JPWO2018062141A1 - 化学強化ガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させてイオン交換する化学強化工程と、
前記化学強化工程後のガラスを、水素イオン指数(pH)が7.0未満である酸性の溶液に接触させて酸処理する酸処理工程と、を含む化学強化ガラスの製造方法。
2.前記酸処理工程後のガラスを、水素イオン指数(pH)が7.0超であるアルカリ性の溶液に接触させてアルカリ処理するアルカリ処理工程をさらに含む前記1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
3.前記化学強化工程は、400℃以上の前記無機塩に前記ガラスを2時間以上接触させてイオン交換する工程である前記1または2に記載の化学強化ガラスの製造方法。
4.前記化学強化工程後のガラスは、深さ35μm以上の圧縮応力層を有する前記1〜3のいずれか1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
5.前記化学強化工程後のガラスは、ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1000×t2である前記1〜4のいずれか1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を下降速度1mm/minで下降させ該リングの中心に荷重し、ガラス板が破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度F(N)とする。ただし、ガラス板の破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
本発明に係る化学強化ガラスを製造する方法(以下、本発明の方法ともいう。)の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特に言及しない限り、ガラスの組成は酸化物基準のモル百分率で表記する。
本発明の方法における化学強化工程は、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させて、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換してガラス表面に圧縮応力層を形成し、さらに該圧縮応力層の表層が改質して低密度化された低密度層を形成する工程である。
(i)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を56〜72%、Al2O3を5〜18%、B2O3を0〜15%、P2O5を0.1〜10%含有し、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が3〜30%であるガラス。
(ii)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を55.5〜80%、Al2O3を12〜20%、Na2Oを8〜25%、P2O5を2.5%以上、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有するガラス。
(iii)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を57〜76.5%、Al2O3を12〜18%、Na2Oを8〜25%、P2O5を2.5〜10%、アルカリ土類金属ROを1%以上含有するガラス。
(iv)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を56〜72%、Al2O3を8〜20%、B2O3を3〜20%、Na2Oを8〜25%、K2Oを0〜5%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、SrO2を0〜15%、BaOを0〜15%およびZrO2を0〜8%を含有するガラス。
(v)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜80%、Al2O3を2〜25%、Li2Oを0〜10%、Na2Oを0〜18%、K2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO2を0〜5%を含有するガラス。
(vi)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(vii)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス。
(viii)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
(ix)酸化物基準の質量%表示で、SiO2を65〜75%、Al2O3を0.1〜5%、MgOを1〜6%、CaOを1〜15%含有し、Na2O+K2Oが10〜18%であるガラス。
(x)酸化物基準の質量%表示で、SiO2を60〜72%、Al2O3を1〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.1〜5%、Na2Oを13〜19%、K2Oを0〜5%含有し、RO/(RO+R2O)が0.20以上、0.42以下(式中、ROとはアルカリ土類金属酸化物、R2Oはアルカリ金属酸化物を示す)であるガラス。
酸処理工程では、化学強化工程後に洗浄したガラスに対して、さらに酸処理を行う。ガラスの酸処理は、水素イオン指数(pH)が7.0未満である酸性の溶液中にガラスを接触させることによって行う。
本発明の方法では、酸処理後に続いてアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理を行うことにより、酸処理のみの場合と比較して、低密度層の除去量を増加させて面強度をさらに高められる。
本発明の方法により製造される化学強化ガラスの面強度は、下記に示すボールオンリング試験により評価できる。
ガラス板を直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重するボールオンリング[Ball on Ring(BOR)]試験により測定したBOR強度F(N)で評価する。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラス板が破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定の平均値を面強度F(N)とする。ただし、ガラス板の破壊起点が該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
下記に示す条件により、化学強化工程を行った後、酸処理工程、アルカリ処理工程および研磨工程の順に行い、化学強化ガラスを作製した。なお、各実施例および比較例について、各工程の有無を表1および2に示す。
表1および2に示す組成およびpHとなるようにSUS製のカップに無機塩の材料を加え、マントルヒーターで表1および2に示す温度となるまで加熱して溶融塩を調製した。平面視で50mm×50mmであり、表1および2に示す板厚のアルミノシリケートガラスA〜Cを用意し、200〜400℃に予熱した後、表1および2に示す条件でイオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化工程を行った。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。なお、無機塩の組成について、表1および2に示す組成の他はKNO3として合計100質量%とした。また、無機塩のpHは、10質量%水溶液としたときのpHを25℃にて堀場製作所製ハンディータイプpHメーターD−71Sにより測定した値である。
6質量%の硝酸水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化工程で得られたガラスを、調整した硝酸水溶液中に120秒間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程で得られたガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
研磨スラリーとして、平均粒子直径(d50)が1μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを用いて、硬度(ショアA硬度)が74の不織布研磨パッドにより圧力0.1kPaの条件で、平板ガラスの両面を合計約6μm研磨した。
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
ガラスの除去量の厚みは、薬液処理(酸処理およびアルカリ処理)前後の重量を分析用電子天秤(HR−202i;AND製)により測定し、次の式を用いて厚み換算することにより求めた。
(片面あたりの除去量の厚み)=[(処理前重量)−(処理後重量)]/(ガラス比重)/処理面積/2
このとき、硝材(ガラスA、ガラスBおよびガラスC)のガラス比重は次のとおりであり、これら値を用いて計算した。
ガラスA:2.42(g/cm3)
ガラスB:2.48(g/cm3)
ガラスC:2.39(g/cm3)
ガラス面強度はボールオンリング試験により測定した。図2に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ガラス板1(以下の実施例ではアルミノシリケートガラスA)を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の強度を測定した。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定の平均値を面強度F(N)とした。ただし、ガラス板の破壊起点が該球体(加圧冶具)の荷重点から2mm以上離れていた場合は、平均値算出のためのデータより除外した。
面強度F(N)は、ガラス板の板厚t(mm)に依存する、そのためここでは、ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)することにより比較をする。ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)した値をa(単位N/mm2)とした。a値は、式:a=F/t2にて算出される。
表面圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC、単位はμm)は、折原製作所社製表面応力計(FSM−6000)を用いて測定した。圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC)は、日本国特開2016−142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出した。
引張応力値(CT、単位MPa)は、日本国特開2016−142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて、応力分布を測定し、その応力分布を厚みで積分し、算出した。
研磨傷の有無はAFMによる表面観察によって判別した。10μm×5μm領域内に長さ5μm以上、幅0.1μm以上のスクラッチが2本以上存在しないという場合に、表面に研磨傷がない状態とした。
高輝度光源下で照度100000Luxとなる条件で外観を観察し、下記評価基準により外観品質を評価した。図4Aはガラス面内に白曇りが発生していない状態を表す図であり、図4Bはガラス面内に白曇りが発生している状態を表す図である。
○:ガラス面内に白曇りが発生していない。
×:ガラス面内に白曇りが発生している。
20 圧縮応力層
30 中間層
1 ガラス板
2 加圧治具
3 受け治具
Claims (5)
- 10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させてイオン交換する化学強化工程と、
前記化学強化工程後のガラスを、水素イオン指数(pH)が7.0未満である酸性の溶液に接触させて酸処理する酸処理工程と、を含む化学強化ガラスの製造方法。 - 前記酸処理工程後のガラスを、水素イオン指数(pH)が7.0超であるアルカリ性の溶液に接触させてアルカリ処理するアルカリ処理工程をさらに含む請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
- 前記化学強化工程は、400℃以上の前記無機塩に前記ガラスを2時間以上接触させてイオン交換する工程である請求項1または2に記載の化学強化ガラスの製造方法。
- 前記化学強化工程後のガラスは、深さ35μm以上の圧縮応力層を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化ガラスの製造方法。
- 前記化学強化工程後のガラスは、ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1000×t2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラスの製造方法。
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を下降速度1mm/minで下降させ該リングの中心に荷重し、ガラス板が破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度F(N)とする。ただし、ガラス板の破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
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