JPWO2019058759A1 - 積層体、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
たとえば、特許文献1及び2には、基材の一方の面にハードコート層を有し、他方の面にウレタン樹脂層を有するハードコートフィルムが開示されている。
たとえば、ディスプレイ表面にハードコートフィルムを備えたノートパソコン(ノートPC)を折りたたんだ状態で運搬する際に、外側から荷重がかかることによりディスプレイ表面にキーボードの跡が転写されてしまったり、異物をディスプレイとキーボード間に挟み込んでしまうことによりディスプレイ表面に凹みが発生したり、傷がついてしまったりする問題(以下、「キーボード写り」とも呼ぶ。)が生じることがある。また、たとえば、ディスプレイ表面にハードコートフィルムを備えたスマートフォンをケースに入れて運搬する際に、ケースに荷重がかかることによりケースの内側の形状がディスプレイ表面に転写されることがある。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
衝撃吸収層と支持体とハードコート層とを有する積層体であって、
上記衝撃吸収層は、25℃において、周波数104〜1013Hzの範囲にtanδの極大値を有する、
積層体。
ただし、上記tanδは貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比である。
<2>
上記tanδの極大値が0.1以上である<1>に記載の積層体。
<3>
上記tanδの極大値を示す周波数における上記衝撃吸収層の貯蔵弾性率が30MPa以上である<1>又は<2>に記載の積層体。
<4>
上記衝撃吸収層の厚みが10〜200μmである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の積層体。
<5>
上記衝撃吸収層が、メタクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートのブロック共重合体を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の積層体。
<6>
さらに無機酸化物層を有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の積層体。
<7>
上記ハードコート層が、重合性化合物の硬化物を含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載の積層体。
<8>
<1>〜<7>のいずれか1項に記載の積層体が偏光子有する偏光板。
<9>
<1>〜<7>のいずれか1項に記載の積層体又は<8>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方または両方の意味で用いられる。また、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の一方または両方の意味で用いられる。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの一方または両方の意味で用いられる。
本発明の積層体は、
衝撃吸収層と支持体とハードコート層とを有する積層体であって、
衝撃吸収層は、25℃において、周波数104〜1013Hzの範囲にtanδの極大値を有する、
積層体である。
ただし、tanδ(損失正接)は貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比である。
ハードコート層への他の物体の形状の転写の例として、たとえばキーボード写りは、キーボードとディスプレイの接触時の衝撃、及び、接触後のキーボードによるディスプレイ表面への擦りによって発生するものと考えられる。輸送等によって発生する振動の周波数は、通常は、1〜103Hzの範囲であると考えられる(JIS Z0232、及びASTM D 4169等参照)。本発明では、25℃におけるtanδの極大値を104〜1013Hzの範囲に有する衝撃吸収層を、たとえば支持体を挟んでハードコート層の反対側に有する積層体とすることにより、上述の衝撃及び擦りを緩和することができ、ハードコート層への他の物体の形状の転写(たとえばキーボード写り)を抑制できるものと推定される。
なお、本発明の積層体は上記構成を有することにより、物体の落下に対する衝撃吸収性(落球耐性)にも優れる。
(試料作成方法)
衝撃吸収層形成用材料を溶剤に溶解、または溶融させて得られた塗布液を、剥離処理が施された剥離シートの剥離処理面に、乾燥後の厚みが10〜50μmになるよう塗布、乾燥させた後、剥離シートから衝撃吸収層を剥離し衝撃吸収層の試験片を作成した。
(測定方法)
動的粘弾性測定装置((株)アイティー・エス・ジャパン会社製DVA−225)を用いて、あらかじめ温度25℃、相対湿度60%雰囲気下で2時間以上調湿した上記試験片について、「ステップ昇温・周波数分散」モードにおいて下記条件において測定を行った後、「マスターカーブ」編集にて25℃における周波数に対するtanδ、貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’のマスターカーブを得た。得られたマスターカーブからtanδの極大値及び極大値を示す周波数を求めた。
試料:5mm×30mm
つかみ間距離:20mm
設定歪み:0.10%
測定温度:−40℃〜40℃
昇温条件:2℃/min
(衝撃吸収層の材質)
本発明の積層体が備える衝撃吸収層は、上述の周波数域にtanδの極大値を与えるものであれば、樹脂から構成されてもよいし、エラストマー(油展ゴムを含む)から構成されてもよい。衝撃吸収層は、積層体を画像表示装置の保護フィルム、偏光板又は前面板等として用いた際に、表示内容の視認性を確保できる透明性を有し、かつ、保護フィルム、偏光板又は前面板等への押さえ付け又は衝突等に由来する画像表示装置表面に積層された薄ガラスの破損を防ぐことができるものであることが好ましい。
これらの樹脂のうち、(メタ)アクリル樹脂等が好ましい。
これらのエラストマーのうち、アクリル系重合体若しくはブロック共重合体、スチレン系重合体若しくはブロック共重合体、シリコーン系エラストマーが好ましく、アクリル系ブロック共重合体、スチレン系ブロック共重合体が特に好ましい。アクリル系ブロック共重合体としては、メタクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートのブロック共重合体(「PMMA−PnBA共重合体」とも呼ぶ)等が挙げられる。スチレン系ブロック共重合体としては、スチレンとイソプレン、またはブテンのブロック共重合体等が挙げられる。衝撃吸収層が含み得る樹脂又はエラストマーは公知の方法で合成してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、たとえば、クラリティLA2140e、クラリティLA2250、クラリティLA4285、HYBRAR5127、HYBRAR7311F((株)クラレ製、商品名)などが挙げられる。
衝撃吸収層は、上述の樹脂又はエラストマーのみを構成材料とすることもできるが、その他に更に添加剤を含有してもよい。添加剤としては、密着性改良剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、光増感剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、難燃剤、防菌又は防かび剤、耐候剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、造核剤、顔料、染料、有機フィラー、無機フィラー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。また、上述の樹脂又はエラストマー以外の重合体を含有してもよい。
衝撃吸収層の形成方法には特に限定はなく、たとえば、コーティング法、キャスト法(無溶剤キャスト法及び溶剤キャスト法)、プレス法、押出法、射出成形法、注型法又はインフレーション法等が挙げられる。詳細には、上記衝撃吸収層形成用材料を溶媒に溶解又は分散させた液状物、又は上記衝撃吸収層形成用材料の溶融液を調製し、次いで、この液状物又は溶融液を後述の支持体の片方の面(ハードコート層形成面とは反対の面)に塗布し、その後、必要により溶媒の除去等をすることにより、衝撃吸収層が積層された積層体を作製することができる。
また、剥離処理が施された剥離シートの剥離処理面に上記液状物又は溶融液を塗布、乾燥し、衝撃吸収層を含むシートを形成し、このシートの衝撃吸収層を支持体と貼り合せることで、衝撃吸収層が積層された積層体を作製することもできる。
本発明の積層体が備える衝撃吸収層の膜厚(厚み)は、ハードコート層への他の物体の形状の転写の抑制の観点から、5μm以上であることが好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、25μm以上が特に好ましいまた、膜硬度の観点から、200μm以下であることが好ましい。
(支持体の材質)
本発明に用いられる支持体(以下、樹脂フィルムともいう)は、その材質は特に限定されない。
支持体は透明であることが好ましい。なお、本明細書で透明であるとは、可視光の透過率が80%以上であることをいい、好ましくは90%以上である。
樹脂フィルムは、例えば、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂フィルム等のセルロースエステル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、および、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルムを挙げることができ、アクリル系樹脂フィルム、セルロースエステル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルムおよびポリカーボネート系樹脂フィルムから選択されるフィルムが好ましい。
透湿性の点から、セルロースエステル系樹脂フィルムがより好ましい。また、衝撃吸収性の観点から、ポリイミド系樹脂フィルムであることも好ましい。
尚、アクリル系樹脂フィルムとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上の化合物から形成される重合体または共重合体の樹脂フィルムをいう。アクリル系樹脂フィルムの例としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルムが挙げられる。
樹脂の重量平均分子量は、10,000〜1000,000が好ましく、100,000〜1000,000がより好ましい。
また、樹脂フィルムの構成も限定されず、単層でも、2層以上からなる積層フィルムであってもよい。2層以上の積層フィルムである場合、積層フィルムの積層数は、2〜10層が好ましく、2〜5層がより好ましく、2層または3層がさらに好ましい。3層以上の場合、外層と外層以外の層(コア層等)とは、異なる組成のフィルムが好ましい。また、外層同士は、同じ組成のフィルムが好ましい。
樹脂フィルムは、上述の樹脂の他に添加剤を含有してもよい。添加剤としては、後述のハードコート層の説明で記載する、無機粒子、マット粒子、紫外線吸収剤、含フッ素化合物、表面調整剤、レベリング剤等が挙げられる。
支持体の膜厚としては、衝撃吸収性、落球耐性の観点から、80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが特に好ましい。また、脆性の観点から、300μm以下が好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
樹脂フィルムは、いずれの公知の方法で製膜してもよく、例えば溶融製膜法および溶液製膜法が挙げられる。
本発明の積層体は、ハードコート層(HC層)を有する。HC層は、支持体の片面に配されることが好ましい。
本発明に用いられるHC層は、HC層形成用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化することで得ることができる。なお本明細書において、「活性エネルギー線」とは、電離放射線をいい、X線、紫外線、可視光、赤外線、電子線、α線、β線、γ線等が包含される。
本発明の積層体中のHC層は、重合性化合物の硬化物を含むことが好ましい。
1層構造のHC層形成用硬化性組成物の好ましい態様としては、第一の態様として、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を少なくとも一種含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。エチレン性不飽和基とは、エチレン性不飽和二重結合を含有する官能基をいう。また、第二の態様として、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。
第一の態様のHC層形成用硬化性組成物に含まれる1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、上記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ポリエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含む。好ましい態様としては、
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物と;
カチオン重合性化合物と;
を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物と;
カチオン重合性化合物と;
ラジカル光重合開始剤と;
カチオン光重合開始剤と;を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。以下において、本態様を、第二の態様(1)と記載する。
a)脂環式エポキシ基およびエチレン性不飽和基を含み、1分子中に含まれる脂環式エポキシ基の数が1個であり、かつ1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1個であり、分子量が300以下であるカチオン重合性化合物と;
b)1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を含むラジカル重合性化合物と;
c)ラジカル重合開始剤と;
d)カチオン重合開始剤と;
を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。以下において、本態様を、第二の態様(2)と記載する。第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層は、好ましくは、HC層の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)由来の構造を15〜70質量%、上記b)由来の構造を25〜80質量%、上記c)を0.1〜10質量%、上記d)を0.1〜10質量%含むことができる。また、一態様では、第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、このHC層形成用硬化性組成物の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)を15〜70質量%含むことが好ましい。なお、「脂環式エポキシ基」とは、エポキシ環と飽和炭化水素環とが縮合した環状構造を有する1価の官能基をいうものとする。
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含む。第二の態様(1)におけるラジカル重合性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含む。上記ラジカル重合性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を、1分子中に、好ましくは例えば2〜10個含むことができ、より好ましくは2〜6個含むことができる。
GPC装置:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、内径7.8mm×カラム長30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン
また、第二の態様(1)のHC層形成用硬化性組成物の第一のラジカル重合性化合物の含有量は、組成物全量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。一方、第一のラジカル重合性化合物の含有量は、組成物全量100質量%に対して、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
第二のラジカル重合性化合物の1分子中に含まれるラジカル重合性基の数は、好ましくは、少なくとも2個であり、より好ましくは3個以上であり、更に好ましくは4個以上である。また、第二のラジカル重合性化合物の1分子中に含まれるラジカル重合性基の数は、一態様では、例えば10個以下であるが、10個超であってもよい。また、第二のラジカル重合性化合物としては、分子量が200以上1000未満のラジカル重合性化合物が好ましい。
第二のラジカル重合性化合物は2種以上併用してもよい。この場合、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”(日本化薬製)などを好ましく用いることができる。
b)成分としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼンおよびその誘導体、ビニルスルホン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含むラジカル重合性化合物が好ましい。具体例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであって、1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。より詳しくは、例えば、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、等が挙げられる。なお上記の「(ジ)ペンタエリスリトール」とは、ペンタエリスリトールとジペンタエリスリトールの一方または両方の意味で用いられる。
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含む樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、スピロアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリチオールポリエン系樹脂、多価アルコール等の多官能化合物等の重合体等も挙げられる。
更に、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含むラジカル重合性化合物の具体例としては、日本化薬製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業製V#400、V#36095D等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学製)、UL−503LN(共栄社化学製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4358(ダイセルUCB製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成製)、アートレジンUN−3320HA、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−904、HDP−4T等の3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100、M−8030、M−9050(東亜合成製)、KBM−8307(ダイセルサイテック製)の3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
また、b)成分としては、一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含むことが好ましい。カチオン重合性化合物としては、カチオン重合可能な重合性基(カチオン重合性基)を有するものであれば、何ら制限なく用いることができる。また、1分子中に含まれるカチオン重合性基の数は、少なくとも1個である。カチオン重合性化合物は、カチオン重合性基を1分子中に1個含む単官能化合物であっても、2個以上含む多官能化合物であってもよい。多官能化合物に含まれるカチオン重合性基の数は、特に限定されるものではないが、例えば1分子中に2〜6個である。また、多官能化合物の1分子中に2個以上含まれるカチオン重合性基は、同一であってもよく、構造が異なる二種以上であってもよい。
(1)カチオン重合性化合物として、含窒素複素環含有化合物を含む。好ましくは、含窒素複素環含有化合物が有する含窒素複素環は、イソシアヌレート環およびグリコールウリル環からなる群から選択される。含窒素複素環含有化合物は、より好ましくは、イソシアヌレート環含有化合物である。更に好ましくは、イソシアヌレート環含有化合物は、1分子中に1つ以上のエポキシ環を含むエポキシ環含有化合物である。
(2)カチオン重合性化合物として、カチオン重合性基当量が150未満のカチオン重合性化合物を含む。好ましくは、エポキシ基当量が150未満のエポキシ基含有化合物を含む。
(3)カチオン重合性化合物が、エチレン性不飽和基を含む。
(4)カチオン重合性化合物として、1分子中に1個以上のオキセタン環を含むオキセタン環含有化合物を、他のカチオン重合性化合物とともに含む。好ましくは、オキセタン環含有化合物は、含窒素複素環を含まない化合物である。
また、上記HC層形成用硬化性組成物のカチオン重合性化合物の含有量は、第一のラジカル重合性化合物の含有量とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、更に好ましくは1質量部以上である。一方、カチオン重合性化合物の含有量は、第一のラジカル重合性化合物の含有量とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
なお本発明および本明細書において、カチオン重合性基とラジカル重合性基をともに有する化合物は、カチオン重合性化合物に分類し、HC層形成用硬化性組成物における含有量を規定するものとする。
HC層形成用硬化性組成物は重合開始剤を含むことが好ましく、光重合開始剤を含むことがより好ましい。ラジカル重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物は、ラジカル光重合開始剤を含むことが好ましく、カチオン重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物は、カチオン光重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル光重合開始剤又はカチオン重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
HC層形成用硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化する性質を有する少なくとも一種の成分を含み、任意に少なくとも一種の重合開始剤を含むことができ、含むことが好ましい。それらの詳細は、先に記載した通りである。
次に、HC層形成用硬化性組成物に任意に含まれ得る各種成分について説明する。
HC層形成用硬化性組成物は、平均一次粒径が2μm未満の無機粒子を含むことができる。無機粒子の平均一次粒径は、10nm〜1μmの範囲であることが好ましく、10nm〜100nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
無機粒子および後述のマット粒子の平均一次粒径については、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、無作為に選択した粒子(一次粒子)100個を観察し、それらの粒径の平均値をもって平均一次粒径とする。
S−1 H2C=C(X)COOC3H6Si(OCH3)3
S−2 H2C=C(X)COOC2H4OTi(OC2H5)3
S−3 H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC2H4OSO3H
S−6 H2C=C(X)COO(C5H10COO)2H
S−7 H2C=C(X)COOC5H10COOH
S−8 CH2CH(O)CH2OC3H6Si(OCH3)3
(Xは、水素原子またはメチル基を表す)
HC層形成用硬化性組成物は、マット粒子を含むこともできる。マット粒子とは、平均一次粒径が2μm以上の粒子をいうものとし、無機粒子であっても有機粒子であってもよく、または無機及び有機の複合材料の粒子であってもよい。マット粒子の形状は、球形、非球形を問わない。マット粒子の平均一次粒径は、2〜20μmの範囲であることが好ましく、4〜14μmの範囲であることがより好ましく、6〜10μmの範囲であることが更に好ましい。
HC層形成用硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物を挙げることができる。ここでベンゾトリアゾール化合物とは、ベンゾトリアゾール環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013−111835号公報段落0033に記載されている各種ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。トリアジン化合物とは、トリアジン環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013−111835号公報段落0033に記載されている各種トリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。HC層中の紫外線吸収剤の含有量は、例えばHC層に含まれる樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度であるが、特に限定されるものではない。また、紫外線吸収剤については、特開2013−111835号公報段落0032も参照できる。なお本発明および本明細書における紫外線とは200〜380nmの波長帯域に発光中心波長を有する光をいうものとする。
HC層形成用硬化性組成物は、レベリング剤および防汚剤等の含フッ素化合物を含有することも好ましい。
レベリング剤としては、含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。例えば、特許5175831号に記載されているフルオロ脂肪族基含有ポリマーが挙げられる。またフルオロ脂肪族基含有ポリマーを構成する、一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの含有量が全重合単位の50質量%以下のフルオロ脂肪族基含有ポリマーをレベリング剤として用いることもできる。
HC層が防汚剤を含むと、指紋や汚れの付着を低減し、また、付着した汚れの拭き取りを容易にすることができる。また、表面のすべり性を向上させる事により耐擦性をより向上させることも可能になる。
防汚剤は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。含フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテル基および重合性基(好ましくは、ラジカル重合性基)を有することが好ましく、パーフルオロポリエーテル基および重合性基を有し、かつ重合性基を一分子中に複数有することがさらに好ましい。このような構成とすることにより、耐擦性改良という効果をより効果的に発揮させることができる。
尚、本明細書では、防汚剤が、重合性基を有する場合であっても、上記重合性化合物1〜3および上記他の重合性化合物には当てはまらないものとして扱う。
上記含フッ素化合物は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよいが、オリゴマー(含フッ素オリゴマー)であることが好ましい。
なお、後述の(vi)その他の成分に記載するリベリング剤および防汚剤も、上記に加えて含有することができる。
以上説明した防汚剤としては、公知の方法で合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、DIC社製のRS−90、RS−78などを好ましく用いることができる。
HC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含まれている場合、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、HC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を実質的に含まない構成とすることもできる。
HC層形成用硬化性組成物は、溶媒を含むことも好ましい。溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒の1種または2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよび酢酸メチルが好ましく、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよび酢酸メチルを任意の割合で混合して用いることがより好ましい。このような構成とすることにより、耐擦性、打抜き性および密着性により優れた反射防止積層体が得られる。
また、HC形成用硬化性組成物の固形分は、10〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましく、65〜75質量%であることが特に好ましい。
HC層形成用硬化性組成物は、上記成分に加えて、公知の添加剤の一種以上を任意の量で含むことができる。添加剤としては、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤、ポリロタキサン等を挙げることができる。それらの詳細については、例えば特開2012−229412号公報の段落0032〜0034を参照できる。また、市販の防汚剤または公知の方法で調製可能な防汚剤を含むこともできる。ただし添加剤はこれらに限らず、HC層形成用硬化性組成物に一般に添加され得る各種添加剤を用いることができる。
積層体は、図1におけるHC層1Aが、少なくとも、第1のHC層、および第2のHC層を樹脂フィルム2A側から順に有する態様も好ましい。
樹脂フィルム2Aの表面に、第1のHC層が位置していても、間に他の層を有していてもよい。同様に、第1のHC層の表面に、第2のHC層が位置していても、間に他の層を有していてもよい。第1のHC層と第2のHC層の密着性を高める観点からは、第1のHC層の表面に第2のHC層が位置する、すなわち、両層は、膜面の少なくとも一部において接している方が好ましい。
さらに、詳細を後述するとおり、本発明の反射防止積層体をタッチパネルに用いる場合、上記第2のHC層が画像表示素子の前面側となるように反射防止積層体を配置することが好ましいが、反射防止積層体表面の耐擦性、打抜き性を優れたものにするためには、上記第2のHC層が反射防止積層体の表面側、特に、最表面に配置されることが好ましい。
本発明に用いられる第1のHC層は、第1のHC層形成用硬化性組成物から形成される。
第1のHC層形成用硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有する重合性化合物1と、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基を有し、かつ重合性化合物1とは異なる重合性化合物2とを含有し、第1のHC層形成用硬化性組成物に含まれる重合性化合物中、重合性化合物2の含有量が51質量%以上である。
重合性化合物1としては、前述のラジカル重合性化合物の記載が好ましく適用され、重合性化合物2としては、前述のカチオン重合性化合物におけるa)成分の記載が好ましく適用される。
また、第1のHC層形成用硬化性組成物は、重合性化合物1とも重合性化合物2とも異なる他の重合性化合物を有していてもよい。
上記他の重合性化合物は、カチオン重合性基を有する重合性化合物であることが好ましい。上記カチオン重合性基としては、重合性化合物2a)成分で述べたカチオン重合性基と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に、本発明では、他の重合性化合物として、カチオン重合性基を含む、含窒素複素環含有化合物が好ましい。このような化合物を用いることにより、樹脂フィルムと第1のHC層の密着性をより効果的に向上させることができる。含窒素複素環としては、イソシアヌレート環およびグリコールウリル環からなる群から選ばれる含窒素複素環が例示され、イソシアヌレート環がより好ましい。他の重合性化合物が有するカチオン性基の数は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。また、他の重合性化合物として、カチオン重合性基と含窒素複素環構造を有する重合性化合物を用いる場合、樹脂フィルムは、アクリル系樹脂フィルムを含む樹脂フィルムが好ましい。このような構成とすることにより、樹脂フィルムと第1のHC層の密着性がより向上する傾向にある。
他の重合性化合物の具体例としては、前述の例示化合物が挙げられるが、本発明は前述の具体例に限定されるものではない。
<第2のHC層、第2のHC層形成用組成物>
第2のHC層は、第2のHC層形成用硬化性組成物から形成される。
第2のHC層形成用硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有する重合性化合物3を90質量%以上含有する。重合性化合物3としては、前述のラジカル重合性化合物の記載が好ましく適用される。
その他、前述の、重合開始剤、無機粒子、マット粒子、紫外線吸収剤、含フッ素化合物、溶媒およびその他の成分の記載を好ましく適用することができる。
特にHC層1Aが、第1のHC層、および第2のHC層を樹脂フィルム2A側から順に有する態様においては、第1のHC層を形成するHC層形成用硬化性組成物は、溶媒を含むことが好ましく、第2のHC層を形成するHC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を含むことが好ましい。
HC層の厚みは、膜の変形を抑制することでキーボード写りを低減する観点からは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、HC層形成時の体積収縮によって発生するカールを抑制する観点から40μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
HC層形成用硬化性組成物を、樹脂フィルム上に直接、または易接着層等の他の層を介して、塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、HC層を形成することができる。塗布は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法により行うことができる。なおHC層は、二種以上の異なる組成の組成物を同時または逐次塗布することにより二層以上(例えば二層〜五層程度)の積層構造のHC層として形成することもできる。
本発明の積層体は、さらに無機酸化物層(AR層)を有していてもよく、たとえば、ハードコート層の支持体を有する側の面とは反対側の面に、無機酸化物層(AR層)を有する態様が挙げられる。
AR層を有する積層体の一態様として、図2に示すように、AR層5A、HC層1A、樹脂フィルム2A、衝撃吸収層3Aがこの順に積層された構成を有する本発明の積層体4Bが挙げられる。
本発明の積層体におけるAR層は、反射防止層としての機能を有する層であり、例えば、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法などのドライコーティング方法で形成できる。膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、視認性に優れ、緻密であり、耐擦傷性などの機械特性に優れた薄膜の形成が可能である、スパッタリング法を用いることが好ましい。中でも、より高い成膜速度と高い放電安定性により高生産性を可能とすることから、中周波領域の電圧印加により成膜を行うデュアル・マグネトロン・スパッタリング(DMS)法が最適である。
なお、スパッタリング法を採用した場合、AR層の積層時の圧力は、0.1〜0.6Paであることが好ましい。その理由は、十分なスパッタリング率および膜密度を得ることができることによる。
AR層が複層の場合、AR層は高屈折率層及び低屈折率層が交互に積層された層であることが好ましく、AR層の最外層(すなわち、HC層に対して最も反対側に配される層)は低屈折率層であることが好ましい。なかでも、AR層は、高屈折率層及び低屈折率層が交互に積層された4層以上の積層体であって、AR層の最外層が低屈折率層であることが好ましく、AR層の最内層(すなわち、HC層に対して最も近い側に配される層)は高屈折率層であることがより好ましい。
本発明の積層体は、上記の樹脂フィルム、衝撃吸収層、HC層及びAR層以外に、必要に応じて、防汚層及び粘着層等のその他の層を有してもよい。
本発明の積層体は、AR層の最外層に、防汚層を有してもよい。防汚層は、真空蒸着法により成膜したフッ素化合物を含む層であることが好ましく、反応性官能基と結合している珪素原子を2つ以上有するフッ素含有珪素化合物を用いて構成された層であることがより好ましい。ここで、反応性官能基とは、AR層の最外層と反応し、結合しうる基を意味する。また、反応性官能基を有するフッ素含有珪素化合物を用い、この反応性官能基同士が反応することにより防汚層が形成されることも好ましい。
防汚層を設けることにより、表面に汚れが付きにくくなり、更に、汚れが付いた場合の拭き取り性能を向上することができる。ここで、防汚層の成膜方法は特に限定されないが、真空蒸着法による成膜方法が好ましい。この方法によれば、連続的に成膜した場合にも、膜厚の均一性良く、成膜することが可能である。
本発明の積層体を含む物品としては、家電業界、電気電子業界、自動車業界、住宅業界をはじめとする様々な産業界において、ハードコート層への他の物体の形状の転写の抑制(たとえばキーボード写りの抑制)が求められる各種物品を挙げることができる。具体例としては、ノートPC、タッチセンサ、タッチパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、自動車の窓ガラス、住居の窓ガラス等を挙げることができる。これら物品に、本発明の積層体を設けることにより、ハードコート層への他の物体の形状の転写(たとえばキーボード写り)が十分に抑制された物品を提供することが可能となる。また、AR層を有する積層体を用いた場合においては、反射防止機能も付与できる。本発明の積層体は、画像表示装置用の保護フィルム、偏光板又は前面板に用いられる積層体として好ましく用いられ、より好ましくはノートPCの画像表示素子の保護フィルム、偏光板又は前面板に用いられる積層体として用いられる。
本発明の積層体を用いることができるノートPCは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の積層体を有する画像表示装置は、例えば、本発明の積層体を有する保護フィルム、偏光板又は前面板と、画像表示素子とを有する。
画像表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置およびタッチパネルのような画像表示装置に用いることができる。
液晶表示装置としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super−Twisted Nematic)型、TSTN(Triple Super Twisted Nematic)型、マルチドメイン型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optically CompensatedBend)型等が挙げられる。
画像表示装置は、脆性が改良されハンドリング性に優れ、表面平滑性やシワによる表示品位を損なう事が無く、湿熱試験時の光漏れを低減できることが好ましい。
すなわち、本発明の積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子が液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子を有する画像表示装置としては、ソニーエリクソン社製、エクスペリアPなどを挙げることができる。
本発明の偏光板は、本発明の積層体が偏光子を有して構成される。本発明の積層体において、衝撃吸収層と支持体とハードコート層をこの順で有し、衝撃吸収層の支持体を有する側とは反対側の面に、偏光子を有してもよいし、衝撃吸収層と支持体とハードコート層をこの順で有し、ハードコート層の支持体を有する側とは反対側の面に、偏光子を有してもよい。
より具体的には、偏光子とその両側に配置された保護フィルムとからなる偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方として、本発明の積層体を用いることができる。本発明の積層体を用いることにより、荷重に伴うキーボード写りが十分に抑制された偏光板を提供可能になる。また、AR層を有する積層体を用いた場合においては、反射防止機能も付与できる。
<<衝撃吸収層が設けられる位置>>
本発明の積層体を有する画像表示装置において、衝撃吸収層が設けられる位置は特に限定されず、例えば、下記の態様が挙がられる。
機能層/支持体/衝撃吸収層
機能層/支持体/衝撃吸収層/保護フィルム
機能層/支持体/衝撃吸収層/保護フィルム/偏光子/保護フィルム
機能層/支持体/衝撃吸収層/偏光子/保護フィルム
機能層/支持体/偏光子/衝撃吸収層/保護フィルム
機能層/支持体/偏光子/保護フィルム/衝撃吸収層
機能層/支持体/衝撃吸収層/粘着剤/保護フィルム/偏光子/保護フィルム
機能層/支持体/偏光子/保護フィルム/粘着剤/衝撃吸収層
機能層/支持体/位相差フィルム/衝撃吸収層
機能層/支持体/位相差フィルム/粘着剤/衝撃吸収層
機能層/支持体/位相差フィルム/衝撃吸収層/保護フィルム
機能層/支持体/位相差フィルム/衝撃吸収層/保護フィルム/偏光子/保護フィルム
機能層/支持体/位相差フィルム/粘着剤/保護フィルム/衝撃吸収層/偏光子/保護フィルム
機能層/支持体/位相差フィルム/粘着剤/保護フィルム/衝撃吸収層/粘着剤/偏光子/保護フィルム
また偏光子としては、公知の偏光子や、偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子から切り出された偏光子を用いてもよい。偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸する。その後、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルム搬送方向とフィルムの実質延伸方向とのなす角が20〜70°傾斜するように、フィルム搬送方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特にフィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルム搬送方向とフィルムの実質延伸方向とのなす角を45°傾斜させてなる延伸方法が、生産性の観点から好ましく用いられる。
外層/コア層/外層の3層のセルロースアシレートの積層フィルムを、以下の方法により作製した。
(1)コア層セルロースアシレートドープ液の調製
下記の組成物をミキシングタンクに投入して撹拌し、コア層セルロースアシレートドープ溶液を調製した。
・アセチル置換度2.88、重量平均分子量260,000のセルロースアセテート 100質量部
・下記式(A−1)で表されるフタル酸エステルオリゴマー 10質量部
・下記式(A−2)で表される化合物 4質量部
・下記式(A−3)で表される紫外線吸収剤(BASF社製) 2.7質量部
・光安定剤(BASF社製、商品名:TINUVIN123) 0.18質量部
・N−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス社製、商品名:テークランDO) 0.02質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶媒) 64質量部
下記構造のフタル酸エステルオリゴマー(A−1)の重量平均分子量は750である。
上記のコア層セルロースアシレートドープ液90質量部に下記の無機粒子含有組成物を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ液を調製した。
平均一次粒径20nmのシリカ粒子(日本アエロジル社製、商品名:AEROSIL R972) 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶媒) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ液 1質量部
外層セルロースアシレートドープ液がコア層セルロースアシレートドープ液の両側に配されるように、外層セルロースアシレートドープ液、コア層セルロースアシレートドープ液、および外層セルロースアシレートドープ液の3種を、流延口から表面温度20℃の流延バンド上に同時に流延した。
流延バンドとして幅2.1mで長さが70mのステンレス製のエンドレスバンドを利用した。流延バンドは、厚みが1.5mm、表面粗さが0.05μm以下になるように研磨した。その材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有する流延バンドを用いた。流延バンドの全体の厚みムラは0.5%以下であった。
得られた流延膜に、風速が8m/s、ガス濃度が16%、温度が60℃の急速乾燥風を流延膜表面に当てて初期膜を形成した。その後、流延バンド上部の上流側からは140℃の乾燥風を送風した。また下流側からは120℃の乾燥風および60℃の乾燥風を送風した。
残留溶媒量を約33質量%にした後、バンドから剥ぎ取った。次いで、得られたフィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、溶媒残留量が3〜15質量%のフィルムを、横方向に1.06倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、厚さが100μm(外層/コア層/外層=3μm/94μm/3μm)であるTACフィルムを作製した。
上記と同様の方法で、但し、それぞれ厚みが80μm(外層/コア層/外層=3μm/74μm/3μm)、200μm(外層/コア層/外層=3μm/194μm/3μm)となるように調整し、厚みの異なるTACフィルムを作製した。
(1)ポリイミド粉末の製造
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素気流下、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)832gを加えた後、反応器の温度を25℃にした。ここに、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)64.046g(0.2mol)を加えて溶解し、溶液を得た。得られた溶液を25℃に維持しながら、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)31.09g(0.07mol)とビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)8.83g(0.03mol)を投入し、一定時間撹拌して反応させた。その後、塩化テレフタロイル(TPC)20.302g(0.1mol)を添加して、固形分濃度13質量%のポリアミック酸溶液を得た。次いで、このポリアミック酸溶液にピリジン25.6g、無水酢酸33.1gを投入して30分撹拌し、さらに70℃で1時間撹拌した後、常温に冷却した。ここにメタノール20Lを加え、沈澱した固形分を濾過して粉砕した。その後、100℃下、真空で6時間乾燥させて、111gの固形分粉末のポリイミドを得た。
100gの固形分粉末のポリイミドを670gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13質量%の溶液を得た。得られた溶液をステンレス板に加熱後の厚さが50μmになるように流延し、130℃の熱風で30分乾燥させた。その後フィルムをステンレス板から剥離して、フレームにピンで固定し、フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで加熱温度を徐々に上げながら2時間加熱し、その後、徐々に冷却した。冷却後のフィルムをフレームから分離した後、最終熱処理工程として、さらに300℃で30分間熱処理して、厚み50μmのポリイミドフィルムを作製した。
上記と同様の方法で厚さ80μmのポリイミドフィルムを作製した。
下記表1に示す配合で各成分を混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、HC層形成用硬化性組成物B−1〜B−4を調製した。
表1に記載した各化合物の詳細を以下に示す。
KAYARAD DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬社製、商品名)
ライトエステル2EG:ジエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製、商品名)
サイクロマーM100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル社製、商品名)
MEK−AC−2140Z:(日産化学工業(株)製、平均一次粒径10〜20nmの球形シリカ粒子、商品名)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(α−ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル光重合開始剤、BASF社製、商品名:IRGACURE184)
CPI−100P:トリアリールスルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製、商品名)
RS90:ラジカル重合性基を有する含フッ素オリゴマー(DIC社製)
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
下記表2に示す組成で各成分を混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、衝撃吸収層形成用組成物C−1〜C−4を調製した。
表2に記載した化合物の詳細を以下に示す。
クラリティLA2140e、クラリティLA2250、クラリティLA4285:PMMA−PnBA共重合体エラストマー((株)クラレ製、商品名)
バイロンUR2300:ウレタン変性ポリエステル(東洋紡(株)製、商品名)
ハイブラー7311:スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体の水素添加物((株)クラレ製、商品名)
<4.積層体の作製>
<4−1.ハードコート層(HC層)の形成>
上記で作製した厚み100μmのTACフィルムの一方の表面上に、HC層形成用硬化性組成物B−1を塗布し、硬化させて厚み10μmのHC層を形成し、HC層付き樹脂フィルムを作製した。
塗布および硬化の方法は、具体的には、次の通りとした。特開2006−122889号公報の実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件でHC層形成用硬化性組成物を塗布し、雰囲気温度60℃で150秒間乾燥した。その後、更に窒素パージ下、酸素濃度約0.1体積%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して、塗布したHC層形成用硬化性組成物を硬化させてHC層を形成した後、巻き取りを行った。
HC層を形成した支持体のHC層と反対面に、衝撃吸収層形成用組成物C−1を塗布し、乾燥させて衝撃吸収層を形成した。
塗布および乾燥の方法は、具体的には、次の通りとした。特開2006−122889号公報の実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で衝撃吸収層形成用組成物を乾燥後の膜厚が50μmになるように塗布し、雰囲気温度120℃で120秒間乾燥させ、実施例1の積層体を作製した。
衝撃吸収層形成用組成物C−1に代えて衝撃吸収層形成用組成物C−2、C−3を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2、3の積層体を作製した。
衝撃吸収層の膜厚をそれぞれ10μm、25μm、100μmとした以外は実施例2と同様にして、実施例4〜6の積層体を作製した。
厚み100μmのTACフィルムに代えて、それぞれ厚み80μm、200μmのTACフィルム、厚み50μm、80μmのPIフィルムを使用した以外は実施例2と同様にして、実施例7、8、13、14の積層体を作製した。
HC層形成用硬化性組成物B−1に代えてHC層形成用硬化性組成物B−2〜B−4を使用した以外は実施例2と同様にして、実施例9〜11の積層体を作製した。
HC層の厚みを5μmに変更した以外は実施例2と同様にして、実施例12の積層体を作製した。
HC層付き樹脂フィルムのHC層上に、無機酸化物層(AR層)を形成した以外は、実施例2、10と同様にして、実施例15、16の積層体を作製した。
AR層の形成は具体的には、スパッタリング法にて、任意の成膜圧力条件下、層構成をHC層側からNb2O5/SiO2/Nb2O5/SiO2、各層の膜厚がそれぞれ15nm/25nm/105nm/85nmとなるように成膜を実施した。
衝撃吸収層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を作製した。
衝撃吸収層形成用組成物C−1に代えて衝撃吸収層形成用組成物C−4を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2の積層体を作製した。
衝撃吸収層形成用組成物C−1に代えて厚み25μmの粘着剤(綜研化学社製、商品名:SK−2057)を2枚積層したこと、及び、衝撃吸収層形成用組成物C−1に代えて衝撃吸収層形成用組成物C−5を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の積層体を作成した。
衝撃吸収層の25℃における貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδの極大値、及び極大値を示す周波数は、上述の方法により測定、導出した。
上記で作製した積層体について、以下の試験を行った。試験結果を下記表3にまとめて記載する。
作成した光学フィルム(積層体)の衝撃吸収層側とガラス板(横280mm×縦180mm×厚み0.5mm)が向い合うようにして厚み20μmの粘着剤(綜研化学社製、商品名:SK−2057)を介して、ゴムローラーで2kgの荷重を掛けながら貼り合わせた。
上記の積層体を貼り合わせたガラス板を、ガラス板がノートブック((株)Apple製 Macbook)のディスプレイに接するようにテープ等で固定し、振動試験機((株)IMV、m060)にノートPCを閉じた状態で載せ、ノートPC上に重り10kgを載せ、ノートPCがX−Y方向に移動しないように固定した後、JIS Z0232記載のランダム振動試験レベル1条件にてZ軸方向に180分振動させた。なお、X−Y方向とは積層体の面内方向を指し、Z軸方向とは積層体の面内方向に直交する方向を指す。
振動終了後、サンプルを取り出しキーボードによる傷付き、凹み程度を下記指標に従って評価した。
A:凹み又は傷がまったく視認できない。
B:凹み又は傷がわずかに視認されるが使用上問題ない。
C:凹み又は傷が一部視認される使用上問題ない。
D:視認できる凹み又は傷が一部に発生し使用上問題がある。
E:視認できる凹み又は傷が全面に発生し使用上問題がある。
ガラス板(Corning社製、商品名:イーグル XG、厚み0.4mm)と、上記で作製した積層体とを、衝撃吸収層側とガラス板が向かい合うようにして、厚み20μmの粘着剤(綜研化学社製、商品名:SK−2057)を介して、ゴムローラーで2kgの荷重を掛けながら貼り合わせた。
ステンレスからなる基台の上に、上記の積層体を貼り合わせたガラス板を、ガラス板が基台に接するように設置し、次いで、鉄球(直径3.3cm、質量150g)を、所定高さから落下させ、上記の積層体のHC層(AR層が形成された積層体においてはAR層)と鉄球が接触するように衝突させた。
その後、ガラス板を観察し、ひびや割れなどが観察されなかった高さの中で一番高い値を耐衝撃高さ(cm)とした。
衝撃吸収層を有しない比較例1の積層体は、ハードコート層への他の物体の形状の転写(キーボード写り)及び落球耐性のいずれにも劣った。また、tanδの極大値が本発明の所定の周波数領域にない、ウレタン系樹脂からなる衝撃吸収層や、アクリル系粘着剤を有する比較例2、3の積層体は、落球耐性には問題ないが、ハードコート層への他の物体の形状の転写(キーボード写り)は抑制できなかった。
2A:支持体
3A:衝撃吸収層
4A、4B:積層体
5A:無機酸化物層(AR層)
Claims (9)
- 衝撃吸収層と支持体とハードコート層とを有する積層体であって、
前記衝撃吸収層は、25℃において、周波数104〜1013Hzの範囲にtanδの極大値を有する、
積層体。
ただし、前記tanδは貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比である。 - 前記tanδの極大値が0.1以上である請求項1に記載の積層体。
- 前記tanδの極大値を示す周波数における前記衝撃吸収層の貯蔵弾性率が30MPa以上である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記衝撃吸収層の厚みが10〜200μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記衝撃吸収層が、メタクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートのブロック共重合体を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- さらに無機酸化物層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ハードコート層が、重合性化合物の硬化物を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体が偏光子を有する偏光板。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体又は請求項8に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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