JPWO2018012396A1 - 硬化性組成物、及び製品 - Google Patents

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Abstract

空気中で用いても酸素による重合阻害を大幅に抑制して適切な硬化反応を進行させることができると共に組成物の設計の自由度を確保できる有機重合体を含む硬化性組成物、及び製品を提供する。硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、(B1)光開始剤、及び(B2)熱開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを含有する。【化1】(一般式(1)中、R1は−H又は−CH3を示し、Xは連結基であり、連結基は置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、極性連結基〔(チオ)エーテル連結基、−O−CO−連結基、−O−CO−NH−連結基、−NR2−連結基(R2は水素基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、又は複数の環を有する基を示す。)〕、又は直接結合である。)

Description

本発明は、硬化性組成物、及び製品に関する。特に、本発明は、酸素による重合阻害を抑制する基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物、及び製品に関する。
従来、ポリイソプレンを骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー、及び水添テルペンフェノール系粘着付与剤を含有する光硬化型粘着剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1においては、特許文献1に係る光硬化型粘着剤組成物をPETフィルム上に塗布し、塗布面の上から両面剥離処理されたPETフィルムを被せ、これにUV光を照射して、粘着性を有する硬化物を得ている。特許文献1に係る光硬化型粘着剤組成物によれば、溶解調製時及び塗布時の作業性に優れ、粘着力、透明性に優れた硬化物を与える光硬化型粘着剤組成物を提供できる。
また、光ラジカル硬化においては、酸素による光硬化阻害が課題であり、薄膜の光硬化が特に困難である。すなわち、開始剤の光分解でラジカルが生成し、このラジカルがモノマー及びオリゴマー中の二重結合を攻撃する。酸素が存在しない場合、この反応が繰り返され、最終的にラジカル同士の結合で重合が終了する。しかしながら、酸素が存在すると生成したラジカルが酸素を捕捉し、ペルオキシラジカルが生成される。ペルオキシラジカルは安定であり二重結合とラジカル重合を起こさないので、ペルオキシラジカルの生成段階で反応が終了してしまう。特に、硬化性組成物の塗膜が薄いほど、酸素の硬化阻害の影響が増大する。
そこで、例えば、以下のような様々な対策が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。すなわち、(a)酸素を物理的に遮蔽する方法、(b)開始剤系を選択する方法、(c)モノマーを選択する方法、(d)チオール/エン光硬化を利用する方法である。(a)の方法は窒素雰囲気下、炭酸ガス雰囲気下等で光硬化させる方法である。(b)の方法は、開始剤濃度を高くする方法であり、この方法では、開始剤の濃度を高くして開始ラジカルの濃度を上げることにより、酸素と反応しないラジカルも増加することを利用している。特に、ペルオキシラジカルが生成した場合に備え、このラジカルが水素引き抜きしやすいアミンを併用することで重合阻害を抑制する方法や、開始剤中にアミノ基を含む化合物を用いる方法が提案されている。
(c)の方法としては、多官能モノマーを用いる方法(多官能モノマーは酸素の重合阻害を抑制する)、水酸基を有するモノマーを用いる方法、N−ビニルアミドモノマーを用いる方法(N−ビニルアミドモノマーは酸素の重合阻害を抑制する)、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のスペーサーを利用する方法、添加剤(リン系第二次酸化劣化防止剤)を活用する方法が提案されている。水酸基を有するモノマーを用いる方法は、水酸基のα炭素に結合している水素原子が引き抜かれやすいことから仮にペルオキシラジカルが生成しても更に水素原子を与えて新たな炭素ラジカルを生成しやすいこと、又はモノマー中で水酸基やカルボキシル基を有するモノマーが分子間で水素結合していることを利用して硬化阻害を抑制している。
(d)の方法は、チオールを共存させる方法である。この方法は、S−H結合エネルギーが小さいチオールをペルオキシラジカルと反応させ、チイルラジカルを生成させることで酸素の重合阻害を抑制する方法である。
しかし、特許文献1に記載されている光硬化型粘着剤組成物においては、光照射する場合にPETフィルム等で光硬化型粘着剤組成物を外気から遮断することを要するので、光硬化型粘着剤組成物を塗布できる対象が限られるだけでなく、粘着性を有する硬化物を得るために手間がかかる。
また、非特許文献1に記載されている「(a)酸素を物理的に遮蔽する方法」では、空気中で硬化性組成物を扱うことができず、「(b)開始剤系を選択する方法」では、開始剤の添加量やアミンの添加量に限界があるだけでなく、低分子化合物に新たな活性点が発生して重合が適切に進行しない問題が生じる。また、「(c)モノマーを選択する方法」においては、多官能モノマーを用いる場合、多数の架橋点が多官能モノマーに含まれていることから、硬化性組成物の硬化物が硬く、脆くなる問題がある。そして、水酸基を有するモノマーを用いる場合、酸素による重合阻害をある程度抑制するものの、その効果は不十分である。更に、N−ビニルアミドモノマーを用いる場合、この化合物の極性が高いことから他の配合物質との相溶性が悪く、硬化して得られる硬化物も硬いという問題があり、スペーサーを用いる方法は、重合阻害を抑制する効果が小さいという問題がある。また、リン系第二次酸化劣化防止剤を用いる方法は、この防止剤を添加した後、24時間程度しか効果が持続しないという問題がある。そして、「(d)チオール/エン光硬化を利用する方法」においては、メルカプト基の存在により貯蔵安定性が悪いという問題がある。更に、多官能のビニル化合物と多官能のチオールとを組み合わせて光硬化するので、硬化性組成物の硬化物が硬く、脆くなる問題がある。更に、酸素による重合阻害を大幅に抑制し、未硬化物を実質的になくす場合の効果は、固体の有機重合体では判断できないが(つまり、固体の有機重合体はそもそも液状部分が存在しないことから、表面硬化性試験を実施しても、指等の表面に液状物が付着しないので判断できないのである。)、液状の有機重合体の場合は、表面が未硬化になる問題がある。
特開2014−31500号公報
「光応用技術・材料事典」、光応用技術・材料事典 編集委員会 編集委員長 山岡 亞夫、2006年、539−544
したがって、本発明の目的は、空気中で用いても酸素による重合阻害を大幅に抑制して適切な硬化反応を進行させることができると共に組成物の設計の自由度を確保できる有機重合体を含む硬化性組成物、及び製品を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、(A)下記一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、(B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び(B3)レドックス開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを含有する硬化性組成物が提供される。
一般式(1)中、Rは−H又は−CHを示し、Xは連結基であり、連結基は置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、極性連結基〔(チオ)エーテル連結基、−O−CO−連結基、−O−CO−NH−連結基、−NR−連結基(Rは水素基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、又は複数の環を有する基を示す。)〕、又は直接結合である。なお、この硬化性組成物は、所定の官能基を有する重合体に所定の官能基に対して反応性を有する官能基、及び(メタ)アクリレート基を有する化合物を反応させて得られる(A)上記一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、(B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び(B3)レドックス開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを混合して硬化性組成物を得る硬化性組成物の製造方法により製造できる。
また、上記硬化性組成物は、(C)単官能(メタ)アクリル系モノマーを更に含有することもできる。
また、上記硬化性組成物において、(C)単官能(メタ)アクリル系モノマーが、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート、−C2pOH基を有する(メタ)アクリレート(ただし、pは2〜6の整数)、及び脂環式(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの単官能(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。
また、上記硬化性組成物において、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリエステル重合体、ポリカーボネート系重合体、グラフト重合体、炭化水素系重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、及びジアリルフタレート系重合体からなる群から選択される少なくとも1つの有機重合体を含むこともできる。
また、上記硬化性組成物において、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体を含むこともできる。
また、上記硬化性組成物において、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むこともできる。
また、上記硬化性組成物において、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、テレケリックタイプの有機重合体、分子末端及び官能基共重合タイプの有機重合体、及び末端官能基タイプの有機重合体からなる群から選択される1つの有機重合体であることが好ましい。
また、上記硬化性組成物において、分子末端及び官能基共重合タイプの有機重合体、又は末端官能基タイプの有機重合体が、メタロセン触媒の存在下、重合性モノマーを重合させてなる重合体であってもよい。
また、上記硬化性組成物において、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリエステル重合体を含むこともできる。
また、上記硬化性組成物において、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリカーボネート系重合体を含むこともできる。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記に記載の硬化性組成物の硬化物が提供される。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記に記載の硬化性組成物の硬化物を構成要素として有する製品が提供される。
本発明に係る硬化性組成物、及び製品によれば、空気中で用いても酸素による重合阻害を大幅に抑制して適切な硬化反応を進行させることができると共に組成物の設計の自由度を確保できる有機重合体を含む硬化性組成物、及び製品を提供できる。
本発明に係る硬化性組成物は、(A)酸素による重合阻害を抑制する基を有する有機重合体と、(B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び/又は(B3)レドックス開始剤とを含有する。また、硬化性組成物は、(C)単官能(メタ)アクリル系モノマーを含有することもできる。
従来の単官能(メタ)アクリレート重合体を硬化性組成物の構成成分として用いようとしても、硬化性組成物が露出して空気に触れる用途、例えば、コーティング用途、接着用途における被着体への塗布、成形用途等においては酸素による重合阻害の影響が大きく出てしまい、硬化反応が適切に進行しない。また、従来の単官能(メタ)アクリレート重合体を用いて柔軟性を有する硬化物を得たい場合、一般的にはラウリルアクリレート等が用いられるが、ラジカル重合においては酸素による重合阻害が発生し、表面硬化性が不十分となる。
また、従来の硬化性組成物には従来の単官能(メタ)アクリレート重合体と共に多官能モノマー等を更に添加すれば酸素阻害をある程度抑制することはできるが硬化物が硬くなってしまい、屈曲面に塗布する用途や塗布厚を厚くすることが要求される用途に用いることはできない。
そこで本発明者は、かかる点を解消すべく様々な重合体を検討したところ、特定の構造の基を有する有機重合体を硬化性組成物に含有させることにより上記の各種問題点を解消できると共に、酸素による重合阻害を抑制できることを見出した。
<(A)成分:有機重合体>
具体的に、本発明に係る硬化性組成物は、(A)下記一般式(1)で表される基を有する有機重合体(以下、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基を含有する有機重合体と記述する。)と、(B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び(B3)レドックス開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを含有する。(A)成分である有機重合体は、常温で液状である。また、硬化性組成物は、(C)単官能(メタ)アクリル系モノマーを更に含有してもよい。
一般式(1)中、Rは−H又は−CHを示し、Xは連結基である。連結基としては、置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、極性を有する基である極性連結基〔(チオ)エーテル連結基、−O−CO−連結基、−O−CO−NH−連結基、−NR−連結基(Rは水素基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、又は複数の環を有する基を示す。)〕が挙げられ、連結基は直接結合であってもよい。ここで、連結基としては、酸素による重合阻害を抑制する観点から、極性連結基が好ましく、−NR−連結基、−O−CO−NH−連結基がより好ましく、−O−CO−NH−連結基が更に好ましい。
なお、(チオ)エーテル連結基とは、エーテル連結基[−O−]及び/又はチオエーテル連結基[−S−]を表す。また、「−O−CO−連結基」を「エステル連結基」、「−O−CO−NH−連結基」を「ウレタン連結基」、「−NR−連結基」を「アミン連結基」と称する。更に、一般式(1)のXにおいて、直接結合とは、有機重合体のポリマー鎖が連結基を介することなく一般式(1)の炭素原子に直接に結合することを意味する。
[酸素による重合阻害を抑制するメカニズム]
以下の式は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体による重合阻害抑制メカニズムを説明する概要図である。なお、図中の「・」は、ラジカルを示す。また、図中の「(1)」は水素引抜反応を示し、「(2)」は重合開始反応を示し、「(3)」は酸素の捕捉(消費)反応を示す。更に、Rは前記に同じであり、X以降にポリマー鎖が結合している。
酸素による重合阻害を抑制するメカニズムとしては、以下のメカニズムが推測される。すなわち、酸素による重合阻害は、重合開始剤から生成する開始ラジカルやモノマーの重合過程で生成する重合末端ラジカルが酸素にトラップされて生成するペルオキシラジカルの重合能力が低く、重合反応が停止することによって起こる。ここで、系に連鎖移動剤としての機能を有する一般式(1)で表される基を有する有機重合体が存在する場合、水素引き抜き能を有するペルオキシラジカルが一般式(1)で表される基から水素を引き抜く((1)の反応)ことで、新たに生成する2級水酸基のα炭素ラジカルが重合を開始する((2)の反応)と考えられる。また、生成した2級水酸基のα炭素ラジカルは酸素を補足することもできるため、系内の酸素濃度を低減させる効果((3)の反応)も考えられる。これらのメカニズムにより、酸素による重合阻害が抑制されると推測される。更に、1つの一般式(1)で表される基を有する有機重合体が重合に関与しない場合であっても、α炭素の存在により重合反応の機会が増加するので、重合反応が進みやすくなる。
また、炭素ラジカルは、1級水酸基のα炭素<2級水酸基のα炭素<極性基が結合した2級水酸基のα炭素の順に生成しやすくなる。一般式(1)に極性連結基が存在する場合、2級水酸基のα炭素ラジカルが発生しやすくなっているので、極性連結基を有する一般式(1)で表される基は、酸素による重合阻害の抑制においてより好ましい構造を有している。
また、本発明に係る(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体は水酸基を有する。水酸基を有する化合物は分子間で水素結合(すなわち、水酸基同士での水素結合、若しくはカルボニル基と水酸基との間で水素結合)する。したがって、水酸基の存在により、会合による局所的な二重結合が増大するので、重合反応が進みやすくなる。
[有機重合体の主鎖骨格]
一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格の重合体としては、一般式(1)で表される基を有する有機重合体であれば特に制限はないが、主鎖がポリシロキサンでない有機重合体であり、ポリシロキサン(すなわち、シリコーン)を除く各種の主鎖骨格を有する有機重合体が、接点障害の要因になる低分子環状シロキサンを含有若しくは発生させない点で好ましい。
有機重合体の重量平均分子量は硬化性組成物の硬化物の良好な伸び特性を確保する観点からGPCにおけるポリスチレン換算において1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましい。硬化性組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から重量平均分子量は100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。
また、(A)有機重合体は50℃で液状であることが好ましい。すなわち、他の成分と配合する場合における取扱い易さを確保する観点からは、50℃で液状を示すことが好ましく、20℃で液状を示すことがより好ましく、0℃で液状を示すことが更に好ましい。
また、硬化性組成物の硬化物の柔軟性の維持・向上の観点からは、ガラス転移温度(Tg)は20℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。そして、(A)成分の有機重合体は、柔軟性の維持・向上の観点から、硬化後のA硬度が90未満であることが好ましく、85未満であることより好ましく、80未満であることが更に好ましい。本発明の説明において「柔軟性を有する」とは、A硬度が95未満であることをいうものとする。このA硬度は、23℃雰囲気下において、タイプAデュロメータの加圧面を硬化物に密着させてから30秒後に測定した、JIS K 7312(1996)の試験方法に準じて測定した値である。なお、(A)成分において、一般式(1)のXは、−O−Arl−(ただし、Arlはアリーレン基である。)ではないことが好ましい。
一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格の重合体の例としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、又はラクトン類の開環重合で得られるポリエステル重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;ポリオキシアルキレン系重合体等の主鎖骨格の重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体が挙げられる。これらの骨格は、一般式(1)で表される基を有する有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック若しくはランダムに含まれていてもよい。
これらの中で、炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化性組成物が耐寒性に優れることから好ましく、炭化水素系重合体の中でも飽和炭化水素系重合体が好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、柔軟性に優れることから特に好ましい。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
ポリオキシアルキレン系重合体は、一般式(2)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R−O− ・・・(2)
一般式(2)中、Rは炭素数が1〜14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基であり、炭素数が1〜14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましく、炭素数が2〜4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が更に好ましい。
一般式(2)で示されるポリオキシアルキレン系重合体の繰り返し単位は、硬化後の柔軟性の観点から−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCHCHCHO−が好ましく、−CHCH(CH)O−、−CHCHCHCHO−がより好ましく、−CHCH(CH)O−が最も好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位から構成されても、2種類以上の繰り返し単位から構成されてもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOH等のアルカリ触媒による重合法、例えば、複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる成分を挙げることができる。
(飽和炭化水素系重合体)
飽和炭化水素系重合体は、芳香環を除く他の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体である。その骨格を形成する重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭素数が2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物を単独重合させるか、あるいはジエン系化合物とオレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加する等の方法により得ることができる。イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体である場合、耐熱性、耐候性、耐久性、及び湿気遮断性に優れる特徴を有する。飽和炭化水素系重合体としては、例えば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。
イソブチレン系重合体は、単量体単位の全てがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよい。ゴム特性の面からは、イソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有する重合体が好ましく、80質量%以上含有する重合体がより好ましく、90〜99質量%含有する重合体が特に好ましい。
(ポリエステル重合体)
ポリエステル重合体は公知の種々の方法により得ることができるが、代表的な方法としては、以下に挙げるような多塩基酸とポリヒドロキシ化合物、若しくはε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトンモノマーの各々1種以上とを脱水又は脱アルコール反応若しくは付加反応させて得られる。例えば、琥珀酸、無水琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の炭素数4〜28の脂肪族ジカルボン酸、及びそれらのジメチルエステルのようなジカルボン酸の同効化合物、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環族ジカルボン酸;無水フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はその同効化合物;無水トリメリット酸等の多塩基酸及びその同効化合物を酸成分として挙げることができる。これらの中で、ポリエステル重合体が柔軟になることから、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖ジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、1、3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐ジオール;シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、スピログリコール類等の環状ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、又はエポキシ樹脂等をアルコール成分として挙げることができる。また、前記ポリヒドロキシ化合物の同効成分も用いることができる。
これらの中で、ポリエステル重合体が柔軟になることから、分岐ジオール、及び環状ジオールが好ましく、分岐ジオールがより好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を単独で重合したポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、又はエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の1種以上を共重合させて得られるポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
また、その他のポリオール及び同効成分として前記のポリヒドロキシ化合物を用いることができる。これらのポリオールは必要に応じて1種又は2種以上を同時に用いることができる。
そして、ポリエステル重合体は酸素硬化性の不飽和基を有しないポリエステル重合体が好ましく、飽和ポリエステル重合体がより好ましい。ポリエステル重合体が柔軟になることから、非芳香族ポリエステル重合体が好ましく、非芳香族飽和ポリエステル重合体がより好ましい。硬化性組成物の塗布作業性を確保する観点から、ポリエステル重合体は50℃で液状であることが好ましく、20℃で液状であることがより好ましく、0℃で液状であることが最も好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸の誘導体;フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共に、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
これらは、単独で用いても、複数を共重合させてもよい。更に、反応性官能基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中の反応性官能基の数を制御できる。接着性が良いことからメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体が特に好ましい。また、低粘度化、柔軟性の付与、粘着性の付与をする場合、アクリル酸エステルモノマーを適時用いることが好適である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端等の制御された位置に反応性を有する官能基を導入できる制御ラジカル重合法が挙げられる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いるフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなる。したがって、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられる。原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)等のリビングラジカル重合法を採用することが好ましい。なお、主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、その一部がテレケリックポリマーである重合体(以下、「疑似テレケリックポリマー」という。)を合成する反応として、反応性を有する官能基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性を有する官能基を有するチオール化合物、及びメタロセン化合物を用いた反応が挙げられる。これらの反応により得られる疑似テレケリックポリマーも、硬化性組成物の機能、及び奏する効果を阻害しない範囲で用いることができる。
なお、片末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る場合、特開2000−344823号公報記載の2−メルカプトエタノール等の水酸基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応を用いることができ、特開2000−128911号公報記載のチオグリセロール(3−メルカプト−1,2−プロパンジオール)等のチオール基と2級水酸基とを有する化合物を用いた反応を用いることもできる。
(ポリカーボネート系重合体)
ポリカーボネート系重合体としては、例えば、カーボネートとポリオールとの反応生成物が挙げられる。具体的にカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、並びにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。硬化性組成物が柔軟になることから、ジアルキルカーボネートが好ましい。
ポリオールとしては、前記のポリヒドロキシ化合物、及びポリエステルポリオールが挙げられる。なお、ポリエステルポリオールとしては前記のポリエステル重合体のポリエステルポリオール(ポリヒドロキシ化合物が末端に存在するポリエステルポリオール)を用いることができる。ポリカーボネートとしては、硬化性組成物が柔軟になることから、非芳香族ポリカーボネートが好ましい。
[架橋性ケイ素基を含有する重合体]
上記主鎖骨格の重合体に架橋性ケイ素基が含まれていてもよい。架橋性ケイ素基は、上記主鎖骨格の重合体中、及び/又は末端に含まれる。すなわち、(A)成分は、一般式(1)で表される基と架橋性ケイ素基との双方を含有することができる。この場合、接着性の向上、及び架橋点増加による耐熱性の向上が望める。また、光反応、熱反応、又はレドックス反応による一般式(1)で表される基の硬化に加え、更に湿気によって架橋性ケイ素基が硬化するため、硬化物の硬化度合いを更に高める事ができる。
架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(3)で示される基が好ましい。なお、架橋性ケイ素基とは、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。
式(3)中、Rは有機基を示す。Rは、炭素数が1〜20の炭化水素基が好ましい。これらの中でRは、特にメチル基が好ましい。Rは置換基を有していてもよい。Rが2個以上存在する場合、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。Wは水酸基、又は加水分解性基を示し、Wが2個以上存在する場合、複数のWは同一であっても、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3の整数のいずれかである。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るためには、式(3)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。硬化性組成物を光硬化性組成物として用いる場合、十分な柔軟性を有する光硬化性組成物を得る観点からは、aは2が好ましい。
加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。加水分解性基や水酸基が架橋性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
Wで示される加水分解性基としては、F原子以外であれば特に限定されないが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が好ましい。反応性が高い点からメトキシ基やエトキシ基が更に好ましい。架橋性ケイ素基の具体的な構造としては、反応性が高い点からトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基が更に好ましい。十分な柔軟性を有する硬化性組成物を得る観点からメチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が好ましい。
[有機重合体の合成方法]
(A)成分の有機重合体は、分子中にグリシジル基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、又はイソシアネート基等の官能基を有する重合体にグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の重合体の官能基に対して反応性を有する官能基、並びに(メタ)アクリレート基を有する化合物を反応させて得られる。例えば、下記一般式(I)で表される有機重合体は、グリシジル(メタ)アクリレート(Rは前記に同じ)にカルボキシル基を有する所定の重合体(−RCOOH、Rは置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、複素環構造含有連結基、複数の環を有する連結基、−(C2mO)β−(mは2〜4の整数、nは1〜30の整数、Rβは非置換若しくは置換のアルキレン基、非置換若しくは置換のアリーレン基である。)、又は直接結合を示す。「R−」以降がポリマー鎖である。直接結合とは、ポリマー鎖に直接に結合することを意味する。)を反応させることで合成できる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと所定のカルボキシル基含有重合体と必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で所定の溶媒中で混合し、所定の温度で所定時間反応させ、溶媒を除去することで一般式(I)で表される有機重合体が合成される。
また、下記一般式(II)で表される有機重合体は、グリシジル(メタ)アクリレートにアミノ基を有する所定の重合体(NHR−、Rは−H、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、−(C2mO)α(m、n、及びRαは前記に同じ)、又は複数の環を有する基を示す。RはRと同じ。「R−」以降がポリマー鎖である。)を反応させることで合成できる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと所定のアミノ基含有重合体と必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で混合し、所定の温度で所定時間反応させることで一般式(II)で表される有機重合体が合成される。
また、下記一般式(III)で表される有機重合体は、グリシドールにイソシアネート基を有する所定の重合体(O=C=N−R−、Rは前記に同じ。)を反応させて得られる中間反応物に、(メタ)アクリル酸を反応させることで合成できる。例えば、グリシドールとイソシアネート基を有する所定の重合体と必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で混合し、所定の温度で所定時間反応させることで中間反応物を合成する。そして、この合成で得られた中間反応物と所定の(メタ)アクリレートと必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で混合し、所定の温度で所定時間反応させることで一般式(III)で表される有機重合体が合成される。
なお、一般式(III)の化合物の合成反応中に、グリシジルメタクリレートのエポキシ基が開環して不飽和カルボン酸とエステル結合を生じて結合する。この開環はα位及びβ位のいずれでも起こるが、α位で開環したα付加体が主成分となり、β位で開環したβ付加体が副成分となる。通常、α付加体とβ付加体との生成割合は、モル比で100/0.01〜100/70であり、好ましくは100/0.1〜100/50である。一般式(III)の化合物の合成反応では、通常はα付加体である化合物を主成分とし、β付加体を副成分とした生成物が得られる。主成分であるα付加体を単離する場合、生成物を公知の分離方法によって分離することで単離できる。一般式(III)の化合物の合成反応においては、α付加体とβ付加体とを含む混合物を得ている。すなわち、一般式(III)の化合物の合成反応で得られる生成物は、上記合成法で得られる生成物にβ付加体の全部又は一部を残したものであり、α付加体を主成分とする。ここで、「主成分」は、生成物中に60モル%以上含む成分をいい、「副成分」は、40モル%以下含む成分をいう(以下同じ。)。
よって、一般式(III)の化合物の合成反応においては、α付加体が主成分となりβ付加体が副成分となるので、一般式(III)で表される有機重合体を、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基を主に含有するウレタンオリゴマーと称する。
また、下記一般式(IV)で表される有機重合体は、グリセリンモノ(メタ)アクリレートにイソシアネート基を有する所定の重合体(O=C=N−R−、Rは前記に同じ。)を反応させることで合成できる。例えば、所定のジヒドロキシアクリレート化合物とイソシアネート基を有する所定の重合体と必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で混合し、所定の温度で所定時間反応させることで一般式(IV)で表される有機重合体が合成される。ここで、一般式(IV)の化合物の合成反応においては、α付加体のみとなるので、一般式(IV)で表される有機重合体を、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基を含有するウレタンオリゴマーと称する。
更に、下記一般式(V)で表される有機重合体は、所定の(メタ)アクリレートとグリシジル基を有する所定の重合体(Rは前記Xに同じ。)とを反応させることで合成できる。例えば、(メタ)アクリレート化合物とグリシジル基を有する所定の重合体と必要に応じて所定の触媒とを所定の割合で混合し、所定の温度で所定時間反応させることで一般式(V)で表される有機重合体が合成される。
官能基を有する所定の重合体が入手し易い観点から、グリセリンモノ(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する重合体との反応による有機重合体、(メタ)アクリレートとグリシジル基を有する重合体との反応による有機重合体、及びグリシジル(メタ)アクリレートとカルボキシル基含有重合体との反応による有機重合体が好ましく、グリセリンモノ(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する重合体との反応による有機重合体、及び(メタ)アクリレートとグリシジル基を有する重合体との反応による有機重合体がより好ましく、合成反応がし易い観点から、グリセリンモノ(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する重合体との反応による有機重合体が最も好ましい。
(有機重合体中の官能基数について)
そして、有機重合体は、分子間架橋を増加させる観点から1分子中に平均して0.5個以上の官能基を有することが好ましく、0.7個以上の官能基を有することがより好ましく、0.9個以上の官能基を有することが更に好ましく、1.0個以上の官能基を有することが最も好ましい。また、有機重合体は、硬化後の柔軟性を増加させる観点から1分子中に平均して10個以下の官能基を有することが好ましく、5.0個以下の官能基を有することがより好ましく、2.5個以下の官能基を有することが更に好ましく、2.0個以下の官能基を有することが最も好ましい。
(グリシジル基とカルボキシル基との反応触媒)
カルボキシル基とエポキシ基との付加反応の触媒としては、3級アミン、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物、カルボン酸の金属塩(例えばオクタン酸クロム、ステアリン酸ナトリウム等)、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。これらの中でも、樹脂の着色が少ない点から、トリフェニルホスフィンを用いることが好ましく、反応収率が良い点から、カルボン酸の金属塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物がより好ましく、アルカリ金属の水酸化物が更に好ましい。付加反応の触媒は、エポキシ基1当量に対し、0.01当量以上0.1当量以下が好ましく、0.02当量以上0.08当量以下がより好ましい。
本発明において、合成時のラジカル重合を抑制する観点から、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のアルキルフェノール類が挙げられる。また、アミン系の重合禁止剤も用いることができる。アミン系の重合禁止剤としては、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
(イソシアネート基を有する所定の重合体)
また、一般式(III)及び一般式(IV)において用いられるイソシアネート基を有する所定の重合体(O=C=N−R−、Rは前記に同じ。)としては、例えば、「一般式(1)で表される基を有する有機重合体」からなる群から選択される所定の主鎖骨格を有する反応基含有重合体(水酸基、カルボキシ基、及び/又は活性水素含有アミノ基含有有機重合体)と、過剰のポリイソシアネートとを反応させることにより形成されるイソシアネート官能性ウレタンを用いることができる。
所定の主鎖骨格を有する反応基含有重合体の反応基の位置が末端の場合は(すなわち、主鎖骨格中に存在しない場合は)、反応基数は硬化後の柔軟性の観点から2個が好ましく、特に柔軟性が要求されない場合は1個が好ましい。1個の反応基を含有する重合体と多数の反応基を含有する重合体とを併用することにより、硬化後の硬さを自由に設計できる。1個の反応基を含有する重合体及び2個の反応基を含有する重合体を併用することがより好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの脂肪族イソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、又は、これらのアダクトタイプ、イソシアヌレートタイプ、ビュレットタイプ等の多量体が挙げられる。ポリイソシアネートの官能基数は硬化後の柔軟性より2個が好ましい。
これらの有機重合体は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種以上をブレンドした有機重合体も用いることができる。
また、硬化性組成物の硬化物の柔軟性確保の観点から、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、非芳香族ポリエステル系重合体、非芳香族ポリカーボネート重合体が好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体がより好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体が更に好ましい。
[主鎖骨格重合体に官能基を導入した構造を有する有機重合体]
(A)成分は、分子中にグリシジル基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、又はイソシアネート基等の官能基を主鎖骨格重合体に導入した構造を有する有機重合体にグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の重合体の官能基に対して反応性を有する官能基、並びに(メタ)アクリレート基を有する化合物を反応させることで合成できる。主鎖骨格重合体に官能基を導入した構造を有する有機重合体としては、ランダムに官能基を導入した「官能基共重合タイプ」(下記式(a)に示す。)の有機重合体、片末端に官能基を導入した「片末端官能基タイプ」(下記式(b))の有機重合体、片末端及び主鎖中に官能基を導入した「分子末端及び官能基共重合タイプ」(下記式(c))の有機重合体、片末端官能基タイプを多官能モノマーで連結した「末端官能基タイプの多量体化タイプ」(下記式(d))の有機重合体、及び主鎖末端に官能基を導入した「テレケリックタイプ」(下記式(e))の有機重合体が存在する。なお、式(a)〜式(e)は各重合体の構造の概念的な式であり、式(a)〜式(e)中、Xは官能基(例えば、カルボン酸基、アミノ基、エポキシ基、水酸基等)であり、Xが複数存在する場合は同一でも互いに異なっていてもよい。また、式(a)〜式(e)中のnは正の実数、mは0又は正の実数である。主鎖骨格重合体に導入する官能基の位置を制御することで、硬化性組成物の特性を調整することができる。
式(a)において、平均官能基数はnである。そして、式(a)で表される有機重合体は、硬化後の柔軟性を増加させる観点から1分子中の平均官能基数が10個以下であることが好ましく、5.0個以下の平均官能基数であることがより好ましく、2.5個以下の平均官能基数であることが更に好ましく、1.1個以下の平均官能基数であることが最も好ましい。また、式(a)で表される有機重合体は、分子間架橋を増加させる観点から1分子中の平均官能基数が0.5個以上であることが好ましく、0.7個以上の平均官能基数であることがより好ましく、0.9個以上の平均官能基数であることが更に好ましく、1.0個以上の平均官能基数であることが最も好ましい。
なお、式(b)において、官能基数は1である。
式(c)及び式(d)においてはいずれも、平均官能基数はn+1である。また、式(e)において平均官能基数はm+n+1である。そして、式(c)、式(d)、及び式(e)で表される有機重合体はいずれも、硬化後の柔軟性を増加させる観点から1分子中の平均官能基数が10個以下であることが好ましく、5.0個以下の平均官能基数であることがより好ましく、2.5個以下の平均官能基数であることが更に好ましく、2.0個以下の平均官能基数であることが最も好ましい。また、式(c)、式(d)、及び式(e)で表される有機重合体はいずれも、分子間架橋を増加させる観点から1分子中の平均官能基数が1.1個以上であることが好ましく、1.3個以上の平均官能基数であることがより好ましく、1.5個以上の平均官能基数であることが更に好ましく、1.8個以上の平均官能基数であることが最も好ましい。
そして、式(a)、式(c)、式(d)、及び式(e)で表される有機重合体はいずれも、(メタ)アクリル当量((メタ)アクリル基1個当たりの数平均分子量)は硬化性組成物の硬化物の良好な伸び特性を確保する観点から1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましい。また、硬化性組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から(メタ)アクリル当量は、100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。
また、式(b)で表される有機重合体の(メタ)アクリル当量は、硬化性組成物の硬化物の良好な伸び特性を確保する観点から500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。更に、硬化性組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から(メタ)アクリル当量は、100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。
[(a)共重合(b)片末端(c)分子末端及び共重合タイプ]
式(a)で表される「官能基共重合タイプ」の重合体は、官能基を有するモノマーを共重合させることで比較的容易に合成できる。また、一分子中の官能基数を増加させる観点から「官能基共重合タイプ」の重合体は有効である。なお、「官能基共重合タイプ」の重合体は、官能基間の距離が短く、硬脆い性質を有する場合がある。また、式(b)で表される「片末端官能基タイプ」の重合体は、分子末端に官能基を導入しており、硬化後の柔軟性を要する場合に有効な重合体である。また、相溶化成分としても有用である。また、式(c)で表される「分子末端及び官能基共重合タイプ」の重合体(式(c)で表される重合体は、例えば、主鎖中にアクリル酸由来の官能基を含み、片末端に官能基を有する片末端疑似テレケリック重合体である。)は、片末端官能基タイプ(式(b))と官能基共重合タイプ(式(a))との長所を兼ね備える重合体である。また、「分子末端及び官能基共重合タイプ」の重合体は、分子末端の官能基と主鎖中の官能基とを異ならせた異種官能基の組合わせも可能であり、更に高機能化の追求もできる。
[(d)末端官能基タイプの多量体化タイプ]
更に式(d)で表される「末端官能基タイプの多量体化タイプ」の重合体(式(d)で表される重合体は、例えば、片末端官能基タイプの重合体を多官能モノマーで連結した疑似テレケリック重合体である。)は、反応性の高い末端官能基を複数有する分子構造と、多分岐化した分子構造とにより、架橋成分・相溶化成分、熱硬化樹脂成分として有用である。
[(e)テレケリックタイプ]
(メタ)アクリル酸エステル系重合体を例に挙げて説明すると、「テレケリックタイプ」の重合体(式(e))は、例えば、特開2000−44626号公報、特表2013−523929号公報記載の特定の官能基を主鎖末端に導入するリビングラジカル重合法によって合成できる。リビングラジカル重合法を用いると、重合中若しくは重合終了後に、官能基を有する重合性の低いオレフィン化合物を添加することにより、末端に官能基を有するテレケリックタイプの重合体を製造できる。例えば、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基等を導入することができる。
そして、原子移動ラジカル重合法においては、有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。重合を開始する化合物以外に官能基を有する有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることで、末端に官能基が導入された重合体を容易に合成できる。このような官能基としては、水酸基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
また、例えば、特開昭62−232408号公報記載の特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法、又は特開2000−344823号公報記載の特定の官能基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応法により片末端に特定の官能基を導入することができる。一例として、アクリル系モノマー及び官能基含有メルカプタン系連鎖移動剤それぞれの一部乃至全量を重合系に連続供給し、かつ、アクリル系モノマーに対して所定量の重合開始剤を用いてアクリル系モノマーをラジカル重合させることで、片末端に官能基を有するアクリル系重合体を合成できる。なお、重合開始剤の所定量は、片末端に官能基を有するアクリル系ポリマーの選択率を考慮して決定される。そして、特定の官能基を片末端に導入した上で特定の官能基を有するモノマーにより主鎖中に官能基を導入することで「分子末端及び官能基共重合タイプ」を合成できる。更に、片末端に特定の官能基を導入した重合体を多官能モノマーで連結することで「末端官能基タイプの多量体化タイプ」の重合体を合成できる。
例えば、特開2000−344823号公報の実施例1に記載の、金属触媒としてルテノセン(メタロセン触媒)、β‐メルカプトプロピオン酸(重合開始剤)を用いて、エチルアクリレート(重合性モノマー)を重合してプロピオン酸末端の重合体を合成する方法に、更に、重合性モノマーとしてアクリル酸等のカルボキシ基含有モノマーを反応させる方法により、分子末端(カルボキシ基)及び官能基(カルボキシ基)共重合タイプが合成される。また、例えば、特開2000−344823号公報に記載の実施例1に記載の合成方法に、更に、多官能モノマーを反応させる方法により、末端官能基(カルボキシ基)タイプの多量体化(疑似テレケリックタイプ)が合成される。なお、β‐メルカプトプロピオン酸を、特開2000−344823号公報に記載の実施例3に記載されている2−メルカプトエタノールに代え、更に、重合性モノマーとし水酸基含有モノマーを反応させる方法により、分子末端(水酸基)及び官能基(水酸基)共重合タイプが合成される。また、多官能モノマーを反応させる方法により、末端官能基(水酸基)タイプの多量体化(疑似テレケリックタイプ)が合成される。また、例えば、特開昭62−232408号公報に記載の特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法を用いても理論上は同様の分子末端及び官能基共重合タイプ、及び末端官能基タイプの多量体化が合成できるが、末端基の発生確率等が高い(柔軟な重合体になる。)ことより、メタロセン触媒を用いる重合体が好ましい。
なお、主鎖骨格重合体に官能基をランダム重合で導入した構造は官能基間の距離が短くなることから、柔軟な有機重合体が得られにくい。また、官能基が導入されない分子も生じるので、ラジカル重合しない成分が含有される。したがって、柔軟性を有する有機重合体を得る観点から、主鎖骨格重合体に官能基を導入した構造としては、「片末端官能基タイプ」、「テレケリックタイプ」、「分子末端及び官能基共重合タイプ」、「末端官能基タイプの多量体化(疑似テレケリックタイプ)」が好ましく、「片末端官能基タイプ」、「テレケリックタイプ」が更に好ましく、「テレケリックタイプ」が最も好ましい。
本発明において、重合開始剤として、(B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び/又は(B3)レドックス開始剤が用いられる。
<(B1)成分:光開始剤>
(B1)光開始剤としては、光ラジカル発生剤や、光塩基発生剤、光酸発生剤等を用いることができる。光ラジカル発生剤は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させる化合物である。本発明の硬化性組成物において、重合開始剤として(B1)光開始剤を用いる場合、熱に弱い部材に対しても好適に用いることができるため、様々な用途に用いることができる。
(光ラジカル発生剤)
光ラジカル発生剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルケタール系、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアセトフェノン系、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のα−アミノアセトフェノン系、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系、1.2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル系、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン系、ベンゾインエーテル系、トリアジン系、ボレート系、カルバゾール系、イミダゾール系等、及びそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。
これらのなかでもベンジルケタール系、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、及びチタノセン系の光重合開始剤は感度が高く、添加量が少なくて良いため好ましく、α−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、及びチタノセン系の光重合開始剤は長波長紫外線(i線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)等)に対する感度が高いためLED光源を用いることができることから更に好ましく、α−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、及びオキシムエステル系の光重合開始剤は可視光に対する感度が低いため取り扱いやすく最も好ましい。
(光塩基発生剤)
光塩基発生剤としては、様々な光塩基発生剤を用いることができる。活性エネルギー線の作用によりアミン化合物を発生する光潜在性アミン化合物が好ましい。光潜在性アミン化合物としては、活性エネルギー線の作用により第1級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第1級アミン、活性エネルギー線の作用により第2級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第2級アミン、及び活性エネルギー線の作用により第3級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第3級アミンのいずれも用いることができる。発生塩基が高い触媒活性を示す点からは、光潜在性第3級アミンがより好ましい。
光潜在性第1級アミン及び光潜在性第2級アミンとしては、例えば、WO2015/088021号公報記載のオルトニトロベンジルウレタン系化合物;ジメトキシベンジルウレタン系化合物;カルバミン酸ベンゾイン類;o−アシルオキシム類;o−カルバモイルオキシム類;N−ヒドロキシイミドカルバマート類;ホルムアニリド誘導体;芳香族スルホンアミド類;コバルトアミン錯体等が挙げられる。
光潜在性第3級アミンとしては、例えば、WO2015−088021号公報記載のα−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体、ベンジルアミン誘導体、ベンジルアンモニウム塩誘導体、α−アミノアルケン誘導体、α−アンモニウムアルケン誘導体、アミンイミド類、光によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体、及びカルボン酸と3級アミンとの塩等が挙げられる。光塩基発生剤の中でも、発生塩基が高い触媒活性を示す点から光潜在性第3級アミンが好ましく、塩基の発生効率が高いこと及び光硬化組成物としての貯蔵安定性が良いこと等から、ベンジルアンモニウム塩誘導体、ベンジル置換アミン誘導体、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体が好ましい。
光開始剤を用いる場合、一種単独で用いてもよく、二種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。光開始剤は、その添加量は特に制限はないが、添加量が少ないと硬化が深部まで進行せず、硬化不良が生じる場合があるので、「(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート」(ただし、A成分を除く他の(メタ)アクリレートは、A成分を除く他の(メタ)アクリレートのモノマー、オリゴマー、マクロマー、及び/又は(C)成分を含むものとする。以下同じ。)100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、1重量部以上が更に好ましい。また、開始剤が多いと開始剤が残存し、硬化物性に悪影響が生じる場合があるので、添加量は「(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート」100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が更に好ましい。
<(B2)成分:熱開始剤>
本発明に用いる(B2)熱開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸t−ブチル、クメンハイドロパーオキサイト等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
熱開始剤(熱重合開始剤)を用いる場合は、一種単独で用いてもよく、二種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。その添加量は特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から、(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下であり、更に好ましくは1重量部以下である。また、硬化性の観点から、(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.025重量部以上であり、更に好ましくは0.05重量部以上である。
本発明において、(B1)光開始剤と(B2)熱開始剤とを併用することで、光硬化と熱硬化とを両立することもできる。
<(B3)成分:レドックス開始剤>
本発明に用いるレドックス開始剤としては、限定されないが、過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ尿素化合物等)との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンとの組み合わせ(例えば、過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンとの組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類との組み合わせ等);有機過酸化物と遷移金属との組み合わせ等が挙げられる。
好ましいレドックス開始剤としては、有機過酸化物と第3級アミンとの組み合わせ、有機過酸化物と遷移金属との組み合わせが挙げられ、より好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類との組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとコバルトナフテートとの組み合わせ、クメンヒドロパーオキサイドと3価又は4価のバナジウム化合物等との組み合わせが挙げられる。レドックス開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
レドックス開始剤を用いる場合、その添加量は特に制限はないが、貯蔵安定性の観点から、(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下であり、更に好ましくは2重量部以下である。また、硬化性の観点から、(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.025重量部以上であり、更に好ましくは0.05重量部以上である。また、α−ヒドロキシカルボニル化合物等の硬化促進剤を配合することもできる。
本発明において、(B1)光開始剤と(B3)レドックス開始剤とを併用することで、光硬化とレドックス硬化とを両立することもできる。
<(C)成分:単官能(メタ)アクリレート>
単官能(メタ)アクリレートとしては、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート(下記一般式(4)。以後、一般式(4)の(メタ)アクリレートと記述する。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。)、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマー(以下、本説明において「単官能(メタ)アクリレートモノマー」と称する。)、又は3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基を含有する有機重合体以外の(メタ)アクリレート基を1つ有する重合体(以下、本説明において「単官能(メタ)アクリレート重合体」と称する。)が挙げられる。
(3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート)
一般式(4)中、Rは−H又は−CHを示し、Yは極性基を示す。極性基としては、フェノキシ誘導体基(−O−Ph−R 〔Phはフェニル基の骨格〕。以下「一般式(5)」と表す。)と、エステル基(−O−CO−R10。以下「一般式(6)」と表す。)と、(チオ)エーテル基(−O−R11、及び/又は−S−R11。以下「一般式(7)」と表す。)と、アミン基(−NHpR12 2−p[pは0又は1である。以下「一般式(8)」と表す。])と、ウレタン基(−O−CO−NH−R13。以下「一般式(9)」と表す。)とが挙げられる。
ここで、一般式(5)中、PhにRは5個結合しており、複数のRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アセチル基、カルボニル基、置換又は非置換のアリル基、置換又は非置換のアルキル基(好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基)、置換又は非置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数が1〜5のアルコキシ基)、非置換若しくは置換アリール基、非置換若しくは置換アリールオキシ基、複素環構造含有基、複数の環を有する基やこれらの組合せ等が挙げられる。複数のRのいずれかが互いに結合し、環状構造を形成してもよい。複数のRからなる群から選択される少なくとも2つの基が互いに結合し、環状構造を形成する場合、複数のベンゼン環が縮合した構造、ベンゼン環と複素環や非芳香族性の環、カルボニル基等の官能基とが結合した環等が縮合した構造等を形成してもよい。これらの置換基の中では、置換又は非置換のアルキル基が好ましく、置換又は非置換の炭素数が1〜5のアルキル基がより好ましい。
また、一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)、一般式(9)中、R10、R11、R12、R13は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、複数の環を有する基、又は−(C2mO)14基を示す。また、一般式(8)中、R12が2つある場合、2つのR12は、互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環状構造、又は複素環構造を形成していてもよい。また、R、R10、R11、R12、及び/又はR13は、シリル基を有する基であってもよい。一般式(4)の(メタ)アクリレートがシリル基を有する場合、硬化性組成物を湿気硬化による後硬化させることができる(いわゆる、デュアル硬化型)。
ここで、−(C2mO)14基において、mは2〜4の整数、nは1〜30の整数、R14は−H、又は非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のフェニル基である。具体的に、Rとしては、−(C2mO)14基においてR14がHの水酸基を有する基;−(C2mO)14基においてR14が非置換若しくは置換のアルキル基のアルコキシ基を有する基;−(C2mO)14基においてR14が非置換若しくは置換のフェニル基のフェノキシ基を有する基が挙げられる。
また、置換若しくは非置換のアルキル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。なお、当該アルキル基は、二重結合を有する基を含むアルキル基(広義のアルキル基)を含むものとする。また、置換若しくは非置換のアリール基は、特に限定されないが、例えば、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。更に、置換若しくは非置換のアルキル基は、直鎖状、分岐状、若しくは環状であってよい。また、置換アルキル基及び置換アリール基における置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基、ケトン基、アルデヒド基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。そして、複素環構造含有基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜20の複素環構造含有基が好ましい。また、アルコキシ基としては、特に限定されないが、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜18のアルコキシ基がより好ましい。また、エステル基としては、炭素数2〜30のエステル基が好ましく、炭素数2〜18のエステル基がより好ましい。ケトン基としては、炭素数2〜30のケトン基が好ましく、炭素数2〜18のケトン基がより好ましい。
更に、R、R10、R11、R12、及び/又はR13は、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素基、カルボキシイミド基、又は架橋性ケイ素基を有する基であってもよい。硬化性組成物の硬化物の柔軟性が優れている点で、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素基、及び/又は−(C2mO)14基が好ましく、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素基、水酸基を有する基、アルコキシ基を有する基がより好ましく、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素基が最も好ましい。硬化性組成物を湿気硬化による硬化反応もするデュアル硬化機構によって硬化させる観点からは、架橋性ケイ素基を有する基が好ましい。
、R10、R11、R12、及び/又はR13の具体例は以下の通りである。まず、水酸基を有する基としては、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキサ(エチレンエーテル)基、ヒドロキシオクタ(プロピレンエーテル)基、2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピル基等が挙げられる。アルコキシ基を有する基としては、メトキシトリ(エチレンエーテル)基、エトキシジ(エチレンエーテル)基、ジシクロペンテニルオキシエチル基等が挙げられる。芳香族基としては、フェノキシエチル基、ノニルフェノキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる。炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート基としては、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ラウリル基、及びイソステアリル基等が挙げられ、入手の容易性の観点から炭素数が8〜18の長鎖炭化水素基が好ましい。脂環式基としては、シクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、イソボルニル基等が挙げられる。複素環基を有する基としては、テトラヒドロフルフリル基等が挙げられる。また、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリレート基としては、3−(トリメトキシシリル)プロピル基等が挙げられ、係る基を含有する硬化性組成物は湿気硬化反応し、デュアル硬化機構になる。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリレート基は、特にR12として有効である。
(単官能(メタ)アクリレートモノマー)
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。まず、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、入手の容易性の観点から炭素数が8〜18の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートが好ましい。
脂環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
芳香環を有する(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びo−フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
アルコキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;アルコキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等を挙げることができる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸のマイケル付加型多量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物等が挙げられる。
複素環基を有する(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられ、アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリレートとしては、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキセンオキサイド含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(単官能(メタ)アクリレート重合体)
また、単官能(メタ)アクリレート重合体を用いることができる。例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有するアクリル重合体を骨格とするアクリル系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート系重合体、ポリエステル(メタ)アクリレート系重合体、ポリエーテル(メタ)アクリレート系重合体、エポキシ(メタ)アクリレート系重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリレート基を1つ有する重合体の重量平均分子量は硬化性組成物の硬化物の良好な伸び特性を確保する観点からGPCにおけるポリスチレン換算において1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましい。硬化性組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から重量平均分子量は100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、硬化性粘物の柔軟性の維持・向上の観点から、10℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。また、他の成分と配合する場合における取扱い易さを確保する観点からは、50℃で液状を示すことが好ましく、20℃で液状を示すことがより好ましく、0℃で液状を示すことが更に好ましい。
空気中で用いても酸素による重合阻害を受けにくく、硬化性がよいことから、一般式(4)の(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレートが好ましく、一般式(4)の(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましく、一般式(4)の(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが更に好ましく、一般式(4)の(メタ)アクリレートが最も好ましい。
得られる硬化性組成物の安全性(防爆上の観点)を考慮する場合、硬化性組成物の引火点が高い方が望ましい。したがって、単官能(メタ)アクリレートの引火点は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。
硬化性組成物の硬化物の硬さを適正に保ち、十分な柔軟性を発揮させる観点から、単官能(メタ)アクリレートモノマーの配合割合は、一般式(4)の(メタ)アクリレートと、単官能(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が最も好ましい。一般式(4)の(メタ)アクリレートによる酸素阻害の抑制効果を発揮させ、十分な硬化性を発揮させる観点から、単官能(メタ)アクリレートモノマーの配合割合は80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下が最も好ましい。
また、一般式(1)で表される基を有する有機重合体による酸素阻害の抑制効果を発揮させ、十分な硬化性を発揮させる観点から、単官能(メタ)アクリレート重合体の配合割合は、一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、単官能(メタ)アクリレート重合体100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下が最も好ましい。
<その他の添加剤>
本発明に係る硬化性組成物には、必要に応じて、若しくは硬化方法に応じて、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレート重合体、アクリレート系モノマ
ーと共重合可能なビニル系モノマー、光増感剤、光重合促進剤、重合禁止剤、フィラー、粘着付与樹脂、シランカップリング剤、増量剤、希釈剤、可塑剤、水分吸収剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS)、溶剤、香料、顔料、染料、希釈剤等の各種添加剤を加えてもよい。
(多官能(メタ)アクリレートモノマー)
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等の2官能(メタ)アクリレートモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレートモノマー、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、又はペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
(多官能(メタ)アクリレート重合体)
また、(メタ)アクリレート基を複数有する重合体としては、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート重合体を用いることができる。
多官能(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量は硬化性組成物の硬化物の良好な伸び特性を確保する観点からGPCにおけるポリスチレン換算において1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましい。硬化性組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から重量平均分子量は100,000程度以下が好ましく、80,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、硬化性粘物の硬化物の柔軟性の維持・向上の観点から、10℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。また、他の成分と配合する場合における取扱い易さを確保する観点からは、50℃で液状を示すことが好ましく、20℃で液状を示すことがより好ましく、0℃で液状を示すことが更に好ましい。
多官能(メタ)アクリレート重合体としては、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本合成社製「UV−3700B」、「UV−6100B」)、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート(例えば、日本合成社製「UV−2000B」、「UV−3000B」、「UV−7000B」、根上工業社製「KHP−11」、「KHP−17」)、非芳香族ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、根上工業社製「アートレジンUN−9200A」)、アクリル系(メタ)アクリレート(例えば、カネカ社製「RC−100C」、「RC−200C」、「RC−300C」)、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製「TE−2000」、「TEA−1000」)、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートの水素添加物(例えば、日本曹達社製「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製「BAC−45」)、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(アクリレート系モノマーと共重合可能なビニル系モノマー)
アクリレート系モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−置換アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
(光増感剤)
光増感剤としては、225−310kJ/molの三重項エネルギーを有するカルボニル化合物が好ましく、例えば、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントンとその誘導体、9,10−ジブトキシアントラセン等のジアルコキシアントラセン誘導体、2−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノンとその誘導体、3−アシルクマリン、3,3′−カルボニルビスクマリン等のクマリン誘導体等が挙げられ、チオキサントンとその誘導体及びクマリン誘導体が好ましく、チオキサントンとその誘導体、ベンゾフェノンとその誘導体、及びクマリン誘導体がより好ましい。
光増感剤の配合割合は特に制限はないが、硬化性組成物中に0.01〜5質量%が好ましく、0.025〜2質量%がより好ましい。これら光増感剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(光重合促進剤)
光重合開始剤による硬化反応を促進させる目的で光重合促進剤を開始剤と併用することができる。光重合促進剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン類、トリフェニルホスフィンオキシド等のアリールホスフィンオキシド類、トリフェニルホスファイト等のアリールホスファイト類、トリフェニルホスフェート等のアリールホスフェート類等を含むホスフィン類(アリール基は置換を有することもできる。);β−チオグリコールで代表されるチオール類等を挙げることができる。好ましいホスフィン類は三官能性ホスフィン誘導体であり、トリアリールホスフィンがより好ましく、トリフェニルホスフィンが最も好ましい。
(重合禁止剤)
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等のラジカル捕捉剤、リン系第二次酸化劣化防止剤、ジエチルヒドロキシルアミン、硫黄、t−ブチルカテコール、三ヨウ化カリウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等が挙げられる。重合禁止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の含有量は、重合禁止剤の含有量が少なすぎると重合禁止効果が十分でない傾向があるので、(A)成分及び(A)成分を除く他の(メタ)アクリレート100重量部に対して0.001重量部以上が好ましく、より好ましくは0.005重量部以上、特に好ましくは0.01重量部以上である。また、重合禁止剤の含有量が多すぎると硬化性に劣る傾向があるので、2重量部以下が好ましく、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。
(フィラー)
フィラーとしては樹脂フィラー(樹脂微粉末)や無機フィラー、及び機能性フィラーを用いることができる。フィラーに、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン等で表面処理を施してもよい。樹脂フィラーとしては、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーを用いることができる。例えば、樹脂フィラーとして、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の有機質微粒子を用いることができる。なお、液晶表示装置の周辺部等の遮光性が要求される用途に用いる場合は、樹脂フィラーが黒色の樹脂フィラーを含むことが好ましい。単一波長のLEDランプ等を用いた場合においても良好な深部硬化性を得ることができ、優れた遮光性と深部硬化性とを達成できる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ素、含水ケイ素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
機能性フィラーとしては、例えば、特開2013−14734、特開2017−2267、特表2011−508012等に記載の導電性フィラー;特開2016−199668等に記載の断熱性や軽量性等に優れる中空粒子;特開2016−199669等に記載の遮音性、及び制振性等に優れるコアシェル粒子;特開2016−199670等に記載のガスバリア等に優れる層状ケイ酸塩;特開2016−199671等に記載の光反射性フィラー;特開2016−199750等に記載の電磁波遮蔽材等を用いることができる。
(希釈剤)
本発明の硬化性組成物は、希釈剤を含有することができる。ここでは、引火点(開放式)が50℃以上の溶剤を希釈剤とする。希釈剤を含有することにより、粘度等の物性を調整できる。希釈剤としては、様々な希釈剤を用いることができる。希釈剤としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤、リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等のα−オレフィン誘導体、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
得られる硬化性組成物の安全性を考慮する場合、硬化性組成物の引火点が高い方が望ましく、硬化性組成物からの揮発物質が少ない方が好ましい。したがって、希釈剤の引火点は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。しかし、一般的に引火点が高い希釈剤は硬化性組成物に対する希釈効果が低くなる傾向があるので、引火点が250℃以下である希釈剤を用いることが好ましい。なお、2種類以上の希釈剤を混合する場合、混合液の引火点が上記の引火点である。
本発明の硬化性組成物の安全性、希釈効果の双方を考慮する場合、希釈剤としては、飽和炭化水素系溶剤が好ましく、ノルマルパラフィン、イソパラフィンがより好ましい。ノルマルパラフィン、イソパラフィンの炭素数は10〜16であることが好ましい。
希釈剤の配合割合は、(A)有機重合体100質量部に対して、0〜50質量部の範囲で配合することが好ましく、0.1〜30質量部の範囲で配合することがより好ましく、0.1〜15質量部の範囲で配合することが更に好ましい。希釈剤は単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
本発明においては、硬化性組成物全体に対して液状媒体(揮発性溶剤、水)の含有量が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましく、液状媒体を実質的に含有しない組成(すなわち、実質的に無溶剤の組成)が最も好ましい。ここで液状媒体を「実質的に含有しない」とは、硬化性組成物が液状媒体を全く含有しないか、あるいはその含有量が硬化性組成物の0.1質量%以下であることをいう。ここでは、引火点が50℃以下の溶剤を揮発性溶剤とする。なお、例えば、液状媒体を含む形態の光硬化性組成物では、支持体に付与した組成物を乾燥させた後に活性エネルギー線を照射することが好ましい。
<硬化性組成物の製造方法>
硬化性組成物の製造方法は特に制限はなく、例えば、(A)成分、(B1)成分、及び/又は(B2)成分を所定量配合し、更に、必要に応じて(C)成分や他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造できる。各成分及び他の配合物質の配合順は特に制限はなく、適宜決定できる。また、硬化性組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできる。
<光硬化性組成物>
光硬化により硬化反応が進行する光硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物と、上記のような硬化開始剤としての(B1)光開始剤とを含有する。また、光硬化性組成物は、必要に応じ硬化促進剤を更に含有してもよい。光硬化性組成物は、酸素による重合阻害を大幅に抑制でき、適切な硬化反応を進行させることができることから、空気中において用いることができる。例えば、本発明の光硬化性組成物は、空気中において感圧接着剤、又は接着剤(光照射直後は粘着による仮固定ができることから感圧接着剤として機能し、その後に湿気硬化が進行して接着剤として機能する。)として用いることができる。
具体的に、光硬化性組成物からなる感圧接着剤、又は接着剤を第1の被着体に塗布し、光を直接照射することにより光硬化性組成物に粘着性を発現させた後、その状態で第2の被着体に第1の被着体を貼り合せ(仮固定)、続いて、光硬化性組成物を湿気硬化させることで第1の被着体と第2の被着体とが接着され、第1の被着体と第2の被着体とを備える製品を製造できる。
また、コーティング剤、ガスケットは通常は酸素による重合阻害を抑制するため、多官能のモノマー、多官能オリゴマー、又はアクリルアミド等を用いる。しかしながら、これらの材料は硬化物性が硬く、伸びが小さく、柔軟性が要求される用途に不向きである。しかし、本発明に係る光硬化性組成物は酸素による重合阻害を官能基が抑制する構造を有するので、従来の用途に加え、柔軟性を要する用途まで幅広く用いることができる。また、本発明の光硬化性組成物に接着性を付与することもできるので、光硬化性組成物を柔軟性を有するコーティング剤やガスケットとして構成することもできる。同様に、光硬化性組成物は柔軟性を有する塗料、コーティング剤、インク、ガスケット、パッキン類、Oリング、シーリング剤、ポッティング剤、注型材料、封止剤等として構成することもできる。
(光硬化性組成物が架橋性ケイ素基を含有する場合)
また、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体が架橋性ケイ素基を含有する化合物である場合、湿気硬化方法も併用できる。この場合、光硬化性組成物は、光塩基発生剤を硬化開始剤として含有することが好ましい。また、硬化促進剤としては、Si−F結合を有するケイ素化合物を添加することができる。光硬化性組成物が含有する(A)成分が架橋性ケイ素基を有することにより、光硬化性組成物が光硬化した後、空気中の水分により光硬化性組成物を後硬化させることができる。
Si−F結合を有するケイ素化合物としては、Si−F結合を有するケイ素基(以下、フルオロシリル基と称することがある)を含む様々な化合物を用いることができる。Si−F結合を有するケイ素化合物として無機化合物及び有機化合物のいずれも用いることができる。Si−F結合を有するケイ素化合物としてはフルオロシリル基を有する有機化合物が好ましく、フルオロシリル基を有する有機重合体が、安全性が高くより好適である。また、光硬化性組成物が低粘度となる点からフルオロシリル基を有する低分子有機ケイ素化合物が好ましい。
Si−F結合を有するケイ素化合物の例としては、WO2015−088021号公報に記載のフルオロシラン、WO2015−088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する化合物、及びWO2015−088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する有機重合体等が挙げられる。
<熱硬化性組成物>
熱により硬化反応が進行する熱硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物と、上記のような硬化開始剤としての(B2)熱開始剤とを含有する。また、熱硬化性組成物は、必要に応じ硬化促進剤を更に含有してもよい。また、酸素による重合阻害を大幅に抑制できる一般式(4)に示す(メタ)アクリレートを併用することにより作業性が良好な(粘度が低い)熱硬化性組成物が得られる。
熱硬化性組成物は、様々な用途に用いることができる。特に、本発明の熱硬化性組成物は、酸素による重合阻害を大幅に抑制でき、適切な硬化反応を進行させることができることから空気の存在下において好適に用いることができる。例えば、本発明の熱硬化性組成物は、空気中の酸素による影響を排除できないLIM成形に用いることが可能であり、かつ、従来の用途に加え、柔軟性を要する用途まで幅広く用いることができる。また、本発明の熱硬化性組成物に接着性を付与することもできるので、インサートLIM成形(LIMインサート加硫接着成形)に適する。
LIM成形用熱硬化性組成物に用いる開始剤としては、130〜160℃の間の任意の反応温度における半減期が0.5〜120秒、好ましくは1〜60秒であるラジカル開始剤が挙げられる。半減期が120秒を超える開始剤の場合、モノマー転化率の変動幅が大きくなり安定運転の確保が困難になる。また、半減期が0.5秒未満の開始剤の場合、開始剤の使用量が多すぎて製品ポリマーが着色する問題が生じる。本発明で用いる開始剤としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾヒス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物、及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ベチルパーオキシイソブチレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましい。なお、本発明において開始剤の半減期の値は、アゾ化合物については和光純薬(株)発行のテクニカルビュレタン、有機過酸化物については日本油脂(株)発行のカタログ(12版)の値を採用している。また、LIM成型工程の重合反応温度は、100〜180℃の範囲が好ましく、130〜160℃の範囲がより好ましく、140〜155℃の範囲が更に好ましい。
<レドックス硬化性組成物>
レドックス反応により硬化が進行するレドックス硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物と、上記のような硬化開始剤としての(B3)レドックス開始剤とを含有する。また、レドックス硬化性組成物は、必要に応じ、硬化促進剤を更に含有してもよい。レドックス硬化性組成物は、光硬化性組成物と同様の理由により、様々な用途に用いることができる。
(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体を含有するレドックス硬化性組成物は、空気中において二液混合型接着剤として用いることができる。例えば、過硫酸塩開始剤若しくは有機過酸化物と、(A)成分若しくは(C)成分等とを含有する第1液と、還元剤、第3級アミン、若しくは遷移金属と、(A)成分若しくは(C)成分等とを含有する第2液とを用いることで、二液混合型接着剤を構成できる。第1液と第2液とを混合することで反応が進行するので、一方の被着体と他方の被着体とを貼り合せる接着剤として機能する。なお、第1液又は第2液の少なくともいずれかに(A)成分が含有される。また、(B3)成分であるレドックス開始剤の項で説明したように、第1液に含有させる化合物と第2液に含有させる化合物との組み合わせは、過硫酸塩開始剤と還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンとの組み合わせ;有機過酸化物と遷移金属との組み合わせ等の組合わせを適宜採用することができる。
具体的には、例えば、特開2013−117011号公報に記載のように、第1液に、有機過酸化物、酸性リン酸エステル(保存安定性向上剤)、α−ヒドロキシカルボニル化合物(硬化促進剤)、ヒドラジン化合物(アルデヒド類の放散抑制剤)等を配合することができ、第2液に3価又は4価のバナジウム化合物、チオ尿素化合物、サッカリン等の還元剤、アルミニウム化合物(保存安定性向上剤)等を配合することができ、また、第1液及び/又は第2液に、2置換ハイドロキノン等の安定剤を配合することができる。なお、本発明のレドックス硬化性組成物をプライマー型とする場合は、揮発性溶剤に、バナジウム化合物やチオ尿素化合物等の還元剤を溶解させて用いることができる。
また、接着剤、コーティング剤、ガスケットは通常は酸素による重合阻害を抑制するため、多官能のモノマー、多官能オリゴマー、又はアクリルアミド等を用いる。しかしながら、これらの材料は硬化物性が硬く、伸びが小さく、柔軟性が要求される用途に不向きである。しかし、本発明に係るレドックス硬化性組成物は酸素による重合阻害を官能基が抑制する構造を有するので、従来の用途に加え、柔軟性を要する用途まで幅広く用いることができるので、レドックス硬化性組成物を柔軟性を有する接着剤、コーティング剤やガスケット、また、柔軟性を要する用途の感圧接着剤として構成することもできる。接着剤、感圧接着剤、コーティング剤、ガスケットは、特に現場施工用として有用である。同様に、レドックス硬化性組成物は柔軟性を有する塗料、コーティング剤、インク、ガスケット、パッキン類、Oリング、シーリング剤、ポッティング剤、注型材料、封止剤等として構成することもでき、現場施工用として有用である。なお、本発明のレドックス硬化性組成物は、二液硬化型のLIM成形に用いることもできる。
<硬化性組成物の硬化物を構成要素として有する製品>
本発明に係る硬化性組成物は、光硬化、熱硬化、及び/又はレドックス硬化により硬化する。この硬化により硬化性組成物の硬化物を得ることができる。したがって、硬化性組成物の硬化物を用い、電子回路、電子部品、建材、自動車等の様々な製品を製造できる。例えば、本発明に係る硬化性組成物を所定の被着体に塗布し、硬化させることで製品を製造できる。
本発明の硬化性組成物は、空気中で用いても酸素による重合阻害を大幅に抑制して適切な硬化反応を進行させることができると共に柔軟な硬化物になることから、現場施工用にも適する。すなわち、本発明の硬化性組成物を被着体に塗布し、その場で硬化させることや、本発明の硬化性組成物を所定の形状(例えばパッキンやガスケットに用いるリング状)に塗布し、硬化させることで、その場でリング状のパッキンやガスケット等を製造できる。ここで、本発明において「現場施工用」とは、製品を製造する現場において硬化性組成物をそのまま(空気中において)被着体同士の貼り合せや所定の形状を有する部材の作製に用いることを指す。例えば、「現場施工用」とは、硬化性組成物を一方の被着体にそのまま塗布し、その状態で(若しくはその現場で)他方の被着体に一方の被着体を貼り付ける用途、及び/又は硬化性組成物を所定の形状にして硬化させることで当該形状を有する製品を製造する用途等を指す。
具体的に、本発明の硬化性組成物は、感圧接着剤、接着剤、弾性接着剤、コンタクト接着剤、塗料、コーティング材、缶蓋等のシール材、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、マリンデッキコーキング、注型材料、各種成形材料、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振・制振・防音・免震材料、自動車部品、電機部品、各種機械部品等において用いられる液状シール剤、防水剤等、複層ガラス用シーリング剤、車両用シーリング剤等建築用及び工業用のシーリング剤、太陽電池裏面封止剤等の電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材等の電気絶縁材料等の様々な用途に利用できる。
また、本発明の硬化性組成物からなるゴム弾性を示す現場施工の成形体は、ガスケット、パッキン類を中心に広く用いることができる。例えば、自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに用いることができる。また、家電分野では、現場施工のパッキン、Oリング等に用いることができる。具体的に、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、スマホの防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シール等の燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン等、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ等が挙げられる。建築分野では、ガスケット、防水材、防振材、防音材等に用いることができる。DIY分野では、靴底補修材、中底補修材等に用いることができる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム等に用いることができる。
これらのなかでも、本発明の硬化性組成物は、感圧接着剤や接着剤として特に有用であり、特に現場施工が要求される用途に有用である。また、本発明の硬化性組成物は良好な柔軟性を有する硬化物として構成できるので、線膨張係数が互いに異なる材料同士の接着や、ヒートサイクルにより繰り返し変位を受ける部材の接着に用いる弾性接着剤の用途や、柔軟性を活かした屈曲部材用途でのコーティング剤等の用途等にも有用である。また、その良好な表面硬化性を活かして現場成形ガスケット、いわゆる自動車部品、電機部品、各種機械部品等において用いられる液状シール材に好適に用いることもできる。
上記用途の中でも、特に、電気・電子機器用の接着剤、感圧接着剤、シール材、ポッティング剤、パッキン、コーティング材等に有用である。
<実施の形態の効果>
本発明に係る硬化性組成物は、(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体を含有するので、空気中で用いても酸素による重合阻害を大幅に抑制でき、適切な硬化反応を進行させることができることから硬化性に優れる硬化物を得ることができる。また、本発明に係る硬化性組成物は、一般式(1)のXとして様々な連結基を選択することができ、また、連結基を介して一般式(1)で表される基に連結する重合体の主鎖骨格として様々な骨格を選択することができるので、硬化物が得られる硬化性組成物の設計の自由度を幅広く確保することができる(すなわち、硬化物の硬度等の物性の設計の自由度を確保でき、また、硬化物を用いる目的に応じた物性を選択できる。)。更に、硬化性組成物は相溶性に優れているので、発明の効果を阻害しない範囲で様々な化合物を添加できる。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1)ポリマーA
カルボキシル基含有アクリル重合体10.0g(製品名「アクトフローCB−3098」、綜研化学株式会社製、分子末端及び官能基共重合タイプのポリ2−エチルヘキシルアクリレート、重量平均分子量=3,000、AV=98±1)に等モル当量のグリシジルメタクリレート2.48g、触媒としてTPP(トリフェニルホスフィン) 0.009g、溶媒として酢酸エチル10.0gを加え、70℃で24時間反応させた。反応後、酢酸エチルを減圧留去した。そして、生成した常温で液状のポリマーAのIRスペクトル測定の結果、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮(ブロード、3,200〜3,500cm−1)ピークが生じていることが確認された。また、ポリマーAに含まれる官能基は1分子中に平均して2.3個であった(ただし、末端に1.0個、分子中に1.3個である。)。
なお、上記合成反応中に、グリシジルメタクリレートのエポキシ基が開環して不飽和カルボン酸とエステル結合を生じて結合する。この開環はα位及びβ位のいずれでも起こるが、α位で開環したα付加体が主成分となり、β位で開環したβ付加体が副成分となる。通常、α付加体とβ付加体との生成割合は、モル比で100/0.01〜100/70であり、好ましくは100/0.1〜100/50である。上記合成例1では、通常はα付加体である化合物を主成分とし、β付加体を副成分とした生成物が得られる。主成分であるα付加体は生成物から公知の分離方法によって分離して単離できる。合成例1においては、α付加体とβ付加体とを含む混合物をポリマーAとして得ている。すなわち、合成例1で得られる生成物は、上記合成法で得られる生成物にβ付加体の全部又は一部を残したものであり、α付加体を主成分とする硬化性組成物である。
(合成例2)ポリマーB
ポリオキシプロピレンジアミン10g(製品名「JEFFAMINE D2000」、Huntsman Corporation製、重量平均分子量=2,000)に等モル当量のグリシジルメタクリレート2.84g、触媒としてアクセラレーター399 0.3g(Huntsman Corporation製)を加え、70℃で24時間反応させた。生成した常温で液状のポリマーBのIRスペクトル測定の結果、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮(ブロード、3,200〜3,500cm−1)ピークが生じていることが確認された。また、ポリマーBには、両末端に官能基が含まれている。
(合成例3)ポリマーC
PTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)骨格のウレタンプレポリマー10.0g(重量平均分子量=3,500)に等モル当量のグリシドール0.46g(製品名「エピオールOH」、日油株式会社製)を加え、70℃で48時間反応させた。生成物のIRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失していることを確認した。得た生成物にアクリル酸0.43g(三菱レイヨン株式会社製)と触媒としてTPP 0.007gとを加え、70℃で24時間反応させた。生成した常温で液状のポリマーCのIRスペクトル測定の結果、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮(ブロード、3,200〜3,500cm−1)ピークが生じていることが確認された。また、ポリマーCには、両末端に官能基が含まれている。
(合成例4)ポリマーD
PPG(ポリプロピレングリコール)骨格のウレタンプレポリマー10.0g(重量平均分子量=3,000)に等モル当量のグリシドール0.47gを加え、70℃で48時間反応させた。生成物のIRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失していることを確認した。得た生成物に等モル当量のアクリル酸0.46g、触媒としてTPP 0.01gを加え、70℃で24時間反応させた。生成した常温で液状のポリマーDのIRスペクトル測定の結果、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮(ブロード、3,200〜3,500cm−1)ピークが生じていることが確認された。また、ポリマーDには、両末端に官能基が含まれている。
(合成例5)ポリマーE
PPG骨格のウレタンプレポリマー10.0g(重量平均分子量=3,000)に等モル当量のグリセリンモノメタクリレート1.01gを加え、70℃で24時間反応させた。生成した常温で液状のポリマーEのIRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失していることを確認した。また、ポリマーEには、両末端に官能基が含まれている。
なお、合成例1で得られる重合体は実施の形態で説明した一般式(I)で示す有機重合体に、合成例2は一般式(II)で示す有機重合体に、合成例3〜4は一般式(III)で示す有機重合体に、合成例5は一般式(IV)で示す有機重合体に対応している。
(合成例6)ポリマーF
特開2000−128911号公報記載のチオグリセロールを用いた反応で得られたアクリル酸n−ブチル(BA)骨格の水酸基含有オリゴマー(PBA1;数平均分子量10,000、片末端に1級及び2級水酸基が各一個存在している。)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)3.8gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のBA骨格のウレタンプレポリマー(PU−BA)103.8gにグリセリンモノメタクリレート3.7gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が22,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基が片末端に2個ついたBA骨格のウレタンアクリレート(ポリマーF)得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。なお、数平均分子量は送液システムとして東ソー製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK−GELHタイプを用い、溶媒はTHFを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算分子量である。
(合成例7)ポリマーG
PPG(ポリプロピレングリコール、Mw/Mn=1.1、数平均分子量:10,000)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)4.0gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のPPG骨格のウレタンプレポリマー(PU−PPG10000)104.0gにグリセリンモノメタクリレート3.9gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が32,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基両末端のPPG骨格のウレタンアクリレート(ポリマーG)を得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(合成例8)ポリマーH
PTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量=2,000)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)18.8gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のPTMG骨格のウレタンプレポリマー118.8gにグリセリンモノメタクリレート16gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が2,800であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基両末端のPTMG骨格のウレタンアクリレート(ポリマーH)を得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(合成例9)モノマーB
イソステアリン酸10.0g(35.2mmol;日産化学工業株式会社製)に等モル量のグリシジルメタクリレート5.00g、触媒としてTPP 0.09gを加え、70℃で8時間反応させた。生成したモノマーBのIRスペクトル測定の結果、カルボン酸由来の−OH伸縮(ブロード、3,300〜3,500cm−1)の吸収が消失していることが確認された。そして、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮(ブロード、3,200〜3,600cm−1)ピークが生じていることが確認された。
(比較合成例1)ポリマーA’:アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチルアクリレート)の合成例
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマー、そして、アクリル酸カリウムを末端基導入剤として用い、WO2008/041768号公報記載の合成例2の方法に準じた方法で反応させ、ポリスチレン換算で数平均分子量が20,000、アクリロイル基数が平均して1分子中に約1.9個、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)重合体である常温で液状のポリマーA’を得た。
(比較合成例2)ポリマーB’:アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)の合成例
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、モル数で25/46/29の比率のアクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモノマー、そして、アクリル酸カリウムを末端基導入剤として用い、WO2007/029733号公報記載の合成例4の方法に準じた方法で反応させ、ポリスチレン換算で数平均分子量が20,000、アクリロイル基数が平均して1分子中に約1.8個、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)重合体である常温で液状のポリマーB’を得た。
(比較合成例3)ポリマーC’:アクリロイル基両末端のウレタンアクリレートの合成例
ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートとを用いて合成された分子量38,000のウレタンプレポリマーに、2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させることで、常温で液状のポリマーC’を得た。
(実施例1〜11、比較例1〜4)
表1に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、混合撹拌して硬化性組成物を調製した。
表1において、各配合物質の配合量の単位は「重量部」である。また、表1中、ポリマーA乃至ポリマーH、及びポリマーA’乃至ポリマーC’はそれぞれ、上記合成例1〜8、及び上記比較合成例1〜3により得られたポリマーであり、配合物質の詳細は下記の通りである。また、モノマーBは上記合成例9により得られたモノマーである。更に、表1において実施例の「アクリル基の構造」は一般式(1)の連結基に結合している部分の構造を示し、実施例の「連結基」は一般式(1)の「アクリル基の構造」に最初に結合している基、若しくは一般式(1)のXを示す。
(C:モノマーA)
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(製品名「エポキシエステルM−600A」、共栄社化学(株))
(B1:光開始剤)
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(製品名:IRGACURE TPO、BASF社製)
(B1:光開始剤)
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:IRGACURE 1173、BASF社製)
(B1:光開始剤)
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:Darocur 1173、BASF社製)
(B2:熱開始剤)
ジ‐tert‐ブチルペルオキシド(製品名:パーブチル(PERBUTYL)D、日本油脂株式会社製)
(表面硬化性試験〜光開始剤)
実施例1〜5、実施例7〜11、及び比較例1〜3に係る光硬化性組成物を被着材(PETフィルム)にガラス棒を用いて厚さが200μmとなるように空気中で塗布した。次に、被着材上の光硬化性組成物に直接に紫外線(UV)を照射した[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm)、積算光量:3000mJ/cm]。UV照射の直後、暗室下、23℃50%RHの環境下において、指触にて表面硬化性を試験した。指に未硬化物が付着しない、又は液状物が付着するがかすかである場合を「○」、指の表面に液状物が付着する場合を「×」と評価した。
(硬度試験〜光開始剤)
硬度試験は、JIS K 7312(1996)に準拠して実施した。まず、実施例1〜5、実施例7〜11、及び比較例1〜3に係る光硬化性組成物のそれぞれを高さ6mmのキャップに入れ、紫外線(UV)を照射した[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm)、積算光量:6000mJ/cm]。そして、実施例1〜5、実施例7〜11、及び比較例1〜3に係る光硬化性組成物それぞれについて得られた光硬化性組成物の硬化物を2枚重ねて、23℃雰囲気下において、タイプAデュロメータの加圧面を密着させてから30秒後に測定した。
(表面硬化性試験〜熱開始剤)
実施例6、及び比較例4に係る熱硬化性組成物を被着材(アルミ板)にガラス棒を用いて厚さが200μmとなるように塗布した。次に、被着材内の熱硬化性組成物を180℃の乾燥機に10分間静置した。乾燥機より取り出し直後、23℃50%RHの環境下において、指触にて表面硬化性を試験した。指に未硬化物が付着しない、又は液状物が付着するがかすかである場合を「○」、指の表面に液状物が付着する場合を「×」と評価した。
(硬度試験〜熱開始剤)
実施例6、及び比較例4に係る熱硬化性組成物の硬化物の硬度試験を、JIS K 7312(1996)に準拠して実施した。まず、実施例6、及び比較例4に係る熱硬化性組成物のそれぞれについて高さ6mmの金属製キャップに入れ、180℃雰囲気化に10分間静置した。そして、実施例6、及び比較例4に係る熱硬化性組成物それぞれについて得られた熱硬化性組成物の硬化物を2枚重ねて、23℃雰囲気下において、タイプAデュロメータの加圧面を密着させてから30秒後に測定した。
表1を参照すると分かるように、実施例においてはいずれも表面硬化性が良好であることが示された。また、実施例に係る硬化性組成物の硬化物は、主鎖骨格等を選択することでタイプAデュロメータにおいて5から70の硬度に調整できることが示された。
以上より、実施例に係る硬化性組成物においては酸素による重合阻害が抑制され、優れた硬化性を発揮し、硬化物の硬度等の物性を自由に調整できることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。

Claims (13)

  1. (A)下記一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、
    (B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び(B3)レドックス開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤と
    を含有する硬化性組成物。
    (一般式(1)中、Rは−H又は−CHを示し、Xは連結基であり、連結基は置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、極性連結基〔(チオ)エーテル連結基、−O−CO−連結基、−O−CO−NH−連結基、−NR−連結基(Rは水素基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、又は複数の環を有する基を示す。)〕、又は直接結合である。)
  2. (C)単官能(メタ)アクリル系モノマーを更に含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(C)単官能(メタ)アクリル系モノマーが、3−(メタ)アクリロオキシ2−ヒドロキシプロピル基と極性基とを含有する(メタ)アクリレート、−C2pOH基を有する(メタ)アクリレート(ただし、pは2〜6の整数)、及び脂環式(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの単官能(メタ)アクリル系モノマーを含有する請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリエステル重合体、ポリカーボネート系重合体、グラフト重合体、炭化水素系重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、及びジアリルフタレート系重合体からなる群から選択される少なくとも1つの有機重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、テレケリックタイプの有機重合体、分子末端及び官能基共重合タイプの有機重合体、及び末端官能基タイプの有機重合体からなる群から選択される1つの有機重合体である請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記分子末端及び官能基共重合タイプの有機重合体、又は末端官能基タイプの有機重合体が、メタロセン触媒の存在下、重合性モノマーを重合させてなる重合体である請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリエステル重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記(A)一般式(1)で表される基を有する有機重合体の主鎖骨格が、ポリカーボネート系重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物を構成要素として有する製品。
  13. 所定の官能基を有する重合体に前記所定の官能基に対して反応性を有する官能基、及び(メタ)アクリレート基を有する化合物を反応させて得られる(A)下記一般式(1)で表される基を有する有機重合体と、
    (B1)光開始剤、(B2)熱開始剤、及び(B3)レドックス開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを混合して硬化性組成物を得る硬化性組成物の製造方法。
    (一般式(1)中、Rは−H又は−CHを示し、Xは連結基であり、連結基は置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のアリーレン基、極性連結基〔(チオ)エーテル連結基、−O−CO−連結基、−O−CO−NH−連結基、−NR−連結基(Rは水素基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、複素環構造含有基、又は複数の環を有する基を示す。)〕、又は直接結合である。)
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