JP6989987B1 - 油脂含有排水処理のための微生物製剤の連続投入 - Google Patents

油脂含有排水処理のための微生物製剤の連続投入 Download PDF

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Abstract

【課題】油脂分解処理槽に効率的に微生物製剤を供給する方法およびシステムを提供すること。【解決手段】本発明は、工場から連続的に排出される油脂成分を含む排水から、油脂成分を連続的に取り除き、常に一定濃度以下の油脂を含有する排水とするために、油脂含有排水または排水処理工程フロー内に設けられた連続式油脂分解処理槽に効率的に微生物製剤を供給する新規方法およびシステムを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、油脂分解能力を有する微生物製剤を用いた油脂含有排水処理のための微生物製剤の連続投入、および微生物製剤調製法に関する。
油脂含有排水の処理のために、種微生物を冷蔵保管し、それを1日1回など定期的に増殖槽に投入して種微生物を増殖して微生物製剤を製造し、そのようにして製造された微生物製剤を油脂含有排水に投入するという微生物自動投入装置が開発されている(特許文献1)。
国際公開第2018/207825号
本発明者は、工場から連続的に排出される油脂成分を含む排水から、油脂成分を連続的に取り除き、常に一定濃度以下の油脂を含有する排水とするために、油脂含有排水または排水処理工程フロー内に設けられた連続式油脂分解処理槽に効率的に微生物製剤を供給する方法およびシステムを新規に開発した。本発明によれば、油脂分解能力を有する微生物製剤を一定量、連続的に油脂含有排水に供給することができる。本発明はまた、保存状態にある微生物製剤をオンサイトで増幅し、油脂含有排水に連続的に供給することにより、微生物製剤の使用量を節約することができる。
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
20時間以上連続的に、恒温槽に、培地を定流量Y(L/h)で、炭素源を定流量Q(L/h)でそれぞれ供給するとともに、
前記恒温槽に曝気を施すことにより、前記恒温槽中の培養液中で油脂分解微生物を増殖させて微生物製剤を製造し、
20時間以上連続的に、前記恒温槽から略一定濃度の微生物を含む前記微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、排出された前記微生物製剤を油脂含有排水に定流量Fで投入すること
を特徴とする、前記油脂含有排水の処理における微生物製剤投入方法。
(項目2)
前記培養液は目的の濃度の培地成分を有し、前記定流量Yで投入される培地は、定流量Y1(L/h)で供給される前記目的の濃度の培地成分の約10倍以上の濃度の培地成分を有する濃縮培地と、定流量Y2(L/h)で前記濃縮培地と別個に供給される水とによって生成され、Y1+Y2=Yであり、
(1)前記濃縮培地と前記水が恒温槽に別々に供給されて、前記恒温槽において前記目的の濃度の培地成分になるか、または
(2)前記濃縮培地と前記水とが、混合槽または供給ラインにおいて混合されて、前記目的濃度の培地成分を有する混合液を生成し、前記混合液が前記恒温槽に連続供給される
ことを特徴とする、項目1に記載の微生物製剤投入方法。
(項目3)
前記恒温槽の培養液の炭素源濃度が常時約0.01w/v%以下となるように、前記炭素源を前記恒温槽に供給することを特徴とする項目1または2に記載の微生物製剤投入方法。
(項目4)
前記恒温槽の培養液温度が20~35℃、溶存酸素濃度が0.1mg/L以上、pHが6.0~8.0になるように恒温槽を運転することを特徴とする項目1~3のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目5)
前記恒温槽から連続的に排出される微生物製剤が、1×10cells/mL以上の前記油脂分解微生物を含むことを特徴とする項目1~4のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目6)
前記恒温槽に毎時供給する培地体積Y(L)が、前記恒温槽内の培養液の体積V(L)の30分の1から2分の1の体積であることを特徴とする項目1~5のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目7)
前記恒温槽に毎時供給する培地体積Y(L)が、前記恒温槽内の培養液の体積V(L)の12分の1から2分の1の体積であることを特徴とする項目6に記載の微生物製剤投入方法。
(項目8)
YとFとが等しいことを特徴とする項目1~7のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目9)
(i)1×10~2×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌の懸濁液を定流量X(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給し、ここで、X≦Y/100であり、(X+Y)とFとが等しいことを特徴とするか、または、
(ii)種菌を油脂分解微生物の乾燥菌体として保管し、前記恒温槽に供給される前にk×2×1010cells/mL以上(k≧1)となるように調製された種菌懸濁液を、定流量Z(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給し、ここでZ=X/kであり、(Z+Y)とFとが等しいことを特徴とする、
項目1~7のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目10)
前記(i)における種菌は、油脂分解微生物を回分培養したものから培養上清を取り除き、炭素源を含まない新鮮な培地に1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁し、冷蔵したものであることを特徴とする項目9に記載の微生物製剤投入方法。(項目11)
前記(i)における種菌は油脂分解微生物の乾燥菌体として保管され、前記恒温槽に種菌懸濁液として供給される前に1×10~2×1010cells/mLとなるように液中に懸濁され、こうして調製された種菌懸濁液を前記恒温槽に連続供給することを特徴とする項目9に記載の微生物製剤投入方法。
(項目12)
乾燥菌体として保管された油脂分解微生物の種菌を、前記恒温槽に1×10cells/mL以下の微生物濃度になるように直接、供給することを特徴とする項目1~8のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目13)
前記乾燥菌体の保管が常温で行われる、項目9、11または12に記載の微生物製剤投入方法。
(項目14)
前記乾燥菌体は、ホエイを前記油脂分解微生物と混合し、減圧乾燥する工程により製造された乾燥菌体であることを特徴とする項目9、11~13のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目15)
二つの恒温槽を設け、
(1)前記二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における前記培養液を、所定の条件に従うタイミングで1~7日間ごとに全て排出し、その後、排出した前記培養液の95~99%の容量の培地を前記恒温槽に再供給し、さらに、1×10~1×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌懸濁液を排出培養液の5~1%の容量になるように前記恒温槽に供給し、12~24時間曝気することにより前記恒温槽内の前記油脂分解微生物をいったん増幅する工程を含むか、または
(2)前記二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における前記培養液を、所定の条件に従うタイミングで1~7日間ごとに全て排出し、その後、排出した前記培養液と同量の培地を前記恒温槽に再供給し、さらに、前記恒温槽内の油脂分解微生物濃度が1×10~1×10cells/mLになるように、前記油脂分解微生物の種菌乾燥菌体を供給し、12~24時間曝気することにより前記恒温槽内の前記油脂分解微生物をいったん増幅する工程を含む
ことを特徴とする項目1~14のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目16)
前記油脂分解微生物が細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目1~15のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目17)
前記油脂分解微生物がグラム陰性細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目1~16のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目18)
前記油脂分解微生物がブルクホルデリア属細菌またはヤロウィア属酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目1~17のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目19)
項目1~18のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法を含む、前記油脂含有排水の処理方法。
(項目20)
項目1~18のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法または項目19に記載の処理方法のための、油脂含有排水に油脂分解微生物製剤を供給するシステムであって、
恒温槽と、
前記恒温槽を曝気するブロアと、
培地保管槽と、
前記培地保管槽から培地を定流量Y(L/h)で前記恒温槽へ連続供給するための、第1ポンプを備える培地供給部と、
炭素源保管槽と、
炭素源を定流量Q(L/h)で前記恒温槽へ連続供給するための、第2ポンプを備える炭素源供給部と、
前記恒温槽から微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、前記油脂含有排水へ投入するように構成された排出手段と、
を備える、油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目21)
前記培地供給部は、前記培地保管槽から培地を定流量Y1(L/h)で前記恒温槽へ連続供給するための第1ポンプに加え、水を定流量Y2(L/h)で供給するための水供給システムを備え、さらにY1+Y2=Yであることを特徴とする項目20に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目22)
前記油脂分解微生物の種菌懸濁液を保管するための種菌保管部と、
前記種菌保管部を冷却するための冷却システムと、
前記種菌保管部から定流量X(L/h)で前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ連続供給するように構成された第3ポンプと、
をさらに備えることを特徴とする項目20または21に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目23)
前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
前記種菌を1×10~2×1010cells/mLになるように種菌懸濁液を調製するための種菌懸濁液調製槽と、
前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記種菌懸濁液調製槽へ供給するように構成された乾燥菌体供給手段と、
前記種菌懸濁液調製槽から定流量X(L/h)で前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ連続供給するように構成された第4ポンプと、
をさらに備える、項目20または21に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目24)
前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記恒温槽へ、恒温槽1mLあたり1×10cells以下の種微生物を供給するように構成された乾燥菌体供給手段と、
をさらに備えることを特徴とする項目20または21に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目25)
前記種菌保管部はブロアを備えないことを特徴とする項目22~24のいずれか一項に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目26)
油脂分解微生物製剤の製造方法であって、
油脂分解微生物を回分培養することと、
前記回分培養した培養液の培養上清を取り除き、増殖した前記油脂分解微生物の湿細胞集塊を得ることと、
新鮮な培地に前記湿細胞集塊を1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁することと
を含む製造方法。
(項目27)
前記新鮮な培地が炭素源を含まない無機塩培地である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記湿細胞集塊を前記新鮮な培地に、1×10~9×10cells/mLになるように再懸濁することを含む、項目26または27に記載の製造方法。
(項目29)
項目26~28のいずれか記載の製造方法によって製造された油脂分解微生物製剤。
(項目30)
ホエイを微生物と混合し、減圧乾燥する工程を含む、微生物乾燥製剤の製造方法。
(項目31)
前記微生物が、非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌を含む、項目30に記載の製造方法。
(項目32)
ホエイを有効成分とする微生物の減圧乾燥用保護剤。
(項目33)
前記微生物が、非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌を含む、項目32に記載の保護剤。(項目34)
非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌とホエイとを含む微生物乾燥製剤。
(項目35)
油脂含有排水の処理における、油脂分解微生物を含む微生物製剤の投入方法であって、ステップ1:貯留槽において貯留されている第1の微生物製剤を連続的に前記油脂含有排水に投入することと、
ステップ2:前記貯留槽において前記第1の微生物製剤の量が閾値まで低減したことを検知した場合に、恒温槽から貯留槽へ第2の微生物製剤を投入することと、
ステップ3:前記恒温槽において前記第2の微生物製剤の量が閾値まで低減したことを検知した場合に、前記恒温槽に、給水を開始することと、
ステップ4:前記恒温槽への給水により水位が閾値まで上昇したことを検知した場合に、前記恒温槽に、一定量の濃縮培地と炭素源と前記油脂分解微生物の種菌とを供給することと、
ステップ5:前記恒温槽において、前記培養液中で前記種菌を増殖させて第3の微生物製剤を製造することと、
の5つのステップを含む工程を包含し、
さらに前記工程を繰り返すことを特徴とし、前工程の第2の微生物製剤および第3の微生物製剤はそれぞれ次工程の前記第1の微生物製剤および第2の微生物製剤となり、
前記第1の微生物製剤、前記第2の微生物製剤および前記第3の微生物製剤はいずれも前記油脂分解微生物を含む、微生物製剤投入方法。
(項目36)前記ステップ3とステップ4の間に、以下のステップ3-1および/あるいはステップ3-2を含む項目35に記載の微生物製剤投入方法:
ステップ3-1:所定量前記恒温槽に給水されたことを検知後、再び排水し、水位が閾値まで低減したことを検知して再給水し、この排水と給水を任意の回数繰り返すことにより、恒温槽内を洗浄すること;
ステップ3-2:前記恒温槽内の水に、一定時間の曝気を行って脱塩素すること。
(項目37)
前記第1の微生物製剤、前記第2の微生物製剤および前記第3の微生物製剤はそれぞれ、1×10cells/mL以上の前記油脂分解微生物を含む、項目35または36に記載の微生物製剤投入方法。
(項目38)
前記恒温槽から排出される微生物製剤における炭素源濃度が約0.01w/v%以下となるように、前記炭素源を前記恒温槽に供給することを特徴とする項目35~37のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目39)
前記恒温槽の培養液温度が20~35℃、溶存酸素濃度が0.1mg/L以上、pHが6.0~8.0になるように恒温槽を運転することを特徴とする項目35~38のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目40)
前記種菌は、油脂分解微生物を回分培養したものから培養上清を取り除き、炭素源を含まない新鮮な培地に1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁し、冷蔵したものであることを特徴とする項目35~39のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目41)
前記種菌は油脂分解微生物の乾燥菌体として保管され、前記恒温槽に種菌懸濁液として供給される前に1×10~2×1010cells/mLとなるように液中に懸濁され、こうして調製された種菌懸濁液を前記恒温槽に供給することを特徴とする項目35~39のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目42)
乾燥菌体として保管された油脂分解微生物の種菌を、前記恒温槽に1×10cells/mL以下の微生物濃度になるように直接、供給することを特徴とする項目35~39のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目43)
前記乾燥菌体の保管が常温で行われる、項目41または42に記載の微生物製剤投入方法。
(項目44)
前記乾燥菌体は、ホエイを前記油脂分解微生物と混合し、減圧乾燥する工程により製造された乾燥菌体であることを特徴とする項目41~43のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目45)
前記貯留槽および/または恒温槽における微生物製剤の量を、水位計または液面センサーによって検知することを特徴とする項目35~44のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目46)
前記油脂分解微生物が細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目35~45のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目47)
前記油脂分解微生物がグラム陰性細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目35~46のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。(項目48)
前記油脂分解微生物がブルクホルデリア属細菌またはヤロウィア属酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項目35~47のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
(項目49)
項目35~48のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法を含む、前記油脂含有排水の処理方法。
(項目50)
項目35~48のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法または項目49に記載の処理方法のための、油脂含有排水に油脂分解微生物製剤を供給するシステムであって、
槽内の内容量を検知する機構を備える恒温槽と、
前記恒温槽を曝気するブロアと、
前記恒温槽で製造された微生物製剤を貯蔵しながら前記油脂含有排水に前記微生物製剤を連続的に供給するための、槽内の内容量を検知する機構を備える貯留槽と、
培地保管槽と、
下記の(1)および(2)を備える培地供給部と、
(1)前記培地保管槽から濃縮培地を前記恒温槽へ供給するための、第1の制御手段および第1ポンプ、
(2)前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動した給水用制御手段、
炭素源保管槽と、
前記炭素源保管槽から炭素源を前記恒温槽へ供給するための、第2の制御手段および第2ポンプを備える炭素源供給部と、
前記貯留槽から微生物製剤を連続的に排出し、前記油脂含有排水へ投入するように構成された第1排出手段と、
前記恒温槽から微生物製剤を前記貯留槽内の内容量を検知する機構と連動して排出し、前記貯留槽へ投入するように構成された第2排出手段と、
前記油脂分解微生物の種菌懸濁液を保管するための種菌保管部と、
前記種菌保管部を冷却するための冷却システムと、
前記種菌保管部から前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ供給するように構成された、第3の制御手段および第3ポンプと、
を備え、
前記第1の制御手段、前記第2の制御手段および前記第3の制御手段はいずれも、前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動することを特徴とする、油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目51)
前記種菌保管部はブロアを備えないことを特徴とする項目50に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目52)
項目35~48のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法または項目49に記載の処理方法のための、油脂含有排水に油脂分解微生物製剤を供給するシステムであって、
槽内の内容量を検知する機構を備える恒温槽と、
前記恒温槽を曝気するブロアと、
前記恒温槽で製造された微生物製剤を貯蔵しながら前記油脂含有排水に前記微生物製剤を連続的に供給するための、槽内の内容量を検知する機構を備える貯留槽と、
培地保管槽と、
下記の(1)および(2)を備える培地供給部と、
(1)前記培地保管槽から濃縮培地を前記恒温槽へ供給するための、第1の制御手段および第1ポンプ、
(2)前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動した給水用制御手段、
炭素源保管槽と、
前記炭素源保管槽から炭素源を前記恒温槽へ供給するための、第2の制御手段および第2ポンプを備える炭素源供給部と、
前記貯留槽から微生物製剤を連続的に排出し、前記油脂含有排水へ投入するように構成された第1排出手段と、
前記恒温槽から微生物製剤を前記貯留槽内の内容量を検知する機構と連動して排出し、前記貯留槽へ投入するように構成された第2排出手段と、
前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
前記種菌を1×10~2×1010cells/mLになるように種菌懸濁液を調製するための種菌懸濁液調製槽給水制御手段を備える種菌懸濁液調製槽と、
制御されたタイミングで前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記種菌懸濁液調製槽へ供給するように構成された乾燥菌体供給制御手段と、
前記種菌懸濁液調製槽から前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ供給するように構成された、第4の制御手段および第4ポンプと、
をさらに備え、
前記第1の制御手段、前記第2の制御手段および前記第4の制御手段はいずれも、前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動することを特徴とする油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目53)
項目35~48のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法または項目49に記載の処理方法のための、油脂含有排水に油脂分解微生物製剤を供給するシステムであって、
槽内の内容量を検知する機構を備える恒温槽と、
前記恒温槽を曝気するブロアと、
前記恒温槽で製造された微生物製剤を貯蔵しながら前記油脂含有排水に前記微生物製剤を連続的に供給するための、槽内の内容量を検知する機構を備える貯留槽と、
培地保管槽と、
下記の(1)および(2)を備える培地供給部と、
(1)前記培地保管槽から濃縮培地を前記恒温槽へ供給するための、第1の制御手段および第1ポンプ、
(2)前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動した給水用制御手段、
炭素源保管槽と、
前記炭素源保管槽から炭素源を前記恒温槽へ供給するための、第2の制御手段および第2ポンプを備える炭素源供給部と、
前記貯留槽から微生物製剤を連続的に排出し、前記油脂含有排水へ投入するように構成された第1排出手段と、
前記恒温槽から微生物製剤を前記貯留槽内の内容量を検知する機構と連動して排出し、前記貯留槽へ投入するように構成された第2排出手段と、
前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記恒温槽へ、恒温槽1mLあたり1×10cells以下の種菌を供給するように構成された、第5の制御手段および乾燥菌体供給手段と、
をさらに備え、
前記第1の制御手段、前記第2の制御手段および前記第5の制御手段はいずれも、前記恒温槽内の内容量を検知する機構と連動することを特徴とする油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目54)
前記貯留槽が、断熱材、遮熱塗装、および/または加熱・冷却機能を備える、項目50~53のいずれか一項に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
(項目55)
さらに貯留槽の内容物を攪拌するための、ブロアまたは機械的攪拌手段を備える、項目50~54のいずれか一項に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
本発明によれば、微生物製剤の使用量を節約しながら、効率的かつ連続的に油脂含有排水における油脂を一定濃度以下まで分解するための、微生物製剤の投入方法およびそのためのシステムが提供される。
また、本発明によれば、油脂含有排水の油脂分解に使用される微生物製剤の新規製造法および新規製剤が提供される。
図1は、本発明の実施形態1の微生物自動増幅連続投入法およびシステムの概要を示す図である。 図2は、本発明の種菌懸濁液(本願発明、サンプルNo.3)と、集菌工程および再懸濁工程を省いて培養液をそのまま保存した培養液(比較例、サンプルNo.4)との、生菌数の推移を示すグラフである。 図3は、種菌懸濁液の初期濃度と生存率との関係を示すグラフである。 図4は、種々の乾燥処理によって得られた乾燥製剤について、乾燥処理前の製剤に対する乾燥処理後の製剤のリパーゼ活性維持率(%)を示したグラフである。 図5は、本発明の実施形態2の微生物自動増幅連続投入法およびシステムの概要を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
1.定義
以下、本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「からなる(consist of)」という意味をも包含する。
本明細書において、「約」は後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において、流量や濃度などが「略」一定とは、その流量や濃度の数値の変動が±10%の範囲内に収まることを意味する。
また、本明細書においてノルマルヘキサン(n-Hex)値とは、ノルマルヘキサンにより抽出される不揮発性物質の量であり、水中の油分(油脂、その加水分解産物など)の量を示す指標である。n-Hex値は、例えば、JIS K 0102に従って求めることができる。あるいは、本発明のn-Hex値は、例えば熱感応性ポリマー(例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPPAm))を用いて測定される相当値であってもよい。PNIPPAm抽出物質の測定は、例えば、株式会社共立理化学研究所(東京、日本)の油分測定試薬セットのような公知のキットを使用して行い得る。
本明細書において、「連続的」または「連続」とは、この用語で特定される事項が絶えずなされている場合だけを意味するものではなく、その事項が一旦停止する期間を有する場合をも包含する。本発明の「連続的」または「連続」とは、所定の時間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、または少なくとも20時間等)の50%を超える時間において、特定された事項がなされていることをいう。代表的な実施形態においては、本発明の「連続的」または「連続」は、所定の時間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、または少なくとも20時間等)の約60%以上の時間において、特定された事項がなされていることをいい、より典型的には、所定の時間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、または少なくとも20時間等)の約70%以上の時間において、特定された事項がなされていることをいう。本発明の「連続的」は、所定の間隔ごとに間欠的に特定された事項がなされる態様は包含しないことに留意されたい。
本発明において、「間欠的」とは、所定の時間ごとに1度(例えば、1時間以上ごとに1度、5時間以上ごとに1度、12時間以上ごとに1度、24時間以上ごとに1度)特定された事項がなされることをいう。この所定の時間は、特定された事項がなされる時間となされない時間とを合わせた時間であり、「間欠的」な場合においては、所定の時間において特定された事項がなされる時間は20%以下である。典型的には、「間欠的」とは、所定の時間において特定された事項がなされる時間が10%以下の場合を指し得る。
本明細書中における「乾燥」とは、水分量が結合水を除いて5%以下、好ましくは3%以下であることをいう。
本明細書における「電磁バルブ」とは、「電磁弁」や「ソレノイドバルブ」とも同義であり、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するソレノイド部と、ソレノイド部において変換された機械的エネルギーによって流路の開閉を行う弁体とを含む任意の機構を包含する。
本発明における油脂含有排水としては、油脂を含有している排水であれば特に制限されず、例えば、飲食店、病院、ホテル等の排水、家庭排水、食品加工工場、油脂加工工場等から排出される産業排水等などが挙げられる。本発明における排水中の油脂としては、特に制限されず、例えば、植物性油脂(綿実油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、米油、ごま油、パーム油、ヤシ油、落花生油等)、動物性油脂(ラ
ード、牛脂、乳脂肪等)、魚油、これらの油脂の加工品(マーガリン、ショートニング、バター等)などが挙げられる。
2.恒温槽における連続的な微生物製剤の製造(実施形態1)
本発明は、恒温槽に連続的に培地、炭素源、および必要に応じて種菌を定流量で供給し、恒温槽の中の培養液中で油脂分解微生物を略一定速度で増殖させて所望の濃度の微生物製剤を連続製造し、そして定流量で恒温槽から略一定濃度の微生物を含む微生物製剤を排出して、それを油脂含有排水にそのまま投入することを特徴とする。
実施形態1においては、恒温槽において微生物を略一定速度で増殖させることを特徴としている。培地の供給流量(毎時供給する培地体積Y)を適切に調節することにより、これを達成することが本発明の特徴である。具体的には、Yを恒温槽体積Vの30分の1から2分の1とすることと、詳細は後述するが、恒温槽において培地の供給量と微生物製剤の排出流量をほぼ同じとすることとにより、このことが達成可能であることを本発明者は見出した。このことにより、略一定速度で増殖させた微生物製剤を、略一定濃度で油脂含有排水に供給する方法の発明に至った。なお、例えば特許文献1のようなバッチ培養の場合には、略一定速度の増殖にはならない。
(種菌)
本実施形態においては、恒温槽に1×10~1×1012cells/mL、好ましくは1×10~2×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌の懸濁液を定流量X(L/h)で添加してもよい。本発明は、定流量Xと、培地流量Yとの和を、後述の恒温槽から排出される定流量Fと等しくすることを特徴とする。
本実施形態において、種菌は、種菌保管部に懸濁液の形態で保管されていてもよいし、乾燥菌体として種菌保管部に保管されていてもよい。乾燥菌体の製造方法については、後に詳述する。1つの実施形態においては、種菌を油脂分解微生物の乾燥菌体として保管し、前記恒温槽に供給される前に種菌懸濁液とする。この種菌懸濁液は、1×10~2×1010cells/mLとなるように液中に懸濁され、前記の通り定流量X(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給するか、k×2×1010cells/mL以上(k≧1)となるように調製され、この種菌懸濁液を定流量Z(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給する。ここで、定流量Xと、Zとの関係は、Z=X/kである。この場合には、本発明は、(Z+Y)と、後述の恒温槽から排出される定流量Fとが等しいことを特徴とする。本発明の別の実施形態においては、前記恒温槽に、乾燥菌体を1×10cells/mL以下の微生物濃度となるように直接、供給する。微生物の恒温槽への供給は、意図した濃度になれば連続的であっても間欠的であってもよい。
1つの実施形態において、本発明の種菌は、油脂分解微生物を培養(典型的には、回分培養)したものから培養上清を取り除き、新鮮な培地に1×10~1×1012cells/mL、好ましくは1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁し、冷蔵したものであり得る。本発明の種菌は、好ましくは、1×10~9×10cells/mL、より好ましくは1×10~2×10cells/mLになるように再懸濁されたものであり得る。また、好ましくは、培地は炭素源を含まない無機塩培地を用いる。
当該分野においては、種菌は培養液中でそのまま保管することが一般的であり、その状態で生存率を保つためには曝気が必要であり得る。しかしながら、上記のような、油脂分解微生物を回分培養したものから培養上清を取り除き、炭素源を含まない新鮮な培地に再懸濁し、冷蔵したものについては、ブロアによる曝気を行うことなく種菌の生存率を維持できることを本発明者は見出した。好ましい実施形態において、油脂分解微生物の増殖のための培地は炭素源、窒素、リン、カリウム等を含み、増殖後の再懸濁のための新鮮な培地は、炭素源を含まない無機塩培地であり得る。
(恒温槽)
本発明の恒温槽は、好ましくは、温調器および温度計を備え、微生物培養(増幅)中の温度の制御が可能である。制御される温度は典型的には18~40℃、好ましくは20~35℃である。これらの温度範囲に入らない場合は、加温又は冷却による温度調節を適宜行い得る。恒温槽内に水位計や液面センサーを設置し、少なくとも下限および上限、さらに場合によっては中位の液面の感知および制御を可能にしてもよい。さらにこの液面センサーは発泡センサーを兼ねてもよく、あるいは別の原理で発泡を感知するシステムを設置してもよい。これら発泡を感知するシステムと連動して消泡剤を自動供給するシステムを備え得る。
本発明においては、恒温槽において、油脂分解微生物の増殖に必要な空気を供給するためにエアレーションおよび攪拌が行われてもよい。撹拌は、培養液の混合により、増殖させたい油脂分解微生物と、培地および炭素源とを接触させて微生物の増殖を促進するために行う。エアレーションや撹拌のための具体的な手段は限定されない。好ましい実施形態においては、本発明の恒温槽はブロアを備える。ブロアは、空気導入と共に培養物の撹拌混合も行い得る。あるいは、機械的にエアレーションと撹拌を行う空気導入手段(例えば送気ポンプ)や、撹拌手段(例えば撹拌羽根を有する撹拌混合装置)を併用してもよい。
恒温槽における曝気のための散気場所が深くなるほど、水深による水圧によって酸素の溶解効率が高くなるため、ブロアの散気管は恒温槽の下部に設けられ、恒温槽の下部から空気が供給されるのが好ましい。
恒温槽中の溶存酸素濃度(DO)は、ブロアなどの曝気撹拌手段により通常0.05mg/L以上、好ましくは0.1mg/L以上に保つことが望ましい。
恒温槽中の培養液のpHは、通常4.5~9.0、好ましくは5.5~8.5、より好ましくは6.0~8.0の範囲内である。これらの範囲に入らない場合は、酸又はアルカリの添加により適宜pHの調整を行い得る。
恒温槽における油脂分解微生物の増殖は、連続的に排出される培養液(微生物製剤)が、1×10cells/mL以上の油脂分解微生物を含むように行われ得る。
好ましい実施形態においては、二つの前記恒温槽を設け、所定の条件ごとにそれぞれの恒温槽を稼働してもよい。ここで、二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における培養液を1~7日間ごとに所定の条件に従うタイミングで全て恒温槽から排出し、例えばこの排出した培養液を油脂含有排水に供給してしまうことも可能である。なお、この期間は連続運転期間とは考えず、この期間においてはY=Fは成り立たない。その後、排出した培養液の95~99%の容量の培地を恒温槽に再供給し、さらに、1×10~1×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌懸濁液を排出培養液の5~1%の容量になるように恒温槽に供給し、12~24時間(例えば、18~24時間)曝気することにより恒温槽内の前記油脂分解微生物をいったん増幅させてもよい。あるいは、二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における培養液を1~7日間ごとに所定の条件に従うタイミングで全て排出し、その後、排出した培養液と同量の培地を恒温槽に再供給し、さらに、恒温槽内の油脂分解微生物濃度が1×10~1×10cells/mLになるように、油脂分解微生物の種菌乾燥菌体を供給し、12~24時間(例えば、18~24時間)曝気することにより恒温槽内の油脂分解微生物をいったん増幅してもよい。これらは、恒温槽のメンテナンス作業ということができる。後述のとおり、本発明は滞留時間を短くすることにより、恒温槽の体積を減らすことができるので、このように恒温槽のメンテナンスを従来のシステムと比較して容易に行うことができる。例えば、所定の条件に従うタイミングで各恒温槽の培養液全排出操作をするごとに、洗浄、注水、曝気による脱塩素、濃縮培地の投入、種菌植菌を行い得る。なお、この場合には、種菌の連続供給を止めるのが一般的である。なお、上記では例示として二つの恒温槽の場合を記載したが、三つや四つの恒温槽が並列して設けられ、所定の条件に従うタイミングで使用される恒温槽が切り替えられる実施形態もまた、本発明の範囲内である。恒温槽が複数設けられた場合の使用される恒温槽の切り替えのための所定の条件としては、一定時間の経過、pHの変化、DOの変化、発泡、リパーゼ活性の変化、基質濃度の変化、酸やアルカリの添加量が規定値を超えること、培地(濃縮培地を含む)の総供給量が規定値を超えることなどが挙げられるが、これらに限定されない。pHの変化、DOの変化、発泡、リパーゼ活性の変化、基質濃度の変化などが生じるまでの時間を測定し、その時間の経過を所定の条件としてもよい。あるいは、所定の条件を約400t分(tは、恒温槽における培養条件において油脂分解微生物の細胞が分裂に要する時間(分))とすることもできる。
(流量)
本発明は、連続的に油脂分解微生物の種菌を自動増幅し、そして自動増幅して得られた微生物製剤を連続的に油脂含有排水に添加することを特徴とする、微生物自動増幅連続投入方法およびシステムに関する。図1に、本発明の微生物自動増幅連続投入法およびシステムの概要を示す。
図1に示されるように、恒温槽には、炭素源(例えば、油脂)、培地(図1においては濃縮培地および水を別個に投入する形態を図示)が連続的に投入される。この連続的な投入と、恒温槽からの微生物製剤の連続的な排出は、典型的には20時間以上行われ得る。1つの実施形態においては、この連続的な投入および排出を約20時間行い、その後洗浄、培地の再投入、脱塩素曝気を経て、再度約20時間の連続的な投入および排出を行い得る。恒温槽には、さらに種菌を投入してもよい。
図1においては、種菌を懸濁液として冷蔵庫に保管する実施形態が示される。なお、本発明が必ずしも種菌を懸濁液として保管する形態に限定されないのは他の箇所の記載から明らかである。図1の種菌は、1×10~2×1010cells/mLの油脂分解微生物の懸濁液が冷蔵庫において保管され、それがX(L/h)の流量で恒温槽に添加される。乾燥菌体として保管された油脂分解微生物を直接恒温槽に供給することもでき、その場合には、例えば恒温槽において1×10cells/mL以下の微生物濃度になるように供給され得る。油脂分解微生物の恒温槽への供給は、連続的に行われてもよいし、間欠的に行われてもよい。
別に保管されている炭素源(例えば、油脂)がQ(L/h)で恒温槽に添加される。
さらに、培地がY(L/h)で提供される。なお、図1においては培地を濃縮培地と水とに分けて添加される実施形態を図示したが、本発明はこれに限定されない。培養液中で意図される濃度の培地がY(L/h)で供給されてもよいし、濃縮培地がY1(L/h)で供給され、水がY2(L/h)で供給され、Y1とY2との合計がYであってもよい。
種菌懸濁液の供給流量Xは、培地流量Yの1/500~1/50であり、典型的には1/100以下であり得る。種菌は恒温槽への添加時に1/500~1/50に希釈され、これを培養することで、最終的に種菌溶液の1~10倍の濃度の微生物を含む微生物製剤を製造することができる。微生物製剤中の微生物の濃度は、1×10cells/mL以上であり得る。
恒温槽における培養液の体積V(L)は、(X+Y)×T(Tは滞留時間(h))であり得る。本発明において恒温槽内の微生物製剤の滞留時間は、2~30時間、2~24時間、2~12時間、4~12時間、より好ましくは4~8時間であり得る。恒温槽内の微生物製剤の滞留時間は、恒温槽から排出され油脂含有排水に添加される製剤中の微生物濃度が減少せずに略一定濃度を維持できるような時間であり得る。連続系での培養の場合、滞留時間内に増殖した微生物が常に恒温槽内に存在するため、投入した微生物が一定程度まで増殖する時間待たなければならないバッチ式での培養と比較して、滞留時間を短くすることができる。
好ましい実施形態においては、種菌の懸濁液の投入流量Xは、代表的にはゼロよりも大きいが、培地流量Yに対して無視できる程度の量であり得、そのためV=Y×Tであり得る。あるいは、20時間以上の連続運転中に種菌を投入しない、すなわちXがゼロの場合もあり得、その場合はもちろんV=Y×Tである。恒温槽内の微生物製剤の滞留時間は2~30時間であるので、恒温槽に毎時供給する培地体積Y(L)は、前記恒温槽内の培養液の体積V(L)の30分の1から2分の1、24分の1から2分の1、12分の1から2分の1、12分の1から4分の1、8分の1から4分の1などの体積であり得る。
このように、従来の例えば24時間ごとなどに微生物製剤を回分培養で増殖し、油脂含有排水に添加する微生物製剤投入方法と比較して、本発明においては、油脂分解微生物の滞留時間に応じて微生物製剤増幅用の恒温槽の体積を低減することができる。例えば、24時間ごとなどに微生物製剤を回分培養で増殖し、油脂含有排水に添加する微生物製剤投入方法と比較して、油脂分解微生物の滞留時間が12時間の場合には、恒温槽の体積を1/2とすることができる。回分培養で恒温槽における微生物増幅を行う系では12時間の滞留時間は困難なことがあるが、本発明のような連続系であれば可能である。
これまで油脂含有排水中の油脂分解のための微生物製剤を、本発明のように連続系で種菌から培養によって製造し、排水に投入するという思想は存在しなかったが、本発明によって、微生物製剤製造のための恒温槽の体積を、回分培養の場合と比較して有意に低減することができる。このようにして恒温槽の体積を小さくすることにより、恒温槽の設置条件をより柔軟に検討することができるようになり、狭い工場敷地内においても設置が可能になる。また、例えば油脂分解の対象である油脂含有排水や油脂分解槽の近くに恒温槽を配置することによって油脂分解のためのシステム全体をコンパクトにすることができる。
恒温槽からは、流量F(L/h)で一定流量の微生物製剤が排出され、油脂含有排水に投入され得る。恒温槽から排出される微生物製剤は、1×10cells/mL以上の油脂分解微生物を含み得る。ここで、流量Fは、X+Yと等しい。すなわち、恒温槽には、種菌懸濁液(X)+炭素源(Q)+培地(Y=Y1+Y2)が定流量で投入され、同時にX+Yに相当する流量Fが定流量で排出される。上記のとおり、XはY/100以下であり得るため、XはYに対して無視できる程度の量であり得る。その場合においては、YとFが等しくなる。本発明においては、排出流量Fにおいては炭素源の流量(Q)は考慮しない点に留意されたい。
炭素源は、恒温槽の培養液の炭素源濃度が常時、所定の濃度(例えば、約0.01w/v%)以下となるように恒温槽に供給され得る。そのため、恒温槽から排出される微生物製剤における炭素源は、約0.01w/v%以下であり得る。恒温槽の培養液の炭素源濃度が所定の濃度(例えば、約0.01w/v%)を超える場合、および/または、恒温槽から排出される微生物製剤中の炭素源濃度が所定の濃度(例えば、約0.01w/v%)を超える場合には、供給する炭素源の流量Qを減少させるか、恒温槽における滞留時間を延長するか、またはその両方などで対応することができる。なお、恒温槽の培養液の炭素源濃度とは、培養液全体の体積に対する炭素源の重量をいう。培養液中の炭素源が供給さ
れる一部においては炭素源濃度は局地的に当該所定の濃度を上回り得るが、それでもなお培養液の炭素源濃度が所定の濃度以下であり得ることが当然に理解され得る。また、上記の「常時」とは、恒温槽への連続的な培地、炭素源、および必要に応じて種菌の供給と、恒温槽中での微生物製剤の連続製造と、そして恒温槽からの排出微生物製剤の油脂含有排水への連続的な排出とが行われている間について、「常時」である。
(装置およびシステム)
本発明はまた、本発明の実施形態1の微生物製剤投入方法における使用のための装置またはシステムも提供し得る。本発明の装置またはシステムは、典型的には、種菌保管部(約15~500L)と、培地(例えば、300倍濃縮培地)保管槽(約5~50L)と、炭素源保管槽(約4~40L)と、種菌を培養して増殖させ、微生物製剤を製造するための恒温槽(約4~500L)を含み、連続的に流入出する油脂含有排水に略一定濃度の微生物製剤を20時間以上連続的に投入するためのものである(図1)。
本発明の種菌微生物の増幅のための恒温槽は、円筒形または角筒形で、金属製、プラスチック製またはガラス製の槽であり得る。好ましくは、恒温槽は温調器および温度計を備え、微生物培養(増幅)中の温度の制御が可能である。制御される温度は典型的には18~35℃、好ましくは25~33℃、より好ましくは28~30℃である。恒温槽内に水位計や液面センサーを設置し、少なくとも下限および上限、さらに場合によっては中位の液面の感知・制御を可能にしてもよい。さらにこの液面センサーは発泡センサーを兼ねてもよく、あるいは別の原理で発泡を感知するシステムを設置してもよい。これら発泡を感知するシステムと連動して消泡剤を自動供給するシステムを備え得る。典型的な実施形態において、恒温槽はブロアを備え得る。恒温槽には、散気管または散気球、あるいはマイクロバブル・ナノバブル発生装置を設置してもよい。
培地は培地保管槽において保管され、定流量で恒温槽に供給される。培地保管槽は、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製または金属製である。培地保管槽は、冷蔵庫に格納されてもよい。好ましい実施形態においては、培地保管槽は濃縮培地を保管するタンクであり、水は別ラインから供給され得る(図1)。
炭素源は炭素源保管槽において保管されており、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製または金属製である。
本発明の装置またはシステムにおける種菌保管部は、恒温槽において培養される前の、植種源となる微生物製剤を保管する部分(保管庫または保管槽)である。本発明の種菌保管部は、典型的には金属製、プラスチック製またはガラス製であるが、これに限定されるものではない。代表的な実施形態においては、本発明の種菌保管部は、曝気のためのブロアを備えない。図1においては、種菌保管部は冷蔵庫に格納されているが、必ずしもこれに限定されない。特に、種菌を乾燥菌体として保管する場合には、保管中の冷却は不要であり常温で保管することができる。
本発明の方法においては複数種の微生物を種菌として使用し得る。この複数種の微生物は、種類ごとに複数の保管タンクにおいて保管されてもよいが、好ましくは複数の微生物を1つまたは当該微生物の種類の数よりも少ない数の保管タンクにおいて保管されてもよい。少ない数(好ましくは1つ)の保管タンクにおいて複数種の微生物を保管することにより、システムや種菌の準備が簡単になり、効率的である。
図示していないが、本発明のシステムはさらに、別のタンクや装置を備えてもよく、例えば微生物の炭素源となる油以外の有機物またはその溶液、消泡剤、pH調整剤などをそれぞれ保管するタンクを備えてもよい。
本発明のシステムは、培地を培地保管槽から恒温槽へ定流量Y(L/h)で連続供給するように構成された第1ポンプと、炭素源を炭素源保管槽から恒温槽へ定流量Q(L/h)で連続供給するように構成された第2ポンプと、恒温槽から微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、油脂含有排水へ投入するように構成された排出手段を備え得る。この排出手段は、恒温槽の液面が一定となるように恒温槽内の培養液を自動で排水する任意の手段であり得、例えば恒温槽から微生物製剤を定流量F(L/h)で排出するように構成されたポンプであってもよいし、恒温槽の意図した高さに設置された排出管などであってもよい。培地保管槽が濃縮培地を保管している場合には、第1ポンプは濃縮培地を定流量Y1(L/h)で恒温槽に連続供給するように構成され、水が別途Y2(L/h)で供給され、ここで、Y1+Y2=Yである。
種菌懸濁液を種菌保管部で保管する実施形態においては、本発明のシステムは、種菌保管部から定流量X(L/h)で種菌懸濁液を恒温槽へ連続供給するように構成された第3ポンプをさらに備え得る。
種菌を乾燥菌体として種菌保管部で保管する実施形態においては、乾燥菌体は、種菌懸濁液調製槽へ供給されて恒温槽への添加の前に種菌懸濁液を形成してもよいし、恒温槽へ直接添加されてもよい。乾燥菌体の種菌懸濁液調製槽または恒温槽への添加は乾燥菌体供給手段によって行い、乾燥菌体供給手段としては当該分野で公知の任意の粉末フィーダーを用いることができる。所定の濃度の乾燥菌体を種菌懸濁液調製槽または恒温槽へ添加するように、フィーダーからの乾燥菌体の各槽への添加は、添加重量および/または添加時間を制御し得る。
種菌懸濁液調製槽を備える実施形態においては、本発明のシステムはさらに、定流量X(L/h)で種菌懸濁液を恒温槽へ連続供給するように構成された第4ポンプを備え得る。
3.バッチ式の恒温槽と貯留槽との組み合わせ(実施形態2)
本発明はまた、恒温槽において連続式で種菌微生物を培養し、油脂含有排水に投入する上述の実施形態1に加えて、種菌微生物をバッチ式の恒温槽で培養し、それを付帯する貯留槽に移し、貯留槽から連続的に油脂含有排水に投入する方法およびシステムも提供する(図5を参照のこと)。実施形態1と実施形態2とでは、微生物製剤を自動増幅する方法が異なるが、一定濃度の微生物製剤を一定流量で連続的に油脂含有排水に供給することに関しては、共通している。
(貯留槽)
本実施形態の方法では、貯留槽に種菌を増殖させた微生物製剤を貯留し、そこから連続的に油脂分解排水に一定濃度の微生物を含む微生物製剤を投入する。貯留槽は、貯留槽内の微生物製剤量を特定するための任意の手段を備える。貯留槽内の微生物製剤の内容量を特定するための手段は、水位計や液面センサーなどの微生物製剤の液面の位置を特定するものであってもよいし、重量計などの貯留槽内の微生物製剤の重量を特定するものであってもよいが、これらに限定されない。好ましい実施形態においては、本発明は、貯留槽に水位計や液面センサーを設置し、液面から貯留槽内の微生物製剤量が閾値を越えて減少していることを特定し得る。この場合、貯留槽内の微生物製剤量の減少が閾値に達した場合には、恒温槽で製造された微生物製剤が貯留槽に移送される。
貯留槽における内容量を特定するための手段(例えば、水位計や液面センサー)は、少なくとも下限(微生物製剤がなくなっている、またはそれに近い水位)を検知可能であり、好ましくはさらに上限(例えば、満水またはそれに近い水位)を検知可能なものであり得る。
本発明の貯留槽は、発泡を感知するシステム(例えば、発泡センサー)を備え得る。上記の液面センサーが発泡センサーを兼ねてもよい。好ましい実施形態において、発泡を感知するシステムと連動して消泡剤を自動供給するシステムも備え得る。
本発明の貯留槽は、好ましくは、保温のための施工が施される。具体的には、断熱材や遮熱塗装により保温される。断熱材や遮熱塗装は、貯留槽に直接施されてもよいし、そのように保温施工された箱の中に貯留槽が設置されてもよい。あるいは、貯留槽は、温調器および温度計を備え、貯留槽中の微生物製剤の温度の制御が可能であってもよい。ただし、この場合はコストがかかるので、温調器は必須というわけではない。貯留槽内の温度は典型的には0~42℃、好ましくは4~40℃である。これらの温度範囲に入らない場合は、加温又は冷却による温度調節を適宜行い得る。
貯留槽において、微生物が下に沈んでしまわないように、攪拌が行われてもよい。撹拌のための具体的な手段は限定されない。好ましい実施形態においては、本発明の貯留槽は攪拌混合のためのブロアを備える。あるいは、機械的撹拌手段(例えば撹拌羽根を有する撹拌混合装置または振動攪拌装置)を備えてもよい。貯留槽におけるブロアは、後述の恒温槽における微生物製剤製造時ほどの空気量で行う必要はなく、恒温槽のエアレーションに用いる空気量の80%以下、70%以下、60%以下または50%以下など、例えば40~80%、40~70%、40~60%などであり得る。
貯留槽におけるブロアは微生物の沈降を防ぐことを目的としているため、ブロアの散気管は貯留槽の下部に設けられ、貯留槽の下部から空気が供給されるのが好ましい。
恒温槽から貯留槽に補給される微生物製剤は、1×10cells/mL以上の油脂分解微生物を含み得る。本実施形態においては、貯留槽から油脂含有排水への微生物製剤の排出は連続的に行われるが、その排出量は、油脂含有排水の水質や季節に応じて、使用者が適切に調整することができる。
(恒温槽)
本発明の恒温槽は、温調器および温度計を備え、微生物培養(増幅)中の温度の制御が可能である。制御される温度は典型的には18~40℃、好ましくは20~35℃である。これらの温度範囲に入らない場合は、加温又は冷却による温度調節を適宜行い得る。恒温槽内には、槽内の内容量(微生物製剤量や水量)を特定するための任意の手段(例えば、水位計や液面センサー)を設置し、少なくとも下限および上限、場合によっては中位の液面の感知・制御を可能にする。この液面センサーは発泡センサーを兼ねてもよく、あるいは別の原理で発泡を感知するシステムを設置してもよい。これら発泡を感知するシステムと連動して消泡剤を自動供給するシステムを備え得る。
恒温槽内の内容量を特定するための手段(例えば、水位計や液面センサー)によって、貯留槽への微生物製剤の移送により減少する内容物が閾値を超えて減少していることを特定し得る。恒温槽内の微生物製剤量の減少が閾値に達した場合には、恒温槽に種菌、培地、炭素源、水などが供給され、回分培養されて微生物製剤が新たに製造され、再び貯留槽内の微生物製剤量が減少して閾値を超えたときに貯留槽に移送され得る。なお、本実施形態においては、貯留槽における微生物製剤の量が閾値まで低減したタイミングで恒温槽において回分培養を行って新たに微生物製剤を製造するため、恒温槽における回分培養は定期的に行われるものではない点に留意されたい。
さらに、本発明の恒温槽は、槽内の内容量を特定するための手段(例えば、水位計または液面センサー)によって検出される水位に呼応して、給水や、濃縮培地・炭素源・種菌のそれぞれの供給を自動的に開始するための各種制御手段と、それによって水位に応じて制御された各種供給手段(例えば、ポンプ)とを備える。この制御手段は、水位に呼応して流路を開閉する任意の手段であり得るが、典型的にはバルブ、特に電磁バルブであり得る。
給水や培地・炭素源・種菌の供給後、曝気が行われ新たな微生物製剤の増幅(生産)が行われるように、恒温槽は設計され得る。また、種菌の供給前に数分から1時間程度の曝気が行われてから種菌が供給されることで脱塩素を行うように設計され得る。さらに、給水後、培地・炭素源・種菌の供給前に、水位を検出して排水、再給水を繰り返すことで洗浄するプログラムで、恒温槽を制御してもよい。給水後に、恒温槽の水位計や液面センサーによって検出される水位が上位の閾値を越えたことに応じて排水し、恒温槽において検出される水位が下位の閾値を越えたことに応じて再給水し、これを任意の回数(例えば1~10回)繰り返すことによって、恒温槽を洗浄することができる。これらは、「微生物製剤の増幅(生産)」、「脱塩素」、「洗浄」などそれぞれ工程がプログラムされており、使用者が適宜選択することによって選択された工程が行われ得る。
本発明においては、恒温槽において、油脂分解微生物の増殖に必要な空気を供給するためにエアレーションおよび攪拌が行われてもよい。撹拌は、培養液の混合により、増殖させたい油脂分解微生物と、培地および炭素源とを接触させて微生物の増殖を促進するために行う。エアレーションや撹拌のための具体的な手段は限定されない。好ましい実施形態においては、本発明の恒温槽はブロアを備える。ブロアは、空気導入と共に培養物の撹拌混合も行い得る。あるいは、機械的にエアレーションと撹拌を行う空気導入手段(例えば送気ポンプ)や、機械的撹拌手段(例えば撹拌羽根を有する撹拌混合装置または振動攪拌装置)を併用してもよい。
恒温槽における曝気のための散気場所が深くなるほど、水深による水圧によって酸素の溶解効率が高くなるため、ブロアの散気管は恒温槽の下部に設けられ、恒温槽の下部から空気が供給されるのが好ましい。
恒温槽中の溶存酸素濃度(DO)は、ブロアなどの曝気撹拌手段により通常0.05mg/L以上、好ましくは0.1mg/L以上に保つことが望ましい。
恒温槽中の培養液のpHは、通常4.5~9.0、好ましくは5.5~8.5、より好ましくは6.0~8.0の範囲内である。これらの範囲に入らない場合は、酸又はアルカリの添加により適宜pHの調整を行い得る。
恒温槽における増殖は、微生物が1×10cells/mL以上になるまで行われ得る。
本発明の恒温槽は、上述の貯留槽において、微生物製剤量が閾値に達した(例えば、微生物製剤の液面が閾値まで低下したこと)ことを検知したタイミングで、恒温槽から微生物製剤を貯留槽へ移送するための機能を備え得る。恒温槽から貯留槽への移送のための機能は、例えばポンプ、送液管等であり得る。
炭素源の供給量および/または滞留時間は、恒温槽から排出される微生物製剤における炭素源濃度が所定の濃度(例えば、約0.05w/v%以下、約0.01%w/v以下、または約0.001w/v%以下)、好ましくはゼロとなるように設定され得る。恒温槽から排出される微生物製剤において炭素源濃度を測定し、その測定結果に応じて炭素源の供給量および/または滞留時間を変更してもよい。例えば、恒温槽から排出される微生物製剤の炭素源濃度を約0.01w/v%以下とする設定の場合、恒温槽から排出される微生物製剤の炭素源濃度が約0.01w/v%を超えている場合には、供給する炭素源の量を低減するか、滞留時間を延長するか、またはその両方を行ってもよい。
(種菌)
本実施形態においては、1×10~1×1012cells/mL、好ましくは1×10~2×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌の懸濁液を、恒温槽中の約50~500倍量の培養液に添加してもよい。
種菌は、種菌保管部に懸濁液の形態で保管されていてもよいし、乾燥菌体として種菌保管部に保管されていてもよい。乾燥菌体の製造方法については、後に詳述する。本発明の1つの実施形態においては、種菌を油脂分解微生物の乾燥菌体として保管し、前記恒温槽に供給される前に種菌懸濁液とする。この種菌懸濁液は、1×10~2×1010cells/mLとなるように液中に懸濁され、前記の通り恒温槽に添加されてもよいし、k×2×1010cells/mL以上(k≧1)となるように調製され、この種菌懸濁液を恒温槽に供給してもよい(この場合は、種菌懸濁液を約50k~500k倍量の培養液に添加する)。本発明の別の実施形態においては、恒温槽に、乾燥菌体を1×10cells/mL以下の微生物濃度となるように直接供給する。
1つの実施形態において、本発明の種菌は、油脂分解微生物を培養(典型的には、回分培養)したものから培養上清を取り除き、新鮮な培地に1×10~1×1012cells/mL、好ましくは1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁し、冷蔵したものであり得る。本発明の種菌は、好ましくは、1×10~9×10cells/mL、より好ましくは1×10~2×10cells/mLになるように再懸濁されたものであり得る。また、好ましくは、培地は炭素源を含まない無機塩培地を用いる。
当該分野においては、種菌は培養液中でそのまま保管することが一般的であり、その状態で生存率を保つためには曝気が必要であり得る。しかしながら、上記のような、油脂分解微生物を回分培養したものから培養上清を取り除き、炭素源を含まない新鮮な培地に再懸濁し、冷蔵したものについては、ブロアによる曝気を行うことなく種菌の生存率を維持できることを本発明者は見出した。好ましい実施形態において、油脂分解微生物の増殖のための培地は炭素源、窒素、リン、カリウム等を含み、増殖後の再懸濁のための新鮮な培地は、炭素源を含まない無機塩培地であり得る。
(運転サイクル)
実施形態2の方法およびシステムは、以下のようなサイクルで運転され得る。
1.投入量コントローラーにより投入量を設定
排水処理量、排水の状態、油脂使用または排出量、季節等をもとに投入量を使用者が入力する。
2.投入
・設定された投入量になるよう投入ポンプが稼働し、貯留槽から油脂含有排水に貯留液(微生物製剤)を連続的に投入する。
3.貯留槽における微生物製剤水位が低い状態を検知
・上記2の工程により水位が減少し、微生物製剤水位が閾値に達した、またはそれを越えた状態になったことを水位センサーが検知する。
4.恒温槽から微生物製剤を移送
・上記3の検知に応じて、恒温槽中に存在する培養液(微生物製剤)を全量貯留槽に移送する。
5.微生物製剤の再増幅
5-1.上記2に戻り、貯留槽から油脂含有排水に貯留液(微生物製剤)を油脂含有排水に連続投入するとともに、
5-2.恒温槽に給水および加温、曝気、種菌・濃縮培地・炭素源投入を行い、微生物製剤を回分培養する。さらにこの具体的な運転フローは下記であり得る。
5-2-1.上記4の恒温槽から貯留槽への微生物製剤の移送工程により減少する恒温槽内の水位を液面センサーまたは水位計が検知し、微生物製剤水位が閾値に達した、またはそれを越えた状態になったら、給水口の制御手段が開き給水が開始される。
5-2-2.給水により水位が上昇し閾値に達したら給水口の制御手段が閉じて給水が停止されるとともに、培地・炭素源・種菌の供給口の制御手段が開き、それぞれ一定量の培地、炭素源、種菌が恒温槽に供給される。
5-2-3.曝気が開始され、一定時間、微生物を培養、増幅することにより微生物製剤が製造される。
上記2~5のサイクルが繰り返されるが、5-2(5-2-3)において製造された微生物製剤が、上記4において恒温槽中に存在する培養液(微生物製剤)になる。
また、上記5-2-1と5-2-2との間に、さらに以下の工程を含んでもよい。
A.所定量まで(例えば、恒温槽が満水になる、等)恒温槽に給水されたことを検知後、再び排水し、水位が閾値まで低減したことを検知して再給水し、以下、この排水と給水を任意の回数繰り返すことにより、恒温槽内を洗浄する。
B.給水後、一定時間の曝気を行って脱塩素する。
上記5-2が行われるごとにAおよびBが行われてもよいし、5-2が任意の回数行われた後にAおよびBが行われるように設定されてもよいし、使用者が任意のタイミングでAおよびBを行うように操作することができてもよい。また、上記5-2が行われた後に、Aが行われてBが行われなくてもよいし、Bが行われてAが行われなくてもよい。これらについては、使用者が状況に応じて適切に設定することができる。
(装置およびシステム)
本発明はまた、本発明の実施形態2の微生物製剤投入方法における使用のための装置またはシステムも提供し得る。本発明の装置またはシステムは、典型的には、種菌保管部(約15~500L)と、培地(例えば、300倍濃縮培地)保管槽(約5~50L)と、炭素源保管槽(約4~40L)と、種菌を培養して増殖させ、微生物製剤を製造するための恒温槽(約100~500L)と、微生物製剤を貯留する貯留槽(約100~500L)とを含み、連続的に流入出する油脂含有排水に略一定濃度の微生物製剤を貯留槽から連続的に(例えば、24時間以上連続的に)投入するためのものである(図5)。
恒温槽および貯留槽は、円筒形または角筒形で、金属製、プラスチック製またはガラス製の槽であり得る。恒温槽は、貯留槽へ微生物製剤を排出するための排出手段を有し、貯留槽は、油脂含有排水に貯留している微生物製剤を排出するための排出手段を有する。
恒温槽は温調器および温度計を備え、微生物培養(増幅)中の温度の制御が可能である。制御される温度は典型的には18~35℃、好ましくは25~33℃、より好ましくは28~30℃である。恒温槽は、槽内の内容量(微生物製剤量や水量)を特定するための任意の手段(例えば、水位計や液面センサー)を備える。
本発明の恒温槽はまた、槽内の内容量を特定するための手段(例えば、水位計または液面センサー)によって検出される水位に呼応して(連動して)、
・培地保管槽から培地を恒温槽へ自動的に供給するための培地用制御手段と培地用ポンプ、
・炭素源保管槽から炭素源を恒温槽へ自動的に供給するための炭素源用制御手段と炭素源用ポンプ
・種菌を恒温槽へ供給するように構成された、種菌用制御手段および種菌用ポンプ/フィーダー
・給水用制御手段
を備える。培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段はいずれも、恒温槽内の内容量を検知する機構と連動して自動的に稼働されることが好ましい。ここで、「恒温槽内の内容量を検知する機構と連動する」とは、恒温槽内の内容量を検知する機構によって検知された水量のシグナルに呼応して直接的に連動することも含むし、恒温槽内の内容量を検知する機構によって検知された水位のシグナルに連動した他のバルブやポンプの挙動に呼応することにより、他のバルブやポンプを介して恒温槽内の内容量を検知する機構と間接的に連動することも含む。例えば、恒温槽内の内容量を検知する機構によって、恒温槽内の水位がある閾値または条件を満たしたというシグナルが発せられると、培地用制御手段がそれに連動して流路を開き、培地用ポンプによって培地が恒温槽内に供給される。この場合、培地用制御手段は、恒温槽内の内容量を検知する機構に「直接的に」連動する。炭素源用制御手段や種菌用制御手段は、この培地用制御手段や培地用ポンプの稼働を検知して、それに連動して稼働するように設定することができる。この場合、炭素源用制御手段や種菌用制御手段は、恒温槽内の内容量を検知する機構に「間接的に」連動する。培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段がすべて、恒温槽内の内容量を検知する機構と直接的に連動してもよいし、培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段のうちのいずれか1つが恒温槽内の内容量を検知する機構と直接的に連動し、他の2つは恒温槽内の内容量を検知する機構と間接的に連動してもよいし、あるいは、培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段のうちのいずれか2つが恒温槽内の内容量を検知する機構と直接的に連動し、他の1つは恒温槽内の内容量を検知する機構と間接的に連動してもよい。
なお、上記の種菌用制御手段、ならびに種菌用ポンプおよび/または種菌用フィーダーは、
(i)種菌保管部に種菌懸濁液を保管している場合には、種菌保管部から種菌懸濁液を恒温槽に供給するための制御手段およびポンプであり、
(ii)種菌保管部に乾燥菌体を保管し、その乾燥菌体を種菌懸濁液調製槽において種菌懸濁液にしてその種菌懸濁液を恒温槽へ供給する場合には、種菌懸濁液調製槽への給水を制御する給水制御手段と、種菌保管部から乾燥菌体を種菌懸濁液調製槽へ供給するための乾燥菌体供給制御手段と、種菌懸濁液調製槽から種菌懸濁液を恒温槽へ供給するための制御手段およびポンプであり、
(iii)種菌保管部に乾燥菌体を保管し、その乾燥菌体を恒温槽へ供給するよう場合には、種菌保管部から乾燥菌体を恒温槽へ供給するための制御手段および種菌用フィーダーである。
なお、上記の(ii)の場合(すなわち、種菌保管部に乾燥菌体を保管し、その乾燥菌体を種菌懸濁液調製槽において種菌懸濁液にしてその種菌懸濁液を恒温槽へ供給する場合)には、種菌懸濁液調製槽への給水や乾燥菌体種菌の供給および種菌懸濁液の恒温槽への供給がそれぞれ、種菌調製槽の内容量または恒温槽の制御状況(排水、給水、培地の供給など)と連動して制御され得る。
恒温槽はまた、水位計や液面センサーによって貯留槽内の微生物製剤量が下限に達したことを検知すると、それに呼応して(連動して)、恒温槽から微生物製剤を排出する排出手段を備える。
好ましい実施形態においては、給水用制御手段、培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段が全て恒温槽の水位に直接的に連動するか、あるいは、給水用制御手段が恒温槽の水位に直接的に連動し、培地用制御手段、炭素源用制御手段および種菌用制御手段が給水用制御手段と連動することによって間接的に恒温槽の水位に連動し得る。
給水用制御手段は、恒温槽内の微生物製剤の水位が閾値を超えて低くなったことに連動して開口され、恒温槽内の水位の上昇を感知して、または一定水量の供給後に自動的に閉口されてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、制御手段は電磁バルブであり得る。
貯留槽は、槽内の内容量(微生物製剤量や水量)を特定するための任意の手段(例えば、水位計や液面センサー)を備える。
貯留槽は、好ましくは、保温のための施工が施される。具体的には、断熱材や遮熱塗装により保温される。断熱材や遮熱塗装は、貯留槽に直接施されてもよいし、そのように保温施工された箱の中に貯留槽が設置されてもよい。あるいは、貯留槽は、温調器および温度計を備え、貯留槽中の微生物製剤の温度の制御が可能であってもよいが、必須ではない。
貯留槽は、微生物の沈降を防ぐための攪拌混合のためのブロア、または、機械的撹拌手段(例えば撹拌羽根を有する撹拌混合装置または振動攪拌装置)を備えてもよい。
培地は培地保管槽において保管され、恒温槽における水位と連動して自動的に恒温槽に供給される。培地保管槽は、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製または金属製である。培地保管槽は、冷蔵庫に格納されてもよい。好ましい実施形態においては、培地保管槽は濃縮培地を保管するタンクであり、水は別ラインから供給され得る(図5)。
炭素源は炭素源保管槽において保管されており、恒温槽における水位と連動して自動的に恒温槽に供給される。炭素源保管槽は、典型的には金属製またはプラスチック製またはガラス製であり、好ましくはプラスチック製または金属製である。
本発明の装置またはシステムにおける種菌保管部は、恒温槽において培養される前の、植種源となる微生物製剤を保管する部分(保管庫または保管槽)である。種菌保管部は、恒温槽における水位と連動して自動的に種菌を恒温槽または種菌懸濁液調製槽に供給する手段を有する。本発明の種菌保管部は、典型的には金属製、プラスチック製またはガラス製であるが、これに限定されるものではない。代表的な実施形態においては、本発明の種菌保管部は、曝気のためのブロアを備えない。図5においては、種菌保管部は冷蔵庫に格納されているが、必ずしもこれに限定されない。特に、種菌を乾燥菌体として保管する場合には、保管中の冷却は不要であり常温で保管することができる。
本発明の方法においては複数種の微生物を種菌として使用し得る。この複数種の微生物は、種類ごとに複数の保管部において保管されてもよいが、好ましくは複数の微生物を1つまたは当該微生物の種類の数よりも少ない数の保管部において保管されてもよい。少ない数(好ましくは1つ)の保管部において複数種の微生物を保管することにより、システムや種菌の準備が簡単になり、効率的である。
図示していないが、本発明のシステムはさらに、別のタンクや装置を備えてもよく、例えば微生物の炭素源となる油以外の有機物またはその溶液、消泡剤、pH調整剤などをそれぞれを保管するタンクを備えてもよい。
4.炭素源
以下、本発明において使用され得る炭素源について説明する。以下で説明する炭素源は、上述の実施形態1および2の両方に適用可能である。
本発明において使用される炭素源は、微生物がそれを消費して増殖することができる任意の炭素源であり得る。微生物は炭素源を消費し、消費量に菌体収率を乗じた分を菌体成分に変換して増殖する。本発明における炭素源は典型的には油脂であり、油脂としては植物油が好ましく、植物油としては、綿実油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油(コーン油)、オリーブ油、サフラワー油、米油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、落花生油などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の炭素源としては、動物性油脂も使用することができ、動物性油脂としてはラード、牛脂、乳脂肪、魚油等が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて1種または複数の炭素源を用いてもよい。また、食品工場や外食産業などから排出される廃油あるいは油を含んだ廃棄物を用いてもよい。
上述の実施形態1および2のいずれにおいても、好ましい実施形態においては、培地と炭素源とは別々に保管し、それぞれ別々の供給ラインから恒温槽に供給されて、恒温槽において培地と炭素源とが混合される。こうすることによって、保管中の水分と炭素源(油脂)との分離の問題や、雑菌での汚染が回避できるからである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、培地と炭素源とが恒温槽に供給される前に混合槽または供給ラインにおいて混合されてもよいし、培地および炭素源が混合されて保管され、それが供給ラインを通じて恒温槽に供給されてもよい。
5.培地
以下、本発明において使用され得る培地について説明する。以下で説明する培地は、上述の実施形態1および2の両方に適用可能である。
本発明において用いられる培地は、一般的に微生物の培養に使用される培地であり得、好ましくは窒素、リンおよびカリウムなどを含み得る。本発明において用いられる培地は、無機塩培地であってもよく、無機塩培地の組成の一例は、NaHPO 3.5g/L,KHPO 2.0g/L,(NHSO 4g/L,MgCl・6HO 0.34g/L,FeSO・7HO 2.8mg/L, MnSO・5H
2.4mg/L,CoCl・6HO 2.4mg/L,CaCl・2HO 1.7mg/L,CuCl・2HO 0.2mg/L,ZnSO・7HO 0.3mg/L,NaMoO 0.25mg/Lであり得る。本発明の上記培地は、炭素源を含まないため、必ずしも冷蔵する必要はない。
本発明においては、恒温槽に、目的濃度の培地を添加してもよいし、濃縮培地と水とに別個に分けて添加してもよい。好ましい実施形態においては、培地は、濃縮培地と水とに別個に分けて恒温槽に添加される。一般的に、培地は調製されて運搬、保管されるため、その容量が小さくなり、効率的だからである。
濃縮培地と水とに別個に分けて恒温槽に添加される場合には、濃縮培地および水がそれぞれ直接恒温槽に添加されて恒温槽中で目的濃度の培地を生成してもよいし、恒温槽に添加される前に混合槽または供給ラインにおいて混合され、目的濃度の培地を生成した後に恒温槽に添加されてもよい。
濃縮培地は、恒温槽における目的濃度の培地成分の約10倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約200倍以上、好ましくは約250倍以上の濃度の培地を有するものであり得る。
6.微生物
(微生物の特性)
本発明において微生物製剤として使用される油脂分解微生物としては、油脂分解能力を有するものであれば特に制限無く使用することができる。上記実施形態1および実施形態2において、使用される微生物には特に相違はなく、分解する対象の油脂含有排水に応じて適した油脂分解微生物を使用することができる。微生物製剤中の微生物としては、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上を混合して使用する場合は、共生可能な微生物の組み合わせを使用することが望ましい。また、微生物製剤には、油脂分解を助ける共生菌を含ませることもできる。
油脂分解微生物の一例として、22~35℃、pH=5.5~8.5、DO≧0.1mg/L、回分培養の条件で、n-Hex値=10000mg/L相当の油脂及び加水分解物産物の脂肪酸を、72時間内に、好ましくは48時間以内に、より好ましくは36時間以内に、より一層好ましくは24時間以内に80%以上分解する能力を有する微生物が挙げられる。
微生物製剤には、リパーゼを生産する微生物、並びに(油脂のリパーゼによる分解産物である)脂肪酸及び/又はグリセロールを分解する微生物を好適に使用することができる。このような微生物としては、これらの性質を単独で有する微生物だけでなく、これらの性質を複数併せ持った微生物(例えば、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を分解する微生物)を使用することもできる。
リパーゼを生産する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母である。真性細菌としては、例えば、バチルス(Bacillus)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、ブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、アシドボラックス(Acidovorax)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属細菌等を用いることができる。中でも、ブルクホルデリア属細菌、特にブルクホルデリア・アルボリス(例えば、SL1B1株(NITE P-724)、KH-1(NITE BP-02731)、KH-1AL1(NITE BP-02977)、KH-1AL2(NITE BP-02978)もしくはKH-1AL3(NITE BP-02979))が好ましい。酵母としては、例えばヤロウィア(Yarrowia)属酵母、ヤロウィア・リポリティカ(例えばKH-2株NITE BP-02732)が好ましい。
グリセロールを分解(資化)する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母、より好ましくは酵母である。酵母としては、カンジダ(Candida)属酵母、特にカンジダ・シリンドラセア(例えば、SL1B2株(NITE P-714)など)が好ましい。
脂肪酸を分解(資化)する微生物としては、真性細菌、酵母、糸状真菌類などが挙げられ、好ましくは真性細菌及び酵母、より好ましくは酵母である。酵母としては、ヤロウィア(Yarrowia)属酵母、クリプトコッカス(Cryptococcus)属酵母、トリコスポロン(Trichosporon)属酵母、及びハンゼヌラ(Hansenula)属酵母、特にヤロウィア・リポリティカ(例えば、1A1株(NITE BP-1167)など)が好ましい。なお、ヤロウィア・リポリティカには、脂肪酸を分解(資化)する能力に加え、リパーゼを分泌する能力がある株と分泌能力のない株があることに留意されたい。前者の例として、KH-2(NITE BP-02732)、KH-2AL1(NITE BP-03091)、もしくはKH-2AL3(NITE BP-03092)、またはその誘導株が挙げられるが、これらに限定されない。後者の例として、1A1株(NITE BP-1167)、またはその誘導株が挙げられるが、これに限定されない。
微生物製剤を製造する際に使用する微生物の具体例としては、ブルクホルデリア・アルボリス、カンジダ・シリンドラセア、及びヤロウィア・リポリティカが挙げられ、これらを2又は3種組み合わせて使用することが望ましい。
ブルクホルデリア属細菌としては、KH-1(受託番号NITE BP-02731で特定される菌株)、KH-1AL1(受託番号NITE BP-02977で特定される菌株)、KH-1AL2(受託番号NITE BP-02978で特定される菌株)もしくはKH-1AL3(受託番号NITE BP-02979で特定される菌株)、またはその誘導株が挙げられるが、これらに限定されない。
カンジダ属酵母の具体例はカンジダ シリンドラセアSL1B2である(受託番号NITE P-714で独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されている)。当該菌株はグリセロール資化能に優れる。グリセロールを分解(資化)する微生物を併用することで、グリセロールの蓄積による油脂分解速度の低下が防止され、一層効率的な油脂分解が達成可能となり得る。
ヤロウィア酵母としては、ヤロウィア・リポリティカKH-2(受託番号NITE BP-02732で特定される微生物株)、ヤロウィア・リポリティカKH-2AL1(受託番号NITE BP-03091で特定される微生物株)、もしくはヤロウィア・リポリティカKH-2AL3(受託番号NITE BP-03092で特定される微生物株)、またはその誘導株が挙げられるが、これらに限定されない。
微生物は、公知の方法により培養することで製造することができる。
(種菌懸濁液)
好ましい実施形態において、本発明の種菌懸濁液は、例えば以下の工程で得られるものであり得る。なお、容量は状況に応じて調整可能である。
1.培養工程:油脂分解微生物を、炭素源(油脂)を補充した無機塩培地(例えば10L)において回分培養で1×10~2×1010cells/mLまで培養する。無機塩培地の組成としては、例えば、前述のものが使用可能である。
2.集菌工程:上記培養工程において得られた培養液を、例えば、遠心分離(例えば、2000×g、15min、25℃の条件)し、ペレット状の湿細胞集塊を回収する。
3.再懸濁工程:集菌した湿細胞集塊を培地(例えば、炭素源を補充しない無機塩培地100L)に再懸濁し、種菌懸濁液とする。
4.保存工程:必要に応じて、保管容器(例えば、200L)に入れ蓋をして4℃で遮光して静置保存する。なお、このようにして得られた本発明の種菌懸濁液の保存のためには、ブロアによる曝気が不要であり、これは本発明の有利な特徴である。従来は、油脂分解微生物の種菌懸濁液の保存のためには一定間隔でブロアによる曝気が必要であったが、本発明のシステムにおいては種菌懸濁液の曝気のためのブロアが不要であり、コストを低減することができる。
上記の湿細胞集塊は、遠心分離以外にも、ろ過、凝集沈殿、圧縮脱水など当該分野で公知の任意の手段によって、培養液を概ね細胞集塊と培養上清とに分け、培養上清を取り除くことによって得ることができる。
図2は、上記の工程1~4で得られた種菌懸濁液(本願発明、サンプルNo.3)と、上記工程2および3を省略して工程1によって得られた培養液をそのまま工程4のように保存した培養液(比較例、サンプルNo.4)との、生菌数の推移を示すグラフである。図2の結果から分かるように、工程2および3を経ることにより、曝気をしなくても生存率を長期にわたって維持することが可能である(実施例1を参照のこと)。
また、図3の結果に示されるように、1010cells/mLオーダーよりも10cells/mLオーダーの方が長期生存性が高かった。従って、好ましい実施形態においては、種菌懸濁液における油脂分解微生物の濃度は1×10~2×1010cells/mLであり、好ましくは1×10~9×10cells/mLであり、より好ましくは1×10~2×10cells/mLであり得る。なお、通常の回分培養では1010cells/mL程度の培養液が得られるので、これを10倍希釈するように無機塩培地に懸濁してもよい。このようにして得られた種菌懸濁液も、そのような処理を行わない懸濁液と比較して、種菌の生存率維持の効果を得ることが可能であり得る。理論に拘束されることを意図しないが、希釈の過程で老廃物が除かれることや、炭素源が既に培養の過程でほぼ消費されており、希釈によって炭素源を実質的に含まない状態になることに起因すると考えられる。ただし、培養液を集菌し、それを炭素源を含まない無機塩培地に再懸濁した場合の方が、微生物の生存率維持の観点からは好ましくあり得る。
(乾燥菌体)
従来の微生物乾燥方法は、主に乾燥に耐性のあるグラム陽性菌、特に芽胞形成細菌や胞子を形成する酵母に適用されるものであった。他方、例えば油脂含有排水処理に用いる微生物として上に記載した、脂肪酸を消費・資化する、リパーゼ分泌微生物であるブルクホルデリア・アルボリスは、乾燥への耐性が低い非芽胞形成菌のグラム陰性菌である。このようなグラム陰性菌については、効率的な乾燥菌体の製造方法は存在しなかった。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、油脂分解微生物製剤を凝集沈殿、脱水、遠心分離などによって湿細胞集塊にし、これにホエイを含む水(例えば、約1w/v%程度)に懸濁後、減圧乾燥に供し乾燥させることで、油脂分解能の指標であるリパーゼ活性を乾燥処理前のものに対して50%以上維持させることができるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の微生物乾燥製剤の製造方法、微生物の減圧乾燥用保護剤、及び微生物乾燥製剤を提供するものである。
本発明により得られる微生物乾燥製剤は、乾燥処理前と比べて高い酵素活性を維持している。本発明の微生物乾燥製剤の製造方法は、広く微生物全般において乾燥後の酵素活性低下を軽減することができるが、乾燥に耐性のあるグラム陽性菌や酵母以外の微生物(例えば、非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌)にも広く適用可能で且つ簡便に行える。
また、本発明の微生物の減圧乾燥用保護剤は、乾燥に耐性のあるグラム陽性菌や酵母以外の微生物(例えば、非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌)を減圧乾燥する際に生存率を高めることが可能である。
本発明では、減圧乾燥を行うため、低コスト化が可能であり、スケールアップも容易であり得る。
本発明の微生物乾燥製剤の製造方法は、ホエイを微生物と混合し、減圧乾燥する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の微生物の減圧乾燥用保護剤は、ホエイを有効成分とすることを特徴とする。
上記微生物としては、本発明の方法により乾燥処理が可能な限り特に制限されず、細菌、古細菌、真菌などの各種の微生物を広く使用できる。微生物としては、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の微生物乾燥製剤の製造方法が適用可能な細菌としては、グラム陰性細菌(例えば、光合成細菌、シアノバクテリア、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、プロテオバクテリア、腸内細菌群、化学合成無機栄養細菌、メタン生成細菌など)、及びグラム陽性細菌(例えば、ブドウ球菌、胞子形成桿菌、乳酸菌、コリネフォルム細菌、放線菌など)が挙げられ、中でもグラム陰性細菌、特に非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌が好適である。これは、当該細菌は、乾燥への耐性が低く従来の乾燥方法を適用することが難しいためである。
本発明の微生物乾燥製剤の製造方法が適用可能な真菌としては、酵母(例えば、カンジダ(Candida)属酵母、ヤロウィア(Yarrowia)属酵母、サッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属酵母、ピキア(Pichia)属酵母、クリプトコッカス(Cryptococcus)属酵母、トリコスポロン(Trichosporon)属酵母、ハンゼヌラ(Hansenula)属酵母など)、糸状菌(アスペルギルス(Aspergillus)属など)などが挙げられる。
微生物乾燥製剤が油脂分解微生物製剤である場合は、使用する微生物として、上記のような脂肪酸を消費・資化するリパーゼ分泌微生物、グリセロールを消費・資化する微生物、遊離脂肪酸を資化し、リパーゼを分泌しない微生物などが挙げられる。
乾燥油脂分解微生物製剤を製造する際に使用する微生物の具体例としては、ブルクホルデリア・アルボリス、カンジダ・シリンドラセア、及びヤロウィア・リポティカが挙げられ、これらを2又は3種組み合わせて使用することが望ましい。
芽胞を形成しない微生物は乾燥保存において生存率が極端に落ちることが知られているが、本発明者は予想外に、ホエイを使うことによって、芽胞を形成しない微生物でも、乾燥による死滅を防ぐことができることを見出した。
微生物は、公知の方法により培養することで製造することができる。培養を行った後、培養液から微生物を、凝集沈殿、脱水、遠心分離などにより湿細胞集塊として集菌し、必要により洗浄等の操作を行って湿菌体を得て、当該湿菌体をホエイとの混合に使用することができる。
ホエイ(whey)とは、乳清とも呼ばれ、牛乳又は脱脂乳に、レンネットや酸を加えて生じるカードを除去した後に排出される黄緑色の液体であり、チーズやカゼインの製造時の副産物として得られ、チーズやレンネットカゼインの製造で得られるスウィートホエイや酸カゼインの製造で得られる酸ホエイなどがある。ホエイの成分は、タンパク質、乳糖、水溶性ビタミン、塩類(ミネラル成分)などである。ホエイとしては、濃縮したもの、乾燥したもの、粉末状のものなども使用することができる。
ホエイは、チーズを製造する際に副産物として大量に排出されるため、低コストで入手が可能である。
ホエイと微生物を混合する方法は、特に制限されず、各種の公知の方法により行うことができる。ホエイと微生物を混合する方法としては、例えば、湿細胞集塊とした微生物をホエイを含む溶液に懸濁する方法が挙げられる。
そのような微生物を懸濁する溶液中のホエイの配合量は、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、0.1w/v%以上、好ましくは0.5w/v%以上、好ましくは1w/v%以上であり、例えば0.1~5w/v%、好ましくは0.1~3w/v%、より好ましくは0.5~2w/v%である。ホエイを含む溶液の溶媒としては、水を好適に使用できる。
微生物とホエイとの混合割合は、微生物1×1010cellsに対して、ホエイが通常約1mg~約5mg、好ましくは約2mg~約3mgであり得る。
ホエイと微生物との混合物には、必要によりホエイと微生物以外の他の成分を含ませることができる。
減圧乾燥とは、真空乾燥とも呼ばれ、大気圧以下の減圧の下で乾燥を行う方法である。減圧乾燥では、凍結乾燥とは異なり、乾燥させる対象を凍結させずに行う。減圧乾燥は、通常20~60℃、好ましくは30~50℃で行われる。必要により加熱を行うことができる。減圧の程度は、凍結させずに微生物を乾燥させることができれば任意のものであり得、大気圧よりやや低い微減圧(例えば、約970HPa)が好ましいが、これに限定されない。減圧乾燥は、市販されている機器を使用して実施できる。
本発明の製造方法において、減圧乾燥工程以外にも、その他の工程を実施することができる。
本発明の製造方法により得られた微生物乾燥製剤は、適当な容器に入れて、冷蔵または常温保存することができる。また、微生物乾燥製剤を入れた容器には、乾燥剤などを入れておくことで乾燥状態を維持することができる。
ホエイによる本発明の微生物乾燥製剤の製造方法は、乾燥に耐性のあるグラム陽性菌や酵母以外の微生物(例えば、非芽胞形成菌であるグラム陰性細菌)にも広く適用可能で且つ簡便に行うことが可能である。本発明により得られる微生物乾燥製剤は、乾燥処理前の酵素活性(例えば、ブルクホルデリア・アルボリスにおけるリパーゼ活性)を50%以上維持している。
本発明では、減圧乾燥を行うため、運搬や保管時の低コスト化が可能であり、スケールアップも容易である。
図4に示されるように、保護剤がない場合や、保護剤として公知のトレハロースを使用した場合と比較して、ホエイは乾燥前後の微生物製剤の酵素活性の維持をもたらすことできる。特にホエイを1%添加して減圧乾燥した微生物製剤は、乾燥前と比べて顕著にリパーゼ活性を維持していた。保護剤がない場合や、保護剤としてトレハロースを使用した場合は、リパーゼ活性は乾燥前と比べて20%以下であった。本発明の、ホエイを用いる乾燥製剤およびその製造方法の有利な効果が実証されている。
本発明においては、種菌は上記の乾燥製剤として保存され、そして恒温槽に種菌懸濁液として供給される前に1×10cells/mL以上となるように液中に懸濁され、こうして調製された種菌懸濁液を前記恒温槽に連続供給してもよい。この場合における「液中」とは、培地や水が代表的であるが、緩衝液や塩溶液など種菌を懸濁するための任意の溶液であり得る。
乾燥菌体から濃縮懸濁液をいったん調製し、それを恒温槽または培養液に供給する実施形態では、種菌懸濁液は乾燥菌体を出発物質とするため、濃度が自由に調整可能であり、例えば2×101000cells/mLほどの濃い濃度の種菌懸濁液も調製することができる。2×101000cells/mLほどの濃度の種菌懸濁液を用いると、一般的な種菌懸濁液濃度1×10~2×1010cells/mLの濃度の種菌懸濁液を用いる場合と比較して、種菌懸濁液の投入流量または投入量が1/100程度でよいことになる。
(実施例1)
本実施例では、油脂分解微生物としてブルクホルデリア・アルボリスKH-1を用い、種菌懸濁液の初期濃度と生存率との関係を検討した。
1.培養工程:KH-1を、キャノーラ油(1v/v%)を補充した無機塩培地において30℃にて、1×10~2×1010cells/mLまで回分培養した。無機塩培地の組成は、NaHPO 3.5g/L,KHPO 2.0g/L,(NHSO 4g/L,MgCl・6HO 0.34g/L,FeSO・7HO 2.8mg/L, MnSO・5HO 2.4mg/L,CoCl・6HO 2.4mg/L,CaCl・2HO 1.7mg/L,CuCl・2HO 0.2mg/L,ZnSO・7HO 0.3mg/L,NaMoO 0.25mg/Lであった。
2.集菌工程:上記培養工程において得られた培養液を2000×g、15min、4℃の条件で遠心分離し、湿細胞集塊を回収した。
3.再懸濁工程:集菌した湿細胞集塊を、キャノーラ油を補充しない無機塩培地に全量100mlになるように再懸濁し、種菌懸濁液とした。
4.保存工程:種菌懸濁液を100mlのメディウム瓶に入れ蓋をして、密閉状態で4℃にて、遮光して静置保存した。保存の間、ブロアによる曝気は行わなかった。
比較例として、上記工程2および3を省略して工程1によって得られた培養液をそのまま工程4のように保存した培養液を用いた。
本発明および比較例の種菌懸濁液における油脂分解微生物の生菌数を測定した。生菌数の測定は、種菌懸濁液を無機塩培地で適宜希釈し、希釈液をLB寒天培地プレートへ100μL滴下し、28℃で培養しコロニー数をカウントすることで行った。結果を図2に示す。図2の結果から分かるように、工程2および3を経ることにより、曝気をしなくても生存率を長期にわたって維持することが可能であった。
(実施例2)
続いて、実施例1において得られた種菌懸濁液の初期濃度と生存率との関係を検討した。その結果を図3に示す。図3の結果に示されるように、1010cells/mLオーダーよりも10cells/mLオーダーの方が長期生存性が高かった。
(実施例3)
ブルクホルデリア・アルボリスSL1B1を2×10cells/mL、ヤロウィア・リポリティカ1A1を3×10cells/mL含む培養液3mLを遠心分離に供し、得られた湿細胞集塊を、保護剤なしの水、あるいはホエイ水溶液(0.1w/v%または1w/v%)、またはトレハロース水溶液(0.2w/v%または2w/v%)0.1mLに再懸濁した。これを28℃、550rpmにて、2.5時間、遠心減圧乾燥した(東京理科UT-200)。得られた乾燥体を4℃で一晩冷蔵したものを下記培養の種菌に用いた。
含まれる菌体量が等しい乾燥処理前の製剤と乾燥処理後の製剤を、それぞれキャノーラ油(3v/v%)を補充した無機塩培地100mLを含む500mLバッフル付三角フラスコに添加して24時間培養し、乾燥処理前の製剤に対する乾燥処理後の製剤のリパーゼ活性維持率(%)を算出した。リパーゼ活性は以下のようなリパーゼアッセイによって測定した。
リパーゼアッセイのための基質溶液は、18.9mgのパルミチン酸4-ニトロフェニル(4-NPP)を、12mlの3v/v%triton-Xと70℃で混合することによって調製した。1mlの基質溶液と、0.9mlの脱イオン水と、1mlの150mM
GTA緩衝液(150mMの3,3-ジメチルグルタル酸)、150mM Tris、および150mMの2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールからなる溶液をNaOHまたはHClでpH6に調整したもの)の混合溶液を、石英セル内で28℃にプレインキュベートした。上記の24時間の培養後の100μlの培養上清を添加することによって酵素反応を開始させ、温度制御されたセルホルダーを備えるU-2810分光光度計(東京、日立製作所)を用いて410nmの吸光度をモニターすることでリパーゼ活性を求めた。1分間に1μmolの4-ニトロフェノールを生じるような酵素活性を、1ユニットのリパーゼ活性とした。乾燥処理前の製剤と乾燥処理後の製剤との間の活性維持率を算出した。
結果を図4に示す。図4から、ホエイは保護剤がない場合や、保護剤として公知のトレハロースを使用した場合と比較して、顕著に高い乾燥前後の酵素活性維持効果をもたらすことが分かる。特にホエイを1%添加して減圧乾燥した微生物製剤は、乾燥前と比べて80%以上のリパーゼ活性を維持していた。保護剤がない場合や、保護剤としてトレハロースを使用した場合は、リパーゼ活性は乾燥前と比べて5%以下であった。本発明の、ホエイを用いる乾燥製剤およびその製造方法の有利な効果が実証された。
(実施例4)
ブルクホルデリア・アルボリスKH-1とヤロウィア・リポティカKH-2とを混合培養し、2×10cells/mLの菌数で無機塩培地に懸濁した微生物製剤を用いて、図1に示す微生物製剤投入方法実施する。恒温槽に培地を4mL/hで投入し、恒温槽から等量を排出する(すなわち、Y=F=4mL/h)。炭素源としてキャノーラ油を0.01mL/hで、微生物製剤は、0.04mL/hで恒温槽に投入する。恒温槽における培養液温度は20~35℃、溶存酸素濃度は0.1mg/L以上、pHは6.0~8.0である。恒温槽内の培地の体積を8~100mLの間で変動させて、排出液中の微生物濃度を定期的に計測する。
例えば、実際の油脂含有排水処理の現場だと、上記の1000倍のスケールが一例であり得る。
上記記載の様々な実施形態が組み合わされて、さらなる実施形態を提供することができる。当業者は、上記の詳細な記載に照らし合わせて実施形態に任意の改変を適切に加えることができる。一般的に、添付の特許請求の範囲において使用される用語は、特許請求の範囲を明細書に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、すべての可能な実施形態およびそのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。
本発明によれば、微生物製剤の使用量を節約しながら、効率的かつ連続的に油脂含有排水における油脂を一定濃度以下まで分解するための、微生物製剤の投入方法およびそのためのシステムが提供される。
本発明によればまた、油脂含有排水の油脂分解に使用される微生物製剤のための種菌の効果的な新規製造法および新規種菌が提供される。
環境問題への意識は昨今高まりつつあり、油脂含有排水における効率的な油脂分解方法の開発は喫緊の課題である。本発明は、新規油脂分解方法のための新規微生物製剤投入方法および/または種菌やその製造法を提供することにより、そのような課題を解決するものである。

Claims (25)

  1. 20時間以上連続的に、恒温槽に、培地を定流量Y(L/h)で、炭素源を流量Q(L/h)でそれぞれ供給するとともに、
    前記恒温槽に曝気を施すことにより、前記恒温槽中の培養液中で油脂分解微生物を増殖させて微生物製剤を製造し、
    20時間以上連続的に、前記恒温槽から略一定濃度の微生物を含む前記微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、排出された前記微生物製剤を油脂含有排水に定流量Fで投入すること
    を特徴とし、
    前記定流量Yで投入される培地は、前記培地の培地成分の約10倍以上の濃度の培地成分を有する濃縮培地と、それとは別個に供給される水とによって生成され、前記濃縮培地は定流量Y1(L/h)で供給され、前記水は定流量Y2(L/h)で供給され、Y1+Y2=Yであり、
    (1)前記濃縮培地と前記水が恒温槽に別々に連続供給されて、前記恒温槽において前記目的の濃度の培地成分になるか、または
    (2)前記濃縮培地と前記水とが、混合槽または供給ラインにおいて混合されて、前記目的濃度の培地成分を有する混合液を生成し、前記混合液が前記恒温槽に連続供給され
    前記培地は、炭素源を含まない無機塩培地であり、
    YとFとが等しい
    ことを特徴とする、前記油脂含有排水の処理における微生物製剤投入方法。
  2. 20時間以上連続的に、恒温槽に、培地を定流量Y(L/h)で、炭素源を流量Q(L/h)でそれぞれ供給するとともに、
    前記恒温槽に曝気を施すことにより、前記恒温槽中の培養液中で油脂分解微生物を増殖させて微生物製剤を製造し、
    20時間以上連続的に、前記恒温槽から略一定濃度の微生物を含む前記微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、排出された前記微生物製剤を油脂含有排水に定流量Fで投入すること
    を特徴とし、
    前記定流量Yで投入される培地は、前記培地の培地成分の約10倍以上の濃度の培地成分を有する濃縮培地と、それとは別個に供給される水とによって生成され、前記濃縮培地は定流量Y1(L/h)で供給され、前記水は定流量Y2(L/h)で供給され、Y1+Y2=Yであり、
    (1)前記濃縮培地と前記水が恒温槽に別々に連続供給されて、前記恒温槽において前記目的の濃度の培地成分になるか、または
    (2)前記濃縮培地と前記水とが、混合槽または供給ラインにおいて混合されて、前記目的濃度の培地成分を有する混合液を生成し、前記混合液が前記恒温槽に連続供給され、
    前記培地は、炭素源を含まない無機塩培地であり、
    1×10 ~2×10 10 cells/mLの油脂分解微生物の種菌の懸濁液を定流量X(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給し、X≦Y/100であり、
    (X+Y)とFとが等しい
    ことを特徴とする、前記油脂含有排水の処理における微生物製剤投入方法。
  3. 前記種菌は、油脂分解微生物を回分培養したものから培養上清を取り除き、炭素源を含まない新鮮な培地に1×10~2×1010cells/mLになるように再懸濁し、冷蔵したものであることを特徴とする請求項に記載の微生物製剤投入方法。
  4. 前記種菌は油脂分解微生物の乾燥菌体として保管され、前記恒温槽に種菌懸濁液として供給される前に1×10~2×1010cells/mLとなるように液中に懸濁され、こうして調製された種菌懸濁液を前記恒温槽に供給することを特徴とする請求項に記載の微生物製剤投入方法。
  5. 20時間以上連続的に、恒温槽に、培地を定流量Y(L/h)で、炭素源を流量Q(L/h)でそれぞれ供給するとともに、
    前記恒温槽に曝気を施すことにより、前記恒温槽中の培養液中で油脂分解微生物を増殖させて微生物製剤を製造し、
    20時間以上連続的に、前記恒温槽から略一定濃度の微生物を含む前記微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、排出された前記微生物製剤を油脂含有排水に定流量Fで投入すること
    を特徴とし、
    前記定流量Yで投入される培地は、前記培地の培地成分の約10倍以上の濃度の培地成分を有する濃縮培地と、それとは別個に供給される水とによって生成され、前記濃縮培地は定流量Y1(L/h)で供給され、前記水は定流量Y2(L/h)で供給され、Y1+Y2=Yであり、
    (1)前記濃縮培地と前記水が恒温槽に別々に連続供給されて、前記恒温槽において前記目的の濃度の培地成分になるか、または
    (2)前記濃縮培地と前記水とが、混合槽または供給ラインにおいて混合されて、前記目的濃度の培地成分を有する混合液を生成し、前記混合液が前記恒温槽に連続供給され、
    前記培地は、炭素源を含まない無機塩培地であり、
    種菌を油脂分解微生物の乾燥菌体として保管し、前記恒温槽に供給される前にk×2×10 10 cells/mL以上(k≧1)となるように調製された種菌懸濁液を、定流量Z(L/h)で前記恒温槽に20時間以上連続供給し、Z≦Y/100kであり、
    (Z+Y)とFとが等しい
    ことをさらに特徴とする、前記油脂含有排水の処理における微生物製剤投入方法。
  6. 二つの恒温槽を設け、
    記二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における前記培養液を、所定の条件に従うタイミングで1~7日間ごとに全て排出し、その後、排出した前記培養液の95~99%の容量の培地を前記恒温槽に再供給し、さらに、1×10~1×1010cells/mLの油脂分解微生物の種菌懸濁液を排出培養液の5~1%の容量になるように前記恒温槽に供給し、12~24時間曝気することにより前記恒温槽内の前記油脂分解微生物をいったん増幅する工程を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  7. 二つの恒温槽を設け、
    前記二つの恒温槽のうちの一方の恒温槽における前記培養液を、所定の条件に従うタイミングで1~7日間ごとに全て排出し、その後、排出した前記培養液と同量の培地を前記恒温槽に再供給し、さらに、前記恒温槽内の油脂分解微生物濃度が1×10 ~1×10 cells/mLになるように、前記油脂分解微生物の種菌の乾燥菌体を供給し、12~24時間曝気することにより前記恒温槽内の前記油脂分解微生物をいったん増幅する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  8. 乾燥菌体として保管された油脂分解微生物の種菌を、前記恒温槽に1×10cells/mL以下の微生物濃度になるように直接、供給することを特徴とする請求項に記載の微生物製剤投入方法。
  9. 前記乾燥菌体の保管が常温で行われる、請求項4、5、7および8のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  10. 前記乾燥菌体は、ホエイを前記油脂分解微生物と混合し、減圧乾燥する工程により製造された乾燥菌体であることを特徴とする請求項4、5、7~9のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  11. 前記恒温槽中の培養液の炭素源濃度が常時約0.01w/v%以下となるように、前記炭素源を前記恒温槽に供給することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  12. 前記恒温槽に毎時供給する培地体積Y(L)が、前記恒温槽内の培養液の体積V(L)の30分の1から2分の1の体積であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  13. 前記恒温槽に毎時供給する培地体積Y(L)が、前記恒温槽内の培養液の体積V(L)の12分の1から2分の1の体積であることを特徴とする請求項12に記載の微生物製剤投入方法。
  14. 前記恒温槽の培養液温度が20~35℃、溶存酸素濃度が0.1mg/L以上、pHが6.0~8.0になるように恒温槽を運転することを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  15. 前記恒温槽から排出される微生物製剤が、1×10cells/mL以上の前記油脂分解微生物を含むことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  16. 前記恒温槽から排出される微生物製剤における炭素源濃度が約0.01w/v%以下となるように、前記炭素源を前記恒温槽に供給することを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  17. 前記油脂分解微生物が細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  18. 前記油脂分解微生物がグラム陰性細菌または酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  19. 前記油脂分解微生物がブルクホルデリア属細菌またはヤロウィア属酵母からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法を含む、前記油脂含有排水の処理方法。
  21. 請求項1~19のいずれか一項に記載の微生物製剤投入方法のための、油脂含有排水に油脂分解微生物製剤を供給するシステムであって、
    恒温槽と、
    前記恒温槽を曝気するブロアと、
    (Y/Y1)倍に濃縮した培地を保管する濃縮培地保管槽と、
    前記濃縮培地保管槽から濃縮培地を定流量Y1(L/h)で前記恒温槽へ連続供給するための第1ポンプと、
    水を定流量Y-Y1(L/h)で供給するための水供給システムと、
    炭素源保管槽と、
    炭素源を流量Q(L/h)で前記恒温槽へ連続供給するための、第2ポンプを備える炭素源供給部と、
    前記恒温槽から微生物製剤を定流量F(L/h)で排出し、前記油脂含有排水へ投入するように構成された排出手段と、
    を備える、油脂分解微生物製剤供給システム。
  22. 前記油脂分解微生物の種菌懸濁液を保管するための種菌保管部と、
    前記種菌保管部を冷却するための冷却システムと、
    前記種菌保管部から定流量X(L/h)で前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ連続供給するように構成された第3ポンプと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
  23. 前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
    前記種菌から種菌懸濁液を調製するための種菌懸濁液調製槽と、
    前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記種菌懸濁液調製槽へ供給するように構成された乾燥菌体供給手段と、
    前記種菌懸濁液調製槽から定流量X(L/h)で前記種菌懸濁液を前記恒温槽へ連続供給するように構成された第4ポンプと、
    をさらに備える、請求項2に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
  24. 前記油脂分解微生物の種菌を乾燥菌体として保管する種菌保管部と、
    前記種菌保管部から前記乾燥菌体を前記恒温槽へ種微生物を供給するように構成された乾燥菌体供給手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
  25. 前記種菌保管部はブロアを備えないことを特徴とする請求項224のいずれか一項に記載の油脂分解微生物製剤供給システム。
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