JPWO2018199187A1 - スケール組成判定システム、スケール組成判定方法、およびプログラム - Google Patents

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Abstract

スケール組成判定装置(10)は、分光放射率測定用放射計(21a、21b)により測定された、一の波長および他の波長における分光放射率の少なくとも何れか一方が、一の波長および他の波長におけるFeOの分光放射率を含む所定の範囲内にない場合には、スケール(SC)の最表層にFe2O3が生成されていると判定し、そうでない場合に、スケール(SC)の最表層にFe2O3が生成されていないと判定する。

Description

本発明は、スケール組成判定システム、スケール組成判定方法、およびプログラムに関し、特に、鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定するために用いて好適なものである。
特許文献1に記載されているように、鋼材を加熱すると表面にスケール(鉄酸化物の皮膜)ができる。例えば、鋼材を熱間圧延する工程では、600[℃]〜1200[℃]の赤熱した鋼材がライン上を搬送されてローラで延伸される。従って、熱間圧延中の鋼材の表面には常にスケールが生じている。スケールには、温度や酸素濃度等によって、ウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe3O4)およびヘマタイト(Fe2O3)の3種類の組成がある。
スケールの密着性はその組成に関係している。スケールの最表層にFe2O3が生成する複層スケールは剥離しやすい。一方、スケール組成がFeOのみの単層スケールは密着性が高い。
そこで、デスケーラと呼ばれるスケール除去装置を通過する時は剥離しやすいスケールが好ましい。逆に、スケールがまだらに剥離した模様が表面品質上の問題になる場合にはスケールが鋼材に密着していることが好ましい。従って、スケールの組成を判別し、その結果を、操業に活用することが望まれる。
スケールの組成を判別する手法として、X線回折測定が考えられる。X線回折測定では、スケールが成長している鋼材を数cm程度の大きさに切断した試験片を作製し、この試験片のX線回折パターンを測定する。スケールの結晶構造により異なるX線回折パターンが得られる。従って、X線回折パターンから、スケールの最表層にFe2O3があるか否か(即ち、前述した単層スケールであるか、複層スケールであるか)を判別することができる。
しかしながら、X線回折測定では、鋼材を切断して試験片を作製する必要がある。また、鋼材が冷えた後でしかX線回折パターンを測定することができない。従って、操業中の鋼材の表面に生成されているスケールの組成をオンライン(リアルタイム)で判別することができない。
そこで、特許文献1に記載の技術では、鋼材の表面における酸化の律速過程が、酸素分子が鋼板の表面の酸化膜へ供給される過程と、鉄原子が鋼材の表面で酸化する過程とのうち、何れに律速されているかによって、スケールの最表層にFe2O3があるか否かを判別する。
特開2012−93177号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、鋼材の表面における酸化の律速過程を判別するためにモデル式を用いる必要がある。従って、判別の精度はモデル式の精度に依存する。更に、熱間圧延ラインでは、デスケーラで鋼板に高圧水を吹き付ける。従って、熱間圧延ライン上の鋼板の表面に部分的に水や水蒸気が存在することになる。よって、モデル計算に必要な酸素供給過程が正確に分からない場合がある。以上のように、特許文献1に記載の技術では、操業中の鋼材の表面に生成されているスケールの組成を精度良くオンライン(リアルタイム)で判別することが容易ではないという問題点がある。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、操業中の鋼材の表面に生成されているスケールの組成をオンラインで精度良く判別できるようにすることを目的とする。
本発明のスケール組成判定システムは、鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定するスケール組成判定システムであって、複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度を検出する検出手段と、前記鋼材の温度を取得する温度取得手段と、前記温度取得手段により取得された、前記鋼材の温度と、前記検出手段により検出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出手段と、前記分光放射率導出手段により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定手段と、を有し、前記判定手段は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のぞれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とする。
本発明のスケール組成判定方法は、鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定するスケール組成判定方法であって、複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度を検出する検出工程と、前記鋼材の温度を取得する温度取得工程と、前記温度取得工程により取得された、前記鋼材の温度と、前記検出工程により検出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出工程と、前記分光放射率導出工程により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定工程と、を有し、前記判定工程は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のそれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とする。
本発明のプログラムは、鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記鋼材の温度と、複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出工程と、前記分光放射率導出工程により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定工程と、をコンピュータに実行させ、前記判定工程は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のぞれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とする。
図1は、熱間圧延ラインの概略構成の一例を示す図である。 図2は、スケール組成判定システムの構成の一例を示す図である。 図3Aは、単層スケールの厚みと分光放射率との関係の一例を示す図である。 図3Bは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと分光放射率との関係の一例を示す図である。 図4Aは、波長Aにおける、単層スケールの分光放射率と複層スケールの分光放射率との違いを示す図である。 図4Bは、波長Bにおける、単層スケールの分光放射率と複層スケールの分光放射率との違いを示す図である。 図5は、黒体の分光放射輝度と波長との関係の一例を示す図である。 図6Aは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと、波長AにおけるFe2O3の分光放射率との関係の一例を示す図である。 図6Bは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと、波長BにおけるFe2O3の分光放射率との関係の一例を示す図である。 図7は、スケール組成判定装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 図8は、スケール組成判定装置のハードウェアの構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
<熱間圧延ラインの構成の概略>
図1は、スケール組成判定装置10の適用先の一例である熱間圧延ラインの概略構成の一例を示す図である。
図1において、熱間圧延ラインは、加熱炉11と、デスケーラ12a〜12fと、幅方向圧延機13と、粗圧延機14と、仕上圧延機15と、冷却装置(ランアウトテーブル)16と、巻取装置(コイラー)17とを有する。
加熱炉11は、スラブ(鋼材)Sを加熱する。
デスケーラ12a〜12fは、鋼材の表面に生成されているスケールを除去する。スケールの厚みは、例えば10[μm]〜100[μm]である。デスケーラ12a〜12fは、例えば、加圧水を鋼材の表面に吹き付けることにより、デスケーリング(スケールの除去)を行う。尚、鋼材は高温であるため、スケールを除去しても鋼材は直ちに再酸化する。従って、鋼材は、常にスケールが表面に存在した状態で圧延される。
幅方向圧延機13は、加熱炉11で加熱されたスラブSを幅方向に圧延する。
粗圧延機14は、幅方向圧延機13で幅方向に圧延されたスラブSを上下方向から圧延して粗バーにする。図1に示す例では、粗圧延機14は、ワークロールのみからなる圧延スタンド14aと、ワークロールとバックアップロールとを有する圧延スタンド14b〜14eとを有する。
仕上圧延機15は、粗圧延機14で製造された粗バーをさらに所定の厚みまで連続して熱間仕上圧延を行う。図1に示す例では、仕上圧延機15は、7つの圧延スタンド15a〜15gを有する。
冷却装置16は、仕上圧延機15により熱間仕上圧延が行われた熱延鋼板Hを冷却水により冷却する。
巻取装置17は、冷却装置16により冷却された熱延鋼板Hをコイル状に巻き取る。
尚、熱間圧延ラインは、公知の技術で実現することができ、図1に示す構成に限定されるものではない。例えば、仕上圧延機15の7つの圧延スタンド15a〜15gのうち、上流側の圧延スタンドの間(例えば、圧延スタンド15a、15bの間および圧延スタンド15b、15cの間)にデスケーラを配置しても良い。
本実施形態では、熱間圧延ラインに対し、3つの放射計を一組とする放射計の組を少なくとも1つ配置する。また、3つの放射計は、何れも、鋼材の分光放射輝度を非接触で検出する。ただし、3つの放射計のうちの1つの放射計は、放射測温法により、鋼材の温度を測定するために用いられる放射計である。3つの放射計のうちの残りの2つの放射計は、鋼材の分光放射率を測定するために用いられる放射計である。
絶対温度Tの黒体が出す分光放射輝度Lb(λ,T)は、プランク(Planck)の黒体放射則により、以下の(1)式で表される。尚、分光放射輝度は、波長λ[μm]における、単位波長あたり、単位面積あたり、単位立体角あたりの放射束[W・μm-1・sr-1・m-2]である。
Figure 2018199187
ここで、c1、c2は、それぞれ、プランクの黒体放射式の第1定数、第2定数である。
(1)式は、理想的な放射体である黒体の分光放射輝度である。現実の物体の分光放射輝度L(λ,T)は、それと同じ温度の黒体の分光放射輝度Lb(λ,T)よりも小さい。そこで、被測定物の分光放射率ε(λ,T)を以下の(2)式で定義する。
Figure 2018199187
以上のように分光放射率ε(λ,T)を測定するためには、被測定物の分光放射輝度L(λ,T)を測定する。さらに被測定物の温度Tを何らかの方法で得る。そして、被測定物の分光放射輝度L(λ,T)と、被測定物の温度Tとを用いて(2)式の計算を行う。
図1に示す例では、デスケーラ12bと、圧延スタンド14bとの間の領域に一組の放射計20、21a、21bを配置する場合を示す。圧延スタンド14bは、ワークロールとバックアップロールとを有する圧延スタンドのうち最上流に設けられた圧延スタンドである。ここで、放射計20は、鋼材の温度を測定するために用いられる放射計であるものとする。また、放射計21a、21bは、鋼材の分光放射率を測定するために用いられる放射計であるものとする。
図2は、スケール組成判定システムの構成の一例を示す図である。図2では、放射計20、21a、21bの配置と、スケール組成判定装置10の機能的な構成の一例を示す。
<放射計20、21a、21b>
まず、放射計20、21a、21bの配置の一例について説明する。図2では、鋼材SMの傍らに付している矢印線の方向が鋼材SMの搬送方向である場合を例に挙げて示す。また、鋼材SMの表面にはスケールSCが生成されているものとする。
図2において、放射計20、21a、21bの軸(受光レンズの光軸)の、鋼材SM(の表面)の通過位置との交点が略一致するように、放射計20、21a、21bを配置する。尚、図2では、鋼材SMの搬送方向に放射計20、21a、21bを並べる場合を例に挙げて示す。しかしながら、放射計20、21a、21bの軸(受光レンズの光軸)の、鋼材SM(の表面)の通過位置との交点が略一致するようにしていれば、放射計20、21a、21bをこのように配置する必要はない。例えば、鋼材SMの幅方向に放射計20、21a、21bを並べても良い。
以下の説明では、鋼材の温度を測定するために用いられる放射計20を必要に応じて温度測定用放射計20と称する。また、鋼材の分光放射率を測定するために用いられる放射計21a、21bを必要に応じて分光放射率測定用放射計21a、21bと称する。
次に、温度測定用放射計20と分光放射率測定用放射計21a、21bにおいて検出する波長の一例について説明する。尚、この検出波長は、(1)式および(2)式の波長λに対応する。
温度測定用放射計20および分光放射率測定用放射計21a、21bが測定することができる波長は、一般的に、0.6[μm]〜14.0[μm]の領域において、大気中の二酸化炭素や水蒸気による吸収が小さい帯域である。
この下限値の0.6[μm]は、放射計において分光放射輝度を測定することが可能な波長の下限値から定まる。この分光放射輝度を測定することが可能な波長の下限値は、測定対象の鋼材SMの温度に応じて定まる。例えば、測定対象の鋼材SMの温度として900[℃]以上の温度を測定する場合には、放射計において分光放射輝度を測定することが可能な波長の下限値は0.6[μm]になる。また、測定対象の鋼板SMの温度の下限値を600[℃]とする場合には、検出波長の下限値は0.9[μm]になる。
また、波長の上限値の14.0[μm]は、放射計における光検出素子の性能(長波長の赤外線の検出能力)の制約から定まる。
尚、本実施形態において想定している鋼材SMの温度の範囲は、600[℃]〜1200[℃]である。
このように、本実施形態においては、温度測定用放射計20および分光放射率測定用放射計21a、21bの検出波長として、0.6[μm]〜14.0[μm]の範囲内から選択するのが好ましい。
ここで、スケールSCの組成・構造について説明する。例えば、特許文献1に記載されているように、鉄酸化物であるスケールには、単層スケールと、複層スケールとがあることが知られている。単層スケールは、ウスタイト(FeO)のみで構成される。複層スケールは、ウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe3O4)およびヘマタイト(Fe2O3)から構成される。複層スケールでは、地鉄側から順にウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe3O4)およびヘマタイト(Fe2O3)が94:5:1程度の厚み割合の層を成す。FeO、Fe3O4、Fe2O3はそれぞれ固有の屈折率と減衰係数とを有するため、光学特性の一つである分光放射率が単層スケールと複層スケールとで異なることが期待される。そこで、本発明者らは、3.3[μm]〜5.0[μm]の領域に定めた一つの検出波長(以下ではこの波長を波長Aと称する)、および、8.0[μm]〜14.0[μm]の領域に定めた一つの波長(以下ではこの波長を波長Bと称する)の2つの波長において、単層スケール(FeOのみからなるスケールSC)と複層スケール(表層から、Fe2O3、Fe3O4、FeOの順にサンドイッチ構造になるスケールSC)のそれぞれの分光放射率を調査した。
分光放射率は、以下のように実験的に求めた。
熱電対を溶着した鋼材サンプルをチャンバー内で加熱して、鋼材サンプルを所定の温度に保持した状態で、鋼材サンプルの熱放射輝度を放射計で測定する。このようにして得られる放射計の出力L(λ,T)を読み取る。一方、熱電対の指示温度を(1)式に代入してLb(λ,T)を計算する。そしてL(λ,T)およびLb(λ,T)から(2)式に基づき分光放射率ε(λ,T)を求める。この際、チャンバー内の雰囲気を調整することで単層スケールと複層スケールを作り分けて、それぞれのスケール構造の分光放射率を得た。
図3Aは、単層スケール(FeO)の厚みと分光放射率との関係の一例を示す図である。図3Bは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと分光放射率との関係の一例を示す図である。図3Aにおいて、FeO厚とは、単層スケール(の全体)の厚みを意味する。図3Bにおいて、Fe2O3厚とは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みを意味する。前述の通り、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みは、スケール全体の厚みの100分の1程度である。
図3Aに示すように、単層スケールの分光放射率は、波長A、波長Bともに単層スケールの厚みによらず安定した値を示す。FeOは不透明であるためである。一方、図3Bに示すように、複層スケールの分光放射率は、Fe2O3の厚みの変化(即ちFe2O3の成長)に伴い周期的に変動する。その周期は、波長が長いほど長い。尚、特許文献1には、波長3.9[μm]において、複層スケールの分光放射率がFe2O3の厚みに応じて変化するシミュレーション結果が示されている。
複層スケールの全体の厚みは波長よりも大きいものの、Fe2O3は透明性があり、Fe3O4は不透明と見なせる。このことから、特許文献1にも記載されているように、厚みの薄いFe2O3における光学的な干渉現象が、分光放射率に寄与する。このため、複層スケールの分光放射率は、Fe2O3の厚みに応じて周期的に変動する。
尚、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みに対する分光放射率の挙動は、波長A又は波長Bの範囲内(3.3[μm]〜5.0[μm]、8.0[μm]〜14.0[μm])では、大きくは変動しないことが、別途確認されている。ここで、複層スケール表層Fe2O3厚に対する分光放射率の挙動とは、例えば、分光放射率の値がどの厚みで山や谷を形成するか、単調変化なのか極値を持つのか、上に凸なのか下に凸なのか、といった挙動であって、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと分光放射率との対応関係における挙動を意味する。
スケールSC全体の厚みが最大で100[μm]であると想定すると(この場合、Fe2O3の厚みは最大で1[μm]程度になる)、図3Aおよび図3Bから読み取れるように、一つの波長の分光放射率を観測したのでは、Fe2O3の分光放射率がFeOのそれと類似する厚み領域がある。例えば、Fe2O3の厚みが0.8[μm]付近では、波長AにおけるFe2O3の分光放射率は、FeOの分光放射率と同等の0.75付近になる(尚、ここでは、Fe2O3の厚みの100倍が複層スケールの(全体の)厚みであるとする)。従って、1つの波長で分光放射率を測定すると、当該分光放射率から、スケールSCの最表層にFe2O3があるか否か(即ち、スケールSCが単層スケールおよび複層スケールの何れであるか)を判別することができない厚み領域が存在することになる。そこで、何れの厚み領域でも、スケールSCが単層スケールおよび複層スケールの何れであるかを判別することができるように、本実施形態では、以下のような手法を採用するに至った。
即ち、Fe2O3の厚みとして想定される厚みの範囲内において、2つの波長のうち少なくとも何れか一方の波長におけるFe2O3の分光放射率が、FeOの分光放射率と明確に異なるように、当該2つの波長を選択する。このことが本実施形態の技術的な特徴の一つである。また、Fe2O3の分光放射率がFe2O3の厚みによって変動する。このため、Fe2O3の厚みによって分光放射率が類似の値になることがないように、複数の波長で測定を行う。このことも本実施形態の技術的な特徴の一つである。このことについて、図4Aおよび図4Bを参照しながら具体的に説明する。
図4Aは、図3Aおよび図3Bから、波長Aについて、複層スケールの最表層に形成されるFe2O3の厚みと、FeOの分光放射率およびFe2O3の分光放射率との関係を抜き出して示す図である。図4Bは、図3Aおよび図3Bから、波長Bについて、複層スケールの最表層に形成されるFe2O3の厚みと、FeOの分光放射率およびFe2O3の分光放射率との関係を抜き出して示す図である。尚、図3Aおよび図3Bに示したように、FeOの分光放射率は、スケールSCの厚みによらず一定である。一方、複層スケールの分光放射率は、Fe2O3の厚みに応じて周期的に変動する。図4Aおよび図4Bにおいて、層厚は、以下のことを意味する。即ち、FeOの分光放射率に対しては、層厚は、単層スケール(の全体)の厚みになる。Fe2O3の分光放射率に対しては、層厚は、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みになる。
図4Aに示す波長Aでは、例として、分光放射率が約0.7〜0.8となる範囲に、「所定の第1の範囲」(図中のグレーの領域を参照)が設定されている。そして、測定された分光放射率が当該所定の範囲内(図中のグレーの領域を参照)にあれば、スケールSCがFeOであると判断する。そうすることで、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みが0.6[μm]以下であれば、測定対象のスケールSCが複層スケールの場合には、測定された分光放射率が、前記所定の第1の範囲外の値となる。このことから、複層スケールと単層スケールとを分別することができる。
一方、図4Bに示す波長Bでは、図4Aに示す波長Aの場合の「所定の第1の範囲」とは別に、例として、分光放射率が約0.6〜0.7となる範囲に、「所定の第2の範囲」(図中のグレーの領域を参照)が設定されている。そして、測定された分光放射率が当該所定の第2の範囲内にあれば、スケールSCがFeOであると判断する。そうすることで、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みが約0.2[μm]以上であれば、測定対象のスケールSCが複層スケールの場合には、測定された分光放射率が、前記所定の第2の範囲外の値となる。このことから、複層スケールと単層スケールとを分別することができる。
尚、前記所定の第1の範囲は、波長AにおけるFeOの分光放射率を含む範囲であればよい。また、前記所定の第2の範囲は、波長BにおけるFeOの分光放射率を含む範囲であればよい。前記所定の第1の範囲の上限値および下限値と、前記所定の第2の範囲の上限値および下限値は、それぞれ、測定誤差(放射計の公差)等を考慮して適宜設定することができる。
一方、図4Aより、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みが0.6[μm]を上回る場合には、測定対象のスケールSCが、単層スケールであっても複層スケールであっても、波長Aにおける分光放射率は、前記所定の第1の範囲内の値となる。また、図4Bより、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みが0.2[μm]を下回る場合には、測定対象のスケールSCが、単層スケールであっても複層スケールであっても、波長Bにおける分光放射率は、前記所定の第2の範囲内の値となる。
そこで、本実施形態では、波長Aを用いた場合の判断と、波長Bを用いた場合の判断とを組み合わせる。このようにすることで、それぞれの波長A、B単独では判断できなかった範囲を補い合うことができる。従って、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みによらず、複層スケールと単層スケールとを分別することができる。即ち、図4Aおよび図4Bから読み取れるように、波長Aにおける分光放射率が前記所定の第1の範囲外であるという判断と、波長Bにおける分光放射率が前記所定の第2の範囲外であるという判断と、のうち、少なくとも何れか一方の判断がなされれば、スケールSCの最表層にFe2O3がある(即ち、スケールSCが複層スケールである)と判定することができる。一方、波長Aにおける分光放射率が前記所定の第1の範囲内であるという判断と、波長Bにおける分光放射率が前記所定の第2の範囲内であるという判断と、の双方の判断がなされれば、スケールSCの最表層にFe2O3がない(即ち、スケールSCが単層スケールである)と判定することができる。
即ち、図4Aに示す判断しかしなければ、スケールSCの最表層に生成されるFe2O3の厚みが0.6[μm]を上回る場合には、スケールSCが複層スケールなのか単層スケールなのかを判断することができない。一方、図4Bに示す判断しかしなければ、スケールSCの最表層に生成されるFe2O3の厚みが約0.2[μm]を下回れば、スケールSCが複層スケールなのか単層スケールなのかを判断できなない。そこで、それぞれの判断を組み合わせることで、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されている場合には、波長A又は波長Bの少なくとも何れか一方の判断では、分光放射率の値が前記所定の第1の範囲または前記所定の第2の範囲から外れることになる。従って、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みによらず、スケールSCが複層スケールなのか単層スケールなのかを、容易に判定することが可能となる。
以上のように、波長A、Bは、Fe2O3の何れの厚みにおいても、波長Aおよび波長Bの少なくとも何れか一つの波長におけるFe2O3の分光放射率が当該波長において設定された所定の範囲外になるように定められる。ここで、波長Aにおいて設定された所定の範囲は、前記所定の第1の範囲である。波長Bにおいて設定された所定の範囲は、前記所定の第2の範囲である。尚、図4Aおよび図4Bでは、Fe2O3の厚みとして0.0[μm]〜1.0[μm]の範囲が想定されている場合を例に挙げて示す。Fe2O3の厚みの範囲は、例えば、以下のようにして求められる。まず、デスケーリングによるスケール除去時の鋼材SMの温度とその後の経過時間とを用いて、公知のスケール厚計算式からスケールSC全体の厚みの範囲を求める。スケール厚計算式は、温度と時間との関数からスケールSCの全体の厚みを求める式である。そして、熱間圧延ラインにおいて生成されることが想定されるFe2O3の厚みの範囲として、スケールSCの全体の厚みの範囲の上限値および下限値の1[%]の厚みを求める。また、Fe2O3の厚みの範囲は、例えば、実際の温度履歴を想定したスケール生成のラボ実験を行うことによって求めてもよい。
次に、分光放射率を求めるために必要な、鋼材SMの温度Tを測定する方法の一例について説明する。
図1に示す熱間圧延ラインにおけるオンラインの測定では、熱電対等の接触式の温度計を使用することは現実的でない。温度計が破損する虞があるからである。そこで、本実施形態では、放射測温法により鋼材SCの温度を測定する。放射測温では、分光放射率が既知で一定であることが望ましい。しかしながら、スケールSCは、その組成や光学的な干渉によって、あらゆる波長帯域で分光放射率が変動することが予想される。そこで、本実施形態では、短波長帯域で放射測温を行う。一方、分光放射率の測定は、赤外の長波長帯域で行う。
この理由は次のように説明される。図5は、黒体の分光放射輝度Lb(λ,T)と波長との関係の一例を示す図である。図5では、黒体の温度T=700[℃]、900[℃]の場合の関係を例に挙げて示す。図5に示す曲線は、黒体放射の理論式(プランクの放射則)から計算される。
図5から分かるように、おおよそ2[μm]付近よりも短波長の領域では、温度Tによる分光放射輝度の変化が大きい。従って、短波長の領域では、分光放射率の変動に比較的ロバストな測温が可能であり、温度の測定に適している。一方、図5から分かるように、おおよそ4[μm]付近よりも長波長の領域では、温度Tによる分光放射輝度の変化が小さい。従って、長波長の領域では、温度の変動に比較的ロバストな測定が可能であるため、分光放射率の測定に適している。
短波長における温度計測用の放射計としては、一般的に、主に波長0.65[μm]、0.9[μm]および1.55[μm]が、検出波長として使用されている。検出波長が短いほど放射率変動による測温誤差は小さくなる。ただし、検出波長が0.65[μm]の放射計では、おおよそ900[℃]以上の高温の被測定物の測温に限られる。このため、ここでは0.9[μm]を検出波長とする放射計を用いる場合を例に挙げて説明する。
放射測温を実施する波長λ=0.9[μm]における分光放射率の変動が、波長A、波長Bにおける分光放射率の測定を妨げないことについては、次のようにして確認した。尚、分光放射率の変動とは、放射測温を行う際に設定する分光放射率と実際の分光放射率との違いを意味する。
波長0.9[μm]におけるFeOの分光放射率を実験的に求めたところ、約0.78で安定していた。一方、この波長のFe2O3の分光放射率を測定したところ、0.78±0.07の範囲で不安定に変化していた。このFe2O3の分光放射率の変動はFe2O3膜内(層内)の光干渉現象に起因するものと推測される。放射計の分光放射率を0.78に設定して、温度T=900℃の被測定物の温度を測定すると、この±0.07の分光放射率の変動により、約±8[℃]の測温誤差が生じることになる。
図6Aおよび図6Bを参照しながら、測温誤差がFe2O3の分光放射率に与える影響を説明する。図6Aは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと、波長AにおけるFe2O3の分光放射率との関係の一例を示す図である。図6Bは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みと、波長BにおけるFe2O3の分光放射率との関係の一例を示す図である。図6Aおよび図6Bにおいて、Fe2O3厚とは、複層スケールの最表層に生成されるFe2O3の厚みを意味する。
図6Aおよび図6Bにおいて、実線で示す曲線は、図4Aおよび図4Bに示したものである。前述した±8[℃]の測温誤差により、分光放射率には、この実線で示す曲線に対し、図6Aおよび図6Bに破線で示す曲線の範囲の不確かさが生じる。このような温度測定の不確かさが生じても、前述したスケールの組成の判別には問題とならない。即ち、前述したように、波長Aの分光放射率、波長Bの分光放射率が、それぞれ、前記所定の第1の範囲、前記所定の第2の範囲(図4A、図4Bに示したグレーの領域)にあるか否かを判定する。この際、仮に図6A、図6Bに破線で示す曲線の範囲の不確かさが生じても、スケールSCの最表層がFe2O3であれば、波長Aの分光放射率が、前記所定の第1の範囲外になることと、波長Bの分光放射率が、前記所定の第2の範囲外になることとのうち、少なくとも何れか一方が生じることになる。
以上のことから、本実施形態では、温度測定用放射計20の検出波長を0.9[μm]とすることが好ましい。温度測定用放射計20における分光放射輝度の検出素子としては、例えばシリコン検出素子を用いるのが好ましい。また、前述したように、波長λ=0.9[μm]におけるFe2O3の分光放射率は、0.78±0.07の範囲で変動する。そこで、本実施形態では、鋼材SMの温度Tを導出する際に用いる分光放射率εTHとして、0.78を用いることが考えられる。
一方、分光放射率測定用放射計21aの検出波長を3.3[μm]〜5.0[μm]の範囲にある波長Aとする。また、分光放射率測定用放射計21bの検出波長を8.0[μm]〜14.0[μm]の範囲にある波長Bとする。分光放射率測定用放射計21aとしては、例えば、MCT(HgCdTe)検出素子を検出素子とする放射計に、光学フィルタを取り付けることで実現することができる。また、分光放射率測定用放射計21bとしては、例えば、焦電素子を検出素子とする放射計に、光学フィルタを取り付けることで実現することができる。これらの放射計(温度測定用放射計20、分光放射率測定用放射計21a、21b)は、被測定物の温度が600[℃]以上であれば、熱放射を安定して観測することができる。
<スケール組成判定装置10>
次に、スケール組成判定装置10の詳細の一例について説明する。スケール組成判定装置10のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
図7は、スケール組成判定装置10の動作の一例を説明するフローチャートである。図2および図7を参照しながら、スケール組成判定装置10の機能の一例を説明する。尚、図7のフローチャートは、温度測定用放射計20および分光放射率測定用放射計21a、21bにより鋼材SMの分光放射輝度が検出される度に実行される。
ステップS701において、分光放射輝度取得部201は、温度測定用放射計20および分光放射率測定用放射計21a、21bにより検出された、鋼材SMの分光放射輝度を取得する。
次に、ステップS702において、温度導出部202は、以下の(3)式の計算を行うことにより、鋼材SMの温度Tを導出する。
Figure 2018199187
ここで、λTHは、温度測定用放射計20の検出波長である。LTHは、温度測定用放射計20により検出された、鋼材SMの分光放射輝度である。この鋼材SMの分光放射輝度LTHは、ステップS701で取得されたものである。また、εTHは、鋼材SMの温度Tを導出する際に用いる分光放射率である。前述したように本実施形態では、分光放射率εTHとして0.78を用いることができる。
次に、ステップS703において、分光放射率導出部203は、以下の(4)式、(5)式の計算を行うことにより、波長A((4)式中ではλA)、波長B((5)式中ではλB)における分光放射率εA、εBを導出する。
Figure 2018199187
ここで、Tは、ステップS702で導出された、鋼材SMの温度である。LAは、分光放射率測定用放射計21aにより検出された、鋼材SMの分光放射輝度である。LBは、分光放射率測定用放射計21bにより検出された、鋼材SMの分光放射輝度である。これらの鋼材SMの分光放射輝度LA、LBは、ステップS701で取得されたものである。
次に、ステップS704において、判定部204は、波長Aにおける分光放射率εAが前記所定の第1の範囲内であるか否かを判定する。前述したように本実施形態では、前記所定の第1の範囲は、0.70〜0.80である(図4Aを参照)。
この判定の結果、波長Aにおける分光放射率εAが前記所定の第1の範囲内でない場合には、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていると判断される(即ち、鋼材SMの表面に複層スケールが生成されていると判断される)。そこで、ステップS705において、出力部205は、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されている(鋼材SMの表面に複層スケールが生成されている)ことを示す情報を出力する。そして、図7のフローチャートによる処理を終了する。
一方、ステップS704において、波長Aにおける分光放射率εAが前記所定の第1の範囲内であると判定された場合には、ステップS706に進む。ステップS706に進むと、判定部204は、波長Bにおける分光放射率εBが前記所定の第2の範囲内であるか否かを判定する。前述したように本実施形態では、前記所定の第2の範囲は、0.60〜0.70である(図4Bを参照)。
この判定の結果、波長Bにおける分光放射率εBが前記所定の第2の範囲内でない場合には、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていると判断される(即ち、鋼材SMの表面に複層スケールが生成されていると判断される)。そこで、ステップS705において、出力部205は、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されている(鋼材SMの表面に複層スケールが生成されている)ことを示す情報を出力する。そして、図7のフローチャートによる処理を終了する。
一方、ステップS706において、波長Bにおける分光放射率εBが前記所定の第2の範囲内であると判定された場合には、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていないと判断される(即ち、鋼材SMの表面に単層スケールが生成されていると判断される)。そこで、ステップS707において、出力部205は、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていない(鋼材SMの表面に単層スケールが生成されている)ことを示す情報を出力する。そして、図7のフローチャートによる処理を終了する。
尚、出力部205による前記情報の出力形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、およびスケール組成判定装置10の内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
図8は、スケール組成判定装置10のハードウェアの構成の一例を示す図である。
図8において、スケール組成判定装置10は、CPU801、主記憶装置802、補助記憶装置803、通信回路804、信号処理回路805、画像処理回路806、I/F回路807、ユーザインターフェース808、ディスプレイ809、およびバス810を有する。
CPU801は、スケール組成判定装置10の全体を統括制御する。CPU801は、主記憶装置802をワークエリアとして用いて、補助記憶装置803に記憶されているプログラムを実行する。主記憶装置802は、データを一時的に格納する。補助記憶装置803は、CPU801によって実行されるプログラムの他、各種のデータを記憶する。補助記憶装置803は、前述した所定の第1の範囲および所定の第2の範囲等、図7に示したフローチャートの処理に必要な情報を記憶する。
通信回路804は、スケール組成判定装置10の外部との通信を行うための回路である。
信号処理回路805は、通信回路804で受信された信号や、CPU801による制御に従って入力した信号に対し、各種の信号処理を行う。分光放射輝度取得部201は、例えば、CPU801、通信回路804、および信号処理回路805を用いることによりその機能を発揮する 。また、温度導出部202、分光放射率導出部203および判定部204は、例えば、CPU801および信号処理回路805を用いることによりその機能を発揮する 。
画像処理回路806は、CPU801による制御に従って入力した信号に対し、各種の画像処理を行う。この画像処理が行われた信号は、ディスプレイ809に出力される。
ユーザインターフェース808は、オペレータがスケール組成判定装置10に対して指示を行う部分である。ユーザインターフェース808は、例えば、ボタン、スイッチ、およびダイヤル等を有する。また、ユーザインターフェース808は、ディスプレイ809を用いたグラフィカルユーザインターフェースを有していても良い。
ディスプレイ809は、画像処理回路806から出力された信号に基づく画像を表示する。I/F回路807は、I/F回路807に接続される装置との間でデータのやり取りを行う。図8では、I/F回路807に接続される装置として、ユーザインターフェース808およびディスプレイ809を示す。しかしながら、I/F回路807に接続される装置は、これらに限定されない。例えば、可搬型の記憶媒体がI/F回路807に接続されても良い。また、ユーザインターフェース808の少なくとも一部およびディスプレイ809は、スケール組成判定装置10の外部にあっても良い。
出力部205は、例えば、通信回路804および信号処理回路805と、画像処理回路806、I/F回路807、およびディスプレイ809との少なくとも何れか一方を用いることによりその機能を発揮する 。
尚、CPU801、主記憶装置802、補助記憶装置803、信号処理回路805、画像処理回路806、およびI/F回路807は、バス810に接続される。これらの構成要素間の通信は、バス810を介して行われる。また、スケール組成判定装置10のハードウェアは、前述したスケール組成判定装置10の機能を実現することができれば、図8に示すものに限定されない。
以上のように本実施形態では、スケール組成判定装置10は、分光放射率測定用放射計21a、21bにより測定された、波長Aおよび波長Bにおける分光放射率の少なくとも何れか一方が、波長Aおよび波長Bのそれぞれにおいて設定された所定の範囲内にない場合には、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていると判定し、そうでない場合には、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されていないと判定する。ここで、波長Aおよび波長Bのそれぞれにおいて設定された所定の範囲(前記所定の第1の範囲および前記所定の第2の範囲)には、当該波長A、BにおけるFeOの分光放射率が含まれる。従って、異なる波長における分光放射輝度の検出を行うことにより、操業中の鋼材SMの表面に生成されているスケールSCが単層スケールであるか複層スケールであるかをオンラインで正確に判別することができる。これにより、例えば、操業上の管理を迅速に且つ正確に行ったり、スケールSCの組成の判別結果を操業に迅速に且つ正確に反映させたりすることができる。
<変形例>
[変形例1]
本実施形態では、温度測定用放射計20の検出波長が、0.9[μm]である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、温度測定用放射計20の検出波長としては、図5に示す結果に基づき、波長が約2.0[μm]以下のものを採用することができる。尚、温度測定用放射計20の検出波長を、例えば、1.6[μm]としても、図6Aおよび図6Bを参照しながら説明したのと同様のことが言える。即ち、温度測定用放射計20による測温誤差によって、分光放射率測定用放射計21a、21bにより測定される分光放射率に不確かさが生じても、少なくとも何れか一方の波長におけるFe2O3の分光放射率が、当該波長において設定された前記所定の範囲外になる。また、本実施形態のように、分光放射率を求めるための波長の数を2つとすれば、放射計の数を少なくすることができる。また、処理を簡便にすることができる。しかしながら、分光放射率を求めるための波長の数は、3つ以上であっても良い。この場合でも、図4Aおよび図4Bに示すように、Fe2O3の厚みとして想定される厚みの範囲内において、複数の波長のうち、少なくとも何れか1つの波長におけるFe2O3の分光放射率が、当該波長において設定された所定の範囲外になるように当該複数の波長と当該所定の範囲とを定める。前述したように、複数の波長のそれぞれにおいて設定される所定の範囲には、当該波長におけるFeOの分光放射率が含まれるようにする。
[変形例2]
本実施形態では、3つの放射計20、21a、21bを用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、少なくとも3つの異なる波長の分光放射輝度を検出するようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、同一の受光レンズから入光した光をハーフミラーにより3つに分光する。そして、分光した光を、相互に異なる波長の光のみを通過する3つの波長選択フィルタの何れか一方に通す。この波長選択フィルタを通過した光について分光放射輝度を検出する。このようにすれば、放射計の省スペース化を図ることができる。
[変形例3]
本実施形態では、デスケーラ12bと、ワークロールとバックアップロールとを有する圧延スタンドのうち最上流に設けられた圧延スタンド14bとの間の領域に一組の放射計20、21a、21bを配置する場合を例に挙げて示した。しかしながら、熱間圧延工程の、最上流のデスケーラ12aよりも下流側の場所であれば(加熱炉11から抽出され、少なくとも1回のデスケーリングが行われた鋼板の温度を測定していれば)、放射計の組を配置する場所は、この場所に限定されない。例えば、デスケーラと、当該デスケーラに対し下流側において最も近い位置にある圧延スタンドとの間の場所に、放射計の組を配置することができる。また、このような場所の複数の位置に、放射計の組をそれぞれ配置しても良い(即ち、放射計の組を複数配置しても良い)。この場合、スケール組成判定装置10は、それぞれの放射計の組について、図7に示すフローチャートを行い、放射計の組が配置されるそれぞれの場所において、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されているか否かを判定する。
[変形例4]
本実施形態では、スケール組成判定装置10を熱間圧延ラインに適用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、スケール組成判定装置10の適用先は熱間圧延ラインに限定されない。例えば、特許文献1に記載の加熱炉にスケール組成判定装置10を適用しても良い。この場合でも、図4Aおよび図4Bに示すように、Fe2O3の厚みとして想定される厚みの範囲内において、複数の波長のうち、少なくとも何れか1つの波長におけるFe2O3の分光放射率が、当該波長において設定された所定の範囲外になるように当該複数の波長と当該所定の範囲とを定める。前述したように、複数の波長のそれぞれにおいて設定される所定の範囲には、当該波長におけるFeOの分光放射率が含まれるようにする。
[変形例5]
本実施形態では、放射計20を用いて鋼材SMの温度を測定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしも放射計20を用いて鋼材SMの温度を求める必要はない。例えば、伝熱計算を行うことにより鋼材SMの温度をオンラインで導出しても良い。また、鋼材SMの温度が過去の操業実績から精度良く得られる場合には、その鋼材SMの温度を用いても良い。温度計に破損の虞がなければ、接触式の温度計を用いても良い。
[変形例6]
本実施形態のように、複数の波長における分光放射率が、当該複数の波長のそれぞれにおいて設定された所定の範囲内にあるか否かを判定すれば、鋼材の温度に関わらず、スケールSCの最表層にFe2O3が生成されているか否かを容易に且つ高精度に判定することができるので好ましい。しかしながら、鋼材の温度が略一定の所定の温度に保たれるような状況下では、必ずしも分光放射率を求める必要はない。このようにする場合、例えば、複数の波長における分光放射輝度が、当該複数の波長のそれぞれにおいて設定された所定の範囲内にあるか否かを判定すればよい。このようにする場合も、図4Aおよび図4Bを参照しながら説明したのと同様に、Fe2O3の厚みとして想定される厚みの範囲内において、複数の波長のうち、少なくとも何れか1つの波長におけるFe2O3の分光放射輝度が、当該波長において設定された所定の範囲外になるように当該複数の波長と当該所定の範囲とを定める。また、複数の波長のそれぞれにおいて設定される所定の範囲には、当該波長におけるFeOの分光放射輝度が含まれるようにする。
[その他の変形例]
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、鋼材を製造すること等に利用できる。

Claims (4)

  1. 鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定するスケール組成判定システムであって、
    複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度を検出する検出手段と、
    前記鋼材の温度を取得する温度取得手段と、
    前記温度取得手段により取得された、前記鋼材の温度と、前記検出手段により検出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出手段と、
    前記分光放射率導出手段により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定手段と、を有し、
    前記判定手段は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のぞれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、
    前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、
    前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、
    前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とするスケール組成判定システム。
  2. 前記複数の波長は、3.3[μm]〜5.0[μm]の波長帯域から選択された波長と、8.0[μm]〜14.0[μm]の波長帯域から選択された波長とを含むことを特徴とする請求項1に記載のスケール組成判定システム。
  3. 鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定するスケール組成判定方法であって、
    複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度を検出する検出工程と、
    前記鋼材の温度を取得する温度取得工程と、
    前記温度取得工程により取得された、前記鋼材の温度と、前記検出工程により検出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出工程と、
    前記分光放射率導出工程により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定工程と、を有し、
    前記判定工程は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のそれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、
    前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、
    前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、
    前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とするスケール組成判定方法。
  4. 鋼材の表面に生成されるスケールの組成を判定することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記鋼材の温度と、複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射輝度と、に基づいて、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率を導出する分光放射率導出工程と、
    前記分光放射率導出工程により導出された、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率に基づいて、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されているか否かを判定する判定工程と、をコンピュータに実行させ、
    前記判定工程は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記鋼材の分光放射率の少なくとも何れか1つが、前記複数の波長のぞれぞれにおいて設定された所定の範囲外にある場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていると判定し、そうでない場合に、前記スケールの最表層にヘマタイト(Fe2O3)が生成されていないと判定し、
    前記波長において設定された前記所定の範囲には、当該波長におけるウスタイト(FeO)の分光放射率が含まれ、
    前記複数の波長は、前記複数の波長のそれぞれにおける前記ヘマタイトの分光放射率と、前記ヘマタイトの厚みとして想定される範囲内におけるヘマタイトの厚みとの関係を用いて定められ、
    前記複数の波長は、前記関係において、前記ヘマタイトの何れの厚みにおいても、前記複数の波長の少なくとも何れか一つの波長における前記ヘマタイトの分光放射率が当該波長において設定された前記所定の範囲外になるように定められることを特徴とするプログラム。
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