JPWO2019045092A1 - 新規脂肪族ポリカーボネート - Google Patents

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Abstract

低温で熱分解(脱脂)させることができる熱分解性バインダーに使用できる脂肪族ポリカーボネート樹脂が提供される。当該脂肪族ポリカーボネートは、式(1):(式中、R1、R2、及びR3は同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、R4は置換基で置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、nは0から3の整数を示す。)で示される構成単位を含む脂肪族ポリカーボネートである。

Description

本発明は、新規な構造を含む脂肪族ポリカーボネート、当該脂肪族ポリカーボネート含む熱分解バインダー、及び当該脂肪族ポリカーボネートを含むスラリー組成物等に関する。
無機化合物の微粒子をバインダー樹脂とともに溶媒に分散させたスラリー組成物は、様々な形状の焼結体を得るために用いられている。例えば、銀、銅、ニッケル等の金属微粒子とバインダー樹脂からなるスラリー組成物は、基板上への回路を形成したり、電極を形成したりする際に用いられ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化ケイ素等のセラミックの微粒子とバインダー樹脂からなるスラリー組成物は電子素子の製造等に用いられている。
バインダー樹脂は成形後の脱脂工程で熱分解により除去される。一般にバインダー樹脂としてはセルロース樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂などが使用されるが、これらの樹脂は分解温度が400℃以上であり、脱脂温度が不十分であると多量の炭素分が残留し、製品の性能へ悪影響を及ぼすことがある。そのため、多大な熱エネルギーを掛け、残留炭素を低減することが行われている。そこで、少ないエネルギー量、言い換えれば、従来よりも低い温度で、熱分解するバインダー樹脂の開発が望まれている。
脂肪族ポリカーボネートは、二酸化炭素とエポキシドとから製造される。脂肪族ポリカーボネートは、分解温度が300℃未満と低く、残留炭素が実質的にないといった特徴を持つため、これをバインダー樹脂として用いることが検討されている。近年では、脂肪族ポリカーボネートの分子構造を変化させたり、添加剤を加えたりすることにより、熱分解温度をさらに低下させるという試みがいくつか行われている。例えば、特許文献1には特定の構造を有する有機カチオンからなる塩の添加により分解温度を下げることができることが開示されている。特許文献2には光酸発生剤の添加と光照射により、分解温度を下げる効果があることが開示されている。
特許第5781939号公報 特開2010−106286号公報
本発明者らは前述の脂肪族ポリカーボネートを含むバインダー樹脂を検討していく過程で、前記特許文献に記載の脂肪族ポリカーボネートの分解温度を低下させる技術を適用すると、樹脂の保存安定性やプロセス性に問題が生じる場合があることを見出した。具体的には、樹脂を長時間保管している間に分子量が低下してしまう場合がある、分解温度以下であっても、例えば70℃の温度に1時間以上さらされると、樹脂の分解が起こってしまう場合があることを見出した。そのため、これらを回避するために、熱分解させる工程の直前までは温度が高くならないような温度管理を必要としたり、使用直前に添加剤を均一に混合させ、出来る限り短時間で熱分解工程に供するようにしたりする必要があり、脂肪族ポリカーボネートを含むバインダー樹脂を用いて製品を製造する現場におけるプロセスへの適用に制限があると言える。
本発明は、前記課題を鑑みてなされたものであり、常温よりも比較的高い温度(例えば70℃程度)の温度環境下に長時間さらしても樹脂の分解が起こらず、樹脂分解温度としては比較的低温(例えば200℃未満)で熱分解させることができる、脂肪族ポリカーボネートを提供することにある。
本発明者らは、ある特定の構造を有する脂肪族ポリカーボネートは、常温よりも比較的高い温度の温度環境下に長時間さらしても樹脂の分解が起こらず、樹脂分解温度としては比較的低温で熱分解する可能性を見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
2級アミノ基を側鎖に有する脂肪族ポリカーボネート。
項2.
脂肪族ポリカーボネートであって、式(1):
Figure 2019045092
(式中、R、R、及びRは同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、Rは置換基で置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、nは0から3の整数を示す。)
で示される構成単位を含む項1に記載の脂肪族ポリカーボネート。
項3.
脂肪族ポリカーボネートが、さらに式(2):
Figure 2019045092
(式中、R、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示す。RからRのうち2つが、これらが結合する炭素原子と共に、互いに結合して、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成していてもよい。)
で示される構成単位を含む、項1または2に記載の脂肪族ポリカーボネート。
項4.
式(1)で示される構成単位の割合が、脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位に対して、0.1モル%以上30モル%以下である、項1から3のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
項5.
前記Rが炭素数3から20の2級もしくは3級アルキル基である、項1から4のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
項6.
前記nが1である、項1から5のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
項7.
項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネートを含む熱分解性バインダー。
項8.
項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネートと溶媒と無機粒子とを含むスラリー組成物。
本発明の脂肪族ポリカーボネートは比較的低温で熱分解が可能であるため、熱分解バインダーとして利用したときに低温で熱分解(脱脂)させることが可能であり、したがって、大幅な熱エネルギーの削減が可能になる。また、前記脂肪族ポリカーボネートは、非酸化性雰囲気下であっても熱分解(脱脂)が可能であるため、酸素と反応してしまう可能性のある無機粒子を含む場合でも、非酸化性雰囲気下で脱脂することができる。
実施例2bで得られた脂肪族ポリカーボネート及び比較例1で得られた脂肪族ポリカーボネートの熱重量曲線を示す。
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本発明に包含される脂肪族ポリカーボネート(以降、本明細書内では「本発明の脂肪族ポリカーボネート」と称する場合がある)は、式(1):
Figure 2019045092
(式中、R、R、及びRは同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、Rは置換基で置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、nは0から3の整数を示す。)
で示される構成単位を含む。式(1)からわかるように、当該構成単位(構成単位(1))は、2級アミノ基を側鎖に有している。当該側鎖は、直接、又は、炭素数1、2、又は3のアルキレン基を介して、主鎖に結合している。構成単位(1)を含むことにより、本発明の脂肪族ポリカーボネートは、比較的低温で分解し、且つ保存安定性が高い。
前記の通り、R、R及びRは、同一又は異なっている。つまり、R、R及びRが全て同一でもよく、R及びRが同一でRは異なっていてもよく、R及びRが同一でRは異なっていてもよく、R、R及びRが全て異なっていてもよい。
、R及びRで示されるアルキル基は、炭素数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15の、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。炭素数は、好ましくは1から10であり、より好ましくは1から8であり、さらに好ましくは1から6であり、よりさらに好ましくは1から4である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
、R及びRで示されるアルキル基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。R、R及びRで示されるアルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、アリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。ここでのアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。
また、R、R及びRで示されるアリール基は、炭素数6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のアリール基であり、好ましくは6から14である。例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
、R及びRで示されるアリール基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。当該アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。ここでのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
特に制限はされないが、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1から4のアルキル基であることが好ましい。中でも、R、R及びRは水素原子であることが好ましい。
で示されるアルキル基は、炭素数1から20(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。炭素数は、好ましくは1から10である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられる。
で示されるアルキル基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。Rで示されるアルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、アリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。ここでのアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。
また、Rで示されるアリール基の炭素数は、炭素数6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のアリール基であり、好ましくは6から10である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
で示されるアリール基は、置換基で置換されていてもよい。当該アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。当該アリール基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。ここでのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
は炭素数3から20の2級アルキル基または3級アルキル基であることがさらに好ましい。より具体的には、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等がさらに好ましく例示される。
nは0から3までの整数を示し、好ましくは1または2であり、1が特に好ましい。
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、式(1)で示される構成単位のみにより構成されるものであってよいが、式(1)で示される構成単位以外に、式(2):
Figure 2019045092
(式中、R、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示す。RからRのうち2つが、これらが結合する炭素原子と共に、互いに結合して、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成していてもよい。)
で示される構成単位(構成単位(2))を含んでいることが好ましい。
前記の通り、R、R、R、及びRは、同一又は異なっている。つまり、R、R、R、及びRが全て同一でもよく、R、R、Rが同一でRは異なっていてもよく、R、R、Rが同一でRは異なっていてもよく、R、R、R、及びRが全て異なっていてもよい。
、R、R、及びRで示されるアルキル基は、炭素数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15の、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。炭素数は、好ましくは1から4である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
、R、R、及びRで示されるアルキル基は、置換基で置換されていてもよい。当該アルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、アリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。当該アルキル基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。ここでのアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。
また、R、R、R、及びRで示されるアリール基は、炭素数6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のアリール基であり、好ましくは6から14である。例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
、R、R、及びRで示されるアリール基は、置換基で置換されていてもよい。当該アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。当該アリール基は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。ここでのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
、R、R、及びRのうち2つが互いに結合して形成される、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環としては、例えば、置換基で置換されていてもよい3から8員環の脂肪族環が挙げられる。当該脂肪族環としては、より具体的には、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環等が挙げられる。また、当該脂肪族環が置換基で置換されている場合、置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シリル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。また、当該脂肪族環は、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。ここでのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。また、シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
中でも、R、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1から4のアルキル基であることが好ましい。特に、R、R及びRは水素原子であり、Rは炭素数1から4のアルキル基であることが好ましい。また、中でも、Rはメチル基又はエチル基であることが更に好ましい。
本発明の脂肪族ポリカーボネートが、式(1)で示される構成単位以外に、式(2) で示される構成単位を含んでいる場合、特に制限はされないが、RとRが同じであり、RとRが同じであり、RとRが同じであることが好ましい。
なお、本発明の脂肪族ポリカーボネートは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1)で示される構成単位及び式(2)で示される構成単位以外に他の構成単位を含んでもよく、あるいは、式(1)で示される構成単位のみからなるもの、若しくは式(1)で示される構成単位及び式(2)で示される構成単位のみからなるもの、であってもよい。
本発明の脂肪族ポリカーボネートの製造方法としては、例えばエポキシドと二酸化炭素とを重合反応(好ましくは金属触媒の存在下で重合反応)させる方法が挙げられる。
式(1)で示される構成単位を形成するために用いられるエポキシドとしては、特に限定されないが、2級アミノ基を有するエポキシドまたは、2級アミノ基が保護基で保護されたエポキシドが好ましく用いられる。2級アミノ基を有するエポキシドとしては、N−オキシラニル−N−メチルアミン、N−オキシラニルメチル−N−メチルアミン、N−オキシラニルエチル−N−メチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−メチルアミン、N−オキシラニル−N−エチルアミン、N−オキシラニルメチル−N−エチルアミン、N−オキシラニルエチル−N−エチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−エチルアミン、N−オキシラニル−N−プロピルアミン、N−オキシラニルメチル−N−プロピルアミン、N−オキシラニルエチル−N−プロピルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−プロピルアミン、N−オキシラニル−N−イソプロピルアミン、N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミン、N−オキシラニルエチル−N−イソプロピルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−イソプロピルアミン、N−オキシラニル−N−ブチルアミン、N−オキシラニルメチル−N−ブチルアミン、N−オキシラニルエチル−N−ブチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−ブチルアミン、N−オキシラニル−N−イソブチルアミン、N−オキシラニルメチル−N−イソブチルアミン、N−オキシラニルエチル−N−イソブチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−イソブチルアミン、N−オキシラニル−N−sec−ブチルアミン、N−オキシラニルメチル−N− sec−ブチルアミン、N−オキシラニルエチル−N− sec−ブチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N− sec−ブチルアミン、N−オキシラニル−N−tert−ブチルアミン、N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアミン、N−オキシラニルエチル−N−tert−ブチルアミン、N−オキシラニルプロピル−N−tert−ブチルアミン、N−オキシラニルアニリン、N−オキシラニルメチルアニリン、N−オキシラニルエチルアニリン、N−オキシラニルプロピルアニリン等が挙げられる。2級アミノ基が保護基で保護されたエポキシドとしては、例えば、炭素数1から10のアミド基、炭素数1から10のカルバメート基、炭素数1から10のスルホンアミド基、あるいは、置換または非置換ベンジル基等により2級アミノ基が保護されたエポキシドが挙げられ、なかでもアセトアミド基で保護されたエポキシド(例えば、N−オキシラニル−N−メチルアセトアミド、N−オキシラニル−N−イソプロピルアセトアミド、N−オキシラニル−N−tert−ブチルアセトアミド、N−オキシラニルメチル−N−メチルアセトアミド、N−オキシラニルメチル−N−メチルアセトアミド、N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアセトアミド、N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアセトアミド)、tert−ブチルカルバメート基で保護されたエポキシド(例えば、N−オキシラニル−N−メチル−tert−ブチルカルバメート、N−オキシラニル−N−イソプロピル−tert−ブチルカルバメート、N−オキシラニル−N−tert−ブチル−tert−ブチルカルバメート、N−オキシラニルメチル−N−メチル−tert−ブチルカルバメート、N−オキシラニルメチル−N−イソプロピル−tert−ブチルカルバメート、N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチル−tert−ブチルカルバメート)、p−トルエンスルホンアミド基で保護されたエポキシド(例えば、N−オキシラニル−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−オキシラニル−N−イソプロピル−p−トルエンスルホンアミド、N−オキシラニル−N−tert−ブチル−p−トルエンスルホンアミド、N−オキシラニルメチル−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−オキシラニルメチル−N−イソプロピル−p−トルエンスルホンアミド、N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチル−p−トルエンスルホンアミド)、ベンジル基で保護されたエポキシド(例えば、N−ベンジル−N−オキシラニル−N−エチルアミン、N−ベンジル−N−オキシラニル−N−イソプロピルアミン、N−ベンジル−N−オキシラニル−N−tert−ブチルアミン、N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−エチルアミン、N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミン、N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアミン)、p−メトキシベンジル基で保護されたエポキシド(例えば、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニル−N−メチルアミン、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニル−N−イソプロピルアミン、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニル−N−tert−ブチルアミン、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニルメチル−N−メチルアミン、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミン、N−p−メトキシベンジル−N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアミン)等が好ましく挙げられる。
前記エポキシドを二酸化炭素と共重合させることにより(2級アミノ基が保護されたエポキシドを用いる場合は、2級アミノ基が保護されたアミノ基含有ポリカーボネート樹脂の前駆体を得た後に、適切な脱保護反応を行うことにより)、式(1)で示される構成単位を有する脂肪族ポリカーボネートが得られる。重合反応性の高さの観点から、2級アミノ基が保護されたエポキシドを用い、2級アミノ基が保護されたアミノ基含有ポリカーボネート樹脂の前駆体を得た後に、適切な脱保護反応を行うことが好ましく、なかでも、合成の容易さの観点から、保護基としてベンジル基、tert−ブチルカルバメート基、p−メトキシベンジル基で保護されたエポキシドを用い、水素添加反応、酸分解反応、又は酸化反応等により脱保護する方法が好ましい。
式(2)で示される構成単位を形成するために用いられるエポキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、1−オクテンオキシド、1−ドデセンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキサンオキシド、3−フェニルプロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロプロピレンオキシド、3−ナフチルプロピレンオキシド、3−フェノキシプロピレンオキシド、3−ナフトキシプロピレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、3−ビニルオキシプロピレンオキシド、3−トリメチルシリルオキシプロピレンオキシド等が挙げられる。なかでも、高い反応性を有する観点から、プロピレンオキシドが好ましい。
金属触媒を用いる場合、金属触媒としては、例えば、亜鉛系触媒、マグネシウム系触媒、アルミニウム系触媒、クロム系触媒、コバルト系触媒、ニッケル系触媒等が挙げられる。これらの中では、エポキシドと二酸化炭素との重合反応において、高い重合活性、広いモノマー適用性を有することから、亜鉛系触媒及びコバルト系触媒が好ましい。
亜鉛系触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜鉛触媒、水、ジオール、一級アミン、2価のフェノール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族アミノ酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アミノ酸等の化合物と亜鉛化合物とを反応させることにより得られる有機亜鉛触媒等が挙げられる。これらの有機亜鉛触媒の中でも、より高い重合活性を有することから、亜鉛化合物と脂肪族ジカルボン酸と脂肪族モノカルボン酸とを反応させて得られる有機亜鉛触媒が好ましく、酸化亜鉛とグルタル酸と酢酸とを反応させて得られる有機亜鉛触媒がより好ましい。
前記コバルト系触媒としては、例えば、式(3):
Figure 2019045092
(式中、R及びR10は、同一又は異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基、又は置換もしくは非置換の芳香族複素環基であるか、又は2個のRもしくは2個のR10が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく;R11、R12及びR13は、同一又は異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換の芳香族オキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、又は隣り合う炭素原子上のR12とR13とが互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は置換もしくは非置換の芳香環を形成してもよく、Zは、F、Cl、Br、I、N 、CFSO 、p−CHSO 、BF 、NO 、NO 、OH、PF 、BPh 、SbF 、ClO 、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及び芳香族オキシドからなる群より選択されるアニオン性配位子である)
で示されるコバルト錯体を用いることができる。
式(3)で示されるコバルト錯体のなかでも、式(4):
Figure 2019045092
(式中、R及びR10は、同一又は異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基、又は置換もしくは非置換の芳香族複素環基であるか、又は2個のRもしくは2個のR10が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく;複数のR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、置換もしくは非置換の芳香族基、又はハロゲン原子であり、Zは、F、Cl、Br、I、N 、CFSO 、p−CHSO 、BF 、NO 、NO 、OH、PF 、BPh 、SbF 、ClO 、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及び芳香族オキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である)
で示されるコバルト錯体が好ましい。
式(4)で示されるコバルト錯体の中で、好適な具体例として、次の式(4−1)から(4−5)で示されるコバルト錯体が挙げられる。
Figure 2019045092
前記重合反応に用いられる金属触媒の使用量は、重合反応の進行を促進する観点から、エポキシド100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、使用量に見合う効果を得る観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
前記重合反応は、必要に応じて、金属触媒に加えて、助触媒の存在下で行ってもよい。助触媒としては、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ピペリジン、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾエート(PPNOBzF)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド(nBuNCl)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(nBuNBr)、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(nBuNI)、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート(nBuNOAc)、テトラ−n−ブチルアンモニウムナイトレート(nBuNO)、トリエチルホスフィン(EtP)、トリ−n−ブチルホスフィン(nBuP)、トリフェニルホスフィン(PhP)、ピリジン、4−メチルピリジン、4−ホルミルピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、N−プロピルイミダゾール等が挙げられる。これらのなかでは、PPNCl、PPNF、PPNOBzF及びnBuNClが好ましく、高い反応活性を有する観点から、PPNClがより好ましい。
助触媒の使用量は、金属触媒1モルに対して、好ましくは0.1から10モル、より好ましくは0.3から5モル、さらに好ましくは0.5から1.5モルである。
前記重合反応には、必要に応じて反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、特に限定されず、種々の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。
反応溶媒の使用量は、反応を円滑に進行させる観点から、エポキシド100質量部に対して、100から10000質量部が好ましい。
エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で重合反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、オートクレーブに、エポキシド、金属触媒、及び必要により助触媒、反応溶媒等を仕込み、混合した後、二酸化炭素を圧入して、反応させる方法が挙げられる。
前記重合反応において用いられる二酸化炭素の使用量は、エポキシド1モルに対して、好ましくは1から10モル、より好ましくは1から5モル、さらに好ましくは1から3モルである。
前記重合反応において用いられる二酸化炭素の使用圧力は、特に限定されないが、反応を円滑に進行させる観点から、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.5MPa以上であり、使用圧力に見合う効果を得る観点から、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは5MPa以下である。
前記重合反応における重合反応温度は、特に限定されない。反応時間短縮の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、副反応を抑制し、収率を向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
重合反応時間は、重合反応条件により異なるが、1から40時間程度であることが好ましい。
次に本発明の脂肪族ポリカーボネートの合成方法について記載する。
式(1)で示される構成単位を形成するために用いられるエポキシドとして、例えばベンジルアミン誘導体が挙げられる。当該ベンジルアミン誘導体は、例えば以下の式の方法により製造することができる。
Figure 2019045092
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R、R、R及びRは前記に同じであり、nは前記に同じである)
式(I)で示される化合物に、式(II)で示される化合物を反応させることで、式(III)で示される化合物を製造することができる。なお、以下式(I)等で示される化合物を、化合物(I)等と呼ぶことがある。
はハロゲン原子を示し、好ましくは塩素原子又は臭素原子を示す。
当該反応は、一般に、適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下に行われる。反応を円滑に進行させる観点から、塩基性化合物の存在下で行われることが好ましい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
化合物(II)の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常少なくとも1モル以上であり、好ましくは1から5モルである。
塩基性化合物としては、公知の有機塩基及び無機塩基を広く使用することができる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。反応後の除去のしやすさの観点から、無機塩基が好ましい。
塩基性化合物を使用する場合における塩基性化合物の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常少なくとも1モル以上であり、好ましくは1から5モルである。
当該反応は、通常0から70℃程度(好ましくは常温)にて好適に進行し、一般に10時間から100時間程度にて該反応は終了する。
製造された化合物(III)は、例えばクロマトグラフィー(好ましくはシリカゲルカラムクロマトグラフィー)、蒸留、再結晶等により、精製することができる。
当該化合物(III)を重合させることにより、上記式(1)で示される構成単位を含む脂肪族ポリカーボネートを得ることができる。当該化合物(III)のみを重合させて脂肪族ポリカーボネートを調製してもよいし、他のエポキシド等と共に重合させて脂肪族ポリカーボネートを調製してもよい。
例えば、上記式(1)で示される構成単位に加え、上記式(2)で示される構成単位をも含む脂肪族ポリカーボネートについては、例えば次のようにして製造することができる。
Figure 2019045092
(式中、R、R、R及びRは前記に同じであり、R、R、R及びRは前記に同じであり、nは前記に同じである)
化合物(III)を化合物(IV)及び二酸化炭素と重合させることにより、脂肪族ポリカーボネートである化合物(V)を製造することができる(上記式)。
当該反応は、前述の通り、金属触媒の存在下に行われ得る。また、反応を円滑に行う観点から、溶媒を用いてもよい。
用いる金属触媒については、前述した通りである。
また、溶媒を用いる場合には、溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、水は反応に悪影響を及ぼす恐れがあるため、できるかぎり反応系から除去することが好ましい。水を除去する方法としては、吸着剤との接触による方法、反応性乾燥剤(例えば、水素化カルシウム、金属ナトリウム、アルキル亜鉛、アルキルアルミニウム等)との接触による方法等が挙げられる。
化合物(IV)の使用量は、好ましくは、化合物(III)1モルに対して、少なくとも1モル以上であり、より好ましくは1から50モルであり、さらに好ましくは10から40モルである。なお、二酸化炭素は、両化合物に対して過剰量用いることが好ましい。
当該反応は、通常20から70℃程度(好ましくは30から50℃)にて好適に進行し、一般に2時間から48時間程度にて該反応は終了する。また、当該反応は、高圧下で行われることが好ましい。例えば好ましくは0.5から20MPa程度、より好ましくは1から10MPa程度の高圧下で行われることが好ましい。例えば、二酸化炭素を反応容器に充填することで圧力を高めることができる。なお、反応容器としては、例えばオートクレーブを好ましく用いることができる。
また、カラムクロマトグラフィー、再沈殿法等により、得られた化合物(V)を精製することもできる。
Figure 2019045092
(式中、R、R、R及びRは前記に同じであり、R、R、R及びRは前記に同じであり、nは前記に同じである)
化合物(V)におけるアミノ基の保護基(ベンジル基)を脱保護することにより、本発明の脂肪族ポリカーボネートの好ましい一例である、化合物(VI)を得ることができる(上記式)。当該脱保護反応は、前述の通り、水素添加反応または酸化反応により行うことができる。水素添加反応(すなわち加水素分解反応)の場合、当該反応は、例えば溶媒中、パラジウム炭素を触媒として用い、反応系に水素ガスを加えることで行うことができ、例えば1から300気圧の水素ガス下で行う。当該反応に用いることが出来る溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒;1,2−ジメトキシエタン、THFなどのエーテル系溶媒を用いることが出来る。また、当該反応は通常10から60℃程度で行うことができ、通常10から100時間程度行う。
酸化反応の場合、当該反応は例えば、硝酸セリウムアンモニウムを用い、溶媒中で行うことが出来る。当該反応に用いることが出来る溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒;1,2−ジメトキシエタン、THFなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、DMF、DMSO、水を用いることが出来る。また、当該反応は通常10から60℃で行うことができ、通常2から48時間程度行う。
かくして得られた化合物(VI)は、カラムクロマトグラフィー、再沈殿法等により精製することもできる。
本発明の脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量は、2000から1000000であることが好ましい。当該数平均分子量は、脂肪族ポリカーボネートを無機粒子と混合してスラリー組成物として用いる場合に、分散性の観点から、好ましくは2000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは8000以上である。また、脂肪族ポリカーボネートの溶媒への溶解性の低下による取り扱い性の低下を避ける観点から、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下、さらに好ましくは300000以下である。
なお、脂肪族ポリカーボネート樹脂の数平均分子量は、脂肪族ポリカーボネート樹脂濃度が0.5質量%のクロロホルム溶液を調製し、高速液体クロマトグラフを用いて測定する。測定後、同一条件で測定した数平均分子量が既知のポリスチレンと比較することにより、数平均分子量を算出する。用いた脂肪族ポリカーボネート樹脂が2級アミノ基の保護基含有脂肪族ポリカーボネート樹脂である場合には、樹脂中の保護基を含有する構成単位の割合及び構成単位の分子量に基づいて、アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート樹脂の数平均分子量に換算することができる。
また、測定条件は、以下の通りである。
カラム:GPCカラム
カラム温度:40℃
溶出液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、前記の如く、2級アミノ基を側鎖に有しており、熱分解温度が比較的低温であり、保存安定性に優れている。本発明の脂肪族ポリカーボネートの熱分解開始温度は、好ましくは220℃未満、より好ましくは180℃未満、さらに好ましくは150℃未満である。また、加熱による分解工程前のプロセス中における分解を防ぐ観点から、70℃での2時間保持後の質量減少率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
熱分解温度は、式(1)で示される構成単位の含有量および、Rの構造等により調整することができる。
なお、熱重量分析測定は、熱重量分析測定機器(例えばリガク社製Thermo plus EVO2)を用いて行う。窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で室温から所定の温度(350℃)まで昇温して、熱分解挙動を測定する。熱分解開始温度は、試験加熱開始前の質量を通る横軸に平行な線と、分解曲線における屈曲点間の勾配が最大となるように引いた接線との交点とする。
質量減少率は、窒素雰囲気下、50℃/minの昇温速度で室温から所定の温度(70℃)まで昇温し、その後、その温度で所定時間(2時間)保持して、測定する。質量減少率は、分解曲線から加熱2時間後の質量(W1)を読み取り、初期質量(W0)との比〔(W0−W1)/W0×100〕から算出する。
本発明の脂肪族ポリカーボネートにおける式(1)で示される構成単位の含有量は、当該脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位中、熱分解後の残留炭素を低減する観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは12モル%以下である。また、分解温度を低下させる観点から、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上である。かかる観点から、式(1)で示される構成単位の含有量は、脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位中、好ましくは0.1から30モル%、より好ましくは1から20モル%、さらに好ましくは3から12モル%である。
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、焼結後の残留炭素が少なく、220℃未満という低温での脱脂処理が可能であるため、焼結体の製造に用いるバインダー樹脂として有用であり、本発明の脂肪族ポリカーボネートを用いることにより、脱脂工程(加熱による分解工程)における大幅な省エネが可能になる。
このため、本発明の脂肪族ポリカーボネートは、特に熱分解樹脂バインダーとして好ましく用いることができる。本発明は、本発明の脂肪族ポリカーボネートを含む熱分解性バインダーをも包含する。
また、当該熱分解性バインダーは、効果を損なわない範囲において、本発明の脂肪族ポリカーボネート以外の脂肪族ポリカーボネート、換言すれば、式(1)で示される構成単位を含まない脂肪族ポリカーボネートを含有してもよい。このような他の脂肪族ポリカーボネートとしては、例えば、式(2)で示される構成単位を含み式(1)で示される構成単位を含まない脂肪族ポリカーボネート、式(2)で示される構成単位のみからなる脂肪族ポリカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン)カーボネート等が挙げられる。このような他の脂肪族ポリカーボネートは、1種のみ又は2種以上を、本発明の脂肪族ポリカーボネートと組み合わせて用いることができる。
本発明は、本発明の脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な溶媒、及び無機粒子を含有するスラリー組成物も包含する。
当該スラリー組成物において、脂肪族ポリカーボネートは好ましくはバインダー樹脂としてはたらく。当該スラリー組成物は、本発明の熱分解性バインダーの好ましい一形態ということができる。また、当該スラリー組成物には、熱分解性バインダーとしての性能を損なわない範囲で、式(1)で示される構成単位を含まない脂肪族ポリカーボネートを含有してもよい。このような他の脂肪族ポリカーボネートとしては、上述した具体的なカーボネートを挙げることができる。
熱分解性バインダーに含まれる脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位中の式(1)で示される構成単位の含有量が、本発明の脂肪族ポリカーボネートにおける式(1)で示される構成単位の含有量として記載した範囲であることが好ましい。すなわち、熱分解性バインダーに含まれる脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位を100モル部としたとき、式(1)で示される構成単位は、上限は好ましくは30モル部以下、より好ましくは20モル部以下、さらに好ましくは12モル部以下であり、下限は好ましくは0.1モル部以上、より好ましくは1モル部以上、さらに好ましくは3モル部以上である。中でも、好ましくは0.1から30モル部、より好ましくは1から20モル部、さらに好ましくは3から12モル部である。なお、式(1)で表される構成単位の含有量は、実施例の「脂肪族ポリカーボネート樹脂中の式(1)で示される構成単位の含有量」に記載の方法で求められる。
例えば、熱分解性バインダーに含まれる脂肪族ポリカーボネートが本発明の脂肪族ポリカーボネートのみである場合、本発明の脂肪族ポリカーボネートにおける式(1)で示される構成単位の含有量は、前記範囲であることが好ましい。
また、脂肪族ポリカーボネートが、本発明の脂肪族ポリカーボネート及びその他の脂肪族ポリカーボネートを含む場合は、熱分解性バインダーに含まれる複数の脂肪族ポリカーボネートを合わせた全構成単位中の式(1)で示される構成単位の含有量が、前記範囲であることが好ましい。
スラリー組成物が、脂肪族ポリカーボネートとして、本発明の脂肪族ポリカーボネートのみを含む場合、並びに本発明の脂肪族ポリカーボネート及びその他の脂肪族ポリカーボネートを含む場合、についても同様である。
脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ターピネオール、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、テキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルエチレングリコール、クレゾール、アニソール、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート等が挙げられる。なかでも、適度に沸点が高く、焼結時に均一に揮発しやすいという観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ターピネオール、ターピネオールアセテート、エチルカルビトールアセテート、アニソール及びプロピレンカーボネートが好ましい。なお、これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な範囲で、脂肪族ポリカーボネートを溶解不可能な溶媒と混合して用いてもよい。
本発明のスラリー組成物における溶媒の含有量は、得られる組成物のハンドリングのし易さの観点から、脂肪族ポリカーボネート(本発明の脂肪族ポリカーボネート以外の脂肪族ポリカーボネートを含む場合は、全ての脂肪族ポリカーボネートの合計)100質量部に対して、好ましくは100から2000質量部、より好ましくは200から1500質量部、さらに好ましくは300から1000質量部である。
また、本発明のスラリー組成物に用いられる無機粒子としては、 特に限定されないが、導電体粒子、セラミック粉末、ガラス粉末、及び無機蛍光体粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
導電体粒子としては、例えば、銅、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、タングステン、これらの合金等からなる金属粒子等が挙げられる。
セラミック粉末としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素等の粉末が挙げられる。また、透明電極材料に用いられるナノITO(錫ドープ酸化インジウム)や色素増感太陽電池に用いられるナノ酸化チタン等も好適に用いることができる。
ガラス粉末としては、例えば、CaO−Al−SiO系、MgO−Al−SiO系、LiO−Al−SiO系等の各種ケイ素酸化物、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス等のガラス粉末等が挙げられる。
また、ガラス粉末として、PbO−B−SiO混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物、ZnO−Bi−B−SiO混合物、Bi−B−BaO−CuO混合物、Bi−ZnO−B−Al−SrO混合物、ZnO−Bi−B混合物、Bi−SiO混合物、P−NaO−CaO−BaO−Al−B混合物、P−SnO混合物、P−SnO−B混合物、P−SnO−SiO混合物、CuO−P−RO混合物、SiO−B−ZnO−NaO−LiO−NaF−V混合物、P−ZnO−SnO−RO−RO混合物、B−SiO−ZnO混合物、B−SiO−Al−ZrO混合物、SiO−B−ZnO−RO−RO混合物、SiO−B−Al−RO−RO混合物、SrO−ZnO−P混合物、SrO−ZnO−P混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物等のガラス粉末も用いることができる。ここで、前記Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素を示す。
蛍光体微粒子としては、例えば、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、非酸化性雰囲気下であっても脱脂処理が可能であるため、特に、酸素と反応することを避けるために非酸化性雰囲気下での脱脂が望まれる無機粒子と混合して好ましく用いることができる。
スラリー組成物における脂肪族ポリカーボネートの含有量は、無機粒子の分散性が低下し、成形した際に、無機粒子の凝集により焼結体の性能が低下することを避ける観点から、前記無機粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、スラリー組成物のハンドリング性の低下を避けるという観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。なお、ここでいう脂肪族ポリカーボネートの含有量とは、本発明の脂肪族ポリカーボネートのみに限らず、2種以上の脂肪族ポリカーボネートが併用されている場合はその総量を指す。
本発明のスラリー組成物における無機粒子の含有量は、10から90質量%が好ましく、30から80質量%がより好ましい。
本発明のスラリー組成物は、必要に応じて添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、密着促進剤、界面活性剤、可塑剤、保存安定剤、消泡剤等が挙げられる。
密着促進剤としては、アミン系シランカップリング剤、グリシジル系シランカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、ポリエーテルポリオール、フタル酸エステル等が挙げられる。保存安定剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物、リン化合物、硫黄化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられる。消泡剤としては、疎水性シリカ、ポリアルキレン誘導体、ポリエーテル誘導体等が挙げられる。
スラリー組成物における添加剤の含有量は、無機粒子100質量部に対し、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
本発明のスラリー組成物の製造方法としては、特に限定されないが、脂肪族ポリカーボネート、溶媒、無機粒子、及び必要に応じて添加剤を、従来公知の攪拌方法を用いて混合、攪拌する方法等が挙げられる。
前記公知の攪拌方法としては、例えば、自転公転攪拌機、ボールミル、ブラベンダーミル、3本ロールミル等の装置を用いて混練する方法、乳鉢を用いて混練する方法等が挙げられる。
本発明のスラリー組成物を成形した後、焼結により脱脂して成形体を得ることができる。焼結工程において、本発明の脂肪族ポリカーボネートは、低温での加熱により、熱分解し、除去することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。本実施例における脂肪族ポリカーボネート等の物性等は、以下の方法により測定した。
〔脂肪族ポリカーボネート中の式(1)で示される構成単位の含有量〕
H−NMRにより樹脂中の構成単位の組成比を分析し、脂肪族ポリカーボネート中の2級アミノ基含有割合を式(1)で示される構成単位の含有量とする。
脂肪族ポリカーボネートを重クロロホルム中、25℃でH−NMRを測定し、5.0 ppm付近に現れるカーボネート基に隣接するメチン基由来のピークの積分値(A)と、2.4 ppm付近に現れる2級アミノ基に隣接するメチレン基由来のピークの積分値(B)を求め、以下の計算式よりアミノ基含有割合を算出する。
アミノ基含有割合(モル%)=B/(2×A)×100
また、2級アミノ基含有割合が小さいとき、上記方法では算出が困難な場合がある。その場合は、当該アミノ基が保護されたアミノ基含有ポリカーボネート樹脂前駆体からアミノ基含有ポリカーボネート樹脂を得る工程で、アミノ基の量は変化しないとみなし、前駆体について重クロロホルム中、25℃でH−NMRを測定し、保護基に含まれる基由来のピークの積分値(C)と、保護基を含まない構成単位に含まれる基由来のピークの積分値(D)を求め、以下の計算式よりアミノ基含有割合を算出する。例えば、実施例1(保護基がベンジル基の場合)の場合は、3.7〜3.5ppm付近に現れるフェニル基に隣接するメチレン基由来のピークの積分値(C)と1.4〜1.3 ppm付近に現れるメチル基由来のピークの積分値(D)を用いる。
アミノ基含有割合(モル%)=3×C/(3×C+2×D)×100
また、アミノ基含有割合が小さいとき、上記方法では算出が困難な場合がある。その場合は、式(1)のR由来のピークの積分値から算出することも出来る。
〔脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)〕
脂肪族ポリカーボネート濃度が0.5質量%のクロロホルム溶液を調製し、高速液体クロマトグラフを用いて測定する。測定後、同一条件で測定した数平均分子量が既知のポリスチレンと比較することにより、数平均分子量を算出する。また、測定条件は、以下の通りである。
カラム:GPCカラム(昭和電工株式会社の商品名、Shodex K−804L)
カラム温度:40℃
溶出液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
〔脂肪族ポリカーボネートの熱分解開始温度〕
リガク社製Thermo plus EVO2を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で室温から350℃まで昇温して、熱分解挙動を測定する。熱分解開始温度は、試験加熱開始前の質量を通る横軸に平行な線と、分解曲線における屈曲点間の勾配が最大となるように引いた接線との交点とする。
〔所定温度で保持後の脂肪族ポリカーボネート樹脂の質量減少率〕
リガク社製Thermo plus EVO2を用い、窒素雰囲気下、50℃/minの昇温速度で室温から所定の温度(70℃)まで昇温し、その後、その温度で所定時間(2時間)保持して、熱分解挙動を測定する。質量減少率は、分解曲線から加熱2時間後の質量(W1)を読み取り、初期質量(W0)との比〔(W0−W1)/W0×100〕から算出する。
製造例1〔コバルト錯体触媒の製造〕
攪拌機及びガス導入管を備えた100mL容のナス型フラスコに、N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(Aldrich社製)0.30g(8.3mmol)、ペンタフルオロ安息香酸0.10g(8.5mmol)、及びジクロロメタン13.3gを仕込み、空気を導入しながら19時間攪拌した。揮発分を減圧留去し、前記式(4−3)で示されるコバルト錯体を茶色固体として得た(収量0.35g、収率88%)。
製造例2a[ベンジル基で保護された2級アミノ基含有エポキシドの製造]
Figure 2019045092
磁気撹拌子を入れた50mL容のシュレンク管に、炭酸カリウム865mg(6.3mmol)を入れ、系内をアルゴン雰囲気に置換した後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)9.4g、N−ベンジル−N−エチルアミン0.72g(5.3mmol)、及びエピブロモヒドリン8.5g(62mmol)を入れた。常温で48時間撹拌した後、ジクロロメタン13.3gで三回抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水30gで2回、イオン交換水30gで1回洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1(v/v)、Rf=0.53)により精製し、無色オイル状のN−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−エチルアミンを得た(収量0.93g、収率91%)。
得られた化合物の構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.14−7.06(m,5H),3.62(s,2H),2.77(m,1H),2.63−2.60(m,2H),2.40−2.35(m,4H),1.01(t,3H)ppm.
製造例2b
用いるアミンをN−ベンジル−N−イソプロピルアミンにした以外は、製造例2aと同様の操作を行い、無色オイル状のN−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミンを得た(収量1.00g、92収率%)
得られた化合物の構造はH−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.30−7.20(m,5H),3.66(s,2H),2.96(m,1H),2.77(m,1H),2.65−2.61(m,2H),2.40−2.35(m,2H),1.05(d,6H)ppm.
製造例2c
用いるアミンをN−ベンジル−N−tert−ブチルアミンにした以外は、製造例2aと同様の操作を行い、無色オイル状のN−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアミンを得た(収量0.77g、収率66%)。
得られた化合物の構造はH−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.32−7.25(m,5H),3.62(s,2H),2.77(m,1H),2.63−2.61(m,2H),2.40−2.35(m,2H),1.10(s,9H)ppm.
実施例1a
〔2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート前駆体の製造〕
Figure 2019045092
50mL容のオートクレーブに、製造例1で得られたコバルト錯体12mg(0.014mmol)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド8.2 mg(0.014mmol)、及びN−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−エチルアミン0.53g(2.8mmol)を仕込み、系内をアルゴン雰囲気に置換した後、プロピレンオキシド1.4g(28mmol)を仕込んだ。次に、攪拌下、二酸化炭素を加え、反応系内の圧力が1.5MPaとなるまで二酸化炭素を充填した。その後、25℃で6時間重合反応を行った。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、内容物にメタノール/1M塩酸(10/1、v/v)1.0gを加えて反応を止めた。その後、ジクロロメタン6.5gを加えて内容物を溶解させ、これをメタノール100g中に滴下して白色固体を析出させた。得られた白色固体をろ過で回収し、減圧乾燥させて2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート前駆体0.52gを得た。得られた脂肪族ポリカーボネートの構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.30−7.23(m,5H),5.05−4.93(m,1H),4.31−4.08(m,2H),3.71−3.53(m,2H),2.69−2.64(m,2H),2.59−2.50(m,2H),1.35−1.32(m,3H−),1.03(t,3H)ppm.
実施例2a
〔2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネートの製造〕
Figure 2019045092
100mL容のシュレンク管に、製造例1aで得られた2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート前駆体0.52g、10%パラジウム炭素0.13g、酢酸エチル4.0g、及びメタノール2.0gを仕込み、凍結脱気を行った。その後、反応容器内を水素で置換し、室温、水素1気圧下で、24時間攪拌した。次いで、固体をろ過で除去し、得られたろ液を濃縮した後、ろ液をメタノール100gに注ぎ、固体を析出させた。得られた固体を乾燥させ、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネートを0.43g得た。得られた脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量は7100であり、2級アミノ基の含有量は1.5mol%、熱分解開始温度は217℃、70℃で2時間放置したときの質量減少は0.1%であった。得られた脂肪族ポリカーボネートの構造は、H−NMRにより同定した。H−NMR(CDCl)δ=5.05−4.96(m,1H),4.31−4.09(m,2H),2.40−2.37(m,4H),1.35−1.32(m,3H),1.26(t,3H).
実施例1b
N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−エチルアミンの代わりに、N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミンを用いた以外は、実施例1aと同様の操作を行い、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート前駆体を0.88g得た。得られた脂肪族ポリカーボネート前駆体の構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.30−7.23(m,5H),5.05−4.93(m,1H),4.31−4.08(m,2H),3.69−3.57(m,2H),2.95−2.87(m,1H),2.69−2.64(m,2H),1.35−1.31(m,3H),1.02−0.97(m,6H)ppm.
実施例2b
実施例2aと同様の操作を行い、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート0.71gを得た。得られた脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量は2700であり、2級アミノ基の含有量は1.9 mol%、熱分解開始温度は178℃、70℃で2時間放置したときの質量減少は0.3%であった。得られた脂肪族ポリカーボネートの構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=5.04−4.92(m,1H),4.31−4.09(m,2H),2.31−2.25(m,2H),1.35−1.32(m,3H),1.22−1.17(m,6H)ppm.
実施例1c
N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−エチルアミンの代わりに、N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−tert−ブチルアミンを用いた以外は、実施例1aと同様の操作を行い、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート前駆体を1.31g得た。得られた脂肪族ポリカーボネート前駆体の構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=7.31−7.20(m,5H),5.05−4.93(m,1H),4.31−4.08(m,2H),3.85−3.66(m,2H),2.90−2.70(m,2H),1.35−1.31(m,3H),1.12(s,9H)ppm.
実施例2c
実施例2aと同様の操作を行い、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネート1.05gを得た。得られた脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量は5800であり、2級アミノ基の含有量は0.5mol%、熱分解開始温度は138℃、70℃で2時間放置したときの質量減少は0.2%であった。得られた脂肪族ポリカーボネートの構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(CDCl)δ=5.04−4.96(m,1H),4.31−4.09(m,2H),1.35−1.32(m,3H),1.09(s,9H)ppm.
実施例1d、1e及び実施例2d、2e
N−ベンジル−N−オキシラニルメチル−N−イソプロピルアミンを用いる量を変えた以外は、実施例1b及び実施例2bと同様の操作を行い、2級アミノ基含有脂肪族ポリカーボネートを得た。
比較例1
重合反応において、エポキシドとしてプロピレンオキシドのみを用いたこと以外は、実施例1aと同様の反応を行い、アミノ基を含有しない脂肪族ポリカーボネート1.42gを得た。得られた脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量は67000であり、熱分解開始温度は240℃、70℃で2時間放置したときの質量減少は0.1%であった。
比較例2
特許第5781939号公報、実施例2に記載の方法を参考に以下の操作を行った。
比較例1で得られたポリプロピレンカーボネート0.2gを、テトラブチルアンモニウムアセテート0.0002gをアセトン1gに溶解させた溶液に加え、均一に混合した。得られた溶液を20℃の真空乾燥機で12時間乾燥させ、4級アンモニウム塩を1000ppm含むポリプロピレンカーボネート0.2gを得た。得られたポリプロピレンカーボネートの熱分解開始温度は140℃、70℃で2時間放置したときの質量減少は52%であった。
各実施例及び比較例で得られた脂肪族ポリカーボネートの数平均分子量、2級アミノ基含有量(式(1)で示される構成単位の含有量)、熱分解開始温度、70℃で2時間保持したときの質量減少率を表1に、実施例2cで得られた熱分解曲線と比較例1で得られた熱分解曲線を図1に示す。
Figure 2019045092
表1から分かるとおり、2級アミノ基を含有する脂肪族ポリカーボネートは、2級アミノ基を含有しない脂肪族ポリカーボネートよりも大幅に低い温度で分解が始まり、かつ、70℃で保持しても分解が起こらないことがわかる。また、アミン上の置換基が嵩高くなるほど、分解開始温度は低くなることが分かる。一方、既報のように4級アンモニウム塩を含有させた脂肪族ポリカーボネートは、分解開始温度は140℃と低いものの、70℃で保持したときに大幅に重量が減少しており、分解が起こっていることがわかる。従って、本発明の脂肪族ポリカーボネートは、低温分解性を保持しつつも、70℃で保持していても分解が起こらず、保存安定性に優れていると言える。
実施例3a〔スラリー組成物の作製〕
実施例2aで得られた脂肪族ポリカーボネート0.2g、及び可塑剤であるフタル酸ジオクチル0.04gをベンジルアルコール0.76gに溶解させた溶液に、アルミナ(昭和電工製AL160SG−3)4.0gを仕込み、自転公転攪拌機(シンキー株式会社製あわとり練太郎ARE−310)で攪拌し、アルミナスラリーを得た。
実施例3b
実施例2bで得られた脂肪族ポリカーボネート0.2gをN−メチルピロリジン0.8gに溶解させた溶液を、銀粒子(大研化学製S−211A)4.0gに加えながら乳鉢で1時間混練し、銀スラリーを得た。
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、例えば、導電性微粒子、セラミック粉末、ガラス粉末、セラミックス、無機蛍光体等の無機粒子を成形するためのバインダー、ロストフォームキャスティング等の熱分解性材料等に好ましく使用することができる。

Claims (8)

  1. 2級アミノ基を側鎖に有する脂肪族ポリカーボネート。
  2. 脂肪族ポリカーボネートであって、式(1):
    Figure 2019045092
    (式中、R、R、及びRは同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、Rは置換基で置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示し、nは0から3の整数を示す。)
    で示される構成単位を含む請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート。
  3. 脂肪族ポリカーボネートが、さらに式(2):
    Figure 2019045092
    (式中、R、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から15のアルキル基、又は置換基で置換されていてもよい炭素数6から20のアリール基を示す。RからRのうち2つが、これらが結合する炭素原子と共に、互いに結合して、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成していてもよい。)
    で示される構成単位を含む、請求項1または2に記載の脂肪族ポリカーボネート。
  4. 式(1)で示される構成単位の割合が、脂肪族ポリカーボネートを構成する全構成単位に対して、0.1モル%以上30モル%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
  5. 前記Rが炭素数3から20の2級もしくは3級アルキル基である、請求項1から4のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
  6. 前記nが1である、請求項1から5のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネート。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネートを含む熱分解性バインダー。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリカーボネートと溶媒と無機粒子とを含むスラリー組成物。
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