JPWO2018146895A1 - 酢酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

(1)メタノールのカルボニル化反応工程と;(2)反応混合物を揮発相と低揮発相とに分離する工程と;(3)前記揮発相を蒸留して、低沸成分に富む第1のオーバーヘッドと、酢酸に富む酢酸流とに分離する工程と;(4)前記酢酸流から不純物を分離して精製して精製酢酸を得るためのセクション、(9)前記第1のオーバーヘッドを、アセトアルデヒドに富むストリームと、ヨウ化メチルに富むストリームとに分離するためのセクション及び(15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸に富むストリームとに分離するためのセクションから選択された少なくとも1つのセクションとを備えたプロセスで酢酸を製造する。この方法で、前記プロセスの気相の酸素濃度を7体積%未満、及び/又は前記プロセスの液相の酸素濃度を7×10−5g/g未満に制御し、ヨウ素が生成するのを抑制する。この方法により、プロセスユニットやラインの器壁の局部腐食を有効に抑制又は防止できる。

Description

本発明は、ヨウ素などの腐食成分の生成を防止又は抑制する方法、及びこの方法を利用したメタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法に関する。
水の存在下、ロジウム触媒、ヨウ化金属およびヨウ化メチルを用いて、メタノールのカルボニル化により酢酸が工業的に製造されている。このようなメタノールカルボニル化プロセスでは、一酸化炭素雰囲気下でメタノールをカルボニル化する反応槽、反応槽からの反応混合物を揮発相と非揮発相とに分離する蒸発槽、揮発相を蒸留し、少なくともオーバーヘッドと酢酸流とに分離するための脱低沸塔(スプリッターカラム)、前記酢酸流から水分を分離するための脱水塔などのプロセスユニットを経て酢酸が精製され、製品化される。また、必要により、脱水塔に引き続いて、高沸点不純物を分離するための脱高沸塔及び/又は製品塔を経由して製品化される。
このメタノールカルボニル化プロセスに関し、特表2007−526310号公報(特許文献1)には、過マンガン酸還元性化合物(PRC)、C3−8カルボン酸及びヨウ化C2−12アルキル化合物を削減及び/又は除去するための改良された方法であって、反応混合物からの揮発性相を蒸留して、第一のオーバーヘッドを生成させ、この第一のオーバーヘッドを蒸留して、ヨウ化メチル、ジメチルエーテル、及び前記PRCを含む第二のオーバーヘッドを生成させ、この第二のオーバーヘッドを水で2回抽出し、生成した第二のラフィネートの少なくとも一部を直接又は間接的に反応媒質に導入する方法が記載されている。
しかし、このようなメタノールカルボニル化プロセスでは、プロセスユニットやラインで腐食が生じる場合がある。すなわち、プロセスユニットやラインの器壁が選択的に腐食され、孔を生成する孔食、点腐が生じる場合がある。また、製品酢酸が着色し、品質を低下させる場合もある。
一方、メタノールのカルボニル化プロセスにおいて、ヨウ化水素がプロセスユニットやラインの器壁を腐食することが知られている。特表2009−501129号公報(特許文献2)には、酢酸、ヨウ化水素、低沸成分及び高沸成分を含む酢酸流を、第1の蒸留塔で蒸留して、第1の低沸点流分と、第1の高沸点流分と、酢酸を含む第1のサイドカット流とを生成させ、この第1のサイドカット流を第2の蒸留塔で蒸留して、第2の低沸点流分と、第2の高沸点流分と、酢酸を含む第2のサイドカット流とを生成させる酢酸の製造する方法において、前記第1の蒸留塔に、水;又はメタノール及び酢酸メチルから選択された少なくとも一種の第1の成分(A)と水とを供給し、ヨウ化水素をヨウ化メチルなどの低沸成分に変換して分離することが記載されている。
しかし、このような方法でヨウ化水素を分離しても、依然としてプロセスユニットやラインの器壁に孔食、点腐が生じる場合がある。
特表2007−526310号公報(特許請求の範囲) 特表2009−501129号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、プロセスユニット及び/又はラインの器壁の局部腐食を有効に防止できる方法、及び酢酸の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、製品酢酸の着色を有効に抑制できる方法、及び酢酸の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、製品酢酸の着色を防止できるとともに、ヨウ化水素による腐食を防止できる方法、及び酢酸の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、プロセスユニット及び/又はラインが低級金属材で形成されていても、ユニット及び/又はラインの腐食を有効に防止できる方法、及び酢酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、メタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法において、外部からプロセス内に導入される成分などの種々の要因でプロセス流中に酸素が混入し、混入した酸素がヨウ化水素やヨウ化メチルを酸化してヨウ素を副生し、プロセスユニット及び/又はラインを腐食すること、プロセス流中の酸素濃度を所定の濃度以下に制御すると、ヨウ素の副生を有効に抑制でき、プロセスユニット及び/又はラインの局部腐食を防止できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法では、(1)金属触媒、イオン性ヨウ化金属、及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させるためのカルボニル化反応工程と;(2)反応混合物を揮発相と低揮発相とに分離する工程と;(3)前記揮発相を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富む第1のオーバーヘッドと、酢酸に富む酢酸流とに分離する工程と;下記(4)(9)及び(15)から選択された少なくとも1つのセクションとを備えたプロセスで酢酸を製造する。
(4)前記酢酸流から精製酢酸を得るための精製セクション;
(9)前記第1のオーバーヘッドから少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離セクション;
(15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸に富むストリームとに分離するためのオフガス処理セクション
前記精製セクション(4)は、下記工程(5)〜(8)のうち少なくとも脱水工程(5)(好ましくは少なくとも脱水工程(5)及び脱高沸工程(6))を備えていてもよい。
(5)酢酸流から水分を除去するための脱水工程、
(6)酢酸流から高沸成分を除去するための脱高沸工程、
(7)この工程(6)からの酢酸流をさらに精留する精留工程、
(8)この工程(7)からの酢酸流からヨウ素化合物を分離するイオン交換処理工程。
前記分離セクション(9)は、下記工程(10)〜(14)のうち、少なくとも工程(10)〜(13)を備えていてもよい。
(10)第1のオーバーヘッドを凝縮して二相に分液する工程、
(11)分液した上相及び/又は下相からアセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッドを生成する工程、
(12)第5のオーバーヘッドからアセトアルデヒドを抽出し、アセトアルデヒドに富む抽出液と、ヨウ化メチルに富むラフィネートとに分離する工程、
(13)前記抽出液及び/又はラフィネートからアルデヒドを分離する工程、及び
(14)分液した上相及び/又は下相からアルカン類を分離する工程
さらに、前記オフガス処理セクション(15)は、下記工程(16)〜(18)のうち(16)及び(17)から選択された少なくとも1つの吸収工程を備えていてもよい。
(16)高圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程、
(17)低圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程、および
(18)前記吸収工程(16)及び(17)で吸収されたガス成分を放散する工程。
本発明の方法では、下記(a)及び(b)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御し、酢酸を製造する。
(a)前記プロセスの気相の酸素濃度を7体積%未満に制御する
(b)前記プロセスの液相中の酸素濃度を7×10−5g/g未満に制御する。
プロセスの気相は、ヨウ化メチル及びヨウ化水素から選択された少なくとも一種を含んでいてもよい。さらに、プロセスの気相は、酢酸、酢酸メチル、メタノール、水、アセトアルデヒド、このアセトアルデヒドに由来する副生物及びジアルキルエーテルから選択された少なくとも一種を含んでいてもよく、前記副生物は、炭素数2以上のヨウ化アルキル、炭素数4以上のアルカナール、炭素数3以上のアルカンカルボン酸、アルカン類及びケトン類から選択された少なくとも一種を含んでいてもよく、ジアルキルエーテルが少なくともジメチルエーテルを含んでいてもよい。
本発明の方法では、前記製造プロセス(プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流)において、下記(a-1)及び(b-1)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御してもよい。
(a-1)気相の酸素濃度は、例えば、5体積%以下に制御してもよい。
(b-1)液相の酸素濃度は、例えば、2×10−5g/g以下に制御してもよい。
酸素濃度が高くなりすぎると、プロセス中でヨウ素が生成し、プロセスユニットやラインが腐食する可能性がある。
さらに、プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相、及び液相での一酸化炭素に対する酸素の割合は、2体積%以下(例えば、1体積%以下)であってもよい。
さらに、気相の酸素濃度及び/又は液相の酸素濃度を調整するため、酸素含有ガス、酸素含有化合物及び酸素発生剤から選択された少なくとも1種の成分(酸素源)をプロセス中に導入してもよい。このような成分(酸素源)を導入することにより、プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相の酸素濃度及び/又は液相の酸素濃度を以下の濃度に制御してもよい。
気相の酸素濃度は、1体積ppt以上(例えば、100体積ppt以上)に制御してもよい。
液相の酸素濃度は、0.1×10−9g/g以上(例えば、0.1×10−8g/g以上)に制御してもよい。
さらに、ヨウ素の生成を抑制するため、気相及び液相から選択された少なくとも1つのプロセス流中の酸素濃度は、ヨウ化水素及びヨウ化メチルの総量1モルに対して、0.25モル以下の濃度に制御してもよい。
本発明は、プロセス中でヨウ素が生成するのを抑制する方法も包含する。この方法は、(1)金属触媒、イオン性ヨウ化金属及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させるためのカルボニル化反応工程と;(2)反応混合物を揮発相と低揮発相とに分離する工程と;(3)前記揮発相を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富む第1のオーバーヘッドと、酢酸に富む酢酸流とに分離する工程と;下記(4)(9)及び(15)から選択された少なくとも1つのセクションとを含んでいる。
(4)前記酢酸流から精製酢酸を得るための精製セクション;
(9)前記第1のオーバーヘッドから少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離セクション;
(15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸に富むストリームとに分離するためのオフガス処理セクション。
このような方法において、下記(a)及び(b)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御し、ヨウ素が生成するのを抑制する。
(a)前記プロセスの気相部の酸素濃度を7体積%未満に制御する
(b)前記プロセスの液体流中の酸素濃度を7×10−5g/g未満に制御する。
前記所定の酸素濃度のプロセスの気相(又は気相部)は、プロセスのすべての気相を意味し、前記気相(又は気相部)を形成するガスは、プロセスからのオフガス(すべてのオフガス)を意味し、前記オフガス処理セクションに供される「オフガス」であってもよく、プロセスユニット及び/又はラインからの「オフガス」(すべてのプロセスユニット及び/又はラインからの「オフガス」)であってもよい。なお、「オフガス」は、必ずしもプロセスから系外に排出されるガスを意味するものではなく、プロセス内のガス(例えば、プロセスユニット内及びライン内のガス)をも意味する。
なお、本明細書及び請求の範囲中、プロセスユニットとは、反応、蒸発、蒸留、冷却及び/又は凝縮、分液、貯留、吸収などのプロセス単位操作を行うための装置又はユニットを意味する。また、アセトアルデヒド、およびアセトアルデヒドに由来する副生物のうち過マンガン酸還元性物質試験(過マンガン酸タイム)において過マンガン酸タイムを短くする成分(アルデヒド類、炭素数2以上のヨウ化アルキルなど)を単にPRC類と記載する場合がある。また、特に断りがなければ、分液により生成したアセトアルデヒドを含む水相は、軽質相又は上相と同義に用い、ヨウ化メチルを含む有機相は、重質相、ヨウ化メチル相又は下相と同義に用いる。抽出により生成する水相を抽出液(エクストラクト)、有機相をラフィネートと同義に用いる。
本明細書及び請求の範囲において、気相部と気体流とを「気相」と総称し、液相部と液体流とを「液相」と総称する場合がある。本明細書及び請求の範囲において、気相及び液相の各相を形成する混合物の総量は不純物も含め100%である。また、気相を形成する混合物(ガス混合物)が凝縮性成分を含むと、プロセス条件(温度及び圧力)ではガス状であっても、サンプリングにより温度が低下して常温常圧(25℃、1気圧≒0.1MPa)では凝縮性成分が液化し、プロセス条件での気相混合物の組成を正確に測定できない場合がある。そのため、気相を形成する混合物(ガス混合物)の組成は、温度25℃での気相の混合物の体積基準(体積%)又は重量基準(重量%)で表す。また、液相を形成する混合物(液体混合物)の組成は、重量基準(重量%など)で表す。
本発明では、プロセス流中の酸素濃度を所定の濃度以下に制御するため、ヨウ素の副生を抑制でき、プロセスユニット及び/又はラインの器壁の局部腐食を有効に抑制又は防止できる。また、製品酢酸中の全ヨウ素濃度を低減でき、製品酢酸の着色を有効に抑制できる。さらに、製品酢酸の着色を防止できるとともに、ヨウ素からヨウ化水素が生成するのも抑制でき、ヨウ化水素による腐食も防止できる。そのため、プロセスユニット及び/又はラインが低級金属材で形成されていても、ユニット及び/又はラインの腐食を有効に防止できる。
図1は、本発明の酢酸の製造方法(又は製造装置)において、反応工程から分液工程及び第2の蒸留工程に至るプロセスの一例を説明するためのフロー図である。 図2は、第2の蒸留工程を含む酢酸の精製工程を説明するためのフロー図である。 図3は、分液工程から少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離工程を説明するためのフロー図である。 図4は、プロセスからのオフガスを処理するためのオフガス処理工程を説明するためのフロー図である。
メタノールのカルボニル化による酢酸の製造プロセスでは、種々の要因、例えば、外部からプロセス内に導入される成分などに起因して、プロセス流中に酸素が混入する。例えば、一酸化炭素やメタノールは、化石燃料(石炭、石油など)、天然ガスなどの炭素源(炭素類や炭化水素類)の酸素や空気による部分酸化、例えば、スチームメタンリファーミング(steam methane reforming,SMR)、オートサーマルリフォーミング(autothermal reforming, ATR)、パーシャルオキシデーション(partial oxidation, POX)などの部分酸化により生成したシンガス(CO、H、CO、微量O)を精製して得られる。酸素による部分酸化はもちろんのこと、SMRでも、炭素源やスチーム中には酸素が含まれている。そのため、原料一酸化炭素及び原料メタノールの反応器への導入や、ヨウ化水素をヨウ化メチルに変換して除去するため、脱水塔や処理槽などのプロセスユニットへのメタノールの供給又は添加により、プロセス中に微量の酸素が混入する。
また、プロセス内の水分量を調整するため、プロセスに水が供給されたり、プロセスで水が使用される。例えば、反応工程には水が仕込まれ、脱低沸塔(スプリッターカラム)からの第1のオーバーヘッドを、脱アルデヒド塔で蒸留して第2のオーバーヘッドを生成させ、この第2のオーバーヘッドの抽出(水抽出器や水抽出蒸留塔など)には、水が利用される。さらに、脱水塔や処理槽などのプロセスユニットでは、ヨウ化水素を除去するため、アルカリ金属水酸化物の水溶液を使用する場合がある。これらの水にも微量に酸素が溶解しており、これらの水の使用により、プロセス流中に酸素が混入する。
さらに、カルボニル化による酢酸製造プロセスにおいて、反応槽から製品塔に至る間には、各槽やホールドタンク、ポンプ、計器類(液面計、圧力計など)などの機器が配置されており、計器類にプロセス流(酢酸流など)が逆流して液化するのを防止したり、反応槽の攪拌軸からの一酸化炭素漏洩防止のため、高圧シール部などに窒素ガスがパージされる場合がある。この計器類への窒素ガスのパージに伴ってプロセス内に窒素ガスが仕込まれることになり、攪拌軸のシール部への圧封では、窒素ガスの一部がシール部を通して反応槽に洩れ込む場合がある。このような窒素ガスにも微量の酸素が含まれている。
このようにして、さまざまな要因で混入した酸素が、プロセス内のヨウ化水素やヨウ化メチルと反応すると、酸化反応(2HI+1/2O→I+HO;2CHI+1/2O→CHOCH+Iなど)により、ヨウ素Iが遊離する。そして、生成したヨウ素Iがプロセスユニット及び/又はラインの器壁に付着又は固着すると、付着部が選択的又は局所的に腐食され、孔を生成する孔食、点腐が生じさせることを見いだした。
また、通常、ヨウ化水素HIは、雰囲気の水分濃度5重量%以下では、水と同じ挙動を示し、脱低沸塔、脱水塔、脱高沸塔、製品塔の塔頂に濃縮される。一方、ヨウ素Iはヨウ化水素HIよりも高沸点であるため、プロセスユニットの高沸留分(例えば、脱低沸塔のサイドカット流、脱水塔の缶出流、製品塔のサイドカット流)とともに流出し、製品酢酸にまでヨウ素Iが混入して、製品中のヨウ素濃度を増加させたり、茶褐色から赤褐色のヨウ素I特有の着色が起きる場合があることも見いだした。なお、製品酢酸中にヨウ素が混入すると、酢酸ビニルなどの酢酸誘導体の製造において、触媒活性を阻害する。そのため、一般的に、製品酢酸中のヨウ素濃度は10重量ppb以下という極めて低濃度に管理する必要がある。
さらに、前記のように、脱水塔などのプロセスユニットにメタノールやアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウムなど)を添加し、微量のヨウ化水素HIを、ヨウ化メチルMeIやヨウ化アルカリ(KIなど)として除去する場合がある。このような方法でも、ヨウ化水素HI及び/又はヨウ化メチルMeIからヨウ素Iが生成すると、ヨウ素Iの除去が不可能となる。脱水塔などのプロセスユニットよりも下流側のプロセスでは、ヨウ化水素HI濃度が少なくなるものの、ヨウ素Iが混入したプロセス流が還元雰囲気下に曝されると、逆反応によりヨウ化水素HIが生成する。そのため、プロセスユニット及び/又はラインの器壁を低級金属材(例えば、低級材質SUS、ハステロイC材質など)で形成すると、ヨウ素Iによる局部腐食ではなく、ヨウ化水素HIによる均一的な腐食が生じる場合がある。
本発明では、このような課題を解決するため、プロセス流中の酸素濃度をコントロールする。なお、メタノールのカルボニル化プロセス(反応系)は、通常、加圧系であるため、原料及び各仕込ラインの酸素濃度を制御することにより、プロセス流の酸素濃度を調整できる。例えば、一酸化炭素中の酸素濃度は、一酸化炭素製造プロセスを適正に運転することにより制御可能であり、例えば、一酸化炭素原料(石炭や天然ガス、重油、アスファルトなど)に対する酸素仕込量、及び/又は水蒸気仕込量を制御して酸素により完全に部分酸化することにより制御してもよく、精製後の一酸化炭素中の酸素濃度を測定し、この測定値に基づいて使用の可否を判断してもよく、測定値に基づいて、一酸化炭素製造プロセスをフィードバック制御して一酸化炭素中の酸素濃度をコントロールしてもよく、前記測定値に基づいて、不活性ガスの導入により一酸化炭素中の酸素濃度をコントロールしてもよい。
メタノールについても、溶存酸素濃度を測定し、この測定値に基づいて使用の可否を判断してもよく、測定値に基づいて、加熱などにより溶存酸素濃度を制御してもよい。また、プロセス(反応系など)に仕込む水、水溶液(アルカリ水溶液(アルカリ金属水酸化物の水溶液)や次亜燐酸ナトリウム水溶液)についても溶存酸素濃度を測定し、この測定値に基づいて使用の可否を判断してもよく、測定値に基づいて、加熱などにより溶存酸素濃度を制御した水又は水溶液(例えば、煮沸などにより酸素濃度が低減した水又は水溶液)を使用してもよい。
さらに、プロセス内に仕込まれる気体や液体についても、前記と同様に酸素濃度を測定し、この測定値に基づいて、プロセス流の酸素濃度を制御又は管理できる。
さらには、プロセス流中への窒素ガスのパージ量を必要最小限の量とする方法、パージガスを、一酸化炭素ガスのパージや他の不活性ガスのパージへ切り替える方法などを利用して、プロセス流中の酸素濃度をコントロールしてもよい。
なお、気体又は気相中の酸素濃度計としては、種々の酸素濃度計、例えば、防爆形プロセス用磁気圧力式酸素分析計(HORIBA社製、MPA-51d/p)、分離型ジルコニア式酸素濃度計(横河電機(株)製、ZR402G, ZR22G)、近赤外線を使用したレーザ式ガス分析計(ノーケン社製の(一体型)SITRANS SL、メトラー(METTLR)社製、飯島電子工業(株)製(O2計)など)が利用できる。
液体又は液相中の酸素濃度計(溶存酸素センサ)としては、東亜ディーケーケー(株)製の「DO」、「OC」、「ODM」、「OBM」型、飯島電子工業(株)製「DO計」などのほか、水及び溶剤(メタノール)中の溶存酸素濃度も測定可能なメトラー(METTLR)社製酸素濃度計、ガス中の酸素濃度を測定する横河電機(株)製「OX型」などが例示できる。
なお、東亜ディーケーケー(株)製「OC64型」の7561L機種などは、液中酸素の検出下限界が0.1μg/Lであり、例えば、酸素濃度の測定下限界は、比重1の液体中では、(0.1/1000000)g/1000g=0.1ppbとなり、比重2の液体中では、0.05ppbが検出限界となる。また、横河電機(株)製「OX400」はガス中の酸素濃度の測定下限界が0.01volppm(10ppb)である。なお、酸素濃度が測定限界値未満の試料(気相又は液相)については、慣用の方法(例えば、酸素を吸着剤に選択的に吸着させる方法、酸素富化膜などの選択透過膜により酸素を選択的に透過させる方法、軽質成分と重質成分とに分離する蒸留方法、抽出方法など)を利用して気相又は液相から酸素が濃縮された濃縮成分を生成させ、この濃縮成分の酸素濃度を測定し、この測定値を試料中の酸素濃度に換算してもよい。
気体(又は気相)、及び液体(又は液相)の酸素濃度は、プロセスユニット又はプロセスラインに設置した酸素濃度計(酸素センサー)の検出又は測定値をモニタリングして連続的に監視してもよく、プロセスユニット又はプロセスラインからサンプリングして、定期的に分析することにより監視可能である。また、酸素濃度計(酸素センサー)の検出又は測定値と、上限基準値(閾値)とを比較し、検出又は測定値が閾値に達したとき、酸素濃度の低い流体(気体又は液体)を自動的にプロセス流に導入又は酸素濃度の低い流体へ切り替えて、酸素濃度を制御してもよい。さらに、過度に酸素濃度が低下したとき(下限基準値としての閾値に達したとき)、酸素源をプロセス流中に導入してもよい。
なお、減圧系のプロセスでは、運転圧力を保持するために気密に保ちつつ、不活性ガスを導入しながら所定の圧力に制御した後、運転を開始すると共に、真空ポンプからの排ガス中の酸素濃度を測定することにより、減圧系のプロセス流の酸素濃度を管理してもよい。
このようにして酸素濃度を制御することにより、ヨウ素の副生を抑制でき、ヨウ素による局部腐食、製品酢酸中の全ヨウ素濃度の増加と製品酢酸の着色という問題を解消できる有用なプロセス条件を提供できる。また、本発明は、製品酢酸中のヨウ素濃度を10重量ppb以下という極めて低濃度に管理する上でも非常に有用である。さらには、ジルコニウムなどの高級な耐食性金属では、還元性条件でも、酸化性条件でも広範囲で完全耐食性を示すことが知られている。しかし、このような高級な耐食性金属でも、強い酸化性条件では腐食される場合がある。そのため、プロセスユニット及び/又はラインの材質選定によっては、ある程度の高濃度の酸素領域までは耐食性を示しても、酸素濃度によっては腐食が生じる場合がある。本発明では、このような腐食も抑制できる。
これらのことから明らかなように、本発明は、メタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法において、いずれのプロセスユニット(工程)及びラインにも適用できる。
本発明では、ヨウ素の副生を抑制するため、ヨウ化メチル及びヨウ化水素から選択された少なくとも一種を含むプロセス流(例えば、プロセスの気相)に適用できる。さらに、プロセス流(例えば、プロセスの気相)は、後述するように、プロセスユニット及び/又はプロセスラインに応じて、酢酸、酢酸メチル、メタノール、水、アセトアルデヒド、このアセトアルデヒドに由来する副生物及びジアルキルエーテルから選択された少なくとも一種を含んでいてもよい。前記副生物は、炭素数2以上のヨウ化アルキル、炭素数4以上のアルカナール、炭素数3以上のアルカンカルボン酸、アルカン類及びケトン類から選択された少なくとも一種を含んでいてもよく、ジアルキルエーテルが少なくともジメチルエーテルを含んでいてもよい。
本発明の方法では、酢酸の製造プロセス(プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流)において、下記(a)プロセスの気相の酸素濃度及び(b)プロセスの液相中の酸素濃度から選択された少なくとも1つの酸素濃度を制御すればよい。
(a)前記プロセスの気相の酸素濃度は、7体積%未満に制御すればよく、6.5体積%以下(例えば、6体積%以下)、好ましくは5.5体積%以下であってもよく、通常、5体積%以下(例えば、3体積%以下)、好ましくは1体積%以下(例えば、0.5体積%以下)、さらに好ましくは0.1体積%以下(例えば、0.01体積%以下)、特に0.001体積%(10体積ppm)以下(例えば、0.0001体積%(1体積ppm)以下)に制御してもよい。
気相の酸素濃度の下限値は特に制限されず、例えば、1体積ppt以上(例えば、100体積ppt以上)、好ましくは1体積ppb以上(例えば、100体積ppb以上)であってもよく、ゼロ(0)又は測定限界値以下であってもよい。
(b)前記プロセスの液相中の酸素濃度は、7×10−5g/g未満に制御すればよく、2×10−5g/g以下(例えば、1×10−5g/g以下)、好ましくは0.5×10−5g/g以下(例えば、0.1×10−5g/g以下)、さらに好ましくは0.05×10−5g/g以下(例えば、0.01×10−5g/g以下)、特に0.001×10−5g/g以下(例えば、0.0001×10−5g/g以下)に制御してもよい。
また、液相の酸素濃度の下限値も特に制限されず、例えば、0.1×10−9g/g以上であってもよく、ゼロ(0)又は測定限界値以下であってもよい。なお、加圧状態のプロセス液、高温のプロセス液などの液相では、サンプリングの困難性及び酸素の気化などに起因して、酸素濃度(又は酸素溶解濃度)を正確に測定できない場合がある。このような場合、温度及び/又は圧力を変化させた複数の条件下でのプロセス液中の酸素濃度を測定し、実際のプロセスの温度及び圧力でのプロセス液中の酸素濃度を推定値(実験に基づく推定値)として求めてもよく、アスペン+(プラス)(Aspen Technology, Inc.社製)を用いて、プロセス液の酸素濃度を計算してもよい。
前記プロセス流(気相及び液相)の酸素濃度が高くなると、プロセス流にヨウ素が生成しやすくなる。
なお、酸素濃度は低いほど好ましいものの、酸素濃度が低すぎると、雰囲気の還元性が強すぎて、プロセスユニット及び/又はラインの腐食速度が上昇する場合がある。そのため、前記プロセス流(気相及び液相)の酸素濃度を制御するため、酸素含有ガス、酸素含有化合物及び酸素発生剤から選択された少なくとも1種の酸素源をプロセス中に導入し、前記プロセス流において、気相及び/又は液相の酸素濃度を制御してもよい。
酸素含有ガスとしては、例えば、空気などが例示でき、酸素含有化合物としては、例えば、オゾンなどが例示でき、酸素発生剤としては、過酢酸、過酸化水素などが例示できる。これらの酸素源は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、気相としての気体流及び液相としての液体流から選択されたプロセス流中の酸素濃度は、ヨウ化水素及びヨウ化メチルの総量1モルに対して、例えば、0.25モル以下(例えば、0.2モル以下)、好ましくは0.1モル以下(例えば、0.05モル以下)、さらに好ましくは0.01モル以下(例えば、1×10−3モル以下)、特に1×10−4モル以下(例えば、1×10−5モル以下)程度であってもよく、1×10−6モル以下(例えば、1×10−7モル以下)であってもよい。
さらに、プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相、及び液相(例えば、気相)での一酸化炭素に対する酸素の割合(O/CO)は、7体積%以下(例えば、5体積%以下)、例えば、2体積%以下(例えば、1体積%以下)、好ましくは0.5体積%以下(例えば、0.1体積%以下)、さらに好ましくは0.01体積%以下(例えば、0.001体積%以下)、特に0.0001体積%以下(例えば、0.00001体積%以下)であってもよい。
前記プロセス流において、液相での酸素濃度は低い場合が多く、一酸化炭素に対する酸素の割合(O/CO)は大きく変動する場合がある。液相での一酸化炭素に対する酸素の割合(O/CO)は、例えば、1000重量%以下(10倍以下)(例えば、500重量%以下)であってもよく、250重量%以下(例えば、100重量%以下)、好ましくは75重量%以下(例えば、50重量%以下)、さらに好ましくは20重量%以下(例えば、10重量%以下)であってもよく、5重量%以下(例えば、1重量%以下)、好ましくは0.1重量%以下(例えば、0.01重量%以下)、さらに好ましくは0.001重量%以下(例えば、0.0001重量%以下)、特に0.00005重量%以下(例えば、0.00001重量%以下)であってもよい。
なお、下記のように、平均分子量(加重平均分子量)を利用して、上記各成分の体積%と重量%とを相互に算出又は換算してもよい。
以下、必要により添付図面を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。なお、各工程と、各工程での主要な装置又はユニットには共通の符号を付す場合がある。
図1〜図4に示す酢酸の連続製造プロセス(又は製造装置)は、(1)メタノールのカルボニル化反応を行うための反応工程(反応系又は反応器)と;(2)反応混合物を揮発相(2A)と低揮発相(2B)とに分離する工程(フラッシュ蒸発工程又はフラッシャー)と;(3)前記揮発相(2A)を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富む第1のオーバーヘッド(3A)と、酢酸に富む酢酸流(3B)と、缶出液体流(高沸点成分)(3C)とに分離する工程(第1の蒸留工程、スプリッターカラム)とを含んでおり;さらに、(4)前記酢酸流(3B)から精製酢酸を得るための精製セクション又は精製工程群(工程(5)〜(8));(9)前記第1のオーバーヘッド(3A)から少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離セクション又は分離工程群(工程(10)〜(14));(15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチルに富むストリームとに分離するためのオフガス処理セクション又はオフガス処理工程群(工程(16)〜(18))を含んでいる。
なお、本発明では、前記工程(1)〜(3)に加えて、前記セクション(4)(9)(15)から選択された少なくとも1つのセクション(工程群又はユニット群)を含んでいればよい。例えば、(15)オフガス処理セクションは必ずしも必要ではなく、(15)オフガス処理セクションでは、必ずしも、全てのユニット又はラインからのオフガスを処理する必要はなく、所定のプロセスユニット又はラインからのオフガスを処理してもよい。また、前記所定の酸素濃度の前記プロセスの気相又は気相部は、プロセスのすべての気相を意味し、気相を形成するガスは、系外に排出するか否かに拘わらず、プロセスからのオフガスを意味し、前記オフガス処理セクションに供される「オフガス」、プロセスユニット及び/又はラインからのオフガスであってもよい。以下に各工程について詳細に説明する。
(1)反応工程(反応器)
反応工程(1)では、カルボニル化触媒系と水とを含む反応媒体中に、供給ライン2からのメタノールと供給ライン4からの一酸化炭素とを連続的に反応器(1)に供給してメタノールをカルボニル化し、酢酸を生成する。ライン4からの一酸化炭素は、触媒活性を高めるために供給されるライン6からの水素と合流し、混合ガス7として反応器(1)に供給している。さらに、メタノールは、反応器(1)に供給されるとともに、ライン3を経て、第2の蒸留工程(5)の蒸留塔に添加されている。ライン5の一酸化炭素は、蒸発槽(2)からの低揮発相(缶出からの触媒液)のリサイクルライン21と合流して触媒の沈降を抑制し、合流した触媒液はライン22を通じて反応器(1)にリサイクルしている。
また、分液工程(10)のデカンタS2内で分液した上相38の一部(酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル及び水に富む上相の一部)41と、下相39の一部(又は第1の部分)(ヨウ化メチル、酢酸メチルに富む下相の一部)40も反応器(1)にリサイクルしてもよい。下相39の一部(又は第2の部分)40はアルカン分離工程(蒸留工程)(14)に供してもよい。また、第2の蒸留工程(5)の蒸留塔からの第2のオーバーヘッド51の凝縮液の一部(酢酸に富む凝縮液の一部)54も低揮発相(2B)(ライン21)と合流させて反応器(1)にリサイクルしてもよい。
メタノールは、新鮮なメタノールを直接又は間接的に反応系(1)へ供給してもよく、後続の各種蒸留工程から留出するメタノール又はその誘導体を反応工程にリサイクルして反応系に供給してもよい。このような原料メタノールとしては、予め酸素を除去したメタノールを用いるのが好ましい。また、一酸化炭素は、純粋なガスとして使用してもよく、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、二酸化炭素など)で希釈して使用してもよい。また、必要であれば、後続の工程から得られる一酸化炭素を含む排ガス成分を反応系にリサイクルしてもよい。このような一酸化炭素又は排ガス成分としても、予め酸素を除去した一酸化炭素又は排ガスを用いるのが好ましい。
なお、以下の表中、Oは酸素、Hは水素、COは一酸化炭素、COは二酸化炭素、CHはメタン、Nは窒素、ADはアセトアルデヒド、MeOHはメタノール、MeIはヨウ化メチル、MAは酢酸メチル、HOは水、AcOHは酢酸、HIはヨウ化水素、LiIはヨウ化リチウム、FrOHは蟻酸、PrOHはプロピオン酸、DMEはジメチルエーテル、AcAは無水酢酸、(CHC=Oはアセトン、EtOHはエタノール、EAは酢酸エチル、EtIはヨウ化エチル、TOIは全有機ヨウ素化合物、HexIはヨウ化ヘキシルを示す(以下、同じ)。また、HIの濃度はヨウ素イオンとしての濃度を示す。金属については、元素記号で示す。
また、表中には、参考までにストリームの平均分子量を記載する場合があるが、この平均分子量は、ストリームに含まれる各成分の分子量と各成分の含有割合とに基づいて算出した加重平均値である。なお、気相混合物の平均分子量(加重平均分子量)をAとし、所定の成分の分子量をBとしたとき、所定の成分の重量%又は体積%に基づいて、所定の成分の体積%又は重量%を算出できる。例えば、酸素濃度について例示すると、気相混合物の平均分子量A=62.2(加重平均分子量)、酸素の体積%Dの測定値が7.0体積%であるとき、酸素の分子量B=32に基づいて、酸素の重量%Cは、例えば、次式:(C(×100)×A)/B=D(×100)により、(C×62.2)/32=7、酸素の重量%C=3.6重量%と算出できる。このように、気相混合物については、上記算出式に基づいて、各成分の重量%及び体積%を算出できる。そのため、以下の表では、重量%だけを記載する。
なお、酸素以外の気体成分の濃度が検出限界値未満の試料(気相及び液相)については、前記酸素濃度と同様にして濃縮成分を生成させ、この濃縮成分の気体成分の濃度を測定し、この測定値を試料中の気体成分の濃度に換算してもよい。
また、所定の成分濃度が検出限界値未満(例えば、金属成分については0.1ppb未満、有機物については1ppm未満)の試料(気相及び液相)についても、前記所定の成分が濃縮された濃縮成分を生成させて所定の成分の濃度を測定し、試料中の濃度に換算してもよい。また、成分濃度が測定不能な試料については、蒸留計算と蒸発に伴う飛沫同伴量とに基づいて所定の成分の濃度を推定してもよい。例えば、蒸発操作や蒸留塔の操作での飛沫同伴量は、隣接する段において、高い段での濃度は低い段での濃度の1〜20重量%程度に相当し、1段上の液体の金属濃度は、1段下の金属濃度の1〜20重量%程度となることから、このような推定値に基づいて、金属濃度を算出してもよい。
なお、蒸留塔などのプロセスユニットへ不活性ガス(窒素ガスNなど)を仕込んでユニット内の圧力を調整したり、圧力計、温度計、液面検出器などの計測機器へ不活性ガス(窒素ガスNなど)をパージして計測機器への有機物蒸気の混入を防止する場合など、プロセス内に不活性ガスを導入する場合がある。また、窒素ガスNに代えて一酸化炭素ガスCOなどの不活性ガスを導入する場合もある。さらに、水、アルカリ金属化合物、メタノール源などをプロセスユニット及びラインに導入する場合がある。このような場合、プロセスユニット及びラインでの組成を示す下記表において、不活性ガスなどの導入成分とその導入量に対応して、導入成分の濃度、例えば、ガス(窒素ガスN、一酸化炭素などの不活性ガスなど)の組成が大幅に増加又は変動する。
原料メタノール(ライン2)の組成(単位:重量%)は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
原料一酸化炭素(ライン4,5)の組成(単位:重量%)は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
前記混合ガス(ライン7)の組成は、例えば、前記原料一酸化炭素(ライン4,5)の組成と同様であってもよい。また、前記混合ガス(ライン7)の組成は、前記原料一酸化炭素(ライン4,5)の成分割合と、水素(ライン6)の成分割合とを加重平均した成分割合を有していてもよい。
カルボニル化触媒系は、通常、金属触媒(コバルト触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒など)と、触媒安定化剤又は反応促進剤及び/又は助触媒とを含んでいる。金属触媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい金属触媒は、ロジウム触媒及びイリジウム触媒(特に、ロジウム触媒)である。
金属触媒は、金属単体、金属酸化物(複合酸化物を含む)、水酸化物、ヨウ化物、カルボン酸塩(酢酸塩など)、無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩など)、錯体などの形態でも使用できる。金属触媒は液相(反応液)中で可溶な形態(錯体などの形態)で使用するのが好ましい。ロジウム触媒としては、ロジウムヨウ素錯体(例えば、RhI、[RhI(CO)、[Rh(CO)など)、ロジウムカルボニル錯体などが好ましい。
触媒安定化剤又は反応促進剤としては、反応液中でヨウ素イオンを発生可能なイオン性ヨウ化金属、例えば、ヨウ化アルカリ金属(ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなど)が挙げられ、中でもヨウ化リチウムが好ましい。触媒安定化剤又は反応促進剤は、ヨウ化リチウムなどの他、遷移金属(下記表に示されるように、反応系内に存在する金属又は腐食金属を含む)、例えば、周期表第6族元素(モリブデン、クロム、タングステンなど)、周期表第7族元素(マンガン、レニウムなど)、周期表第8族元素(鉄、ルテニウム、オスミウムなど)、周期表第9族元素(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、周期表第10族元素(ニッケルなど)、周期表第11族元素(銅など)、周期表第12族元素(カドミウム、亜鉛など)、周期表第13族元素(ガリウム、インジウムなど)などの金属化合物(金属ヨウ化物、錯体など)も含む。これらの触媒安定化剤又は促進剤は、金属触媒の種類に応じて、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、イリジウム触媒系ではヨウ化アルカリ金属は必ずしも必要ではない。前記助触媒としては、ヨウ化メチルが利用される。
好ましいカルボニル化触媒系は、ロジウム触媒と、触媒安定剤としてのヨウ化金属(ヨウ化リチウム)及びヨウ化メチル助触媒とで構成できる。なお、前記反応器には、カルボニル化触媒系を含む触媒混合物(触媒液)及び水を供給してもよい。このような触媒混合物及び水からは、加熱又は煮沸などにより予め酸素を除去しておくのが好ましい。
反応器中の一酸化炭素分圧は、例えば、2〜30気圧、好ましくは4〜15気圧程度であってもよい。前記カルボニル化反応では、一酸化炭素と水との反応により、水素が発生する。この水素は触媒活性を高める。そのため、前記反応器には、必要により水素を供給してもよい。また、後続の工程で排出された気体成分(水素、一酸化炭素などを含む)を、必要により精製して反応系にリサイクルすることにより、水素を供給してもよい。このような水素としても酸素濃度の低い水素を利用するのが好ましい。反応系の水素分圧は、絶対圧力で、例えば、0.5〜250kPa(例えば、1〜200kPa)、好ましくは5〜150kPa、さらに好ましくは10〜100kPa(例えば、10〜50kPa)程度であってもよい。
カルボニル化反応温度は、例えば、150〜250℃、好ましくは160〜230℃、さらに好ましくは170〜220℃程度であってもよい。反応圧力(全反応器圧)は、副生成物の分圧を含めて、例えば、15〜40気圧程度であってもよい。反応系での酢酸の空時収量は、例えば、5〜50mol/Lh、好ましくは8〜40mol/Lh、さらに好ましくは10〜30mol/Lh程度であってもよい。
反応器内では、反応成分と金属触媒成分とを含む液相反応系と、一酸化炭素及び反応により生成した水素、メタン、二酸化炭素、並びに気化した低沸成分(ヨウ化メチル、生成した酢酸、酢酸メチルなど)などで構成された気相系とが平衡状態を形成しており、メタノールのカルボニル化反応が進行する。
液相中の金属触媒の濃度は、例えば、反応器内の液相全体に対して100〜5000重量ppm、好ましくは200〜3000重量ppm、さらに好ましくは300〜2000重量ppm、特に500〜1500重量ppm程度である。触媒安定化剤又は反応促進剤の濃度は、反応器内の液相全体に対して、例えば、1〜25重量%、好ましくは2〜22重量%、さらに好ましくは3〜20重量%程度である。さらに、反応系でのヨウ化物イオンの濃度は、例えば、0.05〜2.5モル/リットル、好ましくは0.25〜1.5モル/リットルであってもよい。ヨウ化メチルの濃度は、反応器内の液相全体に対して、例えば、1〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは6〜20重量%(例えば、8〜18重量%)程度である。
反応媒体(又は液相)は、通常、生成した酢酸、生成した酢酸と原料メタノールとの反応により生成した酢酸メチル、及び水を含んでいる。酢酸は溶媒としても機能する。また、反応媒体(又は液相)は、通常、未反応の原料メタノールも含んでいる。酢酸メチルの含有割合は、反応液全体の0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%(例えば、0.5〜6重量%)程度の割合であってもよい。反応媒体中の水濃度は、低濃度であってもよく、反応液全体に対して、例えば、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.8〜5重量%(例えば、1〜3重量%)程度であり、1〜10重量%(例えば、2〜5重量%)程度であってもよい。
なお、反応混合物(反応粗液)中には、アセトアルデヒド、アセトアルデヒドに由来の副生成物などの種々の副反応生成物も含まれている。なお、本発明では、分離セクション(9)によりアセトアルデヒドを有効に除去できるため、連続反応であっても、反応器のアセトアルデヒドの濃度を低減でき、アセトアルデヒド由来の副生成物の生成も著しく抑制できる。反応器の液相中のアセトアルデヒド濃度は、例えば、1500重量ppm以下、例えば、10〜1000重量ppm、好ましくは50〜500重量ppm、さらに好ましくは100〜400重量ppm程度であってもよい。
アセトアルデヒドに由来の副生成物(アセトアルデヒドからの誘導体)としては、例えば、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;これらのアルドール縮合生成物;ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシルなどのヨウ化C2−12アルキルなども生成する。また、蟻酸、炭素数3以上のカルボン酸(プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、さらには炭素数9以上の高級脂肪酸などの直鎖状又は分岐鎖状カルボン酸、例えば、C3−12アルカンカルボン酸など);アルキルアルコール(エタノール、ブチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、さらには炭素数9以上のアルキルアルコール、例えば、C3−12アルキルアルコールなど);炭素数2以上の炭化水素類(例えば、C2−12アルカン)などが例示できる。さらに、液相系では、メタノール又はこれらのアルキルアルコールと酢酸又は前記カルボン酸とのエステル(酢酸エチルなど);ジメチルエーテルなどのジアルキルエーテルなども副生する。これらの副生物の濃度は、液相系も含めプロセス全体に亘り、0.1ppb〜100ppm(例えば0.5ppb〜50ppm)、好ましくは1ppb〜10ppm(例えば、2ppb〜1ppm)程度であってもよい。そのため、以下の各工程でのこれらの副生物の濃度については記載を省略する場合がある。
ヨウ化ヘキシルなどの炭素数2以上のヨウ化アルキルの濃度は、例えば、0.1ppb〜1ppm(例えば0.5〜500ppb)、好ましくは1〜100ppb程度であってもよい。蟻酸、プロピオン酸などのアルカンカルボン酸の濃度は、例えば、0.1〜500ppm(例えば、1〜500ppm)、好ましくは3〜100ppm程度であってもよい。
ジメチルエーテル(DME)の濃度は、0.5重量%以下(例えば、0.1〜1000ppm)、好ましくは1〜500ppm(例えば、2〜300ppm)、さらに好ましくは3〜200ppm(例えば、5〜100ppm)程度であってもよい。
さらには、3−ヒドロキシアルカナール(3−ヒドロキシブタナールなど)も副生する。液相中の3−ヒドロキシアルカナールの含有量は、100ppm以下(例えば、0.1ppb〜100ppm)、好ましくは0.5ppb〜50ppm程度であってもよい。これらの副生成物は、アセトアルデヒド濃度の2〜3乗に比例して副生する場合が多い。
また、アセトアルデヒド及びアセトアルデヒド由来の副生物(例えば、アルデヒド類、ケトン類、アルドール縮合生成物など)は、過マンガン酸還元性物質(PRC類)を形成する。そのため、反応混合物から副生物の主たる成分であるアセトアルデヒドを分離して除去し、有用な成分(例えば、ヨウ化メチルなど)は、プロセス流から回収して有効に利用するのが好ましい。なお、ヨウ化メチルを含め、ヨウ化C2−12アルキルなどもPRC類に属するが、本明細書及び請求の範囲では、ヨウ化メチルはPRC類には含めない。
なお、反応系(液相)には、腐食により生成した金属、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、コバルト、ジルコニウムなども含まれている。これらの腐食金属の含有量は、それぞれ、2000ppm以下(例えば、1〜1000ppm)程度であってもよい。腐食金属の総含有量は、10000ppm以下(例えば、5〜5000ppm)程度であってもよい。なお、反応系(液相)よりも下流側の液体流は、腐食金属を前記と同様の割合で含んでいてもよい。そのため、以下の各工程での液体流中の腐食金属の濃度については記載を省略する。
前記のように、反応混合物(反応粗液)には、酢酸、酢酸よりも沸点の低い低沸成分又は低沸不純物(ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アセトアルデヒドなど)、及び酢酸よりも沸点の高い高沸成分又は高沸不純物[金属触媒成分(ロジウム触媒など)、触媒安定剤としてのヨウ化リチウム、プロピオン酸などのC3−12アルカンカルボン酸など]などが含まれる。そのため、酢酸の製造プロセスでは、反応混合物(反応粗液)から不純物を除去し、精製酢酸を製造する。
なお、前記反応系は、発熱を伴う発熱反応系であり、除熱した凝縮成分のリサイクル、除熱ユニット又は冷却ユニット(ジャケットなど)などにより反応温度をコントロールしてもよい。また、反応熱の一部を除熱するため、反応器からの蒸気成分(ベントガス)を、コンデンサや熱変換器などにより冷却し、液体成分と気体成分とに分離し、液体成分及び/又は気体成分を反応器にリサイクルしてもよい。
反応器(1)からの気相(ライン8)は、コンデンサで冷却して凝縮され、凝縮液10と比較的多くの一酸化炭素を含む非凝縮ガス9とに分離され、凝縮液10は反応器(1)へ戻され、非凝縮ガス9は気液分離ポット又はバッファタンクS1へ導入され、このタンクからの非凝縮ガス(一酸化炭素及びヨウ化メチルに富むオフガス)11は、オフガス処理セクション(15)(例えば、高圧吸収塔(16))で処理している。なお、通常、一酸化炭素を含む少なくとも一部の非凝縮ガス(オフガス)11は、オフガス処理セクション(15)で処理され、一部の非凝縮ガス(オフガス)は、ライン172より蒸発槽(2)に導入し(フラッシャーの液相又は揮発相(ガス)中に導入し)、フラッシャー又は蒸発槽(2)での触媒を安定化(金属触媒(ロジウム触媒など)の析出を防止)するために利用できる。
反応器の気相(気相部又は気体流)混合物(ライン8)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、気相混合物の平均分子量(加重平均分子量)をAとし、所定の成分の分子量をBとしたとき、所定の成分の重量%又は体積%に基づいて、所定の成分の体積%又は重量%を算出できる。例えば、酸素濃度について例示すると、気相混合物の平均分子量A=62.2、酸素の体積%Dの測定値が7.0体積%であるとき、酸素の分子量B=32に基づいて、酸素の重量%Cは、例えば、次式:(C(×100)×A)/B=D(×100)により、(C×62.2)/32=7、酸素の重量%C=3.6重量%と算出できる。このように、気相混合物については、上記算出式に基づいて、各成分の重量%及び体積%を算出できる。そのため、以下の表では、重量%だけを記載する。
Figure 2018146895
コンデンサによる凝縮液10の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
コンデンサからの非凝縮ガス9の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、タンクS1からの非凝縮ガス(オフガス)11の組成は、コンデンサからの非凝縮ガス9の組成と同様であってもよい。
Figure 2018146895
反応器(1)からの反応混合物はライン12を経てフラッシャー(蒸発槽)(2)に導入又は供給し、反応混合物12をフラッシュ蒸発させ、生成酢酸、ヨウ化メチル、アセトアルデヒド、酢酸メチル、水などを含む揮発相(2A)と、ロジウム触媒及びヨウ化リチウムを含む低揮発相(2B)とに分離される。
反応混合物12の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
(2)フラッシュ蒸発工程
フラッシュ蒸発工程(2)では、前記のように、反応混合物が、揮発相(2A)と、低揮発相(2B)とに分離され、低揮発相又は触媒液(2B)は、リサイクルライン21を通じて、反応工程(1)の反応器にリサイクルされる。
低揮発相(2B)(ライン21)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、低揮発相(2B)には、腐食により生成した金属、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、銅なども含まれている。これらの腐食金属の含有量は、それぞれ、2000ppm以下(例えば、1〜1000ppm)程度であってもよい。
さらに、低揮発相又は触媒液(2B)のリサイクルライン21には、第2の蒸留工程(5)の蒸留塔(脱水塔)からの第2のオーバーヘッド51の凝縮液の一部(酢酸に富む凝縮液の一部)54が合流し、反応工程(1)の反応器(1)にリサイクルしている。
なお、凝縮液54の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
以下に特に記載がない限り、凝縮液中の鉄Fe、ニッケルNi、クロムCr、モリブデンMo、亜鉛Zn、銅Cuの濃度は、上記表の範囲内であってもよい。
フラッシャー(蒸発槽)(2)からの少なくとも一部の揮発相(2A)は、供給ライン23を通じて、第1の蒸留工程(3)の蒸留塔(スプリッターカラム)に供給される。フラッシャー(蒸発槽)(2)からの一部の揮発相24は第1及び第2のコンデンサで順次に冷却・凝縮され、凝縮液26,28と、非凝縮ガス(オフガス)25,30とに分離され、凝縮液26,28はホールドタンクT1及びリサイクルライン27を経て反応器(1)にリサイクルすることにより、反応器(1)の反応系を冷却している。
ホールドタンクT1の気相29は第2のコンデンサで冷却され、このコンデンサからの非凝縮ガス(オフガス)30は、オフガス処理セクション(15)(低圧吸収塔(17))に供給されている。なお、後述するオフガス処理セクション(15)からの非凝縮ガス192も第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間に供給され、第2のコンデンサで冷却して凝縮されている。また、ホールドタンクT1には、オフガス処理セクション(15)からの凝縮液(ヨウ化メチルに富む凝縮液)193も供給されている。
なお、前記のように、オフガス処理セクション(15)(高圧吸収塔(16))からの塔頂ストリーム171の一部172がフラッシャー(触媒分離塔)(2)に導入されている。
フラッシュ蒸発は、反応混合物を加熱して減圧する恒温フラッシュ、反応混合物を加熱することなく減圧する断熱フラッシュ、若しくはこれらのフラッシュ条件を組み合わせたフラッシュなどにより、反応混合物から蒸気成分と液体成分とに分離してもよい。フラッシュ蒸留(蒸発)は、例えば、温度100〜250℃(例えば、120〜230℃)、好ましくは150〜220℃(例えば、160〜210℃)、さらに好ましくは170〜200℃程度で行ってもよい。圧力(絶対圧力)は、0.03〜1MPa(例えば、0.05〜1MPa)、好ましくは0.07〜0.7MPa、さらに好ましくは0.1〜0.5MPa(例えば、0.15〜0.4MPa)程度であってもよい。また、低揮発相又は触媒液(2B)の温度は、例えば、80〜200℃(例えば、90〜180℃)、好ましくは100〜170℃(例えば、120〜160℃)、さらに好ましくは130〜160℃程度であってもよい。なお、このような比較的高温(および高圧)条件下では、ヨウ化水素が生成しやすく、酸素濃度によってはヨウ素が生成しやすい。本発明では、ヨウ化水素が生成しても、ヨウ素の生成を有効に抑制できる。
揮発相(2A)(ライン23,24)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
第1のコンデンサによる凝縮液26の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
ホールドタンクT1から反応器(1)へリサイクルされる凝縮液(リサイクルライン)27の組成は、第1のコンデンサによる凝縮液26の組成と同様であってもよい。また、上記凝縮液(リサイクルライン)27の組成割合は、第1のコンデンサによる凝縮液26の組成割合と第2のコンデンサによる凝縮液28の組成割合とを加重平均した割合であってもよい。
Figure 2018146895
第1のコンデンサによる非凝縮ガス(オフガス)25の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
第2のコンデンサによる凝縮液28の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
第2のコンデンサによる非凝縮ガス30の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、フラッシャー(2)としては、単一のフラッシャーを用いてもよく、複数のフラッシャーを用いてもよい。また、一部の揮発相(2A)をコンデンサで凝縮して、凝縮液を反応工程(反応器)(1)にリサイクルしてもよい。また、一部の揮発相(2A)を反応器(1)にリサイクルすることなく、全ての揮発相(2A)を第1の蒸留工程(3)の蒸留塔に供給してもよい。
また、必要であれば、低揮発相(2B)から、単一又は複数の工程で触媒成分(金属触媒成分)を分離し、反応工程(1)にリサイクルして再利用してもよい。
(3)第1の蒸留工程(スプリッターカラム又は蒸留塔)
第1の蒸留工程(スプリッターカラム)(3)では、前記揮発相(2A)(ライン23)を、塔頂又は塔の上段部から留出ライン31を通じて留出する第1のオーバーヘッド(塔頂ガス、低沸点成分)(3A)と、ライン42を通じてサイドカットされ、主に酢酸を含む粗酢酸流又はサイドカット粗酢酸流(3B)と、塔底又は塔の下段部から缶出ライン45を通じて流出する缶出液体流(高沸点成分)(3C)とに分離している。
なお、蒸留塔(スプリッターカラム)(3)には、第3の蒸留塔(6)の第3のオーバーヘッド(6A)(ライン61)の成分66、オフガス処理セクション(15)(高圧吸収塔(16))からの塔頂ストリーム171の一部172、オフガス処理セクション(15)(低圧吸収塔(17))からの底部酢酸ストリーム184がリサイクルされている。
第1のオーバーヘッド(3A)は、ヨウ化メチル、水、酢酸メチルを含むとともに、アセトアルデヒド、一酸化炭素も含んでおり、アセトアルデヒドなどの不純物を分離するための分離セクション(9)及びオフガス処理セクション(15)に供給される。
さらに、粗酢酸流(3B)(ライン42)は、主に酢酸を含み、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水なども含んでおり、粗酢酸流42の一部43は、第1の蒸留塔(スプリッターカラム)(3)に戻してもよく、粗酢酸流42の残部44は、脱水、高沸点成分などを除去するため精製セクション(4)で精製され、高純度の製品酢酸が得られる。
さらには、缶出液体流(3C)(ライン45)は、通常、少なくとも水及び酢酸を含んでおり、さらにプロピオン酸などを含んでいる場合が多い。缶出液体流(3C)の一部は、スプリッターカラム(3)の下部に戻されている。なお、缶出液体流45には、飛沫同伴により金属触媒成分(ヨウ化リチウム)が混入している場合があるため、缶出液体流45は、フラッシャー又は蒸発槽(2)にリサイクルしている。
第1のオーバーヘッド(3A)は、少なくとも過マンガン酸還元性物質(PRC類)及びヨウ化メチルを含んでおり、PRC類は、少なくとも副生したアセトアルデヒドを含んでいる。さらに、第1のオーバーヘッド(3A)は、通常、酢酸メチルを含んでおり、さらに、酢酸、メタノール、水、ジメチルエーテル、アセトアルデヒド由来の副生成物(クロトンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどのアルデヒド類、ヨウ化C2−12アルキル、C3−12アルカンカルボン酸などのアセトアルデヒドからの誘導体、C2−12アルカンなど)などを含んでいる場合が多い。
第1のオーバーヘッド(3A)(ライン31)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
粗酢酸流(3B)(ライン42)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、精製セクション(精製工程群又はユニット群)に供給される粗酢酸流44の組成は、粗酢酸流(3B)(ライン42)の組成と同様であってもよい。
Figure 2018146895
さらに、精製セクション(4)への粗酢酸流(3B)の流量と、スプリッターカラム(3)へのリサイクル流量との割合は、前者/後者=100/1〜2/1(例えば、25/1〜5/1)、好ましくは15/1〜7/1(例えば、10/1〜8/1)程度であってもよい。
缶出液体流(3C)(ライン45)の組成は、例えば、下記の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、蒸留塔(スプリッターカラム)としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。液体流(3C)は、排出してもよく、液体流(3C)の一部又は全部は、スプリッターカラム(3)に戻してもよく、反応工程(反応器)(1)にリサイクルしてもよい。
(4)精製セクション(精製工程群又はユニット群)
粗酢酸流(3B)(ライン44)は、低沸点不純物、高沸点不純物、イオン性ヨウ素化合物などの不純物を含んでいる。これらの不純物を分離除去して精製するため、粗酢酸流(3B)は、精製セクション(精製工程群又はユニット群)(4)へ供給される。この精製セクション(4)は、(5)粗酢酸流から主に水分を除去するための脱水工程(脱水蒸留塔)、(6)粗酢酸流から高沸成分を除去するための脱高沸工程(高沸蒸留塔)、(7)粗酢酸流からさらに不純物を除去するための精製工程(精製蒸留塔又は精留塔)、(8)粗酢酸流からヨウ素化合物を分離するイオン交換処理工程などを含んでいてもよい。なお、前記脱水工程(5)、脱高沸工程(6)、精製工程(7)、及びイオン交換処理工程(8)の順序は特に制限されず、例えば、イオン交換処理工程(8)の後、脱水工程(5)、脱高沸工程(6)、精製工程(7)を行ってもよく、脱水工程(5)、脱高沸工程(6)の後で、イオン交換処理工程(8)を行い、精製工程(7)を行ってもよく、前記脱水工程(5)、脱高沸工程(6)、精製工程(7)の後、イオン交換処理工程(8)を行ってもよい。精製セクション(4)は、前記工程(5)〜(8)のうち少なくとも脱水工程(5)を含んでいる場合が多く、精製工程(7)は必ずしも必要ではない。
(5)脱水工程(脱水蒸留塔)
脱水工程(5)では、第2の蒸留塔(脱水蒸留塔)で粗酢酸流(3B)(ライン44)を蒸留し、塔頂又は塔の上段部から留出ライン51を通じて留出し、水分に富む第2のオーバーヘッド(5A)と、塔底又は塔の下段部から缶出ライン56を通じて流出し、酢酸に富む缶出酢酸流(5B)とに分離され、缶出酢酸流(5B)の一部は、加熱ユニットで加熱して、脱水工程(脱水蒸留塔)(5)に戻しつつ、缶出酢酸流(5B)の残部を第3の蒸留塔(高沸蒸留塔)(6)に供給している。
また、第2のオーバーヘッド(5A)はコンデンサで冷却してホールドタンクT2に案内され、凝縮液52の一部53を第2の蒸留塔(5)に還流し、凝縮液の他の部分をライン54を通じて前記低揮発相(2B)と合流させて反応器(1)にリサイクルしている。また、ホールドタンクT2の気相(非凝縮ガス(オフガス))55は一酸化炭素に富んでおり、オフガス処理セクション(15)に供給されている。
第2のオーバーヘッド(5A)(ライン51)の組成は、例えば、下記の通りであってもよい。
なお、第2のオーバーヘッド(5A)の凝縮液52,53の組成は、第2のオーバーヘッド(5A)の組成と同様であってもよい。また、凝縮液52,53の組成割合は、第2のオーバーヘッド(5A)の組成割合から、ホールドタンクT2の気相(非凝縮ガス)55の組成割合を減算した割合であってもよい。
Figure 2018146895
ホールドタンクT2の凝縮液52の組成は、第2のオーバーヘッド(5A)(ライン51)の組成と同様であってもよい。
ホールドタンクT2の気相(非凝縮ガス)55の組成は、例えば、以下のようであってもよい。
なお、前記のように、蒸留塔(5)の圧力調整、計測機器への有機物の付着防止のため、窒素ガスNなどの不活性ガスなどを導入する場合、下記表での不活性ガス(窒素ガスNなど)の組成は大幅に増加する。
Figure 2018146895
缶出酢酸流(5B)(ライン56)の組成は、例えば、以下のようであってもよい。
Figure 2018146895
なお、第2の蒸留工程(5)では、粗酢酸流44に含まれるヨウ化水素をヨウ化メチルに変換して第2のオーバーヘッド(5A)(ライン51)として留出させるため、第2の蒸留塔(脱水蒸留塔)(5)の1又は複数の箇所に、メタノール3を添加してもよい。さらに、第2の蒸留工程(5)からの缶出酢酸流56に水酸化カリウム水溶液57を合流させて、缶出酢酸流56のヨウ化水素と反応させ、ヨウ化水素をヨウ化カリウムとして除去してもよい。水酸化カリウムで処理された缶出酢酸流58は、第3の蒸留工程(6)で蒸留され、主に高沸点成分を分離して除去してもよい。
なお、ヨウ化水素を除去するためには、メタノール源、例えば、メタノール、酢酸メチル及びジメチルエーテルから選択された少なくとも一種の成分を蒸留塔に添加してもよい。また、水酸化カリウムに限らず、アルカリ金属成分、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩などを使用してもよい。
なお、メタノール3の組成は、前記と同様である。
水酸化カリウム水溶液57の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
缶出酢酸流58の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、脱水工程(脱水蒸留塔)(5)は単一の工程(蒸留塔)で形成してもよく、缶出流(5B)を1又は複数の後続の工程(蒸留塔)で蒸留する複数の工程(蒸留塔)で形成してもよい。例えば、缶出流(5B)の一部は、脱水工程(脱水蒸留塔)(5)に戻しつつ、缶出流(5B)の残部を、後続の脱水工程(脱水蒸留塔)(5)に供給してもよい。第2の蒸留工程(5)の蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
(6)脱高沸工程(高沸蒸留塔)
前記缶出酢酸流(5B)は低沸点成分が除去され、酢酸の純度が大きく改善されているものの、未だプロピオン酸などの高沸点成分を含んでいる。そのため、高沸点成分を除去するため、缶出酢酸流(ライン56又はライン58)を第3の蒸留工程(高沸蒸留塔)(6)に供している。すなわち、第3の蒸留工程(高沸蒸留塔)(6)では、缶出酢酸流(5B)を蒸留し、塔頂又は塔の上段部から留出し、酢酸に富む第3のオーバーヘッド(6A)(ライン61)と、塔の中間部よりも上部でサイドカットされ、酢酸に富む酢酸流(6B)(ライン67)と、塔底又は塔の下段部から流出し、酢酸を含む高沸点成分に富む缶出流(6C)(ライン68)とに分離されている。
また、サイドカット酢酸流(6B)(ライン67)は、不純物を除去するため、第4の蒸留工程(精製塔)(7)でさらに精製され、第4の蒸留工程(精製塔)(7)からのサイドカット酢酸流(7B)は、イオン交換処理工程(8)に供給されている。なお、サイドカット酢酸流(7B)(ライン75)の一部は、ライン76を通じて、第2の蒸留工程(脱水蒸留塔)(5)の缶出流(5B)と合流している。
第3のオーバーヘッド(6A)はコンデンサで冷却して凝縮され、ホールドタンクT3に貯留された凝縮液62の第1の部分を、還流ライン63を通じて脱高沸工程(高沸蒸留塔)(6)の上部に還流し、凝縮液62の第2の部分を、ライン64を通じて、第2の蒸留塔(脱水蒸留塔)(5)にリサイクルしている。さらに、凝縮液62の第3の部分を、ライン65及びライン66を通じて、オフガス処理セクション(15)の放散工程(放散塔)(18)及びフラッシュ蒸発槽(2)にそれぞれ供給している。ホールドタンクT3の非凝縮ガスは、反応器(1)又は蒸発槽(2)に供給してもよい。
さらに、酢酸を含む缶出流(6C)(ライン68)の一部は、第3の蒸留工程(高沸蒸留塔)(6)に戻され、缶出流(6C)(ライン68)の残部は、ライン69を通じて、焼却処理ユニット(図示せず)に供給されている。
第3のオーバーヘッド(6A)の組成は、例えば、以下のようであってもよい。
なお、還流液(ライン62,63)並びに凝縮液(ライン64、ライン65)の組成割合は、第3のオーバーヘッド(6A)の組成割合から、コンデンサで凝縮されなかったガス及びホールドタンクT3からの非凝縮ガスの成分割合を減算した割合であってもよい。
Figure 2018146895
サイドカット酢酸流(6B)(ライン67)の組成は、例えば、以下のようであってもよい。
Figure 2018146895
缶出流(6C)(ライン68)の組成は、例えば、以下のようであってもよい。
Figure 2018146895
なお、脱高沸工程(高沸蒸留塔)(6)も単一又は複数の工程(蒸留塔)で形成してもよい。例えば、缶出流(6C)の一部を、脱高沸工程(高沸蒸留塔)(6)に戻しつつ、缶出流(6C)の残部を後続の脱高沸工程(高沸蒸留塔)(6)に供給してもよい。また、1又は複数の脱高沸工程(高沸蒸留塔)(特に、最終の脱高沸工程)からの缶出流(6C)は廃液として排出してもよい。第3の蒸留工程(6)の蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
(7)精製工程
精製工程(精留塔)(7)では、脱高沸工程(第3の蒸留塔)(6)からの酢酸流(6B)(ライン67)を、塔頂又は塔の上段部から留出ライン71を通じて留出し、低沸成分に富む第4のオーバーヘッド(7A)と、流出ライン75を通じてサイドカットされた精製酢酸(7B)と、塔底又は塔の下段部から缶出ライン77を通じて流出し、高沸点成分を含む缶出流(7C)とに分離される。
第4のオーバーヘッド(7A)はライン71のコンデンサで冷却されて凝縮され、コンデンサからの凝縮液の一部を、ライン72を通じて、精製工程(精留塔)(7)に還流するとともに、凝縮液の残部をライン73を通じて焼却ユニット(図示せず)に供給し、非凝縮ガス(オフガス)はライン74を通じて焼却ユニット(図示せず)に供給している。なお、非凝縮ガス(オフガス)は、反応系にリサイクルしてもよい。
缶出流(7C)の第1の部分は、脱高沸工程(第3の蒸留塔)(6)からの第3のオーバーヘッド(6A)(ライン61)の一部により、ライン80のリボイラー(熱交換器)で蒸気加熱され、精製工程(精留塔)(7)にリサイクルされている。すなわち、第3のオーバーヘッド(6A)の一部の熱エネルギーを缶出流(7C)の第1の部分に与え、精製工程(精留塔)(7)の加熱源としている。
また、缶出流(7C)の第2の部分は、ライン78のリボイラー(加熱器)で加熱され、蒸気として精製工程(精留塔)(7)にリサイクルされている。
なお、ライン80のリボイラー(熱交換器)で冷却された第3のオーバーヘッド(6A)の一部はホールドタンクT4に貯留され、ライン79を通じて、缶出流(7C)の残部とともに、前記脱高沸工程(高沸蒸留塔)(6)にもリサイクルされ、高沸点成分を除去している。
一方、サイドカットされた精製酢酸(7B)(ライン75)はコンデンサ又は冷却器で冷却され、ライン81を通じて、イオン交換処理工程(8)に供給され、処理された精製酢酸は、製品タンクT5に貯留できる。
第4のオーバーヘッド(7A)(ライン71)の組成は、例えば、以下の通りである。
Figure 2018146895
凝縮液72,73の組成は、例えば、第4のオーバーヘッド(7A)(ライン71)と同様であってもよい。また、凝縮液72,73の組成は、第4のオーバーヘッド(7A)(ライン71)の組成割合から、オフガス74の組成割合を減算した割合であってもよい。
オフガス74の組成は、例えば、以下の通りである。
なお、前記のように、蒸留塔(7)の圧力調整、計測機器の保護のため、不活性ガス(窒素ガス、一酸化炭素ガスなど)をパージすると、導入した不活性ガスの導入量に応じて、下記表中の窒素濃度などが大きく増加する。
Figure 2018146895
サイドカット精製酢酸(7B)(ライン75)の組成は、例えば、以下の通りである。
Figure 2018146895
なお、サイドカットされた精製酢酸(7B)をコンデンサで冷却しても、非凝縮ガスは殆ど発生しないようである。例えば、精製酢酸(7B)を冷却しても、非凝縮ガスの容積割合は、全流体の1%以下(例えば0.1%以下)である。そのため、コンデンサからの精製酢酸(8B)(ライン81)は、温度だけが異なり(例えば、17〜60℃)、前記精製酢酸(8B)と同様の組成を有している。
缶出流(7C)(ライン77,78,79)の組成は、例えば、Li,Rhを除き、サイドカット精製酢酸(7B)(ライン75)と同様である。Li,Rhの濃度は、例えば、以下の通りである。なお、蒸留塔(7)内に酸素が混入すると、サイドカット精製酢酸(7B)(ライン75)が着色するとともに、この缶出流(7C)がより着色する。
Figure 2018146895
(8)イオン交換処理工程
精製工程(精留塔)(7)からの酢酸流(7B)からヨウ素化合物を分離するため、酢酸流(7B)は冷却されてイオン交換槽(8)で処理され、精製酢酸流(8A)を生成し、この精製酢酸流(8A)はライン82を通じて製品タンクT5に収容されている。
イオン交換槽(8)で処理された酢酸流82の酸素濃度及び他の成分の組成は、例えば、イオン交換で除去される成分を除き、サイドカット精製酢酸(7B)(ライン75)と同様であってもよい。
なお、イオン交換槽(8)のイオン交換体には、ヨウ素化合物を除去又は吸着可能なイオン交換体(ゼオライト、活性炭、イオン交換樹脂など)、特に、カチオン交換樹脂が使用できる。カチオン交換樹脂は、弱酸性カチオン交換樹脂であってもよいが、強酸性カチオン交換樹脂、例えば、マクロレティキュラー型イオン交換樹脂などが好ましい。イオン交換体の少なくとも一部の活性部位(スルホン基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、ホスホン基などのカチオン性基など)は、金属(銀Ag、水銀Hg及び/又は銅Cuなど)で置換又は交換されていてもよい(又は金属担持イオン交換体であってもよい)。例えば、イオン交換体の活性部位の10〜80モル%、好ましくは25〜75モル%、さらに好ましくは30〜70モル%程度は、金属(銀Agなど)で置換又は交換された金属担持イオン交換体であってもよい。
イオン交換体(銀担持イオン交換樹脂など)は、通常、イオン交換塔又は処理ユニット内に収容又は充填され、酢酸流を、前記イオン交換体に接触(好ましくは通液)させることにより、ヨウ素化合物を除去できる。必要に応じて、酢酸流を連続的又は段階的に昇温して、前記イオン交換樹脂と接触(又は通液)させると、イオン交換体から前記金属が流出するのを防止しつつ、ヨウ素化合物を効率よく除去できる。イオン交換塔としては、少なくともイオン交換体(金属担持イオン交換体など)を内部に充填した充填塔、イオン交換体の床(例えば、粒状の形態のイオン交換体で形成された床)(ガードベッド)などを備えた塔が例示できる。イオン交換塔は、前記イオン交換体に加え、他のイオン交換体(カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、ノニオン交換樹脂など)を内部に備えていてもよい。また、前記イオン交換体を備えた塔と、他のイオン交換体を備えた塔とで酢酸流をイオン交換処理してもよい。例えば、アニオン交換樹脂塔に対して、金属担持イオン交換樹脂を含むイオン交換塔を下流側又は上流側に配置した処理ユニットを利用してもよい。前者の例の詳細は、例えば、国際公開WO02/062740号公報などを参照できる。
イオン交換処理の温度は、例えば、18〜100℃、好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは40〜60℃程度であってもよい。酢酸流の通液速度は、例えば、ガードベッドを利用する除去塔において、3〜15床容積/h、好ましくは5〜12床容積/h、さらに好ましくは6〜10床容積/h程度であってもよい。
なお、精製セクション(精製工程群又は精製ユニット群)(4)は、前記脱水工程(5)、脱高沸工程(6)、精製工程(精留塔)(7)及びイオン交換処理工程(8)から選択された少なくとも1つの工程を備えていてもよく、通常、少なくとも脱水工程(5)及び脱高沸工程(6)を備えている場合が多い。また、イオン交換処理工程(8)は、精製セクション(精製工程群)(4)の任意の工程、例えば、前記脱水工程(5)及び/又は脱高沸工程(6)の後で行ってもよく、脱高沸工程(6)と精製工程(精留塔)(7)との間で行ってもよい。
(9)分離セクション(工程群又はユニット群)
前記のように、第1の蒸留工程(3)からの第1のオーバーヘッド(3A)は、PRC類、ヨウ化メチル、酢酸メチルなどの不純物及び有用成分を含んでいる。そのため、分離セクション(工程群又はユニット群)(9)では、第1のオーバーヘッド(3A)から少なくともアセトアルデヒドが分離される。特に、分離セクション(9)では、第1のオーバーヘッド(3A)は、アセトアルデヒドに富むストリームと、有用なヨウ化メチルに富むストリームとに分離される。
分離セクション(9)は、(10)第1のオーバーヘッド(3A)を凝縮して二相に分液する工程(分液工程)、(11)分液した上相及び/又は下相からアセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッドを生成する工程(第1のアルデヒド分離工程又は蒸留工程)、(12)この工程(11)からの第5のオーバーヘッドからアセトアルデヒドを抽出し、アセトアルデヒドに富む抽出液と、ヨウ化メチルに富むラフィネートとに分離する工程(抽出工程)、(13)前記抽出液及び/又はラフィネートからアルデヒドを分離する工程(第2のアルデヒド分離工程又は蒸留工程)、及び(14)前記分液した上相及び/又は下相からアルカン類を分離する工程(アルカン分離工程又は蒸留工程)を含んでいてもよい。
(10)分液工程
分液工程(10)では、第1のオーバーヘッド(3A)(ライン31)を、コンデンサで冷却して凝縮し、ヨウ化メチルに富み、水などを含む凝縮液32をデカンタS2で水相38と有機相39との二相に分液している。一部の凝縮液(上相)は還流ライン42でスプリッターカラム(3)に還流するとともに、デカンタS2内で分液した上相(アセトアルデヒドに富む水相又は軽質相)38の少なくとも一部と、下相(ヨウ化メチルに富む有機相又は重質相)39の少なくとも一部とを、それぞれライン41,40を通じて、反応器(1)にリサイクルしている。
また、デカンタS2内で分液したヨウ化メチルに富む下相(有機相又は重質相)の少なくとも一部は、供給ライン111,112を経て、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッドを生成する第5の蒸留塔(蒸留工程)(11)に供給される。なお、デカンタS2からのヨウ化メチルに富む下相(有機相)には、第5の蒸留塔(蒸留工程)(11)からの底部流(11B)(ライン123)の一部(分岐流)124が合流し、反応器(1)にリサイクルしている。
コンデンサで凝縮しなかった非凝縮ガス(オフガス)33は、ヨウ化メチルに富み、一酸化炭素などを含んでおり、デカンタS2内の非凝縮ガスとともに、前記オフガスと同様に、ライン34,35,37を通じて、オフガス処理セクション(15)で処理される。なお、非凝縮ガス(オフガス)は、ライン34のコンデンサでさらに冷却して凝縮され、凝縮液は、ライン36を通じて、供給ライン111からの下相(有機相又は重質相)39と合流し、非凝縮ガスは、ライン35を通じて、デカンタS3に供給され、このデカンタS3内で液化した凝縮液は、供給ライン112からの下相(有機相又は重質相)39と合流し、デカンタS3内の非凝縮ガスは、ライン37を通じて、オフガス処理セクション(15)で処理している。
凝縮液32の組成は、例えば、第1のオーバーヘッド(3A)(ライン31)と同等であってもよい。また、凝縮液32の組成割合は、第1のオーバーヘッド(3A)の組成割合から、コンデンサで凝縮しなかった非凝縮ガス(オフガス)33の組成割合を減算した割合であってもよい。
デカンタS2の上相(水相)38の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
反応器及びスプリッターカラム(3)へのライン41での上相(水相)の組成も、例えば、デカンタS2の上相(水相)38と同様であってもよい。
デカンタS2の下相(有機相)39の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
コンデンサからの非凝縮ガス(オフガス)(ライン33)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
非凝縮ガスのライン34の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
非凝縮ガスのライン35の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
凝縮液のライン36の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
デカンタS3からの非凝縮ガスのライン37の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
下相(有機相又は重質相)の供給ライン111の組成は、例えば、デカンタS2の下相(有機相)39の組成と同様であってもよい。
供給ライン112の組成は、例えば、デカンタS2の下相(有機相)39の組成と同様であってもよい。また、供給ライン112の組成割合は、下相(有機相又は重質相)の供給ライン111の組成割合と凝縮液のライン36の組成割合とが加重平均された割合であってもよい。
なお、デカンタS2からの上相と下相との抜き取り流量の割合(重量比)は、例えば、上相/下相=0.1/1〜10/1(例えば、0.3/1〜3/1)、好ましくは0.5/1〜2/1(例えば、0.7/1〜1.5/1)程度であってもよい。また、上相のスプリッターカラム(3)への還流量と反応系(1)へのリサイクル量との流量の割合(重量比)は、前者/後者=2/1〜1000/1(例えば5/1〜200/1)、好ましくは10/1〜100/1(例えば、15/1〜50/1)程度であってもよい。
なお、第1のオーバーヘッド(3A)は、凝縮してデカンタS2内で分液することなく、第1のアルデヒド分離工程(11)に供給してもよく、アセトアルデヒドに富む上相(水相又は軽質相)と、ヨウ化メチルに富む下相(有機相又は重質相)とに分液し、上相及び下相のうち少なくとも一方の相を第1のアルデヒド分離工程(11)及び/又は反応器(1)に与えてもよい。また、反応器(1)には、上相(水相又は軽質相)の一部をリサイクルしているが、下相(有機相又は重質相)をリサイクルしてもよい。また、第1のアルデヒド分離工程(11)には、下相(有機相又は重質相)に代えて上相(水相又は軽質相)を供給してもよい。
第1のオーバーヘッド(3A)を、冷却温度が順次低下した複数のコンデンサで順次に冷却して、温度が順次に低下した凝縮液を生成させると、第1段目のコンデンサで凝縮したプロセス液(凝縮液)よりも、後段のコンデンサによる凝縮液中には、アセトアルデヒドが高濃度に存在する。そのため、アセトアルデヒドが高濃度に濃縮された濃縮液を第5の蒸留工程(11)に供し、アセトアルデヒドを分離してもよい。
(11)第1のアルデヒド分離工程(第5の蒸留工程)
分液工程(10)のデカンタS2からのライン112の凝縮液[ヨウ化メチルに富み、酢酸メチルなどを含む有機相又は重質相39の少なくとも一部112]は、加熱ユニットで加熱されてホールドタンクS4で保持され、気液分離又は脱ガス処理が行われ、このホールドタンクS4の凝縮混合液(ヨウ化メチルに富み、酢酸メチルなどを含む)はライン114を通じて、第1のアルデヒド分離工程(第5の蒸留工程又は蒸留塔)(11)で蒸留され、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッド(11A)を生成させる。具体的には、この例では、第1のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(11)では、分液工程(10)で分液し、供給ライン112,114を経て供給される有機相(ヨウ化メチルに富む重質相)を蒸留し、塔頂又は上部から留出ライン(ライン115)を通じて留出する第5のオーバーヘッド(11A)と、缶出ライン123を通じて流出する底部流(11B)とに分離している。ホールドタンクS4の気相は、ヨウ化メチルなどを含んでおり、ライン113を通じて、前記分液工程(10)のデカンタS2の非凝縮ガスと合流して、コンデンサで冷却して凝縮している。
底部流(11B)123は、酢酸、水などを含んでおり、底部流(11B)の第1の部分は第1のアルデヒド分離工程(蒸留塔)(11)にリサイクルされ、底部流(11B)の第2の部分(又は残部)はライン124を通じて、デカンタS2からのヨウ化メチルに富む下相(有機相)と合流し、反応器(1)へリサイクルされている。
一方、第5のオーバーヘッド(11A)(ライン115)は、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富んでおり、コンデンサで冷却して凝縮され、凝縮液はライン117,119を通じてホールドタンクT6に貯留され、ヨウ化メチルなどを含む非凝縮ガスはライン116,118を通じて、前記分液工程(10)のデカンタS2の非凝縮ガスと合流して、コンデンサで冷却して凝縮している。また、ホールドタンクT6の凝縮液の一部はライン120,121を経て第1のアルデヒド分離工程(蒸留工程)(11)に還流され、凝縮液の残部は、ライン122のコンデンサで冷却され、ライン125を経て抽出工程(12)の水抽出ユニット(水抽出蒸留塔)(12)に供給されている。
デカンタS4の凝縮液(ライン114)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、デカンタS4の凝縮液(ライン114)の組成は、非凝縮ガスの成分濃度及びDMEの濃度を除き、前記デカンタS2の有機相39の組成又は供給ライン112の組成と同様であってもよい。そのため、下表には、非凝縮ガスの成分濃度及びDMEの濃度を示す。
Figure 2018146895
デカンタS4の非凝縮ガス(ライン113)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
第5のオーバーヘッド(11A)(ライン115)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
第5のオーバーヘッド(ライン115)のコンデンサによる凝縮液(ライン120,121,122)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、凝縮液(ライン120,121,122)の組成は、非凝縮ガスの成分濃度を除き、第5のオーバーヘッド(11A)(ライン115)の組成と同様であってもよい。そのため、下表には、非凝縮ガスの成分の濃度を示す。
Figure 2018146895
第5のオーバーヘッド(ライン115)のコンデンサによる非凝縮ガス(ライン118)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、前記のように、蒸留塔の圧力コントロール、凝縮性ガスからの液面計、圧力計、温度計などの保護のため、不活性ガス(窒素ガス、一酸化炭素ガス)などをパージする場合がある。このような成分の導入により、ライン115,116,118での非凝縮ガスのガス組成は大きく変化するとともに、他の成分濃度も、導入された不活性ガスで希釈され、大きく変化する。
Figure 2018146895
第5の蒸留塔(11)の底部流(11B)123,124の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、第1のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(11)では、分液工程(10)で凝縮した凝縮液を蒸留して、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッド(11A)を生成させればよく、上相(水相、アセトアルデヒドに富む軽質相)を蒸留してもよく、下相(有機相、ヨウ化メチルに富む重質相)を蒸留してもよく、上相及び下相の凝縮混合液を蒸留してもよい。第5の蒸留工程(11)の蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
(12)抽出工程(抽出蒸留塔又は第6の蒸留塔)
抽出工程(12)の水抽出ユニット(水抽出蒸留塔)では、第5のオーバーヘッド(11A)(コンデンサで冷却した凝縮液)からアセトアルデヒドを抽出し、アセトアルデヒドに富む抽出液と、ヨウ化メチルに富むラフィネートとに分離する。具体的には、抽出工程(抽出蒸留塔又は第6の蒸留塔)(12)には、供給ライン125からの凝縮液と、下部の供給ライン126からの抽剤(水)とが供給される。抽出工程(水抽出塔)(12)では、第5のオーバーヘッド(11A)は、塔頂又は上部の留出ライン131からの水抽出液(アセトアルデヒドを抽出した抽出液)と、缶出ライン132からのヨウ化メチルに富むラフィネートとに分離される。ラフィネート132は廃液として廃棄されるか又は反応器(1)へリサイクルされ、水抽出液131は、さらに第2のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(13)に供給されている。
供給ライン126からの抽剤(水)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
水抽出液131の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
ラフィネート(抽残液)132の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
水抽出蒸留では、凝縮混合液を水抽出蒸留塔に供給するとともに、蒸留塔の上部から抽剤(水)を供給し、塔頂又は上部からのヨウ化メチルに富むラフィネートと、缶出からの水抽出液(アセトアルデヒドを抽出した抽出液)とに分離してもよい。水抽出蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
なお、抽出工程(12)では、抽出蒸留に代えて、抽出ユニット(抽出器)を利用してもよい。この抽出ユニットでは、単一又は複数の抽出器を備えてもよい。抽出器としては、例えば、ミキサーとセトラーとの組み合わせ、スタティックミキサーとデカンタとの組み合わせ、RDC(rotated disk contactor)、Karr塔、スプレー塔、充填塔、多孔板塔、邪魔板塔、脈動塔などを用いることができる。抽出器(抽出塔)は、水と混合して抽出でき分液可能な単回(シングルステージ)抽出装置であってもよく、このシングルステージ抽出装置をカスケード式に配置してもよい。例えば、複数の抽出器(理論段1の抽出器)を用いて順次に抽出する多段(マルチステージ)抽出装置であってもよい。また、複数の抽出器を1つの装置内に配置したマルチステージ抽出装置であってもよく、例えば、多段(マルチステージ)抽出装置と等価な理論段(多段抽出に対応する理論段)を有する単一の抽出装置であってもよい。また、抽出は回分式、連続式のいずれの方式で行ってもよく、並流抽出、向流抽出のいずれであってもよい。
さらに、少なくとも一部のラフィネートを反応器にリサイクルし、少なくとも一部の水抽出液を後続の第2のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(13)に供給してもよい。
(13)第2のアルデヒド分離工程(第7の蒸留塔)
第2のアルデヒド分離工程(第7の蒸留工程又は蒸留塔)(13)では、アセトアルデヒドに富む水抽出液131を蒸留し、第1のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(11)と同様に、塔頂又は上部から留出ライン141を通じて留出する第6のオーバーヘッド(13A)と、缶出ライン146を通じて流出する底部流(13B)とに分離している。
底部流(13B)(ライン146)は、水などを含んでおり、底部流(13B)の第1の部分は、第2のアルデヒド分離工程(蒸留塔)(13)にリサイクルされ、底部流(13B)の第2の部分(又は残部)はライン146を通じて焼却炉に供給され焼却されている。
第6のオーバーヘッド(13A)は、アセトアルデヒドに富んでおり、留出ライン141のコンデンサで冷却して凝縮され、ホールドタンクT7に貯留された凝縮液の一部は還流ライン143を経て第2のアルデヒド分離工程(蒸留工程)(13)に還流され、凝縮液の残部はライン144を通じて焼却ユニットで焼却されている。また、コンデンサで凝縮しなかった非凝縮ガスは、ライン145を通じて前記分液工程(10)のデカンタS2の非凝縮ガスと合流し、コンデンサで冷却して凝縮している。
第6のオーバーヘッド(13A)(ライン141)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
コンデンサの凝縮液143,144の組成は、非凝縮ガスの成分濃度を除き、第6のオーバーヘッド(13A)(ライン141)の組成と同様であってもよい。そのため、下表には、コンデンサの非凝縮ガスの成分の濃度を示す。
Figure 2018146895
コンデンサの非凝縮ガス145の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
なお、前記のように、不活性ガスのパージ量により、非凝縮ガス145の組成は大きく変化する。
Figure 2018146895
底部流(13B)(ライン146)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、第2のアルデヒド分離工程(蒸留工程又は蒸留塔)(13)では、水抽出液131の少なくとも一部に代えて、ヨウ化メチルに富むラフィネート132の少なくとも一部を蒸留してもよく、少なくとも一部の水抽出液131及び少なくとも一部のラフィネート132を蒸留し、アセトアルデヒドを含むオーバーヘッド(13A)を生成させてもよい。第5の蒸留工程(13)の蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
(14)アルカン分離工程(蒸留工程、第8の蒸留塔)
アルカン分離工程(蒸留工程)(14)では、前記分液工程(10)で分液した上相の一部41及び/又は下相の一部40からアルカン類を分離する。具体的には、この例では、下相(ヨウ化メチルに富む有機相又は重質相)の一部40は、アルカン分離工程(蒸留工程)(14)で蒸留され、塔頂又は上部から留出ライン151を通じて留出する第7のオーバーヘッド(14A)と、缶出ライン152を通じて流出する底部流(14B)とに分離している。
アルカン類を含む底部流(14B)の一部は加熱されアルカン分離工程(蒸留工程)(14)にリサイクルされ、底部流(14B)の残部は焼却炉ユニットに供給され焼却されている。
一方、第7のオーバーヘッド(14A)は、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含んでおり、留出ライン151のコンデンサで冷却して凝縮され、タンクT8に貯留された凝縮液の一部はアルカン分離工程(蒸留工程)(14)に還流され、凝縮液の残部は、反応器(1)にリサイクルされている。また、非凝縮ガスは、ライン113を通じて、前記分液工程(10)のデカンタS2の非凝縮ガスと合流して、コンデンサで冷却して凝縮している。
第7のオーバーヘッド(14A)(ライン151)の組成は、例えば、前記デカンタS2の有機相39の組成と同様であってもよい。
底部流(14B)(ライン152)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
なお、第8の蒸留工程又はアルカン分離工程(14)の蒸留塔としては、棚段塔、充填塔などが利用できる。
分離セクション(9)は、前記工程(10)〜(14)のうち、少なくとも工程(10)分液工程、(11)第1のアルデヒド分離工程又は蒸留工程、(12)抽出工程及び(13)第1のアルデヒド分離工程又は蒸留工程を備えている場合が多い。
(15)オフガス処理セクション(又は工程群若しくはユニット群)
前記プロセスから発生するオフガスにも、一酸化炭素、ヨウ化メチルなどの有用な成分が含まれている。そのため、オフガス処理セクション(15)でオフガスを処理し、有用成分を回収するのが好ましい。オフガス処理セクション(15)は、例えば、(16)高圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程(高圧吸収工程)、(17)低圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程(低圧吸収工程)、(18)前記吸収工程(16)及び(17)で吸収されたガス成分を放散する工程(放散工程)を含んでいてもよい。
前記吸収溶媒としては、例えば、酢酸系溶媒、メタノール系溶媒が使用できる。酢酸系溶媒の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
メタノール系溶媒の組成は、例えば、次のようであってもよい。
Figure 2018146895
なお、メタノール系溶媒からは、ヨウ化メチルMeI、酢酸メチルMA、酢酸AcOH、ヨウ化水素HI、ギ酸FrOH、プロピオン酸PrOH、無水酢酸AcA、リチウムLi、ロジウムRhは検出されない場合が多い。
(16)高圧吸収工程
オフガス処理セクション(15)において、前記反応器(1)からの非凝縮ガス(一酸化炭素及びヨウ化メチルに富むオフガス)11は、高圧吸収工程又は第1の吸収工程(16)の高圧吸収塔(16)で吸収溶媒としての酢酸197と接触してスクラビングし、一酸化炭素に富む塔頂ストリーム171と、ヨウ化メチル、酢酸メチル及び水に富む底部又は下部酢酸ストリーム174とに分離している。塔頂ストリーム(又はガス流)171の一部172は、フラッシャー(触媒分離塔)(2)に供給され、塔頂ストリーム171の残部173は、ボイラーに供給して、プロセスの熱源として利用され、またはフレアースタックやベントスタックにて大気排出される。塔頂ストリーム171の残部173は、焼却又は回収してもよい。底部又は下部酢酸ストリーム174は放散塔(18)に供給される。
塔頂ストリーム171の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
底部酢酸ストリーム174の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
(17)低圧吸収工程
第1の蒸留工程(3)のコンデンサで凝縮しなかった非凝縮ガス(デカンタS2内の非液化成分)37と、フラッシャー(触媒分離塔)(2)からの非凝縮ガス(酢酸、ヨウ化メチル及び酢酸メチルに富むオフガス)30とは、互いに合流して混合物(又は混合ガス)176として、低圧吸収工程又は第2の吸収工程(17)の低圧吸収塔(17)で吸収溶媒としての酢酸196と接触してスクラビングし、一酸化炭素、二酸化炭素及び窒素に富む塔頂ストリーム181と、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチルに富む底部酢酸ストリーム182とに分離している。塔頂ストリーム181は高圧吸収塔(16)の塔頂ストリーム171と合流し、混合ガス173としてボイラーに供給して、プロセスの熱源として利用され、底部酢酸ストリーム182の一部184は高圧吸収塔(16)の底部又は下部酢酸ストリーム174の一部と合流してフラッシャー(触媒分離塔)(2)に供給され、底部酢酸ストリーム182の残部183は高圧吸収塔(16)の底部又は下部酢酸ストリーム175と合流し、混合酢酸ストリーム185として放散塔(18)に供給されている。
混合物(又は混合ガス)176の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
塔頂ストリーム(ライン181)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
底部酢酸ストリーム(ライン182)の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
(18)放散工程
放散工程(18)の放散塔(ストリッピング塔)では、混合酢酸ストリーム185を蒸留してストリッピングし、ヨウ化メチル及び酢酸に富む塔頂ストリーム(酢酸メチル、アセトアルデヒドなども含む)191と、酢酸、酢酸メチル及び水に富む底部酢酸ストリーム194とに分離している。底部酢酸ストリーム194の第1の部分を加熱ユニットで加熱して放散塔(18)の下部に戻している。また、底部酢酸ストリーム194の第2の部分(又は残部)は、第3の蒸留塔(6)の第3のオーバーヘッド61の凝縮液の一部(酢酸に富み、ホールドタンクT3に貯留された凝縮液の一部)65と合流して混合され、この混合液195の一部197を、高圧吸収塔(16)の上部にリサイクルし、混合液195の残部196を低圧吸収塔(17)の上部にリサイクルしている。
塔頂ストリーム191は、コンデンサで冷却して凝縮され、非凝縮ガス(ヨウ化メチル及び一酸化炭素に富み、二酸化炭素、メタン、酢酸エチル、アセトアルデヒドなども含むストリーム)192は、分液工程(10)のデカンタS2の非凝縮ガスと合流して、コンデンサで冷却して凝縮している。塔頂ストリーム191の凝縮液(ヨウ化メチル、酢酸及び酢酸メチルに富み、水、アセトアルデヒドなども含むストリーム)193は、フラッシャー(触媒分離塔)(2)からの揮発相24の凝縮液26,28を貯留するホールドタンクT1に供給されている。このホールドタンクT1を介して、凝縮液193は反応器(1)にリサイクルされている。凝縮液193は反応器(1)に直接的にリサイクルしてもよい。
混合酢酸ストリーム185の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
塔頂ストリーム191の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
底部酢酸ストリーム194の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
混合液195の一部197、196の組成は、例えば、底部酢酸ストリーム194の組成と同様であってもよい。
塔頂ストリーム191の非凝縮ガス192の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
塔頂ストリーム191の凝縮液193の組成は、例えば、以下の通りであってもよい。
Figure 2018146895
オフガス処理セクション(15)は、前記工程(16)〜(18)のうち高圧吸収工程(16)及び低圧吸収工程(17)から選択された少なくとも1つの吸収工程を備えている場合が多い。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
腐食試験では、以下のテストピースを用いた。
[テストピース]
Zr:ジルコニウム、ATIジャパン(株)製
HB2:小田鋼機(株)製、ハステロイB2(ニッケル基合金)
HC276:小田鋼機(株)製、ハステロイC(ニッケル基合金)
SUS316:小田鋼機(株)製、ステンレス鋼。
以下の腐食に関する試験項目について評価した。
[テストピースの腐食速度]
腐食試験後のテストピースの重量を測定し、腐食速度を計算した。すなわち、腐食に伴うテストピースの重量減を測定し、一年間あたりのテストピースの腐食速度(厚みの減肉量)をmmに換算して単位「mm/Y」として腐食量(腐食速度)を評価した。
[部分腐食の有無]
テストピースの部分腐食の有無を目視で調べた。なお「部分腐食」は、ビード腐食、孔食、点食を含む。
[着色度]
JIS規格に従って、混合液のAPHA(ハーゼン色数)を測定した。APHAの数値が大きいほど、着色度が大きいことを意味する。
[液相及び気相の組成(成分割合)]
比較例及び実施例並びに表に示す組成(成分割合)は、有機物及び水の濃度についてはガスクロマトグラフィで測定し、ヨウ化リチウム(LiI)濃度は原子吸光分析で測定した。また、ヨウ化水素(HI)濃度は、全ヨウ素イオン(I)濃度からヨウ化物塩由来のヨウ素イオン濃度を減じることにより算出した。また、各液相及び気相の成分の総量は不純物及び微量成分も含め100%であるが、分析値の誤差及び有効数字(又は所定桁数の数字)への切り上げ又は切り捨てにより、総量が100%とならない場合がある。
なお、ヨウ化メチルを除く非凝縮ガス成分(水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、窒素、酸素)の濃度に関し、1重量%未満及び1体積%未満の成分の濃度は、有効数字2桁目まで四捨五入で計算し、1重量%以上及び1体積%以上の成分の濃度は、小数点以下1桁目を四捨五入した。
比較例1〜14及び実施例1〜22
比較例1
ジルコニウムZr製オートクレーブ(容積500ml)に、MeI 39g、水6.3g、HI 0.003g、MA 8.4g、酢酸207g、PA 0.03g、LiI 46gを入れ、テストピース(サイズ:36mm×25mm×2.5mm)をオートクレーブ内にセットして蓋を閉め、オートクレーブ内の液を窒素ガスNでバブリングして液中に溶解している酸素を置換した後、DME 0.003g、AD 0.06gを仕込んだ。窒素ガスNでオートクレーブの圧力を大気圧から1MPaまで昇圧した後、大気圧まで減圧する操作を3回実施し;さらに、混合ガス(93vol%CO、7vol%O)で1MPaまで昇圧した後、大気圧まで減圧する操作を3回実施した後;混合ガス(93vol%CO、7vol%O)を4MPaまで注入した後徐々に放圧し、放圧ガスを酸素濃度計[ガルバニ式酸素濃度計(株式会社テクネ計測製「モデル1000RS」)]で測定して酸素が7vol%となっていることを確認した。その後、1MPaまで放圧後、オイルバスでオートクレーブを190℃に加熱し、加熱後の定常圧力を2.8MPaに維持した。定常条件で100時間経過後、室温まで冷却後、オートクレーブのノズルから混合液をサンプリングして組成分析し、着色度(APHA)を測定した。また、オートクレーブ内をN置換後に開放してテストピースを取り出して重量を測定し、腐食速度を計算した。
なお、気相での酸素濃度が7vol%、全圧1MPa中の液相の酸素溶解濃度をアスペン+(プラス)(Aspen Technology, Inc.社製)で計算したところ、7.0×10−5g/gであった。
比較例2〜11
仕込組成と、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて、腐食テストを実施した。
比較例12
仕込組成と、仕込ガス組成(93vol%N、7vol%O)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
比較例13
図1に示す酢酸の連続製造プロセスにおいて、メタノールと一酸化炭素(酸素濃度10重量%(9vol%)の一酸化炭素)とを、カルボニル化反応器で連続的に反応させ、前記反応器からの反応混合物をフラッシャーに連続的に供給し、フラッシュ蒸発により、低揮発相(ロジウム触媒、ヨウ化リチウム、酢酸、酢酸メチル、ヨウ化メチル、水、およびヨウ化水素を少なくとも含む缶出成分)と、揮発相(ガス状成分の液化物の液温140℃)とに分離し、この揮発相を第1の蒸留塔に供給した。
揮発相は、ヨウ化メチル(MeI)26.8重量%、酢酸メチル(MA)4.5重量%、水(HO)2.0重量%、ヨウ化水素(HI)500重量ppm、アセトアルデヒド(AD)600重量ppm、酢酸62.8重量%、水素0.0070重量%(70重量ppm)、一酸化炭素2重量%、二酸化炭素0.060重量%(600重量ppm)、メタン0.070重量%(700重量ppm)、窒素0.070重量%(700重量ppm)、及び酸素並びにその他の微量成分(合計100重量%)を含んでいた。
また、第1の蒸留塔の缶出液の差圧式液面計の圧力センサー部分に、酢酸蒸気、液が侵入して前記液面計が誤作動するのを防止するため、前記差圧式液面計の気相側に、第1の蒸留塔への揮発相の仕込重量100重量部に対して、空気9重量部をパージした。
揮発相100重量部を第1の蒸留塔(実段数:20段、仕込段:下から2段)に供給し、ゲージ圧150kPa、塔底温度143℃、塔頂温度115℃、軽質相還流比12で蒸留し、オーバーヘッドをコンデンサで冷却して凝縮液と非凝縮ガスとを生成させ、凝縮液(温度40℃)をデカンタで分液し、水相(軽質相)1.3重量部及び有機相(重質相)30重量部を反応器にリサイクルした。また、コンデンサからは非凝縮ガス(オフガス流)13重量部を抜き取った。
なお、第1の蒸留塔の塔頂組成(オーバーヘッドの組成)は、ヨウ化メチル(MeI)43.2重量%、酢酸メチル(MA)7.5重量%、水(HO)21.1重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸5.9重量%、水素0.010重量%(100重量ppm)、一酸化炭素4重量%、二酸化炭素0.10重量%(1000重量ppm)、メタン0.11重量%(1100重量ppm)、窒素12重量%、酸素6重量%(7vol%)、その他の微量成分(合計100重量%)であり;コンデンサからの非凝縮ガス(オフガス流)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)3.6重量%、酢酸メチル(MA)0.2重量%、水(HO)200重量ppm、ヨウ化水素(HI)(測定せず)、酢酸200重量ppm、水素0.040重量%(400重量ppm)、一酸化炭素17重量%、二酸化炭素0.50重量%、メタン0.50重量%、窒素53重量%、酸素25重量%(23vol%)、その他の微量成分(合計100重量%)であった。また、コンデンサの水相(軽質相)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)3.3重量%、酢酸メチル(MA)6.6重量%、水(HO)73.0重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸17.0重量%、酸素0.0080重量%(80重量ppm)、その他の微量成分(合計100重量%)であり;有機相(重質相)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)86重量%、酢酸メチル(MA)11.1重量%、水(HO)0.5重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸2.0重量%、酸素0.0090重量%(90重量ppm)、その他の微量成分(合計100重量%)であった。
第1の蒸留塔のサイドカット流62.8重量部を第2の蒸留塔に供給して脱水精製した。上記サイドカット流の組成は、ヨウ化メチル(MeI)2.4重量%、酢酸メチル(MA)1.6重量%、水(HO)1.3重量%、ヨウ化水素(HI)45重量ppm、酢酸94.6重量%、酸素0.0090重量%(90重量ppm)、その他の微量成分(合計100重量%)であった。フィード(揮発相)の残りを缶出流として、反応系にリサイクルした。なお、揮発相、水相(軽質相)及び有機相(重質相)、オフガス流、サイドカット流及び缶出流などの流体の「重量部」は単位時間(1時間)当たりの流量を示す(以下、同じ)。
このような連続反応プロセスにおいて、第1蒸留塔への仕込段(下から2段、温度140℃)、及び塔頂部(下から19段)に、前記テストピースを入れて、500時間保持して腐食テストを行い、テスト前後のテストピースの重量を測定し、腐食量を求めた。
また、第1の蒸留塔からの粗酢酸(サイドカット流)のAPHAを測定した。
比較例14
図1に示す酢酸の連続製造プロセスにおいて、メタノールと一酸化炭素(酸素濃度10重量ppm)とをカルボニル化反応器で連続的に反応させ、比較例13と同様にして、フラッシャーからの揮発相を第1の蒸留塔で蒸留し、第1の蒸留塔のサイドカット流100重量部を第2の蒸留塔に供給して脱水精製した。なお、第2の蒸留塔の缶出液の差圧式液面計の圧力センサー部分に、酢酸蒸気、液が侵入して前記液面計が誤作動するのを防止するため、前記差圧式液面計の気相側に、サイドカット流の仕込重量100重量に対して、空気11重量部をパージした。
第2の蒸留塔(実段数:50段、仕込段と塔頂蒸気抜き取り段との段間隔:実段で15段)では、塔頂ゲージ圧200kPa、塔底温度161℃、塔頂温度150℃、還流比0.5(還流量/留出量)で蒸留した。
なお、第2の蒸留塔の塔頂からオーバーヘッド60重量部を抜き取った。オーバーヘッドの組成は、ヨウ化メチル(MeI)6.3重量%、酢酸メチル(MA)4.1重量%、水(HO)3.3重量%、ヨウ化水素(HI)10重量ppm、水素0重量ppm、一酸化炭素0.00010重量%(1.0重量ppm)、二酸化炭素0重量ppm、メタン0重量ppm、窒素14重量%、酸素4重量%(7vol%)、及びその他の微量成分を含み、残りは酢酸であった。
第2の蒸留塔からのオーバーヘッドをコンデンサで冷却後、還流タンクにホールドし、タンク内の凝縮液の一部32重量部を留出させ、反応系にリサイクルした。また、還流比0.5で、第2の蒸留塔に凝縮液の一部16重量部を還流させた。凝縮液の組成は、ヨウ化メチル(MeI)7.7重量%、酢酸メチル(MA)5.0重量%、水(HO)4.1重量%、ヨウ化水素(HI)9重量ppm、酸素0.0070重量%(70重量ppm)、及びその他の微量成分を含み、残りは酢酸であった。コンデンサからは非凝縮ガス11重量部を抜き取った。非凝縮ガスの組成は、酸素22重量%(20vol%)、窒素78重量%(70vol%)であり、他の成分は無視できる量であった。
脱水精製後の粗酢酸を第2の蒸留塔からの缶出流として抜き取った。缶出流(粗酢酸)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)6重量ppb、水(HO)0.05重量%、ヨウ化水素(HI)4重量ppb、酢酸メチル(MA)6重量ppm、及びその他の微量成分(酸素を含む)を含み、残りは酢酸であった。なお、仕込液、オーバーヘッド(留出液)、オフガス流、及び缶出流などの流体の「重量部」は単位時間(1時間)当たりの流量を示す(以下、同じ)。
このような連続反応プロセスにおいて、第2蒸留塔の缶出の下から2段(空気パージラインの上段))及び塔頂部(下から50段)に、前記テストピースを入れて、500時間保持して腐食テストを行い、テスト前後のテストピースの重量を測定し、腐食量を求めた。
また、第2の蒸留塔への仕込液(第1の蒸留塔のサイドカット流)と、第2の蒸留塔からの缶出流(粗酢酸)のAPHAを測定した。
実施例1〜10
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.010vol%の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
実施例11
仕込組成と、仕込ガス組成(95vol% CO、5vol% O)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。なお、気相での酸素濃度は1vol%であり、全圧140kPa中の液相の酸素溶解濃度をアスペン+(プラス)(Aspen Technology, Inc.社製)で計算したところ、4.0×10−6g/gであった。
実施例12
仕込組成と、仕込ガス組成(99vol% CO、1vol% O)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
実施例13
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.00010vol%(1.0 vol ppm)の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。ただし、放圧ガス中の酸素濃度が1.0 vol ppmとなるまでに、さらに、混合ガス(酸素Oを0.00010vol%の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)による1MPaG加圧、大気圧放圧を4回繰り返した。すなわち、結果的に計7回の1MPaG加圧及び大気圧放圧を繰り返した後、最後に4MPaまで張り込んだ後放圧し、放圧ガスを酸素濃度計で測定して酸素が1.0 vol ppmとなっていることを確認した後、比較例1と同様の腐食テストを実施した。
実施例14
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.10vol%の濃度で含み、残りが窒素Nである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
実施例15
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.010vol%の濃度で含み、残りが窒素Nである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
実施例16
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.0010vol%の濃度で含み、残りが窒素Nである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。ただし、放圧ガス中の酸素濃度が0.0010vol%となるまでに、さらに、混合ガス(酸素Oを0.0010vol%の濃度で含み、残りがNである混合ガス)による1MPaG加圧、大気圧放圧を3回繰り返した。すなわち、結果的に計6回の大気圧放圧、1MPaG加圧を繰り返した後、最後に4MPaまで張り込んだ後放圧し、放圧ガスを酸素濃度計で測定して酸素が0.0010vol%となっていることを確認後、比較例1と同様の腐食テストを実施した。
実施例17
仕込組成と、仕込ガス組成(2vol% H、15vol% CO、7vol% CH、8vol% N、0.010vol%O、残りが一酸化炭素COである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。
実施例18
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.00010vol%(1.0vol ppm)の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。ただし、放圧ガス中の酸素濃度が1.0vol ppmとなるまでに、さらに、混合ガス(酸素Oを0.00010vol%の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)による1MPaG加圧、大気圧放圧を4回繰り返した。すなわち、結果的に計7回の大気圧放圧、1MPaG加圧を繰り返した後、最後に4MPaまで張り込んだ後放圧し、放圧ガスを酸素濃度計で測定して酸素が1.0vol ppmとなっていることを確認後、比較例1と同様の腐食テストを実施した。
実施例19
仕込組成と、仕込ガス組成(酸素Oを0.000010vol%(0.10 vol ppm)の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)、圧力、加熱温度を変更した以外は、比較例1と同様の方法にて腐食テストを実施した。ただし、放圧ガス中の酸素濃度が0.10vol ppmとなるまでに、さらに、混合ガス(酸素Oを0.000010vol%)の濃度で含み、残りが一酸化炭素COである混合ガス)による1MPaG加圧、大気圧放圧を4回繰り返した。すなわち、結果的に計7回の大気圧放圧、1MPaG加圧を繰り返した後、最後に4MPaまで張り込んだ後放圧し、放圧ガスを酸素濃度計で測定して酸素が0.10vol ppmとなっていることを確認後、比較例1と同様の腐食テストを実施した。
実施例20
カルボニル化反応器への一酸化炭素中の酸素濃度を調整し、フラッシャーからの揮発相の酸素濃度を3重量%から0.1重量%に変更した以外は、比較例13と同様にして腐食試験を行った。なお、一酸化炭素中の酸素濃度を低下させたことに伴って、第1の蒸留塔へ供給する揮発相の組成が変化し、揮発相は、ヨウ化メチル(MeI)27.6重量%、酢酸メチル(MA)4.6重量%、水(HO)2.0重量%、ヨウ化水素(HI)450重量ppm、酢酸64.6重量%、水素0.0070重量%(70重量ppm)、一酸化炭素0.60重量%(6000重量ppm)、二酸化炭素0.070重量%(700重量ppm)、メタン0.070重量%(700重量ppm)、窒素0.070重量%(700重量ppm)、酸素0.30重量%(0.60vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)を含んでいた。また、第1蒸留塔の塔頂組成(オーバーヘッドの組成)は、ヨウ化メチル(MeI)54.2重量%、酢酸メチル(MA)9.4重量%、水(HO)26.5重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸7.3重量%、水素0.010重量%(100重量ppm)、一酸化炭素1重量%、二酸化炭素0.14重量%(1400重量ppm)、メタン0.15重量%(1500重量ppm)、窒素0.15重量%(1500重量ppm)、酸素0.20重量%(2000重量ppm)(0.30vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であった。また、塔頂オーバーヘッドを冷却するコンデンサからは非凝縮ガス(オフガス流)1.4重量部が抜き取られ、非凝縮ガスの組成は、ヨウ化メチル(MeI)35重量%、酢酸メチル(MA)2.0重量%、水(HO)1000重量ppm、ヨウ化水素(HI)測定せず、酢酸700重量ppm、水素0.50重量%(5000重量ppm)、一酸化炭素41重量%、二酸化炭素5重量%、メタン5重量%、窒素5重量%、酸素6重量%(6vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であった。なお、オーバーヘッドの凝縮液をデカンタで分液し、水相(軽質相)1.4重量部、及び有機相(重質相)30重量部を反応器にリサイクルし、第1の蒸留塔からの缶出流3重量部を反応器にリサイクルし、フィード(揮発相)の残りを第1の蒸留塔からサイドカット流として抜き取った。これらのプロセス流(水相、有機相及びサイドカット流)の組成は、ほぼ比較例13と同等であった。
実施例21
第2の蒸留塔の缶出液の差圧式液面計の気相側に、第1の蒸留塔のサイドカット流の仕込量100重量部に対して、酸素6重量%含有窒素1重量部をパージした以外は、比較例14と同様にして腐食試験を行った。
なお、第2の蒸留塔の塔頂からオーバーヘッド50重量部を抜き取った。オーバーヘッドの組成は、ヨウ化メチル(MeI)7.5重量%、酢酸メチル(MA)4.9重量%、水(HO)4.0重量%、ヨウ化水素(HI)10重量ppm、水素0重量ppm、一酸化炭素0.00010重量%(1.0重量ppm)、二酸化炭素0重量ppm、メタン0重量ppm、窒素2重量%、酸素0.40重量%(0.90vol%)、及びその他の微量成分を含み、残りは酢酸であった。
第2の蒸留塔からのオーバーヘッドをコンデンサで冷却後、還流タンクにホールドし、タンク内の凝縮液の一部32重量部を留出させ、反応系にリサイクルした。また、還流比0.5で、第2の蒸留塔に凝縮液の一部16重量部を還流させた。凝縮液の組成は、ヨウ化メチル(MeI)7.7重量%、酢酸メチル(MA)5.0重量%、水(HO)4.1重量%、ヨウ化水素(HI)9重量ppm、酸素0.00020重量%(2.0重量ppm)、及びその他の微量成分を含み、残りは酢酸であった。コンデンサからは非凝縮ガス1重量部を抜き取った。非凝縮ガスの組成は、酸素7重量%(6vol%)、窒素93重量%(94vol%)であり、他の成分は無視できる量であった。第2の蒸留塔からの缶出流(粗酢酸)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)4重量ppb、水(HO)0.05重量%、ヨウ化水素(HI)5重量ppb、酢酸メチル(MA)5重量ppm、及びその他の微量成分(酸素を含む)を含み、残りは酢酸であった。
実施例22
図1に示す酢酸の連続製造プロセスにおいて、メタノールと一酸化炭素(酸素濃度2重量%(2vol%)の一酸化炭素)とをカルボニル化反応器で連続的に反応させ、前記反応器からの反応混合物をフラッシャーに連続的に供給し、フラッシュ蒸発により、低揮発相(ロジウム触媒、ヨウ化リチウム、酢酸、酢酸メチル、ヨウ化メチル、水、およびヨウ化水素を少なくとも含む缶出成分)と、揮発相(ガス状成分の液化物の液温140℃)とに分離した。また、揮発相は、ヨウ化メチル(MeI)27.1重量%、酢酸メチル(MA)4.5重量%、水(HO)2.0重量%、ヨウ化水素(HI)500重量ppm、酢酸63.5重量%、水素0.0070重量%(70重量ppm)、一酸化炭素2重量%、二酸化炭素0.060重量%(600重量ppm)、メタン0.070重量%(700重量ppm)、窒素0.070重量%(700重量ppm)、酸素0.30重量%(0.70vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)を含んでいた。
揮発相100重量部を第1の蒸留塔(実段数:20段、仕込段:下から2段)に供給し、ゲージ圧150kPa、塔底温度143℃、塔頂温度115℃、軽質相還流比12で蒸留し、オーバーヘッドをコンデンサで冷却し、凝縮液(温度40℃)をデカンタで分液し、水相(軽質相)1.3重量部及び有機相(重質相)30重量部を反応器にリサイクルした。また、コンデンサからは非凝縮ガス(オフガス流)4.1重量部を抜き取った。なお、第1の蒸留塔の塔頂組成(オーバーヘッドの組成)は、ヨウ化メチル(MeI)52.4重量%、酢酸メチル(MA)9.1重量%、水(HO)25.6重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸7.1重量%、水素0.010重量%(100重量ppm)、一酸化炭素5重量%、二酸化炭素0.12重量%(1200重量ppm)、メタン0.14重量%(1400重量ppm)、窒素0.14重量%(1400重量ppm)、酸素0.50重量%(0.70vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であり;コンデンサからの非凝縮ガス(オフガス流)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)15重量%、酢酸メチル(MA)1重量%、水(HO)200重量ppm、ヨウ化水素(HI)(測定せず)、酢酸200重量ppm、水素0.20重量%(2000重量ppm)、一酸化炭素71重量%、二酸化炭素2重量%、メタン2重量%、窒素2重量%、酸素6重量%(6vol%)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であった。また、水相(軽質相)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)3.3重量%、酢酸メチル(MA)6.6重量%、水(HO)73.0重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸17.0重量%、酸素0.0014重量%(14重量ppm)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であり;有機相(重質相)の組成は、ヨウ化メチル(MeI)86重量%、酢酸メチル(MA)11.4重量%、水(HO)0.6重量%、ヨウ化水素(HI)100重量ppm、酢酸1.9重量%、酸素0.0016重量%(16重量ppm)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であった。
第1の蒸留塔のサイドカット流62.8重量部を第2の蒸留塔に供給して脱水精製した。上記サイドカット流の組成は、ヨウ化メチル(MeI)2.4重量%、酢酸メチル(MA)1.6重量%、水(HO)1.3重量%、ヨウ化水素(HI)48重量ppm、酢酸94.6重量%、酸素0.0010重量%(10重量ppm)、及びその他の微量成分(合計100重量%)であった。フィード(揮発相)の残りを缶出流として、反応系にリサイクルした。
このような連続反応プロセスにおいて、第1蒸留塔への仕込段(下から2段、温度140℃)、及び塔頂部(下から19段)に、前記テストピースを入れて、500時間保持して腐食テストを行い、テスト前後のテストピースの重量を測定し、腐食量を求めた。
また、第1の蒸留塔からの粗酢酸(サイドカット流)のAPHAを測定した。
表62〜66に、組成(成分割合)および腐食テストの結果を示す。なお、表62には比較例1〜12、表63には実施例1〜19の液相の組成、表64には比較例1〜12及び実施例1〜19のガス相の組成を示し、表65及び表66には腐食テストの結果を示している。表62〜表64において、「wt%」は重量%、「vol%」は体積%、「MeI」はヨウ化メチル、「HI」はヨウ化水素、「MA」は酢酸メチル、「MeOH」はメタノール、「Ac」は酢酸、「AD」はアセトアルデヒド、「PA」はプロピオン酸、「LiI」はヨウ化リチウムを示す。
気相の酸素濃度1〜7vol%での比較例及び実施例では、腐食テスト後の酸素濃度が0〜2vol%程度減少していたが、気相の酸素濃度が1%未満の例では、腐食テスト後の酸素濃度は2〜10vol%程度減少していた。
なお、低沸点であるDMEの濃度測定が困難であるため、DMEの濃度については、仕込み時のDME計算濃度とした。
液仕込み後に、液中酸素を窒素ガスでバブリングして置換する際、窒素気相に同伴して系外に混合液の成分が排出するため、特にヨウ化メチル濃度において、仕込組成と実験後の組成とは差異が生じる。
なお、比較例8、9、実施例8、9を除き、全ての比較例及び実施例を通し、実験終了後の液中には、ガスクロマトブラフィーにより、DMEのピークが確認され、面積%から算出したDME濃度は10〜1000重量ppm程度であった。
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前記表62〜66に示す結果から、以下のことが分かる。
一酸化炭素COは、還元反応:CO+1/2O→COにより含有酸素濃度を低減させ、いわゆる還元性雰囲気とするが、酸素濃度が高濃度となると、還元性雰囲気とならないケースがある。液組成を変更した比較例1〜11と実施例1〜11をそれぞれ比較すると、比較例の酸素濃度7vol%条件では、Crを含まず、酸化性雰囲気下に弱いテストピースHB2の腐食速度が増加した。また、比較例11と実施例18及び19のSUS316材質では、比較例の方が若干腐食速度が低下する傾向が見られた。この理由は、一般的な傾向であるSUSがもっている特徴の一つで、還元性が高すぎる場合は、かえって腐食速度が増加する傾向となる性質によるものと考える。このように、条件によっては、プロセス中に多少の酸素が存在する方が、腐食性が低下する場合があることを確認した。
また、比較例において、テストピースHB2などでは、反応:2HI+1/2O→I+HOなどによって発生するヨウ素Iの影響と見られる孔食や点食も多く見られた。Crを含むテストピースSUS316及びHC276は、酸素濃度があまり高くない領域では多少の腐食速度増加は見られるものの、極端な悪化には至らなかった。
さらに、腐食テスト後の溶液のAPHAは、テスト前のAPHAと比べ、明らかに悪化しており、色もヨウ素I特有の茶褐色〜赤褐色に変化し、ヨウ素I発生による着色が生じたものと考えられる。APHAは500まで表示したが、酸素濃度が高く、高い濃度でヨウ素Iが生成した試験例では、透明性が殆ど無くなり、APHAでは表現できない程度まで着色した。このことは、酸素濃度の高いプロセスフローでは、次工程にヨウ素Iが流出することを示しており、次工程での腐食の促進や、製品へのヨウ素分混入による着色や全ヨウ素濃度の増加につながる。
比較例12は、窒素雰囲気下での実験であるが、一酸化炭素COと異なり酸素O濃度の低減反応がないため、実施例6と比較して、テストピース(特にテストピースHB2)では大幅な腐食速度の増加となった。
実施例11は、酸素濃度を、比較例11の半分の濃度1vol%に低減させた。腐食テストや着色は、まだ酸素による影響はあるものの、比較例と比べるとかなり改善しており、許容できない濃度ではない。
実施例12は、酸素濃度を、比較例11の1/4の濃度0.5vol%に低減させた。腐食テストや着色は、まだ酸素による影響はあるものの、比較例と比べるとかなり改善しており、許容できない濃度ではない。
実施例13は、測定できうる限り、酸素O濃度を低下させたケースであるが、実施例6の酸素濃度0.01vol%とほぼ同等の結果となり、酸素濃度がある程度低減すれば、その影響はなくなり、同等の挙動を示すことが分かる。
なお、実施例18及び19は、比較例11と比べてテストピースSUS316の腐食速度が若干増加した。SUS316は、高い還元性雰囲気となると、腐食速度が増加する傾向を示す場合があり、本条件のような酸素が殆ど無い条件では腐食が促進するものと考えられる。この傾向は、さらに低い酸素濃度の方が顕著に見られると考えられるため、一酸化炭素CO存在下における還元条件において、特にステンレス(SUS)系材質においては酸素濃度を限りなくゼロ(例えば、1vol ppt、1vol ppbなど)とするのは得策ではないと思われる。ただし、このような腐食の程度は、全く使用できないというレベルではなかった。なお、このような条件では、ヨウ素分が殆どない不純物濃度レベルであり、かつ酸素濃度が極めて低い条件であったため、着色が殆どない製品酢酸が得られる。
実施例14は、窒素ガスN雰囲気下で酸素濃度を0.1vol%に低減したケースである。実施例14では、実施例11よりはテストピースHB2の腐食が抑えられ、腐食は多少進み着色するものの、許容できない酸素濃度ではない。
実施例15及び16は、窒素ガスN雰囲気下で酸素濃度をさらに低減させたケースである。実施例13含め、実施例15及び16では、一酸化炭素CO雰囲気下とさほどかわらない腐食状態であり、酸素濃度が減少すると、一酸化炭素CO雰囲気下と同程度の腐食速度、着色となった。
実施例17は仕込ガスを変えた実験である。実施例6と比較し、仕込ガスを変えても一酸化炭素COガスが十分存在し、酸素濃度が同じであれば、同程度の腐食速度、APHAとなることがわかる。
比較例13と実施例20との対比から、反応器への一酸化炭素中の酸素濃度が高いと、テストピース、特に酸素に弱いテストピースHB2の腐食が進み、サイドカット液の着色(APHA)も大きくなっている。また、塔頂での酸素濃度がかなり高くなっている影響で、比較例13において、第1の蒸留塔の塔頂部に配置したテストピースHB2は、仕込段に配置したテストピースHB2に比べ、温度が低いにもかかわらず、腐食速度が大きい。通常、酸素濃度が低い場合、テストピースHB2は良好な耐食性を示すため、実施例20のように、全体的に酸素濃度が高い条件よりも酸素濃度が低い条件では小さな腐食速度を示す一方、温度の高い仕込段での腐食速度の方が、温度の低い塔頂部での腐食速度より速くなる。
比較例14と実施例21とでは、仕込組成が違うものの、上記比較例13及び実施例20と同様の傾向を示した。
なお、一般的には、Zr>HB2>HC>SUSの順で価格が低下する。
このことを考慮すると、材質の肉厚、更新頻度などにより影響されるものの、腐食速度に基づいて、以下のような目安で、材質を選定することができる。
腐食速度0.05mm/Y以下:使用に適している
0.05〜0.1mm/Y:使用可能なレベル
0.1mm/Y〜0.2mm/Y:条件によっては使用可能
0.2mm/Y以上:使用には適さない
本発明は、プロセスユニット及び/又はラインの腐食を有効に防止でき、高品質の酢酸を安定に製造するプロセスとして極めて有用である。
(1)…反応器
(2)…蒸発槽
(3)…第1の蒸留塔
(5)…第2の蒸留塔(脱水塔)
(6)…第3の蒸留塔(脱高沸塔)
(7)…第4の蒸留塔(精製塔)
(8)…イオン交換槽
(10)…デカンタ
(11)…第5の蒸留塔(第1の脱アルデヒド塔)
(12)…第6の蒸留塔(水抽出蒸留塔)
(13)…第7の蒸留塔(第2の脱アルデヒド塔)
(14)…第8の蒸留塔(脱アルカン塔)
(16)…高圧吸収塔
(17)…低圧吸収塔
(18)…放散塔

Claims (14)

  1. (1)金属触媒、イオン性ヨウ化金属、及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させるためのカルボニル化反応工程と;
    (2)反応混合物を揮発相と低揮発相とに分離する工程と;
    (3)前記揮発相を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富む第1のオーバーヘッドと、酢酸に富む酢酸流とに分離する工程と;
    下記(4)(9)及び(15)から選択された少なくとも1つのセクション:
    (4)前記酢酸流から精製酢酸を得るための精製セクション;
    (9)前記第1のオーバーヘッドから少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離セクション;
    (15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸に富むストリームとに分離するためのオフガス処理セクション
    とを備えたプロセスで酢酸を製造する方法であって、
    下記(a)及び(b)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御し、酢酸を製造する方法。
    (a)前記プロセスの気相の酸素濃度を7体積%未満に制御する
    (b)前記プロセスの液相中の酸素濃度を7×10−5g/g未満に制御する
  2. プロセスの気相が、ヨウ化メチル及びヨウ化水素から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の方法。
  3. さらに、プロセスの気相が、酢酸、酢酸メチル、メタノール、水、アセトアルデヒド、このアセトアルデヒドに由来する副生物及びジアルキルエーテルから選択された少なくとも一種を含み、前記副生物が、炭素数2以上のヨウ化アルキル、炭素数4以上のアルカナール、炭素数3以上のアルカンカルボン酸、アルカン類及びケトン類から選択された少なくとも一種を含み、ジアルキルエーテルが少なくともジメチルエーテルを含む請求項1又は2記載の方法。
  4. プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、下記(a-1)及び(b-1)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
    (a-1)気相の酸素濃度を5体積%以下に制御する
    (b-1)液相の酸素濃度を2×10−5g/g以下に制御する
  5. プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相、及び液相での一酸化炭素に対する酸素の割合が、2体積%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相、及び液相での一酸化炭素に対する酸素の割合が、1体積%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 酸素含有ガス、酸素含有化合物及び酸素発生剤から選択された少なくとも1種の成分をプロセス中に導入し、プロセスユニット及びプロセスラインから選択された少なくとも1つのプロセス流において、気相の酸素濃度を1体積ppt以上、及び/又は液相の酸素濃度を0.1×10−9g/g以上に制御する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 気相の酸素濃度を1体積ppb以上に制御する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 気相及び液相から選択された少なくとも1つのプロセス流中の酸素濃度を、ヨウ化水素及びヨウ化メチルの総量1モルに対して、0.25モル以下の濃度に制御する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 精製セクション(4)が、下記工程(5)〜(8)のうち少なくとも脱水工程(5)を備えている請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
    (5)酢酸流から水分を除去するための脱水工程、
    (6)酢酸流から高沸成分を除去するための脱高沸工程、
    (7)この工程(6)からの酢酸流をさらに精留する精留工程、
    (8)この工程(7)からの酢酸流からヨウ素化合物を分離するイオン交換処理工程
  11. 分離セクション(9)が、下記工程(10)〜(14)のうち、少なくとも工程(10)〜(13)を備えている請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
    (10)第1のオーバーヘッドを凝縮して二相に分液する工程、
    (11)分液した上相及び/又は下相からアセトアルデヒド及びヨウ化メチルに富む第5のオーバーヘッドを生成する工程、
    (12)第5のオーバーヘッドからアセトアルデヒドを抽出し、アセトアルデヒドに富む抽出液と、ヨウ化メチルに富むラフィネートとに分離する工程、
    (13)前記抽出液及び/又はラフィネートからアルデヒドを分離する工程、及び
    (14)分液した上相及び/又は下相からアルカン類を分離する工程
  12. オフガス処理セクション(15)が、下記工程(16)〜(18)のうち(16)及び(17)から選択された少なくとも1つの吸収工程を備えている請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
    (16)高圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程、
    (17)低圧でオフガスを吸収溶媒に吸収させる工程、および
    (18)前記吸収工程(16)及び(17)で吸収されたガス成分を放散する工程
  13. プロセスの気相が、プロセスからのオフガスである請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. (1)金属触媒、イオン性ヨウ化金属及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させるためのカルボニル化反応工程と;
    (2)反応混合物を揮発相と低揮発相とに分離する工程と;
    (3)前記揮発相を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富む第1のオーバーヘッドと、酢酸に富む酢酸流とに分離する工程と;
    下記(4)(9)及び(15)から選択された少なくとも1つのセクション:
    (4)前記酢酸流から精製酢酸を得るための精製セクション;
    (9)前記第1のオーバーヘッドから少なくともアセトアルデヒドを分離するための分離セクション;
    (15)プロセスからのオフガスを吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと、酢酸に富むストリームとに分離するためのオフガス処理セクション
    とを含み、プロセス中でヨウ素が生成するのを抑制する方法であって、
    下記(a)及び(b)から選択された少なくとも1つの態様で酸素濃度を制御し、ヨウ素が生成するのを抑制する方法。
    (a)前記プロセスの気相部の酸素濃度を7体積%未満に制御する
    (b)前記プロセスの液体流中の酸素濃度を7×10−5g/g未満に制御する
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