JPWO2018079744A1 - 酸窒化ケイ素系材料及びその製造方法 - Google Patents

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賢明 岩瀬
賢明 岩瀬
洋慈 堀江
洋慈 堀江
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栄一 岡崎
岩本 雄二
雄二 岩本
沢雄 本多
沢雄 本多
裕介 大幸
裕介 大幸
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Abstract

本開示は、多孔質の酸窒化ケイ素系材料を提供する。かかる酸窒化ケイ素系材料は、非晶質であり、0.1nm以上1.2nm以下の最頻細孔径を有しうる。この酸窒化ケイ素系材料は、下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリアルコキシシラザンを、400℃以上1000℃以下で熱処理することにより得られる。[R1O−Si−(NH)3/2] (1)(式中、R1は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)

Description

本明細書は、酸窒化ケイ素系材料及びその製造方法に関する。
酸窒化ケイ素は、耐蝕性、耐熱性、耐酸化性、耐湿性に優れた材料である。多孔質の酸窒化ケイ素成形体は、分離・吸着材(以下、分離材と称する)のほか、触媒担体、断熱材として有用である。
酸窒化ケイ素の多孔質体としては、例えば、ポリシラザンを主成分とする成形体を酸化性ガス雰囲気下で焼成して0.1〜200μmの平均細孔直径を有する酸窒化ケイ素の多孔質成形体が得られたことが開示されている(特許文献1)。また、平均細孔径2.4nmのメソポーラスシリカを加熱してアンモニアによって還元窒化することにより、平均細孔直径が1.4〜1.7nmの酸窒化ケイ素の多孔質材料を得たことが開示されている(特許文献2)。
特開平4−37668号公報 特開2005−255427号公報
ガス分子やイオンを分子ふるいなどの分離機構によって分離対象とするには、分離材料の細孔径を分離対象と同様に小さくすることが要請される。しかしながら、特許文献1に開示される多孔質成形体の細孔径は、ガス分子やイオンの大きさよりもはるかに大きい。また、特許文献2に開示される多孔質材料の細孔径は、原料であるメソポーラスシリカの細孔径に依存してしまう。メソポーラスシリカの細孔径は概して2nm以上とされているため、特許文献2の方法では、得られる酸窒化ケイ素の多孔質材料の細孔径の下限には限界がある。
本明細書は、分子ふるい機構を利用した分離材料に有用な多孔質の酸窒化ケイ素系材料及びその製造方法を提供する。
本明細書によれば、以下の手段が提供される。
〔1〕0.1nm以上1.2nm以下の最頻細孔径を有する、非晶質の酸窒化ケイ素系材料。
〔2〕前記最頻細孔径は、1.0nm以下である、〔1〕に記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔3〕前記酸窒化ケイ素系材料は、構造規則性を有していない、〔1〕又は〔2〕に記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔4〕比表面積が200m/g以上1000m/g以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔5〕ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、水素(H)及び炭素(C)から実質的に構成されており、
5.0質量%以下の炭素を含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔6〕5.0質量%以下の水素を含有する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔7〕20質量%以上の酸素を含有する、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔8〕40質量%以下の窒素を含有する、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔9〕60質量%以下のケイ素を含有する、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔10〕窒化ケイ素系材料におけるケイ素原子(Si)、酸素原子(O)及び窒素原子(N)の組成比(モル)が、1:0.3〜1.5:0.3〜1.5である、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
〔11〕下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリアルコキシシラザンを、400℃以上1000℃以下で熱処理することにより得られる、酸窒化ケイ素系材料。
[RO−Si−(NH)3/2] (1)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
〔12〕下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリアルコキシシラザンを400℃以上1000℃以下で熱処理する工程を備える、酸窒化ケイ素系材料の製造方法。
[RO−Si−(NH)3/2] (1)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
〔13〕前記熱処理工程を不活性雰囲気で行う、〔12〕に記載の酸窒化ケイ素系材料の製造方法。
実施例1の酸窒化ケイ素系材料の細孔径分布を示す。 実施例2の酸窒化ケイ素系材料の細孔径分布を示す。 実施例3の酸窒化ケイ素系材料の細孔径分布を示す。 実施例4の酸窒化ケイ素系材料のX線回折結果を示す。 実施例4の酸窒化ケイ素系材料のX線回折結果を示す。 実施例4の酸窒化ケイ素系材料のX線回折結果を示す。 実施例4の酸窒化ケイ素系材料のX線回折結果を示す。 比較例の酸窒化ケイ素のX線回折結果を示す。
本明細書は、分子ふるい機構を利用した分離材料に有用な多孔質の酸窒化ケイ素系材料及びその製造方法に関する。本明細書に開示される酸窒化ケイ素系材料(以下、本材料ともいう。)は、0.1nm以上1.2nm以下の最頻細孔径を有することができる。このため、直径が1nm程度又はそれ以下のガス分子、イオン等を好適に分離することができる。
本発明者らは、上記一般式 [RO−Si−(NH)3/2]で示される構造を含むポリアルコキシシラザンを、1000℃超の温度で熱分解して酸窒化ケイ素結晶を製造する方法も開発している。本材料は、本発明者らが、ポリアルコキシシラザンを、酸窒化ケイ素結晶を得るための熱分解温度よりも低温で加熱処理することで非晶質多孔質材料として得ることができるという知見を得て取得したものである。本材料は、非晶質の酸窒化ケイ素を主成分とし、その他に酸窒化ケイ素系成分の構成に関わらないポリアルコキシシラザン由来の熱分解物を含むことがありうる。
以下、本開示の代表的かつ非限定的な具体例について、適宜図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本開示の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された「酸窒化ケイ素系材料及びその製造方法」を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本開示を実施する際に必須のものではなく、特に本開示の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本開示の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又はクレームに記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
(酸窒化ケイ素系材料)
本材料は、ケイ素(Si)、酸素(O)、窒素(N)を構成元素として含むことができる。さらに、本材料は、水素(H)及び/又は炭素(C)を構成元素として含むことができる。
(構成元素のモル比)
本材料は、酸窒化ケイ素におけるSiとOとのモル比である1:0.5と比較して、Siに対するOのモル比が大きくてもよい。本材料におけるOは、Si1molに対し、0.6mol以上であってもよいし、0.7mol以上であってもよい。また、0.8mol以上であってもよく、0.85mol以上であってもよく、0.9mol以上であってもよく、1.0mol以上であってもよい。また、1.1mol以上であってもよい。また、本材料におけるOは、Si1molに対し、1.2mol以下であってもよく、また、1.15mol以下であってもよく、1.1mol以下であってもよい。さらに、1.0mol以下であってもよい。Si:Oのモル比の範囲は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、1:0.7〜1.2であり、また例えば、1:0.8〜1.2であり、また例えば、1:0.8〜1.1である。
本材料は、酸窒化ケイ素におけるSiとNのモル比である1:1と比較してSiに対するNのモル比が小さくてもよい。本材料におけるNは、Si1molに対し、0.7mol以下であってもよく、0.6mol以下であってもよく、0.5mol以下であってもよい。また、本材料におけるNは、Si1molに対し、0.4mol以上であってもよく、0.45mol以上であってもよく、0.5mol以上であってもよい。Si:Nのモル比の範囲は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、1:0.4〜0.7であり、また例えば、1:0.4〜0.6であり、また例えば、1:0.5〜0.6である。
本材料は、Si、O、Nの他に、C及びHを構成元素として含むことができる。C及びHの含有量は特に限定するものではない。
この場合、本材料におけるSi、O及びNの組成比(モル比)(Si:O:N)は、1:0.3以上1.5以下:0.3以上1.5以下であることが好ましい。また、本材料におけるケイ素原子(Si)、酸素原子(O)、窒素原子(N)及び炭素原子(C)の組成比(モル比)(Si:O:N:C)は、1:0.3以上1.5以下:0.3以上1.5以下:0以上0.2以下であることが好ましい。なお、これらの組成比において、既述のSi:O及びSi:Nの組成比(モル比)の態様を適用することができる。
(構成元素の元素比率)
本材料におけるSiは、酸窒化ケイ素(SiO)におけるSiの元素比率(質量%)と同等かそれよりも低くてもよい。すなわち、本材料におけるSiの元素比率は60質量%以下であってもよく、57質量%以下であってもよく、56質量%以下であってもよく、55質量%以下であってもよく、52質量%以下であってもよい。また、本材料に含まれるSiは、40質量%以上であってもよく、42質量%以上であってもよく、45質量%以上であってもよく、48質量%以上であってもよい。Siの元素比率は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、45質量%以上60質量%以下であり、また例えば、48質量%以上57質量%以下であり、また例えば、50質量%以上55質量%以下である。
本材料におけるOは、酸窒化ケイ素(SiO)におけるOの元素比率(質量%)と同等かそれよりも高くてもよい。すなわち、本材料におけるOの元素比率は、16質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。Oの元素比率は、24質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。また、本材料に含まれるOの元素比率は、55質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、36質量%以下であってもよい。Oの元素比率は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、20質量%以上40質量%以下であり、また例えば、24質量%以上36質量%以下である。
本材料におけるNは、酸窒化ケイ素(SiO)におけるNの元素比率(質量%)と同等かそれよりも低くてもよい。すなわち、本材料におけるNの元素比率は、40質量%以下であってもよく、35質量%以下であってもよく、28質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。Nは、さらに、20質量%以下であってもよい。また、本材料に含まれるNは、5質量%以上であってもよく、8質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。Nの元素比率は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、10質量%以上25質量%以下であり、また例えば、10質量%以上20質量%以下である。
本材料は、質量%で、Siの割合が最も高く、次にOの割合が高く、次にNの割合が高い元素比率を有することができる。例えば、Si:O:Nの元素比率(質量%)は、上記した各元素の元素比率で含むことができる。また、例えば、Si:O:Nの元素比率(質量%)は、45以上55以下:20以上40以下:10以上28以下等とすることができる。
本材料は、5.0質量%以下のCを含むことができる。Cは、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である。また、Cは、本材料に含まれなくてもよいが、例えば、0.01質量%以上であってもよく、0.03質量%以上であってもよく、0.05質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、0.3質量%以上であってもよく、0.5質量以上であってもよい。Cの元素比率は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、0.01質量%以上5質量%以下、また例えば、0.03質量%以上3質量%以下であり、また例えば、0.05質量%以上3質量%以下である。
本材料は、5.0質量%以下のHを含むことができる。Hは、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である。また、Hは、本材料に含まれなくてもよいが、0.1質量%以上含んでいてもよく、0.5質量%以上含んでいてもよく、1.0質量以上含んでいてもよい。Hの元素比率は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、0.1質量%以3.0質量%以下であり、また例えば、0.5質量%以上2.0質量%以下である。
酸窒化ケイ素系材料中におけるC及びHの総量の元素比率は、0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。また、例えば、1質量%以上8質量%以下とすることができ、さらに2質量%以上5質量%以下とすることができる。
本材料は、水分量を除いてSi、O、N、C及びHが全質量の99.5質量%以上を占めることができる。より好ましくは99.7質量%以上、さらに好ましくは99.8質量%以上、なお好ましくは99.9質量%以上を占めることができる。本材料は、原料や製造工程に由来する不可避不純物を含んでいてもよい。なお、本明細書において「実質的にSi、O、N、C及びHから構成される」とは、原料や工程からの不可避不純物を除いて、Si、O、N、C及びHのみからなる、ことを意味している。
(非晶質の酸窒化珪素)
本材料は、いわゆる、非晶質の酸窒化ケイ素(SiO)を含むものであり、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の結晶性成分を含まない。より具体的には、本材料は、X線回折測定において得られる回折スペクトルにおいて、回折角10〜60°の範囲に酸窒化ケイ素(結晶)を示す回折ピーク(2θ=20.0°、26.4°等)、二酸化ケイ素(結晶)を示す回折ピーク(2θ=20.9°、26.6°等)、炭化ケイ素(結晶)を示す回折ピーク(2θ=35.5°、60.0°等)、窒化ケイ素(結晶)を示す回折ピーク(2θ=20.5°、30.9°等)を観察しない。
本材料は、非晶質の酸窒化ケイ素を主成分とし、その他に酸窒化ケイ素系成分の構成に関わらないポリアルコキシシラザン由来の熱分解物を含んでいてもよい。ここで、「非晶質の酸窒化ケイ素を主成分とする」とは、非晶質の酸窒化ケイ素を50質量%以上含むことであり、好ましくは60質量%以上含むことであり、より好ましくは70質量%以上含むことであり、さらに好ましくは80質量%以上含むことであり、特に好ましくは90質量%以上含むことである。
(最頻細孔径)
本材料は、1.2nm以下の最頻細孔径を有することができる。最頻細孔径は、細孔材料である本材料の孔径のうち、出現頻度が最も高い孔径である。最頻細孔径が1.2nm以下であれば、ガス分子やイオンを分離する分離機構として有用である。本材料の最頻細孔径は、より好ましくは1.0nm以下である。最頻細孔径は、0.9nm以下であってもよく、0.8nm以下であってもよい。また、分離機構として篩効果を考えた場合の実質的なガス分子のサイズ下限を踏まえると、本材料の最頻細孔径は、0.1nm以上であることが好ましい。最頻細孔径は、0.2nm以上であってもよく、0.25nm以上であってもよく、0.3nm以上であってもよい。
本材料の最頻細孔径の値は、吸脱着装置を用いてアルゴンガスの吸着量を測定に基づいて算出することができる。アルゴンガスの吸着量の測定は、酸窒化ケイ素系材料を液体窒素で冷却した状態で、大気圧に対するアルゴンの相対圧が1.0になるまで行うことができる。最頻細孔径の値は、その測定結果をSF(Saito−Foler)法を用いて算出することができる。
本材料は、細孔材料としての構造規則性を有していなくてもよい。構造規則性の有無は、X線回折測定を行い、低角領域に規則的構造を示す回折ピークが存在するか否かで判断することができる。上記低角領域としては、例えば回折角1〜10°の範囲についてX線回折測定を行えばよい。また、装置等に由来する測定上の制約がある場合には、2.5〜10°程度の範囲について測定し、確認してもよい。
(比表面積)
本材料は、ガス分子やイオンを良好に捕捉するため、比表面積が100m/g以上であることが好ましい。本材料の比表面積は、より好ましくは200m/g以上であり、さらに好ましくは400m/g以上であり、特に好ましくは500m/g以上である。また、本材料の強度を保持するという観点より、酸窒化ケイ素系材料の比表面積は、1000m/g以下であることが好ましく、より好ましくは900m/g以下であり、さらに好ましくは800m/g以下であり、特に好ましくは700m/g以下である。なお、比表面積の値は、最頻細孔径の測定と同様に、上記した吸脱着装置を用いて得ることができる他、吸着質に窒素ガスを用いた分析でも得ることができる。
(本材料の製造方法)
本明細書に開示される本材料の製造方法(以下、本製造方法ともいう。)は、下記一般式(1)で表される構造単位(以下、構造単位(1)ともいう)を含むポリアルコキシシラザンを400℃以上1000℃以下で熱処理する工程を備えることができる。
[RO−Si−(NH)3/2] (1)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
(ポリアルコキシシラザン)
上記式(1)におけるRは、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基である。Rの炭素数、種類等を選択することにより、本材料の収率、比表面積、最頻細孔径及び細孔容積を調整することができる。例えば、Rの炭素数を大きくすることにより、比表面積、最頻細孔径及び細孔容積を増加させることができる。このような観点から、Rは、好ましくは炭素数4〜20の炭化水素基であり、また好ましくは炭素数8〜20の炭化水素基であり、また好ましくは炭素数10〜20の炭化水素基である。また、Rの炭素数を小さくすることにより、本材料の収率を増加させることができる。このような観点から、Rは、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、また好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基であり、また好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基である。
の炭化水素基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、多環式炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、等が挙げられる。
アルケニル基として、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−ノネニル基、2−デセニル基、2−ウンデセニル基、2−ドデセニル基、2−トリデセニル基、2−テトラデセニル基、2−ペンタデセニル基、2−ヘキサデセニル基、2−ヘプタデセニル基、2−オクタデセニル基、2−ノナデセニル基、2−イコセニル基、等が挙げられる。
アルキニル基として、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、2−オクチニル基、2−ノニニル基、2−デシニル基、2−ウンデシニル基、2−ドデシニル基、2−トリデシニル基、2−テトラデシニル基、2−ペンタデシニル基、2−ヘキサデシニル基、2−ヘプタデシニル基、2−オクタデシニル基、2−ノナデシニル基、2−イコシニル基、等が挙げられる。
シクロアルキル基として、シクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、2−メチルシクロブチル基、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル基、2,4−ジメチルシクロヘキシル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
多環式の炭化水素基として、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、オクタレニル基等の2個の芳香族環がオルト縮合した縮合二環系炭化水素基並びにこれらの炭化水素基が一部又は全部が水素化されたオクタヒドロペンタレニル基、オクタヒドロインデニル基、デカヒドロナフチル基、デカヒドロアズレニル基、ドデカヒドロヘプタレニル基、テトラデカヒドロオクタレニル基等の縮合二環系炭化水素基が挙げられる。また、フルオレニル基、インダセニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等の3個の炭素環がオルト縮合した縮合三環式炭化水素基並びにこれらの炭化水素基の一部又は全部が水素化されたドデカヒドロインダセニル基、テトラデカヒドロアントラセニル基、テトラデカヒドロフェナントレニル基等の縮合三環系炭化水素基が挙げられる。さらに、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロヘプテニル基、ビシクロオクチル基等の2個の環が連結した二環式炭化水素基が挙げられる。さらにまた、アダマンチル基などの非縮合架橋環系炭化水素基が挙げられる。
アリール基として、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アンスリル基、等が挙げられる。
アラルキル基として、ベンジル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、(1−ナフチル)メチル基、(2−ナフチル)メチル基、等が挙げられる。
本製造方法で用いるポリアルコキシシラザンは、構造単位(1)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。ポリアルコキシシラザンに含まれる構造単位(1)の含有割合は、本製造方法で用いるポリアルコキシシラザンに対して、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。なお、ポリアルコキシシラザンは、構造単位(1)のみからなることが特に好ましい。
本製造方法で用いるポリアルコキシシラザンは、上記構造単位(1)以外に、下記一般式(2)〜(5)で表される構造単位(以下、それぞれ構造単位(2)〜(5)ともいう)等を含んでいてもよい。本製造方法で用いるポリアルコキシシラザンは、構造単位(2)〜(5)の一又は複数がシラザン結合により形成されたものであってもよい。
[(RO)−Si−(NH)2/2] (2)
[Si−(NH)4/2] (3)
[(RO)−Si−(NH)1/2] (4)
[R −Si−(NH)(4−m)/2] (5)
(式中、R及びRは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、mは1〜3の整数である。)
上記一般式(2)、(4)で表される構造単位において、R、Rは、上記一般式(1)のRの炭化水素基として説明した炭化水素基のいずれかであってよい。R、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10であってもよく、炭素数1〜8であってもよく、であり、特に好ましくは炭素数1〜4であってもよい。なお、R、Rは、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、R、Rは、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。
上記一般式(5)で示される構造単位において、Rが炭化水素基の場合、Rは、上記一般式(1)のRの炭化水素基として説明した炭化水素基のいずれかであってよい。Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10であってもよく、炭素数1〜8であってもよく、炭素数1〜4であってもよい。なお、Rは、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、Rは、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。
本製造方法で用いるポリアルコキシシラザンは、下記一般式(6)で表すこともできる。なお、各構造単位の縮合形態は、下記式(6)の記載順の通りでなくてもよい。
[Si−(NH)4/2][RO−Si−(NH)3/2][(RO)−Si−(NH)2/2][(RO)−Si−(NH)1/2] (6)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1〜20炭化水素基である。aは0又は正の数であり、bは正の数であり、cは0又は正の数であり、dは0又は正の数である。)
上記一般式(6)において、本材料を効率よく形成するという観点から、b/(a+b+c+d)の値は、好ましくは0.2〜1.0であり、より好ましくは0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0.8〜1.0である。また、上記一般式(6)において、R、R及びRで示す炭化水素基は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基であることが好ましい。
(ポリアルコキシシラザンの熱処理)
ポリアルコキシシラザンの熱処理温度は、ガス分子やイオンを分離するために有用な多孔性を確保するためには、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは450℃以上であり、さらに好ましくは500℃以上であり、特に好ましくは550℃以上である。また、熱処理温度は、酸窒化ケイ素系材料が結晶化し緻密化することを抑制するために、1600℃以下であることが好ましく、より好ましくは1200℃以下であり、さらに好ましくは1000℃以下であり、特に好ましくは800℃以下である。なお、合成時間の長期化を避けるため、昇温速度は、2℃/分以上であることが好ましく、5℃/分以上であることがより好ましい。また、加熱装置への負荷を抑制するため、昇温速度は、50℃/分以下であることが好ましく、25℃/分以下であることがより好ましい。
また、熱分解を行う際の圧力は、特に限定されないが、常圧であってもよいし、減圧条件であってもよい。
ポリアルコキシシラザンの熱処理は、不活性雰囲気で行ってよい。不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を用いることができ、窒素又はアルゴンを用いることが好ましい。
熱処理時間は、十分に反応させるため、30分以上であることが好ましく、より好ましくは1時間以上である。また、装置負荷の低減及び作業時間短縮という観点より、熱処理時間は、5時間以下であることが好ましく、より好ましくは3時間以下である。
特に限定されるものではないが、例えば、ポリアルコキシシラザンをアルミナ製角灰皿に入れた上、石英管内に載置し、石英管を管状炉内に載置する。石英管内に窒素を所定量流通させながら室温から昇速10℃/分で熱処理温度まで昇温し、その後、その処理温度で所定温度維持することで得ることができる。
(ポリアルコキシシラザンの合成)
ここで、ポリアルコキシシラザンの合成方法について、説明する。構造単位(1)を含むポリアルコキシシラザンは、下記一般式(11)で表される有機ケイ素化合物を含む原料を、アンモノリシス重縮合反応に供することにより得ることができる。
11O−Si−(X (11)
(式中、R11は炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
上記一般式(11)において、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10であってもよく、炭素数1〜8であってもよく、炭素数1〜4であってもよい。なお、R11は、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、R11は、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。
上記式(11)のハロゲン原子(X)は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよい。なお、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。なお、上記式(11)中の複数のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(11)で表される有機ケイ素化合物として、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、n−プロポキシトリクロロシラン、イソプロポキシトリクロロシラン、n−ブトキシトリクロロシラン、sec−ブトキシトリクロロシラン、tert−ブトキシトリクロロシラン、n−ペンチルオキシトリクロロシラン、n−ヘキシルオキシトリクロロシラン、n−ヘプチルオキシトリクロロシラン、2−エチルヘキシルオキシトリクロロシラン、n−オクチルオキシトリクロロシラン、n−ノニルオキシトリクロロシラン、n−デシルオキシトリクロロシラン、シクロヘキシルオキシトリクロロシラン等が挙げられる。
ポリアルコキシシラザンが、他の構造単位を含む場合、下記一般式(12)、(13)、(14)又は(15)で表される有機ケイ素化合物を用いることができる。
(R12O)−Si−X (12)
Si−X (13)
(R13O)−Si−X (14)
14 −Si−X (4−m) (15)
(式中、R12及びR13は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R14は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、X 及びXはハロゲン原子であり、mは1〜3の整数である。)
上記一般式(12)において、R12は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10であってもよく、炭素数1〜8であってもよく、炭素数1〜4であってもよい。なお、R12は、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、R12は、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。上記式(12)中の複数のR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(12)において、ハロゲン原子(X)は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよい。なお、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。なお、上記式(12)中の複数のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(12)で表される有機ケイ素化合物として、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジ−n−プロポキシジクロロシラン、ジイソプロポキシジクロロシラン、ジ−n−ブトキシジクロロシラン、ジ−sec−ブトキシジクロロシラン、ジ−tert−ブトキシジクロロシラン、ジ−n−ペンチルオキシジクロロシラン、ジ−n−ヘキシルオキシジクロロシラン、ジ−n−ヘプチルオキシジクロロシラン、ジ−2−エチルヘキシルオキシジクロロシラン、ジ−n−オクチルオキシジクロロシラン、ジ−n−ノニルオキシジクロロシラン、ジ−n−デシルオキシジクロロシラン、ジシクロヘキシルオキシジクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(13)において、ハロゲン原子(X)は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよい。なお、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。なお、上記式(13)中の複数のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(14)において、R13は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10であってもよく、炭素数1〜8であってもよく、炭素数1〜4であってもよい。なお、R13は、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、R13は、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。上記式(14)中の複数のR13は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(14)において、ハロゲン原子(X)は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよい。なお、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。なお、上記式(14)中の複数のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(14)で表される有機ケイ素化合物として、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリ−n−プロポキシクロロシラン、トリイソプロポキシクロロシラン、トリ−n−ブトキシクロロシラン、トリ−sec−ブトキシクロロシラン、トリ−t−ブトキシクロロシラン、トリ−n−ペンチルオキシクロロシラン、トリ−n−ヘキシルオキシクロロシラン、トリ−n−ヘプチルオキシクロロシラン、トリ−2−エチルヘキシルオキシクロロシラン、トリ−n−オクチルオキシクロロシラン、トリ−n−ノニルオキシクロロシラン、トリ−n−デシルオキシクロロシラン、トリシクロヘキシルオキシクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(15)において、R14は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10で、炭素数1〜8であってもよく、炭素数1〜4であってもよい。なお、R14は、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基であってよく、また、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。また、R14は、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。上記式(14)中の複数のR14は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(15)において、ハロゲン原子(X)は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよい。なお、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。なお、上記式(15)中の複数のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(15)におけるmが1のときの有機ケイ素化合物として、トリハロゲン化シラン化合物、アルキルトリクロロシラン化合物等が挙げられる。
トリハロゲン化シラン化合物としては、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリヨードシラン等が挙げられる。
アルキルトリクロロシラン化合物としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、n−ペンチルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−ヘプチルトリクロロシラン、2−エチルヘキシルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−ノニルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等が挙げられる。
また、上記一般式(15)におけるmが2のときのハロゲン化シラン化合物として、ジクロロシラン、アルキルジクロロシラン化合物、ジアルキルジクロロシラン化合物等が挙げられる。
アルキルジクロロシラン化合物としては、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、n−プロピルジクロロシラン、イソプロピルジクロロシラン、n−ブチルジクロロシラン、sec−ブチルジクロロシラン、tert−ブチルジクロロシラン、n−ペンチルジクロロシラン、n−ヘキシルジクロロシラン、n−ヘプチルジクロロシラン、2−エチルヘキシルジクロロシラン、n−オクチルジクロロシラン、n−ノニルジクロロシラン、n−デシルジクロロシラン、シクロヘキシルジクロロシラン等が挙げられる。
ジアルキルジクロロシラン化合物としては、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジ−n−プロピルジクロロシラン、ジ−イソプロピルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジ−sec−ブチルジクロロシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジ−n−ペンチルジクロロシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジ−n−ヘプチルジクロロシラン、ジ−2−エチルヘキシルジクロロシラン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、ジ−n−ノニルジクロロシラン、ジ−n−デシルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(15)におけるmが3のときのハロゲン化シラン化合物として、モノクロロシラン、ジアルキルクロロシラン化合物、トリアルキルクロロシラン化合物等が挙げられる。
ジアルキルクロロシラン化合物としては、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、ジ−n−プロピルクロロシラン、ジ−イソプロピルクロロシラン、ジ−n−ブチルクロロシラン、ジ−sec−ブチルクロロシラン、ジ−tert−ブチルクロロシラン、ジ−n−ペンチルクロロシラン、ジ−n−ヘキシルクロロシラン、ジ−n−ヘプチルクロロシラン、ジ−2−エチルヘキシルクロロシラン、ジ−n−オクチルクロロシラン、ジ−n−ノニルクロロシラン、ジ−n−デシルクロロシラン、ジシクロヘキシルクロロシラン等が挙げられる。
トリアルキルクロロシラン化合物としては、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−イソプロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリ−tert−ブチルクロロシラン、トリ−n−ペンチルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルクロロシラン、トリ−n−ヘプチルクロロシラン、トリ−2−エチルヘキシルクロロシラン、トリ−n−オクチルクロロシラン、トリ−n−ノニルクロロシラン、トリ−n−デシルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチル−n−プロピルクロロシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、ジメチル−n−ブチルクロロシラン、ジメチル−sec−ブチルクロロシラン、ジメチル−tert−ブチルクロロシラン、ジメチル−n−ペンチルクロロシラン、ジメチル−n−ヘキシルクロロシラン、ジメチル−n−ヘプチルクロロシラン、ジメチル−2−エチルヘキシルクロロシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、ジメチル−n−ノニルクロロシラン、ジメチル−n−デシルクロロシラン、ジメチルシクロヘキシルクロロシラン、メチルジエチルクロロシラン、ジエチル−n−プロピルクロロシラン、ジエチルイソプロピルクロロシラン、ジエチル−n−ブチルクロロシラン、ジエチル−sec−ブチルクロロシラン、ジエチル−tert−ブチルクロロシラン、ジエチル−n−ペンチルクロロシラン、ジエチル−n−ヘキシルクロロシラン、ジエチル−n−ヘプチルクロロシラン、ジエチル−2−エチルヘキシルクロロシラン、ジエチル−n−オクチルクロロシラン、ジエチル−n−ノニルクロロシラン、ジエチル−n−デシルクロロシラン、ジエチルシクロヘキシルクロロシラン、メチルジ−tert−ブチルクロロシラン、エチルジ−tert−ブチルクロロシラン、イソプロピルジ−tert−ブチルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−ペンチルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−ヘキシルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−ヘプチルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−2−エチルヘキシルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−オクチルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−ノニルクロロシラン、ジ−tert−ブチル−n−デシルクロロシラン、ジ−tert−ブチルシクロヘキシルクロロシラン等が挙げられる。
上記の有機ケイ素化合物を含む原料をアンモノリシス重縮合反応に供してポリアルコキシシラザンを調製する場合、アンモニア及び反応溶媒が使用される。アンモニアの使用量は、有機ケイ素化合物に含まれるハロゲン原子1当量に対して、好ましくは1当量以上、より好ましくは2当量以上であり、さらに好ましくは3当量以上である。
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド等を用いることが好ましい。なお、尚、これらの反応溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重縮合反応の促進及び副生する無機塩類の除去を容易にすること等を目的として、反応系に、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等の助剤を用いることができる。
上記アンモノリシス重縮合反応における反応温度は、反応系のゲル化が抑制されるため、好ましくは−100℃〜−50℃である。
以下、本明細書の開示を具現化した具体例を示す。ただし、本明細書の開示は、以下の具体例に限定されるものではない。
まず、酸窒化ケイ素系材料(本材料)を生成するための原料であるポリアルコキシシラザンの合成について説明する。以下では、ポリアルコキシシラザンとして、エトキシシルセスキアザン[EtOSi(NH)3/2、シクロヘキシルオキシシルセスキアザン[CyOSi(NH)3/2、デカヒドロナフトキシシルセスキアザン[DHNpOSi(NH)3/2の合成例について説明する。
(合成例1:エトキシシルセスキアザンの合成)
容積1Lの4つ口フラスコに三方コック、撹拌子、滴下漏斗及びガス排気管を取り付け、フラスコ内を窒素ガスでパージした。窒素ガスの流速は50ml/分とした。次に、20℃水浴中で、フラスコ内に四塩化ケイ素(SiCl)を500g(2.94mol)供給した。その後、フラスコ内に窒素ガスを流しながら、四塩化ケイ素を撹拌した状態で滴下漏斗を用いてフラスコ内にエタノール(COH)を172ml(2.94mol)添加した。エタノールを添加した後、窒素ガスを流しながら、撹拌を1時間継続した。その後、反応液を蒸留し、無色液体のトリクロロエトキシシラン(ClSiOEt)を211.1g得た。
次に、容積500mlの4つ口フラスコに三方コック、温度計、ジムロート及びガス導入管を取り付け、フラスコ内にトリクロロエトキシシラン24.2g(0.135mol)及びテトラヒドロフラン(THF,CO)250mlを供給した。その後、フラスコ内の混合物を−78℃まで冷却し、冷却状態を維持したまま混合物を撹拌しながら、ガス導入管よりフラスコ内にアンモニアガス(NHガス)を流速500ml/分で30L導入した。アンモニアガスの導入量が30Lに達した後、アンモニアガスの供給を停止し、冷却状態を維持したまま混合物を1時間撹拌した。さらに、その後、室温で混合物を12時間撹拌した。
撹拌終了後、グラスフィルターを用いて、窒素雰囲気下で反応液の加圧濾過を行い、塩化アンモニウムを濾別した。その後、減圧条件下で濾液から媒体を除去することにより、無色固体のエトキシシルセスキアザン〔EtOSi(NH)3/2を12.2g得た。なお、得られた無色固体は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、ATR−IRの測定によってエトキシシルセスキアザンであることを確認した。
(合成例2:シクロヘキシルオキシシルセスキアザンの合成)
合成例1におけるエタノールに代えて、シクロヘキサノールを313ml(2.94mol)添加し、合成例1と同様の操作を行った。その結果、無色固体のシクロヘキシルオキシシルセスキアザン〔CyOSi(NH)3/2を得た。得られた無色固体は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、ATR−IRの測定によってシクロヘキシルオキシシルセスキアザンであることを確認した。
(合成例3:デカヒドロナフトキシシルセスキアザンの合成)
合成例1におけるエタノールに代えて、デカヒドロ‐2‐ナフトールを455ml(2.94mol)添加し、合成例1と同様の操作を行った。その結果、無色固体のデカヒドロナフトキシシルセスキアザン〔DHNpOSi(NH)3/2を得た。得られた無色固体は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、ATR−IRの測定によってデカヒドロナフトキシシルセスキアザンであることを確認した。
以下、上記合成例1〜3により得たポリアルコキシシラザンを用いて酸窒化ケイ素系材料を生成した例について説明する。
(実施例1)
合成例1で得られたエトキシシルセスキアザン1.3gをアルミナ製角灰皿に入れ、アルミナ製角灰皿を石英管(内径46mm、長さ1000mm)内に載置した。その後、この石英管を管状炉内に載置し、石英管内に窒素を200ml/分で流通させながら室温(25℃)から600℃まで1時間で昇温し、その後、600℃で1時間キープした。この熱処理により、0.78gの粉体の褐色固体(以下、試料1ともいう)を得た。原料(エトキシシルセスキアザン)に対する褐色固体の収率は60%であった。
試料1について元素分析を行い、質量比及び組成比(モル比)の測定を行った。炭素量の分析には、炭素・硫黄分析装置(LECOジャパン合同会社製、CS844)を用いた。また、酸素、窒素、水素量の分析には、酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製、EMGA−930)を用いた。なお、ケイ素量は、炭素、酸素、窒素、水素の分析値の合計量を100より減じることで算出した。結果を表1に示す。この結果より、試料1は、S、O、N、C及びHからなり、総量に対するC及びHの元素比率が2.9%であることが確認された。
Figure 2018079744
また、試料1について、吸脱着等温線を測定した。まず、前処理として、試料1を真空加熱前処理装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELPREP−vacII)を用いて真空脱気した。加熱条件は20℃/分で300℃まで昇温し、300℃で24時間保持とした。その後、前処理を行った試料1を、吸着量測定装置(マイクロトラック・ベル社製、BELSORP−Max)を用いて、測定温度87Kで、アルゴン吸着にて吸脱着等温線を測定した。
上記測定の結果、IUPAC等温線分類のI型に該当する吸脱着等温線が得られた。IUPAC等温線分類のI型は、孔径2nm以下のマイクロ孔が存在することを示唆するものである。試料1は、孔径2nm以下のマイクロ孔を有する多孔体であることが確認された。また、上記吸着量測定装置を用いた測定結果をBET法で解析し、比表面積を求めた。
次に、試料1の細孔の形状をシリンダー状と仮定し、得られた吸着等温線をSF法(Saito−Foley法)で解析し、細孔径分布の解析を行った。これらの結果を表2に記す。また、細孔径分布の結果を図1に示す。
Figure 2018079744
(実施例2)
実施例1のエトキシシルセスキアザンに代えて、合成例2で得られたシクロヘキシルオキシシルセスキアザンを用いたことと、石英管内での処理温度を550℃としたことを除き、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.66gの粉体の薄褐色固体(以下、試料2ともいう)を得た。原料(アルコキシシルセスキアザン)に対する試料2の収率は51%であった。
試料2について、実施例1と同様に元素分析を行った。結果を表1に示す。試料2も、S、O、N、C及びHからなることが確認された。また、総量に対するC及びHの元素比率が2.3%であることが確認された。
試料2についても、試料1と同様に、吸脱着等温線の測定、BET法での解析、SF法での解析を行った。その結果、IUPAC等温線分類のI型に該当する吸脱着等温線が得られた。結果を表2に示す。表2に示すように、試料2は、比表面積、最頻細孔径、細孔容積のいずれの結果も、試料1より大きな値であった。なお、細孔径分布の結果を図2に示す。
(実施例3)
実施例1のエトキシシルセスキアザンに代えて、合成例3で得られたデカヒドロナフトキシシルセスキアザンを用いたことと、石英管内での処理温度を550℃としたことを除き、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.34gの粉体の褐色固体(以下、試料3ともいう)を得た。原料(アルコキシシルセスキアザン)に対する試料3の収率は26%であった。
試料3について、実施例1と同様に元素分析を行った。結果を表1に示す。試料3も、S、O、N、C及びHからなることが確認された。また、総量に対するC及びHの元素比率が3.3%であることが確認された。
試料3についても、試料1及び試料2と同様に、吸脱着等温線の測定、BET法での解析、SF法での解析を行った。その結果、IUPAC等温線分類のI型に該当する吸脱着等温線が得られた。結果を表2に示す。表2に示すように、試料3は、比表面積、最頻細孔径、細孔容積のいずれの結果も、試料1及び試料2より大きな値であった。なお、細孔径分布の結果を図3に示す。
表2に示すように、試料1、2、3の順に、収率が低下し、比表面積、最頻細孔径及び細孔容積が増加する結果であった。この結果は、ポリアルコキシシラザンを構成している炭化水素の相違に起因するものと思われる。試料1の原料は置換基の炭素数が2であり、試料2は炭素数が6であり、試料3は炭素数が10である。ポリアルコキシシラザン内における炭化水素の質量及び体積は試料1、2、3の順に増加し、加熱処理後は原料中の炭素分がほぼ消失しているので、収率が低下し、比表面積、最頻細孔径及び細孔容積が増加する結果となった。
(実施例4)
合成例1〜3のアルコキシシルセスキアザンについて、熱処理温度を変化させ、得られた生成物の比表面積を測定した。なお、熱処理は、処理温度を除き、実施例1と同様の操作で行った。また、本実施例では、Quantachrome Instruments社製の吸着量測定装置(Autosorb−1)を用いて、測定温度195Kで、窒素吸着にて比表面積(m/g)を測定した。結果を表3に示す。なお、同じ処理温度において表2に示す結果と表3に示す結果が相違しているが、これは、吸着ガスの相違によるものと考えられる。実施例1〜3は吸着ガスがアルゴンであり、本実施例は吸着ガスが窒素である。
Figure 2018079744
表3に示すように、合成例1〜3のアルコキシシルセスキアザンは、何れも熱処理温度450℃〜800℃の範囲において高い比表面積が得られることが確認された。この結果より、合成例1〜3のアルコキシシルセスキアザンを約400℃〜1000℃で熱処理することにより、多孔質の酸窒化ケイ素系材料が得られることが確認された。
また、合成例1(エトキシシルセスキアザン)の800℃熱処理の試料、および、合成例2(シクロヘキシルオキシシルセスキアザン)の800℃熱処理の試料について、X線回折装置(フィリップス社製、X’ pert Pro α1)を用いて、X線回折測定を行った。また、低角領域については、X線回折装置(ブルカー社製、D8 ADVANCE)を用いて、測定を行った。合成例1の結果を図4及び図5に示し、合成例2の結果を図6及び図7に示す。また、比較例として、合成例1の1800℃処理の結果を図8に示す。
図4〜図7に示すように、合成例1及び2では、何れの角度においても、回折ピークは確認されなかった。回折角10〜60°に回折ピークが確認されないことより、合成例1及び2のアルコキシシルセスキアザンを比較的高温(800℃)で熱処理しても、酸窒化ケイ素結晶は生成されない(すなわち、非晶質である)ことが確認された。また、低角領域に回折ピークが確認されないことより、酸窒化ケイ素系材料内において、孔が構造規則性を有していないことが確認された。
それに対して、図8に示すように、合成例1の1800℃熱処理品は、回折角10〜60°に酸窒化ケイ素結晶を示す回折ピークが確認された。アルコキシシルセスキアザンの熱処理温度を高温(1000℃超)にすると、酸窒化ケイ素結晶が形成されることが確認された。すなわち、アルコキシシルセスキアザンを1000℃超で熱処理することにより、非晶質の酸窒化ケイ素系材料が得られなくなることが確認された。

Claims (13)

  1. 0.1nm以上1.2nm以下の最頻細孔径を有する、非晶質の酸窒化ケイ素系材料。
  2. 前記最頻細孔径は、1.0nm以下である、請求項1に記載の酸窒化ケイ素系材料。
  3. 前記酸窒化ケイ素系材料は、構造規則性を有していない、請求項1又は2に記載の酸窒化ケイ素系材料。
  4. 比表面積が200m/g以上1000m/g以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  5. ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、水素(H)及び炭素(C)から実質的に構成されており、
    5.0質量%以下の炭素を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  6. 5.0質量%以下の水素を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  7. 20質量%以上の酸素を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  8. 40質量%以下の窒素を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  9. 60質量%以下のケイ素を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  10. 酸窒化ケイ素系材料におけるケイ素原子(Si)、酸素原子(O)及び窒素原子(N)の組成比(モル)が、1:0.3〜1.5:0.3〜1.5である、請求項1〜9のいずれかに記載の酸窒化ケイ素系材料。
  11. 下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリアルコキシシラザンを、400℃以上1000℃以下で熱処理することにより得られる、酸窒化ケイ素系材料。
    [RO−Si−(NH)3/2] (1)
    (式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
  12. 下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリアルコキシシラザンを400℃以上1000℃以下で熱処理する工程を備える、酸窒化ケイ素系材料の製造方法。
    [RO−Si−(NH)3/2] (1)
    (式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
  13. 前記熱処理工程を不活性雰囲気で行う、請求項12に記載の酸窒化ケイ素系材料の製造方法。
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