1.キシリレンジイソシアネート組成物
本発明のキシリレンジイソシアネート組成物は、主成分としてキシリレンジイソシアネートを99質量%以上含有する、ほぼ単一化合物(つまり、キシリレンジイソシアネート)であるが、副成分として、下記化学式(1)に示す化合物を含有していることから、キシリレンジイソシアネート組成物として定義している。
つまり、本発明のキシリレンジイソシアネート組成物は、必須成分として、キシリレンジイソシアネートと、下記化学式(1)に示す化合物とを含有している。以下において、キシリレンジイソシアネート組成物をXDI組成物とし、キシリレンジイソシアネートをXDIとし、下記化学式(1)に示す化合物(ジクロロメチルベンジルイソシアネート)をDCIとする。
化学式(1)
XDIは、構造異性体として、1,2−XDI(o−XDI)、1,3−XDI(m−XDI)、1,4−XDI(p−XDI)を含んでいる。これらXDIの構造異性体は、単独使用または2種類以上併用されてもよい。
XDIとして、好ましくは、1,3−XDIおよび1,4−XDIが挙げられ、より好ましくは、1,3−XDIが挙げられる。
XDIの含有割合(純度)は、XDI組成物の総質量に対して、例えば、99.50質量%以上、好ましくは、99.70質量%以上、より好ましくは、99.90質量%以上、例えば、99.999質量%以下、好ましくは、99.990質量%以下である。XDIの含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
DCIは、後述するXDIの製造において副生する塩素化合物である。DCIは、構造異性体として、o−DCI、m−DCI、p−DCIを含んでいる。これらDCIの構造異性体は、XDI組成物に1種または2種以上含有されてもよい。
XDIの製造において副生するDCIの構造異性体は、製造されるXDIの構造異性体に対応する。そのため、XDI組成物は、上記したXDIの構造異性体に対応するDCIを含有する。つまり、XDI組成物は、o−XDIを含有する場合、o−DCIを含有し、m−XDIを含有する場合、m−DCIを含有し、p−XDIを含有する場合、p−DCIを含有する。
DCIとして、好ましくは、m−DCIおよびp−DCIが挙げられ、より好ましくは、m−DCIが挙げられる。
DCIの含有割合は、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下である。DCIの含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して、ガスクロマトグラフィーで分析することにより測定できる。なお、XDI組成物の用途に応じたDCIの含有割合の好適な範囲を後で詳述する。
DCIの含有割合が上記範囲内であれば、XDI組成物から製造される樹脂の黄変および/または白濁を抑制できる。
XDI組成物は、さらに、下記化学式(2)に示すクロロメチルベンジルイソシアネート(モノクロロメチルベンジルイソシアネート)を含有してもよい。以下において、クロロメチルベンジルイソシアネートをCBIとする。
化学式(2)
CBIは、後述するXDIの製造において副生する塩素化合物である。つまり、XDIの製造において、DCIが副生するとともに、CBIが副生する場合がある。CBIは、構造異性体として、o−CBI、m−CBI、p−CBIを含んでいる。これらCBIの構造異性体は、XDI組成物に1種または2種以上含有されてもよい。なお、XDIの製造において副生するCBIの構造異性体は、DCIと同様に、製造されるXDIの構造異性体に対応する。
CBIの含有割合は、XDI組成物の総質量に対して、例えば、0.2ppm以上、好ましくは、6ppm以上、より好ましくは、100ppm以上、例えば、5000ppm以下、好ましくは、4000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、とりわけ好ましくは、1600ppm以下、特に好ましくは、1000ppm以下である。CBIの含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
また、CBIの含有割合は、DCIの含有割合に対して、例えば、2倍以上、好ましくは、10倍以上、より好ましくは、20倍以上、例えば、800倍以下、好ましくは、300倍以下、より好ましくは、50倍以下である。
CBIの含有割合が上記の範囲であれば、XDI組成物から製造される樹脂の黄変を確実に抑制できる。とりわけ、CBIの含有割合が上記上限以下であれば、XDI組成物から製造される樹脂の黄変を確実に抑制できるとともに、樹脂の製造時のウレタン化反応を円滑に進行させることができ、樹脂の機械特性の向上を確実に図ることができる。
XDI組成物は、さらに、ジクロロメタンイミノ−メチルベンジルイソシアネート、キシリレンジクロリド(XDC)、下記化学式(3)に示すシアノベンジルイソシアネート(MCN)などのその他の副生成物を含有してもよい。
化学式(3)
一方、XDI組成物が後述するXDI組成物の製造方法(つまり液相法)により製造された場合、上記化学式(3)に示すシアノベンジルイソシアネート(MCN)は、XDI組成物に実質的に含有されない。
具体的には、上記化学式(3)に示すシアノベンジルイソシアネート(MCN)の含有割合は、XDI組成物の総質量に対して、例えば、500ppm以下、好ましくは、300ppm未満、さらに好ましくは、100ppm未満であり、例えば、0ppm以上である。MCNの含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
MCNの含有割合が上記上限以下であれば、XDI組成物から製造される樹脂の着色(黄変)をより確実に抑制できる。
また、XDI組成物における加水分解性塩素の濃度(HC)は、例えば、10ppm以上、好ましくは、20ppm以上、例えば、1500ppm以下、好ましくは、1000ppm以下である。加水分解性塩素の濃度(HC濃度)は、JIS K−1603−3(2007)に記載されている加水分解性塩素の求め方に準拠して測定される。
加水分解性塩素の濃度には、上記したDCI、CBI、その他の副生成物などが含まれる。そのため、XDI組成物における加水分解性塩素の濃度と、XDI組成物におけるDCIの含有割合とは、後述する実施例からも明らかなように相関しない。その結果、XDI組成物におけるDCIの含有割合は、XDI組成物における加水分解性塩素の濃度から算出できない。
2.XDI組成物の製造方法
次に、XDI組成物の製造方法について説明する。
XDI組成物を製造するには、例えば、原料であるキシリレンジアミンをイソシアネート化して、XDIおよびDCIを含有する反応マス(精製前組成物)を製造した後、反応マスを精製する。
以下において、キシリレンジアミンをXDAとする。XDAは、構造異性体として、1,2−XDA(o−XDA)、1,3−XDA(m−XDA)、1,4−XDA(p−XDA)を含んでいる。
(2−1)反応マスの製造工程(工程A〜C)
反応マスを製造するには、例えば、XDAと塩化水素とを混合して、XDA塩酸塩を造塩した後、塩酸塩と塩化カルボニル(ホスゲン)とを反応させる(アミン塩酸塩のホスゲン化法)。つまり、反応マスの製造工程は、XDAと塩化水素と混合してXDA塩酸塩を造塩する造塩工程(工程A)と、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとを反応させて、XDA塩酸塩をイソシアネート化(ホスゲン化)するイソシアネート化工程(工程B)とを含む。このような造塩工程(工程A)およびイソシアネート化工程(工程B)が液相法である。
造塩工程(工程A)では、例えば、XDAと塩化水素とを、不活性溶媒存在下で混合して、XDA塩酸塩を製造(造塩)する。
不活性溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、例えば、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノンなどの含窒素化合物類、例えば、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、例えば、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸エトキシエチルなどの脂肪酸エステル類、例えば、サリチル酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、安息香酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル類などが挙げられる。不活性溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
不活性溶媒のなかでは、好ましくは、ハロゲン化芳香族炭化水素類が挙げられ、より好ましくは、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンが挙げられる。
そして、不活性溶媒に、塩化水素ガスを供給するともに、XDAが不活性溶媒に溶解されたアミン溶液を供給する。その後、塩化水素ガスおよびアミン溶液を撹拌混合する。
アミン溶液におけるXDAの含有割合は、特に制限されないが、例えば、3.0質量%以上、好ましくは、5.0質量%以上、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
XDAおよび不活性溶媒の質量の総和に対する、供給したXDAの質量割合(全アミン濃度)は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、15質量%以下である。
塩化水素の供給割合は、XDA1molに対して、例えば、2倍mol以上、例えば、10倍mol以下、好ましくは、6倍mol以下、より好ましくは、4倍mol以下である。
このような造塩工程における造塩温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上、より好ましくは、60℃以上、例えば、160℃以下、好ましくは、150℃以下、より好ましくは、140℃以下である。
造塩工程における造塩圧力(ゲージ圧)は、例えば、大気圧(0MPaG)以上、好ましくは、0.01MPaG以上、より好ましくは、0.02MPaG以上、例えば、1.0MPaG以下、好ましくは、0.5MPaG以下、より好ましくは、0.4MPaG以下である。
これにより、XDAと塩化水素とからXDA塩酸塩が生成し(塩酸塩化反応)、XDA塩酸塩を含むスラリーが製造される。
次いで、イソシアネート化工程(工程B)では、XDA塩酸塩を含むスラリーに塩化カルボニルを供給して、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとを反応させる(イソシアネート化反応、ホスゲン化)。
塩化カルボニルの供給割合は、XDA塩酸塩1molに対して、例えば、4倍mol以上、好ましくは、5倍mol以上、より好ましくは、6倍mol以上、例えば、50倍mol以下、好ましくは、40倍mol以下、より好ましくは、30倍mol以下である。
塩化カルボニルの供給割合は、イソシアネート化反応の反応速度および副生するDCIの生成に影響する。塩化カルボニルの供給割合を上記の範囲に調整することにより、DCIの生成量を調整することができる。詳しくは、塩化カルボニルの供給割合を増加させると、DCIの生成量の増加を図ることができ、塩化カルボニルの供給割合を低下させると、DCIの生成量の低減を図ることができる。
イソシアネート化工程の反応時間は、例えば、4hr以上、好ましくは、6hr以上、例えば、25hr以下、好ましくは、20hr以下、より好ましくは、15hr以下である。
イソシアネート化工程の反応時間を上記の範囲に調整することにより、CBIおよびDCIの生成量を調整することができる。詳しくは、イソシアネート化工程の反応時間を増加させると、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとを確実に反応させることができながら、CBIおよびDCIの生成量の増加を図ることができ、イソシアネート化工程の反応時間を低下させると、副生するタール成分の低減を図ることができながら、CBIおよびDCIの生成量の低減を図ることができる。
このようなイソシアネート化工程における反応温度は、例えば、90℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、110℃以上、例えば、190℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、160℃以下である。
イソシアネート化工程における温度が上記下限以上であると、反応速度の向上を図ることができ、工業的に好適に実施できる。イソシアネート化工程における温度が上記上限以下であると、副生成物(CBIおよびDCIなど)が過剰に生成することを抑制でき、簡易な精製によりXDI組成物を製造できる。
イソシアネート化工程における反応圧力(ゲージ圧)としては、例えば、大気圧(0MPaG)を超過し、好ましくは、0.0005MPaG以上、より好ましくは、0.001MPaG以上、さらに好ましくは、0.003MPaG以上、とりわけ好ましくは、0.01MPaG(10kPaG)以上、特に好ましくは、0.02MPaG(20kPaG)以上、最も好ましくは、0.03MPaG(30kPaG)以上、例えば、0.6MPaG以下、好ましくは、0.4MPaG以下、より好ましくは、0.2MPaG以下である。
しかるに、イソシアネート化工程における反応圧力が大気圧以下(つまり、減圧下や大気圧下)では、イソシアネート化工程において、DCIを十分に生成することができない。
一方、イソシアネート化工程における反応圧力が上記下限以上であると、イソシアネート化工程において、DCIを確実に生成することができる。
また、イソシアネート化工程における反応圧力を上記の範囲に調整することにより、CBIおよびDCIの生成量を調整することができる。詳しくは、イソシアネート化工程における反応圧力を増加させると、余剰な塩化カルボニルを冷却器により回収することができ、塩化カルボニルの回収に冷凍機が必要な場合と比較して、エネルギー効率の向上を図ることができながら、CBIおよびDCIの生成量の増加を図ることができる。
イソシアネート化工程における反応圧力を低下させると、中間体のカルバモイルクロライドからイソシアネートへの分解反応を効率よく進行させることができ、反応時間の低減を図ることができながら、CBIおよびDCIの生成量の低減を図ることができる。
このようなイソシアネート化工程は、バッチ式および連続式のいずれによっても実施できるが、好ましくは、連続式により実施される。つまり、好ましくは、撹拌槽において生成したスラリー(XDA塩酸塩)を、撹拌槽から撹拌槽とは別の反応槽に連続的に送液して、反応槽においてXDA塩酸塩と塩化カルボニルとを反応させながら、反応槽から反応液(反応マス)を連続的に取り出す。
イソシアネート化工程をバッチ式により実施すると、XDA塩酸塩が長時間にわたって高温で過剰の塩化カルボニルと反応しないために、DCIが生成しない場合がある。また、バッチ式のイソシアネート化工程では、XDA塩酸塩の濃度が高い反応初期において、均一に混合することが困難となる場合があり、高出力の撹拌装置が必要となるとともに反応槽が大型化してしまう。さらに、バッチ式のイソシアネート化工程では、反応初期において比較的XDA塩酸塩の濃度が高いスラリーと塩化カルボニルとを反応させるために大量の塩化カルボニルが必要となり、塩化カルボニルの回収装置および副生する塩化水素ガスの処理装置が大型化してしまう。
一方、イソシアネート化工程を連続式により実施すると、各反応槽での滞留時間は平均値であり、一部の反応液は長時間反応槽にとどまり、結果として長時間にわたってXDA塩酸塩と塩化カルボニルとが反応するために、DCIを生成する。また、連続式のイソシアネート化工程では、イソシアネート化反応の進行に従い液状のXDIが生成して、スラリーにおけるXDA塩酸塩の濃度が低下するために、簡易な撹拌装置によって円滑に撹拌できる。さらに、連続式のイソシアネート化工程では、塩化カルボニルの供給量および副生する塩化水素ガス量を一定とすることができ、塩化カルボニルの回収装置および塩化水素ガスの処理装置をコンパクト化することができるとともに、運転を安定化できる。これらにより、連続式のイソシアネート化工程は、バッチ式のイソシアネート化工程よりも、XDIの量産化のための自動運転の観点から好適である。
つまり、量産化スケールにおいて、好ましくは、イソシアネート化工程は連続反応である。
また、イソシアネート化工程は、反応槽における容積効率の観点から好ましくは、多段工程として実施される。イソシアネート化工程の段数は、例えば、2段以上5段以下である。
例えば、イソシアネート化工程の段数が2段である場合、2段のイソシアネート化工程における滞留時間の総和の範囲が、上記した反応時間の範囲と同じであり、2段のイソシアネート化工程における塩化カルボニルの供給割合の範囲が、上記した塩化カルボニルの供給割合の範囲と同じである。
以上によって、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとが反応して、主成分としてXDIが生成する。また、副生成物としてDCIが生成し、さらに副生成物としてCBIが生成する場合がある。
次いで、必要により、反応液(反応混合物)に対して、脱ガス工程、脱溶媒工程および脱タール工程を実施する(工程C)。脱ガス工程では、反応液(反応混合物)から、余剰な塩化カルボニルや副生する塩化水素などのガスを、公知の脱ガス塔により除去する。脱溶媒工程では、反応液から公知の蒸留塔により不活性溶媒を留去する。脱タール工程では、反応液から公知の脱タール器によりタール成分を除去する。なお、脱タール工程によりタール成分が除去された反応マスを脱タールマスとする。
以上によって、XDIおよびDCIを含有する反応マス(好ましくは、脱タールマス)が製造される。
反応マスにおけるXDIの含有割合は、例えば、80.0質量%以上、好ましくは、90.0質量%以上、より好ましくは、95.0質量%以上、例えば、99.0質量%以下、好ましくは、98.5質量%以下、より好ましくは、98.0質量%以下である。
反応マスにおけるDCIの含有割合は、例えば、1ppm以上、好ましくは、2ppm以上、より好ましくは、5ppm以上、例えば、80ppm以下、好ましくは、70ppm以下、より好ましくは、50ppm以下である。
反応マスがCBIを含有する場合、反応マスにおけるCBIの含有割合は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上、より好ましくは、0.5質量%以上、例えば、3.0質量%以下、好ましくは、1.5質量%以下、より好ましくは、1.0質量%以下である。
反応マスが不活性溶媒を含有する場合、反応マスにおける不活性溶媒の含有割合は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上、より好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1.0質量%以上、例えば、5.0質量%以下、好ましくは、3.0質量%以下である。
(2−2)反応マスの精製工程(工程D)
次いで、反応マス(精製前組成物)を精製して、DCIの含有割合を上記の範囲に調整する。
反応マスの精製方法として、例えば、晶析、蒸留などの工業的な分離方法が挙げられ、好ましくは、蒸留が挙げられる。反応マスを蒸留により精製するには、例えば、反応マスから低沸物(低沸点成分)を蒸留により留去した後、脱低沸後の反応マスである脱低沸マスを精留する。つまり、反応マスの精製工程は、反応マスから低沸物を留去する脱低沸工程と、脱低沸マスを精留する精留工程とを含む。
脱低沸工程では、例えば、反応マス(好ましくは、脱タールマス)を脱低沸塔により蒸留して、低沸物を留去する。
脱低沸塔として、例えば、棚段塔および充填塔が挙げられ、好ましくは、充填塔が挙げられる。脱低沸塔の理論段数は、例えば、3段以上、好ましくは、5段以上、より好ましくは、7段以上、例えば、40段以下、好ましくは、20段以下、より好ましくは、15段以下である。
脱低沸塔の塔底温度は、例えば、130℃以上、好ましくは、140℃以上、より好ましくは、150℃以上、例えば、200℃以下、好ましくは、190℃以下、より好ましくは、180℃以下である。
脱低沸塔の塔頂温度は、例えば、90℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、110℃以上、例えば、160℃以下、好ましくは、150℃以下、より好ましくは、140℃以下である。
脱低沸塔の塔頂圧力は、例えば、0.05kPa以上、好ましくは、0.1kPa以上、より好ましくは、0.2kPa以上、例えば、3.0kPa以下、好ましくは、2.0kPa以下、より好ましくは、1.0kPa以下である。
脱低沸塔の塔頂還流比は、例えば、1以上、好ましくは、5以上、より好ましくは、10以上、例えば、80以下、好ましくは、60以下、より好ましくは、50以下である。
脱低沸塔の滞留時間は、例えば、0.1時間以上、好ましくは、0.2時間以上、より好ましくは、0.3時間以上、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下、より好ましくは、3時間以下である。
これより、低沸物を留去させて、脱低沸後の脱タールマスである脱低沸マスを缶出液として得る。
次いで、精留工程では、例えば、脱低沸マスを精留塔により蒸留して、XDI組成物を留分として取り出す。
精留塔として、例えば、棚段塔および充填塔が挙げられ、好ましくは、充填塔が挙げられる。精留塔の理論段数は、例えば、1段以上、例えば、20段以下、好ましくは、10段以下、より好ましくは、5段以下である。
精留塔の塔底温度は、例えば、120℃以上、好ましくは、130℃以上、より好ましくは、140℃以上、例えば、190℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、170℃以下である。
精留塔の塔頂温度は、例えば、90℃以上、好ましくは、110℃以上、より好ましくは、130℃以上、例えば、180℃以下、好ましくは、170℃以下、より好ましくは、160℃以下である。
精留塔の塔頂圧力は、例えば、0.05kPa以上、好ましくは、0.1kPa以上、より好ましくは、0.2kPa以上、例えば、3.0kPa以下、好ましくは、2.0kPa以下、より好ましくは、1.0kPa以下である。
精留塔の塔頂還流比は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.2以上、より好ましくは、0.3以上、例えば、50以下、好ましくは、20以下、より好ましくは、10以下である。
精留塔の滞留時間は、例えば、0.2時間以上、好ましくは、0.5時間以上、より好ましくは、1.0時間以上、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
以上によって、XDI組成物におけるDCIの含有割合を調整することができ、XDI組成物が留分として取り出される。なお、DCIをXDI組成物に添加することにより、XDI組成物におけるDCIの含有割合を、調整することもできる。
3.プラント
(3−1)プラントの構成
上記したXDI組成物の製造方法は、例えば、図1に示すプラント1により実施される。図1に示すように、プラント1では、後述するイソシアネート化ユニット3において、2段の連続式のイソシアネート化工程が実施され、上記した塩化カルボニルの供給割合、反応温度、反応圧力および平均滞留時間などが適宜調整されることにより、XDIおよびDCIの生成量が調整される。そして、後述する脱低沸ユニット7において、脱低沸工程が実施され、上記した塔頂還流比などが適宜調整されることにより、XDI組成物におけるDCIの含有割合が調整される。
図1に示すように、プラント1は、XDI組成物の製造装置である。プラント1は、造塩ユニット2と、イソシアネート化ユニット3と、脱ガスユニット4と、脱溶媒ユニット5と、脱タールユニット6と、脱低沸ユニット7と、精留ユニット8とを備える。
造塩ユニット2は、上記した造塩工程(工程A)を実施可能であり、XDAと塩化水素とからXDA塩酸塩を製造するXDA塩酸塩の製造装置である。造塩ユニット2は、撹拌槽21と、塩化水素供給ライン24と、アミン供給ライン22と、溶媒供給ライン23と、排気ライン25と、塩酸塩送液ライン26とを備える。
撹拌槽21は、例えば、温度・圧力が制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
撹拌槽21の内部には、XDAと塩化水素とを撹拌混合するための撹拌翼(図示せず)が設けられる。撹拌翼として、塩化水素ガスとXDA塩酸塩との分散効率の観点から、例えば、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、3枚後退翼、ツインスター翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、およびそれらの翼を組み合わせた多段の撹拌翼などが挙げられる。
また、撹拌槽21には、撹拌槽21の内部を冷却可能な冷却装置27が設けられる。冷却装置27として、例えば、冷媒が供給可能なジャケット、冷却コイル、外部循環冷却器などが挙げられる。なお、図1では、冷却装置27が、冷却水(冷媒)が供給可能なジャケットである場合を示す。
塩化水素供給ライン24は、撹拌槽21に塩化水素(HCl)ガスを供給する。塩化水素供給ライン24の下流端部は、撹拌槽21の底部に接続される。塩化水素供給ライン24の上流端部は、図示しないが、塩化水素を貯留するタンクに接続される。
アミン供給ライン22は、撹拌槽21にXDAを供給する。アミン供給ライン22の下流端部は、撹拌槽21の頂部に接続される。アミン供給ライン22の上流端部は、図示しないが、XDAを貯留するタンクに接続される。
溶媒供給ライン23は、アミン供給ライン22に上記した不活性溶媒を供給する。溶媒供給ライン23の下流端部は、アミン供給ライン22の途中部に接続される。溶媒供給ライン23の上流端部は、図示しないが、不活性溶媒を貯留するタンクに接続される。
排気ライン25は、造塩工程において余剰な塩化水素ガスを撹拌槽21から排出する。排気ライン25の上流端部は、撹拌槽21の頂部に接続される。排気ライン25の下流端部は、図示しないが、塩化水素ガスの回収装置に接続される。
塩酸塩送液ライン26は、XDA塩酸塩を含むスラリーを、撹拌槽21からイソシアネート化ユニット3に送液する。塩酸塩送液ライン26の上流端部は、撹拌槽21に接続される。図1では、塩酸塩送液ライン26の上流端部は、撹拌槽21の底部に接続されているが、レイアウトの関係上などの制約により、適宜、撹拌槽21の頂部や側部へ接続することもできる。塩酸塩送液ライン26の下流端部は、後述する反応槽31Aに接続される。図1では、塩酸塩送液ライン26の下流端部は、反応槽31Aの頂部に接続されているが、反応槽31Aの側部や底部へ接続して配管で液中にフィードすることもできる。また、図示しないが、塩酸塩送液ライン26の途中部には、スラリーを送液するための公知のスラリーポンプ、例えば、ギアポンプ、ノンシールポンプ、メカニカルシールポンプ、マグネット式ポンプが設けられる。なお、撹拌槽21と反応槽31Aとの圧力差によってスラリーを送液することもできる。さらに、反応槽31Aと反応槽31Bとにも、スラリーを送液するための上記のスラリーポンプを設けたり、あるいは圧力差によってスラリーを送液することができる。
イソシアネート化ユニット3は、上記したイソシアネート化工程(工程B)を実施可能であり、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとを反応させてXDIを製造するXDIの製造装置である。詳しくは、イソシアネート化ユニット3は、2段の連続式イソシアネート化工程を実施可能であり、第1イソシアネート化ユニット3Aと、第2イソシアネート化ユニット3Bと、塩化カルボニル供給ライン30とを備える。
第1イソシアネート化ユニット3Aおよび第2イソシアネート化ユニット3Bは、後述する反応マス送液ラインの接続部分を除いて同様の構成を有する。そのため、第1イソシアネート化ユニット3Aの構成を詳細に説明し、第2イソシアネート化ユニット3Bの説明を省略する。
第1イソシアネート化ユニット3Aは、反応槽31Aと、排気ライン33Aと、コンデンサ35Aと、還流ライン34Aと、反応マス送液ライン32Aとを備える。なお、第2イソシアネート化ユニット3Bが備える反応槽、排気ライン、コンデンサ、還流ラインおよび反応マス送液ラインを、反応槽31B、排気ライン33B、コンデンサ35B、還流ライン34Bおよび反応マス送液ライン32Bとする。
反応槽31Aは、例えば、温度・圧力が制御可能な耐熱耐圧容器からなる。反応槽31Aには、塩酸塩送液ライン26の下流端部が接続される。図1では、反応槽31Aの頂部に、塩酸塩送液ライン26の下流端部が接続されているが、レイアウトの関係上などの制約により、適宜、反応槽31Aの側部や底部に接続することもできる。
反応槽31Aの内部には、スラリーと塩化カルボニルとを撹拌混合するための撹拌翼(図示せず)が設けられる。撹拌翼として、例えば、上記の撹拌翼が挙げられる。
また、反応槽31Aには、反応槽31Aの内部を加熱可能な加熱装置36Aが設けられる。加熱装置36Aとして、例えば、熱媒が供給可能なジャケット、蒸気コイル、外部循環加熱器などが挙げられる。なお、図1では、加熱装置36Aが、蒸気(熱媒)が供給可能なジャケットである場合を示す。
排気ライン33Aは、余剰な塩化カルボニル、副生する塩化水素ガスおよび不活性溶媒などを含む気体成分を反応槽31Aから排出する。排気ライン33Aの上流端部は、反応槽31Aの頂部に接続される。排気ライン33Aの下流端部は、図示しないが、塩化カルボニルの回収装置に接続される。
コンデンサ35Aは、排気ライン33Aの途中部に設けられる。コンデンサ35Aは、排気ライン33Aを通過する気体成分を冷却して、気体成分中の不活性溶媒や塩化カルボニルの一部などを凝縮する。これにより、塩化カルボニルガスおよび塩化水素ガスを含む排気ガスと、不活性溶媒および液化塩化カルボニルを含む還流液とに分離する。なお、図示しないが、排気ライン33Aにおけるコンデンサ35Aの下流側には、反応槽31Aの内部圧力を調整するための公知の調整弁が設けられる。
還流ライン34Aは、コンデンサ35Aにおいて分離された還流液を反応槽31Aに返送する。還流ライン34Aの上流端部は、コンデンサ35Aに接続される。還流ライン34Aの下流端部は、反応槽31Aの頂部に接続される。
第1イソシアネート化ユニット3Aの反応マス送液ライン32Aは、1段目のイソシアネート化工程における反応マス(一次反応マス)を、反応槽31Aから第2イソシアネート化ユニット3Bの反応槽31Bに送液する。反応マス送液ライン32Aの上流端部は、反応槽31Aに接続される。図1では、反応マス送液ライン32Aの上流端部は、反応槽31Aの底部に接続されているが、反応槽31Aの側部へ接続して、オーバーフロー方式で送液することもできる。反応マス送液ライン32Aの下流端部は、反応槽31Bに接続される。図1では、反応マス送液ライン32Aの下流端部は、反応槽31Bの頂部に接続されているが、レイアウトの関係上などの制約により、適宜、反応槽31Bの側部や底部へ接続することもできる。なお、図示しないが、反応マス送液ライン32Aの途中部には、反応マス(一次反応マス)を送液するための公知の送液ポンプ、例えば、ギアポンプ、ノンシールポンプ、メカニカルシールポンプ、マグネット式ポンプが設けられる。
第2イソシアネート化ユニット3Bの反応マス送液ライン32Bは、2段目のイソシアネート化工程における反応マス(二次反応マス)を、反応槽31Bから脱ガスユニット4へ送液する。反応マス送液ライン32Bの上流端部は、反応槽31Bに接続される。図1では、反応マス送液ライン32Bの上流端部は、反応槽31Bの底部に接続されているが、反応槽31Aの側部へ接続して送液することもできる。反応マス送液ライン32Bの下流端部は、後述する脱ガス塔41の上下方向略中央に接続される。なお、図示しないが、反応マス送液ライン32Bの途中部には、反応マス(二次反応マス)を送液するための上記の送液ポンプが設けられる。
塩化カルボニル供給ライン30は、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれに塩化カルボニルを供給する。塩化カルボニル供給ライン30の下流端部は、分岐しており、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれに接続される。図1では、塩化カルボニル供給ライン30の下流端部は、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれの頂部に接続されているが、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれの頂部や底部へ接続して配管で液中にフィードすることや、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれの底部に接続することもできる。塩化カルボニル供給ライン30の上流端部は、図示しないが、液化塩化カルボニルを貯留するタンクに接続される。
脱ガスユニット4は、上記した脱ガス工程を実施可能である。脱ガスユニット4は、脱ガス塔41と、排気ライン45と、コンデンサ46と、脱ガスマス送液ライン42と、循環ライン43と、リボイラー44とを備える。
脱ガス塔41は、反応マスから塩化カルボニルや塩化水素などを含むガスを分離する。脱ガス塔41は、公知の分離塔、例えば、トレイ塔、充填物塔、規則充填物塔からなる。
脱ガス塔41の上下方向略中央には、反応マス送液ライン32Bの下流端部が接続される。
排気ライン45は、コンデンサ46に接続されており、脱ガス塔41で分離されるガスに含まれる溶媒をコンデンサ46により分離した後、ガスを排出する。脱ガス塔41において分離されるガスの排気ライン45の上流端部は、脱ガス塔41の塔頂部に接続される。排気ライン45の下流端部は、図示しないが、塩化カルボニルの回収装置に接続される。
コンデンサ46は、排気ライン45の途中部に設けられる。コンデンサ46は、脱ガス塔41で分離されるガスに含まれる溶媒を冷却して凝縮する。
脱ガスマス送液ライン42は、脱ガス工程後の反応マス(脱ガスマス)を、脱ガス塔41から脱溶媒ユニット5に送液する。脱ガスマス送液ライン42の上流端部は、脱ガス塔41の塔底部に接続される。脱ガスマス送液ライン42の下流端部は、後述する脱溶媒塔51の上下方向略中央に接続される。
循環ライン43は、脱ガスマス送液ライン42に送液される脱ガスマスの一部を、脱ガス塔41に返送する。循環ライン43の上流端部は、脱ガスマス送液ライン42の途中部に接続される。循環ライン43の下流端部は、脱ガス塔41の塔底部に接続される。なお、図示しないが、脱ガスマス送液ライン42における循環ライン43の接続部分よりも下流側あるいは上流側には、脱ガスマスを送液するための上記の送液ポンプが設けられる。
リボイラー44は、循環ライン43の途中部に設けられる。リボイラー44は、循環ライン43を通過する脱ガスマスを加熱する。これにより、リボイラー44は、脱ガス塔41の内部温度を調整する。リボイラー44は、公知の熱交換器、例えば、サーモサイフォン式リボイラー、強制循環式リボイラー、薄膜式リボイラーなどを使用することができる。
脱溶媒ユニット5は、上記した脱溶媒工程を実施可能である。脱溶媒ユニット5は、脱溶媒塔51と、溶媒排出ライン55と、コンデンサ56と、脱溶媒マス送液ライン52と、循環ライン53と、リボイラー54とを備える。
脱溶媒塔51は、脱ガスマスから不活性溶媒を除去する。脱溶媒塔51は、公知の蒸留塔、例えば、トレイ塔、充填物塔、規則充填物塔からなり、不活性溶媒を留去する。脱溶媒塔51の上下方向略中央には、脱ガスマス送液ライン42の下流端部が接続される。
溶媒排出ライン55は、脱溶媒塔51により留去され、コンデンサ56によって凝集された不活性溶媒を排出する。溶媒排出ライン55の上流端部は、脱溶媒塔51の塔頂部に接続される。溶媒排出ライン55の下流端部は、図示しないが、不活性溶媒を貯留するタンクに接続される。なお、回収された不活性溶媒は、好ましくは、造塩工程およびイソシアネート工程の反応溶媒として再利用される。
コンデンサ56は、溶媒排出ライン55の途中部に設けられる。コンデンサ56は、脱溶媒塔51により留去される不活性溶媒を冷却して凝縮する。
脱溶媒マス送液ライン52は、脱溶媒工程後の反応マス(脱溶媒マス)を、脱溶媒塔51から脱タールユニット6に送液する。脱溶媒マス送液ライン52の上流端部は、脱溶媒塔51の塔底部に接続される。脱溶媒マス送液ライン52の下流端部は、後述する脱タール器61の上下方向略中央に接続される。
循環ライン53は、脱溶媒マス送液ライン52に送液される脱溶媒マスの一部を、脱溶媒塔51に返送する。循環ライン53の上流端部は、脱溶媒マス送液ライン52の途中部に接続される。循環ライン53の下流端部は、脱溶媒塔51の塔底部に接続される。なお、図示しないが、脱溶媒マス送液ライン52における循環ライン53の接続部分よりも下流側あるいは上流側には、脱溶媒マスを送液するための上記の送液ポンプが設けられる。
リボイラー54は、循環ライン53の途中部に設けられる。リボイラー54は、循環ライン53を通過する脱溶媒マスを加熱する。これにより、リボイラー54は、脱溶媒塔51の内部温度を調整する。リボイラー54は、上記の熱交換器を使用することができる。
脱タールユニット6は、上記した脱タール工程を実施可能である。脱タールユニット6は、脱タール器61と、タール排出ライン62と、脱タールマス送液ライン63とを備える。
脱タール器61は、脱溶媒マスからタール成分を分離する。脱タール器61は、例えば、公知の薄膜蒸発器からなる。脱タール器61は、ケーシング61Aと、ワイパ61Bと、内部コンデンサ61Cとを備える。
ケーシング61Aには、ケーシング61A内を加熱するためのジャケットおよびケーシング61A内を減圧するための吸引管(図示せず)が設けられている。ワイパ61Bは、ケーシング61A内に配置されている。ワイパ61Bは、ケーシング61Aの内周面と僅かに間隔を空けて配置される。ワイパ61Bは、図示しないモータにより回転可能である。内部コンデンサ61Cは、例えば、冷媒が循環される熱交換器からなる。内部コンデンサ61Cは、ケーシング61A内において、ケーシング61Aの底壁に設けられる。
タール排出ライン62は、脱タール器61により分離されるタール成分を排出する。タール排出ライン62の上流端部は、ケーシング61Aの下側部分に接続される。第2抜出ライン28の下流端部は、図示しないが、タール成分を貯留するためのタンクに接続される。なお、回収されたタール成分から公知の方法により、タール成分に含まれるXDIを回収して、プラント1のいずれかのユニットに装入することができる。これにより、XDIの収率の向上を図ることができる。
脱タールマス送液ライン63は、タール成分が分離された脱溶媒マス(脱タールマス)を、脱タール器61から脱低沸ユニット7に送液する。脱タールマス送液ライン63の上流端部は、内部コンデンサ61Cに接続される。脱タールマス送液ライン63の下流端部は、後述する脱低沸塔71の上下方向略中央に接続される。
脱タールマス送液ライン63には、流量計63Aと、コントロール弁63Bとが設けられる。流量計63Aは、脱タールマス送液ライン63の途中部に設けられる。流量計63Aは、脱タールマス送液ライン63を通過する脱タールマスの流量を測定する。コントロール弁63Bは、脱タールマス送液ライン63における流量計63Aと脱低沸塔71との間の部分に設けられる。コントロール弁63Bは、脱タールマス送液ライン63を開閉可能である。コントロール弁63Bは、流量計63Aの測定結果に基づいて、脱タールマス送液ライン63を通過する脱タールマスの流量、つまり、脱低沸塔71に対する脱タールマスの供給量を調整できる。
脱低沸ユニット7は、上記した脱低沸工程を実施可能である。脱低沸ユニット7は、脱低沸塔71と、吸引ライン72と、コンデンサ73と、低沸排出ライン74と、塔頂還流ライン75と、脱低沸マス送液ライン76と、塔底循環ライン77と、リボイラー78とを備える。
脱低沸塔71は、脱タールマスから低沸物を除去する。脱低沸塔71は、例えば、上記の脱低沸工程の説明において例示した蒸留塔からなり、低沸物を留去する。脱低沸塔71の上下方向略中央には、脱タールマス送液ライン63の下流端部が接続される。
吸引ライン72は、例えば、真空ポンプなどの減圧装置と脱低沸塔71とを接続する。減圧装置は、吸引ライン72を介して脱低沸塔71の内部を減圧して、脱低沸塔71の内部圧力を調整する。吸引ライン72の上流端部は、脱低沸塔71の塔頂部に接続される。
吸引ライン72の下流端部は、減圧装置に接続される。
コンデンサ73は、吸引ライン72の途中部に設けられる。コンデンサ73は、吸引ライン72を通過する気体状態の低沸物を冷却して凝縮する。
低沸排出ライン74は、コンデンサ73において凝縮された低沸物を排出する。低沸排出ライン74の上流端部は、コンデンサ73に接続される。低沸排出ライン74の下流端部は、図示しないが、低沸物を貯留するタンクに接続される。なお、回収された低沸物から公知の方法により、低沸物に含まれるXDIを回収して、プラント1のいずれかのユニットに装入することができる。これにより、XDIの収率の向上を図ることができる。
また、低沸排出ライン74には、流量計74Aと、コントロール弁74Bとが設けられる。流量計74Aは、低沸排出ライン74において、塔頂還流ライン75の接続部分よりも下流側に設けられる。流量計74Aは、低沸排出ライン74を通過して排出される低沸物の流量を測定する。コントロール弁74Bは、低沸排出ライン74において、流量計74Aよりも下流側に設けられる。コントロール弁74Bは、低沸排出ライン74を開閉可能である。コントロール弁74Bは、流量計74Aの測定結果に基づいて、低沸排出ライン74から排出される低沸物の供給量を調整できる。
塔頂還流ライン75は、低沸排出ライン74を通過する低沸物の一部を、脱低沸塔71に返送する。塔頂還流ライン75の上流端部は、低沸排出ライン74における脱低沸塔71と流量計74Aとの間の部分に接続される。塔頂還流ライン75の下流端部は、脱低沸塔71の塔頂部に接続される。また、塔頂還流ライン75には、流量計75Aが設けられる。流量計75Aは、塔頂還流ライン75を通過して脱低沸塔71に返送される低沸物の流量を測定する。
脱低沸マス送液ライン76は、低沸物が除去された脱タールマス(脱低沸マス)を、脱低沸塔71から精留ユニット8に送液する。脱低沸マス送液ライン76の上流端部は、脱低沸塔71の塔底部に接続される。脱低沸マス送液ライン76の下流端部は、後述する精留塔81の上下方向略中央に接続される。
塔底循環ライン77は、脱低沸マス送液ライン76に送液される脱低沸マスの一部を、脱低沸塔71に返送する。塔底循環ライン77の上流端部は、脱低沸マス送液ライン76の途中部に接続される。塔底循環ライン77の下流端部は、脱低沸塔71の塔底部に接続される。なお、図示しないが、脱低沸マス送液ライン76における塔底循環ライン77の接続部分よりも下流側には、脱低沸マスを送液するための上記の送液ポンプが設けられる。
リボイラー78は、塔底循環ライン77の途中部に設けられる。リボイラー78は、塔底循環ライン77を通過する脱低沸マスを加熱する。これにより、リボイラー78は、脱低沸塔71の内部温度を調整する。リボイラー78は、上記の熱交換器を使用することができる。
精留ユニット8は、上記した精留工程を実施可能である。精留ユニット8は、精留塔81と、タール排出ライン86と、塔底循環ライン87と、リボイラー88と、吸引ライン82と、コンデンサ83と、XDI取出ライン84と、塔頂還流ライン85とを備える。
精留塔81は、脱タールマスを蒸留して、XDI組成物を留出させる。精留塔81は、例えば、上記の精留工程の説明において例示した蒸留塔からなる。精留塔81の上下方向略中央には、脱低沸マス送液ライン76の下流端部が接続される。
タール排出ライン86は、精留塔81において、XDI組成物の留去後に残るタール成分を精留塔81から排出する。タール排出ライン86の上流端部は、精留塔81の塔底部に接続される。タール排出ライン86の下流端部は、図示しないが、タール成分を貯留するタンクに接続される。なお、精留塔81のタール成分は、そのまま、脱低沸ユニット7よりも上流のユニットに装入することができる。これにより、XDIの収率の向上を図ることができる。
塔底循環ライン87は、タール排出ライン86を通過するタール成分の一部を、精留塔81に返送する。塔底循環ライン87の上流端部は、タール排出ライン86の途中部に接続される。塔底循環ライン87の下流端部は、精留塔81の塔底部に接続される。
リボイラー88は、塔底循環ライン87の途中部に設けられる。リボイラー88は塔底循環ライン87を通過するタール成分を加熱する。これにより、リボイラー88は、精留塔81の塔底温度を調整する。リボイラー88は、上記の熱交換器を使用することができる。
吸引ライン82は、例えば、真空ポンプなどの減圧装置と精留塔81とを接続する。減圧装置は、吸引ライン82を介して精留塔81の内部を減圧して、精留塔81の内部圧力を調整する。精留塔81の上流端部は、精留塔81の塔頂部に接続される。吸引ライン82の下流端部は、減圧装置に接続される。
コンデンサ83は、吸引ライン82の途中部に設けられる。コンデンサ83は、吸引ライン82を通過する気体状態のXDI組成物を冷却して凝縮する。
XDI取出ライン84は、コンデンサ83において凝縮されたXDI組成物を送液する。XDI取出ライン84の上流端部は、コンデンサ83に接続される。XDI取出ライン84の下流端部は、図示しないが、XDI組成物を貯留するタンクに接続される。
また、XDI取出ライン84には、流量計84Aと、コントロール弁84Bとが設けられる。流量計84Aは、XDI取出ライン84における塔頂還流ライン85の接続部分よりも下流側に設けられる。流量計84Aは、XDI取出ライン84を通過するXDI組成物の流量を測定する。コントロール弁84Bは、XDI取出ライン84において、流量計84Aよりも下流側に設けられる。コントロール弁84Bは、XDI取出ライン84を開閉可能である。コントロール弁84Bは、流量計84Aの測定結果に基づいて、XDI取出ライン84からのXDI組成物の流出量を調整できる。
塔頂還流ライン85は、XDI取出ライン84を通過するXDI組成物の一部を、精留塔81に返送する。塔頂還流ライン85の上流端部は、XDI取出ライン84におけるコンデンサ83と流量計84Aとの間の部分に接続される。塔頂還流ライン85の下流端部は、精留塔81の塔頂部に接続される。また、塔頂還流ライン85には、流量計85Aが設けられる。流量計85Aは、塔頂還流ライン85を通過して精留塔81に返送されるXDI組成物の流量を測定する。
なお、特に図示しないが、撹拌槽、反応槽、塔、脱タール器の間の送液ラインに、適宜必要に応じてコントロール弁や流量計を設けて、各工程の滞留時間の調整や供給流量を制御して、運転の安定化を図ることもできる。
(3−2)プラントの動作
次に、プラント1の動作について説明する。
プラント1では、まず、撹拌槽21に不活性溶媒を装入する。そして、塩化水素ガスを、上記の供給割合で、塩化水素供給ライン24を介して撹拌槽21の底部に連続的に供給する。また、XDAが不活性溶媒に溶解された上記のアミン溶液を、アミン供給ライン22を介して撹拌槽21の頂部に連続的に供給する。そして、撹拌槽21の内部を上記の造塩温度および造塩圧力に維持するとともに、撹拌翼により塩化水素ガスおよびアミン溶液を撹拌混合する(造塩工程)。これにより、XDA塩酸塩を含むスラリーが製造される。
そして、XDA塩酸塩を含むスラリーを、塩酸塩送液ライン26を介して反応槽31Aの頂部に連続的に送液する。つまり、塩化水素ガスおよびアミン溶液を撹拌槽21に連続的に供給しながら、XDA塩酸塩を含むスラリーを、撹拌槽21から連続的に取り出して反応槽31Aに送る。
次いで、塩化カルボニルを、上記の供給割合で反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれの頂部に連続的に供給する。そして、反応槽31Aの内部を上記の反応温度および反応圧力に維持しながら、スラリーおよび塩化カルボニルを撹拌混合する(1段目のイソシアネート化工程)。これにより、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとが反応して、主成分としてXDIが生成し、副生成物としてDCIやCBIが生成する。
そして、XDI、DCI、CBIおよび不活性溶媒などを含有する反応液(一次反応マス)を、反応マス送液ライン32Aを介して、反応槽31Bの頂部に連続的に送液する。
つまり、スラリーおよび塩化カルボニルを反応槽31Aに連続的に供給しながら、一次反応マスを反応槽31Aから連続的に取り出して反応槽31Bに送る。
次いで、反応槽31Bの内部を上記の反応温度および反応圧力に維持しながら、反応槽31Bにおいて、一次反応マスおよび塩化カルボニルを撹拌混合する(2段目のイソシアネート化工程)。
これにより、造塩工程およびイソシアネート化工程が、連続して実施される。
そして、XDI、DCI、CBIおよび不活性溶媒などを含有する二次反応マスが製造される。なお、2段のイソシアネート化工程における滞留時間の総和は、上記の範囲である。
次いで、二次反応マスを、反応マス送液ライン32Bを介して脱ガス塔41の上下方向略中央に連続的に送液する。つまり、一次反応マスおよび塩化カルボニルを反応槽31Bに連続的に供給しながら、二次反応マスを、反応槽31Bから連続的に取り出して脱ガス塔41に送る。
次いで、二次反応マスを、脱ガス塔41により、塩化カルボニルおよび塩化水素などを含むガスと、XDI、DCIおよび不活性溶媒などを含む液状の脱ガスマスとに分離する(脱ガス工程)。
次いで、脱ガスマスを、脱ガスマス送液ライン42を介して脱溶媒塔51の上下方向略中央に連続的に送液する。そして、脱ガスマスから不活性溶媒を、脱溶媒塔51により留去する(脱溶媒工程)。
次いで、脱溶媒マスを、脱溶媒マス送液ライン52を介して脱タール器61の上下方向略中央に連続的に送液する。そして、脱溶媒マスからタール成分を、脱タール器61により除去する(脱タール工程)。
次いで、脱タールマスを、脱タールマス送液ライン63を介して脱低沸塔71の上下方向略中央に連続的に送液する。そして、脱低沸ユニット7では、上記の脱低沸工程の条件(塔底温度、塔頂温度、塔頂圧力、塔底還流比、塔頂還流比および滞留時間)で、脱タールマスから低沸物を留去する。
詳しくは、低沸物を含む混合蒸気が、吸引ライン72を介して脱低沸塔71の塔頂部から排出される。そして、混合蒸気をコンデンサ73により凝集する。その後、低沸物を含む凝集液の一部を、塔頂還流比が上記の範囲となるように流量を調整して、塔頂還流ライン75を介して脱低沸塔71に連続的に返送する。また、凝集液のその他の部分を、流量を調整して低沸排出ライン74を介して連続的に排出する。
また、脱低沸マスは、脱低沸マス送液ライン76を介して脱低沸塔71から排出される。そして、脱低沸マスの一部を、上記の塔底温度および塔底還流比となるように、塔底循環ライン77を介して脱低沸塔71に連続的に返送する。また、脱低沸マスのその他の部分を、脱低沸マス送液ライン76を介して精留塔81の上下方向略中央に連続的に送液する。
次いで、精留ユニット8では、上記の精留工程の条件(塔底温度、塔頂温度、塔頂圧力、塔底還流比、塔頂還流比および滞留時間)で、脱低沸マスからXDI組成物を留分として連続的に取り出す。
詳しくは、気体状態のXDI組成物は、吸引ライン82を介して精留塔81の塔頂部から排出される。そして、気体状態のXDI組成物をコンデンサ83により凝集する。その後、XDI組成物の一部を、塔頂還流比が上記の範囲となるように流量を調整して、塔頂還流ライン85を介して精留塔81に連続的に返送する。また、XDI組成物のその他の部分を、流量を調整して、XDI取出ライン84を介して連続的に取り出す。
なお、精留塔81の蒸留残渣(タール成分)は、タール排出ライン86を介して精留塔81の塔底部から排出される。そして、蒸留残渣(タール成分)の一部を、上記の塔底温度および塔底還流比となるように、精留塔81に連続的に返送する。
以上により、製品としてのXDI組成物(精XDI)が、プラント1により連続的に製造される。
4.ポリイソシアネート成分、活性水素基含有成分
このようなXDI組成物は、必要により公知の方法で変性体化されて、ポリイソシアネート成分に含有される。ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とは、ポリウレタン樹脂の原料として好適に利用される。
ポリイソシアネート成分は、XDI組成物および/またはXDI組成物が変性されたキシリレンジイソシアネート変性体組成物(以下、XDI変性体組成物とする。)を含有し、好ましくは、XDI組成物および/またはXDI変性体組成物からなる。
XDI変性体組成物は、XDI組成物を変性することにより製造され、下記(a)〜(i)の官能基を少なくとも1種含有する。
(a)イソシアヌレート基、
(b)アロファネート基、
(c)ビウレット基、
(d)ウレタン基、
(e)ウレア基、
(f)イミノオキサジアジンジオン基、
(g)ウレトジオン基、
(h)ウレトンイミン基、
(i)カルボジイミド基。
すなわち、XDI変性体組成物は、XDIが変性体化された官能基(a)〜(i)と、DCIとを含有する。
より具体的には、上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのトリマーを含有しており、例えば、XDI組成物を公知のイソシアヌレート化触媒の存在下において反応させ、XDIをイソシアヌレート化(例えば三量化)することにより、得ることができる。
上記(b)の官能基(アロファネート基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのアロファネート変性体を含有しており、例えば、XDI組成物とアルコールとを反応させた後、公知のアロファネート化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
上記(c)の官能基(ビウレット基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのビウレット変性体を含有しており、例えば、XDI組成物と、例えば、水、第三級アルコール(例えば、t−ブチルアルコールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)などとを反応させた後、公知のビウレット化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
上記(d)の官能基(ウレタン基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのポリオール変性体を含有しており、例えば、XDI組成物とポリオール成分(例えば、トリメチロールプロパンなど)との反応により、得ることができる。
上記(e)の官能基(ウレア基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのポリアミン変性体を含有しており、例えば、XDI組成物と、水、ポリアミン成分(後述)などとの反応により、得ることができる。
上記(f)の官能基(イミノオキサジアジンジオン基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのイミノオキサジアジンジオン変性体(非対称性トリマー)を含有しており、例えば、XDI組成物を公知のイミノオキサジアジンジオン化触媒の存在下において反応させ、XDIをイミノオキサジアジンジオン化(例えば三量化)することにより、得ることができる。
上記(g)の官能基(ウレトジオン基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのウレトジオン変性体を含有しており、例えば、XDI組成物を90℃〜200℃程度で熱を印加させる方法、あるいは公知のウレトジオン化触媒の存在下において反応させ、XDIをウレトジオン化(例えば、二量化)することにより、得ることができる。
上記(h)の官能基(ウレトンイミン基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのウレトンイミン変性体を含有しており、例えば、XDI組成物を公知のカルボジイミド化触媒の存在下において反応させ、カルボジイミド基を形成した後、そのカルボジイミド基にXDIを付加させることにより、得ることができる。
上記(i)の官能基(カルボジイミド基)を含有するXDI変性体組成物は、XDIのカルボジイミド変性体を含有しており、例えば、XDI組成物を公知のカルボジイミド化触媒の存在下において反応させることにより、得ることができる。
なお、XDI変性体組成物は、上記(a)〜(i)の官能基を少なくとも1種含有していればよく、2種以上含有することもできる。そのようなXDI変性体組成物は、上記の反応を適宜併用することにより、生成される。また、XDI変性体組成物は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、XDI組成物は、分子中に含有する遊離のイソシアネート基がブロック剤によりブロックされたブロックXDI組成物として用いることもできる。つまり、ポリイソシアネート成分は、ブロックXDI組成物を含有することができる。
ブロックXDI組成物は、例えば、XDI組成物とブロック剤とを反応させることにより製造される。
ブロック剤として、例えば、オキシム系、フェノール系、アルコール系、イミン系、アミン系、カルバミン酸系、尿素系、イミダゾール系、イミド系、メルカプタン系、活性メチレン系、酸アミド系(ラクタム系)、重亜硫酸塩類などのブロック剤が挙げられる。
オキシム系ブロック剤として、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ペンゾフェノオキシム、2,2,6,6−テトラメチルシクロヘキサノンオキシム、ジイソプロピルケトンオキシム、メチルtert−ブチルケトンオキシム、ジイソブチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、メチルイソプロピルケトンオキシム、メチル2,4−ジメチルペンチルケトンオキシム、メチル3−エチルへプチルケトンオキシム、メチルイソアミルケトンオキシム、n−アミルケトンオキシム、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオンモノオキシム、4,4’−ジメトキシベンゾフェノンオキシム、2−ヘプタノンオキシムなどが挙げられる。
フェノール系ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール、ニトロフェノール、ブロモフェノール、クロロフェノール、フルオロフェノール、ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、メチルサリチラート、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェノール、4−[(ジメチルアミノ)メチル]ノニルフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ピリジノール、2−または8−ヒドロキシキノリン、2−クロロ−3−ピリジノール、ピリジン−2−チオールなどが挙げられる。
アルコール系ブロック剤として、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、1−または2−オクタノール、シクロへキシルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2−(ヒドロキシメチル)フラン、2−メトキシエタノール、メトキシプロパノール、2−エトキシエタノール、n−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエトキシエタノール、2−エトキシブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、2−エチルヘキシルオキシエタノール、2−ブトキシエチルエタノール、2−ブトキシエトキシエタノール、N,N−ジブチル−2−ヒドロキシアセトアミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−モルホリンエタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、3−オキサゾリジンエタノール、2−ヒドロキシメチルピリジン、フルフリルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸、トリフェニルシラノール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
イミン系ブロック剤として、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、グアニジンなどが挙げられる。
アミン系ブロック剤として、例えば、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、カルバゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)アミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、2,2,4−、または、2,2,5−トリメチルヘキサメチレンアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ビス(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(ジメチルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン、6−メチル−2−ピペリジン、6−アミノカプロン酸などが挙げられる。
カルバミン酸系ブロック剤として、例えば、N−フェニルカルバミン酸フェニルなどが挙げられる。
尿素系ブロック剤として、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などが挙げられる。
イミダゾール系ブロック剤として、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
イミド系ブロック剤として、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタルイミドなどを挙げられる。
メルカプタン系ブロック剤として、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどが挙げられる。
活性メチレン系ブロック剤として、例えば、メルドラム酸、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、マロン酸1−tert−ブチル3−メチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸tert−ブチル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセチルアセトン、シアノ酢酸エチルなどが挙げられる。
酸アミド系(ラクタム系)ブロック剤としては、例えば、アセトアニリド、N−メチルアセトアミド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、ピロリドン、2,5−ピペラジンジオン、ラウロラクタムなどが挙げられる。
また、ブロック剤は、上記に限定されず、例えば、ベンゾオキサゾロン、無水イサト酸、テトラブチルホスホニウム・アセタートなどのその他のブロック剤も挙げられる。ブロック剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、XDI組成物は、分子中に含有する遊離のイソシアネート基がブロック剤によりブロックされるとともに、水に分散または溶解された水性ブロックXDI組成物として用いることもできる。つまり、ポリイソシアネート成分は、水性ブロックXDI組成物を含有することができる。
水性ブロックXDI組成物は、例えば、XDI組成物における遊離のイソシアネート基の一部をブロック剤によりブロックした後、ブロック剤によりブロックされずに残るイソシアネート基と、親水基および活性水素基を併有する化合物(以下、親水基含有活性水素化合物)とを反応させることにより製造される。
ブロック剤として、例えば、上記のブロック剤が挙げられる。
親水基含有活性水素化合物は、少なくとも1つの親水基と、少なくともの1つの活性水素基とを併有する化合物である。親水基として、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられる。活性水素基として、イソシアネート基と反応する基であって、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。
親水基含有活性水素化合物として、より具体的には、カルボン酸基含有活性水素化合物、スルホン酸基含有活性水素化合物、水酸基含有活性水素化合物、親水基含有多塩基酸、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物などが挙げられる。親水基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
活性水素基含有成分として、例えば、ポリオール成分(水酸基を2つ以上有するポリオールを主として含有する成分)、ポリチオール成分(メルカプト基(チオール基)を2つ以上有するポリチオールを主として含有する成分)、ポリアミン成分(アミノ基を2つ以上有するポリアミンを主として含有する化合物)などが挙げられる。
ポリオール成分として、例えば、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上400未満の化合物である。低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(7〜22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、アルカン−1,2−ジオール(C(炭素数、以下同様。)17〜20)、イソソルビド、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールAなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
また、上記のアルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させて得られる、数平均分子量60以上400未満のポリアルキレンオキサイド(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)も、低分子量ポリオールに含まれる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下の化合物である。高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのC2〜3アルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。また、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンとして、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレン共重合体なども挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとして、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも挙げられる。
ポリトリメチレンエーテルグリコールとして、例えば、植物由来の1,3−プロパンジオールの縮重合により製造されるポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と多塩基酸(好ましくは二塩基酸)とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、上記した2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを含む。以下同様)と反応させることによって得られる、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
エポキシポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
植物油ポリオールとして、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、またはひまし油ポリオールとポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとして、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
ヒドロキシル基含有アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
シリコーンポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、上記したアルキル(メタ)アクリレートなどのビニルモノマーとの反応により得ることができる。
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリチオール成分として、例えば、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環含有ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールなどが挙げられる。
脂肪族ポリチオールとして、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(2−メルカプトアセテート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
芳香族ポリチオールとして、例えば、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
複素環含有ポリチオールとして、例えば、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジンなどが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールとして、例えば、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィドなど、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンなどが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオールとして、例えば、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼンなど、およびこれらの核アルキル化物などが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールとして、例えば、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステルなどが挙げられる。
ポリチオール成分として、さらには、例えば、これらポリチオールの塩素置換体、臭素置換体などのハロゲン置換体が挙げられる。
これらポリチオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリアミン成分として、例えば、低分子量ポリアミンおよび高分子量ポリアミンが挙げられる。
低分子量ポリアミンは、アミノ基を2つ以上有する数平均分子量60以上350未満の化合物である。低分子量ポリアミンとして、例えば、低分子量ジアミン、低分子量トリアミン、アミノ基を4個以上有する低分子量ポリアミンなどが挙げられる。
低分子量ジアミンとして、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,3−または1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミン、例えば、o、mまたはp−トリレンジアミン(TDA、OTD)、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンおよび3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンの混合物(商品名:エタキュア100、アルベマール社製)、ジメチルチオトルエンジアミン(商品名:エタキュア300、アルベマール社製)などの芳香族ジアミンなどが挙げられる。
低分子量トリアミンとして、例えば、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。アミノ基を4個以上有する低分子量ポリアミンとして、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。
高分子量ポリアミンは、アミノ基を2つ以上有する数平均分子量350以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下の化合物である。高分子量ポリアミンとして、例えば、ポリオキシアルキレンエーテルジアミンなどのポリエーテルポリアミンが挙げられる。ポリエーテルポリアミンは、市販品としても入手可能であり、より具体的には、例えば、日油社製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のJEFFAMINEシリーズ、さらには、BASF社のBaxxodurシリーズなどが挙げられる。
これらポリアミン成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
このような活性水素基含有成分のなかでは、好ましくは、ポリオール成分およびポリチオール成分が挙げられる。
なお、活性水素基含有成分には、必要により、例えば、公知のポリアミン、公知のモノオール、公知のモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。
5.樹脂の用途
XDI組成物および/またはXDI変性体組成物を含有するポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物である樹脂(ポリウレタン樹脂)は、ポリウレタン樹脂が用いられる全ての用途に利用できる。
また、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応において、イソシアネート基に対する活性水素基の当量比が1未満である場合、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端ポリマーが生成し、イソシアネート基に対する活性水素基の当量比が1を超過する場合、分子末端に活性水素基を有する活性水素基末端ポリマーが生成する。イソシアネート基末端ポリマーおよび活性水素基末端ポリマーは、いずれも樹脂(ポリウレタン樹脂)に含まれる。イソシアネート基末端ポリマーは、一液硬化型樹脂である。
樹脂の用途として、具体的には、インキ、転写箔、粘着剤、バインダー、ゲル、エラストマー、フォーム、接着剤、一液硬化型シーリング材、RIM成形品、微発泡ポリウレタン、各種マイクロカプセル、光学材料、水性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線(例えば、電子線、紫外線など)硬化性樹脂、人工および合成皮革、スラッシュパウダー、ロボット部材、モビリティー部材、ヘルスケア材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の基材樹脂、透明性ゴム、透明性硬質樹脂、防水材、フィルム、シート、チューブ、ブレード、スピーカー、センサー類、有機EL部材、太陽光発電部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、シャンデリア、外灯、パッキン、防振・制震・免震部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車の内外装部品、輸送機部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、自己修復材料、健康器具などの用途に好適に利用される。
このようなポリウレタン樹脂の用途の一例として、エラストマー、フォーム、一液硬化型シーリング材および光学材料について、以下に詳述する。
(5−1)エラストマー
エラストマーとして、例えば、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)、ミラブル型ポリウレタンエラストマーなどが挙げられる。
エラストマーは、XDIと高分子量ポリオールとの反応により形成されるソフトセグメントと、XDIと低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンとの反応により形成されるハードセグメントと、を含んでいる。
このようなエラストマーは、例えば、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオール(活性水素基含有成分)と、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミン(活性水素基含有成分)との反応により製造される。つまり、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールと、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンとは、エラストマー原料である。
エラストマー原料であるポリイソシアネート成分は、例えば、XDI組成物(以下、エラストマー用XDI組成物とする。)を含有する。また、このポリイソシアネート成分は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。エラストマー原料であるポリイソシアネート成分は、好ましくは、エラストマー用XDI組成物からなる。
エラストマー用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、30ppm以下、とりわけ好ましくは、20ppm以下である。
エラストマー用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記下限以上であれば、エラストマーの白濁および変色を抑制できるとともに、エラストマーの機械特性(伸びおよび強度)の向上を図ることができる。エラストマー用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記上限以下であれば、エラストマーの変色を抑制できるとともに、エラストマーの機械特性(伸びおよび強度)の向上を図ることができる。
エラストマー原料である高分子量ポリオールとして、例えば、上記のポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトンポリオール、アジペート系ポリエステルポリオール(多塩基酸としてアジピン酸が用いられるポリエステルポリオール))、上記のポリカーボネートポリオール、上記のポリテトラメチレンエーテルグリコール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)が挙げられ、好ましくは、アジペート系ポリエステルポリオールが挙げられる。
エラストマー原料である低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどが挙げられ、好ましくは、1,4−ブチレングリコールが挙げられる。
エラストマー原料である低分子量ポリアミンとして、例えば、上記した低分子量ポリアミンが挙げられる。
エラストマーは、例えば、ワンショット法またはプレポリマー法などの公知の方法により製造できる。
ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールと、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンとを一度に反応させて、エラストマーを製造する。
プレポリマー法では、例えば、まず、ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオールとを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンとを反応させて、エラストマーを製造する。
なお、エラストマーの製造方法は、例えば、バルク重合や溶液重合などを用いることができる。
また、エラストマーの製造方法では、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物(例えば、有機錫系化合物、好ましくは、ジブチル錫ジクロライドなど)などの公知のウレタン化触媒をエラストマー原料に添加することができる。さらに、エラストマーには、必要に応じて、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、NOx黄変防止剤、酸化防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、造核剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。
以上によって、エラストマーが製造される。このようなエラストマーは、白濁が抑制され、耐変色性に優れるとともに、機械物性(伸びおよび強度)に優れている。
キセノン照射試験(240時間)におけるエラストマーの色差(Δb)、例えば、1.0以上、例えば、3.9未満、好ましくは、3.5以下、より好ましくは、3.0以下である。キセノン照射試験におけるエラストマーの色差は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
エラストマーの引張強度は、例えば、30.0MPa以上、好ましくは、40.0MPa以上、より好ましくは、55.0MPa以上、例えば、80.0MPa以下である。エラストマーの引張強度は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
エラストマーの伸度は、例えば、550%以上、好ましくは、600%以上、より好ましくは、650%以上、例えば、1000%以下である。エラストマーの伸度は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
(5−2)フォーム
フォームとしては、例えば、軟質フォーム、硬質フォームなどが挙げられる。軟質フォームの硬度(25%CLD)は、例えば、40.6N/100cm2未満であり、硬質フォームの硬度(25%CLD)は、例えば、40.6N/100cm2以上である。なお、硬度(25%CLD)は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
フォームは、例えば、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオール(活性水素基含有成分)と、発泡剤との混合物を反応および発泡させることにより製造される。つまり、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールと、発泡剤とは、フォーム原料である。
フォーム原料であるポリイソシアネート成分は、例えば、XDI組成物(以下、フォーム用XDI組成物とする。)を含有する。また、このポリイソシアネート成分は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。フォーム原料であるポリイソシアネート成分は、好ましくは、フォーム用XDI組成物からなる。
フォーム用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、30ppm以下、とりわけ好ましくは、20ppm以下である。
フォーム用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記範囲内であれば、フォームの変色を抑制できながら、フォームの機械特性(伸びおよび強度)の向上を図ることができる。
フォーム原料である高分子量ポリオール(以下、フォーム用高分子量ポリオールとする。)として、例えば、上記のポリエーテルポリオールが挙げられる。
発泡剤として、例えば、化学発泡剤(例えば、水)および物理発泡剤(例えば、メチレンクロライド類、クロロフルオロカーボン類、ヒドロキシクロロフルオロカーボン類、炭酸ガス、有機発泡剤、無機発泡剤など)が挙げられる。
フォームは、例えば、公知の発泡方法により製造できる。
具体的には、ポリイソシアネート成分以外の成分(すなわち、必須成分として、高分子量ポリオールおよび発泡剤)を、予め配合して、レジンプレミックスを調製する。次いで、ポリイソシアネート成分とレジンプレミックスとを配合して、発泡成形し、フォームを製造する。
発泡成形には、例えば、スラブ発泡成形法やモールド発泡成形法などの公知の方法が用いられる。また、メカニカルフロス発泡成形法により発泡することもできる。
また、フォームの製造方法では、必要に応じて、上記のウレタン化触媒、架橋剤、整泡剤などをレジンプレミックスに添加することができる。さらに、フォームには、必要に応じて、耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐光安定剤、多機能安定剤などを、適宜の割合で配合することができる。
以上によって、フォームが製造される。このようなフォームは、耐変色性に優れるとともに、機械物性(伸びおよび強度)に優れている。
UV照射試験(24時間)におけるフォームの色差(Δb)は、例えば、2.0以上、例えば、13.0以下、好ましくは、12.5以下、より好ましくは、12.0以下である。UV照射試験におけるフォームの色差は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
フォームの引張強度は、例えば、30kPa以上、好ましくは、50kPa以上、例えば、300kPa以下である。フォームの引張強度は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
フォームの破断伸びは、例えば、50%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは、90%以上、例えば、500%以下である。フォームの破断伸びは、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
(5−3)一液硬化型シーリング材
一液硬化型シーリング材は、湿気硬化型シーリング材であって、樹脂(ポリウレタン樹脂)に含まれる。一液硬化型シーリング材は、分子末端にイソシアネート基を有し、空気中の水分と反応して硬化する。
一液硬化型シーリング材は、例えば、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオール(活性水素基含有成分)との反応により製造される。つまり、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールとは、一液硬化型シーリング原料である。
一液硬化型シーリング原料であるポリイソシアネート成分は、例えば、XDI組成物(以下、一液硬化型シーリング用XDI組成物とする。)を含有する。また、このポリイソシアネート成分は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。一液硬化型シーリング原料であるポリイソシアネート成分は、好ましくは、シーリング用XDI組成物からなる。
一液硬化型シーリング用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、より好ましくは、3.0ppm以上、とりわけ好ましくは、4.3ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、30ppm以下、とりわけ好ましくは、20ppm以下である。
一液硬化型シーリング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記範囲内であれば、シーリング材の変色を抑制できるとともに、シーリング材の機械物性(伸びおよび強度)の向上を図ることができる。
一液硬化型シーリング原料である高分子量ポリオールとしては、例えば、上記のポリエーテルポリオールが挙げられ、好ましくは、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオールが挙げられる。
一液硬化型シーリング材は、例えば、上記のプレポリマー法により製造できる。
また、一液硬化型シーリング材の製造方法では、必要に応じて、上記のウレタン化触媒を一液硬化型シーリング原料に添加することができる。さらに、一液硬化型シーリング材には、必要に応じて、潜在性硬化剤(例えば、オキサゾリジン化合物など)、充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなど)、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを、適宜の割合で配合することができる。
以上によって、一液硬化型シーリング材が製造される。このような一液硬化型シーリング材は、耐変色性に優れるとともに、機械物性(伸びおよび強度)に優れている。
UV照射試験(240時間)における一液硬化型シーリング材の色差(Δb)は、例えば、0.5以上、例えば、5.0以下、好ましくは、3.0以下、さらに好ましくは、2.0以下である。UV照射試験におけるシーリング材の色差は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
一液硬化型シーリング材の引張強度は、例えば、5MPa以上、好ましくは、10MPa以上、さらに好ましくは、12MPa以上、例えば、50MPa以下、好ましくは、45MPa以下である。シーリング材の引張強度は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
一液硬化型シーリング材の破断伸びは、例えば、300%以上、好ましくは、320%以上、さらに好ましくは、330%、とりわけ好ましくは、400%以上、例えば、1500%以下、好ましくは、1000%以下である。シーリング材の破断伸びは、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
(5−4)光学材料
光学材料として、例えば、透明レンズ、サングラスレンズ、偏光レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズなどの光学レンズや、例えば、車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機ELやLEDなどの光学部品、看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、防護メガネ、フード、防御用盾、自動車保安部品、照明部品、スマートフォン、タブレットなどの光学製品などが挙げられる。
光学材料のなかでは、好ましくは、光学レンズが挙げられる。
光学材料は、とりわけ、光学レンズは、ポリイソシアネート成分と、ポリチオール成分との反応により製造される。つまり、ポリイソシアネート成分と、ポリチオール成分とは、光学材料原料である。
光学材料原料であるポリイソシアネート成分は、例えば、XDI組成物(以下、光学材料用XDI組成物とする。)を含有する。また、このポリイソシアネート成分は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。光学材料原料であるポリイソシアネート成分は、好ましくは、光学材料用XDI組成物からなる。
光学材料用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、30ppm以下、とりわけ好ましくは、20ppm以下である。
光学材料用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記下限以上であれば、光学材料用XDI組成物から光学材料を安定して製造できる。光学材料用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記上限以下であれば、光学材料の変色を抑制できる。
光学材料用XDI組成物がCBIを含有する場合、光学材料用XDI組成物におけるCBIの含有割合は、例えば、0.2ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、より好ましくは、5.0ppm以上、さらに好ましくは、10ppm以上、とりわけ好ましくは、50ppm以上、特に好ましくは、100ppm以上、例えば、4000ppm以下、好ましくは、3000ppm以下、より好ましくは、1600ppm以下、さらに好ましくは、600ppm以下、とりわけ好ましくは、500ppm以下、特に好ましくは、400ppm以下、最も好ましくは、300ppm以下である。
光学材料用XDI組成物におけるCBIの含有割合が上記下限以上であれば、光学材料用XDI組成物から光学材料をより安定して製造できる。光学材料用XDI組成物におけるCBIの含有割合が上記上限以下であれば、光学材料の変色を確実に抑制できる。
とりわけ、光学材料用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記の範囲であり、光学材料用XDI組成物におけるCBIの含有割合が上記の範囲であると、光学材料用XDI組成物から光学材料をより一層安定して製造できながら、光学材料の変色を確実に抑制できる。
光学材料原料であるポリチオール成分(以下、光学材料用ポリチオール成分とする。)としては、例えば、上記したメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールが挙げられ、好ましくは、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、および、これらの混合物が挙げられる。
光学材料の製造方法として、例えば、上記のワンショット法が挙げられる。
また、光学材料の製造方法では、必要に応じて、上記のウレタン化触媒、内部離型剤(例えば、リン酸エステル系離型剤、アルキルリン酸塩系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤など)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール化合物、フォルムアミジン系化合物など)などをポリイソシアネート成分に添加することができる。さらに、光学材料には、必要に応じて、ブルーイング剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、耐候安定剤などを、適宜の割合で配合することができる。
以上によって、光学材料が製造される。このような光学材料は、耐変色性に優れている。
光学材料のイエローインデックス値(Y.I.値)は、例えば、3.5以上、例えば、4.6以下、好ましくは、4.3以下である。光学材料のイエローインデックス値(Y.I.値)は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
6.二液型樹脂原料の用途
XDI組成物および/またはXDI変性体組成物を含有するイソシアネート成分をA剤とし、活性水素基含有成分をB剤とする二液型樹脂原料は、例えば、塗料、接着剤などのコーティング原料、二液硬化型シーリング原料、ポッティング剤などの用途に好適に利用される。このような二液型樹脂原料は、別々に調製されるA剤(硬化剤)およびB剤(主剤)を使用直前に配合するものである。以下において、各用途に応じた樹脂原料の製造方法について説明する。
このような二液型樹脂原料の用途の一例として、コーティング原料および二液硬化型シーリング原料について以下に詳述する。
(6−1)コーティング原料
コーティング原料は、コーティングを形成するための二液硬化型樹脂原料であり、A剤(硬化剤)およびB剤(主剤)を含む。コーティングには、塗料、接着剤などが含まれる。
コーティング原料が塗料として用いられる場合、例えば、プラスチック用塗料、自動車外装用塗料、自動車内装用塗料、電気・電子材料用塗料、光学材料(レンズなど)用塗料、建材用塗料、ガラスコート塗料、木工塗料、フィルムコーティング塗料、インキ塗料、人工皮革用塗料(コート剤)、缶用塗料(コート剤)などが挙げられる。
プラスチック塗料として、例えば、筐体(携帯電話、スマートフォン、パソコン、タブレットなど)用塗料、自動車部品(自動車内装材やヘッドランプなど)用塗料、家庭用電化製品用塗料、ロボット材料用塗料、家具用塗料、文具用塗料、アイウエア材料(レンズなど)用塗料、スポーツ部材(ゴルフボールなど)用塗料、バンド(時計バンドなど)用塗料、電子機器の光学レンズ用塗料(表面コート剤)などが挙げられる。
自動車外装用塗料として、例えば、新車向け塗料、自動車補修用塗料、外装部品(アルミニウムホイール、バンパーなど)用塗料などが挙げられる。
フィルムコーティング塗料として、例えば、光学用部材(光学フィルム、光学シートなど)用塗料、光学用コーティング材料、繊維用塗料、電子電機材料用塗料、食品パッケージ用塗料、医療フィルム用塗料、化粧品パッケージ用塗料、加飾フィルム用塗料、離形フィルム用塗料などが挙げられる。
コーティング原料が接着剤として用いられる場合、例えば、工業用接着剤、包装用接着剤(ラミネート用接着剤)、ホットメルト接着剤などが挙げられる。
工業用接着剤として、例えば、電気機器用接着剤、液晶ディスプレイ(LCD)用接着剤、ELディスプレイ用接着剤、EL照明用接着剤、表示装置(電子ペーパーやプラズマディスプレイなど)用接着剤、自動車用接着剤、家電用接着剤、太陽電池バックシート用接着剤、各種電池(リチウムイオン電池など)用接着剤などが挙げられる。
包装用接着剤として、例えば、食品包装用接着剤、家庭用詰め替え包材用接着剤などが挙げられる。
このようなコーティング剤の製品形態として、例えば、溶剤系、水系、無溶剤系および粉体などが挙げられる。
A剤は、例えば、ポリイソシアネート成分として、例えば、XDI変性体組成物(以下、コーティング用XDI変性体組成物とする。)を含有し、好ましくは、上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含有するXDI変性体組成物、および/または、上記(d)の官能基(ウレタン基)を含有するXDI変性体組成物を含有する。また、A剤は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。
XDI変性体組成物に用いられる変性体化前のコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、2.0ppm以上、60ppm以下である。
コーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記範囲内であれば、コーティング材の変色を抑制できる。
とりわけ、コーティング原料が塗料として用いられる場合、XDI変性体組成物に用いられる変性体化前のコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、より好ましくは、4.0ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、40ppm以下、さらに好ましくは、30ppm以下、とりわけ好ましくは、20ppm以下である。
塗料に用いられるコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記範囲内であれば、硬化塗膜の変色を抑制できながら、硬化塗膜の密着性の向上を図ることができる。
また、コーティング原料が接着剤として用いられる場合、XDI変性体組成物に用いられる変性体化前のコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、40ppm以下、さらに好ましくは、20ppm以下である。
接着剤に用いられるコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記下限以上であれば、硬化後の接着剤の変色を抑制できながら、接着剤により接着される接着対象物(例えば、ラミネートフィルムなど)の外観の向上を図ることができる。
接着剤に用いられるコーティング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記上限以下であれば、硬化後の接着剤の変色を抑制できながら、接着剤の接着力の向上を図ることができる。
B剤は、例えば、活性水素基含有成分として、例えば、上記した高分子量ポリオールを含有する。コーティング原料である高分子量ポリオール(以下、コーティング用高分子量ポリオールとする。)として、例えば、上記のアクリルポリオール、上記のポリエステルポリオール、上記のフッ素ポリオールが挙げられる。
また、B剤には、必要に応じて、ウレタン化触媒、加水分解防止剤、消泡剤、界面活性剤、摺動付与剤、表面調整剤、酸化防止剤、耐候安定剤、顔料、染料、フィラー、樹脂パウダーなどを、適宜の割合で配合することができる。
そして、コーティング材の形成方法としては、例えば、A剤とB剤とを混合して、その混合液を、コーティング対象物に公知の方法により塗布して硬化させる。
以上によって、コーティング材が形成される。このようなコーティング材は、耐変色性に優れている。
湿熱耐久試験(2000時間)におけるコーティングの色差(Δb)は、例えば、0.5以上、例えば、2.4以下、好ましくは、2.2以下、より好ましくは、2.0以下、さらに好ましくは、1.9以下である。湿熱耐久試験におけるコーティングの色差は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
(6−2)二液硬化型シーリング原料
二液硬化型シーリング原料は、二液硬化型シーリング材を形成するための二液硬化型樹脂原料であって、A剤(硬化剤)およびB剤(主剤)を含む。二液硬化型シーリング原料は、工業用、住宅・建築用シーリング材料などに好適に用いられる。
A剤は、例えば、XDI組成物(以下、二液硬化型シーリング用XDI組成物とする。)および/またはXDI変性体組成物(以下、二液硬化型シーリング用XDI変性体組成物とする。)を含有し、好ましくは、上記(d)の官能基(ウレタン基)を含有するXDI変性体組成物を含有する。また、A剤は、必要に応じて、他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含有してもよい。A剤は、好ましくは、二液硬化型シーリング用XDI組成物および/またはXDI変性体組成物からなる。
二液硬化型シーリング用XDI組成物におけるDCIの含有割合は、例えば、0.6ppm以上、好ましくは、1.0ppm以上、より好ましくは、3.0ppm以上、とりわけ好ましくは、4.3ppm以上、60ppm以下、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、30ppm以下である。
二液硬化型シーリング用XDI組成物におけるDCIの含有割合が上記範囲内であれば、シーリング材の変色を抑制できるとともに、シーリング材の機械特性(破断伸びおよび強度)の向上を図ることができる。
二液硬化型シーリング用XDI組成物は、必要に応じて、上記のウレタン化触媒、加水分解防止剤、消泡剤、界面活性剤、摺動付与剤、表面調整剤、酸化防止剤、耐候安定剤、顔料、染料、フィラー、樹脂パウダー、上記の低分子量ポリオール、上記の充填剤などを、適宜の割合で配合することができる。
B剤は、活性水素基含有成分として、例えば、上記した高分子量ポリオールとポリイソシアネート成分との反応物であるイソシアネート基末端プレポリマーを含有する。二液硬化型シーリング原料である高分子量ポリオールとして、例えば、上記のポリエーテルポリオールが挙げられ、好ましくは、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオールが挙げられる。
そして、二液硬化型シーリング材の形成方法として、例えば、A剤とB剤とを混合して、その混合液を、シーリング対象物に公知の方法により塗布して硬化させる。
以上によって、二液硬化型シーリング材が形成される。このような二液硬化型シーリング材は、耐変色性に優れるとともに、機械物性(破断伸びおよび強度)に優れている。
UV照射試験(240時間)における二液硬化型シーリング材の色差(Δb)は、例えば、1.3以上、例えば、2.0以下、好ましくは、1.8以下である。UV照射試験における二液硬化型シーリング材の色差は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
二液硬化型シーリング材の破断伸びは、例えば、1200%以上、好ましくは、1250%以上、より好ましくは、1300%以上、例えば、1400%以下である。二液硬化型シーリング材の破断伸びは、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
7.作用効果
上記のように、XDI組成物は、XDIと、上記化学式(1)に示すDCIとを含有している。DCIの含有割合は、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下である。
DCIの含有割合が上記の範囲であれば、後述する実施例からも明らかなように、CBIの含有割合に関わらず、製造される樹脂の耐変色性の向上を図ることができる。
その結果、XDI組成物を含有するポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物である樹脂や、ポリイソシアネート成分(A剤)と活性水素基含有成分(B剤)とを含む樹脂原料は、各種産業製品、とりわけ、エラストマー、微発泡ポリウレタン、ゲル、ポリウレタン溶液、フォーム、シーリング材、活性エネルギー線(例えば、電子線、紫外線など)硬化性樹脂、光学材料、コーティング材、粘接着剤、バインダー、マイクロカプセル、インキ、転写箔、ポッティング材として好適に利用される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
また、以下において記載される各種物性の測定法を下記する。
1.測定方法
(上記化学式(1)に示す化合物(DCI)の含有割合)
まず、後述する準備例1において合成される純度99mol%のDCIを標準物質として用い、下記の条件でガスクロマトグラフィーにて分析して、得られたガスクロマトグラムの面積値から検量線を作成した(絶対検量線法)。
次いで、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物(または脱タールマス)を下記の条件でガスクロマトグラフィーにて分析して、DCIのモル数を得た。これを質量に換算して、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物中のDCIの含有割合を算出した。なお、DCIのリテンションタイムは、16.6分であった。
装置;HP−6890/5873(ヒューレットパッカード社製)
カラム;HP−50+、内径0.25mm×長さ30m×膜厚0.25μm(ヒューレットパッカード社製)
オーブン温度;50℃から280℃まで10℃/minで昇温、280℃到達後6minホールド。
スプリット比;パルスドスプリットレス法
注入口温度;200℃
検出器温度;280℃
キャリアガス;He
キャリアガス流量;1.0ml/min(定流量制御)
サンプル濃度:1.0質量%ジクロロメタン溶液
注入量;1.0μL
検出方法;SIM(モニタリングイオン:m/z 180、215)
(キシリレンジイソシアネート(XDI)の含有割合)
後述する準備例2において準備される純度99mol%のXDIを標準物質として、内部標準法により、下記の条件でガスクロマトグラフィーにて分析して、得られたガスクロマトグラムの面積値から検量線を作成した。
次いで、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物(または脱タールマス)を下記の条件でガスクロマトグラフィーにて分析して、XDIのモル数を得た。これを質量に換算して、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物中のXDIの含有割合(純度)を算出した。なお、内部標準物質のリテンションタイムは、8.8分であり、XDIのリテンションタイムは、13.8分であった。
装置;SHIMADZU 2014(島津製作所社製)
充填剤;DB−1(膜厚)1.5μm、
カラム;内径0.53mm×長さ60m(島津製作所社製)
オーブン温度;130℃から220℃まで3℃/minで昇温、220℃到達後300℃まで10℃/minで昇温。
スプリット比;パルスドスプリットレス法
注入口温度;280℃
検出器温度;300℃
キャリアガス;N2 158kPa、H2 55kPa、Air 45kPa(定圧制御)
内部標準物質;1,2,4,5−テトラクロロベンゼンを各サンプルに100mg添加
溶媒;クロロホルム
サンプル濃度:2.0質量%クロロホルム溶液
注入量;2μL
検出方法;FID
(クロロメチルベンジルイソシアネート(CBI)の含有割合)
純度95mol%のCBI(市販品)を標準物質としたこと以外は、上記したXDIの含有割合の測定と同様にして、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物(または脱タールマス)をガスクロマトグラフィーにて分析して、後述する各実施例および各比較例のそれぞれのXDI組成物中のCBIの含有割合を算出した。なお、CBIのリテンションタイムは、10.3分であった。
(シアノベンジルイソシアネート(MCN)の含有割合)
純度95mol%のMCN(市販品)を標準物質としたこと以外は、上記したXDIの含有割合の測定と同様にして、後述する各実施例および各比較例のXDI組成物(または脱タールマス)をガスクロマトグラフィーにて分析して、XDI組成物中のMCNの含有割合を算出した。なお、MCNのリテンションタイムは、11.5分であった。
(光学材料のイエローインデックスの値(Y.I.値)の算出)
後述する各実施例および各比較例の光学材料を、厚さ9mm、直径75mmの円形平板プラスチックレンズとして作成し、MINOLTA社製色彩色差計CT−210を用いて色度座標x、yを測定した。測定結果であるxとyの値を元に下記式(2)によりY.I.を算出した。
なお、Y.I.値は小さいほどプラスチックレンズの色相が良く、Y.I.値が大きいほど色相が不良となる相関がある。
Y.I.値=(234×x+106×y+106)/y (2)
(エラストマーの白濁)
後述する各実施例および各比較例のエラストマーの白濁を目視により、下記の基準で評価した。
3:透明
2:微白濁
1:白濁
(エラストマーの耐候性試験)
後述する各実施例および各比較例のエラストマーを、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にて粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて24時間乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG,テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押し出し、それをカットすることによって、後述する各実施例および各比較例のエラストマーのペレットを得た。そのペレットを、さらに窒素気流下、80℃にて24時間乾燥した。
次いで、射出成型機(型式:NEX−140,日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度150〜235℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間45秒の条件で射出成型を実施した。
得られたシート(厚み2mm)を、23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、後述する各実施例および各比較例のエラストマーシートを得た。
そして、エラストマーシートのb値(b1、初期値)を、色彩色素計(ミノルタカメラ社製、CR−200)により測定後、キセノン照射試験を実施した。
240時間経過後、エラストマーシートのb値(b2)を上記と同様に測定した。キセノン照射試験(240時間)におけるエラストマーシートの色差Δb(=|b2−b1|)を算出した。
なお、キセノン照射試験は、スーパーキセノンウエザメーター(スガ試験機社製、SX75−AP)を用いて、ブラックパネル温度89℃、相対湿度50%、キセノンランプ放射照度100W/m2(照射波長300〜400nm)の条件で実施された。
(エラストマーの引張物性)
JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法に記載の方法に準拠して得られたシートの引張試験を実施した。試験片(エラストマーシート)を、JIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精機製作所社製、全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で引張強度(単位:MPa)および伸度(単位:%)を測定した。
(フォームのUV照射試験における色差)
後述する各実施例および各比較例のフォームから30×40×10mmのサイズの直方体を切り出して、測定試料を作製した後、測定試料のb値(b1、初期値)を、色差計(東京電色社製、カラーエースMODEL TC−1)により測定した。
その後、測定試料に、紫外線蛍光灯が取り付けられたQUVウェザリングテスターを使用して、24時間、短波長(波長270〜720nm)の紫外線を照射した。24時間経過後の測定試料のb値(b2)を上記と同様に測定した。UV照射試験(24時間)におけるフォームの色差Δb(=|b2−b1|)を算出した。
(フォームの見かけ密度)
後述する各実施例および各比較例のフォームから10×10×5cmのサイズの直方体を切り出して、測定試料を作製した後、測定試料の見かけ密度(単位:kg/m3)を、JIS K7222(2005)に準拠して測定した。
(フォームの硬度 25%CLD)
JIS K−6400−2(2012年)に記載のD法に準拠して、後述する各実施例および各比較例のフォームの硬度(単位:N/100cm2)を測定した。
(フォームの反発弾性)
後述する各実施例および各比較例のフォームから10×10×5cmのサイズの直方体を切り出して、測定試料を作製した後、測定試料の反発弾性(単位:%)を、JIS K6400−3(2004)に準拠して測定した。
(フォームの引張物性)
後述する各実施例および各比較例のフォームの引張強度(単位:kPa)および破断伸び(単位:%)を、JIS K6400−5(2004)に準拠して測定した。
(二液硬化型シーリング材のUV照射試験における色差)
後述する各実施例および各比較例の二液硬化型シーリング材を測定試料として作製した後、測定試料のb値(b1、初期値)を、色差計(東京電色社製、カラーエースMODEL TC−1)により測定した。
その後、測定試料に、紫外線蛍光灯が取り付けられたQUVウェザリングテスターを使用して、240時間、短波長(波長270〜720nm)の紫外線を照射した。240時間経過後の測定試料のb値(b2)を上記と同様に測定した。UV照射試験(240時間)における二液硬化型シーリング材の色差Δb(=|b2−b1|)を算出した。
(二液硬化型シーリング材の引張物性)
JIS K−6301に記載の方法に準拠して、後述する各実施例および各比較例の二液硬化型シーリング材の引張試験を実施した。試験片(二液硬化型シーリング材)を、JIS−2号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(A&D社製、テンシロン)にて、引張速度500mm/分の条件で引張強度(単位:MPa)および破断伸び(単位:%)を測定した。
(コーティングの湿熱耐久試験における色差(変着色))
後述する各実施例および各比較例のコーティングが形成されたポリエチレンテレフタレート基材(以下、サンプルとする。)のb値(b1、初期値)を、色差計(スガ試験機社製、SM−T JIS Z8722 条件 d準拠 反射条件)により測定した。
次いで、サンプルを、恒温恒湿器(東洋製作社製、THN042PB)にて、85℃、相対湿度85%で、2000時間保持した。2000時間経過後のサンプルのb値(b2)を上記と同様に測定した。湿熱試験におけるコーティングの色差Δb(=|b2−b1|)を算出した。
(コーティングの密着性)
上記した湿熱耐久試験後のサンプルに対して、碁盤目法(JIS K5400−8.5に準拠)によって密着性試験を実施した。
(ラミネート用接着剤に接着されたラミネートフィルムの外観および接着強度)
白色印刷ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)の印刷面(白色印刷インキ;サカタインクス社製 ベルカラーR 白115 1液,ポリエチレンテレフタレートフィルム;東洋紡社製 エステルフィルム E5102)に、後述する各実施例および各比較例のラミネート用接着剤(主剤および硬化剤の配合比(主剤/硬化剤)=10/6)を、無溶剤ラミネーターにて、速度100m/min、80℃で塗布し、塗布面をアルミニウム箔(AL、厚み9μm、東洋アルミ社製軟質アルミハクC)のケシ面と貼り合わせた。
次いで、アルミニウム箔の他の面(ツヤ面)に、後述する各実施例および各比較例のラミネート用接着剤を、無溶剤ラミネーターにて、速度100m/min、80℃で塗布し、塗布面を未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚み60μm、三井化学東セロ社製、CP RXC−22)のコロナ処理面と貼り合わせた。
なお、塗布量は、約3.0g/m2となるように塗工した。その後、得られた3層ラミネート複合フィルム(ラミネートフィルム)を、40℃、8時間の条件で養生した。
次いで、アルミニウム箔/未延伸ポリプロピレンフィルム間の接着強度を、JIS K 6854−3(1999年)に準拠して、24℃下、15mm幅、引張速度300mm/minの条件にて測定した。
また、ラミネートフィルムを、40℃4日間養生し、後述する各実施例および各比較例のラミネート接着剤を硬化させた。
そして、得られたラミネートフィルムの白色印刷ポリエチレンテレフタレートフィルム側のラミネート外観を、目視にて下記の基準で評価した。
ラミネート外観;
○:均一に濡れていて良好な外観。
△:均一に濡れているが、濡れていないようなドットが僅かに有る。
×:濡れていないようなドットが大量に有る。
そして、得られたラミネートフィルムを使用して、9cm×13cmの大きさの袋を作成し、内容物として食酢/サラダ油/ケチャップを体積比1/1/1で混合したものを150g充填した。この袋を、210×520×105mmのトレイに載置し、121℃で30分間、0.20MPaの加圧下で熱水減菌した後、50℃で2週間保存した。
熱水減菌試験前後、および、50℃2週間保存後のアルミニウム箔/未延伸ポリプロピレンフィルム間の接着強度を、JIS K 6854−3(1999年)に準拠して、24℃下、15mm幅、引張速度300mm/minの条件にて測定した。
(ラミネート用接着剤のUV照射試験における色差)
後述する各実施例および各比較例のラミネート用接着剤を用い、塗布量4.0g/m2となるように、上記と同様にして、ポリエチレンテレフタレートシート(東レフィルム加工社製、ルミラーX10S、50ミクロン)に塗布し、ポリエチレンテレフタレートシート(東レフィルム加工社製、ルミラーX10S、50ミクロン)と貼り合わせ、40℃で4日間養生して、ラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムのb値(b1、初期値)を、色彩計(日本電色工業株式会社製、分光式色彩計、SE−2000)により、透過法により測定した。
次いで、ラミネートフィルムを、QUV装置(デューパネル光コントロールウェザーメーターFDP、スガ試験機社製、連続照射、70℃、10%RH、放射照度設定28W/m2)にて300時間連続で光照射し、取り出し後、色彩計でb値を測定した。光照射前(初期値)のb値と照射後のb値との差を、Δb値として、硬化したラミネート用接着剤の黄変度合を評価した。その結果を表3に示す。
(一液硬化型シーリング材のUV照射試験における色差)
上記の二液硬化型シーリング材のUV照射試験と同様にして、UV照射試験(240時間)における、後述する各実施例および各比較例の一液硬化型シーリング材の色差Δb(=|b2−b1|)を算出した。
(一液硬化型シーリング材の引張物性)
JIS K−6301に記載の方法に準拠し、上記の二液硬化型シーリング材の引張試験と同様にして、後述する各実施例および各比較例の一液硬化型シーリング材の引張強度(単位:MPa)および破断伸び(単位:%)を測定した。
2.各種の標準物質の準備
(準備例1)
下記化学式(4)に示すスキームにて、上記化学式(1)に示すDCIを合成した。
3−シアノベンズアルデヒド250.4mg(1.91mmol)とジクロロメタン15.0mlとの混合溶液に、塩化タングステン1.89g(4.77mmol)を添加し、ジクロロメタン還流下で3時間反応させた後、室温まで冷却した。続いて、反応液を、炭酸水素ナトリウム水溶液5mlおよび1N水酸化ナトリム水溶液28mlの混合液中に10℃以下を保ちながら徐々に滴下した。
ジクロロメタン層を分液した後、水層をジクロロメタン15mlで2回抽出操作した。分液で得られたジクロロメタン層と、抽出操作で得られたジクロロメタン層とを混合し、ジクロロメタン層を飽和食塩水20mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
乾燥後、ジクロロメタン層から硫酸マグネシウムを濾別した後、ジクロロメタンを留去して濃縮液を得た。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより濃縮液から3−(ジクロロメチル)ベンゾニトリル331.1mg(1.78mmol)を得た。そして、得られた3−(ジクロロメチル)ベンゾニトリルを1H−NMR (270MHz,CDCl3)により分析した。
3−(ジクロロメチル)ベンゾニトリル:1H−NMR (270MHz,CDCl3) δ7.89−7.81(2H,m)、7.71−67 (1H,m)、7.58−7.53(1H,m)、6.71(1H,s)。
次いで、3−(ジクロロメチル)ベンゾニトリル715.4mg(3.85mmol)とテトラヒドロフラン14.0mlとの混合溶液に、ボラン−ジメチルスルフィドコンプレックスのテトラヒドロフラン溶液10.1ml(19.2mmol)を室温で滴下した後、23時間攪拌して反応させた。
反応後、反応液を氷冷しながら反応液に水10mlを滴下した後、2M塩酸2.5ml(5.0mmol)を添加した。続いて、反応液に酢酸エチル20mlを添加して攪拌しながら反応液を洗浄した。
酢酸エチル層を分液除去した後、反応液に1M水酸化ナトリウム6mlを添加し、反応液をジクロロメタン15mlで4回抽出操作し、得られたジクロロメタン層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
乾燥後、ジクロロメタン層から硫酸マグネシウムを濾別した後、ジクロロメタンを留去して3−(ジクロロメチル)ベンジルアミン434.0mg(2.28mmol)を得た。そして、得られた3−(ジクロロメチル)ベンジルアミンを1H−NMR (270MHz,CDCl3)により分析した。
3−(ジクロロメチル)ベンジルアミン:1H−NMR (270MHz,CDCl3) δ7.79−7.33(4H,m)、6.71(1H,s)、3.92 (2H,s)。
次いで、トリホスゲン263.4mg(0.888mmol)とトルエン7.0mlとの混合溶液に、上記で得られた3−(ジクロロメチル)ベンジルアミン337.4mg(1.78mmol)とトルエン7.0mlとの混合溶液を滴下した後、120℃で3時間反応させた。
反応後、室温まで冷却し、トルエンを留去して濃縮液を得た。続いて、濃縮液にクロロホルム3mlを添加して不溶物を、メンブランフィルターにより除去した後、クロロホルムを留去して3−(ジクロロメチル)ベンジルイソシアネート(DCI)278.0mg(1.29mmol)を得た。そして、得られた3−(ジクロロメチル)ベンジルイソシアネート(DCI)を1H−NMR (270MHz,CDCl3)、13C−NMR(100MHz,CDCl3)、FT−IRおよびMSにより分析した。
3−(ジクロロメチル)ベンジルイソシアネート(DCI):
1H−NMR (400MHz,CDCl3) δ7.64−7.33 (4H,m)、6.71 (1H,s)、4.56(2H,s)、
13C−NMR (100MHz,CDCl3) δ46.0、71.3、123.3、124.4、125.7、128.1、129.3、137.6、141.0、
FT−IR : 2256cm−1
MS : m/z=215(M+)
また、得られた3−(ジクロロメチル)ベンジルイソシアネート(DCI)を、検出方法をFIDに変更したこと以外は上記したDCIの含有割合の測定用の条件と同じ条件で、ガスクロマトグラフィーにて分析した。
そして、得られたガスクロマトグラムにおける全ピーク面積に対する、DCIに対応するピーク面積(リテンションタイム16.6分)の比率が、99面積%以上であることを確認した。
この結果から、合成された3−(ジクロロメチル)ベンジルイソシアネート(DCI)の純度を99mol%として、DCIの標準物質とした。
(準備例2)
後述する実施例1において製造されるXDI組成物を、1H−NMR(270MHz,CDCl3)、13C−NMR(100MHz,CDCl3)、FT−IRおよびMSにより分析した。また、そのXDI組成物を、上記したXDIの含有割合の測定用の条件でガスクロマトグラフィーにて分析した。
そして、得られたガスクロマトグラムにおける全ピーク面積に対する、XDIに対応するピーク面積(リテンションタイム13.8分)の比率が、99面積%以上であることを確認した。
この結果から、XDI組成物におけるXDIの含有割合(純度)を99mol%として、XDIの標準物質とした。
3.キシリレンジイソシアネート組成物の製造
(実施例1〜7および実施例10)
XDI組成物を図1に示すプラント1により製造した。詳しくは、オルソジクロロベンゼン(ODCB)600質量部を、図1に示す撹拌槽21に装入した。次いで、撹拌槽21内の造塩温度を100℃に調節するとともに、撹拌槽21内の造塩圧力(ゲージ圧)を0.1MPaGに調節した。その後、HClガス128質量部を、塩化水素供給ライン24より撹拌槽21に吹き込むとともに、m−XDA160質量部とODCB1240質量部との混合溶液(アミン溶液)を、アミン供給ライン22より撹拌槽21に2時間かけて装入した。これにより、XDA塩酸塩の濃度が12.5質量%であるスラリーを調製した。
次いで、HClガスを、64質量部/hrの供給速度で塩化水素供給ライン24より撹拌槽21に連続的に吹き込むとともに、m−XDAの濃度が8質量%であるアミン溶液を、1000質量部/hrの供給速度でアミン供給ライン22より撹拌槽21に連続的に装入しながら、XDA塩酸塩を含むスラリーを、塩酸塩送液ライン26により反応槽31Aに送液した。
次いで、塩化カルボニルを、表1に示す供給速度で塩化カルボニル供給ライン30より、反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれに連続的に導入した。反応槽31Aおよび反応槽31Bのそれぞれにおける反応温度および反応圧力(ゲージ圧)、イソシアネート化ユニット3における平均滞留時間、および、XDA塩酸塩1molに対する塩化カルボニルの供給割合を表1に示す。
これにより、XDA塩酸塩と塩化カルボニルとを反応させてXDIを生成し、XDIを含む反応マスを調製した。また、未反応の塩化カルボニルの一部は、コンデンサ35Aおよびコンデンサ35Bで凝縮されて、液化塩化カルボニルおよびODCBの混合液(還流液)として、還流ライン34Aおよび還流ライン34Bより反応槽31Aおよび反応槽31Bに戻された。
また、コンデンサにより凝縮されなかった未反応の塩化カルボニルと、副生したHClガスとは、排気ライン33Aおよび排気ライン33Bより図示しない塩化カルボニル回収装置に供給された。その後、塩化カルボニル回収装置において、液化塩化カルボニルとHClガスとに分離され、液化塩化カルボニルは、塩化カルボニル貯槽に回収した。
次いで、反応マスを、反応槽31Bから反応マス送液ライン32Bにより排出し、脱ガス塔41に連続的に送液した。その後、脱ガス塔41において反応マスを脱ガスした。次いで、脱ガスマスを、脱ガス塔41から脱ガスマス送液ライン42により排出し、脱溶媒塔51に連続的に送液した。これにより、m−XDIの濃度が92質量%である脱溶媒マス120質量部を調製した。
次いで、脱溶媒マスを、脱溶媒塔51から脱溶媒マス送液ライン52により排出し、脱タール器61に連続的に送液した。その後、脱タール器61において脱溶媒マスを脱タールして、脱タールマスを調製した。脱タールマスにおける、ODCB、XDI、CBIおよびDCIの含有割合を表1に示す。
次いで、脱タールマスを、100質量部/hrの供給速度で、脱タールマス送液ライン63により脱低沸塔71に連続的に送液した。脱低沸塔71は、理論段数10段相当の充填物が充填されていた。その後、脱低沸塔71において脱タールマスから低沸物を除去して、脱低沸マスを調製した。
詳しくは、脱低沸塔71からの混合蒸気を、コンデンサ73により凝縮して、低沸物を含む凝縮液の一部を、塔頂還流ライン75により脱低沸塔71に戻した。また、凝縮液のその他の部分を、低沸排出ライン74より排出した。また、脱低沸マスを、脱低沸マス送液ライン76により精留塔81に連続的に送液した。
脱低沸塔における脱低沸条件を以下に示す。
塔底温度:160〜170℃
塔頂温度:115〜125℃
塔頂圧力:0.5〜1.0kPa
塔頂還流量:表1に示す。
低沸物の低沸排出ラインからの留出量:表1に示す。
塔頂還流比:表1に示す。
滞留時間:0.3〜3hr
その後、精留塔81において脱低沸マスからXDI組成物を留分として調製した。精留塔81は、理論段数3段相当の充填物が充填されていた。
詳しくは、精留塔81からの留分(XDI組成物)を、コンデンサ83により凝縮して、留分(XDI組成物)の一部を、塔頂還流ライン85により精留塔81に戻した。また、留分(XDI組成物)のその他の部分を、XDI取出ライン84より取出した。
精留塔における精留条件を以下に示す。
塔底温度:150〜160℃
塔頂温度:140〜150℃
塔頂圧力:0.5〜0.8kPa
XDI組成物のXDI留出ラインからの留出量:表1に示す。
塔頂還流比:1
滞留時間:1〜10hr
以上によって、XDI組成物を製造した。XDI組成物における、XDI、CBI、DCIおよび加水分解性塩素の含有割合を表1に示す。
(実施例8、9および比較例1)
ODCB、HClガスおよびm−XDAの使用量を実施例1〜7の1/2に変更した点、塩化カルボニルの供給速度、反応圧力(ゲージ圧)、平均滞留時間、塔頂還流量、低沸物の留出量、塔頂還流比およびXDI組成物の留出量を、表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、XDI組成物を製造した。XDI組成物における、XDI、CBI、DCIおよび加水分解性塩素の含有割合を表1に示す。
(比較例2)
実施例2で得られたXDI組成物2000gを、内容積が3Lの4つ口丸型フラスコに装入した。4つ口フラスコに、マクマフォンパッキンが70cm充填された25mmφの精留塔と、N2導入のキャピラリー管と、温度計とを取り付けた。また、精留塔の塔頂に電磁開閉器と、コンデンサと、コンデンサからの凝縮液を受ける500mlのナス型フラスコとを取り付けた。
次いで、精留塔の塔頂圧力を0.2〜0.3kPaに調節し、4つ口丸型フラスコ内の温度を150〜165℃にコントロールして、電磁開閉器により、塔頂還流比10で還流しながら、留出液をXDI組成物として500mlナス型フラスコに取り出した。そして、留出液200g毎に500mlナス型フラスコを取り換えて、留出率(留出率=留出液量/仕込み液量×100)20〜60%の留出液を合わせて、XDI組成物800gを分取した。XDI組成物における、XDI、CBIおよびDCIの含有割合を表1に示す。
(比較例3)
留出率50%まで塔頂還流比を20で留出液を留出し、その後、塔頂還流比5で留出液を留出したこと以外は、比較例2と同様にして、留出率50〜80%の留出液を合わせて、XDI組成物600gを製造した。XDI組成物における、XDI、CBIおよびDCIの含有割合を表1に示す。
4.エラストマー(TPU)
撹拌機、温度計、還流管および窒素供給ラインを備えた4つ口フラスコに、実施例1、2、4、6〜9および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物(ポリイソシアネート成分)198質量部と、数平均分子量2000のアジペート系ポリエステルポリオール(三井化学社製、タケラックU−2024、活性水素基含有成分)531.2質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にて、NCO基含量が9.1質量%になるまで反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造した。
さらに、耐熱安定剤(チバスペシャルティケミカル社、イルガノックス245)3.9質量部、触媒(エーピーアイコーポレーション社製、スタノクト、オクチル酸錫)を、ジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製、DINA)により4質量%に希釈した溶液0.07質量部を、イソシアネート基末端プレポリマーに加えて、スリーワンモータ(新東化学社製、HEIDON FBL3000)を使用して、600rpmの撹拌下、約1分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)131.9質量部を、イソシアネート基末端プレポリマーに添加した。さらに、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との混合液を、約2分間全体が均一になるまで十分に撹拌した。
次いで、予め150℃に温調したステンレス製のパッドに、混合液を流し込み、150℃にて1時間、次いで、100℃にて23時間反応させて、エラストマーを製造した。
その後、パッドからエラストマーを取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。
(エラストマーの評価)
得られたエラストマー(TPU)の白濁性、キセノン照射試験における色差および引張物性(引張強度および伸度)を測定した。その結果を表2に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とキセノン照射試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とキセノン照射試験における色差(縦軸)との相関を図2に示す。
表2および図2に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上であると、エラストマー(TPU)の白濁を抑制できることが確認された。また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、エラストマー(TPU)の耐変色性の向上が確認された。この点、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、キセノン照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、エラストマー(TPU)の機械特性(伸びおよび強度)の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、エラストマー(TPU)の機械特性(伸びおよび強度)が顕著に向上されている。また、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、エラストマー(TPU)の機械特性(伸びおよび強度)が顕著に向上されている。
5.フォーム
数平均分子量700のポリエーテルポリオール(三井化学社製、アクトコールG−250)60質量部と、数平均分子量5000のポリエーテルポリオール(三井化学社製、アクトコールT−5000)40質量部と、トリエタノールアミン5質量部と、水3質量部と、アミン触媒(モメンティブ社製、33LV)1質量部と、ジラウリン酸ジブチル錫1質量部と、整泡剤(ビックケミー社製、BYK−9001)1質量部と、ジプロピレングリコール4質量部とを、温度23℃、相対湿度55%で均一になるように撹拌混合して、プレミックスを調製した。
その後、プレミックスに、実施例1〜10および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物70.7質量部を加えて、ハンドミキサー(回転数5000rpm)によって15秒間撹拌して、フォーム組成物を製造した。その直後に、木製のボックスに投入して発泡させた。これにより、フォームを製造した。
(フォームの評価)
得られたフォームのUV照射試験における色差、引張物性(引張強度および破断伸び)、見かけ密度、硬度および反発弾性を測定した。その結果を表2に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)と、UV照射試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関を図3に示す。
表2および図3に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、フォームの耐変色性の向上が確認された。この点、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、フォームの機械特性(伸びおよび強度)の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、フォームの機械特性(伸びおよび強度)が顕著に向上されている。また、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、フォームの機械特性(伸びおよび強度)が顕著に向上されている。
また、CBIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、3000ppm以下であると、フォームの機械特性(伸びおよび強度)の向上が確認された。この点、実施例5と実施例10との比較からも明らかである。
CBIの含有割合が3000ppmである実施例5は、CBIの含有割合が4100ppmである実施例10と比較して、フォームの機械特性(伸びおよび強度)が向上されている。
6.光学材料(プラスチックレンズ)
(プラスチックレンズAの調製)
フラスコに、ジブチル錫ジクロライド0.001質量部、内部離型剤(Stepan社製、ゼレックUN、酸性リン酸エステル)0.07質量部、紫外線吸収剤(堺化学工業社製、バイオソーブ583)0.05質量部、実施例1、2、4、6〜9および比較例1、3のそれぞれのXDI組成物36.4質量部を仕込んだ。そして、それらを25℃で1時間攪拌して溶解させて、ポリイソシアネート成分を調製した。
なお、比較例3のXDI組成物は、ジブチル錫ジクロライド、内部離型剤および紫外線吸収剤と良好に溶解せず、ポリイソシアネート成分が、白濁ゲル化してプラスチックレンズを製造できなかった。
その後、このポリイソシアネート成分に1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン(ポリチオール成分)33.6質量部を装入混合して重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を600Paにて1時間脱泡した後、3μmPTFEフィルターにて濾過した。その後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、10℃から120℃まで徐々に昇温して、18時間重合させた。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して光学材料(プラスチックレンズA)を製造した。
(プラスチックレンズB)
フラスコに、ジブチル錫ジクロライド0.01質量部、内部離型剤(Stepan社製、ゼレックUN、酸性リン酸エステル)0.1質量部、紫外線吸収剤(堺化学工業社製、バイオソーブ583)0.05質量部、実施例1、2、4、6〜9および比較例1、3のそれぞれのXDI組成物50.7質量部を仕込んだ。そして、それらを25℃で1時間攪拌して溶解させて、ポリイソシアネート成分を調製した。
なお、比較例3のXDI組成物は、ジブチル錫ジクロライド、内部離型剤および紫外線吸収剤と良好に溶解せず、ポリイソシアネート成分が、白濁ゲル化してプラスチックレンズを製造できなかった。
その後、このポリイソシアネート成分に、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンの混合物(ポリチオール成分)49.3質量部を装入混合して重合性組成物を調製した。この重合性組成物をプラスチックレンズAの調製と同様に重合させて、光学材料(プラスチックレンズB)を製造した。
(光学材料の評価)
得られたプラスチックレンズAおよびBのY.I.値を測定した。その結果を表2に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とプラスチックレンズAのY.I.値(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とプラスチックレンズAのY.I.値(縦軸)との相関を図4Aに示す。XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とプラスチックレンズBのY.I.値(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とプラスチックレンズBのY.I.値(縦軸)との相関を図4Bに示す。
表2、図4Aおよび図4Bに示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上であると、ポリイソシアネート成分が、白濁ゲル化することを抑制でき、プラスチックレンズを安定して製造できることが確認された。また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、プラスチックレンズの耐変色性の向上が確認された。この点、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、Y.I.値の増加が顕著に抑制されている。
7.二液硬化型シーリング材
撹拌装置を備えるセパラブルフラスコに、実施例1〜4、7〜9および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物(ポリイソシアネート成分)170.0質量部、数平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール(三井化学社製、Diol−2000)553.3質量部、数平均分子量3000のポリオキシプロピレントリオール(三井化学社製、MN−3050)276.7質量部を装入した。それらの混合物を、窒素雰囲気下、80℃にて5時間反応させた。その後、さらに25℃で24時間熟成して、A剤(硬化剤:イソシアネート基末端プレポリマー)を製造した。
また、プラネタリーミキサーに、1,4−ブタンジオール20.1質量部、数平均分子量2000のポリオキシエチレンオキシプロピレンジオール(三井化学社製、ED−56)223.8質量部、数平均分子量2000のポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(三井化学社製、EP−550N)223.8質量部、ジラウリン酸ジブチル錫1.0質量部、ジイソノニルアジペート35質量部、炭酸カルシウム450質量部、ヒュームドシリカ(アエロジル#200)40質量部を徐々に添加し、窒素雰囲気下で1時間撹拌して、B剤(主剤:活性水素基含有成分)を製造した。
次いで、A剤100質量部と、B剤100質量部とを、20℃、相対湿度50%の条件で3分間撹拌混合した。その混合液を、鋼板に均一に塗布した後、100℃で1時間加熱硬化後、23℃、相対湿度50%の条件下で7日間養生して、二液硬化型シーリング材を製造した。
(二液硬化型シーリング材の評価)
得られた二液硬化型シーリング材のUV照射試験における色差および引張物性(引張強度および破断伸び)を測定した。その結果を表2に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関を図5に示す。
表2および図5に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、二液硬化型シーリング材の耐変色性の向上が確認された。この点、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、二液硬化型シーリング材の機械特性(伸びおよび強度)の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、二液硬化型シーリング材の伸びが顕著に向上されている。また、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、二液硬化型シーリング材の伸びおよび強度が顕著に向上されている。
8.コーティング材
(A剤1:XDIのTMPアダクト体)
実施例1、3、4、7〜9および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物463.3質量部と、トリメチロールプロパン36.7質量部とを混合し、窒素雰囲気下70℃で6時間反応させた。この反応液を、薄膜蒸留装置を用いて未反応のXDIを留去することにより、XDI変性体組成物を製造した。XDI変性体組成物は、XDIとトリメチロールプロパンとの反応生成物であるウレタン基を含有していた。
このXDI変性体組成物を、固形分75質量%となるように、酢酸エチルを加えて、ポリイソシアネート成分(A剤1)を製造した。なお、ポリイソシアネート成分におけるNCO基含量は、11.8質量%であった。
(A剤2:XDIのイソシアヌレート変性体)
実施例1、3、4、7〜9および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物100質量部に、1,3−ブタンジオール2質量部を加え、窒素雰囲気下75℃に昇温して、2時間ウレタン化反応させた。1,3−ブタンジオールのヒドロキシ基に対する、XDIのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は24であった。次いで、同温度でイソシアヌレート化触媒として、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイドの溶液(37%メタノール溶液)を0.1phr(固形分換算0.037phr)配合し、反応開始から4時間でイソシアヌレート化反応を終了させた。得られた反応液を薄膜蒸留装置(温度150℃、真空度50Pa)に通液して、未反応のXDIを除去(蒸留収率60質量%)することにより、XDI変性体組成物を製造した。XDI変性体組成物は、XDIの三量体であるイソシアヌレート基を含有していた。このXDI変性体組成物を、固形分75質量%となるように、酢酸エチルを加えて、ポリイソシアネート成分(A剤2)を製造した。
(B剤)
フッ素ポリオール(ダイキン工業社製、ゼッフルGK−570、水酸基価(固形分):64mgKOH/g、溶剤:酢酸ブチル)40質量部と、酸化チタン(石原産業社製、CR93)52.5質量部と、酢酸ブチル33.8質量部と、直径2mmガラスビーズ110質量部と、ペイントシェーカーにて2時間撹拌した。その後、その混合液から、ろ過によりガラスビーズを除去した。そして、固形分濃度が58質量%となるように、溶剤を添加して、活性水素基含有成分(B剤)を製造した。活性水素基含有成分中の酸化チタンの含有割合は、45質量%であった。
(コーティングの評価)
得られたポリイソシアネート成分(A剤1およびA剤2のそれぞれ)と活性水素基含有成分(B剤)とを、水酸基に対するイソシアネート基(NCO/OH)の当量比が1.0となるように混合して、混合液を調製した。次いで、混合液に、NV値(塗膜分質量)が60%となるように、酢酸ブチルを添加した。その後、混合液を、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする。)基材の表面に塗布し、120℃で2分間加熱硬化させた。次いで、混合液が塗布されたPET基材を、60℃で2日間養生させた。これにより、PET基材に、厚みが約15μmのコーティングが形成した。
このコーティングの耐候性(湿熱試験におけるコーティングの色差Δb(=|b2−b1|)および密着性(碁盤目試験)を測定した。その結果を表3に示す。
また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)と湿熱試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)と湿熱試験における色差(縦軸)との相関を図6および図7に示す。
表3、図6および図7に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、コーティングの耐変色性の向上が確認された。この点、比較例1と実施例3との比較からも明らかである。比較例1と実施例3とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が4.2ppmである実施例3は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、湿熱試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、コーティングの密着性の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、および、比較例1と実施例9とのからも明らかである。
DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、コーティングの密着性が顕著に向上されている。また、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、コーティングの密着性が顕著に向上されている。
9.ラミネート用接着剤
温度計、撹拌装置、窒素導入管および冷却管が装着された反応器に、窒素雰囲気下、実施例1〜4、7〜9、比較例1および2のそれぞれのXDI組成物100質量部と、2,6−ジ(tert-ブチル)−4−メチルフェノール(別名:ジブチルヒドロキシトルエン、BHT、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.025質量部と、テトラフェニル・ジプロピレングリコール・ジホスファイト(JPP−100(商品名、城北化学工業社製)有機亜リン酸エステル、助触媒)0.05質量部とを仕込んだ後、この仕込み液に、1,3−ブタンジオール1.96質量部を加え、仕込み液を75℃に昇温して、ウレタン化反応させた。1,3−ブタンジオールのヒドロキシ基に対する、m−キシリレンジイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は24であった。
次いで、同温度で120分間反応後、60℃に降温した。そして、イソシアヌレート化触媒として、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイド(TBAOH)の溶液(37%メタノール溶液)を、0.04質量部(固形分換算0.015質量部)配合し、イソシアヌレート化反応させた。反応開始から390分でイソシアヌレート化反応を終了させた。反応中の到達最高温度は、71℃であった。
そして、得られた反応混合液を、薄膜蒸留装置(温度150℃、真空度50Pa)に通液して、未反応のキシリレンジイソシアネートを除去した。なお、蒸留収率は60.0質量%であった。
この反応におけるアルコール変性率は、反応混合液(蒸留前)において1.96質量%、イソシアヌレート誘導体(蒸留後)において3.27質量%であり、イソシアネート基の転化率は34.2質量%であり、ウレタン転化率は、5.3質量%であり、イソシアヌレート転化率は、28.9質量%であった。
なお、得られた反応混合液は、固形分75%になるように酢酸エチルで希釈して、ラミネート接着剤の硬化剤(A剤)とした。
また、イソフタル酸588.1質量部、1,3−ブタンジオール752.24質量部、および、ネオペンチルグリコール440.22質量部を窒素気流下、180〜220℃でエステル化反応させ、所定量の水を留出させた後、アジピン酸258.66質量部、セバシン酸357.98質量部、および、チタンテトラブトキシド0.08質量部を加え、180〜220℃でエステル化反応させ、数平均分子量約500のポリエステルポリオールを得た。
そして、ポリエステルポリオール750質量部、および、無水トリメリト酸57.6質量部を、窒素気流下、120〜150℃で3時間反応させ、60℃まで冷却後、アクトコールT−700(ポリプロピレンポリオール,三井化学SKCポリウレタン社製)171.4質量部、リン酸1.0質量部およびエポキシシラン20.0質量部を加えて、十分に混合し、固形分100%の樹脂として、主剤(B剤)を得た。
次いで、主剤と硬化剤とを質量比10/6で配合し、ラミネート用接着剤を得た。
(ラミネート用接着剤の評価)
得られたラミネート用接着剤により接着されたラミネートフィルムの外観、接着強度およびUV照射試験における色差を測定した。その結果を表3に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関を図8に示す。
表3および図8に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、ラミネート用接着剤の耐変色性の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
比較例2と実施例1とはともにCBIの含有割合が100ppmであるが、DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。また、比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、ラミネートフィルムの外観の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、および、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、ラミネートフィルムの外観が顕著に向上されている。また、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、ラミネートフィルムの外観が顕著に向上されている。
10.一液硬化型シーリング材
撹拌装置を備えるセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、実施例1〜4、7〜9および比較例1、2のそれぞれのXDI組成物(ポリイソシアネート成分)91.67質量部、予め減圧脱水した数平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオール(三井化学SKCポリウレタン社製、D−3000)229.78質量部および数平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール(三井化学SKCポリウレタン社製、T−5000)199.57質量部を装入した。それらの混合物を、窒素雰囲気下、90℃にて6時間反応させた。その後、数平均分子量2000のポリエステルポリオール(三井化学社製、タケラックU−7020)83.90質量部を添加し、90℃にて5時間反応させた。次いで、60℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート105質量部を加えて、同温度にて、1時間撹拌混合し、ポリウレタンプレポリマーを得た。
窒素を導入するラインを具備した撹拌装置に、2?(2?プロピル?1,3?オキサゾリジン?3?イル)?エタノール(和光純薬製)とノルボルナンジイソシアネート(三井化学社製、NBDI)をモル比で2:1となるように仕込み、100℃で6時間、反応させてオキサゾリジン化合物を調製した。
上記のポリウレタンプレポリマーに、オキサゾリジン化合物105.58質量部を加えて、50℃で1時間撹拌して、一液硬化型シーリング用ポリウレタンを製造した。
その後、プラネタリーミキサーに、50℃に調整した一液硬化型シーリング用ポリウレタン811.6質量部、ヒュームドシリカ(アエロジル#200)56.7質量部、グレー色のドライカラー(トーヨーカラー社製)79.6質量部、酸化防止剤(BASF社製、イルガノックス1076)17.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製、チヌビン213)7質量部およびイソパラフィン系溶剤(シェル社製、アイソパーM)27.0質量部を添加し、真空しながら撹拌し、一液硬化型シーリング組成物を製造した。
次いで、一液硬化型シーリング組成物を23℃、相対湿度50%の条件下で7日間養生して、一液硬化型シーリング材を製造した。
(一液硬化型シーリング材の評価)
得られた一液硬化型シーリング材のUV照射試験における色差および引張物性(引張強度および破断伸び)を測定した。その結果を表3に示す。また、XDI組成物におけるDCIの含有割合(下側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関、および、XDI組成物におけるCBIの含有割合(上側の横軸)とUV照射試験における色差(縦軸)との相関を図9に示す。
表3および図9に示されるように、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、0.6ppm以上60ppm以下であると、CBIの含有割合に関わらず、一液硬化型シーリング材の耐変色性の向上が確認された。この点、比較例2と実施例1との比較、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
比較例2と実施例1とはともにCBIの含有割合が100ppmであるが、DCIの含有割合が0.7ppmである実施例1は、DCIの含有割合が0.5ppmである比較例2と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。また、比較例1と実施例9とはともにCBIの含有割合が1600ppmであるが、DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、UV照射試験における変色(Δbの増加)が顕著に抑制されている。
また、DCIの含有割合が、XDI組成物の総質量に対して、60ppm以下であると、一液硬化型シーリング材の機械特性(伸びおよび強度)の向上が確認された。この点、比較例1と実施例9との比較からも明らかである。
DCIの含有割合が58ppmである実施例9は、DCIの含有割合が65ppmである比較例1と比較して、一液硬化型シーリング材の引張強度および破断伸びが顕著に向上されている。