JPWO2018038028A1 - 偏光板 - Google Patents
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Abstract
偏光フィルム層と樹脂組成物からなる硬化物層とが積層された偏光板であって、前記硬化物層の厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接された偏光板であることを特徴とする。これにより、偏光フィルム層に積層される樹脂組成物からなる硬化物層の厚みが10μm以下であっても、初期の偏光性能を維持することのできる耐湿熱性に優れた偏光板が提供される。
Description
本発明は、薄膜で耐湿熱性に優れた偏光板に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。従来の偏光板は、ポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)を染色および延伸してなる偏光フィルム層の片面または両面に保護フィルムを貼り合わせて製造されてきた。
前記保護フィルムとしては、従来からトリアセチルセルロース(TAC)等のフィルムが広く用いられてきた。近年、液晶ディスプレイのモバイル機への展開に伴い薄膜軽量化が求められるようになってきており、このような観点から偏光フィルム層に保護フィルムを配置せずに偏光フィルム層の表面に光硬化性樹脂組成物の硬化物層を形成した偏光板が提案されている。(例えば、特許文献1〜5などを参照)。しかしながら、高温高湿度条件下での使用時に偏光性能が低下する場合があり、耐湿熱性に優れる偏光板が求められていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、偏光フィルム層に積層される樹脂組成物からなる硬化物層の厚みが10μm以下であっても、初期の偏光性能を維持することのできる耐湿熱性に優れた偏光板を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、硬化物層の厚さが10μmであっても、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下の硬化物層を偏光フィルム層に積層することにより、上記課題の解決が可能であることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]偏光フィルム層と樹脂組成物からなる硬化物層とが積層された偏光板であって、
前記硬化物層の厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接された偏光板;
[2]前記硬化物層上に保護フィルム層を有さない、上記[1]の偏光板;
[3]前記硬化物層が積層された面と反対面における前記偏光フィルム層上に保護フィルム層を有さない、上記[1]又は[2]の偏光板;
[4]前記樹脂組成物が、光硬化性樹脂組成物である、上記[1]〜[3]のいずれか1つの偏光板;
[5]前記偏光フィルム層におけるホウ酸含有量が、ホウ素原子換算で偏光フィルム層に対して1〜8質量%である、上記[1]〜[4]のいずれか1つの偏光板;
[6]前記偏光フィルム層の厚みが20μm以下である、[1]〜[5]のいずれか1つの偏光板;
[7]偏光板全体の厚みが40μm以下である、[1]〜[6]のいずれか1つの偏光板;
[8]前記硬化物層の水蒸気透過度が2500g/m2・day以下である、上記[1]〜[7]のいずれか1つの偏光板;
[9]層構成が、偏光フィルム層/前記硬化物層の2層構造、または前記硬化物層/偏光フィルム層/前記硬化物層の3層構造である、上記[1]〜[8]のいずれか1つの偏光板;
[10]全光線透過率が40〜45%であり、偏光度が99.9%以上である、上記[1]〜[9]のいずれか1つの偏光板;
[11]60℃、90%RHの条件下で48時間の耐湿熱性試験を行った後の全光線透過率の変化量が1.5%以下であり、偏光度が99.9%以上である、上記[1]〜[10]のいずれか1つの偏光板;
に関する。
[1]偏光フィルム層と樹脂組成物からなる硬化物層とが積層された偏光板であって、
前記硬化物層の厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接された偏光板;
[2]前記硬化物層上に保護フィルム層を有さない、上記[1]の偏光板;
[3]前記硬化物層が積層された面と反対面における前記偏光フィルム層上に保護フィルム層を有さない、上記[1]又は[2]の偏光板;
[4]前記樹脂組成物が、光硬化性樹脂組成物である、上記[1]〜[3]のいずれか1つの偏光板;
[5]前記偏光フィルム層におけるホウ酸含有量が、ホウ素原子換算で偏光フィルム層に対して1〜8質量%である、上記[1]〜[4]のいずれか1つの偏光板;
[6]前記偏光フィルム層の厚みが20μm以下である、[1]〜[5]のいずれか1つの偏光板;
[7]偏光板全体の厚みが40μm以下である、[1]〜[6]のいずれか1つの偏光板;
[8]前記硬化物層の水蒸気透過度が2500g/m2・day以下である、上記[1]〜[7]のいずれか1つの偏光板;
[9]層構成が、偏光フィルム層/前記硬化物層の2層構造、または前記硬化物層/偏光フィルム層/前記硬化物層の3層構造である、上記[1]〜[8]のいずれか1つの偏光板;
[10]全光線透過率が40〜45%であり、偏光度が99.9%以上である、上記[1]〜[9]のいずれか1つの偏光板;
[11]60℃、90%RHの条件下で48時間の耐湿熱性試験を行った後の全光線透過率の変化量が1.5%以下であり、偏光度が99.9%以上である、上記[1]〜[10]のいずれか1つの偏光板;
に関する。
本発明により、偏光フィルム層に積層される樹脂組成物からなる硬化物層の厚みが10μm以下であっても、初期の偏光性能を維持することのできる耐湿熱性に優れた偏光板を提供することができる。
本発明は、偏光フィルム層と樹脂組成物からなる硬化物層とが積層された偏光板であって、前記硬化物層の厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接された偏光板であることを特徴とするものである。偏光フィルム層に積層される樹脂組成物からなる硬化物層の厚みが10μm以下であっても、前記硬化物層のホウ酸透過度が2.25g/m2・day以下であることで、耐湿熱性に優れる偏光板が得られることが本発明者らにより明らかとなった。すなわち、本発明の偏光板は、薄膜であっても耐湿熱性に優れ、初期の偏光性能を維持することが可能となる。
(偏光フィルム層)
本発明における偏光フィルム層は、PVAフィルム(典型的には一軸延伸されたPVAフィルム)に二色性色素が吸着している。このような偏光フィルム層は、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを延伸したり、PVAフィルムの延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを延伸してマトリックスを形成した後に二色性色素を吸着させたりするなどして製造することができる。
本発明における偏光フィルム層は、PVAフィルム(典型的には一軸延伸されたPVAフィルム)に二色性色素が吸着している。このような偏光フィルム層は、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを延伸したり、PVAフィルムの延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを延伸してマトリックスを形成した後に二色性色素を吸着させたりするなどして製造することができる。
上記PVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記ビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手容易性、コスト等の点から、酢酸ビニルが好ましい。
また、上記PVAとしては、ビニルエステル単量体とそれと共重合可能な他の単量体とを共重合して得られるポリビニルエステル共重合体のビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換したものであってもよい。ビニルエステル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸などを挙げることができる。上記のビニルエステル共重合体は、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。当該他の単量体は、ビニルエステル単量体を重合反応に供する際にこれを反応容器内に予め存在させておいたり、あるいは、重合反応の進行中に反応容器内にこれを添加したりするなどして使用することができる。偏光性能の観点からは、他の単量体に由来する単位の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、2モル%以下であることがさらに好ましい。
上記PVAの重合度は、1,500〜6,000の範囲内であることが好ましく、1,800〜5,000の範囲内であることがより好ましく、2,000〜4,000の範囲内であることがさらに好ましい。当該重合度が1,500以上であることにより、フィルムを一軸延伸して得られる偏光フィルムの耐久性を向上させることができる。一方、当該重合度が6,000以下であることにより、製造コストの上昇や、製膜時における工程通過性の不良などを抑制することができる。なお、本明細書におけるPVAの重合度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
上記PVAのけん化度は、偏光フィルム層の偏光性能などの観点から、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましく、98.5モル%以上であることがさらに好ましく、99.0モル%以上であることが特に好ましい。けん化度が95モル%未満であると、偏光フィルム層の製造過程でPVAが溶出しやすくなり、溶出したPVAがフィルムに付着して偏光フィルム層の偏光性能を低下させる場合がある。なお、本明細書におけるPVAのけん化度とは、PVAが有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して、当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
上記PVAフィルムは可塑剤を含んでいてもよい。PVAフィルムが可塑剤を含むことにより、取り扱い性や延伸性等が向上する。可塑剤として多価アルコールが好ましく用いられ、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの中でも、PVAフィルムの延伸性がより向上する観点からグリセリンが好ましい。
上記PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVA100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、3〜17質量部であることがより好ましく、5〜15質量部であることが更に好ましい。可塑剤の含有量が1質量部以上であることにより、PVAフィルムの延伸性がより向上する。一方、可塑剤の含有量が20質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に可塑剤がブリードアウトしてPVAフィルムの取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
上記PVAフィルムには、さらに、充填剤、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤を、必要に応じて適宜配合できる。
本発明における偏光フィルム層の厚みとしては、20μm以下であることが好ましい。通常、より薄い偏光フィルム層ほど耐湿熱性が低下しやすく、そのような偏光フィルム層については本発明の効果がより顕著に奏されることとなる。偏光フィルム層の厚みは15μm以下であることがより好ましく、12μm以下であることがさらに好ましい。一方、偏光フィルム層の厚みが薄すぎる場合は、製造の際にシワや裂けなどの問題を生じやすいことから、偏光フィルム層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
本発明における偏光フィルム層のホウ酸含有量としては、ホウ素原子換算で偏光フィルム層に対して1〜8質量%であることが好ましい。前記ホウ酸含有量が1質量%未満の場合、耐湿熱性を向上させる効果が低下するおそれがある。前記ホウ酸含有量は、2質量%以上であることがより好ましい。一方、前記ホウ酸含有量が8質量%を超える場合、高温時の偏光フィルムの寸法変化が大きくなるおそれがある。前記ホウ酸含有量は、5質量%以下であることがより好ましい。
後述する実施例で説明されているように、ホウ素原子換算のホウ酸含有量は、偏光フィルムを0.0005質量%となるように蒸留水に溶解させて測定サンプルとし、ICP発光分析法により測定サンプル中のホウ素濃度を測定することにより、下記式(1)で算出される。
[(X×10−6×Y)/Z]×100 (1)
X:測定サンプルのホウ素濃度[ppm]
Y:偏光フィルムが溶解した測定サンプルの質量[g]
Z:偏光フィルムの質量[g]
[(X×10−6×Y)/Z]×100 (1)
X:測定サンプルのホウ素濃度[ppm]
Y:偏光フィルムが溶解した測定サンプルの質量[g]
Z:偏光フィルムの質量[g]
(偏光フィルム層の製造方法)
本発明における偏光フィルム層を製造する際の方法は特に限定されない。偏光フィルム層は、上記PVAフィルムを一軸延伸する工程、二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液で処理する工程、及び水洗処理する工程を、任意に組み合わせた製造工程を経て好適に製造される。当該製造工程を通しての、PVAフィルムの総延伸倍率は、4〜8倍程度が好ましい。また、必要に応じて、さらに膨潤処理、固定処理、乾燥処理、熱処理などを行ってもよい。
本発明における偏光フィルム層を製造する際の方法は特に限定されない。偏光フィルム層は、上記PVAフィルムを一軸延伸する工程、二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液で処理する工程、及び水洗処理する工程を、任意に組み合わせた製造工程を経て好適に製造される。当該製造工程を通しての、PVAフィルムの総延伸倍率は、4〜8倍程度が好ましい。また、必要に応じて、さらに膨潤処理、固定処理、乾燥処理、熱処理などを行ってもよい。
上記膨潤処理は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば、0.1〜5分の範囲内であることが好ましく、0.2〜3分の範囲内であることがより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
上記PVAフィルムを一軸延伸する工程は、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、後述する染色浴中や固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、室温のまま一軸延伸処理を行ってもよいし、加熱しながら一軸延伸処理を行ってもよいし、吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で一軸延伸処理を行うこともできる。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸処理を行うことがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜15質量%の範囲内であることが好ましく、1〜7質量%の範囲内であることがより好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内にすることが好ましい。一軸延伸処理における延伸温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが特に好ましい。また、一軸延伸処理における延伸倍率(原料のPVAフィルムからの全延伸倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から4〜8倍であることが好ましい。
上記二色性色素を吸着させる工程は、一軸延伸処理前、一軸延伸処理時、一軸延伸処理後のいずれの段階であってもよい。染色浴として二色性色素を含む水溶液に、PVAフィルムを浸漬することにより行うことができる。前記水溶液中の二色性色素の濃度は二色性色素の種類などに応じて適宜設定することができ、例えば0.001〜2質量%の範囲内とすることができる。前記水溶液としてヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液[ヨウ素(I2)とヨウ化カリウム(KI)を含む水溶液]を用いる場合には、ヨウ素系色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができる。当該水溶液中のヨウ素(I2)の濃度は0.01〜1質量%が好ましく、ヨウ化カリウム(KI)の濃度は0.01〜50質量%が好ましい。二色性色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができる点から、染色処理する際の二色性色素を含む水溶液の温度は、5〜50℃が好ましい。PVAフィルムを前記水溶液に浸漬する時間は、0.1〜10分が好ましい。
上記の二色性色素としては、例えば、ヨウ素系色素であるI3 −やI5 −等が挙げられる。これらのカウンターカチオンとしては、例えば、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。ヨウ素系色素は、例えば、ヨウ素(I2)とヨウ化カリウムとを接触させることにより得ることができる。
上記ホウ酸水溶液で処理する工程は、ホウ酸架橋剤を含む水溶液に前記PVAフィルムを浸漬することにより行うことができる。このような処理を行うことで、比較的高い温度で湿式延伸を行う際にフィルム中のPVAが水へ溶出するのを効果的に防止することができる。この観点から、前記ホウ酸水溶液で処理する工程は、上記二色性色素を吸着させる工程の後に行うことが好ましい。ホウ酸架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物を1種または2種以上使用することができる。前記ホウ酸架橋剤を含む水溶液の濃度は1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。ホウ酸架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋処理の際の前記水溶液の温度は、20〜50℃が好ましい。
偏光フィルムの製造にあたっては、PVAフィルムへの二色性色素(ヨウ素系色素等)の吸着を強固にするために一軸延伸処理の後に固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、好適にはホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物を1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。前記ホウ素化合物の濃度は、2〜15質量%が好ましく、固定処理液の温度は、15〜60℃が好ましい。また、必要に応じて、固定処理液中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。
上記水洗処理する工程としては、水、蒸留水、純水等にフィルムを浸漬して行われることが一般的である。このとき、偏光性能向上の点から洗浄処理に用いる水溶液はヨウ化カリウム等のヨウ化物を助剤として含有することが好ましく、当該ヨウ化物の濃度は0.5〜10質量%とすることが好ましい。また、洗浄処理における水溶液の温度は一般的に5〜50℃であり、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃である。経済的な観点から水溶液の温度が低すぎることは好ましくなく、水溶液の温度が高すぎると偏光性能が低下することがある。
さらに必要に応じて、上記洗浄処理後に乾燥処理、熱処理等を行ってもよい。乾燥処理の条件は特に制限されないが、30〜150℃で乾燥を行うことが好ましい。前記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。乾燥処理後に熱処理を行うことで、さらに寸法安定性に優れた偏光フィルムを得ることができる。ここで熱処理とは、水分率が5%以下の乾燥処理後の偏光フィルムをさらに加熱し、偏光フィルムの寸法安定性を向上させる処理のことである。熱処理の条件は特に制限されないが、60〜150℃で熱処理することが好ましい。60℃よりも低温で熱処理を行うと、熱処理による寸法安定化効果が不十分となるおそれがあり、150℃よりも高温で熱処理を行うと、偏光フィルムに赤変が激しく生じるおそれがある。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常であれば、その両面または片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護フィルムを貼り合わせた偏光板として使用されるものであるが、本発明の偏光板は、偏光フィルム層の少なくとも一方の面に、後述する硬化物層が直接積層され、前記偏光フィルム層の他方の面及び前記硬化物層上に保護フィルム層を有さない形態とすることができる。このような構成であることで、偏光板を薄膜軽量化することができるとともに、低コストである利点を有する。上記保護フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロースなどの酢酸セルロース系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルムが挙げられる。
(硬化物層)
本発明における硬化物層は、厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下を満足するものである。特に、硬化物層のホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であることが重要であり、初期の偏光性能を維持することのできる耐湿熱性に優れた偏光板を提供することができる。ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・dayを超える場合、偏光板の耐湿熱性を十分に改善する事ができない。この観点より、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で1.50g/m2・day以下であることが好ましく、1.00g/m2・day以下であることがより好ましく、0.50g/m2・day以下であることがさらに好ましく、0.20g/m2・day以下であることが特に好ましい。一方、硬化物層におけるホウ素原子換算のホウ酸透過度の下限に特段の制限はないが、ホウ素原子換算のホウ酸透過度が低すぎる場合、硬化物層の柔軟性が失われやすい傾向があることから、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で0.02g/m2・day以上であることが好ましく、0.05g/m2・day以上であることがより好ましく、0.10g/m2・day以上であることがさらに好ましい。
本発明における硬化物層は、厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下を満足するものである。特に、硬化物層のホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であることが重要であり、初期の偏光性能を維持することのできる耐湿熱性に優れた偏光板を提供することができる。ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・dayを超える場合、偏光板の耐湿熱性を十分に改善する事ができない。この観点より、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で1.50g/m2・day以下であることが好ましく、1.00g/m2・day以下であることがより好ましく、0.50g/m2・day以下であることがさらに好ましく、0.20g/m2・day以下であることが特に好ましい。一方、硬化物層におけるホウ素原子換算のホウ酸透過度の下限に特段の制限はないが、ホウ素原子換算のホウ酸透過度が低すぎる場合、硬化物層の柔軟性が失われやすい傾向があることから、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で0.02g/m2・day以上であることが好ましく、0.05g/m2・day以上であることがより好ましく、0.10g/m2・day以上であることがさらに好ましい。
後述する実施例で説明されているように、ホウ素原子換算のホウ酸透過度(A)は、純水で満たされた透湿度カップに測定対象の硬化物層を固定し、60℃の8質量%ホウ酸水溶液の中に浸漬させ、試験開始前と24時間後の透湿度カップ内のホウ素濃度をICP発光分析法で分析し、その濃度増加量より下記式(2)で算出される。
A={(a24−a0)×10−6×M}/S (2)
A:ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
a24:24時間後のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
a0:試験開始前のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
M:サンプル水の重量[g]
S:硬化物層とホウ酸水溶液が接触している面積(透湿度カップの透過面積)[m2]
なお、単体での測定が困難な硬化物層については、三酢酸セルロース(TAC)フィルム等の基材フィルム上に硬化物層が形成された多層フィルムを用い、上記式(2)と同様にして多層フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度(A’)を測定することにより、硬化物層におけるホウ素原子換算のホウ酸透過度(q2/l2)が下記式(3)で算出される。
1/A’=L/Q=l1/q1+l2/q2 (3)
A’:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
Q:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
q1:基材フィルムのホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
q2:硬化物層のホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
A={(a24−a0)×10−6×M}/S (2)
A:ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
a24:24時間後のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
a0:試験開始前のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
M:サンプル水の重量[g]
S:硬化物層とホウ酸水溶液が接触している面積(透湿度カップの透過面積)[m2]
なお、単体での測定が困難な硬化物層については、三酢酸セルロース(TAC)フィルム等の基材フィルム上に硬化物層が形成された多層フィルムを用い、上記式(2)と同様にして多層フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度(A’)を測定することにより、硬化物層におけるホウ素原子換算のホウ酸透過度(q2/l2)が下記式(3)で算出される。
1/A’=L/Q=l1/q1+l2/q2 (3)
A’:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
Q:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
q1:基材フィルムのホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
q2:硬化物層のホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
前記硬化物層としては、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下を満たすものであれば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、ゾルゲル法を応用した有機・無機ハイブリッド樹脂組成物など、任意の樹脂組成物を使用可能である。偏光フィルム層を強く加熱した場合に偏光性能が低下しやすいため、温和な条件で偏光フィルム層と積層することができる光硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。中でも、光硬化性樹脂組成物が、アクリル樹脂アクリレートであることが好適な実施態様である。ここで、アクリル樹脂アクリレートとは、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基等の官能基を有するアクリル系モノマーを共重合させて得たアクリル樹脂に、これら官能基と反応しえる基を持つアクリレートを反応させて二重結合(C=C)を導入したものが挙げられる。アクリル樹脂アクリレートの重量平均分子量としては特に限定されないが、62000以上であることが好ましく、65000以上であることがより好ましく、70000以上であることが更に好ましい。一方、アクリル樹脂アクリレートの重量平均分子量は、通常、1000000以下である。
本発明において、硬化物層の厚みは10μm以下であることが重要である。厚みが10μmを超える場合、従来の保護フィルムを積層した偏光板に対して十分な薄膜化を達成できない。この観点より、硬化物層の厚みは8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。一方、硬化物層の厚みの下限は必ずしも限定されないが、薄い硬化物層で前記ホウ素原子換算のホウ酸透過度を達成する場合、硬化物層の柔軟性が失われやすい傾向があることから、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。
本発明において、前記硬化物層の水蒸気透過度が2500g/m2・day以下であることが好ましい。前記硬化物層の水蒸気透過度が2500g/m2・dayを超える場合、偏光板の外観不良等の問題を生じるおそれがある。この観点より、前記硬化物層の水蒸気透過度は2000g/m2・day以下であることがより好ましく、900g/m2・day以下であることがさらに好ましい。一方、前記硬化物層の水蒸気透過度は、通常、500g/m2・day以上である。
後述する実施例で説明されているように、前記硬化物層の水蒸気透過度(B)は、JIS Z−0208に準拠して求められる。
なお、単体での測定が困難な硬化物層については、三酢酸セルロース(TAC)フィルム等の基材フィルム上に硬化物層が形成された多層フィルムを用い、JIS Z−0208に準拠して前記多層フィルムの全体水蒸気透過度(B’)を測定することにより、硬化物層の水蒸気透過度(p2/l2)が下記式(4)で算出される。
1/B’=L/P=l1/p1+l2/p2 (4)
B’:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
P:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
p1:基材フィルムの水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
p2:硬化物層の水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
なお、単体での測定が困難な硬化物層については、三酢酸セルロース(TAC)フィルム等の基材フィルム上に硬化物層が形成された多層フィルムを用い、JIS Z−0208に準拠して前記多層フィルムの全体水蒸気透過度(B’)を測定することにより、硬化物層の水蒸気透過度(p2/l2)が下記式(4)で算出される。
1/B’=L/P=l1/p1+l2/p2 (4)
B’:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
P:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
p1:基材フィルムの水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
p2:硬化物層の水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
(偏光板)
本発明の偏光板は、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接されたものである。前記硬化物層上に保護フィルム層を有さないことが好適な実施態様であり、前記硬化物層が積層された面と反対面における前記偏光フィルム層上に保護フィルム層を有さないことも好適な実施態様である。本発明の偏光板の層構成としては、偏光フィルム層/硬化物層の2層構造でもよいが、硬化物層/偏光フィルム層/硬化物層の3層構造とすることにより、より優れた耐久性を得られるとともに、偏光フィルムのカールを抑制することができるので好ましい。3層構造とする場合、偏光フィルムの一方の面に積層する硬化物層と、偏光フィルムの他方の面に積層する硬化物層とが、それぞれ別の樹脂組成物であっても良い。
本発明の偏光板は、前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接されたものである。前記硬化物層上に保護フィルム層を有さないことが好適な実施態様であり、前記硬化物層が積層された面と反対面における前記偏光フィルム層上に保護フィルム層を有さないことも好適な実施態様である。本発明の偏光板の層構成としては、偏光フィルム層/硬化物層の2層構造でもよいが、硬化物層/偏光フィルム層/硬化物層の3層構造とすることにより、より優れた耐久性を得られるとともに、偏光フィルムのカールを抑制することができるので好ましい。3層構造とする場合、偏光フィルムの一方の面に積層する硬化物層と、偏光フィルムの他方の面に積層する硬化物層とが、それぞれ別の樹脂組成物であっても良い。
また、本発明における硬化物層は、前記のホウ素原子換算のホウ酸透過度と厚みとを満足する単独の層であってもよいが、2種類以上の硬化物層を積層した多層構造を有する組成物層であってもよい。
本発明において、偏光フィルム層と硬化物層との間の接着力は、0.06N/mm以上であることが好ましい。接着力が0.06N/mm未満の場合、偏光板の加工中に層間剥離を生じるおそれがある。この観点より、接着力は0.08N/mm以上であることがより好ましく、0.12N/mm以上であることがさらに好ましい。
本発明の偏光板全体の厚みとしては、より薄い偏光フィルム層ほど耐湿熱性が低下しやすく、そのような偏光フィルム層において本発明の効果がより顕著に奏されることから、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、25μm以下であることが特に好ましい。一方、偏光板全体の厚みが薄いと機械的強度が低下するため、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
本発明の偏光板は、全光線透過率が40〜45%であることが好ましい。偏光性能の観点から、全光線透過率は、41%以上であることがより好ましく、42%以上であることがさらに好ましい。一方、偏光度の観点より、全光線透過率は、44%以下であることがより好ましい。全光線透過率は、実施例において後述する方法により測定することができる。
本発明の偏光板は、偏光度が99.9%以上であることが好ましい。偏光性能の観点から、偏光度は、99.92%以上であることがより好ましく、99.95%以上であることがさらに好ましい。偏光度は、実施例において後述する方法により測定することができる。
本発明の偏光板は、60℃、90%RHの条件下で48時間の耐湿熱性試験を行った後の全光線透過率の変化量が1.5%以下であり、偏光度が99.9%以上であることが好ましい。このように、耐湿熱性試験後の偏光板の全光線透過率の変化量が一定以下であり、かつ偏光度が一定以上であるため、本発明の偏光板は、薄膜であっても耐湿熱性に優れ、初期の偏光性能を維持することが可能であることが分かる。前記全光線透過率の変化量は、1.3%以下であることがより好ましく、1.1%以下であることがさらに好ましい。一方、前記全光線透過率の変化量は、通常、0.1%以上である。また、前記偏光度は、99.92%以上であることがより好ましく、99.95%以上であることがさらに好ましく、99.98%以上であることが特に好ましい。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において採用された、偏光フィルム層のホウ酸含有量、硬化物層のホウ酸透過度、偏光板の全光線透過率と偏光度、耐湿熱性試験の各測定ないし評価方法を以下に示す。
[偏光フィルム層のホウ酸含有量]
偏光フィルムの質量Z(g)を測定し、偏光フィルムが0.0005質量%になるように蒸留水20mLに溶解した。偏光フィルムを溶解した水溶液を測定サンプルとし、その質量Y(g)を測定した。その後、島津製作所製マルチ形ICP発光分析装置(ICPE−9000)を用いて測定サンプルのホウ素濃度X(ppm)を測定した。その後、下記式(1)に値を代入して算出した値を偏光フィルム層のホウ酸の質量%とした。
偏光フィルム層のホウ酸含有量(質量%)
[(X×10−6×Y)/Z]×100 (1)
X:測定サンプルのホウ素濃度[ppm]
Y:偏光フィルムが溶解した測定サンプルの質量[g]
Z:偏光フィルムの質量[g]
偏光フィルムの質量Z(g)を測定し、偏光フィルムが0.0005質量%になるように蒸留水20mLに溶解した。偏光フィルムを溶解した水溶液を測定サンプルとし、その質量Y(g)を測定した。その後、島津製作所製マルチ形ICP発光分析装置(ICPE−9000)を用いて測定サンプルのホウ素濃度X(ppm)を測定した。その後、下記式(1)に値を代入して算出した値を偏光フィルム層のホウ酸の質量%とした。
偏光フィルム層のホウ酸含有量(質量%)
[(X×10−6×Y)/Z]×100 (1)
X:測定サンプルのホウ素濃度[ppm]
Y:偏光フィルムが溶解した測定サンプルの質量[g]
Z:偏光フィルムの質量[g]
[硬化物層のホウ素原子換算のホウ酸透過度]
本発明において、硬化物層のホウ素原子換算のホウ酸透過度を測定する方法としては、測定する硬化物層を、あらかじめ純水を入れておいた透湿度カップ(締付式、JIS Z−0208準拠)に固定し、60℃の8質量%ホウ酸水溶液の中に浸漬させ、試験開始前と24時間後のカップ内のサンプル水のホウ素濃度をICP発光分析法(島津製作所 島津マルチ形ICP発光分析装置 ICPE−9000)で分析し、その濃度増加量より下記式(2)でホウ素原子換算のホウ酸透過度(A)を算出した(図1参照)。
A={(a24−a0)×10−6×M}/S (2)
A:ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
a24:24時間後のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
a0:試験開始前のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
M:サンプル水の重量[g]
S:硬化物層とホウ酸水溶液が接触している面積(透湿度カップの透過面積)[m2]
なお、単体での測定が困難な樹脂組成物の硬化物層については、ホウ素原子換算のホウ酸透過度の高い基材フィルム(例えば、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなど)に硬化物層を形成させた多層フィルムを用いて、硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度(A’)を測定し、個々の硬化物層のホウ素原子換算のホウ酸透過度(q2/l2)を、下記式(3)により計算で求めた。
1/A’=L/Q=l1/q1+l2/q2 (3)
A’:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
Q:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
q1:基材フィルムのホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
q2:硬化物層のホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
本発明において、硬化物層のホウ素原子換算のホウ酸透過度を測定する方法としては、測定する硬化物層を、あらかじめ純水を入れておいた透湿度カップ(締付式、JIS Z−0208準拠)に固定し、60℃の8質量%ホウ酸水溶液の中に浸漬させ、試験開始前と24時間後のカップ内のサンプル水のホウ素濃度をICP発光分析法(島津製作所 島津マルチ形ICP発光分析装置 ICPE−9000)で分析し、その濃度増加量より下記式(2)でホウ素原子換算のホウ酸透過度(A)を算出した(図1参照)。
A={(a24−a0)×10−6×M}/S (2)
A:ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
a24:24時間後のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
a0:試験開始前のサンプル水中のホウ素濃度[ppm]
M:サンプル水の重量[g]
S:硬化物層とホウ酸水溶液が接触している面積(透湿度カップの透過面積)[m2]
なお、単体での測定が困難な樹脂組成物の硬化物層については、ホウ素原子換算のホウ酸透過度の高い基材フィルム(例えば、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなど)に硬化物層を形成させた多層フィルムを用いて、硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度(A’)を測定し、個々の硬化物層のホウ素原子換算のホウ酸透過度(q2/l2)を、下記式(3)により計算で求めた。
1/A’=L/Q=l1/q1+l2/q2 (3)
A’:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
Q:硬化物層と基材フィルムの全体ホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
q1:基材フィルムのホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
q2:硬化物層のホウ酸透過係数[g・μm/m2・day]
[硬化物層の水蒸気透過度]
本発明において、硬化物層の水蒸気透過度の測定は、JIS Z−0208に準拠して実施した。すなわち、測定する硬化物層を、塩化カルシウムを入れた透湿度カップ(締付式)に固定し、40℃90%RHの環境下で24時間ごとに重量増加量を測定して、水蒸気透過度(B)を算出した。
なお、単体での測定が困難な樹脂組成物の硬化物層については、水蒸気透過度の高い基材フィルム(例えば、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなど)に硬化物層を形成させた多層フィルムを用いて、硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度(B’)を測定し、個々の硬化物層の水蒸気透過度(p2/l2)を、下記式(4)により計算で求めた。
1/B’=L/P=l1/p1+l2/p2 (4)
B’:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
P:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
p1:基材フィルムの水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
p2:硬化物層の水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
本発明において、硬化物層の水蒸気透過度の測定は、JIS Z−0208に準拠して実施した。すなわち、測定する硬化物層を、塩化カルシウムを入れた透湿度カップ(締付式)に固定し、40℃90%RHの環境下で24時間ごとに重量増加量を測定して、水蒸気透過度(B)を算出した。
なお、単体での測定が困難な樹脂組成物の硬化物層については、水蒸気透過度の高い基材フィルム(例えば、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなど)に硬化物層を形成させた多層フィルムを用いて、硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度(B’)を測定し、個々の硬化物層の水蒸気透過度(p2/l2)を、下記式(4)により計算で求めた。
1/B’=L/P=l1/p1+l2/p2 (4)
B’:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過度[g/m2・day]
L:硬化物層と基材フィルムの全体膜厚[μm]
P:硬化物層と基材フィルムの全体水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l1:基材フィルムの膜厚[μm]
p1:基材フィルムの水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
l2:硬化物層の膜厚[μm]
p2:硬化物層の水蒸気透過係数[g・μm/m2・day]
[偏光板の全光線透過率および偏光度]
以下の実施例または比較例で得られた偏光板の幅方向(TD)の中央部から、偏光板の長さ方向(MD)に2cm、幅方向(TD)に3cmの長方形のサンプルをTD方向に同じでMD方向に近傍の2枚を採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、当該サンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値(%)をその偏光板の全光線透過率とした。また、当該サンプルについてパラレルニコル状態での光の透過率T‖(%)、クロスニコル状態での光の透過率T⊥(%)を上記と同様に測定し、下記式(5)により偏光度を求めた。
偏光度={(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)}1/2×100 (5)
以下の実施例または比較例で得られた偏光板の幅方向(TD)の中央部から、偏光板の長さ方向(MD)に2cm、幅方向(TD)に3cmの長方形のサンプルをTD方向に同じでMD方向に近傍の2枚を採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、当該サンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値(%)をその偏光板の全光線透過率とした。また、当該サンプルについてパラレルニコル状態での光の透過率T‖(%)、クロスニコル状態での光の透過率T⊥(%)を上記と同様に測定し、下記式(5)により偏光度を求めた。
偏光度={(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)}1/2×100 (5)
[偏光板の耐湿熱性]
偏光板を金属枠に固定して60℃、90%RHの恒温恒湿器(ヤマト科学株式会社製 HUMIDIC CHAMBER IG400)に入れて、48時間の耐湿熱性試験を行い、試験後に、上記方法により全光線透過率、偏光度を測定し、これを偏光板の耐湿熱性の指標とした。
偏光板を金属枠に固定して60℃、90%RHの恒温恒湿器(ヤマト科学株式会社製 HUMIDIC CHAMBER IG400)に入れて、48時間の耐湿熱性試験を行い、試験後に、上記方法により全光線透過率、偏光度を測定し、これを偏光板の耐湿熱性の指標とした。
[実施例1]
(偏光フィルムの作製)
PVA(酢酸ビニルとエチレンとの共重合体のけん化物、平均重合度2,400、けん化度99.4モル%、エチレン単位の含有率2.5モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部および水からなる製膜原液を用いてキャスト製膜することにより得られた、厚み30μmのPVAフィルムに対して、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程および乾燥工程を行うことにより偏光フィルムを製造した。
すなわち、上記のPVAフィルムを、温度30℃の水中に1分間浸漬している間に元の長さの2倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(1段目延伸)した後、使用量としてヨウ素を0.03質量%およびヨウ化カリウムを0.7質量%の濃度で水に混合してなる温度32℃の染色浴に2分間浸漬している間に元の長さの2.3倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(2段目延伸)し、次いでホウ酸を2.6質量%の濃度で含有する温度32℃の架橋浴に2分間浸漬している間に元の長さの2.6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(3段目延伸)し、さらにホウ酸を2.8質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度57℃のホウ酸/ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬している間に元の長さの6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(4段目延伸)し、その後、ホウ酸を1.5質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度22℃のヨウ化カリウム水溶液中に5秒間浸漬することによりフィルムを洗浄し、続いて40℃の乾燥機で240秒間乾燥することにより、厚み12μmの偏光フィルムを製造した。
(偏光フィルムの作製)
PVA(酢酸ビニルとエチレンとの共重合体のけん化物、平均重合度2,400、けん化度99.4モル%、エチレン単位の含有率2.5モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部および水からなる製膜原液を用いてキャスト製膜することにより得られた、厚み30μmのPVAフィルムに対して、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程および乾燥工程を行うことにより偏光フィルムを製造した。
すなわち、上記のPVAフィルムを、温度30℃の水中に1分間浸漬している間に元の長さの2倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(1段目延伸)した後、使用量としてヨウ素を0.03質量%およびヨウ化カリウムを0.7質量%の濃度で水に混合してなる温度32℃の染色浴に2分間浸漬している間に元の長さの2.3倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(2段目延伸)し、次いでホウ酸を2.6質量%の濃度で含有する温度32℃の架橋浴に2分間浸漬している間に元の長さの2.6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(3段目延伸)し、さらにホウ酸を2.8質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度57℃のホウ酸/ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬している間に元の長さの6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(4段目延伸)し、その後、ホウ酸を1.5質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度22℃のヨウ化カリウム水溶液中に5秒間浸漬することによりフィルムを洗浄し、続いて40℃の乾燥機で240秒間乾燥することにより、厚み12μmの偏光フィルムを製造した。
(偏光板の作製)
樹脂組成物として日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7975(重量平均分子量:80000)」20gと、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである製品名「イルカギュア184」0.25gをサンプル瓶に量り取り、混合した後、No.13のバーコーターを用いて、厚さ12μmの偏光フィルム層の表面に塗工した。塗工された偏光フィルム層を70℃で1分間乾燥した後、ブラックライトを用いて積算光量が400mJ/cm2になるように照射して樹脂組成物を硬化した。さらに、偏光フィルム層の反対面に同様に塗工して、片面の硬化物層の厚さが5.9μm、全体で厚さ24μmの偏光板を作製した。得られた偏光板を用いて、上記方法により全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度及びホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
樹脂組成物として日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7975(重量平均分子量:80000)」20gと、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである製品名「イルカギュア184」0.25gをサンプル瓶に量り取り、混合した後、No.13のバーコーターを用いて、厚さ12μmの偏光フィルム層の表面に塗工した。塗工された偏光フィルム層を70℃で1分間乾燥した後、ブラックライトを用いて積算光量が400mJ/cm2になるように照射して樹脂組成物を硬化した。さらに、偏光フィルム層の反対面に同様に塗工して、片面の硬化物層の厚さが5.9μm、全体で厚さ24μmの偏光板を作製した。得られた偏光板を用いて、上記方法により全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度及びホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
比較例1
光硬化性樹脂組成物をDIC(株)製のアクリル酸エステルポリマーとアクリレートモノマー混合物製品である製品名「ユニディックV−6841」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
光硬化性樹脂組成物をDIC(株)製のアクリル酸エステルポリマーとアクリレートモノマー混合物製品である製品名「ユニディックV−6841」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
比較例2
光硬化性樹脂組成物を日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7988(重量平均分子量:60000)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
光硬化性樹脂組成物を日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7988(重量平均分子量:60000)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
比較例3
光硬化性樹脂組成物を日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7975D(重量平均分子量:15000)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
光硬化性樹脂組成物を日立化成(株)製のアクリル樹脂アクリレート製品である製品名「ヒタロイド7975D(重量平均分子量:15000)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
比較例4
光硬化性樹脂組成物をDIC(株)製のアクリル酸エステルポリマー製品である製品名「ユニディックV−6840」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
光硬化性樹脂組成物をDIC(株)製のアクリル酸エステルポリマー製品である製品名「ユニディックV−6840」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。得られた偏光板を用いて全光線透過率、偏光度を測定し、耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
また、三酢酸セルロース(TAC)フィルム上の片面に塗工する以外は上記に記載の方法と同様にして硬化物層が積層されたTACフィルムを製造して、硬化物層の水蒸気透過度、ホウ酸透過度を測定した。結果を表1に示した。
1 硬化物層
2 TACフィルム
3 透湿度カップ
4 純水
5 密閉容器
6 60℃の8質量%ホウ酸水溶液
7 サンプル水
8 採取器
2 TACフィルム
3 透湿度カップ
4 純水
5 密閉容器
6 60℃の8質量%ホウ酸水溶液
7 サンプル水
8 採取器
Claims (11)
- 偏光フィルム層と樹脂組成物からなる硬化物層とが積層された偏光板であって、
前記硬化物層の厚みが10μm以下であり、ホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、
前記偏光フィルム層の少なくとも一方の面に前記硬化物層が直接隣接された偏光板。 - 前記硬化物層上に保護フィルム層を有さない、請求項1に記載の偏光板。
- 前記硬化物層が積層された面と反対面における前記偏光フィルム層上に保護フィルム層を有さない、請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記樹脂組成物が、光硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記偏光フィルム層におけるホウ酸含有量が、ホウ素原子換算で偏光フィルム層に対して1〜8質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記偏光フィルム層の厚みが20μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
- 偏光板全体の厚みが40μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記硬化物層の水蒸気透過度が2500g/m2・day以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
- 層構成が、偏光フィルム層/前記硬化物層の2層構造、または前記硬化物層/偏光フィルム層/前記硬化物層の3層構造である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光板。
- 全光線透過率が40〜45%であり、偏光度が99.9%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
- 60℃、90%RHの条件下で48時間の耐湿熱性試験を行った後の全光線透過率の変化量が1.5%以下であり、偏光度が99.9%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏光板。
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