長鎖脂肪酸の一部の水素原子がヒドロキシル基等の置換基で置換されたものも使用できる。本発明において用いる長鎖脂肪酸としては、炭素数10以上の1価又は2価の脂肪酸、炭素数10以上の一価の不飽和脂肪酸、炭素数10以上の二価の脂肪酸(二塩基性脂肪酸)が挙げられる。上記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸も含まれる。また、長鎖脂肪酸の誘導体には、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミド等が含まれる。
本発明において用いる脂肪酸エステルの構造は特に制限されず、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用できる。脂肪酸エステルの具体例としては、エチレングリコールモノ又はジパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジステアリン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジベヘン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジモンタン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリパルミチン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリステアリン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリベヘン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリモンタン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラモンタン酸エステル、ポリグリセリントリステアリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノウンデシル酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)のモノ又はジラウレート、モノ又はジパルミテート、モノ又はジステアレート、モノ又はジベヘネート、モノ又はジモンタネート、モノ又はジオレート、モノ又はジリノレート等が挙げられる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下の摺動剤(C)を含む。摺動剤(C)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して10質量部超であると、成形時のガス発生量が増加するため、成形品の外観が損なわれたり、金型の汚れを生じたり等の問題が起こる可能性がある。摺動剤(C)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して1質量部未満であると、成形体に好ましい耐摩耗性を付与できない可能性がある。
[無機充填剤(D)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に無機充填剤(D)が配合されることにより、当該樹脂組成物から構成される成形体に高い強度を与えることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して30質量部以上60質量部以下の無機充填剤(D)を含む。無機充填剤(D)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して30質量部未満であると、成形体の強度を損なう可能性がある。無機充填剤(D)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して60質量部超であると、成形体に好ましい耐摩耗性を付与できない可能性がある。
本発明において用いる無機充填剤(D)は、繊維状充填剤、板状充填剤、粒状充填剤等が挙げられる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、公知のガラス繊維がいずれも好ましく用いられ、ガラス繊維径や、円筒、繭形断面、長円断面等の形状、あるいはチョップドストランドやロービング等の製造に用いる際の長さやガラスカットの方法にはよらない。本発明では、ガラスの種類にも限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を含む耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
上記の通り、ガラス繊維の繊維長、繊維径も一般的な範囲内にあればよい。例えば、繊維長が2.0mm以上6.0mm以下、繊維径が9.0μm以上14.0μm以下のものを使用可能である。
[相溶化剤(E)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ポリエチレン樹脂との相溶性が十分ではないことが知られる。そのため、樹脂組成物にこれらの成分を単に配合しても、ポリブチレンテレフタレート樹脂中でポリエチレン樹脂が細かく分散しないため、均一な特性を有する成形体が得られない可能性がある。また、樹脂組成物から得られる成形体において、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレン樹脂との層間剥離や、衝撃強度の低下が生じる可能性がある。しかし、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)及びポリエチレン樹脂(B)に加えて(C)相溶化剤を含むため、ポリエチレン樹脂(B)とポリブチレンテレフタレート樹脂(A)との相溶性が高められる。従って、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によれば、均一な特性を有し、層間剥離が抑制され、耐衝撃性に優れる成形体が得られる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、相溶化剤(E)としてグリシジル基含有反応性化合物を含む。本発明において用いるグリシジル基含有反応性化合物としては、グリシジル基を有する単量体及びエチレン系単量体から構成される反応性共重合体が挙げられる。これらの単量体に加えて、メタクリル酸アルキルエステル系単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体等を含む3種以上の単量体から構成されるグリシジル基含有反応性化合物を使用してもよい。
グリシジル基含有反応性化合物は、グリシジル基を有する単量体を2質量%以上15質量%以下、エチレン系単量体を60質量%以上98質量%以下、メタクリル酸アルキルエステル系単量体を0質量%以上30質量%以下、アクリル酸アルキルエステル系単量体を0質量%以上30質量%以下で構成されていてもよい。好ましいグリシジル基含有反応性化合物は、エポキシ当量が1000g/eq以上5000g/eq以下である。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下の相溶化剤(E)を含む。相溶化剤(E)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0.5質量部未満であると、ポリエチレン樹脂(B)とポリブチレンテレフタレート樹脂(A)とを好ましく相溶させることができない可能性がある。相溶化剤(E)の配合量がポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して15質量部超であると、成形体の加工性が低下する可能性がある。
[その他の成分]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の添加剤、その他の樹脂等を挙げることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中の、その他の成分の含有量は特に限定されないが、その他の成分の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、総量で通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の調製法の具体的態様は、特に限定されず、樹脂組成物及び成形体の調製法として公知の設備や方法を使用して、樹脂組成物及び成形体を調製することができる。例えば、必要な成分を混合し、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して混練し、成形用ペレットとして調製することができる。また、押出機又はその他の溶融混練装置は複数台使用してもよい。また、全ての成分をホッパから同時に投入してもよいし、一部の成分はサイドフィード口から投入してもよい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によれば、特に高面圧下での耐摩耗性が付与された成形体(摺動部品等)を得ることができる。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の特性]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐摩耗性は、当該樹脂組成物から構成された成形体を、公知の摩擦摩耗試験機を用いて摩耗量を計測することで評価する。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られた成形体が摺動部品であるとき、当該摺動部品と摺動する相手材としては、特に限定されないが、金属(炭素鋼、ステンレス等)、樹脂組成物(ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物等)を成形した摺動部品等を使用できる。本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られた摺動部品及び上記の相手材は、組み合わせて複合部品として使用できる。本発明における摺動部品は、例えば金属のような硬度の高い材質からなる相手材と組み合わせても、高い耐摩耗性を奏する。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られた摺動部品は、高い耐摩耗性を有する。具体的には、当該摺動部品の耐摩耗性は、下記の方法で測定された、面圧0.49MPa及び0.98MPaにおける自材摩耗量が20mg以下であることが好ましい。さらに、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から得られた摺動部品は、0.98MPaにおける自材摩耗量が10mg以下であることが好ましい。
(摺動部品の耐摩耗性の測定方法)
自材を回転側に設置し、鋼材製の試験サンプルを固定側に設置し、下記の条件下で摺動させ、摺動前の試験片の質量から、摺動後の試験片の質量を減じ、自材摩耗量(単位;mg)を算出する。
面圧:0.49MPa、又は、0.98MPa
線速度:30.0cm/秒
摺動時間:24時間
摺動面積:2.0cm
雰囲気温度:23℃
また、近年、環境基準への対応の必要性から、OA・電気機器等の分野においては、バイオ由来の原料の使用に対する要求が高まっている。従って、これらの分野においては、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、ポリエチレン樹脂(B)として、バイオ由来の原料を用いて重合したポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。このような原料を用いて得られた樹脂組成物は、ローラー、歯車、軸受け等の摺動部品の製造のために好ましく使用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<材料>
実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は以下の通りである。
ポリブチレンテレフタレート(PBT);「ジュラネックス(登録商標)2002」(ウィンテックポリマー株式会社製)
高密度ポリエチレン(HDPE);「SHA7260」(Braskem社製)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);「SLL−318」(Braskem社製)
アクリロニトリル−スチレン変性ポリエチレン(AS変性PE);特開平05−222278号公報に記載の方法で当該文献の多相構造熱可塑性樹脂A−2を製造した。
相溶化剤;「ボンドファーストE」(住友化学社製)
摺動剤;「LOXIOL
VPG861」(コグニスジャパン社製)
ガラス繊維;「ECS03T−187」(日本電気硝子社製)
上記材料を表1に示す割合(表中の数値の単位は質量部である)で含む樹脂組成物を射出成形し、成形体を得た。
<摺動性の評価>
摩擦摩耗試験機を用いて、下記条件に従い、得られた成形体の摺動性を評価した。
(摺動条件)
試験機:スラストタイプ摩擦摩耗試験機(株式会社オリエンテック社製)
面圧:0.49MPa、又は、0.98MPa
線速度:30.0cm/秒
摺動時間:24時間
摺動面積:2.0cm
雰囲気温度:23℃
摩擦摩耗試験機に、実施例及び比較例の樹脂組成物を射出成形して得られた摺動評価用試験サンプル(すなわち、上記で得られた成形体を指し、自材とも言う)を回転側に設置し、鋼材(S45C)製の試験サンプルを固定側に設置した。なお、摺動評価用試験サンプルは、それぞれ外径Φ25.6mm、内径Φ20mmの円筒形状品である。
各鋼材及び成形体について、摺動前後の試験片の質量を計測した。摺動前の試験片の質量から、摺動後の試験片の質量を減じて摩耗量(単位;mg)を算出した。得られた摩耗量の値を表1に示す。
Figure 2013249343
実施例において、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に、ポリエチレン樹脂(B)、及び(C)摺動剤が配合された実施例1〜3の樹脂組成物から構成された成形体においては、摺動性が大幅に改善された。特に、高密度ポリエチレンを配合した場合、高面圧下での耐摩耗性が極めて良好であることが確認された(実施例3)。
また、低密度ポリエチレンを配合した場合は面圧によらず安定して良好な摺動性が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、
    ポリエチレン樹脂(B)を10質量部以上100質量部以下含み、
    摺動剤(C)を1質量部以上10質量部以下含み、
    無機充填剤(D)を30質量部以上60質量部以下含み、
    相溶化剤(E)を0.5質量部以上15質量部以下含み、
    前記相溶化剤(E)はグリシジル基含有反応性化合物である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 前記ポリエチレン樹脂(B)は、高密度ポリエチレンである請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 前記摺動剤(C)は、脂肪酸エステルである請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、面圧0.49MPa及び0.98MPaにおいて下記の方法で測定された自材摩耗量が20mg以下である摺動部品。
    回転側:自材
    固定側:鋼材製の試験サンプル
    線速度:30.0cm/秒
    摺動時間:24時間
    摺動面積:2.0cm
    雰囲気温度:23℃
    自材摩耗量(mg)=摺動前の試験片の質量−摺動後の試験片の質量
  5. 面圧0.98MPaでの自材摩耗量が10mg以下である請求項4に記載の摺動部品。
  6. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる摺動部品、又は、請求項4もしくは5に記載の摺動部品と、
    金属からなる相手材と、を備える複合部品。
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