JP2017149628A - 化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法 - Google Patents

化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス表面が研磨されていても、面強度及び平坦性に優れた化学強化ガラスの提供。【解決手段】表層に圧縮応力層を有し、以下の(1)〜(5)の条件を満たす化学強化ガラス。(1)表面に研磨傷を有する。(2)テクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上。(3)下式(i)におけるシラノール基量が1以下。(表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)ガラス表面のカチオン量は、式(ii)により求める。(カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)(4)ガラスの最表面からの深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満である。(5)AFMにより1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法に関する。
デジタルカメラ、携帯電話又は携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護及び美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。
フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化及び薄型化の要求により、カバーガラス自身も薄くすることが求められている。また、フラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置には優れた外観、強度及び防水性が求められており、カバーガラスには、その目的を満たすために面強度の向上及びガラスの平坦性改善が求められている。
ガラスは理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成し、面強度を向上した化学強化ガラスが用いられている。
化学強化後のガラス板には溶融塩の付着をはじめとするコンタミがある。また、ガラス板表層における水素(水分)の存在によってガラスの面強度が低下するため、通常、化学強化後のガラス表面を研磨したり、フッ酸等に浸漬してエッチング処理をする等の手法により、ガラス板表面に付着したコンタミやガラス板表面の水素(水分)を含有する層を除去する工程が行われている。
特許文献1には、化学強化ガラス板をフッ化物化合物を含む水溶液によりエッチングする耐衝撃損傷性ガラス板が記載されている。特許文献2には、実質的にフッ化物のない水溶性の酸性処理媒質にガラス物品を接触させて酸処理強化ガラス物品を形成するステップを有する方法が記載されている。
特表2013−516387号公報 特表2014−534945号公報
化学強化後のガラス表面を研磨してガラス表面に付着したコンタミやガラス板表面の水素(水分)を含有する層を除去する方法では、研磨によってガラス表面が傷つき、かえって面強度が低下するおそれがある。また、特許文献1及び特許文献2に記載の方法のように酸処理のみによりガラスの面強度を確保しようとすると、酸処理によりガラス表面のシラノール基が増加するため、コンタミがガラス表面に付着し易く、成膜工程直前にコンタミが付着すると、成膜によりコンタミが強調され、外観不良になる場合がある。
したがって、本発明は、ガラス表面が研磨されて研磨傷を有していても、面強度及び平坦性に優れ、ガラス板表面のコンタミ付着を抑制する化学強化ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、化学強化ガラス表面のテクスチャ方向インデックス(Stdi)、表面シラノール基量、ガラス板表層における水素濃度プロファイル及び表面粗さ(Ra)を特定の範囲とすることで、表面に研磨傷を有していても化学強化ガラスの面強度及び平坦性を向上でき、化学強化ガラスのコンタミ付着も抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]表層に圧縮応力層を有し、且つ以下の(1)〜(5)の条件を満たす化学強化ガラス。
(1)表面に研磨傷を有する。
(2)テクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である。
(3)下式(i)により求められる表面シラノール基量が1以下である。
(表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)
ガラス表面のカチオン量は、ガラス表面のX線光電子分光法で各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
ガラス内部のカチオン量はC60でスパッタを行った後、X線光電子分光法でガラス内部の各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
(カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)
(4)ガラスの最表面からの深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満である。
(5)AFMにより1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下である。
本発明に係る化学強化ガラスによれば、化学強化ガラス表面のテクスチャ方向インデックス(Stdi)、表面シラノール基量、ガラス板表層における水素濃度プロファイル及び表面粗さ(Ra)を特定の範囲とすることで、化学強化ガラスの面強度及び平坦性を向上でき、ガラス板表面のコンタミも抑制することができる。
図1は、テクスチャ方向インデックス(Stdi)と面強度(BOR平均面強度)との相関性を示す図である。 図2は、ボールオンリング試験の方法を説明するための概略図である。 図3は、テクスチャアスペクト比(Str20)と面強度(BOR平均面強度)との相関性を示す図である。 図4は、コア粗さ深さ(Sk)を説明するための図である。 図5は、コア粗さ深さ(Sk)[単位:nm]と面強度(BOR平均面強度)との相関性を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<化学強化ガラス>
本発明に係る化学強化ガラスは、表層に圧縮応力層を有し、且つ以下の(1)〜(5)の条件を満たす化学強化ガラスである。
(1)表面に研磨傷を有する。
(2)テクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である。
(3)下式(i)により求められる表面シラノール基量が1以下である。
(表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)
ガラス表面のカチオン量は、ガラス表面のX線光電子分光法で各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
ガラス内部のカチオン量はC60でスパッタを行った後、X線光電子分光法でガラス内部の各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
(カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)
(4)ガラスの最表面から深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満である。
(5)AFMにより1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下である。
本発明に係る化学強化ガラスは、表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する。圧縮応力層とは、原料であるガラスを硝酸カリウム等の無機塩と接触させることによって、ガラス表面のNaイオンと無機塩中のKイオンとがイオン交換されることで形成される高密度層のことである。
[研磨傷]
本発明に係る化学強化ガラスは、表面に研磨傷を有する。ここで、本発明における研磨とは、砥粒を用いてガラス表面を削ることにより平滑化することをいう。表面研磨の方法は特に限定されない。また、研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別することができ、5μm×5μm領域内に長さ5μm以上の研磨傷が1本以上存在するという場合に、表面に研磨傷を有する状態ということができる。
[テクスチャ方向インデックス(Stdi)]
テクスチャ方向インデックス(Stdi)とは、ガラス表面に形成されたテクスチャ(加工表面が一様に持つ性質や状態)の方向性の優劣を示す指標で、0から1の値を取る。テクスチャが優勢な方向を持つ場合、Stdiは0に近づく。一方、テクスチャが方向性を持たない場合、Stdiは1に近づく。すなわち、研磨傷のようなテクスチャが優勢な方向を持つ場合、Stdiは0に近い値を取る。しかしながら、研磨傷が滑らかになり、テクスチャが不明瞭になることで、Stdiは1へ近づくと考えられる。
本発明者らがStdiと面強度[後述するボールオンリング試験により測定したBOR(ボールオンリング)面強度、以下、BOR面強度ともいう。]との相関性を解析した結果、図1に示すような相関性があることを見出した。図1に示すように、Stdiが1に近づくほど面強度が高くなる。本発明に係る化学強化ガラスは、Stdiが0.70以上であり、好ましくは0.75以上であり、より好ましくは0.80以上である。
本発明に係る化学強化ガラスはStdiがかかる範囲であることで研磨傷が滑らかになり、面強度が向上すると考えられる。Stdiは原子間力顕微鏡(AFM)により形状像を取得した後、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロロジー社製SPIP)により求めることができる。
[ボールオンリング試験]
図2に、ボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験では、ガラス板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の面強度を測定する。
図2において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。
ガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧する。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR面強度とし、20回の測定の平均値をBOR平均面強度とする。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
[表面シラノール基量]
本発明に係る化学強化ガラスは、表面シラノール基量が1以下であり、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.85以下である。
〔表面シラノール基量測定方法〕
表面シラノール基量は、下記1)〜5)の手順により求める。
1)ガラス表面のX線光電子分光法(XPS)で各元素の原子濃度を測定する。
2)ガラス表面のカチオン量を下記の式(ii)で計算する。
3)C60でスパッタを行った後、X線光電子分光法でガラス内部の各元素の原子濃度を測定する。
4)ガラス内部のカチオン量を下記の式(ii)で計算する。
5)式(i)により、ガラス内部のカチオン量からガラス表面のカチオン量を引いて、表面シラノール基量を求める。
(表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)
(カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)
前記表面シラノール基量が1以下であることにより、コンタミが付着し難く、カバーガラスの洗浄後の成膜工程でのコンタミを抑え、ガラス表面の平坦性を向上することができる。
[水素濃度]
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラス板表層における水素濃度プロファイルが特定の範囲にある。具体的には、ガラスの最表面からの深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満であり、好ましくは0.060mol/L以下である。水素濃度Cが0.070mol/L未満であることにより、化学強化ガラスの面強度を向上することができる。
ガラスの面強度に関し、ガラス板表層における水素(水分)の存在によってガラスの面強度が低下することは知られているが、化学強化処理後に面強度が低下することがある。種々の検討の結果、その主原因は雰囲気中の水分がガラスに侵入することにより化学的欠陥が生成するためであると推定される。
ガラス板表層における水素濃度が高いと、ガラスのSi−O−Siの結合ネットワークの中に水素がSi−OHの形で入り、Si−O−Siの結合が切れる。ガラス板表層における水素濃度が高いとSi−O−Siの結合が切れる部分が多くなり、化学的欠陥が生成され易くなり、面強度が低下すると考えられる。
水素濃度Cは、最表面からの深さX=0.1〜0.4μmの領域において特定範囲とするものである。イオン交換により形成される圧縮応力層の厚さは、化学強化の程度によるが、5〜50μmの範囲で形成される。そして、ガラスへの水素の侵入深さは、拡散係数、温度及び時間に従い、水素の侵入量はこれらに加えて雰囲気中の水分量が影響する。化学強化後の水素濃度は、最表面が最も高く、圧縮応力層が形成されていない深部(バルク)にかけて徐々に低下する。最表面(X=0μm)では、経時変質により水分濃度が変化する可能性があるため、その影響がないと考えられる近表面(X=0.1〜0.4μm)の領域において水素濃度Cを特定範囲とするものとした。
〔水素濃度プロファイル測定方法〕
ここで、ガラス板表層における水素濃度プロファイル(HO濃度、mol/L)とは以下の分析条件下で測定したプロファイルである。ガラス板表層における水素濃度プロファイルの測定には二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometory:SIMS)を用いる。
SIMSにて定量的な水素濃度プロファイルを得る場合には、水素濃度既知の標準試料が必要である。標準試料の作製方法及び水素濃度定量方法を以下に記す。
1)測定対象のガラス板の一部を切り出す。
2)切り出したガラス板の表面から50μm以上の領域を研磨あるいはケミカルエッチングによって除去する。除去処理は両面とも行う。すなわち、両面での除去厚みは100μm以上となる。この除去処理済みガラス板を標準試料とする。
3)標準試料について赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を実施し、IRスペクトルの3550cm−1付近のピークトップの吸光度高さA3550及び4000cm−1の吸光度高さA4000(ベースライン)を求める。
4)標準試料の板厚d(cm)をマイクロメーターなどの板厚測定器を用いて測定する。
5)S.Ilievski et al.,Glastech.Ber.Glass Sci.Technol.,73(2000)39.を参考に、ガラスのHOの赤外実用吸光係数εpract[L/(mol・cm)]を75とし、式(a)を用いて標準試料の水素濃度(HO換算、mol/L)を求める。
標準試料の水素濃度=(A3550−A4000)/(εpract・d)…式(a)
測定対象のガラス板と上記の方法によって得られた水素濃度既知の標準試料を同時にSIMS装置内へ搬送し、順番に測定を行い、及び30Siの強度の深さ方向プロファイルを取得する。その後、プロファイルから30Siプロファイルを除して、30Si強度比の深さ方向プロファイルを得る。
標準試料の30Si強度比の深さ方向プロファイルより、深さ1μmから2μmまでの領域における平均30Si強度比を算出し、この値と水素濃度との検量線を、原点を通過するように作成する(1水準の標準試料での検量線)。この検量線を用い、測定対象のガラス板のプロファイルの縦軸の30Si強度比を水素濃度へ変換する。これにより、測定対象のガラス板の水素濃度プロファイルを得る。
なお、SIMS及びIRの測定条件は以下の通りである。
〔SIMSの測定条件〕
装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次イオンの加速電圧:5kV一次イオンの電流値:500nA
一次イオンの入射角:試料面の法線に対して60°
一次イオンのラスターサイズ:300×300μm
二次イオンの極性:マイナス
二次イオンの検出領域:60×60μm(一次イオンのラスターサイズの4%)
ESA Input Lens:0
中和銃の使用:有
横軸をスパッタ時間から深さへ変換する方法:分析クレータの深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。
検出時のField Axis Potential:装置ごとに最適値が変化する可能性がある。バックグラウンドが十分にカットされるように測定者が注意しながら値を設定する。
〔IRの測定条件〕
装置:Thermo Fisher Scientific社製Nic−plan/ Nicolet 6700
分解能:4cm−1
積算:16
検出器:TGS検出器
[表面粗さ(Ra)]
本発明に係る化学強化ガラスは、AFMによりスキャンサイズが1μm×1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下であり、好ましくは0.3nm以下であり、より好ましくは0.2nm以下である。表面粗さ(Ra)が0.35nm以下であることにより、化学強化ガラスの面強度を向上することができる。
[テクスチャアスペクト比(Str20)]
テクスチャアスペクト比(Str20)は原子間力顕微鏡(AFM)により形状像を取得した後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理およびL−フィルタリング処理(ISO値2.0μm)を実施し、ラフネス解析によりテクスチャアスペクト比(Str20)を求めることができる。
本発明者らがStr20と面強度(BOR平均面強度)との相関性を解析した結果、図3に示すような相関性があることを見出した。図3に示すように、Str20が1に近づくほど面強度が高くなる。本発明に係る化学強化ガラスはStr20が0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.65以上であり、特に好ましくは0.75以上である。
本発明に係る化学強化ガラスはまた、Str20がかかる範囲であることで凹凸の小さい研磨傷を持つ、または、研磨傷が確認できないガラス板であると考えられる。
[コア粗さ深さ(Sk)]
コア粗さ深さ(Sk)(DIN 4776)とは、凹凸のばらつきに関する指標であり、図4に示すアボット曲線(高さ分布のヒストグラムの積分値)におけるベアリング曲線の近似線のうち、最少の傾きになる線を引いた場合の図4に示す「Sk」がコア粗さ深さ、「Spk」が縮小サミット高さ、「Svk」が縮小バレー高さである。
本発明者らがSkと面強度(BOR平均面強度)との相関性を解析した結果、図5に示すような相関性があることを見出した。本発明に係る化学強化ガラスはSkが1nm以下であることが好ましい。Skがかかる範囲にあることで、小さい凹凸が占める割合が大きくなり、面強度が向上すると考えられる。Skは原子間力顕微鏡(AFM)により形状像を取得した後、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)により求めることができる。
(ガラス組成)
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものであれば、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス及びアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。
ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法及びリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法及びプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
また、本発明で使用されるガラスの形状は特に限定されない。例えば、均一な板厚を有する平板形状、表面と裏面のうち少なくとも一方に曲面を有する形状及び屈曲部等を有する立体的な形状等の様々な形状のガラスを採用することができる。
本発明の化学強化ガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%及びZrOを0〜5%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%及びZrOを0〜5%含有し、SiO及びAlの含有量の合計が75%以下、NaO及びKOの含有量の合計が12〜25%、MgO及びCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%及びZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%及びZrOを0〜1.5%含有し、SiO及びAlの含有量の合計が71〜75%、NaO及びKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
<化学強化ガラスの製造方法>
本発明に係る化学強化ガラスの製造方法は、
イオン交換法によりガラス表層に圧縮応力層を形成するイオン交換工程と、
前記イオン交換工程の後に以下の(a)〜(d)を満たすようにガラス表面を処理する表面処理工程とを含む。
(a)テクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である。
(b)下式(i)により求められる表面シラノール基量が1以下である。
(表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)
ガラス表面のカチオン量は、ガラス表面のX線光電子分光法で各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
ガラス内部のカチオン量はC60でスパッタを行った後、X線光電子分光法でガラス内部の各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
(カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)
(c)ガラスの最表面から深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満である。
(d)AFMによりスキャンサイズが1μm×1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下である。
以下、各工程について説明する。
[イオン交換工程]
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラス表面に、イオン交換された圧縮応力層を有する。イオン交換法では、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力が残留する表面層を形成させる。具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表層のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオン又はKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に置換する。これにより、ガラスの表面に圧縮応力が残留し、ガラスの面強度が向上する。
イオン交換処理の方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。イオン交換処理の方法としてはガラス表層のLiO又はNaOと溶融塩中のNaO又はKOとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、例えば、加熱された硝酸カリウム(KNO)を含有する溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。
イオン交換処理の条件は特に限定されず、ガラスの厚さによっても異なるが、温度条件は、520℃以下であることが好ましく、500℃以下であることがより好ましく、また、350℃以上であることが好ましく、400℃以上であることがより好ましい。
また、イオン交換処理する時間は、1〜72時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましい。生産性を向上させるためには、12時間以下が好ましい。溶融塩としては、例えば、KNOなどが挙げられる。
具体的には、例えば、400〜500℃のKNO溶融塩に1〜72時間ガラスを浸漬させることが典型的である。また、イオン交換処理後に、ガラス板に付着する溶融塩などの付着物などを除去する目的で、水で洗浄することが好ましい。
[研磨工程]
本発明に係る化学強化ガラスの製造方法では、前記イオン交換工程後、後述する表面処理工程の前にガラス表面を研磨する研磨工程を含んでもよい。研磨工程は、研磨スラリーを供給しながら研磨パッドでガラスを研磨する工程である。研磨条件は特に制限されず、所望の表面粗さとなる条件で行うことができる。ガラス表面を研磨することで、ガラス表面のマクロな傷が除去される。
研磨工程は、例えば、平均粒径約0.7μmの酸化セリウムを水に分散させて比重0.9のスラリーを作製し、不織布タイプ、又はスウェードタイプの研磨パッドを用いて、研磨圧10kPaの条件で、片面あたり0.5μm以上ガラスの表面を研磨する等の一般的な方法で行うことができる。
酸化セリウムの平均粒子直径(d50)が通常0.5〜1.5μmの研磨砥粒を用いてガラス表面を研磨することによる研磨傷がガラス表面に残ると面強度が低下するおそれがあるが、研磨工程後に後述する表面処理工程を行うことにより、該研磨傷を薄くしてStdiを所定の範囲にすることで面強度を向上することができる。
[表面処理工程]
本発明に係る化学強化ガラスの製造方法では、イオン交換処理後にアルカリ処理を含む表面処理を行うことが好ましい。また、アルカリ処理と酸処理又はエッチング処理とを組み合わせてもよい。アルカリ処理により、表面の水和層が除去されることにより、ガラス表面クラックが進展しにくい表面が得られると考えられる。また、アルカリ処理により、表面シラノール基量が先述した特定の関係式(i)を満たす表層となることにより、ガラス表面に付着するコンタミを抑制することができると考えられる。
前記表面処理により、ガラス板表層における水素が除去され、水素濃度Cが所定の範囲となる。また、前記表面処理により、ガラス表面に存在していた傷も同時に除去され、Stdi及び表面粗さ(Ra)が所定の範囲となり、これらにより面強度が向上すると考えられる。
表面処理による表面除去量は、通常5nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。表面除去量を5nm以上とすることにより、研磨傷がある場合、その傷による凹凸を小さくする事が出来、面強度の高い化学強化ガラスを製造する事が出来る。表面除去量は、化学強化に供するガラスの組成、表面処理に用いる溶液の温度又は濃度等を適宜調整することにより調整することができる。
(アルカリ処理)
アルカリ処理は、塩基性の溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行う。溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7超過であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア又は有機アミン等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、キレート剤として、有機酸塩などを添加してもよい。
アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、10〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましく、40〜60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラスが腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、1〜120分が生産性の点から好ましく、1〜60分がより好ましい。アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス表面除去性の観点から0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
(酸処理)
酸処理は、酸性の溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行うことができる。溶液は酸性であれば特に制限されずpH7未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、炭酸又はクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒〜5時間が生産性の点から好ましく、1分〜2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.1〜20質量%が好ましい。
(エッチング処理)
エッチング処理に用いるエッチング液としては、ガラス溶解性の薬品を含有する水溶液が使用される。ガラス溶解性の薬品としては、フッ化物を含有する水溶液が好ましい。フッ化物としては、例えば、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム及びフッ化ナトリウム等が挙げられる。またこれら水溶液に無機酸及び有機酸の少なくとも一方を含有させてもよい。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸等から一種又は二種以上を選択するとよく、有機酸としては、酢酸及びコハク酸等から一種又は二種以上を選択するとよい。
エッチングレートは、0.1μm/min以下であることが好ましく、0.05μm/min以下であることがより好ましい。エッチングレートを0.1μm/min以下とすることにより、ガラス板表面の荒れの小さい化学強化ガラスを製造することができる。エッチングレートは、イオン交換工程に供するガラスの組成、エッチング液の温度又は濃度等を適宜調整することにより調整することができる。
エッチング温度は、通常10℃〜60℃であることが好ましく、より好ましくは20℃〜40℃である。さらに、エッチング時間は、通常30秒間〜30分間であることが好ましく、より好ましくは1分間〜10分間である。これらのエッチングの条件は、使用するガラス板の材質などに応じて、反応物が析出することのないように、当業者が適宜選択できるものである。
化学強化ガラスの製造方法は、用途によっても異なり、前記したイオン交換工程後の表面処理工程以外のその他の工程としては特に限定されない。一例を下記に示すが、本発明はこの例に限定されない。
まず、準備したガラス素板を、切断、穴あけ、切り欠き、研磨又は糸面取りなどの工程を経て、最終的に仕上げる所望の大きさ、形状に成形する。この時、後の工程のハンドリングの向上及びプロセスコストを削減するために、最終的に仕上げる所望の大きさよりも大きい大きさに切断しておき、全ての加工工程が終了した後に、所望の大きさ、形状に成形してもよい。
成形されたガラスは、イオン交換工程により化学強化された後に、表面処理工程によりコンタミ及び水分を含有する層が除去され、化学強化ガラスとなる。化学強化ガラスには、例えば、印刷、反射防止コーティング及び機能性フイルムの貼り合せなどが行なわれ、カバーガラスが製造される。表面処理工程後に、AFM画像解析によりテクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である場合には適合とする抜き取り検査を行ってもよい。
本発明の化学強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラ、車載用表示装置等に用いられるフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置等のディスプレイ用カバーガラスに用いることができる。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
[除去量]
ガラスの除去量厚みは、薬液処理前後の重量を分析用電子天秤(HR−202i;AND製)により測定し、次の式を用いて厚み換算することにより求めた。
(片面あたりの除去量厚み)=[(処理前重量)−(処理後重量)]/(ガラス比重)/処理面積/2
このとき、ガラス比重を2.41(g/cm)として計算した。
[テクスチャ方向インデックス(Stdi)]
初めに、Atomic Force Microscope(セイコーインスツルメント社製PA400)、測定モード:タッピングモード、スキャンサイズ:1μm×1μm、スキャン速度:1Hz、カンチレバー:Cantilever(SII社製SI−DF40)により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.2.6)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ラフネス解析によりテクスチャ方向インデックス(Stdi)を求めた。
[テクスチャアスペクト比(Str20)]
初めに、Atomic Force Microscope(セイコーインスツルメント社製PA400)、測定モード:タッピングモード、スキャンサイズ:1μm×1μm、スキャン速度:1Hz、カンチレバー:Cantilever(SII社製SI−DF40)により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ラフネス解析によりテクスチャアスペクト比(Str20)を求めた。
[コア粗さ深さ(Sk)]
初めに、Atomic Force Microscope(セイコーインスツルメント社製PA400)、測定モード:タッピングモード、スキャンサイズ:1μm×1μm、スキャン速度:1Hz、カンチレバー:Cantilever(SII社製SI−DF40)により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ベアリング曲線によりコア粗さ深さ(Sk)を求めた。
[面強度]
ガラス面強度はボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により測定した。図2に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ガラス板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の面強度を測定した。
図2において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。
本実施の形態においては、実施例及び比較例後に得られたガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧した。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR面強度とし、20回の測定の平均値をBOR平均面強度とした。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れていた場合は、平均値算出のためのデータより除外した。
[水素濃度]
前述の〔水素濃度プロファイル測定方法〕にて記載した方法に従い、水素濃度プロファイルを測定した。
[表面シラノール基量]
前述の〔表面シラノール基量測定方法〕にて記載した方法に従い、ガラス表面のX線光電子分光法(XPS)による分析を行い、表面シラノール基量を測定した。XPS分析方法及び装置について、以下に示す。
(XPS分析)
装置:アルバック・ファイ社製ESCA5500
各サンプル面について、先ずワイドスペクトルを測定し、表面汚染が無いことを確認した後、C(炭素)、O(酸素)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Si(珪素)及びK(カリウム)についてナロースペクトルを測定し、ガラスの表面組成及び表面シラノール基量のSi規格値を算出した。
測定条件
・ステップ分解能:0.5eV/step
・パスエネルギー:117.4eV
・分析エリア : 直径800μmΦ
[表面粗さ(Ra)]
表面粗さ(Ra)は、Atomic Force Microscope(セイコーインスツルメント社製PA400)、測定モード:タッピングモード、スキャンサイズ:1μm×1μm、スキャン速度:1Hz、カンチレバー:Cantilever(SII社製SI−DF40)により形状像を取得し、Raを求めた。
[ぬれ性]
協和界面科学社製PCA−1により、2μLの水をガラス表面に供給し、接触角を測定し、ぬれ性を評価した。
<試験例1>
(ガラス板の作製)
以下の組成のガラスを板厚0.7mmになるようにフロート法で製造し、50×50mmに切断してガラス板を作製した。
組成:モル%表示で、SiOを64%、Alを7.5%、NaOを13%、MgOを11%含有する組成
以下の例では、次の各工程を適宜組み合わせて行った。
(イオン交換工程)
ガラス板を、KNO溶融塩に浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化した。このとき、KNO溶融塩の温度は430℃とし、浸漬時間は3.5時間とした。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
(強化後研磨)
研磨スラリーとして、平均粒子直径(d50)が0.8μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを用いてガラス板を研磨レート(片面)0.25μm/分で研磨パッド(不織布タイプ)により研磨した。
(アルカリ処理1)
5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整した。ガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に10分間又は30分間浸漬させてアルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
(アルカリ処理2)
1Mの水酸化カリウム水溶液を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整した。ガラスを、調整した水酸化カリウム水溶液中に10分間浸漬させてアルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
(エッチング処理)
0.2容量%フッ化水素水溶液を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて室温に温度調整した。ガラスを、調整したフッ化水素水溶液中に20秒間、60秒間又は2分間浸漬させてエッチング処理を行い、その後、pH10のNaOH水溶液にて、30秒間洗浄した後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
表1に、上記方法により得られた化学強化ガラスについてStdi、Str20、Sk及びBOR平均面強度を評価した結果を示す。例1〜6は実施例、例7〜10は比較例である。また、表1に示す数値に基づいて、StdiとBOR平均面強度とをプロットした結果を図1に、Str20とBOR平均面強度とをプロットした結果を図3に、SkとBOR平均面強度とをプロットした結果を図5に示す。
例1〜10について、ガラスの最表面からの深さ0.1〜0.4μmの領域における水素濃度は、0.070mol/L未満であった。また、例1〜例6について表面粗さ(Ra)は0.35nm以下であった。
Figure 2017149628
図1に示すように、Stdiと面強度とは相関関係にあり、Stdiを0.70以上とすることにより、BOR平均面強度が800N以上となり、高い面強度を達成できることがわかった。
また、図3に示す結果から、Str20と面強度とは相関関係にあり、Str20を0.5以上とすることにより、BOR平均面強度が800N以上となり、高い面強度を達成できることがわかった。
さらに、図5に示すように、Skと面強度とは相関関係にあり、Skを1nm以下とすることにより、BOR平均面強度が800N以上となり、高い面強度を達成できることがわかった。
<試験例2>
[実施例2−1]
以下の組成のガラスを板厚0.7mmになるようにフロート法で製造し、50×50mmに切断してガラス板を作製した。
組成:モル%表示で、SiOを64%、Alを7.5%、NaOを13%、MgOを11%含有する組成
(イオン交換工程)
ガラス板を、KNO溶融塩に浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化した。このとき、KNO溶融塩の温度は430℃とし、浸漬時間は3.5時間とした。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
(アルカリ処理)
4.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整を行った。ガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
以上より、実施例2−1の化学強化ガラスを得た。
[実施例2−2]
実施例2−1におけるイオン交換工程後、アルカリ処理の前に、下記のフレア処理を行った以外は実施例2−1と同様にし、実施例2−2の化学強化ガラスを得た。
(フレア処理)
5.0質量%のフッ化水素及び5.0質量%の硝酸を含有するフレア処理用水溶液を樹脂製の槽に用意した。ガラスを、調製したフレア処理用水溶液中に2分間浸漬させ、フレア処理を行い、その後純水で数回洗浄した。こうして得られたガラスをアルカリ処理に供した。
[実施例2−3]
実施例2−1におけるイオン交換工程後、アルカリ処理の前に、下記の酸処理を行った以外は実施例2−1と同様にし、実施例2−3の化学強化ガラスを得た。
(酸処理)
1Mの硝酸を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整を行った。前記イオン交換工程で得られたガラスを、調整した硝酸中に30分間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した。こうして得られたガラスをアルカリ処理に供した。
[比較例2−1]
実施例2−2において、イオン交換工程後に、フレア処理に続くアルカリ処理を行わず、フレア処理のみを行った点以外は、実施例2−2と同様とした。
[比較例2−2]
実施例2−3において、イオン交換工程後に、酸処理に続くアルカリ処理を行わず、酸処理のみを行った点以外は、実施例2−3と同様とした。
得られた実施例及び比較例の化学強化ガラスについて、XPS分析及びぬれ性を評価した結果を表2に示す。ぬれ性評価においては、ガラスを処理した後、クリーンルーム内で4日間保管した後、測定を行った。
Figure 2017149628
表2に示すように、アルカリ処理をした実施例2−1〜2−3は、アルカリ処理をしていない比較例2−1及び2−2と比較してガラス表面シラノール基量が1以下であり、接触角が14°以上であった。この結果から、イオン交換工程後にガラス表面をアルカリ処理することにより、ガラス表面のシラノール基量を低減し、ガラス表面にコンタミが付着するのを抑制できることがわかった。

Claims (6)

  1. 表層に圧縮応力層を有し、且つ以下の(1)〜(5)の条件を満たす化学強化ガラス。
    (1)表面に研磨傷を有する。
    (2)テクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である。
    (3)下式(i)により求められる表面シラノール基量が1以下である。
    (表面シラノール基量)=(ガラス内部のカチオン量)−(ガラス表面のカチオン量)…式(i)
    ガラス表面のカチオン量は、ガラス表面のX線光電子分光法で各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
    ガラス内部のカチオン量はC60でスパッタを行った後、X線光電子分光法でガラス内部の各元素の原子濃度を測定し、下式(ii)により求める。
    (カチオン量)=K/Si+Na/Si+2×Mg/Si+3×Al/Si…式(ii)
    (4)ガラスの最表面からの深さX=0.1〜0.4(μm)の領域における水素濃度Cが、0.070mol/L未満である。
    (5)AFMにより1μm角の条件で測定した表面粗さ(Ra)が0.35nm以下である。
  2. テクスチャアスペクト比(Str20)が0.5以上である請求項1に記載の化学強化ガラス。
  3. コア粗さ深さ(Sk)が1nm以下である請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
  4. BOR平均面強度が800N以上である請求項1〜3いずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  5. 前記ガラスがアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス又はソーダライムガラスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  6. イオン交換法によりガラス表層に圧縮応力層を形成するイオン交換工程と、
    前記イオン交換工程後にガラス表面を処理する表面処理工程とを含む化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記表面処理工程後にAFM画像解析によりテクスチャ方向インデックス(Stdi)が0.70以上である場合には適合とする抜き取り検査を含む化学強化ガラスの製造方法。
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