JPWO2018066690A1 - シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法 - Google Patents

シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018066690A1
JPWO2018066690A1 JP2018543989A JP2018543989A JPWO2018066690A1 JP WO2018066690 A1 JPWO2018066690 A1 JP WO2018066690A1 JP 2018543989 A JP2018543989 A JP 2018543989A JP 2018543989 A JP2018543989 A JP 2018543989A JP WO2018066690 A1 JPWO2018066690 A1 JP WO2018066690A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystals
cytidine diphosphate
choline
organic solvent
crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018543989A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7146640B2 (ja
Inventor
一成 福本
一成 福本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Original Assignee
KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD filed Critical KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Publication of JPWO2018066690A1 publication Critical patent/JPWO2018066690A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7146640B2 publication Critical patent/JP7146640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H19/00Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
    • C07H19/02Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
    • C07H19/04Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
    • C07H19/06Pyrimidine radicals
    • C07H19/10Pyrimidine radicals with the saccharide radical esterified by phosphoric or polyphosphoric acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H1/00Processes for the preparation of sugar derivatives
    • C07H1/06Separation; Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B2200/00Indexing scheme relating to specific properties of organic compounds
    • C07B2200/13Crystalline forms, e.g. polymorphs

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、メタノールを含有せず、かつ粉体物性が改善したシチジンジリン酸コリンの結晶、及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明によれば、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させ、該析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取し、該採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%である、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄することにより、メタノールを含有せず、かつ粉体物性が改善したシチジンジリン酸コリンの結晶を取得することができる。

Description

本発明は、品質に優れたシチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法に関する。
シチジンジリン酸コリンは、脳機能の改善効果を有する生理活性物質であり、日本では医療用医薬品として、海外では健康食品素材として広く使用されている(特許文献1)。シチジンジリン酸コリンの結晶としては、1水和物の結晶が知られており(特許文献3)、その製造方法としては、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液に有機溶媒を添加する方法が開示されている(特許文献2及び3)。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にエタノールなどの有機溶媒を添加すると、常温下では有機層と水層が二層に分離し、結晶化に長時間を要する。そのため、シチジンジリン酸コリンの結晶を安定して得るためには、特許文献3に示される通り、50〜70℃の高温が必要となる。
一方、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液と混和性の高いメタノールを使用すれば、低温条件下においても1水和物の結晶を速やかに起晶させることができる(特許文献2及び後述の比較例1)。
非特許文献1によれば、メタノールは医薬品中の残留量を規制すべき溶媒としてクラス2に指定されており、また、医師の処方管理の範囲外となる食品への残留も望ましくない。そのため、医薬品や食品に用いられる素材として、シチジンジリン酸コリンの結晶には、残留メタノールの低減が強く求められるとともに、合わせて、錠剤等に成型するために、良好な粉体物性を有することが求められる。
日本国特許第6166786号公報 日本国特公昭51−32630号公報 日本国特許第647367号公報 日本国特許第3369236号公報 日本国特許第4977608号公報
医薬品の残留溶媒ガイドラインについて
しかしながら、晶析工程にエタノールを使用する場合、特許文献3に記載されているように、50〜70℃の高温でシチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液からシチジンジリン酸コリンの結晶を得ようとすると、シチジンジリン酸コリンが容易に分解し、分解により生成した不純物が製品中に高濃度で残留する(特許文献3及び後述の表3の比較例3)。
これに対して、結晶化に長時間を要することを許容してでも晶析温度を低下させると、シチジンジリン酸コリンの分解は抑制できるものの、今度は得られる結晶の比容積が著しく増大し、粉体物性が悪化する(後述の表2の比較例4)。
また、特許文献2に記載の方法では、結晶を濾別する際の洗浄工程にメタノールを使用せずとも、晶析工程に用いるメタノールが結晶中に高濃度で残留する(後述の表4の比較例1及び2)。
現在、市場で流通しているシチジンジリン酸コリンの結晶にはすべからくメタノールが残留しており(後述の表4のA〜C社品)、メタノールを含有せず、かつ粉体物性の優れたシチジンジリン酸コリンの結晶はこれまで知られていない。
したがって、本発明は、メタノールを含有せず、かつ粉体物性が改善したシチジンジリン酸コリンの結晶、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(1)〜(11)に関する。
(1)メタノールを含有せず、かつ粗比容が4.1mL/g以下である、シチジンジリン酸コリンの結晶。
(2)安息角が57度以下である、上記(1)に記載の結晶。
(3)崩壊角が50度以下である、上記(1)又は(2)に記載の結晶。
(4)密比容が2.1mL/g以下である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の結晶。
(5)エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を含有しない、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の結晶。
(6)エタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を含有しない、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の結晶。
(7)エタノール以外の有機溶媒を含有しない、上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の結晶。
(8)シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる工程、該析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取する工程、及び該採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%である、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄する工程を含む、シチジンジリン酸コリンの結晶の製造方法。
(9)メタノール以外の有機溶媒が、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒である、上記(8)に記載の製造方法。
(10)メタノール以外の有機溶媒が、エタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒である、上記(8)又は(9)に記載の製造方法。
(11)メタノール以外の有機溶媒が、エタノールである、上記(8)〜(10)のいずれか1に記載の製造方法。
本発明は、メタノールを含有せず、かつ粉体物性が改善したシチジンジリン酸コリンの結晶、及びその製造方法を提供する。
図1は、比較例3及び4と実施例1〜4で得られたシチジンジリン酸コリンの結晶について、粗比容と結晶洗浄に使用したエタノール水溶液のエタノール濃度の相関を表わす。縦軸は粗比容(mL/g)を、横軸はエタノール濃度(体積%)を表わす。黒ひし形は70℃晶析、白ひし形は30℃晶析の結果を表わす。 図2は、比較例3及び4と実施例1〜4で得られたシチジンジリン酸コリンの結晶について、密比容と結晶洗浄に使用したエタノール水溶液のエタノール濃度の相関を表わす。縦軸は密比容(mL/g)を、横軸はエタノール濃度(体積%)を表わす。黒ひし形は70℃晶析、白ひし形は30℃晶析の結果を表わす。
1.本発明の結晶
本発明の結晶は、メタノールを含有せず、かつ粗比容が4.1mL/g以下である、シチジンジリン酸コリンの結晶である。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、かつ粗比容が好ましくは3.6mL/g以下、より好ましくは3.1mL/g以下、最も好ましくは2.6mL/g以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
粗比容が小さい結晶は、充填性に優れ、各種加工工程におけるハンドリングが容易であり、また輸送面でのコストも低い。そのため、シチジンジリン酸コリンの結晶としては、粗比容が小さいことが好ましいが、粗比容の下限値としては、通常1.0mL/g以上、好ましくは1.2mL/g以上を挙げることができる。
ここで、粗比容とは、容器に粉体を充填してその質量を測定した際、粉体の占める容積を該質量で割った値をいう。
粗比容は、第十七改正日本薬局方に準じ、マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)を用い、付属のマニュアルに従って以下の条件で測定することができる。
[粗比容の測定条件]
使用機器:マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)
ふるい:1.18mm
振動幅:0.7〜0.8mm
結晶容量:100mL
粗比容の測定方法の具体例:0.7〜0.8mmの幅で振動させた1.18mmのふるいを経由して結晶を落下させながら、ステンレス製の100mL円筒形容器に充填する。容器の上面から過剰の粉体を注意深く擦り落とし、あらかじめ測定しておいた空の測定容器の質量を差し引くことで、粉体の質量を測定する。測定は独立して3回行い、平均値を求める。
本発明の結晶がメタノールを含有しないことは、以下のガスクロマトグラフを用いた分析例に記載の方法に従って確認することができる。
本発明の結晶がメタノールを含有しないとは、以下のガスクロマトグラフを用いた分析例に従って分析したときに、メタノールが検出限界以下であることをいう。
[ガスクロマトグラフを用いた分析例]
使用機器:GC−2014(島津製作所社製)
カラム充填剤:Adsorb P−1 60/80mesh(西尾工業社製)
カラム温度:120℃
気化室温度:150℃
ヘリウム流速:30mL/min
検出器温度:200℃試料調製方法:シチジンジリン酸コリンの結晶を約1.0g秤量し、蒸留水に溶解させて10mLに調整したものを試料とする。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ安息角が、好ましくは57度以下、より好ましくは55度以下、さらに好ましくは53度以下、最も好ましくは50度以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
安息角が大きい結晶は、ホッパーから排出する際、ホッパー底部の傾斜角が安息角の角度よりも大きくなければホッパー底部から完全に排出することができないので、装置が限定され、ハンドリングが煩雑となる。また、安息角が大きい結晶は、流動性が悪い。そのため、シチジンジリン酸コリンの結晶としては、安息角が小さいことが好ましいが、安息角の下限としては、通常30度以上、好ましくは35度以上を挙げることができる。
ここで、安息角とは、粉体を漏斗のようなもので水平な面に静かに落下させた時に粉体で形成される円錐体の母線と水平面のなす角のことをいう。
安息角は、マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)を用い、付属のマニュアルに従って以下の条件で測定することができる。
[安息角の測定条件]
使用機器:マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)
ふるい:1.18mm
振動幅:0.7〜0.8mm
安息角の測定方法の具体例:0.7〜0.8mmの幅で振動させた1.18mmのふるいを経由して結晶を落下させながら、安息角テーブル(部品番号:MT−1028)の上に堆積させる。安息角テーブルに振動を与えないように回転させて、3ヶ所で角度を読み、それらの相加平均値を安息角とする。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ崩壊角が、好ましくは50度以下、より好ましくは48度以下、さらに好ましくは46度以下、最も好ましくは44度以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。崩壊角の下限値としては、通常30度以上、好ましくは35度以上を挙げることができる。
ここで、崩壊角とは、粉体を漏斗のようなもので水平な面に静かに落下させた時に粉体で形成される円錐体に、間接的に一定の衝撃を加えた際形成される、円錐体の母線と水平面のなす角のことをいう。
崩壊角は、マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)を用い、付属のマニュアルに従って以下の方法で測定することができる。
[崩壊角の測定方法の具体例]
安息角を測定後、安息角テーブルユニット(部品番号:MT−1028)の下についている鍾をゆっくりタッピングテーブルの下まで持ち上げて落下させる。この操作を3回繰り返す。安息角の測定方法と同様の方法で3ヶ所の角度を読み、それらの相加平均値を崩壊角とする。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ密比容が、好ましくは2.1mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下、さらに好ましくは1.9mL/g以下、最も好ましくは1.7mL/g以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
密比容が小さい結晶は、充填性に優れ、輸送面でのコストも低い。そのため、シチジンジリン酸コリンの結晶としては、密比容が小さいことが好ましいが、密比容の下限値としては、通常0.8mL/g以上、好ましくは1.0mL/g以上を挙げることができる。
ここで、密比容とは、容器に粉体を充填して一定の衝撃を加えたのちにその質量を測定した際、粉体の占める容積を該質量で割った値をいう。
密比容は、例えば、第十七改正日本薬局方に準じ、マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)を用い、付属のマニュアルに従って以下の条件で測定することができる。
[密比容の測定条件]
使用機器:マルチテスターMT−1001T型(セイシン企業社製)
ふるい:1.18mm
振動幅:0.7〜0.8mm
結晶容量:100mL
スペーサー:32mm
タッピング速度:1回/秒
タッピング回数:400回
密比容の測定方法の具体例:0.7〜0.8mmの幅で振動させた1.18mmのふるいを経由して結晶を落下させながら、補助円筒を装着したステンレス製の100mL円筒形容器に充填する。32mmのスペーサーを挟んで1回/秒のタッピングを400回繰り返した後に補助円筒を外し、容器の上面から過剰の粉体を注意深く擦り落とし、あらかじめ測定しておいた空の測定容器の質量を差し引くことで、粉体の質量を測定する。測定は独立して3回行い、平均値を求める。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ安息角と崩壊角の差が、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.5以下、さらに好ましくは7.0以下、よりさらに好ましくは5.0以下、最も好ましくは4.0以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
安息角と崩壊角の差が大きい結晶は噴流性が高く制御が困難であるため、安息角と崩壊角の差は小さいことが好ましい。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ、好ましくはエタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を、より好ましくはエタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を、最も好ましくはエタノール以外の有機溶媒を含有しない、シチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ結晶中に含有される上記有機溶媒の含有量が、それぞれ好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは800質量ppm以下、さらに好ましくは600質量ppm以下、最も好ましくは500質量ppm以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
本発明の結晶中の有機溶媒の含有量は、例えば上記ガスクロマトグラフを用いた分析により測定することができる。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつ高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCという。)分析において、シチジンジリン酸コリンのピーク面積100に対して、5’シチジル酸のピーク面積が、好ましくは0.27以下、より好ましくは0.20以下、さらに好ましくは0.15以下、最も好ましくは0.10以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
5’シチジル酸は、加熱又はpHの変動に依存してシチジンジリン酸コリンの分解によって生成する化合物である。
HPLC分析とは、分析対象である化合物を溶媒に溶解してHPLCによる分析に供することを意味する。
HPLC分析としては、シチジンジリン酸コリン、5’シチジル酸及びウリジンジリン酸コリンを同時に検出することができる分析方法であれば、分析条件等は特に限定されず、好ましくは254nmの吸光度を検出・測定するHPLC分析方法を挙げることができる。
HPLC分析方法の例としては、以下に記載のHPLC分析例を挙げることができる。
[HPLC分析例]
使用機器:検出器(L−7405)、ポンプ(L−7100)、オートサンプラー(L−7200)、カラムオーブン(L−2350)(いずれも日立製作所社製)、クロマトパック(C−R8A)、データ解析(PACsolution)(いずれも島津製作所社製)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長254nm)
カラム:Partisil 10SAX 粒径10μm 4.0×250mmを2本直列連結(Hichrom)
移動相:リン酸でpH3.5に調整された0.06mol/Lのリン酸二水素カリウム水溶液(リン酸二水素カリウム40.83gを蒸留水に溶解させ、リン酸を加えてpH3.5に調整した後に蒸留水で5000mLに調整)
カラム温度:30℃
流速:0.4〜0.5mL/min(シチジンジリン酸コリンの保持時間が約26minになるように調整)
試料注入量:20μL
試料調製方法:シチジンジリン酸コリンの結晶を約0.1g秤量し、蒸留水に溶解させて100mLに調整したものを試料とする。
本願明細書において、HPLC分析におけるピーク面積は、上記のHPLC分析例に記載のHPLC分析条件で測定したときの値である。ただし、当該分析条件と同等の分析条件も本願明細書におけるHPLC分析条件に含まれる。
ピーク面積とは、HPLC分析を行ったとき、ベースラインとピークラインで囲まれた部分の面積のことをいい、HPLC分析によって検出された化合物ごとに求めることができる。
本発明の結晶の一態様としては、メタノールを含有せず、粗比容が4.1mL/g以下であり、かつHPLC分析において、シチジンジリン酸コリンのピーク面積100に対して、ウリジンジリン酸コリンのピーク面積が、好ましくは0.56以下、より好ましくは0.30以下、さらに好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.06以下のシチジンジリン酸コリンの結晶を挙げることができる。
ウリジンジリン酸コリンは、加熱又はpHの変動に依存してシチジンジリン酸コリンの分解によって生成する化合物である。
2.本発明の結晶の製造方法
本発明の結晶の製造方法は、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる工程、該析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取する工程、及び該採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%である、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄する工程、を含む、シチジンジリン酸コリンの結晶の製造方法である。
以下、各工程について説明する。
(シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる工程)
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液に含有されるシチジンジリン酸コリンは、発酵法、酵素法、天然物からの抽出法、化学合成法等のいずれの製造方法によって製造されたものであってもよい。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液を取得する方法としては、例えば、上記得られたシチジンジリン酸コリンを水に溶解させる方法、シチジンジリン酸コリンを生産する能力を有する微生物を培養して得られるシチジンジリン酸コリンを含有する培養物[日本国特許第3369236号公報(特許文献4)]等から不溶物を除去する方法、及び日本国特許第4977608号公報(特許文献5)に記載の方法を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液に、結晶化の障害となる固形物が含まれている場合には、遠心分離、濾過又はセラミックフィルタ等を用いて固形物を除去することができる。
また、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液に、結晶化の障害となる水溶性の不純物や塩が含まれている場合には、イオン交換樹脂等を充填したカラムに通塔する等により、水溶性の不純物や塩を除去することができる。
また、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液に、結晶化の障害となる疎水性の不純物が含まれる場合には、合成吸着樹脂や活性炭等を充填したカラムに通塔する等により、疎水性の不純物を除去することができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液におけるシチジンジリン酸コリンの濃度は、好ましくは200g/L以上、より好ましくは250g/L以上、さらに好ましくは300g/L以上となるように調整することができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液のシチジンジリン酸コリンの濃度を上記の濃度とするために、該水溶液を加熱濃縮法又は減圧濃縮法などの一般的な濃縮方法により濃縮することができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる方法としては、例えば、該水溶液を冷却する方法、該水溶液を減圧濃縮する方法、該水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する方法、又はそれらの1以上を組み合わせた方法等を挙げることができるが、該水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する方法が好ましく、該水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する方法と該水溶液を冷却する方法を組み合わせた方法がより好ましい。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液を冷却する方法における、該水溶液の温度としては、好ましくは0〜35℃、より好ましくは0〜30℃、最も好ましくは0〜25℃を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液を冷却する方法における、冷却時間としては、好ましくは2〜100時間、より好ましくは2〜70時間、最も好ましくは2〜50時間を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液を減圧濃縮する方法における、該水溶液の温度としては、好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜45℃、最も好ましくは10〜40℃を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液を減圧濃縮する方法における、減圧時間としては、好ましくは2〜100時間、より好ましくは3〜70時間、最も好ましくは5〜50時間を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する方法における、メタノール以外の有機溶媒としては、例えば、好ましくはエタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒を、より好ましくはエタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒を、最も好ましくはエタノールを挙げることができる。また、これらの有機溶媒は、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液中に添加又は滴下する、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液中の該有機溶媒の濃度としては、好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上、最も好ましくは60体積%以上を挙げることができる。
メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する際の温度としては、好ましくは0〜70℃、より好ましくは0〜50℃、さらに好ましくは5〜45℃、最も好ましくは10〜35℃を挙げることができる。
メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液の添加又は滴下に要する時間としては、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜8時間を挙げることができる。
メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する量としては、シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液の好ましくは1〜10倍等量、より好ましくは2〜7倍等量を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下することにより、シチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる方法においては、メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下した後、シチジンジリン酸コリンの結晶が析出する前に、種晶を添加してもよい。
種晶としては、例えば、日本国特許第647367号公報(特許文献3)に記載の方法で取得したシチジンジリン酸コリンの結晶を用いることができる。
該種晶を添加する時間としては、例えば、メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液の滴下又は添加を開始してから、好ましくは0〜12時間以内、より好ましくは0〜8時間以内、最も好ましくは0〜4時間以内を挙げることができる。
前記種晶は、種晶を添加する水溶液中の濃度が好ましくは0.1〜5.0g/L、より好ましくは0.2〜1.0g/Lとなるように添加することができる。
上記のようにしてシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させた後、好ましくは0.5〜48時間、より好ましくは0.5〜24時間、最も好ましくは0.5〜12時間、好ましくは0〜70℃、より好ましくは3〜50℃、最も好ましくは5〜35℃にて当該結晶を含む水溶液を攪拌又は放置することにより熟成させることができる。
結晶を熟成させるとは、メタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液の添加を中断又は停止し、結晶を成長させることをいう。
結晶を成長させるとは、析出した結晶を元にして、結晶を増大させることをいう。
結晶の熟成は、結晶を成長させることを主な目的として行うが、結晶の成長と同時に、新たな結晶の析出が起こっていてもよい。
結晶を熟成させた後は、シチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる工程を再開してもよい。
(析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取する工程)析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取する方法としては、例えば、濾取、加圧濾過、吸引濾過、遠心分離等を挙げることができる。
(採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%である、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄する工程)
本発明の製造方法の一態様は、採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%、好ましくは10〜40体積%、より好ましくは20〜30体積%の、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄する。当該工程により、結晶への母液の付着を低減し、結晶の品質を向上させることに加えて、結晶の粉体物性を制御することができる。
結晶洗浄に用いる、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液の温度は、シチジンジリン酸コリンが分解しない温度であればいずれの温度でもよいが、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましく20℃以下、最も好ましくは15℃以下を挙げることができる。温度の下限値としては、通常0℃以上、好ましくは5℃以上を挙げることができる。
シチジンジリン酸コリンの結晶を洗浄する工程に使用する、メタノール以外の有機溶媒としては、上記シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液中にメタノール以外の有機溶媒又は該有機溶媒を含有する水溶液を添加又は滴下する方法における、メタノール以外の有機溶媒と同様の有機溶媒を用いることができる。
結晶を洗浄する方法としては、例えば、結晶層に、上記メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液からなる結晶洗浄溶液を噴射又は噴霧する方法、結晶層を該結晶洗浄溶液に浸漬する方法、を挙げることができる。
結晶層を結晶洗浄溶液に浸漬する方法においては、結晶層を浸漬させた結晶洗浄溶液から結晶層を取り出し、再度結晶洗浄溶液に懸濁して撹拌し、再び濾取、加圧濾過、吸引濾過、遠心分離等の操作を行うこともできる。
結晶洗浄に使用する結晶洗浄溶液の量としては、シチジンジリン酸コリンの結晶の重量に対する体積比率で好ましくは0.5〜10倍量、より好ましくは1〜9倍量、さらに好ましくは2〜8倍量を挙げることができる。
このようにして得られた湿晶を乾燥させることにより、本発明の結晶を取得することができる。乾燥条件としては、シチジンジリン酸コリンの結晶の形態を保持できる方法ならばいずれでもよく、例えば、減圧乾燥、真空乾燥、流動層乾燥、通風乾燥等を適用することができる。
乾燥温度としては、付着水分や溶媒を除去できる範囲ならばいずれでもよいが、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、最も好ましくは60℃以下を挙げることができる。乾燥時間としては、付着水分や溶媒を除去できる範囲ならばいずれでもよいが、好ましくは1〜48時間、より好ましくは1〜24時間を挙げることができる。
[比較例1]
日本国特公昭51−32630号公報(特許文献2)の実施例1に従い、760gのシチジンジリン酸コリン(協和発酵バイオ社製:Lot.160325)を蒸留水に溶かして1600mLとし、シチジンジリン酸コリンを450g/Lの濃度で含む水溶液を調製した。そのうちの400mLに対し、20℃にて1600mLのメタノールを20分かけて添加した。メタノールの添加中に白濁が見られた時点で、0.8gのシチジンジリン酸コリンを種晶として添加した。
シチジンジリン酸コリンの起晶を確認後、800mLの酢酸エチルを3時間かけて添加し、その後、20℃にて2時間の撹拌を行った。こうして得られた2500mL程度の結晶スラリーのうち、2000mLを遠心分離にかけて結晶を濾別し、640mLのメタノールで洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、25℃にて3時間、さらに、減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、100.9gの結晶を得た。
[比較例2]
比較例1で得られた結晶スラリーの残りを遠心分離にかけて結晶を濾別し、得られた湿晶を160mLの99.5体積%のエタノールに懸濁して撹拌することで、結晶表面に付着したメタノールを完全に洗い流した。この湿晶を減圧条件下、25℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、13.2gの結晶を得た。
[比較例3]
日本国特許第647367号公報(特許文献3)の実施例3に従い、乾物換算で639.9gのシチジンジリン酸コリン(協和発酵バイオ社製:Lot.160325)を1300mLの蒸留水に加えて溶解したところ、1690mLの水溶液となった。このうちの832mLに対し、70℃にて640mLの99.5体積%のエタノールを混合した。続いて、この混合液を70℃に保ったまま1280mLの80体積%の含水エタノールを2時間かけて添加した。
その後、1.28gのシチジンジリン酸コリンを種晶として添加し、30分間撹拌を続けたのち、1280mLの99.5体積の%エタノールを1時間かけて添加した。その後、溶液を70℃から25℃まで徐々に冷却しながら10時間撹拌を続けた。こうして得られた結晶スラリーを三等分し、そのうちの一つを遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、533mLの99.5体積%のエタノールで洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、65.8gの結晶を得た。
[比較例4]
比較例3と同じ方法で調製したシチジンジリン酸コリンの水溶液1040mLを30℃に保ち、800mLの99.5体積%のエタノールを混合した。この混合液に対し、30℃にて1600mLの99.5体積%のエタノールを2時間かけて添加した。その後、1.6gのシチジンジリン酸コリンを種晶として添加し、起晶を確認したのち、1600mLの99.5体積%のエタノールを2時間かけて添加した。
その後、溶液を30℃に保ったまま3時間撹拌を続けたのち、20℃まで3時間かけて冷却した。こうして得られた結晶スラリーを三等分し、そのうちの一つを遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、670mLの99.5体積%のエタノールで洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、116.6gの結晶を得た。
[予備試験]
50〜80体積%の含水エタノール(含水量20〜50体積%)にシチジンジリン酸コリン(協和発酵バイオ社製:Lot.160325)を溶け残るまで溶解させ、30℃、35℃ 又は40℃にて十分に攪拌した。その後、各溶液をフィルター濾過し、得られた各濾液中のシチジンジリン酸コリン濃度(g/L)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2018066690
表1に示すように、いずれの温度においても、含水エタノール中の含水量が高くなるほど、シチジンジリン酸コリンの溶解度が高くなることがわかった。
以下に実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
比較例3で得られた結晶スラリーの1/3分を遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、10℃に冷却した533mLの85体積%の含水エタノール(含水量15体積%)で洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、68.2gの結晶を得た。
[実施例2]
比較例3で得られた結晶スラリーの1/3分を遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、10℃に冷却した533mLの70体積%の含水エタノール(含水量30体積%)で洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、82.5gの結晶を得た。
[実施例3]
比較例4で得られた結晶スラリーの1/3分を遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、10℃に冷却した670mLの85体積%の含水エタノール(含水量15体積%)で洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、109.6gの結晶を得た。
[実施例4]
比較例4で得られた結晶スラリーの1/3分を遠心分離にかけて結晶を濾別したのち、10℃に冷却した670mLの70体積%の含水エタノール(含水量30体積%)で洗浄した。得られた湿晶を減圧条件下、30℃にて3時間、さらに減圧条件下、60℃にて3時間乾燥させ、105.8gの結晶を得た。
現在市場に流通しているシチジンジリン酸コリンの結晶、及び上記の方法で得られたシチジンジリン酸コリンの結晶について、粗比容、密比容、安息角、及び崩壊角を測定した結果を図1、図2及び表2にそれぞれ示す。
Figure 2018066690
図1、図2及び表2に示すように、30℃及び70℃のいずれの晶析温度においても、結晶洗浄に用いるエタノール溶液の含水量を上げるに従って、シチジンジリン酸コリンの結晶の比容積(粗比容及び密比容)を低減できることが示された。特に、低温の条件である30℃晶析において、該エタノール溶液の含水量を高めることによる比容積の低減効果がより顕著であった。さらに、含水エタノールを用いてシチジンジリン酸コリンの結晶を洗浄した結果、99.5体積%のエタノールを用いて結晶洗浄した場合と比べ、安息角と崩壊角を低減できることが示された。
また、得られたシチジンジリン酸コリンの結晶について、結晶中に含まれる5’シチジル酸とウリジンジリン酸コリンの量をHPLC分析で測定した結果を表3に示す。表3中の各値は、シチジンジリン酸コリンのピーク面積を100とした時の各ピーク面積の値を示す。
Figure 2018066690
表3に示すように、低温で晶析を行った方が、結晶中に残留する5’シチジル酸とウリジンジリン酸コリンの含有量を低減できることが示された。
続いて、現在市場に流通しているシチジンジリン酸コリンの結晶、及び得られたシチジンジリン酸コリンの結晶について、結晶中に含まれる残留溶媒をガスクロマトグラフで測定した結果を表4に示す。表4において、「ppm」は質量ppmを示す。また、「N.D.」は検出限界以下であることを示す。
ここで、比較例1、2については、シチジンジリン酸コリンの結晶を約0.5g秤量し、蒸留水に溶解させて10mLに調整したものを試料とした。一方、比較例3、4及び実施例1〜4については、シチジンジリン酸コリンの結晶を約1g秤量し、蒸留水に溶解させて10mLに調整したものを試料とした。
Figure 2018066690
表4に示すように、現在市場に流通しているシチジンジリン酸コリンの結晶は、いずれもメタノールを含有していることが分かった。また、比較例1及び2の結果から、エタノールによる結晶洗浄を行っても、シチジンジリン酸コリンの結晶中には晶析工程で添加したメタノールが高濃度で検出されることが分かる。これより、シチジンジリン酸コリンの結晶は、メタノールを取り込みやすい性質を有し、晶析工程で添加して結晶中に取り込まれたメタノールは、結晶洗浄によっては除去できないことが分かった。
一方、実施例1〜4では、晶析工程及び結晶洗浄工程にメタノールを用いていないため、得られたシチジンジリン酸コリンの結晶中には、メタノールは検出されなかった。
以上より、本発明の結晶の製造方法により、メタノールを含有せず、かつ既存のシチジンジリン酸コリンの結晶と比較して同等以上の粉体物性を示すシチジンジリン酸コリンの結晶が取得できることが分かった。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2016年10月6日付けで出願された日本特許出願(特願2016−197695号)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明により、不純物及び残留溶媒の低減と粉体物性の改善を両立させたシチジンジリン酸コリンの結晶、並びにその製造法が提供される。

Claims (11)

  1. メタノールを含有せず、かつ粗比容が4.1mL/g以下である、シチジンジリン酸コリンの結晶。
  2. 安息角が57度以下である、請求項1に記載の結晶。
  3. 崩壊角が50度以下である、請求項1又は2に記載の結晶。
  4. 密比容が2.1mL/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶。
  5. エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を含有しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶。
  6. エタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒以外の有機溶媒を含有しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の結晶。
  7. エタノール以外の有機溶媒を含有しない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶。
  8. シチジンジリン酸コリンが溶解している水溶液にシチジンジリン酸コリンの結晶を析出させる工程、該析出したシチジンジリン酸コリンの結晶を採取する工程、及び該採取したシチジンジリン酸コリンの結晶を、含水量が5〜50体積%である、メタノール以外の有機溶媒を含有する水溶液で洗浄する工程を含む、シチジンジリン酸コリンの結晶の製造方法。
  9. メタノール以外の有機溶媒が、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、1−ブタノール、2−ブタノール、ヘプタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、酢酸プロピル及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒である、請求項8に記載の製造方法。
  10. メタノール以外の有機溶媒が、エタノール、アセトン、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1の有機溶媒である、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. メタノール以外の有機溶媒がエタノールである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2018543989A 2016-10-06 2017-10-06 シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法 Active JP7146640B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016197695 2016-10-06
JP2016197695 2016-10-06
PCT/JP2017/036463 WO2018066690A1 (ja) 2016-10-06 2017-10-06 シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018066690A1 true JPWO2018066690A1 (ja) 2019-07-25
JP7146640B2 JP7146640B2 (ja) 2022-10-04

Family

ID=61831163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018543989A Active JP7146640B2 (ja) 2016-10-06 2017-10-06 シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11186605B2 (ja)
EP (1) EP3524613B1 (ja)
JP (1) JP7146640B2 (ja)
CN (2) CN117069780A (ja)
AU (1) AU2017341136B2 (ja)
WO (1) WO2018066690A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114276394A (zh) * 2021-12-06 2022-04-05 成都海博为药业有限公司 一种胞磷胆碱球形结晶及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3687932A (en) * 1969-04-24 1972-08-29 Takeda Chemical Industries Ltd Crystalline cytidine-5{40 -diphosphate choline monohydrate and production thereof
JPS5132630B1 (ja) * 1971-06-08 1976-09-14
JPS51108076A (en) * 1975-03-15 1976-09-25 Asahi Chemical Ind 2**3**00 surufuinirupirimijinnukureoshido 5** rinsanesuterujudotainoseizohoho
WO2007018259A1 (ja) * 2005-08-10 2007-02-15 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. シチジンジリン酸コリンの精製方法
WO2008047792A1 (fr) * 2006-10-16 2008-04-24 Kyowa Hakko Bio Co., Ltd. Cristal de glutathione et son procédé de fabrication
CN101538300A (zh) * 2008-03-19 2009-09-23 南京工业大学 一种胞二磷胆碱的盐析-溶析结晶方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS647367A (en) 1987-03-31 1989-01-11 Canon Kk Method and device for recording information
JP3369236B2 (ja) 1992-01-30 2003-01-20 協和醗酵工業株式会社 シチジンジリン酸コリンの製造法
TWI394753B (zh) 2006-03-17 2013-05-01 Otsuka Pharma Co Ltd 新穎替妥牟拉(tetomilast)晶體
EP2414336A1 (en) 2009-04-01 2012-02-08 Pliva Hrvatska D.O.O. Polymorphs of eltrombopag and eltrombopag salts and processes for preparation thereof
AU2013339058B2 (en) 2012-10-30 2017-09-07 Kyowa Hakko Bio Co., Ltd. Agent for preventing or improving decline in brain function
CN103319504A (zh) 2013-06-28 2013-09-25 华北制药河北华民药业有限责任公司 一种头孢噻肟钠的结晶方法
JP2016197695A (ja) 2015-04-06 2016-11-24 旭硝子株式会社 太陽電池モジュール

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3687932A (en) * 1969-04-24 1972-08-29 Takeda Chemical Industries Ltd Crystalline cytidine-5{40 -diphosphate choline monohydrate and production thereof
JPS5132630B1 (ja) * 1971-06-08 1976-09-14
JPS51108076A (en) * 1975-03-15 1976-09-25 Asahi Chemical Ind 2**3**00 surufuinirupirimijinnukureoshido 5** rinsanesuterujudotainoseizohoho
WO2007018259A1 (ja) * 2005-08-10 2007-02-15 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. シチジンジリン酸コリンの精製方法
WO2008047792A1 (fr) * 2006-10-16 2008-04-24 Kyowa Hakko Bio Co., Ltd. Cristal de glutathione et son procédé de fabrication
CN101538300A (zh) * 2008-03-19 2009-09-23 南京工业大学 一种胞二磷胆碱的盐析-溶析结晶方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
仲町秀雄ら: "Cytidine 5'-Diphosphate Choline Monohydrateの結晶構造,物性および安定性", 武田研究所報, vol. 34(3), JPN6017046209, 1975, pages 358 - 368, ISSN: 0004538390 *
山岸敬道ら, 若手研究者のための有機実験ラボガイド, JPN6017046213, 10 March 2012 (2012-03-10), pages 132 - 133, ISSN: 0004538389 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP3524613B1 (en) 2024-04-03
US11186605B2 (en) 2021-11-30
EP3524613A4 (en) 2020-06-17
CN109790197A (zh) 2019-05-21
RU2019112721A (ru) 2020-11-06
US20190225642A1 (en) 2019-07-25
JP7146640B2 (ja) 2022-10-04
RU2019112721A3 (ja) 2021-01-26
CN117069780A (zh) 2023-11-17
AU2017341136A1 (en) 2019-05-02
AU2017341136B2 (en) 2021-07-08
EP3524613A1 (en) 2019-08-14
EP3524613C0 (en) 2024-04-03
WO2018066690A1 (ja) 2018-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101532412B1 (ko) 1-(β-D-글루코피라노실)-4-메틸-3-(5-(4-플루오로페닐)-2-티에닐메틸) 벤젠의 결정화 방법
CN102516096B (zh) 一种盐酸氨溴索化合物的精制法
US10745432B2 (en) Crystal of 6′-sialyllactose sodium salt, and process for producing same
WO2016023905A1 (en) New and efficient process for the preparation of crystalline form 6 of sofosbuvir
CN100379723C (zh) 阿托伐他汀半钙脱溶剂的方法和基本上不含有机溶剂的阿托伐他汀半钙
JPWO2018066690A1 (ja) シチジンジリン酸コリンの結晶及びその製造方法
JP2009514833A (ja) 滅菌医薬粉末化合物の調製方法
JP4870787B2 (ja) フコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法
CN102557918B (zh) 一种布洛芬钠化合物及其制法
RU2800932C2 (ru) Кристалл цитидиндифосфатхолина и способ его получения
CN107286183B (zh) 一种头孢克肟的精制方法
EP3617191A1 (en) Method for manufacturing diastereomer of citric acid derivative
US20200369721A1 (en) Crystal of reduced glutathione and method for producing same
US11365170B2 (en) Non-solvate crystal of eucomic acid and method for producing same
CN105287409A (zh) 治疗老年痴呆的药物盐酸甲氯芬酯组合物冻干粉针剂
JP2018203690A (ja) L−カルノシンの結晶及びその製造方法
EP3560948B1 (en) L-alanyl-l-glutamine crystals and method for producing same
CN110845492B (zh) 一种异丙托溴铵一水合物
CN109020995A (zh) 一种替西罗莫司的晶型物
JP2019501160A (ja) γ−アミノ酪酸半水和物結晶及びその製造方法
CN105287410A (zh) 治疗外伤性昏迷的药物盐酸甲氯芬酯组合物冻干粉针剂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210629

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211013

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220603

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220603

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220613

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7146640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150