JPWO2018147473A1 - 3次元物体情報計測装置 - Google Patents

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Abstract

3次元物体情報計測装置(1)は、物体から到来する物体光を直線偏光に変換する直線偏光変換部(22)と、前記物体光をシアリング干渉させるシアリング干渉計(2)と、前記シアリング干渉計による干渉光の垂直偏光と水平偏光とを円偏光に変換する円偏光変換部(28)と、前記円偏光を一度の撮影によって記録する干渉縞取得部(3)と、前記干渉縞取得部(3)の記録画像から前記物体の複素振幅情報を演算する計算部(4)と、を備え、記録画像では、画素によって位相が異なり、計算部(4)は、記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる複数の抽出データを生成する抽出部(41)と、複数の抽出データの各々に対して画素補間を行うことにより、互いに位相の異なる複数の干渉画像に近似した複数の補間データを生成する補間部(42)と、複数の補間データから複素振幅情報を演算する演算部(43)と、を備える。

Description

本発明は、物体の3次元構造情報である光の複素振幅情報または位相情報を計測する計測装置に関し、特に、物体から到来する物体光を波面のずれた2つの光に分けて互いに干渉させるシアリング干渉計を用いた3次元物体情報計測装置に関する。
近年の工業、産業、医学の発展に伴い、より高精度、高速な計測技術が求められている。特に、物体の光の複素振幅情報や位相情報は重要な3次元情報として、物体の構造や変形など現象を知る上で非常に有益である。
例えば、蛍光を発する物体や自然光や熱光源からの光で照明された物体などの複素振幅計測は、製品の精密な形状計測、生体の動態観察、生体の内部構造のイメージングなどの用途で重要であり、また、物体の厚み分布、屈折率などの物体構造の3次元形状情報を得ることも重要であり、非侵襲、非接触、高感度、並列処理性などの特長を持つ光計測技術が不可欠となっている。
また、3次元情報として位相情報も重要であり、レーザの出射光の波面を正確に把握する、また、透明物体の構造の情報の把握のため透過した光の波面計測が求められている。例えば、目に見えないガスの噴流計測やレンズの精密検査、細胞や液滴等の透明物体の厚み・屈折率分布計測など、波面の情報(位相情報)は多岐に応用されている。また、反射物体であれば位相情報は物体の表面の形状を精密に計測することが可能である。
(複素振幅情報計測の背景)
物体の動きや微小な形状の変化などの高速で起こる現象を観察する最も簡単な方法として、高速度カメラで物体の明るさ情報(強度情報)のみを直接撮影する方法がある。しかし、物体情報を正確に計測するためには、明るさ情報(強度情報)だけでなく、複素振幅情報(すなわち、明るさ情報(強度情報)と位相情報)が必要である。例えば、高速度カメラによる撮影では、物体の強度情報しか記録できず、また、透明な物体には適用できないという問題がある。
上記の問題点を解決する方法として、干渉計測法による複素振幅情報を得る光計測技術が開示されている。その一例として、ホログラフィ装置を用いた光学系を図19に示す。図19に示すホログラフィ装置50では、可干渉性の高い光源であるレーザ光源51から出射されたレーザ光を、ビームスプリッタ52で計測対象100に照射するための光(物体照射光)と参照光とに分離する。物体照射光は対物レンズ53a、レンズ54a、ミラー55aを介して計測対象100に照射される。計測対象100からの反射光である物体光はビームスプリッタ56を介してCCDカメラ57に入射する。一方、参照光は、計測対象100が存在しない経路、具体的には、ミラー55b、対物レンズ53b、レンズ54b、ミラー55cおよびビームスプリッタ56を介してCCDカメラ57に入射する。これにより、CCDカメラ57では、参照光と物体光との干渉縞が撮影され、この干渉縞に基づいて計算機が既定の計算を行なうことで計測対象100の複素振幅情報(強度情報と位相情報)が得られる。
これらのホログラフィ装置では、CCDカメラ57の撮像素子に対して、参照光を直角に照射することによって干渉縞を作製している。そのため、干渉縞をフレネル変換して得られる再生像には、必要な+1次回折像だけでなく不必要な0次回折像や−1次回折像が重なり、鮮明な再生像を得ることが困難となっている。そこで、0次回折像や−1次回折像を伴わない鮮明な再生像を得るために、参照光の位相を複数段階にシフトさせる位相シフトデジタルホログラフィ装置が提案されている(特許文献1)。例えば、圧電素子によって、参照光の位相を3段階又は4段階にシフトさせる位相シフトデジタルホログラフィ装置が提案されている。また、参照光の位相をシフトさせる手法として、位相板を用いた位相シフトデジタルホログラフィ装置も提案されている。
このような位相シフトデジタルホログラフィ装置では、参照光の位相を、例えばπ/2[rad]ずつ変化させて、複数の干渉縞をCCDカメラ57に記録する。この複数の干渉パターンを数値計算することにより、0次回折像や−1次回折像を伴わない再生像を得ることができる。しかし、複数の干渉縞を必要とするために、物体の動きが速い場合や微小な形状の変化の速い場合、つまり高速で起こる現象を記録し再生することできないという問題がある。
これに対して、特許文献2は、上記問題を解決するために、互いに位相値が異なる複数の参照光と、光を照射された被写体から放射される物体光とを干渉させることによって得られる位相分布データに基づいて、被写体の再生像を作成する再生像生成部を備えたデジタルホログラフィ装置を提案している。つまり、入射した光を互いに位相値の異なる複数の参照光からなる参照光群に変換して出射する位相シフト素子と、参照光群と物体光とを干渉させることによって生成される位相分布データを記録する撮像面を有する撮像部とを備え、再生像生成部は、位相分布データの情報に基づいて被写体の再生像を生成している。
上記デジタルホログラフィ装置の構成によれば、入射した光から位相値の異なる複数の参照光を同時に得ることができる。複数の参照光からなる参照光群と物体光とを干渉させることによって得られる位相分布データは、各位相値の参照光と物体光とが干渉したデータが混在した状態となっている。そのため、位相分布データの情報を用いれば、1回の撮影で異なる位相値の参照光と物体光とが干渉した複数のデータを得ることができるので、鮮明な再生像を得るために必要な情報を瞬時に得ることができる。それ故、動く被写体や、被写体の瞬時の像の変形など、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができる。
しかし、上記デジタルホログラフィ装置では、
・レーザ光源などの干渉性の高い光源を必要とする
・レーザ光源に伴う雑音が発生する
・参照光と物体光の干渉を利用しているので、用いる光学素子が多いため装置が大きく、複雑になる
・光学素子に高い設置精度が要求されるため設置が難しく設置時間が長くなる
といった問題がある。
レーザ光などの干渉性の高い光源を用いないで、自然光、蛍光、熱光源からの光などの可干渉性の低い光を用いた干渉計測として、非特許文献1や非特許文献2に示す自己干渉法がある。図20は、非特許文献1に記載の計測装置60の概略構成図である。計測装置60では、空間光変調器(SLM)61を用いることにより同一光路上で2種類の光波を生成し、それらが互いに干渉した結果生成される縞を記録する方法であるが、SLM61の表示するパターンを変化させて逐次的に記録する必要がある。従って、計測装置60を簡単にすることができるが、SLM61のような回折光学素子を用いているので回折効率が低下し再生画像が劣化する、回折により多重像を形成させるために形成した多重像には収差が生じ像の歪み等が生じる、また、逐次記録方式であるので、動く被写体や、瞬時に変形する被写体のなど、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができないという問題がある。
非特許文献3では、1度の記録で像を再生するために、2つに光波を分け、光波の一方の波面を傾ける方法が提案されている。非特許文献3では、一方の光波を傾けるため狭帯域バンドパスフィルタを用いて可干渉性を高める必要がある。また、2つに光波を分けた際に2つの光波が異なる光路を通るため、振動などの外部擾乱の影響を受けやすくなるという問題がある。
非特許文献4では、1度の記録で像を再生するために偏光特性をもつレンズを利用する方法が提案されている。しかし、この方法では、理論上、偏光特性をもつ特殊なレンズが必要となるが、この素子を実際に実現するのは困難であり、また実現したとしても極めて高額になるという問題がある。
非特許文献5では、2つの光波を互いに異なる偏光で生成して、ポッケルスセルを用いて位相シフトすることで像を再生する技術も報告されているが、特殊な素子を使用しているので汎用性に乏しく、逐次的に記録する必要があるので動的な物体の計測はできないという問題がある。
(位相情報計測の背景)
位相を計測するために参照光を用いる従来の干渉計測技術は、振動や温度などの外部擾乱に非常に弱く、実用化するには外乱の影響を受けないようにしなければならない。そこで、参照光を用いない、同一光路を通り自己干渉を利用した干渉法で外乱の影響を抑える新たな干渉計測技術が報告されている。しかし、複数枚の干渉縞画像を逐次で記録する必要があり、各画像の取得に時間間隔が必要なため、結局は外部振動の影響を受けてしまうという問題があった。
上記の問題を解決する技術として、近年、瞬時に位相画像を取得可能な技術がいくつか報告されている。例えば、光の波面を計測する方法として、被検面からの反射波面と、その反射波面をわずかにずらした波面を重ね合わせるシアリング干渉計が用いられる。シアリング干渉計は計測する波面とは別の参照光を必要とせず、それ自身との干渉を記録するため、外乱の影響を受けにくいという特長を持つ。また、そのシアリング干渉計の中でも偏光を利用して複数の干渉画像を1ショットで計測できるラジアルシアリング干渉計が提案されている(非特許文献6)。しかし、非特許文献6に記載のラジアルシアリング干渉計は、干渉計に必要な光学素子の数が非常に多く、光学調整が複雑で難しい、また、光学系が大きくなり小型で低価格な装置の実用化は難しいという問題を有する。
また、回折素子を用いることでより簡易的な干渉計で波面を計測する技術も報告されている(非特許文献7)。この装置は複雑な干渉計を必要としない代わりに回折素子を用いるため、回折素子の影響を大きく受け、偏光方向で回折効率が異なり再生画像が劣化する。また、光路が2つに別れるため、外乱の影響を受けやすいという問題を有する。
また、回折素子を必要とせず、比較的簡易な干渉計であるSagnac干渉計を2つ組み合わせた波面計測技術も提案されている(非特許文献8)。しかし、逐次記録を必要とするため振動の影響を大きく受けてしまい、また瞬時に波面計測をすることはできないという問題がある。
これに対して、特許文献2のデジタルホログラフィ装置の構成によれば、1回の撮影で異なる位相値の参照光と物体光とが干渉した複数の画像を得ることができるので、再生像はもちろん、位相画像も瞬時に再生することができる。そして、動く被写体や、被写体の瞬時の像の変形など、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができる。
しかし、上記デジタルホログラフィ装置では、参照光による干渉を利用しているため、
・用いる光学素子が多いため装置が大きく、複雑になる
・光学素子に高い位置精度が要求されるため設置が難しく設置時間が長くなる
・外部擾乱に対して弱い
といった問題がある。
特開2005−283683号公報(2005年10月13日公開) 特許4294526号
J.Rosen,and G.Brooker,Opt.Lett.32,912−914(2007). W.Qin,and et.al.,Journal of Biomedical Optics 19,p.060503(2014). J.Hong,and M.K.Kim,Opt.Lett.38,5196−5199(2013). Z.Zhu,and Z.Shi,Frontiers in Optics 2015,paper FTh4D.2,(2015). D.N.Naik,G.Pedrini,and W.Osten,Opt.Exo.21,p.3990(2013). N.Gu,L.Huang,Z.Yang,and C.Rao,Opt.Exp.19,4703(2011). N.I.T.Arellano,D.I.S.Garcia,A.M.Garcia,G.R.Zurita,A.M.Perez,J.M.M.Gomez,G.R.Lopez,A.G.Rosas,and L.G.Lechuga,,Rev.Mex.Fis.58,335(2012). N.I.T.Arellano,D.I.S.Garcia,and A.M.Garcia,Opt.Exp.21,31983(2013).
本発明は、上記の様々な問題を解決するためになされたものであって、
・蛍光などで自己発光する物体や自然光や熱光源からの光で照明された物体、またはレーザ光等の可干渉性光源を用いて物体の3次元物体情報を得ることができる
・装置を構成する光学素子群が簡単で入手容易であり、しかも光学素子の配置調整が簡単である
・外部の擾乱に対して強い
・動く物体の構造、または形状の変化する物体などの複素振幅情報(強度情報と位相情報)、または位相情報を高速で計測できる
3次元物体情報計測装置の提供を目的とする。
本発明に係る3次元物体情報計測装置は、
物体から到来する物体光を直線偏光に変換する直線偏光変換部と、
直線偏光に変換された前記物体光をシアリング干渉させるシアリング干渉計と、
前記シアリング干渉計による干渉光の垂直偏光と水平偏光とを円偏光に変換する円偏光変換部と、
前記円偏光を一度の撮影によって記録する干渉縞取得部と、
前記干渉縞取得部の記録画像から前記物体の複素振幅情報を演算する計算部と、
を備えた3次元物体情報計測装置であって、
前記記録画像では、画素によって位相が異なり、
前記計算部は、
前記記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる複数の抽出データを生成する抽出部と、
前記複数の抽出データの各々に対して画素補間を行うことにより、互いに位相の異なる複数の干渉画像に近似した複数の補間データを生成する補間部と、
前記複数の補間データから複素振幅情報または位相画像を演算する演算部と、
を備えることを特徴とする3次元物体情報計測装置である。
前記シアリング干渉計はラジアルシアリング干渉計であっても良い。
前記ラジアルシアリング干渉計は、
前記直線偏光変換部から入射した光を2分割するとともに、前記2分割された光のうち、再入射した一方の光と、前記一方の光と同一の光路を反対方向に進んで再入射した他方の光とを結合する偏光ビーム分割素子と、
前記光路に配置された、お互いに焦点距離が異なる2枚のレンズと、
を備え、
前記偏光ビーム分割素子によって結合された光を前記干渉光として出力しても良い。
前記干渉縞取得部は、
入射光の偏光方向および位相シフト量が互いに異なる複数種の偏光領域を有する偏光子アレイと、
前記偏光子アレイと結合され、前記偏光領域の各々と一対一に対応した画素を有する撮像素子と、
を備えた偏光子アレイタイプ撮像装置であっても良い。
前記物体光はフーリエ変換された光であり、
前記シアリング干渉計は前記物体光のフーリエ面同士を干渉させ、
前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、空間コヒーレンス関数の複素振幅を求め、逆フーリエ変換することにより前記複素振幅情報を演算しても良い。
前記物体光は可干渉光が前記物体を反射あるいは透過した光であり、
前記シアリング干渉計は前記物体光同士を干渉させ、
前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、前記干渉光の位相差画像を求め、前記位相差画像から、ゼルニケ多項式、ルジャンドル多項式、あるいは、中心部を参照として再構成する方法を適用して波面再構成することにより前記位相画像を演算しても良い。
本発明によれば、簡単な構成要素で装置を構成でき、光学的調整も簡単で、外部擾乱に対してロバスト性が高く、動く物体、または形状の変化する物体などの複素振幅情報または光の波面(位相画像情報)などの3次元情報を瞬時に計測可能な3次元物体情報計測装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る3次元物体情報計測装置の原理を示す説明図である。 4枚の干渉像から3次元構造イメージングを得る原理を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 図3に示す3次元物体情報計測装置における光路の説明図である。 (a)は、上記3次元物体情報計測装置の干渉縞取得部の構成を示す側面図であり、(b)は、該干渉縞取得部の偏光子アレイの平面図であり、(c)は、該干渉縞取得部の撮像面の平面図である。 上記3次元物体情報計測装置の計算機の機能ブロック図である。 (a)〜(e)は、干渉縞取得部が取得した記録画像から再生像を得る処理を説明するための図である。 3次元物体情報計測装置が、光源で照明された反射物体を計測する態様を示す概略構成図である。 3次元物体情報計測装置が、光源で照明された透過物体を計測する態様を示す概略構成図である。 3次元物体情報計測装置が、天体を計測する態様を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 本発明の実施例1に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 (a)は、実施例1における被写体であるLEDの写真であり、(b)は、該LEDの拡大写真であり、(c)は、点灯した該LEDの写真である。 (a)は、実施例1において干渉縞取得部が干渉光を一度に撮像することによって取得した記録画像であり、(b)は、該記録画像から生成された4つの画像であり、(c)は、4つの画像から得られた空間コヒーレンス関数画像である。 (a)および(b)はそれぞれ、図14(c)に示す空間コヒーレンス関数画像から得られた振幅および位相の再生画像である。 (a)は、本発明の実施例2に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図であり、(b)は、振幅マスクの写真である。 (a)および(b)はそれぞれ、実施例2において振幅マスクに合焦した再生画像の振幅像および位相画像である。 (a)および(b)はそれぞれ、実施例2においてLEDに合焦した再生画像の振幅像および位相画像である。 従来のデジタルホログラフィ装置の一例を示す図である。 従来のデジタルホログラフィ装置の他の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る3次元物体情報計測装置の原理を示す説明図である。 4枚の干渉像から位相画像を得る原理を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 図3に示す3次元物体情報計測装置における光路の説明図である。 (a)は、上記3次元物体情報計測装置の干渉縞取得部の構成を示す側面図であり、(b)は、該干渉縞取得部の偏光子アレイの平面図であり、(c)は、該干渉縞取得部の撮像面の平面図である。 上記3次元物体情報計測装置の計算機の機能ブロック図である。 (a)〜(e)は、干渉縞取得部が取得した記録画像から再生像を得る処理を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 本発明の実施例3に係る3次元物体情報計測装置の概略構成図である。 (a)および(b)はそれぞれ、実施例における仮想的な光波の振幅画像および位相画像である。 (a)は、実施例3において干渉縞取得部が干渉光を一度に撮像することによって取得した位相画像であり、(b)は、従来法のように干渉光を逐次撮像することによって取得した位相画像である。
〔第1の実施形態:複素振幅情報計測〕
以下、本発明の第1の実施形態について添付図面を参照して説明する。
〔計測の原理〕
本発明は、物体から到来する物体光を波面のずれた2つの光に分け、シアリング干渉計を用いて互いに干渉させ、干渉縞画像を計算処理することにより、複素振幅情報または位相情報を得る3次元物体情報計測装置である。第1の実施形態では、複素振幅情報を計測する装置を説明する。図1に示すように、被写体にレンズを介して作成したフーリエ面を2つに分割し、分割された各々を拡大および縮小する等の方法によって波面をずらし、それらを重ね合わせて干渉光を得る。そして、位相シフト法により、干渉光から位相の互いに異なる複数(好ましくは3つ以上)の干渉縞画像を記録し、計算処理によって被写体のフーリエ面の空間コヒーレンス関数を求めて被写体の3次元構造のイメージング(複素振幅情報)を取得する。第1の実施形態では、干渉像を干渉縞取得部によって1度に撮影し、撮像した干渉像から互いに位相の異なる複数の干渉縞画像を構成することで、被写体の複素振幅情報を瞬時に取得することを特徴とする。
被写体のフーリエ面の空間コヒーレンス関数を求める際に、互いに位相の異なる複数(好ましくは3つ以上)の干渉縞画像が必要である。本実施形態では、この複数の画像を1度に取得する。取得方法としては、微小偏光子アレイと結合した撮像素子を用いる方法と、複数(好ましくは3以上)の撮像素子と偏光子を用いる方法があるが、後者は装置が大きく、複雑になるという問題がある。以下の実施形態では前者の方法を述べる。より具体的には、本発明者らが発明した、高精度瞬時3次元計測可能な並列デジタルホログラフィ(特許第4294526号、特願2008−031965号)で用いた空間分割多重によって、図2に示すように、1度の撮像(1ショット)で4つの干渉縞画像を取得し、演算処理を施すことにより瞬時に3次元物体情報である複素振幅情報を計測する。
〔3次元物体情報計測装置の構成〕
第1の実施形態に係る3次元物体情報計測装置1の概略構成を図3に示す。3次元物体情報計測装置1は物体10の3次元構造情報(複素振幅情報)を計測するデジタルホログラフィ装置であり、レンズ21と、直線偏光変換部22と、円偏光変換部28と、シアリング干渉計2と、干渉縞取得部3と、計算部4と、を備えている。物体10は自己発光する物体、または自然光または熱光源からの光で照明された物体である。
レンズ21は、物体10から到来する物体光を透過させて、フーリエ面を形成する役目を果たす。直線偏光変換部22は偏光子であり、上記フーリエ面を通過させて、物体光を直線偏光に変換する。
(シアリング干渉計)
シアリング干渉計2は、本実施形態では、ラジアルシアリング干渉計であり、偏光ビームスプリッタ(偏光ビーム分割素子)23と、レンズ24と、レンズ25と、ミラー26と、ミラー27と、を備えている。
偏光ビームスプリッタ23は、直線偏光変換部22から入射した光を2分割するとともに、上記2分割された光のうち、再入射した一方の光と、該一方の光と同一の光路を反対方向に進んで再入射した他方の光とを結合する。
具体的には、図4に示すように、直線偏光変換部22から入射した光L1を、垂直偏光L2と、水平偏光L3とに分割する。垂直偏光L2と水平偏光L3は共通の光路を互いに逆回りに伝播し、再び偏光ビームスプリッタ23によって結合される。すなわち、垂直偏光L2(図4の実線)は、レンズ24、ミラー26、ミラー27およびレンズ25を経て、偏光ビームスプリッタ23に再入射する。一方、水平偏光L3(図4の点線)は、垂直偏光L2の光路と逆回り、すなわち、レンズ25、ミラー27、ミラー26およびレンズ24を経て、偏光ビームスプリッタ23に再入射する。
このとき、レンズ24とレンズ25は、互いに焦点距離が異なっているため、垂直偏光L2と水平偏光L3は、レンズ24とレンズ25を逆方向に通過することにより、一方は拡大され、他方は縮小される。例えば本実施形態では、レンズ24の焦点距離は200mmであり、レンズ25の焦点距離は220mmである。垂直偏光L2は、レンズ24、レンズ25の順に通過するため、フーリエ面が220/200=1.1倍に拡大する。一方、水平偏光L3は、レンズ25、レンズ24の順に通過するため、フーリエ面が200/220≒0.91倍に縮小する。
偏光ビームスプリッタ23に再入射した垂直偏光L2および水平偏光L3は、結合されて複屈折素子である円偏光変換部28を通過し、互いに逆回りの円偏光となり、干渉光として出力される。出力された干渉光は、撮像装置である干渉縞取得部3へ到達する。
なお、図4における矢印は光軸に対応する。そのため、便宜上、垂直偏光L2の矢印と水平偏光L3の矢印とをずらして図示しているが、実際は、それらの矢印は一致している。
(干渉縞取得部)
本実施形態では、干渉縞取得部3は、偏光子アレイタイプ撮像装置であり、図5(a)に示すように、偏光子アレイ31と、撮像面32と、本体33と、を備えている。偏光子アレイ31と撮像面32とは互いに貼り合わされて、本体33に接合されている。
図5(b)に示すように、偏光子アレイ31は、入射光の偏光方向および位相シフト量が互いに異なる4種の偏光領域がマトリクス状に配列してなる。左右の両矢印で示す領域は、入射光の位相を変化させることなく通過させる領域である。右上がりの両矢印で示す領域は、入射光の位相を1/4波長(π/2[rad])遅らせる領域であり、上下の両矢印で示す領域は、入射光の位相を1/2波長(π[rad])遅らせる領域であり、左上がりの両矢印で示す領域は、入射光の位相を3/4波長(3π/2[rad])遅らせる領域である。
図5(c)に示すように、撮像面32は、アレイ状に整列されたCCD、CMOSなどの撮像素子で構成され、複数の画素を有しており、各画素は、偏光子アレイ31の図5(c)に示す各偏光領域と一対一に対応して構成されている。また、複数の画素は、入射光の位相に応じて4つの画素群P1〜P4に分かれている。画素群P1には、位相の遅れがない干渉光が入射し、画素群P2には、位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた干渉光が入射し、画素群P3には、位相が1/2波長(π[rad])遅れた干渉光が入射し、画素群P4には、位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた干渉光が入射する。
上記の構成により、干渉縞取得部3に入射した互いに逆回りの円偏光である2つの光波は、4種類の偏光方向および位相の異なる干渉縞画像として記録される。このようにして干渉縞取得部3が一度の撮影によって取得した記録画像のデータは、計算部4に送信される。
(計算部)
計算部4は、干渉縞取得部3が取得した記録画像から物体10の3次元情報(複素振幅情報)を演算により出力する役目を果たす部分であり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータで構成することができる。図6に示すように、計算部4は、抽出部41、補間部42および演算部43を備えている。これらの各部は、プログラムを計算部4に実行させることによって実現される機能ブロックである。なお、上記各部をハードウェアによって実現してもよい。
計算部4が記録画像から3次元情報を演算する処理について、図7に基づいて説明する。図7(a)は、干渉縞取得部3が取得した記録画像を示している。記録画像を構成する各画素は、干渉縞取得部3の撮像面32の各画素に対応している。具体的には、互いに異なるパターンで示された画素B1〜B4は、それぞれ画素群P1〜P4によって取得された画素である。
計算部4に記録画像のデータが入力されると、抽出部41は、記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる4つの抽出データを生成する。具体的には、図7(b)に示すように、位相の遅れがない画素B1のみを抽出した抽出データD1aと、位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた画素B2のみを抽出した抽出データD2aと、位相が1/2波長(π[rad])遅れた画素B3のみを抽出した抽出データD3aと、位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた画素B4のみを抽出した抽出データD4aとが生成される。同図(b)からもわかるように、抽出データD1a〜D4aにおいて、全体の3/4の画素は画素値が欠落している。
続いて、計算部4の補間部42は、4つの抽出データD1a〜D4aの各々に対して画素補間を行うことにより、図7(c)に示すような4つの補間データD1b〜D4bを生成する。具体的には、補間部42は、記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる4つの抽出データを生成する。本実施形態に適用可能な補間処理は特に限定されないが、例えば、画素値を算出しようとする、欠落画素の周囲にある同一偏光、同一位相の画素の画素値を用いて、線形補間(1次の内挿)することによって、欠落画素の画素値を算出することによって補間処理を行ってもよい。または、欠落画素の周囲にある同一偏光、同一位相の画素の画素値を用いて、2次又は3次で内挿する、あるいは外挿することによって、欠落画素の画素値を算出してもよい。補間部42は、このような補間処理によって、抽出データD1a〜D4aにおける欠落画素の画素値を決定して、互いに位相の異なる干渉像に近似した補間データD1b〜D4bを生成することができる。図7(c)において、補間データD1bは、位相の遅れがない干渉画像に近似し、補間データD2bは位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた干渉画像に近似し、補間データD3bは位相が1/2波長(π[rad])遅れた干渉画像に近似し、補間データD4bは位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた干渉画像に近似している。
演算部43は、補間部42が生成した補間データD1b〜D4bから物体10のフーリエ面の空間コヒーレンス関数を求めることにより、物体10の3次元構造のイメージング(複素振幅情報)を演算する。具体的には、演算部43は、物体10の像を再構成するためのアルゴリズムを用いて、4つの補間データD1b〜D4bから、撮像面の複素振幅分布を算出し、得られた複素振幅分布をもとに、物体10の再生像を得ることができる。
本実施形態における演算部43の演算処理では、位相シフト法にて空間コヒーレンス関数の複素振幅を求め、逆フーリエ変換することで物体10の任意の奥行き位置での再生像を取得する。このようにして瞬時3次元イメージングが可能である。以下に、詳細な3次元イメージングのフローを以下に説明する。
説明の簡単化のために補間データD1b〜D4bを
とすると、下記の式(1)によって、図7(d)に示すような空間コヒーレンスの複素振幅を求める。
得られた空間コヒーレンスの複素振幅
Γ
から下記の式(2)によって任意の奥行zでの物体光の複素振幅
を求める。
ここで、aはレンズによって拡大される倍率、fはレンズの焦点距離、λは中心波長を表す。このようにして、図7(e)に示すような再生像(複素振幅情報)が得られる。
〔本実施形態の特徴〕
本実施形態に係る3次元物体情報計測装置1は、シアリング干渉計を用いることにより干渉光の記録画像を一度の撮影によって取得し、計算部4において、1つの記録画像から画素抽出および画素補間により、複数の補間データを生成し、これらの補間データから物体の複素振幅情報を演算することを特徴としている。シアリング干渉計では、物体から到来した物体光を2つの光に分け、それらを互いに干渉させるため、レーザ光源などの可干渉性の高い参照光を必要としない。また、物体光を分割した2つの光は、共通の光路を通過するため、光学的調整が簡単であり、振動や温度変化などの外部擾乱に対してロバスト性を高めることができる。
さらに、干渉縞取得部3は、干渉光を一度に撮影することによって干渉縞画像を取得するので、動く物体の構造、または形状の変化する物体の複素振幅情報の計測も可能である。また、干渉縞取得部3として例示した偏光子アレイタイプ撮像装置は、偏光イメージングカメラとして市販されている。3次元物体情報計測装置1の他の素子も、市販のものを使用することができる。よって、入手が容易な素子で3次元物体情報計測装置1を構成できる。
また、本実施形態に係る3次元物体情報計測装置1では、従来の逐次撮影によって得られた物体の複素振幅情報と同等以上の精度の複素振幅情報を得られることを特徴とする。ここで、複数の補間データは、補間処理によって生成されたものであるため、従来の逐次撮影によって得られた複数の干渉画像と近似しているが同一ではない。そのため、一般的に、補間データに基づいて得られた複素振幅情報は、逐次撮影によって得られた複数の干渉画像に基づいて得られた複素振幅情報に比べ、精度が劣ることが予想される。実際、本発明者による複素振幅情報の計測装置(国際公開第2014/171256号)では、[表1]および[表2]に示されるように、一度の撮影によって得られた物体の記録画像から得られた位相精度(実施例1〜4)は、逐次撮影によって得られた物体の記録画像から得られた位相精度(比較例1〜4)よりも劣る結果となった。
また、参照光を用いる通常の干渉計測法では、同じサイズの物体光と参照光とを干渉させることが望ましいが、本発明が採用しているラジアルシアリング干渉による計測法においては、経路の同じ光路を伝搬した倍率の異なる像の干渉で作られているので、シア量による誤差(シア量)を含んだものとなっている。
よって、本実施形態のように、シアリング干渉計による干渉光を一度に撮影することによって取得した記録画像から、抽出・補間処理によって生成した補間データに基づいて物体の複素振幅情報を演算すると、シアリング干渉計によるシア量による誤差がさらに拡大して、複素振幅情報の精度がさらに低下することが予想されたため、当業者は、本願出願時まで本実施形態に想到することができなかった。
しかし、実際には、研究の結果、記録画像に対する抽出・補間処理によってシア量による誤差を低減できることが本発明者によって初めて見出された。すなわち、本実施形態における補間データ内の補間された画素の画素値は、実際に測定された値ではなく、演算によって算出された値であるため、従来のように実際に逐次撮影を行って得られる干渉像とは異なっている可能性があるが、補間データでは、隣接する画素間の画素値が急激に変化することが無くなるため(平滑化)、シア量による誤差の低減効果が生じ、ほぼ従来の逐次撮影によって得られた複素振幅情報と同等以上の精度の複素振幅情報を算出することができることが見出された。
このように、本発明者らは、上述の当時の同業者予想に反して、シア量による誤差を抽出・補間処理によって低減することで、従来の逐次撮影による3次元構造のイメージングよりも鮮明なイメージングが可能となることを初めて見出した。
〔変形例1〕
本発明は上記第1の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。また、上記実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、自己発光物体を計測対象としていたが、計測対象は自己発光物体に限られない。例えば、図8に示す3次元物体情報計測装置1は、光源5で照明された反射物体11を計測対象としている。また、図9に示す3次元物体情報計測装置1は、光源5で照明された透過物体12を計測対象としている。また、図10に示す3次元物体情報計測装置1’は、天体13を計測対象としている。
3次元物体情報計測装置1’は、図3に示す3次元物体情報計測装置1において、図3に示すレンズ21が設けられていない点で異なる。これは、天体13のような遠方にある物体から到来する物体光は、レンズ21を介さずともフーリエ面を形成するためである。
また、全体構成も、上記実施形態に限定されない。図11に示す3次元物体情報計測装置1”は、直線偏光変換部22と、レンズ21と、1/2波長板29aと、シアリング干渉計2と、1/4波長板29bと、干渉縞取得部3と、計算部4とを備えている。シアリング干渉計2は、偏光ビームスプリッタ23と、レンズ24と、レンズ25と、ミラー26と、ミラー27とを備えている。3次元物体情報計測装置1”は、図3に示す3次元物体情報計測装置1と比較すると、直線偏光変換部22およびレンズ21の位置を入れ替え、円偏光変換部28を1/2波長板29aおよび1/4波長板29bに置き換えた点で異なっている。直線偏光変換部22によって直線偏光に変換された物体光は、1/2波長板29aおよび1/4波長板29bを通過することにより、垂直偏光L2と水平偏光L3とが互いに逆回りの円偏光となり、干渉縞取得部3へ到達する。
また、上記実施形態では、ラジアルシアリング干渉計を用いた3次元物体情報計測装置について説明したが、ラテラルシアリング干渉計や回転シアリング干渉計などの他のシアリング干渉計を用いた3次元物体情報計測装置も本発明に含まれる。これらの他のシアリング干渉計を用いた3次元物体情報計測装置においても、シア量による誤差を抽出・補間処理によって低減することができるため、逐次撮影による従来法よりも鮮明なイメージングが可能となる。
さらに、上記実施形態では、光を用いた3次元物体情報計測装置を説明したが、波動性のあるものであれば光に限定されるものではなく、X線や電子線などの干渉性の低い波動源を用いることができることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例1および2について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実験条件)
実施例1では、図12に示すように、被写体として緑色のLED5aを使用し、3次元物体情報計測装置として、図11に示す3次元物体情報計測装置1”を用いた。3次元物体情報計測装置1”において、レンズ21の焦点距離は100mmであり、レンズ24の焦点距離は200mmであり、レンズ25の焦点距離は220mmであった。また、レンズ21から偏光ビームスプリッタ23を経由したレンズ24までの光路長は100mm+200mm=300mmであり、レンズ21から偏光ビームスプリッタ23を経由したレンズ25までの光路長は100mm+220mm=320mmであり、レンズ24からミラー26およびミラー27を経由したレンズ25までの光路長は200mm+220mm=420mmであり、レンズ24から偏光ビームスプリッタ23を経由した干渉縞取得部3までの光路長は200mmであり、レンズ25から偏光ビームスプリッタ23を経由した干渉縞取得部3までの光路長は220mmであった。
図13(a)は、被写体であるLED5aの写真であり、図13(b)は、LED5aの拡大写真であり、図13(c)は、点灯したLED5aの写真である。
(実験結果)
LED5aを点灯させ、干渉縞取得部3が干渉光を一度に撮像することによって取得した記録画像を図14(a)に示す。その記録画像から同じ干渉縞画像の情報を持った画素(同位相の画素)を抽出・補間することにより生成された4つの干渉画像(補間データ)を図14(b)に示す。また、それらの4つの画像から上述の式(1)を用いて得られた空間コヒーレンス関数画像を図14(c)に示す。
さらに、空間コヒーレンス関数画像から上述の式(2)を用いて得られた振幅および位相の再生画像(再生距離z=0、画素数は60×60)を図15(a)および(b)に示す。これらの再生画像から、反射板とLED5aのチップ、更にその上の端子部分が確認できた。
(実験条件)
実施例2では、図16(a)に示すように、被写体として緑色のLED5aおよび振幅マスク6を使用、3次元物体情報計測装置として、図11に示す3次元物体情報計測装置1”を用いた。図16(b)に示すように、振幅マスク6には、「F」字形状のスリットが形成されており、LED5aと直線偏光変換部22との間に振幅マスク6を設置した。
(実験結果)
実施例1と同様、LED5aを点灯させ、干渉縞取得部3が一度の撮像によって干渉縞画像を記録し、当該干渉縞画像に対し抽出・補間することにより生成された4つの画像から、再生画像を得た。図17(a)および(b)は、振幅マスク6に合焦した再生画像の振幅像および位相画像である。図18(a)および(b)は、LED5aに合焦した再生画像の振幅像および位相画像である。図18では、振幅マスク6を透過した光のみによってLED5aが観測できていることが分かる。
〔第2の実施形態:位相情報計測〕
以下、本発明の第2の実施形態について添付図面を参照して説明する。
〔計測の原理〕
本発明の第2の実施形態に係る3次元物体情報(位相情報)計測装置は、レーザ光を照射された物体を通過あるいは反射した光(計測光波)を波面のずれた2つの光に分けて互いに干渉させるシアリング干渉計を用いる干渉計測装置である。一般的に、シアリング干渉を用いた計測では、図21に示すように、被写体の計測光波を2つに分割し、分割された各々を拡大および縮小する等の方法によって波面をずらし、それらを重ね合わせて干渉光を得る。そして、位相シフト法により、干渉光から位相の互いに異なる複数(好ましくは3つ以上)の干渉縞画像(位相差画像)を記録し、計算処理によって被写体の位相画像を取得する。本実施形態では、シアリング干渉計による干渉光を干渉縞取得部によって1度に撮影し、撮像した干渉像から互いに位相の異なる複数の干渉縞画像を構成することで、被写体の位相画像を瞬時に取得することを特徴とする。
位相差画像の取得方法としては、微小偏光子アレイと結合した撮像素子を用いる方法と、複数(好ましくは3以上)の撮像素子と偏光子を用いる方法がある。以下の第2の実施形態では前者の方法を述べる。より具体的には、本発明者らが発明した、高精度瞬時3次元計測可能な並列デジタルホログラフィ(特許第4294526号、特願2008−031965号)を用いた空間分割多重によって、図22に示すように、1度の撮像で4つの干渉縞画像を取得する。これにより、瞬時(1ショット)に位相画像を取得することができる。
〔3次元物体情報計測装置の構成〕
第2の実施形態に係る3次元物体情報計測装置201の概略構成を図23に示す。3次元物体情報計測装置201は物体210の位相画像を取得する装置であり、レーザ光源LAと、レンズ221と、直線偏光変換部222と、シアリング干渉計202と、円偏光変換部228と、干渉縞取得部203と、計算部204と、を備えている。レーザ光源LAは、駆動部LA1とレーザダイオードLA2とを備えており、レーザ光を出射する。物体210は透明物体である。
レンズ221は、レーザ光源LAから出射されたレーザ光を平行光にする。レーザ光が平行光である場合は、レンズ221を設けなくてもよい。物体210は透明であり、レンズ221と直線偏光変換部222との間に設置されている。直線偏光変換部222は偏光子であり、物体10を通過した光を通過させて直線偏光に偏光させる。
(シアリング干渉計)
シアリング干渉計202は、本実施形態では、ラジアルシアリング干渉計であり、偏光ビームスプリッタ(偏光ビーム分割素子)223と、レンズ224と、レンズ225と、ミラー226と、ミラー227と、を備えている。
偏光ビームスプリッタ223は、直線偏光変換部222から入射した光を2分割するとともに、上記2分割された光のうち、再入射した一方の光と、該一方の光と同一の光路を反対方向に進んで再入射した他方の光とを結合する。
具体的には、図24に示すように、直線偏光変換部222から入射した光L1を、垂直偏光L2と、水平偏光L3とに分割する。垂直偏光L2と水平偏光L3は共通の光路を互いに逆回りに伝播し、再び偏光ビームスプリッタ223によって結合される。すなわち、垂直偏光L2(図24の実線)は、レンズ224、ミラー226、ミラー227およびレンズ225を経て、偏光ビームスプリッタ223に再入射する。一方、水平偏光L3(図24の点線)は、垂直偏光L2の光路と逆回り、すなわち、レンズ225、ミラー227、ミラー226およびレンズ224を経て、偏光ビームスプリッタ223に再入射する。
このとき、レンズ224とレンズ225は、互いに焦点距離が異なっているため、垂直偏光L2と水平偏光L3は、レンズ224とレンズ225を逆方向に通過することにより、一方は拡大され、他方は縮小される。例えば本実施形態2では、レンズ224の焦点距離は200mmであり、レンズ225の焦点距離は220mmである。垂直偏光L2は、レンズ224、レンズ225の順に通過するため、フーリエ面が220/200=1.1倍に拡大する。一方、水平偏光L3は、レンズ225、レンズ224の順に通過するため、フーリエ面が200/220≒0.91倍に縮小する。
偏光ビームスプリッタ223に再入射した垂直偏光L2および水平偏光L3は、結合されて円偏光変換部228を通過する。ここで、円偏光変換部228は屈折率が直線偏光の振動方向によって異なるものであり、伝播速度が異なるので円偏光変換部228の結晶を透過した後に、直交する直線偏光成分の間には位相差が生じる。よって、結合された垂直偏光L2および水平偏光L3は、互いに逆回りの円偏光となり、シアリング干渉計202から干渉光として出力される。出力された干渉光は、干渉縞取得部203へ到達する。
なお、図24における矢印は光軸に対応する。そのため、便宜上、垂直偏光L2の矢印と水平偏光L3の矢印とをずらして図示しているが、実際は、それらの矢印は一致している。
(干渉縞取得部)
本実施形態では、干渉縞取得部203は、偏光子アレイタイプ撮像装置であり、図25(a)に示すように、偏光子アレイ231と、撮像面232と、本体233と、を備えている。偏光子アレイ231と撮像面232とは互いに貼り合わされて、本体233に接合されている。
図25(b)に示すように、偏光子アレイ231は、入射光の偏光方向および位相シフト量が互いに異なる4種の偏光領域がマトリクス状に配列してなる。左右の両矢印で示す領域は、入射光の位相を変化させることなく通過させる領域である。右上がりの両矢印で示す領域は、入射光の位相を1/4波長(π/2[rad])遅らせる領域であり、上下の両矢印で示す領域は、入射光の位相を1/2波長(π[rad])遅らせる領域であり、左上がりの両矢印で示す領域は、入射光の位相を3/4波長(3π/2[rad])遅らせる領域である。
図25(c)に示すように、撮像面232は、アレイ状に整列されたCCD、CMOSなどの複数の画素を有しており、各画素は、偏光子アレイ231の各偏光領域と一対一に対応している。また、複数の画素は、入射光の位相に応じて4つの画素群P1〜P4に分かれている。画素群P1には、位相の遅れがない干渉光が入射し、画素群P2には、位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた干渉光が入射し、画素群P3には、位相が1/2波長(π[rad])遅れた干渉光が入射し、画素群P4には、位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた干渉光が入射する。
上記の構成により、干渉縞取得部203に入射した互いに逆回りの円偏光である2つの光波は、4種類の偏光方向および位相の異なる干渉縞画像(位相差画像)として記録される。このようにして干渉縞取得部203が一度の撮影によって取得した記録画像のデータは、計算部204に送信される。
(計算部)
計算部204は、干渉縞取得部203が取得した記録画像から物体210の位相情報を演算する装置であり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータで構成することができる。図26に示すように、計算部204は、抽出部241、補間部242および演算部243を備えている。これらの各部は、プログラムを計算部204に実行させることによって実現される機能ブロックである。なお、上記各部をハードウェアによって実現してもよい。
計算部204が記録画像から位相情報を演算する処理について、図27に基づいて説明する。図27(a)は、干渉縞取得部203が取得した記録画像を示している。記録画像を構成する各画素は、干渉縞取得部203の撮像面232の各画素に対応している。具体的には、互いに異なるパターンで示された画素B1〜B4は、それぞれ画素群P1〜P4によって取得された画素である。
計算部204に記録画像のデータが入力されると、抽出部41は、記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる4つの抽出データを生成する。具体的には、図27(b)に示すように、位相の遅れがない画素B1のみを抽出した抽出データD1aと、位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた画素B2のみを抽出した抽出データD2aと、位相が1/2波長(π[rad])遅れた画素B3のみを抽出した抽出データD3aと、位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた画素B4のみを抽出した抽出データD4aとが生成される。抽出データD1a〜D4aにおいて、全体の3/4の画素は画素値が欠落している。
続いて、計算部4の補間部42は、4つの抽出データD1a〜D4aの各々に対して画素補間を行うことにより、図27(c)に示すような4つの補間データD1b〜D4bを生成する。具体的には、補間部242は、抽出データD1a〜D4aの画素値が欠落している画素(欠落画素とする)に対して補間処理を行う。本実施形態に適用可能な補間処理は特に限定されないが、例えば、画素値を算出しようとする、欠落画素の周囲にある同一偏光、同一位相の画素の画素値を用いて、線形補間(1次の内挿)することによって、欠落画素の画素値を算出することによって補間処理を行ってもよい。または、欠落画素の周囲にある同一偏光、同一位相の画素の画素値を用いて、2次又は3次で内挿する、あるいは外挿することによって、欠落画素の画素値を算出してもよい。補間部242は、このような補間処理によって、抽出データD1a〜D4aにおける欠落画素の画素値を決定して、互いに位相の異なる干渉像に近似した補間データD1b〜D4bを生成することができる。図27(c)において、補間データD1bは、位相の遅れがない干渉画像に近似し、補間データD2bは位相が1/4波長(π/2[rad])遅れた干渉画像に近似し、補間データD3bは位相が1/2波長(π[rad])遅れた干渉画像に近似し、補間データD4bは位相が3/4波長(3π/2[rad])遅れた干渉画像に近似している。
演算部243は、補間部242が生成した補間データD1b〜D4bから物体210の位相情報を演算する。具体的には、演算部243は、位相シフト法を用いて2つの光波の位相差画像を求め、波面再構成処理を行うことで位相画像を得る。位相差画像から波面再構成する際のアルゴリズムは、ゼルニケ多項式を用いる方法やルジャンドル多項式を用いる方法、あるいは、中心部を参照として再構成する方法などが適用できる。
本実施形態2における演算部243の演算処理では、中心部を参照として再構成する方法により、波面再構成処理を行う。そのアルゴリズムを詳細に説明する。
図24に示す垂直偏光L2を拡大させる前の光波の位相を
W(x,y)
、倍率をsとすると、縮小した水平偏光L3の位相
W(x/s,y/s)
と拡大した垂直偏光L2の位相
W(sx,sy)
の位相関係は、
となる。この関係式はほかの倍率においても次の式のように成り立つ。
N回拡大した光波の位相についても、
が成り立つ。ここで,1,2,3…,N回拡大する式を足し合わせると、次の式が成り立つ。
この式の右辺の第二項は光波を2N+1回拡大している波面を表すため、一様とみなせる。つまり、
が成り立つ。記録画像から得られた4枚の干渉縞画像を
とすると,下記の位相シフト法の式によって2つの光波の位相差
ΔW(x/s,y/s)
が求まる。
この位相差
ΔW(x/s,y/s)
を用いて、上記式から縮小した光波の位相画像
W(x/s,y/s)
を得る。
〔本実施形態の特徴〕
本実施形態に係る3次元物体情報計測装置201は、シアリング干渉計による干渉光の記録画像を一度の撮影によって取得し、計算部204において、1つの記録画像から画素抽出および画素補間により、複数の補間データを生成し、これらの補間データから物体からの光の位相情報を演算することを特徴としている。シアリング干渉計では、物体から到来した物体光を2つの光に分け、それらを互いに干渉させるため、レーザ光源などの可干渉性の高い参照光を必要としない。また、物体光を分割した2つの光は、共通の光路を通過するため、光学的調整が簡単であり、外部擾乱に対してロバスト性を高めることができる。
さらに、干渉縞取得部203は、干渉光を一度に撮影することによって干渉縞画像を取得するので、動く物体の構造、または形状の変化する物体からの光の位相情報の計測にも適用できる。また、干渉縞取得部203として例示した偏光子アレイタイプ撮像装置は、偏光イメージングカメラとして市販されている。3次元物体情報計測装置1の他の素子も、市販のものを使用することができる。よって、入手が容易な素子で3次元物体情報計測装置201を構成できる。
また、本実施形態に係る3次元物体情報計測装置201では、従来の逐次撮影によって得られた位相情報と同等以上の精度の位相情報を得られることを特徴とする。ここで、複数の補間データは、補間処理によって生成されたものであるため、従来の逐次撮影によって得られた複数の干渉画像と近似しているが同一ではない。そのため、一般的に、補間データに基づいて得られた位相情報は、逐次撮影によって得られた複数の干渉画像に基づいて得られた位相情報に比べ、精度が劣ることが予想される。実際、本発明者による計測装置(国際公開第2014/171256号)では、[表1]および[表2]に示されるように、一度の撮影によって得られた物体の記録画像から得られた位相精度(実施例1〜4)は、逐次撮影によって得られた物体の記録画像から得られた位相精度(比較例1〜4)よりも劣る結果となった。
また、参照光を用いる通常の干渉計測法では、同じサイズの物体光と参照光とを干渉させることが望ましいが、本実施形態が採用しているラジアルシアリング干渉による計測法においては、経路の同じ光路を伝搬した倍率の異なる像の干渉で作られているので、シア量による誤差(シア量)を含んだものとなっている。
よって、本実施形態のように、シアリング干渉計による干渉光を一度に撮影することによって取得した記録画像から、抽出・補間処理によって生成した補間データに基づいて物体からの光の位相情報を演算すると、シア量による誤差がさらに拡大して、位相情報の精度がさらに低下することが予想される。そのため、当業者は、本願出願時まで本実施形態に想到することができなかった。
しかし、実際には、記録画像に対する抽出・補間処理によってシア量による誤差を低減できることが本発明者によって見出された。すなわち、本実施形態における補間データ内の補間された画素の画素値は、実際に測定された値ではなく、演算によって算出された値であるため、従来のように実際に逐次撮影を行って得られる干渉像とは異なっている可能性があるが、補間データでは、隣接する画素間の画素値が急激に変化することが無くなるため(平滑化)、シア量による誤差の低減効果が生じ、ほぼ従来の逐次撮影によって得られた位相情報と同等以上の精度の位相情報を算出することができる。
このように、本発明者らは、上述の予想にもかかわらず、シア量による誤差を抽出・補間処理によって低減することで、従来の逐次撮影によって得られる位相情報よりも高精度の位相情報が得られることを初めて見出した。
〔変形例2〕
本発明は上記第2の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、上記実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、透明物体を計測対象としていたが、計測対象は透明物体に限られず、例えば、図28に示す3次元物体情報計測装置201’のように、反射物体を計測対象としてもよい。3次元物体情報計測装置201’は、図23に示す3次元物体情報計測装置201において、ビームスプリッタ229をさらに備えた構成である。3次元物体情報計測装置201’では、レーザ光源LAから出射されたレーザ光は、レンズ221およびビームスプリッタ229を介して反射物体である物体211に到達し、物体211で反射した後、直線偏光変換部222に到達する。レーザ光は、物体211の表面で反射するときに、物体211の形状によって位相が変化する。
以下、本発明の実施例3について説明するが、本発明はこれに限定されない。
(シミュレーション条件)
実施例3では、本発明の有効性を確認するための計算機シミュレーションを行った。計算機シミュレーションでは、図29に示すように、3次元物体情報計測装置として上記の第2の実施形態に係る3次元物体情報計測装置201を用いた。3次元物体情報計測装置201において、レンズ224の焦点距離は170mmであり、レンズ225の焦点距離は175mmであった。また、物体210から偏光ビームスプリッタ223を経由したレンズ224までの光路長は170mmであり、レンズ221から偏光ビームスプリッタ223を経由したレンズ225までの光路長は175mmであり、レンズ224からミラー226およびミラー227を経由したレンズ25までの光路長は170mm+175mm=345mmであり、レンズ224から偏光ビームスプリッタ223を経由した干渉縞取得部203までの光路長は170mmであり、レンズ225から偏光ビームスプリッタ223を経由した干渉縞取得部203までの光路長は175mmであった。これにより、偏光ビームスプリッタ223によって分割された光波の一方は170/175≒0.9714倍に縮小され、他方は175/170≒1.0294倍に拡大される。
被写体である物体210は液滴であると仮定した。図30(a)および(b)はそれぞれ、物体210の仮想的な光波の振幅画像および位相画像である。また、レーザ光源LAからのレーザ光の波長は532nmと仮定し、干渉縞取得部203の画素数は300×300画素と仮定した。計算機シミュレーションは、波面再構成処理に中心部を参照として再構成する方法を採用した。
(シミュレーション結果)
実施例3によって再生された位相画像を図31(a)に示す。この位相画像の相関係数(類似度)は0.9874であった。また、複数の位相差画像を逐次撮影によって取得する従来法によって再生された位相画像を図31(b)に示す。この位相画像の相関係数(類似度)は、実施例3によって再生された位相画像よりも低い0.9873であった。このシミュレーション結果から、第2の実施形態に係る3次元物体情報計測装置によって、従来の逐次撮影によって得られた位相情報と同等以上に鮮明な位相画像が再生できることが分かった。
以上のように、本発明によれば、蛍光などを発する物体や自然光や熱光源からの光で照明された物体の3次元情報である複素振幅情報または透明物体や光学部品の位相情報を瞬時に記録することを可能にする。3次元情報である複素振幅情報を瞬時に記録することは、生体の観察・計測のための生体顕微鏡、部品、製品の工業検査装置、粒子、流体などの分布、形状、大きさ、密度の計測において重要である。その結果、本発明は、創薬、製品検査装置および製品製造装置などの実現に効果をもたらす。また、3次元情報である位相情報を瞬時に記録することは、透明物体の構造計測であるガス噴流の圧力変化のイメージング装置、透明物体・生細胞の厚さ分布・屈折率分布計測装置、レーザの品質検査であるハイパワーレーザの出射光の波面計測装置、超短パルスレーザの出射光の波面計測装置として展開することができる。これより、我が国の経済を牽引する製造業界、バイオテクノロジー業界に置いて、国際競争力の高い製品の開発に大きく寄与できる。
1 3次元物体情報計測装置(デジタルホログラフィ装置)
1’ 3次元物体情報計測装置(デジタルホログラフィ装置)
1” 3次元物体情報計測装置(デジタルホログラフィ装置)
2 シアリング干渉計
3 干渉縞取得部(撮像装置)
4 計算部(計算機)
5 光源
5a LED
6 振幅マスク
10 物体
11 反射物体
12 透過物体
13 天体
21 レンズ
22 直線偏光変換部(偏光子)
23 偏光ビームスプリッタ
24 レンズ
25 レンズ
26 ミラー
27 ミラー
28 円偏光変換部(複屈折素子)
29a 1/2波長板
29b 1/4波長板
31 偏光子アレイ
32 撮像面
33 本体
41 抽出部
42 補間部
43 演算部
B1〜B4 画素
D1a〜D4a 抽出データ
D1b〜D4b 補間データ
L2 垂直偏光
L3 水平偏光
P1〜P4 画素群
201 3次元物体情報計測装置(干渉計測装置)
201’ 3次元物体情報計測装置(干渉計測装置)
202 シアリング干渉計
203 干渉縞取得部(撮像装置)
204 計算部(計算機)
210 物体
211 物体
221 レンズ
222 直線偏光変換部(偏光子)
223 偏光ビームスプリッタ
224 レンズ
225 レンズ
226 ミラー
227 ミラー
228 円偏光変換部(複屈折素子)
229 ビームスプリッタ
231 偏光子アレイ
232 撮像面
233 本体
241 抽出部
242 補間部
243 演算部
LA レーザ光源
LA1 駆動部
LA2 レーザダイオード

Claims (6)

  1. 物体から到来する物体光を直線偏光に変換する直線偏光変換部と、
    直線偏光に変換された前記物体光をシアリング干渉させるシアリング干渉計と、
    前記シアリング干渉計による干渉光の垂直偏光と水平偏光とを円偏光に変換する円偏光変換部と、
    前記円偏光を一度の撮影によって記録する干渉縞取得部と、
    前記干渉縞取得部の記録画像から前記物体の複素振幅情報を演算する計算部と、
    を備えた3次元物体情報計測装置であって、
    前記記録画像では、画素によって位相が異なり、
    前記計算部は、
    前記記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる複数の抽出データを生成する抽出部と、
    前記複数の抽出データの各々に対して画素補間を行うことにより、互いに位相の異なる複数の干渉画像に近似した複数の補間データを生成する補間部と、
    前記複数の補間データから複素振幅情報または位相画像を演算する演算部と、
    を備えることを特徴とする3次元物体情報計測装置。
  2. 前記シアリング干渉計はラジアルシアリング干渉計である、請求項1に記載の3次元物体情報計測装置。
  3. 前記ラジアルシアリング干渉計は、
    前記直線偏光変換部から入射した光を2分割するとともに、前記2分割された光のうち、再入射した一方の光と、前記一方の光と同一の光路を反対方向に進んで再入射した他方の光とを結合する偏光ビーム分割素子と、
    前記光路に配置された、お互いに焦点距離が異なる2枚のレンズと、
    を備え、
    前記偏光ビーム分割素子によって結合された光を前記干渉光として出力することを特徴とする請求項2に記載の3次元物体情報計測装置。
  4. 前記干渉縞取得部は、
    入射光の偏光方向および位相シフト量が互いに異なる複数種の偏光領域を有する偏光子アレイと、
    前記偏光子アレイと結合され、前記偏光領域の各々と一対一に対応した画素を有する撮像素子と、
    を備えた偏光子アレイタイプ撮像装置であることを特徴とする、請求項1に記載の3次元物体情報計測装置。
  5. 前記物体光はフーリエ変換された光であり、
    前記シアリング干渉計は前記物体光のフーリエ面同士を干渉させ、
    前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
    前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、空間コヒーレンス関数の複素振幅を求め、逆フーリエ変換することにより前記複素振幅情報を演算することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の3次元物体情報計測装置。
  6. 前記物体光は可干渉光が前記物体を反射あるいは透過した光であり、
    前記シアリング干渉計は前記物体光同士を干渉させ、
    前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
    前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、前記干渉光の位相差画像を求め、前記位相差画像から、ゼルニケ多項式、ルジャンドル多項式、あるいは、中心部を参照として再構成する方法を適用して波面再構成することにより前記位相画像を演算することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の3次元物体情報計測装置。
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