JP2006262098A - ハウリングキャンセラ - Google Patents
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Abstract
【課題】 長い残響音に対応し、かつ短い周期で更新する適応フィルタを備え、効率的にハウリングをキャンセルできるハウリングキャンセラを提供する。
【解決手段】 チャンネルディバイダ10は、中高周波数帯域の信号をディレイ回路11に出力する。中低周波数帯域の信号はダウンサンプリングしてディレイ回路15に出力する。適応フィルタ12は、サンプリング周波数が高く、伝達関数が短い。一方で適応フィルタ16は、サンプリング周波数が低く、伝達関数が長い。それぞれの出力する模擬信号を加算器13と加算器19で入力信号から差し引く。これにより残響音の長い低音域のハウリングを効率的に抑制しながら、高音域のハウリングまで効率的に抑制することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 チャンネルディバイダ10は、中高周波数帯域の信号をディレイ回路11に出力する。中低周波数帯域の信号はダウンサンプリングしてディレイ回路15に出力する。適応フィルタ12は、サンプリング周波数が高く、伝達関数が短い。一方で適応フィルタ16は、サンプリング周波数が低く、伝達関数が長い。それぞれの出力する模擬信号を加算器13と加算器19で入力信号から差し引く。これにより残響音の長い低音域のハウリングを効率的に抑制しながら、高音域のハウリングまで効率的に抑制することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、適応フィルタを用いて音響空間の伝達特性に適応して拡声装置のハウリング発生を防止するハウリングキャンセラに関する。
一般に講堂やホール等で拡声装置を用いた場合、スピーカから出力された音声は、ある伝達関数をもつ音響経路を経て再びマイクロフォンに入力される。つまり、マイクロフォン−増幅器−スピーカ−音響経路−マイクロフォン、の経路で閉ループが形成される。この閉ループのゲインが1を越えるとスピーカからマイクロフォンに帰還した音声が増大してハウリングの発生となる。
このハウリングを効率的に防止するために、適応フィルタ(アダプティブ・ディジタル・フィルタ)を用いてハウリングの発生を防止するハウリングキャンセラが提案されている(例えば非特許文献1参照)。
図7は上記のハウリングキャンセラを示した図である。マイクロフォン101およびスピーカ104は講堂やホール等、同一の音響空間に設置されている。ここで、マイクロフォン101から入力された音声信号は、フロントエンドのマイクロフォンアンプで増幅されたのちA/Dコンバータによってディジタル信号y(k)に変換される。
信号y(k)は、加算器102を介して増幅器103に供給され、増幅される。G(z)は、増幅器103の伝達関数である。増幅器103から出力された信号x(k)は、D/Aコンバータによって音声信号に変換された後にスピーカ104から発音される。
スピーカ104から発音された音声は音響帰還路105を経てマイクロフォン101に帰還する。音響帰還路105は、スピーカ104からマイクロフォン101に至る音響経路である。H(z)は音響帰還路105の伝達関数である。音響帰還路105を介して帰還される帰還信号d(k)は、話者等の音源が発生する音源信号s(k)とともにマイクロフォン101に入力される。マイクロフォン101は、この入力された音声をディジタル信号に変換してy(k)として出力する。
このような拡声装置では、マイクロフォン101−増幅器103−スピーカ104−音響帰還路105−マイクロフォン101の経路で閉ループが形成される。この閉ループのゲインが1を超えると、帰還信号d(k)が増大されてハウリング発生となる。同図に示す拡声装置では、このようなハウリングの発生を防止するために、ディレイ回路106、適応フィルタ107および加算器102を含むハウリングキャンセラを有している。
ディレイ回路106は、増幅器103の出力信号x(k)を音響帰還路105の時間遅延に対応した遅延時間τを付与して信号x(k−τ)として適応フィルタ107に出力するものである。適応フィルタ107は、図8に示すようにフィルタ部107aおよびフィルタ係数推定部107bを有しており、信号x(k−τ)は、フィルタ部107aおよびフィルタ係数推定部107bの両方に入力される。
フィルタ部107aは、音響帰還路105の伝達関数H(z)を模擬した伝達関数F(z)でマイクロフォン101から入力される信号を減衰するようにフィルタ係数が設定されている。したがって、適応フィルタ107から出力された信号do(k)は、音響帰還路105の伝達関数H(z)を模擬した伝達関数F(z)で信号x(k−τ)をフィルタリングした信号であるため、スピーカ104から音響帰還路105を伝達してマイクロフォン101に再入力される帰還信号d(k)を模擬したものとなる。
加算器102は、マイクロフォン101から入力された信号y(k)(ここで、y(k)は音源信号と帰還信号を加算した信号)から、帰還信号d(k)を模擬した信号do(k)を減算して信号e(k)を算出する。これにより、入力信号から帰還信号が除去され、ハウリングをキャンセルすることができる。
フィルタ係数推定部107bは、適応アルゴリズムを用いて信号x(k−τ)およびe(k)に基づいて伝達関数F(z)が伝達関数H(z)に一致または近似するようにフィルタ部107aのフィルタ係数を逐次更新する。この結果、信号d(k)を模擬した信号do(k)が得られ、ハウリング発生を防止することができる。
稲積,今井,小西,:"LMSアルゴリズムを用いた拡声系のハウリング防止",日本音響学会講演論文集pp.417−418(1991,3)
稲積,今井,小西,:"LMSアルゴリズムを用いた拡声系のハウリング防止",日本音響学会講演論文集pp.417−418(1991,3)
上記のハウリングキャンセラは、帰還信号の全周波数帯域を同じ適応フィルタで除去しようとしていた。しかし、一般的な音響空間における残響時間は周波数によって異なる。すなわち、周波数が高いほど吸音されやすく、一般的には、残響時間は低音ほど長く、高音ほど短い。
残響時間に対して適応フィルタの伝達関数が短い場合、ハウリング発生の可能性が高くなる。すなわち、長い残響における帰還信号を除去することができなくなり、閉ループで増大してハウリングの発生となる。
一方で、更新間隔を開けて伝達関数の長い適応フィルタを用いることも考えられるが、この方式では、ハウリングに対する適応が遅れるため、音場環境に変化があって伝達関数H(z)に変化があったとき、適応フィルタが同定できるまでにハウリングが発生してしまうという問題点があった。
従来は、帰還信号の全周波数帯域を同じ適応フィルタで除去しようとしていたため、上記のように長い残響に対応することと、短い周期で更新することの相反する条件を同時に満たすことができない状況であった。
この発明は、周波数帯域を分割して帰還信号を除去することにより、効率的にハウリングをキャンセルできるハウリングキャンセラを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、スピーカに出力される信号を周波数帯域毎に複数の成分信号に分割する分割手段を備えるとともに、各成分信号毎に、成分信号を所定の時間遅延して遅延信号を出力する遅延手段と、遅延信号をフィルタリングしてスピーカからマイクロフォンに至る帰還音声信号の模擬信号を出力し、模擬信号で帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号と遅延信号とを基にして音響帰還路の伝達関数を推定する適応フィルタと、帰還音声信号から模擬信号を減算して誤差信号を出力する加算器と、を設け、前記各適応フィルタは、処理する成分信号の周波数帯域に応じたサンプリング周波数で動作することを特徴とする。
この発明では、スピーカに出力する信号を周波数帯域毎に分割するチャンネルディバイダを備えている。例えば中高周波数帯域と中低周波数帯域とに分割する。中高周波数帯域の信号は伝達関数の短い適応フィルタに入力し、中低周波数帯域の信号はダウンサンプリングして伝達関数の長い適応フィルタに入力する。これにより残響時間の長い低音域のハウリングを抑制しながら高音域のハウリングまで効率的に抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、スピーカに出力される信号を周波数帯域毎に複数の成分信号に分割する分割手段を備えるとともに、各成分信号毎に、成分信号を所定の時間遅延して遅延信号を出力する遅延手段と、遅延信号をフィルタリングしてスピーカからマイクロフォンに至る帰還音声信号の模擬信号を出力し、模擬信号で帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号と遅延信号とを基にして音響帰還路の伝達関数を推定する適応フィルタと、帰還音声信号から模擬信号を減算して誤差信号を出力する加算器と、をそれぞれ複数設け、前記各適応フィルタは、処理する成分信号の周波数帯域に応じたサンプリング周波数で動作し、伝達関数の更新間隔の大きい適応フィルタが帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号を、更新間隔の小さい適応フィルタがさらにキャンセルするように接続することを特徴とする。
この発明では、遅延手段からの出力信号を更新間隔の異なる複数の適応フィルタに入力する。適応フィルタで入力信号をキャンセルした後の誤差信号をその適応フィルタよりも更新間隔の小さい適応フィルタでさらにキャンセルする。これにより、ハウリングの発生を高精度に抑制できる。
以上のように、この発明によれば、入力信号を複数の周波数帯域に分割し、それぞれの周波数帯域で適応フィルタがハウリングをキャンセルするので、残響音の長い低音域のハウリングを効率的に抑制しながら、高音域のハウリングまで効率的に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施形態の拡声装置について図を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る拡声装置のブロック図である。同図に示すように、この拡声装置は、音声信号が入力されるマイクロフォン1、フロントエンドのアンプであるマイクロフォンアンプ2、入力信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ3、A/Dコンバータ3に接続されるハウリングキャンセラ4、ハウリングキャンセラ4の出力側に接続されるハウリングキャンセラ5、ハウリングキャンセラ5の出力側に接続され、音質調整、増幅等をする増幅器6、増幅器6の出力信号をアナログ音声信号に変換するD/Aコンバータ7、D/Aコンバータ7に接続され、音声信号を増幅するパワーアンプ8、パワーアンプ8から出力された音声信号から音声を発音するスピーカ9、および増幅器6の出力信号を複数の周波数帯域に分割して出力するチャンネルディバイダ10からなり、マイクロフォン1およびスピーカ9は講堂やホール等に配置される。
図1は本発明の第1実施形態に係る拡声装置のブロック図である。同図に示すように、この拡声装置は、音声信号が入力されるマイクロフォン1、フロントエンドのアンプであるマイクロフォンアンプ2、入力信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ3、A/Dコンバータ3に接続されるハウリングキャンセラ4、ハウリングキャンセラ4の出力側に接続されるハウリングキャンセラ5、ハウリングキャンセラ5の出力側に接続され、音質調整、増幅等をする増幅器6、増幅器6の出力信号をアナログ音声信号に変換するD/Aコンバータ7、D/Aコンバータ7に接続され、音声信号を増幅するパワーアンプ8、パワーアンプ8から出力された音声信号から音声を発音するスピーカ9、および増幅器6の出力信号を複数の周波数帯域に分割して出力するチャンネルディバイダ10からなり、マイクロフォン1およびスピーカ9は講堂やホール等に配置される。
ハウリングキャンセラ4は、マイクロフォン1から信号を入力する加算器13、加算器13に信号を入力する適応フィルタ12、およびチャンネルディバイダ10から出力された信号を所定時間遅延したのち適応フィルタ12に供給するディレイ回路11を備えている。
ハウリングキャンセラ5は、チャンネルディバイダ10から出力された信号をダウンサンプリングするサンプリングレートコンバータ14、サンプリングレートコンバータ14から出力された信号を所定時間遅延したのち出力するディレイ回路15、ディレイ回路15の出力信号をフィルタリングする適応フィルタ16、適応フィルタ16の出力信号を元のサンプリングレートにアップサンプリングするサンプリングレートコンバータ17、サンプリングレートコンバータ17の出力信号とハウリングキャンセラ4の出力信号を入力する加算器19、および加算器19の出力信号をダウンサンプリングして適応フィルタ16に入力するサンプリングレートコンバータ18を備えている。
マイクロフォン1に入力された音声信号はフロントエンドのマイクロフォンアンプ2を経てA/Dコンバータ3でディジタル信号に変換されて加算器13に入力される。加算器13は、マイクロフォン1からの入力信号から適応フィルタ12の出力信号を差し引いて出力する。加算器13の出力信号は、加算器19に入力され、加算器19は適応フィルタ16の出力信号を差し引いて出力する。加算器19の出力信号は、増幅器6で増幅、音質調整等された後、D/Aコンバータ7でアナログ音声信号に変換され、パワーアンプ8で増幅後スピーカ9に入力される。スピーカ9は入力された音声信号から音声を発音する。ここでスピーカ9から発音された音声はマイクロフォン1に帰還信号として再入力される。
このような構成においては、マイクロフォン1−増幅器6−スピーカ9−マイクロフォン1、の経路で閉ループが形成される。この閉ループのゲインが1を越えるとスピーカからマイクロフォンに帰還する音声が増大してハウリングの発生となる。
ハウリングキャンセラ4は、ディレイ回路11、および適応フィルタ12により、マイクロフォン1から入力された音声信号が増幅器6およびスピーカ9、マイクロフォン1が設置されている音響空間を伝搬して再度マイクロフォン1に帰還信号として入力されるまでの一連の音声伝達経路の伝達関数を模擬するものである。
また、ハウリングキャンセラ5は、ディレイ回路15、および適応フィルタ16により、マイクロフォン1から入力された音声信号が増幅器6およびスピーカ9、マイクロフォン1が設置されている音響空間を伝搬して再度マイクロフォン1に帰還信号として入力されるまでの一連の音声伝達経路の伝達特性を模擬するものである。
チャンネルディバイダ10は、増幅器6の出力信号を複数の周波数帯域に分割する。チャンネルディバイダ10は、分割した信号をそれぞれディレイ回路11とサンプリングレートコンバータ14に入力する。ディレイ回路11には中高周波数帯域の信号を入力し、サンプリングレートコンバータ14には中低周波数帯域の信号を入力する。中低周波数帯域の信号はサンプリングレートコンバータ14でダウンサンプリングされる。なお、ハウリングキャンセラ5の出力信号をハウリングキャンセラ4に入力するように接続してもよい。中低周波数帯域の信号を入力するハウリングキャンセラにダウンサンプリングを行うサンプリングレートコンバータを備えていれば前段(入力側)に中低周波数帯域の信号を入力するハウリングキャンセラを接続してもよい。
ディレイ回路11およびディレイ回路15は、スピーカ9からマイクロフォン1に帰還する帰還信号の時間遅延を推定した時間遅延を付与するものである。ディレイ回路11で時間遅延を付与されて出力した信号は適応フィルタ12に入力され、ディレイ回路15で時間遅延を付与されて出力した信号は適応フィルタ16に入力される。なお、チャンネルディバイダ10の出力側とディレイ回路15を接続し、ディレイ回路15の出力信号がサンプリングレートコンバータ14に入力されるようにしてもよい。
適応フィルタ12および適応フィルタ16は、音響帰還経路の伝達関数を模擬するフィルタであり、ディレイ回路11およびディレイ回路15が遅延した信号をそれぞれフィルタリングする。適応フィルタ12は、フィルタリングした信号を加算器13に出力する。加算器13は、模擬信号をマイクロフォン1の入力信号から差し引く。加算器19は、フィルタリングした信号をサンプリングレートコンバータ17に出力する。サンプリングレートコンバータ17は、適応フィルタ16の出力信号をアップサンプリングして加算器19に出力する。加算器19は、模擬信号を加算器13の出力信号から差し引く。
図2は、ハウリングキャンセラを詳細に示した図である。同図(A)はハウリングキャンセラ4を示した図であり、同図(B)は、ハウリングキャンセラ5を示した図である。同図(A)に示すように、適応フィルタ12は、フィルタ部12aおよびフィルタ係数推定部12bからなるもので、フィルタ部12aおよびフィルタ係数推定部12bにはそれぞれディレイ回路11から出力された信号が入力される。フィルタ部12aはスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号を模擬した模擬信号を出力して、加算器13でマイクロフォン1の入力信号から模擬信号を差し引くようにする。模擬信号は、フィルタ部12aの伝達関数に従って上記ディレイ回路11から出力された信号を基に決定される。フィルタ係数推定部12bは、ディレイ回路11から出力された信号と入力信号から模擬信号を差し引いた後の誤差信号とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号が実際にマイクロフォンに帰還する帰還信号に一致もしくは近似するようにフィルタ部12aの伝達関数を更新するものである。適応アルゴリズムは、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いる。
同図(B)に示すように、適応フィルタ16は、フィルタ部16aおよびフィルタ係数推定部16bからなるもので、フィルタ部16aおよびフィルタ係数推定部16bにはそれぞれディレイ回路15から出力された信号が入力される。これらの信号は、サンプリングレートコンバータ14でダウンサンプリングされている。フィルタ部16aはスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号を模擬した模擬信号を出力して、サンプリングレートコンバータ17でアップサンプリングして、加算器19で加算器13の出力信号から模擬信号を差し引くようにする。模擬信号は、フィルタ部16aの伝達関数に従って上記ディレイ回路15から出力された信号を基に決定される。フィルタ係数推定部16bは、ディレイ回路15から出力された信号と加算器19で模擬信号を差し引いた誤差信号のうちサンプリングレートコンバータ18でダウンサンプリングされた信号とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号が実際にマイクロフォンに帰還する帰還信号に一致もしくは近似するようにフィルタ部16aの伝達関数を更新するものである。適応アルゴリズムは、例えばLMSアルゴリズムを用いる。
このような適応フィルタを備えたハウリングキャンセラは、入力信号から模擬信号を差し引いた後の信号である現在の誤差信号とディレイ回路から出力される過去の誤差信号とを元に、模擬信号が帰還信号に一致または近似するようにフィルタ係数を更新していくので、ハウリングが発生して一定周波数の持続音が入力されたときに、時間経過とともにその持続音をキャンセルすることが可能である。
なお、ディレイ回路11およびディレイ回路15がないと、マイクロフォン1に入力した信号は、それぞれの加算器に入力されるとともに遅延なく適応フィルタにも入力される。適応フィルタは、誤差信号を小さくするようにフィルタ係数を更新するので、フィルタ係数の更新が進むにつれて、それぞれの加算器では入力された信号が適応フィルタの出力信号によって全てキャンセルされるようになってしまう。このため、音源信号のキャンセルを防止しつつ帰還信号を模擬信号によってキャンセルするためにはディレイ回路が不可欠である。
上記のように適応フィルタ12は、チャンネルディバイダ10から中高周波数帯域の信号が入力され、適応フィルタ16は、中低周波数帯域の信号がダウンサンプリングされて入力される。中高周波数帯域の信号は、A/Dコンバータでディジタル信号化されたときのサンプリング周波数をそのまま入力するが、中低周波数帯域の信号はサンプリングレートコンバータ14でダウンサンプリングされてサンプリング周波数は低くなっている。このサンプリング周波数を高くするほど、模擬信号が帰還信号に近似することとなり、キャンセル後の音質への影響を小さくすることができる。ただし、信号が中低音帯域に限られていれば、高音域の信号は無くなるためにサンプリング周波数を低くしても音質への影響は小さい。
一方で、一般的な音響空間における残響時間は周波数によって異なり、残響時間は低音ほど長く、高音ほど短い。残響時間が長い場合、すなわち音響帰還路の伝達関数が長い場合には、適応フィルタの伝達関数も長くする必要が生じる。
そこで本実施形態では、中高周波数帯域の信号が入力される適応フィルタ12は、サンプリング周波数は高いが、伝達関数を短く設定する。また、中低周波数帯域の信号が入力される適応フィルタ16は、サンプリング周波数は低いが、伝達関数を長く設定する。
これにより、適応フィルタ12はサンプリング周波数は高いが、伝達関数が短いため演算量が少なくすることができる。また、適応フィルタ16は伝達関数は長いが、サンプリング周波数が低いのでやはり演算量を少なくすることができる。
次に、上記のように周波数帯域を分けて適応処理を行うハウリングキャンセラの動作について詳細に説明する。
図3は、第1実施形態に係る拡声装置の伝達特性を示すブロック図である。なお、同図においては、図1で示したマイクロフォンアンプ2、A/Dコンバータ3、D/Aコンバータ7、およびパワーアンプ8は省略している。同図に示すように、マイクロフォン1を介して入力された音声信号は、マイクロフォンアンプ2で増幅後、A/D変換処理によりディジタル信号に変換されて加算器13と加算器19を介して増幅路20に入力される。増幅路20は、加算器19から増幅器6を介してD/Aコンバータ7に伝達する経路の伝達関数を示したものであり、その伝達関数は、G(z)で表される。
増幅路20から出力された信号x(k)は、D/A変換処理によりアナログ音声信号に変換されてパワーアンプ8で増幅後、スピーカ9から音声を発音する。スピーカ9から発音された音声は音響帰還路21を経てマイクロフォン1に帰還する。音響帰還路21は、スピーカ9からマイクロフォン1に至る音響経路である。H(z)は音響帰還路21の伝達関数である。音響帰還路21を介して帰還される帰還信号d(k)は、話者等の音源が発生する音源信号s(k)とともにマイクロフォン1に入力される。マイクロフォン1は、この入力された音声信号をディジタル信号に変換してy(k)として出力する。
また、増幅路20から出力された信号x(k)は、チャンネルディバイダ10にも入力される。チャンネルディバイダ10は、信号x(k)を中高周波数帯域の信号x1(k)と中低周波数帯域の信号x2(k)に分割する。中高周波数帯域の信号x1(k)はディレイ回路11に入力され、中低周波数帯域の信号x2(k)はサンプリングレートコンバータ14に入力される。サンプリングレートコンバータ14は、信号x2(k)をダウンサンプリングする。ディレイ回路11は、入力された信号x1(k)に対し、時間遅延を付与して出力する。同様にディレイ回路15は、ダウンサンプリングされた信号x2(k)に対し時間遅延を付与して出力する。ここではそれぞれスピーカ9からマイクロフォン1に帰還する帰還音声信号の時間遅延を推定した時間遅延τを付与するものである。なお、ディレイ回路15の遅延量は、サンプリングレートコンバータ14とサンプリングレートコンバータ17での処理時間を引いた値を設定するものである。ディレイ回路11で時間遅延τを付与されて出力した信号x1(k−τ)は適応フィルタ12に入力され、ディレイ回路15で時間遅延τを付与されて出力した信号x2(k−τ)は適応フィルタ16に入力される。
適応フィルタ12は、図2(A)に示したようにフィルタ部12aおよびフィルタ係数推定部12bからなるもので、フィルタ部12aおよびフィルタ係数推定部12bにはそれぞれディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)が入力される。フィルタ部12aはスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域を模擬した信号d1(k)を出力して、加算器13でマイクロフォン1から再入力される信号y(k)から模擬信号d1(k)を差し引くようにする。模擬信号d1(k)は、伝達関数F1(z)に従って上記ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)を基に決定される。フィルタ係数推定部12bは、ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)と入力信号y(k)から模擬信号d1(k)を差し引いた誤差信号e1(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d1(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域の信号に一致もしくは近似するようにフィルタ部12aのフィルタ係数を更新するものである。適応アルゴリズムは、例えばLMSアルゴリズムを用いる。信号e1(k)の2乗平均値J=E[e1(k)2](ただし、E[・]は期待値)とすれば、Jを最小にするようなフィルタ係数が演算により推定され、推定されたフィルタ係数を用いてフィルタ部12aのフィルタ係数が更新される。
また、適応フィルタ16は、フィルタ部16aおよびフィルタ係数推定部16bからなるもので、フィルタ部16aおよびフィルタ係数推定部16bにはそれぞれディレイ回路11から出力された信号x2(k−τ)が入力される。ディレイ回路から出力される信号x2(k−τ)は、サンプリングレートコンバータ14でダウンサンプリングされている。フィルタ部16aはスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中低周波数帯域を模擬した信号d2(k)を出力して、加算器19で加算器13から入力される信号e1(k)から模擬信号d2(k)を差し引くようにする。模擬信号d2(k)は、伝達関数F2(z)に従って上記ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)を基に決定される。フィルタ係数推定部16bは、ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)と誤差信号e1(k)から模擬信号d2(k)を差し引いた信号e2(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d2(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中低周波数帯域の信号に一致もしくは近似するようにフィルタ部16aのフィルタ係数を更新するものである。
以上のように、入力信号を複数の周波数帯域に分割し、それぞれの周波数帯域で適応フィルタがハウリングをキャンセルするので、適応精度が向上し、同定時間を短縮することが可能となる。すなわち、ハウリングキャンセラ4は、伝達関数は短いがサンプリング周波数が高いので高周波数帯域で発生するハウリングを効率的に抑制し、ハウリングキャンセラ5は、サンプリング周波数は低いが伝達関数が長く、ハウリングキャンセラ4が消去しきれなかった残響の長い低周波数帯域を効率的に抑制することができる。
なお、第1実施形態では、チャンネルディバイダ10は、入力信号を中高周波数帯域の信号と中低周波数帯域の信号に分割したが、さらに複数の周波数帯域に分割してもよいものである。分割した周波数帯域の数に応じてディレイ回路、適応フィルタ、および加算器を備えればよい。
[第2実施形態]
次に、図4は本発明の第2実施形態に係る拡声システムのブロック図である。なお、第1実施形態に係る拡声システムと同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。同図に示すように、この例におけるハウリングキャンセラ22のディレイ回路11には、適応フィルタ12に加え、適応フィルタ24が接続されている。さらに適応フィルタ24には加算器25が接続されている。また、ハウリングキャンセラ23のディレイ回路15には適応フィルタ16に加え、適応フィルタ26が接続され、適応フィルタ26には加算器27が接続されている。
次に、図4は本発明の第2実施形態に係る拡声システムのブロック図である。なお、第1実施形態に係る拡声システムと同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。同図に示すように、この例におけるハウリングキャンセラ22のディレイ回路11には、適応フィルタ12に加え、適応フィルタ24が接続されている。さらに適応フィルタ24には加算器25が接続されている。また、ハウリングキャンセラ23のディレイ回路15には適応フィルタ16に加え、適応フィルタ26が接続され、適応フィルタ26には加算器27が接続されている。
また、同図に示すように、加算器13の出力端子には加算器25が接続され、加算器25の出力端子には加算器19が接続され、さらに加算器19の出力端子には加算器27が接続されている。
ここで、適応フィルタ24は、適応フィルタ12に比してタップ数は少なく、フィルタ係数の更新間隔が短いものである。同様に適応フィルタ26は、適応フィルタ16に比してタップ数は少なく、フィルタ係数の更新間隔が短いものである。
この例において、適応フィルタ12と適応フィルタ16は、適応アルゴリズムとしてフィルタ係数更新に必要な演算量の少ないものを用いる。例えばSTFT−CS(Short Time Fourier Transform and Cross Spectrum)法を用いる。一方で適応フィルタ24と適応フィルタ26は、フィルタ係数更新の速いLMS法を用いる。
適応フィルタ24と適応フィルタ26においてはフィルタ係数の更新を高速で行うため、タップ数が多くなると演算量が著しく増加するが、本実施形態では、適応フィルタ12と適応フィルタ16のタップ数を比較的に多くしているので適応フィルタ24と適応フィルタ26においてタップ数は短くして演算量を少なくすることができる。これにより、音響帰還路の伝達関数が急激に変動してハウリングが高速に成長しても適応フィルタ24と適応フィルタ26で抑制することが可能となる。
以下、上記のように周波数帯域を分け、さらにそれぞれ更新間隔の異なる複数の適応フィルタを接続する構成のハウリングキャンセラの動作について詳細に説明する。
図5は、第2実施形態に係る拡声装置の伝達特性を示すブロック図である。同図に示すように、マイクロフォン1を介して入力された音声信号は、マイクロフォンアンプ2で増幅後、A/D変換処理によりディジタル信号y(k)に変換されて加算器13、加算器25、加算器19、および加算器27を介して増幅路20に入力される。増幅路20は、加算器13、加算器25、加算器19、および加算器27から増幅器6を介してD/Aコンバータ7に伝達する経路の伝達関数を示したものであり、その伝達関数は、G(z)で表される。
増幅路20から出力された信号x(k)は、D/A変換処理によりアナログ音声信号に変換されてパワーアンプ8で増幅後、スピーカ9から音声を発音する。スピーカ9から発音された音声は音響帰還路21を経てマイクロフォン1に帰還する。音響帰還路21は、スピーカ9からマイクロフォン1に至る音響経路である。H(z)は音響帰還路21の伝達関数である。音響帰還路21を介して帰還される帰還信号d(k)は、話者等の音源が発生する音源信号s(k)とともにマイクロフォン1に入力される。マイクロフォン1は、この入力された音声信号をディジタル信号に変換してy(k)として出力する。
また、増幅路20から出力された信号x(k)は、チャンネルディバイダ10にも入力される。チャンネルディバイダ10は、信号x(k)を中高周波数帯域の信号x1(k)と中低周波数帯域の信号x2(k)に分割する。中高周波数帯域の信号x1(k)はディレイ回路11に入力され、中低周波数帯域の信号x2(k)はサンプリングレートコンバータ14に入力される。サンプリングレートコンバータ14は、信号x2(k)をダウンサンプリングしてディレイ回路15に出力する。ディレイ回路11は、入力された信号x1(k)に対し、時間遅延を付与して出力する。同様にディレイ回路15は、入力された信号x2(k)に対し時間遅延を付与して出力する。ここではそれぞれスピーカ9からマイクロフォン1に帰還する帰還音声信号の時間遅延を推定した時間遅延τを付与するものである。ディレイ回路15の遅延量は、サンプリングレートコンバータ14とサンプリングレートコンバータ17での処理時間を引いた値を設定するものである。ディレイ回路11で時間遅延τを付与されて出力した信号x1(k−τ)は適応フィルタ12と適応フィルタ24に入力され、ディレイ回路15で時間遅延τを付与されて出力した信号x2(k−τ)は適応フィルタ16と適応フィルタ26に入力される。
適応フィルタ12は第1実施形態と同様であり、フィルタ部12aはスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域を模擬した信号d1(k)を出力して、加算器13でマイクロフォン1から再入力される信号y(k)から模擬信号d1(k)を差し引くようにする。模擬信号d1(k)は、伝達関数F1(z)に従って上記ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)を基に決定される。フィルタ係数推定部12bは、ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)と入力信号y(k)から模擬信号d1(k)を差し引いた信号e1(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d1(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域の信号に一致もしくは近似するようにフィルタ部12aのフィルタ係数を更新するものである。適応アルゴリズムは、STFT−CSアルゴリズムを用いる。このような適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数の更新を長い更新間隔で行う。
適応フィルタ24は、スピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域を模擬した信号d3(k)を出力して、加算器25で加算器13から出力される信号e1(k)から模擬信号d3(k)を差し引くようにする。模擬信号d3(k)は、伝達関数F3(z)に従って上記ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)を基に決定される。適応フィルタ24は、ディレイ回路11から出力された信号x1(k−τ)と信号e1(k)から模擬信号d3(k)を差し引いた信号e3(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d3(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域の信号に一致もしくは近似するようにフィルタ係数を更新するものである。適応アルゴリズムは、LMSアルゴリズムを用いる。このような適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数の更新を短い間隔で行う。
また、適応フィルタ16はスピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中低周波数帯域を模擬した信号d4(k)を出力して、サンプリングレートコンバータ17でアップサンプリングしたのち加算器19で加算器25から出力される信号e3(k)から模擬信号d4(k)を差し引くようにする。模擬信号d4(k)は、伝達関数F4(z)に従って上記ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)を基に決定される。適応フィルタ16は、ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)と信号e3(k)から模擬信号d4(k)を差し引いた信号e4(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d4(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中低周波数帯域の信号に一致もしくは近似するように適応フィルタ16のフィルタ係数を更新するものである。適応アルゴリズムは、STFT−CSアルゴリズムを用いる。このような適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数の更新を長い更新間隔で行う。
適応フィルタ26は、スピーカ9からマイクロフォン1への帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域を模擬した信号d5(k)を出力して、加算器27で加算器19から出力される信号e4(k)から模擬信号d5(k)を差し引くようにする。模擬信号d5(k)は、伝達関数F5(z)に従って上記ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)を基に決定される。適応フィルタ26は、ディレイ回路15から出力された信号x2(k−τ)と信号e4(k)から模擬信号d5(k)を差し引いた信号e5(k)とを基にして、適応アルゴリズムを用い、模擬信号d5(k)が実際の帰還信号d(k)のうち中高周波数帯域の信号に一致もしくは近似するように適応フィルタ16のフィルタ係数を更新するものである。適応アルゴリズムは、LMSアルゴリズムを用いる。このような適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数の更新を短い間隔で行う。
以上のように、入力信号を複数の周波数帯域に分割し、さらにそれぞれ更新間隔の異なる複数の適応フィルタがハウリングをキャンセルするので、適応精度が向上し、同定時間を短縮することが可能となる。すなわち、ハウリングキャンセラ22の適応フィルタ12は、更新間隔が長く高精度に帰還信号を推定し、適応フィルタ24は更新間隔が短いので急激にハウリングが発生してもキャンセルすることが可能となる。また、第2実施形態においては、第1実施形態に比して全体の演算量を少なくすることができる。
ハウリングキャンセラ23は、ハウリングキャンセラ22よりもサンプリング周波数は低いが伝達関数が長いのでハウリングキャンセラ22が消去しきれなかった残響の長い低周波数領域の帰還信号を効率的に抑制することができる。さらに、ハウリングキャンセラ22と同様に、適応フィルタ16は、更新間隔が長く高精度に帰還信号を推定し、適応フィルタ26は更新間隔が短いので急激にハウリングが発生してもキャンセルすることが可能となる。
なお、第2実施形態においても、チャンネルディバイダ10は、入力信号を中高周波数帯域の信号と中低周波数帯域の信号に分割したが、さらに複数の周波数帯域に分割してもよいものである。分割した周波数帯域の数に応じてディレイ回路、適応フィルタ、および加算器を備えればよい。
また、それぞれのハウリングキャンセラにおいて3以上の複数の更新間隔が異なる適応フィルタを備えるようにしてもよい。適応フィルタの数を増やすことで大ホール等の大空間における音響設備においてもハウリングを抑制することが容易になる。
なお、第2実施形態においては適応フィルタと加算器を以下のような接続構成にしてもよい。
図6は第2実施形態の変形例に係る拡声システムのブロック図である。同図に示すようにこの変形例に係る拡声システムは、ハウリングキャンセラ22とハウリングキャンセラ23に替えてハウリングキャンセラ28を備えている。ハウリングキャンセラ28は、第2実施形態と同様の適応フィルタを備えているが、加算器13の出力端子に加算器25を接続、加算器25の出力端子に加算器19を接続、加算器19の出力端子に加算器27を接続している。
このように接続することで、更新間隔が長く精度のよい適応フィルタ12と適応フィルタ24で主としてハウリングを抑制し、その残差分を適応フィルタ16と適応フィルタ26で抑制することになる。したがって、急激に発生したハウリング等、適応フィルタ12と適応フィルタ24で抑制しきれなかった場合に適応フィルタ16と適応フィルタ26が効率的にハウリングを抑制することが可能となる。
1−マイクロフォン
2−マイクロフォンアンプ
3−A/Dコンバータ
4,5,22,23,28−ハウリングキャンセラ
6−増幅器
7−D/Aコンバータ
8−パワーアンプ
9−スピーカ
10−チャンネルディバイダ
11,15−ディレイ回路
12,16,24,26−適応フィルタ
13,19,25,27−加算器
14,17,18−サンプリングレートコンバータ
20−増幅路
21−音響帰還路
101−従来の拡声システムにおけるマイクロフォン
102−従来の拡声システムにおける加算器
103−従来の拡声システムにおける増幅器
104−従来の拡声システムにおけるスピーカ
105−従来の拡声システムにおける音響帰還路
106−従来の拡声システムにおけるディレイ回路
107−従来の拡声システムにおける適応フィルタ
2−マイクロフォンアンプ
3−A/Dコンバータ
4,5,22,23,28−ハウリングキャンセラ
6−増幅器
7−D/Aコンバータ
8−パワーアンプ
9−スピーカ
10−チャンネルディバイダ
11,15−ディレイ回路
12,16,24,26−適応フィルタ
13,19,25,27−加算器
14,17,18−サンプリングレートコンバータ
20−増幅路
21−音響帰還路
101−従来の拡声システムにおけるマイクロフォン
102−従来の拡声システムにおける加算器
103−従来の拡声システムにおける増幅器
104−従来の拡声システムにおけるスピーカ
105−従来の拡声システムにおける音響帰還路
106−従来の拡声システムにおけるディレイ回路
107−従来の拡声システムにおける適応フィルタ
Claims (2)
- スピーカに出力される信号を周波数帯域毎に複数の成分信号に分割する分割手段を備えるとともに、
各成分信号毎に、
成分信号を所定の時間遅延して遅延信号を出力する遅延手段と、
遅延信号をフィルタリングしてスピーカからマイクロフォンに至る帰還音声信号の模擬信号を出力し、模擬信号で帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号と遅延信号とを基にして音響帰還路の伝達関数を推定する適応フィルタと、
帰還音声信号から模擬信号を減算して誤差信号を出力する加算器と、を設け、
前記各適応フィルタは、処理する成分信号の周波数帯域に応じたサンプリング周波数で動作することを特徴とするハウリングキャンセラ。 - スピーカに出力される信号を周波数帯域毎に複数の成分信号に分割する分割手段を備えるとともに、
各成分信号毎に、
成分信号を所定の時間遅延して遅延信号を出力する遅延手段と、
遅延信号をフィルタリングしてスピーカからマイクロフォンに至る帰還音声信号の模擬信号を出力し、模擬信号で帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号と遅延信号とを基にして音響帰還路の伝達関数を推定する適応フィルタと、
帰還音声信号から模擬信号を減算して誤差信号を出力する加算器と、をそれぞれ複数設け、
前記各適応フィルタは、処理する成分信号の周波数帯域に応じたサンプリング周波数で動作し、
伝達関数の更新間隔の大きい適応フィルタが帰還音声信号をキャンセルした後の誤差信号を、更新間隔の小さい適応フィルタがさらにキャンセルするように接続することを特徴とするハウリングキャンセラ。
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-
2005
- 2005-03-17 JP JP2005076941A patent/JP2006262098A/ja active Pending
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