JPWO2018212194A1 - 把持システム - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく、当該対象物の把持を可能とする。本発明は、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、対象物をずらしてからその把持を行うずらし把持を実行する。そして、そのずらし把持のために、第1動作決定部により、把持対象物を、把持対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらす第1動作のために第1指部を接触させる第1動作用接触面が決定され、第2動作決定部により、第1動作用接触面と異なる把持対象物の表面であって、ずらされた状態にある把持対象物を把持する第2動作のための第2動作用接触面が決定される。

Description

本発明は、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムに関する。
人間の手の構造を模したエンドエフェクタやハンド機構等を用いて対象物を把持する技術が多く開発されている。例えば、特許文献1には、対象物を吸引により吸着させる吸着装置を利用したエンドエフェクタに関する技術が開示されている。当該エンドエフェクタは、3本の指部を有しており、各指部は、複数のアクチュエータによって、自転し、且つ基節骨、第1中節骨、第2中節骨、末節骨が回転駆動や相対的な屈折駆動される。このように各指部が多自由度に駆動されることで、各指部に設けられた吸着装置を、対象物の表面の法線方向に沿って該対象物に接近させて、吸着装置による吸引効果を対象物に作用させることが可能となる。
特許第5525587号公報
ハンド機構により対象物を把持しようとする場合、当該対象物を挟めるようにハンド機構が有する指部を対象物に対して配置する必要がある。そのため対象物の周囲に指部を配置するための空間が無い場合や、指部で把持するために当該指部が接触する対象物の所定の表面が露出していない場合には、ハンド機構による対象物の把持が困難となる。例えば、同種類の対象物が複数個容器などに並べて置かれている状態において、対象物を1個ずつ把持しようとする場合には、隣接する対象物や容器等が障害となってハンド機構による対象物の把持が困難となり得る。
このような場合、従来においては、広く対象物を吸引する吸着装置を備える把持装置が利用されている。ただし、このような吸着装置を利用する場合、その吸引力を対象物に適切に作用させるために、対象物の形状や構造等に応じて吸着装置を準備する必要があり、対象物の把持システムとしての汎用性が大きく阻害される。また、対象物の表面素材、形状によっては吸着装置による吸引力が作用しにくい場合やその吸引痕跡が残ってしまう場合もあり、やはり汎用性の高い把持システムを提供するまでには至っていないのが現状である。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく当該対象物の把持を可能とする、汎用性の高い把持システムを提供することを目的とする。
本発明において、上記課題を解決するために、把持対象物の把持を可能とすべく把持対象物をずらす構成を採用した。その上で、把持対象物をずらす動作の内容、及びずらされた把持対象物の把持に関する動作内容を決定する。このような構成により、対象物の配置状況の影響を受けにくい把持の実現が可能となる。
詳細には、本発明は、複数の対象物が収容されている収容容器から、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって該収容されている対象物を取り出すための把持システムであって、前記複数の対象物のうち把持の対象となる把持対象物を、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積に基づいて決定する把持対象物決定部と、前記把持対象物を、該把持対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらす第1動作のために、前記少なくとも2本の指部のうち第1指部を接触させる第1動作用接触面を決定する第1動作決定部と、前記第1動作用接触面と異なる前記把持対象物の表面であって、前記第1動作によりずらされた状態にある該把持対象物を把持する第2動作のために前記少なくとも2本の指部のうち第2指部を接触させる第2動作用接触面を決定する第2動作決定部と、を備える。
また、本発明は、複数の対象物が収容されている収容容器から、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって該収容されている対象物を取り出すための把持システムであって、前記収容容器の位置と、該対象物の位置及び該収容容器における該対象物の並びに関する情報を少なくとも含む環境情報を取得する取得部と、前記環境情報に基づいて、前記収容容器に収容されている前記対象物を把持するときに、対となる方向から前記ハンド機構の前記指部により挟んで把持するための所定の把持面が露出しているか否かを判定する判定部と、前記複数の対象物のうち把持の対象となる把持対象物を決定する把持対象物決定部と、を備えてもよい。そして、前記把持対象物決定部は、前記判定部により前記所定の把持面が露出していないと判定されたときに、前記環境情報から算出される、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積に基づいて、前記把持対象物を決定してもよい。更に、上記把持システムは、前記環境情報から算出される、前記収容容器に収容されている状態の前記把持対象物の露出面積に基づいて、該把持対象物を、該把持対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらす第1動作のために、前記少なくとも2本の指部のうち第1指部を接触させる第1動作用接触面を決定する第1動作決定部と、前記第1動作用接触面と異なる前記把持対象物の表面であって、前記第1動作によりずらされた状態にある該把持対象物を把持する第2動作のための第2動作用接触面を決定する第2動作決定部と、を備えてもよい。
対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく、当該対象物の把持が可能となる。
実施例に係るロボットアームの概略構成を示す図である。 実施例に係るハンド機構の斜視図である。 実施例に係るハンド機構の上面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の側面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。 実施例に係るハンド機構の、ベース部における指部の接続部近傍部分の内部構造、および、指部における基端部および第2関節部の内部構造を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第2関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の、指部における第1関節部および第2指リンク部の内部構造を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第1関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部の第1指リンク部の先端側における感圧センサの配置を示す図である。 実施例に係る制御装置に含まれる各機能部を示すブロック図である。 実施例に係る把持システムで実行される、第1の把持制御のフローチャートである。 収容容器における複数の対象物の配置状態の一例を示す図である。 収容容器に配置された対象物に関する環境情報の一部を示す図である。 実施例に係るハンド機構で行われる直接把持を示す図である。 実施例に係るハンド機構で行われるずらし把持を説明するための第1の図である。 実施例に係るハンド機構で行われるずらし把持を説明するための第2の図である。 図12に示す把持制御で行われる把持対象物を決定するための処理のフローチャートである。 図12に示す把持制御で行われる把持対象物のずらし把持のための動作パラメータを決定する処理のフローチャートである。 収容容器内の把持対象物をずらした状態を示す図である。 把持対象物のずらし把持が完了した後に更新された、収容容器に配置された対象物に関する環境情報の一部を示す図である。 実施例に係る把持システムで実行される、第2の把持制御のフローチャートである。 実施例に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第1の図である。 実施例に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第2の図である。 実施例に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第3の図である。 実施例に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第4の図である。 実施例に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第5の図である。 収容容器内の把持対象物を傾倒させた状態を示す図である。 図22に示す把持制御で行われる把持対象物の傾倒把持のための動作パラメータを決定する処理のフローチャートである。 ハンド機構により把持対象物を把持する際の指の配置パターンを示す図である。 把持対象物の傾倒把持が完了した後に更新された、収容容器に配置された対象物に関する環境情報の一部を示す図である。 複数の対象物が収容容器内に配置された状態を示す図である。 図30に示す収容容器内の複数の対象物のうちの一つを把持対象物としてずらし把持を実行する場合の動作について説明するための第1の図である。 図30に示す収容容器内の複数の対象物のうちの一つを把持対象物としてずらし把持を実行する場合の動作について説明するための第2の図である。 図30に示す収容容器内の複数の対象物のうちの一つを把持対象物としてずらし把持を実行する場合の動作について説明するための第3の図である。
上記の本発明の把持システムは、少なくとも2本の指部を有するハンド機構を用いて対象物の把持を行うシステムである。ここで、ハンド機構が有する指部については、それぞれの指部の構成(関節の位置や数、指部を構成するリンク機構等の形状や数等)が異なって形成されてもよく、一部又は全部の指部の構成が同一に形成されていてもよい。また、各指部を駆動するアクチュエータは、公知の形態のアクチュエータを採用することができる。
ここで、上記把持システムでは、把持対象物決定部が、複数の対象物のうち把持の対象となる把持対象物を、収容容器に収容されている状態のそれぞれの対象物の露出面積に基づいて決定する。さらに、上記把持システムでは、第1動作決定部が、第1動作のために必要な動作パラメータである第1動作用接触面を決定する。また、第2動作決定部が、第1動作によってずらされた状態となっている把持対象物を把持する第2動作のために必要な動作パラメータである第2動作用接触面を決定する。この第2動作用接触面は、第1動作用接触面と異なる把持対象物の表面である。ただし、第1動作用接触面に接触させる第1指部と、第2動作用接触面に接触させる第2指部とは、ハンド機構において必ずしも異なる指部でなくてもよい。
このような本発明の把持システムによれば、収容容器に収容された複数の対象物の中から把持対象物を選択するとともに、ハンド機構によって、該把持対象物の位置をずらしてから把持することが可能となる。そのため、対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく当該対象物を把持することが可能となる。
また、上記把持システムでは、把持対象物決定部により複数の対象物の中から把持対象物が決定され、取得部により取得された環境情報に基づいて、判定部により上記所定の把持面の存否が判定されてもよい。当該環境情報は、収容容器に収容されている複数の対象物を、1つの対象物ごとに把持するために必要な情報であり、少なくとも、対象物の位置、収容容器での対象物の並びに関する情報を含む。なお、これらの情報は、各情報が個別に識別できるように各情報をそのまま包含する形で環境情報としてまとめられていてもよく、又は、各情報が関連付けられ加工された形態で環境情報としてまとめられてもよい。なお、環境情報は、予め把持システムに提供されてもよく、またはカメラ等の撮像装置によって得られる撮像結果を利用して得ることもできる。
また、当該所定の把持面は、ハンド機構の指部によって対となる方向からの把持を可能とする把持対象物の表面である。したがって、仮に把持対象物において所定の把持面が露出している場合には、その把持対象物に対してハンド機構の指部が対となる方向から接触し当該所定の把持面に接触することで、把持対象物の把持が可能となることを意味する。このような所定の把持面を利用した把持を、以降、「直接把持」と称する。したがって、そのような場合には、把持対象物の位置や姿勢を変えることなく、ハンド機構はその指部によって把持対象物を把持することが可能となる。なお、当該対となる方向とは、対象物を安定して把持するためには、把持対象物に接触する方向が、好ましくは互いに180度反対となる二方向であるが、別法として、把持対象物の把持が可能である限りにおいて対象物に接触する方向が適宜ずれていてもよい。
一方で、把持対象物において所定の把持面が露出していないと判定された場合、当該把持対象物に対して、ハンド機構は上記直接把持を行うことが困難であることを意味する。そこで、このような場合には、ハンド機構によって把持対象物の把持が可能となるように、把持対象物をずらす第1動作が行われ、その第1動作によってずらされた状態となっている把持対象物を把持する第2動作が行われてもよい。そして、当該第1動作のために必要な動作パラメータである第1動作用接触面については、第1動作決定部により環境情報から算出される把持対象物の露出面積に基づいて決定されてもよい。また、当該第2動作のために必要な動作パラメータである第2動作用接触面は、把持対象物の把持を可能とする、第1動作用接触面と異なる把持対象物の表面であり、これは第2動作決定部により決定されてもよい。
このように本発明の把持システムでは、対象物の配置されている状態が直接把持が困難な状態である場合には、第1動作決定部及び第2動作決定部により決定された上記動作パラメータに従って、ハンド機構により直接把持とは異なる形態の把持対象物の把持が実現可能となる。すなわち、収容容器における対象物の配置状態、特に、複数の対象物が収容容器に配置されている中での把持対象物に関する配置状態を的確に反映して、第1動作及び第2動作を好適に実現し把持対象物を安定して把持することが可能となる。このような構成の採用により、把持前に置かれている対象物の配置状況による影響を事実上排除して、把持対象物を安定して把持することが可能となり、以て、当該把持システムの汎用性は極めて高いものとなり得る。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
ここでは、本発明に係る把持システムをロボットアームに適用した場合について説明する。当該把持システムは、ロボットアーム1の先端に設けられたハンド機構2を用いて、把持の対象物を把持するためのシステムである。図1は、本実施例に係るロボットアーム1の概略構成を示す図である。ロボットアーム1は、ハンド機構2、アーム機構3、および台座部4を備えている。アーム機構3の一端にハンド機構2が取り付けられている。また、アーム機構3の他端が台座部4に取り付けられている。ハンド機構2は、アーム機構3に接続されたベース部20と、該ベース部20に設けられた4本の指部21とを備えている。なお、ハンド機構2の詳細な構成については後述する。
<アーム機構>
アーム機構3は、第1アームリンク部31、第2アームリンク部32、第3アームリンク部33、第4アームリンク部34、第5アームリンク部35、および接続部材36を備えている。そして、ハンド機構2のベース部20が、アーム機構3の第1アームリンク部31の一端側に形成された第1関節部30aに接続されている。第1関節部30aには、第1アームリンク部31に対してハンド機構2を該第1アームリンク部31の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。第1アームリンク部31の他端側は、第2関節部30bで第2アームリンク部32の一端側に接続されている。第1アームリンク部31と第2アームリンク部32とはその中心軸が垂直に交わるように接続されている。そして、第2関節部30bには、第2アームリンク部32に対して、第1アームリンク部31を、その他端側を中心に該第2アームリンク部32の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。次に、第2アームリンク部32の他端側は、第3関節部30cで第3アームリンク部33の一端側に接続され、第3関節部30cには、第3アームリンク部33に対して第2アームリンク部32を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。
同じように、第3アームリンク部33の他端側は、第4関節部30dで第4アームリンク部34の一端側に接続され、第4アームリンク部34の他端側は、第5関節部30eで第5アームリンク部35に接続されている。そして、第4関節部30dには、第4アームリンク部34に対して第3アームリンク部33を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。また、第5関節部30eには、第5アームリンク部35に対して第4アームリンク部34を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。さらに、第5アームリンク部35は、台座部4から垂直に配置された接続部材36に第6関節部30fで接続されている。第5アームリンク部35と接続部材36とは、それぞれの中心軸が同軸となるように接続されている。そして、第6関節部30fには、第5アームリンク部35を、該第5アームリンク部35および接続部材36の軸回りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。アーム機構3をこのような構成とすることで、該アーム機構3を6自由度の自由度を有する機構とすることができる。
<ハンド機構>
次に、ハンド機構2の構成について図2から図10に基づいて説明する。図2はハンド機構2の斜視図である。図3はハンド機構2の上面図である。また、図2、図3に示すように、ハンド機構2においては、ベース部20に4本の指部21が、ハンド機構2の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち90deg間隔)に配置されている。また、4本の指部21は全て同一の構造を有し且つ同一の長さである。但し、各指部21の動作は、それぞれ独立して制御される。
図4から図10は、ハンド機構2の指部21の構成およびその駆動機構について説明するための図である。図4は指部21の側面図である。なお、図4では、ベース部20が透過された状態で記載されており、ベース部20の内部に位置する指部21の一部の内部構造をも示している。また、図5は、指部21の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。
指部21は、第1指リンク部211、第2指リンク部212、および基端部213を有している。そして、指部21の基端部213がベース部20に接続されている。ここで、基端部213は、図3において矢印で示すように、ベース部20に対して指部21の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸回りに回転可能に接続されている。また、指部21において、基端部213に第2指リンク部212の一端が接続されている。そして、この第2指リンク部212と基端部213との接続部に第2関節部23が形成されている。
そして、図6に基づいて基端部213の駆動機構および第2関節部23の駆動機構について説明する。図6は、ベース部20における指部21の接続部近傍部分の内部構造、および、指部21における基端部213および第2関節部23の内部構造を示す図である。この図6に示すように、ベース部20の内部には、指部21全体を回転させる、基端部213の回転軸に接続された歯車65、および、第3モータ53の回転軸に接続された歯車66が設けられている。そして、歯車65と歯車66とが噛み合っている。このような構成により、第3モータ53が回転すると、その回転力が二つの歯車65、66を介して基端部213の回転軸に伝達される。つまり、第3モータ53によって指部21全体を回転駆動させることが可能となっている。
また、第2関節部23の内部には、ウォームホイール63と、該ウォームホイール63に対して噛み合ったウォーム64が設けられている。そして、第2関節部23における第2指リンク部212の回転軸にウォームホイール63が接続されている。また、ベース部20の内部に設けられた第2モータ52の回転軸にウォーム64が接続されている。このような構成により、第2モータ52が回転駆動すると、その回転力がウォーム64およびウォームホイール63によって第2指リンク部212の回転軸に伝達され、第2指リンク部212は、基端部213に対して相対的に回転駆動されることになる。このとき、第2モータ52による駆動力と第3モータ53による駆動力は、それぞれ独立してその作動対象に伝わるように構成されている。そして、図7は、第2モータ52の駆動力により実現される、指部21における第2関節部23の可動範囲を示す図である。この図7に示すように、第2関節部23は屈曲および伸展可能に形成されている。
次に、指部21において、第2指リンク部212の他端に第1指リンク部211の一端が接続されている。そして、この第1指リンク部211と第2指リンク部212との接続部に第1関節部22が形成されている。図8に基づいて第1関節部22の駆動機構について説明する。図8は、指部21における第1関節部22および第2指リンク部212の内部構造を示す図である。第1関節部22の内部には、互いに嵌合する二つの傘歯車61、62が設けられている。そして、第1関節部22における第1指リンク部211の回転軸に一方の傘歯車61が接続されている。また、第2指リンク部212の内部に設けられた第1モータ51の回転軸に他方の傘歯車62が接続されている。このような構成により、第1モータ51が回転駆動すると、その回転力が二つの傘歯車61、62によって第1指リンク部211の回転軸に伝達され、第1指リンク部211は、第2指リンク部212に対して相対的に回転駆動されることになる。図9は、第1モータ51の駆動力により実現される、指部21における第1関節部22の可動範囲を示す図である。この図9に示すように、第1関節部22は屈曲および伸展可能に形成されている。
また、図2、図4に示すように、本実施例では、指部21において、第1関節部22よりも先端部側の第1指リンク部211よりも、該第1関節部22よりベース部20側(基端部213側)の第2指リンク部212の方が長くなっている。
また、図2、図4、図5、図10に示すように、本実施例では、指部21の第1指リンク部211の先端側に感圧センサ70が設けられている。感圧センサ70は、第1指リンク部211の先端側に作用する外力(圧力)を検出するセンサである。また、図4に示すように、感圧センサ70は、第1指リンク部211の先端側における、第1関節部22の屈曲方向側の壁面215および伸展方向側の壁面216の両面に設けられている。ここで、本実施例では、第1指リンク部211の先端側における第1関節部22の屈曲方向側の壁面215は曲面状に形成されている。そこで、図10に示すように、第1指リンク部211の先端側における第1関節部22の屈曲方向側の壁面215には、複数の感圧センサ70をその曲面形状に沿って並べて設置してもよい。
<台座部>
次に、台座部4の内部に配置されたロボットアーム1の制御装置であるアーム制御装置42と、ハンド機構2の制御装置であるハンド制御装置43の構成について、図11に基づいて説明する。アーム制御装置42及びハンド制御装置43によって、本実施形態の把持システムの制御装置が形成される。図11は、アーム制御装置42及びハンド制御装置43に含まれる各機能部を示すブロック図である。アーム制御装置42は、ロボットアーム1のアーム機構3に搭載される各モータを駆動するための駆動信号を生成する各ドライバを含み、各ドライバからの駆動信号が、対応する各モータに供給されるように構成される。アーム制御装置42は、演算処理装置及びメモリを有するコンピュータであり、機能部として、アーム制御部420、およびモータ状態量取得部421を有している。各機能部は、アーム制御装置42において所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
アーム制御部420は、ハンド制御装置43が有する、後述の環境情報取得部432によって取得された環境情報に基づいて、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30eに設けられたモータを制御することで、該アーム機構3を動かし、それによって、ハンド機構2を、対象物の把持のために適した所定の把持可能位置に移動させる。また、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30eに設けられたモータには、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータのエンコーダによって検出された各モータの状態量が、アーム制御装置42のモータ状態量取得部421に入力される。そして、アーム制御部420は、モータ状態量取得部421に入力された各モータの状態量に基づいて、例えば、ハンド機構2が上記の所定の把持可能位置に移動するように各モータをサーボ制御する。
次に、ハンド制御装置43は、ハンド機構2に搭載される各モータを駆動するための駆動信号を生成する各ドライバを含み、各ドライバからの駆動信号が、対応する各モータに供給されるように構成される。ハンド制御装置43は、演算処理装置及びメモリを有するコンピュータであり、機能部として、モータ状態量取得部430、センサ情報取得部431、環境情報取得部432、直接把持制御部433、判定部434、把持対象物決定部435、第1動作決定部436、第2動作決定部437、動作制御部438、傾倒可否判定部439、傾倒動作決定部440を有している。各機能部は、ハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
ハンド制御装置43は、所定の把持可能位置に移動されたハンド機構2を、環境情報取得部432によって取得された環境情報に基づいて制御するように構成されている。環境情報取得部432は、ハンド機構2よって把持すべき対象物や収容容器に関する情報である環境情報を取得する。ここで、環境情報には、少なくとも対象物の位置、対象物を収容する収容容器の位置、その収容容器での対象物の並びに関する情報を含む。この環境情報には、これらの各情報がそれぞれ個別に識別できるように含まれていてもよく、別法として、各情報が関連付けられて形成される複合的な情報として含まれていてもよい。更には、対象物や収容容器の形状や寸法に関する情報、並びに、対象物の周囲に存在する該対象物以外の物に関する情報も含まれてもよい。この環境情報取得部432は、ユーザによって入力された環境情報を取得してもよい。また、対象物を含む画像を撮像する視覚センサが設けられている場合、環境情報取得部432は、該視覚センサによって撮像された画像に公知の画像処理を施すことで環境情報を取得してもよい。
また、直接把持制御部433は、対象物の把持形態の1つである直接把持をハンド機構2に実行させる機能部である。直接把持とは、把持前に配置された状態の対象物をそのままの状態で、すなわち当該対象物の位置や姿勢を変更することなく、ハンド機構2が有する指部21のうち少なくとも2つの指部を当該対象物に対して接触させて挟むことで行われる把持の形態である。直接把持制御部433によって実行される直接把持の詳細については後述する。
次に、判定部434は、把持予定の対象物の配置状態が、上記の直接把持が可能な状態であるか否かを、対象物の環境情報に基づいて判定する機能部である。また、把持対象物決定部435は、収容容器に配置されている複数の対象物の中から把持の対象となる対象物(把持対象物)を決定する機能部である。把持対象物決定部435による決定処理も、収容容器に収容されている対象物の環境情報に基づいて行われる。また、第1動作決定部436は、判定部434によって直接把持が行えない状態に把持対象物が配置されている場合に、直接把持とは異なる把持形態であるずらし把持のための第1動作に関連する動作パラメータ(第1動作用接触面)を決定する機能部であり、また、第2動作決定部437は、当該ずらし把持のために第1動作に続いて行われる第2動作に関連する動作パラメータ(第2動作用接触面)を決定する機能部である。ずらし把持は、後述の図16、図17に示すように、把持対象物10を他の物体に押し付けながらずらし上げることでその位置を変化させて、該把持対象物10を把持できるようにその背面を露出させた上で行われる把持形態である。このずらし把持を実現させるために、上記の第1動作及び第2動作が必要となる。また、第1動作及び第2動作の詳細、並びに、各動作に関連する動作パラメータの詳細については、後述する。なお、動作制御部438は、上記の動作パラメータに基づいて、ハンド機構2にずらし把持を実行させる機能部である。
傾倒可否判定部439は、判定部434によって直接把持が行えない状態に把持対象物が配置されている場合に、直接把持とは異なる把持形態であり且つ上記ずらし把持とも異なる傾倒把持の実行が可能か否かを、把持対象物の環境情報に基づいて判定する機能部である。傾倒把持は、後述の図23〜図25Cに示すように、把持対象物10を傾倒させてその姿勢を変化させることで、把持対象物10を把持できるようにその側面を露出させた上で行われる把持形態である。また、傾倒動作決定部440は、当該傾倒把持のための動作パラメータである傾倒時第1接触面、傾倒方向、傾倒時第2接触面を決定する機能部である。この傾倒動作の詳細、並びに、傾倒動作に関連する動作パラメータの詳細についても、後述する。なお、上記動作制御部438は、傾倒動作に関連する上記動作パラメータに基づいて、ハンド機構2に傾倒把持も実行させる。
そして、ハンド制御装置43では、上記の直接把持であれ、直接把持とは異なるずらし把持、傾倒把持であれ、対象物の把持のためにハンド機構2の各指部21を駆動させる第1モータ51、第2モータ52、および第3モータ53が環境情報に基づいて制御される。ハンド機構2の各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53には、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータ51、52、53のエンコーダによって検出された各モータ51、52、53の状態量が、モータ状態量取得部430に入力される。そして、ハンド制御装置43は、モータ状態量取得部430に入力された各モータ51、52、53の状態量に基づいて各指部21における各モータ52、52、53をサーボ制御し対象物の把持を行う。
さらに、ハンド制御装置43では、センサ情報取得部431に、ハンド機構2の各指部21の先端側に設けられた感圧センサ70の検出値が入力される。そして、ハンド制御装置43は、センサ情報取得部431によって取得された各指部21の感圧センサ70の検出値に基づいて、指部21の対象物への接触を検知でき、その検知信号に基づいて各指部21における各モータ51、52、53を制御することもできる。
なお、図11では、把持システムに含まれる制御装置として、アーム制御装置42とハンド制御装置43とが区別して示されているが、別法として、各機能部が、両装置が一体化された一の制御装置内に形成される構成を採用することもできる。また、把持システムに含まれる制御装置が、アーム制御装置42とハンド制御装置43とに区別される場合でも、図11に示す各機能部は、技術的な齟齬が生じない限りにおいて実質的に何れかの制御装置内に形成されればよく、必要に応じてアーム制御装置42とハンド制御装置43との間で適切な情報の授受を行うことができる。また、アーム制御装置42またはハンド制御装置43における各機能部のうちの一部が、アーム制御装置42およびハンド制御装置43とは別体の制御装置内に形成される構成を採用することもできる。
<把持制御>
ここで、図12に基づいて、ロボットアーム1に搭載されたハンド機構2を用いた把持システムによる対象物の把持制御について説明する。当該把持制御は、アーム制御装置42及びハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで実現される。なお、本実施例においては、図13の中段(b)に示すように、収容容器80に直方体形状の対象物10が一列に7個配置され、その状態のものが図13の上段(a)に示すように横に並べられている。このように複数の対象物が収容容器80に配置された状態で、把持制御により、各対象物10がハンド機構2により把持されていくものとする。また、対象物10は、図13の下段(c)に示すように直方体形状を有しており、左右の側面S2、S3、前方の側面である前面S1、後方の側面である背面S5、上面S4、底面を有している。対象物10の底面は、収容容器80の床面に接している。そして収容容器80の周壁を形成する縁枠は比較的低い高さを有しており、対象物10が収容容器80に配置されている状態で対象物10の側面の下方の10%程度が当該縁枠によって覆われている。
なお、本実施例では、収容容器80における対象物10の配置位置を、対象物10毎に区別して識別する際には、参照番号である「10」に、配置位置を識別するための表記を付加するものとする。当該表記は、図13の中段(b)に示すように、収容容器80内の縦列の順序位置を用いて表すものである。例えば、収容容器80の最前方の対象物10の参照番号は、10(1)と記載することができ、その背後の対象物10は、10(2)と記載することができる。なお、収容容器80における対象物10の配置位置を対象物10毎に表す必要が無い場合には、上記表記を省略する場合もある。このような表記を用いると、図13(a)に示す収容容器80での配置状態では、前方の対象物10の背面S5は、後方の対象物10の前面S1と接触した状態となっており、一例としては、対象物10(1)の背面S5は、対象物10(2)の前面S1と接触した状態となっている。また、対象物10の右側面S3又は左側面S2は、隣接する対象物10の左側面S2又は右側面S3と接触した状態となっており、一例としては、図13(a)に示す左縦一列の対象物10(1)の右側面S3は、右縦一列の対象物10(1)の左側面S2と接触した状態となっている。
以下に、把持制御の詳細について説明する。先ず、S101では、ハンド機構2が所定の把持可能位置に移動される。当該処理は、アーム制御装置42のアーム制御部420によって実行される。具体的には、環境情報取得部432によって取得された環境情報が、ハンド制御装置43からアーム制御装置42へと引き渡される。そして、この引き渡された環境情報に基づいて、ハンド機構2が位置すべき所定の把持可能位置、すなわち、収容容器80に配置されている複数の対象物10のそれぞれに対してハンド機構2が作用することで各対象物の把持が可能となる位置が算出される。例えば、環境情報に含まれる収容容器80の位置情報を基準として、その把持が可能となるように所定距離、当該収容容器80から離間した位置を所定の把持可能位置として算出してもよい。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
S102では、所定の把持可能位置に移動されたハンド機構2によって、対象物を直接把持することができるか否かが判定される。当該判定は、上記の判定部434によって上記環境情報に基づいて行われる。ここで、把持制御が開始されたときの環境情報に含まれる、図13に示す配置状態に対応する、収容容器80における対象物10の並びに関する情報について、図14に基づいて説明する。なお、当該並びに関する情報以外に、収容容器80や各対象物10の位置情報が、環境情報に含まれている。図14に示す並びに関する情報は、対象物10毎に、把持完了フラグ、左側面露出割合、前面露出割合、右側面露出割合、背面露出割合が紐付けられている。対象物10の個々は、上記の配置位置を識別するための表記が対象物IDとされて、識別される。また、把持完了フラグは、「1」が設定されている場合は、その対象物10はハンド機構2の把持により既に収容容器80から取り出された状態を意味し、「0」が設定されている場合は、その対象物10はまだ収容容器80内に留まっている状態を意味する。また、左側面露出割合は、対象物10の左側面S2(図13において対象物10に向かって左側の側面)が、他の物体(収容容器80や自己以外の対象物10等)によって覆われていない程度を表す指標であり、その値が100%のとき当該左側面は完全に露出している状態を意味し、その値が0%のとき当該左側面は完全に覆われている状態を意味する。また、前面露出割合、右側面露出割合、背面露出割合も、左側面露出割合と同じように、対象物10の前面S1、右側面S3、背面S5が、他の物体によって覆われていない程度を表す指標である。
上記の通り、図13に示す配置状態では、最前方の対象物10(1)以外の対象物10は、その前方の対象物10によってその前面S1が全て覆われている。また、最後方の対象物10(7)以外の対象物10は、その後方の対象物10によってその背面S5が全て覆われている。更に、全ての対象物10の左側面S2は露出している状態となっているが、右側面S3は隣接する対象物(図13(a)に示す右隣の対象物)によって全て覆われている。また、収容容器80の縁部によって対象物10の側面の下方の一部が覆われていることを考慮すると、対象物IDが1の対象物10(1)については、左側面露出割合及び前面露出割合が90%となり、他の側面の露出割合が0%となり、対象物IDが7の対象物10(7)については、左側面露出割合及び背面露出割合が90%となり、他の側面の露出割合が0%となる。また、残りの対象物10(2)〜10(6)については、左側面露出割合のみが90%となり、他の側面の露出割合が0%となる。なお、本願で言う「露出」は、ハンド機構2の指部21がその露出した対象物10の表面に接触できるように、その表面近くに指部21が進入できる空間が形成されている程度に露出している状態を言う。
<直接把持について>
ここで、図15に基づいてハンド機構2による直接把持の詳細について説明する。図15に示す対象物10は、直接把持が可能な状態で床面上に置かれている。直接把持が可能な状態では、図15に示すように、対象物10の端面10aと、それに対向する端面10bとが、ともにハンド機構2の指部21が接触可能な程度に露出した状態となっている。なお、本願において、ハンド機構2が有する4本の指部21やそれを構成する第1指リンク部211を指部毎に区別して識別する際には、参照番号である「21」や「211」に識別のための添え字である「A」〜「D」を付加するものとし、区別して識別する必要が無い場合には当該添え字の記載を省略する場合もある。また、添え字「A」〜「D」は、図3に示す指部21の並びの状態で時計回りに順に、各指部に割当てられるものとする。ここで、対象物10では、端面10a及び端面10bが露出しているため、ハンド機構2の指部21Aと指部21Cによって図中の白抜き矢印で示す、対となる方向から対象物10を挟んで把持することが可能となる。このとき、対象物10の姿勢や位置を変更することなく、対象物10の把持が可能であることから、図15に示すように配置された対象物は、直接把持が可能な状態にある。
このような直接把持におけるハンド機構2の指部21の動きを踏まえると、S102での判定部434による直接把持の可否判定は、上記のような対となる方向から対象物10を挟んで把持することを可能とする、対象物10の表面(本発明の所定の把持面に相当し、その一例が図15に示す端面10a、10bとなる。)が露出しているかについて行われる判定処理である。したがって、対象物10において対向する側面である左側面S2と右側面S3の両方、又は前面S1と背面S5の両方が、直接把持が可能な程度(例えば、露出割合が60%以上)に露出している状態の対象物10が収容容器80内に存在しているときに、直接把持が可能であると判定することができる。図14に示す並びに関する情報においては、上記条件は満たされていないため、直接把持はできないとの判定が為されることになる。
S102で肯定判定されるとS103へ進み、否定判定されるとS104へ進む。ここで、S103では、S102での肯定判定を以て、ハンド機構2による直接把持が実施される。例えば、図15に示すように、指部21Aの第1指リンク部211Aが端面10aに接触し、指部21Cの第1指リンク部211Cが端面10bに接触することで対象物10の直接把持が行われる。なお、直接把持においては少なくとも2つの指部21により対象物10が把持されればよいが、更に多くの指部21を対象物10に接触させて対象物10をより安定的に把持してもよい。例えば、図15に示す状態で、指部21Bの第1指リンク部211Bや図示省略されている指部21Dの第1指リンク部211Dが対象物10に接触することでその直接把持を実施してもよい。S103の処理後、本制御が終了する。
次に、S104では、S102での否定判定を以て、直接把持とは異なる形態のずらし把持を行うことで対象物10の把持を実現すべく、そのずらし把持の対象となる対象物(把持対象物)10の決定が行われる。
<ずらし把持について>
ここで、S104以降の処理の説明の前に、ハンド機構2によるずらし把持の詳細について、図16、図17に基づいて説明する。ずらし把持では、先ず、第1動作用接触面を利用して把持対象物10のずらし上げ動作が行われる。ずらし上げ動作は、把持対象物10の側面、すなわち、把持対象物10において、前後方向および左右方向の両方を含む側方に位置する面のいずれかを、他の物体に押し付けながら、該把持対象物10の位置を上方にずらす動作である。このずらし上げ動作は本願発明の第1動作に相当し、ハンド機構2の指部21が接触可能となる程度に把持対象物10の背面S5を露出させるための動作であり、第1動作決定部436は、当該ずらし上げ動作に関する動作パラメータである第1動作用接触面を決定する。第1動作用接触面は、ハンド機構2で把持対象物10を別の対象物(例えば、把持対象物10の背後に位置する対象物)に押し付けながらずらし上げるためにその指部21が接触する把持対象物10の表面である。この動作パラメータの決定処理については、後述する。そして、動作制御部438がこの動作パラメータに従ってハンド機構2を制御することで、ずらし上げ動作が実現されることになる。
なお、図16及び図17に示すずらし上げ動作の形態においては、対象物10(1)が把持対象物とされ、その背後には他の対象物(対象物10(2)や対象物10(3)等)が位置している。ここで、動作制御部438は、指部21Aの第1指リンク部211Aを第1動作用接触面である把持対象物10(1)の前面S1に接触させ、把持対象物10(1)をその背後に位置する対象物10(2)に押し付ける。したがって、前面S1に接触する指部21Aが、本願発明の第1指部に相当する。なお、このとき他の指部21B〜21Dは把持対象物10(1)には接触しないが、図16に示すように把持対象物10(1)以外の対象物10には接触していてもよい。このように他の対象物10に接触することで、ずらし上げ動作の際に当該他の対象物10に作用する押し付け力により当該他の対象物10の位置がずれることを防止できる。そして、指部21Aを介して把持対象物10(1)を背後の対象物10(2)に押し付けながら、動作制御部438は、指部21Aを上方に(図16に示す白抜き矢印の方向に)持ち上げるように駆動制御する。この結果、把持対象物10(1)の背面S5は、背後の対象物10(2)の前面S1に接触したままずらし上げられることになる。
そして、このずらし上げ動作の結果、把持前の配置状態において把持対象とはなっていない対象物10(2)と接触していた把持対象物10(1)の背面S5が露出していき、背面S5の露出面積が、ハンド機構2の指部21が接触可能な程度に大きくなる。このように指部21が接触可能に露出した部分が、図17においては露出部分1020として表記されている。そして、十分な広さの露出部分1020が形成されると、ずらし上げ動作が停止される。このとき指部21Aが前面S1に接触し把持対象物10(1)を押し付けた状態が維持されている。その後、ずらし上げられた状態にある把持対象物10(1)に対して把持動作、すなわち本願発明の第2動作が行われる。なお、第2動作決定部437は、当該把持動作に関する動作パラメータである、第2動作用接触面を決定する。第2動作用接触面は、ハンド機構2でずらし上げられた把持対象物10(1)をその指部21で接触して把持するための把持対象物10の表面であり、本実施例では露出部分1020を含む背面S5が第2動作用接触面に相当する。この動作パラメータの決定処理については、後述する。そして、動作制御部438がこの動作パラメータに従ってハンド機構2を制御することで、ずらし上げ動作後の把持動作が実現されることになる。
この把持動作は、把持対象物10(1)がずらし上げられ、その背面S5が露出された状態で行われる把持対象物10(1)の把持である。ずらし把持の把持動作では、ずらし上げ動作により露出されることになった把持対象物10(1)の背面S5に指部21Bを接触させるとともに、当該指部21Bと、ずらし上げ動作に使用していた指部21Aとによって把持対象物10(1)の安定的な把持が実現される。したがって、この場合、第2動作用接触面である背面S5に接触する指部21Bが、本発明の第2指部に相当する。なお、当該把持動作における指部21の接触パターンは、図16、図17に示す形態には限られない。例えば、別法として、上記ずらし動作に使用する指部21の数は、1本ではなく2本又は3本でもよく、上記把持動作に使用する指部21の数は、3本又は4本でもよい。
このようにずらし把持は、上記の通り、把持対象物10(1)をずらし上げることで、ずらし上げ前には露出していなかった側面(背面)を露出させて把持動作に利用する。そのため、把持対象物10(1)は、その把持のために現在配置されている状態からずらし上げられる必要がある。そこで、把持制御のS104での把持対象物の決定処理は、この点を踏まえ図18に示すフローに従って行われる。当該決定処理は、把持対象物決定部435によって実行される。
なお、ずらし把持は、上述した図16及び図17に示した把持対象物を上方にずらし上げる動作を伴う把持形態だけではなく、把持対象物を側方(把持対象物の横方向)にずらす動作を伴う把持形態も含む。例えば、複数の対象物が収容容器内に、直接把持が行えない状態で積み重ねられている配置状態において、最上方の把持対象物の露出面が収容容器の床面に概ね平行である場合には、その把持対象物を側方にずらし、そのずらし動作によって露出された把持対象物の一対の側面にハンド機構の指部を接触させることで、ずらし把持を実現してもよい。
<把持対象物決定処理>
先ず、S201では、現時点で収容容器80に収容されている全ての対象物10に関する環境情報、特に、図14に示す並びに関する情報が取得される。次に、S202で、当該全ての対象物10の側面の露出面積が算出される。具体的には、環境情報に含まれている対象物10の寸法から得られる側面の面積に、並びに関する情報に含まれる露出割合に係る数値を乗じることで、各対象物10における側面の露出面積が算出される。
次に、S203では、S202で算出された側面の露出面積に基づいて、把持対象物10が決定される。対象物10のずらし把持を行う場合、その側面を利用して把持対象物10を他の対象物10に押し付けることを踏まえると、把持対象物10の側面のうち可及的に露出面積の大きい側面を利用して押し付け力を作用させた方が、把持対象物10を安定してずらし上げることが可能となると考えられる。そこで、本実施例では、収容容器80に収容されている複数の対象物10の中から、側面の露出面積が最も大きい対象物10が把持対象物として決定される。図13(b)の配置状態では、最前方に位置する対象物10(1)の前面S1と最後方の対象物10(7)の背面S5とが露出している。本実施例では、ハンド機構2に近い対象物10(1)が把持対象物として決定される。但し、この決定形態に限定されず、ハンド機構2より遠い側の対象物10(7)を把持対象物として決定してもよい。
<動作パラメータ決定処理>
ここで、図12の把持制御に戻る。上記S104での把持対象物決定処理により把持対象物が決定されると、S105及びS106へ進む。S105では、ずらし把持のための第1動作に関する動作パラメータ(第1動作用接触面)の決定が行われ、S106では、第1動作に続く第2動作に関する動作パラメータ(第2動作用接触面)の決定が行われる。S105及びS106の決定処理は、第1動作決定部436及び第2動作決定部437によって図19に示すフローに従って行われる。
図19に示す動作パラメータ決定処理の説明に際して、図20に示すように、把持対象物は、収容容器80に収容された複数の対象物10のうち対象物10(1)であることを前提とする。先ず、S301では、把持対象物10(1)の環境情報が取得される。すなわち、把持対象物10(1)の左側面露出割合が90%、前面露出割合が90%、右側面露出割合が0%、背面露出割合が0%であることや把持対象物10(1)の寸法等が認識される。そして、S302では、これらの露出割合に基づいて、把持対象物10(1)の各側面(左側面、前面、右側面、背面)の露出面積が算出される。このとき、環境情報に把持対象物10(1)の寸法情報が利用される。
把持対象物の決定処理についてでも述べたように、露出面積が大きいほど把持対象物10(1)のずらし上げ動作を安定して行いやすい。また、上述したように、把持対象物10(1)をずらし上げるためには、把持対象物10(1)を他の物体(他の対象物10)に押し付ける必要がある。すなわち、把持対象物10(1)をずらし上げるためには、把持対象物10(1)の1つの表面が、その他の物体に接触可能となる位置関係を有し、そのずらし上げのためにハンド機構2の指部21は、当該表面と対となる別の表面(第1動作用接触面)に接触することになる。そこで、S303では、把持対象物10(1)の背後に位置する対象物10(2)に接触する把持対象物10(1)の側面と対となり得る他の側面のうち、S302で算出された把持対象物10(1)の側面のうち露出面積が最大となる側面が、ずらし上げを実現するためにハンド機構2の指部21が接触する表面(第1動作用接触面)として決定される。本実施例では、対象物10(2)に接触する把持対象物10(1)の側面は背面S5のみであるから、その背面S5に対となる前面S1が、第1動作用接触面として決定される。
次に、S304では、ずらし上げ動作によりずらし上げられた状態となった把持対象物10(1)を把持するために、ハンド機構2の指部21が接触する表面(第2動作用接触面)の決定が行われる。上述のように、ずらし把持では、第1動作用接触面に接触しずらし上げ動作に使用された指部21と第2動作用接触面に接触する指部21とによって、把持対象物10(1)の把持が行われる。したがって、第2動作用接触面は、第1動作用接触面に対となる把持対象物10(1)の表面であり、ずらし上げ動作によって露出された状態とされる表面である。本実施例では、把持対象物10(1)の背面S5が、第2動作用接触面として決定されることになる。これにより、把持対象物10(1)を安定して把持することができる。
このように上記動作パラメータ決定処理により、第1動作及び第2動作用の動作パラメータが決定されることになる(把持制御のS105及びS106の処理)。そして、再び把持制御に戻ると、S107では、S105で決定された第1動作用接触面(前面S1)にハンド機構2の指部21Aが接触されて、把持対象物10(1)のずらし上げ動作が開始される(図16、図17も参照のこと)。このずらし上げ動作の結果、把持対象物10(1)の背面S5が露出し露出部分1020が形成されていく。そこで、S108で、当該露出部分1020がハンド機構2の指部21が接触できる程度に大きくなりずらし上げ動作が完了したか否かが判定される。なお、当該判定は、把持対象物10(1)のずらし上げ量に関連する、指部21Aの移動量に基づいて判定される。S108で肯定判定されるとS109へ進み、否定判定されると引き続き把持対象物10(1)のずらし上げ動作が継続される。
次に、S109では、S108での肯定判定を以て、ずらし上げ動作を停止させる。このとき指部21Aが第1動作用接触面(前面S1)に接触した状態が維持される。そして、S110では、S106で決定された第2動作用接触面(背面S5)にハンド機構2の指部21Bが接触され、把持対象物10(1)の把持動作が行われる。S110で把持対象物10(1)の把持動作が行われると、ハンド機構2が把持対象物10(1)を把持したまま把持対象物10(1)を所望の目的位置に移すことができる。
そして、把持対象物10(1)の把持が完了すると、S111で、収容容器80に収容されている対象物10に関する環境情報のうちその並びに関する情報の更新が行われる。並びに関する情報は、把持対象物10(1)の把持前は図14に示した通りであるが、S111での更新後は図21に示した状態となる。具体的には、把持対象物10(1)の把持完了フラグに「1」が設定される。それとともに、収容容器80において把持対象物10(1)が取り出されたことをもって把持対象物10(2)の前面側に空間が形成されるため、その前面露出割合の値が100%に更新される。これにより、図12に示す把持制御が終了する。
このように当該把持制御では、対象物10が直接把持が可能なように配置されている場合には、その直接把持を実行する。これにより対象物10の把持に要する時間の短縮を図ることができる。一方で、直接把持が可能ではない状態で対象物10が収容容器80内に配置されていても、ハンド機構2の指部21Aを第1動作用接触面に接触させて対象物10をずらし上げて、指部21Bとともにずらし把持が実現される。このずらし把持においては、指部21Aを接触させたまま対象物10の把持が行われるため、把持対象物10の把持に要する時間を可及的に短くすることができる。このように上記把持制御では、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
なお、把持対象物10(1)が収容容器80から取り出された後に行われる把持制御においては、図21に示す並びに関する情報を含む環境情報が利用される。この場合、対象物10(2)の前面の露出面積が最大となるため、対象物10(2)が把持対象物として決定され、ずらし把持により対象物10(2)の把持が行われることになる。
<変形例>
また上記の把持制御では、直接把持が可能か否かを判定し、そこで直接把持が可能でないと判定された場合に把持対象物のずらし把持を行っているが、それに代えて、当該判定処理を行うことなく把持対象物のずらし把持を行ってもよい。この場合、把持システムは、複数の対象物が収容されている収容容器から、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって該収容されている対象物を取り出すための把持システムであって、前記複数の対象物のうち把持の対象となる把持対象物を、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積又は露出割合に基づいて決定する把持対象物決定部と、前記把持対象物を、該把持対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらす第1動作のために、前記少なくとも2本の指部のうち第1指部を接触させる第1動作用接触面を決定する第1動作決定部と、前記第1動作用接触面と異なる前記把持対象物の表面であって、前記第1動作によりずらされた状態にある該把持対象物を把持する第2動作のために前記少なくとも2本の指部のうち第2指部を接触させる第2動作用接触面を決定する第2動作決定部と、を備える。
把持システムによる把持制御の第2の実施例について、図22に基づいて説明する。図22は、本実施例に係る把持制御のフローチャートであり、当該把持制御は、アーム制御装置42及びハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで実現される。なお、本実施例に係る把持制御に含まれる各処理のうち、上記の第1の実施例での把持制御に含まれる処理と実質的に同一のものに関しては、同一の参照番号を付すことでその詳細な説明を省略する。具体的には、S102において直接把持が可能ではないと判定されるとS401の判定処理へ進む。なお、S401で否定判定されると、第1の実施例と同様にS104〜S111の処理、すなわち「ずらし把持」に関する処理が行われる。一方で、S401で肯定判定されると、S402〜S408による「傾倒把持」に関する処理が行われる。
そこで、S401〜S408の各処理の詳細を説明する前に、ハンド機構2による傾倒把持の詳細について、図23〜図25Cに基づいて説明する。なお、これらの図では、上記の第1の実施例の把持制御により対象物10(1)が把持対象物として収容容器80から取り出された後の、収容容器80における対象物10(2)に対して傾倒把持が行われている状態が表されている。すなわち、対象物10(2)が把持対象物とされている。傾倒把持とは直接把持とは異なる、ハンド機構2による把持の一形態であり、ずらし把持とも異なるものである。傾倒把持では、先ず、傾倒時第1接触面を利用して把持対象物10の傾倒動作が行われる。この傾倒動作は、ハンド機構2の指部21が接触可能となる程度に把持対象物10の側面を露出させるための動作であり、傾倒動作決定部440は、当該傾倒動作に関する動作パラメータである、傾倒時第1接触面と傾倒方向を決定する。傾倒時第1接触面は、ハンド機構2で把持対象物10を傾倒させるためにその指部21が接触する把持対象物10の表面であり、傾倒方向は、当該傾倒時第1接触面に指部21を接触させて把持対象物10を傾倒させるときの傾倒方向である。これらの動作パラメータの決定処理については、後述する。そして、動作制御部438がこれらの動作パラメータに従ってハンド機構2を制御することで、傾倒動作が実現されることになる。
傾倒動作について、具体的に、図23及び図24に基づいて説明すると、動作制御部438は、指部21Aの第1指リンク部211Aを傾倒時第1接触面である把持対象物10(2)の上面S4に接触させる。なお、このとき他の指部21B〜21Dは把持対象物10(2)には接触していない。そして、指部21Aと上面S4との接触状態を維持したまま、動作制御部438は、指部21Aを駆動制御し把持対象物10(2)を傾倒方向(手前側)に引き倒す力を把持対象物10(2)に作用させる。そのため、図24に示すように、把持対象物10(2)は、床面と接触しているその底面の一部を中心としてその上部が床面側に接近するように傾倒していくことになる。
そして、この傾倒動作の結果、傾倒把持前の配置状態において把持対象とはなっていない対象物10(3)と接触していた把持対象物10(2)の背面S5が露出していき、背面S5と対象物10(3)との間に空間が形成されていく。当該空間は、把持対象物10(2)の傾倒が進むほど大きくなっていく。当該空間が、ハンド機構2の指部21Aとは異なる指部21B及び指部21Dが進入できる程度に十分な大きさとなるまで、傾倒動作が継続される。このように指部21B及び指部21Dの進入に十分な程度の当該空間を、以下、進入空間と称する。
そして、十分な大きさの進入空間が形成されると、傾倒動作が停止される。このとき指部21Aが上面S4に接触した状態が維持され、把持対象物10(2)は傾倒状態に維持される。その後、傾倒状態にある把持対象物10(2)に対して把持動作が行われる。なお、傾倒動作決定部440は、当該把持動作に関する動作パラメータである、傾倒時第2接触面も決定する。傾倒時第2接触面は、ハンド機構2で傾倒された把持対象物10(2)をその指部21で接触して把持するための把持対象物10の表面である。この動作パラメータの決定処理については、後述する。そして、動作制御部438がこの動作パラメータに従ってハンド機構2を制御することで、傾倒動作後の把持動作も実現されることになる。
この把持動作は、把持対象物10(2)が傾倒されその背面S5が露出された状態で行われる把持対象物10(2)の把持である。当該把持動作について、図25A〜図25Cに基づいて具体的に説明する。なお、図25A〜図25Cは、把持動作によりハンド機構2が把持対象物10(2)を把持している同一の状態を、異なる視点から示したものである。図25Aは、把持対象物10(2)の背面S5が見える方向からの図であり、図25Bは、把持対象物10(2)を側方から見た図であり、図25Cは、把持対象物10(2)の前面S1が見える方向からの図である。
傾倒把持の把持動作では、把持対象物10(2)と隣接する対象物10(3)との間に形成された進入空間に、指部21Bの第1指リンク部211Bと指部21Dの第1指リンク部211Dとを進入させ、両指リンク部を背面S5に接触させるとともに、指部21Cの第1指リンク部211Cを対象物10の前面S1に接触させる。すなわち、図25A〜図25Cに示す把持形態では、把持対象物10(2)の背面S5と前面S1が、傾倒時第2接触面となる。当該傾倒把持では、傾倒状態にある把持対象物10(2)を、その前後からハンド機構2の、傾倒状態に支持するために使用している指部21A以外の指部が利用されて、把持対象物10(2)の安定的な把持が実現される。なお、当該把持動作における指部21の接触パターンは、図25A〜図25Cに示す形態には限られない。例えば、別法として、上記把持動作に使用する指部21の数は、3本ではなく2本でもよい。この場合、背面S5と前面S1のそれぞれに一本ずつの指部21が接触する。
また、傾倒把持においてより安定して対象物を把持するためには、図25Bに示すように、把持対象物10(2)を側方から見たときに、背面S5側の指部21の第1リンク指部と前面S1側の指部21の第1リンク指部とが概ね対向するのが好ましい。また、図25A〜図25Cに示すように3本の指部21で傾倒把持を行う場合、背面S5又は前面S1から見たときに、1本の指部21Cの作用点が、2本の指部21B及び指部21Dのそれぞれの作用点の間に位置するように、各指部21が対象物に接触するのが好ましい。
このように傾倒把持は、上記の通り、把持対象物を傾倒させることで、傾倒前には露出していなかった側面(背面)を露出させて把持動作に利用する。このため、第1の実施例に示したずらし把持と同様に、把持対象物を直接把持できない場合に有用な把持形態である。一方で、傾倒把持は、ずらし把持と異なり、把持対象物を他の物体に押し付ける必要はない。そのため、把持対象物を傾倒させることが可能な状態に、該把持対象物が配置されている場合には、ずらし把持よりもより安定した把持対象物の把持を実現することができる。言い換えると、ずらし把持は、把持対象物を直接把持することができず、更に、把持対象物を傾倒させて傾倒把持を行うことができない場合には有用な把持形態の1つであると言える。
このような傾倒把持とずらし把持の特性の違いを踏まえて、図22に示す把持制御が構築されている。具体的には、S401において、把持対象物を傾倒把持することが可能であるか否かが判定される。これは、上記の通り傾倒把持とずらし把持を比べたときには傾倒把持の方が安定した把持が可能となることを踏まえ、傾倒把持が可能である場合には、ずらし把持ではなく傾倒把持を優先して実行するために行われる判定処理である。具体的には、収容容器80における対象物10の環境情報、特に、その並びに関する情報に基づいて、当該判定処理は行われる。例えば、図26に示すように、収容容器80において対象物10(1)が取り外されて、把持対象物10(2)の前方に把持対象物10(2)を傾倒させるための空間R1が存在している場合には、傾倒把持が可能であると判定することができる。一方で、図13(b)に示すように収容容器80からいずれの対象物10も取り出されていない場合には、収容容器80の縁枠の影響により最前方の対象物10(1)をその前方に傾倒させることができない。そのためこのような場合には、傾倒把持は可能ではないと判定される。そして、S401で肯定判定されると、傾倒把持を実現するためにS402へ進む。また、S401で否定判定されると、ずらし把持を実現するためにS104へ進む。なお、S104以降の処理については第1の実施例で示した通りであるから、本実施例での説明は割愛する。
ここで、S402では、傾倒把持では、把持対象物10を現在配置されている状態から傾倒する必要があることを踏まえ、図18に示す把持対象物決定処理に従って、傾倒把持における把持対象物の決定処理が行われる。なお、本実施例では、S401で肯定判定されていることを考慮し、収容容器80における対象物10の配置は、図26に示す状態になっているものとする。
先ず、S201では、現時点で収容容器80に収容されている全ての対象物10に関する環境情報、特に、並びに関する情報が取得される。本実施例の場合、S201では、図21に示す並びに関する情報が取得される。次に、S202で、当該全ての対象物10の側面の露出面積が算出される。具体的には、環境情報に含まれている対象物10の寸法から得られる側面の面積に、並びに関する情報に含まれる露出割合に係る数値を乗じることで、各対象物10における側面の露出面積が算出される。
次に、S203では、S202で算出された側面の露出面積に基づいて、把持対象物10が決定される。対象物10の傾倒把持を行う場合、その傾倒方向に位置する側面を利用して傾倒状態の対象物の把持を行うことを踏まえると、対象物10を傾倒させる場合、可及的に露出面積の大きい側面が床面に近づくように傾倒させた方が、その後の対象物10の把持を安定して行えると考えられる。そこで、本実施例では、収容容器80に収容されている複数の対象物10の中から、側面の露出面積が最も大きい対象物10が把持対象物として決定される。図26の配置状態では、対象物10(2)の前面が全て露出されており、その露出面積が最大となる。したがって、対象物10(2)が把持対象物として決定される。
<傾倒把持用の動作パラメータ決定処理>
ここで、図22の把持制御に戻る。S402で把持対象物が決定されると、S403へ進む。S403では、傾倒把持のための傾倒動作に関する動作パラメータ(傾倒時第1接触面、及び傾倒方向)の決定、及び傾倒動作に続く把持動作に関する動作パラメータ(傾倒時第2接触面)の決定が行われる。S403の決定処理は、傾倒動作決定部440によって図27に示すフローに従って行われる。
図27に示す傾倒動作パラメータ決定処理の説明に際して、図26に示すように、把持対象物は対象物10(2)であることを前提とする。把持対象物10(2)は、前面S1、背面S5、左側面S2、右側面S3、上面S4及び底面を有する直方体形状の物体である。先ず、S501では、把持対象物10(2)の環境情報が取得される。すなわち、把持対象物10(2)の左側面露出割合が90%、前面露出割合が100%、右側面露出割合が0%、背面露出割合が0%であることや把持対象物10(2)の寸法等が認識される。そして、S502では、これらの露出割合に基づいて、把持対象物10(2)の各側面(左側面、前面、右側面、背面)の露出面積が算出される。このとき、環境情報に把持対象物10(2)の寸法情報が利用される。
把持対象物の決定処理についてでも述べたように、露出面積が大きいほど把持対象物10(2)の傾倒動作、及びその後の把持動作を安定して行いやすい。そこで、S503では、S502で算出された把持対象物10(2)の側面のうち露出面積が最大となる側面が床面に近づくように傾倒する方向が、傾倒方向として決定される。本実施例では、把持対象物10(2)においては前面S1の露出面積が最大となるため、図26に示すように、把持対象物10(2)の前面S1が手前側に傾倒する方向が傾倒方向として決定される。また、別法として、露出割合が大きいほど把持対象物10(2)の傾倒動作、及びその後の把持動作を安定して行いやすい場合もあることから、把持対象物10(2)の側面のうち露出割合が最大となる側面が床面に近づくように傾倒する方向を、傾倒方向として決定してもよい。
更に、S504では、当該決定された傾倒方向への把持対象物10(2)の傾倒を実現するために、ハンド機構2の指部21が接触する表面(傾倒時第1接触面)の決定が行われる。当該決定には、把持対象物10(2)に関する環境情報、特に、把持対象物10(2)の形状や露出している表面等の情報が利用される。具体的には、把持対象物10(2)は、直方体形状でありその上面S4は露出した状態となっている。そこで、このような把持対象物10(2)の構造条件等に基づいて、上面S4が傾倒時第1接触面として決定される。
次に、S505では、傾倒動作により傾倒状態となった把持対象物10(2)を把持するために、ハンド機構2の指部21が接触する表面(傾倒時第2接触面)の決定が行われる。当該決定にも、把持対象物10(2)に関する環境情報、特に、把持対象物10(2)の形状や露出している表面等の情報が利用される。具体的には、S502での算出の結果、露出面積が最大とされた前面S1と、それに対向し傾倒動作によって露出した状態となる背面S5とが傾倒時第2接触面として決定される。これにより、把持対象物10(2)を安定して把持することができる。また、別法として、把持対象物10(2)の寸法や形状によっては、傾倒動作に使用した傾倒時第1接触面である上面S4と、傾倒動作により露出した状態となる背面S5とを傾倒時第2接触面として決定することもできる。
次に、S506では、傾倒把持の把持動作に使用するハンド機構2の指部21の数が決定される。ハンド機構2には4本の指部21が備えられているため、把持対象物10(2)の安定的な把持のためには4本の指部21を使用するのが最も好ましい。ただし、把持対象物10(2)の形状や、把持対象物10(2)と指部21の寸法の相関等の理由で必ずしも4本の指部21を把持動作に使用できるとは限らない。例えば、傾倒時第2接触面である前面S1と背面S5の幅が、2本の指部21を並べて配置できる程度に広い場合には、図28(a)、(b)に示すように、少なくとも一方の面に2本の指部21を配置することで、3本又は4本の指部21を把持動作に使用することができる。なお、傾倒把持では、少なくとも1本の指部21を傾倒時第1接触面に接触させて把持対象物10(2)の傾倒動作を行っている。そのため、図28(a)のように4本の指部21を用いて把持動作を行うためには、傾倒状態にある把持対象物10(2)を先に3本の指部21で把持し、その後、傾倒動作に使用していた上記少なくとも1本の指部21に追加的に把持動作を行わせることになる。その結果、把持対象物10(2)の把持動作に要する時間が長くなったり、傾倒動作に使用していた指部21を把持動作のために把持対象物10(2)から離したときに把持対象物10(2)のバランスが崩れたりする可能性がある。そこで、このような場合には、図28(b)に示すように3本の指部21を把持動作に使用することで、把持の安定化や把持時間の短縮化を図ることができる。
また、前面S1と背面S5の幅が2本の指部21を並べて配置できる程度には広くない場合には、図28(c)に示すように2本の指部21を把持動作に使用する。なお、この場合、指部21の把持対象物10(2)への接触位置や把持対象物10(2)の重量等によって、十分に安定した把持対象物10(2)の把持が難しい場合もあり得る。そのような場合には、図28(d)に示すように、2本の指部21で把持し把持対象物10(2)を収容容器80から取り出し、左側面S2や右側面S3が露出した状態となったときに、残りの指部でそれぞれの側面を追加的に把持するようにしてもよい。
このように傾倒動作パラメータ決定処理により、傾倒動作及びそれに続く把持動作用の動作パラメータが決定されることになる(把持制御のS403の処理)。そして、再び図22の把持制御に戻ると、S404では、S403で決定された傾倒時第1接触面(上面S4)にハンド機構2の指部21Aが接触されて、同じく決定された傾倒方向に従って把持対象物10(2)の傾倒動作が開始される(図23、図24も参照のこと)。この傾倒動作の結果、把持対象物10(2)の背面S5が露出していき、背面S5とその後ろの対象物10(3)との間に空間が形成されていく。そこで、S405で、当該空間がハンド機構2の指部21が進入できる程度に大きくなり傾倒動作が完了したか否かが判定される。なお、当該判定は、把持対象物10(2)の引き倒し量に関連する、指部21Aの移動量に基づいて判定される。S405で肯定判定されるとS406へ進み、否定判定されると引き続き把持対象物10(2)の傾倒動作が継続される。
次に、S406では、S405での肯定判定を以て、傾倒動作を停止させる。このとき指部21Aが傾倒時第1接触面(上面)S4に接触した状態が維持される。そして、S407では、S403で決定された傾倒時第2接触面(前面S1と背面S5)にハンド機構2の指部21が接触され、把持対象物10(2)の把持動作が行われる。なお、本実施例では、図28(b)に示すように3本の指部21により当該把持動作が実現される。S407で対象物の把持動作が行われると、ハンド機構2が把持対象物10(2)を把持したまま把持対象物10(2)を所望の目的位置に移すことができる。
そして、把持対象物10(2)の把持が完了すると、S408で、収容容器80に収容されている対象物10に関する環境情報のうちその並びに関する情報の更新が行われる。並びに関する情報は、把持対象物10(2)の把持前は図21に示した通りであるが、S408での更新後は図29に示した状態となる。具体的には、把持対象物10(2)の把持完了フラグに「1」が設定される。それとともに、収容容器80において把持対象物10(2)が取り出されたことをもって、把持対象物10(3)の前面露出割合の値が100%に更新される。これにより、図22に示す把持制御が終了する。
このように本実施例の把持制御では、対象物10が直接把持が可能なように配置されている場合には、その直接把持を実行する。これにより対象物10の把持に要する時間の短縮を図ることができる。一方で、直接把持が可能ではない状態で対象物10が収容容器80内に配置されていても、ハンド機構2により傾倒把持又はずらし把持が実現される。このとき、傾倒把持が可能である場合には、ずらし把持に優先させて傾倒把持を行うように構成されている。具体的には、収容容器80における対象物10の配置状態が図13(b)に示す状態であればずらし把持が行われ、当該配置状態が図26に示す状態であれば傾倒把持が行われる。これにより、より安定した把持対象物の把持が可能となる。なお、傾倒把持であってもずらし把持であっても、把持対象物の位置や姿勢を変化させるために使用された指部21Aを把持対象物に接触させたまま、続く把持動作(図17に示す把持動作、又は、図25A〜図25Cに示す把持動作)が行われるため、把持対象物10の把持に要する時間を可及的に短くすることができる。このように上記把持制御では、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
上記実施例1,2では、ずらし把持を、把持対象物10の側面を他の物体に押し付けながら該把持対象物10をずらし上げることでその位置を上方に変化させた上で、該把持対象物10を把持する把持形態として説明した。しかしながら、ずらし把持の形態はこのような形態に限られるのもではない。本実施例では、把持対象物10の底面、すなわち、把持対象物10において重力方向の下方に位置する面を、他の物体に押し付けながら該把持対象物10を移動させることでその位置を変化させた上で、該把持対象物10を把持する形態のずらし把持について説明する。
図30は、本実施例に係る把持制御において把持の対象となる複数の対象物10が収容容器80内に配置された状態を示す図である。図30に示すように、把持制御が開始される前の状態では、収容容器80内に、横3列、縦2列の状態で六個の対象物10が収容されている。各対象物10はいずれも同じ直方体状の形状を有している。なお、本実施例では、収容容器80における対象物10の配置位置を、対象物10毎に区別して識別する際には、参照番号である「10」に、配置位置を識別するための表記を付加するものとする。当該表記は、収容容器80内の横列の位置と縦列の位置とをマトリックスの形式で表すものである。つまり、収容容器80内における前方横一列の対象物10の参照番号を、左から順に10(1_1)、10(1_2)、10(1_3)と記載し、収容容器80内における後方横一列の対象物10の参照番号を、左から順に10(2_1)、10(2_2)、10(2_3)と記載している。なお、収容容器80における対象物10の配置位置を対象物10毎に表す必要が無い場合には、上記表記を省略する場合もある。
ここで、収容容器80内における前方一列の中央の対象物10(1_2)を把持対象物としてずらし把持を実行する場合の動作について、図31に基づいて説明する。図30に示すように、把持対象物10(1_2)の背面は、他の対象物10(2_2)の前面と接触した状態となっている。そこで、本実施例では、把持対象物10(1_2)の背面を露出させるために、図31に示すように、該把持対象物10(1_2)を手前側に(図31に示す白抜き矢印の方向に)水平移動させる。この場合、第1動作決定部436は、把持対象物10(1_2)の上面を、水平移動動作のためにハンド機構2の指部21を接触させる第1動作用接触面に決定する。そして、動作制御部438は、ハンド機構2の4本の指部21のうちの1本の指部の第1指リンク部211を把持対象物10(1_2)の上面に接触させ、該把持対象物10(1_2)の底面を収容容器80の床面83に押し付けながら該把持対象物10(1_2)を手前側に水平移動させるように、ハンド機構2を駆動制御する。本実施例では、このような、把持対象物10(1_2)を手前側に移動させる水平移動動作が本願発明の第1動作に相当する。ただし、把持対象物を収容容器の床面に押し付けながら移動させる方向は水平方向に限られるものではない。つまり、収容容器の床面が傾斜している場合は、把持対象物をその傾斜方向に移動させてもよい。
上記のような水平移動動作の結果、把持前の配置状態において、把持対象とはなっていない対象物10(2_2)と接触していた把持対象物10(1_2)の背面が、露出した状態となる。その後、水平移動した状態にある把持対象物10(1_2)に対して把持動作、すなわち本願発明の第2動作が行われる。このときの把持動作においては、把持対象物10(1_2)の前面と背面とのそれぞれに、ハンド機構2における異なる指部21を接触させる。この場合、第2動作決定部437は、水平移動動作によって露出されることになった把持対象物10(1_2)の背面を第2動作用接触面に決定する。なお、水平移動動作によって把持対象物10(1_2)の位置をずらした場合、ずらし上げ動作とは異なり、第1動作用接触面に接触させていた指部21を該第1動作用接触面から離しても、該把持対象物10(1_2)の位置が元には戻らない。つまり、把持対象物10(1_2)が、他の対象物10(2_2)から離間した状態が維持される。そのため、第1動作用接触面に接触させる指部(本願発明の第1指部)と、第2動作用接触面に接触させる指部(本願発明の第2指部)とは、必ずしも同一の指部である必要はない。
このように、水平移動動作を第1動作とするずらし把持でも、ずらし上げ動作を第1動作とするずらし把持と同様、把持対象物10(1_2)において、水平移動動作の前には露出していなかった側面(背面)を露出させて、該側面(背面)を把持動作に利用することが可能となる。
また、図31に示すように、水平移動動作によって把持対象物10(1_2)を手前側に水平移動させると、該把持対象物10(1_2)の背面のみならず、他の対象物10(1_2)と接触していた該把持対象物の10(1_2)の左側側面、および、他の対象物10(1_3)と接触していた該把持対象物の10(1_2)の右側側面も露出した状態となる。そのため、把持対象物の10(1_2)の左側側面および右側側面のそれぞれに、ハンド機構2における異なる指部21を接触させて、把持対象物の10(1_2)を把持することも可能となる。そこで、第2動作決定部437は、水平移動動作によって露出されることになった把持対象物10(1_2)の左側側面および右側側面を第2動作用接触面に決定してもよい。
(変形例)
また、ずらし把持を実行する場合、把持動作(第2動作)の前に実行する第1動作として、ずらし上げ動作または水平移動動作を選択的に実行することもできる。例えば、図32Aに示すように、先ず、収容容器80内における前方一列の中央の対象物10(1_2)を把持対象物としてずらし把持を実行する場合に、第1動作としてずらし上げ動作を行ってもよい。この場合、把持対象物10(1_2)の前面を第1動作用接触面として決定する。そして、把持対象物10(1_2)の背面を他の対象物10(2_2)の前面に押し付けながら、該把持対象物10(1_2)を上方に(図32Aに示す白抜き矢印の方向に)持ち上げる。その後、把持対象物10(1_2)を把持動作によって把持する。
また、収容容器80内における前方一列に並んでいた三個の対象物10を該収容容器80内から移動させた後において、図32Bに示すように、収容容器80内における後方一列の中央の対象物10(2_2)を把持対象物としてずらし把持を実行する場合に、第1動作として水平移動動作を行ってもよい。この場合、把持対象物10(2_2)の上面を第1動作用接触面として決定する。そして、把持対象物10(2_2)の底面を収容容器80の床面83に押し付けながら、該把持対象物10(2_2)を手前側に(図32Bに示す白抜き矢印の方向に)水平移動させる。その後、把持対象物10(2_2)を把持動作によって把持する。
1・・・ロボットアーム、2・・・ハンド機構、20・・・ベース部、21・・・指部、22・・・第1関節部、23・・・第2関節部、211・・・第1指リンク部、212・・・第2指リンク部、213・・・基端部、3・・・アーム機構、30a・・・第1関節部、30b・・・第2関節部、30c・・・第3関節部、30d・・・第4関節部、30e・・・第5関節部、30f・・・第6関節部、31・・・第1アームリンク部、32・・・第2アームリンク部、33・・・第3アームリンク部、34・・・第4アームリンク部、35・・・第5アームリンク部、36・・・接続部材、4・・・台座部、42・・・アーム制御装置、43・・・ハンド制御装置、51・・・第1モータ、52・・・第2モータ、53・・・第3モータ、61、62・・・傘歯車、63・・・ウォームホイール、64・・・ウォーム、65、66・・・歯車、70・・・感圧センサ、10・・・対象物、80・・・収容容器、S1・・・前面、S4・・・上面、S5・・・背面

Claims (12)

  1. 複数の対象物が収容されている収容容器から、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって該収容されている対象物を取り出すための把持システムであって、
    前記複数の対象物のうち把持の対象となる把持対象物を、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積又は露出割合に基づいて決定する把持対象物決定部と、
    前記把持対象物を、該把持対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらす第1動作のために、前記少なくとも2本の指部のうち第1指部を接触させる第1動作用接触面を決定する第1動作決定部と、
    前記第1動作用接触面と異なる前記把持対象物の表面であって、前記第1動作によりずらされた状態にある該把持対象物を把持する第2動作のために前記少なくとも2本の指部のうち第2指部を接触させる第2動作用接触面を決定する第2動作決定部と、
    を備える、把持システム。
  2. 前記第1動作が、前記把持対象物の側面を前記他の物体に押し付けながら該把持対象物をずらし上げる動作である場合、
    前記第1動作決定部は、前記収容容器に収容されている状態の前記把持対象物における各側面の露出面積又は露出割合に基づいて、前記第1動作接触面を決定する、
    請求項1に記載の把持システム。
  3. 前記第1動作が、前記把持対象物の底面を前記他の物体に押し付けながら該把持対象物を移動させる動作である場合、
    前記第1動作決定部は、前記把持対象物における上面を前記第1動作接触面に決定する、
    請求項1に記載の把持システム。
  4. 前記ハンド機構の前記指部により挟んで把持するための所定の把持面が露出している前記対象物が前記収容容器内に存在しているか否かを判定する判定部をさらに備え、
    前記判定部によって、前記所定の把持面が露出している前記対象物が前記収容容器内に存在していないと判定されたときに、前記把持対象物決定部が、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積に基づいて前記把持対象物を決定する、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の把持システム。
  5. 前記対象物の位置及び前記収容容器における該対象物の並びに関する情報を少なくとも含む環境情報を取得する取得部をさらに備え、
    前記把持対象物決定部は、前記収容容器に収容されている状態のそれぞれの前記対象物の露出面積を前記環境情報に基づいて算出し、
    前記第1動作決定部は、前記第1動作接触面を前記環境情報に基づいて決定し、
    前記第2動作決定部は、前記第2動作接触面を前記環境情報に基づいて決定する、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の把持システム。
  6. 前記対象物の位置及び前記収容容器における該対象物の並びに関する情報を少なくとも含む環境情報を取得する取得部をさらに備え、
    前記判定部は、前記所定の把持面が露出している前記対象物が前記収容容器内に存在しているか否かを前記環境情報に基づいて判定する、
    請求項4に記載の把持システム。
  7. 前記第2指部は、前記少なくとも2本の指部のうち前記第1指部とは異なる指部である
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の把持システム。
  8. 前記第2動作は、前記第1動作用接触面に前記第1指部を接触させて前記把持対象物をずらすことで露出された状態に至った前記第2動作用接触面の一部に、前記少なくとも2本の指部のうち前記第1指部と異なる前記第2指部を接触させ、該第2指部と、前記第1動作用接触面に接触させている前記第1指部とによって前記把持対象物を把持する把持動作である、
    請求項2に記載の把持システム。
  9. 前記把持対象物決定部は、前記複数の対象物のうち、前記収容容器又は隣接する他の対象物によって隠されていない側面の露出面積又は露出割合が最大となる対象物を前記把持対象物として決定する、
    請求項1から請求項8の何れか1項に記載の把持システム。
  10. 前記把持対象物が、複数の側面を有する場合、
    前記第1動作決定部は、前記他の物体に接触している前記把持対象物の所定の側面に対となる、該把持対象物の他の側面のうち、前記収容容器又は隣接する他の対象物によって隠されていない部分の露出面積又は露出割合が最大となる露出最大側面を前記第1動作用接触面と決定する、
    請求項2に記載の把持システム。
  11. 前記第2動作決定部は、前記所定の側面を前記第2動作用接触面として決定する、
    請求項10に記載の把持システム。
  12. 前記把持対象物を所定の方向に傾倒する傾倒動作の実施が可能か否かを判定する傾倒可否判定部と、
    前記傾倒可否判定部により前記傾倒動作の実施が可能であると判定されたときに、前記傾倒動作のための傾倒動作パラメータを決定する傾倒動作決定部と、を更に備え、
    前記傾倒可否判定部により前記傾倒動作の実施が可能ではないと判定されたときに、前記第1動作決定部が前記第1動作用接触面を決定し、且つ前記第2動作決定部が前記第2動作用接触面を決定し、
    前記傾倒可否判定部により前記傾倒動作の実施が可能であると判定されたときに、前記傾倒動作決定部は、前記傾倒動作のために前記少なくとも2本の指部のうち1本の指部を接触させる、前記傾倒動作パラメータの1つである傾倒時第1接触面と前記所定の方向と、を決定するとともに、該傾倒動作により傾倒された状態にある該把持対象物を把持する傾倒時把持動作のために、前記少なくとも2本の指部のうち前記傾倒動作用接触面に接触している前記指部と異なる指部を接触させる、前記傾倒動作パラメータの1つである傾倒時第2接触面を決定する、
    請求項1から請求項11の何れか1項に記載の把持システム。
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