以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
また、以下の説明において、図1に示すように、ロータの中心軸A、つまりシャフトが延びる軸方向を上下方向とし、基板側を上側、とし、ハウジングの底部側を下側とする。ただし、本明細書における上下方向は、位置関係を特定するために用いるためであって、実際の方向を限定するものではない。すなわち、下方向は重力方向を必ずしも意味するものではない。
また、ロータの中心軸Aに直交する方向を径方向とし、径方向は中心軸Aを中心とする。ロータの中心軸Aの軸回りを周方向とする。
また、本明細書において「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向に延びる状態と、軸方向に対して45度未満の範囲で傾いた方向に延びる状態とを含む。同様に、本明細書において「径方向に延びる」とは、厳密に径方向に延びる状態と、径方向に対して45度未満の範囲で傾いた方向に延びる状態とを含む。
また、本明細書において「嵌る(嵌合する)」とは、形状が合ったものを嵌め合わせることを意味する。形状が合ったものは、形状が同じ場合と、形状が相似形の場合と、形状が異なる場合とを含む。形状が合ったものが凹凸形状の場合には、一方の凸部の少なくとも一部が他方の凹部の中に位置する。
また、本明細書において「間隙」とは、意図的に設けた隙間を意味する。つまり、部材同士を接触させないように設計された隙間を間隙とする。
(実施の形態1) 図1〜図10を参照して、本発明の一実施の形態であるモータについて説明する。実施の形態1におけるモータは、U相、V相、及びW相の組を2組有する2系統の構成である。
図1に示すように、モータ1は、ハウジング10と、フランジ20と、カバー30と、ロータ40と、ベアリング43,44と、ステータ50と、コイル支持部材60と、基板70及び電子部品80を有する制御部と、ヒートシンク100と、コネクタ200と、コネクタピン81と、を主に備える。
<ハウジング> 図1に示すように、ハウジング10は、ロータ40、ステータ50及びベアリング43,44を内部に収容する。ハウジング10は、軸方向に伸び、上側に開口する。ハウジング10は、底部14を含む。底部14は、ハウジング10を閉口する。
<フランジ> フランジ20は、ハウジング10の外側面に、取り付けられる。
<カバー> カバー30は、基板70及びコネクタ200の軸方向上側を少なくとも一部を覆う。
<ロータ> ロータ40は、シャフト41と、ロータコア42と、を含む。シャフト41は、軸方向に延びる中心軸Aを中心とする略円柱状である。このシャフト41に、ロータコア42は固定される。ロータコア42は、シャフトの径方向外側を囲む。ロータコア42は、シャフト41とともに回転する。
<ベアリング> 図1に示すように、ベアリング43,44は、シャフト41を回転可能に支持する。軸方向上側に配置されるベアリング43は、ステータ50の軸方向上側に位置し、ヒートシンク100に保持される。軸方向下側に配置されるベアリング44は、ハウジング10の底部14に保持される。
<ステータ> [ステータの構成] ステータ50は、ロータ40の径方向外側を囲む。ステータ50は、ステータコア51と、インシュレータ52と、コイル53と、バスバー(図示せず)と、バスバー保持部材54と、を含む。
ステータコア51は、周方向に複数配置されたコアバックとティースとを有する。コアバックは、中心軸Aと同心の筒状である。ティースは、コアバックの内側面から径方向内側に向かって延びる。ティースは、複数設けられ、コアバックから径方向に延び、周方向に空隙(スロット)を隔てて配置される。
インシュレータ52は、ステータコア51の少なくとも一部を覆う。インシュレータ52は、絶縁体で形成され、各ティースに取り付けられる。
コイル53は、ステータコア51を励磁し、コイル線Cが巻回されて構成される。具体的には、コイル線Cは、インシュレータ52を介して各ティースに巻回され、コイル53は、各ティースに配置される。すなわち、コイル線Cは、集中巻である。本実施の形態において、コイル線Cが2つの異なるティースに対してそれぞれ集中巻で巻回される、いわゆる二連弧巻である。コイル線Cは、バスバー保持部材54の径方向外側端部よりも径方向内側に位置する。
コイル線Cの一端部は、バスバーに接続される。コイル線Cの他端部は、後述するコイル支持部材60に挿通され、基板70に接続される。本実施の形態のコイル線Cの他端部は、コイル53から引き出された導線であり、具体的には、第1及び第2の系統におけるU相、V相及びW相のそれぞれを構成する6本の引出線53U1,53U2,53V1,53V2,53W1,53W2(図6参照)である。このステータ50から引き出された引出線53U1,53U2,53V1,53V2,53W1,53W2は、後述するコイル支持部材60の貫通孔65及びヒートシンク貫通孔110(図3参照)内に挿通され、制御部にはんだ付けなどの方法で電気的に接続される。
引出線53U1,53U2,53V1,53V2,53W1,53W2は、渡り線によって、シャフトを中心とした180度以下の領域に集められる。
モータ1の駆動時においては、第1の系統におけるU相、V相及びW相の各層を構成する引出線53U1,53V1,53W1に、それぞれ電流が流され、第2の系統におけるU相、V相及びW相の各相を構成する引出線53U2,53V2,53W2にも、それぞれ電流が流される。この構成により、モータ1の駆動時において、例えばインバータの故障等により一方の系統へのコイルへの通電が停止した場合であっても、他方の系統におけるコイルに通電が可能であるため、モータ1を駆動させることができる。
本実施の形態におけるモータ1は、U相、V相及びW相の組を2組有する2系統の構成としたが、系統数については任意に設計可能である。すなわち、モータ1は、1系統の構成としてもよく、3系統以上としてもよい。
バスバーBは、コイル53から導出されたコイル線を互いに電気的に接続させる導電材料で形成された部材である。本実施の形態におけるバスバーBは、スター結線における中性点用バスバーである。
[バスバー保持部材] 図1に示すバスバー保持部材54は、バスバーを保持する。バスバー保持部材54は、絶縁材料で形成される。バスバー保持部材54は、インシュレータ52の径方向外側またはコアバックの軸方向上側に固定される。バスバー保持部材54と、ベアリング43とは、径方向に重なる。
<コイル支持部材> コイル支持部材60は、コイル線Cなどの導電部材を支持する。コイル支持部材60は、絶縁材料で形成される。コイル支持部材60は、ステータ50の軸方向上側に配置され、コイル線Cが挿通される。
<制御部> 制御部は、ロータ40とステータ50とを有するモータ本体部を制御する。制御部は、基板70と、この基板70に実装される電子部品80と、を含む。基板70は、ステータ50の軸方向上側であって、径方向に広がるように配置され、ヒートシンク100の軸方向上側に固定される。電子部品80は、基板70の上面及び下面の少なくとも一方に実装される。
図10に示すように、基板70に搭載される電子部品80の1つとして、チョークコイル80aを用いることができる。チョークコイル80aは、基板70と電気的に接続される。チョークコイル80aは、ノイズを除去する。
図2に示すように、基板70は、パワー素子が実装される第1領域S1と、制御素子が実装される第2領域S2と、を有する。第1領域S1は、軸方向上側から見た際に、シャフト41の中心軸Aを中心として180度以上の領域である。
ここで、パワー素子と制御素子とが、基板70上において周方向に分かれて配置している際に、第1領域S1と第2領域S2とを定義することができる。したがって、パワー素子と制御素子とが基板70上に
不規則に点在している場合や、パワー素子と制御素子とが同一周方向かつ径方向に分かれて配置されている場合は、この限りではない。
また、第1領域S1及び第2領域S2は、シャフト41(中心軸A)を中心とした角度で定義される領域である。例えば、第1領域S1内において、パワー素子が基板70の径方向内側に偏っている場合であっても、基板70の径方向外側は第1領域S1とみなす。
ここで、パワー素子とは、コイル線から外部電源へと繋ぐ回路上の素子であり、制御素子とは、磁気センサで検出した信号線を外部制御装置へと繋ぐ回路上の素子である。パワー素子としては、チョークコイル80a、FET、コンデンサなどが挙げられる。制御素子としては、マイコンなどが挙げられる。
[基板の構成] 図2に示すように、基板70は、導電部材を通すための基板貫通孔71,72を有する。導電部材は、基板70に接続されて配電する部材であり、例えば、図1に示すコネクタピン81、ステータ50に巻回されたコイル線Cなどである。本実施の形態では、基板貫通孔71には、コイル線が挿通され、基板貫通孔72にはコネクタピン81が挿通される。なお、コイル線Cと基板70、及び、コネクタピン81と基板70とは、はんだ接続によって固定される。
基板70には、ヒートシンク100との位置決めのために、ヒートシンク100の第2位置決め凹部176(図3参照)に対応する位置決め孔部76が形成される。位置決め孔部76は、丸孔、切欠き孔などである。
また、基板70には、ヒートシンク100との固定のために、ヒートシンク本体部103の固定孔部177(図3参照)に対応する固定孔部77が形成される。固定孔部77は、丸孔、切欠き孔などである。
[ヒートシンク及びコネクタとの関係] 図3に示す第1位置決め孔178は、ヒートシンク上面101とヒートシンク下面102とを貫通している。ヒートシンク上面101を加工する際に、第1位置決め孔178を基準として、第2位置決め凹部176が形成される。また、ヒートシンク下面102を加工する際も同様に、第1位置決め孔178を基準として第1位置決め凹部179が形成される。これにより、第1位置決め凹部179と、第2位置決め凹部176とは、第1位置決め孔178を基準に位置が決定される。
したがって、第1位置決め凹部179によって位置が決められたコネクタ200と、第2位置決め凹部176によって位置が決められた基板70とは、位置が決定される。これにより、ヒートシンク100とコネクタ200との間に位置ずれを起こさず、容易にコネクタピン81を接続させることができる。
[導電部材との接続] 基板70または電子部品80と、基板70及びコイル線Cなどの導電部材とは、接続部材によって接続される。接続部材は、導電性接着剤、はんだなどであり、本実施の形態でははんだを用いる。はんだは、基板70の上面及び下面と、導電部材を通すための基板貫通孔71の内部とに連なるように配置される。はんだの全ては、後述するヒートシンク100の露出面122(図1参照)よりも軸方向上側に位置する。
<ヒートシンク> 図1に示すように、ヒートシンク100は、ステータ50の軸方向上側に配置され、基板70と軸方向に対向する。
ヒートシンク100は、基板70に実装された電子部品80からの熱を吸収し、外部に放出する機能を有し、熱抵抗の少ない材料で形成される。
ヒートシンク100は、ベアリング43を保持するので、ベアリングホルダとしても用いられる。本実施の形態では、ベアリングホルダとヒートシンクとは一体であるため、部品点数、組立点数、及びこれらに伴うコストを削減できる。また、ベアリングホルダとヒートシンクとを別体にした際に生じる熱抵抗を抑えることができるため、熱を外部へと伝えやすくすることができる。
ヒートシンク100は、図3に示すヒートシンク上面101と、図4に示すヒートシンク下面102とを有する。ヒートシンク上面101は基板70に対向し、ヒートシンク下面102はステータ50に対向する。
[ヒートシンク本体部及びヒートシンク突出部] 図3及び図4に示すように、ヒートシンク100は、ヒートシンク本体部103と、このヒートシンク本体部103と連なり、かつハウジング10よりも径方向外側に延びるヒートシンク突出部104とを有する。
ヒートシンク本体部103は、軸方向上側から見た際に、ロータ40及びステータ50を収容するハウジング10と重なり合う。ヒートシンク突出部104は、このヒートシンク本体部103から径方向に突出し、コネクタ200の長手方向(図3及び図4における左右方向)の少なくとも一部を覆う。
ヒートシンク突出部104は、第1突出部104aと、第2突出部104bとを有する。図10に示すように、第1突出部104aの径方向外側には、コネクタピン81が位置する。第2突出部104bの径方向外側には、コネクタピン81が位置しない。
ヒートシンク突出部104の形状は、図5aに示すように平面視において複数の棒部材が突出した形状である。図5aの構造では、第1突出部104aは、第2突出部104bの間に配置される。なお、第2突出部104bの径方向外側端部から内側に向けて第1突出部104aが延びてもよい。
また、ヒートシンク突出部104の形状は、図5bに示すように板状に突出した形状や、図5cに示すようにリング形状などであってもよい。図5b及び図5cの構造では、第1突出部104aと第2突出部104bとは、一体である。
[第1突出部] 図10に示すように、第1突出部104aは、コネクタピン81を径方向外側に位置させることにより、コネクタ200と基板70との間に設けたスペースに配置される。
軸方向下側から見て、コネクタ200、第1突出部104a、及び基板70の順に重なる。つまり、第1突出部104aは、基板70とコネクタ200とに挟まれる。この順は、各部材が互いに重なり合う場合には、各部材の下端の位置である。つまり、軸方向下側から見て、コネクタ200の下端、第1突出部104aの下端、及び基板70の下端の順に位置する。
また、軸方向下側から見て、コネクタ200、第1突出部104a、基板70、及びチョークコイル80aの順に重なる。つまり、軸方向下側から見て、コネクタ200の下端、第1突出部104aの下端、基板70の下端、及びチョークコイル80aの下端の順に位置する。
また、軸方向下側から見て、コネクタ200、コネクタピン81、第1突出部104a、及び基板70の順に重なる。つまり、軸方向下側から見て、コネクタ200の下端、コネクタピン81の下端、第1突出部104aの下端、及び基板70の下端の順に位置する。
第1突出部104aとコネクタ200との間には、軸方向に隙間が設けられる。第1突出部104aの下面は、段差を有する。第1突出部104aの下面の少なくとも一部は、他の部材と間隔をあけて配置される。つまり、第1突出部104aの下面の少なくとも一部は、他の部材と接触しない。図10では、第1突出部104aとコネクタ200との間には、コネクタピン81が位置する。
本実施の形態では、第1突出部104aの下面は、第2突出部104bの下面よりも軸方向上側に位置する。第1突出部104aの下面は、ヒートシンク本体部103の下面よりも軸方向上側に位置する。
[第2突出部] 図3及び図4に示す第2突出部104bは、間隔を隔てて複数形成されている。詳細には、第2突出部104bは、ヒートシンク本体部103におけるコネクタ200側の径方向外端縁(図5aではヒートシンク本体部103の右端)の一端及び他端(図5aでは上端及び下端)から突出する。
ここで、第2突出部104bの形状は、図3、図4及び図5aに示すように平面視において棒状に突出した形状であり、両端のみに設置される場合にはヒートシンク本体部103とで略U字形状をなす。なお、第2突出部104bが平面視において棒状に突出した形状である場合には、第2突出部104bは1つであってもよく、3つ以上であってもよく、また両端に設けられていなくてもよい。
第2突出部104bは、後述するコネクタ200と嵌合するために、軸方向に延びるヒートシンク凹部またはヒートシンク凸部を有する。また、ヒートシンク凹部またはヒートシンク凸部は、軸方向に沿って延びる。図3及び図4では、コネクタ200の長手方向の一端及び他端に位置する第2突出部104bの内側面に、ヒートシンク凹部105が形成される。第2突出部104bの内側面は、コネクタ200と対向する面である。
本実施の形態において、第2突出部104bは露出面122(図1参照)である。つまり、第2突出部104bと基板70との間には隙間が設けられる。したがって、カバー30を装着する前工程において、コネクタ200の長手方向からコネクタピン81が基板70に接続されているかを目視することができる。
本実施の形態の第2突出部104bは、軸方向下側から見て、コネクタ200とは重なるが、基板70と重ならない。なお、第2突出部104bは、軸方向下側から見て、基板70と重なってもよい。
[空洞部] ヒートシンク100には、導電部材を通すとともに軸方向に延びる空洞部Hが形成される。空洞部Hは、貫通孔、切り欠き等である。
導電部材がコネクタピン81などである場合、図3、図4及びこれらを模式的に示す図5aに示す構造において導電部材を通すための空洞部Hは、ヒートシンク本体部103と、ヒートシンク突出部104とで形成される。詳細には、空洞部Hは、ヒートシンク本体部103のコネクタ側の径方向外端縁と、第1突出部104aと、第2突出部104bとで形成される。
変形例の図5bに示すヒートシンク突出部104の径方向外端部に切り欠きがある構造では、切り欠きが空洞部Hをなす。別の変形例の図5cに示すヒートシンク突出部104がリング形状である構造では、リング形状をなす中空穴が空洞部Hをなす。
また、導電部材がステータ50からのコイル線である場合、図3及び図4に示すように、空洞部Hとして、コイル線を通すとともに軸方向に延びるヒートシンク貫通孔110が形成される。
このように、図3及び図4に示すヒートシンク100の空洞部Hは、ヒートシンク本体部103の径方向外端面と、第1突出部104aの外端面と、第2突出部104bの内端面とで形成される。そして、空洞部Hは、コネクタからの導電部材のための空洞、及びコイル線のためのヒートシンク貫通孔110である。
[ヒートシンク貫通孔] 図3、図4及び図6に示すように、ヒートシンク貫通孔110は、コイル線などの導電部材を通すとともに軸方向に延びる。このため、ヒートシンク貫通孔110は、導電部材の位置決めができる。本実施の形態のヒートシンク貫通孔110は、図1及び図6に示すように、コイル線を支持するコイル支持部材60を保持する。
ヒートシンク貫通孔110は、周方向に隣り合うように複数位置する。具体的には、複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、周方向に間隔を隔てて設けられる。つまり、複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、互いに間隔を隔てて同心円弧上に整列される。
図3に示すように、複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、軸方向上側から見た際に、シャフト41(中心軸A)を中心とした中心角αが180度以内の領域に位置する。つまり、ヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは片側に集めて配置される。スロット数が6以上であり、相数が3であって、中心角αは、「(360
度/スロット数)×3」度以下であることが好ましい。
なお、上記式の「相」とは、固定ステータの独立したコイルの数であり、相数が3の3相モータとは120度間隔で独立したコイルが3個あるモータであり、本実施の形態ではU相、V相及びW相の3相モータである。また上記式の「スロット」とは、ティース間の溝の数を表し、3相モータでは3の倍数となる。本実施の形態では、3相の12スロットであるので、中心角αは90度以下であることが好ましい。
また、ヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wと同様にコイル引出線53U1,53U2,53V1,53V2,53W1,53W2も中心角α内に位置するように配置することが望ましい。渡り線を用いることにより、コイル引出線を中心角α内に位置させることができる。
図6に示すように、複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wのそれぞれには、コイル線のうち同相の複数のコイル線のみが挿通される。複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、コイル線の相毎に互いに分離した孔である。つまり、複数のヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、互いに独立しており、つながっていない。詳細には、ヒートシンク貫通孔110Uには、2本のU相コイルである引出線53U1,53U2のみが挿通される。ヒートシンク貫通孔110Vには、2本のV相コイルである引出線53V1,53V2のみが挿通される。ヒートシンク貫通孔110Wには、2本のW相コイルである引出線53W1,53W2のみが挿通される。
軸方向上側から見た際に、ヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、基板70においてパワー素子が実装された第1領域S1内に対向する。このため、基板70のパワー素子が実装される第1領域S1に、コイル線を通すヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wが形成される。
なお、軸方向上側から見た際に、ヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wは、パワー素子が実装される第1領域S1と制御素子が実装される第2領域S2にまたがっている構造であってもよい。また、軸方向上側から見た際に、ヒートシンク貫通孔の一部が第1領域S1で、残部が第2領域S2である構造などであってもよい。
[ヒートシンクとコイル支持部材との嵌合] 図1に示すように、ヒートシンク貫通孔110に、コイル支持部材60の少なくとも一部が位置する。コイル支持部材60とヒートシンク貫通孔110との隙間は、図1に示すように、下側に向かうにつれ小さくなるまたは同じである。
具体的には、コイル支持部材60の上端の幅は、ヒートシンク貫通孔110の下端の幅よりも小さく、コイル支持部材60の幅は、軸方向上側から下側に向けて漸次同等または大きくなる。より具体的には、ヒートシンク貫通孔110が一定の幅であり、コイル支持部材60の側面が下側に向けて広がるテーパ状を有する。
また、別の構造として、ヒートシンク貫通孔110の下端の幅は、コイル支持部材60の上端の幅よりも大きく、ヒートシンク貫通孔110の幅は、軸方向下側から上側に向けて漸次同等または小さくなる部分を有する。より具体的には、ヒートシンク貫通孔110が下側に向けて広がるテーパ状であり、コイル支持部材60の側面の一部が一定の幅である。
また、ヒートシンク貫通孔110の上端の幅がコイル支持部材60の幅よりも大きくてもよいが、ヒートシンク貫通孔110の上端の幅がコイル支持材60の幅よりも小さくてもよい。
このように、コイル支持部材60とヒートシンク貫通孔110との隙間が下側から上側に向かうにつれ同じまたは大きくなるので、モータ1の組立ての際に、ヒートシンク貫通孔110をコイル支持部材60の上側から容易に挿入できる。
[露出面及び接触面] 図1に示すように、ヒートシンク100は、接触面121と、露出面122とを有する。接触面121及び露出面122は、図3に示すヒートシンク100の上面に位置する面である。
接触面121は、基板70または電子部品80と、直接または放熱部材123を介して接する。放熱部材123は、グリスなどの放熱性を有する部材である。放熱部材123は、ヒートシンク100及び基板70と接触する。露出面122は、基板70、電子部品80及び放熱部材と接触せずに露出する。言い換えると、露出面122は、基板70または電子部品80と隙間を介して配置される。すなわち、接触面121は、直接的または間接的に、基板70または電子部品80と接触し、露出面122は直接的及び間接的に、接触する部材がない。
図3に示すように、露出面122は、空洞部H(図3では、ヒートシンク貫通孔110)より外縁側に位置する。本実施の形態では、ヒートシンク貫通孔110が周方向に沿って複数設けられるので、露出面122はヒートシンク貫通孔110よりも径方向外側に位置する。接触面121と露出面122との境界は、周方向に位置する。図3では、接触面121と露出面122との境界は、一端に位置するヒートシンク貫通孔110Uと、他端に位置するヒートシンク貫通孔110Wと、中心軸Aとを結んだ中心角αの円弧上に位置する。
露出面122により、基板70及び電子部品80と、ヒートシンク100との間に隙間が形成されるので、基板70または電子部品80と、導電部材との接続を目視で確認することができる。なお、基板70の上面から接続を確認する場合、基板貫通孔71の内部、基板70の下面まで接続部材による接続が不明であるので、基板70の下面側から確認することが好ましい。
図1に示すヒートシンク100においては、露出面122は、接触面121よりも軸方向下側に位置する。基板70が平坦に延びる板状であって、露出面122が接触面121よりも下側に位置してもよい。また、基板70が段差構造を有し、露出面122と接触面121とが同一平面上に位置してもよい。
接触面121は、基板70または電子部品80と直接接する第1接触面と、基板70または電子部品80と放熱部材123を介して接する第2接触面と、を有してもよい。
電子部品80または基板70と、導電部材とを接続する接続部材の下端部(バックフィレット)の形状を確認するために、基板70または電子部品80と、第2接触面との隙間よりも、基板70または電子部品80と、露出面122との隙間を大きくすることが好ましい。また、第2接触面に塗布されるグリスのため隙間が薄くなり、接続部材が露出面122に回り込んでしまって見えづらくなることを防止する観点から、基板70または電子部品80と、露出面122との隙間を大きくすることが好ましい。また、コイル支持部材60が上方向にずれると接続部材の下端部が見えづらくなるため、隙間を十分に空けることが好ましい。
図1に示すように、導電部材を支持する部材(本実施の形態ではコイル支持部材60)の先端が、露出面と軸方向の高さが同じまたは下側に位置する場合には、接続部材の下端部をより容易に確認することができる。一方、導電部材を支持する部材の先端が、露出面122と軸方向の高さが同じまたは上側に位置する場合には、基板70または電子部品80と導電部材とを接続する接続部材がヒートシンク100に導通することをより防止できる。
[内側領域及び外側領域] 図1に示すように、ヒートシンク100は、内側領域130と、この内側領域130よりも径方向外側に位置する外側領域140と、この外側領域140の径方向外側に形成された外側壁部150と、を含む。
内側領域130は、電子部品80と少なくとも一部が軸方向において重なる。内側領域130の軸方向の厚みは、外側領域140の軸方向の厚みよりも大きい。
本実施の形態において、ヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wが基板70の径方向外側の領域に位置しているため、基板70の径方向内側の領域には電子部品が密集する。そのため、ヒートシンク100の内側領域130の軸方向の厚みを大きくすることにより、電子部品の熱をヒートシンク100に逃がすことができる。さらに、外側領域140の厚みを薄くすることにより、部品を収容するスペースを確保することができる。よって、電子部品の放熱をより効果的に行うとともに、軸方向の体格を抑えることができる。
内側領域130は、図4に示すように、内側壁部131と、リブ132と、を有する。内側壁部131及びリブ132は、ヒートシンク下面102に形成される。内側壁部131は、径方向内側端部において軸方向下側に延びる。リブ132は、内側壁部131から径方向外側に延びる。リブ132は複数設けられ、複数のリブ132のそれぞれは、周方向に等間隔に配置される。複数のリブ132は、中心軸Aを中心として、径方向に放射状に延びる。内側壁部131及びリブ132によってヒートシンク100の内側領域130の剛性を高めることができるので、ヒートシンク100がベアリング43を保持する場合には、シャフト41を支持するための応力などに対する耐久性を向上できる。また、リブ132を径方向に延ばすことにより、ヒートシンク100の熱容量を増加できるとともに、熱を径方向外側に伝えやすくなる。
外側領域140は、上述したコイル線Cが挿通されるヒートシンク貫通孔110U,110V,110Wを有する。外側領域140の下面は、内側領域130の下面よりも軸方向上側に位置する。
図1に示すように、バスバー保持部材54は、軸方向において外側領域140の下側に位置するとともに、径方向において内側領域130と重なる。換言すると、ヒートシンク100の径方向外側かつ下面において、軸方向上側に凹む凹部が設けられ、この凹部にバスバーBが収容される。
本実施の形態では、基板70の中心部(径方向内側)に発熱素子(FETなどの比較的発熱量が大きい素子)が多く配置される。このため、基板70と対向するヒートシンク100の中心部に位置する内側領域130の厚みを大きくすることにより、放熱効果を高める。
一方、基板70の外側(径方向外側)には、ステータ50のコイル53から引き出されたコイル線Cが接続され、発熱素子は配置されない。この外側領域140の厚みを小さくして、バスバー保持部材54を配置することにより、軸方向の高さを抑えることができる。さらに、バスバーの上面及び側面をヒートシンク100が覆うことにより、駆動時において、バスバーの輻射熱をヒートシンク100で吸収できる。
外側壁部150は、バスバー保持部材54の径方向外側を囲む。外側壁部150の軸方向の厚みは、内側領域130の軸方向の厚みよりも大きい。外側壁部150の少なくとも一部は、外部に露出する。外側壁部150は、ヒートシンク100において軸方向の厚みが最も大きい箇所を含むので、より放熱効果を高めることができる。
[基板との位置決め及び固定] 図3に示すように、ヒートシンク本体部103のヒートシンク上面101には、基板70との位置決めのために、第2位置決め凹部176が形成される。第2位置決め凹部176は、複数形成され、円形凹部である。ヒートシンク100の第2位置決め凹部176と基板70の位置決め孔部76(図2参照)とに、位置決めピンなどの位置決め部材を差し込んで、位置決めをする。
ヒートシンク本体部103には、基板70との固定のために、固定孔部177が形成される。この固定孔部177は、基板70と軸方向に当接する基板当接部である。固定孔部177は、複数形成され、円形孔部である。ヒートシンク100の固定孔部177と基板の固定孔部77(図2参照)とに、固定ピンやねじなどの固定部材を差し込んで、基板70とヒートシンク100とを固定する。
上述の通り、ヒートシンク100と基板70とは、位置決
め部材を用いて位置が決められ、固定部材によって固定される。基板70とヒートシンク100とが固定された後に、位置決め部材は取り除かれる。
なお、ヒートシンク100と基板70とは当接されるため、固定孔部177は、露出面122に対して軸方向上側に突出する。つまり、本実施の形態において固定孔部177は第1接触面に位置する。
図3に示すように複数のヒートシンク貫通孔110と固定孔部177とは、周方向に間隔を隔てて設けられる。2つの固定孔部177は、複数のヒートシンク貫通孔110のうち周方向両端に位置するヒートシンク貫通孔110U,110Wと、周方向に間隔を隔てて設けられる。
[コネクタとの位置決めのための構成] 図4に示すように、第2突出部104bには、コネクタ200との位置決めのために、第1位置決め孔178と、第1位置決め凹部179または第1位置決め凸部(図示せず)が形成される。第1位置決め凹部は、切欠き凹部である。
<コネクタ> 図1に示すように、コネクタ200は、ハウジング10と隣り合うように配置され、基板70とモータ1外部とを電気的に接続する。本実施の形態のコネクタ200は、ハウジング10の径方向外側に配置され、軸方向下側に向かって延び(下向きであり)、基板70から軸方向下側に延びる導電部材であるコネクタピン81を内部に収容する。
コネクタ200の上面は、ヒートシンク100のヒートシンク上面101よりも下方に位置し、軸方向上側から見た際に、コネクタ200と基板70とは、重なり合う。
[コネクタの構成] 図7及び図8に示すように、コネクタ200は、軸方向に延びるコネクタ胴体部210と、このコネクタ胴体部210の外側面から径方向外側に延びるコネクタフランジ部220と、コネクタ胴体部210の上面から軸方向上側に延びるコネクタ突出部230と、を有する。
図9に示すように、ヒートシンク本体部103とヒートシンク突出部104とで空洞部Hを形成する場合には、空洞部Hにコネクタ胴体部210の少なくとも一部が位置する。
コネクタ胴体部210は、外側面に形成されるとともに、軸方向に延びる胴体凸部211または胴体凹部(図示せず)を有する。胴体凸部211は、コネクタフランジ部220からコネクタ突出部230まで軸方向に延びる。
図8などに示すように、コネクタ胴体部210は、径方向外端領域に形成され、軸方向に延びるコネクタ凸部215をさらに有する。コネクタ凸部215は、径方向外側のコネクタ外端縁216を含む外縁部である。なお、「コネクタ外端縁216」とは、外端(コネクタ200の端)である。
コネクタ胴体部210は、コネクタ凸部215の径方向内側において、コネクタ凸部215の径方向内側の面とで形成されるポケット凹部217をさらに有する。ポケット凹部217は、外部から侵入する埃を貯める。
コネクタフランジ部220は、コネクタ胴体部210の軸方向の中央部に形成される。なお、中央部とは、中心から所定範囲(例えば軸方向高さの中心から1/3以内)である。これにより、コネクタ200に外力を受けたとしても耐久性を上げることができる。
図7及び図8に示すように、コネクタフランジ部220の上面には、ヒートシンク100との位置決めするための嵌合部221が形成される。嵌合部221は、第1位置決め孔178と、第1位置決め凹部179または第1位置決め凸部(図示せず)とのそれぞれに嵌合する。本実施の形態の嵌合部221は、上側に延びる突起部である。
コネクタ突出部230は、コネクタ胴体部210の上面から上側に延びる。コネクタ突出部230は、コネクタ胴体部210と一体成形されてもよく、別部材であってもよい。
[カバーとコネクタとの嵌合] コネクタ凸部215と、カバー30の凹部とは、間隙を介して嵌る。コネクタ200は、平面視において略長方形である。コネクタ凸部215と、カバー30の凹部とは、コネクタ200の長手方向に沿って延びる。
また、コネクタ突出部230と、図1に示すカバーの段差部35とは、間隙を介して嵌る。コネクタ突出部230の径方向外側の角部とカバーの段差部35の段差部分とが対向して嵌る。
本実施の形態のモータ1は、カバー30とコネクタ200とを互いの凹凸形状で間隙を介して嵌り合うラビリンス構造を有する。このため、防塵効果を有するとともに、モータを容易に組み立てることができる。
[コネクタとヒートシンクとの接触] 図9に示すように、コネクタ200は、第2突出部104bの下面に接触する。具体的には、コネクタフランジ部220のフランジ上面222と、第2突出部104bのヒートシンク下面102とが接触するように、コネクタフランジ部220上に第2突出部104bが配置される。図3に示すように、第2突出部104bが間隔を隔てて複数形成される場合には、コネクタフランジ部220は、複数の第2突出部104bの下面のそれぞれと接触する。
[コネクタとヒートシンクとの嵌合] 胴体凸部211と、ヒートシンク凹部105とは、間隙を介して嵌る。なお、胴体凸部211の代わりに胴体凹部を形成し、ヒートシンク凹部の代わりにヒートシンク凸部を形成し、胴体凹部とヒートシンク凸部とが間隙を介して嵌るように構成されてもよい。このように、コネクタ200とヒートシンク100とが間隙を介して互いの凹凸形状により嵌合されると、組立てが容易である。
互いに間隙を介して嵌る胴体凸部または胴体凹部と、ヒートシンク凹部またはヒートシンク凸部とは、軸方向に沿って延びる。
[コネクタとヒートシンクとの位置決め] ヒートシンク100の第1位置決め孔178(図3及び図4参照)と、第1位置決め凹部179(図4参照)または第1位置決め凸部(図示せず)とに、コネクタの嵌合部221を嵌合することによって、ヒートシンク100とコネクタ200とを位置決めする。本実施の形態では、コネクタフランジ部220の上面に設けた嵌合部221としての突起部と、第2突出部104bの第1位置決め孔178としての丸孔及び第1位置決め凹部179としての切り欠き凹部とが嵌合する。
なお、ヒートシンク100とコネクタ200との位置決めは、互いに嵌合すればよく、形状は限定されない。
[コネクタと第1突出部との配置] 図8及び図9に示すように、本実施の形態のコネクタ200は直方体である。このため、コネクタ200は、上方から見た際に、長手方向と短手方向とを有する。
図9に示すように、第1突出部104aは、コネクタ200の長手方向の一方側、かつ、高さ方向上側に位置する。なお、高さ方向とは、長手方向と短手方向に直交する方向である。本実施の形態においては、高さ方向は、軸方向と一致する。具体的には、第1突出部104aは、コネクタ200の長手方向において一方端から中央部に向けて延びる。コネクタ200の長手方向において他方側から中央部までには、第1突出部104aは設けられていない。また、第1突出部104aは、コネクタ200の高さ方向上端部に位置する。
コネクタ内において、第1突出部104aが上側に位置する一方側に、電源信号回路部を配置する。コネクタ内において、第1突出部104aが上側に位置しない他方側に、制御信号回路部を配置する。第1突出部104aは、ヒートシンク本体部103においてパワー素子が配置される領域から径方向外側に直線状に延びる。
<コネクタピン> 図10に示すように、コネクタピン81は、コネクタ200の内部に収容される。このため、コネクタピン81は、コネクタ200と接続されるコネクタ接続部81Cを有する。また、コネクタピン81は、基板70と接続される。このため、コネクタピン81は、基板70と接続される基板接続部81Aを有する。径方向において、基板接続部81Aと、コネクタ接続部81Cとの位置が異なる。図10では、基板接続部81Aは、コネクタ接続部81Cよりも径方向外側に位置する。
コネクタピン81は、第1軸方向延伸部81aと、径方向延伸部81bと、第2軸方向延伸部81cと、を含む。軸方向上側から順に、第1軸方向延伸部81a、径方向延伸部81b、及び第2軸方向延伸部81cが位置する。
第1軸方向延伸部81aは、軸方向に延びる。第1軸方向延伸部81aは、基板接続部81Aを有する。第1軸方向延伸部81aは、ヒートシンク突出部104の第1突出部104aの径方向外側に位置する。第1軸方向延伸部81aは、第1突出部104aと隙間を隔てて配置される。
径方向延伸部81bは、第1軸方向延伸部81aと連なる。径方向延伸部81bは、軸方向と交わる方向に延びる。つまり、径方向延伸部81bは、第1軸方向延伸部81aの延びる方向と異なる方向に延びる。軸方向と交わる方向は、軸方向と径方向との間の方向であってもよく、径方向であってもよい。本実施の形態の径方向延伸部81bは、軸方向と直交する径方向に延びる。つまり、第1軸方向延伸部81aの下端から径方向内側に延びる。第1軸方向延伸部81aと径方向延伸部81bとで、略L字状をなす。
第2軸方向延伸部81cは、径方向延伸部81bと連なり、軸方向に延びる。第2軸方向延伸部81cは、コネクタ接続部81Cを有する。なお、径方向延伸部81bが、コネクタ接続部81Cを有してもよい。本実施の形態の第2軸方向延伸部81cは、第1軸方向延伸部81aと同じ方向に延びる。第2軸方向延伸部81cと径方向延伸部81bとで、略L字状をなす。
図10に示す構造では、径方向外側から内側に向かって、第1軸方向延伸部81a、径方向延伸部81b、及び第2軸方向延伸部81cの順に位置する。詳細には、第1軸方向延伸部81aの下端から径方向内側に向かって径方向延伸部81bが延びる。径方向延伸部81bの径方向内側端から下方に第2軸方向延伸部81cが延びる。
コネクタピン81において、第1軸方向延伸部81aの延びる方向と、径方向延伸部81bの延びる方向とは交わる。このため、コネクタピン81は、応力緩和構造を有する。コネクタピン81は、交わる方向に延びる連結部分を図10に示すように2つ有してもよく、単数有してもよく、3つ以上有してもよい。
なお、第1軸方向延伸部81a及び第2軸方向延伸部81cは、軸方向から45度未満に傾斜して延びる構造を含む。また、径方向延伸部81bは、径方向から45度未満に傾斜して延びる構造を含む。
コネクタピン81は、コネクタ200に別体で挿入される。つまり、コネクタピン81は、コネクタ200にアウトサートされる。具体的には、コネクタピン81は、コネクタ200に一体成形されたインサート成形ではなく、アウトサート成形される。このため、コネクタピン81においてコネクタ200に挿入された部分と、コネクタ200とは、隙間がある。なお、コネクタピン81は、コネクタ200にインサート成形されてもよい。
[第1突出部との配置] 図10に示すように、ヒートシンク突出部104の第1突出部104aの径方向外側に、コネクタピン81が位置する。本実施の形態では、第1突出部104aの径方向下側にも、コネクタピン81が位置する。詳細には、第1突出部104aの径方向外側に、第1軸方向延伸部81aが位置する。第1突出部104aの径方向下側に、径方向延伸部81bが位置する。
具体的には、軸方向下側から見て、径方向延伸部81bは、第1突出部104aと重なる。本実施の形態では、軸方向下側から見て、第2軸方向延伸部81cは、第1突出部104aと重なる。
軸方向下側から見て、径方向延伸部81bの上面は第1突出部104aの下面よりも下方に位置する。
径方向外側から
見て、第1突出部104aは、コネクタピン81と重なる。詳細には、径方向外側から見て、第1突出部104aと第1軸方向延伸部81aとは、重なる。
<変形例> [カバーを基準とした固定] 上述したように、本実施の形態では、カバー30とコネクタ200とが、ヒートシンク100に固定される構造を例に挙げて説明したが、本発明のモータは、ヒートシンクとコネクタとが、カバーに固定される構造であってもよい。後者の場合、ヒートシンクとコネクタとが間隙を介して嵌る構造を採用することで容易に組み立てる構造を実現できる。
[ヒートシンクの機能] 本実施の形態では、ヒートシンク100がベアリング43を保持するホルダを兼ねる構成を例に挙げて説明したが、本発明のヒートシンクは、ベアリングホルダと別体であってもよい。
また、本実施の形態では、ヒートシンク100がヒートシンク貫通孔110に挿通されるコイル線C及びコイル支持部材60を保持するホルダを兼ねる構成を例に挙げて説明したが、本発明のコイル線及びコイル支持部材を保持するホルダは、ヒートシンクと別体であってもよい。
<効果> 続いて、実施の形態1の効果について説明する。本発明の実施の形態1におけるモータ1は、軸方向に延びるシャフト41を含むロータ40と、ロータ40の径方向外側を囲むステータ50と、ロータ40及びステータ50を内部に収容するハウジング10と、ステータ50の軸方向上側に配置されたヒートシンク100と、ヒートシンク100の軸方向上側に固定された基板70と、ハウジング10の径方向外側に配置されたコネクタ200と、コネクタ200の内部に収容されるとともに、基板70と電気的に接続されたコネクタピン81と、を備え、ヒートシンク100は、ヒートシンク本体部103と、ヒートシンク本体部103と連なり、かつハウジング10よりも径方向外側に延びる第1突出部104aと、を有し、軸方向下側から見て、コネクタ200、第1突出部104a、及び基板70の順に重なり、第1突出部104aの径方向外側に、コネクタピン81が位置する。
本実施の形態1のモータ1によれば、コネクタピン81を径方向外側に位置させて、コネクタ200と基板70との間にヒートシンク100を設置するためのスペースを設ける。このスペースに、ヒートシンク100の第1突出部104aを配置することで、ヒートシンク100全体の体積を大きくできるので、放熱性を確保できる。また、このスペースは、ハウジング10の径方向外側に設けられるので、ヒートシンク100の体積を大きくするために、ハウジング10を大きくする必要がない。したがって、放熱性を確保しつつ、体格を抑えるモータ1を実現できる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、基板70と電気的に接続されたチョークコイル80aをさらに備え、軸方向下側から見て、コネクタ200、第1突出部104a、基板70、及びチョークコイル80aの順に重なる。
これにより、チョークコイル80aを第1突出部104a上の基板70に配置し、他の電子部品80をヒートシンク本体部103上の基板70に配置することができる。このため、発熱量が相対的に大きいチョークコイル80aと、他の電子部品80との間に間隔を設けることができる。したがって、基板70に実装される電子部品80から発生する熱を効率的に逃がすことができる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、第1突出部104aとコネクタ200との間には、軸方向に隙間が設けられる。
第1突出部104aとコネクタ200との間に隙間があるので、第1突出部104aの下面と他の部材とが接触しない構造が実現可能である。このため、第1突出部104aの放熱効果を高めることができる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、コネクタピン81は、基板70と接続される基板接続部81Aと、コネクタ200と接続されるコネクタ接続部81Cと、を含み、軸方向において、基板接続部81Aと、コネクタ接続部81Cとの位置が異なる。
これにより、外部へのコネクタ200の接続による外力、熱衝撃などの応力が、はんだ部などの基板との接続部に加わることを緩和できる。また、この構成により、第1突出部104aを配置するスペースを容易に設けることができる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、コネクタピン81は、第1突出部104aの径方向外側に位置するとともに、軸方向に延びる第1軸方向延伸部81aと、第1軸方向延伸部81aの下端から径方向内側に延びる径方向延伸部81bと、を含み、軸方向下側から見て、径方向延伸部81bは、第1突出部104aと重なるとともに、径方向延伸部81bの上面は第1突出部104aの下面よりも下方に位置する。
これにより、第1軸方向延伸部81aの径方向内側、及び径方向延伸部81bの軸方向上側に第1突出部104aが位置するので、コネクタピン81の熱を効率的に逃がすことができる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、コネクタピン81は、コネクタ200に別体で挿入される。
これにより、コネクタピン81を第1突出部104aの径方向外側に配置する構造を容易に実現できる。
実施の形態1のモータ1において好ましくは、コネクタ200は直方体であって、第1突出部104aは、コネクタ200の長手方向の一方側、かつ高さ方向上側に位置する。
コネクタを電源信号回路部と制御信号回路部とに分類し、上側に突出部が位置する一方側に電源信号回路部を配置することによって、効率的な回路設計を行うことができる。
(実施の形態2) 図11を参照して、実施の形態1のモータ1を備える装置の一実施の形態について説明する。実施の形態2においては、モータ1を電動パワーステアリング装置に搭載した例について説明する。
電動パワーステアリング装置2は、自動車の車輪の操舵機構に搭載される。本実施の形態の電動パワーステアリング装置2は、モータ1の動力により操舵力を直接的に軽減するコラム式のパワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置2は、モータ1と、操舵軸914と、車軸913と、を備える。
操舵軸914は、ステアリング911からの入力を、車輪912を有する車軸913に伝える。モータ1の動力は、ボールねじを介して、車軸913に伝えられる。コラム式の電動パワーステアリング装置2に採用されるモータ1は、エンジンルーム(図示せず)の内部に設けられる。コラム式のパワーステアリング装置の場合、エンジンルーム自体に防水構造を設けることができるため、モータ自体に防水構造を設ける必要がない。一方で、エンジンルーム内に埃が侵入することがあるが、モータ1は防塵構造を有しているので、モータ本体への埃の侵入を抑制できる。なお、本発明の電動パワーステアリング装置は、コラム式に限定されず、ラック式などであってもよい。
実施の形態2の電動パワーステアリング装置2は、実施の形態1のモータ1を備える。このため、実施の形態1と同様の効果を奏する電動パワーステアリング装置2が得られる。すなわち、実施の形態1のモータ1を備えるので、電動パワーステアリング装置2の放熱性を確保しつつ、体格を抑えることができる。
なお、ここでは、実施の形態1のモータ1の使用方法の一例として電動パワーステアリング装置2を挙げたが、モータ1の使用方法は限定されず、ポンプ、コンプレッサなど広範囲に使用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。