JPWO2018168227A1 - 音響エコー抑圧装置及び音響エコー抑圧方法 - Google Patents

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Abstract

マイク(mc1)は、運転者の音声を収音する。第1のエコー抑圧ユニット(20)は、運転者の音声信号と、バッファメモリ(50A)に保持された過去のエコー抑圧後の音声信号(第1の参照信号)とに基づいて、第1のエコー抑圧後の音声信号を出力する。第2のエコー抑圧ユニット(30)は、運転者の音声信号と、バッファメモリ(50B)に保持された過去のエコー抑圧後の音声信号(第2の参照信号)とに基づいて、第2のエコー抑圧後の音声信号を出力する。出力信号選択部(43)は、系変動検出部(41)による系変動の有無の検出結果に応じて、第1のエコー抑圧後の音声信号及び第2のエコー抑圧後の音声信号のうちいずれかを選択してスピーカ(sp2)から出力する。

Description

本開示は、車室内に残留する音響エコーを抑圧する音響エコー抑圧装置及び音響エコー抑圧方法に関する。
例えばミニバン、ワゴン車、ワンボックスカー等、前後方向に複数(例えば3列以上)の座席が配置された比較的大きな車両において、運転席に座る運転者と後部座席に座る乗員(例えば運転者の友人)とが円滑に会話できるように、それぞれの席に設置されたマイクとスピーカを使って音声を伝える仕組みを、会話支援システムとして搭載することが検討されている。
会話支援システムでは、運転者が発した音声が運転席に設置されたマイクで収音され、後部座席に設置されたスピーカから出力されることで、車両が振動し易い舗装されていない道路や、騒音が多い街中を走行中でも、後方の乗員は運転者の話声を聞き易くなる。また、後方の乗員が発した音声が後部座席に設置されたマイクで収音され、運転席に設置されたスピーカから出力されることで、運転者は、後方の乗員の話声を聞き易くなる。
このような会話支援システムでは、スピーカから出力される再生音がエコー音としてマイクに収音されることで、スピーカ音の音響的な品質(言い換えると、音質)が劣化し、聞き取りづらくなり、スムーズな会話が困難となる場合がある。このため、スピーカ音から出力される音の音質の改善が望まれているところである。
ここで、車両の運転手と他の乗員との会話を支援することに関する先行技術として、車室内の状況として乗員の配置パターンを予め想定し、各配置パターンそれぞれに対して音の伝達特性を測定しておき、その測定により得られてメモリ等に記憶された各伝達特性を用いて、スピーカから出力される音声信号に含まれる音響エコーを推定して除去する音響エコー除去装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、音の伝達特性は、車内における乗員の配置パターンの他の要因(例えば、乗員の背の高さ、体形、乗員がシートを倒すこと、乗員が車窓若しくはドアを開閉すること)によって大きく変化する。従って、乗員の配置パターンに限らず、車内の環境(系)の変動も考慮した上で、車内のあらゆる状況における音の伝達特性を用意しておくことは、現実的には相当に困難である。
また走行中に、乗員が窓を開閉したり、シートを倒したり、顔を大きく移動させる等、車内の音場における音の伝達特性が大きく変わる場合(言い換えると、急な環境(系)の変動があった場合)には、予め用意しておいた音の伝達特性の信頼性は低下してしまい、音響エコーを除去又は抑圧する精度の観点で不十分である。このため、実際の音場における音の伝達特性から逸脱した伝達特性を用いた場合、音響エコーを十分に除去又は抑圧できず、スピーカから出力される音声の音質劣化が生じる。
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、急な系変動があった場合でも、系変動に追従して、出力される音声の音質劣化を抑制する音響エコー抑圧装置及び音響エコー抑圧方法を提供することを目的とする。
特開2009−216835号公報 特開2007−19595号公報
本開示の音響エコー抑圧装置は、音を収音する収音部が設置された環境内の音響エコーを抑圧するものであって、前記収音部により収音された前記環境内の人物の音声信号と第1の参照信号とに基づいて、前記音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第1の抑圧音声信号を出力する第1のフィルタ処理部と、前記収音部により収音された前記環境内の人物の音声信号と第2の参照信号とに基づいて、前記音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第2の抑圧音声信号を出力する第2のフィルタ処理部と、前記環境の変動の有無を検出する検出部と、前記環境の変動の有無の検出結果に応じて、前記第1の抑圧音声信号及び前記第2の抑圧音声信号のうちいずれかを選択して音声出力部から出力する出力選択部と、を備える。
また、本開示音響エコー抑圧方法は、音を収音する収音部が設置された環境内の音響エコーを抑圧するものであって、前記収音部により収音された前記環境内の人物の音声信号と第1の参照信号とに基づいて、前記音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第1の抑圧音声信号を出力し、前記収音部により収音された前記環境内の人物の音声信号と第2の参照信号とに基づいて、前記音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第2の抑圧音声信号を出力し、前記環境の変動の有無を検出し、前記環境の変動の有無の検出結果に応じて、前記第1の抑圧音声信号及び前記第2の抑圧音声信号のうちいずれかを選択して音声出力部から出力する。
本開示によれば、急な系変動があった場合でも、系変動に追従でき、出力される音声の音質劣化を抑制できる。
図1は、実施の形態1における音響エコー抑圧装置が搭載された車内向け会話支援システムの概要の一例を示す図である。 図2は、車室内における音響エコーの伝達経路の一例を説明する図である。 図3は、音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。 図4は、音響エコー抑圧動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図5は、ステップS11における系変動検出手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図6は、ステップS12における出力信号選択手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図7Aは、初回起動時の適応フィルタの成長過程の一例を示すグラフである。 図7Bは、初回起動時の適応フィルタの成長過程の一例を示すグラフである。 図7Cは、初回起動時の適応フィルタの成長過程の一例を示すグラフである。 図7Dは、初回起動時の適応フィルタの成長過程の一例を示すグラフである。 図7Eは、初回起動時の適応フィルタの成長過程の一例を示すグラフである。 図8Aは、系変動時の適応フィルタの変化過程の一例を示すグラフである。 図8Bは、系変動時の適応フィルタの変化過程の一例を示すグラフである。 図8Cは、系変動時の適応フィルタの変化過程の一例を示すグラフである。 図8Dは、系変動時の適応フィルタの変化過程の一例を示すグラフである。 図8Eは、系変動時の適応フィルタの変化過程の一例を示すグラフである。 図9は、実施の形態2における音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。 図10は、音響エコー抑圧動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図11は、ステップS11Aにおける系変動検出手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図12は、ステップS12Aにおける出力信号選択手順の一例を詳細に示すフローチャートである。 図13は、実施の形態3における音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。 図14は、実施の形態3の変形例における音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。 図15は、実施の形態4における音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。 図16は、実施の形態5における音響エコー抑圧装置の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る音響エコー抑圧装置及び音響エコー抑圧方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
各実施の形態の音響エコー抑圧装置は、例えば車両の車室内で行われる乗員同士の会話を支援する車内向け会話支援システムに適用される。但し、以下の各実施の形態の音響エコー抑圧装置は、上述した車両向け会話支援システムに適用されることに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における音響エコー抑圧装置5が搭載された車内向け会話支援システム3の概要の一例を示す図である。
車内向け会話支援システム3は、環境の一例としての車両8に搭載され、車室8z内のインストルメントパネル近傍に設置された音響エコー抑圧装置5と、運転席の近傍に配置されたマイクmc1及びスピーカsp1と、後部座席の近傍に配置されたマイクmc2及びスピーカsp2とを含む構成を有する。以下の説明では、車内向け会話支援システム3は、運転者hm1と後部座席に着座する乗員hm2との会話を支援するが、前後方向に3列の座席を有する車両の場合、助手席に座る乗員と中央座席に座る乗員との会話等、会話する乗員の組み合わせは任意である。
図2は、車室8z内における音響エコーの伝達経路の一例を説明する図である。
運転者hm1が発話した音声は、マイクmc1で収音される。このマイクmc1における収音と同時に、後部座席に配置されたスピーカsp2から出力される再生音は、車室8z内の伝達経路pt1,pt2,pt3,pt4を経由して直接に或いは反射され、音響エコーとしてマイクmc1で収音される。
図2には、例えばスピーカsp2から出力される音が直接にマイクmc1に到達する直接波の伝達経路pt1と、スピーカsp2から出力される音が運転席側のドアで反射されてマイクmc1に到達する反射波の伝達経路pt2と、スピーカsp2から出力される音が車室8z内の天井で反射されてマイクmc1に到達する反射波の伝達経路pt3と、スピーカsp2から出力される音が後部座席側のドアで反射され、更に、運転席のサイドボックスで反射されてマイクmc1に到達する反射波の伝達経路pt4とが示される。なお図2の点線で示すように、運転者hm1が大きく体を移動させた場合には、伝達経路pt4は存在しなく又は大きく変動することになり、結果的に車室8z内の音場の特性が変化する。
この結果、スピーカsp2から出力される再生音に音響エコーが含まれ、後部座席に着座する乗員hm2が聞く再生音の音質が劣化する。同様に、後部座席に着座する乗員hm2が発話した音声は、マイクmc2で収音されると同時に、運転席に配置されたスピーカsp1から出力される再生音は、車室8z内のそれぞれの伝達経路(不図示)を経由して直接に或いは反射され、音響エコーとしてマイクmc2で収音される。この結果、スピーカsp1から出力される再生音に音響エコーが含まれ、運転者hm1が聞く再生音の音質が劣化する。
これに対し、本実施の形態の音響エコー抑圧装置5は、スピーカsp1,sp2から出力される再生音に含まれる音響エコーを抑圧して音質を向上させるものである。音響エコー抑圧装置5は、マイクとスピーカの組み合わせの数に相当する数の、音響エコー低減機能を有する。これら複数の音響エコー低減機能は、同一の構成を有しかつ同一の動作を行うので、以下では、運転席側のマイクmc1で収音された音声を後部座席側のスピーカsp2から出力する場合を一例として説明する。なお、後部座席側のマイクmc2で収音された音声を運転席側のスピーカsp1から出力する場合も同様である。
図3は、音響エコー抑圧装置5の機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
マイクmc1及びスピーカsp2が接続される、音響エコー抑圧装置5は、スピーカsp2から出力される音声に含まれる音響エコーを低減するハウリングキャンセラであり、主にDSP(Digital Signal Processor)10及びバッファメモリ50A、50Bから構成される。なお、マイクmc1及びスピーカsp2も音響エコー抑圧装置5に含まれても構わない。同様に、マイクmc2及びスピーカsp1も音響エコー抑圧装置5に含まれても構わない。
収音部の一例としてのマイクmc1は、運転席の近傍に配置され、運転者hm1が発話する音声を収音するものであり、指向性マイク、無指向性マイクのいずれでもよい。
音声出力部の一例としてのスピーカsp2は、後部座席の近傍に配置され、マイクmc1で収音された音声を出力するものであり、指向性スピーカ、無指向性スピーカのいずれでもよい。
バッファメモリ50A,50Bは、それぞれスピーカsp2から出力されるべき過去(厳密には、現時点から直前のタイミング)の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)を、第1参照信号,第2参照信号としてそれぞれ保持する。
DSP10は、マイクmc1で収音された音声から音響エコーを抑圧して音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力するものであり、第1のエコー抑圧ユニット20、第2のエコー抑圧ユニット30、系変動検出部41、及び出力信号選択部43を有する。
第1のフィルタ処理部の一例としての第1のエコー抑圧ユニット20は、第1エコー抑圧部21、第1フィルタ更新部25及びディレイ29を有する。
第1エコー抑圧部21は、加算器22及び適応フィルタ23を有し、マイクmc1で収音された音声に含まれる音響エコーを打ち消すために、マイクmc1で収音された音声に、適応フィルタ23で生成された擬似エコー信号を加算器22で加算することで音響エコー抑圧の処理を行う。第1エコー抑圧部21は、加算器22の出力(言い換えると、音響エコー抑圧後の信号(エコー抑圧信号))を系変動検出部41に出力する。
フィルタ部の一例としての適応フィルタ23は、ディレイ29(つまり、遅延器)で遅延時間だけ遅延させた第1参照信号を入力し、スピーカsp2から出力される再生音が収音されるまでの伝達特性と等価な特性を持つフィルタに成長し、このフィルタを用いて信号処理を行うことで、擬似エコー信号を生成する。なお、適応フィルタは、上述した特許文献1、2等に記載されるように、FIR(Finite Impulse Response)フィルタのタップ数や係数を制御することで、フィルタ特性を可変できる公知のものである。
第1参照信号は、前述したように、バッファメモリ50Aに保持され、スピーカsp2から出力されるべき過去(厳密には、現時点から直前のタイミング)の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)であり、スピーカsp2から出力された音声がマイクmc1に到達するまでに要する時間前の信号である。従って、第1参照信号がディレイ29で遅延されて適応フィルタ23に入力するタイミングは、スピーカsp2から出力された再生音がエコー音としてマイクmc1で収音されるタイミングと一致する。このため、ディレイ29の遅延時間は、スピーカsp2及びマイクmc1間の距離を音速で除した値であり、例えば、車室内の運転席と後部座席との間が4m程度である場合、約10msecである。
第1フィルタ更新部25は、適応フィルタ23の特性がエコー伝達特性と等価になるようにFIRフィルタの係数を制御するものであり、更新量計算部26、非線形処理部27及びノルム算出部28を有する。なお、FIRフィルタのタップ数を制御することで、フィルタ特性を変更してもよい。
非線形処理部27は、音響エコー抑圧後の信号(エコー抑圧信号)に対して非線形変換を行い、非線形変換されたエコー抑圧信号を生成して更新量計算部26に出力し、フィルタ特性を正の方向に変更するか、或いは負の方向に変更するかを決定する。
ノルム算出部28は、スピーカ信号のノルムを算出する。スピーカ信号のノルムとは、過去の所定時間内のスピーカ信号の大きさの総和であり、この時間内の信号の大きさの度合いを示す値である。
更新量計算部26は、ノルム算出部28で算出されたノルムと、非線形処理部27で非線形変換されたエコー抑圧信号と、ディレイ29で遅延時間だけ遅延させた第1参照信号(スピーカ信号)とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出する。
第2のフィルタ処理部の一例としての第2のエコー抑圧ユニット30は、第1のエコー抑圧ユニット20と同様、第2エコー抑圧部31、第2フィルタ更新部35及びディレイ39を有する。
但し、第1のエコー抑圧ユニット20の適応フィルタ23のフィルタ係数の更新速度αと比べ、第2のエコー抑圧ユニット30の適応フィルタ33のフィルタ係数の更新速度βは速くなるように設定される。つまり、第1のエコー抑圧ユニット20は、音場の特性があまり変化していない場合、更新速度βより小さい更新速度αの安定した音響エコー抑圧後の信号を出力する。一方、第2のエコー抑圧ユニット30は、音場の特性が変化した場合(例えば急な系変動があった場合)、その系変動に追従可能となるように、更新速度αより大きい更新速度βの高速な音響エコー抑圧後の信号を出力する。
第2エコー抑圧部31は、加算器32及び適応フィルタ33を有し、マイクmc1で収音された音声に含まれる音響エコーを打ち消すために、マイクmc1で収音された音声に、適応フィルタ33で生成された擬似エコー信号を加算器32で加算することで音響エコー抑圧の処理を行う。第2エコー抑圧部31は、加算器32の出力(言い換えると、音響エコー抑圧後の信号(エコー抑圧信号))を系変動検出部41に出力する。
適応フィルタ33は、ディレイ39(つまり、遅延器)で遅延時間だけ遅延させた第2参照信号を入力し、スピーカsp2から出力される再生音が収音されるまでの伝達特性と等価な特性な持つフィルタに成長し、このフィルタを用いて信号処理を行うことで、擬似エコー信号を生成する。
第2参照信号は、前述したように、バッファメモリ50Bに保持され、スピーカsp2から出力されるべき過去(厳密には、現時点から直前のタイミング)の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)であり、スピーカsp2から出力された音声がマイクmc1に到達するまでに要する時間前の信号である。従って、第2参照信号がディレイ39で遅延されて適応フィルタ33に入力するタイミングは、スピーカsp2から出力された再生音がエコー音としてマイクmc1で収音されるタイミングと一致する。このため、ディレイ39の遅延時間は、スピーカsp2及びマイクmc1間の距離を音速で除した値であり、ディレイ29の遅延時間と同じである。
第2フィルタ更新部35は、適応フィルタ33の特性がエコー伝達特性と等価になるようにFIRフィルタのタップ数や係数を制御するものであり、更新量計算部36、非線形処理部37及びノルム算出部38を有する。なお、FIRフィルタのタップ数を制御することで、フィルタ特性を変更してもよい。
非線形処理部37は、音響エコー抑圧後の信号に対して非線形変換を行い、非線形変換されたエコー抑圧信号を生成して更新量計算部36に出力し、フィルタ特性を正の方向に変更するか、或いは負の方向に変更するかを決定する。
ノルム算出部38は、スピーカ信号のノルムを算出する。スピーカ信号のノルムとは、過去の所定時間内のスピーカ信号の大きさの総和であり、この時間内の信号の大きさの度合いを示す値である。
更新量計算部36は、ノルム算出部38で算出されたノルムと、非線形処理部37で非線形変換されたエコー抑圧信号と、ディレイ39で遅延時間だけ遅延した第2参照信号(スピーカ信号)とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出する。
系変動検出部41は、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される音響エコー抑圧後の信号(第1の抑圧音声信号)と、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の信号(第2の抑圧音声信号)とを入力する。系変動検出部41は、これらの信号を基に、音場における音の伝達特性が変動しているか否か、つまり系変動の有無を検出する。
系変動検出部41により系変動が無いと判断された場合、遅い更新速度αでフィルタ特性を更新する第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさ(例えば音圧)は、速い更新速度βでフィルタ特性を更新する第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさ(例えば音圧)と比べて、小さい。
一方、系変動検出部41により系変動が有ると判断された場合、遅い更新速度αでフィルタ特性を更新する第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさ(例えば音圧)は、速い更新速度βでフィルタ特性を更新する第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさ(例えば音圧)と比べて、大きい。
従って、系変動検出部41は、第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさが第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさより小さいと判断した場合に、系変動が有ると判定する。一方、系変動検出部41は、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号の大きさが第2のエコー抑圧ユニット30から出力される信号の大きさより小さいと判断した場合に、系変動が無いと判定する。
出力選択部の一例としての出力信号選択部43は、系変動が無いと系変動検出部41により判断された場合、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される、音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する。一方、出力信号選択部43は、系変動が有ると系変動検出部41により判断された場合、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される、音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する。
上記した本実施の形態の音響エコー抑圧装置5の動作を示す。
図4は、音響エコー抑圧動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
図4に示す各処理は、例えば車両8内に搭載されたイグニッションキースイッチのオンによって音響エコー抑圧装置5に電源が供給されると、DSP10によって繰り返し実行される。
図4において、DSP10は、マイクmc1で収音された音声を取得する(S1)。
DSP10は、現時点がそれぞれの適応フィルタ23,33のフィルタ係数の更新速度α,βに相当するタイミングであるか否かを判断する。DSP10は、更新タイミングである場合に、更新タイミングとなった該当する適応フィルタを有する第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30の少なくとも一方に、フィルタ係数の更新処理の実行を指示する(S2)。言い換えると、DSP10は、第1のエコー抑圧ユニット20、第2のエコー抑圧ユニット30のそれぞれに、時間的に並行してフィルタ係数の更新処理を実行するように指示する(S2)。
DSP10は、現時点が更新速度αのタイミングである場合には、ステップS3以降の処理で第1のエコー抑圧ユニット20の適応フィルタ23のフィルタ係数の更新処理を実行する。
DSP10は、現時点が更新速度βのタイミングである場合には、ステップS7以降の処理で第2のエコー抑圧ユニット30の適応フィルタ33のフィルタ係数の更新処理を実行する。
本実施形態では、更新速度α < 更新速度βの関係にあるので、ステップS3〜S6の処理を実行する頻度に比べ、ステップS7〜S10の処理を実行する頻度が多くなる。
更新速度αのタイミングにおいて、第1のエコー抑圧部21は、バッファメモリ50Aに保持された、過去の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)である第1参照信号(内部保持信号)を取得する(S3)。
第1エコー抑圧部21は、ディレイ29で所定時間分だけ遅延させた第1参照信号を用いて適応フィルタ23により擬似エコー信号を生成し、この擬似エコー信号をマイクmc1で収音された音声信号に加算器22において加算する。これにより、第1エコー抑圧部21は、マイクmc1で収音された音声信号から擬似エコー信号の分だけ差し引いた(減算した)ことで、音響エコー抑圧後の信号を生成する(S4)。第1フィルタ更新部25は、音響エコー抑圧後の信号と遅延された第1参照信号とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出し、適応フィルタ23の特性を更新する(S5)。第1のエコー抑圧ユニット20は、ステップS4で生成した音響エコー抑圧後の信号を次回(つまり、更新速度αに基づく次の更新タイミング)のフィルタ係数の更新処理時における第1参照信号として用いるために、バッファメモリ50Aに保持する(S6)。
一方、更新速度βのタイミングにおいて、第2のエコー抑圧部31は、バッファメモリ50Bに保持された、過去の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)である第2参照信号(内部保持信号)を取得する(S7)。
第2エコー抑圧部31は、ディレイ39で所定時間分だけ遅延させた第2参照信号を用いて適応フィルタ33により擬似エコー信号を生成し、この擬似エコー信号をマイクmc1で収音された音声信号に加算器32において加算する。これにより、第2エコー抑圧部31は、マイクmc1で収音された音声信号から擬似エコー信号の分だけ差し引いた(減算した)ことで、音響エコー抑圧後の信号を生成する(S8)。第2フィルタ更新部35は、音響エコー抑圧後の信号と遅延された第2参照信号とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出し、適応フィルタ33の特性を更新する(S9)。第2のエコー抑圧ユニット30は、ステップS8で生成した音響エコー抑圧後の信号を次回(つまり、更新速度βに基づく次の更新タイミング)のフィルタ係数の更新処理時における第2参照信号として用いるために、バッファメモリ50Bに保持する(S10)。
系変動検出部41は、車室8z内の環境(音場)が変化したか否か、つまり系変動の有無を検出する(S11)。この系変動検出処理の詳細については後述する。
出力信号選択部43は、系変動検出部41における検出結果(つまり、系変動の有無)に応じて、スピーカsp2に出力する音声信号を選択する(S12)。この出力信号選択処理の詳細については後述する。この後、DSP10は図4に示す処理を終了する。
図5は、ステップS11における系変動検出手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
図5において、系変動検出部41は、第1のエコー抑圧ユニット20から出力された信号(つまり、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号)と、第2のエコー抑圧ユニット30から出力された信号(つまり、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号)とを取得する(S21)。
系変動検出部41は、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号の大きさ(音圧)と、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号の大きさ(音圧)とを比較する(S22)。比較の結果、更新速度αの音圧が更新速度βの音圧より小さい場合(S23)、系変動検出部41は、系変動が無いと判定する(S24)。
一方、比較の結果、更新速度βの音圧が更新速度αの音圧より小さい場合(S23)、系変動検出部41は、系変動が有ったと判定する(S25)。ステップS24,S25の処理後、系変動検出部41は図5に示す処理を終了し、DSP10の処理は元の処理(つまり、ステップS12)に進む。
図6は、ステップS12における出力信号選択手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
図6において、出力信号選択部43は、系変動検出部41からの出力に基づいて、系変動の有無を判別する(S31)。系変動が無い場合(S31、NO)、出力信号選択部43は、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する(S32)。
一方、系変動が有る場合(S31、YES)、出力信号選択部43は、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する(S33)。ステップS32,S33の処理により、音響エコー抑圧後の信号がスピーカsp2に入力されると、音質の高い音声がスピーカsp2から出力される。ステップS32,S33の処理後、出力信号選択部43は図6に示す処理を終了し、DSP10の処理は終了する。
図7A,図7B,図7C,図7D,図7Eは、それぞれ初回起動時の適応フィルタ23の成長過程の一例を示すグラフである。
各グラフの縦軸は音圧を表し、横軸は周波数を表す。初回起動時の初期状態では、図7Aに示すように、マイクmc1で収音されるエコー音gh1に対し、適応フィルタ23では擬似エコー信号gh2は生成されない。
その後、時間の経過とともに、図7B,図7C,図7Dに示すように、適応フィルタ23が成長し(言い換えると、適応フィルタ23のフィルタ係数が学習されて)、適応フィルタ23で生成される擬似エコー信号gh2は、マイクmc1で収音されるエコー音gh1に近づいていく。安定状態では、図7Eに示すように、適応フィルタ23で生成される擬似エコー信号gh2は、マイクmc1で収音されるエコー音gh1と略一致する。
なお、図7A〜図7Eでは、適応フィルタ23の成長過程の一例を示したが、適応フィルタ33の成長過程も、成長スピードが適応フィルタ23より速いものの、適応フィルタ23と同様である。
図8A,図8B,図8C,図8D,図8Eは、それぞれ系変動時の適応フィルタ23の変化過程の一例を示すグラフである。
車室8z内の状況(例えば車窓の開閉等)が変化し、音場が急に変動した場合、つまり急な系変動時、適応フィルタ23で生成される擬似エコー信号gh2は、マイクmc1で収音されるエコー音gh1から大きく乖離する。図8Aでは、擬似エコー信号gh2の音圧がエコー音gh1の音圧を超えている周波数域が多くある。
その後、時間の経過とともに、図8B,図8C,図8Dに示すように、適応フィルタ23が成長し(言い換えると、適応フィルタ23のフィルタ係数が学習されて)、適応フィルタ23で生成される擬似エコー信号gh2は、マイクmc1で収音されるエコー音gh1に近づいていく。系変動が起きてから暫時経過した安定状態では、図8Eに示すように、適応フィルタ23で生成される擬似エコー信号gh2は、マイクmc1で収音されるエコー音gh1と略一致する。
なお、図8A〜図8Eでは、適応フィルタ23の変化過程の一例を示したが、適応フィルタ33の変化過程も、変化スピードが適応フィルタ23より速いものの、適応フィルタ23と同様である。
以上により、実施の形態1の音響エコー抑圧装置5では、マイクmc1は、車室8z内(環境内)の運転者hm1(人物)の音声を収音する。第1のエコー抑圧ユニット20は、マイクmc1で収音された運転者hm1の音声信号と、バッファメモリ50Aに保持された過去の第1のエコー抑圧後の音声信号(第1の参照信号)とに基づいて、音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第1のエコー抑圧後の音声信号(第1の抑圧音声信号)を出力する。第2のエコー抑圧ユニット30は、マイクmc1で収音された運転者hm1の音声信号と、バッファメモリ50Bに保持された過去の第2のエコー抑圧後の音声信号(第2の参照信号)とに基づいて、音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第2のエコー抑圧後の音声信号(第2の抑圧音声信号)を出力する。系変動検出部41は、系変動(つまり、環境の変動)の有無を検出する。出力信号選択部43は、系変動の有無の検出結果に応じて、第1のエコー抑圧後の音声信号及び第2のエコー抑圧後の音声信号のうちいずれかを選択してスピーカsp2から出力する。
これにより、音響エコー抑圧装置5は、環境内(例えば車室8z内)において音場の伝達特性が変化するような急な系変動があった場合でも、その系変動に追従してスピーカ(例えばスピーカsp2)から出力される音声の音質劣化を抑制できる。また、第1のエコー抑圧ユニット20と第2のエコー抑圧ユニット30の2つのエコー抑圧ユニットをえることで、一方のエコー抑圧ユニットの動作が不良になっても、他方のエコー抑圧ユニットを使用することができ、音響エコー抑圧動作を継続できる。また、音響エコー抑圧後の信号による音質が十分に改善されない場合、2つのエコー抑圧ユニットの更新頻度を個別に変更して音質の向上を図ることも可能である。
また、第1のエコー抑圧ユニット20が有する適応フィルタ23のフィルタ係数の更新速度αは、第2のエコー抑圧ユニット30が有する適応フィルタ33のフィルタ係数の更新速度βより遅い。これにより、音響エコー抑圧装置5は、上述した音場の伝達特性が変化するような系変動が無い場合には、更新速度αの遅い第1のエコー抑圧ユニット20から出力される音響エコー抑圧後の音声信号を出力することで、音声の品質を安定化できる。一方、音響エコー抑圧装置5は、上述した音場の伝達特性が変化するような系変動が有る場合には、更新速度βの速い第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の音声信号を出力することで、系変動に迅速に追従できて系変動後の音場における音声の音質劣化を抑制できる。
また、系変動検出部41は、第1のエコー抑圧後の音声信号及び第2のエコー抑圧後の音声信号に基づいて、系変動の有無を検出する。このように、音響エコー抑圧装置5は、系変動の有無の検出に異なる適応フィルタを用いて生成された擬似エコー信号によって音響エコーが抑圧された音声信号を用いることで、例えば瞬間的な系変動だけでなく、所定時間かかって徐々に起こる連続した系変動を検出することが可能である。また、音響エコー抑圧装置5は、系変動の有無を検出するための機器を別に用意しなくて済むので、簡単に系変動を検出でき、部品点数の削減及びコストの低減が図れる。
また、系変動検出部41は、第1のエコー抑圧後の音声信号の音圧(第1の抑圧音声信号に含まれる音の大きさ)が第2のエコー抑圧後の音声信号の音圧(第2の抑圧音声信号に含まれる音の大きさ)より大きい場合に、系変動があると検出する。このように、音響エコー抑圧装置5は、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される音響エコー抑圧後の音声信号の音圧と、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の音声信号の音圧とを比較することで、簡単に系変動の有無を検出できる。
また、音響エコー抑圧装置5では、過去の第1のエコー抑圧後の音声信号(第1の参照信号)は、バッファメモリ50Aに保持される。過去の第2のエコー抑圧後の音声信号(第2の参照信号)は、バッファメモリ50Bに保持される。このように、適応フィルタ23,33は、それぞれバッファメモリ50A,50Bに保持された過去(直前)の音響エコー抑圧後の音声信号である第1参照信号及び第2参照信号を使用することで、マイクmc1で収音された音声信号に含まれる音響エコー信号を抑圧するための擬似エコー信号を容易に生成できる。
また、出力信号選択部43は、系変動検出部41において系変動があると検出された場合、第1のエコー抑圧後の音声信号を選択して出力し、系変動検出部41において系変動がないと検出された場合、第2のエコー抑圧後の音声信号を選択して出力する。これにより、音響エコー抑圧装置5は、系変動が無い場合における音声の音質が安定化と、系変動が有る場合における音声の音質劣化の抑制との両方を満たすことができる。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、2つの適応フィルタを用いた場合を示したが、実施の形態2では、3つの適応フィルタを用いた場合を示す。また、実施の形態2の音響エコー抑圧装置において、実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図9は、実施の形態2における音響エコー抑圧装置5Aの機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
音響エコー抑圧装置5Aは、実施の形態1で示した第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30に加え、第3のエコー抑圧ユニット80を有する。
第3のフィルタ処理部の一例としての第3のエコー抑圧ユニット80は、第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30と同様、第3エコー抑圧部81、第3フィルタ更新部85及びディレイ89を有する。
但し、第1のエコー抑圧ユニット20の適応フィルタ23のフィルタ係数の更新速度α、第2のエコー抑圧ユニット30の適応フィルタ33のフィルタ係数の更新速度βと比べ、第3のエコー抑圧ユニット80の適応フィルタ83のフィルタ係数の更新速度γは最速となるように設定される。つまり、第1のエコー抑圧ユニット20は、音場の特性があまり変化していない場合、更新速度γやβより小さい更新速度αの安定した音響エコー抑圧後の信号を出力する。また、第2のエコー抑圧ユニット30は、音場の特性が変化した場合(例えば急な系変動があった場合)、その系変動に追従可能となるように、更新速度αより大きい更新速度βの高速な音響エコー抑圧後の信号を出力する。さらに、第3のエコー抑圧ユニット80は、音場の特性が大きく変化した場合(例えば急な系変動があった場合)、その系変動に最速で追従可能となるように、更新速度αやβよりも大きい更新速度γの高速な音響エコー抑圧後の信号を出力する。
第3エコー抑圧部81は、加算器82及び適応フィルタ83を有し、マイクmc1で収音された音声に含まれる音響エコーを打ち消すために、マイクmc1で収音された音声に、適応フィルタ83で生成された擬似エコー信号を加算器82で加算することで音響エコー抑圧の処理を行う。第3エコー抑圧部81は、加算器82の出力(言い換えると、音響エコー抑圧後の信号(エコー抑圧信号))を系変動検出部41に出力する。
適応フィルタ83は、ディレイ89(つまり、遅延器)で遅延時間だけ遅延させた第3参照信号を入力し、スピーカsp2から出力される再生音が収音されるまでの伝達特性と等価な特性な持つフィルタに成長し、このフィルタを用いて信号処理を行うことで、擬似エコー信号を生成する。
第3参照信号は、前述したように、バッファメモリ50Cに保持され、スピーカsp2から出力されるべき過去(厳密には、現時点から直前のタイミング)の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)であり、スピーカsp2から出力された音声がマイクmc1に到達するまでに要する時間前の信号である。従って、第3参照信号がディレイ89で遅延されて適応フィルタ83に入力するタイミングは、スピーカsp2から出力された再生音がエコー音としてマイクmc1で収音されるタイミングと一致する。このため、ディレイ89の遅延時間は、スピーカsp2及びマイクmc1間の距離を音速で除した値であり、ディレイ29,39の遅延時間と同じである。
第3フィルタ更新部85は、適応フィルタ83の特性がエコー伝達特性と等価になるようにFIRフィルタのタップ数や係数を制御するものであり、更新量計算部86、非線形処理部87及びノルム算出部88を有する。なお、FIRフィルタのタップ数を制御することで、フィルタ特性を変更してもよい。
非線形処理部87は、音響エコー抑圧後の信号に対して非線形変換を行い、非線形変換されたエコー抑圧信号を生成して更新量計算部86に出力し、フィルタ特性を正の方向に変更するか、或いは負の方向に変更するかを決定する。
ノルム算出部88は、スピーカ信号のノルムを算出する。スピーカ信号のノルムとは、過去の所定時間内のスピーカ信号の大きさの総和であり、この時間内の信号の大きさの度合いを示す値である。
更新量計算部86は、ノルム算出部88で算出されたノルムと、非線形処理部87で非線形変換されたエコー抑圧信号と、ディレイ89で遅延時間だけ遅延した第3参照信号(スピーカ信号)とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出する。
系変動検出部41Aは、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される音響エコー抑圧後の信号(第1の抑圧音声信号)と、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の信号(第2の抑圧音声信号)と、第3のエコー抑圧ユニット80から出力される音響エコー抑圧後の信号(第3の抑圧音声信号)とを入力する。系変動検出部41Aは、これらの信号を基に、音場における音の伝達特性が変動しているか否か、つまり系変動の有無を検出する。
系変動検出部41Aにより系変動が無いと判断された場合、遅い更新速度αでフィルタ特性を更新する第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさ(例えば音圧)は、速い更新速度βでフィルタ特性を更新する第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさ(例えば音圧)や、最速の更新速度γでフィルタ特性を更新する第3のエコー抑圧ユニット80からの出力信号の大きさ(例えば音圧)と比べて、小さい。
一方、系変動検出部41Aにより系変動が有ると判断された場合、遅い更新速度αでフィルタ特性を更新する第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさ(例えば音圧)は、速い更新速度βでフィルタ特性を更新する第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさ(例えば音圧)や、最速の更新速度γでフィルタ特性を更新する第3のエコー抑圧ユニット80からの出力信号の大きさ(例えば音圧)と比べて、大きい。
従って、系変動検出部41Aは、第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさ及び第3のエコー抑圧ユニット80からの出力信号の大きさが第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号の大きさより小さい場合、系変動が有ると判定する。さらに、系変動検出部41Aは、系変動が有ると判定した場合、第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさと、第3のエコー抑圧ユニット80の出力信号の大きさとを比較し、比較の結果、第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号の大きさが小さい場合、第2のエコー抑圧ユニット30に対応する系変動(例えば、大きな系変動)を検出する。一方、系変動検出部41Aは、比較の結果、第3のエコー抑圧ユニット80からの出力信号の大きさが小さい場合、第3のエコー抑圧ユニット80に対応する系変動(例えば、極端に大きな系変動)を検出する。
出力信号選択部43Aは、系変動が無い場合、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される、音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する。一方、系変動が有る場合、出力信号選択部43Aは、系変動の程度に応じて、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の信号、または、第3のエコー抑圧ユニット80から出力される音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する。
上記した本実施の形態の音響エコー抑圧装置5Aの動作を示す。
図10は、音響エコー抑圧動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
実施の形態1の図4と同一のステップ処理については、同一のステップ番号を付すことでその説明を省略する。
図10において、DSP10は、ステップS1においてマイクmc1で収音された音声を取得した後、現時点がそれぞれの適応フィルタ23,33,83のフィルタ係数の更新速度α,β,γに相当するタイミングであるか否かを判断する。DSP10は、更新タイミングである場合に、更新タイミングとなった該当する適応フィルタを有する第1のエコー抑圧ユニット20、第2のエコー抑圧ユニット30及び第3のエコー抑圧ユニット80のうち少なくとも1つに、フィルタ係数の更新処理の実行を指示する(S2A)。言い換えると、DSP10は、第1のエコー抑圧ユニット20、第2のエコー抑圧ユニット30、第3のエコー抑圧ユニット80のそれぞれに、時間的に並行してフィルタ係数の更新処理を実行するように指示する(S2A)。
前述したように、DSP10は、現時点が更新速度αのタイミングである場合には、ステップS3以降の処理で第1のエコー抑圧ユニット20の適応フィルタ23のフィルタ係数の更新処理を実行する。
DSP10は、現時点が更新速度βのタイミングである場合には、ステップS7以降の処理で第2のエコー抑圧ユニット30の適応フィルタ33のフィルタ係数の更新処理を実行する。
DSP10は、現時点が更新速度γのタイミングである場合には、ステップS7A以降の処理で第3のエコー抑圧ユニット80の適応フィルタ83のフィルタ係数の更新処理を実行する。
本実施形態では、更新速度α < 更新速度β < 更新速度γの関係があるので、ステップS3〜S6の処理、ステップS7〜S10の処理、ステップS7A〜S10Aの処理の順で更新頻度が高くなる。更新速度α及び更新速度βのタイミングにおける更新動作は、実施の形態1において前述した通りである。
更新速度γのタイミングにおいて、第3エコー抑圧部81は、バッファメモリ50Cに保持された、過去の音響エコー抑圧後の信号(スピーカ信号)である第3参照信号(内部保持信号)を取得する(S7A)。
第3エコー抑圧部81は、ディレイ89で所定時間分だけ遅延させた第3参照信号を用いて適応フィルタ83により擬似エコー信号を生成し、この擬似エコー信号をマイクmc1で収音された音声信号に加算器82において加算する。これにより、第3エコー抑圧部81は、マイクmc1で収音された音声信号から擬似エコー信号の分だけ差し引いた(減算した)ことで、音響エコー抑圧後の信号を生成する(S8A)。第3フィルタ更新部85は、音響エコー抑圧後の信号と遅延された第3参照信号とを用いて、フィルタ特性の更新量を算出し、適応フィルタ83の特性を更新する(S9A)。第3のエコー抑圧ユニット80は、ステップS8Aで生成した音響エコー抑圧後の信号を次回(つまり、更新速度γに基づく次の更新タイミング)のフィルタ係数の更新処理時における第3参照信号として用いるために、バッファメモリ50Cに保持する(S10A)。
系変動検出部41Aは、車室8z内の環境(音場)が変化したか否か、つまり系変動の有無を判別し、さらに、系変動があった場合、その度合いを判別する(S11A)。この系変動検出処理の詳細については後述する。出力信号選択部43は、系変動の有無、さらに系変動の度合いに応じて、スピーカsp2に出力する音声信号を選択する(S12A)。この出力信号選択処理の詳細については後述する。この後、DSP10は図10に示す処理を終了する。
図11は、ステップS11Aにおける系変動検出手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
実施の形態1と同一のステップ処理については同一のステップ番号を付すことにする。
図11において、系変動検出部41Aは、第1のエコー抑圧ユニット20から出力された信号(つまり、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号)と、第2のエコー抑圧ユニット30から出力された信号(つまり、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号)と、第3のエコー抑圧ユニット80から出力された信号(つまり、更新速度γの音響エコー抑圧後の信号)とを取得する(S21A)。
系変動検出部41Aは、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号の大きさ(音圧)と、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号の大きさ(音圧)と、更新速度γの音響エコー抑圧後の信号の大きさ(音圧)とを比較する(S22A)。比較の結果、更新速度αの音圧が更新速度βの音圧及び更新速度γの音圧より小さい場合(S23A、NO)、系変動検出部41Aは、系変動が無いと判定する(S24)。
一方、更新速度βの音圧及び更新速度γの音圧が更新速度αの音圧より小さい場合(S23A、YES)、系変動検出部41Aは、更に、更新速度βの音圧が更新速度γの音圧より大きいか否かを判別する(S25A)。更新速度βの音圧が更新速度γの音圧より小さい場合(S25A、NO)、系変動検出部41Aは、実施の形態1と同様、系変動が有ると判定する(S25B)。一方、更新速度βの音圧が更新速度γの音圧より大きい場合(S25A、YES)、系変動検出部41Aは、極端に大きな系変動有りを検出する(S25C)。ステップS24、S25B、S25Cの処理後、系変動検出部41Aは図11の処理を終了し、DSP10の処理は元の処理(つまり、ステップS12A)に進む。
図12は、ステップS12Aにおける出力信号選択手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
実施の形態1と同一のステップ処理については同一のステップ番号を付すことにする。
図12において、出力信号選択部43Aは、系変動検出部41Aからの出力に基づいて、系変動の有無を判別する(S31)。系変動が無い場合(S31、NO)、出力信号選択部43Aは、更新速度αの音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する(S32)。
一方、系変動が有る場合(S31、YES)、出力信号選択部43Aは、大きな系変動であったか否かを判別する(S33A)。大きな系変動でない場合(S33A、NO)、出力信号選択部43Aは、実施の形態1と同様、更新速度βの音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する(S33B)。一方、大きな系変動であった場合(S33A、YES)、出力信号選択部43Aは、更新速度γの音響エコー抑圧後の信号をスピーカsp2に出力する(S33C)。ステップS32,S33B,S33Cの処理で音響エコー抑圧後の信号がスピーカsp2に入力されると、音質の高い音声がスピーカsp2から出力される。ステップS32,S33B,S33Cの処理後、出力信号選択部43Aは図12に示す処理を終了し、DSP10の処理は終了する。
以上により、実施の形態2の音響エコー抑圧装置5Aでは、第3のエコー抑圧ユニット80は、マイクmc1で収音された運転者hm1の音声信号と、バッファメモリ50Cに保持された過去のエコー抑圧後の音声信号(第3の参照信号)に基づいて、音声信号に含まれるエコー成分を抑圧した第3のエコー抑圧後の音声信号(第3の抑圧音声信号)を出力する。系変動検出部41Aは、系変動の有無を検出する。出力信号選択部43Aは、系変動の有無の検出結果に応じて、第1のエコー抑圧信号、第2の抑圧音声信号)及び第3の抑圧音声信号のうちいずれかを選択してスピーカsp2から出力する。
これにより、音響エコー抑圧装置5は、環境内(例えば車室8z内)において音場の伝達特性が変化するような系変動がある場合、比較的小さな系変動では、更新速度βの速い第2のエコー抑圧ユニット30から出力される音響エコー抑圧後の音声信号を出力し、一方、比較的大きな系変動では、更新速度γの最速の第3のエコー抑圧ユニット80から出力される音響エコー抑圧後の音声信号を出力可能である。従って、音響エコー抑圧装置5は、音声の品質の安定化と品質劣化の抑制とを考慮して、系変動の大きさに適した音声の出力が可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態1,2では、マイクmc1で収音された音声を用いて系変動を検出する場合を示したが、実施の形態3では、カメラで撮像された映像を用いて系変動を検出する場合を示す。また、実施の形態3の音響エコー抑圧装置は実施の形態1とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図13は、実施の形態3における音響エコー抑圧装置5Bの機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
音響エコー抑圧装置5Bは、実施の形態1と同様、第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30を有する。音響エコー抑圧装置5Bは、系変動が無いとの検出結果を得た場合、更新速度αで適応フィルタ23のフィルタ特性が更新された第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号をスピーカsp2に出力する。一方、音響エコー抑圧装置5Bは、系変動が有るとの検出結果を得た場合、更新速度βで適応フィルタ33のフィルタ特性が更新された第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号をスピーカsp2に出力する。
音響エコー抑圧装置5Bは、実施の形態1と異なり、車室8z内に配置され、音響エコーが伝達される環境内(つまり、音場)を撮像するカメラCA1、及びカメラCA1で撮像された画像を解析して音場における音の伝達特性の変化(つまり、系変動)を検出する系変動検出部41Bを有する。
カメラCA1は、例えば車室8z内の天井に設置され、全方位画像を撮像可能な全方位カメラでもよいし、運転席前方のフロントガラスの上部に設置され、フロント側から車室8z内の空間を撮像可能なドライブレコーダ内蔵のカメラであってもよい。又は、カメラCA1は、車室8z内のリアガラスの上部に設置され、リア側から車室8z内の空間を撮像可能なカメラであってもよい。
系変動検出部41Bには、カメラCA1、第1のエコー抑圧ユニット20、及び出力信号選択部43Bが接続される。系変動検出部41Bは、カメラCA1で撮像される映像を解析した結果、例えば、車窓が開閉した、シートが倒された、乗員が顔を大きく動かした、停止中にドアが開いた等の状況の変化が映像に写っている場合、系変動が有ると判定する。
系変動検出部41Bは、系変動が有ると判定した場合、例えば第1のエコー抑圧ユニット20から出力された信号を遮断し、系変動有りの検出信号を出力信号選択部43Bに通知する。出力信号選択部43Bは、系変動有りの場合、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される信号をスピーカsp2に出力する。なお、系変動が有ると判定した場合、系変動検出部41Bは、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号を遮断したが、遮断することなく通過させてもよく、出力信号選択部43Bが第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号を遮断してもよい。
一方、系変動検出部41Bは、カメラCA1で撮像される映像を解析した結果、系変動を検出しなかった場合、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号をそのまま通過させ、系変動無しの検出信号を出力信号選択部43Bに通知する。出力信号選択部43Bは、系変動無しの通知を受けた場合、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号をスピーカsp2に出力する。
実施の形態3の音響エコー抑圧装置5Bでは、系変動検出部41Bは、車室8z内を撮像するカメラCA1で撮像された映像に基づいて、系変動の有無を検出する。これにより、瞬間的な系変動を確実に検出できる。
(実施の形態3の変形例)
図14は、実施の形態3の変形例における音響エコー抑圧装置5Cの機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
本変形例の音響エコー抑圧装置5Cでは、外部に設けられた系変動検出部41CにカメラCA1及び出力信号選択部43Bが接続される。
系変動検出部41Cは、カメラCA1で撮像される映像を解析した結果、系変動の有無を判別し、系変動が有るとの検出結果を得た場合、系変動有りの旨を出力信号選択部43Cに通知する。
出力信号選択部43Cは、系変動検出部41Cから系変動有りの旨の通知を受けた場合、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号を遮断し、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される信号をスピーカsp2に出力する。一方、出力信号選択部43Cは、系変動検出部41Cから系変動無しの通知を受けた場合、第2のエコー抑圧ユニット30から出力される信号を遮断し、第1のエコー抑圧ユニット20から出力される信号をスピーカsp2に出力する。
本変形例の音響エコー抑圧装置5Cでは、系変動検出部41Cを音響エコー抑圧装置5Cから分離してカメラCA1側に持たせることが可能であり、音響エコー抑圧装置の構成を簡単化できる。例えば、カメラCA1は系変動検出部41Cを内蔵してもよい。なお、実施の形態3や本変形例においても、実施の形態2と同様に、第1、第2及び第3のエコー抑圧ユニットを用いて、音響エコー抑圧後の信号を出力するようにしてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4では、3つ以上のマイクを用いて系変動を検出する場合を示す。また、第4実施形態の音響エコー抑圧装置は実施の形態1とほぼ同一の構成を有する。前記実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図15は、実施の形態4における音響エコー抑圧装置5Dの機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。
音響エコー抑圧装置5Dは、実施の形態1と同様、第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30を有する。音響エコー抑圧装置5Dは、系変動が無いとの検出結果を得た場合、更新速度αで適応フィルタ23のフィルタ特性が更新された第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号をスピーカsp2に出力する。一方、音響エコー抑圧装置5Dは、系変動が有るとの検出結果を得た場合、更新速度βで適応フィルタ33のフィルタ特性が更新された第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号をスピーカsp2に出力する。
実施の形態4の音響エコー抑圧装置5Dでは、実施の形態1と異なり、系変動検出部41Dには、第1のエコー抑圧ユニット20が接続される他、車室8z内に配置された3つのマイクmc1,mc2,mc3が接続される。
それぞれのマイクmc1,mc2,mc3は、指向性マイクであってもよいし、無指向性マイクであってもよい。
系変動検出部41Dは、3つのマイクmc1,mc2,mc3で収音される音声の音圧の大きさを基に、系変動の有無を検出する。3つのマイクmc1,mc2,mc3は、直線上に配置されてもよいし、三角形を形成するように配置されてもよい。3つのマイクmc1,mc2,mc3で収音された音を用いることで、音の発生源(音源)を3次元的に捉えることが可能である。つまり、系変動検出部41Dは、例えば車窓近傍が音源である場合に車窓が開閉された、ドア近傍が音源である場合にドアが開閉されたと推定し、それぞれ環境が変動したとして系変動有りを検出する。なお、マイクの数は3つ以上あれば、車室8z内の音源位置を特定可能である。また、マイクmc1,mc2として、運転者hm1と乗員hm2の会話に用いられるマイクが使用されたが、会話に用いられるマイクとは別に、系変動検出専用のマイクが用意されてもよい。
また、系変動検出部41Dは、予め3つのマイクmc1,mc2,mc3で収音される、車窓の開閉やシートの転倒等に伴って発生する音の音圧パターンを登録しておき、3つのマイクmc1,mc2,mc3で収音される音の音圧と予め登録された音圧パターンとを比較してもよい。比較の結果、3つのマイクmc1,mc2,mc3で収音される音の音圧と予め登録された音圧パターンとが一致する場合、系変動検出部41Dは、系変動有りを検出する。一方、車両の走行に伴う振動音や信号待ちに伴う騒音等、車両8の外部で発生した音の音圧が、予め登録された音圧パターンと不一致である場合、系変動検出部41Dは、系変動が無いと判定するとしてよい。
以上により、実施の形態4の音響エコー抑圧装置5Dでは、系変動検出部41Dは、車室8z内の音声を検出する、3つのマイクmc1,mc2,mc3(音検知部)からの音声信号に基づいて、系変動の有無を検出する。これにより、3つのマイクを用いて車室8z内の音源位置を特定し、音源位置を考慮して系変動の有無を検出できる。また、音声を用いることで、所定時間かかって徐々に起こる系変動を検出できる。
なお、実施の形態4においても、実施の形態2と同様、第1、第2及び第3のエコー抑圧ユニットを用いて、音響エコー抑圧後の信号を出力するようにしてもよい。
(実施の形態5)
実施の形態5では、車両に搭載されたセンサを用いて系変動を検出する場合を示す。また、実施の形態5の音響エコー抑圧装置5Eは、実施の形態1の音響エコー抑圧装置5とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図16は、実施の形態5における音響エコー抑圧装置5Eの機能的構成の一例を詳細に示すブロック図である。音響エコー抑圧装置5Eは、実施の形態1と同様、第1のエコー抑圧ユニット20及び第2のエコー抑圧ユニット30を有する。音響エコー抑圧装置5Eは、系変動が無いとの検出結果を得た場合、更新速度αで適応フィルタ23のフィルタ特性が更新された第1のエコー抑圧ユニット20からの出力信号をスピーカsp2に出力する。一方、音響エコー抑圧装置5Eは、系変動が有るとの検出結果を得た場合、更新速度βで適応フィルタ33のフィルタ特性が更新された第2のエコー抑圧ユニット30からの出力信号をスピーカsp2に出力する。
実施の形態5の音響エコー抑圧装置5Eでは、実施の形態1と異なり、系変動検出部41Eには、第1のエコー抑圧ユニット20が接続される他、車室8z内に配置された少なくとも1つのセンサSrが接続される。センサSrは、1つであってもよいし、複数であってもよい。センサSrが複数のセンサの組み合わせである場合、系変動検出部41Eは、各センサの検出信号を基に系変動の有無を検出してもよい。
センサSrとして、例えば、車室8z内の温度を検出する温度センサが挙げられる。音速は温度に依存するので、温度が変化すると、音場の特性は大きく変化する。従って、車室8z内の温度を検出して系変動を判断することは有効である。また、センサSrとして、シートベルトが装着された場合にオンとなるシートベルトSWが挙げられる。シートベルトSWがオン/オフに変化する場合、乗員が着座或いは起立する状況が想定される。
また、センサSrとして、車窓の開閉を検知する開閉センサが挙げられる。車窓が開いた状態では、スピーカsp2から出力される再生音は反射されないので、マイクmc1に届かず、エコー音とならない。一方、車窓が閉じた状態では、スピーカsp2から出力される再生音は車窓で反射されてマイクmc1に届き、エコー音となり得る。上記センサは、センサSrの一例に過ぎず、この他、座席の前後方向の位置を検知するシートポジションセンサ、乗員が着座している場合にオンになる着座センサ等、任意のセンサであってもよい。
系変動検出部41Eは、センサSrがオンである場合に環境が変動したとして系変動有りを検出する。
以上により、実施の形態5の音響エコー抑圧装置5Eでは、系変動検出部41Eは、車室8z内の状態を検出するセンサの信号に基づいて、系変動の有無を検出する。これにより、系変動の検出に適したセンサを用いて、系変動の有無を正確に検出できる。例えば、車室内の温度が変化した場合、温度センサを用いて、音場の特性に大きな影響を与える温度変化による系変動の有無を検出できる。
なお、実施の形態5においても、実施の形態2と同様、第1、第2及び第3のエコー抑圧ユニットを用いて、音響エコー抑圧後の信号を出力するようにしてもよい。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上記実施の形態では、音響エコー抑圧装置は、マイクで収音された音声中に含まれるスピーカからの再生音(エコー音)を推定して抑制するハウリングキャンセラに適用される場合を示したが、マイクで収音された音声中に含まれるクロストーク等で発生したエコー音を推定して抑制するエコーキャンセラに適用することも可能である。
また、上記実施の形態では、2者間の会話を支援する場合を示したが、本開示は、3者以上の間で行われる会話も同様に支援可能である。この場合、3者以上の各乗員が着座する座席近傍にそれぞれマイク及びスピーカが配置され、音響エコ―抑圧装置は2者間の組み合わせ数に相当する数だけ設置されることで、それぞれの音響エコー抑圧装置は対応する2者間の音響エコー抑圧機能を実行する。
また、上記実施の形態では、適応フィルタを2つもしくは3つ用いた場合を示したが、適応フィルタを4つ以上用いて音響エコー抑圧装置を構成してもよく、より様々な系変動に対応できる。
本開示は、急な系変動があった場合でも、系変動に追従して、出力される音声の音質劣化を抑制する音響エコー抑圧装置及び音響エコー抑圧方法として有用である。
5,5A,5B,5C,5D,5E 音響エコー抑圧装置
8z 車室
20 第1のエコー抑圧ユニット
23,33,83 適応フィルタ
25 第1フィルタ更新部
30 第2のエコー抑圧ユニット
35 第2フィルタ更新部
41,41A,41B,41C,41D,41E 系変動検出部
43,43A,43B,43C 出力信号選択部
50A,50B,50C バッファメモリ
80 第3のエコー抑圧ユニット
85 第3フィルタ更新部
CA1 カメラ
mc1,mc2,mc3 マイク
Sr センサ
sp1,sp2 スピーカ
また、本開示音響エコー抑圧方法は、収音部が設置された内の音響エコーを抑圧する音響エコー抑圧方法であって、前記収音部による収音信号に含まれるエコー成分を第1の速度で更新した第1の音信号を出力し、前記室内の音場環境の急な変動に対して前記第1の更新速度よりも高速な第2の更新速度で、前記収音信号に含まれるエコー成分を更新した第2の音信号を出力し、前記室内の音場環境の変動の有無を検出し、前記室内の音場環境の変動の有無の検出結果に応じて、前記第1の音信号及び前記第2の音信号のうちいずれかを選択して音声出力部から出力する

Claims (20)

  1. 収音部が設置された室内の音響エコーを抑圧する音響エコー抑圧装置であって、
    前記収音部と接続され、前記収音部による収音信号に含まれるエコー成分を第1の速度で更新した第1の音信号を出力する第1のフィルタ処理部と、
    前記収音部と接続され、前記室内の音場環境の急な変動に対して前記第1のフィルタ処理部よりも高速な第2の速度で、前記収音信号に含まれるエコー成分を更新した第2の音信号を出力する第2のフィルタ処理部と、
    前記室内の音場環境の変動の有無を検出する検出部と、
    前記室内の音場環境の変動の有無の検出結果に応じて、前記第1の音信号及び前記第2の音信号のうちいずれかを選択して音声出力部から出力する出力選択部と、を備える、
    音響エコー抑圧装置。
  2. 前記第2のフィルタ処理部が有するフィルタ部の係数の更新速度は、前記第1のフィルタ処理部が有するフィルタ部の係数の更新速度より大きい、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  3. 前記検出部は、前記第1の音信号及び前記第2の音信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  4. 前記検出部は、前記第1の音信号が前記第2の音信号より小さい場合に、前記室内の音場環境の変動が無いと判定し、前記第2の音信号が前記第1の音信号より小さい場合に、前記室内の音場環境の変動があると判定する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  5. 前記第1のフィルタ処理部より出力される第1の音信号を第1の参照信号として保持する第1の参照信号メモリと、
    前記第2のフィルタ処理部より出力される第2の音信号を第2の参照信号として保持する第2参照信号メモリと、を更に備え、
    前記第1のフィルタ処理部は、前記収音信号と、前記第1の参照信号メモリが保持する第1の参照信号と、に基づいて前記第1の音信号を生成して出力し、
    前記第2のフィルタ処理部は、前記収音信号と、前記第2の参照信号メモリが保持する第2の参照信号と、に基づいて前記第2の音信号を生成し出力する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  6. 前記出力選択部は、前記室内の音場環境の変動が無いと検出された場合に、前記第1の音信号を選択して出力し、前記室内の音場環境の変動があると検出された場合に、前記第2の音信号を選択して出力する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  7. 前記収音信号に含まれるエコー成分を、前記室内の音場環境の急な変動に対して前記第1のフィルタ処理部及び前記第2のフィルタ処理部よりもさらに高速な第3の速度で、前記収音信号に含まれるエコー成分を更新した第3の音信号を出力する第3のフィルタ処理部、を更に備え、
    前記出力選択部は、前記第1の音信号、前記第2の音信号及び前記第3の音信号のうちいずれかを選択して前記音声出力部から出力する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  8. 前記第3のフィルタ処理部が有するフィルタ部の係数の更新速度は、前記第1のフィルタ処理部が有するフィルタ部の係数の更新速度及び前記第2のフィルタ処理部が有するフィルタ部の係数の更新速度よりも大きい、
    請求項7に記載の音響エコー抑圧装置。
  9. 前記検出部は、前記第1の音信号、前記第2の音信号及び前記第3の音信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項7に記載の音響エコー抑圧装置。
  10. 前記検出部は、前記第1の音信号が前記第2の音信号より小さい場合に、前記室内の音場環境の変動が無いと判定し、前記第2の音信号が前記第1の音信号より小さい場合に、前記室内の音場環境の変動があると判定し、さらに前記第3の音信号が前記第2の音信号より小さい場合に、前記室内の音場環境の大きな変動があると判定する、
    請求項7に記載の音響エコー抑圧装置。
  11. 前記第1のフィルタ処理部より出力される第1の音信号を第1の参照信号として保持する第1の参照信号メモリと、
    前記第2のフィルタ処理部より出力される第2の音信号を第2の参照信号として保持する第2参照信号メモリと、
    前記第3のフィルタ処理部より出力される第3の音信号を第3の参照信号として保持する第3参照信号メモリと、を更に備え、
    前記第1のフィルタ処理部は、前記収音信号と、前記第1の参照信号メモリが保持する第1の参照信号と、に基づいて前記第1の音信号を生成して出力し、
    前記第2のフィルタ処理部は、前記収音信号と、前記第2の参照信号メモリが保持する第2の参照信号と、に基づいて前記第2の音信号を生成して出力し、
    前記第3のフィルタ処理部は、前記収音信号と、前記第3の参照信号メモリが保持する第3の参照信号と、に基づいて前記第3の音信号を生成して出力する、
    請求項7に記載の音響エコー抑圧装置。
  12. 前記出力選択部は、前記室内の音場環境の変動が無いと検出された場合に、前記第1の音信号を選択して出力し、前記室内の音場環境の変動があると検出された場合に、前記第2の音信号を選択し、さらに前記室内の音場環境の大きな変動があると検出された場合に、前記第3の音信号を選択して出力する、
    請求項7に記載の音響エコー抑圧装置。
  13. 前記検出部は、前記室内を撮像するカメラにより撮像された映像に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  14. 前記検出部は、前記室内の状態を検出するセンサの出力信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  15. 前記検出部は、前記室内の音を検出する3つ以上の音検知部からの音信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項1に記載の音響エコー抑圧装置。
  16. 収音部が設置された室内の音響エコーを抑圧する音響エコー抑圧方法であって、
    前記収音部による収音信号に含まれるエコー成分を第1の速度で更新した第1の音信号を出力し、
    前記室内の音場環境の急な変動に対して前記第1のフィルタ処理部よりも高速な第2の速度で、前記収音信号に含まれるエコー成分を更新した第2の音信号を出力し、
    前記室内の音場環境の変動の有無を検出し、
    前記室内の音場環境の変動の有無の検出結果に応じて、前記第1の音信号及び前記第2の音信号のうちいずれかを選択して音声出力部から出力する、
    音響エコー抑圧方法。
  17. 前記収音信号に含まれるエコー成分を、前記室内の音場環境の急な変動に対して前記第1のフィルタ処理部及び前記第2のフィルタ処理部よりもさらに高速な第3の速度で、前記収音信号に含まれるエコー成分を更新した第3の音信号を出力し、
    前記出力選択部は、前記第1の音信号、前記第2の音信号及び前記第3の音信号のうちいずれかを選択して前記音声出力部から出力する、
    請求項16に記載の音響エコー抑圧方法。
  18. 前記室内を撮像するカメラにより撮像された映像に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項16に記載の音響エコー抑圧方法。
  19. 前記室内の状態を検出するセンサの出力信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項16に記載の音響エコー抑圧方法。
  20. 前記室内の音を検出する3つ以上の音検知部からの音信号に基づいて、前記室内の音場環境の変動の有無を検出する、
    請求項16に記載の音響エコー抑圧方法。
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