以下に添付図面を参照して、この発明にかかる交換工事方法および信号変換装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(エレベーターの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の対象となるエレベーターの構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法におけるエレベーターの構成を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の対象となるエレベーター100は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。エレベーター100は、たとえば、複数階建てのビルなどの建物内に設置される。
エレベーター100は、人や物品を搭載するカゴ(乗りカゴ)101を備えている。カゴ101は、1台のエレベーター100に1つずつ設けられている。カゴ101は、建物における各階床を、鉛直方向すなわちカゴ101の移動方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。
昇降路は、側面に、カゴ101の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)を備えている。また、昇降路は、底部に、万一、カゴ101が落下して底面に衝突したときの衝撃を和らげる緩衝器102を備えている。緩衝器102は、バネの弾性力を利用して衝撃を和らげるバネ式の緩衝器102であってもよく、油圧抵抗を利用して衝撃を和らげる油入式の緩衝器102であってもよい。緩衝器102は、昇降路の天井面にも設けられていてもよい。
カゴ101は、ロープ103の一端に連結されている。ロープ103は、つるべ式に滑車(図示を省略する)および巻上機(トラクションマシン)104に架けられ、他端がカウンタウエイト105に連結されている。ロープ103は、具体的には、たとえば、鋼鉄製のワイヤーによって実現することができる。
ロープ式のエレベーター100における巻上機104は、たとえば、エレベーター100の最上部に設けられた機械室に設置される。巻上機104は、機械室の有無にかかわらず、エレベーター100における最上部に設けることができる。あるいは、エレベーター100が、機械室がないタイプである場合、巻上機104は、エレベーター100における下部に設けられるものであってもよい。
巻上機104は、たとえば、インバーターを用いて制御されており、カゴ101を停止させる階床において回転を停止するように制御盤106によって駆動制御される。ロープ式のエレベーター100においては、巻上機104を駆動することによって発生する、ロープ103と滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用して、カゴ101を昇降させる。巻上機104は、エレベーター100が備える制御盤106によって駆動制御される。
巻上機104は、図示を省略するエンコーダを備えており、制御盤106はエンコーダからの出力信号に基づいて、巻上機104の回転速度や回転位置を判断することができる。エンコーダは、たとえば、アブソリュートエンコーダを用いてもよく、インクリメンタルエンコーダを用いてもよい。
また、エレベーター100は、電磁ブレーキ107、調速機(ガバナマシン)108、リミットスイッチ109などを備えている。電磁ブレーキ107は、コイルを備え、制御盤106によって駆動制御されて当該コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して、巻上機104の回転を停止する。電磁ブレーキ107は、巻上機104の回転を停止した状態を保持することができる。
電磁ブレーキ107は、停電などによって電源の供給が停止した場合に、巻上機104の回転を制止する。電磁ブレーキ107は、具体的には、たとえば、停電時などコイルへの通電が切れたときにスプリングの力で動作して巻上機104の回転を制止する無励磁作動型の電磁ブレーキ107を用いることができる。
調速機108は、カゴ101の速度超過を検出する。調速機108は、たとえば、ガバナロープ108a、ガバナプーリー108b、回転錘(図示を省略する)などを備えた遠心調速機によって実現することができる。このような調速機108において、ガバナロープ108aは、カゴ101の動作と連動する。ガバナプーリー108bは、ガバナロープ108aの動作に連動して回転する。
回転錘は、ガバナプーリー108bの回転速度、すなわち、ガバナプーリー108bの回転に起因する遠心力の大きさに応じて動作する。具体的に、回転錘は、ガバナプーリー108bの回転速度が速い場合にガバナプーリー108bの外周側に開くように動作し、ガバナプーリー108bの回転速度が遅い場合にガバナプーリー108bの内周側に閉じるように動作する。
リミットスイッチ109は、巻上機104に対する電源の供給/遮断を切り替えるスイッチレバー(図示を省略する)を備えている。スイッチレバーは、平時は巻上機104に対して電源を供給する位置に位置付けられており、調速機108の回転錘に付勢された場合に、巻上機104に対する電源の供給を遮断する位置に変位する。
調速機108の回転錘は、カゴ101の昇降速度が、定格速度に対して一定以上の速度になった場合に、スイッチレバーが巻上機104に対する電源の供給を遮断する位置に変位するように、スイッチレバーを付勢する。これにより、カゴ101に速度超過が発生したときに、巻上機104の動作を停止し、カゴ101を停止させることができる。
さらに、エレベーター100は、非常停止装置を備えていてもよい。非常停止装置は、カゴ101の動作とガバナロープ108aの動作とが異なる場合、すなわち、ガバナロープ108aが停止しているにもかかわらずカゴ101が動作している場合に、カゴ101の動作を強制的に停止させる。非常停止装置は、公知の各種の技術を用いて容易に実現することができるため、説明を省略する。
カゴ101は、扉101aを備えている。また、カゴ101は、扉101aを開閉させるモーター(図示を省略する)や、扉101aの開閉状態を検出する扉開閉センサ(図示を省略する)、および、操作盤101bなどを備えている。扉101aを開閉させるモーターは、制御盤106によって駆動制御されて、扉101aを開閉させる。
扉開閉センサは、扉101aと扉110aとの間に位置するセーフティーシューの状態に応じて扉101aや扉110aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化する。扉開閉センサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。扉開閉センサは配線を介して制御盤106に接続されており、扉開閉センサから出力された信号は当該配線を介して制御盤106に入力される。
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)110には、それぞれ扉110aが設けられている。乗り場110に設けられた扉110aは、図示を省略するインターロックなどと称される装置で施錠されている。インターロックは、エレベーター100が停止階に到着した状態でカゴ101が備えるモーターを駆動した場合にのみ、カゴ101の扉101aの開閉機構とかみ合って施錠を解放する。これにより、カゴ101が位置する階床における乗り場110に設けられた扉110aのみを連動して開閉することができる。
各乗り場110には、それぞれ、乗り場呼びボタン111a、カゴ101が位置する階床などを表示する表示器111bなどを備えた操作盤111が設置されている。操作盤111は、それぞれ、操作盤111用の制御基板111cを備え、当該制御基板111cを介して制御盤106に接続されている。
(カゴ101およびカゴ101に設けられた操作盤101bの構成)
つぎに、カゴ101およびカゴ101に設けられた操作盤101bの構成について説明する。図2は、カゴ101およびカゴ101に設けられた操作盤101bを示す説明図である。
図2において、操作盤101bは、カゴ101内側の壁面であって、カゴ101の扉101aの近傍に設けられている。操作盤101bは、カゴ101の行先階を指定する行先階ボタンや、扉101aの開閉を支持する扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン201を備えている。また、操作盤101bは、カゴ101が位置する階床などを表示する表示器202を備えている。
カゴ101に設けられた操作盤101bは、操作盤101b用の制御基板を備えており、当該操作盤101b用の制御基板を介して制御盤106に接続されている。操作盤101b用の制御基板は、エレベーター100の利用者などによる操作ボタン201に対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御盤106に出力する。
また、操作盤101b用の制御基板は、たとえば、扉開閉センサの出力に応じた信号を制御盤106に出力する。また、操作盤101b用の制御基板は、制御盤106から出力された信号に応じて表示器202を制御し、カゴ101が位置する階床を表示したりする。操作盤101b用の制御基板は、カゴ101に設けられた照明203の点灯/消灯の切り替え制御や、監視カメラ204の駆動制御などをおこなってもよい。
また、カゴ101には、インターフォンの端末装置205が設けられている。インターフォンの端末装置205は、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置205におけるマイクやスピーカーは、操作盤101bに一体的に組み込まれていてもよい。インターフォンの端末装置205は、操作盤101b用の制御基板と同様に、制御盤106に接続されている。制御盤106に接続されている。
(乗り場110および乗り場110に設けられた操作盤111の構成)
つぎに、乗り場110および乗り場110に設けられた操作盤111の構成について説明する。図3は、乗り場110および乗り場110に設けられた操作盤111の構成を示す説明図である。
各操作盤111が備える乗り場呼びボタン111aは、たとえば、それぞれ、扉110aの近傍の壁面301などに設けられている。カゴ101が位置する階床などを表示する表示器111bは、たとえば、それぞれが、扉110aの上部の壁面302などに設けられている。表示器111bは、たとえば、図3に示すように、カゴ101が停止しうる階床とともに、カゴ101が位置する階床を表示する。表示器111bは、カゴ101が位置する階床のみを表示してもよい。エレベーター100は、表示器111bを備えていなくてもよい。
制御基板111cは、操作盤101b用の制御基板と同様に、エレベーター100の利用者などによる乗り場呼びボタン111aに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御盤106に出力する。
この実施の形態においては、エレベーター100が備える各部のうち、たとえば、制御盤106に対する信号、いわゆる「上り信号」を出力する各部によって、この発明にかかる構成部を実現することができる。また、この実施の形態においては、エレベーター100が備える各部のうち、たとえば、制御盤106のCPUから出力される信号、いわゆる「下り信号」にしたがって動作する各部によって、この発明にかかる構成部を実現することができる。
具体的に、構成部は、たとえば、エレベーター100の駆動機構によって実現することができる。より具体的には、エレベーター100の駆動機構は、たとえば、巻上機104、電磁ブレーキ107、扉101aを開閉させるモーターなどによって実現することができる。このようなエレベーター100の駆動機構は、制御盤106から出力される下り信号にしたがって動作する。また、エレベーター100の駆動機構は、さらに、制御盤106に対して上り信号を出力するものであってもよい。
また、構成部は、たとえば、エレベーター100の乗り場110の制御機構によって実現することができる。具体的に、エレベーター100の乗り場110の制御機構は、たとえば、各乗り場110に設けられた操作盤111(制御基板111c)によって実現することができる。また、構成部は、エレベーター100のカゴ101の制御機構によって実現することができる。具体的に、エレベーター100のカゴ101の制御機構は、たとえば、カゴ101に設けられた操作盤101bによって実現することができる。
また、構成部は、たとえば、エレベーター100のセンサー機構によって実現することができる。具体的に、エレベーター100のセンサー機構は、たとえば、リミットスイッチ109、扉開閉センサなどの各種センサによって実現することができる。これらの各種センサは、制御盤106に対して上り信号を出力する。
(制御盤106の構成)
つぎに、制御盤106の構成について説明する。制御盤106は、入力端子と、出力端子と、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、通信I/F(InterFace)と、を備えている(いずれも図示を省略する)。制御盤106が備える各部は、それぞれ、図示を省略するバスによって接続されている。
制御盤106の入力端子は、エレベーター100が備える複数の構成部と制御盤106のCPUとを接続するハードウエアインターフェースであって、各構成部から出力される信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号を制御盤106のCPUに出力する。制御盤106の入力端子は、たとえば、エレベーター100の各構成部が制御盤106に対して出力する上り信号の入力を受け付ける。
具体的に、制御盤106の入力端子は、たとえば、操作盤101b用の制御基板や操作盤101b用の制御基板から出力される呼び信号の入力を受け付ける。また、制御盤106の入力端子は、たとえば、エンコーダから出力される信号の入力を受け付ける。また、制御盤106の入力端子は、たとえば、リミットスイッチ109、扉開閉センサ、電磁ブレーキ107の動作に応じて出力が変化するブレーキセンサなどの各種センサから出力される信号の入力を受け付ける。ブレーキセンサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。
制御盤106の出力端子は、エレベーター100が備える複数の構成部と制御盤106のCPUとを接続するハードウエアインターフェースであって、制御盤106のCPUから出力される下り信号を該当する構成部に出力する。具体的に、制御盤106の出力端子は、たとえば、制御盤106のCPUによって生成された制御用の下り信号を巻上機104、電磁ブレーキ107、カゴ101の扉101aや乗り場110の扉110aを開閉させるモーターなどに対して出力する。
制御盤106のCPUは、エレベーター100が備える複数の構成部を制御し、エレベーター100全体の制御をつかさどる。制御盤106のメモリは、エレベーター100が備える複数の構成部の制御に用いるプログラムやデータなどを記憶している。制御盤106のCPUは、たとえば、入力端子を介して入力された上り信号に基づいて、メモリに記憶されたプログラムやデータなどを用いた演算処理をおこなう。また、制御盤106のCPUは、たとえば、演算処理の結果に基づく信号を、出力端子を介して該当する構成部に出力する。
具体的に、制御盤106のCPUは、たとえば、操作盤101b用の制御基板から出力される上り信号(呼び信号)に基づいて、巻上機104や電磁ブレーキ107および扉101a、105aを開閉させるモーターなどの各構成部に対する制御用の下り信号を生成し、生成した制御用の下り信号を該当する各構成部に対してそれぞれ出力する。また、制御盤106のCPUは、たとえば、巻上機104(エンコーダ)やブレーキセンサおよび扉開閉センサなどの各構成部から出力される上り信号に基づいて、各構成部が正常に動作したか否かを判断する。また、制御盤106のCPUは、たとえば、操作盤101b用の制御基板に対して、カゴ101が位置する階床を示す階床信号を含む制御用の下り信号を出力し、操作盤101bにおいて、カゴ101が位置する階床や移動方向(上昇中か下降中か)などを表示させる。
通信I/Fは、インターネットなどのネットワークを介して、管理サーバコンピュータに接続されている(いずれも図示を省略する)。管理サーバコンピュータは、監視対象となるエレベーター100が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター100が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。管理サーバコンピュータは、たとえば、エレベーター100の保守管理を担う保守管理会社などに設置することができる。
通信I/Fは、制御盤106のCPUから出力される発報用の信号を、管理サーバコンピュータに送信する。発報用の信号は、たとえば、エレベーター100において障害を検知した場合、エレベーター100の運転モードが変化した場合などに、制御盤106のCPUから出力される。
また、通信I/Fは、管理サーバコンピュータから送信される診断動作の実行指示などの各種指示を受信して、制御盤106のCPUに出力する。診断動作は、制御盤106からエレベーター100が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力させ、出力させた信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御盤106から出力させることによって実現される。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、定期的(たとえば、月の末日が到来するごと)に診断動作の実行指示を出力する。
制御盤106と管理サーバコンピュータとを、通信I/Fを介して、電話回線などの公衆音声網ではなくインターネットを介して接続することにより、地震などの天災発生時などの緊急時に電話回線がパンクすることに起因して、エレベーター100の状況把握が遅延することを回避することができる。これにより、管理サーバコンピュータを用いてエレベーター100を遠隔監視する状況において、当該エレベーター100の動作に不具合が生じた場合に迅速な対応をとることができる。
制御盤106は、通信I/Fを介して、さらに、公衆音声網に接続されていてもよい。公衆音声網は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網については、公知の技術であるため説明を省略する。
制御盤106を、通信I/Fを介して公衆音声網に接続することにより、インターフォンの端末装置205と管理センターとの音声通信を実現することができる。この場合、具体的には、たとえば、PHS(Personal Handy−phone System)基板によって通信I/Fを実現することができる。
なお、この場合、制御盤106は、PHS基板を用いてデータ通信をおこなってもよい。すなわち、PHS基板を、音声通信に用いるとともにデータ通信にも用いてもよい。エレベーター100の設置場所は固定であるため、PHSを利用した通信をおこなうことにより、通信の品質を確保するとともに通信にかかるコストを抑えることができる。これによって、制御盤106と管理サーバコンピュータとの間におけるデータ通信と、インターフォンの端末装置205と管理センターとの音声通信と、の両立を安価に実現することができる。
(信号変換装置の構成)
つぎに、信号変換装置の構成について説明する。図4は、信号変換装置のハードウエア構成を示す説明図である。信号変換装置は、制御盤106を、当該制御盤106とは別の種類の新制御盤106’に交換する際に、当該新制御盤106’と構成部との間に接続される(図6、図7A〜図7Dを参照)。
図4において、信号変換装置400は、入力端子401と、CPU402と、メモリ403と、出力端子404と、を備えている。信号変換装置400が備える各部401〜404は、それぞれ、バス405によって接続されている。
入力端子401は、エレベーター100が備える複数の構成部や新制御盤106’と、信号変換装置400と、を接続する接続端子(ハードウエアインターフェース)であって、各構成部や新制御盤106’から出力される信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号をCPU402に出力する。入力端子401は、構成部ごとに設けられている。また、入力端子401は、新制御盤106’に対応して設けられている。
具体的に、入力端子401は、たとえば、エレベーター100の各構成部が制御盤106へ出力する信号、いわゆる「上り信号」の入力を受け付ける。また、具体的に、入力端子401は、たとえば、新制御盤106’がエレベーター100の各構成部へ出力する信号、いわゆる「下り信号」の入力を受け付ける。
CPU402は、信号変換装置400が備える各部を制御し、信号変換装置400全体の制御をつかさどる。メモリ403は、信号処理に用いるプログラムやデータなどを記憶している。具体的に、メモリ403は、たとえば、上り信号を新制御盤106’が理解できる別の信号に変換する信号変換処理にかかるプログラムやデータなどを記憶している。
また、具体的に、メモリ403は、たとえば、下り信号を各構成部が理解できる別の信号に変換する信号変換処理にかかるプログラムやデータなどを記憶している。CPU402は、入力端子401を介して入力された上り信号や下り信号に対して、メモリ403に記憶されたプログラムやデータなどを用いて信号変換処理をおこなう。
出力端子404は、エレベーター100が備える複数の構成部や新制御盤106’と、信号変換装置400と、を接続する接続端子(ハードウエアインターフェース)であって、CPU402から出力される信号を、該当する構成部や新制御盤106’に出力する。出力端子404は、構成部ごとに設けられている。また、出力端子404は、新制御盤106’に対応して設けられている。
具体的に、出力端子404は、たとえば、新制御盤106’が出力する下り信号であってCPU402が信号変換処理をおこなった下り信号を、該当する各構成部に出力する。また、具体的に、出力端子404は、たとえば、各構成部が出力する上り信号であってCPU402が信号変換処理をおこなった上り信号を新制御盤106’に対して出力する。
(信号変換装置400の機能的構成)
つぎに、信号変換装置400の機能的構成について説明する。図5は、信号変換装置400の機能的構成を示すブロック図である。図5において、信号変換装置400の各機能は、構成部側の入力部501と、新制御盤106’側の入力部502と、信号変換部503と、新制御盤106’側の出力部504と、構成部側の出力部505と、によって実現される。
構成部側の入力部501は、エレベーター100の各構成部が制御盤106へ出力する上り信号の入力を受け付ける。構成部側の入力部501は、たとえば、構成部ごとに設けられた複数の入力端子401(接続端子)によって実現することができる。新制御盤106’側の入力部502は、新制御盤106’がエレベーター100の各構成部へ出力する下り信号の入力を受け付ける。新制御盤106’側の入力部502は、たとえば、新制御盤106’に対応して設けられた入力端子401(接続端子)によって実現することができる。
信号変換部503は、構成部側の入力部501によって受け付けた上り信号を、当該上り信号と同じ意味の信号であって、新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換する。また、信号変換部503は、新制御盤106’側の入力部502によって受け付けた下り信号を、当該下り信号と同じ意味の信号であって、当該下り信号の出力先となる各構成部が理解できる別の信号へ変換する。
新制御盤106’側の出力部504は、信号変換部503によって新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換された上り信号を、新制御盤106’へ出力する。新制御盤106’側の出力部504は、新制御盤106’に対応して設けられた出力端子404(接続端子)によって実現することができる。構成部側の出力部505は、信号変換部503によって各構成部が理解できる別の信号へ変換された下り信号を、該当する各構成部へ出力する。構成部側の出力部505は、構成部ごとに設けられた複数の出力端子404(接続端子)によって実現することができる。
(制御盤106の交換手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の処理手順について説明する。図6は、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の処理手順を示すフローチャートである。図7A〜図7Dは、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の交換過程の概要を示す説明図である。信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換手順について説明する。図6においては、信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換手順を示している。図7A〜図7Dにおいては、信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換過程の概要を示している。図6および図7A〜図7Dにおいては、旧制御盤106を新制御盤106’に交換する際の交換手順について示している。
新制御盤106’は、新制御盤106’に対する信号の入力を受け付け、入力された信号に基づく信号を出力する。新制御盤106’は、制御盤106が用いるプログラムとは異なるプログラミング言語によって記述されたプログラムにしたがって動作する。新制御盤106’は、マシン語(機械語)、すなわち、「0」と「1」の2値で表現できる電気的な信号であって、制御盤106が理解できる信号とは別の信号を理解する。
また、新制御盤106’は、制御盤106によって制御される複数の構成部(構成部A〜D)700に対して、制御盤106が出力する信号と同じ意味の信号であって、当該構成部が理解できる信号とは別の信号を出力する。新制御盤106’は、制御盤106によって制御される複数の構成部700に対して、制御盤106が出力する信号と同じように、当該構成部700が理解できる信号を出力してもよい。
図6において、信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換作業に際しては、まず、図7Aに示すように接続されている旧制御盤106と各構成部700との接続を切り離し、図7Bに示すように旧制御盤106を取り外す(ステップS601)。
つぎに、旧制御盤106が取り外された構成部700に、図7Cに示すように、信号変換装置400を接続する(ステップS602)。信号変換装置400は、たとえば、昇降路の壁などに取り付けることができる。そして、ステップS602において構成部700に接続された信号変換装置400に、図7Dに示すように、新制御盤106’を接続する(ステップS603)。新制御盤106’は、たとえば、制御盤106の近傍に設置する。
その後、動作確認をおこない(ステップS604)、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する(ステップS605)。ステップS604においては、たとえば、各構成部700から信号変換装置400を介して新制御盤106’に入力される上り信号に基づく、新制御盤106’の動作を確認する。具体的には、たとえば、カゴ101の操作盤101bにおける行先階ボタンを操作し、カゴ101が指定した階床に昇降するか否かを確認する。
また、ステップS604においては、たとえば、新制御盤106’から信号変換装置400を介して入力される下り信号にしたがった各構成部700の動作を確認する。具体的には、たとえば、乗り場110に設けられた操作盤111を操作し、当該操作に応じて該当する階床に呼びを発生させ、当該階床にカゴ101が移動するか否かを確認する。
ステップS605においては、ステップS604における確認結果に基づいて、各構成部700から信号変換装置400を介して新制御盤106’に入力される上り信号に基づいて新制御盤106’が動作するかすべての構成部700が動作したか否か、および、新制御盤106’から信号変換装置400を介して入力された下り信号にしたがって動作したか否か、などの結果に基づいて、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する。
ステップS605において、エレベーター100が正常に動作する場合(ステップS605:Yes)、制御盤106の交換作業を終了する。一方、ステップS605において、エレベーター100が正常に動作しない場合(ステップS605:No)、接続確認をおこなう(ステップS606)。
ステップS606においては、たとえば、新制御盤106’から出力した信号にしたがって動作しなかった構成部700と新制御盤106’との接続状態を確認する。そして、該当する構成部700と新制御盤106’との接続状態を調整した後、エレベーター100が正常に動作するまで、繰り返して、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する(ステップS605)。
(構成部700の交換手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の処理手順について説明する。図8は、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の処理手順を示すフローチャートである。図9A〜図9Dは、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の交換過程の概要を示す説明図である。信号変換装置400を用いた、構成部700の交換手順について説明する。図8においては、構成部700の交換手順を示している。図9A〜図9Dにおいては、構成部700の交換過程の概要を示している。図8および図9A〜図9Dにおいては、上記のように交換された新制御盤106’によって信号変換装置400を介して制御される構成部(旧構成部)700を、新構成部700’に交換する際の交換手順について示している。
図8において、構成部700の交換作業に際しては、まず、図9Aに示すように、信号変換装置400と旧構成部700との接続を切り離し(ステップS801)、図9Bに示すように、新制御盤106’に、取り外した旧構成部700に代わる新構成部700’を接続する(ステップS802)。これにより、旧構成部700を新構成部700’に交換することができる。
複数の旧構成部700を新構成部700’に交換する場合、ステップS802においては、図9Cに示すように、交換対象とする構成部700ごとに、該当する旧構成部700を信号変換装置400から取り外し、取り外した旧構成部700に代わる新構成部700’を新制御盤106’に接続する作業をおこなう。
すべての旧構成部700を新構成部700’に交換すると、図9Dに示すように、すべての新構成部700’が新制御盤106’に直接接続され、新制御盤106’と新構成部700’との間で直接信号のやりとりがおこなわれる。これにより、すべての旧構成部700を新構成部700’に交換した後は、信号変換装置400を取り外してもよい。取り外した信号変換装置400は、別のエレベーター100のリニューアルに再利用することができる。
つぎに、旧構成部700を新構成部700’に交換したエレベーター100の、動作確認をおこない(ステップS803)、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する(ステップS804)。ステップS803においては、たとえば、新制御盤106’から各構成部700に信号を出力し、出力した信号にしたがって各構成部700が動作するか否かを確認する。あるいは、ステップS803においては、交換された新構成部700’の動作確認のみをおこなってもよい。
また、ステップS803においては、たとえば、各構成部700から出力された信号に基づいて、新制御盤106’が動作するか否かを確認する。具体的には、たとえば、カゴ101の操作盤101bにおける行先階ボタンを操作し、カゴ101が指定した階床に昇降するか否かを確認する。
ステップS805においては、ステップS804における確認結果に基づいて、すべての構成部700が、新制御盤106’から出力した信号にしたがって動作したか否かに基づいて、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する。
ステップS605において、エレベーター100が正常に動作する場合(ステップS804:Yes)、構成部700を新構成部700’へ交換する交換作業を終了する。一方、ステップS804において、エレベーター100が正常に動作しない場合(ステップS804:No)、接続確認をおこなう(ステップS805)。
ステップS805においては、たとえば、新制御盤106’から出力した信号にしたがって動作しなかった構成部700と新制御盤106’との接続状態を確認する。そして、該当する構成部700と新制御盤106’との接続状態を調整した後、エレベーター100が正常に動作するまで、繰り返して、エレベーター100が正常に動作するか否かを判断する(ステップS805)。
このように、構成部700を新構成部700’に交換する交換作業に際して、各構成部700と新制御盤106’との間に信号変換装置400を接続することにより、制御盤106を、制御盤106が用いるプログラムとは異なるプログラミング言語によって記述されたプログラムにしたがって動作する新制御盤106’に交換する場合にも、構成部700が出力する信号を新制御盤106’が理解することができる。
また、制御盤106を、制御盤106が用いるプログラムとは異なるプログラミング言語によって記述されたプログラムにしたがって動作する新制御盤106’に交換する場合にも、新制御盤106’が出力する信号を構成部700が理解して正確に動作することができる。
エレベーター100の保守管理は、たとえば、エレベーター100の制御盤106と点検用の端末との通信結果に基づいて、保守管理対象とするエレベーター100の運行履歴を定期的に確認したり、確認した運行履歴に基づいて部品交換をおこなったりすることによって実現される。また、エレベーター100の保守管理は、たとえば、制御盤106と管理サーバコンピュータとの間で定期的に通信をおこない、診断動作を実行させ、診断動作の結果に応じておこなう部品交換などによって実現される。
このようなエレベーター100の保守管理において、従来、たとえば、各構成部700を専用のASICによって制御しているエレベーター100において、一部の構成部700を新構成部700’に交換したい場合、当該新構成部700’が既設のASICでは制御できないことが想定される。このような状況においては、新構成部700’は、既設のASICによって制御可能なものに限られてしまう。
より具体的には、たとえば、各構成部700を専用のASICによって制御しているエレベーター100においては、巻上機を交換対象とする場合、既設の構成部(巻上機)700よりも消費電力が低く出力の大きい別の巻上機が存在していても、既設のASICによる制限のために別の巻上機に交換することができない。このため、エレベーター100の管理責任者などは、既設のASICで制御可能な巻上機に交換するか、既設のASICを含めたリニューアルをおこなうか、のいずれかを選択せざるを得ず、エレベーター100の管理責任者などによる保守管理の自由度が低いという状況があった。
また、エレベーター100の保守管理にかかる制御盤106と点検用の端末との通信、あるいは、制御盤106と管理サーバコンピュータとの通信は、エレベーター100の製造元(メーカー)ごとに固有の信号を用いて通信がおこなわれていることが多いという現状があった。このため、メーカーや当該メーカーと提携するエレベーター管理会社(以下、適宜「メーカーなど」という)とは独立した独立系のエレベーター100のメンテナンスサービス会社が保守管理をおこなうことが難しいという現状があった。
エレベーター100の保守管理に際して、メーカーごとに固有の信号を用いた通信をおこなうという現状においては、構成部700に代える新構成部700’は、エレベーター100ごとのメーカーなどが指定した範囲内で選択せざるを得ず、エレベーター100の管理責任者などによる保守管理の自由度が低いという状況があった。
加えて、メーカーごとに固有の信号を用いた通信をおこなうという現状においては、エレベーター100ごとのメーカーなどが、エレベーター100の保守管理に要する費用(保守管理費)を一意に設定しやすく、エレベーター100の管理責任者などが負担する保守管理費の低減を図ることが難しいという状況があった。
エレベーター100の利用者の安全性や安心感は、エレベーター100の保守点検の頻度が高いほど高まる傾向にある。一方で、上記のような状況において保守管理費の低減を図るために、保守点検の頻度を、国土交通省の指針で規定された最低限度あるいはそれに近い頻度に抑えることによって対応すると、保守管理費の低減と、エレベーター100の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることが難しくなってしまう。
これに対し、この実施の形態の交換工事方法によれば、上述したように、構成部700から新構成部700’への交換に先立っておこなう制御盤106から新制御盤106’への交換の前に、新制御盤106’と構成部700との間に信号変換装置400を接続することにより、構成部700と新構成部700’とが併存した状態であってもエレベーター100を動作させることができる。これにより、構成部700から新構成部700’への交換作業を構成部700ごとに分散しておこない、各交換作業の間にエレベーター100を動作させることができる。
上述した実施の形態においては、CPUを用いて信号変換処理などの各種の処理を実行することによって各構成部700を制御するエレベーター100について説明したが、エレベーター100の制御はCPUを用いて実現するものに限らない。CPUに代えて、たとえば、複数の回路を集積した特定の用途向けの集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、製造後に任意に構成を設定できる集積回路であるFPGA(Field−Programmable Gate Array)などを用いてエレベーター100の制御を実現するようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態においては、ロープ式のエレベーター100について説明したが、この発明にかかるエレベーター100は、ロープ式のエレベーター100に限るものではない。ロープ式のエレベーター100に代えて、あるいは、ロープ式のエレベーター100に加えて、たとえば、油圧式のエレベーター100であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、通信機能を備えた制御盤106を新制御盤106’に交換する場合の交換工事方法について説明したが、制御盤106は通信機能を備えたものに限らない。たとえば、設置時には遠隔監視を想定していなかったなどの理由により通信機能を備えておらず、設置後に別体の通信装置を接続した制御盤106を新制御盤106’に交換する場合においても、この発明にかかる交換工事方法を適用することができる。この場合、たとえば、制御盤106および通信装置を、新制御盤106’と交換する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法は、制御盤106を新制御盤106’に交換する際に、構成部700が出力する信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換する信号変換装置400を新制御盤106’と構成部700との間に接続し、その後、構成部700の少なくとも一つを、新制御盤106’が理解できる信号を出力する新構成部700’に交換するようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、制御盤106を新制御盤106’に交換する前に新制御盤106’と構成部700との間に信号変換装置400を接続することにより、構成部700が出力する信号を、信号変換装置400によって新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換して、当該新制御盤106’に入力することができる。これにより、構成部700と新構成部700’とが併存した状態であっても新制御盤106’を動作させることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法は、制御盤106を新制御盤106’に交換する際に、新制御盤106’が出力する信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、構成部700が理解できる別の信号へ変換する信号変換装置400を新制御盤106’と構成部700との間に接続し、その後、構成部700の少なくとも一つを、新制御盤106’が出力する信号を理解できる新構成部700’に交換するようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、制御盤106を新制御盤106’に交換する前に新制御盤106’と構成部700との間に信号変換装置400を接続することにより、新制御盤106’が出力する信号を、信号変換装置400によって構成部700が理解できる別の信号へ変換して当該構成部700に入力することができる。これにより、新制御盤106’によって構成部700を制御することができ、構成部700と新構成部700’とが併存した状態であってもエレベーター100を動作させることができる。
これにより、構成部700から新構成部700’への交換を、たとえば、夜間など、エレベーター100の利用頻度が少ない時間帯に複数回(複数日)に分散しておこなうことができる。このため、開始してから完了するまでに日数を要するリニューアル工事であっても、エレベーターの利用者に不便をかけることなく、エレベーターのリニューアルをおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、構成部700と新構成部700’とが併存した状態、すなわち、一部の構成部700のみを新構成部700’に交換した状態であってもエレベーター100を動作させることができる。これにより、制御盤106を新制御盤106’に交換した以降も、使用できる構成部700は交換せずに引き続き使用することができる。
このように、更新する必要がある構成部700のみを選択的に交換することにより、エレベーター100の保守管理に要する保守管理費の計画や管理がしやすくなる。そして、これにより、たとえば、安全性にかかわる構成部700など特定の構成部700の交換頻度を高くすることが可能になり、エレベーター100の利用者の安全性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、制御盤106と新構成部700’、あるいは、新制御盤106’と構成部700との相性に左右されることなく、エレベーターのリニューアルを分散しておこなうことができる。これにより、エレベーターの利用者に不便をかけることなく、独立系の保守管理会社が、エレベーター100のメーカーに左右されることなく、メーカーなどと同等の保守管理をおこなうことができる。
また、エレベーター100の管理責任者は、メーカーなどに限定することなく、独立系の保守管理会社やメーカーなどの複数の業者の中から選定した業者に対してエレベーター100の保守管理をおこなわせ、エレベーター100の安全性を確保することができる。このように、独立系の保守管理会社がメーカーなどと同等の保守管理をおこなうことを可能とすることにより、エレベーター100の安全性を確保した上で、エレベーター100の保守管理をメーカーなどが独占する場合と比較して、同等の保守管理をおこなうために費やす経費(保守管理費)の低減を図ることができる。
そして、保守管理費の低減を図ることにより、メーカーなどが保守管理をおこなう場合と同等の保守管理費でエレベーター100の動作状態などの点検頻度を上げることができ、より一層のエレベーター100の利用者の安全性の向上を図ることができる。このように、この実施の形態の交換工事方法によれば、保守管理費の低減と、エレベーター100の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法は、新構成部700’と新制御盤106’とを、信号変換装置400を介さずに接続することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、信号変換装置400を介さずに新構成部700’と新制御盤106’とを接続することにより、新構成部700’と新制御盤106’との間における信号伝達経路を簡略化し、当該信号の劣化を抑制することができる。このように、信号の劣化を抑制することにより、たとえば、新構成部700’がアナログの信号を出力する場合にも、デジタル信号処理をおこなう新制御基板における当該信号の誤認を防止し、エレベーター100の動作に支障をきたすことを確実に防止することができる。また、信号の劣化を抑制することにより、たとえば、新構成部700’を確実に制御することができ、エレベーター100の動作に支障をきたすことを確実に防止することができる。
また、新構成部700’と新構成部700’とを信号変換装置400を介さずに接続することにより、すべての構成部700を新構成部700’に交換した後に、制御盤106を撤去することができる。これにより、昇降路や機械室などの限られたスペースを有効に活用することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法は、構成部700が、エレベーター100の駆動機構、エレベーター100の乗り場110の制御機構、エレベーター100のカゴ101の制御機構あるいはエレベーター100のセンサー機構であることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、制御盤106との間で信号の入出力をおこなう構成部700を備えたエレベーター100において、制御盤106を新制御盤106’に交換しても、制御盤106を新制御盤106’にすることに起因してエレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。また、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、制御盤106を新制御盤106’に交換した後に、新制御盤106’から出力される信号にしたがって動作する別の構成部700と、制御盤106から出力される信号にしたがって動作する構成部700と、が併存する場合にも制御盤106を新制御盤106’にすることに起因してエレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、エレベーター100の動作に支障をきたすことなく、エレベーター100のリニューアルをおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400は、エレベーター100が備える複数の構成部700を制御する制御盤106を、当該制御盤106とは別の種類の新制御盤106’に交換する際に、当該新制御盤106’と構成部700との間に接続され、新制御盤106’から構成部700への下り信号の入力を受け付ける入力部と、下り信号を、当該下り信号と同じ意味の信号であって、構成部700が理解できる別の信号へ変換する信号変換部503と、信号変換部503が変換した信号を、構成部700へ出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400によれば、制御盤106を新制御盤106’に交換する際に、当該新制御盤106’と当該構成部700との間に接続されることにより、新制御盤106’から出力される下り信号を、当該下り信号と同じ意味の信号であって構成部700が理解できる別の信号へ変換し、変換した信号を構成部700へ出力することができる。これにより、制御盤106を新制御盤106’にすることに起因してエレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、エレベーター100の動作に支障をきたすことなく、エレベーター100のリニューアルをおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400は、エレベーター100が備える複数の構成部700を制御する制御盤106を、当該制御盤106とは別の種類の新制御盤106’に交換する際に、当該新制御盤106’と構成部700との間に接続され、構成部700から新制御盤106’への上り信号の入力を受け付ける入力部と、上り信号を、当該上り信号と同じ意味の信号であって、新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換する信号変換部503と、信号変換部503が変換した信号を、新制御盤106’へ出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400によれば、制御盤106を新制御盤106’に交換する際に、当該新制御盤106’と当該構成部700との間に接続されることにより、構成部700から出力される上り信号を、当該上り信号と同じ意味の信号であって新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換し、変換した信号を新制御盤106’へ出力することができる。これにより、制御盤106を新制御盤106’にすることに起因して、構成部700と別の構成部700とが併存している場合にも、エレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法によれば、エレベーター100の動作に支障をきたすことなく、エレベーター100のリニューアルをおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400は、入力部が、構成部700ごとに接続端子を備えていることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400によれば、構成部700ごとに設けられた接続端子によって入力部を構成することにより、各構成部700からの上り信号のそれぞれを、確実に、当該上り信号と同じ意味の信号であって、新制御盤106’が理解できる別の信号へ変換して新制御盤106’に入力することができる。これにより、制御盤106を新制御盤106’にすることに起因してエレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400は、出力部が、構成部700ごとに接続端子を備えていることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の信号変換装置400によれば、構成部700ごとに設けられた接続端子によって出力部を構成することにより、各構成部700からの下り信号のそれぞれを、確実に、当該下り信号と同じ意味の信号であって、各構成部700が理解できる別の信号へ変換して各構成部700に入力することができる。これにより、構成部700と別の構成部700とが併存している場合にも、エレベーター100の動作に支障をきたすことを防止することができる。