実施の形態1.
本実施の形態1の空気調和装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1の空気調和装置の一構成例を示す冷媒回路図である。図1に示すように、空気調和装置1は、熱源機10と、第1中継器30と、複数の第2中継器50aおよび50bとを有する。熱源機10と第1中継器30とは、高圧管23および低圧管22で接続されている。第1中継器30と第2中継器50aとは、低圧ガス管42、低圧ガス管42a、高圧ガス管43および高圧ガス管43aで接続されている。第1中継器30と第2中継器50bとは、低圧ガス管42、低圧ガス管42b、高圧ガス管43および高圧ガス管43bで接続されている。空気調和装置100には、制御部90が設けられている。
第2中継器50aは、熱源機10から流出する冷媒を複数の負荷側ユニット70aおよび70cに分岐させ、負荷側ユニット70aおよび70cから流出する冷媒を合流して第1中継器30に流出する。第2中継器50aと負荷側ユニット70aとは、ガス枝管75aおよび液枝管76aで接続されている。第2中継器50aと負荷側ユニット70cとは、ガス枝管75cおよび液枝管76cで接続されている。第2中継器50bには、複数の負荷側ユニット70bおよび70dが接続されている。第2中継器50bと負荷側ユニット70bとは、ガス枝管75bおよび液枝管76bで接続されている。第2中継器50bと負荷側ユニット70dとは、ガス枝管75dおよび液枝管76dで接続されている。
図1に示した熱源機10の構成を説明する。図2は、図1に示した熱源機および第1中継器の一構成例を示す図である。熱源機10は、圧縮機11と、流路切替弁12と、熱源側熱交換器13と、アキュムレータ14と、流路調整ユニット15とを有する。圧縮機11は、容量可変の圧縮機である。熱源側熱交換器13は、外気と冷媒との間で熱交換を行うものであり、暖房時には蒸発器として機能し、冷房時には凝縮器として機能する。流路切替弁12は、圧縮機11の吐出口側に接続され、熱源機10における冷媒の流通方向を切り替えて、暖房流路と冷房流路とを切り替える。図2は、流路切替弁12が四方弁の場合を示す。
流路調整ユニット15は、冷媒の流通方向を制限し、高圧管23側では熱源機10から第1中継器30への流れを形成し、低圧管22側では第1中継器30から熱源機10への流れを形成する。流路調整ユニット15は、第1の逆止弁16、第2の逆止弁17、第3の逆止弁18および第4の逆止弁19を有する。アキュムレータ14は、余剰冷媒を貯留するものであり、圧縮機11の冷媒の吸入口に接続されている。アキュムレータ14には、冷媒不足を検知する冷媒量センサ25が設けられている。冷媒量センサ25は、冷媒量が基準値未満になると、冷媒が不足している旨の冷媒不足信号を出力する。流路切替弁12は、流路調整ユニット15、アキュムレータ14および熱源側熱交換器13と接続されている。
流路調整ユニット15に設けられた第1の逆止弁16および第2の逆止弁17が、低圧管22と接続されている。流路調整ユニット15に設けられた第3の逆止弁18および第4の逆止弁19が、高圧管23と接続されている。
次に、図2を参照して、第1中継器30の構成を説明する。第1中継器30は、第2中継器50aおよび50bと、自器に接続される図に示さない負荷側ユニットとに、冷媒を分岐させるものである。第1中継器30は、気液分離装置32と、第1の熱交換部33と、第2の熱交換部34と、第1の流量制御装置35と、第2の流量制御装置36と、第1分岐ユニット46と、第2分岐ユニット47とを有する。気液分離装置32は、気相の冷媒と液相の冷媒とを分離させるものであって、高圧管23、高圧ガス管43および液管41と接続されている。気液分離装置32は、熱源機10から高圧管23を介して流入する冷媒を気体と液体に分離する。気液分離装置32は、高圧のガス冷媒を高圧ガス管43に送り出し、液冷媒を液管41に送り出す。
第1分岐ユニット46は、負荷側ユニットの熱交換器に接続される接続ポート81〜84を有する。接続ポート81〜84は、並列接続された、例えば、2方弁からなる2つの開閉弁を有する。第2分岐ユニット47は、負荷側ユニットの流量制御装置に接続される接続ポート85〜88を有する。接続ポート85〜88は、並列接続された、例えば、2つの逆止弁を有する。図1に示す構成例では、第1中継器30に負荷側ユニットが接続されていないが、第1中継器30に負荷側ユニットが接続されてもよい。
液管41には、第1の熱交換部33および第1の流量制御装置35が設けられている。液管41は、第1の流量制御装置35の冷媒出口側で分岐され、バイパス液管45が設けられている。バイパス液管45は、第2の熱交換部34および第2分岐ユニット47と接続されている。第1の熱交換部33および第2の熱交換部34は、流入する冷媒と空気との間で熱交換を行って、冷媒を冷却する。第1の流量制御装置35は、負荷側ユニット70a〜70dが全て冷房運転の場合、開状態になり、流入する液冷媒の流量を制御し、負荷側ユニット70a〜70dが全て暖房運転の場合、閉状態になり、冷媒の流れを阻止する。第2の流量制御装置36は、負荷側ユニット70a〜70dが全て暖房運転の場合、開状態になり、流入する液冷媒の流量を制御し、負荷側ユニット70a〜70dが全て冷房運転の場合、閉状態になり、冷媒の流れを阻止する。
第2中継器50aおよび50bが第1中継器30に並列に接続されている。液管41は、第2中継器50aと接続される液管41aと、第2中継器50bと接続される液管41bとに分岐されている。低圧ガス管42は、第2中継器50aと接続される低圧ガス管42aと、第2中継器50bと接続される低圧ガス管42bとに分岐されている。高圧ガス管43は、高圧ガス管43aと高圧ガス管43bとに分岐されている。高圧ガス管43aは第2中継器50aと接続されている。高圧ガス管43bは第2中継器50bと接続されている。
次に、第2中継器50aおよび50bの構成を説明する。図3は、図1に示した第2中継器の一例を示す図である。第2中継器50aおよび50bは同一な構成であるため、ここでは、第2中継器50aの構成を説明する。
第2中継器50aは、第1分岐ユニット61aおよび61cと、第2分岐ユニット62aおよび62cと、第3の熱交換部52と、第3の流量制御装置53とを有する。液管41aは、第3の熱交換部52を介して第2分岐ユニット62aおよび62cと接続されている。低圧ガス管42aは、第1分岐ユニット61aおよび61cと接続されている。第2中継器50aには、低圧ガス管42aと液管51とを接続するバイパス管54が設けられている。バイパス管54は、第3の熱交換部52を介して液管51と接続されている。バイパス管54において、第3の熱交換部52と第2分岐ユニット62cとの間に第3の流量制御装置53が設けられている。第3の熱交換部52は、流入する冷媒と空気との間で熱交換を行って、冷媒を冷却する。第3の流量制御装置53は、液管41aに流れる液冷媒を気化させて第1中継器30に戻す場合に、閉状態から開状態に切り替わり、冷媒の流量を制御する。
第1分岐ユニット61aは、4つの接続ポート81a〜84aを有する。第1分岐ユニット61cは、4つの接続ポート81c〜84cを有する。接続ポート81aはガス枝管75aが接続されているが、他の接続ポート82a〜84aの配管先端にはキャップが付いている。接続ポート81cはガス枝管75cが接続されているが、他の接続ポート82c〜84cの配管先端にはキャップが付いている。
第2分岐ユニット62aは、4つの接続ポート85a〜88aを有する。第2分岐ユニット62cは、4つの接続ポート85c〜88cを有する。接続ポート85aは液枝管76aが接続されているが、他の接続ポート86a〜88aの配管先端にはキャップが付いている。接続ポート85cは液枝管76cが接続されているが、他の接続ポート86c〜88cの配管先端にはキャップが付いている。
図4は、図3に示す接続ポートの一構成例を示す図である。接続ポート81a〜84aは互いに同様な構成なため、接続ポート81aの構成を説明する。また、接続ポート85a〜88aは互いに同様な構成なため、接続ポート85aの構成を説明する。
接続ポート81aは、高圧ガス管43aに接続され、高圧分岐配管111に接続された高圧弁121と、低圧分岐配管112に接続された低圧弁122とを有する。高圧弁121および低圧弁122は、例えば、電磁弁からなる。接続ポート85aは、液管41aに接続される逆止弁141と、液管51に接続される逆止弁142とを有する。逆止弁141は、液管41aに接続された分岐配管131に設けられている。逆止弁142は、液管51に接続された分岐配管132に設けられている。
負荷側ユニット70aの運転状態が冷房運転の場合、高圧弁121が閉状態に設定され、低圧弁122が開状態に設定される。冷房運転の場合、液管41aから流入する冷媒は、逆止弁141、液枝管76a、負荷側ユニット70a、ガス枝管75aおよび低圧弁122を順に流通して、低圧ガス管42aに流入する。負荷側ユニット70aの運転状態が暖房運転の場合、高圧弁121が開状態に設定され、低圧弁122が閉状態に設定される。暖房運転の場合、高圧ガス管43aから流入する冷媒は、高圧弁121、ガス枝管75a、負荷側ユニット70a、液枝管76aおよび逆止弁142を順に流通して、液管51に流入する。
次に、図3を参照して、負荷側ユニット70a〜70dの構成を説明する。負荷側ユニット70a〜70dは同様な構成であるため、ここでは、負荷側ユニット70aの構成を説明する。負荷側ユニット70aは、負荷側熱交換器71aと、負荷側流量制御装置72aとを有する。負荷側熱交換器71aおよび負荷側流量制御装置72aは冷媒配管で接続されている。負荷側熱交換器71aは、ガス枝管75aを介して接続ポート81aと接続されている。負荷側流量制御装置72aは、液枝管76aを介して接続ポート85aと接続されている。負荷側熱交換器71aは、空調対象空間の空気と冷媒との間で熱交換を行うものであり、暖房時には凝縮器として機能し、冷房時には蒸発器として機能する。負荷側流量制御装置72aは、流入する冷媒を減圧して膨張させる。
次に、図1に示した制御部90の構成を説明する。図5は、図1に示した制御部の一構成例を示すブロック図である。図5に示す制御部90は、プログラムを記憶するメモリ91と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)92とを有する。CPU92はタイマーの機能を備えている。
制御部90は、圧縮機11、流路切替弁12および冷媒量センサ25と信号線で接続されている。制御部90は、第1の流量制御装置35、第2の流量制御装置36および第3の流量制御装置53と信号線で接続されている。制御部90は、第2中継器50aおよび50bにおける各接続ポートの高圧弁121および低圧弁122と信号線で接続されている。制御部90は、負荷側流量制御装置72a〜72dと信号線で接続されている。接続手段は、有線に限らず、無線であってもよい。
制御部90は、負荷側ユニット70a〜70dに設定される運転状態に合わせて、圧縮機11、流路切替弁12、第1の流量制御装置35、第2の流量制御装置36、第3の流量制御装置53および負荷側流量制御装置72a〜72dを制御する。制御部90は、各種運転モードを実行する。運転モードとして、運転する全ての負荷側ユニットが冷房運転である全冷房運転と、運転する全ての負荷側ユニットが暖房運転である全暖房運転とがある。他の運転モードとして、冷房運転の容量が暖房運転の容量よりも大きい冷房主体運転と、暖房運転の容量が冷房運転の容量よりも大きい暖房主体運転とがある。
制御部90は、冷媒量センサ25から冷媒不足信号を受信すると、第2中継器50aおよび50bのうち、いずれかの第2中継器の接続ポートを制御して、滞留する冷媒を熱源機10に戻す冷媒回収処理を行う。具体的には、制御部90は、第2中継器50aおよび50bのうち、接続される負荷側ユニットの全てが運転していない第2中継器があると、冷媒の滞留が起きる状態と判定する。そして、制御部90は、負荷側ユニットの全てが運転していない第2中継器において、高圧ガス管に接続される複数の接続ポートのうち、少なくとも1つの接続ポートを制御対象に選択する。制御部90は、選択した接続ポートの高圧弁121および低圧弁122を開状態にして、高圧ガス管と低圧ガス管とを接続させる冷媒回収処理を行う。
高圧弁121および低圧弁122を開状態にする設定時間が決められていてもよい。制御部90は、低圧弁122を開状態にしてから設定時間が経過すると、低圧弁122および高圧弁121を閉じる。設定時間はメモリ91に記録されている。
また、制御対象となる複数の接続ポートに、負荷側ユニットが接続されていない接続ポートと、負荷側ユニットが接続されているが負荷側ユニットが運転していない接続ポートとがある場合、いずれの接続ポートを選択するか、優先順位が設定されていてもよい。例えば、負荷側ユニットが接続されていない接続ポートの優先順位が、負荷側ユニットが接続されている接続ポートの優先順位よりも高く設定される。負荷側ユニットが接続されている接続ポートの弁が開くとき、高圧ガス管から低圧ガス管に流れ込む冷媒の圧力が負荷側ユニットの負荷側熱交換器等の機器に影響を及ぼすことを抑制できるからである。
本実施の形態1では、制御部90が熱源機10における冷媒不足を冷媒量センサ25から冷媒不足信号を受信するか否かで判定する場合で説明するが、冷媒量の不足はセンサで検知させる場合に限らない。制御部90は、冷凍サイクルの状態を測定する、図に示さない温度センサおよび圧力センサの測定値を用いて冷凍能力を算出し、算出した冷凍能力が低下すると、冷媒量が不足していると判定してもよい。外気温度および冷媒温度を含む温度を測定する複数の温度センサと、圧縮機11の吐出圧力および吸入圧力を含む冷媒圧力を測定する複数の圧力センサとが、空気調和装置1に設けられていてもよい。この場合、制御部90は、各種センサの測定値から冷媒不足を判定してもよい。
また、図1〜図3に示した構成例では、2つの第2中継器50aおよび50b毎に2台の負荷側ユニットが接続される場合を示しているが、第2中継器50aおよび50bに接続される負荷側ユニットの台数は2台に限らない。複数の第2中継器のうち、1台の第2中継器に1台の負荷側ユニットが接続され、他の第2中継器に負荷側ユニットが1台も接続されていなくてもよい。
図6は、図1に示した空気調和装置が全冷房運転の場合における第2中継器の冷媒の流れを示す図である。空気調和装置1が全冷房運転を行う場合の冷媒の流れを、図2および図6を参照して説明する。図6では、冷媒が流れる方向を矢印で示す。負荷側ユニット70a〜70dの運転状態の全てが冷房運転である。
図2に示す圧縮機11は、アキュムレータ14から吸入する冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機11から吐出されたガス冷媒は、流路切替弁12を通って熱源側熱交換器13に流入する。熱源側熱交換器13において、ガス冷媒は、外気と熱交換を行って凝縮され、液化する。液化した冷媒は、第4の逆止弁19および高圧管23を通って第1中継器30に流入する。第1中継器30において、液冷媒は、気液分離装置32、第1の熱交換部33、および第1の流量制御装置35の順に流通する。
液冷媒は、液管41を介して、図2に示した第1中継器30から流出すると、図6に示す液管41aおよび41bに分流する。液管41aを流れる液冷媒は第2中継器50aに流入する。液管41bを流れる液冷媒は第2中継器50bに流入する。第2中継器50aに流入した液冷媒は、第3の熱交換部52を流通した後、接続ポート85cおよび85aに分流する。一方、第2中継器50bに流入した液冷媒は、第3の熱交換部52を流通した後、接続ポート85dおよび85bに分流する。
接続ポート85cを流通する液冷媒は、液枝管76cを流通して、負荷側ユニット70cに流入する。接続ポート85aを流通する液冷媒は、液枝管76aを流通して、負荷側ユニット70aに流入する。接続ポート85dを流通する液冷媒は、液枝管76dを流通して、負荷側ユニット70dに流入する。接続ポート85bを流通する液冷媒は、液枝管76bを流通して、負荷側ユニット70bに流入する。
負荷側ユニット70cに流入した冷媒は、負荷側流量制御装置72cで減圧された後、負荷側熱交換器71cにおいて、空調対象空間の空気と熱交換を行って蒸発し、ガス化する。ガス化した冷媒は、ガス枝管75cを流通して、第2中継器50aの接続ポート81cに流入する。なお、負荷側ユニット70a、70bおよび70dにおける冷媒の流れは、負荷側ユニット70cと同様であるため、その説明を省略する。
第2中継器50aにおいて、接続ポート81cを流通するガス冷媒と接続ポート81aを流通するガス冷媒とが低圧ガス管42aで合流する。また、第2中継器50bにおいて、接続ポート81dを流通するガス冷媒と接続ポート81bを流通するガス冷媒とが低圧ガス管42bで合流する。低圧ガス管42aを流通するガス冷媒と低圧ガス管42bを流通するガス冷媒とが低圧ガス管42に合流した後、図2に示した第1中継器30に流入する。
図2に示す第1中継器30に流入したガス冷媒は、低圧ガス管42および低圧管22を流通して熱源機10に流入する。熱源機10に流入したガス冷媒は、第1の逆止弁16および流路切替弁12を順に流通してアキュムレータ14に流入する。
このようにして、圧縮機11から吐出された冷媒は、熱源機10で生成された熱を負荷側ユニット70a〜70dに運び、負荷側ユニット70a〜70dの空調対象空間を冷却した後、熱源機10のアキュムレータ14に戻る。
次に、空気調和装置1が全暖房運転を行う場合の冷媒の流れを、図2および図7を参照して説明する。図7は、図1に示した空気調和装置が全暖房運転を行う場合における第2中継器の冷媒の流れを示す図である。図7では、冷媒が流れる方向を矢印で示す。高圧ガス冷媒が流れる冷媒配管を太く表示している。負荷側ユニット70a〜70dの運転状態の全てが暖房運転である。
図2に示す圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁12および第3の逆止弁18を流通した後、低圧管22を介して第1中継器30に流入する。第1中継器30において、ガス冷媒は、気液分離装置32および高圧ガス管43を流通した後、図7に示す高圧ガス管43aおよび43bに分流する。
高圧ガス管43aを流れるガス冷媒は第2中継器50aに流入する。高圧ガス管43bを流れるガス冷媒は第2中継器50bに流入する。第2中継器50aに流入したガス冷媒は、接続ポート81cおよび81aに分流する。一方、第2中継器50bに流入したガス冷媒は、接続ポート81dおよび81bに分流する。
接続ポート81cを流通するガス冷媒は、ガス枝管75cを流通して、負荷側ユニット70cに流入する。接続ポート81aを流通するガス冷媒は、ガス枝管75aを流通して、負荷側ユニット70aに流入する。接続ポート81dを流通するガス冷媒は、ガス枝管75dを流通して、負荷側ユニット70dに流入する。接続ポート81bを流通するガス冷媒は、ガス枝管75bを流通して、負荷側ユニット70bに流入する。
負荷側ユニット70cに流入した冷媒は、負荷側熱交換器71cにおいて、空調対象空間の空気と熱交換を行って凝縮され、液化する。液化した冷媒は、負荷側流量制御装置72cで減圧された後、液枝管76cを流通して、第2中継器50aの接続ポート85cに流入する。なお、負荷側ユニット70a、70bおよび70dにおける冷媒の流れは、負荷側ユニット70cと同様であるため、その説明を省略する。
第2中継器50aにおいて、接続ポート85cを流通する冷媒と接続ポート85aを流通する冷媒とが、液管51を経由して液管41aに流入する。また、第2中継器50bにおいては、接続ポート85dを流通する冷媒と接続ポート85bを流通する冷媒とが、液管51を経由して液管41bに流入する。液管41aを流通する冷媒と液管41bを流通する冷媒とが液管41に合流した後、図2に示した第1中継器30に流入する。
図2に示す第1中継器30に流入した冷媒は、第2の熱交換部34、第2の流量制御装置36および第1の熱交換部33を順に経由して低圧管22を流通して熱源機10に流入する。熱源機10に流入した冷媒は、第2の逆止弁17を流通した後、熱源側熱交換器13に流入する。熱源側熱交換器13において、液冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発し、ガス化する。ガス化した冷媒は、流路切替弁12を流通した後、アキュムレータ14に流入する。
このようにして、圧縮機11から吐出された冷媒は、熱源機10で生成された熱を負荷側ユニット70a〜70dに運び、負荷側ユニット70a〜70dの空調対象空間を温めた後、熱源機10のアキュムレータ14に戻る。
次に、空気調和装置1が冷房主体運転を行う場合の冷媒の流れを説明する。図8は、図1に示した空気調和装置が冷房主体運転を行う場合における第2中継器の冷媒の流れを示す図である。図8では、冷媒が流れる方向を矢印で示す。高圧ガス冷媒が流れる冷媒配管を太く表示している。図8では、負荷側ユニット70a〜70dのうち、負荷側ユニット70cが暖房運転である。負荷側ユニット70aおよび70dが冷房運転である。負荷側ユニット70bが停止している。冷房主体運転は、全冷房運転における制御が一部異なる。ここでは、空気調和装置1が全冷房運転を行う場合と異なる点を説明する。
運転モードが全冷房運転の場合と同様にして、液冷媒が、図2に示す熱源機10から高圧管を流通して第1中継器30に流入する。第1中継器30に流入した液冷媒は、気液分離装置32において、高圧ガス冷媒と液冷媒とに分離する。高圧ガス冷媒は、高圧ガス管43を流通した後、高圧ガス管43aおよび43bに分流する。一方、気液分離装置32で分離された液冷媒は、全冷房運転の場合と同様にして、液管41を流通した後、液管41aおよび41bに分流する。
液管41aを流通する液冷媒は、接続ポート85aおよび液枝管76aを経由して負荷側ユニット70aに流入する。負荷側ユニット70aにおいて、冷媒は、運転モードが全冷房運転の場合と同様にして、負荷側流量制御装置72aで減圧された後、負荷側熱交換器71aで空調対象空間の空気と熱交換を行って蒸発し、ガス化する。ガス化した冷媒は、ガス枝管75aを流通して、第2中継器50aの接続ポート81aに流入する。ガス冷媒は、接続ポート81aから、低圧ガス管42a、低圧ガス管42、第1中継器30および低圧管22を順に流通して、熱源機10に戻る。なお、負荷側ユニット70dにおける冷媒の流れは、負荷側ユニット70aと同様であるため、その説明を省略する。
一方、高圧ガス管43aを流通するガス冷媒は、運転モードが全暖房運転の場合と同様にして、接続ポート81cおよびガス枝管75cを経由して負荷側ユニット70cに流入する。負荷側ユニット70cにおいて、冷媒は、運転モードが全暖房運転の場合と同様にして、負荷側熱交換器71cで空調対象空間の空気と熱交換を行って凝縮され、液化する。液化した冷媒は、負荷側流量制御装置72cで減圧された後、液枝管76cを流通して、第2中継器50aの接続ポート85cに流入する。液化した冷媒は、液管51に流入し、負荷側ユニット70cの冷房運転で利用される。
このようにして、冷房主体運転では、負荷側ユニット70aおよび70dの空調対象空間が冷却され、負荷側ユニット70cの空調対象空間が温められる。
図8に示す第2中継器50aにおいては、第1中継器30から高圧ガス管43および高圧ガス管43aを流通するガス冷媒は、負荷側ユニット70cに流れ込む。一方、第2中継器50bでは、負荷側ユニット70bおよび70dがいずれも暖房運転をしていなくても、高圧のガス冷媒が第1中継器30から高圧ガス管43および高圧ガス管43bを流通して、第2中継器50bに供給される。しかし、高圧ガス管43bに接続される接続ポート81b〜84bおよび81d〜84dの高圧弁121が全て閉状態なので、第1中継器30と第2中継器50bとの間にガス冷媒が滞留する。滞留するガス冷媒は、周囲の空気に熱が奪われ、温度が低下し、滞留してしまう。
第1中継器30と第2中継器50bとの間にガス冷媒が滞留する場合を、図8を参照して冷房主体運転の場合で説明したが、冷媒が滞留する運転状態はこの場合に限らない。熱源機10から高圧のガス冷媒を第1中継器30側に供給する暖房流路に熱源機10が設定された場合、第2中継器50aおよび50bにおいて、接続される負荷側ユニットが1台も運転していない第2中継器と第1中継器30との間にガス冷媒が滞留する。
熱源機10に暖房流路が設定された場合に、冷媒が滞留する別の例を説明する。第1中継器30に図に示さない負荷側ユニットが接続されているものとする。第1中継器30に接続される負荷側ユニットが暖房運転を行っているが、第2中継器50aおよび50bに接続される負荷側ユニットの全て運転していないとする。この場合、第1中継器30と第2中継器50aおよび50bとの間の高圧ガス管43、43aおよび43bに冷媒が滞留することになる。第1中継器30に接続される第2中継器が1台の場合でも、第1中継器30と第2中継器50aとの間に冷媒が滞留する。
次に、冷媒の滞留を熱源機10に戻す動作の手順を説明する。図9は、図5に示した制御部が実行する動作手順を示すフローチャートである。
制御部90は、冷媒量センサ25が冷媒不足を検知したか否かを判定する(ステップS101)。制御部90は、冷媒量センサ25から冷媒不足信号を受信すると、冷媒不足と判定し、冷媒回収処理の制御対象となる接続ポートを探す(ステップS102)。
第2中継器50aおよび50bの各第2中継器において、1台でも負荷側ユニットが暖房運転を行っていれば、第1中継器30と第2中継器50aおよび50bとの間で、冷媒は滞留しない。
制御部90は、暖房運転を行っている負荷側ユニットと接続される接続ポートを有する第2中継器を、冷媒回収処理の制御対象から除外する。制御部90は、残った第2中継器において、高圧ガス管に接続される複数の接続ポートから制御対象の接続ポートを選択する。制御対象の条件に合う接続ポートは、負荷側ユニットが接続されていない接続ポートと、負荷側ユニットが接続されていても負荷側ユニットが運転していない接続ポートとのうち、いずれかである。
制御部90は、条件に合う接続ポートを、冷媒回収処理の制御対象として選択する(ステップS103)。選択される接続ポートを、接続ポートkで表す。例えば、第1分岐ユニット61aから接続ポートkが選択される場合、kは81a〜84aのいずれかである。ステップS103において、制御部90は、条件に合う接続ポートが複数ある場合には、設定された優先順位にしたがって、1つの接続ポートkを選択する。例えば、負荷側ユニットが接続されていない接続ポートの優先順位は、負荷側ユニットが接続されている接続ポートの優先順位よりも高く設定されている。
続いて、制御部90は、選択した接続ポートkの高圧弁121を閉状態から開状態に切り替え、低圧弁122を閉状態から開状態に切り替える(ステップS104)。これにより、接続ポートkにおいて、高圧ガス管から冷媒が高圧弁121および低圧弁122を流通して低圧ガス管に流入する。制御部90は、低圧弁122を開いたときから時間を計測し、計測した時間が設定時間を経過したか否かを判定する(ステップS105)。設定時間が経過すると、制御部90は、接続ポートkの高圧弁121を開状態から閉状態に戻し、低圧弁122を開状態から閉状態に戻す(ステップS106)。
図8に示した構成例では、ステップS102の処理で条件に合う接続ポートkは、接続ポート82d〜84dおよび接続ポート81b〜84bである。制御部90が、これらの接続ポートのうち、いずれかの接続ポートを1つ選択し、図9に示すステップS104およびS105の処理を行う。第1中継器30と第2中継器50bとの間に滞留する冷媒が、選択された接続ポートkの高圧弁121および低圧弁122を流通した後、低圧ガス管42bを経由して熱源機10に戻る。
図8に示した構成例の場合、接続ポート82d〜84dおよび81b〜84bのうち、接続ポート81bを選択することが望ましい。候補となった接続ポート82d〜84dおよび81b〜84bのうち、接続ポート81bは、第1中継器30を起点とする高圧ガス管43の距離および高圧ガス管43から分岐する高圧ガス管43bに沿った距離が最も遠い位置にある。この場合、第1中継器30と第2中継器50bの間に滞留する冷媒を、できるだけ残らず低圧ガス管42bに回収することができる。
また、制御部90は、接続ポート81bのように、選択した接続ポートkに負荷側ユニットが接続されている場合、ステップS103とステップS104との間で、負荷側流量制御装置72bを開閉する制御を行ってもよい。以下に、その理由を説明する。ここでは、選択された接続ポートkが接続ポート81bの場合で説明する。
負荷側ユニット70bは運転を停止しているため、ガス枝管75b内の冷媒が周囲の空気の温度で冷却され、冷媒圧力が低下している。また、低圧ガス管42bの冷媒圧力と高圧ガス管43aの冷媒圧力との圧力差が大きい状態である。この状態で、高圧弁121および低圧弁122が開くと、高圧のガス冷媒が一気にガス枝管75b内に流れ込む。このとき、ガス枝管75bおよび負荷側熱交換器71bに大きな圧力負荷がかかってしまう場合がある。また、高圧のガス冷媒が高圧ガス管43bからガス枝管75aおよび低圧ガス管42bに勢いよく流れ込むことで、破裂音のような音が発生することがある。
図8に示す場合、負荷側ユニット70dが冷房運転を行っているので、液枝管76bには、高圧の液冷媒が流れ込んでいる。そこで、ステップS104の処理の前に、制御部90は、ステップS103で接続ポート81bを選択すると、ステップS104の前に負荷側流量制御装置72bを開いて、ガス枝管75b内の冷媒圧力を高圧ガス管43bの冷媒圧力の1/2程度まで上昇させる。その後、制御部90は、負荷側流量制御装置72bを閉じ、ステップS104の処理に進む。
このようにして、制御部90がステップS104の前に負荷側流量制御装置72bを開閉制御することで、低圧ガス管42bの冷媒圧力と高圧ガス管43bの冷媒圧力との差圧が小さくなる。そして、高圧弁121および低圧弁122が開いたとき、冷媒が高圧ガス管43bから低圧ガス管42bに流れ込む勢いが抑制される。その結果、ガス枝管75bおよび負荷側熱交換器71bに大きな圧力負荷がかかることが抑制される。また、高圧のガス冷媒が低圧ガス管42bに流れ込むときに発生する音の大きさが低減する。
なお、本実施の形態1では、図9を参照して、冷媒不足が検知されたとき、制御部90が冷媒回収処理を行う場合で説明したが、冷媒回収処理は冷媒不足が検知された場合に限らない。空気調和装置1が図8に示した運転状態では、2台の第2中継器50aおよび50bのうち、一方の第2中継器50aに接続された負荷側ユニット70cが暖房運転を行い、他方の第2中継器50bには暖房運転を行う負荷側ユニットが1台もない。このことから、制御部90は、複数の第2中継器のうち、1台の第2中継器に接続される負荷側ユニットが暖房運転を行い、他の第2中継器では、暖房運転している負荷側ユニットがない状態を認識すると、他の第2中継器で冷媒が滞留していると判断してもよい。この場合、制御部90は、一定時間毎に他の第2中継器に対して、図9に示した手順にしたがって冷媒回収処理を行ってもよい。
また、図9を参照して、冷媒回収処理の対象となる運転状態として、1台の第2中継器に接続される負荷側ユニットが暖房運転を行い、他の第2中継器では、暖房運転している負荷側ユニットがない状態の場合を説明したが、この場合に限らない。例えば、図8に示した第2中継器50bに接続される負荷側ユニット70dが運転を停止している場合を考える。この場合、液管41bを流通する冷媒が第1中継器30に戻る際、負荷側ユニット70dが冷房運転を行っている場合よりもスムーズに戻ることができない。第2中継器に接続される負荷側ユニットが1台も運転も行っていない場合に、制御部90が図9に示した冷媒回収処理を行ってもよい。
本実施の形態1の空気調和装置1では、自器に接続されている負荷側ユニットが全て運転を停止している第2中継器があると、制御部90は、その第2中継器において、高圧ガス管に接続される複数の接続ポートから1つの接続ポートを選択する。そして、制御部90は、選択した接続ポートに設けられた高圧弁121および低圧弁122を開状態にして、高圧ガス管と低圧ガス管とを接続させる。
本実施の形態1によれば、制御部90は、冷媒の滞留が発生する運転状態になると、冷媒が滞留する第2中継器の接続ポートの弁を開放することで、滞留する冷媒を熱源機10に回収する。滞留する冷媒が熱源機10に戻り、冷媒不足による冷凍能力の低下を抑制することができる。また、冷媒の滞留が発生する運転状態に高圧ガス管と低圧ガス管とを接続する弁を開状態にするので、高圧ガス管と低圧ガス管とを接続するバイパス回路を常に開状態にする場合に比べて、冷凍能力の低下を抑制できる。
また、滞留する冷媒の量と、高圧ガス管と低圧ガス管とをバイパスする回路が常に開状態である空気調和機の場合、冷凍能力の低下との関係で、第2中継器の台数、冷媒配管の長さおよび負荷側ユニットの容量を含む配管システム設計が制限される。これに対して、本実施の形態1では、冷媒不足のタイミングで、制御部90は冷媒が滞留する接続ポートを特定し、特定した接続ポートにおける弁の開閉制御を行うことで、冷媒の回収と冷凍能力の低下とを図っている。冷媒量が足りている通常の運転状態では、冷凍能力の低下を防げるため、第2中継器の台数と配管長の制限が軽減する。そのため、本実施の形態1の空気調和装置1は、配管システムの設計の自由度が向上する。
実施の形態2.
本実施の形態2は、高圧ガス管側と接続される接続ポートの他の構成例に関するものである。本実施の形態2では、実施の形態1と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態2の空気調和装置における接続ポートの一構成例を示す図である。本実施の形態2では、接続ポート81a〜84aは互いに同様な構成のため、接続ポート81aの構成を説明する。接続ポート85a〜88aは実施の形態1と同様なため、その詳細な説明を省略する。
図10に示すように、接続ポート81aは、低圧ガス管42aに接続される低圧弁として、第1低圧弁122−1と、第1低圧弁122−1と並列に接続される第2低圧弁122−2とを有する。第1低圧弁122−1の流路断面積は図4に示した低圧弁122と同等である。第2低圧弁122−2の流路断面積は、第1低圧弁122−1の流路断面積よりも小さい。負荷側ユニット70aが暖房運転を行う際、第1低圧弁122−1が開状態に設定される。
本実施の形態2における制御部90の動作を、図9および図11を参照して説明する。図11は、本発明の実施の形態2の空気調和装置における制御部が、図9に示したステップS104の処理で実行する処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、制御部90が接続ポート81aに対して冷媒戻り処理を行う場合で説明する。
図9に示したステップS104において、制御部90は、高圧弁121を閉状態から開状態に切り替える(ステップS141)。制御部90は、第1低圧弁122−1を閉じた状態で、第2低圧弁122−2を閉状態から開状態に切り替える(ステップS142)。第2低圧弁122−2が閉状態から開状態に切り替わると、第1中継器30と第2中継器50aとの間に滞留する冷媒が高圧ガス管43aから低圧ガス管42aに流れる。また、第2低圧弁122−2の流路断面積は第1低圧弁122−1の流路断面積より小さいので、冷凍能力の低下が抑制される。さらに、冷媒が高圧ガス管43aから低圧ガス管42aに勢いよく流れこむことが抑制される。その結果、ガス枝管75aおよび負荷側熱交換器71aに大きな圧力負荷がかかることが抑制される。また、高圧のガス冷媒が低圧ガス管42aに流れ込むときに発生する音の大きさが低減する。
続いて、図9に示したステップS105において、第2低圧弁122−2が開状態になってから設定時間が経過すると、ステップS106において、制御部90は、高圧弁121および第2低圧弁122−2を開状態から閉状態に切り替える。
本実施の形態2の空気調和装置1は、第1中継器30と第2中継器との間の高圧ガス管に滞留する冷媒を熱源機10に戻す際、流路断面積が小さい第2低圧弁122−2を開けて、高圧ガス管から冷媒を低圧ガス管に流通させる。第2低圧弁122−2の流路断面積は第1低圧弁122−1の流路断面積より小さいので、冷凍能力の低下が抑制される。本実施の形態2によれば、滞留する冷媒を熱源機10に戻せるだけでなく、冷凍能力の低下が抑制される。また、高圧ガス管から低圧ガス管に冷媒が勢いよく流れこむことが抑制されるので、冷媒配管への圧力負荷が抑制され、発生する音の大きさが低減する。
なお、図11に示す手順において、ステップS142の後に、制御部90は、第1低圧弁122−1を閉状態から開状態に切り替えてもよい。第1低圧弁122−1が開く前に、第2低圧弁122−2を介して冷媒が高圧ガス管43aから低圧ガス管42aに少し流入している。第1低圧弁122−1が開いたとき、冷媒配管への圧力負荷と音の発生とが抑制される。その後に第2低圧弁122−2が開くことで、冷媒を熱源機10に効率よく戻すことができる。
上述の第1および第2の実施の形態において、設定時間は決められた時間に限らない。制御部90が設定時間を更新してもよい。制御部90は、空気調和装置1が複数の熱源機10を有する場合、運転している熱源機10の台数に比例して設定時間を長くしてもよい。この場合、熱源機10への過剰に冷媒量を戻すことが抑制され、運転している熱源機10に適した量の冷媒を戻すことができる。
ただし、熱源機10が複数の場合、各熱源機10が保有する冷媒量が平均化されていない場合もある。例えば、2台の熱源機10が運転している場合、一方の熱源機10に冷媒が偏って、他方の熱源機10に冷媒が不足している場合がある。冷媒量センサ25が冷媒量を測定する機能を備えていると、制御部90は、複数の熱源機10の冷媒量センサ25から測定値を取得し、熱源機10同士で冷媒量が均等になるように各圧縮機11を制御し、各熱源機10の冷媒量を平均化する。その上で、制御部90は、冷媒量が不足していると判定すると、設定時間を長くする。冷媒量が不足しているか否かの判定は、1台の熱源機10に適正な冷媒量と、制御部90が算出した冷媒量とを比較して行う。1台の熱源機10に適正な冷媒量として基準値がメモリ91に格納されている。制御部90は、算出した冷媒量が基準値未満であれば、設定時間を長くする。
また、上述の第1および第2の実施の形態において、メモリ91が冷媒回収処理の履歴を記憶し、制御部90が冷媒回収処理の履歴を参照して、設定時間を更新してもよい。この場合の制御部90の動作の一例を説明する。制御部90は、冷媒回収処理を行う度に、冷媒回収処理に関する時間をメモリ91に記録する。そして、制御部90は、メモリが記録する冷媒回収処理の履歴を参照し、冷媒回収処理の時間間隔が短いほど、設定時間を長い時間に更新する。この構成によれば、制御部90は、メモリ91が記憶する、冷媒回収処理の時間間隔を基に、冷媒量が不足しているか否かを判定し、判定結果を設定時間に反映させる。制御部90は、冷媒回収処理の時間間隔が長いほど、設定時間を短くし、冷媒回収処理の時間間隔が短いほど、設定時間を長くする。このようにして設定時間を更新することで、熱源機10に戻す冷媒量を適正化し、かつ冷凍能力の低下を抑制できる。
従来、空気調和装置の運転状態が変化しても、高圧ガス管と低圧ガス管とをバイパスする回路が開状態のままなので、単位時間あたり一定量しか冷媒を回収できなかった。これに対して、上述したように、圧縮機11の運転台数および冷媒回収の時間間隔のうち、一方および両方を基に、制御部90が設定時間を更新する。そのため、運転状態の変化に応じて、適正な冷媒量を熱源機10に回収できる。
また、上述の第1および第2の実施の形態において、メモリ91が冷媒回収処理の冷媒量の履歴を記憶し、制御部90が履歴を参照して、冷媒回収効率が最もよい第2中継器を選択するようにしてもよい。この場合の制御部90の動作の一例を説明する。冷媒量センサ25が冷媒量を測定する機能を備えている。制御部90は、冷媒回収処理を行う度に、制御対象となった接続ポートが属する第2中継器と冷媒量センサ25が測定する冷媒量とを関連付けてメモリ91に記録する。制御部90は、図9に示したステップS103において、1つの接続ポートを選択する際、メモリ91が記録した情報を参照する。そして、制御部90は、記録された冷媒量のうち、最も多い冷媒量に関連付けて記録された第2中継器から1つの接続ポートを選択する。この構成によれば、制御部90が冷媒回収処理を行う際、複数の第2中継器50aおよび50bのうち、冷媒回収効率が最も高い第2中継器の接続ポートを選択するため、設定時間に冷媒を熱源機10に戻す量が最も多くなる。その結果、冷媒回収の効率を上げるとともに、冷凍能力の低下を抑制できる。