JPWO2019043882A1 - チタン板 - Google Patents

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Abstract

チタン板であって、化学成分は、質量%で、Cu:0.70〜1.50%、Cr:0〜0.40%、Mn:0〜0.50%、Si:0.10〜0.30%、O:0〜0.10%、Fe:0〜0.06%、N:0〜0.03%、C:0〜0.08%、H:0〜0.013%、上記およびTiを除く元素:各々0〜0.1%、かつ、それらの総和は0.3%以下、残部:Tiであり、(1)式によって定義されるA値が1.15〜2.5質量%であり、その金属組織は、α相の面積分率が95%以上、β相の面積分率が5%以下、金属間化合物の面積分率が1%以下であり、α相の平均結晶粒径D(μm)が20〜70μmであり、且つ(2)式を満たすチタン板。

Description

本発明は、チタン板に関する。
従来から、チタン板は熱交換器、溶接管、マフラーなどの二輪排気系、建材など多数の用途で使用されている。近年では、これらの製品の薄肉化・軽量化を図るためにチタン板の高強度化のニーズが高まっている。また、高強度でありながら複雑形状への成形に耐えうる成形性を維持することも望まれている。現状はJIS H4600の1種のチタンが用いられており、強度面は板厚を厚くすることで解決しているが、板厚を厚くするとチタンの軽量という特徴を十分に発揮できない。中でも、プレート式熱交換器(PHE)では複雑形状のプレス成型がなされることから、十分な成形性が要求される。この要求に応えるため、チタンの中でも成形性に優れたものが使用されている。
PHEには熱交換効率を向上させることが望まれるが、このためには薄肉化が必要となる。薄肉化を行った場合、成形性低下、耐圧性能低下が生じることから、十分な成形性の確保と強度の向上の両立が必要となる。そこで、従来、通常のチタンよりも優れた強度−成形性バランスを得るために、O量、Fe量等の最適化や、結晶粒径制御に関する検討、調質圧延を用いることがなされている。
たとえば、特許文献1には、平均結晶粒径が30μm以上を有するチタン板が開示されている。しかし、特許文献1のチタン板では強度が劣る。
そこで、特許文献2には、O含有量を規定し、β安定元素としてFeを含有し、α相の平均結晶粒径が10μm以下のチタン合金板が開示されている。特許文献3には、Fe、O量を低減するとともにCuを含有し、TiCu相を析出させてピニング効果により結晶粒の成長を抑制し、平均結晶粒径が12μm以下のチタン合金薄板が開示されている。特許文献4には、Cuを含有するとともにO含有量を低減するチタン合金が開示されている。
特許文献2〜4に開示された技術によれば、チタンが合金元素を多く含有すると、結晶粒が微細になり高強度になりやすいことを利用し、さらには、O含有量やFe含有量の低減によって成形性の確保を図っている。しかし、これらの文献に開示されている技術では、近年のニーズに対応可能な程度に、十分な成形性を維持しつつ高強度を示すことができていない。
一方、これらの文献に開示されている技術とは対照的に、合金元素を含有するとともに結晶粒の粗粒化を図る技術が検討されている。
特許文献5には、CuおよびNiを含有する化学組成を有し、600〜850℃の温度域で焼鈍を行うことにより結晶粒径を5〜50μmに調整する電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金およびその製造方法が開示されている。特許文献6には、Cu、Cr、少量のFe、Oを含有する化学組成を有する電解Cu箔製造ドラム用チタン板およびその製造方法が開示されている。この特許文献6には630〜870℃で焼鈍を行った例が記載されている。加えて、特許文献6に記載の技術はFe含有量が低く制御されている。リサイクルによりスクラップを原料に用いてチタン板を製造する場合には、スクラップ中のFeによりFe含有量が多くなるため、Fe含有量を低く制御したチタン板を製造することが困難である。したがって、リサイクルにより特許文献6に記載のチタン板を製造するためには、Fe含有量が低いスクラップを用いるなどの制約が必要となる。
特許文献7および8には、SiおよびAlを含有するチタンを、冷間圧延の圧下率を20%以下に小さくするとともに焼鈍温度を825℃以上かつβ変態点以下の条件に高温化することによって、平均結晶粒径を15μm以上にする技術が開示されている。
さらに、特許文献9には、Cu:0.5〜1.8%、Si:0.1〜0.6%、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる耐酸化性および成形性に優れた排気系部品用チタン合金材が記載されている。
特許文献10には、0.3〜1.8%のCu、0.18%以下の酸素、0.30%以下のFe、残部Tiおよび0.3%未満の不純物元素からなる冷間加工性に優れる耐熱チタン合金板が記載されている。また、特許文献11には、β相の最大結晶粒径:15μm以下、α相の面積率:80〜97%、α相の平均結晶粒径:20μm以下であって、且つ、α相の結晶粒径の標準偏差÷α相の平均結晶粒径×100が、30%以下である高強度で成形性に優れたチタン合金板が記載されている。さらに、特許文献12には、質量%で、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.01〜0.20%、Fe:0.01〜0.10%、O:0.01〜0.10%、Cr:0〜0.20%、残部:Tiおよび不可避的不純物であり、0.04≦0.3Cu+Ni≦0.44%を満足する化学組成を有し、α相の平均結晶粒径が15μm以上であり、Cuおよび/またはNiとTiとの金属間化合物が2.0体積%以下である、チタン薄板が記載されている。
日本国特許第4088183号公報 日本国特開2010−031314号公報 日本国特開2010−202952号公報 日本国特許第4486530号公報 日本国特許第4061211号公報 日本国特許第4094395号公報 日本国特許第4157891号公報 日本国特許第4157893号公報 日本国特開2009−68026号公報 日本国特開2005−298970号公報 日本国特開2010−121186号公報 WO2016/140231A1号公報
高強度化手法は合金化、結晶粒の微細化、調質圧延などの加工によって行われている。一方で、成形性向上は高強度化とはトレードオフの関係にある。そのため、高強度かつ十分な成形性の確保が難しい。特許文献2〜11に開示されている技術のように、合金元素を含有して結晶粒を微細あるいは粗大にすることによっても、近年チタン板に求められている、破断伸び42%以上の優れた成形性と、耐力が200MPa以上である高強度化の両立が十分であるとは言い難い。また、チタンには酸素がある程度不可避に含まれるが、0.01質量%程度の酸素量の変動で、強度、成形性特性は大きく変動してしまい、必要な強度と成形性が得られない。0.01質量%程度の微量のオーダーで酸素量を厳密に管理してチタン合金板を製造することは技術的に非常に困難であり、多額のコストがかかる。
また、自動車用をはじめ、構造物の材料に用いられるチタン板は溶接が施されることが多い。このため、安定した特性を有する製品を得るためには、溶接にともなうHAZ部の結晶粒の粗大化による強度低下を抑制することが求められる。
したがって本発明は、延性と強度とのバランスに優れ、さらに溶接後も十分な強度を確保できるチタン板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の要旨は次の通りである。
(1)
チタン板であって、
化学成分は、質量%で、
Cu:0.70〜1.50%、
Cr:0〜0.40%、
Mn:0〜0.50%、
Si:0.10〜0.30%、
O:0〜0.10%、
Fe:0〜0.06%、
N:0〜0.03%、
C:0〜0.08%、
H:0〜0.013%、
上記およびTiを除く元素:各々0〜0.1%、かつ、それらの総和は0.3%以下、
残部:Tiであり、
下記(1)式によって定義されるA値が1.15〜2.5質量%であり、
その金属組織は、
α相の面積分率が95%以上、
β相の面積分率が5%以下、
金属間化合物の面積分率が1%以下であり、
α相の平均結晶粒径D(μm)が20〜70μmであり、且つ下記(2)式を満たすチタン板。
A=[Cu]+0.98[Cr]+1.16[Mn]+3.4[Si] ・・・ (1)式
D[μm]≧0.8064×e45.588[O] ・・・ (2)式
ただし、eは自然対数の底である。
(2)
前記金属組織が、α相、β相および金属間化合物の分率の合計が100%である、(1)に記載のチタン板。
(3)
前記金属間化合物がTi−Si系金属間化合物とTi−Cu系金属間化合物である、(1)又は(2)に記載のチタン板。
(4)
板厚が0.3〜1.5mmであり、0.2%耐力が215MPa以上であり、試験片の平行部の幅が6.25mm、試験片の原評点間距離が25mm、試験片の厚さが板厚のままの平型引張試験片での破断伸びが42%以上である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のチタン板。
本発明によれば、延性と強度とのバランスに優れ、溶接後も十分な強度を確保できるチタン板を提供することができる。
A値と0.2%耐力の関係を示すグラフである。 A値と破断伸びの関係を示すグラフである。 β相の面積分率と0.2%耐力の関係を示すグラフである。 金属間化合物の面積分率と伸びの関係を示すグラフである。 Ti−Cu−Si−Mn成分系について約100μm×約100μmの領域でEPMA分析した時の模式図である。 α相の平均結晶粒径D(μm)とTIG溶接継手と母材との0.2%耐力の変化量の関係を示すグラフである。 酸素量とα相の平均結晶粒径Dと母材の破断伸びの関係を示すグラフである。 Si量とHAZ部の中で粗粒化した領域[3]におけるTIG溶接前後の耐力低下量Δ0.2%耐力の関係を示すグラフである。
本発明者は、高強度化しつつ成形性を確保し、さらに溶接後も十分な強度を確保するために、チタン板の化学成分、金属組織、結晶粒径の最適化を検討することによって十分な強度および成形性を有し、かつ、溶接にともなうHAZ部の結晶粒の粗大化による強度低下を抑制できる条件を模索した。その結果、所定量のCu、Siを合金元素として添加することによる合金化によって高強度化し、さらに、金属組織と結晶粒径を制御することで、強度および成形性とHAZ部の強度低下を高い水準で両立させることができた。
(本発明のチタン板の目標特性)
0.2%耐力:215MPa以上
本発明のチタン板の母材の強度は、0.2%耐力で215MPa以上とした。
破断伸び:42%以上
また、成形性の点から、チタン板の母材の引張試験時の破断伸びが42%以上を指標とした。より望ましい破断伸びは、45%以上である。破断伸びは、板厚が0.3〜1.5mmであり、試験片の平行部の幅が6.25mm、試験片の原評点間距離が25mm、試験片の厚さが板厚のままの平型引張試験片での破断伸びである。
溶接継手の強度低下量(開発目標値):10MPa以下
溶接時の溶接入熱により溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ部)の強度が低下して、母材とHAZ部の強度差が大きくなると、使用中にHAZ部のみに変形が集中して好ましくない。そのため、母材と溶接継手との強度低下量Δ0.2%耐力(開発目標値:溶接継手の0.2%耐力−母材の0.2%耐力)は10MPa以下を目標とした。
(チタン板の化学成分)
以下、化学成分についての%は、「質量%」である。
Cu:0.70〜1.50%
Cuは高強度化への寄与が大きく、チタンを形成するhcp構造を有するα相中への固溶量も多い。しかし、固溶範囲であっても添加量が多すぎると結晶粒成長が抑制され、伸びが低下してしまう。そのため、0.70%以上1.50%以下含有される必要がある。上限について、望ましくは1.45%、1.40%、1.35%または1.30%以下であり、さらに望ましくは1.20%または1.10%以下である。一方、下限については、Cu以外にCr、Mnのいずれをも含有しない場合、0.70%以上添加しないと必要な強度が得られない。強度向上のため、その下限を0.75%、0.80%、0.85%または0.90%としてもよい。
Si:0.10〜0.30%
Siは、強度向上に寄与するため0.10%以上添加する。しかしながら、添加量が多すぎるとTi−Si系金属間化合物の生成を促進することで結晶粒成長を抑制し、伸びが低下する。特に、Cu、Cr、Mn、Niに比べて、添加質量としては少量でも、結晶粒の微細化および強度向上の効果は大きい。そのため、添加量は0.30%以下にする。なお、Si添加量は、溶接後の強度確保(HAZ部の粗大化抑制)にも影響する。HAZ部での耐力低下を抑制するためにも、Si量は、0.10〜0.30%とする。必要に応じて、その下限を、0.12%、0.14%または0.16%としてもよく、その上限を0.28%、0.26%、0.24%または0.22%としてもよい。
Cr:0〜0.40%
Crは、強度向上に寄与するため必要に応じて添加する。しかしながら、添加量が多すぎるとβ相の生成を促進することで結晶粒成長を抑制し、伸びが低下するため、0.40%以下とする。Cu、Mn、Si、Niの添加により十分に強化される場合は含有されていなくてもよい。強度向上のため、Crの下限を0.05%または0.10%としてもよい。しかし、Crの含有は必須でなく、その下限は0%である。必要に応じて、その上限を0.35%、0.30%、0.25%または0.20%としてもよい。
Mn:0〜0.50%
Mnは、強度向上に寄与するため必要に応じて添加する。しかしながら、添加量が多すぎるとβ相の生成を促進することで結晶粒成長を抑制し、伸びが低下するため、0.50%以下とする。Cu、Cr、Si、Niの添加により十分に強化される場合は含有されていなくてもよい。強度向上のため、Mnの下限を0.05%または0.10%としてもよい。しかし、Mnの含有は必須でなく、その下限は0%である。必要に応じて、その上限を0.40%、0.30%、0.25%、0.15%または0.10%としてもよい。
O:0〜0.10%
酸素(O)はTiとの結合力が強く、金属Tiを工業的に製造する際に不可避に含まれる不純物であるが、O量が多すぎると高強度化し、成形性は劣化する。そのためには0.10%以下に抑制する必要がある。Oは不純物として含有するが、その下限を規定する必要はなく、その下限は0%である。しかしながら、その下限を0.005%、0.010%、0.015%、0.020%または0.030%としてもよい。その上限を、0.090%、0.080%、0.070%または0.065%としてもよい。
Fe:0〜0.06%
鉄(Fe)は金属Tiを工業的に製造する際に不可避に含まれる不純物であるが、Fe量が多すぎると、β相の生成を促進するため結晶粒成長を抑制する。そのため、鉄量は0.06%以下とする。0.06%以下であれば、0.2%耐力への影響が小さく無視できる。望ましくは0.05%以下であり、さらに望ましくは0.04%以下である。Feは不純物であり、その下限は0%である。しかし、その下限を0.01%、0.015%、0.02%または0.03%としてもよい。
N:0〜0.03%
窒素(N)も酸素と同等以上の高強度化を進め、成形性を劣化させる。ただし、Oよりも原料に含まれる量は少ないため、Oよりも少なくすることができる。そのため、0.03%以下とする。望ましくは0.025%以下または0.02%以下であり、さらに望ましくは0.015%以下または0.01%以下である。なお、Nは、工業的に製造する際に0.0001%以上含有されるケースが多いが、その下限は0%である。その下限を0.0001%、0.001%または0.002%としてもよい。その上限を0.025%または0.02%としてもよい。
C:0〜0.08%
Cは、酸素や窒素と同様に高強度化を進めるが、その効果は酸素や窒素に比べて小さい。酸素に比べて半分以下であり、含有量が0.08%以下であれば、0.2%耐力への影響は無視できる。ただし、含有量が少ない方が成形性に優れるため、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、0,02%以下または0.01%である。C量の下限を規定する必要はなく、その下限は0%である。必要があれば、その下限を0.001%としてもよい。
H:0〜0.013%
Hは、脆化を引き起こす元素であり、室温での固溶限は10ppm前後であるため、これ以上のHが含有される場合には水素化物が形成され、脆化することが懸念される。一般的に、含有量が0.013%以下であれば、脆化の懸念はあるものの実用上問題なく用いられている。また、酸素に比べて含有量が少ないため、0.2%耐力への影響は無視できる。好ましくは0.010%以下であり、さらに好ましくは0.008%以下、0.006%以下、0.004%以下または0.003%以下である。H量の下限を規定する必要はなく、その下限は0%である。必要があれば、その下限を0.0001%としてもよい。
上記およびTiを除く元素:各々0〜0.1%、かつ、それらの総和は0.3%以下、残部:Tiである。
Cu、Cr、Mn、Si、Fe、N、O、H以外に含まれる不純物元素はそれぞれ、0.10%以下含まれてもよいが、それら不純物元素の含有量の合計つまりそれらの総量は0.3%以下とする。これはスクラップを活用するためであるが、十分に合金元素を含み、高強度化しており、過度に成形性を劣化させないためである。混入する可能性のある元素としては、Al、Mo、V、Sn、Co、Zr、Nb、Ta、W、Hf、Pd、Ruなどである。不純物元素であり、下限は0%である。必要に応じて、各不純物元素の上限を0.08%、0.06%、0.04%または0.03%としてもよい。それらの総和の下限は0%である。総和の上限を0.25%、0.20%、0.15%または0.10%としてもよい。
(A値)
本発明のチタン板は、上記の化学成分を満足し、さらに、下記(1)式によって定義されるA値が1.15〜2.5質量%である。
A=[Cu]+0.98[Cr]+1.16[Mn]+3.4[Si] ・・・ (1)式
本発明の化学成分範囲内でCu、Si、Mn、Crを含有する100gのTi鋳塊を真空アーク溶解で作製し、これらを1100℃に加熱後、熱間圧延し、表面を切削で除去した。その後、熱間圧延と同じ方向に冷間圧延を行い、板厚0.5mmの薄板とした。この薄板に種々の条件で熱処理を行い、結晶粒径を調整した。図1に、A値と0.2%耐力の関係を示す。また、図2に、A値と伸びの関係を示す。なお、図1、2中の各プロット点は、A値以外の金属組織、α相の平均結晶粒径Dはいずれも本発明の範囲内であった。つまり、これらはα相の面積分率が95%以上、β相の面積分率が5%以下、金属間化合物の面積分率が1%以下、α相の平均結晶粒径D(μm)が20〜70μmであり、後述の(2)式を満たすものであった。
Cu、Si、Mn、Crの各含有量が本発明の化学成分範囲内であっても、A値が小さくなり過ぎると、強度が低下する。0.2%耐力が215MPaを下回らないようにするために、1.15質量%をA値の下限値とした。0.2%耐力の向上のため、A値の下限を1.20%または1.25%としてもよい。一方、A値が大きくなり過ぎると、伸びが低下し、加工性が劣化する。破断伸びが42%を下回らないようにするために、2.5質量%をA値の上限値とした。破断伸びを向上させるため、A値の上限を2.40%、2.30%、2.20%、2.10%または2.00%としてもよい。
(金属組織)
本発明のチタン板は、α相の面積分率が95%以上、β相の面積分率が5%以下、金属間化合物の面積分率が1%以下である。
図3にβ相の面積分率と0.2%耐力の関係を示す。なお、図3中の各プロット点は、β相の面積分率以外の金属組織、α相の平均結晶粒径D、化学成分範囲、A値はいずれも本発明の範囲内である。0.2%耐力が215MPaを下回らないようにするために、β相の面積分率の上限を5%とした。0.2%耐力の向上のため、β相の面積分率の上限を3%、2%、1%、0.5%または0.1%としてもよい。
また、図4に金属間化合物の面積分率と破断伸びの関係を示す。なお、図4の各プロット点は、金属間化合物の面積分率以外の金属組織、α相の平均結晶粒径D、化学成分範囲、A値はいずれも本発明の範囲内である。破断伸びが42%を下回らないようにするために、1.0%を金属間化合物の面積分率の上限値とした。破断伸びを向上させるため、金属間化合物の面積分率の上限を0.8%、0.6%、0.4%または0.3%としてもよい。本発明のチタン板は、α相、β相および金属間化合物以外の組織はない。必要に応じて、α相の面積率の下限を97%、98%、99%、99.5%としてもよい。
なお、β相および金属間化合物以外の金属組織はα相であり、α相、β相および金属間化合物の面積分率の合計が100%であることが望ましい。金属間化合物は、Ti−Cu系金属間化合物およびTi−Si系金属間化合物である。Ti−Cu系金属間化合物の代表的なものはTiCu、Ti−Si系金属間化合物の代表的なものはTiSi、TiSiである。
(金属組織の測定方法)
α相、β相、金属間化合物の各面積分率はSEM観察およびEPMA分析により、面積率を求めることによって行われる。SEM観察において、反射電子像(組成像)を観察することで、Ti−Si系金属間化合物は黒く見える。Ti−Cu系金属間化合物とβ相は白く見えるため、これらを分離することが必要となる。そのためには加速電圧15kVで500倍の1視野(200μm×200μm相当)でEPMAによる面分析をSi、Cu、Feに加えて、Cr、Mnを含有する場合にはCr、Mnについて行う。なお、1視野に限らず、複数視野で合計200μm×200μm相当の面積を観察し、それらの平均を求めても良い。β相にはFe、Cr、Mnが濃化しており、Ti−Cu系金属間化合物には濃化していない。そのため、反射電子像と元素分布を比べることで、白色部を分離識別する。その後、反射電子像における面積率を測定することでそれぞれの面積分率とする。測定試料は測定面をダイヤモンド粒子による鏡面仕上げとし、導電性確保のためにCやAuの蒸着を行ってもよい。図5に、Ti−Cu−Si−Mn成分系について約100μm×約100μmの領域でEPMA分析した時の模式図を示す。各元素の濃化位置を灰色から黒色で表わしている。また、図中の破線は組織の粒界を表わしている。Fe、Mnは同じ位置に濃化しており、粒界や粒内に存在する。CuはFe、Mnと同じ位置に濃化している部分もあるが、CuはFe、Mnとは別の場所にも存在しており、これがTi−Cu系金属間化合物である。SiはほとんどがFe、Mn、Cuとは異なる場所に存在している。そのため、Cuの濃化位置の中でFe、Mnが濃化していない場所(矢印部分)の面積率を測定することで、金属間化合物の面積率を求めることができる。具体的には、Feが0.2%以上の領域をβ相とみなし、Feが0.2%未満の領域の中でCuが5%以上である領域をTi−Cu系金属間化合物とみなし、Siが1%以上の領域をTi−Si系金属間化合物とみなす。このようにして分離して得られた領域の面積率を求める。
(結晶粒径)
α相の平均結晶粒径D(μm):20〜70μm
図6にα相の平均結晶粒径D(μm)とTIG溶接前後における0.2%耐力の変化量Δ0.2%耐力(=母材の0.2%耐力−溶接継手の0.2%耐力)との関係を示す。なお、図6中の各プロット点は、α相の平均結晶粒径以外の化学成分範囲(酸素(O)を除く)およびA値はいずれも本発明の範囲内である。具体的には、Ti−1.01%Cu−0.19%Si−0.03%Fe成分系で、酸素量を変化させて溶解し、板厚0.5mmの薄板を熱間圧延、冷間圧延、焼鈍によって作製した。熱処理条件を種々変えて結晶粒径を調整した。組織はいずれもβ相がなく、金属間化合物の面積分率も1%以下であった。作製した薄板をTIG溶接し、溶接ビードが平行部中央部になるように溶接継手の引張試験片を採取した。TIG溶接時には日鉄住金溶接工業株式会社製のNSSW Ti−28(JIS Z3331 STi0100J該当)を使用した。溶接条件は、電流:50A、電圧:15V、速度:80cm/minである。引張試験片の形状は平行部の幅が6.25mm、試験片の原評点間距離が25mm、試験片の厚さが板厚のままの平型引張試験片である。ただし、溶接時に板が反ったために形状矯正を行い、形状矯正によるひずみの除去のために550℃で30minの焼鈍を行った。この焼鈍による粒径の変化がなかったことを、確認した。ひずみ速度はひずみ量1%までを0.5%/minで行い、その後破断までを30%/minで行った。
α相の平均結晶粒径Dが20μm未満では、Δ0.2%耐力が10MPa以上と大きくなる。一方、α相の平均結晶粒径Dが70μmを超えると、粒径が大きくなりすぎ、成形時にしわ、段差が出るおそれがある。このため、α相の平均結晶粒径Dを20〜70μmとする。必要に応じて、α相の平均結晶粒径Dの下限を23μm、25μmまたは28μmに、その上限を60μm、55μm、50μmまたは45μmとしてもよい。
(酸素量とα相の平均結晶粒径Dの関係)
また、母材から取り出した試験片について引張試験を行い、酸素量とα相の平均結晶粒径Dの関係と破断伸びについて調べたところ、図7のようになった。図7中、○:破断伸び42%以上、×:破断伸び42%未満、実線:(2)式である。図7中に記入した曲線である(2)式を下回らない範囲では、破断伸びが42%以上となった。そのため、(2)式を条件とした。
D[μm]≧0.8064×e45.588[O]・・・・・・・(2)式
ただし、eは自然対数の底である。
(母材と溶接部との強度低下量に対するSi添加量の影響)
本発明のチタン板は上記のようにSi:0.10〜0.30%を含有するが、Si添加量は、溶接継手の強度確保(HAZ部の粗大化抑制)にも影響する。チタン板に溶接が施された場合、溶融部から母材部にかけて温度分布が形成され、[1]溶融部およびβ変態点以上もしくはβ変態点近傍まで加熱されて針状組織化する領域、[2]α相とβ相が混在することでα相の粒成長が抑制される領域、[3]β相やα相が粗大化する領域、[4]金属間化合物が析出する領域、が連続的に形成される。領域[1]では集合組織のランダム化や粒形状、溶接時のO、Nなどの吸収によって母材部よりもやや高強度となる。領域[2]や領域[4]ではβ相もしくは金属間化合物によってα相の粒成長が抑制されるために母材部と同程度の結晶粒径を維持しており、母材と大きな強度差は無い。一方、領域[3]ではα相が粗大化することで、Hall−Petch則にしたがって強度低下する。そのため、試験片の幅が6.25mm程度の狭幅の溶接継手引張試験では、HAZ部の中でも粗粒化した領域[3]で破断する。
図8は、Si量とHAZ部の中で粗粒化した領域[3]を含むTIG溶接継手の0.2%耐力と母材の0.2%耐力の差Δ0.2%耐力(=母材の0.2%耐力−溶接継手の0.2%耐力)の関係を示すグラフである。Cu、Si、Cr、Mnを含有する100g鋳塊を真空アーク溶解で作製し、これらを1100℃に加熱後熱間圧延し、表面を切削で除去した。その後、熱間圧延と同じ方向に冷間圧延を行い、板厚0.5mmの薄板とした。この薄板に種々の条件で熱処理を行い、平均結晶粒径を20〜30μm程度に調整した。なお、図8中の各プロット点は、Si量以外の化学成分範囲、A値、α相の平均結晶粒径Dはいずれも本発明の範囲内であった。金属間化合物の面積分率は1%未満、β相の面積分率は3%未満であった。上記結晶粒径の場合と同様の方法でTIG溶接ならびに引張試験を行った結果、0.10%Si以上では溶接後の強度低下が10MPa以下に抑制された。そのため、0.10%以上のSiを含有する必要がある。溶接後の強度低下を抑制するため、Si量の下限を0.14%、0.17%または0.20%としてもよい。
(製造方法の一例)
本発明のチタン板は、上記化学成分およびA値を満足するTi鋳塊に熱間圧延、冷間圧延を施し、冷間圧延後の焼鈍の条件を所定の条件にすることにより製造できる。必要に応じて冷間圧延後の焼鈍の後に調質圧延を行ってもよい。各製造条件について、以下に詳細に説明する。
(熱間圧延条件)
熱間圧延には、VAR(真空アーク溶解)、EBR(電子ビーム溶解)、プラズマアーク溶解等により通常の方法で、製造されたインゴットを用いる。これは矩形であればそのまま熱間圧延してもよい。そうでない場合は鍛造や分塊圧延を行って矩形に成形する。このようにして得られた矩形のスラブは、通常の熱延温度、圧下率である、800〜1000℃、圧下率50%以上で熱間圧延を行う。
(冷間圧延条件)
冷間圧延前にひずみ取りの焼鈍と通常の脱スケールを行う。ひずみ取り焼鈍(中間焼鈍)は実施しなくてもよく、温度や時間を特に制限することは無い。通例として、ひずみ取り焼鈍は、β変態点より低い温度で行っており、具体的にはβ変態点より30℃以上低い温度で行う。本合金系ではβ変態点は合金組成によっても異なるが、860〜900℃の範囲であることから、本発明では800℃前後で実施することが望ましい。脱スケールはショットブラスト、酸洗、機械切削など方法は問わない。ただし、脱スケールが不十分だと冷延時に割れが発生してしまうことがある。なお、冷間圧延は、通常通り、熱延板を圧下率50%以上で行う。
(焼鈍条件)
冷間圧延後の焼鈍は、まず最初に低温のバッチ式焼鈍を行い、次に高温の連続式焼鈍とする必要がある。その他の方法、例えば、1回だけの焼鈍(高温または低温のバッチ式または連続式焼鈍)では、本発明の組織を得ることはできず、目標の特性を達成できない。また、2回の焼鈍であっても、低温のバッチ式焼鈍後の高温の連続式焼鈍以外の方法では、本発明の組織を得ることはできず、目標の特性を達成できない。
ここで、バッチ式の低温焼鈍の目的は、Cuの固溶とα相の粒成長である。バッチ式焼鈍ではコイル内の昇温速度が異なるため、コイル内での不均一を抑制するためには8h以上焼鈍する必要がある。コイルの接合を防止するために焼鈍は730℃以下が必要である。また、低温域ではTi−Cu系金属間化合物とTi−Si系金属間化合物が析出する。そのため、これらの金属間化合物が成長しないように、焼鈍温度の上限を制限し、且つ、Cuの固溶とα相の粒成長が行えるように焼鈍温度の下限を制限する必要がある。このため、焼鈍温度は700〜730℃とする。
(高温焼鈍条件)
低温バッチ式焼鈍で析出した金属間化合物を減らすために、次いで、高温焼鈍で高温域に少なくとも10秒以上保持をする。保持する温度は、780〜820℃とする。このときの保持時間を長時間にすると硬化層を厚くするため最大でも2minとする。バッチ式焼鈍ではこのような短時間の焼鈍を行うことができず、連続式焼鈍とする必要がある。高温の連続式焼鈍では、Ti−Si系金属間化合物の面積分率を低下させることができるが、Ti−Si系金属間化合物は析出が早いため、高温の連続式焼鈍後の冷却速度は、保持温度から550℃までを5℃/s以上とする。
表1〜3に記載したNo.1〜No.97のCu、Si、Mn、Crを含有する300gのTi鋳塊を真空アーク溶解で作製し、これらを1100℃に加熱後、熱間圧延し、表面を切削で除去した。その後、熱間圧延と同じ方向に冷間圧延を行い、板厚0.5mmの薄板とした。この薄板(No.1〜No.97)に表4〜6に記載の種々の条件で焼鈍(最初の焼鈍を「焼鈍1」、次の焼鈍を「焼鈍2」と表記)を行った。なお、焼鈍において、冷却がFC(炉冷)の場合はバッチ式(真空)焼鈍(表4〜6において、「バッチ式」と表記)を実施し、その他は連続式(Arガス)焼鈍(表4〜6において、「連続式」と表記)を実施した。バッチ式焼鈍はコイル製造を摸擬して、2枚の板を重ねて焼鈍した。バッチ式焼鈍を行った場合にのみ、焼鈍後の2枚の板の接合有無を調査した。評価は2枚の板を大きな変形を伴うこと無くは剥がせた場合を○、変形したが剥がせたものを△、剥がすことができなかったものを×とした。接合有無の調査では変形する場合には、接合部分を起点とした曲げ変形となった。なお、バッチ式焼鈍を行っていない場合は、「バッチ式接合有無」の欄に「−」を記入した。焼鈍2の各欄がすべて「−」となっているものは、焼鈍2を行わなかった。
なお、接合したものについてはTIG溶接などの評価を行わず、引張試験と平均結晶粒径の測定のみを行った。また、焼鈍2まで行った板は表面状態を確認し、その評価は現行の実機量産材相当のレベルを○とし、製品として出荷できないレベルを×とした(「表面状態」と表示)。加えて、厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートを潤滑剤として用いた球頭張出し試験を張出し高さが15mmとなるまで行い、外観のシワの発生程度を観察し、肌荒れが生じていないものを○、肌荒れが生じているものを×とした(「加工後の表面」と表示)。
作製した薄板をTIG溶接し、溶接ビードが平行部中央部になるように引張試験片を採取した。TIG溶接時には、汎用性を考慮して日鉄住金溶接工業株式会社製の製品NSSW Ti−28(JIS Z3331 STi0100J該当)を使用した。溶接条件は、電流:50A、電圧:15V、速度:80cm/minである。引張試験片の形状は平行部の幅が6.25mm、試験片の原評点間距離が25mm、試験片の厚さが板厚のままの平型引張試験片である。ただし、溶接時に板が反ったために形状矯正を行い、形状矯正によるひずみの除去のために550℃で30minの焼鈍を行った(平均結晶粒径の変化なし)。ひずみ速度はひずみ量1%までを0.5%/minで行い、その後破断までを30%/minで行った。なお、TIG溶接および溶接後の引張試験は、一部について試験を行った。TIG溶接前後の0.2%耐力差(Δ0.2%耐力(MPa)と表示)が10MPa以下の場合を合格とした。No.1〜No.97の各薄板について求めたα相の平均結晶粒径D(粒径(μm)と表示)、α相の面積分率(α相率(%)と表示)、β相の面積分率(β相率(%)と表示)、金属間化合物の面積分率(金属間化合物(%)と表示)、0.2%耐力(耐力(MPa)と表示)、破断伸び(伸び(%)と表示)、外観(表面状態と表示)、0.8064×e45.588[O]の値((2)式の右辺:「(2)式(μm)」と表示)、(2)式の判定結果(「(2)式(μm)判定と表示」:D−0.8064×e45.588[O]の値がマイナスを「×」、0以上を「○」)、本発明と比較例の分類を表7〜9に示した。
化学成分範囲、A値、金属組織、α相の平均結晶粒径Dがいずれも本発明の範囲内であるNo.1、34〜37、60〜62、80、86〜97(本発明例)は、0.2%耐力:215MPa以上、破断伸び:42%以上、溶接継手の強度低下量:10MPa以下をすべて満足した。
その他(比較例)は、次のようになった。
No.2は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.3は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.4は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。なお、溶接継手の強度低下が小さいのは、母材のα相の平均結晶粒径Dが大きいからである。
No.5は、母材のα相の平均結晶粒径Dが70μmを超えており、加工した際に表面にシワが発生した。なお、粒径Dが大きいのでA値が1.15以上でも0.2%耐力が低かった。なお、溶接継手の強度低下が小さいのは、母材のα相の平均結晶粒径Dが大きいからである。
No.6は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.7は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.8は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.9は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.10は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.11は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.12は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.13は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.14、15は、焼鈍が低温すぎてα相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。
No.16、17は、焼鈍により2枚の板が接合してしまい、はがすことができなかった。そのため、引張試験は未実施である。
No.18、19は、焼鈍が低温すぎてα相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。
No.20、21は、高温域で長時間焼鈍したため、破断伸びが小さくなった。
No.22〜29は、α相の平均結晶粒径Dが(2)式を満たさず、破断伸びが小さくなり、溶接継手の強度低下も大きくなった。また、No.22〜25は、焼鈍が低温すぎてα相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、金属間化合物の面積分率も高くなった。
No.30〜33は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。また、溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.38、39は、焼鈍が低温すぎ、炉冷のため、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、金属間化合物の面積分率も高くなった。
No.40、41は、焼鈍が高温であったため2枚の板が接合してしまい、はがすことができなかった。そのため、引張試験は未実施である。
No.42、43は、焼鈍が低温すぎ、炉冷のため、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、金属間化合物の面積分率も高くなった。
No.44、45は、α相の平均結晶粒径Dが(2)式を満たさず、破断伸びが小さくなった。
No.46〜49は、焼鈍が低温すぎ、炉冷のため、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、金属間化合物の面積分率も高くなった。
No.50、51は、母材のα相の平均結晶粒径Dが70μmを超えており、加工した際に表面にシワが発生し、0.2%耐力が低かった。また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.52、53は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.54〜56は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.57〜59は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、また、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.63は、α相の平均結晶粒径Dが(2)式を満たさず、破断伸びが小さくなった。
No.64、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。
No.65は、α相の平均結晶粒径Dが(2)式を満たさず、破断伸びが小さくなった。
No.66、67は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。
No.68は、焼鈍が高温であったため2枚の板が接合してしまい、はがすことができなかった。そのため、引張試験は未実施である。
No.69は、A値が1.15質量%未満であり、0.2%耐力が低かった。
No.70、71は、Siが添加されていないので溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.72〜75は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、溶接継手の強度低下が大きくなった。
No.76〜79は、金属間化合物の面積分率が1%を超え、破断伸びが小さくなった。
No.81は、α相の平均結晶粒径Dが20μm未満となり、破断伸びが小さくなった。
No.82、83は、バッチ式焼鈍の冷却速度が遅いため金属間化合物の面積分率が1%を超え、破断伸びが小さくなった。また、外観が劣っていた
No.84は、バッチ式焼鈍で焼き付きが発生し、外観が劣っていた
No.85は、連続式焼鈍が高温であったため、β相の面積分率が5%を超え、破断伸びが小さくなった。
Figure 2019043882
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本発明のチタン板は、例えば熱交換器、溶接管、マフラーなどの二輪排気系、建材などに好適に適用される。

Claims (4)

  1. チタン板であって、
    化学成分は、質量%で、
    Cu:0.70〜1.50%、
    Cr:0〜0.40%、
    Mn:0〜0.50%、
    Si:0.10〜0.30%、
    O:0〜0.10%、
    Fe:0〜0.06%、
    N:0〜0.03%、
    C:0〜0.08%、
    H:0〜0.013%、
    上記およびTiを除く元素:各々0〜0.1%、かつ、それらの総和は0.3%以下、
    残部:Tiであり、
    下記(1)式によって定義されるA値が1.15〜2.5質量%であり、
    その金属組織は、
    α相の面積分率が95%以上、
    β相の面積分率が5%以下、
    金属間化合物の面積分率が1%以下であり、
    α相の平均結晶粒径D(μm)が20〜70μmであり、且つ下記(2)式を満たすチタン板。
    A=[Cu]+0.98[Cr]+1.16[Mn]+3.4[Si] ・・・ (1)式
    D[μm]≧0.8064×e45.588[O] ・・・ (2)式
    ただし、eは自然対数の底である。
  2. 前記金属組織が、α相、β相および金属間化合物の面積分率の合計が100%である、請求項1に記載のチタン板。
  3. 前記金属間化合物がTi−Si系金属間化合物とTi−Cu系金属間化合物である、請求項1又は2に記載のチタン板。
  4. 板厚が0.3〜1.5mmであり、0.2%耐力が215MPa以上であり、試験片の平行部の幅が6.25mm、試験片の原評点間距離が25mm、試験片の厚さが板厚のままの平型引張試験片での破断伸びが42%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタン板。
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