本発明に係る人体動作検出用装着具は、人体の一部に装着して、装着した人体の動作を検出する装着具であって、導電糸を含み、伸長時と非伸長時とで電気的特性が変化する動作検出センサ部を備える人体動作検出用装着具である。また、本発明に係る人体動作監視装置は、伸長時と非伸長時とで電気的特性が変化する動作検出センサ部を備え、当該動作検出センサ部が検出する装着者(被験者)の体動情報(例えば、呼吸情報;呼吸の有無、呼吸サイクル等)に基づいて、装着者の呼吸状態の異常の有無を検知し、異常が発生している場合に周囲の者に知らせることができる装置である。ここで、上記“電気的特性の変化”とは、“電気抵抗の変化”や“静電容量の変化”を含む概念である。
以下、本発明に係る人体動作検出用装着具に関する第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態について説明すると共に、本発明に係る人体動作監視装置の実施形態について説明する。
[人体動作検出用装着具に関する第1実施形態]
まず、本発明に係る人体動作検出用装着具の第1実施形態の一例について、図面に基づき説明する。なお、以下においては、本発明に係る人体動作検出用装着具に好適に適用される導電性伸縮編地(導電パーツ、導電性伸縮糸、導電性伸縮布帛)について、まず説明して、その後に、本発明に係る人体動作検出用装着具について説明する。また、以下の説明において、「抵抗」には「抵抗値」の概念を含み、「電圧」には「電圧値」の概念を含むものとする。さらに、「伸長」と「伸張」とは同義であるものとする。
<導電性伸縮編地(その1)>
以下、本発明に係る人体動作検出用装着具に好適に適用される導電性伸縮編地(その1)について、図面に基づき説明する。なお、本発明に係る導電性伸縮編地等と記載する場合がある。
図1及び図2は、本発明に係る導電性伸縮編地21を示している。この導電性伸縮編地21は、例えば図3に示すような導電パーツ22を製造する際において、その構成要素の一つとして使用することができる。
この導電パーツ22は偏平のテープ状に形成され、幅方向の両側縁部に細帯状の非導電部23が設けられ、これら両側の非導電部23に挟まれる配置(幅方向の中央部)で、細帯状の導電部が設けられている。この導電部が本発明に係る導電性伸縮編地21(以下、「本発明編地21」と記載する場合がある)である。
この導電パーツ22は、本発明編地21及び非導電部23が一体となって長手方向に沿った豊富な伸縮性を有していると共に、表裏方向へ向けた反りや曲がり、面方向に沿った左右への曲がり、更には捻りなどに自由に対応できるだけの豊富な柔軟性を有している。そして、本発明編地21は長手方向に離れた任意の2箇所間で導通性を示すものとされているが、導電パーツ22を長手方向に伸縮させたときには、本発明編地21における上記2箇所間の電気抵抗が伸長度に合わせて変化する特性を有している。
なお、この導電パーツ22は、その幅方向で複数本の本発明編地21を設けて、それらを非導電部23で区分けした構成としてもよい。また本発明編地21は、細帯状とせず広幅の帯状としたり線状としたりすることも可能である。要は、本発明編地21の配置や形成数は何ら限定されるものではない。また導電パーツ22自体、そもそもテープ状に形成することが限定されるものではなく、正方形や長方形などの四角形に形成すること等も可能である。
また、本発明編地21は、後述するようにそれ自体が伸長からの復元性(収縮性)を有している。そのため非導電部23は全く設けないものとしてもよい。すなわち、本発明編地21は導電パーツ22への使用が限定されるわけではない。ただ、非導電部23は、導電パーツ22の側縁部が他物と接触したときに本発明編地21による短絡や漏電等を防止する作用を奏することになるから、設けることが推奨される。また、非導電部23には、本発明編地21における伸縮性を補助したり、曲げや捻りなどを補強したりする効果もある。
この導電パーツ22において、本発明編地21及び非導電部23は、いずれも編組織を有したものとされており、当該導電パーツ22の表裏面に露出する状態に形成されている(本発明編地21の肉厚や非導電部23の肉厚によって導電パーツ22の肉厚が形成されている)。このうち非導電部23は、合成繊維(例えばナイロン、ポリエステル)や天然繊維、合成繊維と弾性糸とを混用した素材等の非導電糸のみによって製編されている。
これに対して本発明編地21は、導電糸10と弾性糸11とを混用させて製編されている。ここで「導電糸」とは、金属成分が糸表面に露出した裸素材を言う。また「弾性糸」とは、引っ張り力の無負荷時(非伸長時=常態)では収縮状態を維持し、引っ張り力が負荷されたときには引っ張り力に応じて自由に伸長するものであって、且つ、この引っ張り力を解除して無負荷時に戻せば、伸長状態から元の収縮状態に復元する(収縮する)素材を言う。
導電糸10には、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用するのが好適である。芯には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりもマルチフィラメントや紡績糸のほうが好ましく、更にはウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸がより好ましい。
芯に被着させる金属成分には、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
一方、弾性糸11には、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。このようなカバリング糸を採用することで、本発明編地21に親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を付与させることができる。また触感(肌触り)の向上や伸びの制御にも有用である。なお、弾性糸11として、導電性素材を含んだものを使用することも可能である。
この弾性糸11は、導電糸10がその引張強度限界となる伸長度を超えて伸長することがないように(導電糸10の伸長を制限する目的で)、素材選びすることが推奨される。弾性糸11としてカバリング糸を採用する場合は、「カバー」において、導電糸10の伸長制限作用を持たせるような素材選びをすることも可能である。またこのような、弾性糸11自体、或いは「カバー」の素材選びは、本発明編地21に要求される伸縮挙動に適応させる目的で行うものとしてもよい。なお、導電糸10の伸長(負荷)を制限する目的では非導電部23で制御することもあり得る。
本発明編地21を製編するにあたり、導電糸10と弾性糸11とを混用させる具体的な手段として、本実施形態では、図1及び図2に示すように導電糸10を平編(天竺やシングル等とも言う)で製編し、この導電糸10の平編地に対して弾性糸11をインレイによってコース方向に挿入することで得られる編組織とした。
図1及び図2で例示したインレイのパターンでは、導電糸10の1コース毎に弾性糸11を1コース挿入してあり、弾性糸11は、導電糸10に沿わせつつ導電糸10のループに絡ませるようにしている。
しかし、このような平編の採用やインレイの採用、及びそれらの組み合わせが限定されるものではない。また、導電糸10と弾性糸11とが含まれていれば、その他に別種の糸(別種の糸が弾性糸である場合を含む)を混用させることは任意である。
例えば、図4に示すように、導電糸10に対する絡ませ頻度を少なくさせて弾性糸11を挿入することも可能である。付言すれば、図1、図2、図4などはあくまでも模式図であって、図示したような整然としたパターンは現実的なものではなく、実際には弾性糸11は図示状態よりも直線状に近い(緩い)ジグザグパターンを呈することになる。場合によっては、図5に示すように弾性糸11を意図的に直線状に挿入するパターンとすることも可能である。
なお、「コース方向」は編組織において繋がったループを形成しつつ進む方向であって「コース」と同じ方向とおく。編地地面上でコース方向と垂直に交差する方向は「ウエール」又は「ウエール方向」とおく。また「コース数」はウエール方向で隣接するコースの本数である。
このような構成を備えた導電パーツ22(図3参照)は、例えば特開平11−279937号に記載の方法(筒状生地からテープ生地を取り出す方法)等を採用して製造することができる。すなわち、丸編機を用いた筒状生地の製編を行うに際して、非導電部23、本発明編地21、非導電部23の合計3区分を複数の給糸口から同時進行で製編する編みを行うと共に、ピース間に熱、水、溶剤などで溶ける繋ぎの糸を入れ、製編後に得られた筒状生地からこの繋ぎの糸を溶かす処理を行うことにより、導電パーツ22を螺旋状に分離しつつ取り出すという方法である。
この導電パーツ22(非導電部23を備えずに本発明編地21単体で構成されている場合も以下同じとする)は、コース方向へ向けて引っ張り力を負荷させたりこの引っ張り力を解除したりすることで、次のような特有の作用が得られる。
すなわち、導電パーツ22における本発明編地21の部分では、弾性糸11が、導電糸10による平編地に対してコース方向に挿入されている。そのため、この弾性糸11が導電糸10による平編地をコース方向で引き締めさせるように作用する。
これにより、導電パーツ22に対して引っ張り力を負荷させていない非伸長時(常態)には、図1に示すように、弾性糸11の引き締め力によってコース方向で隣接する導電糸10のループ同士が接触状態を保持するようになっている。加えて、導電糸10の個々のループは、コース方向で押し縮められた(しぼんだ)形状に変形され、この変形形状を保持するようになっている。
導電糸10は導電性の裸素材であるから、ループによる接触箇所数が多ければ多いほど、またコース方向で押し縮められることで接触面積が増大すればするほど、導通接点の数、すなわち、導通面積が多く、通電経路がショートカットできることを意味する。その結果、本発明編地21におけるコース方向に離れた2箇所間での電気抵抗は小さく抑えられる。
しかし、図2に示すように導電パーツ22をコース方向へ引っ張ると、本発明編地21ではそれまで接触していた導電糸10のループ同士が、弾性糸11による引き締め力に抗して離反するようになる。このときの導電糸10のループの離反挙動は、全ループが一気呵成に離反するのではなく、本発明編地21の伸長度合いに比例して接触圧が徐々に低下しながらも未だ接触状態を維持するもの(非伸長時よりも接触面積が減少したもの)や、接触を解除して隙間を徐々に広げるもの、或いは非伸長時の接触状態を維持するもの等が混在する状況を経ることになる。
そのため、本発明編地21は、非伸長時から伸長を開始してその伸長度が大きくなればなるほど、導通面積が減少し、通電経路が長くなり、電気抵抗は徐々に大きくなる傾向を示す。
当然に、導電パーツ22に対する引っ張り力を解除すれば、弾性糸11によるコース方向の引き締め力によって導電パーツ22はコース方向で収縮し、非伸長時の状態に復元するので、本発明編地21では導通面積の増加に伴って電気抵抗は小さくなる傾向を示す。
なお、導電パーツ22のコース方向の収縮は、本発明編地21自体の収縮力のみによって生起されるものとしてもよいし、或いは本発明編地21の収縮力と非導電部23の収縮力との共同作用として生起されるものとしてもよい。
このようなことから、この導電パーツ22は上記特性を利用した歪みセンサなどとして好適に使用できる。殊に、本発明編地21や非導電部23は、いずれも編組織を有して形成されているので、通気性や透湿性、吸水性などが得られものとなっている。そのため、この導電パーツ22を被服などに取り付けて着用させたとしても、着用者に、蒸れや暑苦しさなどの不快感を覚えさせることはない。よって、この導電パーツ22(及び本発明編地21)は、ウエアラブル素材としての使用に適したものと言うことができる。
図6は、導電糸10と弾性糸11とを混用させる手段として、プレーティング編を採用した場合を示している。プレーティング編では、導電糸10と弾性糸11とが編地表面と編地裏面とに明確に振り分けられて表出するので、導電糸10が表出した方向から図示したものとしてあり、導電糸10に隠れて図面上に現れない弾性糸11については断面のみが現れた状態として図示している。図6(a)は非伸長時(常態=無負荷状態)を示し、図6(b)はコース方向への伸長時を示している。
なお、プレーティング編の他、引き揃えや同給糸を採用することもできる。また、導電糸10の編組織はシングル(平編)で図示してあるが、フライス(ゴム編)をはじめ、その他の編組織を採用可能であることは言うまでもない。
プレーティング編を採用するうえでは、製編後の編地をコース方向で収縮させて隣接ループ同士が接触した状態に保ち(拡張力を無負荷とする静置状態を含む)、熱セット処理を施すようにするのが、本発明編地21における非伸長時の低抵抗性能を確実に得るうえで一層好適であることを確認している。
付言すれば、一般的な編地に熱セット処理を施す場合には、編地をコース方向で定寸固定させたり、或いは積極的に拡張させたりするのが常套手段であることから鑑みれば、熱セット処理時に編地をコース方向で収縮させた状態に保持するというのは、特徴のある製造方法であると言える。とは言え、プレーティング編を採用しつつ本発明編地21を製造する過程において、熱セット処理を施すことは限定されるものではない。
ところで、本発明編地21における電気抵抗の大小は、導電性を取り出す2箇所間の長短や幅方向(コース数)の大小によって適宜設定することができる。また、1コースの電気抵抗値を小さくするには、1コースに用いる導電糸10について、S撚りやZ撚り、引き揃えやプレーティング等により本数を多くしたり、或いは低電気抵抗の素材を選んだり、太くしたり、メッキ量を増やしたりすればよいことになる。更に、曲げ剛性が小さいほど伸縮特性に優れるため、繊維径の小さな繊維を束ねることが推奨される。
また、本発明編地21における伸縮性の大小は、例えば、伸長からの復元(戻り)が急峻で勢いの強い挙動となるように要求される場合であれば、比較的太くて強弾性の弾性糸11を選択することで対処できる。反対に、伸長からの復元がじわじわとゆっくりした挙動となるように要求される場合であれば、比較的細くて弱弾性の弾性糸11を選択することで対処できる。
なお、この「伸縮性」とは、非伸長時(常態)からの伸長と、この伸長状態からの解放による即時復元との両方を備えた特性を言う。本発明編地21と非導電部23とで、伸縮性を同じ強度にするか強弱の差をつけるかは適宜変更可能である。例えば、編地全体としてシワや波打ち等が目立たないようにしたり、伸張負荷時に導電糸10がダメージを受けないように伸縮性を抑えたりすることを目標として、それぞれの伸縮性を設定すればよい。
非伸長状態からどれだけ伸長するかの度合い(伸長度)については、製編に用いる材料(糸)の材質や太さ、製編材料の混用の有無や混用方法(カバリング、プレーティング、引き揃え等)、混用数、導電パーツ22としての帯幅や帯長さ等といった様々なファクターを、所望されるところに応じて適宜変更することで対応することができる。
また組成組織の選択によっても伸長度を適宜変更することができることは言うまでもない。この場合、殊に本発明編地21の編みを設計する際には、導電糸10のループ長と弾性糸11の弾性率、ドラフト(繊維を引き伸ばして細くすること)との調整が大きな要因となる。
なお、復元に関しては非伸長時の長さに100%回復することが理想である。しかし、必ずしも100%回復が限定されるものではなく、伸長と復元との繰り返し数を規定したうえで、この規定数以内のときは90%以上回復するような特性を備えるものであれば「良」と見なすなど、用途に応じた性能を設定すればよい。この「伸長−復元繰り返し数」が100回に満たない場合は、実質上、実用に向かないと言わざるを得ない。
「伸長−復元繰り返し数」は、デマッチャ式繰返疲労試験機を用いた繰返し引っ張り疲労試験により、計数することができる。この場合、導電パーツ22(又は本発明編地21)としての試験片にはコース方向を長辺とする長方形のものを用いる。本実施形態では試験片の寸法を長辺5cm、短辺2cmとした。また、導電パーツ22を試験片とする場合、非導電部23にはそれぞれナイロンのSCYを用いるものとし、これによって本発明編地21に伸びの影響(外乱)を与えないように配慮した。また更に、試験片中に挿入した弾性糸11が繰り返し伸長時に抜けてしまわないように、試験片のコース方向端部(1.5cm程度)を適宜固定手段により固定した。固定手段の具体例としては、ポリウレタンを用いたホットメルトフィルムにて、生地に含浸させるようにラミネートする方法を例示することができる。
本発明編地21は、弾性糸11による引き締め力(収縮力)に付随させることにより、編地の伸長状態と非伸長状態との間で導電糸10の接触面積及び接圧を挙動させるものである。そのため本発明編地21では、非伸長時にできるだけ縮めておくことで、豊富な伸縮性(例えば150%)を発現させながらも導電糸10の接触面積及び接圧を変化させることができる。
伸縮性をより豊富なものとさせるには、太いポリウレタン糸、伸長に対する復元力(キックバック)の強い高弾性率のポリウレタン糸をドラフト高く(糸長を短く)使用する方法もある。更に、導電糸10の経路に補助的に(インレイとは別に)比較的細い弾性糸11(ポリウレタン等)を同給糸するなどの方法も採用可能である。導電糸10が弛みを持ち、隣接するループと接触しやすくなることを期待できる。
その他、導電糸10同士を接触しやすくするには、ウーリー加工のメッキ糸や、メッキ糸をカバーに用いたカバリング糸などが適している。
[実施例]
以下に、本発明編地21の実施例を例示するが、これらは技術的な理解を助けるために開示するものであり、本発明の技術的範囲は以下の例示に限定されるものではない。
(実施例1)
導電糸10として銀メッキ繊維(三ツ冨士繊維工業株式会社製のナイロンマルチフィラメント[商品名:AGposs])の78dt/34fを使用すると共に、弾性糸11としてポリウレタンの235dtを使用し、シングル(平編)の製編を行った。弾性糸11の挿入形態は、図2に示したインレイ(図7では[A]と表記)を採用し、高ドラフトで挿入した。
なお、ここにおいて「高ドラフト」は、製編時にポリウレタン糸を伸長状態で給糸することを言う。高ドラフトでポリウレタン糸を給糸すると、製編後の編地には、自由状態下においてポリウレタン糸による引き締め力が効果的に作用するようになり、その結果、コース方向で隣接する導電糸10のループ同士が接触状態を保持する、といった特性が得られるようになる。
(実施例2)
導電糸10として銀メッキ繊維(AGposs)の78dt/34fを使用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の235dtを使用し、シングルの製編を行った。弾性糸11の挿入形態は、図4に示したインレイ(図7では[B]と表記)を採用し、高ドラフトで挿入した。
(実施例3)
導電糸10として銀メッキ繊維(AGposs)の78dt/34fを使用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の235dtを使用し、フライス(ゴム編)の製編を行った。弾性糸11の挿入形態は、図5に示したインレイ(図7では[C]と表記)を採用し、高ドラフトで挿入した。
(実施例4)
導電糸10として銀メッキ繊維(AGposs)の78dt/34fを使用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtを使用し、シングルのプレーティング編の製編を行った。すなわち、弾性糸11の挿入形態にはプレーティング編を採用したことになる。またポリウレタン糸は高ドラフトで挿入した。
(実施例5)
導電糸10として、銀メッキ繊維(AGposs)の78dt/34fを使用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtを使用し、フライスのプレーティング編の製編を行った。すなわち、弾性糸11の挿入形態にはプレーティング編を採用したことになる。またポリウレタン糸は高ドラフトで挿入した。
図7中の「伸長−抵抗値」は以下の試験方法により取得した。
すなわち、この試験では長辺5cm、短辺2cmの試験片(導電部1cm、両側非導電部0.5cmずつ)を準備し、この試験片の長手方向両端部に、それぞれ1cmのチャック部を設けた。チャック部は、ポリウレタンベア糸の抜けを防止するためにポリウレタンホットメルトフィルムにて熱ラミネートしたものである。
この試験片を、両端のチャック部をつかむようにして非伸長状態(無負荷)のスパン3cmが得られるように張り渡す。そして、この張り渡し状態から試験長を3cm〜5.5cmにわたり0.5cm単位で伸長させ、伸長後の各抵抗値を測定するものである。
この図7から明らかなように、本発明編地21(実施例1〜3)では、「伸長−抵抗値」において、伸長させる程度に応じて、顕著な抵抗の変化が得られるものであることが確かめられた。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、本発明編地21は筒状生地として製編する製造過程が限定されるものではなく、非筒のシート状として製編してもよい。従って、丸編機や横編機など、汎用の編機によって製編することができる。
本発明編地21において、導電糸10は、前記した平編やゴム編の他、スムース編又はそれらの変形組織などにより製編することもできる。例えば、エイトロック、コードレーン、鹿の子等に挿入糸を適用した生地などを例示することができる。要するに、ポリウレタン等の弾性糸11をインレイ、プレーティング編、同給糸等により導電糸10と混用させることによって、隣接するループ同士が接触する状況が得られればよい。
本発明編地21は、伸長度に応じて電気抵抗が変わる特性を活かして、前記した歪みセンサとして使用する他にも多くの利用分野を有する(例えば、給電用、信号用、医療用等)。
その他、導電糸10及び弾性糸11とは別に、伸び止め用の編糸(非弾性糸とすることが好ましいが撚りや編組織により伸長を制限させた糸としてもよい)を混用することも可能である。非導電部23の編糸、編設計で伸び止めをするのがよい。
導電糸10には金属線を使用することもできる。金属線としては、アルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等により形成されたものを例示することができる。場合によっては、金属線の代わりに炭素繊維を採用することも可能である。
金属線等の線径は、10〜200μmのものとするのが好適である。細径の繊維を束ねて使うことも可能である。このように金属線等に関しては、塑性変形しやすいものであるか否か、或いは、顕著な弾性復元力(バネ性)を備えたものであるか否かなどについて、特に限定されるものではない。
<導電性伸縮編地(その2)>
以下、本発明に係る人体動作検出用装着具に好適に適用される導電性伸縮編地(その2)について、図面に基づき説明する。なお、以下において説明する導電性伸縮編地(その2)と上記で説明した導電性伸縮編地(その1)とにおいて同じ符号を付している構成については同じ構造および同じ作用効果を備える。このため、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、ここでは繰り返して説明しない場合がある。また、同じ符号を付している構成についての詳細な説明が相違することがあるが、同じ符号を付している構成については本質的に同じである。
図8(a),(b)に示すように、体動作検出用装着具に好適に適用される導電性伸縮編地(その2)に使用される導電性伸縮糸1は、芯部に弾性糸11を用い、芯部を被覆する被覆部に導電糸10A,10Bを用いたカバリング糸で、導電糸10A,10Bを用いて芯部を二重に被覆したDCYで構成されている。図8(a)には引っ張り力が作用していない無負荷時の収縮状態の導電性伸縮糸1が示され、図8(b)には引っ張り力が作用している負荷時の伸張状態の導電性伸縮糸1が示されている。
以下の説明で「弾性糸」とは、無負荷時つまり非伸長時(常態となる)に収縮状態が維持され、負荷時には引っ張り力に応じて伸長する特性を備え、引っ張り力を解除すると伸長状態から元の収縮状態に復元(収縮)する素材を意味し、導電糸とは、金属成分が糸表面に露出した裸素材を意味する。
一般的に、線状体の電気抵抗率をρとすると、抵抗値R=ρ×(l/A)と表すことができる。つまり、抵抗値Rは、長さlに比例し、断面積Aに反比例する。
図8(a)に示すように、導電性伸縮糸1が収縮状態にあるときには、被覆部を構成する導電糸10A,10Bが芯部となる弾性糸11の周りに密に巻回された状態となり、隣接する導電糸の表面同士が密に接触することで、上式の長さlが短くなるとともに断面積Aが大きくなり、抵抗値が小さくなる。
図8(b)に示すように、導電性伸縮糸1が伸長すると、伸張の程度に応じて弾性糸11の径方向及び長さ方向に隣接する導電糸10A,10Bの表面同士が次第に離隔するため、上式の長さlが長くなるとともに断面積Aが小さくなり、抵抗値が次第に大きくなる。従って、伸張の程度が大きくなるほど抵抗値が大きくなる。つまり、カバリング糸の所定長さ当たりの電気抵抗値がカバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を示すようになる。
芯部を構成する弾性糸11として、ポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を単独で用いた弾性糸を採用することができ、「芯」にポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することも可能である。
被覆部を構成する導電糸10A,10Bとして、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用することができる。
導電糸10A,10Bを構成する糸の芯として、モノフィラメントを採用することも可能であるが、モノフィラメントよりもマルチフィラメントや紡績糸を採用する方が好ましい可変抵抗特性が得られる。更にはポリウレタン繊維のような伸縮性を備えた繊維を用いることも可能である。被覆部としてウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸を採用するのがより好ましい可変抵抗特性が得られる。
芯に被着させる金属成分として、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
図9(a),(b)には、導電性伸縮糸1の他の態様が示されている。当該導電性伸縮糸1は、芯部に弾性糸11を用い、芯部を被覆する被覆部に導電糸10を用いたカバリング糸で、導電糸10を用いて芯部を一重に被覆したSCYで構成されている。図9(a)には無負荷時の収縮状態の導電性伸縮糸1が示され、図9(b)には負荷時の伸張状態の導電性伸縮糸1が示されている。
DCYと同様に、導電糸10として、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用することができる。
弾性糸11の伸長の程度によって隣接する導電糸10の接触面積が次第に小さくなるように、導電糸10を構成する糸の芯として、マルチフィラメントや紡績糸を採用するのが好ましく、被覆部としてウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸を採用するのがより好ましい。
図9(a)に示すように、導電性伸縮糸1が収縮状態にあるときには、被覆部を構成する導電糸10が芯部となる弾性糸11の周りに密に巻回された状態となり、隣接する導電糸10の表面同士が密に接触することで、上式の長さlが短くなるとともに断面積Aが大きくなり、抵抗値が小さくなる。
図9(b)に示すように、導電性伸縮糸1が伸長すると、伸張の程度に応じて弾性糸11の長さ方向に隣接する導電糸10の表面同士が次第に離隔するため、上式の長さlが長くなるとともに断面積Aが小さくなり、抵抗値が次第に大きくなり、伸張の程度が大きくなるほど抵抗値が大きくなる。
図10には、このような導電性伸縮糸1を用いた導電性伸縮編地2として、平編地が例示されている。導電性伸縮糸1としてSCYとDCYのどちらを用いても良いが、DCYは導電糸10A,10B同士の交差部があり導通が確保できる上に被覆密度が上がりやすく、初期抵抗値を下げる効果が得られるのでより好ましい。
弾性糸11のドラフト率と導電糸10の撚り数は肌着用に通常用いられるカバリング糸と同程度(例えばドラフト率1.0〜5.0倍程度、撚り数50〜2000T/m程度)であればよい。
この例のように、少なくとも一部に導電性伸縮糸1を用いて編成して構成される導電性伸縮編地2であれば、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。
導電性伸縮編地2を、導電性伸縮糸1を用いて平編で編成する例を説明したが、導電性伸縮編地2の編組織は平編に限るものではなく、伸縮性に富んだゴム編(フライス編)や、両面編(スムース編)を採用してもよく、他の任意の編組織のヨコ編地を採用することも可能である。導電性伸縮編地2として、フライス編を採用する場合には、編地の端縁でカールすることなく安定した平坦な姿勢に維持できる。更に、タテ編地で構成することも可能である。
長手方向がコース方向に沿う帯状の導電性伸縮編地2、或いは長手方向がウエール方向に沿う帯状の導電性伸縮編地2を構成すれば、長手方向への伸長率に相関を示す抵抗特性を備えた導電性伸縮編地2が得られる。
サイズの大きなヨコ編地を構成する場合に、コース単位或いは数コース単位で導電性伸縮糸1と絶縁性伸縮糸とを切り替えて編成することにより、導電性伸縮糸1を用いたコース方向で電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。絶縁性伸縮糸として、例えばポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を用いた弾性糸を芯糸として絶縁性の糸を被覆したSCYやDCYを用いることができる。
同様に、サイズの大きなヨコ編地を構成する場合に、コースの一部に導電性伸縮糸1を用い、当該導電性伸縮糸1を用いた部位をウエール方向に沿って編成するように構成すれば、導電性伸縮糸1を用いたウエール方向で電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。
さらに、少なくとも一部に上述の特徴構成を備えた導電性伸縮糸1を用いて織成することにより導電性伸縮布帛を構成することも可能である。縦糸と横糸の何れか一方に導電性伸縮糸を用いて織成した導電性伸縮布帛を伸張すると、導電性伸縮糸の可変抵抗特性に従って抵抗値が変化するようになり、抵抗値を検知することにより布帛の伸長率が把握できるようになる。
この場合、縦糸と横糸の何れか一方に導電性伸縮糸を複数本連続配置すると、隣接する導電性伸縮糸同士での電気的接触が確保されるので、仮に1本の導電性伸縮糸が破断しても補完されるようになる。
縦糸と横糸の双方に導電性伸縮糸1を用いて導電性伸縮布帛を構成すると、電気抵抗値が導電性伸縮布帛の縦横二方向のそれぞれの伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになり、抵抗値を検知することにより布帛の二方向に対応した伸長率が把握できるようになる。
織組織として、平織、綾織、朱子織の三原組織を採用することができ、これらを元にした変化組織を用いることが可能である。
本発明による編地や布帛を衣服の一部に用いれば、生地の伸張による抵抗値の変化に基づいて着用者の姿勢変化を検知することができるようになる。衣服を構成する身生地の一部に本発明による編地や布帛を重畳配置するばかりでなく、身生地の一部を本発明による編地や布帛で構成することも可能である。
衣服以外に、伸縮作動する対象物の伸縮の程度や回数、さらには伸縮周期等を計測するセンサとして活用することができる。
[実施例]
以下、本発明による編地の可変抵抗特性を確認した実験結果を説明する。
被覆部となる導電糸10として銀メッキ繊維の30dtexを採用し、芯部となる弾性糸11としてポリウレタン糸の155dtexを採用したDCYを用いてフライス編地を製作し、当該フライス編地を実施例1とする。弾性糸のドラフト率は2.6倍、導電糸の撚り数は477T/Mである。
導電糸10として銀メッキ繊維の78dtexを2本採用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtexを採用して、プレーティング編みでフライス編地を製作し、当該フライス編地を比較例1とする。
比較例2として、導電糸10として銀メッキ繊維の78dtexを3本採用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtexを採用して、プレーティング編みでフライス編地を製作し、当該フライス編地を比較例2とする。
長辺12cm、短辺2cmの試験片(導電部1cm、両側非導電部0.5cmずつ)を夫々準備し、各試験片の長手方向両端部に、それぞれ1cmのチャック部を設けた。チャック部は、導電糸または弾性糸の抜けを防止するためにポリウレタンホットメルトフィルムを用いて熱ラミネートしたものである。
各試験片の両端のチャック部を掴むようにして非伸長状態(無負荷)のスパン10cm(伸長率0%)が得られるように試験装置に張り渡し、この張り渡し状態から試験長を10cm〜20cmにわたり所定の伸長率で伸長させ、伸長後の各抵抗値を測定した。
図11には実験結果が示されている。実施例1では、伸長程度に応じて顕著な抵抗の変化が現れ、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えていることが判明した。
しかし、比較例1,2では、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値と編地の伸長率との間に相関が示されることはなかった。
<導電性伸縮編地を適用した人体動作検出用装着具>
上述した導電性伸縮編地(その1)または導電性伸縮編地(その2)を好適に適用した、本発明の第1実施形態に係る人体動作検出用装着具を、以下において説明する。なお、本発明に係る人体動作検出用装着具は、人体の一部に装着して、装着した人体の動作を検出する装着具であって、伸長時と非伸長時とで電気抵抗が変化する特性を備えた導電性伸縮編地と、導電性伸縮編地が取り付けられた、伸縮性を備えた生地とを含み、伸長抵抗が導電性伸縮編地よりも生地のほうが大きいという特徴を備えればよい。ここで、この人体動作検出用装着具は(後述する変形例のように)導電性伸縮編地および生地の少なくともいずれかが、人体の一部に接して装着される身生地に取り付けられていても構わないが(この点ではこの生地はベース生地、中間生地、補強生地とも言える)、以下においては、この生地が人体に接して装着される身生地であるものとして説明する。さらに、本発明に係る人体動作検出用装着具は上述した導電性伸縮編地(その1)を適用したものとして説明するが、導電性伸縮編地(その1)に限定されるものではなく、上述した導電性伸縮編地(その2)やその他伸縮性を有する導電性生地(生地には編地以外を含む)を本発明に係る人体動作検出用装着具に適用したものであっても構わない。
本発明の第1実施形態に係る人体動作検出用装着具は、人体の一部に装着して、装着した人体の動作を検出する装着具として機能する。このような人体動作検出用装着具としては、図12(a)に示す上半身用衣類110、下半身用衣類120、図12(b)に示す、肩用着用具の一例である肩用サポータ130、肘用着用具の一例である肘用サポータ140、手袋150、膝用着用具の一例である膝用サポータ160、靴下170等がある。いずれの人体動作検出用装着具においても、少なくとも1つの関節や背中などの屈曲可能な部位が含まれるように、人体の一部を覆う衣類または人体の一部に装着する装着具の形状を備える。より詳しくは、関節等の曲げ伸ばしにより、人体動作検出用装着具を構成する上述した導電性伸縮編地の電気的特性が、変化するように装着具が構成されている。ここで、“電気的特性の変化”とは、“電気抵抗の変化”や“静電容量の変化”を含む概念であり、人体動作検出用装着具を構成する導電性伸縮編地については、伸長時と非伸長時とで電気抵抗値が変化するように構成されるが、このような構成に限定されず、本願の開示に従って静電容量の変化を検出する方式に置換することができる。
なお、本発明の第1実施形態に係る人体動作検出用装着具を長時間着用して人体動作(たとえば数時間のスクワット動作)を検出する場合もあるので、身生地の生地種(ウレタン等の弾性素材を含む生地等)、身生地および導電性伸縮編地の伸長抵抗ならびにその伸長抵抗の差が、適宜選択されて、後述するセンサ200が取り付けられていない装着具または衣類と比較して、着用者にとって違和感がないまたは違和感が少ない程度の着心地および/または着用感(フィット性、タック性、ストレッチ性、着用圧等)を実現している。
さらに詳しくは、図13(a)および図13(b)に示すように、上半身用衣類110の身生地112には、導電性伸縮編地(その1)または導電性伸縮編地(その2)を適用したセンサ200が取り付けられている。上半身用衣類110が肌着等であっても構わず、その場合には身生地112は薄手の伸縮性編地(メリヤス編地)等である。図13(a)は正面図(腹側)であって図13(b)は背面図(背中側)であって、センサ200は身生地112の肌接触面であって背中側に取り付けられているため、図13(a)では身生地112を一部破断した部分にセンサ200が表され、図13(b)では隠れ線(点線)でセンサ200が表されている。ここで、この上半身用衣類110により覆われる人体の部位としては、少なくとも1つの関節(ここでは両肩部の関節および両肘部の関節の4つの関節)が含まれ、それらに対応して複数の部位にセンサ200が取り付けられている。
なお、人体動作検出用装着具により覆われる関節等の個数および種類(特に関節等の自由度)、検出したい動作の種類(関節より人体末端側で実現される人体動作の種類)等により、身生地112に対するセンサ200の長手方向、人体の動作を判定する制御部における処理等が適宜選択される。このため、たとえば肩関節については2以上の自由度を備えるために図13において肩部に取り付けられたセンサ200の長手方向は一例でしかない。また、上述した図12および図13の説明においては、本発明に係る人体動作検出用装着具を、人が着用する観点において衣類と記載している。この点で、本発明に係る人体動作検出用装着具には人が着用する衣類が含まれる。
以下においては、さらに具体的に、本発明の第1実施形態に係る人体動作検出用装着具の一例である本発明の実施の形態に係る膝用サポータ160について説明する。図12および図14に示すように、この膝用サポータ160は、下肢の膝部分を必ず含むように着用される膝用のサポータ(サポータは一例であって伸縮性を備える生地(身生地)であれば肌着等の薄手の生地等であっても構わない)にセンサ200が(より詳しくは図15に示すように膝用サポータ160の身生地162の裏面側に)取り付けられている。ここで、図14(a)に示す膝の非屈伸時(膝関節が伸びている時)には導電性伸縮編地21が非伸長状態であって、図14(b)に示す膝の屈伸時(膝関節が曲がっている時)には導電性伸縮編地21が伸長状態である。そして、後述する制御部(コントローラ)300に含まれる検出回路340は、導電性伸縮編地21が非伸長時から伸長時に変化することに伴う人体の第1の動作(図14(a)に示す状態から図14(b)に示す状態へ遷移する動作)を判定したり、この第1の動作の逆の動作であって導電性伸縮編地が伸長時から非伸長時に変化することに伴う人体の第2の動作(図14(b)に示す状態から図14(a)に示す状態へ遷移する動作)を判定したりする。
図14および図15に示すように、センサ200は、上述した伸長状態と非伸張状態とで電気抵抗が変化する導電性伸縮編地210(導電性伸縮編地21)を含むセンサ本体220と、センサ本体220の一端(ここでは着用時における上側)に設けられ2本の導電性伸縮編地210のそれぞれに電気的に接続された2個の信号取り出し部250と、信号取り出し部250を身生地162に取り付けるための補強布260とで構成されている。センサ本体220は、図3に示した導電パーツ22において2本の導電性伸縮編地21(導電性伸縮編地210)を平行に編成するとともに、平行に編成された2本の導電性伸縮編地210を電気的に絶縁するための3本の非導電部230が平行に編成され、2本の導電性伸縮編地210の一端(ここでは着用時における下側)において短絡部240により2本の導電性伸縮編地210を電気的に短絡させて、2本の導電性伸縮編地210の一端(ここでは着用時における上側)において、導電性伸縮編地210のそれぞれに信号取り出し部250が電気的に接続されている。
この信号取り出し部250は、制御部300の信号接続部350に電気的に接続される。ここでは、この膝用サポータ160を着用するときに(コントロールボックス(小箱)に収納された)制御部300が邪魔にならないように、信号取り出し部250および信号接続部350として、金属製のスナップボタンのオス側(オススナップ)およびメス側(メススナップ)で一対の金属製のスナップボタンのいずれか一方側が取り付けられており(スナップボタンのオス側とメス側とは逆でも構わない)、この膝用サポータ160を着用した後に制御部300をセンサ200に取り付ける。
ここで、スナップボタンとは、オス側のゲンコ(凸)側とメス側のバネ(凹)側とで構成される衣料等に用いられる保持具(いわゆるボタン)であって、弾性部材(ここではバネ)を含む凹部とその凹部へ嵌合され弾性部材により嵌合状態が保持される凸部とを備えた嵌合部材であれば、スナップボタンに限定されるものではない。さらに、このようなスナップボタンおよび上述した嵌合部材に限定されるものではなく、信号検出時に検出可能に保持できて信号非検出時に容易に取り外しできる面ファスナー等であっても構わない。
このように構成されているので、図16に示す検出回路340のように、基準抵抗Rを設け、その基準抵抗R、および、信号接続部350を経由して信号取り出し部250、に所定の電圧を印加しておいて、導電性伸縮編地21の電気抵抗が変化することによりこの信号取り出し部250間の端子電圧が変化する。その端子電圧の変化を制御部300の検出回路340を経由して演算ユニット(マイコン)310で検出することにより、導電性伸縮編地21の伸長状態および非伸張状態を検出することができる。なお、導電性伸縮編地21の伸長状態および非伸張状態を検出することができる回路であれば、図16に示す基準抵抗を備えた検出回路340に限定されるものではなく、たとえば、ブリッジ回路であっても構わない。
図16に示すように、この制御部300は、上述した検出回路340、検出結果を送信する無線通信ユニット320、および、これらのユニットを制御する演算ユニット310を含み、さらに、これらに電力を供給する電源ユニット(たとえばリチウムイオン充電池)330を備える。なお、この図16に示す制御部300の制御ブロック図は、必要最小限の構成を表しているに過ぎない。
このような構成を備えた本発明の第1実施形態に係る人体動作検出用装着具の一例である本実施の形態に係る膝用サポータ160においては(図12および図13に示した他の人体動作検出用装着具でも同じ)、伸長時と非伸長時とで電気抵抗が変化する特性を備えた導電性伸縮編地21を含むセンサ本体220が、伸縮性を備えた身生地162に接着されて取り付けられている。接着は、作業性等から熱接着性または熱融着性の接着材料を用いることが好ましいが、これに限定されず、導電性伸縮編地21を含むセンサ本体220が身生地162に、他の接着材料により接着されて取り付けられていても、糸で縫い合わせられて(縫着されて)取り付けられていても、構わない。この場合において、伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいという特徴を備える。膝用サポータ160の実施例として、着用時の縦方向への30%伸長時の定伸長荷重が53.0Nのダブルラッセル編(経編)地からなる身生地162に、着用時の縦方向(長手方向)への30%伸長時の定伸長荷重が44.2Nのセンサ本体220を、ウレタン樹脂系の熱接着剤で接着した。センサ本体220は上述した導電性伸縮編地(その2)を採用して、導電性伸縮編地210として、155dtexのポリウレタン弾性糸を芯糸とし、30dtexの銀メッキ繊維で被覆したDCYを用い、非導電部230として、100dtexのポリエステル糸と155dtexのポリウレタン弾性糸(インレイにより挿入)を用いたフライス編により、幅8mmのセンサ本体220を製作した。定伸長荷重は、上記センサ本体220と、身生地162の幅8mm生地片を、間隔100cmでチャックし、島津製作所株式会社製オートグラフ装置(型番AGS-J)を用いてJIS L1096 E法に準拠して測定した。
このように、伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいという特徴を備えるために、すなわち、導電性伸縮編地21のほうが身生地162よりも容易に伸長するために(導電性伸縮編地21のほうが伸びやすく縮みにくく、身生地162のほうが伸びにくく縮みやすいために)、
・非伸張時から伸張時における遷移時(曲げていなかった膝を曲げるとき)に膝が曲げられてその動作により導電性伸縮編地21が身生地162よりも弱い力で伸びるので(先に導電性伸縮編地21が伸びるので)、応答性良く導電性伸縮編地21を伸ばすことができ、
・伸張時から非伸張時における遷移時(曲げていた膝を伸ばすとき)に膝が伸ばされてその動作により導電性伸縮編地21が応答性良く縮んで欲しい場合に、伸びやすいが縮みにくい導電性伸縮編地21が身生地162のより強い収縮力(伸ばしにくく縮みやすい)によりサポートされて応答性良く縮ませることができる。
これが、仮に逆であるとすると(伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが小さいとすると)、すなわち、身生地162のほうが導電性伸縮編地21よりも容易に伸長するために(身生地162のほうが伸びやすく縮みにくく、導電性伸縮編地21のほうが伸びにくく縮みやすいために)、
・非伸張時から伸張時における遷移時(曲げていなかった膝を曲げるとき)に膝が曲げられてその動作により身生地162が導電性伸縮編地21よりも弱い力で伸びるので(先に身生地162が伸びるので)、身生地162が伸びても導電性伸縮編地21が伸びず、導電性伸縮編地21の応答性が悪くなる。
特に、繰り返される屈伸動作(この膝用サポータ160を着用して行うスクワット動作等)を検出する場合には、このような応答性の悪さにより、屈伸回数を正しくカウントすることができない可能性が高くなるので好ましくない。
さらに、このような繰り返される屈伸動作を検出する場合については、以下の問題が生じる。導電性伸縮編地21および身生地162を含む編地は(さらに一般的に繊維は)、伸ばしやすく縮みにくいヒステリシス性を備える。上述のように、仮に逆であって膝の曲げ伸ばしを繰り返す場合(伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが小さく膝を繰り返し屈伸する動作を検出する場合)、曲げていなかった(伸ばしていた)膝を曲げると編地で形成された導電性伸縮編地21が伸長して抵抗値が大きく変化した後(伸ばしやすいので抵抗値が大きく変化しやすい)、曲げていた膝を伸ばすと徐々に抵抗値が戻っていくため、もとの姿勢(膝が伸びている姿勢)に戻す時の時間変化が(逆の動作に比べて)あまり大きくないという現象が発生する。このような場合には、定常状態(膝を伸ばした状態)→伸長状態(膝を曲げた状態)→定常状態(膝を伸ばした状態)と変化させた場合に、上述したヒステリシス性の影響を大きく受けてしまう。この影響を排除するために、たとえば、膝が曲げられたと判定するための第1のしきい値を大きく(感度低く)設定し、膝が伸ばされたと判定するための第2のしきい値を小さく(感度高く)設定する必要がある。すなわち、伸長抵抗が導電性伸縮編地21>身生地162である場合、膝を曲げた瞬間は大きく抵抗値が変化するのに対して、膝を伸ばす瞬間は(主として)導電性伸縮編地21自体の伸縮力で縮むために(伸長抵抗が導電性伸縮編地21>身生地162であるので)抵抗値が徐々に戻っていく。このため、曲げていた膝を伸ばすときの抵抗変化は、伸ばしていた膝を曲げるときの抵抗変化よりも、小さくなっていると考えられ、膝を曲げたときの変化をとるためには上述のような2種類のしきい値を用いる必要が生じる。
これに対して、本実施の形態に係る膝用サポータ160は、上述したような伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいという特徴を備えるために、膝の曲げ伸ばしを繰り返しても、伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいために(膝を曲げた瞬間は大きく抵抗値が変化するのに対して(これについては同じ))、膝を伸ばす瞬間は導電性伸縮編地21自体の伸縮力ではなく伸縮力の大きい身生地162の伸縮力で速やかに導電性伸縮編地21も縮むために(伸長抵抗が導電性伸縮編地21<身生地162であるので)抵抗値が速やかに戻り、また膝を曲げている間の抵抗変化も少ない。このため、曲げていた膝を伸ばすときの抵抗変化も、伸ばしていた膝を曲げるときの抵抗変化も、同等となっていると考えられ、2種類のしきい値を用いる必要が生じない。
上述したような伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいという特徴を備えた本実施の形態に係る膝用サポータ160について、さらに具体的に説明する。この膝用サポータ160は、導電性伸縮編地21に電気的に接続され(より詳しくは信号取り出し部250と信号接続部350とが電気的に接続され)、図16に示す検出回路340により導電性伸縮編地21の電気抵抗の変化を検出して人体の動作を判定する制御部300をさらに備える点については、上述した通りである。この制御部300の演算ユニット310には、導電性伸縮編地21が非伸長時から伸長時に変化することに伴う人体の第1の動作(曲げていなかった膝を曲げる動作)を判定するために電気抵抗の変化を判定する第1の基準と、第1の動作の逆の動作であって導電性伸縮編地21が伸長時から非伸長時に変化することに伴う人体の第2の動作(曲げていた膝を伸ばすとき)を判定するために電気抵抗の変化を判定する第2の基準とが設定されている。ここで、第1の基準および第2の基準とは、検出した電圧値に対するしきい値(結果的には電気抵抗に対するしきい値)であって、これらの第1の基準と第2の基準とを、同等に設定することができる。
すなわち、曲げていなかった膝を曲げる第1の動作においては導電性伸縮編地21の電気抵抗が増加して検出される信号取り出し部250端子間電圧が低下する場合に、どの程度まで電圧値が低下したら膝が曲げられたと判定するのかについて第1のしきい値が設定され、曲げていた膝を伸ばす第2の動作においては導電性伸縮編地21の電気抵抗が減少して検出される信号取り出し部250端子間電圧が上昇する場合に、どの程度まで電圧値が上昇したら膝が伸ばされたと判定するのかについて第2のしきい値が設定されている。そして、導電性伸縮編地21および身生地162を含む編地のヒステリシス性があるものの(導電性伸縮編地21自体の電気抵抗は増加しやすく減少しにくいので信号取り出し部250端子間電圧が低下しやすく上昇しにくいものの)、本実施の形態に係る膝用サポータ160は、上述したような伸長抵抗が導電性伸縮編地21よりも身生地162のほうが大きいという特徴を備えるために、上述したように、曲げていた膝を伸ばすときの抵抗変化と伸ばしていた膝を曲げるときの抵抗変化とが同程度となり、第1のしきい値と第2のしきい値とを同等に設定することができる(図17における水平方向の白抜き両矢印)。ここで、同等とは、しきい値が等しい場合を含み、第1のしきい値に対して第2のしきい
値を異なる値に設定する必要がないことを意味する。なお、本願の膝用サポータ160の屈伸動作を検出するにあたり、第1のしきい値と第2のしきい値を異なる値に設定してもかまわない。
図17に、本実施の形態に係る膝用サポータ160の信号取り出し部250端子間電圧の検出結果を示す。図17は、膝用サポータ160を膝部に装着したユーザが繰り返し膝の屈伸運動を実施した場合の信号取り出し部250端子間電圧の時間的変化を示している。なお、図17は検出データに所望のフィルタ処理(ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等の処理)を行った後のデータである。このような信号に対して、第1のしきい値を超えて電圧値が低下すると(図17における下方向の白抜き矢印)伸ばされていた膝が曲げられたと判定して、第2のしきい値を超えて低下していた電圧値が上昇すると(図17における上方向の白抜き矢印)曲げられていた膝が伸ばされたと判定する。このように処理することにより、膝が曲げられたと判定された後に膝が伸ばされたと判定されると、曲げて伸ばす動作である屈伸動作が1回とカウントされる。なお、第1のしきい値(およびこれと同等の第2のしきい値)は、図17に上下方向両矢印で示すように、定常状態(膝が伸びている状態)を基準として設定される。
以上のようにして、伸縮性及び柔軟性が豊富で伸長を繰り返した際の復元性をも備えた編地でありながら、伸長時と非伸長時とで電気抵抗が変化する特性を備え、更には通気性や透湿性、吸水性などを得ることも可能である導電性伸縮編地を好適に適用した一例としての人体動作検出用装着具を実現することができ、人体の関節等を含む部位における人体動作を精度高く検出することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。たとえば、以下のような変形例が考えられる。
<変形例>
上述した実施の形態においては、伸長時と非伸長時とで電気抵抗が変化する特性を備えた導電性伸縮編地と、導電性伸縮編地が取り付けられた、伸縮性を備えた生地とを含む人体動作検出用装着具の一例として、この人体動作検出用装着具を構成する生地が人体に接して装着される身生地であるとものとして説明した。変形例としては、導電性伸縮編地および生地の少なくともいずれかが、人体の一部に接して装着される身生地に取り付けられている人体動作検出用装着具が考えられる。
このような変形例に係る人体動作検出用装着具としては、導電性伸縮編地と生地(この変形例においては中間生地と記載する)と身生地(人体に接する生地)の3層で形成され、以下のように層順により規定される3つの変形例がある。
・第1の変形例:導電性伸縮編地(伸縮抵抗:中)、中間生地(伸縮抵抗:大)、身生地(伸縮抵抗:小)
・第2の変形例:導電性伸縮編地(伸縮抵抗:中)、身生地(伸縮抵抗:小)、中間生地(伸縮抵抗:大)
・第3の変形例:中間生地(伸縮抵抗:大)、導電性伸縮編地(伸縮抵抗:中)、身生地(伸縮抵抗:小)
さらに、2層で形成される変形例として、以下の1つの変形例がある。
・第4の変形例:導電性伸縮編地(伸縮抵抗:中)、中間生地(伸縮抵抗:大)と身生地(伸縮抵抗:小)とが同層(たとえば、伸縮抵抗の小さい身生地の一部に、伸縮抵抗の大きな中間生地に対応する編み組織を編成)
なお、いずれの変形例も、肌が当接するのは、導電性伸縮編地、中間生地、身生地のいずれもあっても構わない(上述した実施の形態においても同様に肌に当接する面がいずれかの生地または編地に限定されるものではない)。さらに、2層または3層に限定されるものではなく、さらに別の層を備えていても構わない。
その他、第1実施形態に係る人体動作検出用装着具の発明の効果を奏する範囲であれば、伸縮性を備えた生地が部分的に導電性伸縮編地の伸長抵抗よりも小さくなってもよい。例えば、膝用サポータ160において、屈伸動作がし易いように膝頭部分のみを伸長抵抗の小さい生地で形成してもよい。
第1実施形態に係る人体動作検出用装着具の発明は、伸縮性及び柔軟性が豊富で伸長を繰り返した際の復元性をも備えた編地でありながら、伸長時と非伸長時とで電気抵抗が変化する特性を備え、更には通気性や透湿性、吸水性などを得ることも可能である導電性伸縮編地を好適に適用した一例としての人体動作検出用装着具に好ましく、人体の関節等を含む部位における人体動作を精度高く検出できる点で特に好ましい。
[人体動作検出用装着具に関する第2実施形態]
次に、本発明に係る人体動作検出用装着具の第2実施形態の一例について、図面に基づき説明する。なお、図面においては、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。この第2実施形態に係る人体動作検出用装着具は、人が下半身に着用する下衣として構成されるものであり、着用者の呼吸情報(例えば、呼吸の有無、呼吸サイクル等)や、心拍情報、温度情報といった生体情報を取得するものである。また、この第2実施形態に係る人体動作検出用装着具は、着用者が簡単に脱いでしまうことを効果的に抑制して生体情報を精度よく取得することを目的の一つとするものである。
この人体動作検出用装着具(下衣)3は、図18に示す概略構成図に示すように、下衣本体31と、伸長時と非伸長時とで電気的特性が変化する動作検出センサ部33と、心拍検出センサ34、端子部35とを備えている。なお、上記“電気的特性の変化”とは、“電気抵抗の変化”や“静電容量の変化”を含む概念であり、以下、人体動作検出用装着具(下衣)3が有する動作検出センサ部33については、伸長時と非伸長時とで電気抵抗値が変化する構成を主に例にとり説明するが、このような構成に限定されず、本願の開示に従って静電容量の変化を検出する方式に置換することができる。
下衣本体31は、非導電性繊維によって構成される伸縮性のある衣類が好ましく、その具体例としては、例えば、パンツ、スパッツ、タイツ、ガードル、ステテコ、パジャマのズボン等を挙げることができる。この下衣本体31は、その腰回りにずり落ち防止用のウエストバンド部32を備えて構成されている。下衣本体31は、生体情報を精度よく検出するという観点から、特に、パンツやスパッツ、タイツ、ガードルといった肌に密着する肌着構成を採用することが好ましい。なお、図18に示す下衣本体31は、パンツとして構成している。
下衣本体31を形成する非導電性繊維としては、特に限定されないが、綿、麻、絹、毛等の天然繊維や、キュプラ、ビスコースレーヨン等の再生セルロース繊維である半合成繊維、或いは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の合成繊維を例示することができる。また、これら天然繊維、半合成繊維、合成繊維を適宜組み合わせた繊維等も非導電性繊維として採用することができる。なお、下衣本体31を形成する非導電性繊維としては、伸縮性を有する繊維を用いるのは好ましいが、編組織を形成することにより伸縮性が発現するため、伸縮性に乏しい繊維を用いることもできる。また、下衣本体31に伸縮性を持たせるためには、例えば、上記の非導電性繊維を、ゴム編み(フライス編み、リブ編み)、スムース編み、パール編、天竺編み(平編み)等(以下ゴム編み等ともいう。)の編み方によって下衣本体31を形成すればよい。なお、ウエストバンド部32を除く下衣本体31は、伸縮性を有するものに限らず、伸縮性のない(または伸縮性が低い)構成として形成してもよい。
動作検出センサ部33は、本発明の第2実施形態に係る人体動作検出用装着具(下衣)3の着用者の呼吸に関する情報(例えば、呼吸の有無、呼吸サイクル等)を検出するための検出手段として構成されており、伸縮によって電気抵抗値が変化する特性を有している。つまり、着用者の呼吸動作による体格変動に伴う伸縮を通じてセンサの断面積または長さが変化することによって電気抵抗値が変化し、この変化した電気抵抗値を検出することにより、着用者の呼吸動作による腹回り(胴回り)の周長の物理的変化を直接検知することができ、着用者が呼吸をしているか否か、呼吸サイクルが速いか遅いかといった情報を取得することができる。この呼吸情報を検出する動作検出センサ部33は、着用者の呼吸動作によって伸縮が大きくなる箇所に配置されるのが好ましいため、下衣本体31の腹部に配設することが好ましい。動作検出センサ部33としては、伸縮によって電気抵抗値が変化する構成のものであれば特に限定されないが、例えば、導電性繊維(導電糸)をゴム編み等することにより伸縮性を持たせた帯状のものや、導電性ポリマー素材を帯状に形成したものを好適に用いることができる。また、ウレタンゴムシートの表面に電極を印刷したものを下衣本体31表面に転写することにより動作検出センサ部33を構成することもできる。
動作検出センサ部33の構造についての具体例としては、上述の第1実施形態において説明した図1や図2に示すような編組織構成のものを好適に採用することができる。
また、動作検出センサ部33は、長手方向がコース方向に沿うように帯状に形成されている。尚、長手方向に直交する幅方向の全域が導電糸10による平編地で構成されている必要はなく、少なくとも幅方向中央部のみが導電糸10による平編地で構成され、両側部が絶縁糸による平編地で構成されていてもよい。
また、上述の第1実施形態において説明した図8(a),図9(a)に示すように、動作検出センサ部33として、弾性糸11を芯部として、導電糸10を一重に被覆したSCYまたは二重に被覆したDCYとしたカバリング糸により編成された生地を用いることも可能である。
このようなカバリング糸を用いた場合、例えば、図9(b)に示すように、生地の伸長時に、弾性糸11そのものが伸長することにより巻き付けられた導電糸10の隙間が広がり、隣り合ったコース同士での導電糸の接点が減少することにより抵抗値が変化する。
本実施形態においては、帯状に構成された動作検出センサ部33を、下衣本体31が備えるウエストバンド部32の周方向に沿って(腹回りに沿って)、下衣本体31の腹側に配置している。なお、この帯状の構成された動作検出センサ部33は、その長手方向に沿って伸縮して電気抵抗値が変化するように構成されている。腹側に配置される動作検出センサ部33の具体的な設置位置については、特に限定されず、例えば、ウエストバンド部32の表面側、若しくは、裏面側に設置してウエストバンド部32と一体的に構成してもよく、或いは、ウエストバンド部32の直下において、このウエストバンド部32に平行となるように設置してもよい。動作検出センサ部33の配置位置は、下衣本体31の腹側に限定されず、例えば、下衣本体31の背側に動作検出センサ部33を配置してもよく、或いは、腹側及び背側に亘って配置してもよい。或いは、胴回りの全周に対応する下衣本体31の領域に動作検出センサ部33を配置してもよい。なお、呼吸情報や心拍情報をより正確に検出するためには、センサを生地の伸縮性に基づく緊締力で体の定位置、肌側方向に付勢し、好ましくは密着させることが望まれる。シャツなどの上衣の形態の場合、特に就寝中などリラックス状態が望まれる生活シーンにおいて、緊締力によるセンサや生地の密着状態は快適性を損なう可能性がある。それに対して下衣におけるウエストバンド部、股ぐり、又は脚ぐりのような、下衣の通常の設計において緊締力や密着性が付与される部分にセンサを配置すれば、着用者の快適性を損なわず、違和感なく必要な情報をより正確に検出し取得することができ好ましい。また、下衣本体31には、動作検出センサ部33と電気的に接続され端子部35に集約される配線(図示せず)が形成されている。この配線は、例えば、下衣本体31上に導電性インクを印刷して形成してもよく、或いは、導電性繊維を下衣本体31に対して編み込むことにより形成してもよい。
また、心拍検出センサ34は、人体動作検出用装着具(下衣)3の着用者の心拍情報を検出するための検出手段である。心拍検出センサ34は、一対の電極34a,34bを備えて構成されており、各電極34a,34bの電位差から心拍信号を検出するセンサである。心拍検出センサ34を構成する各電極34a,34bは、図18に示すように、各太ももの付け根あたりに対応する領域にそれぞれ配置されている。また、各電極34a,34bは、着用者の肌に密着させて配置されることが好ましいため、着用者の肌に密着する下衣本体31の内側に配置することが好ましい。なお、心拍検出センサ34を構成する各電極34a,34bの配置位置は特に限定されず、下衣本体31の腹部や、ウエストバンド部32に配置してもよい。腹部やウエストバンド部32に各電極34a,34bを配置する場合、各電極34a,34bを左右の腰近傍部分にそれぞれ配置することが好ましい。また、心拍信号の検出精度を高めるために、例えば、腹部領域に第3の電極(中間極)を設けるようにしてもよい。また、下衣本体31には、心拍検出センサ34の各電極34a,34bに電気的に接続され端子部35に集約される配線(図示せず)が形成されている。この配線は、例えば、下衣本体31上に導電性インクを印刷して形成してもよく、或いは、導電性繊維を下衣本体31に対して編み込むことにより形成してもよい。
端子部35は、動作検出センサ部33、心拍検出センサ34にそれぞれ接続される各配線が集約される領域であり、この端子部35に接続されるコネクタ部36を介して、呼吸情報信号や心拍信号を外部の処理装置に出力される。なお、端子部35の配置位置は特に限定されないが、図18の構成においては、下衣本体31の腹部領域に形成するように構成されている。
コネクタ部36は、図19の概略平面図に示すように、シート状の回路基板361上に配置される温度検出センサ362、位置情報検出センサ363、呼吸情報検出用回路364、心拍検出用回路365、通信回路366、バッテリー367及び制御部368を備えて構成されている。回路基板361は、ガラス・エポキシ、ガラス・コンポジットなどの汎用的な基板を用いることができる。回路基板361はABSなどの樹脂製のケースに入れることが好ましい。
温度検出センサ362は、人体動作検出用装着具(下衣)3の着用者の体温や、着用者の周辺雰囲気温度(環境温度)を検出するための検出手段である。温度検出センサ362としては、従来からある様々なセンサ、例えばサーミスタ等各種センサを採用することができる。
位置情報検出センサ363は、人体動作検出用装着具(下衣)3の着用者の位置を検出するための検出手段であり、GPSセンサやビーコンセンサを例示することができる。
呼吸情報検出用回路364は、動作検出センサ部33と電気的に接続されており、動作検出センサ部33の伸縮に伴う抵抗値の変化を検出するための回路である。また、心拍検出用回路365は、心拍検出センサと電気的に接続されており、心拍検出センサが検出する電気信号を検出するための回路である。
通信回路366は、スマートホン等の携帯端末やパーソナルコンピューターといった外部の処理装置に対して、取得された呼吸情報信号や心拍信号、温度情報を送信する機能を有する回路である。なお、外部の処理装置と通信回路366との接続は、無線接続の他、有線接続を採用してもよい。また、バッテリー367は、各種センサや通信回路366等の電源であり、例えば、リチウムポリマー電池などのリチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等を用いることができる。
制御部368は、温度検出センサ362、位置情報検出センサ363、呼吸情報検出用回路364、心拍検出用回路365、通信回路366及びバッテリー367に電気的に接続しており、各種センサや通信回路366の作動をコントロールすると共に、各種センサから取得された信号を処理する機能を有している。
また、端子部35とコネクタ部36との接続方法は、特に限定されないが、例えば、図20(a)の概略構成断面図に示すように、導電性材料からなるスナップボタン37を介して接続することができる。このような構成の場合、動作検出センサ部33や心拍検出センサ34に接続される配線の端部を雄型スナップボタン371に接続するように構成し、更に、コネクタ部36における呼吸情報検出用回路364及び心拍検出用回路365を雌型スナップボタン372に電気的に接続するように構成することにより、動作検出センサ部33や心拍検出センサ34が取得した各信号を、コネクタ部367における呼吸情報検出用回路364や心拍検出用回路365に入力することが可能となり、制御部368や通信回路366を介して、外部の処理装置に各センサ取得信号を出力することができる。また、このような構成を採用することにより、端子部35及びコネクタ部36の構造を簡略化することができる。また、温度検出センサ362や位置情報検出センサ363等が配置される回路基板361をケースに収納する場合には、図20(b)に示すように、回路基板361上にスナップボタン372を設け、該スナップボタン372がケース369から露出するように構成してもよく、或いは、図20(c)に示すように、スナップボタン372をケース369上に配置し、回路基板361とはリード線R等で電気的に接続しても良い。また、ケースを隠せるポケット、布カバーを設けてもよい。このようなポケットや布カバーを設けることにより、端子部35に接続されるコネクタ部36に手指が引っ掛かって、予期せずコネクタ部36が脱落してしまうことを効果的に防止することができる。また、認知症患者が、下衣本体31に接続しているコネクタ部36に気付きにくくすることができ、コネクタ部36を取り外してしまうことを効果的に抑制することができる。また、回路基板361は機能単位で分割し、分割した回路基板同士をフレキシブルなケーブル等で接続するようにしても良い。
なお、本実施形態においては、上記コネクタ部36が、温度検出センサ362及び位置情報検出センサ363を備える構成を採用しているが、このような構成に特に限定されず、本発明に係る人体動作検出用装着具(下衣)3の下衣本体31上に、温度検出センサ362や位置情報検出センサ363を直接配置してもよい。例えば、下衣本体31における腰部に対応する領域に配置してもよい。
上述したように、本発明の第2実施形態に係る人体動作検出用装着具3は、呼吸情報等の生体情報を取得する衣服として、パンツ、スパッツ、タイツ等といった下衣構成を採用している。ここで、例えば、生体情報取得用のセンサをTシャツに設けた場合(上衣タイプの場合)着用者が就寝中のときに無意識に当該上衣を脱いでしまうという問題があり、また、着用者が認知症患者である場合、就寝中か否かに関わらず意識せずに脱いでしまうという問題があった。このように、所定のセンサが設けられたTシャツが脱がれてしまうと、着用者の呼吸動作による体格変動に伴うセンサの伸縮を検出できなくなる結果、何らかの異常が着用者に発生したものであると認識されてしまう。つまり、着用者が本当に助けを必要としている状況なのか、或いは、特に問題が発生しているわけではない状況なのかを判別できなくなってしまう。しかしながら、就寝中であっても、また、認知症患者であっても、パンツ、スパッツ、タイツ等の下衣を無意識に脱いでしまう可能性は、上衣に比較して格段に低いと考えられる。したがって、本発明の第2実施形態に係る人体動作検出用装着具(下衣)3を着用した場合、着用者が当該下衣を脱いでしまい、呼吸情報等の生体情報の取得ができなくなってしまうという事態が発生することを格段に低減させることが可能となる。
また、特に、パンツ、スパッツ、タイツ、ガードルといった肌に密着する肌着を下衣本体31として人体動作検出用装着具を構成する場合、これらは、通常、ズボンやスカートの内側に着用されるものであることから、着用者が無意識に下衣を脱ぐとしても、脱いでしまうのはズボンやスカートに留まり、肌着まで脱いでしまう可能性はより一層低くなり、呼吸情報等の生体情報の取得ができなくなってしまうという事態が発生することをより一層格段に低減させることが可能となる。
また、上記実施形態において、動作検出センサ部33をウエストバンド部32の表面側若しくは裏面側に設置して、動作検出センサ部33とウエストバンド部32とが一体的になるように構成する場合、ウエストバンド部32に対して、着用者の下半身から下衣本体31がずり落ちることを防止するという機能に加えて、呼吸情報を取得できるという機能を直接的に付与することができる。また、動作検出センサ部33をウエストバンド部32に配置することにより、ウエストバンド部32以外の下衣本体31の領域に対するデザイン上の自由度を向上させることができ、また、外観上の審美性を向上させることができる。
また、上記実施形態に係る人体動作検出用装着具(下衣)3は、心拍検出センサ34を備えているため、着用者の心臓の働きを確認することができ、心臓に負担がかかった状態であるか否かを認識することができる。また、温度検出センサ362を備えているため、着用者が酷暑にさらされている状態であるか否か、熱中症のおそれがある状態であるか否か等を認識することが可能となる。また、位置情報検出センサ363を備えているため、着用者がどこにいるのかを認識することができ、特に、着用者が認知症患者である場合に、徘徊しているか否かを確認することができ、又は、徘徊している場所を特定することが可能となる。
以上、本発明の第2実施形態に係る人体動作検出用装着具について説明したが、人体動作検出用装着具(下衣)3の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記第2実施形態において、湿度検出センサや筋電検出センサ等を別途備えるように構成してもよい。湿度検出センサとしては、例えば、抵抗変化型、静電変化型等種々のものを採用することができる。また、筋電検出センサは、例えば、一対の電極を備え、各電極の電位差から筋電信号を検出するセンサであり、各電極は、測定したい筋肉に沿った下衣本体31の所定の2カ所に、導電性繊維を編み込むことにより形成することができる。なお、これら湿度検出センサや筋電検出センサの配置位置は特に限定されず、その目的に応じて適宜設定すればよい。また、例えば、LEDとフォトダイオードとの組み合わせによって構成されている光方式のセンサを大腿部付近に配置し、LEDからの赤外光を生体に入射し反射光をフォトダイオードで受光することで脈波を検知するようにしても良い。
また、上記第2実施形態においては、動作検出センサ部33は帯状に形成されているが、このような形態に限定されず、着用者の呼吸動作を検出することができる限りにおいて、どのような形態を採用してもよい。
また、上記第2実施形態においては、動作検出センサ部33を帯状の形態に形成し、下衣本体31が備えるウエストバンド部32の周方向に沿って配置するようにして構成しているが、例えば、導電性繊維をウエストバンド部32に対して編み込むことにより、動作検出センサ部33をウエストバンド部32と一体化して構成してもよい。このような構成を採用することにより、ウエストバンド部32と動作検出センサ部33との一体性がより一層向上し、呼吸情報の取得を精度よく行うことが可能となる。また、外観デザイン上の違和感を低減させることができることができる。
また、例えば、ウエストバンド部32をゴム編み等で形成する途中段階において、ゴム編み等される繊維を導電性繊維に変更して、所定領域(例えば、腹部相当領域)に動作検出センサ部33を形成するようにしてもよい。このような構成を採用する場合であっても、上記と同様、ウエストバンド部32と動作検出センサ部33との一体性がより一層向上し、呼吸情報の取得を精度よく行うことが可能になると共に、外観デザイン上の違和感を低減させることができることができる。
また、上記第2実施形態においては、帯状に形成される動作検出センサ部33は、下衣本体31の腹側に配置して構成されているが、この動作検出センサ部33における両端部は、骨盤における腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置するように構成してもよい。つまり、動作検出センサ部33における一方の端部を、骨盤における左側の腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置し、他方の端部を骨盤における右側の腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置して構成してもよい。下半身に着用されるパンツやスパッツ等の下衣は、骨盤における腸骨の上縁部辺りで、ウエストバンド部32がしっかりと固定される傾向にあるため、骨盤における腸骨の左右の上縁部辺りに、動作検出センサ部33における両端部がそれぞれ配置されるように構成することにより、動作検出センサ部33における両端部が身体に対して固定され、呼吸動作に伴う腹囲長の変動を動作検出センサ部33が精度よく検出することが可能となる。なお、動作検出センサ部33における両端部を、それぞれ骨盤における腸骨の左右の上縁部辺りに対応する領域に配置するのではなく、動作検出センサ部33における一方の端部のみを腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置して構成してもよい。
また、本第2実施形態においては、単一の動作検出センサ部33を備えるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、動作検出センサ部33と同一構成の第2動作検出センサ部33bを備えるように構成してもよい。このように複数の呼吸情報検出センサを備えるように構成することにより、検出される呼吸情報信号におけるノイズを効果的に除去して呼吸情報の検出精度を向上させることができる。
また、複数の動作検出センサ部33を備えるように構成する場合、例えば、図217に示すように、第2動作検出センサ部33bを、動作検出センサ部33の伸縮方向とは異なる方向に伸縮可能となる位置に配置するように構成してもよい。図21においては、帯状の第2動作検出センサ部33bの一方端を、骨盤における腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置しつつ、第2動作検出センサ部33bを太ももの側面に沿うような形態で配置している。このような構成を採用することにより、動作検出センサ部33が、主に呼吸情報を取得する一方、第2動作検出センサ部33bが、呼吸情報を取得しつつも、呼吸動作以外の身体の動き(例えば、立ち上がったり、座ったりする動作)を検出することが可能となる。なお、呼吸動作は、略一定の周期で繰り返し連続して行われるものであることから、その周期性を検出することにより、第2動作検出センサ部33bで取得した検出情報を、呼吸動作に関連する情報と呼吸動作以外の身体の動きに関する情報とに分けて認識することが可能となる。なお、第2動作検出センサ部33bを、動作検出センサ部33の伸縮方向とは異なる方向に伸縮可能となる位置に配置するように構成する場合、図217に示すような形態に限らず、第2動作検出センサ部33bを太ももの前面に配置してもよく、或いは、第2動作検出センサ部33bの一方端を、骨盤における腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置しつつ、第2動作検出センサ部33bの他方端を太ももの内側近傍位置に配置し、人体動作検出用装着具(下衣)3を正面から見た場合に、第2動作検出センサ部33bの長手方向が斜め方向に伸びるように配置してもよい。
また、上記第2実施形態においては、心拍検出センサ34、温度検出センサ362、位置情報検出センサ363を備えるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、心拍検出センサ34、温度検出センサ362及び位置情報検出センサ363の全てのセンサを省略するようにして構成してもよく、或いは、一部のセンサを省略して構成してもよい。
[人体動作検出用装着具に関する第3実施形態]
次に、本発明に係る人体動作検出用装着具の第3実施形態の一例について、図面に基づき説明する。なお、図面においては、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。図22(a)は、第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5の概略構成平面図であり、図22(b)は、図22(a)のA−A断面を示す概略構成断面図である。また、図22(c)は、(b)における矢視B方向から見た概略構成裏面図である。第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5は、例えば、生体の呼吸情報(例えば、呼吸の有無、呼吸サイクル等)や体動情報(例えば、四肢の動作に関する情報)を取得する生体センサとして利用可能な引張センサであり、当該動作検出用装着具5自体が、伸長時と非伸長時とで電気的特性が変化する動作検出センサ部を構成している。ここで、上記“電気的特性の変化”とは、“電気抵抗の変化”や“静電容量の変化”を含む概念であり、以下、第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5については、伸長時と非伸長時とで静電容量が変化する構成を主に例にとり説明するが、このような構成に限定されず、本願の開示に従って電気抵抗値の変化を検出する方式に置換することができる。この人体動作検出用装着具5は、図22(a)(b)(c)に示すように、短冊状の形態を有しており、誘電体層51と、当該誘電体層51の一方面及び他方面のそれぞれに設けられる第1導電層52及び第2導電層53を備えている。この動作検出用装着具5は、誘電体層51と、当該誘電体層51を間に挟んだ第1導電層52及び第2導電層53とによりコンデンサを構成するものであり、伸縮に伴う第1導電層52と第2導電層53との間における容量変化を検出可能なセンサである。
誘電体層51は、伸縮性を有するように構成されており、また、第1導電層52及び第2導電層53が接触した状態であってもそれらを通電させることのない絶縁性を備えるように構成されている。この誘電体層51の電気抵抗率は、106Ω・cm以上、1018Ω・cm以下であることが好ましい。また、誘電体層51の形態は、特に限定されず、シート化したフィルム状に構成してもよく、或いは、編布、織布、不織布等の布帛状に構成してもよい。
また、誘電体層51の材料としては、熱可塑性エラストマーを例示することができる。特に、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロロヒドリンゴムの如くの各種ゴム材料が挙げられる。また、上記材料に添加剤を加えてもよい。例えば、誘電率調整、柔らかくする可塑剤、伸びやすくする添加剤等が挙げられる。なお、添加剤は誘電体層51を絶縁破壊しない材料を選択する必要がある。
また、誘電体層51を形成する材料として、例えば、発泡ウレタンゴムを採用し、内部に微小な空隙を備えるスポンジ状として誘電体層51を構成してもよい。このようなスポンジ状に構成することにより、引っ張り状態が解放された際に、誘電体層51が初期形態(伸長する前の形態)に戻り易くすることができる。
ここで、誘電体層51の厚みは、特に限定されないが、5μm〜1000μmの範囲に設定することが好ましく、10μm〜750μmの範囲に設定することがより好ましい。更に、20μm〜500μmの範囲に設定することがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、引張によって簡単に破断されることを効果的に防止しつつ、好ましい伸縮性を得ることが可能となる。
第1導電層52は、図22(a)(b)(c)に示すように、帯状の第1電極部521を備えると共に、第1電極部521の両側に帯状の第1非導電部522を備えて構成されている。第2導電層53は、第1導電層52と同一の構成を有しており、帯状の第2電極部531を備えると共に、第2電極部531の両側に帯状の第2非導電部532を備えて構成されている。なお、第1導電層52が有する第1電極部521及び第1非導電部522の長手方向や、第2導電層534が有する第2電極部531や第2非導電部532の長手方向は、短冊状の動作検出用装着具5の長手方向に沿う方向となるように設定している。また、短冊状の動作検出用装着具5の伸長方向は特に限定されないが、少なくとも動作検出用装着具5の長手方向に沿って伸長可能となるように構成することが好ましい。
このような第1導電層52は、伸縮性を有するように構成されており、例えば、第1電極部521を構成するための導電糸と、各第1非導電部522を構成するための非導電糸とを用いて製編或いは製織された生地(編織された生地)として構成することが好ましい。第2導電層53についても同様であり、第2電極部531を構成するための導電糸と、各第2非導電部532を構成するための非導電糸とを用いて製編或いは製織された生地として構成することが好ましい。本実施形態においては、編成することにより構成された編地構造を有する生地として第1導電層52(第1電極部521及び第1非導電部522)及び第2導電層53(第2電極部531及び第2非導電部532)が形成されている。なお、編地構造は特に限定されず、例えば、フライス編、スムース編、パール編、平編又はそれらの変化組織(例えば、ミラノリブや段ボールニットなど)や、トリコット編、ラッシェル編、ミラニーズ編等の各種編地構造を採用することができる。また、第1導電層52及び第2導電層53を織地として構成する場合、織地構造としては、平織、綾織、朱子織等の織り方を例示できる。なお、第1導電層52及び第2導電層53の製造方法は、上記方法に限定されず、例えば、非導電繊維によってまず生地本体を製編或いは製織した後、所定部分に導電糸を編み込み、或いは、刺繍等して第1電極部521(或い第2電極部531)を形成し製造することもできる。
ここで、第1電極部521や第2電極部531を構成するための導電糸としては、例えば、アルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等により形成された糸状或いは細短冊状の金属線や、炭素繊維等の導電性繊維から形成した糸を使用することができる。また、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維等)や天然繊維等を芯として、この芯に金属繊維を巻回したカバリングヤーンを導電糸として使用してもよい。また、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着糸(メッキ糸)を導電糸として使用することができる。芯には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうが好ましく、更にはウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸がより好ましい。芯に被着させる金属成分には、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
導電糸の太さは、特に限定されるものではないが、その単線一本あたりの線径は、例えば、10〜100μmのものとするのが好適である。中でも10〜50μmとすることで、第1導電層52や第2導電層53自体(第1電極部521や第2電極部531自体)のフレキシブル性と耐久性が両立しやすく、特に好ましい。
また、導電糸として金属線を用いる場合、絶縁被覆層によりその表面を被覆してもよい。絶縁被覆層により被覆された金属線は、モノフィラメントでもよいし、マルチフィラメントでもよく、特に2〜9本、より好ましくは3〜7本を束ねて1本の糸条として用いるのが好ましい。このように絶縁被覆層によって金属線を被覆することにより、動作検出用装着具5が伸縮する際の抵抗変化が小さくなり、伸縮に伴う容量変化を精度よく検出することが可能となる。また、防水性、耐久性が向上し、長期間使用可能な動作検出用装着具5を得ることができる。
絶縁被覆層として使用可能な材料の具体名を挙げれば枚挙に暇がないが、その一例を列挙すれば次の通りである。すなわち、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン(ナイロン6やナイロン66等であって、アミド結合により長く連続した鎖状の合成高分子を紡糸して繊維化したポリアミド系の合成繊維の総称)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、PFA、PVDF、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ホルマール(ポリビニルホルマール)、ブチラール(ポリビニルブチラール)などである。なお、絶縁被覆層として使用可能な材料は、これらの樹脂種に限定されない。また、例示したような樹脂で絶縁コーティングした金属線はエナメル被覆の金属線とも呼ばれる。
絶縁被覆層で金属線を被覆する方法としては、溶融素材の塗布から乾燥に至る一般的な被覆法を採用すればよい。その他、金属線を芯材とし、繊維状(糸状)の絶縁被覆材(例えば、上記の絶縁被覆層として使用可能な材料から形成した糸や綿糸)をカバー材としてカバリング糸(SCYやDCY)を構成させる方法、さらには前記カバリング糸を加熱溶融して塗膜化する方法などを採用することも可能である。
また、絶縁被覆層により被覆された導電糸において、絶縁被覆層を形成する材料は、半田の溶融温度(おおよそ170℃〜250℃)で溶融することに加え、柔軟性や伸縮牲を備えているものが推奨される。すなわち、絶縁被覆層には、半田の溶融温度に比べて同等以下の融点を有する熱可塑性樹脂を使用するのが好適である。半田付けが短時間で行え、しかも溶融した絶縁被覆層が確実に焼失又は収縮して半田箇所を邪魔することなく、確実な導通が得られるようにするうえでは、半田の溶融温度の範囲内において、低温域に融点があるもの(目安の一例として「150℃以下」を挙げることができる)が好適と言える。
ここで、絶縁被覆層の選出には融点だけが条件とされるものではなく、絶縁被覆層が導電糸を被覆する厚さ等についても条件の一つとされる。例えば、絶縁被覆層の融点が高め(目安を150℃とした場合それを超える温度を言う)であったとしても、被覆厚が薄ければ、半田付け時に比較的容易に溶融することになるので、絶縁被覆層として使用可能となる。
なお、前記説明では、半田の溶融温度における目安の一例として150℃を挙げたが、この溶融温度は絶縁被覆層に選出する樹脂によって変動する。例えば、ポリエステルや変性ポリエステル、ポリエステル−ナイロンなどでは155℃とすべきであり、ホルマールでは105℃、ポリウレタンでは130℃、ポリエステルイミドでは180℃とするのがよい、といった具合である。
なお、導電糸に弾性糸を混用して第1電極部521や第2電極部531を構成してもよい。弾性糸を混用することで、第1電極部521や第2電極部531の伸縮性を向上させることができる。また、弾性糸は非導電糸であることが好ましい。弾性糸には、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。このようなカバリング糸を採用することで、親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を付与させることができる。また肌触りの向上や伸びの制御にも有用である。
ここで、静電容量の変化を正確に検出するという観点から、第1電極部521は、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)が、20%以下となるように構成することが好ましく、10%以下となるように構成することがより好ましい。更に、5%以下となるように構成することがより一層好ましい。同様に、第2電極部531も、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率が、20%以下となるように構成することが好ましく、10%以下となるように構成することがより好ましい。更に、5%以下となるように構成することがより一層好ましい。ここで、抵抗変化率(%)は、[(50%伸長率における電気抵抗値)−(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出される。
上述のように、第1電極部521や第2電極部531について、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)を低く抑えるためには、導電糸として、上述の絶縁被覆層をその外層に設ける構成を採用することが好ましい。なお、絶縁被覆層を外層に形成する場合、絶縁被覆層にて被覆される導電糸としては、上述のような金属線に特に限定されない。例えば、上述した炭素繊維等の導電性繊維から形成した導電糸や、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に金属繊維を巻回した導電糸、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に金属成分を被着させた金属被着糸(メッキ糸)等の外層に絶縁被覆層を備えるように構成してもよい。
また、第1電極部521や第2電極部531について、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)を低く抑えるために、図23(a)(b)に示すような編地構造を採用することもできる。この図23(a)(b)にて示される編地構造は、スムース編(両面編又はインターロックとも言う)であり、フライス編を2枚重ね合わせてお互いの凹凸の溝を埋め合ったような編組織であり、導電糸10と弾性糸11とにより構成している。なお、導電糸10と弾性糸11とが含まれていれば、その他に別種の糸を混用させることは任意である。図23(a)の上面側を編地表面側とし、同下面側を編地裏面側として説明すると、導電糸10は、編地表面側の導電糸オールドループ10aと絡んで第1ループP1を形成し、編地裏面側へ移行する。そして編地裏面側の導電糸オールドループ10bと絡んで第2ループP2を形成し、以後同様に編地表面側で第3ループP3を形成し、編地裏面側で第4ループP4を形成するといったことを繰り返す。従って導電糸10は、編地中を表裏間方向にジグザグ状となる配置で設けられている。
これに対して弾性糸11は、編地裏面側の弾性糸オールドループ11aと絡んで第1ループR1を形成し、編地表面側へ移行する。そして、編地表面側の弾性糸オールドループ11bと絡んで第2ループR2を形成し、以後同様に編地裏面側で第3ループR3を形成し、編地表面側で第4ループR4を形成するといったことを繰り返す。従って弾性糸11も、編地中を表裏間方向にジグザグ状となる配置で設けられている。その結果、編地中には、導電糸10と弾性糸11とのクロス部13がループ毎に交互配置で形成されることになる。
ここで、弾性糸11は豊富な伸縮性を有しているのに対して導電糸10は殆ど伸縮しない。そのため、編地構造をその表裏面の面方向(図23の左右方向)に沿って伸長させると、クロス部13では、弾性糸11が導電糸10と交差することで編地の表裏面側に生じさせているクロス角θを徐々に拡大させ、鈍角となる状況を経て、次第に弾性糸11だけがよく伸びてゆくようになる。次に、この弾性糸11の伸びに引っ張られるようにして導電糸10がそのループからクロス部13へと繰り出される挙動が生じる。また、伸長を解除すると、クロス部13では弾性糸11だけが収縮による引き締め力を生じ、この引き締め力を受けて導電糸10がクロス部13からその両外側のループへと押し込める挙動が生じる。このときの弾性糸11による引き締め力が、非伸縮時の編地構造において、導電糸10のジグザグ状配置を保形させる作用を奏することになる。
このように導電糸10は、ループからクロス部13への繰り出しや押し込みによってループを小さくさせたり大きくさせたりするだけでありながら、弾性糸11の伸縮に合わせて一緒に伸び縮みをしているかのようになり、編地構造は、図23(b)に示すような伸縮性を有するものとなっている。この説明から明らかなように、導電糸10は実質的に伸縮するものではないので、コース方向で使用された全長は変化せず、もとよりその外径も変化しない。のみならず、導電糸10はコース方向に並ぶループ同士が接触することがなく、複数のコース間で絡まったり接触したりすることもなく、電気抵抗は不変となる。
また、第1電極部521は、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成することが好ましく、10Ω以下となるように構成することがより好ましい。更に、5Ω以下となるように構成することがより一層好ましい。同様に、第2電極部531は、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成することが好ましく、10Ω以下となるように構成することがより好ましい。更に、5Ω以下となるように構成することがより一層好ましい。
また、第1電極部521は、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。つまり、第1電極部521は、その長手方向に伸びやすく、短手方向に伸びにくい特性を有するように構成されることが好ましい。このように、伸長に伴う第1電極部521の短手方向の寸法変化が、長手方向に比べて小さくなるように構成する場合、第1電極部521を長手方向に50%伸長させた際、その短手方向の寸法変化率(0%伸長時の短手方向の寸法に対する変化率)が5%未満となるように構成することが好ましい。このような構成は、例えば、第1電極部521を、ダブル編地として形成することにより得られる。なお、ダブル編地とは、フライス編やパール編、スムース編等の編地をいう。ダブル編地は、その厚み方向にジグザグのアコーディオン構造が形成されるため、このアコーディオン構造によって、伸縮時の第1電極部521の短手方向の寸法変化が効果的に抑制されることになる。第2電極部531についても同様に、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。
第1非導電部522や第2非導電部532を構成するための非導電糸には、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維等)や天然繊維、合成繊維と弾性糸とを混用した素材等を使用することができる。弾性糸を混用することにより、第1非導電部522や第2非導電部532の伸縮性を向上させることができる。弾性糸には、例えば、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。このようなカバリング糸を採用することで、親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を付与させることができる。また肌触りの向上や伸びの制御にも有用である。また、非導電糸には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうを好ましく用いることができる。
また、第1非導電部522及び第2非導電部532は、半田の溶融温度に対する耐熱性を備えた非導電糸により形成されるのが好ましい。ここで、第1非導電部522及び第2非導電部532を形成する非導電糸に要求される耐熱性は、溶融した半田(又は加熱状態の半田鏝)との接触によっても発火や溶損などを起こさず、また簡単に焼失しないことを言う。但し、焦げが生じる程度は許容範囲(非導電部の形成用に採用可能)とする。つまり、半田付けをすることでも形体が残る程度の耐熱性を有するものであれば、機能としては十分である。溶融した半田を第1非導電部522及び第2非導電部532へ浸透させない作用を補助するうえで、第1非導電部522及び第2非導電部532の編組織を緻密構造にする等の対策を加えるとなお一層好ましい。なお、このような第1非導電部522及び第2非導電部532に要求される耐熱性は、第1電極部521や第2電極部531との接触位置において必要とされるものであり、第1非導電部522及び第2非導電部532の帯幅方向全体を必ずしも同じ構成としなければならないわけではない。例えば、第1非導電部522に関し、第1電極部521と接触する1コース又は数コースだけに耐熱性を備えさせ、第1電極部521とは直接的に接触しないコース部分(非導電部の帯幅方向中央部など)は一般的な編組織や一般的な素材(溶融半田に対する耐熱性を備えないもの)を採用して製編させるといったことも可能である。第2非導電部532に関しても同様である。
第1非導電部522及び第2非導電部532を形成するのに好ましい耐熱性の非導電糸の具体例としては、綿やウール等をはじめとする各種天然繊維の他、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、更には種々様々な合成繊維(例えば、アラミド繊維、フェノール繊維、PBO、ポリアリレート、ポリイミド、メラミン、PPS、PEEK、PTFE、セルロース繊維(難燃加工)、ナイロン(難燃加工)、アクリル系繊維など)等を例示することができる。
上記のように構成される第1導電層52及び第2導電層53は、誘電体層51にヒートプレス等されて一体的に固定されている。誘電体層51をウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーから形成する場合、ヒートプレス時の熱により溶融した誘電体層形成材料が、第1導電層52や第2導電層53の生地内(編目や繊維同士の隙間)に進入して固化するため、第1導電層52及び第2導電層53は強固に誘電体層51に固定されることになる。ここで、第1導電層52が備える第1電極部521と、第2導電層53が備える第2電極部531とは、図22(b)に示すように、誘電体層51を介して対向配置されて構成されている。このように、誘電体層51を介して第1電極部521及び第2電極部531を対向配置するように構成することにより、動作検出用装着具5の伸縮に伴う第1導電層52と第2導電層53との間における容量変化の情報にノイズが侵入することを効果的に抑制することができ、動作検出用装着具5の検出精度を向上させることが可能となる。
このような構成の第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5の作動について以下説明する。まず、第1導電層52及び第2導電層53がそれぞれ備える第1電極部521及び第2電極部531の個々に電圧を印加する。この状態において、例えば、長手方向に動作検出用装着具5が伸長すると、第1電極部521及び第2電極部531の間隔が小さくなり、第1電極部521と第2電極部531との間の静電容量は大きくなる。また、伸長することにより動作検出用装着具5の面積も増大することになり、第1電極部521と第2電極部531との間の静電容量は大きくなる。次に、伸長状態を解除し動作検出用装着具5が縮むと(伸長率が0%の状態)、第1電極部521及び第2電極部531の間隔が大きくなると共に、動作検出用装着具5の面積も小さくなる為、第1電極部52131と第2電極部531との間の静電容量は小さくなる。つまり、動作検出用装着具5によって検知対象物の変形を検知する際、検出される静電容量が大きくなったときは、変形が大きくなったと検知することができる。より具体的に説明すると、例えば、人が着用している上着の肘部分や膝部分に動作検出用装着具5を取り付けた場合、腕や脚の屈曲により、引張センサ1が伸長して検出される静電容量の値が大きく変化する。この時の静電容量の値を検出することによって、人体の肘や膝の動きを明確に検出することができる。また、例えば、人が着用している上着の胸部分や腹部分に動作検出用装着具5を取り付けることにより、或いは、胸回りや胴回りに巻回するようにして動作検出用装着具5を取り付けることにより、着用者の呼吸動作による体格変動に基づいて動作検出用装着具5が伸縮する、この伸縮に伴う静電容量の変化を検出することによって、着用者が呼吸をしているか否か、呼吸サイクルが速いか遅いかといった情報を取得することができる。
本発明における第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5は、上述のように、伸長及び収縮に伴う第1電極部521及び第2電極部531の間隔の変化に加えて、動作検出用装着具5の面積の変化に基づいて静電容量の変化を検出できるように構成されているため、静電容量の変化について検出感度を向上させることが可能となる。また、第1導電層52及び第2導電層53の間に伸縮性を有する誘電体層51を備えるように構成しているため、伸長状態から伸長前の状態(伸長率が0%の状態)に戻りやすいという特性を有すると共に、使用を継続して伸縮が繰り返されても、その伸縮性が損なわれにくいという効果を奏する。更に、誘電体層51が介在していることによって、第1電極部521や第2電極部531を形成する導電糸が破断等してしまう程に、第1導電層52や第2導電層53が限度を超えて伸長することを効果的に抑制することが可能となる。
また、第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5は、50%伸長時の第1電極部521の抵抗変化率が20%以下となるように構成され、同様に、50%伸長時の第2電極部531の抵抗変化率が20%以下となるように構成されているため、検出される静電容量の変化を精度よく捉えることが可能となる。また、第1電極部521の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成されており、同様に、第2電極部531の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成されているため、検出される静電容量の変化をより一層精度よく捉えることが可能となる。
また、第1電極部521及び第2電極部531は、編地構造を備えるように構成されているため、動作検出用装着具5の伸長によって、第1電極部521や第2電極部531を形成する導電糸が破断しにくい構造とすることが可能となる。
ここで、編地構造を備えるように構成される第1電極部521及び第2電極部531は、平編等のシングル編地で構成される場合よりも、例えば、フライス編やパール編、スムース編等のダブル編地として構成される場合の方が、より一層高精度で静電容量の変化を検出することが可能となる。ダブル編地の場合、厚み方向にジグザグのアコーディオン構造が形成されるため、第1電極部521及び第2電極部531の短手方向の寸法変化が効果的に抑制され、伸長に伴う第1電極部521及び第2電極部531の面積増加比率を略一定とすることが可能となる結果、高精度で静電容量の変化を検出することができる。
以上、本発明の第3実施形態に係る人体動作検出用装着具5について説明したが、この動作検出用装着具5の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記第3実施形態においては、第1電極部521及び第2電極部531を、図22(a)(c)に示すように、短冊状の動作検出用装着具5の長手方向に沿って伸びる直線状の帯状に構成しているが、第1電極部521及び第2電極部531の具体的形態については特に限定されず、例えば、平面視において、動作検出用装着具5の長手方向に沿って伸びる波型状やジグザグ状等、種々の形態として構成することができる。
また、上記第3実施形態においては、第1導電層52が、第1非導電部522を備えるように構成されているが、この第1非導電部522を省略し、第1電極部521のみにより第1導電層52を構成してもよい。同様に、第2電極部531のみにより第2導電層53を構成してもよい。
また、第1導電層52や第2導電層53の露出面(誘電体層51に接していない側の面)の表面を被覆する被覆層を設けるように構成してもよい。このような被覆層を設けることにより、第1電極部521や第2電極部531を保護することができ、動作検出用装着具5の耐久性を向上させることができる。なお、被覆層は、第1導電層52側、或いは、第2導電層53側の一方のみに設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、例えば、上述の誘電体層51を形成する材料や、伸縮性を有する布生地等を用いることができる。
また、上記第3実施形態においては、第1導電層52及び第2導電層534は、図22に示すように、それぞれ、単一の第1電極部521及び複数の第2電極部531を備えるように構成しているが、第1電極部521や第2電極部531の数は、特に限定されず、例えば、図24(a)(b)(c)に示すように、誘電体層51を介して、その両面側に複数の第1電極部521及び複数の第2電極部531を配設するようにして、動作検出用装着具5を構成してもよい。図24に示す構成においては、各第1電極部521は、互いに所定間隔を空けて平行となるように配置されており、各第2電極部531も同様に、互いに所定間隔を空けて平行となるように配置されている。なお、各第1電極部521同士の間には、第1非導電部522が配置されており、各第2電極部531同士の間には、第2非導電部532が配置されている。また、このような構成を採用する場合、各第1電極部521と各第2電極部531とは、誘電体層51を介して対向する位置に配置するように構成することが好ましい。なお、図24(a)は、動作検出用装着具5の概略構成平面図であり、図24(b)は、図24(a)のA’−A’断面を示す概略構成断面図である。また、図243(c)は、概略構成裏面図である。
また、図24に示す構成においては、複数の第1電極部521の集合体を一つの電極として構成するために、各第1電極部521の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部521の他方側の端部同士を短絡させて構成してもよく、同様に、複数の第2電極部531の集合体を一つの電極として構成するために、各第2電極部531の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部521の他方側の端部同士を短絡させて構成してもよい。
また、図24に示す構成においては、誘電体層51を介して対向配置される各第1電極部521及び各第2電極部531のそれぞれの組み合わせ(第1電極部521aと第2電極部531aとの組み合わせ、第1電極部521bと第2電極部531bとの組み合わせ、第1電極部521cと第2電極部531cと組み合わせ)を独立したコンデンサとして構成してもよい。このような構成を採用する場合、動作検出用装着具5は、その長手方向の引っ張りを検出できるだけでなく、長手方向を軸とする捻じりも検出することが可能となる。具体的に説明すると、動作検出用装着具5に対して、その長手方向を軸として捻じりを加えた場合、動作検出用装着具5の中央部は、側縁部よりも大きく変形することから、中央に配置される第1電極部521bと第2電極部531bとで構成されるコンデンサにて検出される容量変化の値と、側縁部に配置される第1電極部521a(521c)と第2電極部531a(531c)とで構成されるコンデンサにて検出される容量変化の値との間に差が生じる。この差を検出することにより、動作検出用装着具5に対して捻じりが加えられてか否かを判別することが可能となる。
また、上記第3実施形態においては、第1電極部521及び第2電極部531の幅(長手方向に対して垂直な方向の寸法)を同一寸法となるように構成されているが、このような構成に特に限定されない。例えば、図25の概略構成断面図に示すように、第2電極部531の幅を第1電極部521の幅よりも大きくする等して、平面視における第2電極部531の面積が、第1電極部521の面積よりも広い面積を有するように構成し、第2電極部531が、誘電体層51を介して第1電極部521に対向する位置に配置してもよい。つまり、仮想的に第1電極部521を第2導電層53に投影した場合に、当該第1電極部521が、第2電極部531形成領域内に配置されるように、第1電極部521及び第2電極部531を構成してもよい。このような構成を採用することにより、例えば、第2導電層53が人体側となるように、衣服等に動作検出用装着具5を取り付けるような場合に、第2電極部531がシールドの役割を発揮して、人体と第1電極部521との間での容量結合が発生することを効果的に抑制することが可能となる。また、図22に示すような構成では、第1電極部521と第2電極部531とが誘電体層51を介して対向配置されるように、第1導電層52と第2導電層53との位置決めを精度よく行う必要があるが、図25に示すように、第2電極部531の面積が、第1電極部521の面積よりも広い面積を有するように構成する場合、誘電体層51に対する第1導電層52及び第2導電層53の位置合わせを厳格に行う必要が無くなり、効率よく動作検出用装着具5を製造することが可能となる。
また、複数の第1電極部521を第1導電層52が備える様な構成を採用する場合、図26の概略構成断面図に示すように、複数の第1電極部521が配置される領域の面積よりも広い面積を有するように第2電極部531を構成し、当該第2電極部531が、誘電体層51を介して複数の第1電極部521が配置される領域に対向する位置に配置するように構成してもよい。つまり、仮想的に複数の第1電極部521の全てを第2導電層53に投影した場合に、当該複数の第1電極部521の全てが、単一の第2電極部531と重なり合うように、各第1電極部521及び第2電極部531を構成してもよい。このような構成を採用することにより、上記と同様に、例えば、第2導電層53が人体側となるように、衣服等に動作検出用装着具5を取り付けるような場合に、第2電極部531がシールドの役割を発揮して、人体と各第1電極部521との間での容量結合が発生することを効果的に抑制することが可能となる。また、図24に示すような構成では、各第1電極部521と各第2電極部531とが、誘電体層51を介して対向配置されるように、第1導電層52と第2導電層53との位置決めを精度よく行う必要があるが、平面視における第2電極部531の面積が、複数の第1電極部521が配置される領域の面積よりも大きくなるように構成することにより、誘電体層51に対する第1導電層52及び第2導電層53の位置合わせを厳格に行う必要が無くなり、効率よく動作検出用装着具5を製造することが可能となる。
また、上記第3実施形態においては、第1導電層52及び第2導電層53の両方を、導電糸と非導電糸とを用いて製編或いは製織された生地として構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図27(a)や(b)の概略構成断面図に示すように、第2導電層53として、エラストマー基材54の一方面に第2電極部531を印刷により形成した構造を採用してもよい。ここで、図27(a)は、第1電極部521及び第2電極部531を単一構成とし、第2電極部531の幅を第1電極部521の幅と同一寸法に形成した構造を示しており、図27(b)は、複数の第1電極部521が配置される領域の面積よりも広い面積を有するように単一の第2電極部531を形成した構造を示している。
エラストマー基材54の材料としては、誘電体層51を形成する上述の材料を用いることができる。また、印刷形成される第2電極部531を構成する導電性材料としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの如くの各種カーボン材料、金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、チタンの如くの各種金属材料、導電性高分子材料が挙げられる。これら材料の粉末を有機溶媒や樹脂バインダと混練して作製した導電性のスラリーをエラストマー基材54上に塗布乾燥して形成しても良く、また、プラズマCVD法、イオンスパッタ被覆法、真空蒸着法、スクリーン印刷などで形成してもよい。なお、印刷形成される第2電極部531は、動作検出用装着具5の伸縮に対してスムーズに追従できるような柔軟性を有することが好ましいため、上述の導電性材料と樹脂バインダとが混練された高分子材料や、導電性高分子材料を用いて形成することがより好ましい。
また、上記第3実施形態においては、誘電体層51をウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーから形成し、ヒートプレス時の熱により溶融した熱可塑性エラストマー(誘電体層形成材料)を介して、第1導電層52や第2導電層53が、誘電体層51に固定される構成について説明したが、このような構成に特に限定されず、例えば、図28の断面図に示すように、接着層55を介して、誘電体層51に第1導電層52及び第2導電層53を貼り合わせて動作検出用装着具5を構成してもよい。ここで、接着層55を形成する接着剤としては、アクリル系やエポキシ系などの一般的な接着剤を用いることができる。
また、上記第3実施形態においては、誘電体層51を構成する材料として、熱可塑性エラストマーを例示しているが、このような材料に特に限定されず、例えば、誘電体層51が、伸縮性を有する布帛(生地)を含むように構成してもよい。布帛を含むように誘電体層51を構成する場合、上記図28に示すように、接着層を介して布帛の両面にそれぞれ第1導電層52及び第2導電層53を配置固定することにより、動作検出用装着具5を形成することができる。ここで、伸縮性を有する布帛としては、ウエストバンドやサポーター、Tシャツ用等の伸縮性生地を例示することができる。なお、布帛は、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。つまり、布帛を含むように構成した誘電体層51は、その長手方向に伸びやすく、短手方向に伸びにくい特性を有するように構成されることが好ましい。
本発明の発明者らは、第3実施形態に係る動作検出用装着具5のサンプル(センササンプルA及びセンササンプルB)を作成して、伸長させた際の性能評価を行ったので、以下、説明する。なお、センササンプルAは、エナメル被覆された金属線を導電糸として採用して、第1電極部521及び第2電極部531を形成したものであり、センササンプルBは、銀メッキ糸を導電糸として採用して、第1電極部521及び第2電極部531を形成したものである。
まず、センササンプルAについて以下説明する。このセンササンプルAは、図29に示すような構造を有している。つまり、4本の第1電極部521が互いに平行となるように配置された第1導電層52と、4本の第2電極部531が互いに平行となるように配置された第2導電層53と、第1導電層52及び第2導電層53の間に介在される誘電体層51とを備える構造を有している。なお、図29(a)は、センササンプルAの概略構成平面図であり、図29(b)は、図29(a)のA”−A”断面を示す概略構成断面図である。また、図29(c)は、概略構成裏面図である。
第1導電層52及び第2導電層53のそれぞれは、その組織が、フライス編み構造を備えるように構成されている。より具体的には、32の給糸口からなる32コースを1単位として帯状に編成されて形成されている(32コースからなる編組織中に4本の第1電極部521(第2電極部531)が含まれるように編成されている)。編成後、編地は製造段階で通常行われる熱セット工程を経てサンプル1に係る第1導電層52及び第2導電層53が形成されている。ここで、32の給糸口からそれぞれ供給される糸の詳細を表1に示す。
上記表1に示すように、給糸口番号:5〜8、12〜15、19〜22、26〜29の各組からは導電糸が供給されており、また、これら導電糸が供給される給糸口番号の各組同士の間に、非導電糸が供給される給仕口番号:9〜11、16〜18、23〜25の各組を備えるようにして第1導電層52(第2導電層53)が編成されているため、導電糸を含む互いに独立した4本の帯状(ライン状)の第1電極部521(第2電極部531)が、互いに平行な状態を維持して帯状の第1導電層52(第2導電層53)が編成される。なお、形成された第1導電層52及び第2導電層53は、長さが75mm、幅が10mm、厚みが0.85mmの短冊状である(1本の第1電極部521(第2電極部531)の幅は、1.2mmとなるように形成されている)。また、第1導電層52においては、複数の第1電極部521の集合体を一つの電極として構成するために、各第1電極部521の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部521の他方側の端部同士を短絡させている。第2導電層53についても同様である。
また、誘電体層51として、日本マタイ株式会社製のエスマーURS#10(熱可塑性エラストマーフィルム、厚み:100μm)を用い、該フィルム(誘電体層51)の両面に、上述の第1導電層52及び第2導電層53を貼り合わせ温度180℃にて接着し、センササンプルAを形成した。
作成したセンササンプルAをチャック付きスタンドで挟んだうえ、第1導電層52(第1電極部521)及び第2導電層53(第2電極部531)のそれぞれに電圧を印加しつつ、スタンドを移動させて伸張させ、該伸長に伴う静電容量の変化を測定した。なお、伸長に伴う静電容量値の測定は、合計2回行った。
動作検出用装着具5に係るセンササンプルAの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を表2、及び図30に示す。ここで、表2に示す静電容量の値は、2回行った測定結果の平均値である。この表2及び図30の結果から、センササンプルAは、伸縮に対して高精度且つ高感度で静電容量の変化を検知できることが分かる。特に、その伸長に伴って線型的に静電容量の値が増加する特性を有していることから、極めて高精度で検知対象物の変形状態や引張力を検知・測定することができることが分かる。
次に、センササンプルBについて説明する。このセンササンプルBは、第1導電層52を第1電極部521のみから構成すると共に、第2導電層53も第2電極部531のみから構成する態様とした。第1電極部521及び第2電極部531のそれぞれは、同様にして形成されており、銀メッキ糸をフライス編みすることにより形成されている。なお、第1導電層52(第1電極部521)及び第2導電層53(第2電極部531)は、長さが100mm、幅が10mm、厚みが0.85mmの短冊状に形成されている。
また、誘電体層51として、非導電糸から形成されたベアフライス生地(厚み:0.5mm)を用い、該生地(誘電体層51)の両面に、上述の第1導電層52及び第2導電層53を接着し、センササンプルBを形成した。
作成した短冊状のセンササンプルBをチャック付きスタンドで挟んだうえ、第1導電層52(第1電極部521)及び第2導電層53(第2電極部531)のそれぞれに電圧を印加しつつ、スタンドを移動させて伸張させ、該伸長に伴う静電容量の変化を測定した。なお、伸長に伴う静電容量値の測定は、合計2回行った。
センササンプルBの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を表3及び図31に示す。ここで、表3に示す静電容量の値は、2回行った測定結果の平均値である。この表3及び図31の結果から、センササンプルBもセンササンプルAと同様に、伸縮に対して高精度且つ高感度で静電容量の変化を検知できることが分かる。また、このセンササンプルBも、その伸長に伴って線型的に静電容量の値が増加する特性を有していることから、極めて高精度で検知対象物の変形状態や引張力を検知・測定することができることが分かる。
また、発明者らは、第1電極部521(第2電極部531)の伸長に伴う抵抗変化率を確認するため、電極部サンプルA及び電極部サンプルBを作成し、当該各サンプルについて伸長に伴う抵抗変化率を測定した。以下、この測定結果について説明する。
まず、伸長に伴う抵抗変化率の測定試験に供される電極部サンプルAとして、表1に記載の糸使いで編成したもの(上記センササンプルAに対応する編地)を作成し、当該編地が備える4本の電極部(第1電極部521或いは第2電極部531)の内、一つを選択し、伸長に伴う抵抗変化率を測定した。この電極部サンプルAは、長さが100mm、幅が1.2mm、厚みが0.85mmの形態を有している。測定方法は、チャック付きスタンドでサンプルを挟みつつ、該スタンドを移動させて所定の伸長率まで伸張させ、サンプルの両端間の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値から抵抗変化率を算出した。なお、電気抵抗値の測定は、合計4回行った。
電極部サンプル1の伸長率と、計測された電気抵抗値との関係を表4に示す。また、表5に、電極部サンプルAの伸長率と、抵抗変化率との関係を示す。ここで、抵抗変化率は、[(各伸長率における電気抵抗値)−(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出している。
表4の結果から、電極部サンプルAは、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.05Ω程度と低いものであることが分かる。また、表5に示すように、100%伸長率以下の範囲において、0%伸長時の電気抵抗値に対する抵抗変化率(%)が、略0(ゼロ)%となっており、伸長に伴って、その電気抵抗値が変化しないことが分かる。このことから、絶縁被覆層を表面に有する導電糸を用いて第1電極部521(第2電極部531)を構成する場合、インピーダンスにおける抵抗変化が極めて小さく、静電容量の変化を正確に検出できることが分かる。ここで、表4および表5の結果は、上述のように表1に記載の糸使いで編成したもの(上記センササンプルAに対応する編地)を作成し、当該編地が備える4本の電極部(第1電極部521或いは第2電極部531)の内、一つを電極部サンプルAとして選択して、抵抗変化率を測定したものであるが、仮に、4本の電極部の集合体を一つの電極として構成するために、各電極部の一方側の端部同士を短絡させると共に、各電極部の他方側の端部同士を短絡させたような場合、表4に示される電気抵抗値の値は、1/4の値となり、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.01Ω程度となる。また、伸長に伴う抵抗変化率は、4本でも1本でも表5に示す結果と同様の結果になる。
次に、抵抗変化率の確認試験に供される電極部サンプルBとして、上述のセンササンプルBが有する第1導電層52と同一のものを採用し、当該電極部サンプルBについて、伸長時の抵抗変化率を測定した。測定方法は、チャック付きスタンドでサンプルを挟みつつ、該スタンドを移動させて所定の伸長率まで伸張させ、サンプルの両端間の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値から抵抗変化率を算出した。なお、電気抵抗値の測定は、合計4回行った。
電極部サンプルBの伸長率と、計測された電気抵抗値との関係を表6に示す。また、表7に、電極部サンプルBの伸長率と、抵抗変化率との関係を示す。ここで、抵抗変化率は、[(各伸長率における電気抵抗値)−(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出している。
表6の結果から、電極部サンプルBは、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.3Ω以下と低いものであることが分かる。また、表7に示すように、60%伸長率以下の範囲において、0%伸長時の電気抵抗値に対する抵抗変化率(%)が、20%以下となっており、伸長に伴う電気抵抗値の変化が小さいことが分かる。このことから、メッキ糸を用いて第1電極部521(第2電極部531)を構成する場合であっても、インピーダンスにおける抵抗変化が小さく、静電容量の変化を正確に検出することができることが分かる。
また、表6及び表7の結果から、電極部サンプルBは、0%伸長(初期状態)から10%伸長の間で、電気抵抗値が上昇し、その後、10%伸長から60%伸長の間では、電気抵抗値が略一定となることが分かる。0%伸長(初期状態)から10%伸長の間で電気抵抗値が上昇する理由としては、0%伸長時における銀メッキ糸同士の接触状態(伸長していない銀メッキ糸同士の接触状態)と、引張力が僅かでも付加された際の銀メッキ糸同士の接触状態が大きく変化することが考えられる。これに対し、絶縁被覆層を有する電極部サンプルAにおいては、電極部サンプルBのように、引張力を付加した直後の電気抵抗値上昇が認められないため、第1電極部521(第2電極部531)を構成する導電性糸としては、その表面に絶縁被覆層を設けることがより好ましいことが分かる。
[人体動作監視装置に関する実施形態]
次に、本発明に係る人体動作監視装置の実施形態の一例について、図面に基づき説明する。なお、図面においては、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。この人体動作監視装置は、生体における腹回り又は胸回りに沿って配置されるベルト型の装置であり、着用者(被験者)の体動情報(例えば、呼吸情報;呼吸の有無、呼吸サイクル等)に基づいて、着用者の呼吸状態の異常の有無を検知し、異常が発生している場合に周囲の者に知らせることができる装置である。なお、本人体動作監視装置は、着用者の肌上にじかに装着してもよく、或いは、着用者の着ている衣服の上から装着してもよい。図32の概略構成平面図に示すように、この人体動作監視装置7は、ベース部材71と、伸長時と非伸長時とで電気的特性が変化する動作検出センサ部72と、警告情報生成部73とを備えている。なお、上記“電気的特性の変化”とは、“電気抵抗の変化”や“静電容量の変化”を含む概念であり、以下、人体動作監視装置7が有する動作検出センサ部72については、主に、伸長時と非伸長時とで電気抵抗値が変化する構成を例にとり説明するが、このような構成に限定されず、本願の開示に従って静電容量の変化を検出する方式に置換することができる。
ベース部材71は、非導電性繊維(非導電糸)から構成されており、その形態は長尺状(帯状)となるように構成されている。ベース部材71の長手方向の長さは、生体の腹回り又は胸回りに沿って巻回した際に、両端部が所定寸法に亘って重なり合う程度の長さとなるように構成されている。また、ベース部材71は、伸縮性を有するように構成されている。特にその長手方向に沿って伸縮するように構成することが好ましい。ベース部材71を形成する非導電性繊維としては、特に限定されないが、綿、麻、絹、毛等の天然繊維や、キュプラ、ビスコースレーヨン等の再生セルロース繊維である半合成繊維、或いは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の合成繊維を例示することができる。また、これら天然繊維、半合成繊維、合成繊維を適宜組み合わせた繊維等も非導電性繊維として採用することができる。なお、ベース部材71を形成する非導電性繊維としては、伸縮性を有する繊維を用いるのは好ましいが、編組織を形成することにより伸縮性が発現するため、伸縮性に乏しい繊維を用いることもできる。また、ベース部材71に伸縮性を持たせるためには、例えば、上記の非導電性繊維素材を、ゴム編み(フライス編み、リブ編み)、スムース編み、パール編、天竺編み(平編み)等(以下ゴム編み等ともいう。)の編み方によってベース部材71を形成すればよい。なお、ベース部材71は、全ての領域において伸縮性を有する必要はなく、少なくとも一部分において伸縮性を有するように構成してもよい。
また、ベース部材71は、生体における腹回り又は胸回りに沿って巻回した状態を維持する固定手段74を備えている。本実施形態においては、固定手段74として面ファスナーを使用している。具体的に説明すると、固定手段74は、人体動作監視装置7を生体における腹回り又は胸回りに沿って巻回した状態でベース部材71の両端部同士を互いに固定できるように、ベース部材712の一方の端部領域711に配置される雄型面ファスナー741と、他方の端部領域712に配置される雌型面ファスナー742とを備えている。また、ベース部材71を生体の腹回り又は胸回りに沿って巻回しつつ、その両端部711,712が重なった状態を維持させるため、雄型面ファスナー741及び雌型面ファスナー742は、ベース部材71の一方面上及び他方面上にそれぞれ配置されている。ここで、固定手段74としては、上記面ファスナーに特に限定されるものでは無く、ベース部材71を生体の腹回り又は胸回りに沿って巻回した状態を維持できるものであれば良く、例えば、スナップボタンや、クリップ、粘着テープを固定手段74として使用することができる。
動作検出センサ部72は、本発明に係る人体動作監視装置7の着用者(被験者)の体動に関する情報(例えば、呼吸に関する情報;呼吸の有無、呼吸サイクル等)を検出するための検出手段であり、伸縮によって電気抵抗値が変化する特性を有している。つまり、着用者の呼吸動作による体格変動に伴う伸縮を通じてセンサの断面積または長さが変化することによって電気抵抗値が変化し、この変化した電気抵抗値を検出することにより、着用者の呼吸動作による腹回り(胴回り)や胸回りの周長の物理的変化を直接検知することができ、着用者が呼吸をしているか否か、呼吸サイクルが速いか遅いかといった情報を取得することができる。この動作検出センサ部72は、図32に示すように、ベース部材71の両端部を除いた中央部に配置することが好ましい。動作検出センサ部72としては、伸縮によって電気抵抗値が変化する構成のものであれば特に限定されないが、例えば、導電性繊維(導電糸)をゴム編み等することにより伸縮性を持たせた帯状のものや、導電性ポリマー素材を帯状に形成したものを好適に用いることができる。なお、導電性繊維(導電糸)を用いてゴム編み等することにより動作検出センサ部72を形成する場合、ベース部材71とは別体として形成した後、ベース部材71の所定領域に積層固定してもよく、或いは、非導電性繊維を用いてゴム編み等してベース部材71を形成する過程において、導電性繊維(導電糸)を同時に編み込むことにより、ベース部材71と動作検出センサ部72とを一体的に構成してもよい。また、ウレタンゴムシートの表面に電極を印刷したものをベース部材71表面に転写することにより動作検出センサ部72を構成することもできる。なお、電気抵抗値とは、交流回路におけるインピーダンスをも含む概念である。
動作検出センサ部72の構造についての具体例としては、上述の第1実施形態において説明した図1や図2に示すような編組織構成のものを好適に採用することができる。
また、動作検出センサ部72は、長手方向がコース方向に沿うように帯状に形成されている。尚、長手方向に直交する幅方向の全域が導電糸10による平編地で構成されている必要はなく、少なくとも幅方向中央部のみが導電糸10による平編地で構成され、両側部が絶縁糸による平編地で構成されていてもよい。
また、上述の第1実施形態において説明した図8(a),図9(a)に示すように、動作検出センサ部72として、弾性糸11を芯部として、導電糸10を一重に被覆したSCYまたは二重に被覆したDCYとしたカバリング糸により編成された生地を用いることも可能である。
このようなカバリング糸を用いた場合、例えば、図9(b)に示すように、生地の伸長時に、弾性糸11そのものが伸長することにより巻き付けられた導電糸10の隙間が広がり、隣り合ったコース同士での導電糸の接点が減少することにより抵抗値が変化する。
人体動作監視装置7に係る本実施形態においては、帯状に構成された動作検出センサ部72を、ベース部材71の長手方向に沿って配置している。なお、この帯状に構成された動作検出センサ部72は、その長手方向に沿って伸縮して電気抵抗値が変化するように構成されている。ここで、ベース部材71が、一部分において伸縮性を有する領域を有するような構成の場合、動作検出センサ部72は、伸縮性を有する領域に配置することが好ましい。
警告情報生成部73は、動作検出センサ部72からの検出情報に基づいて、例えば、被験者が異常な呼吸状態に陥っていることを周囲の者に知らしめるための警告に関する情報を生成する機能を有するものであり、ベース部材71の一方の端部領域711に配置されている。また、この警告情報生成部73は、係着手段75を介してベース部材71に対して着脱自在となるように配置されている。この警告情報生成部73は、配線部76を介して動作検出センサ部72と電気的に接続されており、シート状の回路基板731上に配置されるバッテリー732、体動情報検出用回路733、制御回路734を備えている。また、本実施形態においては、音による警告を発するように構成されていることから、警告情報生成部73の回路基板731上には警告音を発するスピーカ735が配置されている。なお、動作検出センサ部72と警告情報生成部73とを接続する配線部76は、例えば、ベース部材71上に導電性インクを印刷して形成してもよく、或いは、導電性繊維をベース部材71に対して編み込むことにより形成してもよい。また、警告に関する情報とは、例えば、異常を知らしめることに関する情報に限定されず、逆に、正常を知らしめることに関する情報でも代替可能であり、これをも含めた概念である。
回路基板731は、ガラス・エポキシ、ガラス・コンポジットなどの汎用的な基板を用いることができる。この回路基板731はABSなどの樹脂製ケース内に収納してもよい。バッテリー732は、動作検出センサ部72や、各種回路の電源であり、例えば、リチウムポリマー電池などのリチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等を用いることができる。体動情報検出用回路733は、動作検出センサ部72と電気的に接続されており、動作検出センサ部72の伸縮に伴う抵抗値の変化を検出するための回路である。制御回路734は、バッテリー732、体動情報検出用回路733及びスピーカ735に電気的に接続しており、体動情報検出用回路733の作動をコントロールすると共に、動作検出センサ部72から取得された信号(検出情報)に基づいて、スピーカ735に警告音発生のための出力信号(警告に関する情報)を発する機能を有している。警告音発生のための出力信号は、例えば、所定時間(例えば、30秒間)において、動作検出センサ部72から入力されるべき信号が、全く検出されなかった場合(呼吸していることが検出できなかった場合に相当)や、動作検出センサ部72からの信号は検出されるが、その信号レベルが所定の閾値よりも低い場合(呼吸が異常に浅い場合に相当)、或いは、所定時間における動作検出センサ部72から入力される信号の回数が、所定の閾値よりも多い場合(呼吸のサイクルが異常に速い場合に相当)に発生させるように構成することができる。また、使用者に対して、バッテリー732の電池残量が少なくなりバッテリー732の交換時期が近づいたことを知らせるために、制御回路734の構成として、バッテリー732の電池残量をモニターし、電池残量が少なくなった場合に、電池残量が少なくなったことを知らせるための電気信号を生成して当該電気信号をスピーカ735に出力して警告音を発するように構成してもよい。なお、電池残量が少なくなったことを知らせる警告音は、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合に発せられる警告音と同一であってもよく、或いは、異なるように構成してもよい。
また、警告情報生成部73と配線部76との接続方法は、特に限定されないが、例えば、導電性の係着手段75を介して接続することが好ましい。導電性の係着手段75としては、例えば、図33(a)の概略構成断面図に示すように、導電性材料からなるスナップボタンを採用することができる。このような構成の場合、動作検出センサ部72に接続される配線部の端部に接続する雄型スナップボタン751をベース部材71上に設けるように構成し、更に、警告情報生成部73における体動情報検出用回路733に接続する雌型スナップボタン752を回路基板731に設けるように構成することにより、動作検出センサ部72が取得した各信号を、警告情報生成部73における体動情報検出用回路733に入力することが可能となり、制御回路734及びスピーカ735を介して、警告音を発生させることができる。また、このような構成を採用することにより、警告情報生成部73及び配線部との接続構造を簡略化することができる。また、回路基板731をケースに収納する場合には、図33(b)に示すように、回路基板731上に雌型スナップボタン752は設け、該雌型スナップボタン752がケース736から露出するように構成してもよく、或いは、図33(c)に示すように、雌型スナップボタン752をケース736上に配置し、回路基板731とはリード線R等で電気的に接続しても良い。また、ケースを隠せるポケット、布カバーをベース部材71に設けてもよい。このようなポケットや布カバーを設けることにより、配線部76に接続される警告情報生成部73に手指が引っ掛かって、予期せず警告情報生成部73が脱落してしまうことを効果的に防止することができる。また、回路基板731は機能単位で分割し、分割した回路基板731同士をフレキシブルなケーブル等で接続するようにしても良い。なお、導電性を有する係着手段75としては、上述のスナップボタンに限定されるものでは無く、例えば、導電性を有する面ファスナーやクリップ、粘着テープを使用することもできる。
上述したように、本発明に係る人体動作監視装置7は、着用者(被験者)の腹回り又は胸回りに沿って巻回固定するだけで、被験者の体動情報(例えば、呼吸情報;呼吸の有無、呼吸サイクル等)を検出することができ、かつ、当該体動情報(呼吸情報)に基づいて、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合のように被験者が異常な状態に陥った際に警告音を発するように構成されているため、極めて簡便に被験者の状態を監視することが可能となる。
また、本発明に係る人体動作監視装置7は、伸縮によって電気抵抗値が変化する特性を有する動作検出センサ部72を備えているため、上述した呼吸の有無や呼吸のサイクルといった呼吸情報以外に、被験者の体動、例えば、寝返りや、手足を動かしたことに起因する体の動きも検出することが可能となる。ここで、着用者(被験者)の呼吸動作は、息を吸う動作と吐く動作を伴うため、動作検出センサ部72によって検出される電気抵抗値の変動は、時系列的にみると周期性をもつものとなる。これに対し、着用者(被験者)が寝返りをした場合や手足を動かした場合に検出される体動情報は、動作検出センサ部72が検出する呼吸動作に伴う電気抵抗値の周期的な変動にノイズとし混入されることとなる。したがって、周期的な変動とは異なる電気抵抗値の変動を捉えることにより、着用者(被験者)が呼吸以外の動作を行っている状態であるか否かを認識することができることになる。例えば、着用者(被験者)が就寝中、或いは安静に横臥しているような状況下で、上記ノイズの発生頻度やノイズとして検出される電気抵抗値自体の値を指標として、予め設定された閾値の範囲を超えるような場合に、警告音を発生させるように構成することにより、例えば、着用者に何らかの発作が発生し手足を激しく動かしている、或いは、身体を左右に動かしているような状態であることを周囲の者に知らせることが可能となる。
また、警告情報生成部73は係着手段75を介してベース部材71に対して着脱自在の構成となっていることから、人体動作監視装置7を継続使用する際に、仮に動作検出センサ部72が劣化した場合であっても、警告情報生成部73を継続使用しつつ、動作検出センサ部72が配置されるベース部材71のみを新しいものと交換することが可能となり、本人体動作監視装置7の利用者の経済的負担を軽減することが可能となる。また、人体動作監視装置7から警告情報生成部73を取り外して、ベース部材71を洗濯することが可能となり、清潔な状態で人体動作監視装置7を使用することが可能となる。
以上、本発明の係る人体動作監視装置7について説明したが、その具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、両端部を有する帯状の形態としてベース部材71を構成し、固定手段74を介して人体動作監視装置7を被験者の腹回りや胸回りに沿って巻回固定できるように構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、無端状の帯、つまり、腹巻状の形態を有するようにベース部材71を構成してもよい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態においては、警告情報生成部73が、係着手段75を介してベース部材71に対して着脱自在となるように構成されているが、このような構成に限定されず、警告情報生成部73が、ベース部材71から着脱できないように構成してもよい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態においては、ベース部材71が有する固定手段74は、生体における腹回り又は胸回りに沿って巻回した状態でベース部材71の両端部同士を互いに固定できるよう構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、着用者の腹回り又は胸回りに沿って帯状の人体動作監視装置7を配置し、ベース部材71の両端部711,712のそれぞれを着用者が着ている衣服上に固定できるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、固定手段74として、粘着テープやクリップを採用することが好ましい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態において、例えば、図34の概略平面図に示すように、ベース部材71の構造として、その長手方向に沿って、警告情報生成部73が配置される第1ベース領域71aと、動作検出センサ部72が配置される第2ベース領域71bとを分離可能に構成し、第1ベース領域71a及び第2ベース領域71bとが、接続手段77により着脱自在となるように構成してもよい。第1ベース領域71a及び第2ベース領域71bとの接続方法としては、上述した警告情報生成部73と配線部との接続と同様な手法を採用することができる。つまり、接続手段77として、導電性材料からなるスナップボタンを採用し、例えば、第1ベース領域71aにおいて警告情報生成部73における体動情報検出用回路733と電気的に接続する雌型スナップボタン771を配置し、更に、第2ベース領域71bにおいて動作検出センサ部72に接続される配線部76の端部に電気的に接続する雄型スナップボタン772を配置するように構成することにより、雌型スナップボタン771と雄型スナップボタン772との作用によって、第1ベース領域71a及び第2ベース領域71bが互いに着脱自在に係着され、かつ、第1ベース領域71a及び第2ベース領域71bが互いに係着される際に、動作検出センサ部72と警告情報生成部73とが電気的に接続される状態を形成できるように構成する。なお、図34に示す構成においては、雌型スナップボタン771は、第1ベース領域71aの裏面側に配置され、雄型スナップボタン772は、第2ベース領域71bの表面側に配置されるように構成している。また、導電性を有する接続手段77としては、上述のスナップボタンに限定されるものでは無く、例えば、導電性を有する面ファスナーやクリップ、粘着テープを接続手段77として使用することもできる。このような構成を採用することにより、人体動作監視装置7を継続使用する際に、仮に動作検出センサ部72が劣化した場合であっても、警告情報生成部73が配置される第1ベース領域71aを継続使用しつつ、動作検出センサ部72が配置されるベース部材71の第2ベース領域71bのみを新しいものと交換することが可能となり、本人体動作監視装置の利用者の経済的負担を軽減することが可能となる。また、動作検出センサ部72が配置される第2ベース領域71bのみを取り外して洗濯することが可能となり、清潔な状態で人体動作監視装置7を使用することが可能となる。
また、上述のようにベース部材71を分割するような構成を採用する場合、図34に示すように2分割構造に限定されるものでは無く、例えば、図35に示すように、ベース部材71の長手方向に沿って3分割に分離可能な構造とし、動作検出センサ部72が配置される第2ベース領域71bの両側に、それぞれ警告情報生成部73が配置される第1ベース領域71aと、固定手段74(雌型面ファスナー742)が配置される第3ベース領域71cとを有するように構成してもよい。なお、第2ベース領域71bと第3ベース領域71cとの接続は、スナップボタンや、面ファスナー、クリップ、粘着テープといった接続手段を介して互いに接続することができる。
また、上述のように、ベース部材71を複数の領域に分割できるように構成する場合、例えば、警告情報生成部73が有する回路基板731をベース部材71の第1ベース領域71aとして採用し、ベース部材71の第2ベース領域71bと警告情報生成部73(回路基板731)とが直接的に互いに着脱自在に連結できるように構成し、かつ、第2ベース領域71bと警告情報生成部73(回路基板731)とが互いに連結される際に、第2ベース領域71b上の動作検出センサ部72と警告情報生成部73(回路基板731)が備える体動情報検出用回路733とが電気的に接続される状態を形成できるように構成してもよい。つまり、第2ベース領域71bに設けられる導電性の接続手段77(雄型スナップボタン772)と、回路基板731に設けられる導電性の係着手段75(雌型スナップボタン752)とを介して、両者を接続するように構成してもよい。なお、このような構成を採用する場合、ベース部材71の他方の端部領域712に配置される固定手段74(例えば、面ファスナー、スナップボタン、クリップ、粘着テープ等)に対応する固定手段745を回路基板731に設けるように構成し、人体動作監視装置7を生体における腹回り又は胸回りに沿って巻回した状態で、回路基板731とベース部材71の他方の端部領域712とを互いに固定できるように構成することが好ましい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態においては、ベース部材71が帯状の形態となるように構成しているが、このような形態に特に限定されず、例えば、図36に示すように、パンツ型の形態を有するように構成することもできる。ここで、パンツ型とは、おむつ、おむつカバー、パンツ、スパッツ、ガードルといった下着全般の形状を意味する概念である。ベース部材71をパンツ型に構成する場合、動作検出センサ部72は、パンツ型のベース部材71における腹回りに沿って配置されている。特に、パンツ型のベース部材71が、その腹回りにずり落ち防止用のウエストバンド部715を備える場合には、当該ウエストバンド部715の表面側、若しくは、裏面側に、動作検出センサ部72を配置して、ウエストバンド部715と一体的に構成することが好ましい。なお、ウエストバンド部715に重ならない位置であって、該ウエストバンド部715と平行となるように動作検出センサ部72を設置してもよい。また、動作検出センサ部72の配置位置は、ベース部材71の腹側に限定されず、例えば、パンツ型のベース部材71の背側に動作検出センサ部72を配置してもよく、或いは、腹側及び背側に亘って配置してもよい。或いは、腹回りの全周に対応する領域に動作検出センサ部72を配置してもよい。なお、体動情報をより正確に検出するためには、動作検出センサ部72を生地の伸縮性に基づく緊締力で体の定位置、肌側方向に付勢し、好ましくは密着させることが望まれる。シャツなどの上衣の形態の場合、特に就寝中などリラックス状態が望まれる生活シーンにおいて、緊締力によるセンサや生地の密着状態は快適性を損なう可能性がある。それに対してパンツ型のベース部材71におけるウエストバンド部715のようなパンツ型のベース部材71の通常の設計において緊締力や密着性が付与される部分に動作検出センサ部72を配置すれば、着用者の快適性を損なわず、違和感なく必要な情報をより正確に検出し取得することができ好ましい。
ここで、警告情報生成部73は、パンツ型のベース部材71のどの位置に配置してもよいが、例えば、図36に示すように着用者の下腹部周辺に配置することが好ましい。また、ベース部材71をパンツ型に構成する場合には、上述の係着手段75を介して、警告情報生成部73が、ベース部材71に対して着脱自在に係着できるように構成することが好ましい。
このようにパンツ型に構成される人体動作監視装置7は、被験者が着用するだけで、該被験者の体動情報(例えば、呼吸情報;呼吸の有無、呼吸サイクル等)を検出することができ、かつ、当該体動情報に基づいて、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合のように被験者が異常な状態に陥った際に警告音を発するように構成されているため、極めて簡便に被験者の状態を監視することが可能となる。
また、人体動作監視装置7をパンツ型に構成する場合、例えば、導電性繊維をウエストバンド部715に対して編み込むことにより、動作検出センサ部72をウエストバンド部715と一体化して構成してもよい。このような構成を採用することにより、ウエストバンド部715と動作検出センサ部72との一体性がより一層向上し、体動情報(呼吸情報)の取得を精度よく行うことが可能となる。また、外観デザイン上の違和感を低減させることができることができる。
また、例えば、ウエストバンド部715をゴム編み等で形成する途中段階において、ゴム編み等される繊維を導電性繊維に変更して、所定領域(例えば、腹部相当領域)に動作検出センサ部72を形成するようにしてもよい。このような構成を採用する場合であっても、上記と同様、ウエストバンド部715と動作検出センサ部72との一体性がより一層向上し、体動情報(呼吸情報)の取得を精度よく行うことが可能になると共に、外観デザイン上の違和感を低減させることができることができる。
また、図36に示す構成においては、帯状に形成される動作検出センサ部72は、パンツ型のベース部材71の腹側に配置して構成されているが、この動作検出センサ部72における両端部は、骨盤における腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置するように構成してもよい。つまり、動作検出センサ部72における一方の端部を、骨盤における左側の腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置し、他方の端部を骨盤における右側の腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置して構成してもよい。パンツ型の下着は、骨盤における腸骨の上縁部辺りで、ウエストバンド部715がしっかりと固定される傾向にあるため、骨盤における腸骨の左右の上縁部辺りに、動作検出センサ部72における両端部がそれぞれ配置されるように構成することにより、動作検出センサ部72における両端部が身体に対して固定され、呼吸動作に伴う腹囲長の変動を動作検出センサ部72が精度よく検出することが可能となる。なお、動作検出センサ部72における両端部を、それぞれ骨盤における腸骨の左右の上縁部辺りに対応する領域に配置するのではなく、動作検出センサ部72における一方の端部のみを腸骨の上縁部辺りに対応する領域に配置して構成してもよい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態においては、図32に示すように、動作検出センサ部72の形状を直線状に構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図37(a)(b)に示すように、動作検出センサ部72が、互いに略平行となる複数の平行センサ領域721と、互いに隣接する平行センサ領域721の端部同士を接続する方向転換センサ領域722とを備える蛇行状となるように形成してもよい。このような形態として動作検出センサ部72を構成することにより、ベース部材71の長手方向に沿った伸縮が、複数の平行センサ領域721のそれぞれに発生することになる。つまり、動作検出センサ部72の伸縮量を大きくすることができる結果、動作検出センサ部72における電気抵抗値の変化量を増幅することが可能となり、動作検出センサ部72の体動情報に関する検出感度を向上させることが可能となる。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態において、温度検出センサや湿度検出センサを備えるように構成してもよい。温度検出センサは、人体動作監視装置7の着用者の体温や、着用者の衣服内温度を検出するための検出手段であり、湿度検出センサは、着用者の衣服内湿度を検出するための検出手段である。温度検出センサとしては、従来からある様々なセンサ、例えばサーミスタ等各種センサを採用することができる。湿度検出センサとしては、例えば、抵抗変化型、静電変化型等種々のものを採用することができる。これら温度検出センサや湿度検出センサを備えるように構成することにより、被験者が快適な温度状況や湿度状況にいるのかを確認することが可能となる。なお、被験者が温度的に或いは湿度的に異常な状況下におかれている場合に、警告音を発するように構成してもよい。この警告音は、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合に発せられる警告音と同一であってもよく、或いは、異なるように構成してもよい。また、制御回路734が、温度検出センサや湿度検出センサからの信号(温度、湿度)に基づいて、熱中症指数を算出し、熱中症となる危険性が「大」となる場合に、警告音を発するように構成してもよい。この熱中症に関する警告音についても、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合に発せられる警告音と同一であってもよく、或いは、異なるように構成してもよい。ここで、熱中症指標とは、熱中症のかかりやすさを表す情報であり、制御回路734は、例えば、室内の温度が25度未満かつ湿度が60%未満であれば、熱中症の危険性「低」、室内の温度が25度以上30度未満且つ湿度が60%以上80%未満であれば、熱中症の危険性「中」、室内の温度が30度以上且つ湿度が60%以上80%未満であれば、熱中症の危険性「大」を表す各熱中症指標を算出するように構成される。また、室内の温度に関係なく湿度が80%以上であっても、熱中症の危険性「大」を表す熱中症指標を制御回路734が算出するように構成される。ここで、温度検出センサや湿度検出センサの設置位置は特に限定されないが、警告情報生成部73が有する回路基板731上に配設することができる。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態において、加速度センサを備えるように構成してもよい。加速度センサを用いることで、被験者が就寝中(安静にしている)の状態であることや、活動中(例えば歩行)の状態であることなどを推定できる。また、例えば、加速度センサから推定した活動中は体動情報検出センサ3を用いた体動情報を取得せず、就寝中と推定されるときのみ体動情報検出センサ3を用いた体動情報を取得するといった制御も可能になる。この場合、体動情報検出センサ3の抵抗値を測定するために必要な電力を一定時間削減することができるため、この制御を行わないときにくらべ、長時間の連続動作を実現することができ、更に、呼吸情報以外の体動情報を考慮しない装置構成とすることもできる。
また、上記実施形態の人体動作監視装置7において、心拍検出センサを備えるように構成してもよい。心拍検出センサは、人体動作監視装置7の着用者の心拍情報を検出するための検出手段である。心拍検出センサとしては、例えば、2つの電極間における電位差から心拍信号を検出できるセンサを例示することができる。心拍検出センサを構成する各電極は、着用者の体に密着させて配置されることが好ましいため、ベース部材71における着用者の体に密着する面(内側の面)に配置することが好ましい。ベース部材71上における各電極の設置位置としては、例えば、人体動作監視装置7を着用した際に、各電極が左右の腰近傍部分にそれぞれ配置されるような位置に設置することが好ましい。なお、ベース部材71をパンツ型に形成する場合には、左右の太ももの付け根あたりに対応するベース部材71の位置にそれぞれ設置してもよい。なお、心拍信号の検出精度を高めるために、例えば、腹部領域に設置される第3の電極(中間極)を設けるようにして心拍検出センサを構成してもよい。また、心拍検出センサを設けるように構成する場合、当該心拍検出センサにて検出される心拍情報に異常がみられる場合、例えば、心拍数が異常に低い(例えば、成人の場合:心拍数が60回/分未満、乳幼児の場合:心拍数が100回/分未満)、或いは以上に高い(例えば、成人の場合:心拍数が100回/分以上、乳幼児の場合:心拍数が140回/分以上)といったような場合に、警告音を発するように構成してもよい。この警告音は、被験者が呼吸をしていない場合や、呼吸サイクルが異常に速いような場合に発せられる警告音と同一であってもよく、或いは、異なるように構成してもよい。
また、上記人体動作監視装置7に係る実施形態においては、ベース部材712上に、スピーカ735を有する警告情報生成部73を配置するように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、ベース部材71上に配置される警告情報生成部73からスピーカ735を省略すると共に、該警告情報生成部73が通信回路を備えるように構成し、当該通信回路を介して、スマートホン等の携帯端末やパーソナルコンピューターといった外部の処理装置に警告に関する情報を送信し、外部の処理装置が有するスピーカ735から警告音を発生するように構成してもよい。また、上記実施形態において、警告情報生成部73の構成として、制御回路734及びスピーカ735を、スマートホン等の携帯端末やパーソナルコンピューターといった外部の処理装置が備えるように構成すると共に、警告情報生成部73が通信回路を備えるように構成し、当該通信回路を介して、体動情報検出用回路733に入力された信号を外部の処理装置が有する制御回路734に送信し、当該制御回路734にて警告音発生のための出力信号を生成して、スピーカ735から警告音を発するようにしてもよい。また、スマートホンなどの外部の処理装置において、体動情報の記録を残すように構成しても良い。なお、外部の処理装置と通信回路との接続は、無線接続の他、有線接続を採用してもよい。また、通信回路を介して外部の処理装置に警告に関する情報を送信するように構成する場合、スピーカ735から警告音を発生する構成に替えて、又は、スピーカ735から警告音を発生する構成と共に、外部の処理装置における表示部(モニター等)に、着用者(被験者)が異常な状態に陥ったことを示す警告表示を映し出すように構成してもよい。