JPWO2019049854A1 - 防汚剤および防汚剤組成物 - Google Patents
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Abstract
カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤、ならびに、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する防汚剤組成物、および、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含有する防汚剤組成物を提供する。
Description
本発明は、防汚剤および防汚剤組成物に関し、さらに詳しくは、防汚性および耐溶出性に優れた防汚剤および防汚剤組成物に関する。
船舶や水中構造物などに付着する、フジツボ、フナクイムシ、藻類等の海洋生物は、船舶の航行速度の低下等の原因となるため、船舶や水中構造物には、このような海洋生物の付着防止を目的として、防汚塗料が塗装されている。また、養殖用網においても、海洋生物の付着が問題となることから、同様に、防汚塗料が用いられている。
このような防汚塗料としては、従来、亜酸化銅や亜鉛ピリチオン、銅ピリチオンを含有するものが用いられている。たとえば、特許文献1には、2価の金属を含有する樹脂(A)、一般式「R1−SH(R1は炭素数1〜30の有機基)」で示される化合物(B)、および亜酸化銅(C)からなる防汚塗料組成物が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された亜酸化銅を含む防汚塗料組成物や、亜鉛ピリチオンあるいは銅ピリチオンを含む防汚塗料組成物においては、これらの組成物により形成される塗膜が有する自己研磨性を利用し、形成される塗膜を徐々に溶出させることにより防汚性を発揮するものであることから、防汚性を長期間に渡り安定的に発揮させることが難しいという問題や、溶出による環境汚染の問題があった。そのため、溶出させることなく、適切な防汚性を発揮できる材料が求められていた。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、防汚性および耐溶出性(たとえば、海水中で使用された場合における耐溶出性)に優れた防汚剤および防汚剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このような防汚剤および防汚剤組成物を用いて得られる複合体、成形体、および架橋体を提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤および防汚剤組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤が提供される。
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する防汚剤組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含む防汚剤組成物が提供される。該防汚剤組成物は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
本発明の防汚剤および防汚剤組成物において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
(上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X−は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する防汚剤組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含む防汚剤組成物が提供される。該防汚剤組成物は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
本発明の防汚剤および防汚剤組成物において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
上記一般式(1)において、X−が、有機アニオンであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記の防汚剤、または、上記の防汚剤組成物を、基材に含浸してなる複合体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の防汚剤組成物を成形してなる成形体、および上記の防汚剤組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の防汚剤組成物を成形してなる成形体、および上記の防汚剤組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
本発明によれば、防汚性および耐溶出性に優れた防汚剤および防汚剤組成物を提供することがきる。また、本発明によれば、このような防汚剤および防汚剤組成物を用いて得られ、防汚性および耐溶出性に優れた複合体、成形体、および架橋体を提供することもできる。
本発明の防汚剤は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものである。
まず、本発明の防汚剤を構成する、カチオン性基を有するポリエーテル化合物について説明する。
まず、本発明の防汚剤を構成する、カチオン性基を有するポリエーテル化合物について説明する。
<カチオン性基を有するポリエーテル化合物>
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を形成する、オキシラン単量体単位の具体例としては、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位などのアルキレンオキシド単量体単位;エピクロロヒドリン単位、エピブロモヒドリン単位、エピヨードヒドリン単位などのエピハロヒドリン単量体単位;アリルグリシジルエーテル単位などのアルケニル基含有オキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単位などの芳香族エーテル基含有オキシラン単量体単位;グリシジルアクリレート単位、グリシジルメタクリレート単位などの(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位;などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、2種以上のオキシラン単量体単位を含有するものであってもよく、この場合においては、それら複数の繰り返し単位の分布様式は特に限定されないが、ランダムな分布を有していることが好ましい。
なお、上記単量体単位のうち、エピハロヒドリン単量体単位、アルケニル基含有オキシラン単量体単位、および(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位は、架橋性基を有するオキシラン単量体単位であり、このような架橋性基を有するオキシラン単量体単位を含有することで、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中に、カチオン性基に加えて架橋性基をも導入でき、この場合には、架橋剤を組み合わせて用いることで、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を架橋可能なものとすることができる。カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位において、カチオン性基と架橋性基とは、同一の繰り返し単位として含まれていてもよいし、別個の繰り返し単位として含まれていてもよいが、別個の繰り返し単位として含まれていることが好ましい。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中における、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。なお、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の下限は、特に限定されないが、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する組成物を架橋可能なものとするためには、好ましくは1モル%以上である。
また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン単量体単位のうち少なくとも一部として、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含有する。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物に含有させることのできるカチオン性基としては、特に限定されないが、防汚剤としての防汚性をより高めることができるという観点から、周期表第15族または第16族の原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが好ましく、窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがより好ましく、窒素原子含有芳香族複素環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがさらに好ましく、イミダソリウム環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが特に好ましい。
カチオン性基の具体例としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n−ブチルジメチルアンモニウム基、n−オクチルジメチルアンモニウム基、n−ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリビニルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N−ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2−エトキシエチル)アンモニウム基等のアンモニウム基;ピペリジニウム基、1−ピロリジニウム基、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1−メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ベンズイソオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6−ジメチルピリジニウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基、ピリダジニウム基、トリアジニウム基、N,N−ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリニウム基、イソインドリウム基、キノキサリウム基、イソキノキサリウム基、チアゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基;トリフェニルホスホニウム塩、トリブチルホスホニウム基等のカチオン性のリン原子を含んでなる基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基が好ましい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、含有するカチオン性基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、カチオン性基は、通常、対アニオンを有するものであるが、その対アニオンとしては特に限定されず、無機アニオン、有機アニオンのいずれでもよい。無機アニオンとしては、たとえば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン;硫酸イオン;亜硫酸イオン;水酸化物イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;硝酸イオン;過塩素酸イオン;リン酸イオン;ヘキサフルオロリン酸イオン;テトラフルオロホウ酸イオン;などが挙げられる。また、有機アニオンとしては、たとえば、酢酸イオン;アルキルオキシイオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン;などを挙げることができる。これら対アニオンは、防汚剤として必要となる特性に応じて適宜選択すればよいが、防汚剤としての耐溶出性により優れるという観点からは、有機アニオンが好ましい。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよく、たとえば、この場合において、無機アニオンと、有機アニオンとを含有する態様としてもよい。無機アニオンと、有機アニオンとを含有する態様における、これらの比率は、防汚剤として必要となる特性に応じて適宜決定することができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物においては、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位のうち、その少なくとも一部がカチオン性基を有するオキシラン単量体単位であればよく、たとえば、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位の全てがカチオン性基を有するものであってもよく、あるいは、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位およびカチオン性基を有しないオキシラン単量体単位が混在するものであってもよい。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物において、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。なお、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の上限は、特に限定されないが、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する組成物を架橋可能なものとするためには、好ましくは99モル%以下である。カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合を上記範囲とすることにより、防汚剤としての防汚性をより高めることができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
(上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X−は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、カチオン性基の具体例としては、上述したものが挙げられ、また、カチオン性基含有基としては、上述したカチオン性基を含有する基が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、A+で表されるカチオン性基またはカチオン性基含有基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、X−は、任意の対アニオンを表し、たとえば、対アニオンの具体例としては、上述したものが挙げられる。なお、上記一般式(1)中、X−で表される対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Rは、非イオン性基であり、非イオン性の基であれば特に限定されない。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜10のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;等が挙げられる。
これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合には、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合には、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、上記一般式(1)中、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であればよいが、nは、2〜1000の整数であることが好ましく、5〜900の整数であることがより好ましく、5〜700の整数であることがさらに好ましく、80〜700の整数であることが特に好ましい。また、mは、0〜998の整数であることが好ましく、0〜195の整数であることがより好ましく、0〜95の整数であることがさらに好ましい。また、n+mは、5〜1000の整数であり、5〜900の整数であることが好ましく、10〜700の整数であることがより好ましく、80〜700の整数であることが特に好ましい。上記一般式(1)中、n、m、n+mを適切に調整することにより、防汚性や、耐溶出性、さらには、樹脂またはゴムとの相溶性を適切に調整することができる。特に、n+mを上記範囲とすることにより、防汚性を十分なものとしながら、耐溶出性をより適切に高めることができる。
なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造が、上記一般式(1)で表される単量体単位からなるものである時、重合体鎖末端は、特に限定されず、任意の基とすることができる。重合体鎖末端基としては、たとえば、上述したカチオン性基、水酸基、または水素原子などが挙げられる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜400,000であることがより好ましく、2,000〜300,000であることがさらに好ましく、15,000〜300,000であることが特に好ましい。また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0である。特に、数平均分子量(Mn)を上記範囲とすることにより、防汚性を十分なものとしながら、耐溶出性をより適切に高めることができる。なお、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の分子量分布は、カチオン性基を導入する前のベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の分子量分布から変化していないものとして取り扱うことができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の合成方法は、特に限定されず、目的とする化合物を得られるものである限りにおいて、任意の合成方法を採用することができる。合成方法の一例を示すと、まず、以下の(A)または(B)の方法により、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)を得る。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010−53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46−27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010−53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46−27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
そして、上記(A)または(B)の方法において得られたベースポリマーに、イミダゾール化合物などのアミン化合物を反応させることにより、ベースポリマーのエピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン基をオニウムハライド基に変換して、さらに必要に応じて、オニウムハライド基を構成するハロゲン化物イオンを、アニオン交換反応を行うことにより、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を得ることができる。
<防汚剤>
本発明の防汚剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであり、本発明の防汚剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物のみからなるもの(すなわち、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量%であるもの)であってもよいし、溶媒などの後に除去される成分を含むものであってもよい。溶媒としては、たとえば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
本発明の防汚剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであり、本発明の防汚剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物のみからなるもの(すなわち、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量%であるもの)であってもよいし、溶媒などの後に除去される成分を含むものであってもよい。溶媒としては、たとえば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
<第1の態様に係る防汚剤組成物>
本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する。
本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する。
架橋剤としては、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の有する架橋性基の種類などに応じて適宜選択すればよい。架橋剤の具体例としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;s−トリアジン−2,4,6−トリチオールなどのトリアジン系化合物;メチロール基を持つアルキルフェノール樹脂;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのアルキルフェノン型光重合開始剤などの各種紫外線架橋剤;などが挙げられる。たとえば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物が有する架橋性基が、エチレン性炭素−炭素不飽和結合含有基である場合には、上記架橋剤のなかでも、硫黄、含硫黄化合物、有機過酸化物および紫外線架橋剤から選択される架橋剤を用いることが好ましい。これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物中における、架橋剤の配合量は、特に限定されないが、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.3〜5重量部である。架橋剤の配合量を上記範囲とすることにより、防汚効果を良好なものとしながら、適切に架橋を行うことができる。
また、本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物には、着色剤(染料・顔料);充填剤;受酸剤;補強剤;老化防止剤;可塑剤;紫外線吸収剤;耐光安定剤;粘着付与剤;界面活性剤;導電性付与剤;電解質物質;難燃剤;などの配合剤を含有していてもよい。
着色剤としては、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、鉛丹、黄色酸化鉄、鉄黒、カドミウムイエロー、モリブデンレッド、銀朱、黄鉛、酸化クロム、紺青、カーボンブラック、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、ベンガラなどの無機顔料;チオインジゴレッド、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、キノフタロイエロー、縮合アゾイエロー、群青などの有機顔料;等が挙げられる。
また、本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物は、溶媒を含有していてもよく、溶媒としては、たとえば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
<第2の態様に係る防汚剤組成物>
本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含有する。
本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含有する。
樹脂としては、特に限定されず、たとえば、エポキシ樹脂;メラミン樹脂;ベークライト;尿素樹脂;ポリウレタン;シリコーン樹脂;松脂;ロジン類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、1,2−ポリブタジエンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、PAN、ABS樹脂、AS樹脂、塩化ビニル、PVA、塩化ビニル−イソブチルビニルエーテル共重合体などのビニル系樹脂;テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂;PET、PBTなどのポリエステル系樹脂;ナイロン66、ナイロン6などのポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマーなどの特殊樹脂;などが挙げられる。これらの樹脂は、ノニオン性であることが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴムとしては、特に限定されず、たとえば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、ブチルゴム、およびこれらゴムの部分水素添加物(たとえば、水素化ニトリルゴム)などのジエン系ゴム;エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ポリエーテルゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのジエン系ゴム以外のゴム;などの種々のゴムを制限なく用いることができる。これらのゴムは、ノニオン性であることが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、さらには、このようなゴムと、上述した樹脂とを組み合わせて用いてもよい。
本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量は、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、0.1〜200重量部であり、好ましくは0.5〜150重量部、より好ましくは1〜100重量部である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量を上記範囲とすることにより、樹脂およびゴムによる機械特性を十分なものとしながら、カチオン性基を有するポリエーテル化合物による、防汚性の効果を十分なものとすることができる。
また、本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物は、架橋剤をさらに含有するものであってもよく、架橋剤としては、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を架橋させるための架橋剤、あるいは、樹脂および/またはゴムを架橋させるための架橋剤、さらには、これらの両方を架橋させるための架橋剤のいずれであってもよい。架橋剤の具体例としては、上述した第1の態様に係る防汚剤組成物と同様のものが挙げられる。
また、本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物には、着色剤(染料・顔料);充填剤;受酸剤;補強剤;老化防止剤;可塑剤;キレート剤;粘稠剤;紫外線吸収剤;耐光安定剤;粘着付与剤;界面活性剤;導電性付与剤;電解質物質;難燃剤;などの配合剤を含有していてもよい。たとえば、着色剤としては、上述した第1の態様に係る防汚剤組成物と同様のものが挙げられる。
また、本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物は、溶媒を含有していてもよく、溶媒としては、上述した第1の態様に係る防汚剤組成物と同様のものが挙げられる。
本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムと、必要に応じて用いられる架橋剤やその他の配合剤を適宜混合することにより調製することができる。たとえば、本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物が、船舶や各種水中構造物の表面に塗布するための塗料である場合には、次のようにして、調製することができる。すなわち、まず、ロジンや松脂などの樹脂とキシレンなどの溶媒とを混合する。次いで、得られた混合物に、ベンガラなどの顔料および上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を加えて、混合することで、船舶や各種水中構造物の表面に塗布するための塗料として好適に用いられる組成物を得ることができる。なお、必要に応じて、キレート剤、可塑剤および粘稠剤などの配合剤を適宜添加することができる。また、混合時の温度や混合時間は、目的の防汚剤組成物に応じて適宜決定することができる。
<複合体>
本発明の複合体は、上述した本発明の防汚剤、もしくは、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を基材に含浸させてなるものである。
本発明の複合体は、上述した本発明の防汚剤、もしくは、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を基材に含浸させてなるものである。
基材としては、特に限定されないが、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維等のポリアミド繊維、ガラス繊維、綿、レーヨン繊維などの各種繊維などが挙げられる。
たとえば、基材が、各種繊維からなる漁網である場合には、このような漁網を基材とし、上述した本発明の防汚剤、もしくは、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を、漁網を構成する繊維中に含浸させることで、漁網に防汚性を付与することできる。特に、本発明の防汚剤、ならびに、本発明の第1の態様および第2の態様に係る防汚剤組成物は、防汚性に優れることに加え、耐溶出性にも優れるものであるため、これを含浸させた漁網を海洋中で使用した場合でも、海洋生物の付着が起こり難く、しかも、海水中への溶出も抑えることもできることから、溶出による環境汚染の問題を有効に防止でき、さらには、長期間の使用を可能とするものである。
なお、本発明の防汚剤、もしくは、本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を、基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、本発明の防汚剤、もしくは、本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を、溶媒を含有させた状態にて、所定の容器内に入れ、ここに基材を所定時間浸けた後、必要に応じて乾燥することにより溶媒を除去する方法などが挙げられる。また、本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物を用いる場合や、本発明の第2の態様に係る防汚剤組成物であって、架橋剤を含有するものを用いる場合には、これらを含浸させた後、加熱等により架橋を行ってもよい。架橋させるための方法としては、用いる架橋剤の種類などに応じて選択すればよく、特に限定されない。
<成形体、架橋体>
本発明の成形体は、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を成形してなるものである。
たとえば、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を、船舶、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物の表面に塗布するための塗料として用いる場合には、これらの表面に、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の方法により塗布し、溶媒が含まれている場合には、必要に応じて乾燥することによって溶媒を除去することにより、膜成形体を形成させることができる。そして、このようにして形成される膜成形体は、本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物により形成されるものであるため、このような膜成形体によれば、上述した船舶や水中構造物の表面に、適切に防汚性を付与することができ、しかも、本発明の第1の態様および第2の態様に係る防汚剤組成物は、防汚性に加えて、耐溶出性にも優れるものであるため、船舶や水中構造物を海洋中で使用した場合でも、海洋生物の付着を防止しながら、海水中への溶出も抑えることもできることから、溶出による環境汚染の問題を有効に防止でき、しかも、長期間の使用を可能とするものである。
本発明の成形体は、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を成形してなるものである。
たとえば、上述した本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物を、船舶、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物の表面に塗布するための塗料として用いる場合には、これらの表面に、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の方法により塗布し、溶媒が含まれている場合には、必要に応じて乾燥することによって溶媒を除去することにより、膜成形体を形成させることができる。そして、このようにして形成される膜成形体は、本発明の第1の態様または第2の態様に係る防汚剤組成物により形成されるものであるため、このような膜成形体によれば、上述した船舶や水中構造物の表面に、適切に防汚性を付与することができ、しかも、本発明の第1の態様および第2の態様に係る防汚剤組成物は、防汚性に加えて、耐溶出性にも優れるものであるため、船舶や水中構造物を海洋中で使用した場合でも、海洋生物の付着を防止しながら、海水中への溶出も抑えることもできることから、溶出による環境汚染の問題を有効に防止でき、しかも、長期間の使用を可能とするものである。
また、本発明の第1の態様に係る防汚剤組成物を用いる場合や、第2の態様に係る防汚剤組成物であって、架橋剤を含有するものを用いる場合には、架橋反応により架橋させることで架橋体としてもよい。架橋させるための方法としては、用いる架橋剤の種類などに応じて選択すればよく、特に限定されない。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
(1)数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、次のように求めた。すなわち、まず、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位の平均分子量と、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の平均分子量、および下記(2)により求めたカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率とから、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量を求めた。そして、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位数と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量とを乗じることにより得られた値を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量とした。
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、次のように求めた。すなわち、まず、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位の平均分子量と、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の平均分子量、および下記(2)により求めたカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率とから、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量を求めた。そして、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位数と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量とを乗じることにより得られた値を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量とした。
(2)カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造およびカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、1H−NMRスペクトルを得て、定法に従いポリエーテル化合物の構造を帰属した。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、次の方法により算出した。すなわち、まず、主鎖のオキシラン単量体単位に由来するプロトンの積分値から全オキシラン単量体単位のモル数B1を算出した。次に、カチオン性基に由来するプロトンの積分値から、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位のモル数B2を算出した。そして、B1に対するB2の割合(百分率)を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率として求めた。
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、1H−NMRスペクトルを得て、定法に従いポリエーテル化合物の構造を帰属した。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、次の方法により算出した。すなわち、まず、主鎖のオキシラン単量体単位に由来するプロトンの積分値から全オキシラン単量体単位のモル数B1を算出した。次に、カチオン性基に由来するプロトンの積分値から、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位のモル数B2を算出した。そして、B1に対するB2の割合(百分率)を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率として求めた。
〔実施例1〕
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Aの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.322gとトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.125g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.1当量)をノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン10gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間の反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した。得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後に、有機相を50℃で12時間減圧乾燥することで、オイル状物質の収量を9.9gの収量で得た。また、得られたオイル状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は10,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。さらに得られたオイル状物質について、1H−NMR測定を行ったところ、繰り返し単位数(オキシラン単量体単位数)は108であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物A(繰り返し単位数108)であると同定された。
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Aの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.322gとトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.125g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.1当量)をノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン10gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間の反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した。得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後に、有機相を50℃で12時間減圧乾燥することで、オイル状物質の収量を9.9gの収量で得た。また、得られたオイル状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は10,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。さらに得られたオイル状物質について、1H−NMR測定を行ったところ、繰り返し単位数(オキシラン単量体単位数)は108であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物A(繰り返し単位数108)であると同定された。
(ポリエーテル化合物A中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
上記にて得られたポリエーテル化合物A 5.0gと、1−メチルイミダゾール12.1gと、アセトニトリル10.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で48時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物をトルエン/メタノール/水の等重量混合溶液にて洗浄した後、1−メチルイミダゾールおよびトルエンを含む有機相を除去して、水相を50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この薄赤色の固体について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Aの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108であることから、18,980と特定した。
上記にて得られたポリエーテル化合物A 5.0gと、1−メチルイミダゾール12.1gと、アセトニトリル10.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で48時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物をトルエン/メタノール/水の等重量混合溶液にて洗浄した後、1−メチルイミダゾールおよびトルエンを含む有機相を除去して、水相を50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この薄赤色の固体について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Aの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108であることから、18,980と特定した。
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
上記にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンおよび臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108(n=108,m=0)であることから、45,430と特定した。
上記にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンおよび臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108(n=108,m=0)であることから、45,430と特定した。
〔実施例2〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによる部分的アニオン交換)
実施例1で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド3.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.4gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、臭化物イオンと、塩化物イオンの一部が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンおよびハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108(n=108,m=0)であることから、38,820と特定した。また、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dの対アニオンのモル比は、「ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン:ハロゲン化物イオン」=81:27であった。
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによる部分的アニオン交換)
実施例1で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド3.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.4gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、臭化物イオンと、塩化物イオンの一部が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンおよびハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数は108(n=108,m=0)であることから、38,820と特定した。また、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dの対アニオンのモル比は、「ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン:ハロゲン化物イオン」=81:27であった。
〔実施例3〕
(エピクロロヒドリンとグリシジルメタクリレートとのリビングアニオン共重合によるポリエーテル化合物Eの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.032gおよびトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.029g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して2.5当量)をノルマルヘキサン0.25mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン9.5gおよびグリシジルメタクリレート0.5gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間の反応後、重合反応液に少量の2−プロパノールを添加し、反応を停止した。次いで、得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、2−プロパノールに注ぐことで、白色のゴム状物質を8.3gの収量で得た。得られたゴム状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は57,000、分子量分布は1.58であった。さらに得られた白色のゴム状物質について、1H−NMR測定を行ったところ、この白色のゴム状物質は、エピクロロヒドリン単位97.0モル%およびグリシジルメタクリレート単位3.0モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られた白色のゴム状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位およびグリシジルメタクリレート単位により構成されたポリエーテル化合物E(平均でエピクロロヒドリン単位588個とグリシジルメタクリレート単位18個とからなる606量体、n=588,m=18)であるといえる。
(エピクロロヒドリンとグリシジルメタクリレートとのリビングアニオン共重合によるポリエーテル化合物Eの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.032gおよびトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.029g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して2.5当量)をノルマルヘキサン0.25mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン9.5gおよびグリシジルメタクリレート0.5gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間の反応後、重合反応液に少量の2−プロパノールを添加し、反応を停止した。次いで、得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、2−プロパノールに注ぐことで、白色のゴム状物質を8.3gの収量で得た。得られたゴム状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は57,000、分子量分布は1.58であった。さらに得られた白色のゴム状物質について、1H−NMR測定を行ったところ、この白色のゴム状物質は、エピクロロヒドリン単位97.0モル%およびグリシジルメタクリレート単位3.0モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られた白色のゴム状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位およびグリシジルメタクリレート単位により構成されたポリエーテル化合物E(平均でエピクロロヒドリン単位588個とグリシジルメタクリレート単位18個とからなる606量体、n=588,m=18)であるといえる。
(ポリエーテル化合物E中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
上記にて得られたポリエーテル化合物E 8.0gと、1−メチルイミダゾール22.0gと、N, N−ジメチルホルムアミド16.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で144時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止し、得られた反応溶液を一部抜き取り、50℃で120時間減圧乾燥をしたところ、赤褐色の樹脂状物質を15.0gの収量で得た。この赤褐色の樹脂状物質について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Eの、全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fであると同定された。得られたポリエーテル化合物Fの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数が606であることから、108,000と特定した。
上記にて得られたポリエーテル化合物E 8.0gと、1−メチルイミダゾール22.0gと、N, N−ジメチルホルムアミド16.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で144時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止し、得られた反応溶液を一部抜き取り、50℃で120時間減圧乾燥をしたところ、赤褐色の樹脂状物質を15.0gの収量で得た。この赤褐色の樹脂状物質について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Eの、全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fであると同定された。得られたポリエーテル化合物Fの数平均分子量(Mn)は、繰り返し単位数が606であることから、108,000と特定した。
〔評価1:タテジマフジツボ付着期幼生を用いた付着抑制試験〕
6穴ウェルプレート(IWAKI 3810−0006)の一つのウェルの内面側表面に、実施例1にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cを、溶媒としてのアセトンに溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例1サンプル」を得た。
また、6穴ウェルプレート(IWAKI 3810−0006)の別のウェルの内面側表面に、実施例2にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dを、溶媒としてのアセトン:メタノール(1:1)に溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例2サンプル」を得た。
6穴ウェルプレート(IWAKI 3810−0006)の一つのウェルの内面側表面に、実施例1にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cを、溶媒としてのアセトンに溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例1サンプル」を得た。
また、6穴ウェルプレート(IWAKI 3810−0006)の別のウェルの内面側表面に、実施例2にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dを、溶媒としてのアセトン:メタノール(1:1)に溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例2サンプル」を得た。
そして、実施例1サンプル、実施例2サンプル、およびリファレンスとしての膜形成していないサンプル(6穴ウェルプレートのうちの未処理のウェル)のそれぞれに、タテジマフジツボの幼生を含有する天然海水(0.45μmろ過済み、塩分濃度2.93%、pH7.97)8mLを入れ、22℃±2℃の条件に保存することで、付着抑制試験を行った。なお、実施例1塗布サンプル、実施例2塗布サンプル、および無塗布のサンプルのそれぞれには、タテジマフジツボの幼生を12個体ずつ入れた。
各サンプルにおける、付着抑制試験の結果を表1に示す。なお、表1中、ウェル壁面に定着したタテジマフジツボの割合(12個体中の割合)を示している。
表1に示すように、本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤を塗布したサンプルにおいては、タテジマフジツボの定着は確認されず、そのため、十分な防汚性を備えていることが確認できる(実施例1、実施例2)。
〔評価2:塩水中における溶出試験〕
内容量100mlのビーカーの内面側表面に、実施例1にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cを、溶媒としてのアセトンに溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例1サンプル」を得た。
内容量100mlの別のビーカーの内面側表面に、実施例2にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dを、溶媒としてのアセトン:メタノール(1:1)に溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例2サンプル」を得た。
また、内容量100mlの別のビーカーの内面側表面に、実施例3にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fを、溶媒としてのメタノールに溶解し、架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)を添加した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、架橋させることにより、「実施例3サンプル」を得た。
なお、上記各サンプルを作製する際には、予め各ポリエーテル化合物からなる膜を形成する前の重量(W1)を測定し、さらには、各ポリエーテル化合物からなる膜を形成した後の重量(W2)についても測定することで、これらの差分より、試験前の膜重量(W3)を求めた。
内容量100mlのビーカーの内面側表面に、実施例1にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cを、溶媒としてのアセトンに溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例1サンプル」を得た。
内容量100mlの別のビーカーの内面側表面に、実施例2にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dを、溶媒としてのアセトン:メタノール(1:1)に溶解した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布することにより、「実施例2サンプル」を得た。
また、内容量100mlの別のビーカーの内面側表面に、実施例3にて得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fを、溶媒としてのメタノールに溶解し、架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)を添加した状態で、乾燥厚み200μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、架橋させることにより、「実施例3サンプル」を得た。
なお、上記各サンプルを作製する際には、予め各ポリエーテル化合物からなる膜を形成する前の重量(W1)を測定し、さらには、各ポリエーテル化合物からなる膜を形成した後の重量(W2)についても測定することで、これらの差分より、試験前の膜重量(W3)を求めた。
そして、実施例1サンプル、実施例2サンプル、および実施例3サンプルのそれぞれに、塩水(塩分濃度2.9%、pH7.5)100mlを入れ、温度25℃に保った状態で、7日間、マグネチックスターラーを用いて攪拌を行った。そして、7日間の撹拌操作の後、各サンプルから塩水を除去し、イオン交換水にて2回水洗を行い、50℃の真空乾燥機にて24時間乾燥し、乾燥後の重量(W4)を測定し、各ポリエーテル化合物からなる膜を形成する前の重量(W1)との差分から、試験後の膜重量(W5)を求めた。そして、下記式にしたがって、塩水への溶出率を算出した。結果を表2に示す。
塩水への溶出率(重量%)={試験前の膜重量(W3)−試験後の膜重量(W5)}÷試験前の膜重量(W3)×100
塩水への溶出率(重量%)={試験前の膜重量(W3)−試験後の膜重量(W5)}÷試験前の膜重量(W3)×100
表2に示すように、本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤、および、本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する防汚剤組成物によれば、塩水への溶出が適切に抑制されたものであることが確認できる(実施例1〜3)。
Claims (11)
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する防汚剤。
- X−が、有機アニオンである請求項1または2に記載の防汚剤。
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する防汚剤組成物。
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、樹脂および/またはゴムとを含む防汚剤組成物。
- さらに架橋剤を含有する請求項5に記載の防汚剤組成物。
- X−が、有機アニオンである請求項7に記載の防汚剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の防汚剤、または、請求項4〜8のいずれかに記載の防汚剤組成物を、基材に含浸してなる複合体。
- 請求項4〜8のいずれかに記載の防汚剤組成物を成形してなる成形体。
- 請求項4または6に記載の防汚剤組成物を架橋してなる架橋体。
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