JPWO2018181279A1 - プリプレグ、樹脂含浸物の製造方法および樹脂含浸物の製造装置 - Google Patents

プリプレグ、樹脂含浸物の製造方法および樹脂含浸物の製造装置 Download PDF

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Abstract

強化繊維からなる繊維束を含むシート状強化繊維基材と、樹脂組成物を含むマトリクス樹脂とを含むプリプレグであって、前記シート状強化繊維基材の目付が400g/m以上であり、プリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量が、33質量%以上45質量%以下であり、プリプレグは揮発成分を含んでもよく、プリプレグが揮発成分を含む場合、プリプレグ中の前記揮発成分の含有量が0質量%を超え0.50質量%以下であり、前記シート状強化繊維基材を構成する前記繊維束の前記マトリクス樹脂の含浸率が70%以上であるプリプレグ。

Description

本発明は、プリプレグ、樹脂含浸物の製造方法および樹脂含浸物の製造装置に関する。
本願は、2017年3月29日に日本に出願された特願2017−64313号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
強化繊維のシート状物に樹脂を含浸させてプリプレグを製造する方法としては、強化繊維のシート状物と、シート状担体の表面に樹脂層を担持した樹脂シートとを重ねた積層体を、プレスロールとこれに対向配置された加熱ロールとの間に通して加熱および加圧することによって強化繊維のシート状物に樹脂を含浸させる方法が知られている。
強化繊維のシート状物に樹脂を短時間で十分に含浸させるためには、樹脂の粘度を低くしたり、プレスロールと加熱ロールとの線圧を高くしたり、加圧時間を長くしたりする必要がある。しかし、これらの条件下で積層体をプレスロールと加熱ロールとの間に通した場合、プレスロールと加熱ロールとによって樹脂が積層体から絞り出され、樹脂が積層体の移動方向の上流側に流れ出すという問題(樹脂流れの問題)が発生する。
樹脂流れを抑える含浸方法としては、プレスロールとして、外周面に凹凸パターンを有し、かつ凸部の面積の百分率が外周面の20〜90%である凹凸プレスロールを用いる方法が提案されている(特許文献1、2)。
また、真空バッグ成型のような成形時間が長い成型方法において、繊維シートに一部未含浸部が残っているプリプレグを使用する方法が提案されている。(特許文献3)
一方、プリプレグの成形には、オートクレーブ法とプレス成型があり、これらの中でも特にプレス成型は、成形時間が短いため生産性が高い。
また、プリプレグの成形原料としては比較的薄い基材を用いる薄目付と、比較的厚い基材を用いる厚目付とがあり、部材を成形する場合には、厚目付を用いるほうがコスト的に有利である。
しかし、プレス形成を用いてプリプレグを成形するためには、基材中にマトリクス樹脂が十分に含浸している必要がある。従来は、厚目付のプリプレグを製造するにあたっては、溶剤を用いたラッカー法が用いられているが、揮発性有機化合物の使用の問題(VOC)がある。
そこで、溶媒を用いないホットメルト法で厚目付のプリプレグを製造することが試みられているが、ボイド発生等の問題があり、マトリクス樹脂の含浸率の高い厚目付のプリプレグの製造が望まれている。
特開平1−200914号公報 特開平2−298519号公報 特開2004−050574号公報
しかし、特許文献1、2に記載の凹凸プレスロールを用いた場合でも、強化繊維のシート状物が厚くなり、含浸させる樹脂の量が多くなると、樹脂流れを抑えつつ、強化繊維のシート状物に樹脂を十分に含浸させることは困難である。
また、引用文献3に記載の繊維シートに一部未含浸部が残っているプリプレグをプレス成型の様に成型時間が短い方式に適用した場合は、成型物の外観上にフクレと呼ばれる欠陥や、層間ボイド、ピンホールが現れることがある。
本発明は、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物に樹脂を十分に含浸させることができる樹脂含浸物の製造方法および樹脂含浸物の製造装置を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]強化繊維からなる繊維束を含むシート状強化繊維基材と、樹脂組成物を含むマトリクス樹脂とを含むプリプレグであって、
前記シート状強化繊維基材の目付が400g/m以上であり、
プリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量が、33質量%以上45質量%以下であり、
プリプレグは揮発成分を含んでもよく、プリプレグが揮発成分を含む場合、プリプレグ中の前記揮発成分の含有量が0質量%を超え0.50質量%以下であり、
前記シート状強化繊維基材を構成する前記繊維束の前記マトリクス樹脂の含浸率が70%以上であるプリプレグ。
[2]任意の繊維束の繊維方向に直交する方向のプリプレグの垂直断面において、前記任意の繊維束の周囲に残存しているマトリクス樹脂の断面積Aと、前記任意の繊維束の断面積Aの(A/A)×100で表される比率が10%以下である、[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記シート状強化繊維基材の目付が、400g/m以上1500g/m以下である、[1]または[2]に記載のプリプレグ。
[4]開口率が0.5%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のプリプレグ。
[5]40℃におけるカンチレバー値が10mm以上50mm以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のプリプレグ。
[6]前記樹脂組成物の硬化開始温度が80〜150℃であり、かつ、前記硬化開始温度における粘度(最低粘度)が0.1〜10Pa・Sである、[1]〜[5]のいずれかに記載のプリプレグ。
[7]前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂組成物である、[1]〜[6]のいずれかに記載のプリプレグ。
[8]前記強化繊維が炭素繊維である、[1]〜[7]のいずれかに記載のプリプレグ。
[9]含浸対象シート状物と樹脂層とを重ねた積層体を、プレスロールと前記プレスロールに対向配置された対向ロールとの間に通して加圧することによって前記含浸対象シート状物に樹脂が含浸した樹脂含浸物を製造する方法であり、
前記積層体を、前記プレスロールと前記対向ロールとの間に通した後、前段と同じまたは前段とは異なるプレスロールと対向ロールとの間に通すことによって、プレスロールと対向ロールとの間に合計でm(ただしmは2以上の整数である。)回通過させ、
前記プレスロールが、外周面に複数の凸部と前記凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ、下記条件(α)を満足する凹凸プレスロールである、樹脂含浸物の製造方法。
<条件(α)>
前記積層体をa回目に通過させる凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXと、前記積層体をb回目に通過させる凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXとが、下記式(2)の関係を満足するaおよびbが存在する。ただし、aおよびbは、1≦a<b≦mの整数である。
>X ・・・(2)
=A×W ・・・(1)
ただし、iは1〜mの整数であり、Aは前記凸部および前記凹部が形成された領域における前記凹部の面積の割合であり、Wは凹部の幅(mm)である。
[10]前記式(1)から求めたXが、0.5〜6である、[9]に記載の樹脂含浸物の製造方法。
[11]前記凹凸プレスロールが、さらに下記条件(β)を満足する、[9]または[10]に記載の樹脂含浸物の製造方法。
<条件(β)>
前記領域から無作為に選ばれた20箇所の凹部の深さを測定し、これらを平均化して求めた凹部の深さDと、前記凹部の幅Wとが、下記式(3)の関係を満足する。
D≧W×0.35 ・・・(3)
[12]含浸対象シート状物と樹脂層とを重ねた積層体を、プレスロールと前記プレスロールに対向配置された対向ロールとの間に通して加圧することによって前記含浸対象シート状物に樹脂が含浸した樹脂含浸物を製造する装置であり、
前記積層体の移動方向に間隔をあけて配置されたm(ただしmは2以上の整数である。)本のプレスロールと、前記プレスロールに対向配置された対向ロールとを備え、
前記プレスロールが、外周面に複数の凸部と前記凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ、下記条件(α)を満足する凹凸プレスロールである、樹脂含浸物の製造装置。
<条件(α)>
前記積層体の移動方向の最も上流側からa本目の凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXと、前記積層体の移動方向の最も上流側からb本目の凹凸プレスロールについて前記式(1)から求めたXとが、下記式(2)の関係を満足するaおよびbが存在する。ただし、aおよびbは、1≦a<b≦mの整数である。
>X ・・・(2)
=A×W ・・・(1)
ただし、iは1〜mの整数であり、Aは前記凸部および前記凹部が形成された領域における前記凹部の面積の割合であり、Wは凹部の幅(mm)である。
[13]前記式(1)から求めたXが、0.5〜6である、[12]に記載の樹脂含浸物の製造装置。
[14]前記凹凸プレスロールが、さらに下記条件(β)を満足する、[12]または[13]に記載の樹脂含浸物の製造装置。
<条件(β)>
前記領域から無作為に選ばれた20箇所の凹部の深さを測定し、これらを平均化して求めた凹部の深さDと、前記凹部の幅Wとが、下記式(3)の関係を満足する。
D≧W×0.35 ・・・(3)
本発明の樹脂含浸物の製造方法によれば、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物に樹脂を十分に含浸させることができる。
成形時間が短いプレス成型に、本発明の方式によって作成したプリプレグシートを用いると、外観上の欠陥がほとんど無い成型物を作成できる。
本発明の樹脂含浸物の製造装置の一例を示す概略構成図である。 凹凸プレスロールの外周面における凸部および凹部の一例を示す図である。 図2の一部を拡大した拡大図である。 図3のIV−IV断面図である。 本発明の樹脂含浸物の製造装置の他の例を示す概略構成図である。 凹凸プレスロールの外周面における凸部および凹部の他の例を示す図である。 実験例における表面側樹脂捕捉量の測定の様子を示す概略構成図である。 実験例における裏面側樹脂捕捉量の測定の様子を示す概略構成図である。 凹部の面積の割合Aと凹部の幅Wとの積で表される指標Xと、凹凸パターン板による樹脂捕捉量との関係をグラフである。 実施例および比較例に用いたプリプレグの製造装置を示す概略構成図である。 シート状補強基材として、織物(平織)を用いたプリプレグの、経糸に対して垂直な方向にカットしたプリプレグの断面模式図と、繊維束の含浸部A、繊維束の未含浸部Aui、繊維束周囲の残存マトリクス樹脂の断面積A、繊維束の断面積Aを規定するエリアを示したものである。 実験例におけるプリプレグの作成の様子を示す概略構成図である。 プリプレグのカンチレバー値の測定方法を示す概略図である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
図面における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
<樹脂含浸物の製造装置>
図1は、本発明の樹脂含浸物の製造装置の一例を示す概略構成図である。
樹脂含浸物の製造装置10は、長尺の含浸対象シート状物102を巻き出す含浸対象シート状物供給ロール11と;
長尺のシート状担体の表面に樹脂層を担持した長尺の第1の樹脂シート104を、樹脂層が上向きとなるように含浸対象シート状物102の下面に向かって巻き出す第1の樹脂シート供給ロール12と;
長尺のシート状担体の表面に樹脂層を担持した長尺の第2の樹脂シート106を、樹脂層が下向きとなるように含浸対象シート状物102の上面に向かって巻き出す第2の樹脂シート供給ロール13と;
含浸対象シート状物供給ロール11から巻き出された含浸対象シート状物102を水平方向に案内するガイドロール14と;
第1の樹脂シート供給ロール12から巻き出された第1の樹脂シート104を、水平方向に移動する含浸対象シート状物102の下面に沿うように水平方向に案内するガイドロール15と;
第2の樹脂シート供給ロール13から巻き出された第2の樹脂シート106を、水平方向に移動する含浸対象シート状物102の上面に沿うように水平方向に案内するガイドロール16と;
含浸対象シート状物102の上面に沿う第2の樹脂シート106からシート状担体107を剥離する剥離ロール17と;
剥離されたシート状担体107を巻き取るシート状担体巻取ロール18と;
トップフィルム112を含浸対象シート状物102の上面に沿う樹脂層に向かって巻き出すトップフィルム供給ロール20と;
トップフィルム供給ロール20から巻き出されたトップフィルム112を、水平方向に移動する含浸対象シート状物102の上面の樹脂層に沿うように水平方向に案内するガイドロール22と;
含浸対象シート状物102の下面に第1の樹脂シート104が重なり、かつ含浸対象シート状物102の上面に樹脂層およびトップフィルム112が重なった長尺の積層体108を加熱する加熱プレート23と;
積層体108の移動方向に間隔をあけて積層体108に接するように配置されたn(ただしnは2以上の整数である。)本の凹凸プレスロール24と;
積層体108に接するように各凹凸プレスロール24に対向配置されたn本の加熱ロール26(対向ロール)と;
凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間を通過する際に加熱および加圧されることによって含浸対象シート状物102に第1の樹脂シート104の樹脂層および第2の樹脂シート106に由来する樹脂層が含浸した樹脂含浸物110を冷却する冷却プレート27と;
樹脂含浸物110の上面側からトップフィルム112を剥離する剥離ロール28と;
剥離されたトップフィルム112を巻き取るトップフィルム巻取ロール30と;
トップフィルム113を樹脂含浸物110の上面に向かって巻き出すトップフィルム供給ロール31と;
トップフィルム供給ロール31から巻き出されたトップフィルム113を、水平方向に移動する樹脂含浸物110の上面に沿うように水平方向に案内するガイドロール32と;
トップフィルム112が重なった樹脂含浸物110を下方に案内するガイドロール33と;
樹脂含浸物110を巻き取る樹脂含浸物巻取ロール34と;を備える。
(含浸対象シート状物)
含浸対象シート状物102は、樹脂を含浸させる対象となるシート状物であり、樹脂が含浸するための空隙を有する。
含浸対象シート状物としては、強化繊維のシート状物(「シート状強化繊維基材」とも言う。)等が挙げられる。
強化繊維のシート状物は、シート状の強化繊維基材であれば特に限定はない。強化繊維のシート状物としては、具体的には、強化繊維がランダムに配向したシートモールディングコンパウンド(SMC)、ガラスマットサーモプラスチック(GMT)にも用いることができる。また、織物も使用することができ、織物としては、平織の織物、綾織の織物、朱子織の織物、簾織りの織物、ノンクリンプファブリック等が挙げられる。
なお、本発明における強化繊維のシート状物は、強化繊維の厚目付のプリプレグを得る観点から、織物、SMC、ノンクリンプファブリックが好ましく、特に好ましくは織物である。
強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維、これらの複合繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、窒化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、ステンレス繊維、鉄繊維、チタン繊維、金属を被覆した炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維としては、軽量、高剛性かつ高強度の繊維強化プラスチックが得られる点から、炭素繊維が好ましい。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含浸対象シート状物102の単位面積当たりの質量は、最終的に得られる製品(繊維強化プラスチック等)に要求される特性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。本発明は、厚目付の強化繊維のシート状物への樹脂の含浸に好適であり、単位面積当たりの質量が400g/m以上である含浸対象シート状物102に適用することが好ましく、400〜1500g/mが好ましく、500〜1000g/mがより好ましい。
(樹脂シート)
第1の樹脂シート104および第2の樹脂シート106は、シート状担体の表面に樹脂層を担持したシート状物である。
シート状担体としては、木質紙に必要に応じてシリコーン樹脂等の離型剤をコーティングした離型紙、または軟質もしくは硬質のポリマーを用いたフィルムに必要に応じてシリコーン樹脂等の離型剤をコーティングした離型フィルム等が挙げられる。
樹脂層は、樹脂組成物を含むマトリクス樹脂と、必要に応じて添加剤とを含む。
樹脂組成物に含まれる樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、高強度の繊維強化プラスチックが得られる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
マトリクス樹脂における樹脂組成物としてはエポキシ樹脂組成物が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
添加剤としては、硬化剤、離型剤、脱泡剤、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、充填材、導電性フィラー等が挙げられる。
樹脂層の単位面積当たりの質量は、最終的に得られる製品(繊維強化プラスチック等)に要求される特性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。本発明は、厚手の強化繊維のシート状物への樹脂の含浸に好適であることから、樹脂層の単位面積当たりの質量は、200〜1000g/mが好ましく、250〜700g/mがより好ましい。
プレスロールを通過させる際の温度における樹脂の粘度は、0.5〜100Pa・sが好ましく、1〜20Pa・sがより好ましい。プレスロールを通過させる際の温度における樹脂の粘度が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂流れがさらに抑えられる。特に、樹脂の粘度が前記範囲の上限値以下であれば、含浸対象シート状物に樹脂をさらに十分に含浸させることができる。
プレスロールを通過させる際の温度における樹脂の粘度は、粘弾性測定装置を用い、下記条件にて粘弾性の測定を行って求める。
装置:レオメーター(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)。
使用プレート:25φパラレルプレート。
プレートギャップ:0.5mm。
測定周波数:10rad/秒。
測定開始温度:30℃。
昇温速度:2℃/分。
応力:300Pa。
(トップフィルム)
凹凸プレスロール24と接する側に、離型紙や離型フィルム等の剛性の高いシート状担体が存在すると、凹凸プレスロール24による樹脂の捕捉効果が発揮されにくくなる場合がある。
そのため、凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間に積層体108を通す前に、含浸対象シート状物102の上面に供給された第2の樹脂シート106からシート状担体107を剥離し、シート状担体107の代わりに、第2の樹脂シート106に由来する樹脂層の上面にトップフィルム112を供給する。
トップフィルム112の材質としては、剛性の低い樹脂が好ましく、ポリエチレン等が挙げられる。
(樹脂含浸物)
樹脂含浸物110は、含浸対象シート状物に樹脂が含浸したものである。
樹脂含浸物110としては、強化繊維のシート状物に樹脂が含浸した、後述する本発明のプリプレグを含むプリプレグの他、シートモールディングコンパウンド(SMC)、ガラスマットサーモプラスチック(GMT)等が挙げられる。
(凹凸プレスロール)
凹凸プレスロール24は、外周面に複数の凸部と凸部間に形成された連続した凹部とを有する。
凹凸ロールの凸部の形状は特に限定はないが、例えば図2に示す様なひし形であってもよく、図6に示す様な円であってもよく、楕円や長方形であってもよい。もしくは、凸部が円周方向や巾方向に連続的に繋がっている縦溝、横溝、ヘリカル溝、ダブルヘリカル溝、ウォーム溝、ねじ切り溝などであってもよい。強化繊維シートに均一に樹脂を含浸させる観点から、凸部の形状はひし形、円形、楕円、長方形等が好ましく、特に好ましくはひし形、長方形である。
凹凸プレスロール24としては、表面に凹凸が形成されたゴムシートを円筒形のロール基材の外周面に巻き付けた凹凸プレスゴムロール、金属ロールの表面に凹凸が形成された凹凸プレス金属ロール、樹脂製のロールの表面に凹凸が形成された凹凸プレス樹脂ロール等が挙げられる。
図2は、凹凸プレスロールの外周面における凸部および凹部の一例を示す図であり、図3は、図2の一部を拡大した拡大図であり、図4は、図3のIV−IV断面図である。
凹凸プレスロール24の外周面においては、ひし形の板状の凸部36が、各凸部36間で同じ辺がそれぞれ一直線上に並ぶように等間隔で配置され、これら凸部36間には、格子状に連続した溝状の凹部38が形成されている。
凹凸プレスロール24は、下記の条件(α)を満足する。
<条件(α)>
積層体108をa回目に通過させる凹凸プレスロール24について下記式(1)から求めたXと、積層体108をb回目に通過させる凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXとが、下記式(2)の関係を満足するaおよびbが存在する。ただし、aおよびbは、1≦a<b≦nの整数である。
>X ・・・(2)
=A×W ・・・(1)
ただし、iは1〜nの整数であり、Aは、積層体108をi回目に通過させる凹凸プレスロール24における凸部および凹部が形成された領域における凹部の面積の割合であり、Wは凹部の幅(mm)である。
また、Wは、凸部36および凹部38が形成された領域から無作為に選ばれた20個の凸部36について各凸部36とこれに隣接する凸部36とが最も接近した部分における凸部36間の間隔cを測定し、これらを平均化して求める。
なお、上記式(2)の条件を満たせば、本発明の効果を阻害しない範囲において、積層体108をc回目に通過させる凹凸プレスロール24について上記式(1)から求めたXと、積層体108をd回目に通過させる凹凸プレスロールについて上記式(1)から求めたXとが、下記式(2’)を満足するcおよびdが存在してもよい。ただし、cおよびdは、1≦c<d≦nの整数である。
<X ・・・(2’)
ある態様としては、上記式(2)の条件を満たすaおよびbが存在し、かつ、上記式(2’)の条件を満たすcおよびdが存在しない態様を挙げることができる。
条件(α)を満足するということは、下流に向かうにしたがって凹凸プレスロール24の樹脂捕捉量が連続的または段階的に減少していくことを意味する。上流側では含浸対象シート状物102の表面の樹脂の量が多いため、凹凸プレスロール24による樹脂捕捉量を多くすることによって、樹脂流れを抑える。下流側では、上流側で含浸対象シート状物102への樹脂の含浸がある程度進み、含浸対象シート状物102の表面の樹脂の量が減っているため、凹凸プレスロール24による樹脂捕捉量を少なくし、含浸対象シート状物102への樹脂の含浸を促進させる。
なお、含浸対象シート状物102に樹脂をさらに十分に含浸させる点から、下記式(2a)の関係を満足することが好ましく、下記式(2b)の関係を満足することがより好ましい。
>X×1.5 ・・・(2a)
>X×2.5 ・・・(2b)
また、Xiは、0.5〜6が好ましく、0.8〜5がより好ましい。
iが前記範囲の下限値以上であれば、積層体108を凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間に通過させる際に、含浸対象シート状物102の上面に、含浸対象シート状物102に含浸することなく存在する樹脂が凹部38に十分に捕捉される量が多くなるため、樹脂流れを抑えやすい。
iが前記範囲の上限値以下であれば、凹部38の幅が広くなりすぎることがなく、凹部38からの樹脂の流出を抑制しやすくなり、樹脂流れが抑制される傾向にある。
上流側での樹脂流れをさらに十分に抑える点から、1本目の凹凸プレスロール24におけるXは、0.75〜6が好ましく、1.25〜6がより好ましく、1.5〜6がさらに好ましい。
凹凸プレスロール24の本数nは、必ず2以上とする。凹凸プレスロール24が1本のみでは、条件(α)を満足することができず、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂を十分に含浸させることができない。
凹凸プレスロール24の本数nは、4〜20本が好ましく、6〜16本がより好ましい。凹凸プレスロール24の本数nが前記範囲の下限値以上であれば、樹脂流れをさらに抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂をさらに十分に含浸させることができる。凹凸プレスロール24の本数nが前記範囲の上限値以下であれば、樹脂含浸物の製造装置10をコンパクトにできる。
積層体108を凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間に通過させる際の樹脂流れを抑えるためには、含浸対象シート状物102の上面の樹脂を凹凸プレスロール24で捕捉し、そのまま保持できればよい。そのためには、凹部38の幅を広くすればよいが、凹部38の幅を広くしても、凹部38の合計の面積が小さければ、凹部38で十分な量の樹脂を捕捉できない。一方で、凹部38の幅や凹部38の合計の面積を広くしすぎても、凸部36間の間隔が広くなり、含浸対象シート状物102へ樹脂を均一に含浸しづらくなる。
このように、樹脂流れを抑えるためには、凹凸プレスロール24における凹部38の幅と凹部38の面積とのバランスを取ることが重要となる。そこで、本発明者らは、凹凸プレスロール24における凹部38の幅および凹部38の面積と、凹凸プレスロール24による樹脂捕捉量との関係を鋭意検討した結果、後述する実験例に示すように、凹部の面積の割合Aと凹部の幅Wとの積で表される指標Xと、凹凸パターンによる樹脂捕捉量との間に、相関関係があることを見出した。そして、Xが前記範囲内であれば、樹脂流れが抑えられることを見出した。
また、凹凸プレスロール24は、下記の条件(β)を満足することが好ましい。
条件(β)
凸部36および凹部38が形成された領域から無作為に選ばれた20箇所の凹部38の深さdを測定し、これらを平均化して求めた凹部38の深さD(mm)と、凹部38の幅Wとが、下記式(3)の関係を満足する。
D≧W×0.35 ・・・(3)
凹部38の幅を広くしても、凹部38の深さが不十分だと、凹部38で十分な量の樹脂を捕捉できないおそれがある。そこで、凹部38の深さをある程度確保することが好ましい。なお、凹部38を深くしすぎると、凸部36の機械的強度が不足するおそれがある。そこで、条件(δ)においては、樹脂流れをさらに十分に抑えつつ、凸部36の機械的強度を確保する点から、下記式(3a)の関係を満足することが好ましく、下記式(3b)の関係を満足することがより好ましい。
W×1.0≧D≧W×0.35 ・・・(3a)
W×0.7≧D≧W×0.4 ・・・(3b)
(加熱ロール)
加熱ロール26は、例えば、加熱手段を内蔵した外周面がフラットな金属ロールである。
(作用機序)
以上説明した樹脂含浸物の製造装置10にあっては、積層体108の移動方向に間隔をあけて配置された、外周面に複数の凸部36と凸部36間に形成された連続した凹部38とを有するn(ただしnは2以上の整数である。)本の凹凸プレスロール24と、凹凸プレスロール24に対向配置された加熱ロール26とを備え、凹凸プレスロール24が条件(α)〜(β)を満足するため、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂を十分に含浸させることができる。
そして、このような樹脂含浸物の製造装置10にあっては、含浸対象シート状物102への樹脂の含浸を促進する条件でも樹脂流れなく樹脂含浸物110を製造できるため、樹脂含浸物の製造装置10をコンパクトにでき、また、積層体108の移動速度を速くすることができる。また、含浸対象シート状物102が厚くなり、含浸させる樹脂の量が多くなっても、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂を十分に含浸させることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明の樹脂含浸物の製造装置は、積層体の移動方向に間隔をあけて配置されたm(ただしmは2以上の整数である。)本のプレスロールと、プレスロールに対向配置された対向ロールとを備え;積層体の移動方向の最も上流側から数えてn(ただしnは2〜mの整数である。)本目までのプレスロールが、外周面に複数の凸部と凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ上述した条件(α)を満足する凹凸プレスロールであるものであればよく、図示例の樹脂含浸物の製造装置10に限定されない。
例えば、樹脂含浸物の製造装置は、プレスロールの合計本数のm本よりも少ないn本の、上述した条件(α)を満足する凹凸プレスロールを備え、残りの(m−n)本のプレスロールが、凹凸プレスロールよりも下流側に設けられた、外周面に凹凸のないフラットプレスロールであってもよい。
また、第2の樹脂シート供給ロールを設けることなく、含浸対象シート状物の上面にトップフィルム供給ロールから樹脂層のないトップフィルムのみを供給するようにしてもよい。
また、凹凸プレスロールと加熱ロールとを上下で入れ替えてもよい。ただし、この場合は、含浸対象シート状物と加熱ロールとの間に樹脂シートが存在しないと、含浸対象シート状物と加熱ロールとの間で滑りが生じやすくなるため、樹脂シートが加熱ロールに接する側に供給されることが好ましい。
また、対向ロールは加熱ロールに限定されず、加熱ロールの代わりに外周面がフラットな金属ロールを設け、プレスロールおよび金属ロールの上流側に積層体を加熱する加熱手段(プレートヒータ等)を設けてもよい。
また、樹脂含浸物の製造装置は、図5に示すような大径の加熱ロール26の外周面に沿って複数の小径の凹凸プレスロール24が配置されたものであってもよい。
また、凹凸プレスロールの外周面の凹凸は、図示例のひし形の凸部36を有するものに限定されず、図6に示すような楕円形の凸部36を有するものであってもよく、他の形状(多角形、円形等)の凸部を有するものであってもよく、不規則な凹凸であってもよい。
<樹脂含浸物の製造方法>
図1に示す樹脂含浸物の製造装置10を用いた樹脂含浸物の製造方法について説明する。
含浸対象シート状物供給ロール11から巻き出された長尺の含浸対象シート状物102の下面に、第1の樹脂シート供給ロール12から巻き出された長尺の第1の樹脂シート104を、樹脂層が上向きとなるように供給する。また、含浸対象シート状物102の上面に、第2の樹脂シート供給ロール13から巻き出された長尺の第2の樹脂シート106を、樹脂層が下向きとなるように供給する。
含浸対象シート状物102の上面に沿う第2の樹脂シート106から剥離ロール17によってシート状担体107を剥離した後、シート状担体107をシート状担体巻取ロール18によって巻き取る。
トップフィルム供給ロール20から巻き出されたトップフィルム112を、含浸対象シート状物102の上面に沿う、シート状担体107が剥離された樹脂層の上面に供給する。
含浸対象シート状物102の下面に第1の樹脂シート104が重なり、かつ含浸対象シート状物102の上面に樹脂層およびトップフィルム112が重なった長尺の積層体108を、積層体108の移動方向に間隔をあけて配置されたn本の凹凸プレスロール24と、凹凸プレスロール24に対向配置された加熱ロール26との間に通して加熱および加圧することによって、含浸対象シート状物102に第1の樹脂シート104の樹脂層および第2の樹脂シート106に由来する樹脂層が含浸した樹脂含浸物110を得る。
樹脂含浸物110の上面側からトップフィルム112を剥離ロール28によって剥離した後、トップフィルム112をトップフィルムロール30によって巻き取る。また、トップフィルム112が剥離された樹脂含浸物110を樹脂含浸物巻取ロール34によって巻き取る。
凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間の線圧は、0.1〜40N/mmが好ましく、2〜20N/mmがより好ましい。線圧が前記範囲の下限値以上であれば、含浸対象シート状物102に樹脂をさらに十分に含浸させることができる。線圧が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂流れをさらに抑えることができる。
積層体108の移動速度は、0.5〜25m/minが好ましく、1〜10m/minがより好ましい。積層体108の移動速度が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂含浸物110の生産性がよくなる。積層体108の移動速度が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂含浸物の製造装置10をコンパクトにできる。
(作用機序)
以上説明した樹脂含浸物の製造装置10を用いた樹脂含浸物の製造方法にあっては、積層体108を凹凸プレスロール24と加熱ロール26との間に合計でn(ただしnは2以上の整数である。)回通過させ、凹凸プレスロール24として上述した条件(α)を満足するものを用いているため、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂を十分に含浸させることができる。
そして、このような樹脂含浸物の製造方法にあっては、含浸対象シート状物102への樹脂の含浸を促進する条件でも樹脂流れなく樹脂含浸物110を製造できるため、樹脂含浸物の製造装置10をコンパクトにでき、また、積層体108を移動させるライン速度を速くすることができる。また、含浸対象シート状物102が厚くなり、含浸させる樹脂の量が多くなっても、樹脂流れを抑えつつ、含浸対象シート状物102に樹脂を十分に含浸させることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明の樹脂含浸物の製造方法は、積層体を、プレスロールと対向ロールとの間に通した後、前段と同じまたは前段とは異なるプレスロールと対向ロールとの間に通すことによって、プレスロールと対向ロールとの間に合計でm(ただしmは2以上の整数である。)回通過させ;積層体の通過開始からn(ただしnは2〜mの整数である。)回目までに通過させるプレスロールとして、外周面に複数の凸部と前記凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ前述の条件(α)を満足する凹凸プレスロールを用いる方法であればよく、図示例の樹脂含浸物の製造装置10を用いた製造方法に限定されない。
例えば、樹脂含浸物の製造装置の他の実施形態に挙げた製造装置や凹凸プレスロールを用いてもよい。
また、実施例に示すように、上述した条件(α)を満足する範囲内において、積層体を、凹凸プレスロールと対向ロールとの間に通した後、前段と同じ凹凸プレスロールと対向ロールとの間に再び通し、次いで、積層体を、前半とは異なる凹凸プレスロールと対向ロールとの間に通した後、前段と同じ凹凸プレスロールと対向ロールとの間に再び通してもよい。
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂含浸物の製造装置を用いて製造された樹脂含浸物、および本発明の樹脂含浸物の製造方法で得られた樹脂含浸物であり、本発明のプリプレグは本発明の樹脂含浸物の製造装置を用いて、あるいは本発明の樹脂含浸物の製造方法によって初めて得られたものである。
本発明のプリプレグは、強化繊維からなる繊維束を含むシート状強化繊維基材と、樹脂組成物を含むマトリクス樹脂を含むプリプレグであって、シート状強化繊維基材の目付が400g/m以上であり、プリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量が、33質量%以上45質量%以下であり、シート状強化繊維基材を構成する繊維束のマトリクス樹脂の含浸率が70%以上である。
また、本発明のプリプレグは揮発成分を含んでもよく、プリプレグが揮発成分を含む場合、プリプレグ中の揮発成分の含有量が0質量%を超え0.50質量%以下である。
本発明のプリプレグは、いわゆる厚目付のプリプレグである。シート状強化繊維基材の目付は、400〜1500g/mが好ましく、500〜1000g/mがより好ましい。
シート状強化繊維基材の目付が前記範囲の下限値以上であれば一つの成型物の積層に何枚ものプリプレグが必要とならず、時間とコストを抑制しやすい。シート状強化繊維基材の目付が前記範囲の上限値以下であれば、取扱いを容易としやすい。
上述の目付とは、単位面積当たりの質量のことである。
プリプレグ中のシート状強化繊維基材の目付は、例えばプリプレグシート作成前ならば、100mm角の切り抜き用の型をシート状強化繊維基材上に置き、所定の大きさのサンプルを切り出した重量から測定することができる。もしくはプリプレグシートの場合は、100mm角の切り抜き用の型をプリプレグシート上に置き、所定の大きさのサンプルを切り出し、メチルエチルケトン(MEK)やテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒中で煮沸させ、マトリクス樹脂を除去した後の重量から測定することができる。
なお、本発明におけるシート状繊維強化基材は、上述の含浸対象シート状物102と同様のものである。
また、本発明におけるマトリクス樹脂における樹脂組成物としては、上述の樹脂シートの説明で挙げられた熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂若しくはそれらを含む樹脂組成物を用いることができる。
本発明のプリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量は、33質量%以上45質量%以下であり、35質量%以上43質量%以下が好ましく、37質量%以上41質量%以下がより好ましい。
マトリクス樹脂の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、繊維内の空気を置換しきれないことによるピンホールやフクレの発生を抑制しやすくなる。マトリクス樹脂の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、プリプレグの表面に樹脂が残りやすくなることによる積層時の層間におけるボイドの発生を抑制しやすくなる。
プリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量は、プリプレグ、およびシート状強化繊維基材の重量から測定することができる。
本発明のプリプレグは、揮発成分を含んでいてもよい。
ただし、本発明のプリプレグが揮発成分を含む場合、本発明のプリプレグ中の揮発成分の含有量は、0質量%を超え0.50質量%以下であり、0質量%を超え0.40質量%が好ましく、0質量%を超え0.35質量%以下であることがより好ましい。
例えば、ラッカー法でプリプレグを製造した場合等は、溶媒として用いた揮発成分がプリプレグ中に残存するが、プリプレグ中の揮発成分の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、VOCの問題を引き起こしにくい。
プリプレグ中の揮発成分の測定は、具体的には所定の大きさに切断したプリプレグをMEKやアセトンなどの溶媒に浸漬させ、超音波洗浄機に入れて残留溶剤(揮発成分)の抽出を行い、抽出後の溶液はバイアル瓶に移し、ガスクロマトグラフィーを用いてプリプレグ中に含まれる残留溶剤(揮発成分)の成分量を定量する事が出来る。使用されている溶媒種が分からない場合は、溶媒を変えて2回以上浸漬させて抽出された溶液を分析することにより成分量を定量できる。
本発明のプリプレグは、シート状強化繊維基材を構成する繊維束のマトリクス樹脂の含浸率が70%以上であり、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。上限は特にないが100%以下である。
シート状強化繊維基材を構成する繊維束のマトリクス樹脂の含浸率が前記下限値以上であれば、プレス成型時に繊維束の内部に残った空気による、成型物表面へのトウが膨れた様な凹凸の生成を抑制しやすい。
本発明における「シート状強化繊維基材を構成する繊維束のマトリクス樹脂の含浸率」は以下のようにして測定することができる。
プリプレグを20mm×20mmに切断し、X線CT装置(ヤマト科学製 TDM1000H−Sμ)を用い、下記条件にてサンプルを撮影する。
得られた画像のうち、繊維束の断面画像について画像処理ソフトウェア(ImagePro、Media Cybernetics社製)を用いて、16ビットグレースケールに変換する。エッジ抽出処理を行った後に、平均化処理を行う。図11に示すように繊維束の未含浸部の断面積Aui、1ブロック当たりの面積(Aui+A+A)を測定する。繊維束の面積(Aui+A)は樹脂を含浸する前のトウ束面積を測定しておき、繊維束の周囲に残存しているマトリクス樹脂の断面積A、繊維束の含浸部断面積Aを算出する。含浸率は下記式(11)、繊維束周囲の樹脂残存率は下記式(12)によって定義する。
なお、織物の場合は緯糸と緯糸の間の最小単位を1ブロック、ノンクリンプファブリックやSMC、GMTは20〜100mmの長さを1ブロックとし、10ブロックの平均値とする。
/(Aui+A)×100 ・・・(11)
/(Aui+A)×100 ・・・(12)
本発明のプリプレグは、任意の繊維束の繊維方向に直行する方向の、プリプレグシートの垂直断面において、当該任意の繊維束の周囲に残存しているマトリクス樹脂の断面積Aと繊維束の断面積Aの(A/A)×100で表される比率が10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。
(A/A)×100で表される比率が前記範囲の上限値以下であれば、プリプレグの平滑性による積層時のシート層間への空気の含有が起こりにくく、成型物表面に層間ボイドと呼ばれる凹凸やピンホールが発生することを抑制しやすい。
本発明のプリプレグは、プリプレグの繊維束の間に含まれるボイドによるピンホールを抑制する観点から、開口率が0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%以下である。
開口率は、以下のように求める。
画像処理装置(CV−100V、(株)キーエンス製)とバックライトを用いる。画像処理装置のカメラ受光部に向けて、所定の照度(18000ルクス)となる様にバックライトで光を照射する。100mm角当たりの開口面積の異なるステンレス板をバックライト上に置き、受光した画像の白色部の面積を測定し、開口面積と受光面積の検量線を作成しておく。その上で、プリプレグをバックライト上に置き、CV−100を用いて透過光の画像を撮影することにより、プリプレグの100mmあたりの開口部の全面積S2(mm)を算出し、下記式(13)から開口率X(%)を算出する。
X(%)=(S2(mm)/100(mm))×100・・・(13)
本発明のプリプレグは、40℃におけるカンチレバー値が10mm以上50mm以下であることが好ましく、20mm以上40mm以下であることがより好ましい。
カンチレバー値が前記範囲の下限値以上であれば、プリプレグシートが成型用の金型に沿いやすくなる。カンチレバー値が前記範囲の上限値以下であれば、シートを金型に積層する際にシワができにくくなる。
カンチレバー値は、以下のように求める。
20mm×140mmの試験片を3枚採取する。図13に示すように試験片を挟む位置が地面から100mmとなる金属製のブロック13Aで試験片の端部50mmを抑える。試験片13Bを挟んだ治具は風が当たらないように風よけをつけた上で、オーブンで加熱を開始して、炉内温度が目標温度に達してから30分待つ。加熱後は冷却を行い、試験片13Bの一端の中央点と地面の間の距離をスケールで読み、当初高さの100mmから差し引いて、カンチレバー値(CL)を求めることができる。
本発明のプリプレグに含まれるマトリクス樹脂における樹脂組成物の硬化開始温度は80〜150℃にあることが好ましく、かつ、その硬化開始温度における樹脂組成物の粘度(最低粘度)が0.1〜10Pa・Sの範囲にあること好ましい。
マトリクス樹脂における樹脂組成物の最低粘度が前記範囲内にあれば、シート状強化繊維基材に短時間でマトリクス樹脂を含浸させることができる。
樹脂組成物の最低粘度、および樹脂組成物の硬化開始温度は、粘弾性測定装置(レオメーター、サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)を使用し、温度を2℃/分の速度で昇温させながら、プレート径φ25mm、周波数10rad/秒、およびプレート間隔0.5mm、応力300Paで、40℃から130℃までで行なわれ、硬化開始温度は、最低粘度に達したときの温度と定義する。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<シート状強化繊維基材の目付の測定>
100mm角の切り抜き用の型を強化繊維シート上に置き、カッターで所定の大きさのサンプルを切り出して重量から測定する。
<プリプレグ中のマトリクス樹脂の含浸率、マトリクス樹脂の繊維束周囲の含有量の測定>
プリプレグを20mm×20mmに切断し、X線CT装置(ヤマト科学製 TDM1000H−Sμ)を用い、下記条件にてサンプルを撮影する。
・管電圧 20kV。
・管電流 90μA。
・積算時間 1s。
・ビュー数 1500分割/360度。
・フレーム平均数 4ビュー。
得られた画像のうち、繊維束の断面画像について画像処理ソフトウェア(ImagePro、Media Cybernetics社製)を用いて、16ビットグレースケールに変換する。エッジ抽出処理を行った後に、平均化処理を行う。図11に示すように繊維束の未含浸部の断面積Aui、1ブロック当たりの面積(Aui+A+A)を測定する。繊維束の面積(Aui+A)は樹脂を含浸する前のトウ束面積を測定しておき、繊維束の周囲に残存しているマトリクス樹脂の断面積A、繊維束の含浸部断面積Aを算出する。含浸率は下記式(11)、繊維束周囲の樹脂残存率は下記式(12)によって定義する。
なお、織物の場合は緯糸と緯糸の間の最小単位を1ブロック、ノンクリンプファブリックやSMC、GMTは20〜100mmの長さを1ブロックとし、10ブロックの平均値とする。
/(Aui+A)×100 ・・・(11)
/(Aui+A)×100 ・・・(12)
<プリプレグ中の揮発成分の含有量の測定>
15×30mmの大きさに切断したプリプレグを、メチルエチルケトンを溶媒として浸漬させ、超音波洗浄機に入れて残留溶剤(揮発成分)の抽出を行い、抽出後の溶液はバイアル瓶に移し、ガスクロマトグラフィーを用いてプリプレグ中に含まれる残留溶剤(揮発成分)の成分量を定量する。また、溶媒をアセトンに変えて、同様の作業を行うことで、メチルエチルケトンの成分量も定量する。
<粘度>
マトリクス樹脂の粘度は、粘弾性測定装置(レオメーター、サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)を用い、下記条件にて粘弾性の測定を行って求めた。
使用プレート:25φパラレルプレート。
プレートギャップ:0.5mm。
測定周波数:10rad/秒。
測定開始温度:30℃。
昇温速度:2℃/分。
応力:300Pa。
<開口率>
画像処理装置(CV−100V、(株)キーエンス製)とバックライトを用いる。画像処理装置のカメラ受光部に向けて、所定の照度(18000ルクス)となる様にバックライトで光を照射する。100mm角当たりの開口面積の異なるステンレス板をバックライト上に置き、受光した画像の白色部の面積を測定し、開口面積と受光面積の検量線を作成しておく。その上で、プリプレグをバックライト上に置き、CV−100を用いてプリプレグを透過した画像を撮影することにより、プリプレグの100mmあたりの開口部の全面積S2(mm)を算出し、下記式(13)から開口率X(%)を算出する。
X(%)=(S2(mm)/100(mm))×100 ・・・(13)
<カンチレバー値>
20mm×140mmの試験片を3枚採取する。図13に示すように試験片を挟む位置が地面から100mmとなる金属製のブロック13Aで試験片の端部50mmを抑える。試験片13Bを挟んだ治具は風が当たらないように風よけをつけた上で、オーブンで加熱を開始して、炉内温度が目標温度に達してから30分待つ。加熱後は冷却を行い、試験片13Bの一端の中央点と地面の間の距離をスケールで読み、当初高さの100mmから差し引いて、カンチレバー値(CL)を求める
<樹脂流れの判定、残存樹脂目付>
樹脂流れの判定はプレスロールに通過させたときにサンプル末端から樹脂が流れ出ているか目視で判断した。
また、試験用積層体を10cm×10cmにカットし、試験用積層体126の単位面積当たりの質量を求め、プレス後の試験用積層体126の単位面積当たりの質量から、離型紙、強化繊維シート、ポリエチレンフィルムの合計の単位面積当たりの質量を差し引くことによって、プレスロールでプレスした後に試験用積層体の残存樹脂目付を測定した。
<マトリクス樹脂1の作成>
下記に示す樹脂成分を均一に混合したものをマトリクス樹脂1として用いた。
・A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/eq、三菱ケミカル(株)製、商品名:jER828) 25質量部。
・B:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2P4MHZ−PW) 1質量部。
・C:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2PHZ−PW) 8.7質量部。
・D:Aと4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンとの反応物[上記Aと4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(和歌山精化工業(株)製、商品名:セイカキュアーS)とを、A/4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン=100/9の質量比で室温にて混合した後に、150℃にて混合加熱して得た反応物。エポキシ樹脂と分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するアミン化合物との反応生成物を主成分とする混合物である(エポキシ当量266g/eq)。] 75質量部。
マトリクス樹脂1を離型紙に所定の樹脂目付けで均一に塗工して樹脂フィルムを調製した。この樹脂フィルムを、強化繊維シート基材に貼り合わせた試験用積層体を以下のように作成した。
(実施例A1)
実験装置としては、図12に示すような、ゴムロール12A(材質:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、硬度:80度、直径:200mm)とゴムロール12Aに対向配置された金属ロール12B(材質:ステンレス鋼、直径:200mm)と、ゴムロール12Aおよび金属ロール12Bの上流側に設けられたプレートヒーター12Cとを備えた装置を用いた。ゴムロール12Aには、ひし形の模様が刻まれたパターンロールを用いた。
含浸対象シート状物として、下から順に、離型紙12D、下側樹脂層12E、シート状強化繊維基材12F、上側樹脂層12G、ポリエチレンフィルム12Hを重ね、試験用積層体12Iとした。
シート状強化繊維基材12Fには、三菱ケミカル社製の炭素繊維クロスTRK510(繊維目付646g/m、2/2綾織)を用いた。樹脂フィルムは、下側樹脂層12E、上側樹脂層12G共に、マトリクス樹脂1を樹脂目付216g/m(合計の樹脂目付:432g/m)で塗工したものを用いた。
積層体12Iをプレートヒーター12Cの上で所定の温度に加熱した後、移動速度2.5m/min、マトリクス樹脂粘度は3Pa・s、凹凸パターンの凸部当たりの線圧が20N/mmになるように、ゴムロール12Aと金属ロール12Bとの間を所定回数に達するまで繰り返し通した。
得られたプリプレグを300mm×300mmに切断し、300mm角の平板成形用金型に投入し、面圧7.2MPa、金型温度140℃、成形時間5分の条件で前記フィルム積層体(F)をプレス成形し、繊維強化プラスチック成形体(「成形板」とも言う。)を得た。
なお、積層体12Iを所定回数通過させるゴムロールとしては、表1に示す各ゴムロールを用いて、表2に示す回数の組み合わせにて、積層体12Iを通過させた。
Figure 2018181279
(実施例A2〜A4)
表1に示す各ゴムロールを用いて、表2に示す回数の組み合わせにて、積層体12Iを通過させた以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(実施例A5)
シート状強化繊維基材として三菱ケミカル製の炭素繊維クロスTRK501(繊維目付400g/m、2/2綾織)を用いて、樹脂目付を表2のように変更した以外は、実施例A1同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(実施例A6)
三菱ケミカル社製の炭素繊維束TR50S15Lを裁断機で裁断し、平均繊維長が25.4mmのチョップド繊維束とし、平均繊維目付が646g/mとなる様に樹脂フィルムの上に散布してシート状強化繊維基材とした以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(実施例A7)
三菱ケミカル社製の一方向織物TRK976PQRW(繊維目付317g/m)を2枚重ねてシート状強化繊維基材として、樹脂目付を表2のように変更した以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A1)
ゴムロールとして、ひし形の模様が刻まれた、凸部の面積率が45%のパターンロール(ロール45A)1種類のみを用いた以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A2)
ゴムロールとして、模様の刻まれていないフラットなゴムロール(ロール100)を用いた以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A3)
下記に示す樹脂成分を均一に混合したマトリクス樹脂を作成し、各温度における樹脂粘度を測定したところ、60℃で16Pa・s、70℃で5Pa・sであった。
・A:jER828(三菱ケミカル(株)社製) 40質量部。
・B:jER1001(三菱ケミカル(株)社製) 40質量部。
・C:エピクロンN740(DIC(株)社製) 20質量部。
・D:DICY7(三菱ケミカル(株)社製) 5質量部。
・E:DCMU99(保土ヶ谷化学(株)社製) 5質量部。
マトリクス樹脂1の樹脂粘度が5Pa・sになるように温度を変更して、フラットゴムロールを用いた以外は、実施例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A4)
マトリクス樹脂1の樹脂粘度が16Pa・sになるように温度を変更した以外は、比較例A3と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A5)
マトリクス樹脂1の樹脂粘度が66Pa・sになるように温度を変更した以外は、比較例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
(比較例A6)
繊維強化シートを三菱ケミカル社製の炭素繊維クロスTRK501(繊維目付400g/m、2/2綾織)を用いて、樹脂目付を表2のように変更した以外は、比較例A1と同様の方法でプリプレグを作製して、繊維強化プラスチック成型体を得た。
Figure 2018181279
得られたプリプレグと成形板の評価結果を表3に示す。
なお、いずれの例においても、得られたプリプレグ中に揮発成分は検出されなかった。
表中の記号等は、以下の意味を示す。
・マトリクス樹脂の含浸率:シート状強化繊維基材を構成する繊維束のマトリクス樹脂の含浸率(A/(Aui+A)×100)。
・樹脂残存量:繊維束周囲の樹脂残存率(A/(Aui+A)×100)。
・樹脂流れ:目視による樹脂流れの有無。〇はプレス後のプリプレグ末端から樹脂が流れ出ていないことを示し、×はプレス後のプリプレグ末端から樹脂が流れ出ていることを示す。
・ピンホール:目視によるピンホールの有無。〇はチョーキングをした成型物を目視で観察し、ピンホールが見られないことを示し、△はチョーキングをした成型物を目視で観察し、ピンホールが1〜5個であることを示す。
・層間ボイド:目視による層間ボイドの有無。〇は目視で成型物表面に繊維束よりも大きい膨らみが存在しないことを示し、×は目視で成型物表面に繊維束よりも大きい膨らみが1か所以上存在することを示す。
・トウフクレ:目視によるトウフクレの有無。〇は目視で成型物表面に繊維束に沿った膨らみが存在しないことを示し、×は目視で成型物表面に繊維束に沿った膨らみが1か所以上存在することを示す。
・樹脂枯れ:目視による樹脂枯れの有無。〇は目視で成型物表面に存在する繊維束上の樹脂が薄くならず、色合いが周囲と異なっていないことを示し、×は目視で成型物表面に存在する繊維束上の樹脂が薄くなり、色合いが周囲と異なっていることを示す。
なお、空欄は評価していないことを示す。
Figure 2018181279
<樹脂捕捉量の測定>
凹凸プレスロールにおける凹部の幅および凹部の面積と、凹凸プレスロールによる樹脂捕捉量との関係を検討した。
(実験例1〜10)
表面側樹脂捕捉量:
実験装置としては、図7に示すような、フラットプレスロール40(材質:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、硬度:80度、直径:200mm)と、フラットプレスロール40に対向配置されたフラット金属ロール42(材質:ステンレス鋼、直径:200mm)と、フラットプレスロール40およびフラット金属ロール42の上流側に設けられたプレートヒーター44とを備えたものを用いた。
図7に示すように、下から順に、離型紙114(単位面積当たりの質量:105g/m);下側樹脂層116(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:216g/m);炭素繊維織物118(綾織、単位面積当たりの質量:646g/m);ポリエチレンフィルム120(単位面積当たりの質量:16g/m);上側樹脂層122(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:432g/m);およびポリエチレンフィルム124(単位面積当たりの質量:16g/m)を重ね、試験用積層体126とした。
試験用積層体126の上に、下面に図2に示す凹凸パターンが形成された凹凸パターン板46(材質:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、全体の厚さ:4mm、凹部の深さ:3mm)をさらに重ねた。
試験用積層体126をプレートヒーター44の上で90℃に加熱した後、凹凸パターン板46とともに、移動速度2.5m/min、線圧9.4N/mmでフラットプレスロール40とフラット金属ロール42との間に通した。
このとき、炭素繊維織物118に接した下側樹脂層116からは樹脂は流れ出ないが、ポリエチレンフィルム120とポリエチレンフィルム124とに挟まれた上側樹脂層122からは、凹凸パターン板46で捕捉できなかった樹脂が流れ出る。
試験用積層体126から凹凸パターン板46を取り外し、試験用積層体126を10cm×10cmにカットし、試験用積層体126の単位面積当たりの質量を求めた。プレス後の試験用積層体126の単位面積当たりの質量から、離型紙114、下側樹脂層116、炭素繊維織物118、ポリエチレンフィルム120およびポリエチレンフィルム124の合計の単位面積当たりの質量(999g/m)を引くことによって、樹脂流れせずに試験用積層体126に残った上側樹脂層122の単位面積当たりの質量を求め、これを表面側樹脂捕捉量とした。
凹凸パターン板46の凹凸パターンにおける、凹部の面積の割合Aおよび凹部の幅Wを表4に示すように変更しながら、同様の実験を繰り返した。
凹部の面積の割合Aと凹部の幅Wとの積で表される指標Xと、凹凸パターン板46による表面側樹脂捕捉量との関係をグラフにしたところ、図9に示すように、Xが0〜4の間で相関関係が見られた。
Figure 2018181279
(実験例11〜20)
裏面側樹脂捕捉量:
実験装置としては、図8に示すような、フラットプレスロール40(材質:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、硬度:80度、直径:200mm)と、フラットプレスロール40に対向配置されたフラット金属ロール42(材質:ステンレス鋼、直径:200mm)と、フラットプレスロール40およびフラット金属ロール42の上流側に設けられたプレートヒーター44とを備えたものを用いた。
図8に示すように、下から順に、離型紙114(単位面積当たりの質量:105g/m);下側樹脂層116(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:432g/m);ポリエチレンフィルム120(単位面積当たりの質量:16g/m);炭素繊維織物118(綾織、単位面積当たりの質量:646g/m);上側樹脂層122(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:216g/m);およびポリエチレンフィルム124(単位面積当たりの質量:16g/m)を重ね、試験用積層体128とした。
試験用積層体128の上に、下面に図2に示す凹凸パターンが形成された凹凸パターン板46(材質:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、全体の厚さ:4mm、凹部の深さ:3mm)をさらに重ねた。
試験用積層体128をプレートヒーター44の上で90℃に加熱した後、凹凸パターン板46とともに、移動速度2.5m/min、線圧9.4N/mmでフラットプレスロール40とフラット金属ロール42との間に通した。
このとき、炭素繊維織物118に接した上側樹脂層122からは樹脂は流れ出ないが、離型紙114とポリエチレンフィルム120とに挟まれた下側樹脂層116からは、凹凸パターン板46で捕捉できなかった樹脂が流れ出る。
試験用積層体128から凹凸パターン板46を取り外し、試験用積層体128を10cm×10cmにカットし、試験用積層体128の単位面積当たりの質量を求めた。プレス後の試験用積層体126の単位面積当たりの質量から、離型紙114、ポリエチレンフィルム120、炭素繊維織物118、上側樹脂層122およびポリエチレンフィルム124の合計の単位面積当たりの質量(999g/m)を引くことによって、樹脂流れせずに試験用積層体128に残った下側樹脂層116の単位面積当たりの質量を求め、これを裏面側樹脂捕捉量とした。
凹凸パターン板46の凹凸パターンにおける、凹部の面積の割合Aおよび凹部の幅Wを表5に示すように変更しながら、同様の実験を繰り返した。
凹部の面積の割合Aと凹部の幅Wとの積で表される指標Xと、凹凸パターン板46による裏面側樹脂捕捉量との関係をグラフにしたところ、図9に示すように、Xが0〜6の間で相関関係が見られた。
Figure 2018181279
<プリプレグの製造>
(実施例1)
プリプレグの製造装置としては、図10に示すような、凹凸プレスロール24(材質:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、硬度:80度、直径:200mm)と、凹凸プレスロール24に対向配置されたフラット金属ロール42(材質:ステンレス鋼、直径:200mm)と、凹凸プレスロール24およびフラット金属ロール42の上流側に設けられたプレートヒーター44とを備えたものを用いた。凹凸プレスロール24の凹凸パターンにおける、凹部の面積の割合A、凹部の幅W、指標X、凸部短軸長さa、凸部長軸長さb、凹部の深さD、D/Wを表6に示す。
図10に示すように、下から順に、離型紙114;下側樹脂層116(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:216g/m);炭素繊維織物118(綾織、単位面積当たりの質量:646g/m);上側樹脂層122(エポキシ樹脂、90℃の粘度:3Pa・s、単位面積当たりの質量:216g/m);ポリエチレンフィルム124を重ね、積層体108とした。
積層体108をプレートヒーター44の上で90℃に加熱した後、移動速度2.5m/min、線圧9.4N/mmで凹凸プレスロール24とフラット金属ロール42との間に通した。積層体108を、同じ凹凸プレスロール24とフラット金属ロール42との間に合計で3回通した後、凹凸プレスロール24を表3に示す後半の凹凸プレスロール24に交換し、積層体108を、同じ凹凸プレスロール24とフラット金属ロール42との間に合計で3回通し、プリプレグを得た。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
凹凸プレスロール24の凹凸パターンを表6および表7に示すものに変更し、前半、後半(または、序盤、中盤、終盤)の各凹凸プレスロール24を用いた際のプレス数を表6および表7に示す回数に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
<評価>
(樹脂流れ)
プリプレグを10cm×10cmにカットし、プリプレグの単位面積当たりの質量を求めた。プレス前の積層体108の単位面積当たりの質量からのプリプレグの単位面積当たりの質量の減少量が5g/m以下であれば〇、減少量が5g/m超であれば×と評価した。結果を表6および表7に示す。
(含浸性)
プリプレグをカミソリ刃で3cm×3cmにカットし、マイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−5000)を用い、プリプレグの断面を200倍の倍率で観察した。プリプレグの炭素繊維の経糸10本および緯糸10本を観察し、樹脂の未含浸部分が1つもなければ〇、未含浸部分があれば×と評価した。結果を表6および表7に示す。
Figure 2018181279
Figure 2018181279
比較例1は、すべてのプレスにおいて同じ凹凸プレスロール24を用いたため、樹脂流れが発生した。
比較例2は、前半よりも後半の方がXの大きい凹凸プレスロール24を用いたため、炭素繊維織物への樹脂の含浸が不十分であった。
比較例3は、後半の凹凸プレスロール24のXが小さすぎたため、樹脂流れが発生した。
比較例4は、前半の凹凸プレスロール24のXが大きすぎ、炭素繊維織物に樹脂が均一に含浸せず、樹脂流れが発生した。
本発明の樹脂含浸物の製造方法および樹脂含浸物の製造装置は、プリプレグ等の樹脂含浸物の製造に有用である。
10 樹脂含浸物の製造装置、
11 含浸対象シート状物供給ロール、
11A 織物、
11B 樹脂、
12 第1の樹脂シート供給ロール、
12A ゴムロール、
12B 金属ロール、
12C プレートヒーター、
12D 離型紙、
12E 下側樹脂層、
12F シート状強化繊維基材、
12G 上側樹脂層、
12H ポリエチレンフィルム、
12I 試験用積層体、
13 第2の樹脂シート供給ロール、
13A ブロック
13B 試験片
14 ガイドロール、
15 ガイドロール、
16 ガイドロール、
17 剥離ロール、
18 シート状担体巻取ロール、
20 トップフィルム供給ロール、
22 ガイドロール、
23 加熱プレート、
24 凹凸プレスロール、
26 加熱ロール、
27 冷却プレート、
28 剥離ロール、
30 トップフィルム巻取ロール、
31 トップフィルム供給ロール、
32 ガイドロール、
33 ガイドロール、
34 樹脂含浸物巻取ロール、
36 凸部、
38 凹部、
40 フラットプレスロール、
42 フラット金属ロール、
44 プレートヒーター、
46 凹凸パターン板、
102 含浸対象シート状物、
104 第1の樹脂シート、
106 第2の樹脂シート、
107 シート状担体、
108 積層体、
110 樹脂含浸物、
112 トップフィルム、
113 トップフィルム、
114 離型紙、
116 下側樹脂層、
118 炭素繊維織物、
120 ポリエチレンフィルム、
122 上側樹脂層、
124 ポリエチレンフィルム、
126 試験用積層体、
128 試験用積層体、
a 凸部短軸長さ、
b 凸部長軸長さ、
c 凸部間の間隔、
d 凹部の深さ、
A 凹部の面積の割合、
D 凹部の深さ、
W 凹部の幅、
X 指標。

Claims (14)

  1. 強化繊維からなる繊維束を含むシート状強化繊維基材と、樹脂組成物を含むマトリクス樹脂とを含むプリプレグであって、
    前記シート状強化繊維基材の目付が400g/m以上であり、
    プリプレグ中のマトリクス樹脂の含有量が、33質量%以上45質量%以下であり、
    プリプレグは揮発成分を含んでもよく、プリプレグが揮発成分を含む場合、プリプレグ中の前記揮発成分の含有量が0質量%を超え0.50質量%以下であり、
    前記シート状強化繊維基材を構成する前記繊維束の前記マトリクス樹脂の含浸率が70%以上であるプリプレグ。
  2. 任意の繊維束の繊維方向に直交する方向のプリプレグの垂直断面において、前記任意の繊維束の周囲に残存しているマトリクス樹脂の断面積Aと、前記任意の繊維束の断面積Aの(A/A)×100で表される比率が10%以下である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記シート状強化繊維基材の目付が、400g/m以上1500g/m以下である、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 開口率が0.5%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 40℃におけるカンチレバー値が10mm以上50mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 前記樹脂組成物の硬化開始温度が80〜150℃であり、かつ、前記硬化開始温度における粘度(最低粘度)が0.1〜10Pa・Sである、請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂組成物である、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 含浸対象シート状物と樹脂層とを重ねた積層体を、プレスロールと前記プレスロールに対向配置された対向ロールとの間に通して加圧することによって前記含浸対象シート状物に樹脂が含浸した樹脂含浸物を製造する方法であり、
    前記積層体を、前記プレスロールと前記対向ロールとの間に通した後、前段と同じまたは前段とは異なるプレスロールと対向ロールとの間に通すことによって、プレスロールと対向ロールとの間に合計でm(ただしmは2以上の整数である。)回通過させ、
    前記プレスロールが、外周面に複数の凸部と前記凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ、下記条件(α)を満足する凹凸プレスロールである、樹脂含浸物の製造方法。
    <条件(α)>
    前記積層体をa回目に通過させる凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXと、前記積層体をb回目に通過させる凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXとが、下記式(2)の関係を満足するaおよびbが存在する。ただし、aおよびbは、1≦a<b≦mの整数である。
    >X ・・・(2)
    =A×W ・・・(1)
    ただし、iは1〜mの整数であり、Aは前記凸部および前記凹部が形成された領域における前記凹部の面積の割合であり、Wは凹部の幅(mm)である。
  10. 前記式(1)から求めたXが、0.5〜6である、請求項9に記載の樹脂含浸物の製造方法。
  11. 前記凹凸プレスロールが、さらに下記条件(β)を満足する、請求項9または10に記載の樹脂含浸物の製造方法。
    <条件(β)>
    前記領域から無作為に選ばれた20箇所の凹部の深さを測定し、これらを平均化して求めた凹部の深さDと、前記凹部の幅Wとが、下記式(3)の関係を満足する。
    D≧W×0.35 ・・・(3)
  12. 含浸対象シート状物と樹脂層とを重ねた積層体を、プレスロールと前記プレスロールに対向配置された対向ロールとの間に通して加圧することによって前記含浸対象シート状物に樹脂が含浸した樹脂含浸物を製造する装置であり、
    前記積層体の移動方向に間隔をあけて配置されたm(ただしmは2以上の整数である。)本のプレスロールと、前記プレスロールに対向配置された対向ロールとを備え、
    前記プレスロールが、外周面に複数の凸部と前記凸部間に形成された連続した凹部とを有し、かつ、下記条件(α)を満足する凹凸プレスロールである、樹脂含浸物の製造装置。
    <条件(α)>
    前記積層体の移動方向の最も上流側からa本目の凹凸プレスロールについて下記式(1)から求めたXと、前記積層体の移動方向の最も上流側からb本目の凹凸プレスロールについて前記式(1)から求めたXとが、下記式(2)の関係を満足するaおよびbが存在する。ただし、aおよびbは、1≦a<b≦mの整数である。
    >X ・・・(2)
    =A×W ・・・(1)
    ただし、iは1〜mの整数であり、Aは前記凸部および前記凹部が形成された領域における前記凹部の面積の割合であり、Wは凹部の幅(mm)である。
  13. 前記式(1)から求めたXが、0.5〜6である、請求項12に記載の樹脂含浸物の製造装置。
  14. 前記凹凸プレスロールが、さらに下記条件(β)を満足する、請求項12または13に記載の樹脂含浸物の製造装置。
    <条件(β)>
    前記領域から無作為に選ばれた20箇所の凹部の深さを測定し、これらを平均化して求めた凹部の深さDと、前記凹部の幅Wとが、下記式(3)の関係を満足する。
    D≧W×0.35 ・・・(3)
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