JP5985085B2 - 多層構造の成形材料及び多層構造の成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維を含む熱可塑性樹脂層からなる多層構造の成形材料及び多層構造の成形体に関するものである。
近年、繊維強化複合材料の1つとしてランダムマット成形体が提案されている。ランダムマット成形体は、所定長さの強化繊維束と熱可塑性樹脂とが混在するランダムマット(例えば、特許文献1〜3)を成形したものである。
特許文献1では、成形後の成形体の表面品位に優れるランダムマットや、表面品位に優れたランダムマット成形体が提案されている。特許文献2では、炭素繊維と熱可塑性樹脂とが含浸しやすいランダムマットやランダムマット成形体が提案されている。
さらに、特許文献3では、2種類の繊維長の炭素繊維束を用い、成形時の流動特性を向上できるランダムマットやランダムマット成形体が提案されている。
その他、熱可塑性樹脂を用いた複合材料として、特許文献4と特許文献5には、特定の繊維長を有する2種類の強化繊維を用いることで、リブ、ボスといった複雑形状の成形に有効なプリプレグや、表面に摘み皺の少ない強化繊維ウェブが提案されている。
特許文献6には、プレス成形において、表面外観、寸法精度、信頼性に優れた面板部の形成と、リブ構造の形成を両立した繊維強化複合材料の成形体を製造するために、異なる2種類の成形材料を用いる技術が開示されている。この技術は、繊維長が長く流動特性が低い成形材料と、繊維長が短く流動特性が高い成形材料とを積層してプレス成形するものである。
日本国特開2012−158846号公報 日本国特開2012−158847号公報 国際公開第2013/094706号 日本国特開2011−157524号公報 日本国特開2011−189747号公報 日本国特開2013−176984号公報
上記の特許文献3で提案されているランダムマットを使用すると、成形時に良好な流動特性が得られるものの、成形圧が比較的高いという問題がある。このような比較的高い成形圧力が必要なランダムマットの場合、大面積の成形体を成形する際などは、小型の設備で成形できる技術が必要とされている。
また、上記の特許文献6で提案されている成形方法では、繊維長を短くすることで流動特性を向上させた成形材料を、成形材料全体重量に対して概ね50wt%以上用いる必要があり、流動特性と機械強度を両立することが難しい。さらに、外側層に比べて内側層の流動特性が高すぎるため、それぞれの層の端を揃えて成形した場合、多くの内側層が外側層の端部よりも外側に飛び出てしまい、成形体端部の機械強度が低くなってしまう問題が発生することが分かった。
本発明は、成形圧力が低い時の成形時の流動特性改善に鑑み、より厳しい成形条件下で成形した場合でも、良好な流動特性が得られ且つ機械特性も発現することができる成形材料及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
<1>
重量平均繊維長0.01mm以上3mm未満の炭素繊維(A)を含む熱可塑性樹脂層(X)と、重量平均繊維長3mm以上100mm以下の炭素繊維(B)を含む熱可塑性樹脂層(Y)とを含み、
前記熱可塑性樹脂層(Y)の下記式(1)で表される濃度パラメーターPが1×10以上1×10未満であり、
熱可塑性樹脂層(X)の下記式(1)で表される濃度パラメーターPが1×10以上である、多層構造の成形材料。
P=(q×Ln)/h (1)
q:熱可塑性樹脂層の単位面積(1mm)当たりに含まれる炭素繊維からなる流動単位の数
Ln:炭素繊維の数平均繊維長(mm)
h:熱可塑性樹脂層の厚み(mm)
<2>
前記熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーターPに対する前記熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーターPの比(P/P)が1.0×10−3以上3.0以下である、<1>に記載の多層構造の成形材料。
<3>
熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の合計重量に対して、熱可塑性樹脂層(X)の重量割合が、5wt%以上40wt%以下である、<1>又は<2>のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
<4>
多層構造の少なくとも片側の最外層に、前記熱可塑性樹脂層(Y)が配されている<1>〜<3>のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
<5>
前記熱可塑性樹脂層(X)は、少なくとも積層方向の中央に配されている<1>〜<4>のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
<6>
前記熱可塑性樹脂層(X)は1層であり、前記熱可塑性樹脂層(Y)は2層である<5>に記載の多層構造の成形材料。
<7>
前記熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)が2次元方向にランダム配向されている<1>〜<6>の何れか1項に記載の多層構造の成形材料。
<8>
前記熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)が、下記式(2)で定義される臨界単糸数以上の単糸で構成される炭素繊維束(Bb)を含み、前記炭素繊維(B)全量に対する当該炭素繊維束(Bb)の割合が0Vol%超99Vol%未満であり、かつ当該炭素繊維束(Bb)中の平均繊維数(N)が次の式(3)を満たす、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
臨界単糸数=600/D (2)
0.7×10/D <N<6×10/D (3)
:炭素繊維(B)の平均繊維径(μm)
<9>
成形材料を成形してなる多層構造の成形体であって、前記成形材料は、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の成形材料である、多層構造の成形体。
<10>
前記成形体の端部に前記熱可塑性樹脂層(Y)が存在する<9>に記載の多層構造の成形体。
<11>
前記多層構造は、少なくとも片側の最外層に位置する前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層と、前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層に隣接する前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層とを有する構造であり、
前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層の表面に凸部を有し、当該凸部において、前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層の一部が前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層を前記凸部の突出方向に押し上げている、<9>又は<10>のいずれか1項に記載の多層構造の成形体。
<12>
前記多層構造は、少なくとも片側の最外層に位置する前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層と、前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層に隣接する前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層とを有する構造であり、
前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層の表面に凸部を有し、当該凸部において、前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層の一部が前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層を前記凸部の突出方向に突き破っている、<9>又は<10>のいずれか1項に記載の多層構造の成形体。
なお、ここでの炭素繊維(A)中の「(A)」と、炭素繊維(B)中の「(B)」は、両炭素繊維を区別するために記載したものである。同様に、熱可塑性樹脂層(X)中の「(X)」と、熱可塑性樹脂層(Y)中の「(Y)」は、両熱可塑性樹脂層を区別するために記載したものである。
本発明における成形材料は、熱可塑性樹脂層(X)の炭素繊維(A)の重量平均繊維長が短いために成形時の流動特性が向上し、熱可塑性樹脂層(Y)の炭素繊維(B)の重量平均繊維長が長いために、成形時の流動特性と、成形体としたときに機械特性の発現とが両立される。
実施形態の一例である三層構造の成形材料の構成を示す概略図である。 実施形態の一例である二層構造の成形材料の構成を示す概略図である。 実施形態の一例である五層構造の成形材料の構成を示す概略図である。 熱可塑性樹脂層X1が熱可塑性樹脂層Y1を押し上げてリブを形成している模式図である。 図3は熱可塑性樹脂層X1が熱可塑性樹脂層Y1を突き破ってリブを形成している模式図である。 粉砕材製作工程を説明する説明図である。 シート材形成工程を説明する説明図である。 素材y1の製造方法を説明する概略図である。 実施形態の一例である三層構造の成形材料の製造方法を説明する説明図である。 成形材料の製造方法を説明する説明図である。 本発明の成形材料を用いた成形品の模式図である。 成形品の寸法説明図である。 成形体の端部に熱可塑性樹脂層Yが残る場合の模試図である。 成形体の端部に熱可塑性樹脂層Yが残らない場合の模試図である。
以下、本発明に関して説明するときは、符号に()を付け、本発明の一例である実施形態に関して説明するときは、符号に()を付けないものとする。
1.構成
(1)全体構成
本発明に係る成形材料は、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを含む多層構造をしている。
一例である実施形態に係る成形材料1は、図1に示すように、1層の熱可塑性樹脂層X1が2層の熱可塑性樹脂層Y1によりサンドイッチされた3層構造をしている。他の例である成形材料3は、図2に示すように、1層の熱可塑性樹脂層X1と1層の熱可塑性樹脂層Y1との2層構造をしている。他の例である成形材料5は、図3に示すように、2層の熱可塑性樹脂層X1と3層の熱可塑性樹脂層Y1とを交互に配した5層構造をしている。
ここで、熱可塑性樹脂層X1は、本発明の「熱可塑性樹脂層(X)」の一例であり、熱可塑性樹脂層Y1は、本発明の「熱可塑性樹脂層(Y)」の一例である。
多層構造は、熱可塑性樹脂層X1が成形材料の少なくとも片側の最外層に位置する構造でもよいし、熱可塑性樹脂層X1が成形材料の中間層に位置する構造でもよい。なお、中間層とは、成形材料の表側の最外層(表層ともいう。)及び裏側の最外層(裏層ともいう。)でない層であり、設計上、成形材料の側面以外の表層及び裏層に現れていない層である。
熱可塑性樹脂層X1は、重量平均繊維長0.01mm以上3mm未満の炭素繊維A1と熱可塑性樹脂C1とを含む。ここで、炭素繊維A1は、本発明の「炭素繊維(A)」の一例である。熱可塑性樹脂層Y1は、重量平均繊維長3mm以上100mm以下の炭素繊維B1と熱可塑樹脂E1とを含む。ここで、炭素繊維B1は、本発明の「炭素繊維(B)」の一例である。
(2)熱可塑性樹脂層(X)
熱可塑性樹脂層(X)は、重量平均繊維長0.01mm以上3mm未満の炭素繊維(A1)と熱可塑性樹脂材料(C)とを含む。
(2−1)繊維長
炭素繊維(A)は、繊維長が一定であってもよく、図1の拡大図に示すように繊維長が一定でなくてもよい。
炭素繊維(A)は、重量平均繊維長(Lw)が0.01mm以上3mm未満の範囲内であれば特に限定はないが、炭素繊維(A)の数平均繊維長(Ln)は、0.01mm以上3mm未満の範囲内であることが好ましい。
(2−1−1)平均繊維長の算出
一般に、個々の炭素繊維の繊維長をLiとすると、各熱可塑性樹脂層中の数平均繊維長(Ln)と重量平均繊維長(Lw)とは、以下の式(4),(5)により求められる。
Ln=ΣLi/j ・・・(4)
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・(5)
ここで、「j」は、測定した炭素繊維の数を示す。
(2−1−2)重量平均繊維長の範囲
炭素繊維(A)の重量平均繊維長(Lw)が3mm未満であると、成形中の熱可塑性樹脂(C)の流動特性が向上し、成形材料そのものの流動特性が向上する。また、重量平均繊維長(Lw)が0.01mm以上であると、成形材料を成形して得られる成形体の機械物性を確保しやすい。
炭素繊維(A)の重量平均繊維長(Lw)について、下限は、成形体の機械物性の観点より、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。一方、上限は、流動特性の観点より、2.5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
(2−2)繊維体積含有率
熱可塑性樹脂層(X)中の炭素繊維(A)の、以下の式(6)で一般的に定義される繊維体積含有率(Vf)は、5Vol%以上80Vol%以下の範囲内であると好ましく、20Vol%以上60Vol%以下の範囲内であればより好ましく、30Vol%以上40Vol%以下の範囲内であるとより一層好ましい。
Vf=100×炭素繊維の体積/(炭素繊維の体積+熱可塑性樹脂の体積) ・・・(6)
繊維体積含有率(Vf)が5Vol%以上であると、層構造による効果が発現しやすく、熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)側に流動しやすくなる。この結果、リブやボスなどを形成したときにリブ内やボス内に炭素繊維(A)が入り易くなる。また、繊維体積含有率(Vf)が80Vol%以下であると、炭素繊維(A)の流動性が良くなるので、成形材料としての流動特性が向上する。
(2−3)繊維状態
炭素繊維(A)は、単糸のみであっても良いし、複数本の単糸が束になった繊維束及び単糸の両方が存在していてもよく、繊維束のみであっても良い。
単糸とは、炭素繊維(A)の単糸間が完全にバラバラの状態であるだけでなく、部分的に結合しているものの大部分がバラバラの状態などの形態を呈するものも含む。
(2−4)炭素繊維の種類
炭素繊維(A)としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、これらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。なかでも、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。
(2−5)熱可塑性樹脂材料の種類
熱可塑性樹脂材料(C)としては、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。
上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。
上記ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。
上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂材料(C)として用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点又は融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
(3)熱可塑性樹脂層(Y)
熱可塑性樹脂層(Y)は、重量平均繊維長3mm以上100mm以下の炭素繊維(B)と熱可塑樹脂材料(E)とを含む。
(3−1)熱可塑性樹脂(E)
熱可塑性樹脂層(Y)中の熱可塑性樹脂(E)は、熱可塑性樹脂層(X)中の熱可塑性樹脂(C)で挙げたものと同様であり、熱可塑性樹脂層(X)中の熱可塑性樹脂(C)と同じ材料であると好ましい。なお、ここでいう「同じ材料である」とは、少なくとも、熱可塑性樹脂層(X)の熱可塑性樹脂(C)と熱可塑性樹脂層(Y)の熱可塑性樹脂(E)との主成分が同じであればよい。
(3−2)炭素繊維(B)
(3−2−1)重量平均繊維長
炭素繊維(B)は、炭素繊維(A)に比べて重量平均繊維長(Lw)が長い。このため、機械的物性(特に疲労強度)を担保することができるが、重量平均繊維長(Lw)が100mm超であると流動特性を阻害する。また、重量平均繊維長(Lw)が3mm未満であると成形材料を成形して得られる成形体の機械物性が十分でない。
炭素繊維(B)の重量平均繊維長(Lw)は3mm以上100mm以下の範囲であれば特に限定はなく、繊維長が一種類でも良いし、複数種類でも良い。例えば、5mmと50mmの2種類の繊維長であってもよい。
なお、炭素繊維(B)の数平均繊維長(Ln)及び重量平均繊維長(Lw)は、上記の式(4),(5)により求められる。
炭素繊維(B)の重量平均繊維長(Lw)について、下限は、成形体の機械物性の観点より、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が更に好ましい。一方、上限は、成形時の流動特性の観点より、80mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下がより一層好ましい。
このような重量平均繊維長とする方法はとくに限定はないが、後述する好ましい成形材料の製造方法において、炭素繊維が複数本束状になったストランドをカットする刃のピッチを調整する方法が挙げられる。刃のピッチを変えたものを複数用いることや、刃のピッチが連続的に変化しているロータリーカッターを用いることで、連続的に繊維長を変化させて繊維を切断することもできる。
(3−2−2)繊維状態
炭素繊維(B)は、単糸から構成されてもよいし、後述する臨界単糸数未満の繊維束及び単糸から主に構成されていてもよいし、臨界単糸数以上の繊維束及び単糸から構成されてもよいし、さらに、臨界単糸数未満の繊維束、臨界単糸数以上の繊維束及び単糸から構成されてもよいし、臨界単糸数未満の繊維束から構成されてもよいし、臨界単糸数以上の繊維束から構成されてもよい。
(3−2−3)炭素繊維の形態
炭素繊維(B)の繊維状態は上述したように特に限定しないが、繊維束が含まれる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
炭素繊維(B)として繊維束を含む場合、炭素繊維(B)は、
i)下記式(2)で定義される臨界単糸数未満の繊維束及び単糸(これらを、便宜上、「単糸等」と称し、符号「Ba」を用いる。)と、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(臨界単糸数未満の繊維束と区別するために、符号「Bb」を用いる)とが同時に存在し、
ii)炭素繊維束(Bb)について、熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)全量に対する割合が、0Vol%超99Vol%未満であり、
iii)炭素繊維束(Bb)中の平均繊維数(N)が下記式(3)を満たす
ことが好ましい。
臨界単糸数=600/D・・・(2)
0.7×10/D <N<6×10/D ・・・(3)
なお、Dは炭素繊維(B)の平均繊維径(μm)であり、より正確にいうと炭素繊維を構成する単繊維の直径である。
(3−2−3−1)炭素繊維束(Bb)の割合
炭素繊維(B)の全量に対する炭素繊維束(Bb)の割合が、上述した0Vol%超99Vol%未満の範囲内であることが好ましいが、20Vol%以上99Vol未満の範囲内であることがより好ましく、30Vol%以上95Vol%未満の範囲内であることがさらに好ましく、50Vol%以上90Vol%未満の範囲内であることがより一層好ましい。
このように特定の比率の範囲内に炭素繊維束(Bb)とそれ以外の単糸等(Ba)とを共存させることで、成形材料中の炭素繊維(B)の存在量、すなわち炭素繊維(B)の繊維体積含有率(Vf)を高めることが可能となる。
炭素繊維(B)全量に対する炭素繊維束(Bb)の割合が増加すると、単糸等(Ba)が減少するため、炭素繊維(B)同士の交絡が少なくなり、流動特性が向上し薄肉の成形体が得られやすくなる。
炭素繊維束(Bb)の割合が99Vol%未満であれば、成形体とした際に機械物性に優れた成形材料が得られやすくなる。
(3−2−3−2)平均繊維数(N
炭素繊維束(Bb)の平均繊維数(N)は、流動特性及び機械特性を損なわない範囲で適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。炭素繊維束(Bb)の平均繊維数(N)は、通常1本超12000本以下の範囲内の束状の形態とされるが、上記式(3)を満たすことがより好ましく、さらに、3×10/D 未満であることがより好ましく、6×10/D 未満であることが更に好ましい。なお、炭素繊維束(Bb)の開繊については後述する。
(3−2−3−3)例
具体的には、炭素繊維(B)の平均繊維径(D)が5μmより大きく7μmより小さい場合、臨界単糸数は86本より多く120本より少なくなる。
炭素繊維(B)の平均繊維径(D)が5μmの場合、炭素繊維束(Bb)の平均繊維数(N)は280本超24000本未満の範囲となるが、なかでも280本超12000本未満の範囲であることが好ましく、280本超4000本未満の範囲であることがより好ましく、600本超2500本未満の範囲であることが更に好ましく、600本超1600本未満であることがより一層好ましい。
炭素繊維(B)の平均繊維径(D)が7μmの場合、炭素繊維束(Bb)の平均繊維数(N)は142本超12244本未満の範囲となるが、なかでも142本超6122本未満の範囲であることが好ましく、なかでも300本超1500本未満の範囲であることがより好ましく、300本超800本未満の範囲が更に好ましい。
なお、臨界単糸数未満の繊維束及び単糸を含む単糸等(Ba)の繊維長と、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(Bb)の繊維長は、略同じ(1種類)でもよいし、同じ繊維長で複数種類あってもよい。また、炭素繊維束(Bb)の繊維長と単糸等の繊維長が互いに異なる繊維長であってもよい。
(3−2−4)繊維配向
炭素繊維(B)は、繊維の向き(配向角)が2次元方向にランダム配向されても良い。これは、面内における特定の方向への炭素繊維の配向が、他の方向への配向に比べて差が少ないことを意味している。
2次元方向のランダム配向は、板状の熱可塑性樹脂層(Y)について、互いに直交する二方向の引張弾性率の比を求めることで、熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維のランダム配向を定量的に評価できる。熱可塑性樹脂層(Y)における2方向の弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比が3以下であるときに、炭素繊維(B)は2次元方向にランダム配向であるとする。特に、この比が2以下のときは2次元方向へのランダム配向に優れているとし、1.3以下がより優れている。
(3−2−5)繊維体積含有率
熱可塑性樹脂層(Y)中の炭素繊維(B)の上記式(6)で定義される繊維体積含有率(Vf)は、5Vol%以上80Vol%以下の範囲であると好ましく、20Vol%以上60Vol%未満の範囲であればより好ましく、25Vol%以上45Vol%以下であればより一層好ましい。
繊維体積含有率(Vf)が5Vol%以上であれば機械物性が良好となり、80Vol%以下であれば流動特性が向上する。
(3−2−6)炭素繊維の種類
炭素繊維(B)としては、上記炭素繊維(A)で挙げたものと同様の炭素繊維を用いることができる。
(4)多層構造
(4−1)層構成
以下、成形材料を構成する熱可塑性樹脂層(X),(Y)の多層構造について説明する。積層構成を表す際に、熱可塑性樹脂層(X)をX層、熱可塑性樹脂層(Y)をY層として表す。例えば、図1で示す成形材料1の場合、熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)にサンドイッチされた3層構造であり、「Y/X/Y層」と表す。
(4−1−1)多層構造
熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との層構成に特に限定はなく、例えば、X/Y層(成形材料3である。)、Y/X/Y層、Y/X/Y/X層、Y/X/Y/X/Y層(成形材料5である。)、X/Y/X/Y/X層といった多層構造の成形材料にすることができる。なお、言うまでもなく、ここで記載していない他の多層構造としてもよい。
多層構造が、熱可塑性樹脂層(X)を成形材料のいずれか片方の表層にし、当該表層側にリブ・ボスをコールドプレス法で形成する場合には、熱可塑性樹脂層(X)の表面から冷却されるが、熱可塑性樹脂層(X)中の炭素繊維(A)の重量平均繊維長が短いために、熱可塑性樹脂層(Y)よりも流動しやすく、リブ・ボスを形成できる。この場合、炭素繊維(A)の重量平均繊維長が短く、流動しやすいので、成形体の表面外観は、熱可塑性樹脂層(Y)を外側(表面)にする場合に比べて向上する。
成形体の機械物性、特に曲げ特性を保つ観点より、熱可塑性樹脂層(Y)が少なくとも片側の最外層に配置されているのが好ましく、熱可塑性樹脂層(X)が少なくとも積層方向の中央に配される層構造が好ましい。さらに、最外層の熱可塑性樹脂層(Y)の直下に隣接する内層としての熱可塑性樹脂層(X)が配される構造がより好ましい。
(4−1−2)3層構造
製造上の観点から、熱可塑性樹脂層(X)は1層であり、熱可塑性樹脂層(Y)は2層であって、多層構造がY/X/Y層になっていると、より一層好ましい。すなわち、成形材料1は、1層の熱可塑性樹脂層(X)と2層の熱可塑性樹脂層(Y)とからなり、熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)により挟まれた3層構造であることが好ましい。つまり、熱可塑性樹脂層(X)は、積層方向の中央に配されているのが好ましい。なお、積層方向は成形材料1の厚み方向と一致する。
成形材料は、上述の積層構成と逆の、1層の熱可塑性樹脂層(Y)を2層の熱可塑性樹脂層(X)で挟んだ3層構造であってもよい。この場合、熱可塑性樹脂層(X)が成形材料の表層及び裏層に位置するため、成形後の成形体の表面及び裏面の意匠特性が向上する。
また、表面及び裏面の少なくとも一方にリブやボスを設ける際にも、表面及び裏面が熱可塑性樹脂層(X)で構成されているため、樹脂材料の充填不足等のない良好なリブやボスを得ることができる。
なお、3層構造の場合、厚み方向の中心を通り且つ成形材料の主面(厚み方向と直交する面)と平行な仮想面に対して厚み方向の積層パターンが対称であることが好ましい。これにより、成形材料を成形して得られる成形体のそりを低減できる。
(4−1−3)他の層
成形材料は、1以上の熱可塑性樹脂層(X)と1以上の熱可塑性樹脂層(Y)とを有しておればよく、他の熱可塑性樹脂層を有していてもよい。他の熱可塑性樹脂層としては、例えば、炭素繊維以外の強化繊維を含んだ層、重量平均繊維長が100mm超(例えば、連続繊維)の炭素繊維を含んだ層、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とが一層として混在するような層等がある。
(4−2)流動特性
熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを積層した成形材料では、例えば、コールドプレス成形において、材料全体(成形材料)に対する熱可塑性樹脂層(X)の比率が多くなるに従って、流動特性が向上する。
コールドプレス法では、加熱した成形材料を、当該成形材料よりも温度の低い金型内に配置したのち、所定の圧力で金型をプレス(型締め)している。このため、例えば、成形材料の積層(厚み)方向の両側最外層に熱可塑性樹脂層(Y)を設けた場合(図1で示す成形材料1が一例である。)、加熱された状態の成形材料は、金型と接触している部分、つまり、成形材料の表側の最外層(表面)と裏側の最外層(裏面)に存在する熱可塑性樹脂層(Y)から冷却されることになる。成形材料の表面・裏面が冷却されると、一般的に、表面・裏面の樹脂材料の粘度が下がり、リブやボス等の形成が困難になったり、リブやボス等の形成のために高い圧力が必要になったりする。
しかしながら、熱可塑性樹脂層(X)は、熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)の重量平均繊維長よりも短い重量平均繊維長の炭素繊維(A)を含んでいる。熱可塑性樹脂層(X)は熱可塑性樹脂層(Y)よりも流動しやすく、成形材料の表面・裏面の樹脂材料が固化する前に、熱可塑性樹脂層(X)が表面・裏面の熱可塑性樹脂層(Y)を押し上げて(熱可塑性樹脂層(Y)が熱可塑性樹脂層(X)を包み込むように)、リブやボスの形成領域へと流動できる。
図4において、図中の「7」が金型であり、「7a」がリブやボスの形成領域であり、熱可塑性樹脂層(X)の一例が図中のX1であり、熱可塑性樹脂層(Y)の一例が図中のY1である。また、炭素繊維(B)の一例が図中のB1である。
これにより、低圧力の成形圧でもリブやボスの形成が行え、成形材料の流動特性を保ったまま、成形時の複雑形状の追従性を向上できる。また、場合によっては、高さの高いリブやボスを設ける際、熱可塑性樹脂層(Y)が熱可塑性樹脂層(X)によって突き破られる場合もある。
図5において、図中の「7」が金型であり、「7a」がリブやボスの形成領域であり、熱可塑性樹脂層(X)の一例が図中のX1であり、熱可塑性樹脂層(Y)の一例が図中のY1である。また、炭素繊維(B)の一例が図中のB1である。
特に、熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)の重量平均繊維長が長く、炭素繊維(B)中の単糸等(Ba)が増加した場合、一般的には、熱可塑性樹脂層(Y)の炭素繊維(B)が流動し難くなる。しかしながら、熱可塑性樹脂層(X)を熱可塑性樹脂層(Y)の裏層に備えているため、単糸等(Ba)の割合が多い熱可塑性樹脂層(Y)側にリブやボスを設ける場合でも、熱可塑性樹脂層(Y)のみから構成された成形材料よりも、流動特性を向上させることができる。
(4−3)熱可塑性樹脂層(X)の効果
熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の層構成は、例えば、X/Y層、X/Y/X/Y層といった、成形材料の最外層に位置する2つの層のうち、少なくとも一方の層が熱可塑性樹脂層(Y)であっても良い。
このような多層構造の成形材料を用いれば、熱可塑性樹脂層(Y)側にリブ・ボスを作成する場合、流動特性の高い熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)を押し上げたり(図3参照)、場合によっては熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)を突き破ったり(図4参照)する。このため、熱可塑性樹脂層(Y)の機械強度の低下を抑えて、熱可塑性樹脂層(Y)側にリブ・ボスの形成をすることができる。
したがって、成形材料の多層構造が、Y/X/Y層のような3層構造に限らず、X/Y層のような2層構造やX/Y/X/Y層のような4層構造であったとしても、熱可塑性樹脂層(Y)側に良好なリブ・ボスを形成できる。
また、リブやボスを形成しない場合の成形においては、たとえば、成形材料の多層構造が、Y/X/Y層のような3層構造の場合、熱可塑性樹脂層(X)の大きさが、熱可塑性樹脂層(Y)よりも小さいものであっても、熱可塑性樹脂層(X)が十分に流動するため、得られる成形体の厚みが均一になるという効果も期待できる。
(4−4)層の界面
成形材料を成形した成形体では、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とが同じ樹脂材料の場合、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との界面の存在を認識し難いが、成形体の断面において、繊維長の分布を観察することで、各層(X),(Y)の存在を認識できる。
(4−5)熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の重量割合
(4−5−1)重量割合の範囲
熱可塑性樹脂層(X)の重量割合は、熱可塑性樹脂層(X)及び熱可塑性樹脂層(Y)の合計重量に対して、5wt%以上40wt%以下の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂層(X)の重量割合が合計重量に対して40wt%以下であれば、重量平均繊維長0.01mm以上3mm未満である、比較的短い繊維長の炭素繊維(A)の割合が多くなりすぎないため、機械強度を保つことができ好ましい。
熱可塑性樹脂層(X)及び熱可塑性樹脂層(Y)の合計重量に対して、熱可塑性樹脂層(X)の重量割合が、5wt%以上40wt%以下であると、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との2つの層の端を揃えて成形した場合であっても、熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)の端部よりも外側に飛び出す量を少なくでき、成形体の端にまで長繊維である炭素繊維(B)が含まれた成形体を容易に製造することができる。あるいは、熱可塑性樹脂層(Y)の内側のみに部分的に熱可塑性樹脂層(X)を配置して平板を作成した場合は、熱可塑性樹脂層(X)の流動に、ある程度、熱可塑性樹脂(Y)に追従されるため、作成した成形体の厚みが部分的に厚くならず、作成した成形体の意匠性が向上する。
重量割合が40wt%を超える熱可塑性樹脂層(X)を用いると、熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の端を揃えて、平面方向に流動させて成形(圧縮成形)した場合、熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)の端部よりも外側に流出する量が増加する場合があり、成形体の端部における長繊維が不足し、機械強度の弱い成形体端部が形成されることがある。
一方、熱可塑性樹脂層(X)の重量割合が合計重量に対して5wt%以上であれば、成形時の流動特性が向上しやすい。
より好ましい熱可塑性樹脂層(X)の重量割合は、10wt%以上35wt%以下の範囲であり、更に好ましくは10wt%以上30wt%以下の範囲である。
(4−5−2)熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との厚みの割合
熱可塑性樹脂層(X)の厚みの割合は、熱可塑性樹脂層(X)及び熱可塑性樹脂層(Y)の合計の厚みに対して、[熱可塑性樹脂層(X)の厚み/{熱可塑性樹脂層(X)及び熱可塑性樹脂層(Y)の合計の厚み}]が、0.05以上0.4以下の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂層(X)の割合が合計の厚みに対して0.4以下であれば、機械強度を保つことができ好ましい。
例えば、成形材料の厚みが3mmの場合、「熱可塑性樹脂層(X)の合計の厚み/熱可塑性樹脂層(Y)の合計厚み」は、0.15mm以上1.2mm以下/2.85mm以下1.8mm以上が好ましく、0.3mm以上1.05mm以下/2.7mm以下1.95mm以上がより好ましく、0.3mm以上0.9mm以下/2.7mm以下2.1mm以上が更に好ましい。
同様に、成形材料が4mmの場合、「熱可塑性樹脂層(X)の合計の厚み/熱可塑性樹脂層(Y)の合計厚み」は、0.2mm以上1.6mm以下/3.8mm以下2.4mm以上が好ましく、0.4mm以上1.4mm以下/3.6mm以下2.6mm以上がより好ましく、0.4mm以上1.2mm以下/3.6mm以下2.8mm以上が更に好ましい。
また、表層に熱可塑性樹脂層(Y)が配される場合、当該熱可塑性樹脂層(Y)の厚みは、2mm以下が好ましく、1mm以下であることがより好ましい。2mm以下であれば、図4や図5に示すように熱可塑性樹脂(Y)層を押し上げたり、突き破ったりすることが容易となる。
(5)熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター
(5−1)濃度パラメーター(P)
(5−1−1)概略
炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂層の流動特性は、炭素繊維、あるいは熱可塑性樹脂の種類、形態、配置、配合割合などにより異なることが一般的に知られている。プレス成形によりリブやボスなどを形成するためには、流動特性が高い成形材料を用いることが好ましい。流動特性の高低を判断する基準の一つとして、繊維干渉の大小を判断する基準である濃度パラメーター(P)について、以下説明する。
なお、濃度パラメーターについては、「Doi,M..and Edwards,S.F.,The Theory of Polymer Dynamics 324(1986)」にも記載されており、当業界において知られたパラメーターである。
(5−1−2)算出式
濃度パラメーター(P)は、繊維干渉の程度の指標であり、炭素繊維の配合量、繊維長、繊維径、流動単位を構成する単繊維の本数などによって決まるパラメーターであり、以下の式(1)で表せる。
P=(q×Ln)/h ・・・(1)
ここで、qは熱可塑性樹脂層の単位面積(1mm)当たりに含まれる炭素繊維からなる流動単位の数、Lnは炭素繊維の数平均繊維長(mm)であり、hは熱可塑性樹脂層の厚み(mm)である。
さらに、流動単位の数qは、下記の式(7)により導出される。
q=(Wf/10)/(π×(D×10−3/2)×Ln×ρ×Nave) ・・・(7)
ここで、Wfは熱可塑性樹脂層に含まれる炭素繊維の目付け(g/m)、すなわち、式(7)中の「Wf/10」は1mm当たりの目付(g/mm)をさす。Dは炭素繊維の単繊維の径(μm)、すなわち、式(7)中の「π×(D×10−3/2)」は炭素繊維の単繊維の断面積(mm)を指す。
Lnは炭素繊維の数平均繊維長(mm)を、ρは炭素繊維の密度(g/mm)を、Naveは流動単位である炭素繊維束に含まれる平均繊維数(本)をそれぞれ指す。
Dは炭素繊維の単繊維の平均繊維径(μm)であり、各熱可塑性樹脂層(X),(Y)に応じて、炭素繊維(A)の単繊維径Dを、炭素繊維(B)の単繊維径Dをそれぞれ用いる。
流動単位とは炭素繊維からなる1個(1塊)の集合体あるいは単体のことであり、熱可塑性樹脂層中に炭素繊維束として複数存在する場合は、その1つ1つの炭素繊維束が流動単位となる。
濃度パラメーター(P)の導出に用いる、各パラメーターは、加熱前の熱可塑性樹脂層を前提として計算する。この限定は、熱可塑性樹脂層を加熱することで、例えば発泡剤が添加された成形材料が膨張し、体積変化を生じる場合、または加熱により熱可塑性樹脂が溶融することで、樹脂材料による拘束が解けた炭素繊維の弾性回復によるスプリングバックが生じる場合がある。これらは体積変化を伴うため、実質の炭素繊維と熱可塑性樹脂との配合割合が加熱前後で同じであっても、得られる濃度パラメーター(P)が異なるという問題を排除するためである。
(5−1−3)平均繊維数(Nave
平均繊維数Naveとは、炭素繊維束(Bb)の平均繊維数(N)と異なる概念であり、流動単位を構成する単繊維の本数(束と単糸の両方を含めた全体の平均)をいう。以下、炭素繊維(A)の平均繊維数NaveをN(A)ave、炭素繊維(B)の平均繊維数NaveをN(B)aveと示す場合がある。
(5−2)範囲
(5−2−1)熱可塑性樹脂層(Y)
熱可塑性樹脂層(Y)は、濃度パラメーター(P)が1×10以上1×10未満であるのが好ましい。また、熱可塑性樹脂層(Y)は、主に面板部を形成するのに適している。
この場合、面板部における表面外観を改善するには、熱可塑性樹脂層(Y)中の炭素繊維(B)の重量平均繊維長が短いことが好ましく、また剛性を高めるには炭素繊維(B)の重量平均繊維長が長いことが好ましい。
表面外観及び剛性のバランスから、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター(P)が5.0×10以上であって1×10未満であることがより好ましい。
(5−2−2)熱可塑性樹脂層(X)
熱可塑性樹脂層(X)は、濃度パラメーター(P)が1×10以上であって、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター(P)の1.0×10−3倍以上3.0倍以下であることが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーターPに対する熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーターPの比(P/P)が1.0×10−3以上3.0以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂層(Y)に対して熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーター(P)が低すぎると、両熱可塑性樹脂層(X),(Y)の端を揃えて成形した場合に、流動特性の高い熱可塑性樹脂層(X)が熱可塑性樹脂層(Y)よりも外側に流動(流出)し、成形体の端部と中央部とで繊維分布が異なる。特に端部において、熱可塑性樹脂層(X)を構成していた重量平均繊維長が短い炭素繊維(A)が多く存在する部分が形成されてしまう(図14参照)。こういった多層構造の成形材料は成形体の端部の機械物性が低くなってしまう。
熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーター(P)の範囲としては、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター(P)の1.0×10−3倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.0×10−3倍以上9.0×10−1倍以下であることがより好ましく、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター(P)の1.0×10−2倍以上1.0×10−1倍以下がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーター(P)が、熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーター(P)に対して上記範囲内にある場合、熱可塑性樹脂層(X)は熱可塑性樹脂層(Y)の流動に追従しやすくなる。これにより、中央部と端部との繊維分布にばらつきの少ない成形体が得られる。さらには、いわゆるハイブリット成形が可能な成形材料となる。
仮に図14のように端部を合わせないで、大きさの異なる熱可塑性樹脂層(X)と(Y)とを用いて成形した場合であっても、熱可塑性樹脂層(X)は熱可塑性樹脂層(Y)の流動に追従しやすくなるので、作成した成形体の意匠性が向上し、やはりハイブリッド成形が容易な成形材料となる。
また、リブにおける表面外観では重量平均繊維長を短くすることで改善できるため、この観点からはリブを成形する側に熱可塑性樹脂層(X)を配置した成形材料が好ましく、熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーター(P)は1×10以下であることが好ましい。
逆に、リブにおける補強効果は重量平均繊維長を長くすることで高めることができるため、熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーター(P)は5×10以上であることがより好ましい。
濃度パラメーターPの制御方法は特に限定されないが、たとえば、数平均繊維長Lnが一定で、濃度パラメーターPを小さくする(流動率を上げる)には、Naveを大きくする方法が挙げられる。
2.成形材料の製造方法
(1)成形材料1
実施形態の一例としての成形材料1の製造方法は、成形材料1を構成する熱可塑性樹脂層X1に対応する素材xを準備する工程と、成形材料1を構成する熱可塑性樹脂層Y1に対応する素材yを準備する工程と、準備された素材x及び素材yを積層する工程とを含む。
(1−1)素材xの準備
素材xは、重量平均繊維長(Lw)が0.01mm以上3mm未満の炭素繊維A1を含有するように熱可塑性樹脂層X1を作成できれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えば次の製造方法が例示される。
(1−1−1)製造例1
製造例1では、炭素繊維A1を含有した粒状の樹脂組成物c1を準備して、準備した樹脂組成物c1を溶融させてシート材に形成している、なお、このシート材に形成されたものが、素材xの製造方法の一例である製造例1によって製造された素材x1になる。
(1−1−1−1)樹脂組成物c1の準備
素材x1は、粒状の樹脂組成物c1を準備できれば、特に限定はなく、市販されている炭素繊維を含有する樹脂ペレットを用いても良いし、後に述べる粉砕材を用いても良い。
市販されている樹脂ペレットとしては、例えば、ダイセル化学 長繊維強化樹脂プラストロン等があり、これを後述の(1−1−1−2)の工程に用いれば良い。
粉砕材としては、例えば、予め作成した炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を、市販の粉砕機で粉砕して得た粉砕材を用いる方法がある。該粉砕材は、炭素繊維を含んだ熱可塑性樹脂成形材料の製造工程やこれを用いた成形工程で発生した破材や端材(以下、単に、「破材等」ともいう。)であっても、好ましく用いることができる。このような破材等を粉砕した粉砕材を利用することにより、製造コストを低減でき、省資源や地球環境保全に貢献することができる。
図6に、粉砕材を説明する説明図を示す。
図6において、31が粉砕機、33、35が破材等であり、37が粉砕材である。なお、紛砕材37は、フィルタ39により、一定以下の大きさに選別されている。
樹脂ペレットや粉砕材37の基となる材料は、熱可塑性樹脂層Y1と同じ構成の材料であってもよいし、構成が異なる材料(1種類でも複数種類でもよい。)であってもよいし、同じ構成の材料と異なる構成の材料(1種類でも複数種類でもよい)とを組み合わせたものであってもよい。
また、樹脂組成物c1として、樹脂ペレットや粉砕材37のみを用いるだけでなく、樹脂ペレットと粉砕材との両方を用いても良い。以下、これら樹脂ペレットや粉砕材37は、粒状の樹脂組成物c1と記載することがある。
素材x1を作成する際に、樹脂ペレットや粉砕材37をそのまま用いても良いし、樹脂ペレットや粉砕材37を更に粉砕した熱可塑性樹脂を用いても良い。
(1−1―1−2)素材x1の作成
上記粒状の樹脂組成物c1や粉砕した熱可塑性樹脂を、ホットプレス機などで加熱及び加圧することにより、シート状(板状)の素材x1を得ることができる。ここで、加熱及び加圧する方法としては、加熱と加圧を別々に行っても良く、プレス成形及び/又は熱成形などの方法により加熱及び加圧することが好ましい。
具体的には加圧下で粒状の樹脂組成物c1を加熱により溶融し、炭素繊維A1に熱可塑性樹脂C1を含浸させた後、冷却することが好ましい。この加熱及び加圧操作は、金型内に樹脂組成物c1等を配置した状態で行われると好ましい。
樹脂組成物c1等から素材x1を得る際の加圧条件としては、10MPa以下であると好ましく、8MPa以下であるとより好ましく、5MPa以下であると更に好ましい。圧力が10MPa以下であると、より安価または一般的な成形装置(プレス装置)を使用でき、大型成形材料用の素材x1を成形する場合でも、設備投資や維持費を抑制でき好ましい。
素材x1を得るための加熱する際の温度としては、粒状の樹脂組成物c1や粉砕した熱可塑性樹脂に含まれる熱可塑性樹脂が結晶性の場合は融点以上分解温度未満、非晶性の場合はガラス転移温度以上分解温度未満であると好ましい。なお、熱可塑性樹脂の分解温度としては、空気中の熱分解温度であると好ましい。
素材x1の厚みは、熱可塑性樹脂層X1とほぼ同一の厚みになるので、熱可塑樹脂層X1の厚みに合わせて、素材x1の厚みを調整すれば良い。素材x1の大きさについても同様で、熱可塑性樹脂層X1の大きさに合わせて金型を適宜作成しても良いし、大板を作成して、熱可塑性樹脂層X1の大きさに合わせて切り出してもよい。
(1−1−2)製造例2
製造例2では、素材xの製造例の原料としては、例えば上記(1−1−1−1)で記載した粒状の樹脂組成物c1等を用い、当該樹脂組成物c1を押出し機に投入して、シート材に形成している(以下、「シート材形成工程」と呼ぶ場合がある。)。なお、このシート材が、素材xの製造方法の一例である製造例2によって製造された素材x2になる。
図7は、シート材形成工程を説明する説明図である。
シート材形成工程は、例えば、スクリュー押出機51とT型ダイス53とを利用して行われる。押出機51は、ポッパー55から供給された粉砕材37や樹脂ペレットを加熱シリンダ57で溶融して、スクリュー本体59が回転して、溶融した熱可塑性樹脂材と炭素繊維(以下、樹脂と炭素繊維とを単に「溶融樹脂材料等」61とする。)と混練しながら、加熱シリンダ57のノズル63からT型ダイス53へと押し出す。
T型ダイス53は、内部にT字形状の通路を有する型であり、溶融樹脂材料等61を、T字の縦部分における横部分と反対側の端部(図7では上端である。)53aから受け入れ、T字の横部分(図7では下端である。)53bから図7の紙面に直交する方向に延びる直線状に吐出される。
吐出された溶融樹脂材料等61は、所定方向に移送しているコンベア65上に流下される。これにより、コンベア65の移送方向(図7では右方向である。)に連続するシート材67が形成される。なお、溶融樹脂材料等61は、コンベア65上を移送されることで、徐々に固化する。
製造例1と同様に、素材x2の厚みは、熱可塑性樹脂層X1とほぼ同一の厚みになるので、熱可塑樹脂層X1の厚みに合わせて、素材x2の厚みを調整すれば良い。素材x2の大きさについても、同様で、上記工程で得られるシート材67を熱可塑性樹脂層X1の大きさに合わせて、切り出せば良い。
シート状に形成する方法として、炭素繊維A1を含んだ樹脂組成物c1や樹脂ペレット等を溶融状態にして、T型ダイスを利用しているが、他の方法でシート状に形成してもよい。他の方法としては、溶融樹脂材料等をカレンダーロールによって延伸するカレンダ成形でもよい。
(1−1−3)製造例3
製造例3では、複数本の炭素繊維(フィラメント)からなるストランドを切断して(カット工程)、切断された炭素繊維A1と熱可塑性樹脂C1用の樹脂材料とを散布して炭素繊維を2次元方向にランダム配向させた前駆体を形成した(前駆体形成工程)のち、樹脂材料を溶融・固化させてシート材にしている(シート材形成工程)。なお、このシート材が、素材xの製造方法の一例である製造例3によって製造された素材x3になる。
(1−1−3−1)カット工程
ストランドをカットして炭素繊維A1を得る。好ましい工程は、ナイフを用いてストランドをカットする工程である。カットに用いるナイフとしてはロータリーカッター等が好ましい。
炭素繊維A1の状態を例えば繊維束とする場合、炭素繊維A1中の平均繊維数N(A)aveを好ましい範囲とするために、カット工程に供するストランドの大きさ、例えば束の幅や幅当たりの繊維数を調整することでコントロールすることが好ましい。
(1−1−3−2)前駆体形成工程
後述する素材y1は、炭素繊維と樹脂粒子とを散布して前駆体を形成している。本製造例3における前駆体形成工程も、素材y1における前駆体を形成する工程と似ている。このため、図8を利用しながら、前駆体形成工程を説明する。
この工程は、カットして得られた炭素繊維A1(図8中の「B1」に相当する。)を、空気中に拡散させるとともに、熱可塑性樹脂粒子c2(図8中の「e1」に相当する。)を供給し、炭素繊維A1を熱可塑性樹脂粒子c2とともに支持体(211)上に散布し、該支持体(211)上に炭素繊維A1と熱可塑性樹脂粒子c2とが混在した状態で、所定の厚さに堆積・定着させて前駆体xa(図8中の「ya」に相当する。)を形成させる工程である。
この工程では、炭素繊維A1と別経路から供給される熱可塑性樹脂粒子c2とを支持体(211)上に向けて散布し、両者がほぼ均一に混ざり合った状態で通気性支持体(211)上へ堆積させ、その状態で定着させる。
この際、支持体(211)をネットからなるコンベアで構成し、一方向に連続的に移動させつつその上に炭素繊維A1と熱可塑性樹脂粒子c2とを堆積させるようにすれば連続的に前駆体xaを形成させることができる。
この工程において、熱可塑性樹脂粒子c2の供給量は、前述した繊維体積含有率(Vf)に応じて、適宜好ましい重量範囲に調整すれば良い。
求められる熱可塑性樹脂層X1に含まれる炭素繊維A1の含有割合に応じて、炭素繊維A1及び熱可塑性樹脂粒子c2の量を適宜調整すれば良い。この前駆体xaの形成工程には、炭素繊維A1及び熱可塑性樹脂粒子c2を定着させる工程を含む。
(1−1−3−3)シート材形成工程及び素材x3を得る工程
得られた前駆体xaを加熱及び加圧することにより、素材x3となるシート材を得ることができる。ここで、加熱及び加圧する方法としては、加熱と加圧を別々に行っても良く、プレス成形及び/又は熱成形などの方法により加熱及び加圧することが好ましい。具体的には「(1−1―1−2)素材x1の作成」で述べた条件で加熱及び加圧すれば良い。
ここで、シート材の大きさが素材x3と同じ場合は、当該シート材が素材x3となる。
シート材の大きさが、素材x3より大きい場合は、素材x3の大きさに合わせて、切り出したものが素材x3となる。
(1−2)素材yの準備
素材yに含まれる炭素繊維B1は、上述したように、単糸から構成されてもよいし、臨界単糸数未満の繊維束と単糸とから構成されてもよいし、臨界単糸以上の繊維束から構成されもよいし、さらには、これらを組み合わせて構成されてもよい。
繊維束の状態のものを用いる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、繊維束の状態のものを用いる場合、炭素繊維B1は2次元方向にランダム配向させて使用されるのが好ましい。
ここでは、炭素繊維B1は、単糸等B1aと炭素繊維束B1bとが混在し、単糸等B1aと炭素繊維束B1bとを用いた素材y1の製造について説明する。
図8は、素材y1の製造方法を説明する図である。
(1−2−1)ストランドをカットする工程(カット工程)
ストランド201をカットして切断繊維202を得る好ましい工程は、ナイフを用いてストランド201をカットする工程である。カットに用いるナイフとしてはロータリーカッター等203が好ましい。
炭素繊維B1に炭素繊維束B1bが含まれる場合、当該炭素繊維束B1b中の平均繊維数(N)を上述した式(3)で示された範囲内とするために、カット工程に供するストランド201の大きさ、例えば束の幅や幅当たりの繊維数を調整することでコントロールすることが好ましい。
ストランド201としてあらかじめ炭素繊維束B1bの平均繊維数(N)が上記式(3)の範囲であるものを用いることが好ましい。しかしながら、一般的に繊維束中の繊維数が少ないほど、ストランド201の価格が高価になってしまう。そこで安価に入手できる繊維数の多いストランド201を用いる場合には、カット工程に供するストランド201の幅や幅当たりの繊維数を調整してカット工程に供することが好ましい。
(1−2−2)切断繊維202を開繊させる工程(開繊工程)
開繊工程は切断繊維202を管205内に導入し、切断繊維202を開繊させる工程である。空気供給装置207から供給される空気を切断繊維に吹き付けることにより適宜開繊させることができる。なお、ここで空気が吹き付けられて開繊した繊維が、素材y1中の炭素繊維B1になる。
(1−2−3)前駆体yaを得る工程
前駆体yaを形成する工程は、開繊した炭素繊維B1を、空気中に拡散させると同時に、粉粒体状又は短繊維状の熱可塑性樹脂(以下、これらを「熱可塑性樹脂粒子等」と総称する)e1を樹脂供給装置209から供給し、炭素繊維B1を熱可塑性樹脂粒子等e1とともに、開繊装置(管205)の下方に設けた支持体211上に散布し、該支持体211上に炭素繊維B1と熱可塑性樹脂粒子等e1とが混在した状態で、所定の厚さに堆積・定着させて前駆体yaを形成させる工程である。
ここで、炭素繊維B1は、2次元方向にランダム配向するように散布することが好ましい。
前駆体yaの製造方法において、ストランド201を一定の長さにカットした後、切断繊維202を所望サイズ(太さ)の繊維束に分離・開繊させると同時に、開繊された炭素繊維B1を熱可塑性樹脂粒子等e1とともに、支持体(以下「定着ネット」ということがある)211の表面に向け吹付けて堆積して定着させることにより、前駆体yaを形成することができる。
(1−2−4)加熱圧縮工程
加熱圧縮工程では、前駆体yaを加熱及び加圧する。これにより、熱可塑性樹脂粒子等e1と炭素繊維B1とを含む素材y1を得ることができる。
ここで、加熱及び加圧する方法としては、加熱と加圧を別々に行っても良く、プレス成形及び/又は熱成形などの方法により加熱及び加圧することが好ましい。
前駆体yaは熱可塑性樹脂粒子等e1を炭素繊維B1に容易に含浸させやすい特徴を持つため、ホットプレス成形などの方法により成形中間体としても効率よく得ることができる。
具体的には加圧下で前駆体ya中の熱可塑性樹脂粒子等e1が溶融し、炭素繊維束B1b及び単糸等B1aの単糸間に溶融状態の熱可塑性樹脂(e1)を含浸させた後、冷却することが好ましい。この加熱及び加圧操作は、金型内で行われると好ましい。
素材y1を得る際の前駆体yaへの加圧条件としては、10MPa未満であると好ましく、8MPa以下であるとより好ましく、5MPa以下であると更に好ましい。圧力が10MPa未満であると、より安価または一般的な成形装置(プレス装置)を使用でき、大型の前駆体yaを加熱・加圧する場合でも、設備投資や維持費を抑制でき好ましい。
前駆体yaを素材y1とするために加熱する際の温度としては、前駆体yaに含まれる熱可塑性樹脂粒子等e1が結晶性の場合は融点以上分解温度未満、非晶性の場合はガラス転移温度以上分解温度未満であると好ましい。なお、熱可塑性樹脂の分解温度としては、空気中の熱分解温度であると好ましい。
素材y1の厚みは、熱可塑性樹脂層Y1とほぼ同一の厚みになるので、熱可塑樹脂層Y1の厚みに合わせて、素材y1の厚みを調整すれば良い。素材y1の大きさについても同様で、熱可塑性樹脂層Y1の大きさに合わせて適宜作成すれば良い。
素材y1の作成時には、熱可塑性樹脂用として、繊維状又は紛体した熱可塑性樹脂粒子e1が供給されているが、溶融状態の熱可塑性樹脂が供給されてもよい。この場合、繊維束のみを散布し、その後に溶融樹脂をシート状に形成することで、実施できる。
(1−3)積層工程
図9は、成形材料1の製造方法の一例を説明する説明図である。
積層工程では、例えば、図9に示すように、準備された素材x1と素材y1とを所定の構成で積層できる。ここでは、1枚の素材x1と2枚の素材y1とを、素材x1が中央になるように積層する。つまり、2枚の素材y1が表層と裏層に位置するように積層する。
これにより、3層構造の成形材料1が完成する。ここでは、熱可塑性樹脂層X1として、素材x1を利用したが、上述した素材x2,x3を利用してもよいし、上述していない別の方法で製造した素材を利用してもよい。また、1層の熱可塑性樹脂層X1は、複数枚の素材x1から構成されてもよいし、1層の熱可塑性樹脂層Y1は、複数枚の素材y1から構成されてもよい。
1層の熱可塑性樹脂層X1を複数枚の素材で構成する場合は、素材x1,x2,x3の何れか1種類を用いてもよいし、複数種類を用いてもよい。熱可塑性樹脂層X1が複数層ある場合は、素材x1,x2,x3の全ての層を同じ種類の素材で構成してもよいし、複数種類を用いて構成してもよい。
なお、その他の多層構造の成形材料を作成する場合には、適宜積層構成を調整すれば良い。
(2)成形材料2
上述の成形材料1の製造方法では、熱可塑性樹脂層X1用の素材x1と、熱可塑性樹脂層Y1用の素材y1とを別々に製造した後、これらを積層して成形材料1としたが、熱可塑性樹脂層X1と熱可塑性樹脂層Y1のうち、少なくとも一方を他方に直接積層する(一方を他方の素材上に直接形成する)ように、成形材料を製造してもよい。
図10は、成形材料2の製造方法に係る一例を説明する説明図である。
成形材料2は、熱可塑性樹脂層Y1に対応するシート状の素材y2を形成する工程と、該工程で形成された素材y2の上に、シート状の素材x4を形成する工程とを含む。これら工程を終えたシート材が所定寸法に切断されて成形材料2となる。
素材y2は、2.(1)における(1−2)の(1−2−1)〜(1−2−3)で述べたように、所定長さに切断された炭素B1と熱可塑性樹脂粒子e1とを散布して、形成される。図10では、図8で示した装置を利用できる。
図10では、便宜上、カット装置203,開繊装置(管)205が記載されている。なお、開繊装置205はT型ダイス53の上流側に配される。
素材x4は、2.(1)における(1−1)の(1−1−1−1)で述べたように、予め作成した粉砕材37や樹脂ペレットを溶融させて、重量平均繊維長が0.1mm〜3mmの範囲に入る炭素繊維A1を含んだ溶融樹脂61をシート状に塗布して形成される。
ここでは、素材x4は、図10に示すように、例えば、2.(1)における(1−1)の(1−1−2)で説明した素材x2の製造方法及び製造装置(図7参照)を利用して形成できる。具体的には、一方向に連続して移動する支持体211を構成するコンベア(駆動ユニットも含む)と、スクリュー押出機51と、T型ダイス53とで実施できる。
また、素材y2上に上記述べた粉砕材37等を散布することで、素材y2上に素材を形成できる。さらに、ここで説明した製造方法と逆に、先に、素材x2,x3を作成し、素材x2,x3に素材y2を形成しても良い。
3.その他
(1)強化繊維
炭素繊維A1と炭素繊維B1以外のガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の強化繊維を成形材料に加えても良い。具体的には、成形材料に含まれる強化繊維全体に対して、0wt%超49wt%以下の範囲の重量割合であれば、繊維長、開繊度を問わず含んでいても良い。
(2)他の剤
成形材料中には、ガラス繊維や有機繊維等の各種繊維状または非繊維状フィラー、難燃剤、耐UV剤、顔料、離型剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤の添加剤を含んでいてもよい。
成形材料1と同じ多層構造を有する成形材料を成形して得られた成形体の機械特性及び成形材料の成形性について、実施例を用いて説明する。用いた素材の製造方法は、上述の(1−1)素材xの準備の項目の(1−1−1)の製造例1で説明した素材x1と、上述の(1−2)素材yの準備の項目で説明した素材y1である。
なお、比較検討するために、従来の成形材料(素材y1のみ)を成形材料として用いた場合を比較例1とし、素材x1のみを成形材料として用いた場合を比較例2としている。
比較例を示す符号は、実施例で説明した符号に「c」を付けて区別する。例えば、比較例において、実施例の熱可塑性樹脂層X1に相当する熱可塑性樹脂層を示す符号は「X1c」とする。表1、表2、及び表3は、実施例及び比較例の構成と特性をまとめたものである。
1.評価方法
(1)熱可塑性樹脂層に含まれる炭素繊維の繊維長の測定方法
後述する実施例においては、粉砕材37に含まれる炭素繊維A1の重量平均繊維長(Lw)を0.01mm以上3mm未満に調整し、炭素繊維B1の重量平均繊維長(Lw)を3mm以上100mm以下になるよう調整して、ロータリーカッターでストランドをカットしている。すなわち、本実施例において、熱可塑性樹脂層X1に含まれる炭素繊維A1の繊維特性は粉砕材37に含まれる炭素繊維の特性が維持される。また、熱可塑性樹脂層Y1に含まれる炭素繊維B1の繊維特性は、前駆体ya及び素材y1に含まれる炭素繊維の特性が維持される。
したがって、炭素繊維A1の特性は、粉砕材37に含まれる炭素繊維を分析し、炭素繊維B1の特性は、前駆体yaに含まれる炭素繊維を分析した。
具体的には、粉砕材37又は前駆体yaを切り出しルツボに入れ、550℃にて1.5時間有酸素雰囲気下で加熱し樹脂成分を燃焼除去した。残った炭素繊維を界面活性剤入りの水に投入し、超音波振動により十分に撹拌させた。撹拌された分散液を計量スプーンによりランダムに採取し評価用サンプルを得て、ニレコ社製画像解析装置Luzex APにて繊維数3000本の長さを計測した。
抽出した炭素繊維については、式(4),(5)により数平均繊維長(Ln)、重量平均繊維長(Lw)を炭素繊維A1、炭素繊維B1についてそれぞれ求めた。
(2)繊維束の分析
(2−1)熱可塑性樹脂層X1に含まれる炭素繊維A1
熱可塑性樹脂層X1から100mm×100mmの角材を切出し、その角材を空気雰囲気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を燃焼除去して残った炭素繊維を光学顕微鏡にて観察し、炭素繊維からなる流動単位の平均繊維数N(A)aveを計算する。
流動単位の幅と高さがおおよそDであれば平均繊維数は1である。流動単位の代表幅と代表高さから、平均繊維径(D)のおおよその倍数を導き出し、流動単位の平均繊維数N(A)aveを求めた。炭素繊維からなる流動単位を無作為に100個選び出し、該操作により測定した平均値を採用した。
(2−2)熱可塑性樹脂層Y1に含まれる炭素繊維束B1b
炭素繊維束B1bの繊維束の分析は、以下のように行った。
前駆体yaから繊維束をピンセットで全て取り出し、炭素繊維束B1bの束の数(I)及び各繊維束の長さ(Li)とその質量(Wi)を測定し、記録する。
ピンセットにて取り出す事ができない程度に繊維束が小さいものについては、まとめて最後に質量を測定する(Wk)。質量の測定には、1/100mgまで測定可能な天秤を用いる。前駆体yaに含まれている炭素繊維B1の平均繊維径(D)より、臨界単糸数を計算し、臨界単糸数以上の炭素繊維束B1bと、それ以外の単糸等B1aに分ける。
炭素繊維束B1bの平均繊維数(N)の求め方は以下の通りである。
各炭素繊維束B1b中の繊維本数(Ni)は使用しているストランドの繊度(F)より、次式により求められる。
Ni=Wi/(Li×F
炭素繊維束B1b中の平均繊維数(N)は、炭素繊維束B1bの束の数(I)より、次式により求められる。
=ΣNi/I
炭素繊維束B1bの炭素繊維B1の繊維全量に対する割合(VR)は、炭素繊維の密度(ρf)を用いて次式により求められる。
VR=Σ(Wi/ρ)×100/((Wk+ΣWi)/ρ
=ΣWi×100/(Wk+ΣWi
(2−3)熱可塑性樹脂層Y1に含まれる炭素繊維束B1の平均繊維数N(B)ave
熱可塑性樹脂層Y1から100mm×100mmの角材を切出し、その角材を空気雰囲気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を燃焼除去して残った炭素繊維を光学顕微鏡にて観察し、炭素繊維からなる流動単位を無作為に100個選び出し、以下の操作を行った。
光学顕微鏡で観察したときに、炭素繊維束幅を0.3mm以下、0.3〜0.6mm、0.6〜0.9mm、0.9〜1.2mm、1.2〜1.5mm、1.5mm以上に区分し、それぞれに該当する繊維束の割合を観察した。区分した繊維束幅の中央値と、繊維束の厚み(約0.05mm)より、各区分の平均繊維数を算出し、各区分の平均繊維数の合計を、炭素繊維からなる流動単位の平均繊維数N(B)aveとした。
(3)素材x1(熱可塑性樹脂層X1)、素材y1(熱可性樹脂層Y1)における繊維体積含有率(Vf)の分析
素材x1、素材y1について、100mm×100mmの角材を切り出し、その重量w(g)を測定した。次に、切り出した材料を、空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を燃焼除去して残った炭素繊維の重量W(g)を測定した。ここで、炭素繊維の重量W1(g)から熱可塑性樹脂層X1,Y1に含まれる炭素繊維の目付け(g/m)を導出した。
また、下式(9)を用いて、繊維重量分率(Wf)を求めた。いずれの測定もn=3で行い、その平均値を用いた。
Wf =(炭素繊維の重量W/熱可塑性樹脂層の重量W)×100 ・・・(9)
次に、各成分の比重を用いて、繊維体積含有率(Vf)を算出した(式(10)参照)。
一般的に、繊維体積含有率(Vf)と繊維重量分率(Wf)は、下記の式(10)が成立する。ここで、ρは繊維の密度、ρは樹脂の密度である。
1/Vf=1+ρ/ρ (1/Wf−1) ・・・(10)
(4)物性評価(引張・曲げ試験)
(4−1)引張
ウォータージェットを用いて成形体(場合によっては成形材料である。)又は薄肉成形体の水平部から試験片を切出し、JIS K 7164を参考として、インストロン社製の5982R4407万能試験機を用いて、引張試験を行った。試験片の形状はA形試験片とした。チャック間距離は115mm、試験速度は2mm/minとした。
(4−2)曲げ
曲げ試験に関しては、上記と同様に試験片を切出し、JIS K 7017を参考として、インストロン社製の曲げ試験機5966を用いて測定した。試験片の形状はA形試験片とした。評点間距離(L)と板厚の厚み(D)の比(L/D)は40、ひずみ速度は1%/minとした。このように測定することで、作成した成形材料の厚み誤差を無視できる。なお、評価結果は、比較例1を100として相対値で記載した。
(5)成形体における繊維配向の分析
成形体から試験片を切出し、成形体の任意の方向、及びこれと直交する方向を基準とする引張試験を行い、引張弾性率を測定し、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定した。弾性率の比が1に近いほど、等方性に優れる材料である。本実施例では弾性率の比が1.3以下の場合、等方性であると評価する。
(6)流動特性
流動特性は、成形材料に含まれる熱可塑性樹脂が軟化する状態まで加熱した後、成形材料よりも温度の低い金型内に成形材料を配し(いわゆるコールドプレス)、5MPaの圧力で60秒間プレスすることで、熱可塑性樹脂層Y1(比較例2のみ、熱可塑性樹脂層X1c)に、図11、図12に示すような、リブ・ボスを形成することを目標にして試験し、以下の手順により、流動率(F)を算出した。
i)成形体(リブ・ボスが形成されたもの)の繊維体積含有率(Vf)を測定し、成形体の密度(ρ)を算出。
ii)成形体重量(Wm)を測定(Wmは成形材料重量と同等)。
iii)Wmと密度(ρ)より、成形体体積(Vm)を算出(Vm=Wm/ρ)。
iv)成形体の水平部の厚み(tb)を測定し、成形体の水平部の体積(Vb)を算出(図11のリブ、ボスを除いた部分)。
v)VmからVbを差し引き、成形体のリブ・ボス部体積(Vz)を算出(Vz=Vm−Vb)。
vi)VzをVmで割った値を、流動率(F)とする(F=Vz/Vm)。
なお、評価は、比較例1のボス高さから算出した流動率Fを100として、比較例1に対する比で行っている。例えば、表1、表2、及び表3中の、流動率(F)が「150」とは、比較例1の流動率(F)の1.5倍であり、比較例1よりも流動特性が良好であることを示している。
(7)熱可塑性樹脂層X1の流出性
熱可塑性樹脂層X1と熱可塑性樹脂層Y1の端部を揃えてプレス成形した時に、熱可塑性樹脂層X1が熱可塑性樹脂層Y1の端部よりも流出するか否かの流出性評価を行った。
excellent:成形体の全ての端部において、繊維長の長い熱可塑性樹脂層Y1が形成されていた(例えば図13の状態である。)。
good:成形体の一部の端部には熱可塑性樹脂層Y1が形成されていなかったが、少なくとも半分以上の成形体の端部に、熱可塑性樹脂層Y1が形成されていた。
better:成形体の一部の端部には熱可塑性樹脂層Y1が形成されていたが、多くの成形体の端部には、熱可塑性樹脂層Y1が形成されなかった。
bad:成形体の全ての端部は、繊維長が短い熱可塑性樹脂層X1によって形成されていた(例えば図14の状態である)。
2.実施例
実施例、比較例で用いた炭素繊維は、いずれもPAN系炭素繊維である。なお、実施例、比較例で用いられた熱可塑性樹脂はいずれもポリアミド6(融点225℃、熱分解温度(空気中)300℃)である。
実施例1〜4、7〜12、及び15に係る成形材料は、表1及び表2に示すように、3層構造を有し、熱可塑性樹脂層X1(表中「X」で表示している。)が中間層で、熱可塑性樹脂層Y1(表中「Y」で表示している。)が表層・裏層である。成形材料は、平面視において、横幅が350mmであり、縦幅が350mmである。3層構造の成形材料の厚みは、3mmである。
実施例5に係る成形材料は、表1に示すように、5層構造を有し、熱可塑性樹脂層X1(表中「X」で表示している。)と熱可塑性樹脂層Y1(表中「Y」で表示している。)が、Y/X/Y/X/Yという順に積層している。成形材料は、平面視において、横幅が350mmであり、縦幅が350mmである。5層構造の成形材料の厚みは、3mmである。
実施例6に係る成形材料は、表1に示すように、4層構造を有し、熱可塑性樹脂層X1(表中「X」で表示している。)と熱可塑性樹脂層Y1(表中「Y」で表示している。)が、Y/X/X/Yという順に積層している。成形材料は、平面視において、横幅が350mmであり、縦幅が350mmである。4層構造の成形材料の厚みは、3.1mmである。
実施例13に係る成形材料は、表2に示すように、3層構造を有し、熱可塑性樹脂層X1(表中「X」で表示している。)が中間層で、熱可塑性樹脂層Y1(表中「Y」で表示している。)が表層・裏層である。成形材料は、平面視において、横幅が350mmであり、縦幅が350mmである。3層構造の成形材料の厚みは、3.0mmである。
各実施例の成形材料の熱可塑性樹脂層の構成の詳細を表1、表2、及び表3に示す。
比較例の成形材料の熱可塑性樹脂層の構成についても表3に示した。なお、比較例の成形材料は、すべて、平面視において、横幅が350mmであり、縦幅が350mmである。
(1)実施例1
(1−1)熱可塑性樹脂層X1の準備
熱可塑性樹脂層X1は、2.(1)の(1−1)の(1−1−3)製造例3で記載した製造方法に似た方法で製造したシート材を粉砕して得られた粉砕材を、2.(1)の(1−1)の(1−1−1)製造例1で説明した製造方法の樹脂組成物として利用して、素材x1を準備した。具体的には以下の通りである。
炭素繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径D:7μm 繊維幅:10mm 引張強度:4000MPa、密度ρ:1.75g/cm(0.0018g/mm)、炭素繊維の断面積(π×(D/2)):38.5μm)を使用し、炭素繊維を拡幅して20mm幅として使用した。
カット装置における刃の間隔は12mmとした。
作成した前駆体は、炭素繊維目付1440g/m、ナイロン樹脂目付1700g/mであり、この前駆体を260℃に加熱したプレス装置にて、4MPaにて3分間加熱し、厚みが2.3mmのシート材(複合材料)を得た。
得られたシート材は、大型低速プラスチック粉砕機を用いて細かく粉砕し、粉砕材を得た。粉砕材に含まれる炭素繊維A1の特性を、上述の方法を使用して測定したところ、繊維長分布は0.01mm以上〜2.3mm以下の範囲内であり、数平均繊維長(Ln)は0.22mm、重量平均繊維長(Lw)は0.55mmであった。平均繊維数N(A)aveは1.1本であった。これらの結果を表1に示す。
得られた粉砕材を、260℃に加熱したプレス装置にて、4MPaにて3分間加熱し、厚さ0.3mmのシート状の素材x1を得た。得られた素材x1について超音波探傷試験を行ったところ、未含浸部やボイドは確認されなかった。また、得られた素材x1中における繊維体積含有率(Vf)は35Vol%であり、炭素繊維目付は188g/mであった。
(1−2)熱可塑性樹脂層Y1の準備
ストランドとして、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径(D):7μm、繊維幅10mm、密度:ρf1.75g/cm(0.0018g/mm)、炭素繊維の断面積(π×(D/2)):38.5μm)を拡幅して、繊維幅20mmとしたものを使用した。炭素繊維B1bのカット装置には、ロータリーカッターを用いた。
炭素繊維全量の目付が850g/m、ナイロン樹脂目付1000g/mになるように、調整し、素材y1の前駆体yaを得た。
得られた前駆体yaに含まれる炭素繊維B1の繊維長を測定したところ、20mmと一定長であった。ストランドのカット方法を上述のようにロータリーカッターの刃のピッチを一定長としたために、前駆体に含まれる炭素繊維B1の長さを固定長とすることができ、数平均繊維長(Ln)、及び重量平均繊維長(Lw)はいずれも20mmであった。
得られた前駆体yaについて、炭素繊維束B1bの割合と、平均繊維数(N)を調べたところ、式(2)で定義される臨界単糸数は86本であり、炭素繊維束B1bの前駆体yaの繊維全量に対する割合は86Vol%、平均繊維数(N)は、1500本であった。熱可塑性樹脂層Y1中における繊維体積含有率(Vf)は35Vol%であった。また、平均繊維数N(B)aveは1150本であった。
得られた前駆体を260℃に加熱したプレス装置にて、4MPaにて3分間加熱し、厚さ1.35mmの板状の素材y1を得た。炭素繊維目付は850g/mであった。得られた素材y1について超音波探傷試験を行ったところ、未含浸部やボイドは確認されなかった。
(1−3)熱可塑性樹脂層X1と熱可塑性樹脂層Y1の積層
上記得られた素材x1と素材y1を、熱可塑性樹脂層X1と熱可塑性樹脂層Y1がY/X/Yの3層構造となるように、260℃に調整された金型内に設置した後、4.0MPaにて3分開加圧したのち、加圧した状態で金型温度を40℃に冷却することにより、厚み(Dt)が3mmの3層構造の成形材料1を得た。熱可塑性樹脂層X1の成形材料1中の比率(重量割合)は10wt%である(表1参照)。
この加熱加圧後の成形材料は、平板状をした成形体にも相当する。以下、成形材料の評価は、換言すると、平板状の成形体の評価でもある。
(1−4)成形材料の評価
得られた板状の成形材料の0度及び90度方向の引張り弾性率を測定したところ、弾性率の比(Eδ)は1.03であり、繊維配向は殆ど無く、等方性が維持された材料を得る事ができた。更に、この成形材料を500℃×1時間程度炉内にて加熱し、樹脂を除去した後、各層X1,Y1に含まれる炭素繊維A1と炭素繊維B1の繊維長、及び炭素繊維束B1bの割合と、炭素繊維束B1bに含まれる平均繊維数(N)、平均繊維数N(B)ave及び炭素繊維A1に含まれる平均繊維数N(A)aveを調べたところ、上記素材x1及び素材y1の前駆体での測定結果と差異は見られなかった。
得られた成形材料の流動特性を調べるために、上記流動特性の評価方法に基づいて評価した。
実施例1に係る各種特性は、表1に示す通りである。つまり、引張強度が比較例1の95%、引張弾性率が比較例1の95%である。曲げ強度が比較例1と同じ(比較例1の100%)、曲げ弾性率が比較例1の95%である。流動率(F)は比較例1の150%である。
(2)実施例2
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備した以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層した。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%である(表1参照)。
実施例2に係る各種特性は、表1に示す通りである。つまり、引張強度が比較例1の95%、引張弾性率が比較例1の90%である。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%である。流動率(F)は比較例1の500%である。
(3)実施例3
熱可塑性樹脂層X1が1.0mmになるように素材x1を準備し、熱可塑性樹脂層Y1が1.0mmの厚みになるように素材y1を準備した以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層した。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は40wt%である。
実施例3に係る各種特性は、表1に示す通りである。つまり、引張強度が比較例1の75%、引張弾性率が比較例1の85%である。曲げ強度が比較例1の90%、曲げ弾性率が比較例1の85%である。流動率(F)は比較例1の600%である。
(4)実施例4
熱可塑性樹脂層X1が1.5mmになるように素材x1を準備し、熱可塑性樹脂層Y1が0.75mmの厚みになるように素材y1を準備した以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層した。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は50wt%である。
実施例4に係る各種特性は、表1に示す通りである。つまり、引張強度が比較例1の70%、引張弾性率が比較例1の80%である。曲げ強度が比較例1の90%、曲げ弾性率が比較例1の85%である。流動率(F)は比較例1の800%である。
(5)実施例5
熱可塑性樹脂層Y1が0.8mmの厚みになるように素材y1を準備したこと以外は実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Y/X/Yの順に積層した。
(6)実施例6
熱可塑性樹脂層X1が1.1mmになるように素材x1を準備し、熱可塑性樹脂層Y1が0.45mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は70wt%となる。
実施例6に係る各種特性は、表1に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の50%、引張弾性率が比較例1の50%となる。曲げ強度が比較例1の70%、曲げ弾性率が比較例1の65%となる。流動率(F)は比較例1の850%となる。
(7)実施例7
熱可塑性樹脂層X1の厚みが0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が15mmになるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例7に係る各種特性は、表1に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の85%、引張弾性率が比較例1の90%となる。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%となる。流動率(F)は比較例1の500%となる。
(8)実施例8
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が10mmになるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例8に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の85%、引張弾性率が比較例1の90%となる。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%となる。流動率(F)は比較例1の500%となる。
(9)実施例9
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、平均繊維数(N)が2400本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが2000本になるようにし、炭素繊維束B1bの前駆体yaの繊維全量に対する割合を95Vol%になるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例9に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の80%、引張弾性率が比較例1の85%となる。曲げ強度が比較例1の90%、曲げ弾性率が比較例1の90%となる。流動率(F)は比較例1の550%となる。
(10)実施例10
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が15mmになるようにし、平均繊維数(N)が2400本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが2000本になるようにし、炭素繊維束B1bの前駆体yaの繊維全量に対する割合を95Vol%になるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例9に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の80%、引張弾性率が比較例1の85%となる。曲げ強度が比較例1の90%、曲げ弾性率が比較例1の90%となる。流動率(F)は比較例1の550%となる。
(11)実施例11
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、平均繊維数(N)が450本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが400本になるようにし、炭素繊維束B1bの前駆体yaの繊維全量に対する割合を40Vol%になるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例9に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の80%、引張弾性率が比較例1の85%となる。曲げ強度が比較例1の90%、曲げ弾性率が比較例1の90%となる。流動率(F)は比較例1の120%となる。
(12)実施例12
炭素繊維A1の数平均繊維長が0.55mmになるようにし、炭素繊維A1の重量平均繊維長が0.78mmになるようにし、熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例12に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の85%、引張弾性率が比較例1の90%となる。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%となる。流動率(F)は比較例1の500%となる。
(13)実施例13
炭素繊維A1の数平均繊維長が0.1mmになるようにし、炭素繊維A1の重量平均繊維長が0.2mmになるようにし、熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が25mmになるようにし、かつ平均繊維数(N)が700本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが600本になるように素材y1を準備した以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層した。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%である。
実施例13に係る各種特性は、表2に示す通りである。つまり、引張強度が比較例1の95%、引張弾性率が比較例1の90%である。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%である。流動率(F)は比較例1の350%である。
(14)実施例14
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が10mmになるようにし、平均繊維数(N)が6500本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが6000本になるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例14に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の70%、引張弾性率が比較例1の75%となる。曲げ強度が比較例1の80%、曲げ弾性率が比較例1の80%となる。流動率(F)は比較例1の1000%となる。
(15)比較例1、2
以下で説明する比較例1、2に係る成形材料1cは、熱可塑性樹脂層X1c,Y1c用の素材x1c、y1cの一方だけが金型内に設置された後、実施例1に係る成形材料1と同様に、4.0MPaの成形圧力で、260℃、3分で成形されることで、厚み(Dt)が3mmの成形材料となる。機械特性の試験片は、この成形材料から切り出されて製作され、流動特性の試験は、この成形体を利用して行われる。
比較例1に係る成形材料1cは、表3に示すように、熱可塑性樹脂層Y1c(素材y1cのみを使用している。)のみからなる。すなわち、比較例1の熱可塑性樹脂層Y1cは、厚みが3mmであること以外は、実施例1における成形材料のY層と同一である。
比較例2に係る成形材料1cは、表3に示すように、熱可塑性樹脂層X1c(素材x1cのみ使用されている。)のみからなる。すなわち、比較例2の熱可塑性樹脂層X1cは、厚みが3mmであること以外は、実施例1における成形材料のX層と同一である。
比較例1、2に記載の平板は、実施例1と同様に、平面視長方形状をし、平面視における横幅が350mm、縦幅が350mmである。成形材料1cの厚み(Dt)は、3mmである。機械物性の結果は表3に示す。
(16)実施例15
熱可塑性樹脂層X1が0.6mmになるように素材x1を準備し、炭素繊維B1の数平均繊維長及び重量平均繊維長が4mmになるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1が1.2mmの厚みになるように素材y1を準備する以外は、実施例1と同様に素材x1と素材y1を準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1の成形材料中の比率は20wt%となる。
実施例15の熱可塑性樹脂層Y1の濃度パラメーターに対する熱可塑性樹脂層X1の濃度パラメーターの比は3.14となる。
実施例15に係る各種特性は、表2に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の40%、引張弾性率が比較例1の40%となる。曲げ強度が比較例1の50%、曲げ弾性率が比較例1の40%となる。流動率(F)は比較例1の1400%となる。
(17)比較例3
炭素繊維A1cの数平均繊維長が4mmになるようにし、炭素繊維A1cの重量平均繊維長が1.2mmになるようにし、熱可塑性樹脂層X1cが0.6mmになるように素材x1cを準備し、かつ熱可塑性樹脂層Y1cが1.2mmの厚みになるように素材y1cを準備する以外は、実施例1と同様に素材x1cと素材y1cを準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1cの成形材料中の比率は20wt%となる。
比較例3に係る各種特性は、表3に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の95%、引張弾性率が比較例1の95%となる。曲げ強度が比較例1の95%、曲げ弾性率が比較例1の95%となる。流動率(F)は比較例1の100%となる。
(18)比較例4
熱可塑性樹脂層X1cが0.6mmになるように素材x1cを準備し、平均繊維数(N)が210本になるようにし、平均繊維数N(B)aveが150本になるようにし、かつ熱可塑性樹脂層Y1cが1.2mmの厚みになるように素材y1cを準備する以外は、実施例1と同様に素材x1cと素材y1cを準備し、Y/X/Yの順に積層する。つまり、熱可塑性樹脂層X1cの成形材料中の比率は20wt%となる。
比較例4の熱可塑性樹脂層Y1cの濃度パラメーターは、2.4×10となる。
比較例4に係る各種特性は、表3に示す通りとなる。つまり、引張強度が比較例1の115%、引張弾性率が比較例1の115%となる。曲げ強度が比較例1の115%、曲げ弾性率が比較例1の115%となる。流動率(F)は比較例1の70%となる。
(19)比較例5
カートリッジカッターを用いて、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm、繊維幅10mm、密度ρ1.75g/cm、炭素繊維の断面積(π×(D/2):38.5μm)をカットし、繊維長9mmのチョップド炭素繊維束を得た。
界面活性剤(和光純薬工業(株)社製、「n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名))の1.5wt%水溶液100リットルを攪拌し、予め泡立てた分散液を作製した。この分散液に、得られたチョップド炭素繊維束1を投入し、10分間撹拌した後、長さ500mm×幅500mmの抄紙面を有する抄紙機に流し込み、吸引により脱水後、150℃の温度で2時間乾燥し、炭素繊維からなる炭素繊維不織布を得た。
得られた炭素繊維不織布をポリプロピレン樹脂フィルムで交互積層し、合計5層の積層体を用意した。金属製のツール板の上に離型シートで挟んだ積層体を載せ、さらに上にツール板を配置した。離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用いた。ついで、210℃に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に該積層体を配置し、面圧5MPaでプレスした。次に、80℃の温度に温度制御された別の油圧式プレス機に搬送し、冷却盤間に配置後、面圧5MPaで冷却プレスを行い、炭素繊維不織布とポリプロピレン樹脂からなる厚み0.5mmの比較熱可塑性樹脂層Y1cを得た。
次に、無変性ポリプロピレン樹脂90質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂10質量%を用意し、ドライブレンドを行った。200℃の二軸押出機で該ドライブレンド品を溶融混練させた後、該押出機の再度フィーダーから、カートリッジカッターを用いて、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KSをカットして得られた、繊維長6mmのチョップド炭素繊維束を投入して混練した。該押出機にて溶融混練した後、Tダイから押出した。
その後、60℃のチルロールでひきとることによって冷却固化させ、厚み0.5mmの炭素繊維/ポリプロピレン樹脂シートを得た。このシートを金属製のツール板の上に離型シートで挟んで載せ、さらに上にツール板を配置した。離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用いた。ついで、210℃に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に該積層体を配置し、面圧5MPaでプレスした。次に、80℃の温度に温度制御された別の油圧式プレス機に搬送し、冷却盤間に配置後、面圧5MPaで冷却プレスを行い、炭素繊維不織布とポリプロピレン樹脂からなる厚み2.0mm、繊維重量分率が33.3wt%の比較熱可塑性樹脂層X1cを得た。
得られた比較熱可塑性樹脂層Y1cを2枚(片側分である)用いて、1枚の比較熱可塑性樹脂層X1cを挟み込み、実施例1と同様にプレス成形した。結果を表3に示す。
Figure 0005985085

Figure 0005985085

Figure 0005985085
本発明に係る成形材料は、熱可塑性樹脂層(X)の炭素繊維(A)の重量平均繊維長が短いために成形時の流動特性が向上し、熱可塑性樹脂層(Y)の炭素繊維(B)の重量平均繊維長が長いために、成形時の流動特性と、成形体としたときに機械特性の発現とが両立される。本発明の成形材料は、例えば、自動車、鉄道車両、航空機等の内板、外版、構成部材等、さらには、各種電気部品、機械・装置類等のフレームや筐体等の成形材料として広く活用することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2014年1月31日出願の日本特許出願(特願2014−017512)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1、3、5 成形材料
A1 炭素繊維
B1 炭素繊維
C1 熱可塑性樹脂
E1 熱可塑性樹脂
X1 熱可塑性樹脂層
Y1 熱可塑性樹脂層

Claims (12)

  1. 重量平均繊維長0.01mm以上3mm未満の炭素繊維(A)を含む熱可塑性樹脂層(X)と、重量平均繊維長3mm以上100mm以下の炭素繊維(B)を含む熱可塑性樹脂層(Y)とを含み、
    前記熱可塑性樹脂層(Y)の下記式(1)で表される濃度パラメーターPが1×10以上1×10未満であり、
    熱可塑性樹脂層(X)の下記式(1)で表される濃度パラメーターPが1×10以上である、多層構造の成形材料。
    P=(q×Ln)/h (1)
    q:熱可塑性樹脂層の単位面積(1mm)当たりに含まれる炭素繊維からなる流動単位の数
    Ln:炭素繊維の数平均繊維長(mm)
    h:熱可塑性樹脂層の厚み(mm)
  2. 前記熱可塑性樹脂層(Y)の濃度パラメーターPに対する前記熱可塑性樹脂層(X)の濃度パラメーターPの比(P/P)が1.0×10−3以上3.0以下である、請求項1に記載の多層構造の成形材料。
  3. 熱可塑性樹脂層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)の合計重量に対して、熱可塑性樹脂層(X)の重量割合が、5wt%以上40wt%以下である、請求項1又は2のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
  4. 多層構造の少なくとも片側の最外層に、前記熱可塑性樹脂層(Y)が配されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
  5. 前記熱可塑性樹脂層(X)は、少なくとも積層方向の中央に配されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
  6. 前記熱可塑性樹脂層(X)は1層であり、前記熱可塑性樹脂層(Y)は2層である請求項5に記載の多層構造の成形材料。
  7. 前記熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)が2次元方向にランダム配向されている請求項1〜6の何れか1項に記載の多層構造の成形材料。
  8. 前記熱可塑性樹脂層(Y)に含まれる炭素繊維(B)が、下記式(2)で定義される臨界単糸数以上の単糸で構成される炭素繊維束(Bb)を含み、前記炭素繊維(B)全量に対する当該炭素繊維束(Bb)の割合が0Vol%超99Vol%未満であり、かつ当該炭素繊維束(Bb)中の平均繊維数(N)が次の式(3)を満たす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層構造の成形材料。
    臨界単糸数=600/D (2)
    0.7×10/D <N<6×10/D (3)
    :炭素繊維(B)の平均繊維径(μm)
  9. 成形材料を成形してなる多層構造の成形体であって、前記成形材料は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形材料である、多層構造の成形体。
  10. 前記成形体の端部に前記熱可塑性樹脂層(Y)が存在する請求項9に記載の多層構造の成形体。
  11. 前記多層構造は、少なくとも片側の最外層に位置する前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層と、前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層に隣接する前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層とを有する構造であり、
    前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層の表面に凸部を有し、当該凸部において、前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層の一部が前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層を前記凸部の突出方向に押し上げている、請求項9又は10のいずれか1項に記載の多層構造の成形体。
  12. 前記多層構造は、少なくとも片側の最外層に位置する前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層と、前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層に隣接する前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層とを有する構造であり、
    前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層の表面に凸部を有し、当該凸部において、前記熱可塑性樹脂層(X)の成形層の一部が前記熱可塑性樹脂層(Y)の成形層を前記凸部の突出方向に突き破っている、請求項9又は10のいずれか1項に記載の多層構造の成形体。
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