JPWO2019003968A1 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

赤リンをドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法により、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を引き上げて成長させるシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下に制御し、その後、順次シリコン単結晶の抵抗率を下げていき、シリコン単結晶の一部の抵抗率を、0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下とする。

Description

本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関する。
近年、携帯電話機等の携帯機器が広く普及している。こうした携帯機器では、長時間携行して使用可能なことが強く求められており、携帯機器に内蔵されるバッテリーの大容量化や、携帯機器自体の消費電力を低減させる取り組みがなされている。
携帯機器自体の消費電力を低減させるには、携帯機器の内部に搭載される半導体デバイスの消費電力を低減させることが必要である。
例えば、携帯機器の電力用デバイスとして使用される低耐圧パワーMOSFET(Metal Oxide Semi-Conductor Field Effect Transistor)は、Onとなったときにその内部にある一定の抵抗を有するので、低耐圧パワーMOSFETに流れる電流に応じてそれ自身が電力を消費する。
したがって、低耐圧パワーMOSFETがOnとなったときの内部抵抗を小さくすることができれば、携帯機器の消費電力を低減させることが可能となる。そのような背景から、低耐圧パワーMOSFETがOnとなったときの抵抗を小さくするために、低抵抗率のN型単結晶が強く求められている。
従来のシリコン単結晶の製造方法では、シリコン単結晶の抵抗率が全体で一定となるように、抵抗率を狙い値に制御して引き上げが行われている。
このような低抵抗率のシリコン単結晶は、チョクラルスキー法等により引き上げて製造する場合、引き上げ途中で有転位化が発生し易いということが知られている。
特許文献1には、シリコン単結晶の引き上げ終了間際のテール部分において、ドーパントの濃度が高くなり、組成的過冷却に起因する異常成長が発生する点に着目して、テール部分における抵抗率を上げていき、テール部分における有転位化の発生を防止する技術が開示されている。
特開2010−184839号公報
しかしながら、前記特許文献1を含む従来の技術では、引き上げるシリコン単結晶の抵抗率を下げるため、シリコン融液に添加するドーパント濃度を高くすると、シリコン融液の凝固点降下が非常に大きくなり、組成的過冷却現象に起因する異常成長が発生し、これにともなって引き上げ開始後、肩部から直胴部の20%程度の成長位置で有転位化が発生することがある。
この場合、種結晶を坩堝内のシリコン融液に着液させ、再度引き上げを行うこととなるが、引き上げを繰り返せば、シリコン単結晶のインゴットの製造コストが上昇するという課題がある。
本発明の目的は、製造コストを上昇させることがなく、低抵抗率の直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を得ることのできるシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明は、直胴部開始位置における有転位化の発生に着目し、直胴部開始位置における抵抗率を、狙い値よりも大きな抵抗率とし、その後、順次抵抗率を下げていくことにより、直胴部開始位置における有転位化の発生を防止することをその要旨とする。
具体的には、本発明のシリコン単結晶の製造方法は、赤リンをドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法により、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を引き上げて成長させるシリコン単結晶の製造方法であって、前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下に制御し、その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていき、前記シリコン単結晶の一部の抵抗率を、0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下とすることを特徴とする。
この発明によれば、シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下とすることにより、直胴部開始位置における有転位化の発生を防止することができるので、シリコン単結晶の再度の引き上げの繰り返しを防止して、製造コストが上昇することなく、低抵抗率の赤リンをドーピングしたシリコン単結晶を製造することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、ヒ素をドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法により、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を引き上げて成長させるシリコン単結晶の製造方法であって、前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、2.50mΩcm以上、2.90mΩcm以下に制御し、その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていき、前記シリコン単結晶の一部の抵抗率を、1.6mΩcm以上、2.0mΩcm以下とすることを特徴とする。
この発明によれば、前記と同様の作用および効果により、製造コストが上昇することなく、低抵抗率のヒ素をドーピングしたシリコン単結晶を製造することができる。
本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の引き上げ装置の構造を示す模式図。 実施例における赤リンをドーパントとした場合のシリコン単結晶の直胴長さと、抵抗率の関係を示すグラフ。 実施例における赤リンをドーパントとした場合のシリコン単結晶における直胴長さと有転位化発生率との関係を示すグラフ。 実施例におけるヒ素をドーパントとした場合のシリコン単結晶の直胴長さと、抵抗率の関係を示すグラフ。 実施例におけるヒ素をドーパントとした場合のシリコン単結晶における直胴長さと有転位化発生率との関係を示すグラフ。
[1]シリコン単結晶の引き上げ装置1の構造
図1には、本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に適用できるシリコン単結晶の引き上げ装置1の構造を表す模式図が示されている。引き上げ装置1は、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3とを備える。
ルツボ3は、内側の石英ルツボ3Aと、外側の黒鉛ルツボ3Bとから構成される二重構造であり、回転および昇降が可能な支持軸4の上端部に固定されている。
ルツボ3の内側の石英ルツボ3Aの内径は、シリコン単結晶10の直胴径が301mm以上330mm以下である場合、シリコン単結晶10の直胴径の1.7倍以上、2.0倍以下とするのが好ましい。
ルツボ3の内径をこれよりも大きくすると、後述する熱遮蔽板12や、チャンバ2の開口径が大きくなるため、ドーパント蒸発物が炉体に付着し、シリコン単結晶10に異物が付着して、有転位化が発生し易くなる。
ルツボ3の内径をこのような範囲とすることにより、シリコン単結晶10と、石英ルツボ3Aの間の隙間を少なくし、融液からの蒸発量を少なくすることができるため、赤リン、ヒ素等のドーパントの蒸発を抑え、ドーパントの偏析現象による直胴部開始位置における有転位化の発生を防止することができる。
ルツボ3の外側には、ルツボ3を囲む抵抗加熱式のヒータ5が設けられ、その外側には、チャンバ2の内面に沿って断熱材6が設けられている。
ルツボ3の上方には、支持軸4と同軸上で逆方向または同一方向に所定の速度で回転するワイヤなどの引き上げ軸7が設けられている。この引き上げ軸7の下端には種結晶8が取り付けられている。
チャンバ2内には、ルツボ3内のシリコン融液9の上方で育成中のシリコン単結晶10を囲む円筒状の冷却装置としての水冷体11が配置されている。
水冷体11は、例えば、銅などの熱伝導性の良好な金属からなり、内部に流通される冷却水により強制的に冷却される。この水冷体11は、育成中のシリコン単結晶10の冷却を促進し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸7方向の温度勾配を制御する役割を担う。
さらに、水冷体11の外周面および下端面を包囲するように、筒状の熱遮蔽板12が配置されている。
熱遮蔽板12は、育成中のシリコン単結晶10に対して、ルツボ3内のシリコン融液9や、ヒータ5や、ルツボ3の側壁からの高温の輻射熱を遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、低温の水冷体11への熱の拡散を抑制し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸方向の温度勾配を、水冷体11とともに制御する役割を担う。
チャンバ2の上部には、Arガスなどの不活性ガスをチャンバ2内に導入するガス導入口13が設けられている。チャンバ2の下部には、図示しない真空ポンプの駆動によりチャンバ2内の気体を吸引して排出する排気口14が設けられている。
ガス導入口13からチャンバ2内に導入された不活性ガスは、育成中のシリコン単結晶10と水冷体11との間を下降し、熱遮蔽板12の下端とシリコン融液9の液面との隙間(液面Gap)を経た後、熱遮蔽板12の外側、さらにルツボ3の外側に向けて流れ、その後にルツボ3の外側を下降し、排気口14から排出される。
このような引き上げ装置1を用いたシリコン単結晶10の育成の際、チャンバ2内を減圧下の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ルツボ3に充填した多結晶シリコンなどの固形原料をヒータ5の加熱により溶融させ、シリコン融液9を形成する。ルツボ3内にシリコン融液9が形成されると、引き上げ軸7を下降させて種結晶8をシリコン融液9に浸漬し、ルツボ3および引き上げ軸7を所定の方向に回転させながら、引き上げ軸7を徐々に引き上げ、これにより種結晶8に連なったシリコン単結晶10を育成する。
[2]シリコン単結晶の製造方法
前述した引き上げ装置1を用いて本実施形態のシリコン単結晶10を製造する場合、シリコン融液9中に、赤リン、ヒ素等のドーパントを、引き上げ当初に添加したり、または引き上げ中に適宜添加することにより、製造することができる。
赤リンをドーパントとした場合は、シリコン単結晶10の直胴部開始位置で、抵抗率を1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下に制御し、その後順次赤リンのドープ量を増加させて、シリコン単結晶10の抵抗率を下げていき、最終的に0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下のシリコン単結晶10を得る。
同様に、ヒ素をドーパントとした場合は、シリコン単結晶10の直胴部開始位置で、抵抗率を2.50mΩcm以上、2.90mΩcm以下に制御し、その後順次ヒ素のドープ量を増加させて、シリコン単結晶10の抵抗率を下げていき、最終的に1.6mΩcm以上、2.0mΩcm以下のシリコン単結晶を得る。
本実施形態のシリコン単結晶10のインゴットは、一般的な引き上げ条件で引き上げることができ、その際、引き上げ中にドーパントの添加量を変化させたり、引き上げに伴う偏析現象によるドーパント濃度の上昇を利用したり、チャンバ2内に導入される不活性ガスの導入量を変化させてドーパントの蒸発を促進したり、チャンバ2内の圧力を変化させることにより、製造することができる。なお、チャンバ2内の炉内圧力は、30kPa以上、40kPa以下とするのが好ましい。
シリコン単結晶10の引き上げに際しては、ヒータ5における上部ヒータ5Aによる加熱量と、下部ヒータ5Bによる加熱量の比を1以上、4以下とすることが好ましい。1未満、すなわち下部ヒータ5Bの加熱量が上部ヒータ5Aの加熱量よりも小さいと、ルツボ3の底から、固液界面下に向かう対流が強くならず、ドーパントが添加されたシリコン融液9の表面から結晶に向かう液温が不安定な対流を弱くできないため、温度の不安定化し、有転位化の発生を抑制できない。
一方、加熱量の比が、4を超えると、ルツボ3の下部の熱負荷が大きくなり、ルツボ3の変形や石英の剥離が生じる可能性がある。
シリコン単結晶10の肩部を形成する場合には、高さの大きなリメルト成長領域(たとえば、200μm以上)を発生させないように、引き上げるのが好ましい。具体的には、肩部形成の最初は、16rpm以上、30rpm以下の回転数でルツボ3を回転させながら引き上げ、その後、肩部の直径がシリコン単結晶10の直胴径の半分以上となったら、ルツボ3の回転数を徐々に下げていき、4rpm以上、12rpm以下とする。
肩部形成の最初に30rpmを超える回転数で引き上げると、引き上げ装置1の稼働が安定せず、肩部が変形する可能性が高くなる。
次に、肩部の直径がシリコン単結晶10の直胴径の半分以上となった場合に、ルツボ3の回転数を4rpm未満とすると、ドーパントが添加されたシリコン融液9が安定せず、有転位化が発生する可能性が高くなる。
一方、ルツボ3の回転数が、12rpmを超えると、シリコン単結晶10の面内の酸素密度や抵抗率のばらつきが大きくなり、結晶品質が安定しない。
シリコン単結晶10の直胴部を形成する場合には、高さの大きなリメルト領域(たとえば、200μm以上)を発生させないように、引き上げるのが好ましい。具体的には、直胴部形成の最初は、9rpm以上、30rpm以下の回転数でルツボ3を回転させながら引き上げ、直胴部開始位置から50mm以上、200mm以下、シリコン単結晶10の直胴部を引き上げたら、ルツボ3の回転数を0.1rpm以上、7rpm以下とする。
直胴部形成の最初に30rpmを超える回転数で引き上げると、引き上げ装置1の稼働が安定しないうえ、直胴部が変形する可能性が高くなる。
次に、直胴部開始位置から50mm以上、200mm以下の範囲で、ルツボ3の回転数が0.1rpm未満だと、ドーパントが添加されたシリコン融液9が安定せず、有転位化の発生の原因となる可能性が高い。
一方、ルツボ3の回転数が7rpmを超えると、シリコン単結晶10の面内の酸素濃度や電気抵抗率のばらつきが大きくなり、結晶品質が安定しない。
直胴径201mm以上230mm以下の引き上げのように、肩部形成の際に、シリコン単結晶10を高速で回転させることにより、有転位化の発生を抑制する方法も考えられる。しかし、直胴径301mm以上330mm以下の場合、径が大きい故、結晶変形が生じ易く、シリコン単結晶10を高速で回転させることはできない。
[3]低抵抗率シリコンウェーハ、低抵抗率エピタキシャルシリコンウェーハの加工
このような引き上げ装置1で引き上げられた直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶10のインゴットの一部は、赤リンをドーパントとした場合、シリコン単結晶10のテールに近い部分で、抵抗率が0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下のシリコン単結晶10のインゴットが得られる。
当該部分をワイヤーソー等でシリコンウェーハに切り出し、切り出されたシリコンウェーハに、ラッピング工程、研磨工程を施すことにより、抵抗率0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下の直径300mmのシリコンウェーハを得ることができる。
さらに、シリコンウェーハの加工後、アニール熱処理を行い、シリコンウェーハの表面に、エピタキシャル膜を形成して、直径300mmのエピタキシャルシリコンウェーハを製造し、顧客に出荷する。
一方、ヒ素をドーパントとした場合、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶10のテールに近い部分で、抵抗率が1.6mΩcm以上、2.0mΩcm以下のシリコン単結晶10のインゴットが得られる。
当該部分をワイヤーソー等でシリコンウェーハに切り出し、切り出されたシリコンウェーハに、ラッピング工程、研磨工程を施した後、直径300mmのシリコンウェーハを顧客に出荷する。顧客では、必要に応じてエピタキシャル膜を形成し、半導体の製造を行う。
[1]赤リンをドーパントとした場合
シリコン単結晶10の直胴長の位置に応じて、赤リンドーパント添加による抵抗率制御を行いながら、赤リンをドーピングしたシリコン単結晶10の引き上げを行った。
シリコン単結晶10の直胴径は、301mm以上330mm以下とし、実施例では、内径が22インチ(558.8mm)のルツボ3を用い(ルツボ3の内径/シリコン単結晶の直胴径=1.86)、比較例では、内径が32インチ(812.8mm)のルツボ3を用いた(ルツボ3の内径/シリコン単結晶の直胴径=2.70)。
実施例では、シリコン単結晶10の肩部形成の最初はルツボ3の回転数を16rpmとし、肩部の直径が150mmとなった時点で9rpmに変更し、直胴部開始位置におけるルツボ3の回転数を9rpmとし、直胴部開始位置から100mmの位置で6rpmに変更した。
一方、比較例では、シリコン単結晶10の肩部形成の最初は、14rpmとし、肩部の直径が150mmとなった時点で6rpmに変更し、6rpmを維持して直胴部の引き上げを行った。結果を表1および図2に示す。
なお、以下の説明において、直胴長0%位置とは、シリコン単結晶10の直胴部開始位置を意味し、直胴長100%位置とは、シリコン単結晶10のテール部開始位置を意味する。
Figure 2019003968
それぞれの場合における有転位化発生の有無についても検討した。結果を表2および図3に示す。なお、表2中結晶歩留まりとは、有転位化が発生することなく引き上げられたシリコン単結晶のうち、0.7mΩcm以下のシリコン単結晶の部分の長さの割合を意味する。
Figure 2019003968
比較例1のシリコン単結晶は、表2および図3からわかるように、直胴部開始位置から80mmまでの有転位化発生率が7%と高い確率で有転位化の発生を防止できるが、表1および図2からわかるように、直胴長100%位置においても、抵抗率1.0mΩcmに留まり、抵抗率1.0mΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を製造することができない。
比較例2のシリコン単結晶は、表1および図2からわかるように、直胴部開始位置から直胴長35%の位置で、1.0mΩcm以下のシリコン単結晶とすることができるが、表2および図3からわかるように、直胴開始から80mmの位置までの有転位化発生率が87%と極めて高く、直胴部開始位置から80mm以内で有転位化が発生すると、種結晶を漬け直し、再度引き上げを行わなければならず、製造コストが嵩んでしまう。
これに対して、実施例1のシリコン単結晶は、直胴部開始位置から直胴長70%の位置で抵抗率を1.0mΩcm以下とすることができ、しかも直胴部開始位置から80mmまでの有転位化発生率を21%に止めることができ、全長で無転位のシリコン単結晶10が43%となり、1.0mmΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を低コスト製造することができることが確認された。
同様に、実施例2のシリコン単結晶は、直胴部開始位置から50%の位置で抵抗率を1.0mΩcm以下とすることができ、しかも直胴部開始位置から80mmの位置における有転位化発生率を30%に止めることができ、全長で無転位のシリコン単結晶10が40%となり、1.0mΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を製造することが確認された。
[2]ヒ素をドーパントとした場合
シリコン単結晶の直胴長の位置に応じて、ヒ素ドーパント添加による抵抗率制御を行いながら、ヒ素をドーピングしたシリコン単結晶の引き上げを行った。結果を表3および図4に示す。ルツボ3の内径、シリコン単結晶10の直胴径、ルツボ3の回転数は、赤リンの場合と同様である。
Figure 2019003968
それぞれの場合における有転位化発生の有無についても検討した。結果を表4および図5に示す。
Figure 2019003968
比較例3のシリコン単結晶は、表4および図5からわかるように、直胴部開始位置から80mmまでの有転位化発生率が6%と高い確率で有転位化の発生を防止できるが、表3および図4からわかるように、直胴長100%位置においても、抵抗率2.0mΩcmに止まり、抵抗率2.0mΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を製造することができない。
比較例4のシリコン単結晶は、表3および図4からわかるように、直胴部開始位置から直胴長25%の位置で、2.0mΩcm以下のシリコン単結晶とすることができるが、表4および図5からわかるように、直胴開始から80mmの位置で有転位化発生率が87%と極めて高く、直胴部開始位置から80mm以内で有転位化が発生すると、種結晶を漬け直し、再度引き上げを行わなければならず、製造コストが嵩んでしまう。
これに対して、実施例3のシリコン単結晶は、直胴部開始位置から直胴長65%の位置で抵抗率を2.0mΩcm以下とすることができ、しかも直胴部開始位置から80mmまでの有転位化発生率を36%に止めることができ、全長で無転位のシリコン単結晶10が29%となり、2.0mmΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を低コスト製造することができることが確認された。
同様に、実施例4のシリコン単結晶は、直胴部開始位置から45%の位置で抵抗率を2.0mΩcm以下とすることができ、しかも直胴部開始位置から80mmまでの有転位化発生率を50%に止めることができ、全長で無転位のシリコン単結晶10が25%となり、2.0mΩcm以下の低抵抗率のシリコン単結晶を製造することが確認された。
以上のように、赤リンをドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる場合、シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下に制御し、その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていくことにより、シリコン単結晶の一部の抵抗率を、0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下とすることができ、かつシリコン単結晶の有転位化の発生を抑えることができた。
同様に、ヒ素をドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる場合、シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、2.50mΩcm以上、2.90mΩcm以下に制御し、その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていくことにより、シリコン単結晶の一部を、1.6mΩcm以上、2.0mΩcm以下とすることができ、かつシリコン単結晶の有転位化の発生を抑えることができた。
1…引き上げ装置、2…チャンバ、3…ルツボ、3A…石英ルツボ、3B…黒鉛ルツボ、4…支持軸、5…ヒータ、5A…上部ヒータ、5B…下部ヒータ、6…断熱材、7…引き上げ軸、8…種結晶、9…シリコン融液、10…シリコン単結晶、11…水冷体、12…熱遮蔽板、13…ガス導入口、14…排気口。

Claims (2)

  1. 赤リンをドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法により、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を引き上げて成長させるシリコン単結晶の製造方法であって、
    前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、1.20mΩcm以上、1.35mΩcm以下に制御し、
    その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていき、前記シリコン単結晶の一部の抵抗率を、0.7mΩcm以上、1.0mΩcm以下とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. ヒ素をドーパントとして含むシリコン融液から、チョクラルスキー法により、直胴径301mm以上330mm以下のシリコン単結晶を引き上げて成長させるシリコン単結晶の製造方法であって、
    前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における抵抗率を、2.50mΩcm以上、2.90mΩcm以下に制御し、
    その後、順次前記シリコン単結晶の抵抗率を下げていき、前記シリコン単結晶の一部の抵抗率を、1.6mΩcm以上、2.0mΩcm以下とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
JP2019526805A 2017-06-29 2018-06-15 シリコン単結晶の製造方法 Active JP7036116B2 (ja)

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