JPWO2018043007A1 - 触媒の製造方法、及びアクリロニトリルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
を有し、
前記調製工程が、シリカ原料とカルボン酸を混合し、シリカ−カルボン酸混合液を調製する工程(I)と、前記シリカ−カルボン酸混合液、モリブデン、ビスマス及び鉄を混合する工程(II)とを含む。
Description
〔1〕
モリブデンと、ビスマスと、鉄と、シリカと、カルボン酸とを含む前駆体スラリーを調製する調製工程と、
前記前駆体スラリーを噴霧乾燥して乾燥粒子を得る乾燥工程と、
前記乾燥粒子を焼成する焼成工程と、
を有し、
前記調製工程が、シリカ原料とカルボン酸を混合し、シリカ−カルボン酸混合液を調製する工程(I)と、前記シリカ−カルボン酸混合液、モリブデン、ビスマス及び鉄を混合する工程(II)とを含む、触媒の製造方法。
〔2〕
前記触媒が、下記一般式(1)で表されるバルク組成を有する金属酸化物と、シリカとを含む、〔1〕に記載の触媒の製造方法。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
(式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Yは、セリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Zは、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e及びfは、各元素の原子比を表し、それぞれ、0.1≦a≦3.0、0.1≦b≦3.0、0.1≦c≦10.0、0.1≦d≦3.0、及び0.01≦e≦2.0を満たし、かつ、fは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
〔3〕
前記触媒において、触媒粒子表面におけるMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率を、金属酸化物バルクのMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率で除した値の標準偏差が0.2以下である、〔2〕に記載の触媒の製造方法。
〔4〕
前記工程(II)が、下記(i)工程及び(ii)工程を含み、
前記乾燥工程が、下記(iii)工程を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の触媒の製造方法;
(i)少なくともMoを含むMo含有液と、少なくともBiを含むBi含有液とを用意する工程、
(ii)前記Mo含有液を第一の流路に連続的に供給し、前記Bi含有液を第二の流路に連続的に供給し、かつ第一の流路と第二の流路とを前記Mo含有液及び前記Bi含有液それぞれの供給個所よりも下流で合流させることによって、前記Mo含有液と前記Bi含有液とを混合してMoBi含有液を得る工程、
(iii)前記MoBi含有液を乾燥させる工程。
〔5〕
前記(ii)工程と前記(iii)工程との間に、さらに、(iv)前記MoBi含有液をさらに混合する工程を有する、〔4〕に記載の触媒の製造方法。
〔6〕
前記(ii)工程と前記(iii)工程との間に、さらに、(v)前記MoBi含有液を貯留する工程を有する、〔4〕又は〔5〕に記載の触媒の製造方法。
〔7〕
前記(i)、(ii)及び(v)工程の一連の処理がバッチ処理方式で行われ、(ii)工程で得られたMoBi含有液の一バッチ分全量が(v)工程において貯留され、
前記(ii)工程において、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の前記第一の流路又は前記第二の流路への質量供給速度を、各々、mA(g/min)及びmB(g/min)としたときに、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の一バッチあたりの全供給量MA(g)及びMB(g)の合計量の60質量%以上が、式(2)を満たすように供給される、〔6〕に記載の触媒の製造方法。
(mB/mA)/(MB/MA)=0.5〜1.5 (2)
〔8〕
前記MoBi含有液が、前記(iii)工程へ連続的に供される、〔4〕又は〔5〕に記載の触媒の製造方法。
〔9〕
前記(ii)工程において、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の前記第一の流路又は第二の流路へモル供給速度を、各々、mα(mol/min)及びmβ(mol/min)としたときに、前記Mo含有液及び前記Bi含有液が、式(3)を満たすように供給される、〔4〕、〔5〕、又は〔8〕に記載の触媒の製造方法。
(mβ/mα)/(a/12)=0.8〜1.2 (3)
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の触媒の製造方法によって触媒を得る工程と、
前記触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させる工程と、
を含む、アクリロニトリルの製造方法。
〔11〕
下記式(1)で表されるバルク組成を有する金属酸化物及びシリカを含む粒子からなる触媒であって、
触媒粒子表面におけるMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率を、金属酸化物バルクのMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率で除した値の標準偏差が0.2以下である、
触媒。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
(式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Yは、セリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Zは、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e及びfは、各元素の原子比を表し、それぞれ、0.1≦a≦3.0、0.1≦b≦3.0、0.1≦c≦10.0、0.1≦d≦3.0、及び0.01≦e≦2.0を満たし、かつ、fは原子価のバランスを満たす値である。)
〔12〕
〔11〕に記載の触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させる工程を含む、アクリロニトリルの製造方法。
本実施形態の触媒の製造方法は、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、シリカと、カルボン酸とを含む前駆体スラリーを調製する調製工程と、前記前駆体スラリーを噴霧乾燥して乾燥粒子を得る乾燥工程と、前記乾燥粒子を焼成する焼成工程と、を有し、前記調製工程が、シリカ原料とカルボン酸を混合し、シリカ−カルボン酸混合液を調製する工程と、前記シリカ−カルボン酸混合液、モリブデン、ビスマス及び鉄を混合する混合工程とを含む。
本実施形態の製造方法で得られる触媒は、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、を必須成分として含む。モリブデンは、プロピレンの吸着サイト及びアンモニアの活性化サイトとしての役割を担っている。また、ビスマスは、プロピレンを活性化させ、α位水素を引き抜いてπアリル種を生成させる役割を担っている。さらに、鉄は、3価/2価のレドックスによって気相に存在する酸素を触媒活性点に供給する役割を担っている。
本実施形態の製造方法で得られる触媒における元素Xは、適度な格子欠陥を有するモリブデートを形成し、酸素のバルク内移動を円滑にする役割を担っている。また、元素Yは鉄と同様に触媒におけるレドックス機能を担っている。さらに、元素Zは、触媒表面に存在する酸点をブロックすることで、主生成物、原料の分解反応を抑制する役割を担っている。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
上記式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Yはセリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示す。
上記式(1)中、aは、モリブデン12原子に対するビスマスの原子比を示し、0.1≦a≦3.0であり、好ましくは0.15≦a≦1.0であり、より好ましくは0.2≦a≦0.7である。
上記式(1)中、bは、モリブデン12原子に対する鉄の原子比を示し、0.1≦b≦3.0であり、好ましくは0.5≦b≦2.5であり、より好ましくは1.0≦b≦2.0である。
上記式(1)中、cは、モリブデン12原子に対するXの原子比を示し、0.1≦c≦10.0であり、好ましくは3.0≦c≦9.0であり、より好ましくは5.0≦c≦8.5である。
上記式(1)中、dは、モリブデン12原子に対するYの原子比を示し、0.1≦d≦3.0であり、好ましくは0.2≦d≦2.0であり、より好ましくは0.3≦d≦1.5である。
上記式(1)中、eは、モリブデン12原子に対するZの原子比を示し、0.01≦e≦2.0であり、好ましくは0.05≦e≦1.0である。
上記式(1)中、fは、モリブデン12原子に対する酸素の原子比を示し、原子価のバランスを満たす値である。なお、fは、存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数に対応する値である。
さらに、本実施形態において、上記式(1)中、ニッケルの原子比をgとし、コバルトの原子比をhとしたとき、g及びhを次のように調整することが好ましい。すなわち、金属酸化物がマグネシウムを含まない場合は、g<1.0又は6.5<g、かつ、h<1.0又は6.5<hであることが好ましい。また、金属酸化物がマグネシウムを含む場合は、g<0.5又は6.5<g、かつ、h<0.5又は7.0<hであることが好ましい。
本実施形態において、例えば、使用する原料及びその使用量を適宜調整することにより、得られる触媒の組成を上記範囲に調整することができる。
上記の標準偏差については、後述する。
本実施形態の製造方法における調製工程は、シリカ原料とカルボン酸を混合し、シリカ−カルボン酸混合液を調製する工程(本明細書中、「工程(I)」ともいう。)を含む。混合順は特に限定されないが、例えば、シリカ原料にカルボン酸を投入して、混合液を得ることができる。
本実施形態の製造方法における調製工程は、前記シリカ−カルボン酸混合液と、モリブデンと、ビスマスと、鉄とを混合し、前駆体スラリーを得る工程(本明細書中、「工程(II)」ともいう。)を含む。混合順は特に限定されないが、例えば、モリブデンを含む溶液をシリカ−カルボン酸混合液に投入した後、ビスマスと鉄を含む溶液を投入して、前駆体スラリーを得ることができる。
乾燥工程は、調製工程で得られた前駆体スラリーを噴霧乾燥し、乾燥粒子を得る工程である。前駆体スラリーを噴霧乾燥することによって流動層反応に適した球形微粒子を得ることができる。噴霧乾燥装置としては、特に限定されず、例えば、回転円盤式、ノズル式等の一般的なものを用いることができる。噴霧乾燥条件を調節することにより、触媒の粒径を調整することができる。流動層触媒として用いる場合には、触媒の粒径は、好ましくは25〜180μmである。好ましい粒径を有する触媒粒子を得るための条件の一例を記載すると、乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用い、乾燥器の入口空気温度を180〜250℃、出口温度を100〜150℃に保持して行う噴霧乾燥が挙げられる。
(i)少なくともMoを含むMo含有液と、少なくともBiを含むBi含有液とを用意する工程、
(ii)前記Mo含有液を第一の流路に連続的に供給し、前記Bi含有液を第二の流路に連続的に供給し、かつ第一の流路と第二の流路とを前記Mo含有液及び前記Bi含有液それぞれの供給個所よりも下流で合流させることによって、前記Mo含有液と前記Bi含有液とを混合してMoBi含有液を得る工程、
(iii)前記MoBi含有液を乾燥させる工程
さらに、本実施形態においては、Mo含有液とBi含有液を混合してMoBi含有液(スラリー)を生成させた後、該MoBi含有液を乾燥させる工程の前(すなわち、(ii)工程と(iii)工程の間)に、MoBi含有液をさらに混合する工程((iv)工程)を設けることができる。
また、(ii)工程と(iii)工程の間に、MoBi含有液を一定量貯留する工程((v)工程)を設けることができる。
(ii)工程で調製したMoBi含有液は、そのまま連続的に(iii)工程に供給してもよいし、(iv)工程を経た後に(iii)工程に供給してもよいし、その一部又は全量を一旦貯留((v)工程)してから(iii)工程に供給してもよい。
(v)工程を設け、MoBi含有液を一旦貯留する場合は、(ii)工程で調製したMoBi液の全量、又は(ii)工程の後に(iv)工程を行って調製したMoBi含有液の全量を貯留することが好ましい(バッチ処理方式)。バッチ処理方式の場合、(ii)工程においてMo含有液とBi含有液との供給比率にずれが生じた場合でも、(v)工程において原料の全量が混合されることになり、すなわち意図する組成に均一化されたMoBi含有液を(iii)工程に送ることができる。
本実施形態において、連続供給方式とバッチ処理方式のいずれを選択するかは特に問わないが、短時間に触媒を製造したい場合は連続処理方式、供給比率のずれの許容幅を広げる場合はバッチ処理方式を選択することが好ましい。
具体的には、(i)少なくともMoを含有するMo含有液(金属酸化物の成分となるMoの原料を含む液であり、以下「A液」とも言う。)と、少なくともBiを含有するBi含有液(金属酸化物の成分となるBiの原料を含む液であり、「B液」とも言う。)を用意する工程と、(ii)両者を混合する工程を含む(以下、Mo含有液とBi含有液のことを「2液」ということもある)。前記2液を混合することにより、スラリーであるMoBi含有液が形成される。
このMoBi含有液は、MoBi含有金属酸化物の前駆体であり、この前駆体の生成条件が、製造する触媒粒子の表面組成の均一性に大きく影響することが本発明者らの研究により分かった。
(ii)工程において、Mo含有液及びBi含有液を、各々、第一及び第二の流路に連続的に供給し、第一の流路と第二の流路とをMo含有液及びBi含有液それぞれの供給個所よりも下流で合流させてMoBi含有液を調製することによって、表面組成の均一性がより高い触媒粒子が得られる傾向にある。
Moの原料としては、水、硝酸などに可溶な塩が好ましく、例えば、アンモニウム塩であるモリブデン酸アンモニウムが挙げられる。
ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、セリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの原料としても、上記と同様に、水、硝酸などに可溶な塩が好ましく、例えば、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。特に、水、硝酸などに溶け易い観点から、硝酸塩が好ましい。例えば、硝酸ビスマス、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸亜鉛、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸クロム、硝酸インジウム、硝酸ガリウム等が挙げられる。これらは一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
シリカゾルに含まれるシリカの平均一次粒子径は特に限定されないが、5〜100nmの範囲であることが好ましく、10〜50nmの範囲であることがより好ましい。また、異なる平均一次粒子径を有するシリカゾルを混ぜて用いることもできる。
さらに、Mo含有液にはMoの溶解性を増すためにアンモニア水を添加することも好ましい。
また、Bi含有液は、Mo含有液とは別に、上記Biの原料を水等の水性媒体に溶解又は分散させて調製することが好ましい。Bi含有液は酸性であることが好ましく、Bi含有液が硝酸を含むと、Biの原料の溶解度を増すためより好ましい。Bi含有液におけるBi原子濃度は0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
すなわち、(ii)工程において、Mo含有液及びBi含有液の第一の流路又は第二の流路へのモル供給速度(ただし、各々、Moのモル供給速度、Biのモル供給速度)を、各々、mα(mol/min)及びmβ(mol/min)としたときに、Mo含有液及びBi含有液が、以下の式(3)を満たすように供給されることが好ましい。
(mβ/mα)/(a/12)=0.8〜1.2 (3)
すなわち、Mo含有液及びBi含有液が、以下の式(2)を満たすように供給されることが好ましい。
(mB/mA)/(MB/MA)=0.5〜1.5 (2)
供給比率が質量比率の0.5倍〜1.5倍の範囲であると、触媒の粒子表面の組成の均一性をより高めることができる。(mB/mA)/(MB/MA)は、0.8〜1.2がより好ましく、1.0が特に好ましい。
製造する金属酸化物のバルク組成を、式(1)においてa=1であるもの(Mo12原子に対してBi1原子)とし、(i)工程で準備する一バッチ分のMo含有液は、Moの原料を必要量含みその全量(MA)が100質量部であり、(i)工程で準備する一バッチ分のBi含有液はBiの原料を必要量(Mo含有液中のMoのモル数の1/12)含み、その全量(MB)が50質量部とする。
この2液を、単位時間当たりの質量供給量(質量供給速度)(g/min)の比率で表して、Mo含有液:Bi含有液=100:50で供給すると、質量比率、供給比率は、各々、次の通りである。
質量比率(MB/MA)
=50/100=0.5
供給比率(mB/mA)
=50/100=0.5
したがって、その場合が、供給比率が質量比率の1.0倍であることに相当する。
同様に、Mo含有液:Bi含有液=100:25(質量供給速度比)で供給する場合が、供給比率が質量比率(0.5)の0.5倍であることに相当する。Mo含有液:Bi含有液=100:75(質量供給速度比)で供給する場合が(供給比率=75/100=0.75)、供給比率が質量比率(0.5)の1.5倍であることに相当する。
特に好ましい実施形態である、供給比率が質量比率の1.0倍である場合、(ii)工程においては、Mo含有液の一バッチ分全供給量に対するBi含有液の一バッチ分全供給量の比率と同じ比率で2液を供給し、合流させることになり、それは、すなわち、MoとBiの供給モル比率が、製造する金属酸化物のバルク組成式(1)におけるMoとBiのモル比率、すなわちa/12、と一致することになる。
それに対して、本実施形態の製造方法において、2液が合流部に同時に供給する場合、前述のような混合液中の成分濃度のアンバランスを十分に小さくすることができる。
特に、Mo含有液とBi含有液とを特定の比率の範囲内で供給する場合には、両者を混合する工程のどの段階においても、混合液中のMoとBiの原子比率が製造する触媒組成の原子比率に近い状態でスラリーを形成することになる。このような状態でスラリーを調製することによって、最終的に製造された触媒粒子の表面におけるMoとBiの組成比をより均一にすることができる。
具体的には、Mo含有液とBi含有液の一バッチあたりの全供給量の合計量の60質量%以上を、供給比率が質量比率の0.5倍〜1.5倍となるように供給することが好ましく、80質量%以上を0.5倍〜1.5倍となるように供給することがさらに好ましく、100質量%を(すなわち、(ii)工程の全工程に亘って)0.5倍〜1.5倍となるように供給することが特に好ましい。
このことを、上述の、Mo12原子分の原料を含むMo含有液100質量部と、Bi1原子分の原料を含むBi含有液50質量部の例で説明する。この場合、Mo含有液とBi含有液の全供給量の合計量は150質量部であり、その60質量%以上とは90質量部以上に相当する。
すなわち、供給比率が質量比率の0.5倍〜1.5倍となるように、2液の全供給量の合計量の60質量%以上を供給するとは、単位時間当たりの供給量(質量供給速度)の比率で表して、Mo含有液:Bi含有液=100:25〜100:75の範囲内で2液の合計の90質量部以上を接触させることに相当する。
撹拌温度は、2液を合流させる際の合流温度と同程度とすることが好ましく、具体的には35℃〜80℃が好ましい。
第一及び第二の流路へのMo含有液及びBi含有液の供給手段に限定はなく、例えば、定量供給装置を使用することが好ましい。定量供給装置を使用することにより、より正確な比率で2液を供給することができる。該定量供給装置としては、特に限定されないが定量送液ポンプが好ましい。
2液が合流する合流部としては、2液の合流ができれば特に限定されないが、例えばY字状またはT字状等形状の、管でもよい。該管の断面形状は例えば円形(円筒)であってもよく、また内部にMoBi含有液の混合を促す機構や内挿物を設けることも好ましい。2液を合流させる角度は並流であっても、垂直であっても、対向であってもよい。
また混合器の別の例としては、図2に示すような静止型混合器(配管とその中に固定されたねじられた板とを主要部材とし、配管内に供給された流体は、ねじれ面に沿って流れ進んで行くことで混合される)が挙げられる。静止型混合器の一例としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製)等がある。図1に示すように、静止型混合器と攪拌槽を組み合わせてもよい。
MoBi含有液は乾燥前においてpHが3以下であることが好ましい。より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1以下である。pHの調節は、例えば、原料に加える酸性溶液の添加量によって調節できる。pHが3以下であればMoBi含有液の粘度の増加を抑制でき、次工程の(iii)乾燥工程へのMoBi含有液の供給が安定的に行える。
噴霧乾燥工程においては、まず、MoBi含有液を噴霧化する。この噴霧化の方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心方式、二流体ノズル方式、及び高圧ノズル方式等が挙げられる。特にノズルの閉塞等を伴わない観点から遠心方式が好ましい。
噴霧化されたMoBi含有液の液滴の乾燥方法に限定はないが、例えば、スプレードライヤー内の熱風によって乾燥されることが好ましい。その際、熱風入口温度は180℃〜250℃、熱風出口温度は100℃〜150℃とすることが好ましい。
なお、噴霧化の際には、噴霧粒子径が目的とする触媒の粒径に応じた所望の範囲となるよう、噴霧装置を調整することが好ましい。例えば、触媒を流動床反応に用いる場合には、触媒の平均粒子径は25〜180μm程度が好ましいため、この範囲の平均粒子径になるように噴霧化装置(アトマイザー)の回転数を適宜選択する。一般にアトマイザー回転数が高いほど、平均粒子径は小さくなる。
また、(i)、(ii)及び(v)工程又は(i)、(ii)、(iv)及び(v)工程の一連の処理がバッチ処理方式で行われる場合には、(v)工程における貯留量は、(ii)工程で得られたMoBi含有液の全量とすることが好ましい。(ii)工程で調製されるMoBi含有液の全量をいったん貯留してから乾燥工程((iii)工程)に供給することにより、(ii)工程においてMo含有液及びBo含有液の供給量が変動する場合においても、(iii)工程に供給されるMoBi含有液中のMoとBiの原子数比を式(1)における両者の原子数比と等しくすることができ、得られる触媒粒子の組成をより目的に近いものとすることができる。
貯留容器に限定はなく、例えば、貯留容器として撹拌機能を有するものを用い、(v)工程と(iv)工程を同時に行うこともできる。
上述した他、例えば、原料スラリー調製において、攪拌混合槽を使い、どちらか一方の液に他方の液を投入するMo含有液とBi含有液とのバッチ混合を採用する場合であっても、1バッチで50kg以上の金属酸化物を製造するようにすると共に、投入する液の投入に掛かる時間を8分以内、好ましくは4分以内とすることで、2液の均一混合を促進し、触媒を製造することもできる。この場合、投入するMo/Bi含有液の量を大きくすることで、投入液の質量を増し、投入される側の液との衝突エネルギーが大きくなることと短時間に処理することの相乗効果により、より均一なスラリー混合が達成される傾向にある。
焼成工程は、乾燥工程で得られた乾燥粒子を焼成する工程である。
乾燥粒子が硝酸を含有する場合は、焼成の前に脱硝処理を行うことが好ましい。脱硝処理は150〜450℃で1.5〜3時間行うことが好ましい。焼成は空気雰囲気下で行うことができる。
焼成時間は1hr〜24hrが好ましく、2hr〜20hrがより好ましい。所望する触媒物性、反応性能が得られるように、焼成温度、焼成時間等の条件を適宜選択する。
本実施形態の製造方法により得られる触媒は、後述のアクリロニトリルの製造においてアンモ酸化反応の際に用いる触媒(アンモ酸化用触媒)として好適である。
上述した本実施形態の製法により得られる触媒は、下記に限定されないが、典型的には、次の特徴を有するものである。すなわち、本実施形態に係る触媒は、下記一般式(1)で表されるMoとBiとを含むバルク組成を有する金属酸化物及びシリカを含む粒子からなる触媒である。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
(式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、Yはセリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、Zはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、0.1≦a≦2.0、0.1≦b≦3.0、0.1≦c≦10.0、0.1≦d≦3.0、及び0.01≦e≦2.0を満たし、fは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
これについて、本発明者らは、以下のように考察している。アンモ酸化反応における活性点はビスマスを含むモリブデートであるが、それのみでは高いアクリロニトリル選択率を得ることはできない。ビスマスを含むモリブデートが、少なくとも触媒粒子表面において、鉄を含むモリブデートや、その他の金属を含むモリブデートと均一に複合化していることが、アクリロニトリル選択率を向上させると考えられる。
また、ビスマスを含むモリブデートが、鉄を含むモリブデートや、その他の金属を含むモリブデートとその表面において均一に複合化している触媒粒子は、その前駆体スラリーの段階において、各金属成分を単独成分で凝集させずに分散させて、ビスマスを含むモリブデートが、その他の金属を含むモリブデートと複合化しやすい状態にすることが必要であると考えられる。さらに、金属粒子が担体上に担持される場合には、前駆体スラリー中の金属と、担体の粒子、双方の凝集を防ぐことで、触媒の摩耗強度も向上すると考えられる。
ただし、作用機序は上記に限定されない。
本実施形態において触媒を構成する金属酸化物は、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、を必須成分として含む。モリブデンは、プロピレンの吸着サイト及びアンモニアの活性化サイトとしての役割を担っている。また、ビスマスは、プロピレンを活性化させ、α位水素を引き抜いてπアリル種を生成させる役割を担っている。さらに、鉄は、3価/2価のレドックスによって気相に存在する酸素を触媒活性点に供給する役割を担っている。
このような組成を有することにより、アクリロニトリル選択率がより向上する傾向にある。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
上記式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、Yはセリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、Zはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、
aは、モリブデン12原子に対するビスマスの原子比を示し、0.1≦a≦2.0であり、好ましくは0.15≦a≦1.0であり、より好ましくは0.2≦a≦0.7であり、
bは、モリブデン12原子に対する鉄の原子比を示し、0.1≦b≦3.0であり、好ましくは0.5≦b≦2.5であり、より好ましくは1.0≦b≦2.0であり、
cは、モリブデン12原子に対するXの原子比を示し、0.1≦c≦10.0であり、好ましくは3.0≦c≦9.0であり、より好ましくは5.0≦c≦8.5であり、
dは、モリブデン12原子に対するYの原子比を示し、0.1≦d≦3.0であり、好ましくは0.2≦d≦2.0であり、より好ましくは0.3≦d≦1.5であり、
eは、モリブデン12原子に対するZの原子比を示し、0.01≦e≦2.0であり、好ましくは0.05≦e≦1.0であり、
fは、モリブデン12原子に対する酸素の原子比を示し、存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。
さらに、本実施形態において、上記式(1)中、ニッケルの原子比をgとし、コバルトの原子比をhとしたとき、g及びhを次のように調整することが好ましい。すなわち、金属酸化物がマグネシウムを含まない場合は、g<1.0又は6.5<g、かつ、h<1.0又は6.5<hであることが好ましい。また、金属酸化物がマグネシウムを含む場合は、g<0.5又は6.5<g、かつ、h<0.5又は7.0<hであることが好ましい。
ICP発光分光分析法は実施例において採用した方法であり、その具体的手順については実施例で説明する。また、蛍光X線分析による定量分析の場合は、例えば、蛍光X線装置(例えば、リガク製ZSX100e(管球:Rh−4KW、分光結晶:LiF、PET、Ge、RX25))を用いて、各元素のマトリックス効果を補正する検量線に基づき、触媒サンプルの定量分析を行うことができる。なお、後述する本実施形態の製造方法によって触媒を製造する場合には、このような分析によって得られた値は、設計上の仕込み組成とほぼ一致する。また、これらの元素定量分析によれば、使用前の触媒のほか、使用中の触媒に対しても、そのバルク組成を求めることができる。
なお、触媒粒子の見掛比重は、試料(触媒粒子)を一定容積の容器の中に一定状態で入れ、容器内に入った試料の質量を測定し、単位体積あたりの質量を算出することで求めることができる。
例えば、ガラスロートの真下に25mlガラスメスシリンダー(以下、単に「メスシリンダー」という。)を配置し、予めよく振った測定試料(触媒粒子)をガラスロートに落下させ、メスシリンダーがオーバーフローするまで試料を投入する。メスシリンダーの口より上部に堆積した試料の凸部を摺り切りで除き、またメスシリンダーの外壁に付着した試料を刷毛等で払う。試料入りのメスシリンダーの質量と、事前に測定しておいたメスシリンダーの質量から試料の質量を求め、それをメスシリンダーの容積で割ることにより見掛比重を算出する。
ここで、粒子表面におけるMoモル濃度及びBiモル濃度は、SEM−EDX(Scannning Electron Microscopes−Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)組成分析により求めることができ、金属酸化物バルクのMoモル濃度及びBiモル濃度は、前述したように、例えば、ICP発光分光分析法で求めることができる。
また、上記標準偏差は、以下の式(4)により求めることができる。
標準偏差={((S1−μ)2+(S2−μ)2+・・・+(S100−μ)2)/100[個数]}1/2 (4)
式(4)中、Sk(k=1~100)は、任意に選ばれた100個粒子中のk個目の粒子の表面におけるMoモル濃度に対するBiモル濃度測定値の比率(Bi/Mo)surfを金属酸化物バルクのMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率(Bi/Mo)bulkで除した値であり、μは、100個のSk(k=100)の平均値(=(S1+S2・・・+S100)/100)である。
標準偏差はばらつきの指標である。標準偏差が小さい程、平均値からのばらつきが小さい。したがって、式(4)の値が小さい程、粒子の表面組成がより均一であることを意味する。
本発明者らの研究によれば、プロピレンのアンモ酸化反応によりアクリロニトリルを製造するにあたり、式(4)の値が小さい触媒を用いるとアクリロニトリル収率が高まることが判明した。式(4)の値は、本実施形態においては0.2以下であり、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましく、0.07以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のアクリロニトリルの製造方法は、前述した触媒の製造方法により触媒を得る工程と、得られた触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させてアクリロニトリルを製造する反応工程と、を有する。また、本実施形態のアクリロニトリルの製造方法は、本実施形態の触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させる工程を含むものということもできる。
バルク組成(以下、単に「組成」と記載する。)がMo12.00Bi0.50Fe1.31Co4.05Ni3.10Ce0.87Rb0.10K0.08Of(以降の組成については「Of」を省略して記載する。)で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカ−シュウ酸混合液の撹拌時間を30分にしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒を製造した。
シリカ−シュウ酸混合液の撹拌時間を80分にしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒を製造した。
シュウ酸添加速度8g/sec.(SiO21kgあたり)にしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒を製造した。
シュウ酸添加速度3g/sec.(SiO21kgあたり)にしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.39Fe1.60Ni6.97Mg0.77Ce0.63Rb0.17で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカ−シュウ酸混合液の撹拌時間を80分にしたこと以外は実施例6と同様にして、触媒を製造した。
シュウ酸添加速度3g/sec.(SiO21kgあたり)にしたこと以外は実施例6と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi1.20Fe0.60Ni7.80Cr1.20K0.48で表される金属酸化物を60質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi2.40Fe2.40Ni6.00Zn1.80Ce0.24K0.24で表される金属酸化物を60質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.47Fe1.35Co4.15Ni3.00Ce0.91Rb0.14で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.57Fe1.01Co6.83Ni0.98Mg0.98Ce0.38Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカゾルのpHが9.00、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが1.65であること以外は実施例12と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが9.70、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが5.30であること以外は実施例12と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが10.13、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが8.00であること以外は実施例12と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.57Fe1.01Co2.24Ni6.54Ce0.38Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカゾルのpHが9.00、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.039モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが1.65であること以外は実施例16と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが9.70、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.039モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが5.30であること以外は実施例16と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが10.13、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.039モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが8.00であること以外は実施例16と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.84Fe2.06Co6.67Ce0.56Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカゾルのpHが9.00、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.040モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが1.65であること以外は実施例20と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが9.70、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.040モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが5.30であること以外は実施例20と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが10.13、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.040モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが8.00であること以外は実施例20と同様にして、触媒を製造した。
組成Mo12.00Bi0.27Fe0.95Co6.69Ni2.95Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シリカゾルのpHが9.00、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが1.65であること以外は実施例24と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが9.70、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが5.30であること以外は実施例24と同様にして、触媒を製造した。
シリカゾルのpHが10.13、シュウ酸二水和物が25.0g(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)、シリカ−シュウ酸混合液のpHが8.00であること以外は実施例24と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.82Fe1.45Co8.14Ce0.55Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi1.05Fe1.40Co8.15Ce0.70Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.27Fe0.95Co8.16Ni1.48Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.27Fe0.95Co7.67Ni1.97Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.50Fe1.31Co4.05Ni3.10Ce0.87Rb0.10K0.08で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
30質量%のSiO2を含むシリカゾル1333gに、865.8gの水に溶解させた481.6gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を撹拌下で加え、さらに、16.6質量%の硝酸391.8gに溶解させた55.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、120.3gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、268.0gの硝酸コバルト[Co(NO3)2・6H2O]、204.9gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、85.9gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、3.35gの硝酸ルビジウム[RbNO3]、1.84gの硝酸カリウム[KNO3]を加え、原料スラリーを調製した。その後、水200gに溶解させたシュウ酸二水和物25.0g(純度99.5%)を加えて(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.040モル当量)前駆体スラリーを調製した。次いで、前駆体スラリーを回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥させた。このとき、乾燥機入口の空気温度は230℃とし、出口の空気温度は110℃とした。また、円盤の回転数は12500回転/分に設定した。得られた乾燥粒子を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉を590℃で2時間焼成して、触媒を得た。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.39Fe1.60Ni6.97Mg0.77Ce0.63Rb0.17で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
30質量%のSiO2を含むシリカゾル1333gに、873.5gの水に溶解させた485.9gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を撹拌下で加え、さらに、16.6質量%の硝酸396.7gに溶解させた43.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、148.0gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、464.7gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、45.5gの硝酸マグネシウム[Mg(NO3)2・6H2O]、62.6gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、5.89gの硝酸ルビジウム[RbNO3]を加え、原料スラリーを調製した。その後、水200gに溶解させたシュウ酸二水和物25.0g(純度99.5%)を加えて(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.038モル当量)前駆体スラリーを調製した。次いで、前駆体スラリーを回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥させた。このとき、乾燥機入口の空気温度は230℃とし、出口の空気温度は110℃とした。また、円盤の回転数は12500回転/分に設定した。得られた乾燥粒子を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉を580℃で2時間焼成して、触媒を得た。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は実施例6と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi1.20Fe0.60Ni7.80Cr1.20K0.48で表される金属酸化物を60質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
30質量%のSiO2を含むシリカゾル2000gに、553.7gの水に溶解させた308.0gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を撹拌下で加え、さらに、16.6質量%の硝酸387.6gに溶解させた84.6gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、35.2gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、329.8gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、69.8gの硝酸クロム[Cr(NO3)3・9H2O]、7.06gの硝酸カリウム[KNO3]を加え、原料スラリーを調製した。その後、水200gに溶解させたシュウ酸二水和物25.0g(純度99.5%)を加えて(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.059モル当量)前駆体スラリーを調製した。次いで、前駆体スラリーを回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥させた。このとき、乾燥機入口の空気温度は230℃とし、出口の空気温度は110℃とした。また、円盤の回転数は12500回転/分に設定した。得られた乾燥粒子を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉を590℃で2時間焼成して、触媒を得た。
組成がMo12.00Bi2.40Fe2.40Ni6.00Zn1.80Ce0.24K0.24で表される金属酸化物を60質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
30質量%のSiO2を含むシリカゾル2000gに、487.7gの水に溶解させた271.3gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を撹拌下で加え、さらに、16.6質量%の硝酸382.2gに溶解させた149.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、124.2gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、223.5gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、68.6gの硝酸亜鉛[Zn(NO3)2・6H2O]、13.3gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、3.11gの硝酸カリウム[KNO3]を加え、原料スラリーを調製した。その後、水200gに溶解させたシュウ酸二水和物25.0g(純度99.5%)を加えて(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.061モル当量)前駆体スラリーを調製した。次いで、前駆体スラリーを回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥させた。このとき、乾燥機入口の空気温度は230℃とし、出口の空気温度は110℃とした。また、円盤の回転数は12500回転/分に設定した。得られた乾燥粒子を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉を570℃で2時間焼成して、触媒を得た。
組成がMo12.00Bi0.47Fe1.35Co4.15Ni3.00Ce0.91Rb0.14で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
30質量%のSiO2を含むシリカゾル1333gに、864.9gの水に溶解させた481.1gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を撹拌下で加え、さらに、16.6質量%の硝酸392.0gに溶解させた51.8gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、123.9gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、274.4gの硝酸コバルト[Co(NO3)2・6H2O]、198.1gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、89.7gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、4.81gの硝酸ルビジウム[RbNO3]を加え原料スラリーを調製した。その後、水200gに溶解させたシュウ酸二水和物25.0g(純度99.5%)を加えて(前駆体スラリーにおいて金属元素の総和に対し0.040モル当量)前駆体スラリーを調製した。次いで、前駆体スラリーを回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥させた。このとき、乾燥機入口の空気温度は230℃とし、出口の空気温度は110℃とした。また、円盤の回転数は12500回転/分に設定した。得られた乾燥粒子を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉を590℃で2時間焼成して、触媒を得た。
組成がMo12.00Bi0.57Fe1.01Co6.83Ni0.98Mg0.98Ce0.38Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は比較例8と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.57Fe1.01Co2.24Ni6.54Ce0.38Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は比較例10と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.84Fe2.06Co6.67Ce0.56Rb0.12で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は比較例12と同様にして、触媒を製造した。
組成Mo12.00Bi0.27Fe0.95Co6.69Ni2.95Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
シュウ酸二水和物を添加しないこと以外は比較例14と同様にして、触媒を製造した。
組成がMo12.00Bi0.82Fe1.45Co8.14Ce0.55Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi1.05Fe1.40Co8.15Ce0.70Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.27Fe0.95Co8.16Ni1.48Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
組成がMo12.00Bi0.27Fe0.95Co7.67Ni1.97Ce0.18Rb0.13で表される金属酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
プロピレンのアンモ酸化反応に使用する反応管には、10メッシュの金網を1cm間隔で16枚内蔵した内径25mmのパイレックス(登録商標)ガラス管を使用した。触媒量50cc、反応温度430℃、反応圧力0.17MPaに設定し、プロピレン9容積%の混合ガス(プロピレン、アンモニア、酸素、ヘリウム)を通過させた。各実施例及び比較例におけるアンモニア/プロピレンのモル比及び酸素/プロピレンのモル比は表2に示す値とした。プロピレンに対するアンモニアの容積比は、下記式で定義される硫酸原単位が20±2kg/T−ANとなるように設定した。プロピレンに対する酸素の容積比は、反応器出口ガスの酸素濃度が0.2±0.02容積%になるように設定した。また混合ガスの流速を変更することで、下記式で定義される接触時間を変更した。これによって下記式で定義されるプロピレン転化率が99.3±0.2%となるように設定した。反応によって生成するアクリロニトリル収率は下記式のように定義される値とした。
“Test Method for Synthetic Fluid Cracking Catalyst”(American Cyanamid Co.Ltd.6/31−4m−1/57)に記載の方法(以下「ACC法」と称する。)に準じて、摩耗損失として触媒の耐摩耗性強度(アトリッション強度)の測定を行った。
アトリッション強度は摩耗損失で評価され、この摩耗損失は以下のように定義される値とした。
摩耗損失(%)=R/(S−Q)×100
上記式において、Qは0〜5時間の間に外部に摩耗飛散した触媒の質量(g)、Rは通常5〜20時間の間に外部に摩耗飛散した触媒の質量(g)、Sは試験に供した触媒の質量(g)とした。
[触媒1の製造]
その組成がMo12Bi0.25Fe1.4Ni3.0Co5.8Ce0.40Rb0.12Ofとなるよう原料仕込質量を調整して製造した金属酸化物60質量%を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
一次粒子の平均粒子直径が12nmのSiO2を30質量%含む水性シリカゾル666.7gと、一次粒子の平均粒子直径が41nmのSiO2を40質量%含む水性シリカゾル500gとを混合して、2種シリカの混合液を得た。
次に8質量%しゅう酸水溶液320gを撹拌中の上記シリカゾルの混合液に加え、第1の混合液を得た。次に、水870gに486.2gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を溶解させた液を上記シリカゾルの混合液に加えた(Mo含有液。以降、「A1液」と称す)。その全量は2843gであった。
次いで、16.6質量%濃度の硝酸液400gに、28.09gの硝酸ビスマス〔Bi(NO3)3・5H2O〕、131.1gの硝酸鉄〔Fe(NO3)3・9H2O〕、202.9gの硝酸ニッケル〔Ni(NO3)2・6H2O〕、392.6gの硝酸コバルト〔Co(NO3)2・6H2O〕、39.62gの硝酸セリウム〔Ce(NO3)3・6H2O〕、4.038gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解させた(Bi含有液。以降、「B1液」と称す)。その全量は1198gであった。
上記Y字管に、40℃に保持したA1液をA1液定量ポンプを用いて284(g/min)の流量、40℃に保持したB1液をB1液定量ポンプを用いて119(g/min)の流量で同時に供給し、Y字管と静止型混合器内において2液を並行方向(並流)に接触させた。この操作を10分間行い、スラリーであるMoBi含有液を調製した。この間のA1液[Mo含有液]に対するB1液[Bi含有液]の供給比率は119(g/min)/284(g/min)=0.42であり、Mo含有液全量に対するBi含有液全量の質量比率1198(g)/2843(g)=0.42の1.0倍であった。この供給比率でA1液とB1液の全部(100質量%)を合流させた。その間の合流温度は40℃であった。
このMoBi含有液を、静止型混合器の下流に設けたスラリー攪拌槽に全量貯留し、2液の供給終了から更に40℃で1時間攪拌を続けた。このMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
次いで、スプレードライヤー(大川原化工機製、型式:OC−16)を用いてこのMoBi含有液を噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。なお、熱風入口温度は230℃、熱風出口温度120℃とした。
次いで、乾燥した触媒前駆体に電気炉を用いて、空気雰囲気下、320℃で2時間の前焼成を施した後、空気雰囲気下、600℃で2時間の本焼成を施して、触媒を得た(触媒1)。
この触媒1の粒子100個の粒子表面のMo濃度とBi濃度をSEM−EDXで測定し、Moモル濃度に対するBiモル濃度の比率(Bi/Mo)surfを求めた。また、上記で求めた金属酸化物のバルク組成より、(Bi/Mo)bulkを求め、(Bi/Mo)bulkで100個の粒子それぞれの(Bi/Mo)surfを除した値S1・・・S100を求めた。そして、それらの平均値(S1・・・S100の平均値)μを求め、前述した式(4)を用いて標準偏差値を求めた。また、触媒1を用いてプロピレンのアンモ酸化反応によりアクリロニトリルを製造し、収率を算出した。これらの測定方法の詳細は後述する。得られた結果を表4に示す。
[触媒2の製造]
その組成がMo12Bi0.39Fe1.60Ni7.0Mg0.77Ce0.63Rb0.17Ofとなるよう原料仕込質量を調整して製造した金属酸化物60質量%を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
次に、16.6質量%の硝酸396.7gに、43.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、148.0gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、464.7gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、45.5gの硝酸マグネシウム[Mg(NO3)2・6H2O]、62.6gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、5.89gの硝酸ルビジウム[RbNO3]を溶解させた。以降、これをB2液と称す。B2液の全量は1166gであった。
このMoBi含有液を、静止型混合器の下流に設けたスラリー攪拌槽に全量貯留し、2液の供給終了から更に40℃で1時間攪拌を続けた。このMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
次いで、実施例32と同様にこのMoBi含有液を噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。なお、熱風入口温度は230℃、熱風出口温度110℃とした。
次いで、乾燥した触媒前駆体に電気炉を用いて、空気雰囲気下、200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで前焼成を施した後、空気雰囲気化、580℃で2時間の本焼成を施して触媒を得た(触媒2)。
実施例32と同様にして得られた、触媒2の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
その組成がMo12Bi0.39Fe1.60Co4.30Ni3.45Ce0.68Rb0.16Ofとなるよう原料仕込質量を調整して製造した金属酸化物58質量%を42質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
次に、16.6質量%の硝酸394.5gに36.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]、141.6gの硝酸鉄[Fe(NO3)3・9H2O]、275.1gの硝酸コバルト[Co(NO3)2・6H2O]、219.9gの硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O]、64.6gの硝酸セリウム[Ce(NO3)3・6H2O]、5.33gの硝酸ルビジウム[RbNO3]を溶解させた。以降、これをB3液と称す。B3液の全量は1137gであった。
このMoBi含有液を、静止型混合器の下流に設けたスラリー攪拌槽に全量貯留し、2液の供給終了から更に40℃で1時間攪拌を続けた。このMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
次いで、実施例32と同様にこのMoBi含有液を噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。なお、熱風入口温度は230℃、熱風出口温度110℃とした。
次いで、乾燥した触媒前駆体に電気炉を用いて、空気雰囲気下、200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで前焼成を施した後、空気雰囲気化、585℃で2時間の本焼成を施して触媒を得た(触媒3)。
実施例32と同様にして得られた、触媒3の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒4の製造]
実施例1と同様にして、Mo含有液(A1液と同じもの。ただし、以降、「A4液」と称す。)とBi含有液(B1液と同じもの。ただし、以降、「B4液」と称す。)を調製した。A4液、B4液の供給全量は実施例32と同様とし、したがって、この場合の質量比率は、実施例32と同様に0.42であった。
A4液に対するB4液の供給比率を、上記の質量比率0.42の0.8倍から1.2倍の間で変動させた以外は、実施例32と同様にして触媒を得た(触媒4)。この範囲の供給比率でA4液とB4液の全部(100質量%)を合流させた。
具体的には次のように行った。上記Y字管にA4液を第一の流路を通じて302(g/min)の流量、B4液を第二の流路を通じて102(g/min)の流量で3分間同時に供給した。この供給比率は、102(g/min)/302(g/min)=0.34であり、上記の質量比率0.42の0.8倍であった。
次に、A4液、B4液の供給流量を変更し、A4液を284(g/min)の流量、B4液を120(g/min)の流量で4分間同時に供給した。このときの供給比率は、120(g/min)/284(g/min)=0.42であり、上記の質量比率0.42の1.0倍であった。
さらに、A4液、B4液の供給流量を変更し、A4液を268(g/min)の流量、B4液を136(g/min)の流量で3分間同時に供給した。このときの供給比率は、136(g/min)/268(g/min)=0.51であり、上記の質量比率0.42の1.2倍であった。
なお、いずれの段階においても、A4液とB4液の合流温度は40℃であった。生成したMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
実施例32と同様にして得られた、触媒4の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒5の製造]
実施例32と同様にして、Mo含有液(A1液と同じもの。ただし、以降、「A5液」と称す。)とBi含有液(B1液と同じもの。ただし、以降、「B5液」と称す。)を調製した。A5液、B5液の供給全量は実施例32と同様とし、したがって、この場合の質量比率は、実施例32と同様に0.42であった。
A5液に対するB5液の供給比率を、上記の質量比率0.42の0.5倍から1.5倍の間で変動させた以外は、実施例32と同様にして触媒を得た(触媒5)。この範囲の供給比率でA5液とB5液の全部(100質量%)を接触させた。
具体的には次のように行った。上記Y字管にA5液を334(g/min)、B5液を70(g/min)で3分間同時に供給した。この供給比率は、70(g/min)/334(g/min)=0.21であり、上記の質量比率0.42の0.5倍であった。
次にA5液、B5液の供給流量を変更し、A5液を284(g/min)、B5液を120(g/min)で5分間同時に供給した。この供給比率は、120(g/min)/284(g/min)=0.42であり、上記の質量比率0.42の1.0倍であった。
さらに、A5液、B5液の供給流量を変更し、A5液を248(g/min)、B5液を156(g/min)で2分間同時に供給した。この供給比率は、156(g/min)/248(g/min)=0.63であり、上記の質量比率0.42の1.5倍であった。 なお、いずれの段階においても、A5液とB5液の合流温度は40℃であった。生成したMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、液状であった。
実施例32と同様にして得られた、触媒5の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒6の製造]
Mo含有液とBi含有液とを上記Y字管および静止型混合器で混合した後、スラリー攪拌槽にいったん貯留せずスプレードライヤーに直接送液した以外は、実施例32と同様にして触媒を得た(触媒6)。なお、合流温度は40℃であった。生成したMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
実施例32と同様にして得られた、触媒6の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒7の製造]
実施例32と同様にして、Mo含有液(A1液と同じもの。ただし、以降、「A7液」と称す。)とBi含有液(B1液と同じもの。ただし、以降、「B7液」と称す。)を調製した。この場合の質量比率は、実施例32と同様に0.42であった。
A7液に対するB7液の供給比率を、Mo含有液とBi含有液の全供給量の合計の60質量%に当たる量については、上記の質量比率0.36の0.5倍から1.5倍の範囲内となるように行った。残りの40質量%については0.5倍から1.5倍の範囲外となるように行った。それ以外は実施例32と同様にして触媒を得た(触媒7)。
上記Y字管に、A7液を334(g/min)の流量、B7液を70(g/min)の流量で配管を通じて同時に供給を開始し、2分間供給を続けた。このときの供給比率は、70(g/min)/334(g/min)=0.21であり、上記の質量比率0.42の0.5倍であった。
次に、A7液、B7液の供給流量を変更し、A7液を229(g/min)の流量、B7液を192(g/min)の流量で2分間同時に供給した。このときの供給比率は、192(g/min)/229(g/min)=0.84であり、上記の質量比率0.42の2.0倍であった。
さらに、A7液、B7液の供給流量を変更し、A7液を284(g/min)の流量、B7液を119(g/min)の流量で2分間同時に供給した。このときの供給比率は、119(g/min)/284(g/min)=0.42であり、上記の質量比率0.42の1.0倍であった。
続いて、A7液、B7液の供給流量を変更し、A7液を356(g/min)の流量、B7液を45(g/min)の流量で2分間同時に供給した。このときの供給比率は、45(g/min)/356(g/min)=0.13であり、上記の質量比率0.42の0.3倍であった。
最後に、A7液、B7液の供給流量を変更し、A7液を248(g/min)の流量、B7液を156(g/min)の流量で2分間同時に供給した。このときの供給比率は、156(g/min)/248(g/min)=0.63であり、上記の質量比率0.42の1.5倍であった。
なお、いずれの段階においてもA7液とB7液の合流温度は40℃であった。
実施例32と同様にして得られた、触媒7の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒8の製造]
実施例32と同様にしてMo含有液(A1液と同じもの。ただし、以降、「A8液」と称す。)とBi含有液(B1液と同じもの。ただし、以降、「B8液」と称す。)を調製した。
40℃に保持したA8液に、攪拌を行いながら、40℃に保持したB8液を投入しMoBi含有液を調製した。投入には定量送液ポンプを用いた。
具体的には、2843gのA8液全量に、1198gのB8液を599(g/min)の流量で供給した。生成したMoBi含有液をさらに40℃で1時間攪拌した。このMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
以降は実施例32と同様にして触媒を得た(触媒8)。
実施例32と同様にして得られた、触媒8の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
[触媒9の製造]
実施例32と同様にしてMo含有液(A1液と同じもの。ただし、以降、「A9液」と称す。)とBi含有液(B1液と同じもの。ただし、以降、「B9液」と称す。)を調製した。
40℃に保持したB9液に、攪拌を行いながら、40℃に保持したA9液を投入しMoBi含有液を調製した。投入には定量送液ポンプを用いた。
具体的には、1198gのB9液全量に、2843gのA9液を1422(g/min)の流量で供給した。生成したMoBi含有液をさらに40℃で1時間攪拌した。このMoBi含有液は噴霧乾燥前においてpHが1以下であり、スラリー状であった。
以降は実施例32と同様にして、触媒を得た(触媒9)。
実施例32と同様にして得られた、触媒9の標準偏差値及びアンモ酸化反応の結果を表4に示す。
反応によって生成するアクリロニトリル収率は、前述した評価方法に基づいて算出した。
実施例及び参考例における触媒の粒子表面の組成の均一性の評価は次のようにして行い、粒子表面組成の標準偏差として表した。
SEM−EDX(Scanning Electron Microscopes−Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分光法)組成分析装置(SEM…日立製作所製、型式:SU−70、EDX…堀場製作所製、型式:EMAX・X−max)の試料台に、金属酸化物粒子(焼成粒子)を少量採取し、無作為に選択した粒子画像における真円相当径(面積が等しい真円の直径)が、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−300)で決定された平均粒子径±10μmである粒子100個について、それぞれの粒子表面の10μm×10μmの面範囲のMoモル濃度とBiモル濃度とを測定し(倍率1500倍、加速電圧20kV)、粒子表面のMo濃度に対するBi濃度の比率(Bi/Mo)を求めた。
次に、同じ触媒粉末から20mgを量り取り、これを210℃の熱王水で溶解し、さらに超純水で測定範囲に薄め、ICP発光分光分析(セイコーインスツル株式会社製、SPS3500DD)で、各構成元素の濃度を測定し、触媒に含まれる金属酸化物のバルク組成を算出すると共に、金属酸化物のMo濃度に対するBi濃度の比率(Bi/Mo)bulkを求めた。なお、後述の触媒1〜9おいては、金属酸化物のバルク組成は、いずれも、原料仕込質量から計算される理論値と一致していた(Mo12基準で表記したモル組成において、上位2桁まで仕込質量から計算されるモル組成と同一であった)。
この(Bi/Mo)bulkで前述の100個それぞれの粒子の(Bi/Mo)surfを除した値をSk(k=1〜100)とし、100個のSkの平均値μを算出し、式(4)から標準偏差を求めた。
標準偏差={((S1−μ)2+(S2−μ)2+・・・+(S100−μ)2)/100[個数]}1/2 (4)
なお、実施例32、35〜38、参考例1〜2で得られた触媒に含まれる金属酸化物のバルク組成は同一であった。
一方、Mo含有液(全量)に対してBi含有液を投入した参考例1、及び、Bi含有液(全量)に対してMo含有液を投入した参考例2においては、実施例32〜38に比べて、得られた触媒粒子表面におけるMoとBiの組成比の均一性が低かった。また、参考例1及び2において得られた触媒を用いた場合のアクリロニトリルの収率は、実施例32〜38よりも低かった。
以上より、触媒粒子の表面組成が均一である(すなわち、標準偏差が小さい)ほど、プロピレンのアンモ酸化反応によりアクリロニトリルを製造する反応においてより優れたアクリロニトリル収率(触媒性能)を示すことが確認された。
Claims (12)
- モリブデンと、ビスマスと、鉄と、シリカと、カルボン酸とを含む前駆体スラリーを調製する調製工程と、
前記前駆体スラリーを噴霧乾燥して乾燥粒子を得る乾燥工程と、
前記乾燥粒子を焼成する焼成工程と、
を有し、
前記調製工程が、シリカ原料とカルボン酸を混合し、シリカ−カルボン酸混合液を調製する工程(I)と、前記シリカ−カルボン酸混合液、モリブデン、ビスマス及び鉄を混合する工程(II)とを含む、触媒の製造方法。 - 前記触媒が、下記一般式(1)で表されるバルク組成を有する金属酸化物と、シリカとを含む、請求項1に記載の触媒の製造方法。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
(式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Yは、セリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Zは、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e及びfは、各元素の原子比を表し、それぞれ、0.1≦a≦3.0、0.1≦b≦3.0、0.1≦c≦10.0、0.1≦d≦3.0、及び0.01≦e≦2.0を満たし、かつ、fは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。) - 前記触媒において、触媒粒子表面におけるMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率を、金属酸化物バルクのMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率で除した値の標準偏差が0.2以下である、請求項2に記載の触媒の製造方法。
- 前記工程(II)が、下記(i)工程及び(ii)工程を含み、
前記乾燥工程が、下記(iii)工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒の製造方法;
(i)少なくともMoを含むMo含有液と、少なくともBiを含むBi含有液とを用意する工程、
(ii)前記Mo含有液を第一の流路に連続的に供給し、前記Bi含有液を第二の流路に連続的に供給し、かつ第一の流路と第二の流路とを前記Mo含有液及び前記Bi含有液それぞれの供給個所よりも下流で合流させることによって、前記Mo含有液と前記Bi含有液とを混合してMoBi含有液を得る工程、
(iii)前記MoBi含有液を乾燥させる工程。 - 前記(ii)工程と前記(iii)工程との間に、さらに、(iv)前記MoBi含有液をさらに混合する工程を有する、請求項4に記載の触媒の製造方法。
- 前記(ii)工程と前記(iii)工程との間に、さらに、(v)前記MoBi含有液を貯留する工程を有する、請求項4又は5に記載の触媒の製造方法。
- 前記(i)、(ii)及び(v)工程の一連の処理がバッチ処理方式で行われ、(ii)工程で得られたMoBi含有液の一バッチ分全量が(v)工程において貯留され、
前記(ii)工程において、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の前記第一の流路又は前記第二の流路への質量供給速度を、各々、mA(g/min)及びmB(g/min)としたときに、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の一バッチあたりの全供給量MA(g)及びMB(g)の合計量の60質量%以上が、式(2)を満たすように供給される、請求項6に記載の触媒の製造方法。
(mB/mA)/(MB/MA)=0.5〜1.5 (2) - 前記MoBi含有液が、前記(iii)工程へ連続的に供される、請求項4又は5に記載の触媒の製造方法。
- 前記(ii)工程において、前記Mo含有液及び前記Bi含有液の前記第一の流路又は第二の流路へモル供給速度を、各々、mα(mol/min)及びmβ(mol/min)としたときに、前記Mo含有液及び前記Bi含有液が、式(3)を満たすように供給される、請求項4、5、又は8に記載の触媒の製造方法。
(mβ/mα)/(a/12)=0.8〜1.2 (3) - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒の製造方法によって触媒を得る工程と、
前記触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させる工程と、
を含む、アクリロニトリルの製造方法。 - 下記式(1)で表されるバルク組成を有する金属酸化物及びシリカを含む粒子からなる触媒であって、
触媒粒子表面におけるMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率を、金属酸化物バルクのMoモル濃度に対するBiモル濃度の比率で除した値の標準偏差が0.2以下である、
触媒。
Mo12BiaFebXcYdZeOf (1)
(式(1)中、Xは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Yは、セリウム、クロム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジム、サマリウム、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、Zは、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e及びfは、各元素の原子比を表し、それぞれ、0.1≦a≦3.0、0.1≦b≦3.0、0.1≦c≦10.0、0.1≦d≦3.0、及び0.01≦e≦2.0を満たし、かつ、fは原子価のバランスを満たす値である。) - 請求項11に記載の触媒の存在下、プロピレンと、分子状酸素と、アンモニアと、を反応させる工程を含む、アクリロニトリルの製造方法。
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