JPWO2018078901A1 - 高次酢酸塩化合物、及びこれを用いた固形状透析用剤 - Google Patents
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Abstract
Description
項1. 粉末X線回折測定において、2θ=8.8°±0.2°に回折ピークA、及び2θ=22.3°±0.2°に回折ピークBが認められ、
前記回折ピークAの積分強度Iaと前記回折ピークBの積分強度Ibの比率Ia/Ibが1.447未満である、
酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物。
項2. 前記比率Ia/Ibが0.001〜1.140である、項1に記載の高次酢酸塩化合物。
項3. 項1又は2に記載の高次酢酸塩化合物を含む固形状透析用剤。
項4. 項1〜2のいずれかに記載の高次酢酸塩化合物、及び塩化ナトリウムを含む固形状透析用A剤。
項5. 更にブドウ糖を含む、項4に記載の固形状透析用A剤。
項6. 項4又は5に記載の固形状透析用A剤と、炭酸水素ナトリウムを含む透析用B剤とを含む、2剤型重炭酸透析用剤。
項7. 項1〜2のいずれかに記載の高次酢酸塩化合物を含み、塩化ナトリウムを実質的に含まない固形状透析用A剤。
項8. 更にブドウ糖を含む、項7に記載の固形状透析用A剤。
項9. 項7又は8に記載の固形状透析用A剤と、塩化ナトリウムを含む透析用S剤と、炭酸水素ナトリウムを含む透析用B剤とを含む、3剤型重炭酸透析用剤。
項10. 酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物を製造する方法であって、
酢酸、酢酸ナトリウム、及び水性溶媒を混合して、混合液を得る工程1、及び
前記ピークA及びBが認められ、且つ比率Ia/Ibが前記範囲を充足する高次酢酸塩化合物が生成するまで、前記工程1で得られた混合液を減圧乾燥する工程2
を含む、前記高次酢酸塩化合物の製造方法。
項11. 前記工程2における減圧乾燥が、−30〜−100kPaの圧力条件で行われる、項10に記載の製造方法。
本発明の高次酢酸塩化合物は、酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物であって、粉末X線回折測定において、2θ=8.8°±0.2°に回折ピーク(回折ピークA)、及び2θ=22.3°±0.2°に回折ピーク(回折ピークB)が認められ、当該回折ピークAの積分強度Iaと当該回折ピークBの積分強度Ibの比率Ia/Ibが1.447未満であることを特徴とする。以下、本発明の高次酢酸塩化合物について、詳述する。
本発明の高次酢酸塩化合物は、酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物である。本発明において、「酢酸−酢酸ナトリウム混晶体」とは、酢酸と酢酸ナトリウムが互いに混合して形成された結晶を指す。また、本発明において、「高次酢酸塩化合物」とは、酢酸(一次化合物)と酢酸ナトリウム(一次化合物)が互いに結合して生成された化合物を指す。即ち、本発明において、「酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物」とは、酢酸と酢酸ナトリウムが互いに結合して生成された化合物であって、これら物質が混じり合って形成された結晶を含むものを意味する。本発明における「酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物」には、水、酢酸、酢酸ナトリウムの他の成分が本発明の効果に悪影響を及ぼさない程度含まれていてもよい。
本発明の高次酢酸塩化合物は、粉末X線回折測定において、2θ=8.8°±0.2°に回折ピークA、及び2θ=22.3°±0.2°に回折ピークBが認められる。本発明の高次酢酸塩化合物では、前記回折ピークAの積分強度Iaと前記回折ピークBの積分強度Ibの比率Ia/Ibが1.447未満を充足する。なお、本発明の高次酢酸塩化合物は、前記回折ピークAが認められるので、前記比率Ia/Ibは0超の値になる。このような比率を充足することによって、酢酸の揮発を効果的に抑制して酢酸臭を低減でき、且つブドウ糖と共存させてもブドウ糖の分解を抑制する作用を備えることが可能になる。酢酸の揮発抑制作用及びブドウ糖の分解抑制作用をより一層向上させるという観点から、本発明の高次酢酸塩化合物における当該比率Ia/Ibとして、好ましくは0.001〜1.440、更に好ましくは0.006〜1.440、特に好ましくは0.060〜0.760が挙げられる。
ターゲット:Cu
X線管電流:30mA
X線管電圧:40kV
走査範囲:2θ=5〜90°
測定サンプルの前処理:メノウ乳鉢ですり潰す
本発明の高次酢酸塩化合物の粒子径については、製造条件等に応じて異なり得るが、中位径(D50)として、通常50〜1500μm、好ましくは100〜1000μm、更に好ましくは150〜800μmが挙げられる。本発明において、高次酢酸塩化合物の中位径は、75mmJIS標準ふるいを使用し、第十七改正日本薬局方記載の「一般試験法 3.04 粒度測定法 2.第2法 ふるい分け法」に従って測定された結果から算出される重量累積50%の粒径である。
y1、y2:重量累積分布が50%となる前後のふるいの目開き(μm)
x1、x2:重量累積分布が50%となる前後のふるい上の累積分布(%)
本発明の高次酢酸塩化合物は、pH調整剤、酢酸の供給源、ナトリウムの供給源等として、医薬、食品、化粧料等の分野で使用できる。特に、本発明の高次酢酸塩化合物は、ブドウ糖との共存下でブドウ糖の分解を抑制できるので、ブドウ糖を含む固形状各種組成物に対して好適に使用できる。
本発明の高次酢酸塩化合物の製造方法については、前述する粉末X線回折パターンを有し、酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物が得られることを限度として特に制限されないが、好適な例として、下記工程1及び2を含む製造方法が挙げられる。
工程1:酢酸、酢酸ナトリウム、及び水性溶媒を混合して、混合液を得る工程
工程2:前記ピークA及びBが認められ、且つ比率Ia/Ibが前記範囲を充足する高次酢酸塩化合物が生成するまで、前記工程1で得られた混合液を減圧乾燥する工程
工程1では、原料として酢酸、酢酸ナトリウム、及び水性溶媒を使用し、混合液を得る。
工程2では、前記ピークA及びBが認められ、且つ比率Ia/Ibが前記範囲を充足する高次酢酸塩化合物が生成するまで、前記工程1で得られた混合液を減圧乾燥する。このように、前記工程1で得られた混合液を減圧乾燥することにより、酢酸−酢酸ナトリウムの混晶体が析出し、本発明の高次酢酸塩化合物を生成させることができる。
「固形状透析用剤」とは、透析液の調製に使用される固形状の原料である。本発明の固形状透析用剤は、前記高次酢酸塩化合物を含むものである。前記高次酢酸塩化合物は、酢酸臭が低減されているので、臨床現場における透析液の調製の際の作業環境の悪化を抑制することができる。また、前記高次酢酸塩化合物は、ブドウ糖の分解を抑制することもできるので、本発明の固形状透析用剤にブドウ糖が含まれている場合には、ブドウ糖の安定化を図ることもできる。更に、本発明の固形状透析用剤は、前記高次酢酸塩化合物を含むことによって、保存により生じる、固化、着色、水への溶解後のpHの変動を抑制できるので、優れた製剤安定性を備えることもできる。
本発明の固形状透析用剤は、血液透析液又は腹膜透析液のいずれの調製に使用されてもよいが、好ましくは血液透析液の調製に使用される。特に、本発明の固形状透析用剤は、重炭酸イオンを含む重炭酸透析液の調製に使用される透析用剤、即ち重炭酸透析用剤として好適である。
(重炭酸透析用剤の組成)
本発明の固形状透析用剤を重炭酸透析用剤とする場合、酢酸イオンの供給源として前記高次酢酸塩化合物、及び重炭酸イオンの供給源として重炭酸ナトリウムを含み、更に、透析液に使用される生理的に利用可能な他の電解質が含まれる。このような電解質としては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン、グルコン酸イオン、コハク酸イオン、リンゴ酸イオン等の供給源となり得るものが挙げられる。これらの中でも、少なくともナトリウムイオン、塩化物イオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの供給源になるものが含まれていることが好ましく、これらに加えてカリウムイオンの供給源になるものが更に含まれていることがより好ましい。
重炭酸透析用剤には、重炭酸透析液に含まれる全成分が1つの製剤に混合されている1剤型;重炭酸ナトリウム以外の電解質成分、及び必要に応じてブドウ糖を含む透析用A剤と、重炭酸ナトリウムを含む透析用B剤とからなる2剤型;重炭酸ナトリウム以外の電解質成分を含む透析用A−1剤と、ブドウ糖を含む透析用A−2剤と、重炭酸ナトリウムを含む透析用B剤とからなる3剤型;塩化ナトリウムを含む透析用S剤と、重炭酸ナトリウムを含む透析用B剤と、塩化ナトリウム及び重炭酸ナトリウム以外の電解質成分、並びに必要に応じてブドウ糖を含む透析用A剤とからなる3剤型が知られている。本発明の固形状透析用剤を重炭酸透析用剤とする場合には、これらのいずれのタイプの重炭酸透析用剤であってもよい。
重炭酸透析液は、重炭酸透析用剤を構成する各剤を、所定量の水(好ましくは精製水)に混合し希釈させることによって調製される。
実施例1
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が105℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。温度を維持したまま撹拌を継続することにより混合液約9kgを蒸発させて濃縮した後、加熱を停止した。その後、撹拌を継続しつつ品温が42℃になるまで冷却を行い、撹拌下で−96〜−98kPaで品温が60℃を超えるまで減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間は合計150分間であり、減圧乾燥開始から60分間はジャケット熱媒の温度を50〜55℃に保ち、その後90分間はジャケット熱媒の温度を60℃から80℃になるように段階的に制御した。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。その後、目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物37.2kgを得た。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が105℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。温度を維持したまま撹拌を継続することにより混合液約9kgを蒸発させて濃縮した後、加熱を停止した。その後、撹拌を継続しつつ品温が43℃になるまで冷却を行い、次いで、撹拌下で−92〜−94kPaで品温が65℃を超えるまで減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間は合計160分間であり、ジャケット熱媒の温度を90℃に保った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。その後、目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物27.0kgを得た。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が82℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。その後、缶体上部の空気抜きバルブを開放し、缶体内部に室内空気を通気させつつ、ジャケット熱媒の温度を80〜85℃に制御し、圧力を−50〜−52kPaを維持したまま減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。減圧乾燥によって品温が77℃になった時点で、圧力を大気圧に戻し、ジャケットに水道水を流して品温が42℃になったところで目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物35.8kgを得た。なお、減圧乾燥の時間は合計330分間であった。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が90℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。その後、実施例2で得られた高次酢酸塩化合物1.5kgを添加した。次いで、缶体上部の空気抜きバルブを開放し、缶体内部に室内空気を通気させつつ、ジャケット熱媒の温度を80〜90℃に制御し、圧力を−40から−55kPaに段階的に制御しつつ減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。減圧乾燥によって品温が74℃を超えた時点で、圧力を大気圧に戻し、ジャケットに水道水を流して品温が50℃になったところで目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物30.8kgを得た。なお、減圧乾燥の時間は合計195分間であった。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が78℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。その後、缶体上部の空気抜きバルブを開放し、缶体内部に室内空気を通気させつつ、ジャケット熱媒の温度を80〜90℃に制御し、圧力を−30から−90kPaに段階的に制御しつつ減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。減圧乾燥によって品温が75℃を超えた時点で、圧力を大気圧に戻し、ジャケットに水道水を流して品温が45℃になったところで目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物41.9kgを得た。なお、減圧乾燥の時間は合計460分間であった。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が81℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。その後、缶体上部の空気抜きバルブを開放し、缶体内部に室内空気を通気させつつ、ジャケット熱媒の温度を80〜90℃に制御し、圧力を−30から−90kPaに段階的に制御しつつ減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。減圧乾燥によって品温が75℃を超えた時点で、圧力を大気圧に戻し、ジャケットに水道水を流して品温が49℃になったところで目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物中間品42.1kgを得た。減圧乾燥の時間は合計640分間であった。この高次酢酸塩化合物中間品を約100g採取し、金属製のパッドにのせ80℃に設定された送風乾燥機に入れて450分間加熱し、高次酢酸塩化合物を得た。
実施例6の製造工程で得られた高次酢酸塩化合物中間品を約100g採取し、金属製のパッドにのせ80℃に設定された送風乾燥機に入れて12時間加熱し、高次酢酸塩化合物を得た。
実施例6の製造工程高次酢酸塩化合物中間品を約100g採取し、金属製のパッドにのせ80℃に設定された送風乾燥機に入れて14時間加熱し、高次酢酸塩化合物を得た。
実施例6の製造工程高次酢酸塩化合物中間品を約100g採取し、金属製のパッドにのせ80℃に設定された送風乾燥機に入れて18時間加熱し、高次酢酸塩化合物を得た。
氷酢酸30.0kg、無水酢酸ナトリウム37.4kg、及び精製水33.6kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に25L/minで圧縮空気をバブリングさせながら入れ、品温が73℃になるまで加熱しながら撹拌し、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。その後、缶体上部のバルブを閉じたまま、ジャケット熱媒の温度を115℃付近で保ち、圧力を−75から−86kPaに段階的に制御しつつ97分間減圧乾燥した。次いで、品温が72℃を超えた時点で、ジャケット熱媒の温度を85℃として18分間減圧乾燥を行った。減圧乾燥の時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。その後、圧力を大気圧に戻し、ジャケットに水道水を流して品温が45℃以下になったところで目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物53.0kgを得た。なお、減圧乾燥の時間は合計115分間であった。
氷酢酸20.0kg、無水酢酸ナトリウム24.6kg、及び精製水18.3kgをろ過乾燥機(製造元:タナベウィルテック株式会社、型番:TR25F)に入れ、品温が100〜105℃になるまで加熱しながら撹拌して、氷酢酸と無水酢酸ナトリウムが溶解した混合液を得た。次いで、温度を維持したまま撹拌を113分間継続することにより精製水の一部を揮発させて濃縮した後、加熱を停止した。その後、撹拌下で−95〜−97kPaで80分間減圧乾燥を行った。減圧乾燥開始から、ジャケット熱媒の温度を57〜60℃に制御した。その間、品温は42〜46℃と徐々に上昇し、時間経過とともに高次酢酸塩化合物の結晶の析出量が増していった。その後、目開きが1.7mmの篩で篩過し、流動性の良好な高次酢酸塩化合物を得た。
氷酢酸42.3g、無水酢酸ナトリウム57.8gをポリ袋に入れ十分に混合し、高次酢酸塩化合物を得た。
(1)粉末X線回折
X線回折装置「SmartLab」(製造元:株式会社リガク)によって2θ=5〜90°の範囲で測定を行った(測定条件は、ターゲット:Cu、管電圧:40kV、管電流:30mA、走査範囲:5〜90°、スキャンスピード:10.000°/分、スキャンステップ:0.02°、走査モード:連続)。測定結果を、Rigaku Data Analysis Software PDXL version2.0.3.0を用いて解析し、各ピークの積分強度を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜2の高次酢酸塩化合物の中位径を、目開き850μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、150μm、106μmの篩を使用し、ロボットシフター(製造元:株式会社セイシン企業、型番:RPS-105)を用いて、音波強度20、音波周波数51Hz、分級時間5分、スイープ時間0.3分、パルス間隔1秒の条件で測定した。測定結果から得られた中位径の結果を表4に示す。
得られた各高次酢酸塩化合物の結晶形状を走査型電子顕微鏡(製造元:日本電子株式会社、型番:JSM−5500LV)にて観察した。
(1)電解質造粒物の製造
先ず、塩化ナトリウム40.2kg、塩化カルシウム水和物1.339kg、及び塩化マグネシウム水和物0.911kgを加熱混合し、更に精製水を加えて混合(製造元:ホソカワミクロン株式会社、型番:NX−2J)後、流動層乾燥機(製造元:株式会社長門電機製作所、型番:10F)にて150℃、10分間乾燥した。その乾燥物を目開き1.7mmの篩で篩過することにより電解質造粒物を得た。
(2)透析用A剤の調製
低温低湿度環境下(15℃、15%RH)で、前記電解質造粒物115.7g、塩化カリウム3.00g、ブドウ糖26.25g、並びに実施例1〜10及び比較例1〜2の各高次酢酸塩化合物5.27gを、ポリ袋内で各成分が均一に混ざるように混合し、その混合物を内層から外層に向けてポリエチレンテレフタレート製フィルムとアルミニウム箔とポリエチレン製フィルムが積層されている積層体で形成されたラミネート袋(透湿度は実質的に0g/m2・24h)に収容してヒートシールにて密封して透析用A剤を得た。
各高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤を各々50℃で15日の間保存試験を実施した。50℃保存試験に加え、実施例1で得られた高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤については、40℃で2ヶ月間の保存試験を、実施例10で得られた高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤については、55℃で15日の間保存試験も実施した。50℃の保存試験では保存前、保存5日後、保存10日後、及び保存15日後の各透析用A剤について、40℃の保存試験では、2ヶ月後の透析用A剤について、55℃の保存試験では保存5日後、保存15日後の透析用A剤について、以下の方法で揮発酢酸濃度、pH、5−HMF、固化度合、着色を測定した。
各高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤を収容しているラミネート袋を開封し、検知管式気体測定器(製造元:GASTEC株式会社、型番:GV−100S)に酢酸検知管をセットし、一定量の試料気体を通気させて揮発酢酸濃度を測定した。
各高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤を収容しているラミネート袋を開封し、内容物全量を精製水に溶解させて全量を500mLとし、孔径0.2μmフィルターでろ過することにより、透析液の35倍濃縮A剤溶液を得た。得られた35倍濃縮A剤溶液について、分光光度計を用いて波長284nmにおける吸光度を測定することによって35倍濃縮A剤溶液中の5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、5−HMFと記載)量を測定した。なお、5−HMFはブドウ糖の分解によって生じる化合物であり、上記吸光度が低値である程、ブドウ糖が安定に維持されていることを示す。
前記5−HMF量の測定に用いた35倍濃縮A剤溶液について、pHメーター(製造元:株式会社堀場製作所、型番:F−73)を用いて液温25℃で測定した。
揮発酢酸濃度を測定した後、袋内の製剤の固化の有無を袋外部から手で触って確認した。さらに、袋内の製剤を目視にて観察し、着色の有無を確認した。ブドウ糖が劣化していない正常な透析用A剤は白色であり、劣化が進行すると黄色、又は茶色に着色する。
得られた結果を表5〜10に示す。この結果、実施例1〜10の高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤では、50℃保存15日後でも、揮発酢酸濃度が小さく、ブドウ糖の分解を十分に抑制できており、更に、pH変化、固化、及び着色も認められず、優れた製剤安定性を有していた。また、40℃保存2ヶ月後でも、ブドウ糖の分解、pH変化、固化、着色は認められず、優れた長期保存安定性を有していた。一方、比較例1の高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤では、実施例1〜5とほぼ同等の酢酸と酢酸ナトリウムのモル比を有しているにもかかわらず、50℃保存15日後には、揮発酢酸濃度が著しく高くなっており、ブドウ糖の顕著な分解も認められ、更に製剤が固化した状態になっていた。また、比較例2の高次酢酸塩化合物を含む透析用A剤では、実施例1〜5とほぼ同等の酢酸と酢酸ナトリウムのモル比を有しているにも関わらず、保存開始時から揮発酢酸濃度が高く、50℃保存5日後以降は、著しいブドウ糖の分解も認められ、更に製剤の固化や着色が生じていた。
Claims (11)
- 粉末X線回折測定において、2θ=8.8°±0.2°に回折ピークA、及び2θ=22.3°±0.2°に回折ピークBが認められ、
前記回折ピークAの積分強度Iaと前記回折ピークBの積分強度Ibの比率Ia/Ibが1.447未満である、
酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物。 - 前記比率Ia/Ibが0.001〜1.140である、請求項1に記載の高次酢酸塩化合物。
- 請求項1又は2に記載の高次酢酸塩化合物を含む固形状透析用剤。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の高次酢酸塩化合物、及び塩化ナトリウムを含む固形状透析用A剤。
- 更にブドウ糖を含む、請求項4に記載の固形状透析用A剤。
- 請求項4又は5に記載の固形状透析用A剤と、炭酸水素ナトリウムを含む透析用B剤とを含む、2剤型重炭酸透析用剤。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の高次酢酸塩化合物を含み、塩化ナトリウムを実質的に含まない固形状透析用A剤。
- 更にブドウ糖を含む、請求項7に記載の固形状透析用A剤。
- 請求項7又は8に記載の固形状透析用A剤と、塩化ナトリウムを含む透析用S剤と、炭酸水素ナトリウムを含む透析用B剤とを含む、3剤型重炭酸透析用剤。
- 酢酸−酢酸ナトリウム混晶体を含む高次酢酸塩化合物を製造する方法であって、
酢酸、酢酸ナトリウム、及び水性溶媒を混合して、混合液を得る工程1、及び
前記ピークA及びBが認められ、且つ比率Ia/Ibが前記範囲を充足する高次酢酸塩化合物が生成するまで、前記工程1で得られた混合液を減圧乾燥する工程2
を含む、前記高次酢酸塩化合物の製造方法。 - 前記工程2における減圧乾燥が、−30〜−100kPaの圧力条件で行われる、請求項10に記載の製造方法。
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