JPWO2019087682A1 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

鉛蓄電池は、複数の正極板および複数の負極板がセパレータを介して積層された極板群と、極板群を収納するセル室と、電解液と、を備える。電解液は、Naを0.03〜0.3mol/L含有する。極板群の両端に位置する2枚の正極板または前記負極板(端板)をセル室の内側壁に近接して配置したときに、両端板のセル室の内側壁に対向する表面間の最大の離間距離をLとし、極板群における正極板および負極板の厚みの合計をd1とし、セル室内の極間数をNとし、正極板と負極板との間に介在するセパレータの総厚みをd2として、W=(L−d1)/N−d2で求められる極間隙間Wが、−0.1〜+0.15mmである。セパレータは、負極板の側に第1リブを備える。

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、負極板と、正極板と、負極板および正極板の間に介在するセパレータと、電解液とを含む。電解液には、一般に、硫酸水溶液が利用される。
特許文献1には、電解液中にナトリウムイオンを0.01〜0.45mol/Lの範囲で含む鉛蓄電池が記載されている。
特許文献2には、正極既化活物質の0.5重量%〜10重量%の硫酸ナトリウムが添加された活物質層を、正極板表面近傍に配置してなる鉛蓄電池が記載されている。
国際公開第2014/097522号パンフレット 特開2000−340252号公報
鉛蓄電池は、部分充電状態(PSOC)と呼ばれる充電不足状態で使用されることがある。例えば、充電制御やアイドリングストップ・スタート(ISS)の際には、鉛蓄電池がPSOCで使用されることになる。そのため、鉛蓄電池には、PSOC条件下でのサイクル試験において寿命性能(以下、PSOC寿命性能と言う)に優れることが求められる。
PSOC状態で使用され続けると、電解液の成層化が進行し、正極活物質の軟化および正負極活物質への硫酸鉛の蓄積(サルフェーション)が促進され、短寿命になる。
加えて、電池が過放電状態になり電解液比重が水付近まで低下すると、鉛の溶解度が増加し、浸透短絡が発生し易くなる。さらに、過放電状態では電解液抵抗が増加し、充電が困難になる。これらを防止する目的で、電解液にNaが添加されているが、PSOC状態での充電受入性の低下を招き、負極における硫酸鉛の蓄積(サルフェーション)を促進させ易くなる。
本発明の一側面は、複数の正極板および複数の負極板がセパレータを介して積層された極板群と、前記極板群を収納するセル室と、電解液と、を備え、
前記電解液は、Naを0.03〜0.3mol/L含有し、
前記極板群の一方の端部に位置する前記正極板または前記負極板である第1端板を、前記セル室の互いに対向する内側壁の一方に近接して配置し、前記極板群の他方の端部に位置する前記正極板または前記負極板である第2端板を、前記内側壁の他方に近接して配置したときの、前記内側壁に対向する前記第1端板の表面と、前記内側壁に対向する前記第2端板の表面との間の最大の離間距離である端板間距離をLとし、前記極板群における前記正極板および前記負極板の厚みの合計をd1とし、前記セル室内において前記正極板と前記負極板とが対向する領域の数である極間数をNとし、前記正極板と前記負極板との間に介在する前記セパレータ1枚の総厚みをd2として、下記式で求められる極間隙間Wが、−0.1〜+0.15mmであり、
W={(L−d1)/N}−d2、
前記セパレータは、前記負極板の側に第1リブを備える、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池において、硫酸鉛の蓄積が抑制され、優れたPSOC寿命性能が得られる。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池の外観と内部構造を示す、一部を切り欠いた分解斜視図である。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、複数の正極板および複数の負極板がセパレータを介して積層された極板群と、極板群を収納するセル室と、電解液と、を備える。電解液は、Naを0.03〜0.3mol/L含有する。また、極板群の一方の端部に位置する正極板または負極板である第1端板を、セル室の互いに対向する内側壁の一方に近接して配置し、極板群の他方の端部に位置する正極板または負極板である第2端板を、内側壁の他方に近接して配置したときの、内側壁の一方に対向する第1端板の表面と、内側壁の他方に対向する第2端板の表面との間の最大の離間距離である端板間距離をLとし、極板群における正極板および負極板の厚みの合計をd1とし、セル室内において正極板と負極板とが対向する領域の数である極間数をNとし、正極板と負極板との間に介在するセパレータ1枚の総厚みをd2として、下記式W={(L−d1)/N}−d2で求められる極間隙間Wが、−0.1〜+0.15mmである。セパレータは、負極板の側に第1リブを備える。
鉛蓄電池では、放電時には、正極および負極の双方で硫酸鉛が生成するとともに正極では水が生成する。一方、充電時には、硫酸鉛と水から、金属鉛、二酸化鉛、および硫酸が生成する。
充電不足状態で使用され続けると、PSOC寿命の末期では、硫酸鉛の蓄積量が必然的に多くなるため、電解液の比重が低くなる。この電解液の比重の低下は特に過放電時に顕著である。また、充電中に充分に電解液が攪拌されない場合、電解液の上部と下部で硫酸の濃度差が発生(成層化)する。このような環境下で使用を続けると、電解液の比重の高い下部でサルフェーションが進行する。
電解液へのNaの添加は、浸透短絡を抑制し、過放電放置からの充電回復性を高める効果がある。一方で、Naの添加は、充電受入性の低下を招き、負極における硫酸鉛の蓄積(サルフェーション)を促進させ易くなることが知られている。
しかしながら、本願発明者らは、適度に極板群に圧迫を加えることにより、硫酸鉛の蓄積が抑制されることを見出した。これは、負極電極材料(負極活物質)の膨張が機械的に抑制されることが原因と考えられる。
極板群の圧迫度合いは、下記式で表される極間隙間Wを用いて評価できる。
(極間隙間W)={(端板間距離L)−(正負極板の厚み合計d1)}/(極間数N)−(セパレータ1枚の総厚みd2)
ここで、正負極板の厚み合計d1は、極板群を構成する正極板の厚みを合計した正極板総厚みと、極板群を構成する負極板の厚みを合計した負極板総厚みとの和である。なお、セル室内の正極板または負極板の数が10枚を越える場合、正極板または負極板の厚みは、既化成の満充電状態の極板において、極板1枚当り6箇所での厚み(高さ方向において3等分した上中下の三箇所を、極板の左右で測定)をノギスで計測し、極板10枚分の測定値を平均することにより求められる。正極板または負極板の総厚みは、上記で求めた正極板または負極板の厚みの平均に、正極板または負極板の枚数を乗じることで求められる。セル室内の正極板または負極板の数が10枚以下の場合には、正極板または負極板のそれぞれの厚みを上記方法で測定し、厚みを合計して総厚みを求める。
極間数Nは、セル室内において、正極板と負極板とが対向する領域の数であり、正極板と負極板が交互に積層された極板群の場合、(極間数N)=(正極板の枚数)+(負極板の枚数)−1となる。
セパレータ1枚の総厚みd2は、セパレータの片面または両面にリブが設けられている場合には、セパレータのベース厚に片面または両面のリブの高さを加えた値となる。
端板間距離Lは、極板群の一方の端部に位置する正極板または負極板(以下において、適宜「第1端板」と称する)を、セル室の互いに対向する内側壁の一方に近接して配置し、極板群の他方の端部に位置する正極板または負極板(以下において、適宜「第2端板」と称する)を、内側壁の他方に近接して配置したときの、第1端板のセル室内側壁に対向する表面と第2端板のセル室内側壁に対向する表面との間の最大距離として表される。セル室内に極板群の位置を調整するためのリブが設けられておらず、且つ、両端板がセパレータを介さずに直接セル室の内側壁と接触する場合には、端板間距離Lは、セル室の両内側壁間の距離(すなわち、セル室の内寸)に等しい。
セル室内に、極板群の位置を調整するためのリブが設けられている場合がある。この場合、第1端板および/または第2端板は、セル室の内側壁と接触せず、セル室に設けられたリブと接触し、セル室に設けられたリブを介して、セル室の内側壁と対向する。この場合、セル室の内寸から、セル室に設けられたリブの高さを差し引いた値が端板間距離Lとなる。セル室の両内側壁にリブが設けられている場合、両内側壁に設けられた2つのリブの高さを合計し、合計値をセル室の内寸から差し引き、端板間距離Lを求める。
あるいは、極板群の位置を調整するためのリブがセル室内に設けられてはいないが、第1端板および/または第2端板を構成する極板が袋状のセパレータに収容されている場合がある。この場合、端板はセパレータを介してセル室の内側壁と対向する。この場合、セル室の内寸から、セパレータの総厚み(セパレータのリブ高さとベース厚さの和)を差し引いた値が端板間距離Lとなる。第1端板および第2端板の両方が袋状のセパレータに収容されている場合、2枚分のセパレータの総厚みを差し引き、端板間距離Lを求める。
ここで、セパレータのリブ高さとは、正極板または負極板の電極材料が存在する領域と対向する領域に設けられたリブの最大高さをいうものとする。
セル室内に、極板群の位置を調整するためのリブが設けられ、且つ、第1端板および/または第2端板を構成する極板が袋状のセパレータに収容されている場合、セル室の内寸から、セル室に設けられたリブの高さおよびセパレータの総厚みを差し引き、端板間距離Lを求める。ただし、袋状のセパレータの外表面に設けられたリブ(外リブ)が、セル室に設けられたリブと接触する場合と、接触しない場合がある。
例えば、極板群をセル室内に挿入した際に、袋状セパレータの外リブが、セル室に設けられたリブと交差して配置される場合がある。この場合、セル室に設けられたリブは、袋状セパレータの外リブと接触する。この場合、端板間距離Lは、セル室の内寸から、セル室に設けられたリブの高さおよびセパレータの総厚み(内リブおよび外リブの高さを含む)を差し引いた値となる。
一方、極板群をセル室内に挿入した際に、袋状セパレータの外リブが、セル室に設けられたリブと交差せず、セル室に設けられたリブ間の隙間に嵌り込むように配置される場合も考えられる。この場合、セル室に設けられたリブは、袋状セパレータの外リブと接触せず、袋状のセパレータのベース面と接触する。この場合、端板間距離Lは、セル室の内寸から、セル室に設けられたリブの高さおよびセパレータのベース厚を差し引き、さらに、袋状のセパレータの内表面にリブ(内リブ)が設けられている場合には内リブの高さを差し引くことで求められる。
すなわち、極間隙間Wは、W={(L−d1)/N}−d2で表され、極板群の両端に位置する第1端板および第2端板を、端板同士の離間距離が最大となるように可能な限りセル室の両側壁側に近接して配置したときに、端板を除く正極板および負極板がセル室内で自由に動くことができる間隙の大きさを、正極板および負極板が対向する領域当りの隙間として表したものである。極間隙間Wが負の場合、鉛蓄電池の製造当初から正負極板に圧迫が加わっていることを意味する。また、極間隙間Wが正の場合であっても、電池使用に伴って極板が膨張するため、圧迫が加わり得る。
極板群に圧迫を加えることで、硫酸鉛の蓄積を抑制できる。しかしながら、一方で、極板群に圧迫を加えることで、負極近傍の電解液の拡散性が低下するため、充放電性能が低下する傾向がある。圧迫により負極板とセパレータの間に十分な空間を確保できないと、放電時において硫酸を十分に拡散させることができず、負極近傍の電解液の比重が低下し易くなり、放電性能の低下を招き易くなる。また、充電時においては、負極板から放出された硫酸がセパレータに拡散を阻害され、高濃度の硫酸が負極近傍に滞留し、充電効率の低下を招き易くなる。
負極板の側に設けられたリブ(第1リブ)は、圧迫下においても、負極板とセパレータの間に電解液を保持するための空間を確保する。これにより、負極近傍の電解液の拡散性を圧迫下においても維持し、充放電性能の低下を抑制する。放電時においては、負極近傍の電解液の比重低下を抑制し、放電性能の低下を抑制する。また、充電時においては、負極板から放出された硫酸は負極板とセパレータとの間の空間に拡散することができ、負極近傍の電解液の比重が低下するため、充電効率が改善する。
さらに、負極板の側に設けられた第1リブにより、電解液の拡散性が高められることから、硫酸鉛の蓄積が相乗的に抑制される。この結果、優れたPSOC寿命性能の鉛蓄電池を実現できる。
電解液中のNa含有量(濃度)の増加に伴って、硫酸鉛を蓄積し易くなるが、第1リブを設け、極板群を適度に圧迫することによって、硫酸鉛の蓄積を抑制することが可能である。Na含有量が0.3mol/L以下であれば、硫酸鉛の蓄積量を低く維持でき、また、放電性能の低下を抑制できる。一方で、過放電状態からの充電回復性および耐浸透短絡性を確保する観点からは、Na含有量は、0.02mol/L以上であることが好ましく、0.03mol/L以上であることがより好ましい。本発明の一側面によれば、第1リブを設けたことにより、0.02mol/L程度に低いNa含有量であっても浸透短絡を抑制できる。したがって、硫酸鉛の蓄積および浸透短絡を抑制し、且つ、優れたPSOC寿命性能を得る観点からは、電解液中のNa含有量は、0.02〜0.3mol/Lであることが好ましく、0.03〜0.3mol/Lであることがより好ましい。
また、電解液には、Naに追加して、Al、Liその他のアルカリ金属イオン、または、アルカリ土類金属イオンが含まれていてもよい。これらの金属イオンの硫酸化合物は、硫酸鉛よりも溶解度が大きく、これらの金属イオンが電解液中に存在することで、鉛イオンが溶解し難くなる。このため、浸透短絡の抑制効果が得られる。
なお、電解液中のNaあるいは他の金属イオンの含有量は、既化成の満充電状態の鉛蓄電池を分解し、電解液を抜き取り、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析を行うことより求められる。より具体的には、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、ICPS−8000)により原子吸光測定を行い、検量線により金属イオンの濃度を求める。
極間隙間Wは、−0.1〜+0.15mmであることが好ましい。極間隙間Wを0.15mm以下とすることで、圧迫による硫酸鉛の蓄積の抑制効果が得られる。一方で、極間隙間Wを小さくし、圧迫を強くしていくことに伴って、放電特性が悪化する。また、極板群をセル室内に挿入することが容易でなくなる。放電特性を維持し、極板群のセル室への挿入を容易に行う観点から、極間隙間Wは−0.1mm以上とすることが好ましい。
本発明の一態様によれば、電解液にNaを0.03〜0.3mol/L含有し、極間隙間Wが−0.1〜+0.15mmであり、さらに負極板の側に第1リブを設けたことによって、硫酸鉛の蓄積が顕著に抑制され、また、充放電特性に優れた鉛蓄電池を実現できる。
セパレータは、負極板側に設けられた第1リブを備える。第1リブは、セパレータが負極板と密着するのを抑制する。第1リブにより、負極板近傍における電解液の拡散性が向上するため、負極板近傍における電解液の放電時の比重の低下が抑制される。また、充電時は負極板近傍の電解液比重の増加が抑制される。これにより、充電効率が向上する。また、極板群の圧迫による効果と併せて、硫酸鉛の蓄積が相乗的に抑制され、PSOC寿命性能が向上する。
セパレータは、さらに、正極板側に設けられた第2リブを備えていてもよい。第2リブは、セパレータが正極板と密着するのを抑制する。第2リブにより、正極板近傍における電解液の拡散性が向上するとともに、セパレータの酸化劣化を抑制することができるため、PSOC寿命性能をさらに向上することができる。
セパレータは、袋状であってもよい。袋状のセパレータを用いる場合、電解液が滞留し易くなるが、第1リブや第2リブを設けることで、セパレータ内の電解液の拡散性が高まり、PSOC寿命性能をさらに向上できる。正極では放電時に水が生成するため、電解液比重の変化が負極板近傍よりも大きい。しかしながら、袋状のセパレータが正極板を収容している場合、正極板近傍の電解液の拡散性を高め、電解液の成層化を抑制し易くなる。一方、袋状のセパレータが、負極板を収容している場合には、正極格子の伸びによる短絡を抑制し易くなる。また、袋内に第1リブが形成されることで、負極板近傍の電解液の拡散性を高め、成層化を抑制し易くなる。
さらに、負極板は、負極電極材料を含み、負極電極材料が、導電性の炭素粒子を含んでいるとよい。電極材料中のカーボン添加は、硫酸鉛の蓄積を抑制し、PSOC寿命性能を向上させる働きがある。一方で、炭素粒子が、粒子径が32μm未満の第1炭素粒子を含み、第1炭素粒子が、セパレータの平均細孔径よりも粒子径が小さい第2炭素粒子を含んでいる場合、電解液中に流出した炭素粒子がセパレータの細孔を閉塞し、電池性能(例えば、低温ハイレート性能)の低下を招く虞がある。しかしながら、負極板側に第1リブが設けられていることにより、セパレータの細孔は炭素粒子により閉塞され難く、性能低下を抑制することができる。負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量は、0.2質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
鉛蓄電池は、正極板と負極板との間に介在する繊維マットを備えていてもよい。繊維マットを設ける場合、電極板が繊維マットで圧迫されて、電極板の周囲の電解液が少なくなるとともに拡散性も低下する。しかしながら、少なくともセパレータの負極板側に第1リブを設けることで、繊維マットを設ける場合でも、負極板近傍に電解液を保持することができるとともに、電解液の拡散性を向上できる。
本明細書中、鉛蓄電池の満充電状態とは、液式の電池の場合、25℃の水槽中で、0.2CAの電流で2.5V/セルに達するまで定電流充電を行った後、さらに0.2CAで2時間、定電流充電を行った状態である。また、制御弁式の電池の場合、満充電状態とは、25℃の気槽中で、0.2CAで、2.23V/セルの定電流定電圧充電を行い、定電圧充電時の充電電流が1mCA以下になった時点で充電を終了した状態である。
なお、本明細書中、1CAとは電池の公称容量(Ah)と同じ数値の電流値(A)である。例えば、公称容量が30Ahの電池であれば、1CAは30Aであり、1mCAは30mAである。
以下、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池について、主要な構成要件ごとに説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(セパレータ)
セパレータは、微多孔膜で構成されたベース部と、ベース部の一方の主面から突出するリブを備える。より好ましくは、ベース部の他方の主面から突出するリブをさらに備えていてもよい。ベース部の一方の主面から突出するリブは、負極板側に位置するように配置される。この負極板側に位置するリブを第1リブと呼ぶ。ベース部の他方の主面から突出するリブは、正極板側(つまり、正極板に対向するよう)に配置される。この正極板側に位置するリブを第2リブと呼ぶ。第1リブにより負極板近傍における電解液の拡散性を高めることができるため、PSOC寿命性能をさらに向上することができるとともに、浸透短絡を抑制できる。
セパレータは、ポリマー材料(ただし、繊維とは異なる)で形成される。少なくともベース部は、多孔性のシートであり、多孔性のフィルムと呼ぶこともできる。ベース部の平均細孔径をセパレータの平均細孔径と見なしてもよい。セパレータは、ポリマー材料で形成されたマトリックス中に分散した充填剤(例えば、シリカなどの粒子状充填剤、および/または繊維状充填剤)を含んでもよい。セパレータは、耐酸性を有するポリマー材料で構成することが好ましい。このようなポリマー材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。
セパレータのベース部の平均細孔径は、例えば、0.01μm以上0.5μm以下であり、0.03μm以上0.3μm以下であることが好ましい。平均細孔径がこのような範囲である場合、低い電気抵抗と優れた耐短絡性能とを両立することができるため、有利である。
セパレータの平均細孔径は、水銀圧入法により求めることができる。より具体的には、セパレータを、測定容器に投入し、真空排気した後、圧力を加えて水銀を満たし、この時の圧力およびセパレータに押し込まれた水銀容積との関係から細孔分布を求め、この細孔分布から平均細孔径を求める。平均細孔径の測定には、島津製作所(株)製の自動ポロシメータ(オートポアIV9505)を使用する。
ベース部の平均厚みは、例えば、100μm以上300μm以下であり、150μm以上250μm以下であることが好ましい。ベース部の平均厚みがこのような範囲である場合、高容量を確保しながら、第1リブおよび必要に応じて第2リブの高さを確保し易くなる。
ベース部の平均厚みは、セパレータの断面写真において、任意に選択した5箇所についてベース部の厚みを計測し、平均化することにより求められる。
第1リブは、セパレータの負極板と対向する側の面に形成されている。第1リブの高さは、例えば、0.05mm以上であり、0.07mm以上であることが好ましい。第1リブの高さがこのような範囲である場合、電解液をより拡散し易くなる。高容量を確保する観点から、第1リブの高さは、例えば、0.40mm以下であり、0.20mm以下であることが好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
なお、第1リブの高さとは、特に断らない限り、負極板の負極電極材料が存在する領域と対向する領域に存在する第1リブの最大高さをいうものとする。各第1リブの高さは、ベース部の一方の主面から第1リブの頂部までの距離である。ベース部の主面が平面でない場合には、セパレータを、第1リブ側を上にして平置きしたときに、ベース部の一方の主面の最も高い位置から、第1リブの所定の位置における第1リブの頂部の最も高い位置までの距離を第1リブの高さとする。
ベース部の一方の主面において第1リブのパターンは特に制限されず、第1リブは、ランダムに形成されていてもよく、ストライプ状、曲線状、格子状などに形成されていてもよい。電解液をより拡散し易くする観点からは、ベース部の一方の主面において、複数の第1リブがストライプ状に並ぶように形成することが好ましい。ストライプ状の第1リブの向きは特に制限されず、例えば、複数の第1リブは、負極板の高さ方向や幅方向に沿って形成してもよい。電解液の比重は、電極板の上下で差が生じ易いため、電解液の拡散性をより高める観点からは、複数の第1リブを、負極板の高さ方向に沿ってストライプ状に形成することが好ましい。
なお、負極板および正極板の一端部には、通常、極板群から電流を取り出すための耳部が形成されている。この耳部を上にした状態における負極板や正極板の鉛直方向を、負極板や正極板の高さ方向と言うものとする。負極板や正極板の幅方向とは、高さ方向と直交し、負極板や正極板の主面を横切る方向である。
ストライプ状や格子状の第1リブのピッチは、例えば、0.3mm以上10mm以下であり、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。セパレータが、このような範囲のピッチで第1リブが形成されている領域を含む場合、負極板近傍の電解液の拡散性を向上する効果が得られ易い。セパレータにおいて、負極板と対向する領域にこのようなピッチで第1リブが形成されていることが好ましい。例えば、負極板と対向する領域の面積の70%以上にこのようなピッチの第1リブが形成されていることが好ましい。セパレータの端部など、負極板と対向しない領域には、第1リブを形成しても形成しなくてもよく、複数の第1リブを密に(例えば、0.5mm以上5mm以下の平均ピッチで)形成してもよい。
なお、第1リブのピッチとは、隣接する第1リブの頂部間距離(より具体的には、第1リブを横切る方向における隣接する第1リブの中心間距離)である。
第1リブの平均ピッチは、任意に選択される10箇所において計測した第1リブのピッチを平均化することにより求められる。なお、負極板と対向しない領域に第1リブが密に形成されている場合には、この領域を除いて平均ピッチを算出すればよい。負極板と対向しない領域の第1リブの平均ピッチは、この領域について上記と同様に算出できる。
第2リブは、セパレータの正極板と対向する側の面に形成されている。第2リブの高さは、例えば、0.3mm以上であり、0.4mm以上であることが好ましい。第2リブの高さがこのような範囲である場合、セパレータの酸化劣化を抑制し易くなる。高容量を確保する観点から、第2リブの高さは、例えば、1.0mm以下であり、0.7mm以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
なお、第2リブの高さとは、特に断らない限り、正極板の正極電極材料が存在する領域と対向する領域に存在する第2リブの最大高さをいう。第2リブの最大高さは、第1リブの場合に準じて求められる。各第2リブの高さは、ベース部の一方の主面から第2リブの頂部までの距離である。
第2リブのパターンや向きは、特に制限されず、例えば、第1リブについて記載したものから選択すればよい。ストライプ状や格子状の第2リブのピッチは、例えば、1mm以上15mm以下であり、5mm以上10mm以下であることが好ましい。セパレータが、ピッチがこのような範囲のピッチで第2リブが形成されている領域を含む場合、セパレータの酸化劣化を抑制する効果がさらに高まる。セパレータにおいて、正極板と対向する領域にこのようなピッチで第2リブが形成されていることが好ましい。例えば、正極板と対向する領域の面積の70%以上にこのようなピッチの第2リブが形成されていることが好ましい。セパレータの端部など、正極板と対向しない領域には、第2リブを形成しても形成しなくてもよく、複数の第2リブを密に(例えば、0.5mm以上5mm以下の平均ピッチで)形成してもよい。
なお、第2リブのピッチとは、隣接する第2リブの頂部間距離(より具体的には、第2リブを横切る方向における隣接する第2リブの中心間距離)である。第2リブの平均ピッチは、第1リブの平均ピッチに準じて算出できる。
シート状のセパレータを、負極板と正極板との間に挟んでもよく、袋状のセパレータで負極板または正極板を収容することで、負極板と正極板との間にセパレータを介在させてもよい。袋状のセパレータを用いる場合には電解液が拡散しにくくなるが、第1リブや第2リブを設けることで拡散性が向上する。袋状のセパレータで負極板を収容する場合には、第1リブにより、負極板近傍の電解液の拡散性を高め易くなるとともに、正極集電体が伸びてもセパレータ破れによる短絡を抑制できる。袋状のセパレータで正極板を収容する場合には、電解液の成層化を抑制し易くなる。
セパレータは、例えば、造孔剤(ポリマー粉末などの固形造孔剤、および/またはオイルなどの液状造孔剤など)とポリマー材料などとを含む樹脂組成物を、シート状に押し出し成形した後、造孔剤を除去して、ポリマー材料のマトリックス中に細孔を形成することにより得られる。リブは、例えば、押出成形する際に形成してもよく、シート状に成形した後または造孔剤を除去した後に、リブに対応する溝を有するローラで押圧することにより形成してもよい。充填剤を用いる場合には、樹脂組成物に添加することが好ましい。
(電解液)
電解液は、水溶液に硫酸を含む。電解液は、必要に応じてゲル化させてもよい。電解液は、必要に応じて、鉛蓄電池に利用される添加剤を含むことができる。
本実施形態において、電解液は、Naを、0.03〜0.3mol/Lの濃度で含む。
化成後で満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば、1.10g/cm3以上1.35g/cm3以下である。
(正極板)
鉛蓄電池の正極板には、ペースト式とクラッド式がある。
ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。ペースト式正極板では、正極電極材料は、正極板から正極集電体を除いたものである。正極集電体は、負極集電体と同様に形成すればよく、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工により形成することができる。
クラッド式正極板は、複数の多孔質のチューブと、各チューブ内に挿入される芯金と、芯金が挿入されたチューブ内に充填される正極電極材料と、複数のチューブを連結する連座とを具備する。クラッド式正極板では、正極電極材料は、正極板から、チューブ、芯金、および連座を除いたものである。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金が好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は複数でもよい。芯金には、Pb−Ca系合金やPb−Sb系合金を用いることが好ましい。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
未化成のペースト式正極板は、負極板の場合に準じて、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより得られる。その後、未化成の正極板を化成する。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、硫酸を練合することで調製される。
未化成のクラッド式正極板は、芯金が挿入されたチューブに、添加剤と鉛粉またはスラリー状の鉛粉とを混合し、混合物を充填し、複数のチューブを連座で結合することにより形成される。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極電極材料を含む。通常、鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いたものである。負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。負極集電体として負極格子を用いると、負極電極材料を担持させ易いため好ましい。
負極集電体に用いる鉛合金は、Pb−Sb系合金、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。
負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)を含んでおり、防縮剤、カーボンブラックのような炭素質材料、硫酸バリウムなどを含んでもよく、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
負極電極材料は、炭素粒子を添加剤として含むことができる。炭素粒子は、通常、導電性を有している。炭素粒子としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラックなどが例示される。黒鉛としては、黒鉛型の結晶構造を含む炭素材料であればよく、人造黒鉛、天然黒鉛のいずれであってもよい。負極電極材料は、これらの炭素粒子を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
炭素粒子は、粒子径が32μm未満の第1炭素粒子が含まれており、第1炭素粒子には、セパレータの平均細孔径よりも小さい粒子径を有する第2炭素粒子が含まれていることが好ましい。負極電極材料に含まれる炭素粒子は、少なくとも第1炭素粒子を含んでいればよく、第1炭素粒子のみを含んでいてもよく、第1炭素粒子と粒子径が32μm以上の炭素粒子(第3炭素粒子)とを含んでいてもよい。
第2炭素粒子は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックなどの第2炭素粒子は、電解液中に流出し易いが、電解液中に流出しても第1リブの作用によりセパレータの細孔が第2炭素粒子で閉塞されるのを抑制できる。また、第1炭素粒子がカーボンブラックなどの第2炭素粒子を含むことで、負極電極材料中に、より均一な導電ネットワークが形成され易くなる。
負極電極材料に含まれる炭素粒子の含有量は、例えば、0.2質量%以上3.0質量%以下であり、0.3質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。炭素粒子の含有量がこのような範囲である場合、高容量を確保しながら導電ネットワークが広がり易い。
負極電極材料に含まれる炭素粒子(炭素粒子の総量)に占める第1炭素粒子の比率は、例えば、10質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましい。負極電極材料に含まれる炭素粒子(炭素粒子の総量)に占める第1炭素粒子の比率は、100質量%以下であり、90質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値は任意に組み合わせることができる。
負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量は、例えば、0.2質量%以上2質量%以下であることが好ましい。このような含有量で第1炭素粒子を含む負極電極材料を備える負極板と第1リブを備えるセパレータとを併用することで、負極板近傍の電解液の拡散性が高まり、高いPSOC寿命性能を確保できる。負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量が0.2質量%以上である場合、第1炭素粒子に含まれる第2炭素粒子が充放電時に電解液中に流出しやすいが、第1リブの存在により、流出した第1炭素粒子でセパレータの細孔が閉塞されることが抑制される。これにより、電池性能の低下、例えば低温ハイレート性能の低下を抑制できる。また、負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量を2質量%以下とすることで、負極ペーストが硬くなるのを抑制して、集電体への塗布性や充填性の低下を抑制できる。さらに、長寿命化することで浸透短絡が起こり易い条件でも、電解液の拡散性が高いことで成層化が低減されるため、浸透短絡の発生を抑制することができる。第1リブによる低温ハイレート性能の低下抑制効果が顕著に現れる観点からは、負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量が0.3質量%以上2質量%以下であることが好ましい。また、充電時の減液量を低く抑える観点からは、負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量を1質量%以下(例えば、0.2質量%以上1質量%以下、または0.3質量%以上1質量%以下)とすることも好ましい。
第1炭素粒子に含まれる第2炭素粒子(例えば、カーボンブラックなど)の平均粒子径a1は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、下限は特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であってもよい。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。第1炭素粒子の平均粒子径がこのような範囲である場合、第1炭素粒子が電解液中に流出し易く、セパレータの細孔を閉塞し易くなる。しかし、第1リブを備えるセパレータを用いることにより、セパレータの細孔の閉塞を抑制して、低温ハイレート性能の低下を抑制できる。
第3炭素粒子は、上記の炭素粒子のうち、カーボンブラック以外の炭素粒子を含むことが好ましく、特に、黒鉛を含むことが好ましい。
第2炭素粒子の平均粒子径(a1)のセパレータの平均細孔径(a2)に対する比R(=a1/a2)は、0.8以下であることが好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。比Rがこのような範囲である場合、第2炭素粒子が、セパレータの細孔を閉塞し易いが、セパレータの第1リブにより、負極板近傍の電解液の拡散性を確保することができるとともに、セパレータの細孔の閉塞を抑制することができる。よって、高いPSOC寿命性能を確保できるとともに、低温ハイレート性能の低下をさらに抑制できる。
負極電極材料に含まれる炭素粒子および第1炭素粒子の含有量、ならびに第2炭素粒子の平均粒子径および第2炭素粒子の比率は、次のようにして求めることができる。
既化成で満充電後の鉛蓄電池を解体し、負極板を水洗及び乾燥して硫酸分を除去した後、真空乾燥(大気圧より低い圧力下で乾燥)する。次に、負極板から電極材料を採取し、粉砕する。粉砕試料5gに60質量%濃度の硝酸水溶液を30mL加え、70℃で加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。この混合物に、さらに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを10g、28質量%濃度のアンモニア水を30mL、及び水100mLを加えて、加熱を続け、可溶分を溶解させる。次いで濾過により回収した試料を、目開き500μmのふるいにかけて補強材などのサイズが大きな成分を除去して、ふるいを通過した成分を炭素粒子として回収する。
回収した炭素粒子を、目開き32μmのふるいを用いて湿式にて篩ったときに、ふるいの目を通過せずに、ふるい上に残るものがあればこれを第3炭素粒子とし、ふるいの目を通過するものを第1炭素粒子とする。なお、湿式のふるい分けについては、JIS Z8815:1994を参照できる。
具体的には、炭素粒子を、目開き32μmのふるい上に載せ、イオン交換水を散水しながら、5分間ふるいを軽く揺らして篩い分けする。ふるい上に残った第3炭素粒子は、イオン交換水を流しかけてふるいから回収し、ろ過によりイオン交換水から分離する。ふるいを通過した第1炭素粒子は、ニトロセルロース製のメンブランフィルター(目開き0.1μm)を用いてろ過により回収する。回収された第1炭素粒子および第3炭素粒子は、それぞれ、110℃の温度で2時間乾燥させる。目開き32μmのふるいとしては、JIS Z 8801−1:2006に規定される、公称目開きが32μmであるふるい網を備えるものを使用する。
ふるいの目を通過した第1炭素粒子には、一次粒子の粒子径が小さな第2炭素粒子が多く含まれている。このような一次粒子の平均粒子径は、後述のように、第2炭素粒子の平均粒子径a1に相当する。第1炭素粒子に含まれるこのような第2炭素粒子は、粒子径がセパレータの平均細孔径a2よりも小さいため、電解液に流出して、セパレータの細孔を閉塞する原因となる。
負極電極材料中の第1炭素粒子の含有量は、上記の手順で分離した第1炭素粒子の質量を測り、この質量の5gの粉砕試料中に占める比率(質量%)を算出することにより求める。負極電極材料中の炭素粒子の含有量(質量%)は、第1炭素粒子の場合に準じて求めた第3炭素粒子の比率と第1炭素粒子の比率とを足し合わせることで求められる。
第2炭素粒子の平均粒子径a1は、第1炭素粒子の電子顕微鏡写真から、セパレータの平均細孔径d2よりも一次粒子径が小さい一次粒子をランダムに100個選択し、各一次粒子の最大径(長軸径)を測定し、平均値を算出することにより求める。
第1炭素粒子に含まれる第2炭素粒子の比率は、上記で分離した第1炭素粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から、次のようにして求めることができる。まず、SEM写真において、縦100μm×横100μmの任意の領域を選択する。この領域に含まれ、かつ粒子の外縁が明確な炭素粒子について、セパレータの平均細孔径a2よりも一次粒子径が小さな粒子を第2炭素粒子とし、平均細孔径a2以上の一次粒子径を有する粒子を第2炭素粒子以外の第1炭素粒子とする。そして、各炭素粒子について、粒子の外縁で囲まれる領域の面積を算出し、この面積と粒子の一次粒子径から粒子の体積を換算する。そして、第2炭素粒子の総体積と、第2炭素粒子以外の第1炭素粒子の総体積とを求め、両方の総体積の合計に占める第2炭素粒子の総体積の比率(体積%)を算出する。
負極板は、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤および必要に応じて各種添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで作製する。熟成工程では、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(繊維マット)
鉛蓄電池は、さらに、正極板と負極板との間に介在する繊維マットを備えていてもよい。繊維マットを配置する場合には、電極板が繊維マットで圧迫されて、電極板の周囲に電解液を保持し難くなる。本発明の上記側面では、セパレータに第1リブを設けるため、負極板近傍に電解液を確保し易くなり、電解液の高い拡散性を確保することができる。
繊維マットは、セパレータとは異なり、シート状の繊維集合体で構成される。このような繊維集合体としては、電解液に不溶な繊維が絡み合ったシートが使用される。このようなシートには、例えば、不織布、織布、編み物などがある。
繊維としては、ガラス繊維、ポリマー繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維など)、パルプ繊維などを用いることができる。ポリマー繊維の中では、ポリオレフィン繊維が好ましい。
繊維マットは、繊維以外の成分、例えば、耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーなどを含んでもよい。無機粉体としては、シリカ粉末、ガラス粉末、珪藻土などを用いることができる。ただし、繊維マットは、繊維を主体とする。例えば、繊維マットの60質量%以上が繊維で形成されている。
繊維マットは、負極板と正極板との間に配置すればよい。負極板と正極板との間には、セパレータも配置されるため、繊維マットは、負極板と正極板との間において、例えば、負極板とセパレータとの間、および/またはセパレータと正極板との間に配置してもよい。電解液の成層化を抑制する観点からは、繊維マットは負極板と接するように配置することが好ましい。また、正極電極材料の軟化および脱落を抑制する観点からは、繊維マットは正極板と接するように配置することが好ましい。軟化および脱落の抑制効果が高まる観点からは、繊維マットは、正極板に圧迫した状態で配置することが好ましいが、この場合、負極板近傍の電解液が不足し易くなる。本実施形態では、セパレータの負極板と対向する側の面に第1リブを設けるため、繊維マットを正極板側に配置する場合でも、負極板近傍に電解液を確保することができる。
図1に、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池の一例の外観を示す。
鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽12を具備する。電槽12内は、隔壁13により、複数のセル室14に仕切られている。各セル室14には、極板群11が1つずつ収納されている。電槽12の開口部は、負極端子16および正極端子17を具備する蓋15で閉じられる。蓋15には、セル室毎に液口栓18が設けられている。補水の際には、液口栓18を外して補水液が補給される。液口栓18は、セル室14内で発生したガスを電池外に排出する機能を有してもよい。
極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。ここでは、負極板2を収容する袋状のセパレータ4を示すが、セパレータの形態は特に限定されない。電槽12の一方の端部に位置するセル室14では、複数の負極板2を並列接続する負極棚部6が貫通接続体8に接続され、複数の正極板3を並列接続する正極棚部5が正極柱7に接続されている。正極柱7は蓋15の外部の正極端子17に接続されている。電槽12の他方の端部に位置するセル室14では、負極棚部6に負極柱9が接続され、正極棚部5に貫通接続体8が接続される。負極柱9は蓋15の外部の負極端子16と接続されている。各々の貫通接続体8は、隔壁13に設けられた貫通孔を通過して、隣接するセル室14の極板群11同士を直列に接続している。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《鉛蓄電池A1》
(1)負極板の作製
鉛粉、水、希硫酸、カーボンブラック、有機防縮剤を混合して、負極ペーストを得た。負極ペーストを、負極集電体としてのPb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の負極板を得た。有機防縮剤には、リグニンスルホン酸ナトリウムを用いた。カーボンブラックおよび有機防縮剤は、それぞれ、負極電極材料100質量%に含まれる含有量が0.3質量%および0.2質量%となるように、添加量を調整して、負極ペーストに配合した。
(2)正極板の作製
鉛粉と、水と、硫酸とを混練させて、正極ペーストを作製した。正極ペーストを、正極集電体としてのPb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の正極板を得た。
(3)鉛蓄電池の作製
未化成の各負極板を、ポリエチレン製の微多孔膜で形成された袋状セパレータに収容し、セル当たり未化成の負極板7枚と未化成の正極板6枚とで極板群を形成した。セパレータは、袋の外側に、ストライプ状の第2リブを複数有していた。セパレータは、袋の内側に第1リブが設けられていないものを用いた。複数の第2リブは、それぞれ、正極板の高さ方向に沿って形成され、第2リブの高さは、0.4mmであり、正極板に対向する領域において第2リブのピッチは、10mmであった。また、セパレータのベース部の平均厚みは、200μmであった。セパレータの平均細孔径は、0.1μmであった。
極板群をポリプロピレン製の電槽に挿入し、電解液を注液して、電槽内で化成を施して、公称電圧2Vおよび公称容量が30Ah(5時間率)の液式の鉛蓄電池A1を組み立てた。電解液としては、20℃における比重が1.28である、硫酸を含む水溶液を用いた。極間隙間Wは、0.2mmと求められた。
既化成の満充電後の鉛蓄電池について、負極電極材料に含まれる第2炭素粒子(カーボンブラック)の平均粒子径a1、ならびにセパレータの平均細孔径a2を、既述の手順で求めたところ、それぞれ、50nm、および0.1μmであり、比R=a1/a2は、0.5であった。第1炭素粒子の含有量については、負極電極材料を調製する際のカーボンブラックの添加量とほぼ同じであった。また、セパレータの平均細孔径についても、電池を組み立てる前のセパレータの平均細孔径とほぼ同じであった。
《鉛蓄電池A2〜A26》
電解液として、上記の硫酸を含む水溶液に硫酸ナトリウム(NaSO)を添加し、Na含有量がそれぞれ0.02mol/L、0.03mol/L、0.1mol/L、0.3mol/L、および、0.35mol/Lで異なる5種類の鉛蓄電池を作製した。
また、極板群を電槽に挿入する際に、電槽に設けられたリブの高さを調整し、極間隙間Wがそれぞれ0.2mm、0.15mm、0.1mm、0mm、および、−0.1mmで異なる5種類の鉛蓄電池を作製した。
これ以外については、鉛蓄電池A1と同様にして、極間隙間Wと電解液中のNa含有量との組み合わせ方が異なる25種類の鉛蓄電池A2〜A26を作製した。表1に、鉛蓄電池A1〜A26の極間隙間Wと電解液中のNa含有量を示す。
《鉛蓄電池B1》
セパレータとして、袋の内側に第1リブを有するものを用いた。セパレータは、袋の内側に、ストライプ状の第1リブを複数有し、複数の第1リブは、それぞれ、負極板の高さ方向に沿って形成され、第1リブの高さは、0.1mmであり、負極板に対向する領域において第1リブのピッチは、1mmであった。第2リブの高さおよびピッチ、ならびに、セパレータのベース部の平均厚みについては、鉛蓄電池A1と同様である。
正極板側および負極板側の両側にリブが設けられたセパレータを用いた他は、鉛蓄電池A1と同様にして鉛蓄電池B1を組み立てた。
《鉛蓄電池B2〜B26》
鉛蓄電池A2〜A26と同様の方法で、鉛蓄電池B1に対して、極間隙間Wと電解液中のNa含有量との組み合わせ方が異なる25種類の鉛蓄電池を作製し、鉛蓄電池B2〜B26を作製した。表2に、鉛蓄電池B1〜B26の極間隙間Wと電解液中のNa含有量を示す。
[評価1:硫酸鉛蓄積量]
SBA S 0101:2014に準拠して、アイドリングストップ条件で、鉛蓄電池の充放電を行った。具体的には、25℃において、下記の(a)〜(c)を1サイクルとして、放電末電圧がセル当り1.2V以下になるまで繰り返し、このときのサイクル数を求めた。なお、充放電時には、3600サイクル毎に40時間〜48時間休止した。
(a)放電1:32Aの電流値で59秒放電する。
(b)放電2:300Aの電流値で1秒間放電する。
(c)充電:制限電流100Aおよびセル当り2.33Vの電圧で60秒間充電する。
充放電試験後の鉛蓄電池から端板を除く任意の負極板1枚を取り出し、水洗、乾燥を施した後、電極材料を全て採取し、粉砕した。硫黄分析装置を用いて粉砕試料中の硫黄分を測定し、硫酸鉛蓄積量を求めた。硫酸鉛蓄積量をPSOC寿命サイクル数で除算し、1サイクル当りの硫酸鉛蓄積量を求めた。
上記の1サイクル当りの硫酸鉛蓄積量を、鉛蓄電池A1の硫酸鉛蓄積量を100とした相対比で表し、評価した。表1および表2に評価結果を示す。
[評価2:放電性能]
JIS D 5301に準拠して、RC(Reserve Capacity)放電容量を測定した。測定した放電容量を、鉛蓄電池A1の放電容量を100とした相対比で表し、評価した。表1および表2に評価結果を示す。評価値が大きいほど、放電性能が優れていることを意味する。
表1および表2から分かるように、Na含有量を増加させるほど、硫酸鉛蓄積量が増大し、また、放電容量は減少する傾向にある。負極側に第1リブが設けられていない鉛蓄電池A2〜A26では、表1に示すように、極間隙間Wを狭くし、極板群を圧迫することにより、硫酸鉛蓄積量の増加を抑えることができる。しかしながら、鉛蓄電池A2〜A26においては、硫酸鉛蓄積の抑制効果は不十分であり、Na含有量を0.3mol/L以上に高濃度に含有した場合に、Naを添加していない鉛蓄電池A1よりも硫酸鉛蓄積量を低減することは、極間隙間Wの制御によっても困難である。また、極板群を圧迫することによって、放電容量は大幅に減少している。
これに対して、負極側に第1リブを設けた鉛蓄電池B2〜B26では、表2に示すように、極間隙間Wを狭くし、極板群を圧迫することにより、硫酸鉛蓄積量の増加が顕著に抑えられており、電解液にNaを含有しつつ、硫酸鉛蓄積量を鉛蓄電池A1の半分近くにまで低減することが可能である。また、極板群の圧迫に伴う放電容量の減少も抑えられている。
また、充放電試験後のセパレータを取り出し、浸透痕の有無を目視で確認したところ、Na含有量が0.02mol/L以下で、且つ、負極側に第1リブが設けられていない鉛蓄電池A1、A2、A7、A12、A17およびA22において、浸透痕の発生を確認した。これに対し、負極側に第1リブを設けた鉛蓄電池では、電解液にNaを含有しない鉛蓄電池B1を除き、浸透痕は確認されなかった。これは、負極側に第1リブを設けたことで、負極板近傍での電解液の拡散性が向上したためと考えられる。
Na含有量が0.02〜0.3mol/Lで、極間隙間Wが−0.1〜0.15mmである場合(鉛蓄電池B7〜B10、B12〜B15、B17〜B20、B22〜B25)には、放電容量を、鉛蓄電池A1を基準として97%以上に維持しながら、硫酸鉛の蓄積量を、鉛蓄電池A1を基準として95%以下に抑制することができた。このとき、浸透痕は発生しなかった。しかしながら、浸透短絡をより抑制する点では、Na含有量は0.03mol/L以上であることが好ましい。
したがって、Na含有量が0.03〜0.3mol/Lで、極間隙間Wが−0.1〜0.15mmの鉛蓄電池B8〜B10、B13〜B15、B18〜B20、およびB23〜B25は、放電性能に優れ、硫酸鉛の蓄積が抑制されているとともに、耐浸透短絡性にも優れる。
Figure 2019087682
Figure 2019087682
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、制御弁式および液式の鉛蓄電池に適用可能であり、自動車もしくはバイクなどの始動用の電源として好適に利用できる。
1:鉛蓄電池
2:負極板
3:正極板
4:セパレータ
5:正極棚部
6:負極棚部
7:正極柱
8:貫通接続体
9:負極柱
11:極板群
12:電槽
13:隔壁
14:セル室
15:蓋
16:負極端子
17:正極端子
18:液口栓

Claims (7)

  1. 複数の正極板および複数の負極板がセパレータを介して積層された極板群と、
    前記極板群を収納するセル室と、
    電解液と、を備え、
    前記電解液は、Naを0.03〜0.3mol/L含有し、
    前記極板群の一方の端部に位置する前記正極板または前記負極板である第1端板を、前記セル室の互いに対向する内側壁の一方に近接して配置し、前記極板群の他方の端部に位置する前記正極板または前記負極板である第2端板を、前記内側壁の他方に近接して配置したときの、前記内側壁に対向する前記第1端板の表面と、前記内側壁に対向する前記第2端板の表面との間の最大の離間距離である端板間距離をLとし、前記極板群における前記正極板および前記負極板の厚みの合計をd1とし、前記セル室内において前記正極板と前記負極板とが対向する領域の数である極間数をNとし、前記正極板と前記負極板との間に介在する前記セパレータ1枚の総厚みをd2として、下記式で求められる極間隙間Wが、−0.1〜+0.15mmであり、
    W={(L−d1)/N}−d2、
    前記セパレータは、前記負極板の側に第1リブを備える、鉛蓄電池。
  2. 前記セパレータは、前記正極板の側に第2リブを備える、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記セパレータが袋状である、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記セパレータは、前記負極板を収容している、請求項3に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記セパレータは、前記正極板を収容している、請求項3に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記負極板は、負極電極材料を含み、
    前記負極電極材料は、導電性の炭素粒子を含み、
    前記炭素粒子は、粒子径が32μm未満の第1炭素粒子を含み、
    前記第1炭素粒子は、前記セパレータの平均細孔径よりも粒子径が小さい第2炭素粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  7. 前記負極電極材料中の前記第1炭素粒子の含有量は、0.2質量%以上2質量%以下である、請求項6に記載の鉛蓄電池。
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