JP7272343B2 - n型シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
携帯機器自体の消費電力を低減させるには、携帯機器の内部に搭載される半導体デバイスの消費電力を低減させることが必要である。
したがって、低耐圧パワーMOSFETが通電状態となったときの内部抵抗を小さくすることができれば、携帯機器の消費電力を低減させることが可能となる。そのような背景から、低耐圧パワーMOSFETが通電状態となったときの抵抗を小さくするために、低電気抵抗率(以下低抵抗率と称す)のn型シリコン単結晶が強く求められている。
ところで、このような低抵抗率のシリコン単結晶は、チョクラルスキー法等により引き上げて製造する場合、引き上げ途中で有転位化が発生し易いということが知られている。
特許文献1には、シリコン単結晶の引き上げ終了間際のテール部分において、ドーパントの濃度が高くなり、組成的過冷却に起因する異常成長が発生する点に着目して、テール部分における抵抗率を上げていき、テール部分における有転位化の発生を防止する技術が開示されている。
この場合、種結晶を坩堝内融液に着液させ、再度引き上げを行うこととなるが、引き上げを繰り返せば、シリコン単結晶のインゴットの製造コストが上昇するという課題がある。
この発明によれば、前記と同様の作用および効果により、製造コストが上昇することなく、ヒ素をドーピングした低抵抗率のシリコン単結晶を製造することができる。
図1には、本発明の実施形態に係るn型シリコン単結晶の製造方法を適用できるシリコン単結晶の引き上げ装置1の構造の一例を表す模式図が示されている。引き上げ装置1は、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3とを備える。
ルツボ3は、内側の石英ルツボ3Aと、外側の黒鉛ルツボ3Bとから構成される二重構造であり、回転および昇降が可能な支持軸4の上端部に固定されている。
具体的には、シリコン単結晶10の直胴径が201mm以上、230mm以下である場合、石英ルツボ3Aの内径は、シリコン単結晶10の直胴径の2.1倍以上、2.3倍以下とするのが好ましい。一方、シリコン単結晶10の直胴径が301mm以上、330mm以下である場合、石英ルツボ3Aの内径は、シリコン単結晶10の直胴径の1.7倍以上、2.0倍以下とするのが好ましい。
ルツボ3の上方には、支持軸4と同軸上で逆方向または同一方向に所定の速度で回転するワイヤなどの引き上げ軸7が設けられている。この引き上げ軸7の下端には種結晶8が取り付けられている。
熱遮蔽板12は、育成中のシリコン単結晶10に対して、ルツボ3内のシリコン融液9やヒータ5やルツボ3の側壁からの高温の輻射熱を遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、外部への熱の拡散を抑制し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸方向の温度勾配を制御する役割を担う。
ガス導入口13からチャンバ2内に導入された不活性ガスは、育成中のシリコン単結晶10と熱遮蔽板12との間を下降し、熱遮蔽板12の下端とシリコン融液9の液面との隙間(液面Gap)を経た後、熱遮蔽板12の外側、さらにルツボ3の外側に向けて流れ、その後にルツボ3の外側を下降し、排気口14から排出される。
前述した引き上げ装置1を用いて本実施形態のシリコン単結晶10を製造する場合、シリコン融液9中に、赤リンまたはヒ素を主たるドーパントとして、引き上げ当初に添加したり、または引き上げ中に適宜添加することにより、製造することができる。赤リンまたはヒ素を主たるドーパントとする場合、n型ドーパントのうち50質量%以上を赤リンまたはヒ素とするが、さらに他のドーパントを添加してもよい。
赤リンをドーパントとした場合では、シリコン単結晶10の直胴部開始位置で、抵抗率を0.80mΩcm以上、1.05mΩcm以下に制御し、その後、シリコン単結晶10を引き上げて成長させるにつれて、順次シリコン単結晶10の抵抗率を下げていき、最終的に0.5mΩcm以上、0.7mΩcm以下、特に直胴長最後部では0.6mΩcm未満のシリコン単結晶10を得る。
本実施形態のシリコン単結晶10のインゴットは、一般的な引き上げ条件で引き上げることができる。その際、ルツボ3内のシリコン融液9における赤リンやヒ素といったドーパント濃度を増加させる手段としては、引き上げ中にドーパントを添加したり、引き上げに伴う偏析現象によるドーパント濃度の上昇を利用したり、チャンバ2内に導入される不活性ガスの導入量を変化させてドーパントの蒸発を抑制したり、チャンバ2内の圧力を変化させることが挙げられる。
一方、シリコン単結晶10の直胴部引き上げの後半においては、ドーパントの蒸発を促進し、シリコン単結晶10の育成の進行に伴う偏析によるドーパント濃度の濃化と相殺させて、ルツボ3内のシリコン融液9におけるドーパント濃度を維持したい場合、Ar流量を50L/min~200L/min、炉内圧を20kPa~80kPaとする。
当該部分をワイヤーソー等でシリコンウェーハに切り出し、切り出されたシリコンウェーハにラッピング工程、研磨工程を施すことにより、抵抗率0.5mΩcm以上、0.6mΩcm未満のシリコンウェーハを得ることができる。
さらに、シリコンウェーハの加工後、アニール熱処理を行った後、シリコンウェーハの表面に、エピタキシャル成長膜を形成して、エピタキシャルシリコンウェーハを製造し、顧客に出荷する。
当該部分をワイヤーソー等でシリコンウェーハに切り出し、切り出されたシリコンウェーハにラッピング工程、研磨工程を施した後、顧客に出荷する。顧客では、必要に応じてエピタキシャル成長膜を形成し、半導体の製造を行う。
また、シリコン単結晶10の直胴部前半では、アルゴンガス流量を50L/min~150L/minとし、炉内圧を40kPa~80kPaとした。シリコン単結晶10の直胴部後半では、Ar流量を50L/min~200L/min、炉内圧を20kPa~80kPaとした。
シリコン単結晶10の直胴長の位置に応じて、赤リンドーパントの添加、Ar流量、炉内圧、液面からの熱遮蔽板12の高さ位置の変更、若しくはシリコン単結晶10の引き上げ速度の変更、およびこれらの組み合わせによって、抵抗率制御を行いながら、赤リンをドーピングしたシリコン単結晶10の引き上げを行った。結果を表1および図2に示す。なお、以下の説明において、直胴長0%位置とは、シリコン単結晶10の直胴部開始位置を意味し、直胴長100%位置とは、シリコン単結晶10のテール開始位置を意味する。
比較例2のシリコン単結晶は、表1および図2からわかるように、直胴部開始位置から80mmから直胴長20%の位置までで、すべて有転位化が発生し、シリコン単結晶を製造することができなかった。
シリコン単結晶の直胴長の位置に応じて、ヒ素ドーパント添加による抵抗率制御を行いながら、ヒ素をドーピングしたシリコン単結晶の引き上げを行った。結果を表3および図4に示す。
比較例4のシリコン単結晶は、表3および図4からわかるように、直胴部開始位置から80mmから直胴長20%の位置までで、すべて有転位化が発生し、シリコン単結晶を製造することができなかった。
同様に、実施例4のシリコン単結晶は、直胴部開始位置から55%の位置で抵抗率を1.4mΩcm以下とすることができ、しかも直胴部開始位置から80mmの位置における有転位化発生率を38%に抑制することができ、1.4mΩcm以下の低抵抗率シリコン単結晶を製造できることが確認された。
Claims (5)
- 赤リンを主たるドーパントとして含むルツボ内のシリコン融液から、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げて成長させるn型シリコン単結晶の製造方法であって、
前記ルツボの内径を前記シリコン単結晶の引き上げ時の直胴径に対して1.7倍以上、2.3倍以下とし、
前記シリコン単結晶の直胴部引き上げの前半においては、炉内圧あるいはAr流量を制御して前記ドーパントの蒸発を抑制し、前記シリコン単結晶の直胴部引き上げの後半においては、直胴部引き上げの前半とは異なる条件で炉内圧あるいはAr流量を制御して前記ドーパントの蒸発を促進し、前記シリコン単結晶の育成の進行に伴う偏析によるドーパント濃度の濃化と相殺させ、
前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における電気抵抗率を、0.80mΩcm以上、1.05mΩcm以下に制御し、
その後、前記シリコン単結晶を引き上げて成長させるにつれて、順次前記シリコン単結晶の電気抵抗率を下げていき、前記シリコン単結晶の直胴部全長の40%以上の直胴部の電気抵抗率を、0.5mΩcm以上、0.7mΩcm以下とすることを特徴とするn型シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載のn型シリコン単結晶の製造方法であって、
シリコン単結晶の直胴部全長の10%以上の直胴部の電気抵抗率が0.5mΩcm以上、0.6mΩcm未満であることを特徴とするn型シリコン単結晶の製造方法。 - ヒ素を主たるドーパントとして含むルツボ内のシリコン融液から、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げて成長させるn型シリコン単結晶の製造方法であって、
前記ルツボの内径を前記シリコン単結晶の引き上げ時の直胴径に対して1.7倍以上、2.3倍以下とし、
前記シリコン単結晶の直胴部引き上げの前半においては、炉内圧あるいはAr流量を制御して前記ドーパントの蒸発を抑制し、前記シリコン単結晶の直胴部引き上げの後半においては、直胴部引き上げの前半とは異なる条件で炉内圧あるいはAr流量を制御して前記ドーパントの蒸発を促進し、前記シリコン単結晶の育成の進行に伴う偏析によるドーパント濃度の濃化と相殺させ、
前記シリコン単結晶の直胴部開始位置における電気抵抗率を、1.90mΩcm以上、2.30mΩcm以下に制御し、
その後、前記シリコン単結晶を引き上げて成長させるにつれて、順次前記シリコン単結晶の電気抵抗率を0.5mΩcm以上、下げていき、前記シリコン単結晶の一部の電気抵抗率を、1.2mΩcm以上、1.4mΩcm以下とすることを特徴とするn型シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項3に記載のn型シリコン単結晶の製造方法であって、
シリコン単結晶の直胴部全長の17%以上の直胴部の電気抵抗率が1.2mΩcm以上、1.4mΩcm以下であることを特徴とするn型シリコン単結晶の製造方法。 - 直胴部引き上げの前半では、前記ドーパントの蒸発を抑制するため、Ar流量を50L/min~150L/min、炉内圧を40kPa~80kPaとし、直胴部引き上げの後半では、前記ドーパントの蒸発促進するため、前記Ar流量を50L/min~200L/min、前記炉内圧を20kPa~80kPaとすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のn型シリコン単結晶の製造方法。
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