JP2007058109A - 吸音用多孔板とこれを用いた吸音板および吸音用多孔板の製造方法 - Google Patents

吸音用多孔板とこれを用いた吸音板および吸音用多孔板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 重さを増加させることなく曲げ剛性などの強度を高くした吸音用多孔板とこれを用いた吸音板および吸音用多孔板の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の吸音用多孔板1は、多数の微細な孔2aを貫通させて形成した貫通孔板2の少なくとも片面側に、所定間隔で複数の開口部3aを設けた補強体3を着設した構成としている。また、本発明の吸音板4は、微細な孔2aが貫通した貫通孔板2と、平板に開口部3aを設けた補強体3とを着設してなる吸音用多孔板1と、この吸音用多孔板1の補強体3に着設された背面板材5と、を備え、補強体3の開口部3aの位置に貫通孔板2と背面板材5とが離間した空気層6を有する構成としている。また、本発明の吸音用多孔板の製造方法は、微細な孔2aが貫通した貫通孔板2の少なくとも片面側に補強体3を重ねた後に20%以上50%以下の冷延率で冷間圧延してこれらを圧着する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築材としての遮音材や車両の遮音材として用いられる吸音用多孔板とこれを用いた吸音板および吸音用多孔板の製造方法に関する。
これまで、自動車・電車など車両や飛行機などの静粛性を高めるためや、住宅の防音を行うために様々な吸音板や防音板など(以下、これらを総じて「吸音板」という)が開発されてきた。
例えば、自動車に用いる吸音板として、ボンネットの裏面に発泡ウレタン、繊維、グラスウールなどで構成されるインシュレータパッドや、エンジンルームと車室との間に、同じく発泡ウレタンや繊維で構成されるサイレンサーパッドなどが広く用いられている。
かかる吸音板は、グラスウールや繊維などに音を拡散させ、音のもつエネルギーを、振動を伴った熱エネルギーに変換しつつ反射させることを繰り返させることで音を小さくするものである。
最近では、図10に示すように、より高い静粛性を実現するために、音源側に配置され、微細な孔20aが多数穿設されている鉄、アルミニウム、合成樹脂などの素材の貫通孔板20と、この貫通孔板20と対面して設けられた背面板材50と、貫通孔板20と背面板材50との間に設けた空気層60とを備えるように構成される吸音板10が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、貫通孔板20および背面板材50はそれぞれ、特許文献1の内装板および外装板に相当するものである。
かかる吸音板10の空気層60は、貫通孔板20と背面板材50との間に支持部材(図示せず)を介在させることで構成している。このような構成の吸音板10は、板厚寸法が小さく、重さも軽いという点からも従来の吸音板と比較して優れている。
特開2003−50586号公報(請求項1、段落0029、図1)
しかしながら、特許文献1に記載の貫通孔板20は、曲げ剛性や強度が低く、板厚寸法が小さいために損壊等しやすいという問題があった。
これに対し、十分な曲げ剛性を得ようとすると貫通孔板20の板厚寸法を大きくする必要があるが、穿孔加工が難しいという問題があった。
さらに、吸音板を製造する場合には、支持部材を介在させて貫通孔板と板材とを接続させるため、部品点数が多いばかりでなく、支持部材の調整作業が面倒で製造作業にも手間がかかった。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、重さ増加を最小限に抑えつつ、曲げ剛性や強度を高くした吸音用多孔板と、これを用いた従来よりも簡単な構成の吸音板、および、かかる吸音板を製造するための吸音用多孔板の製造方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決した本発明に係る吸音用多孔板は、多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板の少なくとも片面側に、所定間隔で複数の開口部を設けた補強体を着設した構成としている。
このように、貫通孔板を補強するための補強体を貫通孔板に直接張り合わせているので、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板とすることができる。そのため、貫通孔板が変形、損傷等しにくい。
ここで、本発明に係る吸音用多孔板は、貫通孔板を金属または合成樹脂で作製するのが好ましく、アルミニウムあるいはアルミニウム合金で作製するのがより好ましい。
このような構成とすれば、吸音用多孔板自体が適度な強度を有するため、補強体に着設すると、当該吸音用多孔板の強度を高くすることが可能となる。
本発明に係る吸音用多孔板は、貫通孔板の孔の大きさを直径0.5〜3.0mmで形成するのがよい。
貫通孔板の孔の大きさを特定の範囲に設定したことにより、優れた吸音効果を得ることができる。
本発明に係る吸音用多孔板は、補強体をアルミニウム板、アルミニウム合金板、めっき鋼板を含む鉄板、ステンレス鋼板、銅板、銅合金板、チタン板、およびチタン合金板のうち少なくとも1種を用いて作製するのがよい。
このような構成とすれば、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板を得ることができる。
特に、本発明に係る吸音用多孔板は、補強体が、格子によって形成された略四角形の開口部を有するように素板から形成されたエキスパンドメタルで構成され、格子の厚さt、格子の長さL、格子の幅a、およびエキスパンドメタルの展開方向と同じ方向の対角線と格子のなす角度θから算出される、格子と等価の曲げ剛性を有する平板体の厚さt0と格子の厚さtとの比t/t0が、下記式(1)を満たし、格子の重さW、格子の長さL、格子の幅a、およびエキスパンドメタルの展開方向と同じ方向の対角線と格子のなす角度θから算出される、格子と等価の曲げ剛性を有する平板体の重さW0と格子の重さWとの比W/W0が、下記式(2)を満たす構成とするのがよい。
Figure 2007058109
Figure 2007058109
このような構成とすれば、軽量で、かつ、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板とすることができる。なお、角度θを45°とし、さらに四辺のエキスパンドメタルの格子の長さを等しくすると、これを具備する補強体は、どの方向から荷重がかかっても曲げ剛性および強度に優劣が生じにくい。そのため、前記のように設定(角度θ:45°、四辺の長さを等しく)すると、曲げ剛性および強度と軽量化の観点から特に好ましい。
本発明に係る吸音板は、多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板と、所定間隔で複数の開口部を設けた補強体と、を着設してなる吸音用多孔板と、この吸音用多孔板の補強体に着設された背面板材と、を備え、補強体の開口部の位置に貫通孔板と背面板材とが離間した所定の厚さの空気層を有する構成としている。
このように、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板と背面板材とを着設することによって、貫通孔板と補強体と背面板材との間に所定の厚さの空気層を形成するので、吸音効果に優れるとともに高い強度を備えたものとすることができる。
本発明に係る吸音用多孔板の製造方法は、多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板の少なくとも片面側にエキスパンドメタルを重ねた後に、20%以上50%以下の冷延率で冷間圧延してこれらを圧着するものである。
このように、20%以上50%以下の冷延率で冷間圧延することにより圧着し、貫通孔板とエキスパンドメタルとを着設した構成の吸音用多孔板を製造することができる。すなわち、本発明の吸音用多孔板の製造方法は、貫通孔板とエキスパンドメタルとを圧着することによって強固に張り合わせ、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板を製造することができる。
本発明に係る吸音用多孔板の製造方法は、多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板とエキスパンドメタルとの間に接着剤を塗布した後に、貫通孔板とエキスパンドメタルとを押圧しつつ接着するものである。
このような製造方法によっても、貫通孔板とエキスパンドメタルとを着設した構成の吸音用多孔板を製造することができる。すなわち、本発明の吸音用多孔板の製造方法は、貫通孔板とエキスパンドメタルとを強固に張り合わせることができるので、高い曲げ剛性と強度を備えた吸音用多孔板を製造することができる。
本発明の吸音用多孔板によれば、補強体により補強されているので、重さを抑え、曲げ剛性と強度を高くすることができる。
また、本発明の吸音板によれば、曲げ剛性と強度が高い吸音用多孔板を用いているので高い強度を有する。
さらに、本発明の吸音用多孔板の製造方法によれば、重さの増加を抑えて、曲げ剛性などの強度が高い吸音用多孔板を圧延ロールによって製造することができる。
次に、適宜図面を参照しながら本発明に係る吸音用多孔板とその製造方法およびこれを用いた吸音板について詳細に説明する。
参照する図面において図1の(a)は、本発明に係る吸音用多孔板の構成の一例を説明する斜視図であり、(b)は、(a)のZ−Z線断面図であり、図2〜図4は、いずれも本発明に係る吸音用多孔板の構成の他の一例を説明する平面図であり、図5は、エキスパンドメタルで構成した構造について説明するための説明図であり、図6は、エキスパンドメタルの格子の一端に荷重がかかった様子を示す図であり、図7は、エキスパンドメタルと等価の曲げ剛性を持った平板体に荷重がかかった様子を示す図である。また、図9は、本発明に係る吸音板の構成を説明する一部断面図である。
[1.吸音用多孔板]
まず、図1を参照して本発明に係る吸音用多孔板1について説明する。
図1(a)に示すように、本発明の吸音用多孔板1は、多数の微細な孔2aを貫通させて形成した貫通孔板2の少なくとも片面側に、所定間隔で複数の開口部3aを設けた補強体3を着設した構成となっている。
なお、貫通孔板2と補強体3との着設は、後記するように、20%以上50%以下という比較的大きな冷延率の冷間圧延を行うことによって圧着することや、接着剤等を用いて接着することによって行うことができる。このようにして着設された補強体3の構成の一例を図1(b)に示す。
(1−1.補強体)
補強体3は、アルミニウム板、アルミニウム合金板、めっき鋼板を含む鉄板、ステンレス鋼板、銅板、銅合金板、チタン板、およびチタン合金板のうち少なくとも1種以上を用いて作製するのがよい。
これらを用いて補強体3を作製すれば高い強度を得ることができる。これらは任意に選択して用いることができるが、アルミニウム板、アルミニウム合金板およびステンレス鋼板は耐食性や製造の容易性の点で優れ、めっき鋼板を含む鉄板はコスト面で優れている。また、チタン板およびチタン合金板も耐食性の点で優れたものであり、銅板および銅合金板は導電性が要求される場合に好ましい。
ここで、補強体3の開口部3aは、図1〜図4に示すように、略ひし形(図1(a)参照)、正方形(図2参照)、丸形(図3参照)、六角形(図4参照)などで多数形成することができる。このようにすれば、後記するように背面板材5を着設して吸音板4を作製したときに、かかる開口部3aで空気層6を形成することができる(図9参照)。
補強体3の開口部3aは、前記した素材の条を格子状に組むこと、平板を作製した後に打ち抜きプレス加工すること、あるいは、鋳造成形することによって形成することができる。
特に、本発明の吸音用多孔板1は、エキスパンドメタルで形成するのが好ましい。そして、その開口部3aは、図1(a)に示すような略ひし形に形成するのが好ましい。エキスパンドメタルは、製造が容易であるだけでなく、コスト面でも有利だからである。なお、エキスパンドメタルでは、素板に切り込み等を入れた後に一定方向に伸張することで開口部3aを形成する。そのため、開口部3aは、明確な頂点を有しない略ひし形などの略四角形(これらを総称して略四角形という)となることが多い。
このように、略四角形の開口部3aを有するエキスパンドメタルの補強体3を備えた吸音用多孔板1は、当該補強体3の強度を高くするために、図5〜図7を参照しつつ下記に説明する式(3)〜式(7)によって導き出された式(8)、および、式(9)と式(10)によって導き出された式(11)で示されるエキスパンドメタルの格子の長さLと、エキスパンドメタルの幅aと、エキスパンドメタルの格子の厚さtと、エキスパンドメタルの格子の重さWと、略四角形の開口部を有するエキスパンドメタルの展開方向と同じ方向の対角線と格子のなす角度θと、を用いて算出されるエキスパンドメタルの格子と等価な曲げ剛性をもつ平板体の厚さtと当該格子の厚さtとの比t/t0、および、エキスパンドメタルの格子と等価の曲げ剛性をもつ平板体の重さWと当該格子の重さWとの比W/W0が、それぞれ下記の条件(A)および(B)を満足するように構成するのがよい。条件(A)と条件(B)の範囲を規定した理由については後述する。
条件(A):1<t/t0≦4
条件(B):0.2<W/W0≦1
なお、略四角形の開口部3aを有するエキスパンドメタルで構成された補強体3の説明においては、図5に示すように、説明の便宜の観点から、1つの略四角形の開口部3aを形成する四つの格子が連結している部分の中心位置に、開口部3aの頂点となるABCD(頂点ABCD)を設定している。また、頂点ABCDを結んでできる辺AB(以下、格子ABということもある),BC,CD,DAはそれぞれ、開口部3aの四つの格子を示す。以下、これを参考にして説明を行う。
以下の説明において、L=エキスパンドメタルの格子ABの長さ、a=エキスパンドメタルの格子ABの幅、θ=エキスパンドメタルで構成した補強体3の展開方向と同じ方向の対角線ACと格子ABのなす角度、t=エキスパンドメタルの格子ABの厚さ、t0=エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の厚さ、W=エキスパンドメタルの格子ABの重さ、W0=エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の重さ、P=荷重とする。
図5および図6に示すように、エキスパンドメタルで構成した補強体3の格子ABの一端(頂点B)に、図5の紙面と垂直方向(すなわち、格子ABの厚さtと平行方向(図6参照))に荷重Pが作用した場合、格子AB1本のたわみδは、はり理論から下記式(3)のようになる。
Figure 2007058109
ここで、Eは、ヤング率であり、Iは、断面2次モーメントである。Iは、下記式(4)で示すことができる。
Figure 2007058109
一方、図7に示すように、格子ABの長さLから算出されるエキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体に対して、前記と同様な方向、すなわち、格子ABの長さLから算出されるエキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の厚さt0と平行方向に荷重Pを作用させた場合のたわみδは、下記式(5)のようになる。
Figure 2007058109
ここで、Iは、断面2次モーメントであり、格子ABの長さLから算出される平板体の厚さt0から、Iは、下記式(6)で示すことができる。
Figure 2007058109
そして、エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体のたわみδとエキスパンドメタルの格子AB1本のたわみδとが等しくなる当該格子ABの厚さtは、δ=δとおくと、下記式(7)のように示すことができる。
Figure 2007058109
すなわち、エキスパンドメタルの格子ABの厚さtと、エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の厚さt0の厚さの比t/t0は、下記式(8)として導き出すことができる。
Figure 2007058109
また、エキスパンドメタルの格子ABの重さWとエキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の重さW0は、下記式(9)および下記式(10)として示すことができる。
Figure 2007058109
Figure 2007058109
ここで、ρは、密度である。したがって、エキスパンドメタルの格子ABの重さWとエキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の重さの比W/W0は、下記式(11)のように示すことができる。
Figure 2007058109
そして、前述したように、前記式(8)によって求められるエキスパンドメタルの格子ABの厚さtと、エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の厚さt0との比t/t0が、条件(A):1<t/t0≦4を満たす(すなわち、平板体の厚さの4倍以下の厚さ)ようにするのが好ましい。t/t0が4以下であれば、エキスパンドメタルで構成した補強体3の重さを増加させることなく同等以上の曲げ剛性や強度を得ることができる。つまり、t/t0が4を超えると、所望するところの吸音用多孔板1の重さの増加を抑えるという効果を得ることができない。
また、前記式(11)によって求められるエキスパンドメタルの格子の重さWと、エキスパンドメタルの格子ABと等価の曲げ剛性をもつ平板体の重さW0との比W/W0が、条件(B):0.2<W/W0≦1をも満たす(すなわち、平板体と同等以下の重さ)ようにするのが好ましい。W/W0を0.2以下にすると、a/Lが小さくなり過ぎるために、エキスパンドメタルで補強体3を製造することが困難である。一方、W/W0が1を超えると、エキスパンドメタルの格子ABの重さWが重くなる、つまり、エキスパンドメタルで構成した補強体3が重くなるため、結果的に所望するところの吸音用多孔板1の重さの増加を抑えるという効果を得ることができない。
なお、角度θは、大きすぎても小さすぎても開口部3aの開口面積が小さくなるので、孔2aの個数も少なくなり、所望の吸音効果を得ることができない。
図8は、前記式(8)および前記式(11)によって算出された計算結果の一例を示すグラフである。同図(a)は、エキスパンドメタルの格子の長さLを45mm、エキスパンドメタルの格子の幅aを4.5mmとした場合における角度θとt/t0の関係を示すグラフであり、同図(b)は、(a)と同じ条件における角度θとW/W0の関係を示すグラフである。
図8(b)の例では、角度θが29°以下であるとき、および83°以上であるときにW/W0が1を超えている。また、同図(a)に示すように、角度θが30°以下であるときにt/t0が4を超えている。
(1−2.貫通孔板)
貫通孔板2は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、めっき鋼鈑を含む鉄、銅、銀、金などの金属で作製することや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂などのほか、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いた合成樹脂で作製するのが好ましい。
これらの素材を用いて作製された貫通孔板2は、貫通孔板2自体が適度な強度を有しているので、補強体3と着設することによって、その曲げ剛性、強度を高くすることができる。
貫通孔板2としては、これらの中でもアルミニウムまたはアルミニウム合金で作製するのがより好ましい。アルミニウムやアルミニウム合金を用いて貫通孔板2を作製すれば、軽量でありながら強度や耐食性に優れるだけでなく、コスト面や製造の容易性の点でも優れている。
かかる素材の貫通孔板2の厚さは、0.01〜0.3mmの範囲で適宜変更することができる。金属の貫通孔板2であれば、冷間圧延加工を必要回数行うことでこのような厚さとすることができる。また、合成樹脂の貫通孔板2であれば、キャスト製法や押し出し製法で製造することによってこのような厚さとすることができる。
貫通孔板2の孔2aの大きさとしては、特開2003−50586号公報に記載されているように、0.5〜3.0mmの間で任意に設定することができる。もちろん、0mm以上0.5mm以下の大きさで孔2aを設けてもよいことはいうまでもない。かかる範囲の大きさの孔2aであれば、後記するように、吸音板4を構成したときに空気層6と協働することで吸音効果を発揮することができるからである(図9参照)。
貫通孔板2の孔2aは、貫通孔板2の素材が金属や熱硬化性樹脂であれば、針状突起を備えた孔開け用のロールを用いたロール加工によって形成することができるほか、針状突起を備えたプレス板によるプレス加工や打抜き加工によって形成することができる。
貫通孔板2の素材が合成樹脂であれば、前記の手法を用いることができることはいうまでもないが、熱可塑性樹脂であれば針状突起を加熱させることによって、より簡単に孔2aをあけることが可能である。
このように、前記で説明した補強体3と貫通孔板2とを着設させてなる吸音用多孔板1は、大きく重さを増加させることなく、これらの曲げ剛性、強度が加算的に強化される。その結果、肉厚の平板状態の貫通孔板と等しい曲げ剛性を有し得るものである。
[2.吸音板]
そして、図9に示すように、本発明に係る吸音板4は、前記した貫通孔板2と補強体3と、を着設してなる吸音用多孔板1と、この吸音用多孔板1の補強体3に着設された背面板材5と、を備え、補強体3の開口部3aの位置に貫通孔板2と背面板材5との間の空気層6を有する構成となっている。
ここで、背面板材5としては、いわゆる建築材用の化粧板や車両のボンネットなど、一般的な外装板を用いることができる。
すなわち、本発明の吸音用多孔板1と、これらの背面板材5との間に空気層6を形成することで本発明に係る吸音板4を具現することができる。
[3.吸音用多孔板の製造方法]
次に、本発明に係る吸音用多孔板の製造方法について説明する。
本発明の吸音用多孔板1は、微細な孔2aが貫通した貫通孔板2の少なくとも片面側に補強体3を重ねた後に、20%以上50%以下の冷延率で冷間圧延してこれらを圧着することによって製造することができる。
冷延率が20%未満であると、圧着不足となるため圧着がうまくいかないことがある。一方、冷延率が50%を超えると、孔2aを起点に貫通孔板2が損傷する場合がある。
すなわち、高い冷延率で冷間圧延することによって補強体3と貫通孔板2とを圧着させたクラッド板状の吸音用多孔板1を製造するものである。
なお、冷間圧延には、金属板を製造するために通常使用される冷間圧延機を用いることができる。
また、本発明の吸音用多孔板1は、微細な孔2aが貫通した貫通孔板2と補強体3との間に接着剤を塗布した後に、貫通孔板2と補強体3とを押圧しつつ接着することによって製造することもできる。
つまり、貫通孔板2と補強体3とを接着剤によって着設した吸音用多孔板1を製造するものである。
なお、押圧は、プレス加工に通常使用されるプレス機等を用いることによって行うことができる。
本発明で用いられる接着剤としては、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属などや、合成樹脂などを強固に着設できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤などを用いることができる。
以上、本発明の吸音用多孔板とその製造方法およびこれを用いた吸音板を実施するための最良の形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの内容に限定して解してはならず、本発明の特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、変更改変して適用することができる。
(a)は、本発明に係る吸音用多孔板の構成の一例を説明する斜視図であり、(b)は、(a)のZ−Z線断面図である。 本発明に係る吸音用多孔板の構成の他の一例を説明する平面図である。 本発明に係る吸音用多孔板の構成の他の一例を説明する平面図である。 本発明に係る吸音用多孔板の構成の他の一例を説明する平面図である。 エキスパンドメタルで構成した補強体について説明するための説明図である。 エキスパンドメタルの格子の一端に荷重がかかった様子を示す図である。 エキスパンドメタルの格子と等価の曲げ剛性をもった平板体に荷重がかかった様子を示す図である 式(8)および式(11)によって算出された計算結果の一例を示すグラフであって、(a)は、エキスパンドメタルの格子の長さLを45mm、エキスパンドメタルの格子の幅aを4.5mmとした場合における角度θとt/t0の関係を示すグラフであり、(b)は、(a)と同じ条件における角度θとW/W0の関係を示すグラフである。 本発明に係る吸音板の構成を説明する一部断面図である。 従来の吸音板の構成を示す一部断面図である。
符号の説明
1 吸音用多孔板
2 貫通孔板
2a 孔
3 補強体
3a 開口部
4 吸音板
5 背面板材
6 空気層

Claims (8)

  1. 多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板の少なくとも片面側に、所定間隔で複数の開口部を設けた補強体を着設したことを特徴とする吸音用多孔板。
  2. 前記貫通孔板を金属または合成樹脂で作製したことを特徴とする請求項1に記載の吸音用多孔板。
  3. 前記貫通孔板をアルミニウムあるいはアルミニウム合金で作製したことを特徴とする請求項1に記載の吸音用多孔板。
  4. 前記貫通孔板の前記孔の大きさを直径0.5〜3.0mmで形成したことを特徴とする請求項1に記載の吸音用多孔板。
  5. 前記補強体をアルミニウム板、アルミニウム合金板、めっき鋼板を含む鉄板、ステンレス鋼板、銅板、銅合金板、チタン板、およびチタン合金板のうち少なくとも1つを用いて作製したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸音用多孔板。
  6. 前記補強体は、格子によって形成された略四角形の前記開口部を有するように素板から形成されたエキスパンドメタルで構成され、
    前記格子の厚さt、前記格子の長さL、前記格子の幅a、および前記エキスパンドメタルの展開方向と同じ方向の対角線と前記格子のなす角度θから算出される、前記格子と等価の曲げ剛性を有する平板体の厚さt0と前記格子の厚さtとの比t/t0が、下記式(1)を満たし、
    前記格子の重さW、前記格子の長さL、前記格子の幅a、および前記エキスパンドメタルの展開方向と同じ方向の対角線と前記格子のなす角度θから算出される、前記格子と等価の曲げ剛性を有する前記平板体の重さW0と前記格子の重さWとの比W/W0が、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸音用多孔板。
    Figure 2007058109
    Figure 2007058109
  7. 多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板と、所定間隔で複数の開口部を設けた補強体と、を着設してなる吸音用多孔板と、
    この吸音用多孔板の前記補強体に着設された背面板材と、を備え、
    前記補強体の開口部の位置に前記貫通孔板と前記背面板材とが離間した所定の厚さの空気層を有することを特徴とする吸音板。
  8. 多数の微細な孔を貫通させて形成した貫通孔板の少なくとも片面側にエキスパンドメタルを重ねた後に、20%以上50%以下の冷延率で冷間圧延してこれらを圧着することを特徴とする吸音用多孔板の製造方法。
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