JPWO2019035204A1 - エレベータのコンペンセーション装置 - Google Patents

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Abstract

この発明のエレベータのコンペンセーション装置は、乗りかごおよび釣合おもりに接続され、昇降路内に吊り下げられる補償索と、乗りかごに一方が取り付けられ、他方に補償索が取り付けられる連結部とを有する。この発明のコンペンセーション装置における連結部は、非常停止装置が作動した後において、補償索および乗りかごの接続を保持しつつ、補償索の減速度を乗りかごの減速度と異なる減速度にする。また、連結部は、乗りかごに取り付けられる第1の金具と、補償索の一端が取り付けられる第2の金具と、乗りかご側に一端が接続され、他端が第2の金具に接続される条体と、ガバナロープの一端に取り付けられ、第1の金具および第2の金具を連結する第3の金具とを備える。この発明のコンペンセーション装置では、ガバナ装置が乗りかごの過速走行を検出した場合、ガバナロープの変位に伴って、補償索は乗りかごから離間される。

Description

この発明は、非常停止装置を備えたエレベータのコンペンセーション装置に関するものである。
通常、エレベータには、乗りかごが過速走行をしている場合、乗りかごを停止させる非常停止装置が備えられている。また、エレベータには、乗りかごの下部、および釣合おもりの下部に、補償ロープが繋がれている。補償ロープは、コンペンセーション装置によって、乗りかごまたは釣合おもりに取り付けられている。
乗りかごが大型化するのに伴って、非常停止装置は大型化する。一方、補償ロープの荷重は、常に、非常停止装置に作用している。非常停止装置の大型化を抑制するため、非常停止装置が作動する際に、非常停止装置に作用する荷重を低減することが望まれている。
非常停止装置が作動する際に、非常停止装置に作用する荷重を低減する発明は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたエレベータ装置は、乗りかごが過速走行をしている場合、非常停止装置を作動させるとともに、主ロープ、運行制御用のテールコード、および補償ロープの少なくとも1つを離間する。その結果、非常停止装置に作用する荷重は低減される。
特開2014−151973号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたエレベータ装置では、離間された後の主ロープ、テールコード、および補償ロープについて、記載がなされていない。特に、補償ロープに関しては、以下のような課題がある。乗りかごから補償ロープが離間されると、補償ロープは、昇降路底部に向かって落下する。その場合、補償ロープは、昇降路内の機器に接触し、機器を損傷させる可能性がある。また、補償ロープが、昇降路内の機器に引っかかる可能性がある。さらに、補償ロープは、昇降路の底部まで落下し、底部に激突する。その場合、補償ロープは、騒音を発生する可能性がある。特に、昇降路内の機器に損傷が発生した場合、または、補償ロープが機器に引っかかって絡まった場合、機器の取替、あるいは補償ロープの復元に時間を要し、容易に復旧作業が出来なかった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、非常停止装置が作動している間に、非常停止装置に作用する荷重を低減するとともに、容易に復旧作業を行えるコンペンセーション装置を提供することである。
この発明のエレベータのコンペンセーション装置は、乗りかごおよび釣合おもりに接続され、昇降路内に吊り下げられる補償索と、乗りかごに一方が取り付けられ、他方に補償索が取り付けられる連結部とを有する。この発明のコンペンセーション装置における連結部は、非常停止装置が作動した後において、補償索および乗りかごの接続を保持しつつ、補償索の減速度を乗りかごの減速度と異なる減速度にする。
このようにすることによって、非常停止装置が作動している間において、補償索は、乗りかごから完全に離間された状態にない。補償索は、乗りかごから一定の距離の中に保持されている。したがって、補償索は、昇降路内の機器に損傷を与えない。補償索は、昇降路内の機器に引っかからない。そのため、復旧にそれほど時間を要しない。さらに、補償索が昇降路の底部にまで落下する可能性は低いので、騒音を発生する可能性は低い。
また、非常停止装置が作動した後において、補償索は自由落下をしているが、乗りかごは、非常停止装置によって減速されている。すなわち、補償索は、乗りかごと一体となって落下していない。その間、補償索の荷重は、非常停止装置に作用していない。非常停止装置に作用する荷重は、補償索の荷重分だけ低減される。
これにより、非常停止装置が作動している間に、非常停止装置に作用する荷重を低減するとともに、容易に復旧作業を行えるコンペンセーション装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1によるコンペンセーション装置を備えたエレベータの正面図である。 乗りかごの周辺を示す斜視図である。 実施の形態1のコンペンセーション装置の構造を示す正面模式図である。 実施の形態1のコンペンセーション装置の分解斜視図である。 乗りかごおよびコンペンチェーンの減速度の時間変化、および非常停止装置の負担荷重の時間変化を示すグラフである。 実施の形態1の変形例のコンペンセーション装置の分解斜視図である。 実施の形態2のコンペンセーション装置の分解斜視図である。 実施の形態2の変形例のコンペンセーション装置の分解斜視図である。
以下、この発明のエレベータのコンペンセーション装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるコンペンセーション装置を備えたエレベータの正面図である。
昇降路1には、乗りかご2が設けられている。乗りかご2は、左右一対のかご用ガイドレール10によってガイドされて、昇降路1内を昇降する。乗りかご2の下部には、かご用ガイドレール10に対して、非常時に乗りかご2を停止させる次第利き型の非常停止装置3が設けられている。
乗りかご2の上部には、主ロープ5の一端が接続されている。主ロープ5は、昇降路1の上部に設けられた巻上機8およびそらせ車9にかけられている。主ロープ5の他端は、釣合おもり4の上部に接続されている。釣合おもり4は、釣合おもり用ガイドレール11によってガイドされて、昇降する。
乗りかご2の下部には、連結部100が設けられている。連結部100の一方は、乗りかご2に取り付けられている。連結部100の他方には、コンペンチェーン6が取り付けられている。コンペンチェーン6は、昇降路1内に吊り下げられている。コンペンチェーン6は、昇降路1の底部に設けられたコンペンチェーン用綱車12を介して、釣合おもり4の下部に接続されている。コンペンチェーン6は、補償索を構成する。コンペンチェーン6は、コンペンロープであってもよい。また、コンペンチェーン用綱車12は省略することができる。実施の形態1におけるエレベータは、1:1ローピングである。ローピングの違いによって、主ロープ5の側の構成については変化が生じる可能性があるが、連結部100の構成については、同じである。
図2は、乗りかごの周辺を示す斜視図である。
昇降路1の頂部には、ガバナ装置20が設けられている。ガバナ装置20には、ガバナロープ21がかけられている。ガバナロープ21の一端は、乗りかご2に向かって、上方から垂らされている。ガバナロープ21の一端は、非常停止装置3に取り付けられている。また、ガバナ装置20からガバナロープ21の一端までの間には、乗りかご2の側面に位置し、ガバナロープ21に設けられた分岐装置23が取り付けられている。分岐装置23は、例えば、クリップである。ガバナロープ21は、分岐装置23によって、操作用ガバナロープ24に分岐されている。操作用ガバナロープ24は、ガバナ装置20がガバナロープ21を引っ張る場合に、同時に引っ張られる。
ガバナロープ21の他端は、ガバナ装置20から、昇降路1内を、昇降路1の底部まで垂らされている。昇降路1の底部には、返し車22が配置されている。ガバナロープ21の他端は、返し車22に巻き掛けられている。ガバナロープ21の他端は、返し車22から上方に向かっている。ガバナロープ21の他端は、下方から、非常停止装置3に固定されている。
ガバナ装置20は、ガバナロープ21の移動速度によって、乗りかご2の速度を測定する。ガバナ装置20は、乗りかご2の速度が、あらかじめ決められた基準速度以上になった場合、ガバナロープ21を把持することによって、非常停止装置3が作動し、乗りかご2を停止させる。
図3は、実施の形態1によるコンペンセーション装置の構造を示す正面模式図である。コンペンセーション装置は、連結部100およびコンペンチェーン6を有する。連結部100は、第1の金具31、第2の金具32、第3の金具33、および落下防止用ロープ34を有する。
第1の金具31は、乗りかご2の床2aの下面に取り付けられている。第1の金具31は、L字形状である。第1の金具31の一部は、第2の金具32と重ねられている。第1の金具31には、第1の穴31cが設けられている。第2の金具32には、第2の穴32cが設けられている。第1の穴31cおよび第2の穴32cは、第1の金具31および第2の金具32が重ねられた状態で連通している。また、第3の金具33は、突起33bを有している。突起33bは、第1の穴31cおよび第2の穴32cを貫通している。第3の金具33は、第1の金具31および第2の金具32を連結している。
第1の金具31には、落下防止用ロープ34の一端が取り付けられている。すなわち、落下防止用ロープ34の一端は、乗りかご2の側に接続されている。落下防止用ロープ34の他端は、第2の金具32に接続されている。落下防止用ロープ34は、落下防止用チェーンでもよい。落下防止用ロープ34の長さは、例えば1m程度である。落下防止用ロープ34は、条体を構成する。
乗りかご2の床2aの下面には、滑車25が取り付けられている。滑車25には、操作用ガバナロープ24がかけられている。操作用ガバナロープ24の先端は、第3の金具33に取り付けられている。すなわち、第3の金具33は、操作用ガバナロープ24を介して、ガバナロープ21の先端に取り付けられている。
実施の形態1においては、連結部100は、乗りかご2の床2aの下面に取り付けられているが、非常停止装置3の下部に取り付けられてもよい。
図4は、コンペンセーション装置の分解斜視図である。図4は、第1〜第3の金具の詳細を示している。
第1の金具31は、水平部31aおよび垂直部31bを有している。水平部31aは、乗りかご2の床2aに取り付けられる。垂直部31bには、2つの第1の穴31cが設けられている。垂直部31bには、落下防止用ロープ34を取り付けるための穴が設けられ、落下防止用ロープ34の一端が取り付けられている。
第2の金具32は、平板32aである。平板32aの一部は、第1の金具31の垂直部31bと重ねられている。平板32aの重ねられた部分には、2つの第2の穴32cが設けられている。各第2の穴32cは、第1の穴31cのそれぞれと連通している。平板32aには、落下防止用ロープ34を取り付けるための穴が設けられ、落下防止用ロープ34の他端が取り付けられている。平板32aには、コンペンチェーン6を固定するための穴が設けられ、コンペンチェーン6が固定されている。
第3の金具33は、平板部33aおよび2つの突起33bを有する。2つの突起33bは、平板部33aに対して、円柱形の凸部である。各突起33bは、第1の穴31cのそれぞれに差し込まれる。その後、各突起33bは、第2の穴32cのそれぞれに差し込まれる。これにより、第3の金具33は、第1の金具31および第2の金具32を連結する。平板部33aにおいて、2つの突起33bと反対側に、操作用ガバナロープ24が取り付けられている。
図2、図4および図5を用いて、この実施の形態1によるコンペンセーション装置の作用を説明する。
図2に示すように、乗りかご2の速度は、ガバナ装置20によって検知される。乗りかご2の速度があらかじめ決められた基準速度以上になり、ガバナ装置20が乗りかご2の過速走行を検知した場合、ガバナ装置20は、乗りかご2を停止させる。ガバナ装置20は、ガバナロープ21を把持することによって、非常停止装置3を作動させる。非常停止装置3が作動する場合、ガバナロープ21は引っ張られる。ガバナロープ21が引っ張られた場合、ガバナロープ21から分岐された操作用ガバナロープ24は引っ張られる。
図4に示すように、操作用ガバナロープ24が引っ張られる場合、第3の金具33は、第1の金具31および第2の金具32から引き抜かれる。第2の金具32は、第1の金具31から離間され、落下する。すなわち、非常停止装置3が作動する瞬間、第2の金具32は、自由落下を開始する。第2の金具32には、コンペンチェーン6が取り付けられている。コンペンチェーン6は、自由落下を開始する。したがって、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用しない。換言すれば、ガバナロープ21の変位によって、第3の金具33が第1の金具31および第2の金具32に貫通された状態から引き抜かれ、第2の金具32が第1の金具31から離間される。その結果、コンペンチェーン6は、乗りかご2から離間される。
乗りかご2および第1の金具31の速度は、非常停止装置3によって減速される。一方、コンペンチェーン6および第2の金具32は、自由落下を続ける。そのため、第1の金具31から第2の金具32までの距離は、時間がたつに連れて離れていく。しかしながら、第1の金具31および第2の金具32の間には、落下防止用ロープ34が接続されている。そのため、第2の金具32は、第1の金具31から落下防止用ロープ34の長さ以上には離れない。
コンペンチェーン6が自由落下を始めて、ある時間がたつと、落下防止用ロープ34は伸びきる。そうすると、コンペンチェーン6は自由落下をやめる。コンペンチェーン6は、乗りかご2とともに減速しながら落下する。この場合、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用する。その後、乗りかご2は、非常停止装置3によって停止する。
落下防止用ロープ34が、第1の金具31および第2の金具32に取り付けられていない場合、コンペンチェーン6は、乗りかご2から完全に切り離されて、落下する。その場合、コンペンチェーン6は、昇降路1内の機器に接触し、機器を損傷させる、または、昇降路1内の機器に引っかかる可能性がある。さらに、コンペンチェーン6は、昇降路1の底部まで落下し、底部に激突する。その場合、コンペンチェーン6は、騒音を発生する可能性がある。特に、昇降路1内の機器に損傷が発生した場合、または、コンペンチェーン6が機器に引っかかって絡まった場合、機器の取替、または補償ロープの復元に時間を要し、容易に復旧作業が出来ない。昇降工程が大きい場合、コンペンチェーン6は長くなり、問題が発生しやすくなる。コンペンチェーン6が長いほど、復旧処理に時間を要する。
しかしながら、実施の形態1によるコンペンセーション装置では、コンペンチェーン6の一端は、乗りかご2から落下防止用ロープ34の長さの範囲内に保持されている。そのため、コンペンチェーン6は、昇降路1内の機器に損傷を与えない。また、コンペンチェーン6は、昇降路1内の機器に引っかかることがない。さらに、コンペンチェーン6は、昇降路1の底部にまで落下しないので、騒音を発生することがない。また、第2の金具32およびコンペンチェーン6の一端は、乗りかご2の近くに存在するため、通常状態への復旧が容易である。
図5は、非常停止装置の負担荷重の時間変化を示しており、同時に、乗りかごおよびコンペンチェーンの減速度の時間変化を示している。
図5において、横軸は、時間Tを示している。向かって左側の縦軸は、減速度Aを示している。減速度Aは、加速度を負の値として示したものである。したがって、自由落下の状態では、減速度Aは、重力加速度のマイナス値である。すなわち、自由落下において、A=−9.8m/s/sである。向かって右側の縦軸は、荷重Lを示している。
実線は、非常停止装置3の負担荷重LSの変化を示している。破線は、乗りかご2の減速度AKの変化を示している。1点鎖線は、コンペンチェーン6の減速度ACの変化を示している。コンペンチェーン6の減速度ACは、時間T2において、乗りかご2の減速度AKと等しくなる。
まず、非常停止装置3の負担荷重LSの時間変化について説明する。
時間T1までの時間において、非常停止装置3は作動していない。そのため、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用している。非常停止装置3の負担荷重LSは、乗りかご2の荷重およびコンペンチェーン6の荷重の合計であり、荷重L2である。
時間T1において、乗りかご2に対して、非常停止装置3が作動する。それと同時に、コンペンチェーン6は、乗りかご2から離間される。そのため、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用しない。非常停止装置3の負担荷重LSは、コンペンチェーン6の荷重の分だけ減少する。非常停止装置3の負担荷重LSは、荷重L2から荷重L1に減少する。
時間T2において、落下防止用ロープ34は伸びきる。コンペンチェーン6は、自由落下をやめ、乗りかご2とともに落下する。コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に、再び作用する。非常停止装置3の負担荷重LSには、オーバーシュートが発生する。その後、非常停止装置3の負担荷重LSは、荷重L2で一定となる。
次に、乗りかご2の減速度AK、およびコンペンチェーン6の減速度ACの時間変化について説明する。
時間T1までの時間において、非常停止装置3は作動していない。したがって、乗りかご2の減速度AK、およびコンペンチェーン6の減速度ACは0である。
時間T1において、乗りかご2に対して、非常停止装置3が作動する。したがって、乗りかご2の減速度AKは、0より大きな値を持つ。乗りかご2の減速度AKは、時間とともに増加し、最大値A2を有し、その後、減少する。
一方、時間T1において、非常停止装置3が作動すると同時に、コンペンチェーン6は、乗りかご2から離間される。コンペンチェーン6は、自由落下を開始する。コンペンチェーン6の減速度ACは、重力加速度のマイナス値であるA1となる。すなわち、乗りかご2に非常停止装置3が作動した時間T1の後において、コンペンチェーン6の減速度ACは、乗りかご2の減速度AKと異なっている。
時間T2において、落下防止用ロープ34は伸びきる。コンペンチェーン6は、自由落下をやめ、乗りかご2とともに落下する。そのため、コンペンチェーン6の減速度ACは、乗りかご2の減速度AKと等しくなる。時間T2において、乗りかご2の減速度AKは、オーバーシュートを示す。その後、乗りかご2の減速度AKおよびコンペンチェーン6の減速度ACは減少し、時間T3で0となる。すなわち、時間T3において、乗りかご2は停止する。
乗りかご2を非常停止させる際に、非常停止装置3が停止エネルギーを最も要するのは、非常停止装置3が作動し、乗りかご2が減速を開始した直後の時間である。停止エネルギーは、非常停止装置3の負担荷重LSに比例する。実施の形態1のコンペンセーション装置によれば、乗りかご2が減速を開始した時間T1から、落下防止用ロープ34が伸びきり、コンペンチェーン6の荷重が非常停止装置3に作用する時間T2までの間において、非常停止装置3の負担荷重LSを小さくすることができる。これにより、非常停止装置3が要する停止エネルギーを小さくすることができる。
このように、実施の形態1によるエレベータのコンペンセーション装置は、乗りかご2および釣合おもり4に接続され、昇降路1内に吊り下げられるコンペンチェーン6と、乗りかご2に一方が取り付けられ、他方にコンペンチェーン6が取り付けられる連結部100とを有している。連結部100は、非常停止装置3が作動した時間T1の後において、コンペンチェーン6および乗りかご2の接続を保持しつつ、コンペンチェーン6の減速度ACを乗りかご2の減速度AKと異なる減速度にする。
乗りかご2に対して非常停止装置3が作動した時間T1から、落下防止用ロープ34が伸びきる時間T2までにおいて、コンペンチェーン6の減速度ACは、乗りかご2の減速度AKと異なっている。そのため、時間T1から時間T2までの間、コンペンチェーン6の荷重は、乗りかご2とともに落下している非常停止装置3に作用しない。
また、非常停止装置3が作動した時間T1の後においても、コンペンチェーン6は、落下防止用ロープ34、第1の金具31および第2の金具32によって、乗りかご2に接続されている。すなわち、コンペンチェーン6の一端は、乗りかご2から落下防止用ロープ34の長さの範囲内にある。したがって、コンペンチェーン6は、昇降路1内の機器に損傷を与えない。コンペンチェーン6は、昇降路1内の機器に引っかからない。さらに、コンペンチェーン6は、昇降路1の底部にまで落下しないので、騒音を発生することがない。また、乗りかご2の近くに、第2の金具32およびコンペンチェーン6の一端が存在するため、通常状態への復旧が容易である。
これにより、非常停止装置が作動している間に、非常停止装置に作用する荷重を低減するとともに、容易に復旧作業を行えるコンペンセーション装置を提供することができる。
非常停止装置3は、乗りかご2の速度を検出するガバナ装置20に備えられたガバナロープ21によって作動される。連結部100は、乗りかご2に取り付けられる第1の金具31と、コンペンチェーン6の一端が取り付けられる第2の金具32と、乗りかご2の側にある第1の金具31に一端が接続され、他端が第2の金具32に接続される落下防止用ロープ34と、ガバナロープ21の一端に取り付けられ、第1の金具31および第2の金具32を連結する第3の金具33とを備えている。ガバナ装置20が乗りかご2の過速走行を検出した場合、ガバナロープ21の変位に伴って、第3の金具33は第1の金具31に対して変位され、第2の金具32は第1の金具31から離間され、コンペンチェーン6は乗りかご2から離間される。
ガバナ装置20は、乗りかご2の過速走行を検出した場合、ガバナロープ21を把持することによって、非常停止装置3を作動させる。それと同時に、ガバナロープ21は引かれる。それと同時に、ガバナロープ21から分岐された操作用ガバナロープ24は引かれる。第2の金具32は、第1の金具31から離間される。すなわち、実施の形態1のコンペンセーション装置は、機械的に、第2の金具32を、第1の金具31から離間させることができる。実施の形態1のコンペンセーション装置は、コンペンチェーン6を、機械的に、乗りかご2から離間させることができる。これにより、非通電時においても、コンペンセーション装置を動作させることができる。そのため、例えば、蓄電池を搭載するなどの付加仕様は必要とされない。
第1の金具31には第1の穴31cが設けられており、第2の金具32には第2の穴32cが設けられている。第1の穴31cおよび第2の穴32cは、第1の金具31および第2の金具32が重ねられた状態で連通している。第3の金具33は、連通した第1の穴31cおよび第2の穴32cを貫通することによって、第1の金具31および第2の金具32を連結している。ガバナロープ21の変位によって、第3の金具33は第1の金具31および第2の金具32に貫通された状態から引き抜かれ、第2の金具32は第1の金具31から離間され、コンペンチェーン6は乗りかご2から離間される。
このようにすることによって、第2の金具32は、機械的に、第1の金具31から離間される。これにより、非通電時においても、コンペンセーション装置を動作させることができる。
コンペンチェーン6を取り付けるための金具は、従来用いてきた金具から、第1の金具31〜第3の金具33に、容易に取り替えられる。また、滑車25は、乗りかご2の下部に容易に設置される。これにより、既存のエレベータに対して、実施の形態1によるコンペンセーション装置を、容易に後付けすることができる。
実施の形態1によるコンペンセーション装置を用いた場合、非常停止装置3への負荷を低減できる。そのため、非常停止装置3を小型化することができる。また、エレベータを改修する場合には、非常停止装置3を取り替えずに、乗りかご2の重量を増やすことができる。
図6は、実施の形態1の変形例によるコンペンセーション装置の分解斜視図である。実施の形態1の変形例によるコンペンセーション装置は、連結部101およびコンペンチェーン6を有している。連結部101は、第1の金具41、第2の金具42、第3の金具43、および落下防止用ロープ34を有している。
第1の金具41は、L字形状であり、水平部41aおよび垂直部41bを有している。水平部41aは、乗りかご2の床2aに取り付けられる。垂直部41bには、第1の穴41cが設けられている。垂直部41bには、落下防止用ロープ34の一端が取り付けられている。すなわち、落下防止用ロープ34の一端は、乗りかご2の側に接続されている。
第2の金具42は、平板42aである。平板42aの一部は、第1の金具41の垂直部41bと重ねられている。平板42aの重ねられた部分には、第2の穴42cが設けられている。第2の穴42cは、第1の金具41および第2の金具42が重ねられた状態で、第1の穴41cと連通している。平板42aには、落下防止用ロープ34の他端が取り付けられている。すなわち、落下防止用ロープ34の他端は、第2の金具42に接続されている。また、平板42aには、コンペンチェーン6が取り付けられている。
第3の金具43は、円筒形の金具である。第3の金具43は、操作用ガバナロープ24の先端に取り付けられている。すなわち、第3の金具43は、操作用ガバナロープ24を介して、ガバナロープ21の一端に取り付けられている。第3の金具43は、第1の穴41cおよび第2の穴42cを貫通する。したがって、第3の金具43は、第1の金具41および第2の金具42を連結する。
非常停止装置3が作動された場合、ガバナ装置20は、ガバナロープ21を変位させる。ガバナロープ21の変位に伴って、操作用ガバナロープ24を介して、第3の金具43は、第1の金具41および第2の金具42に貫通された状態から引き抜かれる。そのため、第2の金具42は、第1の金具41から離間される。コンペンチェーン6は、乗りかご2から離間される。コンペンチェーン6の一端は、乗りかご2から離間された後も、落下防止用ロープ34によって、乗りかご2から落下防止用ロープ34の長さ以上には離れない。
このように、実施の形態1の変形例によるコンペンセーション装置では、第1の金具41には第1の穴41cが設けられており、第2の金具42に第2の穴42cが設けられている。第1の穴41cおよび第2の穴42cは、第1の金具41および第2の金具42が重ねられた状態で連通している。第3の金具43は、連通した第1の穴41cおよび第2の穴42cを貫通することによって、第1の金具41および第2の金具42を連結している。ガバナロープ21の変位によって、第3の金具43は、第1の金具41および第2の金具42に貫通された状態から引き抜かれる。第2の金具42は、第1の金具41から離間される。コンペンチェーン6は、乗りかご2から離間される。これにより、非通電時においても、コンペンセーション装置を動作させることができる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2によるコンペンセーション装置について、図7を用いて説明する。実施の形態1では、第3の金具が引き抜かれることによって、第2の金具が第1の金具から離間されていた。実施の形態2では、第3の金具が回転することによって、第2の金具が第1の金具から離間される。
実施の形態2によるコンペンセーション装置は、連結部102およびコンペンチェーン6を有している。連結部102は、第1の金具51、第2の金具52、第3の金具53、および落下防止用ロープ34を有している。
第1の金具51は、乗りかご2の床2aの下面に取り付けられている。第1の金具51には、第3の金具53が取り付けられている。第3の金具53は、回転ピン55によって、第1の金具51に回転可能に支持されている。第3の金具53は、C字形状である。第3の金具53には、操作用ガバナロープ24が取り付けられている。すなわち、第3の金具53は、操作用ガバナロープ24を介して、ガバナロープ21の一端に取り付けられている。第3の金具53には、第2の金具52がかけられている。すなわち、第3の金具53は、第2の金具52を第1の金具51に接続している。
第2の金具52は、C字形状である。第2の金具52には、コンペンチェーン6の一端が取り付けられている。例えば、コンペンチェーン6は、第2の金具52の右側の端部に取り付けられている。このようにすることで、第3の金具53は、コンペンチェーン6および第2の金具52がかけられることによって、回転しない構造となっている。コンペンチェーン6および第2の金具52が第3の金具53にかけられただけで、第3の金具53が回転しないようにするためには、回転ピン55にヒネリバネを設けてもよい。
第3の金具53には、落下防止用ロープ34の一端が取り付けられている。すなわち、落下防止用ロープ34の一端は、乗りかご2の側に接続されている。落下防止用ロープ34の他端は、第2の金具52に接続されている。
次に、実施の形態2によるコンペンセーション装置の作用を、図7を用いて説明する。
乗りかご2の速度が基準速度以上になった場合、ガバナロープ21が引かれる。それに伴って、ガバナロープ21から分岐された操作用ガバナロープ24も引かれる。第3の金具53は、回転ピン55の回りを反時計回りに回転される。第2の金具52は、第3の金具53から離間する。第2の金具52およびコンペンチェーン6は自由落下を始める。一方、乗りかご2は、非常停止装置3によって減速を開始する。コンペンチェーン6が自由落下をしている間、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用しない。
コンペンチェーン6が自由落下をしている間、コンペンチェーン6の減速度は、乗りかご2の減速度と異なっている。そのため、ある時間の後、落下防止用ロープ34は伸びきる。落下防止用ロープ34が伸びきると、コンペンチェーン6は、自由落下をやめる。コンペンチェーン6は、乗りかご2と一体となって減速しながら落下する。コンペンチェーン6の荷重は、再び、非常停止装置3に作用する。その後、乗りかご2は停止する。
実施の形態2によるコンペンセーション装置では、第3の金具53は、第1の金具51に回転可能に支持されている。ガバナロープ21の変位に伴って、第3の金具53は第1の金具51に対して回転され、第2の金具52は第1の金具51から離間される。コンペンチェーン6は乗りかご2から離間される。これにより、非通電時においても、コンペンセーション装置を動作させることができる。
図8は、実施の形態2の変形例によるコンペンセーション装置の分解斜視図である。実施の形態2の変形例によるコンペンセーション装置は、連結部103およびコンペンチェーン6を有している。連結部103は、第1の金具61、第2の金具62、第3の金具63、および落下防止用ロープ34を有している。
第1の金具61は、水平部61aおよび垂直部61bを有している。水平部61aは、乗りかごの床2aの下面に取り付けられる。垂直部61bは屈曲している。屈曲している箇所には、回転ピン65が設けられている。第1の金具61には、第3の金具63が取り付けられている。第3の金具63は、U字形状である。第3の金具63は、U字形状の一端において、回転ピン65によって、第1の金具61に回転可能に支持されている。
第3の金具63は、U字形状の屈曲する1つの角において、操作用ガバナロープ24が取り付けられている。すなわち、第3の金具63は、操作用ガバナロープ24を介して、ガバナロープ21の先端に取り付けられている。第3の金具63には、四角形の枠型形状である第2の金具62がかけられている。第2の金具62には、コンペンチェーン6の一端が取り付けられている。
第1の金具61の垂直部61bには、落下防止用ロープ34の一端が取り付けられている。すなわち、落下防止用ロープ34の一端は、乗りかご2の側に接続されている。落下防止用ロープ34の他端は、第2の金具62に接続されている。
乗りかご2の速度が基準速度以上になった場合、ガバナロープ21が引かれ、ガバナロープ21から分岐された操作用ガバナロープ24が引かれる。第3の金具63は、回転ピン65の回りを、反時計回りに回転される。第2の金具62は、第3の金具63から離間される。第2の金具62およびコンペンチェーン6は自由落下を始める。一方、乗りかご2は、非常停止装置3によって減速し始める。そのため、コンペンチェーン6の荷重は、非常停止装置3に作用しない。
乗りかご2の減速度およびコンペンチェーン6の減速度の差異によって、ある時間の後、落下防止用ロープ34は伸びきる。落下防止用ロープ34が伸びきると、コンペンチェーン6は、自由落下をやめる。コンペンチェーン6は、乗りかご2と一体となって減速しながら落下する。コンペンチェーン6の荷重は、再び、非常停止装置3に作用する。やがて、乗りかご2は停止する。
実施の形態2の変形例によるコンペンセーション装置では、第3の金具63は、第1の金具61に回転可能に支持されている。ガバナロープ21の変位に伴って、第3の金具63は第1の金具61に対して回転され、第2の金具62は第1の金具61から離間される。コンペンチェーン6は乗りかご2から離間される。これにより、非通電時においても、コンペンセーション装置を動作させることができる。
1 昇降路、2 乗りかご、3 非常停止装置、4 釣合おもり、6 コンペンチェーン(補償索)、20 ガバナ装置、21 ガバナロープ、31,41,51,61 第1の金具、31c,41c 第1の穴、32,42,52,62 第2の金具、32c,42c 第2の穴、33,43,53,63 第3の金具、34 落下防止用ロープ(条体)、100,101,102,103 連結部、AC コンペンチェーンの減速度(補償索の減速度)、AK 乗りかごの減速度。

Claims (4)

  1. 昇降路内を昇降する乗りかごおよび釣合おもりと、前記乗りかごを非常停止させる非常停止装置とを備えるエレベータのコンペンセーション装置であって、
    前記乗りかごおよび前記釣合おもりに接続され、前記昇降路内に吊り下げられる補償索と、
    前記乗りかごに一方が取り付けられ、他方に前記補償索が取り付けられる連結部とを有し、
    前記連結部は、前記非常停止装置が作動した後において、前記補償索および前記乗りかごの接続を保持しつつ、前記補償索の減速度を前記乗りかごの減速度と異なる減速度にするエレベータのコンペンセーション装置。
  2. 前記非常停止装置は、前記乗りかごの速度を検出するガバナ装置に備えられたガバナロープによって作動され、
    前記連結部は、
    前記乗りかごに取り付けられる第1の金具と、
    前記補償索の一端が取り付けられる第2の金具と、
    前記乗りかご側に一端が接続され、他端が前記第2の金具に接続される条体と、
    前記ガバナロープの一端に取り付けられ、前記第1の金具および前記第2の金具を連結する第3の金具とを備え、
    前記ガバナ装置が前記乗りかごの過速走行を検出した場合、前記ガバナロープの変位に伴って、前記第3の金具は前記第1の金具に対して変位され、前記第2の金具は前記第1の金具から離間され、前記補償索は前記乗りかごから離間される請求項1に記載のエレベータのコンペンセーション装置。
  3. 前記第1の金具には第1の穴が設けられ、
    前記第2の金具には第2の穴が設けられ、
    前記第1の穴および前記第2の穴は、前記第1の金具および前記第2の金具が重ねられた状態で連通し、
    前記第3の金具は、前記連通した前記第1の穴および前記第2の穴を貫通することによって、前記第1の金具および前記第2の金具を連結し、
    前記ガバナロープの変位に伴って、前記第3の金具は前記第1の金具および前記第2の金具に貫通された状態から引き抜かれ、前記第2の金具は前記第1の金具から離間され、前記補償索は前記乗りかごから離間される請求項2に記載のエレベータのコンペンセーション装置。
  4. 前記第3の金具は、前記第1の金具に回転可能に支持され、
    前記ガバナロープの変位に伴って、前記第3の金具は前記第1の金具に対して回転され、前記第2の金具は前記第1の金具から離間され、前記補償索は前記乗りかごから離間される請求項2に記載のエレベータのコンペンセーション装置。
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