JPWO2019049563A1 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、優れた難燃性、機械的強度、および優れた外観を両立したポリカーボネート樹脂組成物成形品を与える新規なポリカーボネート樹脂組成物を提供する。本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤およびリン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤、(C)ポリテトラフルオロエチレン、および、(D)エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって、組成物中の難燃剤(B)の含有量が0.001〜40質量%、ポリテトラフルオロエチレン(C)の含有量が0.1〜1.0質量%、エラストマー(D)の含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。

Description

本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、難燃性、耐熱性、機械的強度などに優れていることから、電気、電子、ITE、機械、自動車、建材等の分野で広く用いられている。近年、これらの分野においては、より高い難燃性が要求されており、例えばアンダーライターズ・ラボラトリーズ・インクが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価において、V−0やV−1に適合するような高い難燃性が求められている。
ポリカーボネート樹脂組成物がこのような高い難燃性を発揮するためには、燃焼時の樹脂の滴下(ドリップ)が生じないことが必要である。燃焼時の樹脂の滴下を抑制する手段としては、ポリカーボネート樹脂組成物に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂を配合する。しかしながら、ポリカーボネート樹脂組成物にポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂を配合すると、フッ素樹脂が凝集し、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品の表面にフッ素樹脂粒子が浮き出るなど、外観が劣化するという問題がある。
このような問題を解決する方法として、例えば特許文献1には、ポリカーボネート系樹脂に対して、難燃剤とポリテトラフルオロエチレンを配合し、さらに、ポリテトラフルオロエチレンとして懸濁重合により製造したものを用いる技術が開示されている。しかしながら、この方法によっても、ポリカーボネート樹脂組成物中において、ポリテトラフルオロエチレンが凝集し、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品の表面にポリテトラフルオロエチレン粒子が浮き出て筋状のラインが形成されたり、表面の色相にばらつきが発生するなど、外観が劣化する問題が十分に解決できていない。UL−94規格に規定する極めて薄肉の射出成型品では、射出成形時の強力なせん断によってPTFEがさらにフィブリル化し、狭い視野の中ではフィブリルの最も太い部分の直径であっても2μm以下となることがあるが、成形品の表面外観は充分に改善できるものではない。
近年、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品には、優れた難燃性と共に、より優れた外観が要求されているが、特許文献1に開示されたような方法では、ポリカーボネート樹脂組成物に求められる優れた難燃性と外観とを両立することができないという問題がある。外観を改良できれば塗装レス、表面コーティングが不要となるなど工程が減るメリットが多くあるため、さらなる外観改良の要求が高まっている。
特開2010−106097号公報
本発明は、優れた難燃性、機械的強度、および優れた外観を両立したポリカーボネート樹脂組成物成形品を与える新規なポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく製造方法について鋭意検討を行ったところ、ポリカーボネート、特定の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン、エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物において、特定の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン、エラストマーを特定量含有させることにより、優れた難燃性が維持されたうえで、ポリテトラフルオロエチレンを含む従来のポリカーボネート樹脂組成物では避けることができなかった外観の劣化(成形品の表面にフッ素樹脂が浮き出た筋状のライン形成、色相ばらつき)が、効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤およびリン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤、(C)ポリテトラフルオロエチレン、および、(D)エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって、組成物中の難燃剤(B)の含有量が0.001〜40質量%、ポリテトラフルオロエチレン(C)の含有量が0.1〜1.0質量%、エラストマー(D)の含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
エラストマー(D)は、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体、スチレン−イソプレン系トリブロック共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
さらに、(E)スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリルスチレン、ポリエステル、ポリアミド、および、エチレンビニルアセテート重合体からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂(E)の含有量が、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物中、0.005〜5質量%であることが好ましい。
前記樹脂組成物において、エラストマー(D)を配合せずに作製した試験用樹脂組成物を流動方向に垂直な方向に凍結破断させた破断面を走査型電子顕微鏡で観察した127μm×95μmの任意の一視野に存在するポリテトラフルオロエチレン(C)のフィブリルの最も太い部分の直径が2μm以下であることが好ましい。
難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた80mm×52mm×2mmの成形品に存在する50μm以上の異物の個数が10個以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン(C)の平均粒子径が200μm以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(E)の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、前記難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形品に関する。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート、特定の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン、エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって、特定の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン、エラストマーを特定量含有するため、該ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形すると、優れた難燃性が維持されたうえで、ポリテトラフルオロエチレンを含む従来のポリカーボネート樹脂組成物では避けることができなかった外観の劣化が、効果的に抑制できる。その結果、同じ難燃性であれば、ポリテトラフルオロエチレン(C)の配合量を低減できるとともに、外観も改善できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート、(B)シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤およびリン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤、(C)ポリテトラフルオロエチレン、および、(D)エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって、組成物中の難燃剤(B)の含有量が0.001〜40質量%、ポリテトラフルオロエチレン(C)の含有量が0.1〜1.0質量%、エラストマー(D)の含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする。
<配合成分>
本発明で使用するポリカーボネート(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのような、ジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物とともに以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノール化合物としてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート(A)の粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、成形加工性、強度の面より10000〜100000が好ましく、15000〜35000が好ましい。また、かかるポリカーボネートを製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。なお、ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、0.5質量%の塩化メチレン溶液とし、キャノンフェンスケ型粘度管を用い、温度20℃で比粘度(ηsp)を測定し、濃度換算により極限粘度〔η〕を求め、下記のSCHNELLの式から算出した値である。
〔η〕=1.23×10−4×Mv0.83
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネートの割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性、機械的強度および優れた外観を付与する観点から、50〜99.5質量%が好ましく、70〜99.5質量%がより好ましく、85〜99.5質量%がさらに好ましい。
ポリカーボネート(A)の形態は特に限定されず、たとえばペレット状物、フレーク状物、ビーズ状物等が挙げられる。なかでも、均質な分散性を得られる点で、フレーク状物が好ましく、多孔質フレーク状物がより好ましい。ポリカーボネートの嵩密度も特に限定されないが、0.1〜0.9が好ましく、0.1〜0.7がより好ましい。ここで、嵩密度とは、JISK7370の固め見かけかさ密度に準拠して測定される値をいう。ポリカーボネートの大きさは特に制限されないが、5mm以下が好ましい。
本発明で使用する難燃剤(B)は、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種である。優れた難燃性と優れた外観を発揮する観点から、シリコーン系難燃剤が特に好ましい。シリコーン系難燃剤としては、例えば、特開平11−217494号公報に記載された主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基中に芳香族基を持つシリコーン化合物が好ましい。
より具体的には、下記一般式に示されるような、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基として芳香族基を含有するもの、すなわち、分岐単位として T単位および/またはQ単位を持つものが好ましい。
Figure 2019049563
(ここで、R、RおよびRは主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表わす。l、m、nは、それぞれ1以上の整数である。)
これらは全体のシロキサン単位の20mol%以上含有することが好ましい。20mol%未満であると、シリコーン化合物の耐熱性が低下してその難燃性の効果が下がり、またシリコーン化合物自体の粘度が低すぎてポリカーボネートとの混練性や成形性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに好ましくは30mol%以上、95mol%以下である。30mol%以上だとシリコーン化合物の耐熱性が一層上がり、これを含有したポリカーボネート樹脂の難燃性が大幅に向上する。しかし95mol%を超えるとシリコーンの主鎖の自由度が減少して、燃焼時の芳香族基の縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃性を発現しにくくなる場合がある。
また、シリコーン化合物が有する有機官能基のうち、芳香族基が20mol%以上であることが好ましい。この範囲未満であると、燃焼時に芳香族基同士の縮合が起こりにくくなり難燃効果が低下する場合がある。さらに好ましくは40〜95mol%である。40mol%以上であれば、燃焼時の芳香族基が一層効率的に縮合できると同時に、ポリカーボネート樹脂(A)中でのシリコーン化合物の分散性が大幅に改良され、極めて良好な難燃効果を発現できる。95mol%を超えると芳香族基同士の立体障害により、これらの縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃効果を発現できにくくなる場合がある。
芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレン、またはこれらの誘導体であるが、シリコーン化合物の安全面からは、フェニル基が好ましい。シリコーン化合物中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち、芳香族基以外の有機基としてはメチル基が好ましく、さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基、アルコキシ基(特にメトキシ基)の内から、選ばれた1種またはこれらの2種から4種までの混合物であることが好ましい。これらの末端基の場合、反応性が低いため、ポリカーボネート樹脂(A)とシリコーン化合物の混練時に、シリコーン化合物のゲル化(架橋化)が起こりにくいので、シリコーン化合物がポリカーボネート樹脂(A)中に均一に分散でき、その結果、一層良好な難燃効果を持つことができ、さらに成形性も向上する。特に好ましくはメチル基である。これの場合、極端に反応性が低いので、分散性が極めて良好になり、難燃性をさらに向上することができる。
シリコーン化合物の重量平均分子量は、5000〜500000が好ましい。5000未満だとシリコーン化合物自体の耐熱性が低下して難燃性の効果が低下し、さらに溶融粘度が低すぎて成形時にポリカーボネート樹脂(A)の成形体表面にシリコーン化合物が浸み出して成形性を低下させる場合があり、また500000を超えると溶融粘度が増加してポリカーボネート樹脂(A)中での均一な分散が損なわれ難燃性の効果や成形性が低下する場合がある。さらに特に好ましくは10000〜270000である。この範囲ではシリコーン化合物の溶融粘度が最適となるため、ポリカーボネート樹脂(A)中でシリコーン化合物が極めて均一に分散でき、表面への過度な浸みだしもないため、一層良好な難燃性と成形性を達成できる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる難燃剤(B)の割合は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性および優れた外観を付与する観点から、0.001〜40質量%である。シリコーン系難燃剤では0.05〜5質量%が好ましい。
難燃剤(B)としては、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤も使用することができる。ハロゲン系難燃剤としては、例えばテトラブロモビスフェノールA[2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン]からのポリカーボネート、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとのコポリカーボネート、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、エチレンビステトラブロモフタルミド、トリス(ペンタブロモベンジル)イソシアヌレート、ブロム化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールA−エポキシ樹脂等を挙げることができる。リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、フェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・ヒドロキノンポリホスフェート、クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノ−ルA型)ポリホスフェート、クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、フェニル・クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、キシリル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル、p−t−ブチルフェニルレゾルシン・ポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート、クレジルキシリルレゾルシンポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルジイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート等が挙げられる。これらは市販品、例えば大八化学工業社製CR741、CR733S、PX−200等として入手可能である。各難燃剤(B)の割合としては、ハロゲン系難燃剤では5〜35質量%がより好ましい。リン酸エステル系難燃剤では3〜25質量%が好ましい。
本発明で使用するポリテトラフルオロエチレン(C)は特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレンホモポリマーを使用しても良いが、ポリテトラフルオロエチレンの性能を損なわない程度のコポリマー及びターポリマーを含有しているものを使用してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレンは、コポリマーであっても良い。
ポリテトラフルオロエチレン(C)の形態は特に限定されないが、粒子が好ましい。平均粒子径は200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。200μm以下であれば、優れた難燃性及び優れた外観を付与することができる。ここで、平均粒子径とは、複合樹脂粒子1gに対して、50mlの塩化メチレンを加えて、23℃下、3時間放置して得られた溶液を20分間スターラーで攪拌し、溶解せずに残ったPTFE粒子100個について、長径及び短径を測定し、(長径+短径)/2を粒径とし、100個のPTFE粒子の粒径の平均値をいう。
なお、ポリテトラフルオロエチレン粒子をポリカーボネート樹脂組成物に添加するために使用することができる、PTFE含有添加剤が市販されているが(例えば、三菱レイヨン社製のA3800、シャインポリマー社製のSN3307など)、該添加剤は、上記の測定方法で測定した平均粒子径は200μm以下にはならない。
ポリテトラフルオロエチレン(C)は、比較的均一な分散性の点、すなわち、ポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生を少なく、均一な分散性・再現性に優れる点で、水性分散体として使用することが好ましい。水性分散体におけるポリテトラフルオロエチレン(C)の固形分率は特に限定されないが、20〜65質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリテトラフルオロエチレン(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性および優れた外観を付与する観点から、0.1〜1.0質量%であるが、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン(C)は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して親和性の低いポリテトラフルオロエチレン粒子をポリカーボネート樹脂組成物中に均一性高く分散することができるため、ポリカーボネート樹脂粒子とあらかじめ混合した複合樹脂粒子として用いることが好ましい。複合樹脂粒子はポリカーボネート樹脂組成物中に配合された際に、複合樹脂粒子中のポリカーボネート樹脂粒子が、ポリカーボネート樹脂組成物中に溶融する際に、ポリテトラフルオロエチレン粒子がポリカーボネート樹脂組成物中に高い均一性で分散し、混合中にポリテトラフルオロエチレン粒子が凝集することが効果的に抑制される。また、複合粒子が熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂の効果によりポリカーボネート樹脂組成物との親和性がより高まり、さらに均一性の高い分散が可能となる。これにより、ポリテトラフルオロエチレン粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の外観の劣化(成形品の表面にフッ素樹脂が浮き出て筋状のラインが形成されたり、表面の色相にばらつきが発生するなど)が、効果的に抑制できる。
複合樹脂粒子に使用するポリカーボネート樹脂粒子の平均粒子径としては、特に制限されないが、ポリカーボネート樹脂組成物に対して、優れた難燃性及び優れた外観を付与する観点から、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂粒子がこのような粒子径を備えていることにより、本発明の複合樹脂粒子をポリカーボネート樹脂組成物中に均一に分散させやすくなる。
ポリカーボネート樹脂粒子の嵩密度は0.1〜0.9であるが、0.1〜0.7がより好ましい。0.1未満または0.9を超えると、均一に分散状態が発現出来ない、または加工時の材料供給性が不安定になる。ここで、嵩密度とは、JISK7370固め見かけ嵩密度に準拠して測定される値をいう。
複合樹脂粒子に含まれるポリカーボネート樹脂粒子の割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性、機械的強度および優れた外観を付与する観点からは、0〜99.5質量%が好ましく、70〜99.5質量%がより好ましく、85〜99.5質量%がさらに好ましい。
複合樹脂粒子に含まれるポリテトラフルオロエチレン粒子の割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性、機械的強度、優れた外観を付与する観点からは、0.1〜33質量%が好ましく、0.2〜25質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
このような複合樹脂粒子は、たとえば次の工程を備える方法により好適に製造することができる。
工程1:ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散体と熱可塑性樹脂粒子の水性分散体とを混合して、混合分散体を調製する。
工程2:ポリカーボネート樹脂粒子及び混合分散体を混合する。
ポリテトラフルオロエチレン粒子、熱可塑性樹脂粒子、及びポリカーボネート樹脂粒子の詳細(樹脂の種類や粒子径など)については、前述の通りである。また、これらの配合割合についても、本発明の複合樹脂粒子における含有量となるように調整すればよい。
工程1において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散体及び熱可塑性樹脂粒子の水性分散体としては、例えば、市販品を使用することができる。ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散体中における固形分としては、通常、20〜65質量%が挙げられる。また、熱可塑性樹脂粒子の水性分散体における固形分としては、通常、20〜70質量%が挙げられる。
また、工程1において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散体及び熱可塑性樹脂粒子の水性分散体の混合は、攪拌機などを用いて行うことができる。なお、これらの樹脂粒子の混合分散体を調製する際には、酸または塩基を用いてpHを調整してもよい。
工程2において、ポリカーボネート樹脂粒子および混合分散体を混合する方法としては、一般的なミキサー(例えば、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、バタフライミキサーなど)、ホモジナイザー、ブレンダーなどを用いて行うことができる。
工程2の後に、乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥手段としては、熱風乾燥、真空乾燥、蒸気乾燥、スピン乾燥、吸引乾燥などの各種乾燥手段が挙げられる。
本発明で使用するエラストマー(D)は、特に限定されないが、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下であるが、−20℃以下がより好ましく、−30℃以下がさらに好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−α−オレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
本発明にて使用されるエラストマー(D)は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40重量%以上含有するものが好ましく、60重量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10重量%以上含有するものが好ましい。尚、本発明におけるコア/シェル型とは必ずしもコア層とシェル層が明確に区別できるものでなくてもよく、コアとなる部分の周囲にゴム成分をグラフト重合して得られる化合物を広く含む趣旨である。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴム等が挙げられ、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムおよびメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)が特に好ましい。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するエラストマー(D)は、好適には、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、SBS、SEBSと呼ばれているスチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体とその水添物、SPS、SEPSと呼ばれているスチレン−イソプレン系トリブロック共重合体とその水添物、TPOと呼ばれているオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、シロキサン系ゴム、アクリレート系ゴム等が挙げられ、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体、スチレン−イソプレン系トリブロック共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより好適に使用できる。
このようなエラストマー(D)としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイド(登録商標、以下同じ)EXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」、三菱レイヨン社製の「メタブレン(登録商標、以下同じ)C−223A」、「メタブレンE−901」、「メタブレンS−2001」、「メタブレンSRK−200」、「メタブレンS−2030」カネカ社製の「カネエース(登録商標、以下同じ)M−511」、「カネエースM−600」、「カネエースM−400」、「カネエースM−580」、「カネエースM−711」、「カネエースMR−01」、宇部興産社製の「UBESTA XPA」等が挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるエラストマー(D)の割合は、1.5質量%以下であるが、0.1〜1.5質量%が好ましい。1.5質量%を超えると、耐熱性、難燃性に劣る。一方、0.1質量部以上であれば、外観の劣化(成形品の表面にフッ素樹脂が浮き出た筋状のライン形成、色相ばらつき)を効果的に抑制できる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、前述した(A)〜(D)成分以外に、難燃性のポリカーボネート樹脂組成物に一般的に配合される各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、各種の樹脂、さらなる難燃剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、着色剤、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、軟化材、展着剤(流動パラフィン、エポキシ化大豆油等)、さらなる有機金属塩などが挙げられる。
各種の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の樹脂を配合することができる。各種の樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AS、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の酸化防止剤を使用することができる。酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に使用され、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。酸化防止剤の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、例えば0.005〜1質量部が挙げられる。
着色剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の着色剤を使用することができる。着色剤としては、特に制限されず、染料、顔料(二酸化チタン、カーボンブラックなど)を使用することができる。着色剤の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、例えば0.0001〜10質量部が挙げられる。
充填材としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の充填材を使用することができる。充填材としては、特に制限されず、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ、タルク、マイカなどが挙げられる。充填材の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、3〜120質量部が好ましい。
有機金属塩としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の有機金属塩を使用することができる。有機金属塩としては、特に制限されず、芳香族硫黄化合物金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩などが挙げられる。有機スルホン酸金属塩の金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。有機金属塩の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.003〜3質量部がより好ましい。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、UL−94規格(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)の垂直燃焼試験(V試験)を、試験片の厚み1.5mmで行った場合の等級が、V−0またはV−1であることが好ましい。
前記樹脂組成物において、本発明に使用するエラストマーを配合せずに作製した試験用樹脂組成物を流動方向に垂直な方向に凍結破断させた破断面を走査型電子顕微鏡で観察した127μm×95μmの任意の一視野に存在するポリテトラフルオロエチレン(C)のフィブリルの最も太い部分の直径が2μm以下であることが好ましい。
樹脂組成物の流動方向に垂直な方向(TD方向)とは、樹脂ペレットにおいて樹脂の流動方向に垂直な方向をいう。流れ方向に垂直な断面を観察することによって、ペレット内でのポリテトラフルオロエチレン(C)の分散状態が理解できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(C)の分散状態が変化しないように、液体窒素等によりペレットを極めて低温まで冷却して、マトリックス樹脂であるポリカーボネートを脆性破壊させることによって、フィブリル化したポリテトラフルオロエチレン(C)の分散形態を観察する。冷却しない場合には、ポリカーボネートが延性破壊して、ポリテトラフルオロエチレン(C)を覆い、フィブリルを観察できなくなる。観察する視野は、全体の状態を確認するために、127μm×95μmという比較的広い範囲を観察する。観察する視野の個数は特に限定されないが、たとえば3つ以上のペレットの破断面を観察することが好ましい。3つのペレットを観察して、最も太い部分の直径が2μmを超えるポリテトラフルオロエチレン(C)のフィブリルが存在しなければ、全体にわたってポリテトラフルオロエチレン(C)の凝集はほとんど見られず、高い難燃性を発揮することになる。
ポリテトラフルオロエチレン(C)が、不均一な太さで分散している場合、最も太い部分の直径(短軸方向最大幅)を利用する。フィブリルの最も太い部分の直径は2μm以下であるが、1μm以下が好ましい。最も太い部分の直径が2μmを超えると、筋状のラインが形成されたり、表面の色相にばらつきが発生するなど、外観が劣化する。ペレットの状態で直径が2μm以下であれば、UL−94規格に規定する極めて薄肉の射出成型品では、射出成形時の強力なせん断によってPTFEはさらにフィブリル化し、良好に分散する。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた80mm×52mm×2mmの成形品に存在する白色異物の個数は10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。11個以上存在すると、表面がざらつき、外観が劣化する傾向にある。ここで、白色異物は、射出成形品を目視と光学顕微鏡で観察し、成形品全体に存在する50μm以上の異物を数えることにより求める。
本願発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、たとえばポリカーボネート(A)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびエラストマー(D)と溶融混練して溶融混錬物を得る工程を含む製造方法や、ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)およびエラストマー(D)と溶融混練して溶融混錬物を得る工程を含む製造方法によって作製することができる。これらの方法であれば、ポリカーボネート中において、ポリテトラフルオロエチレンを良好に分散させることができ、フィブリル径を小さくすることが可能である。
<予備混合工程>
予備混合とは、溶融混練させる前に、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を混合して、マスターバッチを作製する。必要に応じて、難燃剤(B)も合わせて予備混合することもできる。混合方法としては特に限定されず、固体状態のポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体を混合する方法、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を固体状態で混合するドライブレンドなどが挙げられる。なかでも、均一な分散性が得られる点で、固体状態のポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体を混合する方法が好ましい。混合手段は特に限定されないが、撹拌しながら混合することが好ましく、一般的なミキサー(例えば、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、バタフライミキサーなど)、ホモジナイザー、ブレンダーなどを使用できる。また、これらの樹脂粒子の混合分散体を調製する際には、酸または塩基を用いてpHを調整してもよい。
予備混合工程におけるポリテトラフルオロエチレン(C)の混合量は特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.1〜33質量部が好ましく、0.2〜25質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましい。難燃剤(B)も予備混合する場合、難燃剤(B)の混合量は特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.005〜100質量部が好ましく、0.01〜80質量部がより好ましい。
予備混合工程では、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)とともに、熱可塑性樹脂(E)を混合しても良く、予めポリテトラフルオロエチレン(C)と熱可塑性樹脂(E)を混合した後に、ポリカーボネート(A)およびエラストマー(D)と予備混合しても良い。ポリテトラフルオロエチレン(C)および熱可塑性樹脂(E)は、水性分散体として使用することが好ましい。
予備混合における熱可塑性樹脂(E)の混練量も特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.1〜33質量%が好ましく、0.2〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。
予備混合の後に、乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥手段としては、熱風乾燥、真空乾燥、蒸気乾燥、スピン乾燥、吸引乾燥などの各種乾燥手段が挙げられる。
<溶融混練工程>
溶融混練とは、予備混合工程で得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)、エラストマー(D)と溶融混練する。なお、予備混合工程で難燃剤(B)を混合した場合には、溶融混練工程で難燃剤を混練する必要はない。混練方法としては特に限定されず、例えば押出機(溶融混練機、溶融捏和機)、バッチ式混練機などが挙げられる。押出機としては、単軸でも多軸でも良く、多軸の場合、噛合い型同方向回転二軸押出機等の二軸押出機、二軸以上の多軸押出機を好ましく使用することができる。通常、通常の噛合い型同方向回転二軸押出機等が好ましく使用される。混練温度は特に限定されないが、220℃〜340℃が好ましく、240℃〜320℃がより好ましい。340℃を超える、高温になりすぎた場合、樹脂・添加剤の分解が発生および添加剤の凝集が発生し成形品の外観不良を引き起こす傾向がある。
溶融混練工程で新たに配合するポリカーボネート(A)の添加量は特に限定されないが、予備混合物100質量部に対して、250〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。10000質量部を超えると、生産性が劣り、250質量部未満では、均一な難燃性が得られなくなる傾向がある。
溶融混練工程で添加する難燃剤(B)の添加量は特に限定されないが、予備混練物に含まれるポリカーボネートと新たに添加するポリカーボネートの合計100質量部に対して、0.01〜40質量部が好ましく、0.01〜25質量部がより好ましく、0.01〜10質量部がさらに好ましく、0.01〜5質量部が特に好ましい。0.01質量部未満では、安定した難燃性を得ることが難しくなり、40質量部を超えると、ポリカーボネートの分解を引き起こし、製造上において不具合が発生する可能性がある。
また、本発明は、前記難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形品に関する。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を使用するため、成形品には異物が少なく、難燃性、機械的強度とともに表面外観にも優れている。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、UL規格94(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)の垂直燃焼試験(V試験)を、試験片の厚み1.5mmで行った場合の等級が、V−0またはV−1であることが好ましい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ質量基準である。
(製造例1)予備混合物Aの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm:ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリロニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、50:50(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合した。得られた混合液を酸で中和して中和混合液を得た。次に、ポリカーボネート樹脂粒子(一次粒子径1mm)の粉末4質量部に、中和混合液(固形分0.46質量部)を添加した。次に、80℃に加温して、スーパーミキサーを用いて0.5時間攪拌した後、乾燥させて予備混合物Aを製造した。予備混合物A中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、89.0:6.5:6.5である。また、得られた予備混合物Aは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
<PTFE粒子の平均粒子径の測定>
予備混合物A1gに対して、50mlの塩化メチレンを加えて、23℃下、3時間放置した。次に、得られた溶液を20分間スターラーで攪拌し、溶解せずに残ったPTFE粒子100個について、長径及び短径を測定し、(長径+短径)/2を粒径とし、100個のPTFE粒子の粒径の平均値を、PTFE粒子の平均粒子径とした。その結果、予備混合物Aにおける当該平均粒子径は、70μmであった。なお、短径の最小値は9μm、長径の最大値は264μmであった。
(製造例2)予備混合物Bの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm :ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリロニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、65:35(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合したこと以外は、製造例1と同様にして、予備混合物Bを製造した。予備混合物B中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、89.7:6.7:3.6である。また、得られた予備混合物Bは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
(製造例3)予備混合物Cの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm :ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリロニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、35:65(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合したこと以外は、製造例1と同様にして、予備混合物Cを製造した。予備混合物C中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、82.3:6.2:11.5である。また、得られた予備混合物Cは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
(実施例1〜7及び比較例1〜6)
表1に記載の組成となるようにして、各成分をタンブラーに投入し、10分間乾式混合した。次に、二軸押出機((株)日本製鋼所製のTEX30α)を用いて、溶融温度280℃で混練し、各ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)で射出成形し、得られた成形品を後述の評価に供した。表1に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。なお、予備混合物A〜Cは、前述の製造例1〜3で製造したものである。また、全ての実施例及び比較例において、共通して、酸化防止剤(リン系及びフェノール系)及び離型剤が微量添加されている。
(各成分)
・PC:ポリカーボネート樹脂(住化ポリカーボネート社製のSDポリカ200−20:芳香族ポリカーボネート樹脂、嵩密度 0.7g/ml)
・難燃剤:シリコーン系難燃剤(ジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシラン、及びテトラクロロシランの共重合体であり、主鎖構造のM/D/T/Q=14/16/70/0(モル比)、全有機官能基中のフェニル基の比率が32モル%、末端基がメチル基、重量平均分子量が65000程度)
・A3800:三菱レイヨン社製のPTFE/MS(ポリメタクリルスチレン)=50/50の粒子
・SN3307:シャインポリマー社製のPTFE/SAN(スチレン−アクリロニトリル共重合体)=50/50の粒子
・エラストマー: カネエースM711 カネカ社製、コア−シェル型メチルメタアクリレート・ブタジエンゴム(メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体)
・PTSNa:パラトルエンスルホン酸ナトリウム塩
・C4:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩
<A3800及びSN3307のPTFE粒子の平均粒子径の測定>
A3800及びSN3307について、前述の予備混合物Aと同様にして、PTFE粒子の平均粒子径を測定した。その結果、A3800の当該平均粒子径は317μmであった。なお、短径の最小値は82μm、長径の最大値は715μmであった。一方、SN3307の当該平均粒子径は253μmであった。なお、短径の最小値は79μm、長径の最大値は633μmであった。
<フィブリル直径(短軸方向最大幅)>
エラストマーを配合しないこと以外、実施例1と同様にして難燃性ポリカーボネート樹脂組成物ペレット(試験用)を作成した。得られたペレットにノッチを入れた後に、液体窒素で凍結し、流動方向に垂直な方向に破断させた。破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、127μm×95μmの任意の一視野に存在するポリテトラフルオロエチレン(C)のフィブリルの最も太い部分の直径(短軸方向最大幅)が2μmを超えるフィブリルの個数を数えた。合計3つのペレットについて測定し、2μmを超えるフィブリルが存在するものを×、存在しないものを〇として評価した。これらの結果を表1に示す。なお、ペレット破断面に露出するフィブリルにおいて、フィブリル断面の短軸方向最大幅をフィブリル直径と見做した。
<難燃性評価>
表1に示す配合比率の各実施例1〜8および比較例1〜6で得られたペレットを用いて、UL−94規格(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に従い、垂直燃焼試験(V試験)を、試験片の厚み1.5mmで行い、その等級を評価した。結果を表1に示す。
<外観評価1:異物個数>
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたペレットを、125℃で4時間乾燥後、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)を用いて、試験片成形時の温度300℃、射出圧力100MPa、金型温度100℃の条件下で試験片(80mm×52mm×2mmの平板)を作製した。次に、各試験片の視認できる領域を目視及び光学顕微鏡で観察して、直径が50μm以上の異物の数をカウントした。以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
〇:異物の数が0〜5個であり、表面のざらつきが殆どない
△:異物の数が6〜10個であり、表面のざらつきがややある
×:異物の数が10個超であり、表面のざらつきが大きい
<外観評価2:表面の色むら>
着色剤としてTiOを1.0質量%、カーボンブラックを0.0025質量%配合したこと以外は、実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして作製した、ポリカーボネート樹脂組成物を試験片とした。具体的には、着色剤としてTiOを1.0質量%、カーボンブラックを0.0025質量%配合したこと以外は、実施例1〜8及び比較例1〜6と同様にして得られたペレットを、125℃で4時間乾燥後、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)を用いて、試験片成形時の温度300℃、射出圧力100MPa、金型温度100℃の条件下で試験片(80mm×52mm×2mmの平板)を作製した。次に、暗幕中で、試験片の一方側の主面に対して90°の両方向から、ライト光面 約170mm×120mmのLED平面ライト(NanGuang社製Web LED Photo Light WP−960)を用いてライト照度(約2180Lx/50cm)の白色光を照射した。試験片の当該主面から垂直方向に約10cmの距離をおいて、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA2000)を設置し、前記主面の12箇所について輝度を測定した。得られた各輝度のうちの最大輝度及び最小輝度、12箇所の平均輝度を用いて、色相ばらつき=((最大輝度−最小輝度)/平均輝度)×100を算出した。5つの試験片についての色相ばらつき(%)の平均を、平均色相ばらつき(%)とした。得られた平均色相ばらつき(%)の結果から、以下の基準により表面の色むらを評価した。結果を表1に示す。
◎:平均色相ばらつきが、31.0%未満であり、色むらが極めて少なく、目視でも色むらは殆ど認識できない。
〇:平均色相ばらつきが、31.0%以上32.0%未満であり、色むらは少ないが、目視で若干色むらが認識できる。
×:平均色相ばらつきが、32.0%以上であり、色むらは多く、目視で色むらがはっきりと認識できる。
Figure 2019049563
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物によれば、得られた樹脂組成物から成形した成形体は、優れた難燃性と機械的強度と優れた外観を両立しており、塗装レス、表面コーティングが不要となるなどのメリットが多くあるため、外観改良が要求される用途に好適に適用でき、極めて工業的利用価値が高い。

Claims (9)

  1. (A)ポリカーボネート、(B)シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤およびリン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤、(C)ポリテトラフルオロエチレン、および、(D)エラストマーを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって、
    組成物中の難燃剤(B)の含有量が0.001〜40質量%、ポリテトラフルオロエチレン(C)の含有量が0.1〜1.0質量%、エラストマー(D)の含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. エラストマー(D)が、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体、スチレン−イソプレン系トリブロック共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. さらに、(E)スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリルスチレン、ポリエステル、ポリアミド、および、エチレンビニルアセテート重合体からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む請求項1又は2のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(E)の含有量が、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物中、0.005〜5質量%である請求項3に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物において、エラストマー(D)を配合せずに作製した試験用樹脂組成物を流動方向に垂直な方向に凍結破断させた破断面を走査型電子顕微鏡で観察した127μm×95μmの任意の一視野に存在するポリテトラフルオロエチレン(C)のフィブリルの最も太い部分の直径が2μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた80mm×52mm×2mmの成形品に存在する50μm以上の異物の個数が10個以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. ポリテトラフルオロエチレン(C)の平均粒子径が200μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 熱可塑性樹脂(E)の平均粒子径が5μm以下である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形品。
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