JP2024009668A - 衣料 - Google Patents

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研 中田
Ken Nakada
慶太 山崎
Keita Yamazaki
光樹 横山
Teruki Yokoyama
彰治 近田
Shoji Chikada
美穂子 大家
Mihoko Oya
里桜子 秋山
Rioko Akiyama
泰輔 澤田
Taisuke Sawada
匡 安井
Tadashi Yasui
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Abstract

【課題】生体信号を検出可能な衣料であって、激しい動作時も過度な押し付け圧をかけずに安定的に所望とする生体の電気信号、特に心電信号が明瞭に得られる衣料を提供する。【解決手段】生体信号を検出可能な衣料であって、身生地、該身生地よりも高伸縮構造を有する編地部、該編地部に固定されたシート状電極、および導線部を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、衣料に関する。
従来から、心電図や筋電図等のデータ採取を対象者に対して行う場合に使用する電極付き衣料が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2016-158709号公報 特開2017-082361号公報 特開2020-146336号公報
しかしながら、従来の生体信号を検出可能な衣料では、スポーツなどの激しい動作時に、シート状電極と皮膚との接触状態の変化により電気的ノイズが発生し明瞭な生体信号が得られないことがあった。
その為、日常的な使用においては、銀等の導電素材を含浸させたゴム等を身体に接触させることで長時間の生体信号計測を行う方法が選択されている。この方法においては、汗や動き等で電極部がずれないように、一定以上の押し付け圧を電極と身体との間に発生させなければならず、これら押し付け圧を発生させる為に身体を締め付ける構造となっている。この構造は、呼吸の妨げや、スポーツにおけるパフォーマンスの低下、日常生活における血中酸素濃度等の低下の要因となるおそれがあった。
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、生体信号を検出可能な衣料であって、激しい動作時も過度な押し付け圧をかけずに安定的に所望とする生体の電気信号、特に心電信号が明瞭に得られる衣料を提供するものである。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。かくして、本発明によれば、以下の発明が提供される。
1.生体信号を検出可能な衣料であって、身生地、該身生地よりも高伸縮構造を有する編地部、該編地部に固定されたシート状電極、および導線部を含むことを特徴とする衣料。
2.前記編地部が蛇腹状の構造を有する、上記1に記載の衣料。
3.前記シート状電極が、導電繊維と単繊維径1μm以下の非導電繊維とを含む、上記1または2に記載の衣料。
4.前記非導電繊維がポリエステル繊維からなる、上記3に記載の衣料。
5.前記導線部が、導電部と絶縁体部とを含む、上記1~4のいずれかに記載の衣料。
6.前記絶縁体部がポリエステル繊維を含む、上記5に記載の衣料。
7.前記シート状電極と前記導線部との接続部が絶縁シートで被覆してなる、上記1~6のいずれかに記載の衣料。
8.前記シート状電極と前記編地部との間に、クッション材が介在している、上記1~7のいずれかに記載の衣料。
9.前身頃と後身頃とを有し、かつ、前記シート状電極を2個以上含む衣料であり、2個の前記シート状電極が、前記前身頃の袖ぐりの最下点から裾ラインを結ぶ直線に対して、中央より上部に位置し、かつ前記前身頃を左右均等に分割する中央線と左右両端の脇線の中点に対して脇線側に位置する、上記1~8のいずれかに記載の衣料。
本発明によれば、激しい動作時も安定的に所望とする生体の電気信号、特に心電信号が明瞭に得られる衣料が得られる。
本発明の衣料の一例における前身頃の内側(生体側)を示す概略図である。 本発明の衣料の一例における後身頃の内側(生体側)を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材等の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本発明は、生体信号を検出可能な衣料であって、身生地、該身生地よりも高伸縮構造を有する編地部(以下、単に「編地」ということもある。)、該編地部に固定されたシート状電極、および導線部を含むことを特徴とする衣料である。
ここでシート状電極は、長方形の形状が好ましく例示される。もちろん、シート状電極は、正方形、円形、三角形など任意の形状でよい。
シート状電極は、例えば、導電部と非導電部とを含み、露出部(すなわち肌と直接接触する表面)を有する。
シート状電極の厚さとしては1.0mm以下(より好ましくは0.1~0.5mm)であることが好ましい。これは、厚さが薄いほど肌の凹凸や湾曲に追従して密着し易いためである。
本発明のシート状電極が導電部と非導電部とを含む場合、導電部と非導電部を構成する方法としては、導電繊維と非導電繊維を交編・交織する方法、非導電繊維からなる織編物に導電材を部分的に含浸またはプリントにより塗布することで導電部を形成する方法、非導電性のフィルムに導電材を部分的にプリントすることで導電部を形成する方法、などが例示される。
その際、非導電部が単繊維径1μm以下(好ましくは10~800nm)の非導電繊維を含むと、シート状電極の表面がフラットになり肌との接触面積が高まり肌との密着性が高くなり好ましい。特に、非導電部が該非導電繊維を30%以上(より好ましくは50%以上)含むことが好ましい。前記非導電繊維は、ポリエステル繊維からなることがより好ましい。なお、前記単繊維径1μm以下の非導電繊維としては、単繊維径が700nmの帝人フロンティア社製ナノフロント(登録商標)が好ましい。
シート状電極は、導電繊維と単繊維径1μm以下の非導電繊維とを含むことが好ましく、導電繊維と単繊維径1μm以下の非導電繊維とを交編または交織したものがより好ましい。
また、シート状電極の導電部を構成する導電繊維としては、特に限定されず、導電性を備える公知の繊維を用いることができる。例えば、特許6185638号公報などに記載されたものでよい。すなわち、導電繊維の具体例としては、金属めっき繊維、導電性高分子繊維、金属繊維、炭素繊維、スリット繊維、導電材含有繊維などが挙げられる。導電性繊維は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
金属めっき繊維としては、例えば、銀、銅、金、ステンレスなどの金属、またはこれらのうち少なくとも1種を含む合金などにより、合成繊維の表面が被覆された繊維が挙げられる。金属めっきが施される合成繊維としては、好ましくはナイロン繊維、ポリエステル繊維などが挙げられる。市販品では、ミツフジ社製「AGposs」(商品名)などの銀メッキナイロン糸でもよい。
前記シート状電極を固定する編地部としては、身生地よりも高伸縮構造を有する編地であり、特許第5451193号公報に記載されているような、蛇腹状の構造を有する編地が特に好ましい。かかる蛇腹状の構造を有する編地は、「アコーディオン生地」とも称され、山折りと谷折りが連続する構造を有しており、山折りと谷折りが連続する方向に優れた伸縮性を有する。かかる編地部の寸法としては、外寸で巾5~20cm×長さ5~30cmであることが好ましい。
ここで、「身生地よりも高伸縮構造を有する」とは、伸縮方向に一定の荷重をかけたときの伸び率が身生地よりも大きいことを意味する。上記伸び率は、例えば、JIS L 1096織物及び編物の生地試験方法」に準拠して測定することで得られる。
編地部を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維等が例示される。編地部は、繊維を一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。
かかる蛇腹状の構造を有する編地は、例えば、特許第5451193号公報などに記載の方法によって製造することができる。すなわち、例えば、ダブルラッシェル編み機の表側の針で所定幅のデンビ編み部(表側主編成部)を緯方向に所定間隔で編成する一方、裏側の針でも同様に、所定幅のデンビ編み部(裏側主編成部)を緯方向に所定間隔で編成し、さらに、並列する裏側主編成部の位相が前記表側主編成部のそれに対して緯方向にシフトし、各裏側主編成部が、表側主編成部間の中間位置に位置するように編成するとよい。その際、近接する表側主編成部の側縁と裏側主編成部の側縁とをダブル鎖編みまたはダブルデンビ編みによって経方向に繋ぎ編みし(繋ぎ編み部)、編地の両側部に、繋ぎ編み部と同じ編組織で、それぞれ耳部を編成することが好ましい。蛇腹状の構造を有する編地の市販品としては井上リボン工業株式会社のアコーディオ(商品名)などが例示される。
また、シート状電極を編地部に固定する方法としては、シート状電極の外周部のみで上記編地部と固定されていることが好ましい。シート状電極と上記編地部とが全面的に固定されていると、シート状電極が上記編地部に独立して肌に密着することができなくなり、シート状電極と肌との密着性が低下する(電極と上記編地部とが一体化することで、肌の凹凸や湾曲に対してシート状電極が追従し難くなる)おそれがある。
シート状電極と編地部の固定方法は特に限定されないが、片面タイプの熱転写シートを電極外周部に外枠状に貼り付ける方法、枠形状に切り抜いた両面タイプの熱転写シートをシート状電極と上記編地部の間に挟み込んで接着する方法、シート状電極の外周部と上記編地部を縫い糸で縫い合わせる方法、などが例示される。
また、シート状電極と上記編地部との間にクッション材が介在していることが好ましい。このクッション材により、シート状電極が肌側へ押し付けられる効果があり、かつ肌の凹凸や湾曲に対してシート状電極の形状が追従して変形し易くなる効果がある。この観点から、クッション材の厚さは、5mm以上が好ましく、5~20mmがより好ましい。さらに、このクッション材はシート状電極、上記編地部の何れにも固定されていない方が上記の追従性の点から好ましい。
衣料の身生地としては特に限定されず、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、木綿などを用いた織編物でよい。特に、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートを一成分として含む複合繊維、弾性繊維(例えば、ポリウレタン弾性糸など)などを含むストレッチ性織編物が好ましい。
本発明の衣料は、例えば、前記身生地と前記編地部とで衣料本体を縫製し、前記編地部にシート状電極を固定し、シート状電極に導線部を取り付けることにより得られる。
ここで、導線部としては、導電部と絶縁体部を含むことが好ましい。その際、導電部は前記のような導電繊維で構成されることが好ましい。導電繊維としては、前述のシート状電極の導電部に用いられる導電繊維と同様のものが挙げられる。一方、絶縁体部はポリエステル繊維、ナイロン繊維などの合成繊維を含むことが好ましい。絶縁体部は、その中でも特にポリエステル繊維を含むことがより好ましい。
導線部は、例えば、上記合成繊維を含むバインダーテープの片面に導電繊維を縫い付けたものであってもよい。その場合、バインダーテープが前記絶縁体部を構成し、導電繊維が前記導電部を構成する。
導線部が導電部と絶縁体部とを含む場合、導線部の導電部がシート状電極の導電部に接触し、シート状電極と導線部との接続部を形成することが好ましい。
また、前記シート状電極と導線部との接続部を絶縁シートで被覆することが好ましい。接続部が絶縁シートで被覆してなることで、生体信号を検出する際のノイズが抑制される。なお、前述のシート状電極を編地部に固定する熱転写シートが、シート電極と導線部との接続部を被覆する絶縁シートを兼ねていてもよい。
導線部におけるシート状電極との接続部とは反対側の端部は、測定装置(例えば心電計測機)に電気的に接続された部材(例えばスナップボタン)に接続されていることが好ましい。
生体信号を検出可能な衣料としては、シート状電極を2個以上含む衣料が挙げられ、具体的には、例えば、陽極であるシート状電極と陰極であるシート状電極とを少なくとも含む衣料が挙げられる。
衣料は、前身頃と後身頃とを有する衣服(例えばトップス)がより好ましい。
また、衣料が前身頃と後身頃とを有する衣服である場合、衣料に対するシート状電極の位置については、図1に示すように、前身頃の袖ぐりの最下点から裾ラインを結ぶ直線に対して、中央より上部に位置し、かつ前身頃を左右均等に分割する中央線と左右両端の脇線の中点に対して脇線側に位置することが好ましい。上記位置にシート状電極を設けることにより、上記以外の位置に比べて、心電信号が弱くなり過ぎにくく、心電信号を検出する場合に胸筋や腹筋など大きい筋肉の上に位置することに起因して筋電信号を拾い易くなることも起こりにくい。
図1は、本発明の衣料の一例における前身頃の内側を示す概略図であり、図2は、本発明の衣料の一例における後身頃の内側を示す概略図である。
図1及び図2に示す衣料10は、前身頃10Aと後身頃10Bとで構成されたトップス(つまり上衣)である。衣料10では、身生地12と、身生地12よりも高伸縮構造を有する編地部14と、で衣料本体を構成している。衣料10は、編地部14を2つ有する。具体的には、前身頃10Aと後身頃10Bとの接続部である2つの脇線10L上において、前身頃10Aにおける袖ぐり10Sの最下点10Uから裾ライン10Hを結ぶ直線の中央より上部に、編地部14がそれぞれ1つずつ設けられている。
2つの編地部14の中央部には、衣料10の内側(つまり生体側)において、それぞれシート状電極16が1個ずつ設けられている。つまり、図1に示すように、衣料10は、シート状電極16を2個有し、2個のシート状電極16が、左右それぞれの脇線10L上において、袖ぐり10Sの最下点10Uから裾ライン10Hを結ぶ直線の中央より上部に1個ずつ設けられている。
2つのシート状電極16には、図2に示すように、それぞれ導線部18の一端が接続されている。導線部18の他端は、後身頃10Bの内側(つまり生体側)の背中上部に設けられたスナップボタン20に接続されている。スナップボタン20は、測定装置(図示せず)に接続可能となっている。
衣料10では、衣料10を装着した生体から発せられた電気信号が、2つのシート状電極16により検知され、導線部18及びスナップボタン20を経由して、測定装置に送られ処理される。
なお、衣料10では、シート状電極16が、脇線10L上に設けられているが、これに限られるものではない。
シート状電極16は、前記の通り、前身頃10Aの袖ぐり10Sの最下点10Uから裾ライン10Hを結ぶ直線に対して、中央より上部に位置し、かつ前身頃10Aを左右均等に分割する中央線10Mと左右両端の脇線10Lの中点に対して脇線10L側に位置することが好ましい。
なお、衣料10は、前身頃10A及び後身頃10Bからなり、袖部を有していないが、これに限られず、袖部を有する衣料であってもよい。
本発明の衣料では、前記構成を有することで、激しい動作時も衣料の振動が高伸縮性の編地部によって吸収され、安定的に所望とする生体の電気信号、特に心電信号が明瞭に得られる。
次に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)心拍計測性
帝人フロンティアセンシング社製のDSPワイヤレスECG/HRロガー(加速度/角速度) SS-ECGHRAGを、衣料に取り付けたスナップボタンを介して衣料に接続し、安静時および運動時の心電波形および心拍数を計測し、以下の基準にて心拍計測性を評価した。計測の周波数は1kHzに設定した。
A ⇒ 運動時すべてのデータで正確に心拍数を算出できた。
B ⇒ 運動時80%以上100%未満のデータで正確に心拍数が算出できた。
C ⇒ 運動時50%以上80%未満のデータで正確に心拍数が算出できた。
D ⇒ 運動時50%未満のデータで正確に心拍数が算出できた。
計測の一連の工程は、安静1分間⇒体をねじる運動1分⇒全速力腕振り1分、の3分間で実施した。
(2)厚さ
JIS L1096-2010 8.4 A法で規定される方法で測定した。
(3)繊度
JIS L1013-2021 8.3.1正量繊度により測定した。
[実施例1]
フロント(表)側とバック(裏)側の2列の針床を有する公知のダブルラッセル編機(24ゲージ)を用い、表側の針で市販のポリエステル先染仮撚糸167dtex/48を用いてダブルデンビ編を編み、同時にポリウレタン(ロイカ)235dtex/1を2針振りで挿入編した表側主編成部を緯方向にそれぞれの糸入れが4IN4OUTの間隔で編成した。
一方、裏側の針でも同様に、市販のポリエステル先染仮撚糸167dtex/48本を用いてダブルデンビ編を編み、同時にポリウレタン(ロイカ)235dtex/1本を2針振りで挿入編した裏側主編成部を緯方向にそれぞれの糸入れが4IN4OUTの間隔で編成し、さらに、並列する裏側主編成部の位相が表側主編成部のそれに対して緯方向にシフトし、各裏側主編成部が、表側主編成部間の中間位置に位置するように編成するとともに、近接する表側主編成部の側縁と裏側主編成部の側縁とを市販のポリエステル先染仮撚糸167dtex/48本を用いダブル鎖編によって経方向に繋ぎ編をし、編地の両側部に市販の先染仮撚糸167dtex/48本の双糸を用い繋ぎ編部と同じダブル鎖編をフルセットで8針分編み、同時に市販の先染仮撚糸167dtex/48本を3針振りで挿入編した耳部を編成した生機を得た。
得られた生機を乾熱セット(温度:150℃、時間:35秒)し、巾10cm×長さ13cmのサイズにカットし、蛇腹状の編地である編地部(高伸縮構造編地)とした。
次に、28Gのラッセル編機(細幅編機)にて、中央部(巾0.5cm)に78dtex/34本の銀メッキした導電性ナイロン糸を配し、それ以外の部分には単繊維の直径が約700nmである78dtex/16720本の超極細ポリエステル繊維(帝人フロンティア社製ナノフロント(登録商標))と33dtex/12本の通常のポリエステル繊維とのインターレース混繊糸を用いて、バック筬の組織を10/01、フロント筬の組織を12/10にて編地(全巾4cm)を作製した後、長さ6cmにカットしてシート状電極とした。
一方、28Gのシングル丸編み機にて、84dtex/72本のポリエステル仮撚捲縮加工糸と44dtex/1本のポリウレタン弾性糸をポリウレタン弾性糸のドラフト率2.5倍にてベア天竺組織の編地を編成し、この編地を身生地(衣料生地)とし、両脇部に前記高伸縮構造編地を巾(伸縮)方向が身体のタテ向になるよう配してMサイズの衣料本体を作製した。
ついで、図1に示すように、得られたMサイズの衣料本体の編地部(高伸縮構造編地)上の内側(人体側)に上記シート状電極を熱転写シートで取り付け、編地部とシート状電極との間にはクッション材として、厚さ10mmの低反発ウレタンスポンジを挿入した。なお、熱転写シートは接着剤が塗布されたウレタンシートであり、160℃の熱プレスにより編地部とシート状電極とを熱接着させた。かかるシート状電極において、シート状電極の露出部は4.5cm×3cmのサイズであった。
その際、ポリエステル繊維製バインダーテープの片面に、前記シート状電極の製造に用いたものと同じ銀メッキナイロン糸(導電繊維)を縫い付けた導線部を用意し、図2のように、導線部の一端がシート状電極に接し、かつ、導線部の他端がスナップボタンに接するように配置することで、シート状電極から背中上部のスナップボタンを内側(人体側)で連結し、スナップボタンを介して心電計測機(測定装置)に接続した。以上のようにして、実施例1の衣料(1)を得た。なお、衣料(1)において、シート状電極と導線部との接続部は、絶縁シートである熱転写シートにより被覆された状態であった。
この衣料(1)を、シート状電極が直接肌に触れるように着用し、安静時と運動時の心電図を計測し、遮断周波数5Hzのハイパスフィルタ及び4次のSavitzky-Golayフィルタによる処理を行った。シート状電極と肌の接触具合によって心電図の振幅が変化することから、全波整流の後に包絡線を算出し、閾値を求めた。閾値を超える波形のピーク値をR波として検出を行い、RR間隔の算出を行ったところ、異常値を含んでいた為、RR間隔の1階及び2階微分値を用いて異常値の除去を行った。除去された値は線形補間によって内挿された。内挿されたRR間隔を用いて心拍数を算出したところ、心拍計測性評価の結果は「B」であった。
[実施例2]
次に、身生地の両脇部に加えて前身頃の上部中央にも前記高伸縮構造編地を巾(伸縮)方向が身体のタテ向になるよう配した以外は、実施例1と同様にしてMサイズの衣料本体を作製した。ついで、得られたMサイズの衣料本体における3か所の編地部(高伸縮構造編地)にそれぞれシート状電極を1つずつ、実施例1と同様にして取り付けた。次いで、実施例1と同様にして、各シート状電極から背中上部のスナップボタンを内側(人体側)で導線部により連結し、スナップボタンを介して心電計測機に接続した。以上のようにして、実施例2の衣料(2)を得た。
衣料(2)における3つの電極の組み合わせから2つの心電信号を得た。具体的には、人体の左側に配置されたシート状電極と前身頃の上部中央に配置されたシート状電極とから心電信号を得る経路をチャンネル1とし、人体の左側に配置されたシート状電極と人体の右側に配置されたシート状電極とから心電信号を得る経路をチャンネル2とする。本実施例は、2つの経路から信号を得ることで、ノイズ耐性の高い心拍数の算出を行うことが目的である。
2つの経路から信号を得て心拍数の算出を行う方法は以下の通りである。
具体的には、まず、チャンネル1及びチャンネル2のそれぞれにおいて数分間の安静時による計測を行い、動きに伴うノイズが混入しない状況下での心電信号を取得する。得られた心電信号それぞれについて、上記実施例1と同様のフィルタリング処理とR波の検出を行い、R波のピークが現れる瞬間を基準に前後200ミリ秒の心電信号を抽出する。抽出した信号を平均化することで、ノイズを含まない安静時における心電波形の基準値(安静時基準波形)を、チャンネル1及びチャンネル2のそれぞれについて得る。
次に、チャンネル1及びチャンネル2のそれぞれにおいて運動中の心電信号を取得する。上記安静時基準波形を得る場合と同様にして1拍毎にR波を基準とした前後200ミリ秒の心電信号の抽出を行い、1拍毎に安静時基準波形との相関係数を算出する。
この処理によって運動中に抽出された心電図がいかに安静時基準波形に近いかを評価することで、運動中に計測された1拍毎の心電図の精度を評価する。これは、運動中は強度の増加に伴ってR波の間隔は狭くなるものの、心電図の波形自体は大きく変化しないことに基づいている。
上記相関係数の算出は、各チャンネルについて行われるため、各時刻において2つのチャンネルの精度が相関係数によって評価されることになる。
得られた相関係数に比例した重み係数の算出を下記式(1)および(2)で示されるマッチングスコア(相関係数)に比例した重み付けの式により行うか、又は、下記式(3)および(4)で示されるマッチングスコア(相関係数)の2乗に比例した重み付けの式により行う。
ここで、下記式(1)~(4)中、rch1はチャンネル1について算出された相関係数、rch2はチャンネル2について算出された相関係数、wはチャンネル1における重み係数、wはチャンネル2における重み係数を表す。
一方、衣料(2)の各チャンネルで心電図から心拍数を算出しておく。心拍数の算出は実施例1の場合と同様である。各チャンネルから得られた心拍数に上記方法により算出された重み係数をかけて、加重平均された心拍数を次式(5)により算出する。
ここで、下記式(5)中、wおよびwはそれぞれ前述のチャンネル1およびチャンネル2における重み係数、HRch1はチャンネル1において算出された心拍数、HRch2はチャンネル2において算出された心拍数、HRtotalは加重平均された心拍数を表す。
この一連の処理によって算出された心拍数により評価した心拍計測性の結果は「A」であった。
[比較例1]
実施例1において、高伸縮構造編地を用いず、身生地だけで衣料を構成し、実施例1と同じ位置にシート状電極を固定することで比較例1の衣料(3)を得て、実施例1と同様の心拍計測性評価を行った。結果は「D」であった。
本発明によれば、生体信号を検出可能な衣料であって、激しい動作時も過度な押し付け圧をかけずに安定的に所望とする生体の電気信号、特に心電信号が明瞭に得られる衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。
10 衣料
10A 前身頃
10B 後身頃
10H 裾ライン
10L 脇線
10M 中央線
10S 袖ぐり
10U 最下点
12 身生地
14 編地部
16 シート状電極
18 導線部
20 スナップボタン

Claims (9)

  1. 生体信号を検出可能な衣料であって、身生地、該身生地よりも高伸縮構造を有する編地部、該編地部に固定されたシート状電極、および導線部を含むことを特徴とする衣料。
  2. 前記編地部が蛇腹状の構造を有する、請求項1に記載の衣料。
  3. 前記シート状電極が、導電繊維と単繊維径1μm以下の非導電繊維とを含む、請求項1に記載の衣料。
  4. 前記非導電繊維がポリエステル繊維からなる、請求項3に記載の衣料。
  5. 前記導線部が、導電部と絶縁体部とを含む、請求項1に記載の衣料。
  6. 前記絶縁体部がポリエステル繊維を含む、請求項5に記載の衣料。
  7. 前記シート状電極と前記導線部との接続部が絶縁シートで被覆してなる、請求項1に記載の衣料。
  8. 前記シート状電極と前記編地部との間に、クッション材が介在している、請求項1に記載の衣料。
  9. 前身頃と後身頃とを有し、かつ、前記シート状電極を2個以上含む衣料であり、
    2個の前記シート状電極が、前記前身頃の袖ぐりの最下点から裾ラインを結ぶ直線に対して、中央より上部に位置し、かつ前記前身頃を左右均等に分割する中央線と左右両端の脇線の中点に対して脇線側に位置する、請求項1~8のいずれか1項に記載の衣料。
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