JPWO2019098255A1 - 油脂含有排水処理方法、システムおよび装置 - Google Patents

油脂含有排水処理方法、システムおよび装置 Download PDF

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Abstract

油脂分解能力を有する微生物製剤を用いて、連続的に流入出し、雑多な微生物が存在する排水中の油脂の濃度を効果的に低下させる油脂含有排水処理方法、ならびに関連するシステムおよび装置を提供する。本発明は、油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程であって、該微生物製剤の投入量が微生物が油脂分解槽に定着できる量であり、油脂含有排水には該微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在する、工程を含む、油脂含有排水処理方法、ならびに関連するシステムおよび装置を提供する。

Description

本発明は、油脂分解能力を有する微生物製剤を用いた油脂含有排水処理方法、ならびに関連するシステムおよび装置に関するものである。
微生物による油脂分解が排水処理などに利用されている。食品工場及び油脂精製工場からの排水に含まれる多量の油分は、活性汚泥処理、膜分離活性汚泥法(MBR)、嫌気消化といった種々の排水処理プロセスの処理効率を大きく低下させるおそれがある。そこで、そのような排水を排出する工場の多くは、これら処理プロセスの前処理として、加圧浮上分離装置等を設置している。
加圧浮上分離装置は油分を固液分離により取り除くものであるが、(1)回収した大量の油性汚泥は産業廃棄物として処理されねばならない、(2)油分を浮上させるために凝集剤を大量に使用するとともに曝気により気泡を送って浮力を与える必要がある、(3)悪臭の発生源であり住宅地が近接している工場では脱臭装置を設置せねばならないこともある、(4)排水量及び油分含有量の変動の影響も受けやすいため運転管理にも労力を要する、(5)その結果として、産業廃棄物処理、稼働、管理、メンテナンス等にかかる費用が大きい、などの問題が存在する。
そこで、排水中の油分を分離しないで消滅させるような技術の確立が切望されている。こうした中、微生物による油脂分解技術の適用が試みられてきた。
そこで、本発明者は、油脂含有排水を効率的に処理する微生物として、油脂加水分解酵素であるリパーゼを分泌する新規微生物バークホルデリア・アルボリス(Burkholderia arboris)SL1B1株を報告している(特許文献1)。さらに、当該バークホルデリア・アルボリスと、リパーゼによる加水分解生成物であるグリセロールを分解する微生物(例えば、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea))とを併用することで油脂を効率的に分解することを報告している(特許文献2、非特許文献1)。また、当該バークホルデリア・アルボリスと、リパーゼは生産しないが遊離脂肪酸を分解するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)とを併用することでも油脂を効率的に分解可能であることを報告している(特許文献3)。この油脂分解能力であれば、加圧浮上分離装置を代替することが可能である。
しかし、いくら分解能力の高い微生物製剤を使用したとしても、その使い方が正しくないと目的の効果を得ることはできない。実際に、実験室で分解能力が認められた微生物も、現場で使用すると効果がないということが頻繁に生じる。その主な理由は、実験室の条件と実際の現場の条件が大きく違うことである。実験室では、多くの場合、滅菌された閉鎖系に目的微生物だけが植菌され、培養される。さらに、多くの培養がバッチで行わる。バッチと連続反応では、結果は全く異なる。そこで、実験室でも連続反応を実施することがある。しかし、多くの現場では、油脂分解槽への排水の流入と流出は連続的である一方、微生物製剤の投入は連続的でなく一定間隔になされる間欠式となる。その場合、従来の連続反応器の操作論が成り立たない。
また、排水処理は開放系で行われるため、投入微生物以外にも雑多な微生物が無数に存在する環境であり、油脂分解微生物のような目的微生物をそのような微生物コミュニティの中に安定的に定着(対象とする環境中で、目的微生物が淘汰されずに効果的に存在する状態)させる方法論は存在していない。その上、排水は連続的に一定の滞留時間をもって流出するため、目的の投入微生物が他の無数の微生物との生存競争に打ち勝って滞留時間より速い比増殖速度で増殖できないとウォッシュアウトしてしまうことになる。そのため、期待された分解効果を得られないことが多く、環境バイオテクノロジー分野の課題となっている。
ウォッシュアウトを避ける方法として、担体に微生物を固定する方法があるが、油が多い排水中では油が担体に付着してしまうという問題点の他、担体という新たな廃棄物の発生、担体にかかるコストといった新たな問題が生じる。
さらに、これまで、微生物製剤の使い方についてはあまり注意が払われず、効果を見ながら投入量及び投入間隔を感覚的に調整していることがほとんどである。実際に、現場によって、排水量も排水中の油脂濃度も多様であるため、画一的な方法論を確立することは難しかったのも事実である。その他にも、従来技術では、広範囲の油脂濃度に同じ微生物製剤を適用することが困難であるという問題がある。特に、食品工場及び油脂精製工場などから排出される高濃度の油脂に対して微生物製剤を適用することは困難であり、適用できたとしても、10 cells/mL以上の高濃度の微生物濃度が必要である。
特開2010−227858号公報 特開2010−227849号公報 特開2013−146689号公報
Journal of Bioscience and Biotechnology,Vol.107,No.4,401−408,2009
本発明は、油脂分解能力を有する微生物製剤を用いて、連続的に流入出し、雑多な微生物が存在する排水中の油脂の濃度を効果的に低下させる油脂含有排水処理方法、ならびに関連するシステムおよび装置を提供する。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に微生物製剤を投入する場合、従来の連続培養とは根本的に異なり、投入した微生物は油脂分解槽中では必ずしも増殖する必要はなく、一定数以上存在すれば、油脂の分解は可能であるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の油脂含有排水処理方法、ならびに関連するシステムおよび装置を提供するものである。
項A1.油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程であって、該微生物製剤の投入量が、微生物が油脂分解槽に定着するのに有効な量であり、油脂含有排水には該微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在する、工程を含む、油脂含有排水処理方法。
項A2.前記油脂分解槽は担体を含まない項A1に記載の処理方法。
項A3.前記微生物製剤が、リパーゼを生産する微生物、並びに脂肪酸及び/又はグリセロールを分解する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、項A1または2に記載の処理方法。
項A4.前記微生物製剤が、バチルス属細菌、コリネバクテリウム属細菌、ロドコッカス属細菌、バークホルデリア属細菌、アシネトバクター属細菌、シュードモナス属細菌、アルカリゲネス属細菌、ロドバクター属細菌、ラルストニア属細菌、アシドボラックス属細菌、セラチア属細菌、フラボバクテリウム属細菌、カンジダ属酵母、ヤロウィア属酵母、クリプトコッカス属酵母、トリコスポロン属酵母、及びハンゼヌラ属酵母からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、項A1〜3のいずれか1項に記載の処理方法。
項A5.前記排水が平均してノルマルヘキサン抽出物300mg/L以上の濃度の油脂を含む、項A1〜4のいずれか一項に記載の処理方法。
項A6.前記微生物製剤の投入量が、油脂分解槽中の排水に対して5.0×10〜1.0×10 cells/mLとなる量である、項A1〜5のいずれか一項に記載の処理方法。
項A7.前記微生物製剤の投入量が、前記油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cellsである、項A1〜6のいずれか一項に記載の処理方法。
項A8.前記微生物製剤の投入量が、前記油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cellsである、項A7に記載の処理方法。
項A9.前記油脂分解槽中の油脂含有排水の溶存酸素濃度が0.05 mg/L以上である、項A1〜8のいずれか一項に記載の処理方法。
項A10.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のpHが4.5〜9.0の範囲内である、項A1〜9のいずれか一項に記載の処理方法。
項A11.前記油脂分解槽中の油脂含有排水の温度が12〜42℃の範囲内である、項A1〜10のいずれか一項に記載の処理方法。
項A12.前記油脂分解槽の水理学的滞留時間(HRT)が1時間以上である、項A1〜11のいずれか一項に記載の処理方法。
項A13.前記油脂分解槽のHRTが12時間以上48時間以下である、項A1〜12いずれか一項に記載の処理方法。
項A14.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のC/Nが2〜50の範囲内である、項A1〜13のいずれか一項に記載の処理方法。
項A15.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のN/Pが1〜20の範囲内である、項A1〜14のいずれか一項に記載の処理方法。
項A16.前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物量が、1×10 cells/mL以下である、項A1〜15のいずれか一項に記載の処理方法。
項A17.前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物の濃度が、前記油脂分解槽に投入する投入時投入微生物の濃度の100倍以下である、項A1〜16のいずれか一項に記載の処理方法。
項A18.前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物の濃度が、前記油脂分解槽に投入する投入時投入微生物の濃度の0.1倍〜10倍である、項A17に記載の処理方法。
項A19.油脂含有排水処理のための油脂分解槽であって、
油脂分解タンクと、
ブロアと、
前記油脂分解槽中の油脂含有排水における溶存酸素濃度、温度、およびpHを検知するためのセンサーと
を備える、油脂分解槽。
項A20.項A1〜18のいずれか一項に記載の処理方法における使用のためのシステムであって、項A19に記載の油脂分解槽を備える、システム。
項A21.項A20に記載のシステムであって、
前記微生物製剤の保管槽と、
前記微生物製剤の増幅槽と、
をさらに備え、前記増幅槽において増幅された前記微生物製剤が前記油脂分解槽に投入されるように構成されている、システム。
項A22.さらに、項A1〜18のいずれか一項に記載の処理方法における前記各工程の1つまたは複数を制御または実施する実施/制御部を備える、項A21に記載のシステム。
項B1.油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程であって、該微生物製剤の投入量が、微生物が油脂分解槽に定着できる量であり、油脂含有排水には該微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在する、工程を含む、油脂含有排水処理方法。
項B2.前記微生物製剤が、リパーゼを生産する微生物、並びに脂肪酸及び/又はグリセロールを分解する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、項B1に記載の処理方法。
項B3.前記微生物製剤が、バチルス属細菌、コリネバクテリウム属細菌、ロドコッカス属細菌、バークホルデリア属細菌、アシネトバクター属細菌、シュードモナス属細菌、アルカリゲネス属細菌、ロドバクター属細菌、ラルストニア属細菌、アシドボラックス属細菌、セラチア属細菌、フラボバクテリウム属細菌、カンジダ属酵母、ヤロウィア属酵母、クリプトコッカス属酵母、トリコスポロン属酵母、及びハンゼヌラ属酵母からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、B項1又は2に記載の処理方法。
項B4.前記微生物製剤の投入量が、油脂分解槽中の排水に対して5.0×104〜1.0×107 cells/mLとなる量である、項B1〜3のいずれか一項に記載の処理方法。
項B5.前記油脂分解槽中の油脂含有排水の溶存酸素濃度が0.05 mg/L以上である、項B1〜4のいずれか一項に記載の処理方法。
項B6.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のpHが4.5〜9.0の範囲内である、項B1〜5のいずれか一項に記載の処理方法。
項B7.前記油脂分解槽中の油脂含有排水の温度が12〜42℃の範囲内である、項B1〜6のいずれか一項に記載の処理方法。
項B8.前記油脂分解槽のHRTが12時間以上である、項B1〜7のいずれか一項に記載の処理方法。
項B9.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のC/Nが2〜50の範囲内である、項B1〜8のいずれか一項に記載の処理方法。
項B10.前記油脂分解槽中の油脂含有排水のN/Pが1〜20の範囲内である、項B1〜9のいずれか一項に記載の処理方法。
本発明の方法によれば、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入することで、連続的に流入出し、雑多な微生物が存在する排水中の油脂の濃度を効果的に低下させることができる。本発明では、微生物は油脂分解槽中で必ずしも増殖する必要はなく、増殖できなくても油脂を分解できるという効果を発揮することを特徴とする。
また、本発明では、投入微生物以外にも雑多な微生物が存在し、油脂含有排水が連続的に流入出するという投入微生物が増殖しにくいプロセスであるが、該微生物を油脂分解槽中に定着させることが可能である。
本発明の方法は、広範囲の油脂濃度に対応可能であり、また、従来より低い濃度の微生物製剤が使用可能であるのでコストの面で優れている。
加えて、または代替的に、本発明の方法は排水中の油脂を十分に分解しつつ、分解槽からの流出水中の投入微生物量は従来より多くないため、環境によいという効果を奏し得る。
微生物による油脂分解における溶存酸素濃度(DO)の影響を示すグラフである。 微生物による油脂分解におけるpHの影響を示すグラフである。 微生物による油脂分解における温度の影響を示すグラフである。 微生物による油脂分解におけるC/Nの影響を示すグラフである。 微生物による油脂分解におけるN/Pの影響を示すグラフである。 低濃度油脂(ノルマルヘキサン値300 mg/L程度)排水における間欠式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 中濃度油脂(ノルマルヘキサン値3000 mg/L程度)排水における間欠式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 高濃度油脂(ノルマルヘキサン値10000 mg/L程度)排水における間欠式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 超高濃度油脂(ノルマルヘキサン値30000 mg/L程度)排水における間欠式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 低濃度油脂(ノルマルヘキサン値300 mg/L程度)排水における連続式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 中濃度油脂(ノルマルヘキサン値3000 mg/L程度)排水における連続式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 高濃度油脂(ノルマルヘキサン値10000 mg/L程度)排水における連続式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 超高濃度油脂(ノルマルヘキサン値30000 mg/L程度)排水における連続式投入による投入時の投入微生物濃度の影響を示すグラフである。 低濃度油脂(ノルマルヘキサン値300 mg/L程度)排水における滞留時間の影響を示すグラフである。 中濃度油脂(ノルマルヘキサン値3000 mg/L程度)排水における滞留時間の影響を示すグラフである。 高濃度油脂(ノルマルヘキサン値10000 mg/L程度)排水における滞留時間の影響を示すグラフである。 超高濃度油脂(ノルマルヘキサン値30000 mg/L程度)排水における滞留時間の影響を示すグラフである。 本発明の処理方法のためのシステムを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下、本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「からなる(consist of)」という意味をも包含する。
また、本明細書においてノルマルヘキサン(n−Hex)値とは、ノルマルヘキサンにより抽出される不揮発性物質の量であり、水中の油分(油脂、その加水分解産物など)の量を示す指標である。n−Hex値は、例えば、JIS K 0102に従って求めることができる。あるいは、本発明のn−Hex値は、例えば熱感応性ポリマー(例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPPAm))を用いて測定される相当値であってもよい。PNIPPAm抽出物質の測定は、例えば、株式会社共立理化学研究所(東京、日本)の油分測定試薬セットのような公知のキットを使用して行い得る。
本発明の油脂含有排水処理方法は、油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程であって、該微生物製剤の投入量が、微生物が油脂分解槽に定着できる量であり、油脂含有排水には該微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在する、工程を含むことを特徴とする。
本発明は、適切なプロセス条件の下で、排水中の油脂とその加水分解産物に由来するn−Hex値を低減させる技術である。
本発明における油脂含有排水としては、油脂を含有している排水であれば特に制限されず、例えば、飲食店、病院、ホテル等の排水、家庭排水、食品加工工場、油脂加工工場等から排出される産業排水等などが挙げられる。
本発明における排水中の油脂としては、特に制限されず、例えば、植物性油脂(綿実油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、米油、ごま油、パーム油、ヤシ油、落花生油等)、動物性油脂(ラード、牛脂、乳脂肪等)、魚油、これらの油脂の加工品(マーガリン、ショートニング、バター等)などが挙げられる。
本発明における油脂含有排水のn−Hex値は、特に制限されず、通常100〜40000 mg/L、好ましくは200〜30000 mg/L、より好ましくは300〜30000 mg/Lである。本発明は、平均n−Hex値300 mg/Lを超える油脂含有排水の処理に特に好ましい。好ましい実施形態においては、本発明の方法においては、処理すべき油脂含有排水のn−Hex値を測定し、その測定値に基づいて投入すべき微生物製剤量が決定され得る。本発明におけるn−Hex値の特定は、JIS K 0102に従って行ってもよいし、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPPAm))を用いて測定される相当値を用いて行ってもよい。
本発明における油脂含有排水には微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在している。本発明の方法は通常、開放系で行われるため、油脂含有排水中には雑多な微生物が存在する環境となる。油脂含有排水に存在する微生物数としては、例えば、1×10 cells/mL以上、1×10 cells/mL以上、1×10 cells/mL以上、1×10 cells/mL以上などが挙げられる。このような雑多な微生物が存在する環境は、純粋培養と違い投入した微生物製剤の微生物が増殖することが難しい環境である。
本発明において、油脂含有排水は油脂分解槽へ連続的に流入出する。ここでの「連続的」とは、絶えず油脂含有排水が流入及び流出している場合だけを意味するものではなく、流入及び流出が一旦停止する期間を有する場合も包含する。本発明の「連続的」とは、バッチ処理のような、閉鎖した槽において微生物が投入され、増殖し、分解処理が行われる系は包含しないことに留意されたい。
微生物製剤としては、油脂分解能力を有するものであれば特に制限無く使用することができる。微生物製剤中の微生物としては、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上を混合して使用する場合は、共生可能な微生物の組み合わせを使用することが望ましい。また、微生物製剤には、油脂分解を助ける共生菌を含ませることもできる。
微生物製剤の一例として、22〜35℃、pH = 5.5〜8.5、DO≧0.1 mg/L、バッチ培養の条件で、n−Hex値 = 10000 mg/L相当の油脂及び加水分解物産物の脂肪酸を、72時間内に、好ましくは48時間以内に、より好ましくは36時間以内に、より一層好ましくは24時間以内に80%以上分解する能力を有する微生物製剤が挙げられる。
微生物製剤には、リパーゼを生産する微生物、並びに(油脂のリパーゼによる分解産物である)脂肪酸及び/又はグリセロールを分解する微生物を好適に使用することができる。このような微生物としては、これらの性質を単独で有する微生物だけでなく、これらの性質を複数併せ持った微生物(例えば、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を分解する微生物)を使用することもできる。
リパーゼを生産する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母、より好ましくは真性細菌である。真性細菌としては、例えば、バチルス(Bacillus)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、バークホルデリア(Burkholderia)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、アシドボラックス(Acidovorax)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属細菌等を用いることができる。中でも、バークホルデリア属細菌、特にバークホルデリア・アルボリス(例えば、SL1B1株(NITE P−724)など)が好ましい。
グリセロールを分解(資化)する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母、より好ましくは酵母である。酵母としては、カンジダ(Candida)属酵母、特にカンジダ・シリンドラセア(例えば、SL1B2株(NITE P−714)など)が好ましい。
脂肪酸を分解(資化)する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母、より好ましくは酵母である。酵母としては、ヤロウィア(Yarrowia)属酵母、クリプトコッカス(Cryptococcus)属酵母、トリコスポロン(Trichosporon)属酵母、及びハンゼヌラ(Hansenula)属酵母、特にヤロウィア・リポリティカ(例えば、1A1株(NITE BP−1167)など)が好ましい。
微生物製剤を製造する際に使用する微生物の具体例としては、バークホルデリア・アルボリス、カンジダ・シリンドラセア、及びヤロウィア・リポティカが挙げられ、これらを2又は3種組み合わせて使用することが望ましい。
微生物は、公知の方法により培養することで製造することができる。微生物製剤の形態としては、例えば、液体状態、乾燥状態、ペースト状態、おがくず等の粉体・粒体に吸着させた状態が挙げられる。また、微生物製剤は、担体に固定した状態で使用することもできる。
このような担体を使用することでウォッシュアウトを避けることができる。担体の材質としては、微生物を固定できるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、炭素繊維(PAN系、ピッチ系、フェノール樹脂系等)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、アクリル樹脂、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、デキストリン、セラミックス、シリコン、金属、これらの複合体などが挙げられる。微生物の固定化率及び微生物の作用効率を高めるために、多孔質又は繊維状の担体を用いることが好ましい。また、ゲル状担体に微生物を包括してもよい。担体の形状は、例えば、立方体状、直方体状、円柱状、球状、円板状、シート状、膜状などが挙げられる。しかしながら、本発明の方法では、このような担体を使用しなくても十分な油脂分解効果が得られるので、担体の使用は必須ではない。
油脂分解槽への微生物製剤の投入方法は、連続式及び間欠式のいずれかである。間欠式とは、微生物製剤を定期的に投入する方式を意味する。
微生物製剤の油脂分解槽への投入量は、微生物が油脂分解槽に(安定的に)定着できる量である。ここで、「定着」とは、目的微生物が淘汰されずに油脂分解が可能な程度、油脂分解槽に存在する状態のことを意味する。すわなち、排水が連続的に流出する条件であっても、投入した微生物がウォッシュアウトされない状態のことである。
好ましい実施形態においては、本発明の油脂分解方法において担体を使用しない。本発明は予想外に、担体を使用することなく、処理排水の油脂含有量に応じて投入微生物量を決定し、従来より低い油脂分解槽内微生物濃度によって、ウォッシュアウトを回避しながらも排水中の油脂を十分に分解することを可能にした。ウォッシュアウトとは、連続系の流出速度に菌体増殖速度がおいつけず、濃度を維持できない現象をいう。一般的に、理想的な連続系は定常状態であり、下記式が成立する。
投入微生物量(cell/h)+微生物増殖量(cell/h)=流出微生物量(cell/h)
ここで、
投入微生物量(cell/h)=微生物製剤微生物濃度(cell/L)×微生物製剤添加速度(L/h)
微生物増殖量(cell/h)=比増殖速度(1/h)×槽内微生物濃度(cell/L)×槽容量(L)
流出微生物量(cell/h)=流出水中微生物濃度(cell/L)×排水流出速度(L/h)
である。
通常、投入微生物量は槽内の微生物増殖量より桁違いに低く、増殖した微生物によって排水処理を試みるのが当該分野の一般的な認識であった。しかしながら、本発明者は、微生物を増殖させることを企図せず、仮に投入した微生物が増殖しない場合でも補うことができるかを検討し、
投入微生物量=流出微生物量
で補うことを考えた。投入した微生物が増殖しない場合において、下記式が成立する。
微生物製剤中微生物濃度×微生物製剤添加量=流出水中微生物濃度×油脂分解槽体積
すなわち、
微生物製剤中微生物濃度×微生物製剤添加量/油脂分解槽体積
=投入時投入微生物濃度=流出水中微生物濃度
すなわち、投入微生物濃度が排水における油脂分解を担うことになる。当該分野では十分に油脂分解を行うためには、微生物を増殖させ、増殖した微生物によって油脂分解を達成する必要があると認識されていたが、本発明者は予想外に、投入微生物濃度によって、微生物の増殖に依存することなく油脂分解を達成することができることを見出した。もちろん、投入した微生物が増殖する場合であっても、本発明の利点は同様に享受可能である。
通常、微生物は炭素源を消費し、消費量に菌体収率を乗じた分を菌体成分に変換して増殖する。油脂分解における炭素源は油脂であるので、理論上は、油脂の分解に伴い菌体が増殖する。増殖量を決めるのが菌体収率であり、多くの場合、0.5程度であるが、環境条件によって変わる。すなわち、炭素収支で考えると、通常、分解した油脂の半分が増殖菌体となり、残りの半分が、エネルギー源として菌体細胞の維持に利用されながら二酸化炭素にまで無機化される。増殖しないということは、基本的には、見かけの菌体収率がゼロということであり、分解された油脂の全てが菌体維持に使われるか、増殖した菌体が同じ速度で死滅しているあるいは淘汰されていることになる。これは、通常では考えられない事象であり、また、排水処理の理論の基礎となる生物化学工学が教える、一般的な操作ではない。しかし、他の微生物との生存競争が厳しい場合、油脂量と投入微生物量とのバランスによって、そのような操作が可能であることを、発明者は見出した。このバランスが崩れ、油脂量に対し投入微生物量が少なすぎる場合、微生物が増殖できる余地はあるが、余分な油脂は残存する。逆に、油脂量に対し投入微生物量が多すぎる場合、菌体維持に必要な炭素源を得ることができず、微生物濃度が減少する。このような条件は、投入微生物を無駄に消費する状態を引き起こす。すなわち、雑多な微生物が存在し、生存競争の厳しい排水中の油脂量に応じた投入菌体量を見出したことが、本発明の最も重要な局面の一つである。
微生物製剤を油脂分解槽に間欠的に投入する場合、微生物製剤の投入量は、油脂分解槽中の排水に対し、好ましくは5.0×10〜1.0×10 cells/mL、より好ましくは1.0×10〜1.0×10 cells/mL、更に好ましくは5.0×10〜5.0×10 cells/mL、最も好ましくは1.0×10〜3.0×10 cells/mLとなる量である。定期的に投入される微生物の投入間隔は、油脂分解槽における排水の滞留時間から24時間の間で設定することが望ましい。ここでの微生物製剤の投入量は、微生物製剤に最も多く含まれる種類の微生物の濃度とすることもできる。
微生物製剤を連続的に投入する場合、次式にFX、F、IXを代入してSXを求める。
微生物製剤供給速度(FX):処理排水流量(F)
=油脂分解槽流入希釈後微生物濃度(IX):供給微生物濃度(SX)
IXは、油脂分解槽中の排水に対し、好ましくは5.0×10〜1.0×10 cells/mL、より好ましくは1.0×10〜1.0×10 cells/mL、更に好ましくは5.0×10〜5.0×10 cells/mL、最も好ましくは1.0×10〜3.0×10 cells/mLとなるように計算する。また、FX:Fは典型的には1:1000であるが、これに限定されるものではない。ここでの供給微生物濃度は、微生物製剤に最も多く含まれる種類の微生物の濃度とすることもできる。
複数種の微生物を使用する場合、油脂分解槽への投入は、各微生物を同時又は別々に行うことができる。
油脂分解槽中の油脂含有排水の溶存酸素濃度(DO)は、曝気撹拌などにより通常0.05 mg/L以上、好ましくは0.1 mg/L以上、より好ましくは0.5 mg/L以上、最も好ましくは1 mg/L以上に保つことが望ましい。
油脂分解槽中の油脂含有排水のpHは、通常4.5〜9.0、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6.0〜8.0の範囲内である。これらの範囲に入らない場合は、酸又はアルカリの添加により適宜pHの調整を行い得る。
油脂分解槽中の油脂含有排水の温度は、通常12℃〜42℃、好ましくは15℃〜40℃、より好ましくは15〜37℃、更に好ましくは18〜37℃、最も好ましくは20〜35℃の範囲内に保つことが望ましい。これらの温度範囲に入らない場合は、加温又は冷却による温度調節を適宜行い得る。
代表的な実施形態において、本発明は、油脂分解槽のHRT (水理学的滞留時間)が1時間以上であるような油脂分解を対象とする。具体的には、油脂分解槽のHRTは、通常12時間以上、好ましくは18時間以上、より好ましくは20時間以上、更に好ましくは24時間以上である。n−Hexが10000 mg/Lを超える排水について、80%以上のn−Hex値の低減を期待する場合は、HRTを通常18時間以上、好ましくは20時間以上、より好ましくは24時間以上にする。n−Hex値が3000 mg/L以下の排水について、80%以上のn−Hex値の低減を期待する場合は、HRTを通常8時間以上、好ましくは12時間以上、より好ましくは18時間以上にする。典型的には、いずれの処理においても、HRTは48時間以内であり得る。
油脂分解槽に流入する排水中には、窒素が微生物に利用可能な形態、好ましくはアンモニウム塩、硝酸塩、硫酸塩、又は有機窒素化合物、より好ましくは硫酸アンモニウム、尿素、アミノ酸、又はペプトン、トリプトン、カザミノ酸などのペプチドを含む形態で存在していることが望ましい。必要な窒素の量はあらかじめラボスケール又はパイロットスケールの試験から推定するのが好ましく、一般的にはC/N = 2〜50の範囲(ここでのCはn−Hex由来のみの炭素を指す)であり、好ましくはC/N = 2〜30、より好ましくはC/N=2〜20の範囲である。ただし、C/Nとは、排水中に含まれるn−Hex由来炭素原子と窒素原子の重量比である。排水中の窒素が不足するため上記範囲に入らない場合、必要量の窒素を上述の形態で、好ましくは硫酸アンモニウム又は尿素の形態で添加し得る。他の実施形態では、油脂の分解に伴うpHの低下を制御することを兼ねて、pHの自動調整に合わせてアンモニアまたはその水溶液として供給することで、窒素を添加し得る。この供給は自動でも手動でもよい。
油脂分解槽に流入する排水中には、リン(P)が微生物が利用可能な形態、好ましくはリン酸塩又は核酸、より好ましくはリン酸塩の形態で存在していることが望ましい。必要なリンの量はラボスケール又はパイロットスケールの試験から推定することが望ましく、一般的には、排水中の窒素に対してN/P = 1〜20となる量である。ただし、N/Pとは、排水中に含まれる窒素原子とリン原子の重量比である。排水中のリンが不足するため上記範囲に入らない場合は、必要量のリンをリン酸塩の形態で添加し得る。この添加は自動でも手動でもよい。
油脂分解槽の微生物濃度は排水中の油脂濃度に依存し、油脂濃度が高いほど菌体濃度も高く維持される。投入微生物濃度が薄いと、排水中の油脂により増殖が活発になるため、かえって微生物濃度が高くなる場合がある。逆に投入微生物量が十分であると、油脂濃度が十分に低下し、微生物量は低い濃度で維持される場合がある。
油脂分解槽が発泡する場合は、対策として、HRTを短くする、シャワリング、消泡剤添加などの消泡操作を行うことができる。ただし、消泡剤は微生物の生育を阻害するものがあるので、添加量は当該事項を考慮して設定することが望ましい。
排水が微生物の生育を抑制するほどの塩素、抗生物質などを含む場合は、除去処理を施した後、あるいは排水処理システム全体を考慮してこれら生育抑制物質の濃度が低下した後段(例えば、調整槽の後)などに微生物製剤を投入し得る。
油脂分解槽からの流出水のn−Hex値は、流入水のn−Hex値が300 mg/L程度以下の低濃度排水の場合、好ましくは60 mg/L以下、より好ましくは30 mg/L以下である。流入水のn−Hex値が3000 mg/L程度の中濃度排水の場合、好ましくは600 mg/L以下、より好ましくは300 mg/L以下、更に好ましくは150 mg/L以下、最も好ましくは30 mg/L以下である。流入水のn−Hex値が10000 mg/L程度の高濃度排水の場合、好ましくは1000 mg/L以下、より好ましくは500 mg/L以下、更に好ましくは100 mg/L以下、最も好ましくは30 mg/L以下である。流入水のn−Hex値が30000 mg/L程度以上の高濃度排水の場合、好ましくは3000 mg/L以下、より好ましくは1000 mg/L以下、更に好ましくは300 mg/L以下である。
また、本発明の方法により、油脂含有排水のn−Hex値を、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上低下させることができる。
その結果、多くの排水において、油脂分解槽からの流出水のn−Hex値を、多くの自治体で下水道への放流基準値となっている30 mg/L未満に下げることも可能である。この基準値を達成すると、n−Hex値だけに着目すれば、後段の活性汚泥処理などの本処理すら不要となる。
連続系での微生物による油脂分解処理のためには、微生物を十分に増殖させる必要があるというのが従来の当該分野における認識であったが、本発明者は、予想外に、従来の認識ほど微生物を増殖させることなく油脂分解が達成され得ることを発見した。これまでは投入微生物量に対して数100倍以上数1000倍以下の量まで微生物を増殖させる必要があると考えられていたが、本発明者は、投入微生物量に対して100倍以下、あるいは数10倍程度の量までしか微生物を増殖させなくても排水処理が首尾よく行われることを見出した。例えば流出水中の投入した微生物の量は、投入した量に対して、好ましくは0.01倍以上100倍以下、0.01倍以上10倍以下、0.1倍以上100倍以下、0.1倍以上10倍以下、0.5倍以上100倍以下、0.5倍以上10倍以下、1倍以上100倍以下、1倍以上10倍以下であり、好ましくは0.1倍以上10倍以下である。そのため、1つの実施形態において、油脂分解槽からの流出水中の投入した微生物の量は、1×10 cells/mL以下であり得る。これによって流出水中の微生物量が抑制され、環境への影響を低減することができた。微生物の増殖量は、餌(炭素源)である油脂の量によるので、排水中の油脂量に合わせて投入する微生物量を投入することで、微生物量をコントロールし、効率的な油脂分解が達成できる。従来、処理せねばならない油脂量に必要な微生物量に関する情報は存在しなかった。1つの実施形態において、油脂分解槽に投入される微生物製剤の量は、油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cells、好ましくは3.0×10〜1×10cellsである。このように油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物の量に応じて投入する微生物製剤の量を決定することにより、無駄な微生物を消費することなく効率的な油脂分解が達成され得る。
本発明の油脂含有排水処理方法は、上記工程以外にも追加の工程を含むことができる。そのような工程としては、例えば、油脂分解槽からの流出水の全部又は一部を再度油脂分解槽に戻す工程などが挙げられる。しかしながら、本発明の方法では、このような返送処理を行わなくても十分な油脂分解効果が得られるので、油脂分解槽からの流出水の全部又は一部を再度油脂分解槽に戻すことは必須ではない。
通常、純粋微生物のバッチ培養では、基質の炭素源を消費しながら微生物は桁違いに増殖する。典型的には数百倍ほど増殖する。これが生物工学の常識であった。しかし、無数の種類と数の微生物が存在する排水の流れの中では、投入微生物の栄養分となる油脂が存在していても、純粋微生物のバッチ培養のように数百倍に増えることは難しい。油脂の濃度がそれほど高くない条件では、微生物濃度が減少することさえある。
しかし、このような条件でも、本発明によれば、油脂の効率的分解は可能である。本発明は、いかに排水中で投入微生物を増殖させるかがポイントではなく、油脂の濃度に応じた一定濃度以上の投入微生物が排水中に存在していればよいという新しい概念に基づくものである。
本発明の方法によれば、油脂分解能力を有する微生物製剤を油脂分解槽に連続的又は間欠的に投入することで、連続的に流入出し、雑多な微生物が存在する排水であっても、油脂の濃度を効果的に低下させることが可能である。本発明では、微生物は油脂分解槽中で必ずしも増殖する必要はなく、増殖できなくても油脂分解が可能である。
また、本発明では、投入微生物以外にも雑多な微生物が存在し、油脂含有排水が連続的に流入出するという投入微生物が増殖しにくいプロセスであるが、該微生物がウォッシュアウトされず油脂分解槽中に定着させることが可能である。
本発明の方法は、広範囲の油脂濃度に対応可能であり、また、従来より低い量の微生物で効果が出るのでコストの面で優れている。
(装置およびシステム)
本発明はまた、本発明の処理方法における使用のための装置またはシステムも提供し得る。本発明の装置またはシステムは、典型的には、微生物製剤の保管槽と、微生物製剤の増幅槽と、油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽とを含み得る(図18)。
本発明の装置またはシステムにおける微生物製剤の保管槽は、植種源となる微生物製剤を保管する槽であり、容量30〜200 Lのタンクであるが、容量はこれに限定されるものではない。本発明の保管槽は、典型的には金属製、プラスチック製またはガラス製であるが、これに限定されるものではない。本発明の保管槽は、必要に応じて曝気のためのブロアを備え得る。図18においては、保管槽は冷蔵庫に格納されているが、必ずしもこれに限定されない。
好ましい実施形態において、本発明の方法においては複数種の微生物を種菌として使用し、本発明の保管槽は各種微生物を種類ごとに個別に保管するための複数の保管タンクを備えることができる。このように微生物の種類ごとに個別に保管することにより、微生物製剤中の微生物の活性を長期間保持することができる。
本発明の微生物の増幅槽は、典型的に、容積30〜1000 Lの、円筒形または角筒形で、金属製、プラスチック製またはガラス製の槽であり得る。好ましくは、増幅槽は温調器および温度計を備え、微生物培養(増幅)中の温度の制御が可能である。制御される温度は典型的には18〜35℃、好ましくは25〜33℃、より好ましくは28〜30℃である。増幅槽内に水位計や液面センサーL1を設置し、下限、上限、中位の液面の制御を可能にしてもよい。さらにこの液面センサーは発泡センサーを兼ねてもよく、あるいは別の原理で発砲を感知するシステムを設置してもよい。これら発泡を感知するシステムと連動して消泡剤を自動供給するシステムを備え得る。また、増幅槽はブロアを備え得る。
本発明の増幅槽には、ポンプP1によって保管槽において保管されている微生物製剤が、ポンプP2によって栄養剤が、ポンプP3によって活性化剤が、規定された量、自動で供給され得る。
活性化剤は活性化剤タンクにおいて保管されており、活性化剤タンクは、微生物の増殖に必要な栄養素を含む無機塩類の溶液を保管する、容量が典型的には3〜100 L、好ましくは10〜50 Lのタンクで、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製である。活性化剤タンクは、冷蔵庫に格納され得る。
栄養剤は栄養剤タンクにおいて保管されており、これは微生物の炭素源となる油を保管する、容量が典型的には3〜100 L、好ましくは10〜50 Lのタンクで、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製である。栄養剤タンクは、冷蔵庫に格納され得る。
図示していないが、本発明のシステムはさらに、微生物の炭素源となる油以外の有機物またはその溶液を保管する、容量が典型的には3〜100 L、好ましくは10〜50 Lのタンクを備えてもよく、このタンクは、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製である。このタンクは、冷蔵庫に格納され得る。
培養槽および製剤タンクには、散気管または散気球、あるいはマイクロバブル・ナノバブル発生装置を設置してもよい。
微生物培養槽において増殖された微生物が、ポンプP4を介して本発明の油脂分解槽に投入され、油脂分解槽において、排水中の油脂分解が行われる。本発明の油脂分解槽は、タンク、ブロア、およびセンサーL2を備え得る。油脂分解槽のセンサーL2は、温度、pH、溶存酸素濃度、発泡レベルの1または複数を検知するものであり得る。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、本発明の油脂含有排水処理方法を実施するコンピュータプログラム(単に「プログラム」ともいう。)、および/または、本発明の装置もしくはシステムを制御するためのプログラムを格納した実施/制御部を備え得る。本発明はまた、本発明の油脂含有排水処理方法を実施するプログラム、および/または、本発明の装置もしくはシステムを制御するためのプログラムを格納した記録媒体(例えば、CD−R、DVD、USB(フラッシュ)メモリなど)を提供する。
このようなプログラムは、例えば、油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程を本発明の装置またはシステムに実施させ、あるいは同装置またはシステムの制御を実装するようにコードされていてもよい。本発明で用いられる実施/制御部またはプログラムは、利用される微生物製剤の投入量が、微生物が油脂分解槽に定着できる量となるように計算および/または制御するよう構成されている。この実施/制御部またはプログラムは、微生物製剤の投入量を、油脂分解槽中の排水に対して5.0×10〜1.0×10 cells/mLとなる量である、あるいは、油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、例えば、3.0×10〜1.0×10 cells、好ましくは3.0×10〜1.0×10 cellsであるように本発明の装置またはシステムを制御することを実装するように構成されていてもよい。この投入量は、本明細書の記載に基づいて、実際に実施する状況に応じて適宜変動させてもよい。本発明の装置またはシステムはまた、投入量を決定するために、排水量やその排水中のノルマルヘキサン抽出物に関する値の測定を行うことができるように構成されていてもよい。
本発明の実施/制御部またはプログラムで実現される各種機能は、その一部または全部が手動で実現されてもよい。
本発明の実施/制御部またはプログラムで実現される各種機能は、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽中の油脂含有排水の溶存酸素濃度を制御することができるように構成されていてもよい。そのような構成は、酸素濃度を制御する酸素濃度制御部を別途設けてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。酸素濃度は、ブロワーやコンプレッサーなどの空気供給源によって供給されるが、供給量は、溶存酸素濃度と連動して自動調整される。さらに、酸素の溶解効率を高めるため、攪拌装置などを設け、攪拌速度を溶存酸素濃度と連動するように制御してもよい。さらに、溶存酸素の変動に基づいて分解活性を間接的にモニタリングし、溶存酸素の減少がほぼない時は油分解が終了または進んでいないと判断し、投入微生物製剤量をフィードバック制御するシステムを組み込んでもよい。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽中の油脂含有排水のpHを制御するように構成されていてもよい。そのような構成は、pHを制御するpH制御部を別途設けてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。pHの制御は、当該分野で公知の任意の手段や手法によって実現することができ、例えば、適量の酸やアルカリを加えることによって実現することができる。したがって、pHの制御のために、pHを測定し、その測定値やその他のパラメータ(例えば、容積など)に基づいて、投入すべき酸および/またはアルカリの量を計算し、計算結果に基づいて酸および/またはアルカリを投入することによって実現することができる。好ましい実施形態において、図18に示すように、油脂分解槽は、pHが設定範囲外になったときに自動でpH調整を行うpH調整タンクを備え得る。1つの実施形態において、pH調整タンクは、pHが設定範囲外になったときに自動で、例えばポンプP6を介して2N硫酸又は2N水酸化ナトリウム水溶液などを油脂分解槽に自動添加し、油脂分解槽内のpHを設定範囲内に調整し得る。あるいは、水酸化ナトリウムに代えて、アンモニアまたはその水溶液を、窒素源の供給と兼ねて添加してもよい。さらに、油脂分解が進むと槽内の処理水が酸性に傾くことを利用して、pHの減少またはアルカリの消費量に基づいて分解活性を間接的にモニタリングし、投入微生物製剤量をフィードバック制御するシステムを組み込んでもよい。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽の油脂含有排水の温度を制御するように構成されていてもよい。そのような構成は、温度制御部を別途設けることによって実現されてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、温度制御が実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。そのような温度制御は、12〜42℃の範囲内に制御することができる能力を含むことが好ましいが、これに限定されない。温度制御は、当該分野で公知の任意の手段によって達成することができる。好ましい実施形態において、図18に示すように、センサーL2において測定された温度が設定範囲を下回ると、ヒーターによって排水が加温され、温度が設定範囲まで上昇され得る。あるいは、ボイラ廃熱などの廃熱や、高温の排水の直接添加や熱交換を利用し得る。また、センサーL2に置いて測定された温度が設定温度範囲を上回ると、クーラーによって排水が冷却され、温度が設定温度まで低下され得る。あるいは、冷却水の注水や冷水との熱交換、冷気の供給を利用し得る。さらに、分解による発酵熱で温度が上昇するという原理を利用して、温度上昇の程度または冷却システムの作動を感知し、投入微生物製剤量をフィードバック制御するシステムを組み込んでもよい。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽中の油脂含有排水のC/Nを制御するように構成されていてもよい。この油脂含有排水のC/Nの範囲は、2〜50、2〜30、あるいは2〜20であることが好ましいが、これに限定されない。そのようなC/N制御は、C/N制御部を別途設けることによって実現されてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、C/N制御が実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。排水中の窒素が不足するため上記範囲に入らない場合、必要量の窒素(好ましくは硫酸アンモニウム又は尿素)をN源タンクから、例えばポンプP7を介して添加し得る(図18)。あるいは、pH調製と連動させる形式でアンモニア水などを添加し得る。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽中の油脂含有排水のN/Pを制御するように構成されていてもよい。この油脂含有排水のN/Pの範囲は、1〜20、1〜10、あるいは1〜5であることが好ましいが、これに限定されない。そのようなN/P制御は、N/P制御部を別途設けることによって実現されてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、N/P制御が実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。排水中のリンが不足するため上記範囲に入らない場合は、必要量のリンをリン酸塩の形態で、P源タンクから、例えばポンプP8を介して添加し得る(図18)。また、上記の窒素源およびリン酸塩を含む水溶液を、N/Pが上記の範囲にあるようにあらかじめ調製した一つの活性化剤として一つのタンクに保管し、まとめて供給し得る。
一つの実施形態では、本発明の装置またはシステムはまた、油脂分解槽からの流出水中の投入微生物量を制御するように構成されていてもよい。そのような投入微生物量制御は、投入微生物量制御部を別途設けることによって実現されてもよく、上記実施/制御部またはプログラムによる制御によって、投入微生物量制御が実現されてもよく、その一部または全部が手動で実現されてもよく、その一部または全部が人工知能(AI)または機械学習によって実現または最適化されてもよい。
好ましい実施形態において、油脂分解槽はまた、発泡状況を検知するための発泡センサーも備え得る。油脂分解槽はさらに、発泡センサーによって発泡を感知すると消泡剤を自動投入する消泡タンクを備え得る。さらに、発泡中は油脂の分解が活発であることを示している場合も多いので、これを利用して、発泡センサーまたは消泡剤の添加と連動して、投入微生物製剤量をフィードバック制御するシステムを組み込んでもよい。
本発明の油脂分解槽はさらに、指定した日時に必要量をサンプリングする採水ポンプが取り付けられていてもよく、設定に従って冷蔵庫内の採水タンクに送液され得る。
1つの実施形態において、本発明の油脂分解槽は、油脂分解槽における排水の油脂分解の程度を確認するための確認手段を備え得る。この確認手段による確認は、例えば排水を遠心分離し、その上清の状況から油脂分解の程度を評価することであってもよい。
油脂分解槽において処理された排水は、例えばポンプP9を介して、活性汚泥槽等の後段処理に供され得る。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
試験例1:溶存酸素濃度(DO)の影響
n−Hex値が約10000 mg/Lの油分を含む7Lの食品工場排水を10Lファーメンター((株)バイオット製)に仕込み、様々な溶存酸素濃度下、30℃にて油分のバッチによる分解試験を行った。なお、この排水中には、もともと3×10 cells/mLほどの微生物が存在していることが、LB寒天培地上でのコロニー計数より示された。微生物製剤にはバークホルデリア・アルボリスとヤロウィア・リポリティカの混合製剤を使用し、前者の微生物濃度が1.0×10 cells/mLになるように、分解試験開始時に植菌した。後者の微生物濃度は、植菌時も培養中も前者の1/10程度の細胞数であることが通常であるため、前者の濃度を総投入微生物濃度とした。
溶存酸素濃度(DO)は、ガルバニ式発酵用DO電極により常時モニタリングし、曝気量と攪拌速度により調整した。分解試験中、pHは密閉型pH電極により常時モニタリングし、6.0〜8.0となるように、希塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の添加により自動調整した。試験液を経時的にサンプリングし、n−Hex抽出物の濃度をJIS K 0102に準じて測定した。バッチ試験は3回実施し、その標準誤差をグラフに表記した。結果を図1に示す。
試験例2:pHの影響
試験例1と同じ7Lの食品工場排水を10Lファーメンター((株)バイオット製)に仕込み、様々なpH条件下、30℃にて油分のバッチによる分解試験を行った。微生物製剤には試験例1と同じものを使用し、バークホルデリア・アルボリスの濃度が1.0×10 cells/mLになるように、分解試験開始時に植菌した。分解試験中、DOは1.0以上となるように曝気攪拌を行った。DO及びpHの測定及び調整も試験例1と同様の方法で行った。試験液を経時的にサンプリングし、n−Hex抽出物の濃度を試験例1と同じ方法で測定した。バッチ試験は3回実施し、その標準誤差をグラフに表記した。結果を図2に示す。
試験例3:温度の影響
試験例1と同じ7Lの食品工場排水を10Lファーメンター((株)バイオット製)に仕込み、様々な温度条件下にて油分のバッチによる分解試験を行った。微生物製剤には試験例1と同じものを使用し、バークホルデリア・アルボリスの濃度が1.0×10 cells/mLになるように、分解試験開始時に植菌した。分解試験中、DOは1.0以上となるように曝気攪拌を行い、pHは6.0〜8.0となるように調整した。DO及びpHの測定及び調整も試験例1と同様の方法で行った。試験液を経時的にサンプリングし、n−Hex抽出物の濃度を試験例1と同じ方法で測定した。バッチ試験は3回実施し、その標準誤差をグラフに表記した。結果を図3に示す。
試験例4:炭素と窒素の比(C/N)の影響
キャノーラ油1% (n−hex 約10,000 mg/L相当)を含む無機塩培地7Lを10Lファーメンター((株)バイオット製)に仕込み、様々なC/N (各元素の重量比)の条件下、30℃、pH6.0〜8.0にて油分のバッチによる分解試験を行った。無機塩培地の組成は、NaHPO 3.5g/L,KHPO 2.0g/L,(NHSO 0.775〜3.6g/L,MgCl・6HO 0.34g/L,FeSO・7HO 2.8mg/L, MnSO・5HO 2.4mg/L,CoCl・6HO 2.4mg/L,CaCl・2HO 1.7mg/L,CuCl・2HO 0.2mg/L,ZnSO・7HO 0.3mg/L,NaMoO 0.25mg/Lであった。C/Nについては、10以上については硫安((NHSO)の濃度を変えることによって調整した。C/Nが2以下の場合は、これに尿素を足して調整した。
キャノーラ油の炭素含有量についてはトリオレイン酸換算で計算した。これに、n−Hex値が100 mg/L以下であることがわかっている下水処理場の活性汚泥1Lを遠心分離し、上記無機塩培地50 mLに再懸濁したものを添加した。その結果、5×10 cells/mLほどの培養可能な微生物があらかじめ存在する試験液ができた。これに、試験例1と同じ微生物製剤を、バークホルデリア・アルボリスの濃度が1.0×10 cells/mLになるように、分解試験開始時に植菌した。分解試験中、DOは1.0以上となるように曝気攪拌を行った。DO及びpHの測定及び調整も試験例1と同様の方法で行った。試験液を経時的にサンプリングし、n−Hex抽出物の濃度をJIS K 0102に準じて測定した。バッチ試験は3回実施し、その標準誤差をグラフに表記した。結果を図4に示す。
試験例5:窒素とリンの比(N/P)の影響
キャノーラ油1% (n−Hex 約10000 mg/L相当)を含む無機塩培地7Lを10Lファーメンター((株)バイオット製)に仕込み、様々なN/P (各元素の重量比)の条件下、30℃、pH6.0〜8.0にて油分のバッチによる分解試験を行った。無機塩培地の組成は、硫安とリン酸塩の濃度以外は試験例4と同じである。窒素源である(NHSOの濃度については4 g/Lと固定し、N/Pについてはリン源であるNaHPOとKHPOの濃度を変えることによって調整した。ただし、NaHPO:KHPO(重量比)は3.5:2に固定した。
微生物製剤には試験例1と同じものを使用し、バークホルデリア・アルボリスの濃度が1.0×10 cells/mLになるように、分解試験開始時に植菌した。分解試験中、DOは1.0以上となるように曝気攪拌を行った。DO及びpHの測定及び調整も試験例1と同様の方法で行った。試験液を経時的にサンプリングし、n−Hex抽出物の濃度をJIS K 0102に準じて測定した。バッチ試験は3回実施し、その標準誤差をグラフに表記した。結果を図5に示す。
試験例6:間欠式投入における投入時の投入微生物濃度の影響
工場の排水処理現場に、独自に設計・製作した現場実証デモ試験機を設置した。このデモ試験機は、原水中継槽(50L)、油分解槽(60L)、活性汚泥槽(30L)、沈殿槽(12.5L)、排出中継槽(50L)から成り、現場の排水をポンプで原水中継槽に引き込み、順次、油分解槽、活性汚泥槽、沈殿槽に連続的に流す。これら各槽は排出中継槽に連結しており、各槽から任意の量を直接排出することができる。各槽ごとに処理量や滞留時間を設定することができ、沈殿槽からは、任意の量の沈降汚泥を活性汚泥槽に返送することが可能である。
油分解槽においては、設置されたセンサーにより温度、pH、DO、MLSSが常時モニタリングされる。また、発泡状況も発泡センサーにより常時監視され、発泡を感知すると消泡剤が自動投入される。pHは、設定範囲外になったときにpH調整タンクから2N硫酸又は2N水酸化ナトリウム水溶液が自動添加され調整される。曝気は、ブロアから油分解槽流量計、活性汚泥槽流量計によって調整された量の空気を供給して行われる。油分解槽には、冷蔵庫内に設置された微生物製剤タンクから、設定した流量と時間で微生物製剤がポンプにより供給される。さらに、指定した日時に必要量をサンプリングできるように、油分解槽には採水ポンプが取り付けられており、設定に従って冷蔵庫内の採水タンクに送液される。
微生物製剤を間欠投入する分解試験を、実排水を連続的にデモ試験機に流しながら実施した。現場において、間欠投入時の微生物濃度をステップ式に上げていった。微生物製剤には、試験例1と同じバークホルデリア・アルボリスとヤロウィア・リポリティカの混合製剤を使用した。各投入時の投入微生物濃度において、データが安定する3日目と5日目の滞留時間経過直後の油脂分解槽からの流出水サンプルについて、n−Hex抽出物の濃度をJIS K 0102に準じて測定し、油分の分解除去効果を調べた。これによって同条件での測定を2回ずつ(3日目と5日目)実施することになるため、再現性が確認された。
さらに、5日目のサンプリング時には、流出水中の微生物濃度を測定し、投入微生物の増殖状況を調べた(グラフ〇印)。微生物の濃度測定は、投入微生物についてはバークホルデリア・アルボリスの16SリボソームDNAをターゲットとしたリアルタイムPCRにより、全微生物についてはLB培地上でのコロニー計数によって行った。リアルタイムPCRはサンプルごとに3回行い、全微生物濃度の測定は希釈段階ごとに3枚のプレートを作製し行って、標準誤差を求めた。また、微生物濃度を上げる前には一旦、微生物の供給を3日間停止し、n−Hex値への影響を調べた。なお、どの条件でも、油脂分解槽のpHを中性付近に自動調整した。水温は25〜35℃の間であった。また、処理中、DOが1 mg/L以上になるように曝気攪拌した。n−Hex値については、JIS K 0102に準じてサンプルごとに3回測定し、標準誤差を求めた。
6−1.低濃度油脂(n−Hex値300 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが300 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/1000の規模の100L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を50L、滞留時間を12時間に設定した。5×10、5×10、1×10、又は5×10cells/mLの濃度の微生物製剤を処理水体積の1/1000である50 mLずつ、滞留時間に合わせるように1日2回投入した。結果を図6に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、5×10、1×10、5×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、投入時の投入油分解菌濃度が5×10cells/mL以上で、n−Hex値が大幅に減少した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇したが、再投入により油分の分解は速やかに回復した。油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。また、投入時の投入油分解菌濃度が1×10 cells/mLで該微生物の増殖は認められず、5×10cells/mLでは減少した。
培養中で微生物が増殖しなくても油脂分解効果が得られることはこれまでの生物工学の常識から外れるが、油脂の濃度がそれほど高くないため、増殖するための炭素源が不足したことが原因と考えられる。増殖しなくても投入した濃度の微生物で油分を十分に分解できたものと考えられる。よって、必要以上の高濃度の微生物を投入しても無駄であることがわかった。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと2×10cells/mL程度の微生物(図6△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果が発揮可能であるということも、これまでの生物工学の常識から外れる。
6−2.中濃度油脂(n−Hex値3000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが3000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/1250の規模の80L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を60L、滞留時間を18時間に設定した。5×10、1×10、5×10、1×10cells/mLの濃度の微生物製剤を60 mLずつ、滞留時間に合わせるように18時間ごとに投入した。結果を図7に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、1×10、5×10、1×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、投入時の投入微生物濃度が1×10cells/mL以上で、n−Hex値が大幅に減少した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇したが、再投入により油分の分解は速やかに回復した。また、通常の微生物の培養と異なり、油分を効果的に分解しても投入した微生物の桁違いの増殖は認められず、逆に投入時の投入油分解菌濃度が1×10cells/mLの時では、該微生物濃度は減少した。油脂の濃度がそれほど高くないため、増殖するための炭素源が不足したことが原因と考えられる。増殖しなくても投入した濃度の微生物で油分を十分に分解できたものと考えられる。よって、必要以上の高濃度の微生物を投入しても無駄であることがわかった。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと8×10cells/mL程度の微生物(図7△印)が存在し、油分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
6−3.高濃度油脂(n−Hex値10000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、排水を地下水で3倍に希釈し、n−Hex値を10000 mg/L程度の希釈排水として、1/1250の規模の80L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を60L、滞留時間を18時間に設定した。1×10、5×10、1×10、3×10cells/mLの濃度の微生物製剤を60 mLずつ、滞留時間に合わせるように18時間ごとに投入した。結果を図8に示す。投入時の投入微生物濃度は、1×10、5×10、1×10、3×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、投入時の投入微生物濃度が5×10cells/mL以上で、n−Hex値が95%以上低下した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇したが、再投入により油分の分解は速やかに回復した。また、通常の微生物の培養と異なり、油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。さらに、油分を非常に効果的に分解しても投入した微生物の10倍以上の増殖は認められなかった。また、投入時の投入微生物濃度が1×10cells/mLで十分な油分解除去効果が得られており、それ以上の微生物を投入する意義はほとんど認めらなかった。
また、この希釈排水中には、投入微生物以外に、もともと4×10cells/mL程度の微生物(図8△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%程度又はそれ以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
6−4.超高濃度油脂(n−Hex値30000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/2000の規模の50L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を50L、滞留時間を24時間に設定した。5×10、1×10、3×10、5×10、1×1010 cells/mLの濃度の微生物製剤を50 mLずつ、滞留時間に合わせるように24時間ごとに投入した。結果を図9に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、1×10、3×10、5×10、1×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、投入時の投入微生物濃度が1×10cells/mL以上で、n−Hex値が99%以上低下した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇したが、再投入により油分の分解は速やかに回復した。通常の微生物の培養と異なり、油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。さらに、油分を非常に効果的に分解しても投入した微生物の10倍以上の増殖は認められなかった。投入微生物の濃度を変えても微生物の増殖レベルは同程度で、最大でも1×10cells/mLレベルにまでしか増殖できなかった。よって、それ以上の微生物を投入しても無駄である。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと1×10cells/mL以上の微生物(図9△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
試験例7:連続式投入における投入時の投入微生物濃度の影響
工場の排水処理現場に、試験例6と同じ現場実証デモ試験機を設置して、排水を連続的に流しながら、微生物製剤も連続投入する分解試験を行った。各現場において供給微生物濃度を3日毎に、投入時の投入微生物濃度が5×10から1×10cells/mLの範囲内になるように、ステップ式に上げていった。微生物製剤には、試験例1と同じバークホルデリア・アルボリスとヤロウィア・リポリティカの混合製剤を使用し、前者の微生物濃度を総投入微生物濃度とした。
各投入微生物濃度3日目に流出水のサンプリングを行い、n−Hex抽出物の濃度をJIS K0102に準じて測定し、油分の分解除去効果を調べた。また、流出水中の投入微生物と全微生物の濃度を試験例6と同じ手法により分析した。最後に微生物製剤の供給を停止し、n−Hex値への影響を調べた。なお、どの条件でも、油脂分解槽のpHは中性付近に自動調整した。水温は25〜35℃の間であった。また、処理中、DOが1 mg/L以上になるように曝気攪拌した。n−Hex値の分析については、サンプルごとに3回実施し、標準誤差を求めた。
7−1.低濃度油脂(n−Hex値300 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが300 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/1000の規模の100L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を50L、滞留時間を12時間に設定した。5×10、5×10、1×10、又は5×10cells/mLの濃度の微生物製剤を処理水流量の1/1000である4.17 mL/hの供給速度で連続的に投入した。結果を図10に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、5×10、1×10、5×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、間欠式投入のときと同様に、投入時の投入微生物濃度が5×10cells/mL以上で、n−Hex値が大幅に減少した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇した。油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。また、投入時の投入微生物濃度が1×10 cells/mL で微生物の増殖は認められず、5×10cells/mLでは減少した。よって、必要以上の高濃度の微生物を投入しても無駄であることがわかった。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと2×10cells/mL程度の微生物(図10△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%程度又はそれ以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果が発揮可能であった。
7−2.中濃度油脂(n−Hex値3000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが3000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/1250の規模の80L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を60L、滞留時間を18時間に設定した。5×10、1×10、5×10、1×10cells/mLの濃度の微生物製剤を処理水量の1/1000である3.3 mL/hの供給速度で連続的に投入した。結果を図11に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、1×10、5×10、1×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、間欠式投入のときと同様に、投入時の投入微生物濃度が1×10cells/mL以上で、n−Hex値が大幅に減少した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇した。また、油分を効果的に分解しても投入した微生物の桁違いの増殖は認められず、逆に投入時の投入微生物濃度が1×10
cells/mLの時では、全く増殖しなかった。よって、必要以上の高濃度の微生物を投入しても無駄であることがわかった。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと8×10 cells/mL程度の微生物(図11△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
7−3.高濃度油脂(n−Hex値10000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、排水を地下水で3倍に希釈し、n−Hex値を10000 mg/L程度の希釈排水として、1/1250の規模の80L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を60L、滞留時間を18時間に設定した。1×10、5×10、1×10、3×10cells/mLの濃度の微生物製剤を処理水量の1/1000である3.3 mL/hの供給速度で連続的に投入した。結果を図12に示す。投入時の投入微生物濃度は、1×10、5×10、1×10、3×10cells/mLとなる(×印)。
その結果、間欠式投入のときと同様に、投入時の投入微生物濃度が5×10cells/mL以上で、n−Hex値が95%以上低下した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇した。また、通常の微生物の培養と異なり、油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。さらに、油分を効果的に分解しても投入した微生物の10倍以上の増殖は認められなかった。また、投入時の投入油分解菌濃度が1×10
cells/mLで十分な油分解除去効果が得られており、それ以上の微生物を投入する意義はほとんど認めらなかった。
また、この希釈排水中には、投入微生物以外に、もともと4×10cells/mL程度の微生物(図12△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%程度又はそれ以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
7−4.超高濃度油脂(n−Hex値30000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、1/2000の規模の50L/日の処理速度で試験を行った。油脂分解槽の処理水体積を50L、滞留時間を24時間に設定した。5×10、1×10、3×10、5×10、1×1010 cells/mLの濃度の微生物製剤を2.1 mL/hの供給速度で連続的に投入した。結果を図13に示す。投入時の投入微生物濃度は、5×10、1×10、3×10、5×10、1×10cells/mLになる(×印)。
その結果、間欠式投入のときと同様に、投入時の投入微生物濃度が1×10cells/mL以上で、n−Hex値が99%以上低下した。微生物の投入を停止すると(投入時投入微生物濃度ゼロ)、油分の濃度が即日に上昇した。通常の微生物の培養と異なり、油脂を分解しているにも関わらず、どの投入量においても投入した微生物の100倍以上の増殖は認められなかった。さらに、油分を効果的に分解しても投入した微生物の10倍以上の増殖は認められなかった。投入微生物の濃度を変えても微生物の増殖レベルは同程度で、最大でも1×10cells/mLレベルにまでしか増殖できなかった。よって、それ以上の微生物を投入しても無駄である。
また、この排水中には、投入微生物以外に、もともと1×10cells/mL程度以上の微生物(図13△印)が存在し、油脂分解微生物製剤を投入しても、全微生物濃度に大きな変動はなかった。流出水中の投入微生物の濃度は全微生物濃度の1%以下であり、投入微生物が優占種又は主要な種とならなくても分解効果は十分に発揮された。
試験例8:滞留時間の影響
油分濃度(n−Hex値)が低い、中程度、高い、非常に高い排水を連続的に流しながら、微生物製剤を間欠投入する分解試験を行った。現場に試験例6と同じ現場実証デモ試験機を設置して試験を行った。油脂分解槽の処理水体積60Lに対し、滞留時間を4時間から24時間まで段階的に上げていき、油脂濃度に応じた濃度の微生物製剤を滞留時間ごとに投入した。したがって処理速度は、360L/日から60L/日まで段階的に下がることとなった。微生物製剤には、試験例1と同じバークホルデリア・アルボリスとヤロウィア・リポリティカの混合製剤を使用した。
滞留時間が経過し、次の微生物製剤の投入直前に流出水のサンプリングを行い、n−Hex抽出物の濃度をJIS K0102に準じて測定し、油分の分解除去効果を調べた。なお、油脂分解槽のpHは中性付近に自動調整した。水温は25〜35℃の間であった。また、処理中、DOが1 mg/L以上になるように曝気攪拌した。n−Hex値の分析については、サンプルごとに3回実施し、標準誤差を求めた。
8−1.低濃度油脂(n−Hex値300 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが300 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、実排水を連続的にデモ試験機に流しながら、試験を実施した。各設定滞留時間の開始時に、5×10cells/mLの濃度の微生物製剤を、処理水流量の1/1000である60 mL投入した。結果を図14に示す。投入時の投入微生物濃度は5×10cells/mLとなる。12時間の滞留時間でn−Hex値が90%近く低下した。さらに、18時間の滞留時間でn−Hex値が90%以上低下し、多くの自治体の下水道への放流基準値の30 mg/L未満をも達成し、n−Hex値だけに着目すると、本処理である活性汚泥処理すら不要となるほどの処理効果を示した。
8−2.中濃度油脂(n−Hex値3000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが3000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、実排水を連続的にデモ試験機に流しながら、試験を実施した。各設定滞留時間の開始時に、5×10cells/mLの濃度の微生物製剤を、処理水流量の1/1000である60 mL投入した。結果を図15に示す。投入時の投入微生物濃度は5×10cells/mLとなる。滞留時間が18時間でn−Hex値が95%以上低下し、20時間で98%以上低下し50 mg/L未満に、24時間では99%以上低下し、多くの自治体の下水道への放流基準値の30 mg/L未満になった。
8−3.高濃度油脂(n−Hex値10000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、排水を地下水で3倍に希釈したものを連続的にデモ試験機に流しながら、試験を実施した。各設定滞留時間の開始時に、1×10cells/mLの濃度の微生物製剤を、処理水流量の1/1000である60 mL投入した。結果を図16に示す。投入時の投入微生物濃度は1×10cells/mLとなる。滞留時間が20時間以上でn−Hex値が99%以上低下し、さらに24時間では多くの自治体の下水道への放流基準値の30 mg/L未満に低下した。
8−4.超高濃度油脂(n−Hex値30000 mg/L程度)排水における結果
n−Hex値のレベルが30000 mg/Lレベル、排水量100トン/日の現場において、実排水を連続的にデモ試験機に流しながら、試験を実施した。各設定滞留時間の開始時に、3×10cells/mLの濃度の微生物製剤を、処理水流量の1/1000である60 mL投入した。結果を図17に示す。投入時の投入微生物濃度は3×10cells/mLとなる。滞留時間24時間でn−Hex値が99%以上低下した。
試験例9:流入油分量と投入微生物量の関係
試験例6と同様に、複数の油分量の排水処理を行い、流入油分量と投入微生物量の関係を検討した。以下に、流入油分量と投入微生物量の関係を示す。
Figure 2019098255
*ノルマルヘキサン値から算出される油分量
表1の結果から、油脂分解槽に投入される微生物製剤の量は、油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cells、好ましくは3.0×10〜1×10cellsほどで十分な油脂分解が達成されることが明らかになった。

Claims (22)

  1. 油脂含有排水が連続的に流入出する油脂分解槽に、油脂分解能力を有する微生物製剤を連続的又は間欠的に投入し、油脂を分解する工程であって、該微生物製剤の投入量が、微生物が油脂分解槽に定着するのに有効な量であり、油脂含有排水には該微生物製剤に含まれる微生物以外の微生物が存在する、工程を含む、油脂含有排水処理方法。
  2. 前記油脂分解槽は担体を含まない請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記微生物製剤が、リパーゼを生産する微生物、並びに脂肪酸及び/又はグリセロールを分解する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、請求項1または2に記載の処理方法。
  4. 前記微生物製剤が、バチルス属細菌、コリネバクテリウム属細菌、ロドコッカス属細菌、バークホルデリア属細菌、アシネトバクター属細菌、シュードモナス属細菌、アルカリゲネス属細菌、ロドバクター属細菌、ラルストニア属細菌、アシドボラックス属細菌、セラチア属細菌、フラボバクテリウム属細菌、カンジダ属酵母、ヤロウィア属酵母、クリプトコッカス属酵母、トリコスポロン属酵母、及びハンゼヌラ属酵母からなる群から選択される少なくとも1種の微生物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理方法。
  5. 前記排水が平均してノルマルヘキサン抽出物300mg/L以上の濃度の油脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の処理方法。
  6. 前記微生物製剤の投入量が、油脂分解槽中の排水に対して5.0×10〜1.0×10 cells/mLとなる量である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の処理方法。
  7. 前記微生物製剤の投入量が、前記油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cellsである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理方法。
  8. 前記微生物製剤の投入量が、前記油脂分解槽に流入する油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物1mg当たり、3.0×10〜1.0×10 cellsである、請求項7に記載の処理方法。
  9. 前記油脂分解槽中の油脂含有排水の溶存酸素濃度が0.05 mg/L以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の処理方法。
  10. 前記油脂分解槽中の油脂含有排水のpHが4.5〜9.0の範囲内である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の処理方法。
  11. 前記油脂分解槽中の油脂含有排水の温度が12〜42℃の範囲内である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の処理方法。
  12. 前記油脂分解槽の水理学的滞留時間(HRT)が1時間以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の処理方法。
  13. 前記油脂分解槽のHRTが12時間以上48時間以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理方法。
  14. 前記油脂分解槽中の油脂含有排水のC/Nが2〜50の範囲内である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の処理方法。
  15. 前記油脂分解槽中の油脂含有排水のN/Pが1〜20の範囲内である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の処理方法。
  16. 前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物量が、1×10 cells/mL以下である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の処理方法。
  17. 前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物の濃度が、前記油脂分解槽に投入する投入時投入微生物の濃度の100倍以下である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の処理方法。
  18. 前記油脂分解槽からの流出水中の投入微生物の濃度が、前記油脂分解槽に投入する投入時投入微生物の濃度の0.1倍〜10倍である、請求項17に記載の処理方法。
  19. 油脂含有排水処理のための油脂分解槽であって、
    油脂分解タンクと、
    ブロアと、
    前記油脂分解槽中の油脂含有排水における溶存酸素濃度、温度、およびpHを検知するためのセンサーと
    を備える、油脂分解槽。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の処理方法における使用のためのシステムであって、請求項19に記載の油脂分解槽を備える、システム。
  21. 請求項20に記載のシステムであって、
    前記微生物製剤の保管槽と、
    前記微生物製剤の増幅槽と、
    をさらに備え、前記増幅槽において増幅された前記微生物製剤が前記油脂分解槽に投入されるように構成されている、システム。
  22. さらに、請求項1〜18のいずれか一項に記載の処理方法における前記各工程の1つまたは複数を制御または実施する実施/制御部を備える、請求項21に記載のシステム。
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