JPWO2018092203A1 - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

圧縮機、凝縮器、減圧装置、および蒸発器が冷媒配管により接続されて形成された冷媒回路と、蒸発器に空気を送風する送風機を有し、蒸発器を通過する風量を調整する風量調整ユニットと、冷媒回路および風量調整ユニットの動作を制御する制御装置と、を有する空気調和機。制御装置は、蒸発温度が凍結閾値まで低下した場合、圧縮機の運転周波数をもとに、風量調整ユニットによって蒸発器に送風される風量を示す風量設定値を演算し、演算した風量設定値をもとに、蒸発器を通過する風量を増加させるものである。

Description

本発明は、蒸発器を備えた空気調和機に係り、特に冷房運転時における蒸発器の凍結防止処理に関する。
空気調和機は、例えば、室外温度が低い環境下で冷房運転を行う場合、低温の外気で冷却された冷媒が蒸発器に流入し、蒸発温度が低下するため、蒸発器に付着した水分が凍結することがある。こうした蒸発器の凍結は、運転能力の低下に繋がるため、従来から、蒸発器の凍結を抑制するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1の空気調和機は、容量可変の圧縮機と蒸発器とを備え、蒸発器の近傍に取り付けられた圧力センサの検出値から蒸発温度を演算するようになっている。そして、特許文献1の空気調和機は、演算した蒸発温度の値が所定値を下回ると、圧縮機の容量を低減させるように構成されている。特許文献2の空気調和機は、容量可変の圧縮機と、温度センサが取り付けられた蒸発器とを備え、温度センサによって蒸発温度をモニタするようになっている。そして、特許文献2の空気調和機は、温度センサによる検出値が所定値を下回ると、圧縮機の容量を低減させるように構成されている。また、空気調和機には、蒸発器へ流入する冷媒を別回路へバイパスさせ、冷媒流量を調整することにより、蒸発器の凍結を抑制しているものもある。
特許第2541172号公報 特開平7−103596号公報
しかしながら、特許文献1及び2の空気調和機は、蒸発温度が所定値を下回ったとき、圧縮機の容量を低減させるため、空気調和機の能力が低下し、要求される能力を維持できなくなるという課題がある。また、蒸発器へ流入する冷媒をバイパスさせる手法を採った空気調和機でも、蒸発器へ流入する冷媒量が減少するため、空気調和機の能力が低下する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、能力を低下させることなく蒸発器の凍結を抑制する空気調和機を提供することを目的とする。
本発明に係る空気調和機は、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を減圧する減圧装置、および冷媒を蒸発させる蒸発器が冷媒配管により接続されて形成された冷媒回路と、蒸発器に空気を送風する送風機を有し、蒸発器を通過する風量を調整する風量調整ユニットと、冷媒回路および風量調整ユニットの動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、蒸発温度が凍結閾値以下であるか否かを判定する凍結判定部と、凍結判定部において蒸発温度が凍結閾値以下であると判定された場合、圧縮機の運転周波数をもとに、風量調整ユニットによって蒸発器に送風される風量を示す風量設定値を演算する設定値演算処理部と、設定値演算処理部において演算された風量設定値をもとに、蒸発器を通過する風量を増加させる動作制御部と、を有している。
本発明によれば、蒸発温度が凍結閾値以下である場合に、蒸発器を通過する風量を上昇させることから、圧縮機の容量および蒸発器への冷媒流入量を減らす必要がないため、空気調和機の能力を低下させることなく、蒸発器の凍結を抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。 図1の空気調和機における冷凍サイクルの動作状態を示すP−h線図である。 図1の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。 図1の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を例示する説明図である。 図1の空気調和機の冷房運転時の動作例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。 図6の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。 図8の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。 図8の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を例示する説明図である。 図8の空気調和機の冷房運転時の動作例を示すフローチャートである。 図8の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との他の関係を例示する説明図である。 本発明の実施の形態4に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。 図13の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。 従来の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を示す説明図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。図2は、図1の空気調和機における冷凍サイクルの動作状態を示すP−h線図である。図1に示すように、空気調和機10は、圧縮機21と、凝縮器22と、減圧装置23と、蒸発器24と、風量調整ユニット30と、を有している。空気調和機10では、圧縮機21、凝縮器22、減圧装置23、および蒸発器24が冷媒配管20により接続され、冷媒回路10Aが形成されている。冷媒回路10Aには冷媒が充填されている。
圧縮機21は、低圧のガス状態の冷媒を吸入し、高圧のガス状態の冷媒へと圧縮するものであり、室外に設置される室外機(図示せず)に設けられている。圧縮機21は、インバータ制御により運転周波数を任意に変化させることができるものであってよい。また、圧縮機21は、運転周波数を変化させる機能をもたず、かつ、容量をバイパス弁などで調整することができる一定速のものであってもよい。
凝縮器22は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器からなり、室外機に設けられている。凝縮器22は、圧縮機21から送り込まれる高圧のガス状態の冷媒を、外部流体との間で熱交換させることにより、高圧の液状態の冷媒へと凝縮させるものである。熱交換に用いられる外部流体は、空気などの気体でもよいし、水などの液体でもよい。
減圧装置23は、例えば電子膨張弁からなり、高圧の液状態の冷媒を、低圧の気液二相状態の冷媒へと膨張させ減圧させるものである。もっとも、減圧装置23は、電子膨張弁に限らず、例えばキャピラリーチューブなどのように、冷媒を減圧させる機能をもつものであればよい。減圧装置23は、室外機に設けられていてもよく、室内に設置される室内機(図示せず)に設けられていてもよい。
蒸発器24は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器からなり、室内機に設けられている。蒸発器24は、減圧装置23から流入する低圧の気液二相状態の冷媒を、空気との間で熱交換させることにより、低圧のガス状態の冷媒へと蒸発させ、圧縮機21に返すものである。
すなわち、冷媒回路10Aは、圧縮機21により、冷媒を圧縮して高圧のガス状態とし、凝縮器22へ送る。また、冷媒回路10Aは、凝縮器22により、冷媒を凝縮して高圧の液状態とし、減圧装置23へ送る。さらに、冷媒回路10Aは、減圧装置23により、冷媒を膨張させて低圧の気液二相状態にし、蒸発器24へ送る。そして、冷媒回路10Aは、蒸発器24により、冷媒を蒸発して低圧のガス状態とし、低圧のガス状態となった冷媒を再び圧縮機21へ送る。空気調和機10は、上記のような冷凍サイクルを利用して、室内の温度を調整する。本実施の形態1の空気調和機10は、冷房運転を行うように構成されているため、室内の空気は、蒸発器24によって冷却される。
風量調整ユニット30は、蒸発器24に付設され、蒸発器24を通過する風量を調整するものである。風量調整ユニット30は、蒸発器24に空気を送風する送風機31を有している。送風機31は、インバータによって駆動されるファンモータ31aと、ファンモータ31aを動力源として回転し、蒸発器24に空気を送風するファン31bと、を有している。つまり、ファンモータ31aは、ファン31bを駆動させるためのものである。
送風機31は、空気と蒸発器24の低圧の気液二相状態の冷媒とを熱交換させるために、空気を蒸発器24に送風するものである。すなわち、空気調和機10では、送風機31によって送風された空気が蒸発器24を通過し、蒸発器24に流れる冷媒と室内の空気との熱交換が促進される。送風機31の種類は特に限定されるものではなく、送風機31としては、シロッコファン又はプラグファンなどを採用することができる。また、送風機31は、押し込み方式のものでもよいし、引っぱり方式のものでもよい。
空気調和機10は、凝縮器圧力センサ41と、凝縮器出口温度センサ42と、蒸発器入口温度センサ43と、蒸発器出口温度センサ44と、制御装置50と、を有している。凝縮器圧力センサ41は、凝縮器22の圧力である凝縮圧力Pcmを測定するものである。図2の例では、点b−点c間における冷媒の圧力が凝縮圧力に相当する。凝縮器出口温度センサ42は、凝縮器22の出口の温度である凝縮器出口温度を測定するものである。図2の例では、点cにおける冷媒の温度が凝縮器出口温度に相当する。
蒸発器入口温度センサ43は、蒸発器24の減圧装置23側の温度である蒸発温度Teを測定するものである。図2の例では、点d−点z間における冷媒の温度が蒸発温度Teに相当する。蒸発器出口温度センサ44は、蒸発器24の出口の温度である蒸発器出口温度を測定するものである。図2の例では、点aにおける冷媒の温度が蒸発器出口温度に相当する。
制御装置50は、冷媒回路10Aおよび風量調整ユニット30の動作を制御するものである。制御装置50は、図2に示すような所定の冷凍サイクルに基づく蒸発器入口エンタルピhriおよび蒸発器出口エンタルピhro、凝縮器圧力センサ41から得られた圧力データ、凝縮器出口温度センサ42、蒸発器入口温度センサ43、および蒸発器出口温度センサ44から得られた各温度データをもとに、空調制御を実行する。すなわち、制御装置50は、空気調和機10における冷凍サイクルの動作状態をもとに、圧縮機21および減圧装置23を制御したり、冷媒流量を演算したり、風量を演算したり、ファンモータ31aを制御してファン31bを駆動させたりするものである。
図3は、図1の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置50は、記憶部51と、凝縮温度演算部52と、過冷却度演算部53と、過熱度演算部54と、凍結判定部55と、設定値演算処理部56と、動作制御部57と、を有している。記憶部51には、空気物性の情報、冷媒物性の情報、および能力演算式の情報等が格納されている。能力演算式の情報とは、後述する式(1)および式(2)等を示す情報である。また、記憶部51には、空気調和機10の能力と、風量調整ユニット30により蒸発器24に送風される風量を示す風量設定値とが関連づけられた設定値テーブルが格納されている。以降では、空気調和機10の能力を機器の能力Qeともいう。
本実施の形態1の設定値テーブルには、風量設定値として、送風機31の回転周波数を示す回転周波数設定値が記憶されている。回転周波数設定値は、蒸発器24の凍結防止用に設定されている。すなわち、設定値テーブルでは、空気調和機10が発揮し得る複数の能力のそれぞれに、回転周波数設定値が対応づけられている。より具体的に、設定値テーブルでは、機器の能力Qeの範囲ごとに回転周波数設定値が関連づけられている。設定値テーブルは、機器の能力Qeが小さくなると、回転周波数設定値が大きくなるように構成されている。よって、空気調和機10が、設定値テーブル内のある能力を発揮しているとき、送風機31の回転周波数を当該能力に対応する回転周波数設定値にすれば、蒸発器24の凍結を防止することができる。
凝縮温度演算部52は、凝縮器圧力センサ41によって測定された凝縮圧力Pcmと、記憶部51内の冷媒物性の情報とをもとに、凝縮温度を演算するものである。図2の例では、点x−点y間における冷媒の温度が凝縮温度に相当する。
過冷却度演算部53は、凝縮器出口温度センサ42によって測定された凝縮器出口温度と、凝縮温度演算部52において演算された凝縮温度とを用いて、過冷却度SCを演算するものである。より具体的に、過冷却度演算部53は、凝縮温度から凝縮器出口温度を減算することにより過冷却度SCを求めるものである。
過熱度演算部54は、蒸発器入口温度センサ43によって測定された蒸発温度Teと、蒸発器出口温度センサ44によって測定された蒸発器出口温度とを用いて、過熱度SHを演算するものである。より具体的に、過熱度演算部54は、蒸発器出口温度から蒸発温度Teを減算することにより過熱度SHを求めるものである。
凍結判定部55は、蒸発器入口温度センサ43によって測定された蒸発温度Teと、予め設定された凍結閾値Tとを比較し、蒸発温度Teが凍結閾値T以下であるか否かを判定するものである。これにより、凍結判定部55は、蒸発器24に凍結のおそれがあるか否かを判定する。凍結閾値Tは、例えば0℃に設定される。もっとも、凍結閾値Tは、蒸発器24の凍結を防止できる温度に設定されていればよく、空気調和機10の構成内容および冷媒物性等に基づき、0℃以外の温度に設定されていてもよい。また、凍結判定部55は、予め決められた設定時間ごとに、蒸発器入口温度センサ43から蒸発温度Teを取得し、蒸発温度Teが凍結閾値T以下であるか否かを判定する機能を有している。
設定値演算処理部56は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定された場合、圧縮機21の容量、すなわち圧縮機21の運転周波数をもとに、風量設定値を演算するものである。本実施の形態1において、設定値演算処理部56は、風量設定値として、送風機31の回転周波数を示す回転周波数設定値を演算する。
設定値演算処理部56は、蒸発圧力演算部56aと、冷媒流量演算部56bと、能力演算部56cと、風量演算部56dと、を有している。蒸発圧力演算部56aは、蒸発器入口温度センサ43によって測定された蒸発温度Teと、記憶部51内の冷媒物性の情報とをもとに、冷媒流量Grの算出に用いられる蒸発圧力Peを演算するものである。図2の例では、点d−点a間における冷媒の圧力が蒸発圧力Peに相当する。
冷媒流量演算部56bは、蒸発圧力演算部56aにおいて演算された蒸発圧力Peを用いて、冷媒流量Grを求めるものである。冷媒流量Grは、圧縮機21の押しのけ容積Vと、圧縮される冷媒の密度ρとにより、下記式(1)のように表される。ここで、圧縮機21の押しのけ容積Vは、圧縮機21の運転周波数に対応するものであり、記憶部51に予め格納されている。圧縮される冷媒の密度ρは、冷媒流量演算部56bが、蒸発圧力Peと、記憶部51内の冷媒物性の情報とをもとに演算する。
Figure 2018092203
すなわち、冷媒流量演算部56bは、蒸発圧力Peと冷媒物性の情報とをもとに、圧縮される冷媒の密度ρを求めるものである。そして、冷媒流量演算部56bは、式(1)に基づき、圧縮機21の押しのけ容積Vと、圧縮される冷媒の密度ρとを積算することで、冷媒流量Grを求めるものである。
能力演算部56cは、冷媒流量演算部56bにおいて求められた冷媒流量Grを用いて、機器の能力Qeを演算するものである。ここで、機器の能力Qeについては、冷媒流量Grと、蒸発器入口エンタルピhriおよび蒸発器出口エンタルピhroとを用いた下記の式(2)が成り立つ。
Figure 2018092203
すなわち、能力演算部56cは、上記式(2)に基づき、冷媒流量Grと、蒸発器出口エンタルピhroから蒸発器入口エンタルピhriを減じた差分である蒸発器出入口エンタルピ差Δhrとを積算することにより、機器の能力Qeを求めるようになっている。なお、機器の能力Qeは、圧縮機21の押しのけ容積Vを用いて演算されるため、機器の能力Qeと圧縮機21の運転周波数との間には関連性がある。
風量演算部56dは、能力演算部56cにおいて演算された機器の能力Qeを設定値テーブルに照らすことにより、回転周波数設定値を演算するものである。また、風量演算部56dは、演算した回転周波数設定値の情報を動作制御部57へ出力する機能を有している。
動作制御部57は、ファンモータ31aの駆動を制御することにより、ファン31bの回転数を変化させる機能を有している。すなわち、動作制御部57は、送風機31を制御することにより、風量初期値Afiから風量最大値Afmまでの範囲である風量調整範囲Rにおいて、蒸発器24を通過する風量を調整することができる。
動作制御部57は、蒸発器24に凍結のおそれがあるとき、設定値演算処理部56において演算された回転周波数設定値の情報をもとに、送風機31の回転周波数を上昇させて、蒸発器24を通過する風量を増加させるものである。つまり、動作制御部57は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、送風機31の回転周波数が回転周波数設定値となるように、ファンモータ31aの駆動を制御し、ファン31bの回転数を上昇させるものである。
また、動作制御部57は、空調負荷等に応じて圧縮機21の運転周波数を制御し、冷媒回路10Aを循環する冷媒の流量を調整するものである。さらに、動作制御部57は、減圧装置23が開度調整可能な電子膨張弁等である場合、空調負荷等に応じて減圧装置23の開度を制御する機能を有する。
図4は、図1の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を例示する説明図である。図4では、外気温度が経時的に低下していく環境下における凍結防止制御を例示している。図4に示すように、空気調和機10は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、風量調整範囲Rにおいて、蒸発器24を通過する風量を増加させることができる。そのため、空気調和機10は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下した場合であっても、圧縮機21の運転周波数を維持させることができる。よって、空気調和機10によれば、能力を低下させることなく、蒸発器24の凍結を抑制することができる。本実施の形態1において、風量は、送風機31の回転周波数に対応している。風量初期値Afiは、冷房運転を開始する際の送風機31の回転周波数の初期値であり、風量最大値Afmは、送風機31の回転周波数の最大値である。
ところで、図4では、時間の経過に伴って、送風機31の回転周波数を段階的に上昇させる様子を示しているが、空気調和機10は、例えば、外気温度が経時的に上昇していく環境下にあっては、送風機31の回転周波数を段階的に上昇させるようにしてもよい。また、空気調和機10は、例えば、外気温度が上昇と低下とを繰り返す環境下にあっては、送風機31に、回転周波数の上昇と下降とを繰り返させるようにしてもよい。すなわち、空気調和機10は、外気温度の変動、すなわち機器の能力Qeの変動に応じて、送風機31の回転周波数の上昇処理又は下降処理を行うようにしてもよい。
制御装置50は、室内機に設けられていてもよく、室外機に設けられていてもよい。また、制御装置50は、上記の各機能を分離させた2つの制御装置により構成してもよく、この場合、一方の制御装置を室内機に設け、他方の制御装置を室外機に設けるようにしてもよい。
制御装置50は、上記の各機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアで実現することもできるし、例えば、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、又はCPU(Central Processing Unit)等の演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現することもできる。また、記憶部51は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のPROM(Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)等により構成することができる。
図5は、図1の空気調和機10の冷房運転時の動作例を示すフローチャートである。図5を参照して、本実施の形態1の空気調和機10による凍結抑制制御について説明する。
空気調和機10が冷房運転を開始すると、凍結判定部55は、蒸発器入口温度センサ43から蒸発温度Teを取得する(ステップS101)。そして、凍結判定部55は、蒸発温度Teが凍結閾値T以下であるか否かを判定することで、蒸発器24に凍結のおそれがあるか否かを判定する(ステップS102)。
設定値演算処理部56は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定された場合(ステップS102/Yes)、風量設定値を演算し、演算した風量設定値の情報を動作制御部57へ出力する(ステップS103)。一方、設定値演算処理部56は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値Tより大きいと判定された場合(ステップS102/No)、ステップS101へ戻る。
動作制御部57は、設定値演算処理部56から出力された風量設定値の情報に従い、蒸発器24を通過する風量が風量設定値となるように風量調整を実行する。すなわち、動作制御部57は、ファンモータ31aの駆動を制御してファン31bの回転数を上昇させる。このようにして、動作制御部57は、送風機31の回転周波数を上昇させ、蒸発器24を通過する風量を風量設定値まで増加させる(ステップS104)。
動作制御部57による風量調整後、凍結判定部55は、設定時間が経過するまで待機し(ステップS105/No)、設定時間が経過すると(ステップS105/Yes)、ステップS101へ戻る。すなわち、空気調和機10は、ステップS101〜S105の一連の動作を繰り返す。
ところで、図5では、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値Tより大きいと判定された場合(ステップS102/No)、ステップS101へ戻る例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS102のNoからステップS105に進むといった処理により、所定時間が経過した後、改めて凍結判定部55が蒸発温度Teを取得し、ステップS101〜S105の一連の動作を行うようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態1における空気調和機10は、蒸発温度が凍結閾値T以下である場合に、蒸発器24を通過する風量を上昇させることから、圧縮機21の容量および蒸発器24への冷媒流入量を減らす必要がないため、空気調和機10の能力を低下させることなく、蒸発器24の凍結を抑制することができる。
ところで、機器の能力Qeは、上記のように演算されるため、外気温度の変化に応じて変化する。例えば、外気温度が低下すると、機器の能力Qeも下がり、外気温度が上昇すると、機器の能力Qeも上がる。そして、外気温度は、時々刻々と変化し、例えば1日の変化をみると、日中から夜間にかけて経時的に低下し、明け方から日中にかけて経時的に上昇する。この点、制御装置50は、設定時間ごとに凍結のおそれがあるか否かを判定し、凍結のおそれがある場合に風量調整を行うようになっている。よって、空気調和機10は、外気温度が経時的に低下していく状況において、段階的に送風機31の回転周波数を上昇させることができる。また、空気調和機10は、設定時間を短く設定すれば、外気温度の急激な変化にも対応することができる。すなわち、空気調和機10によれば、外気温度の変化に柔軟に対応した凍結防止制御を実現することができる。
本実施の形態1では、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに、送風機31の回転周波数を上昇させる処理について説明したが、送風機31の回転周波数を上昇させた後、所定の条件を満たした場合に、送風機31の回転周波数を下降させるようにするとよい。例えば、制御装置50は、凍結のおそれがない状態(ステップS102のNoの状態)が一定時間以上継続したときに、送風機31の回転周波数を下降させるようにしてもよい。すなわち、設定値演算処理部56が、凍結のおそれがない状態が一定時間以上継続したときに、設定値テーブル又はこれと同様に構成されたテーブル情報を参照して、回転周波数設定値を演算するようにしてもよい。そして、動作制御部57が、設定値演算処理部56において演算された回転周波数設定値の情報をもとに、送風機31の回転周波数を下降させて、蒸発器24を通過する風量を減少させるようにしてもよい。このようにすれば、外気温度の上昇に応じて、送風機31の回転周波数を下降させることができるため、蒸発器24の凍結を防止すると共に、送風機31の動作に起因したコストを削減することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。図7は、図6の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。図6および図7に基づき、本実施の形態2に係る空気調和機の構成および動作について説明する。前述した実施の形態1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
本実施の形態2における空気調和機110は、風量調整ユニット130と、冷媒回路10Aおよび風量調整ユニット130の動作を制御する制御装置150と、を有している。風量調整ユニット130は、送風機31と、蒸発器24に付設された風量調整ダンパ32と、を有している。風量調整ダンパ32は、送風機31によって形成される風路上に設けられ、蒸発器24を通過する風量を調整するものである。風量調整ダンパ32は、複数の羽根の開閉により、設置された風路を通過する風量を調整できる多翼式ダンパ、又は一枚の板の回転により設置された風路を通過する風量を調整できるバタフライダンパなどである。
本実施の形態2における記憶部51に格納されている設定値テーブルには、風量設定値として、回転周波数設定値と、風量調整ダンパ32の開度を示す開度設定値とが記憶されている。回転周波数設定値と開度設定値とは、蒸発器24の凍結防止用に予め設定されている。すなわち、本実施の形態2における設定値テーブルは、機器の能力Qeと、回転周波数設定値と、開度設定値とが関連づけられたものである。より具体的に、設定値テーブルでは、機器の能力Qeの範囲ごとに、回転周波数設定値および開度設定値が関連づけられている。設定値テーブルは、機器の能力Qeが小さくなると、回転周波数設定値が大きくなり、開度設定値が大きくなるように構成されている。よって、空気調和機110が、設定値テーブル内のある能力を発揮しているとき、送風機31の回転周波数を当該能力に対応する設定周波数に設定すると共に、風量調整ダンパ32の開度を当該能力に対応する開度設定値に設定すれば、蒸発器24の凍結を防止することができる。
制御装置150は、図7に示すように、記憶部51と、凝縮温度演算部52と、過冷却度演算部53と、過熱度演算部54と、凍結判定部55と、設定値演算処理部156と、動作制御部157と、を有している。設定値演算処理部156は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定された場合、圧縮機21の運転周波数をもとに風量設定値を演算するものである。本実施の形態2において、設定値演算処理部156は、風量設定値として、風量調整ダンパ32を介して蒸発器24に送風される風量、すなわち、開度設定値と回転周波数設定値とを演算するものである。
設定値演算処理部156は、蒸発圧力演算部56aと、冷媒流量演算部56bと、能力演算部56cと、風量演算部156dと、を有している。風量演算部156dは、能力演算部56cにおいて演算された機器の能力Qeを設定値テーブルに照らして、開度設定値および回転周波数設定値を演算するようになっている。また、風量演算部156dは、演算した開度設定値の情報および回転周波数設定値の情報を動作制御部157へ出力する機能を有している。風量演算部156dの他の構成は、前述した実施の形態1の風量演算部56dと同様である。
動作制御部157は、設定値演算処理部56において演算された開度設定値の情報と回転周波数設定値の情報とをもとに、蒸発器24を通過する風量を調整するものである。すなわち、動作制御部157は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、送風機31の回転周波数が回転周波数設定値となり、かつ風量調整ダンパ32の開度が開度設定値となるように、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度を調整するものである。本実施の形態2において、風量は、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度に対応している。
ここで、設定値テーブルでは、各機器の能力Qeごとに、開度設定値および回転周波数設定値のうちの少なくとも1つが変化している。したがって、風量演算部156dにより演算された開度設定値および回転周波数設定値のうちの何れか一方は、凍結判定部55による判定時の値と同じである場合もある。つまり、動作制御部157は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、送風機31の回転周波数を上昇させる処理、および風量調整ダンパ32の開度を大きくする処理のうちの少なくとも一方を行うことにより、蒸発器24を通過する風量を増加させるようになっている。動作制御部157の他の構成は、前述した実施の形態1の動作制御部57と同様である。
空気調和機110の動作は、図5に基づいて説明した空気調和機10の動作と同様である。例えば、空気調和機110は、設定値テーブル内のデータを調整することにより、ステップS103およびS104において、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度の双方を調整することができる。すなわち、空気調和機110によれば、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度のうちの何れか一方を調整する凍結防止制御と、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度の双方を調整する凍結防止制御とを組み合わせることができる。
以上のように、本実施の形態2における空気調和機110は、蒸発温度が凍結閾値T以下である場合に、蒸発器24を通過する風量を上昇させることから、圧縮機21の容量又は蒸発器24への冷媒流入量を減らす必要がないため、空気調和機110の能力を低下させることなく、蒸発器24の凍結を抑制することができる。
そして、空気調和機110は、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度を調整することができる。このため、空気調和機110によれば、風量調整ダンパ32の開度を予め所定量だけ狭めておき、最初に蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに、風量調整ダンパ32の開度を大きくし、次に蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに、送風機31の回転周波数を増加させるといった凍結防止制御を実現することができる。また、空気調和機110によれば、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに、送風機31の回転周波数又は風量調整ダンパ32の開度を調整したり、送風機31の回転周波数および風量調整ダンパ32の開度の双方を調整したりすることができる。すなわち、空気調和機110によれば、風量調整ダンパ32の開度調整と送風機31の回転周波数の調整とを組み合わせることができるため、より柔軟な凍結防止制御を実現することができる。
ところで、上記の説明では、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに、送風機31の回転周波数を上昇させる処理、および風量調整ダンパ32の開度を大きくする処理のうちの少なくとも一方を行う場合について説明した。しかし、送風機31を通過する風量を増加させた後、所定の条件を満たした場合に、送風機31の回転周波数を下降させる処理、および風量調整ダンパ32の開度を小さくする処理のうちの少なくとも一方を行うようにするとよい。例えば、制御装置150は、凍結のおそれがない状態が一定時間以上継続したときに、送風機31の回転周波数を下降させる処理、および風量調整ダンパ32の開度を小さくする処理のうちの少なくとも一方を行うようにしてもよい。他の効果については、実施の形態1の空気調和機10と同様である。
本実施の形態2では、回転数制御が可能なファンモータ31aを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、空気調和機110は、ファンモータ31aの代わりに、一定速度で回転するファンモータを有するようにし、蒸発器24を通過する風量を風量調整ダンパ32のみによって調整するように構成してもよい。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。図9は、図8の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。上述した実施の形態1および2と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
図8および図9に示すように、本実施の形態3における空気調和機210は、冷媒回路10Aおよび風量調整ユニット30の動作を制御する制御装置250を有している。制御装置250は、記憶部51と、凝縮温度演算部52と、過冷却度演算部53と、過熱度演算部54と、凍結判定部55と、設定値演算処理部256と、動作制御部257と、風量判定部258と、を有している。
本実施の形態3における記憶部51には、風量設定値としての回転周波数設定値と、圧縮機21の運転周波数を示す運転周波数設定値と、が記憶されている。回転周波数設定値と運転周波数設定値とは、蒸発器24の凍結防止用に予め設定されている。より具体的に、記憶部51には、設定値テーブルとして、機器の能力Qeと回転周波数設定値とが関連づけられた回転設定値テーブルと、機器の能力Qeと運転周波数設定値とが関連づけられた運転設定値テーブルと、が格納されている。運転設定値テーブルでは、機器の能力Qeの範囲ごとに運転周波数設定値が関連づけられている。運転設定値テーブルは、機器の能力Qeが小さくなると、運転周波数設定値が小さくなるように構成されている。
風量判定部258は、現在の風量と、送風機31によって送風可能な風量の最大値である風量最大値Afmとを比較し、現在の風量が風量最大値Afmに達しているか否かを判定するものである。
設定値演算処理部256は、蒸発圧力演算部56aと、冷媒流量演算部56bと、能力演算部56cと、風量演算部56dと、運転周波数演算部256eを有している。設定値演算処理部256は、風量判定部258において現在の風量が風量最大値Afm未満であると判定された場合、風量演算部56dが、能力演算部56cにおいて演算された機器の能力Qeを回転設定値テーブルに照らして回転周波数設定値を演算するようになっている。風量演算部56dは、演算した回転周波数設定値の情報を動作制御部257に出力する機能を有している。
また、設定値演算処理部256は、現在の風量が風量最大値Afmに達していると判定された場合、運転周波数演算部256eが、能力演算部56cにおいて演算された機器の能力Qeを運転設定値テーブルに照らして運転周波数設定値を演算するようになっている。つまり、運転周波数演算部256eは、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定され、かつ送風機31によって蒸発器24に送風される風量が風量最大値Afmに到達している場合に、運転周波数設定値を演算するものである。運転周波数演算部256eは、演算した運転周波数設定値の情報を動作制御部257に出力する機能を有している。
動作制御部257は、運転周波数演算部256eにおいて演算された運転周波数設定値をもとに、圧縮機21の運転周波数を調整する機能を有している。動作制御部257は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定され、かつ送風機31によって蒸発器24に送風される風量が風量最大値Afmに到達している場合、圧縮機21の運転周波数を低下させるようになっている。動作制御部257の他の構成は、上述した実施の形態1の動作制御部57と同様である。
図10は、図8の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を例示する説明図である。図10に示すように、空気調和機210は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、風量調整範囲Rにおいて、蒸発器24を通過する風量を増加させることができる。また、空気調和機210は、送風機31によって蒸発器24に送風される風量が風量最大値Afmに到達している場合に、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、はじめて圧縮機21の運転周波数を低下させる。よって、空気調和機210によれば、能力の低下を極力抑えて蒸発器24の凍結を抑制することができる。
図11は、図8の空気調和機110の冷房運転時の動作例を示すフローチャートである。図11を参照して、本実施の形態3の空気調和機210による凍結抑制制御について説明する。図5に示す各ステップと同一のステップには、同一の符号を付して説明は省略する。
空気調和機210は、図5の場合と同様に、ステップS101〜S102の処理を実行する。そして、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定された場合(ステップS102/Yes)、風量判定部258は、現在の風量が風量最大値Afmに達しているか否かを判定する(ステップS201)。
風量判定部258において、現在の風量が風量最大値Afm未満であると判定された場合(ステップS201/No)、設定値演算処理部256は、風量設定値を演算し、演算した風量設定値の情報を動作制御部257へ出力し(ステップS103)、ステップS104へ進む。一方、風量判定部258において、現在の風量が風量最大値Afmに達していると判定された場合(ステップS201/Yes)、設定値演算処理部256は、運転周波数設定値を演算し、演算した運転周波数設定値の情報を動作制御部257へ出力する(ステップS202)。
動作制御部257は、設定値演算処理部56から出力された運転周波数設定値の情報に従い、圧縮機21の運転周波数が運転周波数設定値となるように、圧縮機21の運転周波数を調整する(ステップS203)。次いで、ステップS105に進み、設定時間が経過すると(ステップS105/Yes)、ステップS101へ戻る。
以上のように、本実施の形態3における空気調和機210は、蒸発温度が凍結閾値T以下である場合に、蒸発器24を通過する風量を上昇させる処理を優先的に行う。よって、圧縮機21の容量低下を最小限に抑えることができるため、空気調和機210の冷房能力の低下を抑えながら、蒸発器24の凍結を抑制することができる。すなわち、空気調和機210は、送風機31の回転周波数を上昇させた上で、それでも凍結のおそれがある場合に、圧縮機21の運転周波数を低下させるため、能力の低下を最小限に抑えると共に、精度よく蒸発器24の凍結を防ぐことができる。
ところで、上記においては、現在の風量が風量最大値Afm未満であると判定された場合に、設定値演算処理部256が、回転周波数設定値のみを演算する場合を例示したが、これに限定されるものではない。図12は、図8の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との他の関係を例示する説明図である。例えば、図12に示す時間Mのように、現在の風量と風量最大値Afmとの差が小さい場合は、送風機31の回転周波数を風量最大値Afmまで上昇させても、凍結防止を十分に図れない可能性がある。そこで、こうした場合を想定して、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、設定値演算処理部256が、送風機31の回転周波数を上昇させると共に、圧縮機21の運転周波数を低下させるようにしてもよい。
この場合、例えば記憶部51に、機器の能力Qeと回転周波数設定値と運転周波数設定値とが関連づけられた1つの設定値テーブルを格納しておき、制御装置250が、風量演算部56dの機能と運転周波数演算部256eの機能とを併せもつ演算部を有するようにするとよい。そして、設定値演算処理部256は、風量判定部258による判定の結果にかかわらず、回転周波数設定値と運転周波数設定値との双方を演算し、演算結果を動作制御部257に出力するようにしてもよい。このようにすれば、風量判定部258の判定時における送風機31の回転周波数と風量最大値Afmとの差が小さく、送風機31の回転周波数の上昇量が十分でない状況下でも、圧縮機21の運転周波数を減少させることにより、蒸発器24の凍結を精度よく防止することができる。
加えて、空気調和機210は、風量調整ユニット30の代わりに風量調整ユニット130を有し、風量演算部56dの代わりに風量演算部156dを有するようにしてもよい。そして、動作制御部257が、動作制御部157と同様に風量調整ダンパ32の開度を調整する機能を有していてもよい。すなわち、空気調和機210は、送風機31の回転周波数の調整と、風量調整ダンパ32の開度の調整と、圧縮機21の運転周波数の調整とを組み合わせて、蒸発器24の凍結防止制御を行うようにしてもよい。かかる構成を採った空気調和機210によれば、より細かく柔軟な凍結防止制御を行うことができるため、蒸発器24の凍結をさらに精度よく防止することができる。
ところで、図10および図12では、経時的な外気温度の低下に伴って、送風機31の回転周波数を段階的に上昇させ、次いで圧縮機21の運転周波数を段階的に低下させる様子を示している。しかし、空気調和機210は、外気温度の変動、すなわち機器の能力Qeの変動に応じて、送風機31の回転周波数の上昇処理又は下降処理と、圧縮機21の運転周波数の上昇処理又は低下処理とを組み合わせて行うようにしてもよい。
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4に係る空気調和機の構成を例示する概略図である。図14は、図13の空気調和機が有する制御装置の機能的構成を示すブロック図である。図13および図14に基づき、本実施の形態4に係る空気調和機の構成および動作について説明する。上述した実施の形態1〜3と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
本実施の形態4における空気調和機310は、図13に示すように、蒸発器24に流入する冷媒を迂回させるバイパス回路320を備えた冷媒回路310Aを有している。冷媒回路310Aの他の構成は、冷媒回路10Aと同様に構成されている。
バイパス回路320は、蒸発器24の入口側と出口側とを接続するバイパス配管320aと、バイパス配管320aに設けられ、バイパス配管320aに流入する冷媒の流量を調整する流量調整弁320bと、を有している。流量調整弁320bは、例えば電子膨張弁からなり、開度が調整できるようになっている。
また、空気調和機310は、図13および図14に示すように、冷媒回路130Aおよび風量調整ユニット30の動作を制御する制御装置350を有している。制御装置350は、記憶部51と、凝縮温度演算部52と、過冷却度演算部53と、過熱度演算部54と、凍結判定部55と、設定値演算処理部356と、動作制御部357と、風量判定部258と、を有している。
本実施の形態4における記憶部51には、風量設定値としての回転周波数設定値と、流量調整弁320bの開度を示す弁開度設定値と、が記憶されている。回転周波数設定値と弁開度設定値とは、蒸発器24の凍結防止用に予め設定されている。より具体的に、記憶部51には、設定値テーブルとして、機器の能力Qeと回転周波数設定値とが関連づけられた回転設定値テーブルと、機器の能力Qeと弁開度設定値とが関連づけられた弁開度設定値テーブルと、が格納されている。弁開度設定値テーブルでは、機器の能力Qeの範囲ごとに弁開度設定値が関連づけられている。弁開度設定値テーブルは、機器の能力Qeが小さくなると、弁開度設定値が大きくなるように構成されている。
設定値演算処理部356は、蒸発圧力演算部56aと、冷媒流量演算部56bと、能力演算部56cと、風量演算部56dと、弁開度演算部356fを有している。設定値演算処理部356は、風量判定部258において現在の風量が風量最大値Afm未満であると判定された場合に、風量演算部56dが回転周波数設定値を演算するようになっている。
また、設定値演算処理部356は、現在の風量が風量最大値Afmに達していると判定された場合、弁開度演算部356fが、能力演算部56cにおいて演算された機器の能力Qeを弁開度設定値テーブルに照らして弁開度設定値を演算するようになっている。つまり、弁開度演算部356fは、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定され、かつ送風機31によって蒸発器24に送風される風量が風量最大値Afmに到達している場合に、弁開度設定値を演算するものである。弁開度演算部356fは、演算した弁開度設定値の情報を動作制御部357に出力する機能を有している。
動作制御部357は、弁開度演算部356fにおいて演算された弁開度設定値をもとに、流量調整弁320bの開度を調整する機能を有している。つまり、動作制御部357は、蒸発器24へ流入する冷媒の一部をバイパス回路320へ迂回させる機能を有している。動作制御部357は、凍結判定部55において蒸発温度Teが凍結閾値T以下であると判定され、かつ送風機31によって蒸発器24に送風される風量が風量最大値Afmに到達している場合、流量調整弁320bの開度を大きくするようになっている。動作制御部357の他の構成は、上述した実施の形態1の動作制御部57と同様である。
空気調和機310の動作は、図11に基づいて説明した空気調和機210の動作と同様である。すなわち、風量判定部258において、現在の風量が風量最大値Afmに達していると判定された場合に(ステップS201/Yes)、設定値演算処理部356は、弁開度設定値を演算し、演算した弁開度設定値の情報を動作制御部357へ出力する(ステップS202に対応)。動作制御部357は、設定値演算処理部56から出力された弁開度設定値の情報に従い、流量調整弁320bの開度が弁開度設定値となるように、流量調整弁320bの開度を調整する(ステップS203に対応)。
ここで、流量調整弁320bは、開閉のみが可能な電磁弁等であってもよい。この場合、空気調和機310は、例えば、蒸発器24の凍結のおそれがない状態において、流量調整弁320bを閉の状態にしておくようにするとよい。そして、空気調和機310は、蒸発器24の凍結のおそれが生じ、かつ送風機31の回転周波数が風量最大値Afmに達するといった特定の条件を具備した場合に、流量調整弁320bを開の状態とするようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態4における空気調和機310は、蒸発温度が凍結閾値T以下である場合に、蒸発器24を通過する風量を上昇させる処理を優先的に行う。よって、空気調和機310によれば、蒸発器24への冷媒流入量の減少を最小限に抑えることができるため、空気調和機310の冷房能力の低下を抑えながら、蒸発器24の凍結を抑制することができる。
ところで、上記においては、現在の風量が風量最大値Afm未満であると判定された場合に、設定値演算処理部256が、回転周波数設定値のみを演算する場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、設定値演算処理部356が、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したとき、送風機31の回転周波数を上昇させると共に、流量調整弁320bの開度を大きくするようにしてもよい。この場合、例えば記憶部51に、機器の能力Qeと回転周波数設定値と弁開度設定値とが関連づけられた1つの設定値テーブルを格納しておき、制御装置350が、風量演算部56dの機能と、弁開度演算部356fの機能とを併せもつ演算部を有するようにするとよい。そして、設定値演算処理部356は、風量判定部258による判定の結果にかかわらず、回転周波数設定値と弁開度設定値との双方を演算し、演算結果を動作制御部357に出力するようにしてもよい。このようにすれば、風量判定部258の判定時における送風機31の回転周波数と風量最大値Afmとの差が小さく、送風機31の回転周波数の上昇量が十分でない状況下でも、流量調整弁320bの開度を大きくすることにより、蒸発器24の凍結を精度よく防止することができる。
加えて、空気調和機310は、風量調整ユニット30の代わりに風量調整ユニット130を有し、風量演算部56dの代わりに風量演算部156dを有するようにしてもよい。そして、動作制御部357が、動作制御部157と同様に風量調整ダンパ32の開度を調整する機能を有していてもよい。すなわち、空気調和機310は、送風機31の回転周波数の調整と、風量調整ダンパ32の開度の調整と、流量調整弁320bの開度の調整とを組み合わせて、蒸発器24の凍結防止制御を行うようにしてもよい。また、空気調和機310は、運転周波数演算部256eをさらに有するようにし、送風機31の回転周波数の調整と、圧縮機21の運転周波数の調整と、流量調整弁320bの開度の調整とを組み合わせて、蒸発器24の凍結防止制御を行うようにしてもよい。もっとも、空気調和機310は、運転周波数演算部256eを有すると共に、風量調整ユニット30および風量演算部56dの代わりに風量調整ユニット130および風量演算部156dを有するようにしてもよい。そして、空気調和機310は、送風機31の回転周波数の調整と、風量調整ダンパ32の開度の調整と、圧縮機21の運転周波数の調整と、流量調整弁320bの開度の調整とを組み合わせて、蒸発器24の凍結防止制御を行うようにしてもよい。上記のような各構成を採った空気調和機310によれば、より細かく柔軟な凍結防止制御を行うことができるため、蒸発器24の凍結をさらに精度よく防止することができる。
ここで、上記各実施形態の空気調和機によって得られる効果を更に詳細に説明するための比較例を、図15を参照して説明する。図15は、従来の空気調和機における蒸発温度と風量と圧縮機の運転周波数との関係を示す説明図である。図15では、上記各実施の形態における空気調和機と対比するため、便宜上、凍結閾値T、周波数下限値L、および風量初期値Afiが設定されていることを前提とする。図15に示すように、従来の空気調和機は、蒸発温度が凍結閾値Tまで低下したときに、圧縮機の運転周波数を低下させるため、空気調和機の能力が低下し、冷房運転に要求される能力を維持できなくなるといった課題がある。さらに、図15において、「×」で示すように、圧縮機の運転周波数を周波数下限値Lまで低下させても、蒸発温度が凍結閾値Tを下回ってしまう場合は、蒸発器の凍結を防ぐことができなくなる。
この点、上記各実施の形態における空気調和機は、蒸発温度Teが凍結閾値Tまで低下したときに蒸発器24を通過する風量を上昇させるため、蒸発器24の凍結を抑制することができる。さらに、実施の形態3および4における空気調和機は、蒸発器24を通過する風量の調整と共に、圧縮機21の運転周波数および流量調整弁320bの開度のうちの少なくとも1つの調整を行う機能を有している。すなわち、実施の形態3および4における空気調和機によれば、圧縮機21の運転周波数の調整および流量調整弁320bの開度の調整のうちの少なくとも1つにより、風量調整による蒸発器24の凍結防止処理を補填することができるため、凍結防止の精度を高めることができる。
上記各実施の形態は、空気調和機における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態では、冷房運転を実行する空気調和機を例示したが、これに限定されるものではない。各実施の形態における空気調和機は、冷媒の流路を切り替える四方弁を冷媒回路に設け、冷房運転と暖房運転との切り替えが可能な構成としてもよい。なお、空気調和機が暖房運転を行う場合、凝縮器22は蒸発器として機能し、蒸発器24は凝縮器として機能する。
また、上記各実施の形態における空気調和機は、上述した各構成部材による構成に限定されるものではない。すなわち、各実施の形態における空気調和機は、圧縮機21を保護するために液冷媒を分離するアキュムレータを具備していてもよいし、冷凍機油を回収するために油分離器を具備していてもよい。なお、上記各実施の形態における空気調和機に用いる冷媒は、冷凍サイクルを利用可能なものであればよく、例えば、R22のような単一冷媒でもよいし、R410Aのような混合冷媒でもよいし、CO2のような自然冷媒でもよい。
10、110、210、310 空気調和機、10A、310A 冷媒回路、20 冷媒配管、21 圧縮機、22 凝縮器、23 減圧装置、24 蒸発器、30、130 風量調整ユニット、31 送風機、31a ファンモータ、31b ファン、32 風量調整ダンパ、41 凝縮器圧力センサ、42 凝縮器出口温度センサ、43 蒸発器入口温度センサ、44 蒸発器出口温度センサ、50、150、250、350 制御装置、51 記憶部、52 凝縮温度演算部、53 過冷却度演算部、54 過熱度演算部、55 凍結判定部、56、156、256、356 設定値演算処理部、56a 蒸発圧力演算部、56b 冷媒流量演算部、56c 能力演算部、56d、156d 風量演算部、57、157、257、357 動作制御部、256e 運転周波数演算部、258 風量判定部、320 バイパス回路、320a バイパス配管、320b 流量調整弁、356f 弁開度演算部、Afi 風量初期値、Afm 風量最大値、Gr 冷媒流量、Pcm 凝縮圧力、Pe 蒸発圧力、Qe 機器の能力、T 凍結閾値、Te 蒸発温度、hr 蒸発器入口エンタルピ、hro 蒸発器出口エンタルピ、Δhr 蒸発器出入口エンタルピ差、V 圧縮機の押しのけ容積、ρ 圧縮される冷媒の密度。
本発明に係る空気調和機は、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を減圧する減圧装置、および冷媒を蒸発させる蒸発器が冷媒配管により接続されて形成された冷媒回路を備えた空気調和機であって、蒸発器に空気を送風する送風機を有し、蒸発器を通過する風量を調整する風量調整ユニットと、冷媒回路および風量調整ユニットの動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、空気調和機の能力と、風量調整ユニットによって蒸発器に送風される風量を示す風量設定値と、が関連づけられた設定値テーブルを記憶する記憶部と、蒸発温度が凍結閾値以下であるか否かを判定する凍結判定部と、凍結判定部において蒸発温度が凍結閾値以下であると判定された場合、圧縮機の運転周波数に応じた空気調和機の能力を求め求めた空気調和機の能力を設定値テーブルに照らして風量設定値を演算する設定値演算処理部と、設定値演算処理部において演算された風量設定値をもとに、蒸発器を通過する風量を増加させる動作制御部と、を有している。

Claims (5)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を減圧する減圧装置、および冷媒を蒸発させる蒸発器が冷媒配管により接続されて形成された冷媒回路と、
    前記蒸発器に空気を送風する送風機を有し、前記蒸発器を通過する風量を調整する風量調整ユニットと、
    前記冷媒回路および前記風量調整ユニットの動作を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    蒸発温度が凍結閾値以下であるか否かを判定する凍結判定部と、
    前記凍結判定部において蒸発温度が凍結閾値以下であると判定された場合、前記圧縮機の運転周波数をもとに、前記風量調整ユニットによって前記蒸発器に送風される風量を示す風量設定値を演算する設定値演算処理部と、
    前記設定値演算処理部において演算された前記風量設定値をもとに、前記蒸発器を通過する風量を増加させる動作制御部と、を有する空気調和機。
  2. 前記動作制御部は、
    前記送風機の回転周波数を上昇させて、前記蒸発器を通過する風量を増加させるものである請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記風量調整ユニットは、
    前記蒸発器に付設され、前記蒸発器を通過する風量を調整する風量調整ダンパを有し、
    前記動作制御部は、
    前記風量調整ダンパの開度を大きくして、前記蒸発器を通過する風量を増加させるものである請求項1又は2に記載の空気調和機。
  4. 前記設定値演算処理部は、
    前記凍結判定部において蒸発温度が凍結閾値以下であると判定され、かつ前記送風機によって前記蒸発器に送風される風量が最大値に到達している場合に、前記圧縮機の運転周波数を示す運転周波数設定値を演算する運転周波数演算部を有し、
    前記動作制御部は、
    前記運転周波数演算部において演算された前記運転周波数設定値をもとに、前記圧縮機の運転周波数を低下させる機能を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の空気調和機。
  5. 前記冷媒回路は、
    前記蒸発器の入口側と出口側とを接続するバイパス配管と、
    前記バイパス配管に設けられ、前記バイパス配管に流入する冷媒の流量を調整する流量調整弁と、を有し、
    前記設定値演算処理部は、
    前記凍結判定部において蒸発温度が凍結閾値以下であると判定され、かつ前記送風機によって前記蒸発器に送風される風量が最大値に到達している場合に、前記流量調整弁の開度を示す弁開度設定値を演算する弁開度演算部を有し、
    前記動作制御部は、
    前記弁開度演算部において演算された前記弁開度設定値をもとに、前記流量調整弁の開度を大きくする機能を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の空気調和機。
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