JPWO2018037959A1 - 防音構造体、および、開口構造体 - Google Patents

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Abstract

共鳴振動による吸音特性の低下を抑制できる防音構造体および開口構造体を提供することを課題とする。厚み方向に貫通する複数の貫通孔を有する微細穿孔板と、微細穿孔板の一方の面に接して配置される、複数の孔部を有する第1の枠体とを備え、第1の枠体の孔部の開口径が、微細穿孔板の貫通孔の開口径よりも大きく、第1の枠体の孔部の開口率が、微細穿孔板の貫通孔の開口率よりも大きく、第1の枠体に接する微細穿孔板の共振周波数が可聴域より大きい。

Description

本発明は、防音構造体、および、開口構造体に関する。
特許文献1に記載されるように、ヘルムホルツ共振を利用する防音構造体は、多数の貫通孔が形成された板状部材の背面に遮蔽板を配置して音響的に閉じられた閉空間を設けた構成を有する。このようなヘルムホルツ構造は、貫通孔の径や長さ、および、閉空間の体積等を変えることによって所望の周波数において高い吸音効果が得られることから、様々な分野において広く使用されている。
また、ウレタン等の従来の吸音材に代わる新しい防音部材として、直径が1mm以下の貫通孔が複数設けられた防音構造体(以下、微細穿孔板ともいう)が注目されている(特許文献2参照)。微細穿孔板(Micro Perforated Plate : MPP)は、広帯域な吸音特性が得られる点で好ましく、広帯域な吸音特性が得られる点から孔径が小さいほど好ましい。
特開2005−338795号公報 特開2007−58109号公報
しかしながら、微細穿孔板において、1mm以下の孔を開ける場合には、加工上の問題から薄い板あるいは膜を用いる必要がある。本発明者らの検討によれば、微細穿孔板を薄い板あるいは膜とした場合には、低周波の音波に対して共鳴振動を起こしやすくなるため、共鳴振動周波数周辺の周波数帯域で吸収率が低下してしまうという問題があることがわかった。
ここで、特許文献2には、微細穿孔板に複数の開口部を設けた補強体を着設した構成とすることによって強度を高くすることが記載されている。しかしながら、共鳴振動により共鳴振動周波数周辺の周波数帯域で吸収率が低下してしまう問題については言及されていない。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、共鳴振動による吸収率の低下を抑制できる防音構造体および開口構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を有する微細穿孔板と、微細穿孔板の一方の面に接して配置される、複数の孔部を有する第1の枠体とを備え、第1の枠体の孔部の開口径が、微細穿孔板の貫通孔の開口径よりも大きく、第1の枠体の孔部の開口率が、微細穿孔板の貫通孔の開口率よりも大きく、第1の枠体に接する微細穿孔板の共振周波数が可聴域より大きいことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
[1] 厚み方向に貫通する複数の貫通孔を有する微細穿孔板と、
微細穿孔板の一方の面に接して配置される、複数の孔部を有する第1の枠体とを備え、
第1の枠体の孔部の開口径が、微細穿孔板の貫通孔の開口径よりも大きく、
第1の枠体の孔部の開口率が、微細穿孔板の貫通孔の開口率よりも大きく、
第1の枠体に接する微細穿孔板の共鳴振動周波数が可聴域より大きい防音構造体。
[2] 第1の枠体の孔部の開口径が22mm以下である[1]に記載の防音構造体。
[3] 微細穿孔板の貫通孔の平均開口径が0.1μm以上250μm以下である[1]または[2]に記載の防音構造体。
[4] 貫通孔の平均開口径が0.1μm以上100μm未満であり、貫通孔の平均開口径をphi(μm)、微細穿孔板の厚みをt(μm)としたときに貫通孔の平均開口率rhoは、0よりも大きく1よりも小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある[1]〜[3]のいずれかに記載の防音構造体。
[5] 微細穿孔板の両面それぞれに接して配置される2つの第1の枠体を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の防音構造体。
[6] 第1の枠体が微細穿孔板に接着固定されている[1]〜[5]のいずれかに記載の防音構造体。
[7] 微細穿孔板が、金属または合成樹脂からなる[1]〜[6]のいずれかに記載の防音構造体。
[8] 微細穿孔板が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる[1]〜[7]のいずれかに記載の防音構造体。
[9] 第1の枠体が、ハニカム構造を有する[1]〜[8]のいずれかに記載の防音構造体。
[10] 第1の枠体が、金属からなる[1]〜[9]のいずれかに記載の防音構造体。
[11] 第1の枠体が、合成樹脂からなる[1]〜[9]のいずれかに記載の防音構造体。
[12] 第1の枠体が、紙からなる[1]〜[9]のいずれかに記載の防音構造体。
[13] 第1の枠体が、アルミニウム、鉄、アルミニウム合金、および、鉄合金のいずれかからなる[1]〜[10]のいずれかに記載の防音構造体。
[14] 第1の枠体の微細穿孔板が配置される面とは反対側の面に配置される背面板を有する[1]〜[13]のいずれかに記載の防音構造体。
[15] 微細穿孔板および第1の枠体の積層体と離間して配置される背面板を有する[1]〜[13]のいずれかに記載の防音構造体。
[16] 1以上の開口部を有する第2の枠体を有し、
第2の枠体の1以上の開口部を覆って、微細穿孔板と第1の枠体との積層体が配置された防音セルを有する[1]〜[15]のいずれかに記載の防音構造体。
[17] [16]に記載の防音構造体と、
開口を有する開口部材とを有し、開口部材の開口内に、開口部材の開口断面に垂直な方向に対して微細穿孔板の膜面の垂線方向が交差するように防音構造体を配置し、開口部材に気体が通過する通気口となる領域を設けた開口構造体。
本発明によれば、共鳴振動による吸収率の低下を抑制できる防音構造体および開口構造体を提供することができる。
本発明の防音構造体の一例を模式的に示す断面図である。 図1の防音構造体の模式的に示す正面図である。 微細穿孔板を模式的に示す正面図である。 第1の枠体を模式的に示す正面図である。 吸収率の測定方法を説明するための模式的断面図である。 本発明の防音構造体の効果を説明するための、吸収率と周波数との関係を概念的に示したグラフである。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の開口構造体の一例を模式的に示す断面図である。 複数の貫通孔を有する微細穿孔板の好適な製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 複数の貫通孔を有する微細穿孔板の好適な製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 複数の貫通孔を有する微細穿孔板の好適な製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 複数の貫通孔を有する微細穿孔板の好適な製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 複数の貫通孔を有する微細穿孔板の好適な製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の一例の断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例の断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例を示す断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例を示す断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例を示す断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の壁への取付状態の一例を示す断面模式図である。 図18に示す防音部材の壁からの取外状態の一例の断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例における単位ユニットセルの着脱を示す平面図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例における単位ユニットセルの着脱を示す平面図である。 本発明の防音構造体の防音セルの一例の平面図である。 図22に示す防音セルの側面図である。 本発明の防音構造体の防音セルの一例の平面図である。 図24に示す防音セルのA−A線矢視断面模式図である。 本発明の防音構造体を持つ防音部材の他の一例の平面図である。 図26に示す防音部材のB−B線矢視断面模式図である。 図26に示す防音部材のC−C線矢視断面模式図である。 音響特性を測定する測定装置を模式的に示す斜視図である。 周波数と音響特性との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 音響特性を測定する測定装置を模式的に示す斜視図である。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 平均開口率と音響特性との関係を示すグラフである。 平均開口径と最適な平均開口率との関係を示すグラフである。 平均開口径と最大吸収率との関係を示すグラフである。 平均開口径と最適な平均開口率との関係を示すグラフである。 平均開口率と最大吸収率との関係を示すグラフである。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 距離と目の分解能との関係を表すグラフである。 第1の枠体の他の一例を模式的に示す正面図である。 第2の枠体の形状を説明するための模式的斜視図である。 周波数と吸収率との関係を表すグラフである。 平均開口率と最大吸収率との関係を示すグラフである。 周波数と吸音率との関係を表すグラフである。 実施例の防音構造体の構成を説明するための模式的な断面図である。 周波数と吸音率との関係を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[防音構造体]
本発明の防音構造体は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を有する微細穿孔板と、
微細穿孔板の一方の面に接して配置される、複数の孔部を有する第1の枠体とを備え、
第1の枠体の孔部の開口径が、微細穿孔板の貫通孔の開口径よりも大きく、
第1の枠体の孔部の開口率が、微細穿孔板の貫通孔の開口率よりも大きく、
第1の枠体に接する微細穿孔板の共振周波数が可聴域より大きい防音構造体である。
本発明の防音構造体は、複写機、送風機、空調機器、換気扇、ポンプ類、発電機、ダクト、その他にも塗布機、および、回転機、搬送機など音を発する様々な種類の製造機器等の産業用機器、自動車、電車、および、航空機等の輸送用機器、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビジョン、コピー機、電子レンジ、ゲーム機、エアコン、扇風機、PC(パーソナルコンピュータ)、掃除機、空気清浄機、および、換気扇等の一般家庭用機器等に用いられるものであり、各種機器において騒音源から発生する音が通過する位置に適宜配置される。
本発明の防音構造体の構成について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本発明の防音構造体の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図であり、図2は、防音構造体の模式的な正面図である。
図1および図2に示す防音構造体10aは、厚さ方向に貫通する貫通孔14を複数、有する板状の微細穿孔板12と、複数の孔部17を有し、微細穿孔板12の一方の面に接して配置される第1の枠体16とを有する。
図3に、微細穿孔板12の一例の模式的正面図を示し、図4に、第1の枠体16の一例の模式的正面図を示す。
図2〜図4に示すとおり、第1の枠体16の孔部17の開口径は、微細穿孔板12の貫通孔14の開口径よりも大きく、また、第1の枠体16の孔部の開口率は、微細穿孔板12の貫通孔14の開口率よりも大きい。
ここで、本発明において、防音構造体10aは、第1の枠体に接する微細穿孔板の共振周波数が可聴域より大きい構成を有する。
前述のとおり、広帯域な吸音特性が得られる防音構造体として、直径が1mm以下の貫通孔が複数設けられた微細穿孔板が注目されている。微細穿孔板は、広帯域な吸音特性が得られる点で、微細穿孔板に設けられる孔径は小さいほど好ましい。微細穿孔板において、1mm以下の孔を開ける場合には、加工上の問題から薄い板あるいは膜を用いる必要がある。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、微細穿孔板を薄い板あるいは膜とした場合には、音波に対して微細穿孔板が共鳴振動を起こしやすくなるため、共鳴振動周波数周辺の周波数帯域で吸音特性が低下してしまうという問題があることがわかった。
これに対して、本発明の防音構造体は、微細穿孔板12に、大きな開口径の孔部17を複数有する第1の枠体16を接して配置することによって、第1の枠体16で微細穿孔板12の剛性を高める。その際、第1の枠体16の孔部17の開口径を、微細穿孔板12の共鳴振動周波数が可聴域よりも高くなるような開口径とすることによって、微細穿孔板12の共鳴振動周波数を可聴域よりも高くする。これにより、可聴域において、共鳴振動による吸収率低下を抑制することができる。
この点について、図5および図6を用いて説明する。
図5は、防音構造体の吸収率の測定方法を説明するための模式的断面図であり、図6は、吸収率と周波数との関係を概念的に示したグラフである。
図5に示すように、防音構造体の吸収率は、音響管P中に防音構造体を配置して複数のマイクロフォン(図示せず)を用いて音響管P中の複数の位置での音を測定して伝達関数法により算出することができる。
具体的には、本願において、防音構造体の音響特性の測定方法は、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従う。この測定法は、例えば、日本音響エンジニアリング株式会社が提供しているWinZacを用いた4本マイク測定法と同一の測定原理である。この方法で広いスペクトル帯域において音響透過損失を測定することができる。特に、透過率と反射率を同時に測定し、吸収率を1−(透過率+反射率)として求めることによって、サンプルの吸収率も正確に測定することができる。
なお、以下の説明では、垂直音響透過率、反射率、吸収率をまとめて音響特性ともいう。
図6は、上記のようにして吸収率を測定した際の、吸収率と周波数との関係を概念的に示したグラフである。
図6において、微細穿孔板単体の場合の吸収率を破線で示し、微細穿孔板と第1の枠体とを有する防音構造体とした場合の吸収率を実線で示す。
図6に示すように、微細穿孔板単体の場合には、共鳴振動周波数が可聴域となり、可聴域の特定の周波数で吸収率が低下してしまう。これに対して、微細穿孔板と第1の枠体とを有する防音構造体とした場合には、微細穿孔板の剛性が高くなり共鳴振動周波数が可聴域より高い周波数となるため、共鳴振動周波数付近で吸収率が低下する帯域(図中、矢印aで示す)が生じるものの、図中、矢印bで示すように、可聴域での吸収率の低下を抑制することができる。
このように、本発明の防音構造体によれば、共鳴振動による吸収率の低下を抑制することができる。
本発明者らの検討によれば、本発明の構成は、微細穿孔板と貫通孔が存在するため音はこの二種のいずれかを通過して透過すると考えられる。微細穿孔板を透過するパス(経路)は、微細穿孔板の膜振動に一度変換された固体振動が音波として再放射されるパスであり、貫通孔を透過するパスは、貫通孔の中を気体伝搬音として直接通過するパスである。そして、貫通孔を通過するパスが、今回の吸収メカニズムとして支配的であると考えられるが、微細穿孔板の共鳴振動周波数(第一固有振動周波数)付近の周波数帯の音は主に、微細穿孔板の膜振動により再放射されるパスを通過すると考えられる。
ここで、貫通孔を透過するパスにおける吸音のメカニズムは、微細な貫通孔を音が通る際の、貫通孔の内壁面と空気との摩擦による、音のエネルギーの熱エネルギーへの変化であると推定した。貫通孔部分を通過する際に、微細穿孔板上全体の広い面積から貫通孔の狭い面積へと音が集約されて通過する。貫通孔の中に音が集まることによって局所速度が極めて大きくなる。摩擦は速度と相関するために、微細な貫通孔内で摩擦が大きくなり熱に変換される。
貫通孔の平均開口径が小さい場合は、開口面積に対する貫通孔の縁長さの比率が大きくなるため、貫通孔の縁部や内壁面で生じる摩擦を大きくすることができると考えられる。貫通孔を通る際の摩擦を大きくすることによって、音のエネルギーを熱エネルギーへと変換して、より効率的に吸音することができる。
また、音が貫通孔を通過する際の摩擦で吸音するので、音の周波数帯によらず吸音することができ、広帯域で吸音することができる。
ここで、前述のとおり、本発明においては、微細穿孔板に第1の枠体を接して配置することによって微細穿孔板の見かけの剛性を高くして、共鳴振動周波数を可聴域よりも高くしている。そのため、可聴域の音は、微細穿孔板の膜振動により再放射されるパスよりも、貫通孔を通過するパスを主に通過するので、貫通孔を通過する際の摩擦で吸音される。
なお、第1の枠体16に接して配置された微細穿孔板12の第一固有振動周波数は、共鳴現象により音波が膜振動を最も揺らすところで、音波はその周波数で大きく透過する固有振動モードの周波数である。本発明においては、第一固有振動周波数は、第1の枠体16および微細穿孔板12からなる構造、あるいはさらに、第2の枠体18を有する構造によって決まるので、微細穿孔板12に穿孔される貫通孔14の有無にかかわらず、略同一の値となることが本発明者らによって見出されている。
また、第一固有振動周波数近傍の周波数では、膜振動が大きくなるため、微細な貫通孔との摩擦による吸音効果は小さくなる。したがって、本発明の防音構造体は、第一固有振動周波数±100Hzで吸収率が極小となる。
また、本発明において可聴域とは、100Hz〜20000Hzである。従って、本発明の防音構造体において、微細穿孔板の共鳴振動周波数は、20000Hz超である。
また、微細穿孔板が微細な貫通孔を有するので、微細穿孔板に水等の液体が付着した場合であっても、表面張力により水が貫通孔の部分を避けて貫通孔を塞がないため、吸音性能が低下しにくい。
また、薄い板状(膜状)の部材であるため、配置する場所に合わせて湾曲させることができる。
ここで、図1に示す例では、微細穿孔板12の一方の面に第1の枠体16が接して配置される構成としたが、これに限定はされず、図7に示す防音構造体10bのように、微細穿孔板12の両面それぞれに第1の枠体16が接して配置される構成としてもよい。
微細穿孔板12の両面それぞれに第1の枠体16を配置することによって、微細穿孔板の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。従って、微細穿孔板12の共鳴振動周波数を容易に可聴域よりも高くすることができる。
なお、微細穿孔板12の両面それぞれに配置される2つの第1の枠体16は、同じ構成であってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、2つの第1の枠体16は、孔部の開口径、開口率および材質等が、同じであっても、互いに異なっていてもよい。
また、微細穿孔板12と第1の枠体16とは接して配置されていればよいが、接着固定されるのが好ましい。
微細穿孔板12と第1の枠体16とを接着固定することによって、微細穿孔板の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。従って、微細穿孔板12の共鳴振動周波数を容易に可聴域よりも高くすることができる。
微細穿孔板12と第1の枠体16とを接着固定する場合に用いる接着剤は、微細穿孔板12の材質および第1の枠体16の材質等に応じて選択すればよい。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、および、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
また、本発明の防音構造体はさらに、1以上の開口部を有する第2の枠体を有し、微細穿孔板と第1の枠体との積層体が第2の枠体の開口部を覆って配置される構成としてもよい。
図8に本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図を示す。
図8に示す防音構造体10cは、微細穿孔板12と、第1の枠体16と、第2の枠体18とを有する。
図8に示す防音構造体において、第2の枠体18は、貫通する1つの開口部19を有し、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体が、開口部19を有する開口面の一方を覆って、配置されている。
図8に示すように、第2の枠体18の開口部19の開口径は、第1の枠体16の孔部17の開口径よりも大きく、また、第2の枠体18の開口部19の開口率は、第1の枠体16の孔部17の開口率よりも大きい。
このように、さらに第2の枠体18を有する構成とすることによって、微細穿孔板12の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。従って、微細穿孔板12の共鳴振動周波数を容易に可聴域よりも高くすることができる。
なお、図8に示す例においては、第2の枠体18は、積層体の微細穿孔板12側と接して配置されているが、積層体の第1の枠体16側と接して配置されていてもよい。
また、第2の枠体18と積層体(微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体)との固定方法は、特に制限的ではなく、第2の枠体18と積層体とを固定できればどのようなものでも良く、例えば、接着剤用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤を第2の枠体18の開口を囲む表面上に接着剤を塗布し、その上に積層体を載置し、第2の枠体18に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、および、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、第2の枠体18の開口を覆うように配置された積層体を第2の枠体18と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジやビス等の固定具を用いて第2の枠体18に固定する方法等を挙げることができる。
また、図8に示す例においては、第2の枠体18は、1つの開口部19を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の開口部19を有していてもよい。
なお、以下の説明においては、1つの開口部19を有する第2の枠体18の開口部19に積層体(微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体)を配置した構成を1つの防音セルともいう。本発明の防音構造体は、このような防音セルを複数有する構成としてもよく、また、複数の防音セルを有する構成の場合には、複数の防音セルそれぞれの第2の枠体18が一体的に形成されたものであってもよい。複数の防音セルそれぞれの微細穿孔板12ならびに第1の枠体16がそれぞれ一体的に形成されたものであってもよい。
また、図8に示す例においては、1つの第2の枠体18を有する構成としたが、これに限定はされず、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体の両面それぞれに第2の枠体18を配置する構成としてもよい。
図9に本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図を示す。
図9に示す防音構造体10dは、微細穿孔板12と、微細穿孔板12の両面それぞれに配置される2つの第1の枠体16と、2つの第1の枠体16それぞれに配置される2つの第2の枠体18とを有する。すなわち、図9に示す防音構造体10dは、微細穿孔板12を2つの第1の枠体16で挟み、さらに、微細穿孔板12を第1の枠体16で挟んだ積層体を2つの第2の枠体18で挟んだ構成を有する。
このように、2つの第2の枠体18で、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体を挟んだ構成とすることによって、微細穿孔板12の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。従って、微細穿孔板12の共鳴振動周波数を容易に可聴域よりも高くすることができる。
なお、図9に示す例では、微細穿孔板12を2つの第1の枠体16で挟んだ積層体を、2つの第2の枠体18で挟んだ構成としたが、これに限定はされず、微細穿孔板12の一方の面に第1の枠体16を配置した積層体を、2つの第2の枠体18で挟んだ構成としてもよい。
なお、図8においては、第1の枠体16と第2の枠体18とは別の部材としたが、第1の枠体16と第2の枠体18とが一体化されていてもよい。あるいはさらに、微細穿孔板12と第1の枠体16と第2の枠体18とが一体化された構成であってもよい。
第1の枠体16と第2の枠体18とが一体化した部材は、例えば、3Dプリンターで作製することができる。また、微細穿孔板12と第1の枠体16と第2の枠体18とが一体化した部材は、例えば、微細穿孔板12を形成する板状部材と第1の枠体16と第2の枠体18とを3Dプリンターで一体成型した後に、レーザーで板状部材に微細な貫通孔14を形成することによって作製できる。
また、図8に示す例では、第2の枠体18の、積層体が配置される面の反対側の開口面は開放された構成としたが、これに限定はされず、図10に示すように、第2の枠体の、積層体が配置される面の反対側の開口面に、開口部19を覆う背面板20を配置する構成としてもよい。なお、本発明においては、積層体と背面板20との間の領域には気体(空気)が存在する。すなわち、積層体と第2の枠体18と背面板20とで略閉空間を形成する。
あるいは、図46に示すように、第2の枠体を有さず、微細穿孔板12と第1の枠体16と背面板20とを有する構成とし、第1の枠体16の微細穿孔板12が配置される面とは反対側の面に背面板20が配置される構成としてもよい。このような構成とした場合でも、微細穿孔板12と背面板20との間の領域には気体(空気)が存在し、微細穿孔板12と第1の枠体16と背面板20とで略閉空間を形成する。このような構成の場合には、第1の枠体16の厚みは、5mm以上とするのが好ましい。また、第1の枠体16の孔部17の開口径は、1mm以上とするのが好ましい。
背面板20の厚さは、0.1mm〜10mmが好ましい。
また、背面板20の材質としては、アルミニウム、および、鉄等の各種金属、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の各種樹脂材料が利用可能である。
また、背面板20は、防音構造体を設置する各種機器の構成部材、あるいは、壁等であってもよい。すなわち、例えば、微細穿孔板と第1の枠体とからなる防音構造体を壁に設置する際に、第1の枠体の微細穿孔板が配置される面とは反対側の面を壁に接するように配置することで、壁を背面板20として利用する構成としてもよい。
[開口構造体]
本発明の開口構造体は、
上記の防音構造体と、
開口を有する開口部材とを有し、開口部材の開口内に、開口部材の開口断面に垂直な方向に対して微細穿孔板の膜面の垂線方向が交差するように防音構造体を配置し、開口部材に気体が通過する通気口となる領域を設けた開口構造体である。
図11は、本発明の開口構造体の一例を模式的に示す断面図である。
図11に示す開口構造体100は、防音構造体10cと、開口部材102とを有し、開口部材102の開口内に、防音構造体10cが配置されている。
図11に示すように、開口構造体100において、防音構造体10cは、微細穿孔板12の膜面の垂線方向zが、開口部材102の開口断面に垂直な方向sに対して交差するように配置される。また、開口構造体100の開口と、開口内に配置された防音構造体10cとの間には、気体が通過可能な通気口となる領域qが設けられる。
なお、図11の防音構造体10cは、図8に示す防音構造体10cと同様の構成の防音構造体である。本発明の開口構造体に用いられる防音構造体は、微細穿孔板12と、第1の枠体16と、第2の枠体18とを有する防音構造体であればよい。
開口部材102がダクトのような長さを有する筒状の部材で、この開口部材102内に防音構造体10cを配置する場合には、音は、開口部材102の開口内を開口断面に略垂直な方向sに進行するので、開口断面に略垂直な方向sが音源の方向となる。したがって、開口部材102の開口断面に垂直な方向sに対して微細穿孔板12の膜面の垂線方向zを傾けて配置することによって、防音対象とする音源の方向に対して、膜面の垂線方向zが傾いた状態に配置される。すなわち、本発明の開口構造体は、音が膜面に垂直に当たらずに、斜め方向あるいは平行に当たる音を吸収する。
なお、図11に示す例では、開口部材102の開口断面に垂直な方向sに対して、微細穿孔板12の膜面の垂線方向が約45度となるように防音構造体10cが配置されているが、これに限定はされず、開口部材102の開口断面に垂直な方向sに対して微細穿孔板12の膜面の垂線方向zが交差するように防音構造体10cが配置されていればよい。
吸音性能、通気性、すなわち通気孔を大きくとること、ファンなどの風を伴う騒音構造の場合に、膜面に当たる風の量を小さくすること、等の観点から、開口部材102の開口断面に垂直な方向sに対する、防音構造体10cの微細穿孔板12の膜面に垂線方向zの角度は、20度以上が好ましく、45度以上がより好ましく、80度以上がさらに好ましい。また、上記角度の上限は90°である。
また、図示例においては、防音構造体10cを開口部材102の開口内に配置する構成としたが、これに限定はされず、防音構造体10cが開口部材102の端面からはみ出した位置に配置される構成であってもよい。具体的には、開口部材102の開口端から開口端補正距離以内に配置されているのが好ましい。開口部材102を用いる場合には、開口端補正の距離だけ、音場の定在波の腹が開口部材102の開口の外側に、はみ出しており、開口部材102の外であっても防音性能を有することができる。なお、円筒形の開口部材102の場合の開口端補正距離は、大凡0.61×管半径で与えられる。
ここで、もし第2の枠体のない微細穿孔板だけが開口部材内に開口部材の開口断面に垂直な方向に水平に配置されていたとすると、その膜の両面における音圧と局所速度は全く同一になる。その場合、同一の圧力が両面から掛かるために音が微小孔内を通って反対面に向かう力(すなわち膜の垂線成分の要素を持つ向きの力)が働かない。よって、この場合吸収が起こらないと推測できる。
これに対して、本発明の開口構造体では、第2の枠体が存在することにより、防音構造体に向かって進行してきた音が第2の枠体によって回り込む。その際、微細穿孔板の両面から枠端までの距離が異なる場合には、枠の両方から回り込む音の通る距離が異なるために微細穿孔板の両面の音場に位相差をつけ、また回折の効果により音の局所的な進行方向を変化させて微細穿孔板の垂線方向成分を作る効果があると考えられる。すなわち、第2の枠体を有することによって微細穿孔板の両面における位相を変化させ、音圧と局所速度を異なる状態とし、空気を微細な貫通孔に通過させることができるので、貫通孔の内壁面と空気との摩擦による音のエネルギーの熱エネルギーへの変換を生じさせて吸音することができる。
ここで、図11に示す開口構造体100は、開口部材102内に1つの防音セルを有する防音構造体10cを配置する構成としたが、これに限定はされず、2以上の防音セルを有する防音構造体を開口部材102内に配置する構成であってもよい。また、2以上の防音構造体を開口部材102内に配置する構成であってもよい。
なお、本発明において、開口部材は、気体の通過を遮断する物体の領域内に形成される開口を有することが好ましく、2つの空間を隔てる壁に設けられることが好ましい。
ここで、開口が形成される領域を持ち、気体の通過を遮断する物体とは、2つの空間を隔てる部材、及び壁等を言い、部材としては、管体、および、筒状部材等の部材を言い、壁としては、例えば、家、ビル、および、工場等の建造物の構造体を構成する固定壁、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る固定間仕切り(パーティション)等の固定壁、ならびに、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る可動間仕切り(パーティション)等の可動壁等を言う。
本発明において開口部材とは、窓枠、戸、出入り口、換気口、ダクト部、および、ルーバー部など通気、放熱、および、物質の移動を目的として開放部を有する部材である。すなわち、開口部材は、ダクト、ホース、パイプ、および、導管等の管体、あるいは、筒状部材であっても良いし、ルーバ、および、ガラリ等の取り付けられるような換気口部、ならびに、窓等を取り付けるための開口を持つ壁自体であっても良いし、パーティション上部と天井および/または壁で構成される部分でもよく、壁に取り付けられる窓枠等の窓部材等であっても良い。すなわち、周辺が閉曲線で囲まれている部分が開口部であり、そこに本発明の防音構造体が配置されることが好ましい。
なお、本発明において、開口部材の開口に、防音構造体を配置できれば、開口の断面形状には限定はなく、例えば、円形、正方形、長方形、ひし形および平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形および直角三角形等の三角形、正五角形および正六角形等の正多角形を含む多角形、ならびに、楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
また、本発明の開口部材の材料としては、特に制限的ではなく、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、カーボンファイバ、および、壁材等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。また、壁材としては、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル、および、木材等の壁材等を挙げることができる。
以下、本発明の防音構造体の構成要素について説明する。
微細穿孔板12は、複数の貫通孔14を有し、外部からの音波に対応して、貫通孔14を音が通過することにより、および、膜振動することにより音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音する。
ここで、前述のとおり、本発明においては、微細穿孔板12は第1の枠体16に接して配置されるため、第1の枠体16により抑えられるように固定されて、共鳴振動周波数が可聴域よりも高くなる。
微細穿孔板12は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔14を有する。微細穿孔板12に形成される複数の貫通孔14は、平均開口径が0.1μm以上250μm以下であるのが好ましい。
前述のとおり、微細穿孔板12と第1の枠体16とは、接していれば良く、固定されていなくてもよいが、接着剤で固定するのが好ましい。
また、本発明者らの検討によれば、貫通孔の平均開口率には最適な割合が存在し、特に平均開口径が50μm程度以上と比較的大きいときには平均開口率が小さいほど、吸収率が高くなることを見出した。平均開口率が大きい場合には、多くの貫通孔のそれぞれを音が通過するのに対して、平均開口率が小さい場合には、貫通孔の数が少なくなるため、1つの貫通孔を通過する音が多くなり、貫通孔を通過する際の空気の局所速度がより増大して、貫通孔の縁部や内壁面で生じる摩擦をより大きくすることができると考えられる。
ここで、吸音性能等の観点から、貫通孔の平均開口径は、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。
また、平均開口径の下限値は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。平均開口径が小さすぎると貫通孔を通過する際の粘性抵抗が高すぎて十分に音が通らないため開口率を高くしても吸音効果が十分に得られない。
また、貫通孔の平均開口率は、平均開口径等に応じて適宜設定すればよいが、吸音性能および通気性等の観点から、貫通孔の平均開口率は、2%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上が更に好ましい。また、通気性および排熱性がより重要な場合には、10%以上が好ましい。
ここで、微細穿孔板12は、複数の貫通孔14の平均開口径を0.1μm以上100μmとし、平均開口径をphi(μm)、微細穿孔板12の厚みをt(μm)としたときに、貫通孔14の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある構成を有するのが好ましい。
貫通孔の平均開口径を0.1μm以上100μm未満とし、複数の貫通孔14の平均開口径をphi(μm)、シート部材12の厚みをt(μm)としたときに、貫通孔14の平均開口率rhoが、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にあることによって、より高い吸音効果が得られる。
また、平均開口率rhoは、rho_center-0.050×(phi/30)-2以上、rho_center+0.505×(phi/30)-2以下の範囲が好ましく、rho_center-0.048×(phi/30)-2以上、rho_center+0.345×(phi/30)-2以下の範囲がより好ましく、rho_center-0.085×(phi/20)-2以上、rho_center+0.35×(phi/20)-2以下の範囲がさらに好ましく、(rho_center-0.24×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.57×(phi/10)-2)以下の範囲が特に好ましく、(rho_center-0.185×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.34×(phi/10)-2)以下の範囲が最も好ましい。この点については、後述するシミュレーションで詳細に説明する。
なお、貫通孔の平均開口径は、微細穿孔板の一方の面から、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM 株式会社日立ハイテクテクノロジーズ製:FE-SEM S-4100)を用いて微細穿孔板の表面を倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真において、周囲が環状に連なっている貫通孔を20個抽出し、その開口径を読み取って、これらの平均値を平均開口径として算出する。もし、1枚のSEM写真内に貫通孔が20個未満の場合は、周辺の別の位置でSEM写真を撮影し、合計個数が20個になるまでカウントする。
なお、開口径は、貫通孔部分の面積をそれぞれ計測し、同一の面積となる円に置き換えたときの直径(円相当直径)を用いて評価した。すなわち、貫通孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、同一面積となる円の直径で評価した。従って、例えば、2以上の貫通孔が一体化したような形状の貫通孔の場合にも、これを1つの貫通孔とみなし、貫通孔の円相当直径を開口径とする。
これらの作業は、例えば「Image J」(https://imagej.nih.gov/ij/)を用いて、Analyze Particlesにより円相当直径、開口率などを全て計算することができる。
また、平均開口率は、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微細穿孔板の表面を真上から倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真の30mm×30mmの視野(5箇所)について、画像解析ソフト等で2値化して貫通孔部分と非貫通孔部分を観察し、貫通孔の開口面積の合計と視野の面積(幾何学的面積)とから、比率(開口面積/幾何学的面積)を算出し、各視野(5箇所)における平均値を平均開口率として算出する。
ここで、本発明の防音構造体において、複数の貫通孔は、規則的に配列されていてもよく、ランダムに配列されていてもよい。微細な貫通孔の生産性や、吸音特性のロバスト性、さらに音の回折を抑制する等の観点から、ランダムに配列されているのが好ましい。音の回折に関しては、貫通孔が周期的に配列されているとその貫通孔の周期に従って音の回折現象が生じ、音が回折により曲がり騒音の進む方向が複数に分かれる懸念がある。ランダムとは完全に配列したような周期性は持たない配置になっている状態であり、各貫通孔による吸収効果が現れる一方で、貫通孔間最小距離による回折現象は生じない配置となる。
また、本発明の実施例ではロール状の連続処理中でのエッチング処理により作製したサンプルもあるが、大量生産のためには周期的配列を作製するプロセスよりも表面処理など一括でランダムなパターンを形成する方が容易であるため、生産性の観点からもランダムに配列されていることが好ましい。
なお、本発明において、貫通孔がランダムに配置されるとは、以下のように定義する。
完全に周期構造であるときには強い回折光が現れる。また、周期構造のごく一部だけ位置が異なるなどしても、残りの構造によって回折光が現れる。回折光は、周期構造の基本セルからの散乱光の重ね合わせで形成される波であるため、ごく一部だけ乱されても残りの構造による干渉が回折光を生じるというメカニズムである。
よって、周期構造から乱れた基本セルが多くなればなるほど、回折光を強めあう干渉をする散乱光が減っていくことにより、回折光の強さが小さくなる。
よって、本発明における「ランダム」とは、少なくとも全体の10%の貫通孔が周期構造からずれた状態であることを示す。上記の議論より、回折光を抑制するためには周期構造からずれた基本セルが多いほど望ましいため、全体の50%がずれている構造が好ましく、全体の80%がずれている構造がより好ましく、全体の90%がずれている構造がさらに好ましい。
ずれの検証としては、貫通孔が5個以上が収まる画像をとり、その分析を行うことでできる。収める貫通孔の数は多い方がより精度の高い分析を行うことができる。画像は光学顕微鏡によっても、SEMによっても、その他、貫通孔複数個の位置を認識できる画像であったら用いることができる。
撮影した画像において、一つの貫通孔に着目し、その周囲の貫通孔との距離を測定する。最近接である距離をa1、第二、第三、第四番目に近い距離をそれぞれa2、a3、a4とする。このとき、a1からa4の中で二つ以上の距離が一致する場合(例えば、その一致した距離をb1とする)、その貫通孔はb1の距離について周期構造を持つ孔として判断できる。一方で、a1からa4のどの距離も一致しない場合、その貫通孔は周期構造からずれた貫通孔として判断できる。この作業を画像上の全貫通孔に行い判断を行う。
ここで、上記「一致する」は着目した貫通孔の孔径をΦとしたときにΦのずれまでは一致したとする。つまり、a2−Φ<a1<a2+Φの関係であるとき、a2とa1は一致したとする。これは、回折光が各貫通孔からの散乱光を考えているため、孔径Φの範囲では散乱が生じていると考えられるためである。
次に、例えば「b1の距離について周期構造を持つ貫通孔」の個数を数えて、画像上の全貫通孔の個数に対する割合を求める。この割合をc1としたとき、割合c1が周期構造を持つ貫通孔の割合であり、1−c1が周期構造からずれた貫通孔の割合となり、1−c1が上記の「ランダム」を決める数値となる。複数の距離、例えば「b1の距離について周期構造を持つ貫通孔」と「b2の距離について周期構造を持つ貫通孔」が存在した場合、b1とb2についてはそれぞれ別にカウントする。b1の距離について周期構造の割合がc1、b2の距離について周期構造の割合がc2であったとすると、(1−c1)と(1−c2)がともに10%以上である場合にその構造は「ランダム」となる。
一方で、(1−c1)と(1−c2)のいずれかが10%未満となる場合、その構造は周期構造を持つことになり「ランダム」ではない。このようにして、いずれの割合c1、c2、…に対しても「ランダム」の条件を満たす場合に、その構造を「ランダム」と定義する。
また、複数の貫通孔は、1種類の開口径の貫通孔からなるものであってもよく、2種以上の開口径の貫通孔からなるものであってもよい。生産性の観点、耐久性の観点等から、2種以上の開口径の貫通孔からなるのが好ましい。
生産性としては、上記のランダム配列と同じく、大量にエッチング処理を行う観点から開口径にばらつきを許容した方が生産性が向上する。また、耐久性の観点としては、環境によってほこりやごみのサイズが異なるため、もし1種類の開口径の貫通孔とすると主要なゴミのサイズが貫通孔とほぼ合致するときに全ての貫通孔に影響を与えることとなる。複数種類の開口径の貫通孔を設けておくことによって、様々な環境において適用できるデバイスとなる。
また、国際公開WO2016/060037号に記載の製造方法などによって、貫通孔内部で孔径が膨らんでいる、内部で最大径となる貫通孔を形成することができる。この形状によって、貫通孔サイズ程度のゴミ(埃、トナー、不織布や発泡体のバラけたものなど)が内部に詰まりにくくなり、貫通孔を有する膜の耐久性が向上する。
貫通孔の最表面の直径より大きなゴミは貫通孔内に侵入せず、一方直径より小さなゴミは内部直径が大きくなっていることよりそのまま貫通孔内を通過できる。
これは、逆の形状で内部がすぼまっている形状を考えると、貫通孔の最表面を通ったゴミが内部の直径が小さい部分に引っかかり、ゴミがそのまま残りやすいことと比較すると、内部で最大径となる形状がゴミの詰まり抑制では有利に機能することがわかる。
また、いわゆるテーパー形状のように、膜のどちらか一方の表面が最大径となり、内部直径が略単調減少する形状においては、最大径となる方から「最大径>ゴミのサイズ>もう一方の表面の直径」の関係を満たすゴミが入った場合に、内部形状がスロープのように機能して途中で詰まる可能性がさらに大きくなる。
また、音が貫通孔内を通過する際の摩擦をより大きくする観点から、貫通孔の内壁面は、粗面化されているのが好ましい。具体的には、貫通孔の内壁面の表面粗さRaは、0.1μm以上であるのが好ましく、0.1μm〜10.0μmであるのがより好ましく、0.15μm以上1.0μm以下であるのがより好ましい。
ここで、表面粗さRaは貫通孔内をAFM(Atomic Force Microscope)で計測することによって測定を行うことができる。AFMとしては、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製:SPA300 / SPI3800Nを用いることができる。カンチレバーはOMCL-AC200TSを用い、DFM(Dynamic Force Mode)モード(タッピングモード)で測定することができる。貫通孔の内壁面の表面粗さは、数ミクロン程度であるため、数ミクロンの測定範囲および精度を有する点から、AFMを用いることが好ましい。
また、貫通孔内のSEM画像から貫通孔内の凹凸の凸部の一つ一つを粒子とみなして、凸部の平均粒径を算出することができる。
具体的には、2000倍で撮影したSEM画像をImage Jに取り込み、凸部が白となるように白黒に二値化し、その各凸部の面積をAnalyze Particlesにて求める。その各面積と同一面積となる円を想定した円相当直径を各凸部について求めて、その平均値を平均粒径として算出した。このSEM画像の撮影範囲は100μm×100μm程度となる。
この凸部の平均粒径は0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。
ここで、貫通孔の視認性の観点からは、微細穿孔板に形成される複数の貫通孔の平均開口径は、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
本発明の防音構造体に用いられる、微細な貫通孔を有する微細穿孔板を壁表面や目に見えるところに配置する場合、貫通孔自体が見えてしまうとデザイン性を損ない、見た目として孔があいていることが気になるため、貫通孔が見えにくいことが望ましい。部屋内の防音壁、調音壁、防音パネル、調音パネル、および、機械の外装部分など様々なところで貫通孔が見えてしまうと問題になる。
まず、一つの貫通孔の視認性について検討する。
以下、人間の目の分解能が視力1の場合において議論する。
視力1の定義は1分角を分解して見えることである。これは30cmの距離で87μmが分解できることを示す。視力1の場合の距離と分解能との関係を図47に示す。
貫通孔が見えるかどうかは、上記視力に強く関係する。視力検査をランドルト環のギャップ部分の認識で行うように、二点及び/又は二線分間の空白が見えるかは分解能に依存する。すなわち、目の分解能未満の開口径の貫通孔は、貫通孔のエッヂ間の距離が目で分解ができないため視認が困難となる。一方で目の分解能以上の開口径の貫通孔の形状は認識できる。
視力1の場合、100μmの貫通孔は35cmの距離から分解できるが、50μmの貫通孔は18cm、20μmの貫通孔は7cmの距離まで近づかないと分解することができない。よって、100μmの貫通孔では視認できて気になる場合でも、20μmの貫通孔を用いることで1/5の極めて近い距離に近づかない限り認識できない。よって、開口径が小さい方が貫通孔の隠ぺいに有利となる。防音構造体を壁や車内に用いたときに観察者からの距離は一般的に数10cmの距離となるが、その場合は開口径100μm程度がその境目となる。
次に、貫通孔によって生じる光散乱について議論する。可視光の波長は400nm〜800nm(0.4μm〜0.8μm)程度であるため、本発明で議論している数10μmの開口径は十分に光学波長より大きい。この場合、可視光において散乱断面積(物体がどれだけ強く散乱するかを示す量、単位は面積)は幾何学的断面積、すなわち今回の場合では貫通孔の断面積にほぼ一致する。すなわち、可視光が散乱される大きさは貫通孔の半径(円相当直径の半分)の二乗に比例することが分かる。よって、貫通孔が大きければ大きいほど、光の散乱の強さが貫通孔の半径の二乗で大きくなっていく。貫通孔単体の見えやすさは光の散乱量に比例するため、平均開口率が同一の場合でも貫通孔一つ一つが大きい場合の方が見えやすい。
最後に、貫通孔の配列に関して周期性を有さないランダムな配列と、周期的な配列との差について検討する。周期的な配列では、その周期に応じて光の回折現象が生じる。この場合、透過する白色光、反射する白色光および広いスペクトルの光等が当たった場合に、光が回折して虹のように色がずれて見える、特定角度で強く反射するなど、色みが様々に見えてしまうことでパターンが目立つ。
一方で、ランダムに配列した場合は上記の回折現象が生じない。また、反射配置で眺めても見た目は通常のアルミニウム箔と同等の金属光沢を有し、回折反射が生じていないことを確認した。
また、微細穿孔板12の厚みは、第1の枠体16及び微細穿孔板12からなる構造の固有振動モードを所望の周波数に得るために適宜設定すればよい。また、厚みが厚いほど音が貫通孔を通過する際に受ける摩擦エネルギーが大きくなるため吸音性能がより向上すると考えられる。また、極端に薄い場合には取り扱いが難しく破けやすいため、保持できる程度の厚みはあった方が望ましい。一方で、小型化、通気性および光の透過性の観点からは厚みが薄いのが好ましい。また、貫通孔の形成方法にエッチングなどを用いる場合は、厚みが厚いほど作製に時間がかかるため生産性の観点からは薄い方が望ましい。
吸音性能、小型化、通気性および光の透過性等の観点から、微細穿孔板12の厚みは、5μm〜500μmが好ましく、10μm〜300μmがより好ましく、20μm〜100μmが特に好ましい。
微細穿孔板12の材質も、防音構造体の固有振動モードを所望の周波数に得るために適宜設定すればよい。例えば、微細穿孔板12の材料としては、膜状にできる樹脂材料、箔状にできる金属材料、その他繊維状の膜になる材質の材料、不織布、ナノサイズのファイバーを含むフィルム、薄く加工したポーラス材料、薄膜構造に加工したカーボン材料、および、ゴム材料等、薄い構造を形成できる材質又は構造等を挙げることができる。具体的には、金属材料としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、イリジウム等の各種金属、および、これら金属の合金を挙げることができる。また、樹脂材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルベンテン、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート、ゼオノア、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレン、および、ポリイミド等の樹脂材料等が利用可能である。その他繊維状の膜になる材質の材料としては、例えば紙、および、セルロース等を挙げることができる。薄く加工したポーラス材料としては、例えば薄く加工したウレタン、および、シンサレート等を挙げることができる。さらに、薄膜ガラスなどのガラス材料、CFRP(炭素繊維強化プラスチック:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック:Glass Fiber Reinforced Plastics)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。また、ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、および、天然ゴムをあげることができる。
また、微細穿孔板12の材料として、繊維状の材料を用いる場合には、繊維状のものが重なりあったもの(不織布)、または繊維が編まれたもの(網、織布)でもよく、平面視した際に繊維間にできる開口の平均開口径が0.1μm以上250μm以下となるようにすれるのが好ましく、平均開口径が0.1μm以上100μm未満で、平均開口率rhoが上述の範囲(rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲)にあるのが好ましい。
また、微細穿孔板12は、これらの材料からなる膜を積層した構成としてもよい。
本発明の防音構造体は、第一固有振動周波数での膜振動を生じるため、板状部材は振動に対して割れにくいことが好ましい。一方で、微細な貫通孔での摩擦による吸音を活かすために板状部材は、バネ定数が大きく振動の変位をあまり大きくしない、高ヤング率の材料を用いることが好ましい。これらの観点から、金属材料を用いるのが好ましい。なかでも、軽量である、エッチング等により微小な貫通孔を形成しやすい、入手性やコスト等の観点からアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
さらに、少なくとも貫通孔の内表面に金属めっきを施すことによって、貫通孔の平均開口径をより小さい範囲に調整してもよい。
また、微細穿孔板の材料として、金属材料のように導電性を持ち帯電しない材料を用いることによって、微小な埃およびゴミ等が静電気で膜に引き寄せられることがなく、微細穿孔板の貫通孔に埃およびゴミ等が詰まって吸音性能が低下することを抑制できる。
また、微細穿孔板の材料として金属材料を用いることによって、耐熱性を高くできる。また、耐オゾン性を高くすることができる。
また、微細穿孔板として金属材料を用いる場合には、電波を遮蔽することができる。
また、金属材料は、遠赤外線による輻射熱に対する反射率が大きいため、微細穿孔板の材料として金属材料を用いることで、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としても機能する。その際、微細穿孔板には複数の貫通孔が形成されているが、貫通孔の開口径が小さいため微細穿孔板は反射膜として機能する。
金属に複数の微細な貫通孔が開いた構造は、周波数のハイパスフィルターとして機能することが知られている。例えば、電子レンジの金属の網目がついた窓は、高周波である可視光は通しながら、電子レンジに用いられるマイクロ波に対しては遮蔽する性質を持つ。この場合、貫通孔の孔径をΦ、電磁波の波長をλとしたときに、Φ<λの関係の長波長成分は通さず、Φ>λである短波長成分は透過するフィルターとして機能する。
ここで、輻射熱に対する応答を考える。輻射熱とは、物体から物体温度に応じて遠赤外線が放射され、それが他の物体に伝えられる伝熱機構である。ヴィーンの放射法則(Wien's radiation law)から、室温程度の環境における輻射熱はλ=10μmを中心として分布し、長波長側にはその3倍程度の波長まで(30μmまで)は実効的に熱を輻射で伝えることに寄与していることが知られている。上記ハイパスフィルターの孔径Φと波長λの関係を考えると、Φ=20μmの場合はλ>20μmの成分を強く遮蔽する一方で、Φ=50μmの場合はΦ>λの関係となり輻射熱が貫通孔を通って伝搬してしまう。すなわち、孔径Φが数10μmであるために孔径Φの違いによって輻射熱の伝搬性能が大きく変わり、孔径Φ、すなわち、平均開口径が小さいほど輻射熱カットフィルターとして機能することが分かる。従って、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としての観点からは、微細穿孔板に形成される貫通孔の平均開口径は20μm以下が好ましい。
一方で、防音構造体全体に透明性が必要な場合は、微細穿孔板の材料として、透明にできる樹脂材料やガラス材料を用いることができる。例えば、PETフィルムは樹脂材料の中ではヤング率も比較的高く、入手も容易で透明性も高いため、貫通孔を形成し好適な防音構造体とすることができる。
また、微細穿孔板は、その素材に応じて、適宜、表面処理(メッキ処理、酸化皮膜処理、表面コーティング(フッ素、セラミック)など)を行うことで、微細穿孔板の耐久性を向上することができる。例えば、微細穿孔板の材料としてアルミニウムを用いる場合には、アルマイト処理(陽極酸化処理)あるいはベーマイト処理を行なって表面に酸化皮膜を形成することができる。表面に酸化皮膜を形成することで、耐腐食性、耐摩耗性および耐擦傷性等を向上することができる。また、処理時間を調整して酸化皮膜の厚みを調整することで光学干渉による色味の調整を行なうことができる。
また、微細穿孔板に対して、色付け、加飾、装飾およびデザイン等を施すことができる。これらを施す方法としては、微細穿孔板の材質や表面処理の状態により適宜方法を選択すればよい。例えば、インクジェット法を用いた印刷などを用いることができる。また、微細穿孔板の材料としてアルミニウムを用いる場合には、カラーアルマイト処理を行うことで耐久性の高い色付けを行なうことができる。カラーアルマイト処理とは表面にアルマイト処理を行った後に、染料を浸透させ、その後に表面を封孔処理する処理のことである。これによって、金属光沢の有無や色など、デザイン性の高い板状部材とすることができる。また、貫通孔を形成したのちにアルマイト処理を行うことで、アルミニウム部分のみに陽極酸化被膜が形成されるために、染料が貫通孔を覆ってしまい吸音特性を低減するということなく加飾を行うことができる。
上記アルマイト処理と合わせることで、さまざまな色みやデザインをつけることができる。
<アルミニウム基材>
微細穿孔板として用いられるアルミニウム基材は、特に限定はされず、例えば、JIS規格H4000に記載されている合金番号1085、1N30、および、3003等の公知のアルミニウム基材を用いることができる。なお、アルミニウム基材は、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。
アルミニウム基材の厚みとしては、特に限定はないが、5μm〜1000μmが好ましく、5μm〜200μmがより好ましく、10μm〜100μmが特に好ましい。
[複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法]
次に、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法について、アルミニウム基材を用いる場合を例に説明する。
アルミニウム基材を用いた、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法は、
アルミニウム基材の表面に水酸化アルミニウムを主成分とする皮膜を形成する皮膜形成工程と、
皮膜形成工程の後に、貫通孔形成処理を行って貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
貫通孔形成工程の後に、水酸化アルミニウム皮膜を除去する皮膜除去工程と、
を有する。
皮膜形成工程と貫通孔形成工程と皮膜除去工程とを有することにより、平均開口径が0.1μm以上250μm以下の貫通孔を好適に形成することができる。
次に、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法の各工程を図12A〜図12Eを用いて説明した後に、各工程について詳述する。
図12A〜図12Eは、アルミニウム基材を用いた、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法の好適な実施態様の一例を説明するための模式的な断面図である。
複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法は、図12A〜図12Eに示すように、アルミニウム基材11の一方の主面に対して皮膜形成処理を施し、水酸化アルミニウム皮膜13を形成する皮膜形成工程(図12Aおよび図12B)と、皮膜形成工程の後に電解溶解処理を施して貫通孔14を形成し、アルミニウム基材11および水酸化アルミニウム皮膜13に貫通孔を形成する貫通孔形成工程(図12Bおよび図12C)と、貫通孔形成工程の後に、水酸化アルミニウム皮膜13を除去し、貫通孔14を有する微細穿孔板12を作製する皮膜除去工程(図12Cおよび図12D)と、を有する製造方法である。
また、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法は、皮膜除去工程の後に、貫通孔14を有する微細穿孔板12に電気化学的粗面化処理を施し、微細穿孔板12の表面を粗面化する粗面化処理工程(図12Dおよび図12E)を有しているのが好ましい。
水酸化アルミニウム皮膜には小さな孔ができやすいため、水酸化アルミニウム皮膜を形成する皮膜形成工程の後に、貫通孔形成工程において電解溶解処理を施して貫通孔を形成することによって、平均開口径が0.1μm以上250μμm以下の貫通孔を形成することができる。
〔皮膜形成工程〕
本発明において、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法が有する皮膜形成工程は、アルミニウム基材の表面に皮膜形成処理を施し、水酸化アルミニウム皮膜を形成する工程である。
<皮膜形成処理>
上記皮膜形成処理は特に限定されず、例えば、従来公知の水酸化アルミニウム皮膜の形成処理と同様の処理を施すことができる。
皮膜形成処理としては、例えば、特開2011−201123号公報の[0013]〜[0026]段落に記載された条件や装置を適宜採用することができる。
本発明においては、皮膜形成処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間1秒〜20分であるのが適当であり、所望の皮膜量となるように調整される。
本発明においては、電解液として、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、シュウ酸、あるいは、これらの酸の2以上の混酸を用いて電気化学的処理を行うのが好ましい。
硝酸、塩酸を含む電解液中で電気化学的処理を行う場合には、アルミニウム基材と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。アルミニウム基材に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜50A/dm2であるのがより好ましい。連続的に電気化学的処理を行う場合には、アルミニウム基材に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
本発明においては、皮膜形成処理により形成される水酸化アルミニウム皮膜の量は0.05〜50g/m2であるのが好ましく、0.1〜10g/m2であるのがより好ましい。
〔貫通孔形成工程〕
貫通孔形成工程は、皮膜形成工程の後に電解溶解処理を施し、貫通孔を形成する工程である。
<電解溶解処理>
上記電解溶解処理は特に限定されず、直流または交流を用い、酸性溶液を電解液に用いることができる。中でも、硝酸、および、塩酸の少なくとも1以上の酸を用いて電気化学処理を行うのが好ましく、これらの酸に加えて硫酸、燐酸、および、シュウ酸の少なくとも1以上の混酸を用いて電気化学的処理を行うのが更に好ましい。
本発明においては、電解液である酸性溶液としては、上記酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
酸性溶液の濃度は0.1〜2.5質量%であるのが好ましく、0.2〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、酸性溶液の液温は20〜80℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。
また、上記酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、および、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、および、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、および、硫酸アンモニウム等の硫酸イオンを有する硫酸化合物少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。
また、上記酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、および、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、酸の濃度0.1〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが1〜100g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、および、硫酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
電気化学的溶解処理には、主に直流電流が用いられるが、交流電流を使用する場合にはその交流電源波は特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、および、三角波等が用いられ、中でも、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。
(硝酸電解)
本発明においては、硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的溶解処理(以下、「硝酸溶解処理」とも略す。)により、容易に、平均開口径が0.1μm以上250μm以下となる貫通孔を形成することができる。
ここで、硝酸溶解処理は、貫通孔形成の溶解ポイントを制御しやすい理由から、直流電流を用い、平均電流密度を5A/dm2以上とし、かつ、電気量を50C/dm2以上とする条件で施す電解処理であるであるのが好ましい。なお、平均電流密度は100A/dm2以下であるのが好ましく、電気量は10000C/dm2以下であるのが好ましい。
また、硝酸電解における電解液の濃度や温度は特に限定されず、高濃度、例えば、硝酸濃度15〜35質量%の硝酸電解液を用いて20〜60℃で電解を行ったり、硝酸濃度0.7〜2質量%の硝酸電解液を用いて高温、例えば、80℃以上で電解を行うことができる。
また、上記硝酸電解液に濃度0.1〜50質量%の硫酸、シュウ酸、および、燐酸の少なくとも1つを混ぜた電解液を用いて電解を行うことができる。
(塩酸電解)
本発明においては、塩酸を主体とする電解液を用いた電気化学的溶解処理(以下、「塩酸溶解処理」とも略す。)によっても、容易に、平均開口径が1μm以上250μm以下となる貫通孔を形成することができる。
ここで、塩酸溶解処理は、貫通孔形成の溶解ポイントを制御しやすい理由から、直流電流を用い、平均電流密度を5A/dm2以上とし、かつ、電気量を50C/dm2以上とする条件で施す電解処理であるであるのが好ましい。なお、平均電流密度は100A/dm2以下であるのが好ましく、電気量は10000C/dm2以下であるのが好ましい。
また、塩酸電解における電解液の濃度や温度は特に限定されず、高濃度、例えば、塩酸濃度10〜35質量%の塩酸電解液を用いて20〜60℃で電解を行ったり、塩酸濃度0.7〜2質量%の塩酸電解液を用いて高温、例えば、80℃以上で電解を行うことができる。
また、上記塩酸電解液に濃度0.1〜50質量%の硫酸、シュウ酸、燐酸の少なくとも1つを混ぜた電解液を用いて電解を行うことができる。
〔皮膜膜除去工程〕
皮膜除去工程は、化学的溶解処理を行って水酸化アルミニウム皮膜を除去する工程である。
上記皮膜除去工程は、例えば、後述する酸エッチング処理あるいはアルカリエッチング処理を施すことにより水酸化アルミニウム皮膜を除去することができる。
<酸エッチング処理>
上記溶解処理は、アルミニウムよりも水酸化アルミニウムを優先的に溶解させる溶液(以下、「水酸化アルミニウム溶解液」という。)を用いて水酸化アルミニウム皮膜を溶解させる処理である。
ここで、水酸化アルミニウム溶解液としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、シュウ酸、クロム化合物、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選択される少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的には、クロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、および、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、および、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、および、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、および、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、および、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、および、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。
上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、および、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、および、臭素が挙げられる。
中でも、上記水酸化アルミニウム溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、および、シュウ酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。
溶解処理は、水酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基材を上述した溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、水酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基材を上述した溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記水酸化アルミニウム皮膜をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解させる処理である。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム(カセイソーダ)、および、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、メタケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、および、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、および、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、および、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、および、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、および、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、0.1〜50質量%であるのが好ましく、0.2〜10質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜3質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は10〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
水酸化アルミニウム皮膜をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、水酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基材をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、水酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基材をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液を水酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基材の表面(水酸化アルミニウム皮膜)に噴きかける方法が挙げられる。
〔粗面化処理工程〕
本発明において、複数の貫通孔を有する微細穿孔板の製造方法が有していてもよい任意の粗面化処理工程は、水酸化アルミニウム皮膜を除去したアルミニウム基材に対して電気化学的粗面化処理(以下、「電解粗面化処理」とも略す。)を施し、アルミニウム基材の表面ないし裏面を粗面化する工程である。
なお、上記実施形態では、貫通孔を形成した後に粗面化処理を行う構成としたが、これに限定はされず、粗面化処理の後に貫通孔を形成する構成としてもよい。
本発明においては、硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理(以下、「硝酸電解」とも略す。)により、容易に表面を粗面化することができる。
あるいは、塩酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理(以下、「塩酸電解」とも略す。)によっても、粗面化することができる。
〔金属被覆工程〕
本発明において、複数の貫通孔を有する板状部材の製造方法は、上述した電解溶解処理により形成された貫通孔の平均開口径を0.1μm〜20μm程度の小さい範囲に調整できる理由から、上述した皮膜除去工程の後に、少なくとも貫通孔の内壁を含むアルミニウム基材の表面の一部または全部をアルミニウム以外の金属で被覆する金属被覆工程を有しているのが好ましい。
ここで、「少なくとも貫通孔の内壁を含むアルミニウム基材の表面の一部または全部をアルミニウム以外の金属で被覆する」とは、貫通孔の内壁を含むアルミニウム基材の全表面のうち、少なくとも貫通孔の内壁については被覆されていることを意味しており、内壁以外の表面は、被覆されていなくてもよく、一部または全部が被覆されていてもよい。
金属被覆工程は、貫通孔を有するアルミニウム基材に対して、例えば、後述する置換処理およびめっき処理を施すものである。
<置換処理>
上記置換処理は、少なくとも貫通孔の内壁を含むアルミニウム基材の表面の一部または全部に、亜鉛または亜鉛合金を置換めっきする処理である。
置換めっき液としては、例えば、水酸化ナトリウム120g/L、酸化亜鉛20g/L、結晶性塩化第二鉄2g/L、ロッセル塩50g/L、硝酸ナトリウム1g/Lの混合溶液などが挙げられる。
また、市販のZnまたはZn合金めっき液を使用してもよく、例えば、奥野製薬工業株式会社製サブスターZn−1、Zn−2、Zn−3、Zn−8、Zn−10、Zn−111、Zn−222、および、Zn−291等を使用することができる。
このような置換めっき液へのアルミニウム基材の浸漬時間は15秒〜40秒であるのが好ましく、浸漬温度は20〜50℃であるのが好ましい。
<めっき処理>
上述した置換処理により、アルミニウム基材の表面に亜鉛または亜鉛合金を置換めっきして亜鉛皮膜を形成させた場合は、例えば、後述する無電解めっきにより亜鉛皮膜をニッケルに置換させた後、後述する電解めっきにより各種金属を析出させる、めっき処理を施すのが好ましい。
(無電解めっき処理)
無電解めっき処理に用いるニッケルめっき液としては、市販品が幅広く使用でき、例えば、硫酸ニッケル30g/L、次亜リン酸ソーダ20g/L、および、クエン酸アンモニウム50g/Lを含む水溶液などが挙げられる。
また、ニッケル合金めっき液としては、りん化合物が還元剤となるNi−P合金めっき液あるいはホウ素化合物が還元剤となるNi−Bメッキ液などが挙げられる。
このようなニッケルめっき液あるいはニッケル合金めっき液への浸漬時間は15秒〜10分であるのが好ましく、浸漬温度は30℃〜90℃であるのが好ましい。
(電解めっき処理)
電解めっき処理として、例えば、Cuを電気めっきする場合のめっき液は、例えば、硫酸Cu 60〜110g/L、硫酸 160〜200g/Lおよび塩酸 0.1〜0.15mL/Lを純水に加え、さらに奥野製薬株式会社製トップルチナSFベースWR 1.5〜5.0mL/L、トップルチナSF−B 0.5〜2.0mL/L及びトップルチナSFレベラー 3.0〜10mL/Lを添加剤として加えためっき液が挙げられる。
このような銅めっき液への浸漬時間は、Cu膜の厚さによるため特に限定されないが、例えば、2μmのCu膜をつける場合は、電流密度2A/dmで約5分間浸漬するのが好ましく、浸漬温度は20℃〜30℃であるのが好ましい。
〔水洗処理〕
本発明においては、上述した各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、および、水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
このような貫通孔を有する微細穿孔板の製造は、カットシート状のアルミニウム基材を用いて製造を行ってもよく、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRともいう)で行ってもよい。
周知のように、RtoRとは、長尺な原材料を巻回してなるロールから、原材料を引き出して、長手方向に搬送しつつ、表面処理等の各種の処理を行い、処理済の原材料を、再度、ロール状に巻回する製造方法である。
上述のようなアルミニウム基材に貫通孔を形成する製造方法は、RtoRによって、20μm程度の貫通孔を容易に効率よく形成することができる。
また、貫通孔の形成方法は、上述した方法に限定はされず、微細穿孔板の形成材料等に応じて、公知の方法で行えばよい。
例えば、微細穿孔板としてPETフィルム等の樹脂フィルムを用いる場合には、レーザー加工などのエネルギを吸収する加工方法、もしくはパンチング、および、針加工などの物理的接触による機械加工方法で貫通孔を形成することができる。
第1の枠体16は、複数の孔部17を有するものであり、微細穿孔板12の一方の面に接して配置され、微細穿孔板12の見かけの剛性を高くするための部材である。
第1の枠体16の孔部17の開口径は、微細穿孔板12の貫通孔14の開口径よりも大きい。また、第1の枠体16の孔部17の開口率は、微細穿孔板12の貫通孔14の開口率よりも大きい。
なお、第1の枠体16の孔部17の開口断面の形状は特に制限的ではなく、例えば、長方形、ひし形および平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形および直角三角形等の三角形、正五角形および正六角形等の正多角形を含む多角形、円形、ならびに、楕円形等のいずれの形状であっても良いし、不定形であっても良い。中でも、孔部17の開口断面の形状は正六角形であるのが好ましく、第1の枠体16は、断面形状が正六角形の複数の孔部17を最密に並べた、いわゆる、ハニカム構造を有するのが好ましい(図48参照)。第1の枠体16がハニカム構造を有する構成とすることによって、微細穿孔板12の見かけの剛性をより高くすることができ、容易に共鳴振動周波数を可聴域よりも高くすることができる。
なお、孔部17の開口径は、孔部17部分の面積をそれぞれ計測し、同一の面積となる円に置き換えたときの直径(円相当直径)とした。
具体的には、微細穿孔板12の剛性を好適に高める点、微細穿孔板12の貫通孔14よりも大きい開口径である点、貫通孔14を通過するパスへの影響を小さくする点、取り扱い上、指などが直接微細穿孔板12に触れないようにする点等の観点から、第1の枠体16の孔部17の開口径は、22mm以下であるのが好ましく、0.1mmより大きく15mm以下であるのがより好ましく、1mm以上10mm以下であるのが特に好ましい。
MPP(Micro Perforated Plate)と呼ばれる一般的な微細穿孔板は、直径100μm〜1mm程度の貫通孔を有する。このような微細な貫通孔を有する形成するためには、加工上の問題からアスペクト比(貫通孔の開口径と長さの比)が1程度となるような薄い板を用いる必要がある。従って、厚さ1mm以下の基板を微細穿孔板として用いるのが好ましい。厚さを1mm以下とした場合には、例えば、比較的剛性の高い材料であるアルミニウムを用いた場合でも、共鳴振動周波数を可聴域より大きくするためには、第1の枠体の孔部の開口径を22mm以下とする必要がある(後述する式(1)参照)。
また、微細穿孔板12の剛性を好適に高める点、微細穿孔板12の貫通孔14よりも大きい開口率である点、貫通孔14を通過するパスへの影響を小さくする点、取り扱い上、指などが直接微細穿孔板12に触れないようにする点等の観点から、第1の枠体16の孔部17の開口率は、1%より大きく、98%以下が好ましく、5%以上75%以下がより好ましく、10%以上50%以下が特に好ましい。
なお、第1の枠体16の厚さは、微細穿孔板12の剛性を好適に高めることができれば、特に制限的ではなく、例えば、微細穿孔板12の仕様、第1の枠体16の材質、孔部17の開口径等に応じて設定することができる。
第1の枠体16の形成材料としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料;アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料;炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、ならびに、紙等を挙げることができる。
金属材料は耐久性が高い点、不燃性である点等で好ましい。樹脂材料は、形成が容易な点、透明性を付与できる点等で好ましい。紙は、軽量である点、安価である点等で好ましい。
なかでも、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、および、鉄合金のいずれかを用いるのが好ましい。
第2の枠体18は、1以上の開口部19を有し、開口部19を覆うように微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体を固定し、かつ支持するためのものである。
なお、第2の枠体18は、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体の全周を固定して抑えることができるように閉じた連続した形状であることが好ましいが、これに限定はされず、第2の枠体18が、一部が切断され、不連続な形状であっても良い。
また、第2の枠体18の開口部19の開口断面の形状は特に制限的ではなく、例えば、正方形、長方形、ひし形および平行四辺形等の他の四角形、正三角形、二等辺三角形および直角三角形等の三角形、正五角形および正六角形等の正多角形を含む多角形、円形、ならびに、楕円形等のいずれの形状であっても良いし、不定形であっても良い。なお、第2の枠体18の開口部19の両側の端部は、共に閉塞されておらず、共にそのまま外部に開放されている。
また、第2の枠体18のサイズは、平面視のサイズであり、その開口部のサイズとして定義できるので、以下では、開口部のサイズとするが、円形または正方形のような正多角形の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができ、多角形、楕円又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径および半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径および半径である。
このような第2の枠体18の開口部のサイズは、特に制限的ではなく、本発明の防音構造体が防音のために適用される防音対象物、例えば、複写機、送風機、空調機器、換気扇、ポンプ類、発電機、ダクト、その他にも塗布機、回転機、および、搬送機など音を発するさまざまな種類の製造機器等の産業用機器;自動車、電車、および、航空機等の輸送用機器;冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビジョン、コピー機、電子レンジ、ゲーム機、エアコン、扇風機、PC、掃除機、および、空気清浄機等の一般家庭用機器などに応じて設定すればよい。
また、前述のとおり、第2の枠体18に微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体を固定した構成を防音セルとした場合に、この防音セルを単位防音セルとし、単位防音セルを複数有する防音構造体とすることもできる。これにより、開口部サイズをダクト等のサイズに合わせる必要もなく、複数の単位防音セルを合わせて、ダクト端に配置して防音に用いることもできる。
また、単位防音セルを複数設けることによって大面積に対応できる。
また、各単位防音セルにおいて、微細穿孔板12、第1の枠体16および第2の枠体18それぞれの形状および材質等が異ならせることによって、防音特性の異なる単位防音セルを組み合わせることが容易になる。
また、第2の枠体を有する防音構造体自体をパーティションのように用いて、複数の騒音源からの音を遮る用途に用いることもできる。
複数の単位防音セルを有する防音構造体において、単位防音セルの数には限定はない。例えば、単位防音セルの数は、機器内騒音遮蔽(反射及び/又は吸収)の場合には、1個〜10000個であることが好ましく、2〜5000であることがより好ましく、4〜1000であることが最も好ましい。
なお、第2の枠体18のサイズは適宜設定すればよい。例えば、第2の枠体18(開口部)のサイズは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、1mm〜100mmであることがより好ましく、2mm〜30mmであることが最も好ましい。
なお、第2の枠体18のフレームの肉厚、および、開口部19の貫通方向における厚さ(以下、第2の枠体18の厚さともいう)も、積層体を確実に固定し、支持できれば、特に制限的ではないが、例えば、第2の枠体18のサイズに応じて設定することができる。
ここで、図49に示すように、第2の枠体18のフレーム肉厚は、第2の枠体18の開口面における厚みの最も薄い部分の厚みd1である。また、第2の枠体18の厚さは、開口部の貫通方向における高さh1である。
例えば、第2の枠体18のフレームの肉厚は、第2の枠体18のサイズが、0.5mm〜50mmの場合には、0.5mm〜20mmであることが好ましく、0.7mm〜10mmであることがより好ましく、1mm〜5mmであることが最も好ましい。
第2の枠体18の肉厚が、第2の枠体18のサイズに対して比率が大きくなりすぎると、全体に占める第2の枠体18の部分の面積率が大きくなり、デバイスが重くなる懸念がある。一方、上記比率が小さくなりすぎると、その第2の枠体18部分において接着剤などによって積層体を強く固定することが難しくなってくる。
また、第2の枠体18のフレーム肉厚は、第2の枠体18のサイズが、50mm超、200mm以下の場合には、1mm〜100mmであることが好ましく、3mm〜50mmであることがより好ましく、5mm〜20mmであることが最も好ましい。
また、第2の枠体18の厚さ、すなわち、開口部の貫通方向の厚さは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、0.7mm〜100mmであることがより好ましく、1mm〜50mmであることが最も好ましい。
第2の枠体18の形成材料は、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体を支持でき、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境に応じて選択することができる。例えば、第2の枠体18の材料としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料;アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料;炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、ならびに、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)等を挙げることができる。
また、これらの第2の枠体18の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、第2の枠体18の開口部内には、従来公知の吸音材を配置してもよい。
吸音材を配置することによって、吸音材による吸音効果により、遮音特性をより向上できる。
吸音材としては、特に限定はなく、発泡ウレタン、および、不織布等の種々の公知の吸音材が利用可能である。
以下に、本発明の防音構造体を持つ防音部材に組合せることができる構造部材の物性、又は特性について説明する。
[難燃性]
建材や機器内防音材として本発明の防音構造体を持つ防音部材を使用する場合、難燃性であることが求められる。
そのため、微細穿孔板は、難燃性のものが好ましい。微細穿孔板として樹脂を用いる場合には、例えば難燃性のPETフィルムであるルミラー(登録商標)非ハロゲン難燃タイプZVシリーズ(東レ株式会社製)、テイジンテトロン(登録商標)UF(帝人株式会社製)、及び/又は難燃性ポリエステル系フィルムであるダイアラミー(登録商標)(三菱樹脂株式会社製)等を用いればよい。
また、アルミニウム、ニッケル、タングステンおよび銅等の金属素材を用いることによっても難燃性を付与することができる。
また、第1の枠体および第2の枠体も、難燃性の材質であることが好ましく、アルミニウム等の金属、セラミックなどの無機材料、ガラス材料、難燃性ポリカーボネート(例えば、PCMUPY610(タキロン株式会社製))、及び/又は難燃性アクリル(例えば、アクリライト(登録商標)FR1(三菱レイヨン株式会社製))などの難燃性プラスチックなどが挙げられる。
さらに、微細穿孔板を第1の枠体に固定する方法、微細穿孔板と第1の枠体との積層体を第2の枠体に固定する方法も、難燃性接着剤(スリーボンド1537シリーズ(株式会社スリーボンド社製))、半田による接着方法、又は2つの枠体で微細穿孔板を挟み固定するなどの機械的な固定方法が好ましい。
[耐熱性]
環境温度変化にともなう、本発明の防音構造体の構造部材の膨張伸縮により防音特性が変化してしまう懸念があるため、この構造部材を構成する材質は、耐熱性、特に低熱収縮のものが好ましい。
微細穿孔板は、例えば、テイジンテトロン(登録商標)フィルム SLA(帝人デュポンフィルム株式会社製)、PENフィルム テオネックス(登録商標)(帝人デュポンフィルム株式会社製)、及び/又はルミラー(登録商標)オフアニール低収縮タイプ(東レ株式会社製)などを使用することが好ましい。また、一般にプラスチック材料よりも熱膨張率の小さいアルミニウム等の金属膜を用いることも好ましい。
また、第1の枠体および第2の枠体は、ポリイミド樹脂(TECASINT4111(エンズィンガージャパン株式会社製))、及び/又はガラス繊維強化樹脂(TECAPEEK GF30(エンズィンガージャパン株式会社製))などの耐熱プラスチックを用いること、及び/又はアルミニウム等の金属、又はセラミック等の無機材料あるいはガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、耐熱接着剤(TB3732(株式会社スリーボンド社製)、超耐熱1成分収縮型RTVシリコーン接着シール材(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、及び/又は耐熱性無機接着剤アロンセラミック(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)を用いることが好ましい。これら接着を微細穿孔板、第1の枠体あるいは第2の枠体に塗布する際は、1μm以下の厚みにすることによって、膨張収縮量を低減できることが好ましい。
[耐候・耐光性]
屋外や光が差す場所に本発明の防音構造体を持つ防音部材が配置された場合、構造部材の耐侯性が問題となる。
そのため、微細穿孔板は、特殊ポリオレフィンフィルム(アートプライ(登録商標)(三菱樹脂株式会社製))、アクリル樹脂フィルム(アクリプレン(三菱レイヨン株式会社製))、及び/又はスコッチカルフィルム(商標)(3M社製)等の耐侯性フィルムを用いることが好ましい。
また、第1の枠体および第2の枠体は、ポリ塩化ビニル、および、ポリメチルメタクリル(アクリル)などの耐侯性が高いプラスチック、アルミニウム等の金属、セラミック等の無機材料、及び/又はガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、エポキシ樹脂系のもの、及び/又はドライフレックス(リペアケアインターナショナル社製)などの耐侯性の高い接着剤を用いることが好ましい。
耐湿性についても、高い耐湿性を有する微細穿孔板、第1の枠体、第2の枠体、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。吸水性、および、耐薬品性に関しても適切な微細穿孔板、第1の枠体、第2の枠体、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。
[ゴミ]
長期間の使用においては、微細穿孔板表面にゴミが付着し、本発明の防音構造体の防音特性に影響を与える可能性がある。そのため、ゴミの付着を防ぐ、または付着したゴミ取り除くことが好ましい。
ゴミを防ぐ方法として、ゴミが付着し難い材質の微細穿孔板を用いることが好ましい。例えば、導電性フィルム(フレクリア(登録商標)(TDK株式会社製)、及び/又はNCF(長岡産業株式会社製))などを用いることによって、微細穿孔板が帯電しないことによって、帯電によるゴミの付着を防ぐことができる。また、フッ素樹脂フィルム(ダイノックフィルム(商標)(3M社製))、及び/又は親水性フィルム(ミラクリーン(ライフガード株式会社製)、RIVEX(リケンテクノス株式会社製)、及び/又はSH2CLHF(3M社製))を用いることによっても、ゴミの付着を抑制できる。さらに、光触媒フィルム(ラクリーン(株式会社きもと社製))を用いることによっても、微細穿孔板の汚れを防ぐことができる。これらの導電性、親水性、及び/又は光触媒性を有するスプレー、及び/又はフッ素化合物を含むスプレーを微細穿孔板に塗布することによっても同様の効果を得ることができる。
上述したような特殊な微細穿孔板を使用する以外に、微細穿孔板上にカバーを設けることによっても汚れを防ぐことが可能である。カバーとしては、薄い膜材料(サランラップ(登録商標)など)、ゴミを通さない大きさの網目を有するメッシュ、不織布、ウレタン、エアロゲル、および、ポーラス状のフィルム等を用いることができる。
例えば、図13、及び図14にそれぞれ示す防音部材30a、及び30bのように、微細穿孔板12と第1の枠体16との積層体40上に所定の距離離間して積層体40を覆うようにカバー32を配置することによって、積層体40上に直接風やゴミが当たらないようにできる。
また、カバーとして特に薄い膜材料などを用いる場合は、積層体40に貼り付けずに距離を空けることによって貫通孔の効果を阻害しないため望ましい。また、薄い膜材料が強い膜振動を持たずに音を通すために、薄い膜材料を張った状態で固定すると膜振動が起こりやすいために薄い膜材料は緩く支持された状態が望ましい。
付着したゴミを取り除く方法としては、微細穿孔板の共鳴周波数の音を放射し、微細穿孔板を強く振動させることによって、ゴミを取り除くことができる。また、ブロワー、又はふき取りを用いても同様の効果を得ることができる。
[風圧]
強い風が微細穿孔板に当たることによって、微細穿孔板が押された状態となり、共鳴周波数が変化する可能性がある。そのため、微細穿孔板上に、不織布、ウレタン、及び/又はフィルムなどでカバーすることによって、風の影響を抑制することができる。上記のゴミの場合と同様に、図13、及び図14にそれぞれ示す防音部材30a、及び30bのように、積層体40上にカバー32を設けて、積層体40(微細穿孔板12)上に直接風が当たらないように、配置することが好ましい。
また、図15に示す防音部材30cのように、積層体40が音波に対し傾いている構造では、直接風Wが積層体40に当たるのを防ぐ風防止枠34を積層体40の上部に設けることが好ましい。
さらに、最も望ましい風よけの形態として、図16に示したように積層体40上にカバー32を設け、それらの間を閉塞するように風防止枠34で囲むことによって、積層体40に対して垂直方向から当たる風も、平行方向から当たる風も防ぐことができる。
さらに、図17に示す防音部材30dのように、防音部材側面で風Wをさえぎることによる乱流の発生による影響(膜への風圧、風切り音)を抑制するため、防音部材側面に風Wを整流する整流板等の整流機構35を設けることが好ましい。
[ユニットセルの組合せ]
前述のとおり、複数の防音セルを有する場合には、複数の第2の枠体18が連続した1つの枠体によって構成される構成であってもよく、あるいは、単位ユニットセルとしての防音セルを複数有するものであっても良い。即ち、本発明の防音構造体を有する防音部材は、必ずしも1つの連続した枠体によって構成されている必要はなく、単位ユニットセルとして第2の枠体18とそれに取り付けられた積層体40とを持つ構造の防音セルであっても良く、このような単位ユニットセルを独立に使用する、もしくは複数の単位ユニットセルを連結させて使用することもできる。
複数の単位ユニットセルの連結の方法としては、後述するが、枠体部にマジックテープ(登録商標)、磁石、ボタン、吸盤、及び/又は凹凸部を取り付けて組み合わせてもよいし、テープなどを用いて複数の単位ユニットセルを連結させることもできる。
[配置]
本発明の防音構造体を有する防音部材を壁等に簡易に取り付け、又は取外しできるようにするため、防音部材に磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、あるいは、吸盤などからなる脱着機構が取り付けられていることが好ましい。例えば、図18に示すように、防音部材(防音セルユニット)30eの第2の枠体18の外側の枠の底面に脱着機構36を取付けて置き、防音部材30eに取り付けられた脱着機構36を壁38に取付けて、防音部材30eを壁38に配置するようにしても良いし、図19に示すように、防音部材30eに取り付けられた脱着機構36を壁38から取り外して、防音部材30eを壁38から離脱させるようにしても良い。
また、共鳴周波数の異なる各防音セル、例えば図20に示すように、防音セル31a、31b、及び31cをそれぞれ組合せて、防音部材30fの防音特性を調整する際に、容易に防音セル31a、31b、及び31cを組み合わせられるように、各防音セル31a、31b、及び31cに磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、および、吸盤などの脱着機構41が取り付けられていることが好ましい。
また、防音セルに凹凸部を設け、例えば図21に示すように、防音セル31dに凸部42aを設け、かつ防音セル31eに凹部42bを設け、それらの凸部42aと凹部42bとをかみ合わせで防音セル31dと防音セル31eとの脱着を行ってもよい。複数の防音セルを組み合わせることができれば、1つの防音セルに凸部及び凹部の両方を設けても良い。
更に、上述した図20に示す脱着機構41と、図21に示す凹凸部、凸部42a及び凹部42bとを組み合わせて防音セルの着脱を行うようにしても良い。
[枠機械強度]
本発明の防音構造体を有する防音部材のサイズが大きくなるにつれ、第2の枠体が振動しやすくなり、固定端としての機能が低下する。そのため、第2の枠体の厚みを増して枠剛性を高めることが好ましい。しかし、枠の厚みを増すと防音部材の質量が増し、軽量である本防音部材の利点が低下していく。
そのため、高い剛性を維持したまま質量の増加を低減するために、第2の枠体に孔や溝を形成することが好ましい。例えば、図22に示す防音セル44の第2の枠体46に対して、図23に側面図として示すようにトラス構造を用いることによって、又は図24に示す防音セル48の第2の枠体50に対して、図25にA−A線矢視図として示すようにラーメン構造を用いることによって、高い剛性かつ軽量を両立することができる。
また、例えば、図26〜図28に示すように、面内の枠厚みを変える、又は組合せることによって、高剛性を確保し、軽量化を図ることもできる。図26に示す本発明の防音構造体を有する防音部材52のように、図26に示す防音部材52をB−B線で切断した断面模式図である図27に示すように、36個の防音セル54の複数の枠56からなる第2の枠体58の両外側、及び中央の枠材58aを、その他の部分の枠材58bより厚みを厚くする、図示例では2倍以上厚くする。B−B線と直交するC−C線で切断した断面模式図である図28に示すように、直交する方向においても、同様に、第2の枠体58の両外側、及び中央の枠材58aを、その他の部分の枠材58bより厚みを厚くする、図示例では2倍以上厚くする。
こうすることにより、高剛性化と軽量化を両立することができる。
なお、上述した図13〜図28においては、微細穿孔板12および第1の枠体16の図示は省略し、まとめて積層体40として図示している。
本発明の防音構造体は、上述した産業用機器、輸送用機器および一般家庭用機器などの各種機器に用いられるものに限定はされず、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る固定仕切り構造(パーティション)等の固定壁、ならびに、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る可動仕切り構造(パーティション)等の可動壁に用いることもできる。
このように、本発明の防音構造体をパーティションとして用いることにより、間仕切りした空間の間で音を好適に遮蔽することができる。また、特に可動式のパーティションの場合には、薄く軽い本発明の構造は、持ち運び容易なためメリットが大きい。
また、本発明の防音構造体は、光透過性および通気性を有するので、窓部材として好適に用いることもできる。
あるいは、騒音防止用に、騒音源となる機器、たとえばエアコン室外機や給湯器等を囲むケージとして用いることもできる。本部材によって騒音源を囲むことによって、放熱性や通気性を確保したまま音を吸収し、騒音を防ぐことができる。
また、ペット飼育用のケージに用いてもよい。ペット飼育のケージの全てまたは一部に本発明の部材を適用し、例えばペットケージの一面を本部材で置き換えることによって、軽量かつ音響吸収効果のあるペットケージとすることができる。このケージを用いることによって、ケージ内にいるペットを外の騒音から守ることができ、また、ケージ内にいるペットの鳴き声が外に漏れるのを抑制できる。
本発明の防音構造体は、上記以外にも以下のような防音部材として使用することができる。
例えば、本発明の防音構造体を持つ防音部材としては、
建材用防音部材:建材用として使用する防音部材、
空気調和設備用防音部材:換気口、および、空調用ダクトなどに設置し、外部からの騒音を防ぐ防音部材、
外部開口部用防音部材:部屋の窓に設置し、室内又は室外からの騒音を防ぐ防音部材、
天井用防音部材:室内の天井に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
床用防音部材:床に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
内部開口部用防音部材:室内のドア、あるいは、ふすまの部分に設置され、各部屋からの騒音を防ぐ防音部材、
トイレ用防音部材:トイレ内またはドア(室内外)部に設置、トイレからの騒音を防ぐ防音部材、
バルコニー用防音部材:バルコニーに設置し、自分のバルコニーまたは隣のバルコニーからの騒音を防ぐ防音部材、
室内調音用部材:部屋の音響を制御するための防音部材、
簡易防音室部材:簡易に組み立て可能で、移動も簡易な防音部材、
ペット用防音室部材:ペットの部屋を囲い、騒音を防ぐ防音部材、
アミューズメント施設:ゲームセンター、スポーツセンター、コンサートホール、および、映画館等に設置される防音部材、
工事現場用仮囲い用の防音部材:工事現場を覆い周囲に騒音の漏れを防ぐ防音部材、
トンネル用の防音部材:トンネル内に設置し、トンネル内部および外部に漏れる騒音を防ぐ防音部材、等を挙げることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<複数の貫通孔を有する微細穿孔板の作製>
平均厚さ20μm、大きさ210mm×297mm(A4サイズ)のアルミニウム基材(JIS H−4160、合金番号:1N30−H、アルミニウム純度:99.30%)の表面に、以下に示す処理を施し、複数の貫通孔を有する微細穿孔板を作製した。
(a1)水酸化アルミニウム皮膜形成処理(皮膜形成工程)
50℃に保温した電解液(硝酸濃度10g/L、硫酸濃度6g/L、アルミニウム濃度4.5g/L、流量0.3m/s)を用いて、上記アルミニウム基材を陰極として、電気量総和が1000C/dm2の条件下で20秒間、電解処理を施し、アルミニウム基材に水酸化アルミ皮膜を形成した。なお、電解処理は、直流電源で行った。電流密度は、50A/dm2とした。
水酸化アルミニウム皮膜形成後、スプレーによる水洗を行った。
(b1)電解溶解処理(貫通孔形成工程)
次いで、50℃に保温した電解液(硝酸濃度10g/L、硫酸濃度6g/L、アルミニウム濃度4.5g/L、流量0.3m/s)を用いて、アルミニウム基材を陽極として、電気量総和が600C/dm2の条件下で24秒間、電解処理を施し、アルミニウム基材及び水酸化アルミ皮膜に貫通孔を形成した。なお、電解処理は、直流電源で行った。電流密度は、5A/dm2とした。
貫通孔の形成後、スプレーによる水洗を行い、乾燥させた。
(c1)水酸化アルミニウム皮膜の除去処理(皮膜除去工程)
次いで、電解溶解処理後のアルミニウム基材を、水酸化ナトリウム濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度3g/Lの水溶液(液温35℃)中に32秒間浸漬させた後、硝酸濃度10g/L、アルミニウムイオン濃度4.5g/Lの水溶液(液温50℃)中に40秒間浸漬させることにより、水酸化アルミニウム皮膜を溶解し、除去した。
その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥させることにより、貫通孔を有する微細穿孔板を作製した。
作製した微細穿孔板の貫通孔の平均開口径および平均開口率を測定したところ、平均開口径25μm、平均開口率6%であった。
<防音構造体の作製>
第1の枠体として市販のメッシュ(アズワン株式会社製 PP−#50:材質ポリプロピレン、線径136μm、目開き370μm、開口率53%)を用いた。
作製した微細穿孔板の一方の面に第1の枠体を接して配置することによって図1に示すような防音構造体10aを作製した。
[比較例1]
第1の枠体を有さない以外は実施例1と同様にして防音構造体を作製した。すなわち、微細穿孔板単体の防音構造体とした。
[評価]
<音響特性>
作製した防音構造体の音響特性を、図29に示すような自作のアクリル製音響管Pに4本のマイクロフォンMを用いて伝達関数法により測定した。この手法は「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従う。
防音構造体Xを音響管Pに挟み、防音構造体の垂直音響透過率、反射率、吸収率を測定した。
図30に、比較例1の透過率および吸収率の測定結果を示し、図31に実施例1および比較例1の吸収率の測定結果を示す。
図30に示すように、微細穿孔板単体であっても、1000Hz〜4000Hzにわたる広帯域な吸音特性があることがわかる。しかしながら、310Hz付近で吸収率が大きく低下していることがわかる。この周波数において透過率が大きくなっていることから、この周波数における吸収率の低下は、微細穿孔板の共鳴による振動によって音が透過していることが原因であると考えられる。
また、図31に示すように、本発明の防音構造体である実施例1は、310Hz付近の吸収率が比較例1よりも高くなっているのがわかる。これは、実施例1の防音構造体は、第1の枠体を有することによって、微細穿孔板の剛性が高まり、共鳴振動周波数が高くなったためと考えられる。
第1の枠体の孔部の開口径は370μmである。下記式(1)(参考文献「Formulas for dynamics, acoustics and vibration」 p.261)より、第1の枠体の開口径が370μmの場合の微細穿孔板の共鳴振動周波数を求めると、161kHzであり可聴域(100Hz〜20000Hz)よりも大きい。このため、微細穿孔板の共鳴による吸収率の低下を抑制することができる。
式(1)
上記式(1)において、f:振動周波数、λ:振動周波数パラメータ(35.99 正方形かつモード1)、a:一辺の長さ、E:弾性率、ρ:密度、ν:ポアソン比である。
[実施例2]
第1の枠体として市販のメッシュ(アズワン株式会社製 PP−#10:材質ポリプロピレン、線径395μm、目開き2.145mm、開口率71.3%)を用いた以外は実施例1と同様にして防音構造体を作製した。
[実施例3]
微細穿孔板の両面に第1の枠体を配置した以外は実施例2と同様にして、図7に示すような防音構造体10bを作製した。
上記式(1)より共鳴振動周波数を求めると、126kHzであった。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図32に示す。
図32に示すように、本発明の実施例2および3の防音構造体は、310Hz付近の吸収率が比較例1よりも高くなっているのがわかる。
また、実施例2と実施例3との対比から、微細穿孔板の両面に第1の枠体を配置することによって、より剛性を高くすることができ、吸収率の低下を抑制できることがわかる。
[実施例4]
下記のようにして作製した微細穿孔板を用いた以外は実施例3と同様にして防音構造体を作製した。
上記式(1)より共鳴振動周波数を求めると、209kHzであった。
微細穿孔板としては、厚み100μmのPETフィルムを用い、レーザー加工機を用いて開口径60μmの貫通孔を1mmおきに形成した。開口率は0.2%である。
[比較例2]
第1の枠体を有さない以外は、実施例4と同様にして防音構造体を作製した。すなわち、微細穿孔板単体の防音構造体とした。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図33に示す。
図33に示すように、比較例2の防音構造体においては、230Hz近傍、1000Hz近傍、2240Hz近傍、3500Hz近傍において吸収率が低下しているのがわかる。これに対して、実施例4の防音構造体では、230Hz付近、1000Hz近傍、2240Hz、3500Hz近傍の吸収率が比較例2よりも高くなっているのがわかる。
[実施例5]
微細穿孔板と第1の枠体とを接着剤で接着固定した以外は、実施例2と同様にして防音構造体を作製した。
接着剤としては、スプレーのり55(3M社製)を用いた。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図34に示す。
図34に示すように、実施例5の防音構造体は、広い周波数帯域において実施例2の防音構造体よりも吸収率が高くなっているのがわかる。
[実施例6]
第1の枠体として市販のメッシュ(アズワン株式会社製 ステンレスメッシュ#10(平織):材質SUS304、線径500μm、目開き2.5mm、開口率64.5%)を用いた以外は、実施例4と同様にして防音構造体を作製した。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図35に示す。
図35に示すように、実施例6の防音構造体は、広い周波数帯域において比較例2の防音構造体よりも吸収率が高くなっているのがわかる。
また、ポリプロピレン製のメッシュを用いた実施例4と比較しても、局所的な吸収率の落ち込みが少ない。これは、ポリプロピレン製のメッシュに比べてステンレス製のメッシュの剛性が高く微細穿孔板の共鳴をより高く抑制できたものと考えられる。
[実施例7]
実施例1と同様の微細穿孔板の両面に、実施例1と同様の第1の枠体を配置し、さらに、2つの第2の枠体で挟み込んだ、図9に示すような防音構造体10dを作製した。
第2の枠体は、材質:アルミニウム、厚み3mmで、25mm角の開口部を有するものを用いた。
[比較例3]
第1の枠体を有さない以外は、実施例7と同様にして防音構造体を作製した。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図36に示す。
図36に示すように、比較例3の防音構造体では600Hz付近で吸収率が低下しているが、実施例7の防音構造体では、600Hz付近での吸収率が比較例3よりも高くなっているのがわかる。
[実施例8]
実施例1と同様の微細穿孔板の一方の面に、実施例1と同様の第1の枠体を接着固定し、さらに、微細穿孔板の他方の面に以下の第2の枠体を接着固定して、図8に示すような防音構造体10cを作製し、開口を有する開口部材内に配置して、図11に示すような開口構造体とした。
第2の枠体は、材質:塩化ビニル、厚み20mmで、16mm角の開口部を有するものを用いた。
また、開口部材は、φ40mmの開口を有するものを用いた。
また、防音構造体は、微細穿孔板の膜面の垂線方向zと開口部材の開口断面に垂直な方向sとのなす角が45度となるように開口内に配置した。
[比較例4]
第1の枠体を有さない以外は実施例8と同様にして防音構造体を作製し、開口部材内に配置して開口構造体とした。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を測定した。測定結果を図37に示す。
図37に示すように、実施例8では、広い周波数帯域で比較例4よりも吸収率が高くなっているのがわかる。また、通気口となる領域qを有するので、風を通した状態で広帯域に消音できる。
[実施例9]
さらに背面板を有する以外は、実施例3と同様にして防音構造体を作製した。
背面板としては厚さ3mmのアクリル板を用いた。具体的には、図38に示すように、微細穿孔板と第1の枠体との積層体から50mm離間した位置で音響管Pに固定した。
[比較例5]
第1の枠体を有さない以外は実施例9と同様にして防音構造体を作製した。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図39に示す。
図39に示すように、比較例5の防音構造体では950Hz以下の帯域で吸収率が低下しているが、実施例9の防音構造体では、950Hz以下の帯域での吸収率が比較例5よりも高くなっているのがわかる。
[実施例10]
実施例1で作製した微細穿孔板12(厚み20μm、平均開口径25μm、平均開口率6.2%)の一方の面側に、図48に示すようなハニカム構造を有する第1の枠体16を配置し、さらに、図46に示すように、第1の枠体16の、微細穿孔板が配置される面とは反対側の面に背面板20を配置して防音構造体を作製した。
第1の枠体16は、材質がABSとし、厚みが15mmとし、孔部17の開口断面の形状が正六角形でその外接円の直径が1cmとし、開口率が約95%とした。
背面板20は、材質がアルミニウムとし、厚みが5cmとした。
[比較例6]
第1の枠体を有さない以外は、実施例10と同様にして防音構造体を作製した。すなわち、微細穿孔板と背面板とを有し、微細穿孔板と背面板とが15mm離間して配置される構成とした。
[評価]
<吸収率>
作製した防音構造体の吸収率を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を図50に示す。
図50に示すように、実施例10は、比較例6に比べて、広い帯域で吸収率が高くなっていることがわかる。特に、1200Hz以下の帯域での吸収率が高くなっているのがわかる。
以上の結果から本発明の効果は明らかである。
[シミュレーション]
前述のとおり、本発明者らは、本発明の防音構造体の吸音の原理が、微細な貫通孔を音が通過する際の摩擦であると推察した。
そのため、微細穿孔板の貫通孔の平均開口径と平均開口率を、摩擦が強まるように最適設計することが吸収率を大きくするために重要である。なぜならば、特に高周波領域では、膜振動も小さくなるために第1の枠体および第2の枠体に取り付けた影響は大きくなく、貫通孔+微細穿孔板自体の吸音特性で音を吸収していると考えられるからである。
そのために、貫通孔による摩擦熱に関してシミュレーションを行った。
具体的には、有限要素法の解析ソフトウェアであるCOMSOLver5.1(COMSOL Inc)の音響モジュールを用いて設計を行った。音響モジュール内での熱音響モデルを用いることによって、流体中(空気も含む)を透過する音波と壁の摩擦による吸音を計算することができる。
まず、実験との比較として実施例1で用いた貫通孔を有する微細穿孔板単体に関して、実施例1で用いた音響管に緩く固定することによって微細穿孔板としての吸収率を測定した。すなわち、第1の枠体に取り付けることなしにできるだけ固定端の影響を小さくなるようにして微細穿孔板自体の評価を行うようにした。吸収率の測定結果を図40に参考例として示した。
シミュレーションでは、アルミニウムの物性値としてCOMSOLのライブラリの値を用いて、貫通孔内を熱音響モジュールで計算するようにし、膜振動と貫通孔内摩擦による吸音を計算した。シミュレーション上で、微細穿孔板の端部はローラ固定とすることによって微細穿孔板が微細穿孔板平面に垂線方向には自由に動くようにし、微細穿孔板単体の系を再現するようにした。結果を図40にシミュレーションとして示した。
図40に示すように、実験とシミュレーションの吸収率を比較すると、シミュレーションは実験をよく再現していることが分かる。実験における低周波側のスパイク状の変化は、微細穿孔板の端部を緩固定しても若干の固定端による膜振動の効果が生じていることを示す。高周波側であるほど膜振動の影響は小さくなるため、微細穿孔板単体の性能の評価を行ったシミュレーションの結果とよく一致した。
この結果によりシミュレーションが実験結果を再現することを担保できた。
次に、貫通孔の摩擦特性の最適化を行うために、微細穿孔板部分は固定拘束し、音が貫通孔内のみを通るシミュレーションを行い、その微細穿孔板の厚み、貫通孔の平均開口径、平均開口率を変化させて吸収の振舞いを調べた。また、以下の計算は周波数3000Hzに関して行った。
例えば、微細穿孔板の厚み20μm、貫通孔の平均開口径20μmのときの、平均開口率を変化させた場合の透過率T、反射率R、吸収率Aの変化を計算した結果を図41に示す。吸収率に注目すると、平均開口率を変化させることによって吸収率が変化することがわかる。したがって、吸収率が最大化する最適値が存在することがわかる。この場合は開口率6%で吸収が最大化することがわかる。このとき、透過率と反射率がほぼ等しくなる。このように、特に平均開口径が小さいときは平均開口率は小さい方がよいというわけではなく、最適値に合わせる必要がある。
また、吸収率の大きくなる平均開口率の範囲は最適な平均開口率を中心にしてなだらかに広がっていることが分かる。
微細穿孔板の厚み10μm、20μm、30μm、50μmおよび70μmのそれぞれで、貫通孔の平均開口径を20μm〜140μmの範囲で変化させて、それぞれの条件での吸収率が最大化する平均開口率とその時の吸収率を計算してまとめた。結果を図42に示す。
貫通孔の平均開口径が小さいときは、最適な平均開口率は微細穿孔板の厚みによって異なるが、貫通孔の平均開口径が100μm程度以上では0.5%〜1.0%という、非常に小さい平均開口率が最適値となる。
また、各貫通孔の平均開口径に対して、平均開口率を最適化した際の最大吸収率を図43に示す。図43には微細穿孔板の厚み20μmの場合と、微細穿孔板の厚み50μmの場合の二種類を示した。最大吸収率はほとんど微細穿孔板の厚みによらずに貫通孔の平均開口径によって決定されることが分かった。平均開口径が50μm以下と小さい場合は最大吸収率が50%となるが、それより平均開口径が大きくなると吸収率が小さくなることがわかる。平均開口径100μmで45%、平均開口径200μmでは30%、平均開口径250μmでは20%まで吸収率が小さくなる。よって、平均開口径は小さい方が望ましいことが明らかになった。
本発明では吸収率が大きい方が望ましいため、吸収率が20%を上限とする250μm以下の平均開口径が必要であり、吸収が45%を上限とする100μm以下の平均開口径が望ましく、吸収が50%を上限とする50μm以下の平均開口径が最も望ましい。
上記、貫通孔の平均開口径に対する最適な平均開口率で、平均開口径が100μm以下の場合の計算を詳細に行った。厚み10μm、20μm、30μm、50μm、70μmのそれぞれに関して、貫通孔の平均開口径ごとの最適な平均開口率を示した結果を図44に両対数グラフで示した。グラフより、最適な平均開口率は貫通孔の平均開口径に対して、ほぼ−1.6乗で変化することを発見した。
より具体的には、最適な平均開口率をrho_center、貫通孔の平均開口径をphi(μm)、微細穿孔板の厚みをt(μm)としたとき、
rho_center=a×phi-1.6
としたときに、
a=2+0.25×t
で決定されることを明らかにした。
このようにして、特に貫通孔の平均開口径が小さい場合には最適な平均開口率は微細穿孔板厚と貫通孔の平均開口径によって決定される。
上述したように、吸収率の大きくなる範囲は最適な平均開口率を中心としてなだらかに広がっている。この詳細な分析のために、微細穿孔板の厚み50μmのシミュレーションにおいて平均開口率を変化させた結果を図45に示す。貫通孔の平均開口径は10μm、15μm、20μm、30μm、40μmとし、平均開口率は0.5%から99%で変化させた。
どの平均開口径においても、吸収率が大きくなる平均開口率の範囲は最適な平均開口率の周辺に広がっている。特徴として、貫通孔の平均開口径が小さい方が吸収率が大きくなる平均開口率の範囲が広い範囲に渡っている。また、最適な平均開口率よりも高い平均開口率側の方が、吸収率が大きくなる平均開口率の範囲が広い。
吸収率の最大値はどの平均開口径でもほぼ50%であるため、吸収率が30%、40%、45%となる下限の平均開口率と上限の平均開口率をそれぞれ表1に示す。また、最適な平均開口率からの各吸収率の範囲を表2に示す。
例えば、貫通孔の平均開口径20μmのとき、最適な平均開口率は11%で、吸収率が40%以上となる平均開口率は下限が4.5%、上限が28%となる。このとき、最適な平均開口率を基準とした吸収率40%となる平均開口率の範囲は、(4.5%-11.0%)=-6.5%〜(28.0%-11.0%)=17.0%となるため、表2には-6.5%〜17.0%として示した。
表2より、貫通孔の平均開口径ごとの吸収率の幅を比較したところ、貫通孔の平均開口径をphi(μm)としたときに、ほぼ100×phi-2の比率で吸収率の幅が変化する。よって、吸収率30%、40%、45%それぞれについて、各貫通孔の平均開口径ごとに適切な範囲を決めることができる。
すなわち、吸収率30%の範囲は、上述の最適な平均開口率rho_centerを用いて、基準として貫通孔の平均開口径20μmのときの範囲を用いて、
rho_center-0.085×(phi/20)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.35×(phi/20)-2
が上限の平均開口率の範囲に入ることが必要である。ただし、平均開口率は0より大きく1(100%)より小さい範囲に制限される。
望ましくは吸収率40%の範囲であり、
rho_center-0.24×(phi/10)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.57×(phi/10)-2
が上限の平均開口率となる範囲であることが望ましい。ここで、できるだけ誤差を小さくするために、貫通の平均開口径の基準を10μmとした。
さらに望ましくは吸収率45%の範囲であり、
rho_center-0.185×(phi/10)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.34×(phi/10)-2
が上限の平均開口率となる範囲であることがさらに望ましい。
さらに、より小さい吸収率の場合の最適な平均開口率の範囲を決定するために、平均開口率が小さい範囲で細かく計算した。代表的な例として、板状部材の厚み50μm、貫通孔の平均開口径30μmの場合の結果を図51に示す。
吸収率10%、15%および20%のそれぞれについて、この吸収率となる平均開口率の範囲と、近似式とを、それぞれ表3および表4に示す。なお、表4においては、「rho_center」を「rc」と表記する。
表3および表4から、吸収率10%の範囲は、上述の最適な平均開口率rho_centerを用いて、基準として貫通孔の平均開口径30μmのときの範囲を用いて、
rho_center-0.052×(phi/30)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.795×(phi/30)-2
が上限の平均開口率である範囲に入ることが必要である。ただし、平均開口率は0より大きく1(100%)より小さい範囲に制限される。
望ましくは吸収率が15%以上となることであり、その範囲は、
rho_center-0.050×(phi/30)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.505×(phi/30)-2
が上限の平均開口率である範囲となる。
より望ましくは、吸収率が20%以上となることであり、その範囲は、
rho_center-0.048×(phi/30)-2
が下限の平均開口率であり、
rho_center+0.345×(phi/30)-2
が上限の平均開口率である範囲となる。
さらに望ましくは、上述の吸収率が30%以上、40%以上あるいは45%以上となる平均開口率の範囲に収まることであり、より吸収率の大きくすることができる。
以上のように、シミュレーションを用いて、貫通孔内の摩擦による吸音現象の特徴を明らかにした。また、板状部材の厚みと貫通孔の平均開口径と平均開口率によって吸収率の大きさが決定され、その最適値範囲を決定した。
[実施例11]
実施例11として、図10に示すような、第1の枠体16、微細穿孔板12、第2の枠体18および背面板20をこの順に積層した構造の防音構造体を作製した。
微細穿孔板12は、実施例1と同様にして作製した(厚み20μm、平均開口径25μm、平均開口率6.2%)。
第2の枠体18は、材質:アルミニウム、厚み30mmで、直径40mmの開口部を有するものを用いた。
背面板20は、材質がアルミニウムとし、厚みが5cmとした。
第1の枠体16は、厚み1mmのアクリル板に直径2mmの孔部17を複数有するものとし、開口率を8%、19%、31%と変えて、実施例1と同様にして垂直音響吸音率を測定した。(垂直音響)吸音率は「1−反射率」で定義される。
結果を図52に示す。
図52から、第1の枠体の孔部の開口率が小さくなるにつれて、中心周波数が低周波数化し、帯域が狭くなることがわかる。これは、第1の枠体の孔部の開口率および開口径が小さくなると孔部によるインダクタンス成分が大きくなるためである。従って、防音構造体の用途に応じて、第1の枠体の孔部の開口径および開口率を調整することで、低周波狭帯域または中周波広帯域の吸音特性を得ることができる。
[実施例12]
実施例12として、図53に示すような、第1の枠体16b、微細穿孔板12、第1の枠体16および背面板20をこの順に積層した構造の防音構造体を作製した。すなわち、実施例10で作製した防音構造体の、微細穿孔板12上に第1の枠体16bを配置して防音構造体を作成した。
第1の枠体16bは、厚み1mmのアクリル板に直径2mmの孔部17を複数有するものとし、開口率を8%、19%、31%と変えて、実施例1と同様にして垂直音響吸音率を測定した。
結果を図54に示す。
図54から、第1の枠体16bの孔部の開口率が小さくなるにつれて、中心周波数が低周波数化し、帯域が狭くなることがわかる。これは、第1の枠体16bの孔部の開口率および開口径が小さくなると孔部によるインダクタンス成分が大きくなるためである。従って、防音構造体の用途に応じて、第1の枠体の孔部の開口径および開口率を調整することで、低周波狭帯域または中周波広帯域の吸音特性を得ることができる。
また、実施例1等で用いた微細穿孔板に形成された貫通孔の平均開口径phiおよび平均開口率rhoは、上述した、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある。このような範囲にある貫通孔を有する微細穿孔板は、適度な平均開口率と薄く小さい貫通孔を有しているため、小さいインダクタンス成分と高い音響抵抗値を有している。そのため広帯域で高い吸音特性を得ることができる。
また、微細穿孔板12は、第1の枠体16が配置されることによって、第1の枠体16の孔部による音響抵抗が加わり抵抗が大きくなりすぎて吸音性能が低下する可能性がある。インピーダンスの虚部がゼロである共鳴周波数における垂直入射吸音率αは空気のインピーダンス(ρc)で規格化した微細貫通孔板と第1の枠体の音響抵抗値の和であるRtotalを用いて下記式(1)で表わされる。(Acoustic Absorbers and Diffusers、著者:Trevor Cox, Peter D’Antonio、pp27、August 24, 2016 by CRC Press)
α=1−(1−Rtotal2/(1+Rtotal2 ・・・(1)
共鳴周波数における20%以上の垂直入射吸音率を得るためにはRtotalが0.056以上18以下である必要があり、共鳴周波数における50%以上の垂直入射吸音率を得るためにはRtotalが0.17以上6以下である必要がある。
貫通孔の平均開口径phiおよび平均開口率rhoが上述した範囲にある微細貫通孔板は、インダクタンス成分が小さく、音響抵抗値が1に近い値となっているため、上記垂直入射吸音率を得るためには、第1の枠体の孔部の音響抵抗は17以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。
孔部の開口径が小さくなると抵抗値が上昇するため、第1の枠体16の開口径は0.1mm以上が好ましい。また、開口径が1mm以下になると孔部の側壁における空気摩擦抵抗が著しく大きくなることが知られている(”Potential of microperforated panel absorber”J.Acoust.Soc.Am. 104 ,2861-2866 1998)。そのため、孔部の開口径は1mm以上がさらに好ましい。また、枠体の厚みが孔部の開口径よりも大きくなる枠体は製造が困難であるため、枠体の厚みと孔部の開口径の比が1以下であるのが好ましい。
枠体の孔部における抵抗値rは下記式(2)で表わすことができる。(Acoustic Absorbers and Diffusers、著者:Trevor Cox, Peter D’Antonio、pp245、August 24, 2016 by CRC Press)
r=ρ/ε×√(8μω)×(1+t/a) ・・・(2)
ここで、ρ:空気の密度、ε:開口率、μ:空気摩擦係数、t:枠体の厚み、a:枠体の孔部の開口径、である。
アスペクト比が1(t=a)以下の場合、枠体の孔部の音響抵抗値を17以下にするためには、開口率を0.1%以上にする必要がある。また枠体の孔部の音響抵抗値を5以下にするためには、開口率を0.3%以上にする必要がある。
以上より本発明の効果は明らかである。
10a〜10e 防音構造体
11 アルミニウム基材
12 微細穿孔板
13 水酸化アルミニウム皮膜
14 貫通孔
16 第1の枠体
17 孔部
18、46、50、58 第2の枠体
19 開口部
20 背面板
30a〜30h、52 防音部材
31a〜31e、44、48、54 防音セル
32 カバー
34 風防止部材
35 整流機構
36 着脱機構
38 壁
42a 凸部
42b 凹部
56 枠
58a 両外側及び中央の枠材
58b その他の部分の枠材
z 膜面の垂線方向
s 開口断面に垂直な方向
q 通気口となる領域
W 風
M マイクロフォン
P 音響管

Claims (17)

  1. 厚み方向に貫通する複数の貫通孔を有する微細穿孔板と、
    前記微細穿孔板の一方の面に接して配置される、複数の孔部を有する第1の枠体とを備え、
    前記第1の枠体の前記孔部の開口径が、前記微細穿孔板の前記貫通孔の開口径よりも大きく、
    前記第1の枠体の前記孔部の開口率が、前記微細穿孔板の前記貫通孔の開口率よりも大きく、
    前記第1の枠体に接する前記微細穿孔板の共鳴振動周波数が可聴域より大きい防音構造体。
  2. 前記第1の枠体の前記孔部の開口径が22mm以下である請求項1に記載の防音構造体。
  3. 前記微細穿孔板の前記貫通孔の平均開口径が0.1μm以上250μm以下である請求項1または2に記載の防音構造体。
  4. 前記貫通孔の平均開口径が0.1μm以上100μm未満であり、
    前記貫通孔の平均開口径をphi(μm)、前記微細穿孔板の厚みをt(μm)としたときに前記貫通孔の平均開口率rhoは、0よりも大きく1よりも小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音構造体。
  5. 前記微細穿孔板の両面それぞれに接して配置される2つの前記第1の枠体を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の防音構造体。
  6. 前記第1の枠体が前記微細穿孔板に接着固定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の防音構造体。
  7. 前記微細穿孔板が、金属または合成樹脂からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の防音構造体。
  8. 前記微細穿孔板が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の防音構造体。
  9. 前記第1の枠体が、ハニカム構造を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の防音構造体。
  10. 前記第1の枠体が、金属からなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の防音構造体。
  11. 前記第1の枠体が、合成樹脂からなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の防音構造体。
  12. 前記第1の枠体が、紙からなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の防音構造体。
  13. 前記第1の枠体が、アルミニウム、鉄、アルミニウム合金、および、鉄合金のいずれかからなる請求項1〜10のいずれか一項に記載の防音構造体。
  14. 前記第1の枠体の前記微細穿孔板が配置される面とは反対側の面に配置される背面板を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の防音構造体。
  15. 前記微細穿孔板および前記第1の枠体の積層体と離間して配置される背面板を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の防音構造体。
  16. 1以上の開口部を有する第2の枠体を有し、
    前記第2の枠体の前記1以上の開口部を覆って、前記微細穿孔板と前記第1の枠体との積層体が配置された防音セルを有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の防音構造体。
  17. 請求項16に記載の防音構造体と、
    開口を有する開口部材とを有し、前記開口部材の開口内に、前記開口部材の開口断面に垂直な方向に対して前記微細穿孔板の膜面の垂線方向が交差するように前記防音構造体を配置し、前記開口部材に気体が通過する通気口となる領域を設けた開口構造体。
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