JPWO2018128111A1 - 変性ポリオレフィン系樹脂 - Google Patents

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Abstract

耐チッピング性に優れた変性ポリオレフィン系樹脂を提供する。変性ポリオレフィン系樹脂は、成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体がグラフトされている共重合体である。CH2=C(R1)COOR2・・・(I)(式(I)中、R1は水素原子又はメチルを表し、R2は−CnH2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。)

Description

本発明は、変性ポリオレフィン系樹脂に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィン基材は、優れた性能を持ち安価であるため、プラスチック成型部品や、食品包装材の各種フィルム等に広く用いられている。その際、表面保護や美観の改善を目的として、ポリオレフィン基材の表面に印刷や塗装が施される。
しかしながら、ポリオレフィン基材は非極性基材であり、表面自由エネルギーが低く、更には結晶性を有するため、インキや塗料が付着しにくいという問題がある。そのため、印刷や塗装等の際に、塩素化ポリオレフィン樹脂をインキや塗料に添加することで、ポリオレフィン基材への付着性を向上させる手法が広く用いられている。
自動車外板部に付属する部材、家電製品等の部材としても、その様なポリオレフィン基材等のプラスチック成型品が多く使用されている。通常、上塗り塗膜と成型品との付着性を向上させるために、塩素化ポリオレフィン樹脂等を含有するプライマーが、上塗り塗装がされる前にあらかじめプラスチック成形品に塗装される。
その様な中で近年、自動車外板部の塗装においては、プラスチック成型品を自動車外板部と一体化させたのちに、塗装を行う方法が提案されている(特許文献1)。この様な塗装方法では、塗装ラインを一元化できるため、使用塗料量の低減、ひいてはコストの低減が期待される。
特開2012−213692号公報
しかしながら特許文献1の塗装方法では、プライマーをプラスチック成型品のみならず金属である自動車外板部にも塗装する。そのため、自動車外板部に一定の厚さの塗膜を形成させようとした場合には、プライマー層の分だけ上塗り層が減少することとなり、且つプライマー層は跳ね石による塗膜剥がれへの耐性(耐チッピング性)が劣るために、塗装部分全体の耐チッピング性が低下するという問題がある。
そこで本発明においては、耐チッピング性に優れた変性ポリオレフィン系樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、所定の(メタ)アクリル酸エステル単位を含みガラス転移温度が0℃以下である重合体がグラフトされている共重合体である変性ポリオレフィン系樹脂により、上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明は以下を提供する。
[1] 成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体がグラフトされている共重合体である、変性ポリオレフィン系樹脂。
CH=C(R)COOR・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。)
[2] 構成単位(i)の炭素原子数が、4〜12である、[1]に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[3] 成分(B)における構成単位(i)の含有率が、40重量%以上100重量%以下である、[2]に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[4] 成分(A)が、塩素化ポリオレフィン樹脂である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[5] 成分(B)の重量平均分子量が、1,000以上100,000以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[6] 成分(B)の水酸基価が、5mgKOH/g以上560mgKOH/g以下である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[7] 成分(A)の成分(B)に対する重量比率(成分(A)/成分(B))が20/80以上80/20以下である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[8] 重量平均分子量が10,000以上200,000以下である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
[9] [1]〜[8]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂と分散媒とを含む、分散組成物。
[10] [1]〜[8]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィン系樹脂又は[9]に記載の分散組成物を含む、プライマー。
[11] 成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体をグラフト重合する工程を含む、変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法。
CH=C(R)COOR・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。)
本発明によれば、耐チッピング性に優れた変性ポリオレフィン系樹脂を提供することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」には、メタクリル酸及びアクリル酸が包含され、「(メタ)アクリレート」には、メタクリレート及びアクリレートが包含される。
[1.変性ポリオレフィン系樹脂]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体がグラフトされている共重合体である。
[1−1.成分(A)]
成分(A)は、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン樹脂の変性物である。
[1−1−1.ポリオレフィン樹脂]
成分(A)としてのポリオレフィン樹脂は、オレフィンの重合体である。成分(A)としてのポリオレフィン樹脂としては、好ましくは重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いて製造したポリオレフィン樹脂であり、より好ましくは、重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いて製造された、ポリプロピレン、又は、プロピレン及びα−オレフィン(例、エチレン、ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ヘプテン)を共重合して得られたポリオレフィン樹脂である。なお、プロピレン及びα−オレフィンをランダム共重合して得られたポリオレフィン樹脂を、プロピレン系ランダム共重合体ということがある。プロピレン系ランダム共重合体として、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合物、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、更に好ましくは、重合触媒としてメタロセン触媒を用いて製造された、ポリプロピレン又はプロピレン系ランダム共重合体であり、特に好ましくは、重合触媒としてメタロセン触媒を用いて製造された、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、又はエチレン−プロピレン−ブテン共重合体である。これらの樹脂は、1種単独であってもよいし、複数の樹脂の組み合わせであってもよい。
前述のメタロセン触媒としては、公知のものが使用できる。メタロセン触媒として、具体的には例えば、以下に述べる成分(1)及び(2)、更に必要に応じて(3)を組み合わせて得られる触媒が挙げられ、以下に述べる成分(1)及び(2)、更に必要に応じて(3)を組み合わせて得られる触媒が好ましい。
・成分(1);共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4〜6族の遷移金属化合物であるメタロセン錯体。
・成分(2);イオン交換性層状ケイ酸塩。
・成分(3);有機アルミニウム化合物。
メタロセン触媒を用いて合成したポリオレフィン樹脂は、分子量分布が狭い、ランダム共重合性に優れ組成分布が狭い、共重合しうるコモノマーの範囲が広いといった特徴があるので、成分(A)として好ましい。
成分(A)としてのポリオレフィン樹脂の構造は、特に限定されず、通常の高分子化合物が取り得るアイソタクチック構造、アタクチック構造、シンジオタクチック構造等のいずれであってもよい。ポリオレフィン基材への付着性、特に低温乾燥での付着性を考慮すると、成分(A)として、メタロセン触媒を用いて重合されたアイソタクチック構造のポリオレフィン樹脂が好ましい。
成分(A)としてのポリオレフィン樹脂の成分組成は、特に限定されるものではないが、成分(A)のプロピレン成分は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であることが好ましい。成分(A)のプロピレン成分が60モル%以上である場合、プロピレン基材に対する付着性(接着性)がより良好となる。
[1−1−2.ポリオレフィン樹脂の変性物]
成分(A)は、ポリオレフィン樹脂の変性物であってもよい。ポリオレフィン樹脂の変性物における、ポリオレフィン樹脂の例及び好ましい例は、上記項目[1−1−1.ポリオレフィン樹脂]において既に説明したとおりである。
変性の種類は特に限定されず、例えば、塩素化;エポキシ化;ヒドロキシル化;無水カルボン酸化;カルボン酸化;等の公知の変性が挙げられる。ポリオレフィン樹脂の変性物は、ポリオレフィン樹脂を公知の方法を用いて変性することにより得ることができる。成分(A)としてのポリオレフィン樹脂の変性物は、塩素化ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の塩素化方法については、後述する。
成分(A)が塩素化ポリオレフィン樹脂である場合、成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率は好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。塩素含有率が15重量%以上であると、変性ポリオレフィン系樹脂が、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類への分散性に優れる。成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂における塩素含有率の上限は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは35重量%以下である。塩素含有率が40重量%以下であると、変性ポリオレフィン系樹脂が、ポリオレフィン系基材への付着性に優れる。
なお、樹脂の塩素含有率は、JIS−K7229に基づいて測定することができる。
また、本発明の変性ポリオレフィン系樹脂における、成分(A)の塩素含有率は、成分(B)によりグラフトされる前の、原料としての成分(A)の塩素含有率と通常一致する。
成分(A)としての変性物は、ポリオレフィン樹脂が酸により変性されている酸変性物であってもよい。変性するための酸としては、特に限定されないが、例えば、α,β−不飽和カルボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸の誘導体(例、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、(メタ)アクリル酸)が挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂を酸により変性する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、ポリオレフィン樹脂を溶融し、変性するための酸及びラジカル反応開始剤を添加して酸変性ポリオレフィン樹脂を得る方法が挙げられる。反応装置には特に限定がなく、例えば、押出機を用いて変性反応を行ってもよい。
成分(A)としての変性物は、ポリオレフィン樹脂が複数種の変性材料により変性されている変性物であってもよい。したがって、成分(A)としての変性物は、塩素化ポリオレフィン樹脂を酸(例えば、α,β−不飽和カルボン酸又はα,β−不飽和カルボン酸の誘導体)により変性して得られる酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂であってもよい。
成分(A)は、好ましくは、塩素化ポリオレフィン樹脂又は酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂である。
[1−1−3.成分(A)の重量平均分子量]
成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000以上である。重量平均分子量が5,000以上であると、樹脂の凝集力が十分であり基材への付着性に優れる。成分(A)の重量平均分子量の上限は好ましくは150,000以下である。重量平均分子量が150,000以下であると、塗料又はインキ中に含まれる他樹脂との相溶性が良好であり、基材への付着性が良好である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求め得る。
成分(A)の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜150,000である。
ここで、成分(A)の重量平均分子量は、成分(B)がグラフトされる前の、原料としての成分(A)について測定された重量平均分子量と通常一致する。
[1−2.成分(B)]
成分(B)は、一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含み且つガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体である。
[1−2−1.構成単位(i)]
成分(B)は、一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含む。
CH=C(R)COOR・・・(I)
一般式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。
−C2n+1で表される基としては、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよい。
ここで、ある単量体に由来する構成単位とは、ある単量体を重合反応に使用した場合に得られる構造単位である。
構成単位(i)は、好ましくは炭素原子数が4以上であり、好ましくは12以下である。構成単位(i)は、好ましくは炭素原子数が4〜12である。これにより、変性ポリオレフィン系樹脂の耐チッピング性がより優れたものとなり得る。ここで、構成単位(i)の炭素原子数は、通常、構成単位(i)の由来である、一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの炭素原子数と同じである。
成分(B)が、炭素原子数が4〜12である構成単位(i)(以下、構成単位(i4−12)ともいう。)を含む場合、成分(B)における構成単位(i4−12)の含有率は、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、好ましくは100重量%以下である。これにより、変性ポリオレフィン系樹脂を他の成分と組み合わせて組成物(例えば、塗料組成物)とした場合に、他の成分との相溶性が良好となる。
成分(B)における構成単位(i4−12)の含有率(%)は、成分(B)の重合体を製造する際に使用する全単量体重量に対する、一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルであって炭素原子数が4〜12である単量体の重量百分率に通常一致する。
成分(B)に含まれる構成単位(i)は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
成分(B)は、構成単位(i)以外の構成単位が含まれていてもよい。成分(B)に含まれていてもよい構成単位(i)以外の構成単位としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸に由来する構成単位(例、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)、及び構成単位(i)以外の、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位(例、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)が挙げられる。
[1−2−2.成分(B)のガラス転移温度]
成分(B)は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、好ましくは−20℃以下であり、より好ましくは−25℃以下であり、更に好ましくは−30℃以下である。Tgが0℃を超える場合、変性ポリオレフィン系樹脂の柔軟性が低下するため、耐チッピング性が劣る。Tgは、通常−70℃以上であり、好ましくは−65℃以上であり、より好ましくは−60℃以上である。
ガラス転移温度(Tg)は、成分(B)を構成する各単量体単位をホモポリマーとした場合の各ガラス転移温度の値及び成分(B)における各単量体単位の重量割合を用いて下記FOX式により算出し得る。各ホモポリマーのTgは、ポリマーハンドブック(Wiley−Interscience Publication、4th Edition, 1999)及び製品データに掲載されているTgを用い得る。
成分(B)における各単量体単位の重量割合は、成分(B)の重合体を製造する際に使用する全単量体重量に対する、各単量体の重量割合(配合比率)と通常一致する。
<FOX式> 1/Tg=W/Tg+W/Tg+W/Tg+・・・W/Tg
上記式において、成分(B)がn種の単量体単位U〜Uにより構成されるとし、単量体単位U〜Uのホモポリマーにおけるガラス転移温度をそれぞれTg〜Tgとし、単量体単位U〜Uの重量割合をそれぞれW〜Wとする。ただし、単量体単位U〜Uの重量割合の合計を1とする。
成分(B)のガラス転移温度として、成分(A)にグラフトされる前の、原料としての成分(B)の重合体について測定されたガラス転移温度を用いてよい。原料としての成分(B)のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(例、「DSC6200R 熱分析システム」、セイコーインスツル株式会社より供給)を用いて、測定し得る。
好ましくは、本発明に係る成分(B)のガラス転移温度は、成分(B)を構成する各単量体単位をホモポリマーとした場合の各ガラス転移温度の値及び成分(B)における各単量体単位の重量割合を用いて上記FOX式により算出した値である。
[1−2−3.成分(B)の重量平均分子量]
成分(B)の重量平均分子量(Mw)には特に限定はないが、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは3,000以上であり、好ましくは100,000以下であり、より好ましくは20,000以下である。
成分(B)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜20,000である。
ここで、成分(B)の重量平均分子量は、成分(A)にグラフトされる前の、原料としての成分(B)の重合体について測定された重量平均分子量と通常一致する。
[1−2−4.成分(B)の水酸基価]
成分(B)の水酸基価には特に限定がないが、好ましくは5mgKOH/g以上であり、好ましくは560mgKOH/g以下であり、より好ましくは280mgKOH/g以下であり、更に好ましくは168mgKOH/g以下である。
成分(B)の水酸基価が5mgKOH/g以上であると、変性ポリオレフィン系樹脂を他の成分と組み合わせて組成物(例えば、塗料組成物)とした場合に、他の成分との相溶性が良好となる。成分(B)の水酸基価が560mgKOH/g以下であると、変性ポリオレフィン系樹脂の極性の大きさが適度であるため、変性ポリオレフィン系樹脂を他の成分と組み合わせて組成物とした場合に、他の成分との相溶性が良好となる。
成分(B)の水酸基価は、好ましくは5〜560mgKOH/gであり、より好ましくは5〜280mgKOH/gであり、更に好ましくは5〜168mgKOH/gである。
成分(B)の水酸基価Xは、成分(B)がn種(nは1以上の整数)の単量体単位U〜Uにより構成され、単量体単位U〜Uのホモポリマーにおける水酸基価をそれぞれX〜X(mgKOH/g)とし、成分(B)における単量体単位U〜Uの重量割合をそれぞれY〜Yとする(ただし、単量体単位U〜Uの重量割合の合計を1とする。)と、下記の式から算出される。
=X+X+・・・X
実施例における成分(B)の水酸基価も、上記方法により算出された値である。
[1−3.変性ポリオレフィン系樹脂]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、上記成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、上記成分(B)がグラフトされている共重合体である。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、成分(A)に成分(B)がグラフトされている共重合体であってよく、成分(A)に成分(B)をグラフトするためのグラフト重合反応の後、更に、変性剤により(例えば塩素及び/又は酸により)変性された共重合体であってもよく、グラフト重合反応の後、更に変性剤により変性されていない共重合体であってもよい。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、成分(A)に、成分(B)の重合体がグラフトされている。本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、原料としての成分(A)に、原料としての成分(B)の重合体をグラフト重合反応によりグラフトすることにより製造された樹脂であってもよく、原料としての成分(A)に、成分(B)の重合体(ブロック)を構成するための単量体を、逐次又は同時にグラフト重合反応によりグラフトすることにより製造された樹脂であってもよい。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、塩素化されているグラフト変性ポリオレフィン系樹脂、酸変性されているグラフト変性ポリオレフィン系樹脂、又は酸変性及び塩素化されているグラフト変性ポリオレフィン系樹脂であり得る。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、好ましくは塩素化樹脂である。「塩素化樹脂」には、成分(A)が塩素化されている樹脂、成分(B)が塩素化されている樹脂、成分(A)及び(B)が塩素化されている樹脂が包含される。本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、より好ましくは成分(A)が塩素化されている、塩素化樹脂である。
変性ポリオレフィン系樹脂が、塩素化樹脂である場合、変性ポリオレフィン系樹脂の塩素含有率は好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上である。変性ポリオレフィン系樹脂における塩素含有率の上限は、好ましくは35重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。
変性ポリオレフィン系樹脂の塩素含有率が本範囲にあることで、変性ポリオレフィン系樹脂の極性が増し、また変性ポリオレフィン系樹脂が、塩素原子同士の立体反発のため直鎖構造を示し易くなると推測され、そのため高極性溶媒(例、アルコール類)への分散性に優れると推測される。
[1−3−1.変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量には特に限定がないが、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは30,000以上であり、好ましくは200,000以下であり、より好ましくは150,000以下である。
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が10,000以上であることにより、付着性が向上する。また変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が200,000以下であると、変性ポリオレフィン系樹脂を他の成分と組み合わせて組成物とした場合に、他の成分との相溶性が良好となる。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜200,000であり、より好ましくは、30,000〜150,000である。
[1−3−2.成分(B)の含有率]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂における成分(B)の含有率にはとくに限定がないが、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上である。上限は、好ましくは80重量%以下である。
変性ポリオレフィン系樹脂における成分(B)の含有率とは、成分(A)にグラフトされている成分(B)部分の、変性ポリオレフィン系樹脂に対する重量比率を意味する。
成分(B)部分の変性ポリオレフィン系樹脂に対する重量比率(%)は、変性ポリオレフィン系樹脂を製造するに際して、成分(A)にグラフト重合させる成分(B)の配合率(%)と通常一致する(ただし、成分(A)の配合重量及び成分(B)の配合重量の合計を100%とする。)。
[1−3−3.成分(A)/成分(B)]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂における成分(A)の成分(B)に対する重量比率には特に限定がないが、好ましくは20/80以上であり、より好ましくは30/70以上であり、更に好ましくは50/50以上であり、好ましくは80/20以下である。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂における成分(A)の成分(B)に対する重量比率は、好ましくは20/80以上80/20以下である。
[2.変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、例えば、成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体をグラフト重合する工程を含む。但し、式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。
成分(A)及び成分(B)は、項目[1.変性ポリオレフィン系樹脂]でそれぞれ説明された成分(A)及び成分(B)と同様である。
成分(B)を成分(A)にグラフト共重合により導入する方法としては、例えば、原料としての成分(A)に、原料としての成分(B):上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体を、グラフト共重合させる方法、原料としての成分(A)に、成分(B)の重合体を構成するための原料である、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合する方法が挙げられる。
原料としての成分(A)に、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合する場合、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを、原料としての成分(A)に逐次添加しても、一度に添加してもよい。また、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体を、原料としての成分(A)に添加してもよい。
グラフト重合の条件は特に限定はなく、例えば、溶融法、溶液法などの公知の方法に従ってよい。溶融法による場合、操作が簡単である上、短時間で反応できるという利点がある。溶液法による場合、副反応が少なく均一なグラフト重合物を得ることができる。
溶融法による場合には、ラジカル反応開始剤の存在下で成分(A)を加熱融解(加熱溶融)して成分(B)と反応させる。成分(B)は、重合前のモノマーの形態であっても、重合後の重合体の形態であってもよい。加熱融解の温度は、成分(A)の融点以上であればよく、成分(A)の融点以上300℃以下であることが好ましい。加熱融解の際には、バンバリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの機器を使用することができる。
溶液法による場合には、成分(A)を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル反応開始剤の存在下に成分(B)と加熱撹拌して反応させる。成分(B)は、重合前のモノマーの形態であっても、重合後の重合体の形態であってもよい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤を用いることが好ましい。反応の際の温度は、100〜180℃であることが好ましい。
溶融法及び溶液法の際用いるラジカル反応開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物系化合物又はアゾニトリル類が挙げられる。有機過酸化物系化合物としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエートなどが挙げられ、ラジカル重合を行う温度に応じて適切な半減期温度を有するものを選択してよい。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法において、成分(A)は、成分(A)の他に任意の安定剤を含む組成物の形態としてグラフト重合されてもよい。
任意の安定剤としては、例えば、エポキシ化合物;ポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として使用されている、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチルマレート等の有機金属化合物類;ハイドロタルサイト類化合物が挙げられる。エポキシ化合物は、特に限定されないが、塩素化などの変性を行った樹脂と相溶することができるエポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物としては、エポキシ等量が100から500程度で、一分子あたり1個以上のエポキシ基を有する化合物が例示され得、そのようなエポキシ化合物としては、例えば、天然の不飽和基を有する植物油を、過酢酸などの過酸でエポキシ化して得られるエポキシ化植物油(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油など);オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等の、不飽和脂肪酸をエポキシ化したエポキシ化脂肪酸エステル類;エポキシ化テトラヒドロフタレートなどのエポキシ化脂環式化合物;ビスフェノールA又は多価アルコールとエピクロルヒドリンとを縮合して得られる、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のエーテル類;及び、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレンオキサイドグリシジルエーテル等に代表される、モノエポキシ化合物類;が挙げられる。安定剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。成分(A)が安定剤を含む組成物の形態でグラフト重合される場合、安定剤の成分(A)に対する重量比率は、1〜20重量%(固形分換算)であることが好ましい。
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、上述の工程の他に、任意の工程を含んでいてもよい。
任意の工程としては、例えば、成分(A)に成分(B)をグラフト重合してグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を得た後、さらにグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を変性する工程が挙げられる。変性の種類は特に限定されず、例えば、塩素化;エポキシ化;ヒドロキシル化;無水カルボン酸化;カルボン酸化;等の公知の変性が挙げられる。
これらの変性は、公知の方法により行うことができる。
例えば、変性ポリオレフィン系樹脂が、塩素化樹脂である場合、本発明の製造方法は、その製造の何れかの段階において樹脂を塩素化する工程を含んでいてもよく、例えば、ポリオレフィン樹脂を塩素化する工程、ポリオレフィン樹脂に成分(B)をグラフト重合した後に得られるグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を塩素化する工程を含んでいてもよい。
したがって、塩素化樹脂である変性ポリオレフィン系樹脂を得るための製造方法としては、例えば、成分(B)を成分(A)にグラフトした後に塩素化する方法、ポリオレフィン樹脂を塩素化して成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂を得た後に、成分(B)を成分(A)にグラフトする方法が挙げられる。
塩素化の方法としては、公知の方法を用いることができ特に限定されないが、例えば樹脂をクロロホルムなどの塩素化溶媒に溶解した後に塩素ガスを吹き込み、塩素を導入する方法等を挙げることができる。更に具体的には、塩素化は、樹脂を水、四塩化炭素、又はクロロホルム等の媒体に分散又は溶解し、触媒の存在下又は紫外線の照射下において加圧又は常圧下に50〜140℃の温度範囲で塩素ガスを吹き込むことにより行うことができる。
塩素化樹脂の製造の際に塩素化溶媒が使用された場合、使用された塩素化溶媒は、通常、減圧などにより留去され得、あるいは別の有機溶剤で置換され得る。
ポリオレフィン樹脂を塩素化して成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂を得る場合、成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率は好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。塩素含有率が15重量%以上であると、得られる変性ポリオレフィン系樹脂が、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類への分散性に優れる。成分(A)としての塩素化ポリオレフィン樹脂における塩素含有率の上限は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは35重量%以下である。塩素含有率が40重量%以下であると、得られる変性ポリオレフィン系樹脂が、ポリオレフィン系基材への付着性に優れる。
[3.変性ポリオレフィン系樹脂組成物]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、他の任意の成分と共に、変性ポリオレフィン系樹脂組成物を構成してよい。任意の成分としては、例えば塩素の離脱を抑制するための安定剤が挙げられる。安定化剤は特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物;ポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として使用されている、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチルマレート等の有機金属化合物類;ハイドロタルサイト類化合物が挙げられ、好ましくはエポキシ化合物である。エポキシ化合物は特に限定されないが、例えば、上記[2.変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法]において、成分(A)の組成物が含み得る任意の安定剤として例示されたエポキシ化合物が挙げられ、塩素により変性されている変性ポリオレフィン樹脂と相溶するエポキシ化合物が好ましい。安定化剤として、これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、変性ポリオレフィン系樹脂及び分散媒を含む、分散組成物の形態であってもよい。なお、本明細書において、「分散媒」には、変性ポリオレフィン系樹脂を溶解し得る溶媒が含まれ、「分散組成物」は、変性ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液であってもよい。
分散媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール;エチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコール;水等が挙げられる。
分散媒は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
[4.変性ポリオレフィン系樹脂の用途]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、金属及び/又は樹脂用の接着剤、プライマー、塗料用バインダー及びインキ用バインダーとして用いることができる。特に本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は、付着性が良好であり耐チッピング性に優れているので、自動車塗料用バインダー、自動車塗装用プライマーとして有用である。
次に本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。「部」及び「%」は、別に断らない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
<製造例A1>ポリオレフィン樹脂
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン単位含有量:80重量%、エチレン単位含有量20重量%)をバレル温度350℃に設定した二軸押出機に供給して熱減成を行い、重量平均分子量5,000のポリプロピレン系樹脂(A1)を得た。
<製造例A2>ポリオレフィン樹脂
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン単位含有量:90重量%、エチレン単位含有量10重量%)を用いた以外は製造例A1と同様にして、重量平均分子量111,000のポリプロピレン系樹脂(A2)を得た。
<製造例A3>ポリオレフィン樹脂
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン単位含有量:94重量%、エチレン単位含有量6重量%)を用いた以外は製造例A1と同様にして、重量平均分子量100,000のポリプロピレン系樹脂(A3)を得た。
<製造例A4>ポリオレフィン樹脂
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン単位含有量:90重量%、エチレン単位含有量5重量%、ブテン単位含有量5重量%)を用いた以外は製造例A1と同様にして、重量平均分子量45,000のポリプロピレン系樹脂(A4)を得た。
<製造例A5>ポリオレフィン樹脂
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン単位含有量:80重量%、エチレン単位含有量20重量%)をバレル温度400℃に設定した二軸押出機に供給して熱減成を行い、重量平均分子量2,000のポリプロピレン系樹脂(A5)を得た。
<製造例CL1>塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A1で得られたポリプロピレン系樹脂(A1)100重量部を、グラスライニングされた反応釜に投入した。これにクロロホルムを加え、2kg/cmの圧力下、紫外線を照射しながら塩素ガス及び酸素ガスを吹き込み、塩素含有率が32wt%となるまで塩素化した。反応終了後、安定剤としてエポキシ化合物(エポサイザーW−100EL、大日本インキ化学工業(株)製)を6重量部添加し、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して、脱溶剤し、固形化し、塩素化ポリオレフィン樹脂である、重量平均分子量5000の塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)を得た。
<製造例CL2>塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A5で得られたポリプロピレン系樹脂(A5)を用いた以外は、製造例CL1と同様にして重量平均分子量2,000の塩素化ポリプロピレン系樹脂(A5CL2)を得た。
<製造例CL3>塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A4で得られたポリプロピレン系樹脂(A4)を用いた以外は製造例CL1と同様にして、重量平均分子量50,000の塩素化ポリプロピレン系樹脂(A4CL3)を得た。
<製造例M1>酸変性ポリオレフィン樹脂
製造例A3で得られたポリプロピレン系樹脂(A3)100重量部を、攪拌機、滴下ロート、及びモノマー還流用の冷却管を取り付けた三口フラスコ中に入れ、180℃の油浴中で完全に溶解した。フラスコ内の窒素置換を約10分間行った後、撹拌を行いながら無水マレイン酸4重量部を約5分間かけて投入し、次にジ−tert−ブチルパーオキサイド0.4重量部をヘプタン1重量部に溶解し、滴下ロートより約30分かけて投入した。その後、系内を180℃に保ち、更に1時間反応を継続した後、アスピレーターでフラスコ内を減圧しながら約1時間かけて未反応の無水マレイン酸を取り除き、重量平均分子量105,000の酸変性ポリオレフィン樹脂(A3M1)を得た。
<製造例MCL1>酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂
(酸変性)
製造例A2で得られたポリプロピレン系樹脂(A2)100重量部と、無水マレイン酸4重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド2重量部とを均一に混合し、二軸押出機(L/D=60、φ=15mm、第1バレル〜第14バレル)に供給した。滞留時間が10分、回転数200rpm、バレル温度が100℃(第1、2バレル)、200℃(第3〜8バレル、90℃(第9、10バレル)、110℃(第11〜14バレル)の条件で反応を行い、減圧処理を行うことで未反応の無水マレイン酸を除去し、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(A2M2)を得た。
(塩素化)
得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(A2M2)100重量部を、グラスライニングされた反応釜に投入した。これにクロロホルムを加え、2kg/cmの圧力下、紫外線を照射しながら塩素ガス及び酸素ガスを吹き込み、塩素含有率が32wt%となるまで塩素化した。反応終了後、安定剤としてエポキシ化合物(エポサイザーW−100EL、大日本インキ化学工業(株)製)を6重量部添加し、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して、脱溶剤し、固形化し、塩素化ポリオレフィン樹脂である、重量平均分子量143,000の酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A2M2CL1)を得た。
<製造例MCL2>酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A1で得られたポリプロピレン系樹脂A1を用いた以外は、製造例MCL1と同様にして、重量平均分子量5,000の酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1M2CL2)を得た。
<製造例MCL3>酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A3で得られたポリプロピレン系樹脂A3を用いた以外は、製造例MCL1と同様にして、重量平均分子量110,000の酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A3M2CL3)を得た。
<製造例MCL4>酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂
製造例A4で得られたポリプロピレン系樹脂A4を用いた以外は、製造例M1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン系樹脂(A4M1)を得た。次いで、得られた酸変性ポリオレフィン系樹脂(A4M1)を用いた以外は、製造例CL1と同様にして塩素化を行い、重量平均分子量75,000の酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A4M1CL4)を得た。
<実施例1>
(アクリル重合体(B1)の製造)
窒素雰囲気下で85℃に加温したトルエン233部に、パーオキシエステル系過酸化物(ナイパーBMT−K40、日本油脂(株)製)2.8重量部を加えた後、表2の実施例1に記載の配合比にて各アクリルモノマーを、各アクリルモノマーの合計で100重量部添加し、85℃にて6時間以上反応を行った後、冷却し、ガラス転移温度−66℃のアクリル重合体(B1)を得た。
(変性ポリオレフィン系樹脂の製造)
製造例CL1で得られた成分(A)としての塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部と成分(B)としてのアクリル重合体(B1)20部とを、窒素雰囲気下で70℃に加温したトルエン233部に加えた後、70℃にて4時間反応を行い、冷却した後に、安定剤としてエポキシ化合物(エポサイザーW−100EL、大日本インキ化学工業(株)製)を1重量部添加し、変性ポリオレフィン系樹脂(C1)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例2>
表2の実施例2に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−33℃のアクリル重合体(B2)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例MCL1で得られた酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A2M2CL1)50部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B2)50部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C2)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例3>
表2の実施例3に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−1℃のアクリル重合体(B3)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例MCL2で得られた酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1M2CL2)20部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B3)80部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C3)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例4>
表2の実施例4に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−55℃のアクリル重合体(B4)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例MCL3で得られた酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A3M2CL3)70部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B4)30部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C4)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例5>
表2の実施例5に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−46℃のアクリル重合体(B5)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例MCL4で得られた酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A4M1CL4)60部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B5)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C5)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例6>
表2の実施例6に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−43℃のアクリル重合体(B6)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)の代わりに、製造例CL3で得られた塩素化ポリプロピレン系樹脂(A4CL3)を用い、またアクリル重合体(B1)の代わりにアクリル重合体(B6)を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C6)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例7>
表2の実施例7に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−60℃のアクリル重合体(B7)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)60部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B7)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C7)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例8>
表2の実施例8に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−66℃のアクリル重合体(B8)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例CL2で得られた塩素化ポリプロピレン系樹脂(A5CL2)70部を用い、またアクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B8)30部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C8)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例9>
表2の実施例9に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−24℃のアクリル重合体(B9)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)50部を用い、アクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B9)50部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C8)を含むトルエン分散液を得た。
<実施例10>
表2の実施例10に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度−66℃のアクリル重合体(B10)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例M1で得られた酸変性ポリプロピレン系樹脂(A3M1)60部を用い、アクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B10)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C10)を含むトルエン分散液を得た。
<比較例1>
表2の比較例1に記載の配合比にて各アクリルモノマーを添加した以外は、実施例1に記載のアクリル重合体(B1)の製造と同様にして、ガラス転移温度27℃のアクリル重合体(B11)を得た。
塩素化ポリプロピレン系樹脂(A1CL1)80部の代わりに、製造例MCL3で得られた酸変性塩素化ポリプロピレン系樹脂(A3M2CL3)50部を用い、アクリル重合体(B1)20部の代わりにアクリル重合体(B11)50部を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン系樹脂(C10)を含むトルエン分散液を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた変性ポリオレフィン系樹脂について、下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
<重量平均分子量(Mw)>
GPCにより、下記条件に従い測定した。
装置:HLC−8320GPC(東ソー株式会社より供給)
カラム:TSK−gel G−6000 H×L,G−5000 H×L,G−4000 H×L,G−3000 H×L,G−2000 H×L(東ソー株式会社より供給)
溶離液:THF
流速:1mL/min
温度:ポンプオーブン、カラムオーブン40℃
注入量:100μL
標準物質:ポリスチレン EasiCal PS−1(Agilent Technologyより供給)
<ガラス転移温度(Tg)>
判明している成分(B)の重合体を製造するに際して使用した各単量体をホモポリマーとした場合の各ガラス転移温度、及び成分(B)を製造するに際して使用した各単量体の配合比率を用いて、上述のFOX式により算出した。
<成分(B)(アクリル重合体)の水酸基価(mgKOH/g)>
判明している成分(B)の重合体を製造するに際して使用した各単量体をホモポリマーとした場合の水酸基価、及び成分(B)を製造するに際して使用した各単量体の配合比率を用いて、上述の方法により算出した。
<樹脂分散液の安定性>
実施例及び比較例で得られた変性ポリオレフィン系樹脂を含むトルエン分散液について、製造直後、及び製造直後から1週間経過した後の性状を目視にて下記基準により評価した。良であれば、使用可能である。
最良:製造直後及び1週間経過後のいずれも、分散液の分離がみられず、良好な溶液性状である。
良:1週間経過後、分散液の分離が目視で確認できる、もしくは分散液に濁りが生じているが、製造直後の分散液は分離が見られない。
不良:製造直後及び1週間経過後のいずれも、分散液の分離が見られる。
<塗料安定性>
実施例及び比較例で得られた変性ポリプロピレン系樹脂のトルエン分散液をトルエンと配合して、固形分20%のトルエン分散液を調製した。ウレタン樹脂(日立化成工業製 固形分30wt%)90重量部中に、調製したトルエン分散液(固形分20wt%)15重量部を加え、振とう機にて10分間撹拌し、室温で1日静置した後の溶液性状を観察し、塗料安定性(配合樹脂の相溶性)を溶液の分離状態から目視で判断した。
A:溶液の増粘、分離がみられず、良好な溶液性状である。
B:溶液がやや増粘するものの、分離等がみられない。
C:成分の分離はないものの、溶液中に微粒子が確認される。
D:成分の分離が目視で確認できる。
<試験片の作製>
実施例及び比較例で得られた分散液を固形分濃度30重量%に調整し、ポリプロピレン基材に塗装し、80℃で5分間乾燥した後、二液ウレタン塗料を塗装し、80℃で30分乾燥し、試験片(塗装板)を作製した後に各試験を行った。
<付着性試験>
塗装板の塗膜に1mm間隔で素地に達する線状の刻みを縦横に入れて、100個の区画(碁盤目)を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180°方向に引き剥がした。セロハン粘着テープを密着させて引き剥がす操作を同一の100個の区画につき10回行い、付着性(接着性)を以下に示す基準で評価した。剥離した塗膜の区画が50個以下であれば、実用上問題はない。
(付着性の評価基準)
A:塗膜の剥離がない。
B:剥離した塗膜の区画が1個以上10個以下である。
C:剥離した塗膜の区画が10個より多く50個以下である。
D:剥離した塗膜の区画が50個より多い。
<耐ガソホール性試験>
塗装板をレギュラーガソリン/エタノール=9/1(v/v)に120分浸漬し塗膜の状態を観察し、耐ガソホール性を以下に示す基準で評価した。塗膜表面に剥離が生じていなければ、実用上問題はない。
(耐ガソホール性の評価基準)
A:塗膜表面に変化がない。
B:塗膜表面にわずかに変化がみられるが剥離はみられない。
C:塗膜表面に変化がみられるが剥離は生じていない。
D:塗膜表面に剥離が生じている。
<耐チッピング試験>
−20℃に冷却した低温室内で塗装板を冷却し、飛石試験機(スガ試験機株式会社、JA−400型)の試験板装着部に水平から角度90°になるよう試験板を垂直に固定し、5kgf/cmの空気圧で7号砕石100gを5秒間で吹き付け、試験板に傷を付けた。その後、塗装板を水洗、乾燥させ、塗面にセロハン粘着テープを密着させ、テープの一端を持って引き剥がし、チッピングにより浮き上がった塗膜を除去して、はがれ傷の程度を下記の基準で評価した。はがれ傷の評価は、被衝撃部の縦70mm×横70mmの枠内で行った。
A:最も良好。評価面積当たりの剥離面積率0.0%以上0.7%未満。
B:良好。評価面積当たりの剥離面積率0.7%以上1.2%未満。
C:劣る。評価面積当たりの剥離面積率1.2%以上3.5%未満。
D:最も劣る。評価面積当たりの剥離面積率3.5%以上。
Figure 2018128111
表1の項目「樹脂骨格」中、「P」はプロピレン、「E」はエチレン、「B」ブタジエンを表す。
Figure 2018128111
表2中、「2EHA」はアクリル酸2−エチルヘキシル、「HEA」はアクリル酸2−ヒドロキシエチル、「BA」はアクリル酸ブチル、「INA」はアクリル酸イソノニル、「AA」はアクリル酸、「LMA」はメタクリル酸ラウリル、「LA」はアクリル酸ラウリル、「HEMA」はメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、「EA」はアクリル酸エチルをそれぞれ表す。
4−12の割合とは、炭素原子数が4〜12であり一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの、配合した単量体の全重量に対する重量百分率(%)である。
Figure 2018128111
表3によれば、実施例の変性ポリオレフィン系樹脂は、比較例1と比較して、耐チッピング性に優れていることがわかる。また、実施例の変性ポリオレフィン系樹脂は、非極性基材であるポリプロピレンへの付着性及び樹脂分散液又は塗料とした場合の安定性に問題がないことがわかる。

Claims (11)

  1. 成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体がグラフトされている共重合体である、変性ポリオレフィン系樹脂。
    CH=C(R)COOR・・・(I)
    (式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。)
  2. 構成単位(i)の炭素原子数が、4〜12である、請求項1に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  3. 成分(B)における構成単位(i)の含有率が、40重量%以上100重量%以下である、請求項2に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  4. 成分(A)が、塩素化ポリオレフィン樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  5. 成分(B)の重量平均分子量が、1,000以上100,000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  6. 成分(B)の水酸基価が、5mgKOH/g以上560mgKOH/g以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  7. 成分(A)の成分(B)に対する重量比率(成分(A)/成分(B))が20/80以上80/20以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  8. 重量平均分子量が10,000以上200,000以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂と分散媒とを含む、分散組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の変性ポリオレフィン系樹脂又は請求項9に記載の分散組成物を含む、プライマー。
  11. 成分(A):ポリオレフィン樹脂又はその変性物に、成分(B):下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(i)を含みガラス転移温度(Tg)が0℃以下である重合体をグラフト重合する工程を含む、変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法。
    CH=C(R)COOR・・・(I)
    (式(I)中、Rは水素原子又はメチルを表し、Rは−C2n+1で表される基を表し、nは1〜18の整数を表す。)
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