JPWO2018012377A1 - 熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018012377A1
JPWO2018012377A1 JP2018527547A JP2018527547A JPWO2018012377A1 JP WO2018012377 A1 JPWO2018012377 A1 JP WO2018012377A1 JP 2018527547 A JP2018527547 A JP 2018527547A JP 2018527547 A JP2018527547 A JP 2018527547A JP WO2018012377 A1 JPWO2018012377 A1 JP WO2018012377A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
thermoelectric conversion
atom
conversion layer
type thermoelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018527547A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6761473B2 (ja
Inventor
寛記 杉浦
寛記 杉浦
吉憲 金澤
吉憲 金澤
野村 公篤
公篤 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2018012377A1 publication Critical patent/JPWO2018012377A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6761473B2 publication Critical patent/JP6761473B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/856Thermoelectric active materials comprising organic compositions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/158Carbon nanotubes
    • C01B32/159Carbon nanotubes single-walled
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/81Structural details of the junction
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency
    • Y02P20/129Energy recovery, e.g. by cogeneration, H2recovery or pressure recovery turbines

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

本発明の課題は、p型熱電変換層およびn型熱電変換層を含み、発電量および耐久性に優れ、かつ、ロット間の発電量のばらつきが抑制された熱電変換素子を提供することである。本発明の熱電変換素子は、p型熱電変換層と、p型熱電変換層と電気的に接続されたn型熱電変換層とを有する熱電変換素子であって、p型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、n型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩とを含み、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.15eV以下である。

Description

本発明は、熱電変換素子に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換することができる熱電変換材料が、熱によって発電する発電素子およびペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要としない。そのため、例えば、体温で作動する腕時計、および、僻地用電源、宇宙用電源等に用いられている。
熱電変換素子の代表的な構成の一つとしては、p型熱電変換層とn型熱電変換層とを電気的に接続する構成が挙げられ、一般的に、n型熱電変換層の材料としてはニッケル等の無機材料が知られている。しかしながら、無機材料は材料自体が高価であったり、有害物質を含んでいたり、さらに、熱電変換素子への加工工程が複雑である等の問題を有している。
そこで、近年、カーボンナノチューブ(以後、「CNT」とも称する)に代表される炭素材料を用いる技術が提案されており、例えば、特許文献1では、ドーパントとして特定構造のオニウム塩を用いてCNTを還元することにより、n型熱電変換層を作製する技術が開示されている。
特開2016−009851号公報
一方、近年、熱電変換素子が使用される機器の性能向上のために、熱電変換素子の熱電変換性能のより一層の向上が求められている。
本発明者らは、特許文献1の記載をもとに、CNTに水酸化テトラブチルアンモニウム塩(オニウム塩)を添加してなるn型熱電変換層と、ドーピングがなされていないCNTからなるp型熱電変換層とを用いて熱電変換素子を作製し、その特性を評価したところ、発電量の更なる改良が必要であることを知見した。
また、熱電変換素子には、高温環境下にて保管した後にも、発電量の低下が少ないことが求められる。つまり、耐久性に優れることも求められる。
さらに、熱電変換素子は、製造歩留まりの点から、複数の熱電変換素子を製造した際にも、それらの間で発電量のばらつきが小さいことが求められる。
しかしながら、上述した特許文献1の記載をもとにして作製した熱電変換素子では、耐久性に劣ると共に、複数の熱電変換素子を製造した際、それらの間で発電量のばらつきも大きかった。
本発明は、上記実情に鑑みて、p型熱電変換層およびn型熱電変換層を含み、発電量および耐久性に優れ、かつ、ロット間の発電量のばらつきが抑制された熱電変換素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差を調整することにより、所望の効果が得られることを見出した。
より具体的には、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) p型熱電変換層と、p型熱電変換層と電気的に接続されたn型熱電変換層とを有する熱電変換素子であって、
p型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、
n型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩とを含み、
p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.15eV以下である、熱電変換素子。
(2) p型熱電変換層に含まれるオニウム塩が、後述する式(1A)で表されるオニウム塩〜後述する式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種であるか、または、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種から1個の水素原子を除いた残基を有するポリマーであり、
無機塩のアニオンの共役酸のpKaが−3以下であり、
n型熱電変換層に含まれるオニウム塩が、後述する式(2)で表されるオニウム塩である、(1)に記載の熱電変換素子。
(3) p型熱電変換層が、Z11が窒素原子である式(1A)で表されるオニウム塩、Z12が窒素原子である式(1B)で表されるオニウム塩、Z13が窒素原子である式(1C)で表されるオニウム塩、式(1D)で表されるオニウム塩、および、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを含む無機塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(2)に記載の熱電変換素子。
(4) 式(2)で表されるオニウム塩のZ21が窒素原子である、(2)または(3)に記載の熱電変換素子。
(5) 式(2)におけるX21-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3である、(2)〜(4)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(6) p型熱電変換層に含まれるナノ炭素材料およびn型熱電変換層に含まれるナノ炭素材料のいずれもが、カーボンナノチューブを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(7) p型熱電変換層に含まれるナノ炭素材料およびn型熱電変換層に含まれるナノ炭素材料のいずれもが、単層カーボンナノチューブを含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(8) p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.10eV以下である、(1)〜(7)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(9) p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.04〜0.10eVである、(1)〜(8)のいずれかに記載の熱電変換素子。
本発明によれば、p型熱電変換層およびn型熱電変換層を含み、発電量および耐久性に優れ、かつ、ロット間の発電量のばらつきが抑制された熱電変換素子を提供することができる。
本発明の熱電変換素子の一実施形態を模式的に示す上面図である。図1中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の他の一例を模式的に示す上面図である。 熱電変換モジュールの一例を模式的に示す上面図である。 素子性能である発電量の測定装置を示す概念図である。
以下に、本発明の熱電変換素子の好適態様について説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の熱電変換素子の特徴点の一つとしては、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャル(フェルミ準位)とn型熱電変換層のイオン化ポテンシャル(フェルミ準位)との差を調整している点が挙げられる。なお、ナノ炭素材料において、カーボンナノチューブは一般的に半導体性CNTと金属性CNTが混合しており、半金属的な性質を示す。従って、本発明においてはイオン化ポテンシャルとフェルミ準位は同義のものとして用いている。また、特に、後段で詳述するように、所定のオニウム塩または無機塩を用いることにより、上記イオン化ポテンシャルの差を容易に調整できることを知見している。
図1に、本発明の熱電変換素子の一実施形態を概念的に示す。
図1は熱電変換素子10の上面図を示し、熱電変換素子10は、基板12と、基板12上でそれぞれ離間した位置に配置されたp型熱電変換層14およびn型熱電変換層16とを有する。p型熱電変換層14の一方の端部は第1の電極18aと電気的および機械的に接続し、n型熱電変換層16の一方の端部は第2の電極18bと電気的および機械的に接続する。また、p型熱電変換層14の他方の端部およびn型熱電変換層16の他方の端部は、第3の電極18cと電気的および機械的に接続する。このように、p型熱電変換層14およびn型熱電変換層16は、第1の電極18a、第2の電極18b、および、第3の電極18cにより直列接続されている。つまり、p型熱電変換層14およびn型熱電変換層16は、第3の電極18cを介して、電気的に接続されている。
熱電変換素子10は、第1の電極18a(または、第2の電極18b)と第3の電極18cとの間に、温度差(図1中の矢印方向)を与え、例えば、第3の電極18c側を低温部、第1の電極18aおよび第2の電極18b側を高温部にする。このような温度差を与えた場合、p型熱電変換層14の内部においては正の電荷を持ったホールが低温部側に移動し、第3の電極18cは第1の電極18aより高電位となる。一方、n型熱電変換層16の内部では、負の電荷を持った電子が低温部側に移動し、第3の電極18cは第2の電極18bより高電位となる。その結果、電極間に電位差が生じ、例えば、電極の終端に負荷を接続すると電力を取り出すことができる。
本発明の熱電変換素子においては、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.15eV以下である。なかでも、発電量がより優れる、耐久性がより優れる、または、ロット間の発電量のばらつきがより抑制される点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、0.10eV以下が好ましく、0.03〜0.10eVがより好ましく、0.04〜0.10eVがさらに好ましい。
上記イオン化ポテンシャル(Ip)の差(差分)は、上記p型熱電変換層とn型熱電変換層とのイオン化ポテンシャル(フェルミ準位)を測定し、下記式に従って、算出する。
Ipの差分=(p型熱電変換層のIp)−(n型熱電変換層のIp)
なお、上記イオン化ポテンシャルの測定方法は、大気下にて、大気中光電子分光装置(AC−2、理研計器社製)を用いて行う。より具体的には、光量20nW、測定間隔0.05eV、測定範囲:4〜5.5eV、べき乗:0.5の装置条件にて、得られたグラフ(縦軸:eV、横軸:光量)においてグラフの平坦部(ベースライン)と回帰直線との交点を、イオン化ポテンシャル(光電子放出の閾値)とした。
以下、熱電変換素子を構成する各部材について詳述する。
[p型熱電変換層]
p型熱電変換層は、ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含む。
以下では、まず、p型熱電変換層に含まれる材料について詳述し、その後、p型熱電変換層の製造方法について述べる。
(ナノ炭素材料)
ナノ炭素材料の種類は特に制限されず、公知のナノ炭素材料を用いることができる。
また、ナノ炭素材料のサイズは、ナノサイズ(1μm未満)であれば特に制限されないが、例えば、後述するカーボンナノチューブ、または、カーボンナノファイバー等については、平均短径がナノサイズ(例えば、平均短径が500nm以下)であればよい。また、カーボンナノチューブが結合した薄膜であるいわゆるバッキ―ペーパーも用いることができる。
ナノ炭素材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノバット、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、および、カーボンナノ粒子等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、熱電変換性能がより良好となる点から、カーボンナノチューブが好ましい。
以下、本発明において好適なカーボンナノチューブについて説明する。
カーボンナノチューブ(CNT)としては、例えば、1枚の炭素膜(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層CNT、および、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。なかでも、半導体特性において優れた性質を持つ単層CNTまたは2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。本発明においては、単層CNT、2層CNT、および、多層CNTをそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたもの(特にフラーレンを内包したものをピーポッドという)を用いてもよい。
CNTはアーク放電法、CVD(chemical vapor deposition)法、または、レーザーアブレーション法等によって製造することができる。本発明に用いられるCNTは、いずれの方法によって得られたものであってもよいが、好ましくはアーク放電法またはCVD法により得られたものである。
CNTを製造する際には、同時にフラーレン、グラファイト、および/または、非晶性炭素が副生成物として生じることがある。これら副生成物を除去するために精製してもよい。CNTの精製方法は特に制限されないが、洗浄、遠心分離、焼成、ろ過、酸化、および、クロマトグラフ等の方法が挙げられる。その他に、硝酸、硫酸等による酸処理、および、超音波処理も不純物の除去には有効である。併せて、フィルターによる分離除去を行うことも、純度を向上させる観点からより好ましい。
精製の後、得られたCNTをそのまま用いることもできる。また、CNTは一般に紐状で生成されるため、用途に応じて所望の長さにカットして用いてもよい。CNTは、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理、および、凍結粉砕法等により短繊維状にカットすることができる。また、併せてフィルターによる分離を行うことも、純度を向上させる観点から好ましい。
本発明においては、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも同様に使用できる。
CNTの平均長さは特に制限されないが、製造容易性、成膜性、および、導電性等の点から、0.01〜1000μmであることが好ましく、0.1〜100μmであることがより好ましい。
単層CNTの直径は特に制限されないが、耐久性、成膜性、導電性、および、熱電性能等の点から、0.5〜4.0nmが好ましく、0.6〜3.0nmがより好ましく、0.7〜2.0nmがさらに好ましい。
なお、使用されるCNTには、欠陥のあるCNTが含まれていることがある。このようなCNTの欠陥は、熱電変換層の導電性、熱起電力を低下させるため、低減することが好ましい。CNTの欠陥の量は、ラマンスペクトルのG−バンドとD−バンドの強度比G/D(以下、G/D比という。)で見積もることができる。G/D比が高いほど欠陥の量が少ないCNT材料であると推定できる。特に、単層CNTを用いる場合には、G/D比が10以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。
熱電変換性能の点から、p型熱電変換層中のナノ炭素材料の含有量は、p型熱電変換層中の全固形分に対して、5〜99.9質量%であることが好ましく、20〜99.9質量%であることがより好ましく、40〜99.9質量%であることがさらに好ましく、60〜99.9質量%であることが特に好ましい。
なお、上記固形分とは、熱電変換層を形成する成分を意図し、溶媒は含まれない。
(オニウム塩、および、無機塩)
p型熱電変換層には、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種が含まれる。
オニウム塩としては、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が上述した範囲となれば、公知のオニウム塩を用いることができる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種、または、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種から1個の水素原子を除いた残基を有するポリマーが好ましい。
以下、上記オニウム塩について詳述する。
式(1A)中、
11は、窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子、または、ハロゲン原子を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、窒素原子が好ましい。
11が窒素原子またはリン原子の場合、m11およびm12はともに1であり、Z11が硫黄原子、酸素原子、または、炭素原子の場合、m11は1、m12は0であり、Z11がハロゲン原子の場合、m11およびm12はともに0である。
11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。
11-としては、例えば、Cl-、Br-、I-、NO3 -、HSO4 -、アルキルスルホン酸のアニオン(例えば、CH3SO3 -)、アリールスルホン酸のアニオン(例えば、p−CH364SO3 -、および、PhSO3 -)、パーフルオロアルカンスルホン酸のアニオン(例えば、CF3SO3 -、C49SO3 -、および、C817SO3 -)、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン(例えば、PF6 -、SbF6 -、BF4 -、AsF6 -、および、FeCl4 -)、パーフルオロアルカンスルホンイミドのアニオン(例えば、(CF3SO22-、(C49SO22-、および、(FSO22-)、過ハロゲン酸のアニオン(例えば、ClO4 -、BrO4 -、および、IO4 -)、並びに、アルキルもしくはアリールボレートのアニオン(例えば、(C654-、(C654-、(p−CH3644-、および、(C64F)4-)等が挙げられる。これらは、さらに置換基を有してもよく、置換基としてはフッ素原子が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、X11-としては、Cl-、Br-、I-、HSO4 -、PF6 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C49SO22-、(FSO22-、ClO4 -、または、(C654-が好ましい。
なお、上記pKaは、「化学便覧、改訂5版、日本化学会」に記載の値(水中)を参照することができる。より具体的には、「共役酸のpKaが−3以下であるアニオン」におけるpKaは、硫酸水素イオンの共役酸である硫酸の水中におけるpKaの値に基づいている。なお、上記「化学便覧、改訂5版、日本化学会」に記載されていないアニオンの共役酸に関しては、オニウム塩(または、後述する無機塩)の共役酸を水に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液によって滴定することにより、算出することができる。また、上記「化学便覧、改訂5版、日本化学会」に記載されていないアニオンの共役酸でオキソニウムイオン(H3+、pka=−1.7)よりも強い酸については、上記手法で測定することが困難なため、「新実験化学講座、3版、日本化学会」に記載の酸度関数の測定法に従って、算出することができる。
11からR14は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。
上記有機基に含まれる炭素数は特に制限されないが、通常、1〜30程度が挙げられ、本発明の効果がより優れる点で、1〜20が好ましく、1〜7がより好ましい。
また、上記炭化水素基に含まれる炭素数は特に制限されないが、通常、1〜30程度が挙げられ、本発明の効果がより優れる点で、1〜20が好ましく、1〜7がより好ましい。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、および、環状のいずれであってもよい。
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基が挙げられる。
炭化水素基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子等が挙げられる。なかでも、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、−C(=Y3)Y4−、−SOt−、−SO2N(Rc)−、または、これらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
1〜Y4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子を表す。tは、1〜3の整数を表す。上記Ra、Rb、および、Rcは、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表す。
ヘテロ環基としては、例えば、炭素数3〜12(好ましくは、炭素数3〜7)のヘテロ環基が好ましく、例えば、フリル基、チオフリル基、ピリジル基、ピラゾール基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、プリン基、ピリミジル基、ピラジル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアジル基、カルバゾリル基、キノキサリル基、および、チアジン基等が挙げられる。
また、上記有機基には、置換基が置換していてもよい。置換基の種類は特に制限されず、例えば、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基(Rx−C(=O)NRY−またはRx−NRYC(=O)−で表される基であり、Rxは1価の有機基を表し、RYは水素原子またはアルキル基を表す。)、ウレタン基(Rx−NHC(=O)O−またはRx−OC(=O)NH−で表される基であり、Rxは1価の有機基を表す。)、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アシル基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、および、シアノ基等が挙げられる。
但し、Z11が窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子であって、かつ、X11-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R11からR14のうち少なくとも3つが、水素原子、または、炭素数7以下の有機基である。なかでも、R11からR14のうち少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、3つが水素原子であることがより好ましい(特に、アニオンがClの場合、本態様が好ましい)。
なお、上記炭素数7以下の有機基とは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基であって、含まれる炭素数が7以下の有機基を意図する。なお、炭素数7以下の有機基は、炭素数6以下の有機基であることが好ましく、炭素数4以下の有機基であることがより好ましく、炭素原子2以下の有機基であることがさらに好ましい。
但し、Z11がハロゲン原子であって、かつ、X11-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R11およびR12は炭素数7以下の有機基である。
式(1B)中、Z12は、窒素原子、または、酸素原子を表す。
12が窒素原子の場合、pは1であり、Z12が酸素原子の場合、pは0である。
11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。アニオンの例示および好適範囲は、上述した通りである。
21は、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、ヘテロ環基、および、有機基の定義および例示は、R11からR14で説明した定義および例示と同じである。
11〜Y15は、それぞれ独立に、窒素原子または=CR61−を表す。
なお、Y11〜Y15中の複数が=CR61−を表す場合、隣接する炭素原子に置換するR61同士は、互いに連結して芳香族性または非芳香族性の環を形成してもよい。
61は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、ホルミル基、チオエステル基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基、チオール基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜7がさらに好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜10がより好ましく、炭素数2〜7がさらに好ましい)、またはアルキニル基(炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜10がより好ましく、炭素数2〜7がさらに好ましい)が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐、および、環状のいずれであってもよいが、直鎖がより好ましい。
上記脂肪族炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜7(好ましくは炭素数2〜6)のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、および、エトキシカルボニル基が挙げられる。
アシル基としては、炭素数2〜7(好ましくは炭素数2〜6)のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜7(好ましくは炭素数1〜6)のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、または、エトキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜7(好ましくは炭素数1〜6)のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、または、エチルチオ基が挙げられる。
アシルオキシ基としては、炭素数1〜7(好ましくは炭素数1〜6)のアシルオキシ基が好ましく、例えば、アセトキシ基が挙げられる。
チオエステル基としては、炭素数2〜7(好ましくは炭素数2〜6)のチオエステル基が好ましい。なお、チオエステル基としては、RX−C(=O)−S−で表される基であっても、RX−S−C(=O)−で表される基であってよい。RXとしては、1価の有機基(例えば、アルキル基)が挙げられる。
アミド基としては、炭素数2〜7(好ましくは炭素数2〜6)のアミド基が好ましい。なお、アミド基としては、RY−C(=O)−NRZ−で表される基であっても、RY−NRZ−C(=O)−で表される基であってよい。RYおよびRzとしては、水素原子または1価の有機基(例えば、アルキル基)が挙げられる。
スルホンアミド基としては、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6)のスルホンアミド基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノスルホニル基が挙げられる。なお、スルホンアミド基としては、RY−NRZ−S(=O)2−で表される基であっても、RY−S(=O)2NRZ−で表わされる基であってよい。RYおよびRzとしては、水素原子または1価の有機基(例えば、アルキル基)が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、トリフェニルメチル基、および、ピレニルメチル基が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンシル基、および、ピレニル基が挙げられる。
ヘテロ環基の定義は、上述したR11からR14で表されるヘテロ環基の定義と同義である。
但し、X11-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R21は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基であり、水素原子、または、炭素数4以下の有機基であることが好ましく、水素原子、または、炭素数2以下の有機基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
式(1C)中、Z13は、窒素原子、酸素原子、または、硫黄原子を表す。
13が窒素原子の場合、qは1であり、Z13が酸素原子または硫黄原子の場合、qは0である。
11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。アニオンの例示および好適範囲は、上述した通りである。
31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、ヘテロ環基、および、有機基の定義および例示は、R11からR14で説明した定義および例示と同じである。
21〜Y23は、それぞれ独立に、窒素原子または=CR61−を表す。R61は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、ホルミル基、チオエステル基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。R61中の各基の定義は、上述の通りである。
但し、X11-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R31およびR32は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基であり、水素原子、または、炭素数4以下の有機基であることが好ましく、水素原子、または、炭素数2以下の有機基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
式(1D)中、X11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。アニオンの例示は、上述した通りである。本発明の効果がより優れる点で、X11-としては、Cl-、Br-、I-、HSO4 -、PF6 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C49SO22-、(FSO22-、ClO4 -、または、(C654-が好ましく、PF6 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C49SO22-、または、(FSO22-がより好ましい。
41およびR42は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、ヘテロ環基、および、有機基の定義および例示は、R11からR14で説明した定義および例示と同じである。
31およびY32は、それぞれ独立に、−C(R622−、−NR63−、−O−、−C(=O)−、−CO2−、−S−、−SO−、または、−SO2−を表す。R62は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。R63は、水素原子、脂肪族炭化水素基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。
62およびR63中の各基の好適範囲は、R61中の各基の好適範囲と同じである。
nは1〜18の整数を表す。なかでも、3〜10の整数が好ましく、3または4がより好ましく、3がさらに好ましい。
また、R62およびR63は、さらに置換基を有していてもよい。なお、Y31またはY32が、−C(R622−または−NR63−を表す場合、R41またはR42で表される基は、R62またはR63と互いに連結して芳香族性または非芳香族性の環を形成してもよい。
但し、X11-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R41およびR42は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基であり、水素原子、または、炭素数4以下の有機基であることが好ましく、水素原子、または、炭素数2以下の有機基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
上記オニウム塩の他の態様としては、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種から1個の水素原子を除いた残基を有するポリマーが挙げられる。
なお、上記残基は、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種中の任意の位置から水素原子が1個引き抜かれ、水素原子が引き抜かれた位置で結合可能な構造の基をいう。
上記ポリマーの好適態様としては、式(3)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
式(3)中、Rdは、水素原子またはアルキル基を表す。
式(3)中、Lは単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は特に制限されないが、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましく、例えば、アルキレン基が挙げられる。また、2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数5〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NRL−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL−、−SO3−、−SO2NRL−、または、これらを2種以上組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基等)等が挙げられる。ここで、RLは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。
式(3)中、Aは、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種から1個の水素原子を除いた残基を表す。
無機塩としては、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が上述した範囲となれば、公知の無機塩を用いることができる。
無機塩に含まれる金属原子は特に制限されず、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、および、遷移金属原子が挙げられる。
アルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、および、セシウム原子が挙げられる。
アルカリ土類金属原子としては、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、および、バリウム原子が挙げられる。
遷移金属原子としては、亜鉛原子、チタン原子、バナジウム原子、クロム原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、亜鉛原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子、テクネチウム原子、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、銀原子、カドミウム原子、ランタン原子、セリウム原子、プラセオジム原子、ネオジム原子、プロメチウム原子、サマリウム原子、ユウロピウム原子、カドリニウム原子、テルビウム原子、ジスプロシウム原子、ホルミウム原子、エルビウム原子、ツリウム原子、イッテルビウム原子、ツテチウム原子、ハフニウム原子、タンタル原子、タングステン原子、レニウム原子、オスミウム原子、イジリウム原子、白金原子、金原子、および、水銀原子が挙げられる。
無機塩中のアニオンの共役酸のpKaは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、上記pKaは−3以下が好ましい。
なお、金属原子が遷移金属原子の場合、無機塩中のアニオンの共役酸のpKaが−3以下のハロゲン化物アニオン以外であることが好ましい。
無機塩中のアニオンの具体例としては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3 -、HSO4 -、アルキルスルホン酸のアニオン(例えば、CH3SO3 -)、アリールスルホン酸のアニオン(例えば、p−CH364SO3 -、および、PhSO3 -)、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン(例えば、CF3SO3 -、C49SO3 -、および、C817SO3 -)、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン(例えば、PF6 -、SbF6 -、BF4 -、AsF6 -、および、FeCl4 -)、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオン(例えば、(CF3SO22-、(C49SO22-、および、(FSO22-)、過ハロゲン酸のアニオン(例えば、ClO4 -、BrO4 -、および、IO4 -)、並びに、アルキルもしくはアリールボレートのアニオン(例えば、(C654-、(C654-、(p−CH3644-、および、(C64F)4-)等が挙げられる。これらは、さらに置換基を有してもよく、置換基としてはフッ素原子が挙げられる。
金属原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子の場合、本発明の効果がより優れる点で、アニオンは、Cl-、Br-、I-、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、または、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンであることが好ましく、Cl-、Br-、または、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンであることがより好ましい。
金属原子が遷移金属原子の場合、本発明の効果がより優れる点で、アニオンは、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオン、過ハロゲン酸のアニオン、または、アルキルもしくはアリールボレートのアニオンであることが好ましく、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンであることがより好ましい。
熱電変換性能の観点から、p型熱電変換層中のオニウム塩および無機塩の合計含有量は、熱電変換層中のナノ炭素材料の全質量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましい。
オニウム塩は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、無機塩は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
p型熱電変換層の平均厚さは、温度差を付与する観点等から、1〜500μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、10〜500μmであることがさらに好ましい。
なお、p型熱電変換層の平均厚さは、任意の10点におけるp型熱電変換層の厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
(任意成分)
p型熱電変換層には、上述したナノ炭素材料、および、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種以外の他の成分(高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、または、増粘剤、消泡剤等)が含まれていてもよい。
(p型熱電変換層の製造方法)
p型熱電変換層を製造する方法は特に制限されないが、例えば、以下に示す2つ方法が挙げられる。
(第1方法)ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含むp型熱電変換層形成用組成物を用いる方法
(第2方法)ナノ炭素材料を含む熱電変換層前駆体形成用組成物を用いて熱電変換層前駆体を作製した後に、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種を熱電変換層前駆体に付与してp型熱電変換層を形成する方法
以下では、上記(第1方法)および(第2方法)の手順について詳述する。
(第1方法)
第1方法で用いられるp型熱電変換層形成用組成物は、ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含む。
各成分の定義は上述の通りである。
p型熱電変換層形成用組成物は、溶媒を含むことが好ましい。
分散媒(溶媒)は、ナノ炭素材料を分散できればよく、水、有機溶媒、および、これらの混合溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、および、グリセリン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、および、1,2−ジクロロエタン等)、非プロトン性の極性溶媒(例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、NMP(N−メチルピロリドン)、NEP(N−エチルピロリドン)、および、DMSO(ジメチルスルホキシド)等)、芳香族系溶媒(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、および、ピリジン等)、ケトン系溶媒(例えば、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケントン、および、イソホロン等)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、および、ジグライム等)、または、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、および、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル−2−アセタート等)が挙げられる。
上述した成分の他、p型熱電変換層形成用組成物には、高分子化合物(バインダー)、界面活性剤、酸化防止剤、増粘剤、または、消泡剤が含まれていてもよい。
p型熱電変換層形成用組成物は、上記の各成分を混合して調製することができる。好ましくは、溶媒の存在下、ナノ炭素材料、オニウム塩および/または無機塩、並びに、所望により他の成分を混合する方法が挙げられる。
混合方法は特に制限されず、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、または、混練により溶解または分散させて調製すればよい。溶解または分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
また、上記分散工程において溶媒を室温以上沸点以下の温度まで加熱する、分散時間を延ばす、または、撹拌、浸とう、混練、もしくは超音波等の印加強度を上げる等によって、ナノ炭素材料の分散性を高めることができる。
p型熱電変換層形成用組成物を用いてp型熱電変換層を製造する方法は特に制限されないが、例えば、基材上に上記組成物を塗布し、成膜する方法が挙げられる。
成膜方法は特に制限されず、例えば、スピンコート法、エクストルージョンダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、および、インクジェット法等の公知の塗布方法を用いることができる。また、上記組成物の減圧または加圧濾過による成膜、または、上記組成物を型枠に流し込むことによって成膜することもできる。
さらに、塗布後は、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、基板側からの加熱、または、熱電変換層への熱風の吹き付け、により溶媒を揮発させ、乾燥させることができる。乾燥は減圧下または不活性雰囲気下で行ってもよい。
分散剤または界面活性剤を用いた場合は、印刷後に分散剤または界面活性剤を除去する工程を実施することが好ましい。分散剤または界面活性剤の除去方法としては、これら溶解する溶媒で熱電変換層を洗浄する方法が挙げられる。
(第2方法)
第2方法は、ナノ炭素材料を含むp型熱電変換層前駆体形成用組成物を用いてp型熱電変換層前駆体を作製した後に、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種をp型熱電変換層前駆体に付与して、p型熱電変換層を形成する方法である。
p型熱電変換層前駆体形成用組成物は、ナノ炭素材料を含む。ナノ炭素材料の定義は、上述のとおりである。
p型熱電変換層前駆体形成用組成物は、ナノ炭素材料の他に溶媒を含むことが好ましい。溶媒の具体例としては、p型熱電変換層形成用組成物に含まれ得る溶媒が挙げられる。
p型熱電変換層前駆体形成用組成物は、さらに、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の具体例は、上述した第1方法で例示した具体例と同じである。
p型熱電変換層前駆体形成用組成物を用いてp型熱電変換層前駆体を製造する方法は特に制限されず、例えば、上述した第1方法のp型熱電変換層の成膜方法が挙げられる。
第2方法では、p型熱電変換層前駆体を作製した後に、上述したオニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種をドーパントとして用いてナノ炭素材料をp型化ドープする。
p型化ドープの方法は特に制限されず、例えば、p型熱電変換層前駆体を、上述したオニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種を溶媒に溶解させた溶液(ドーパント含有液)に浸漬する方法が挙げられる。溶媒の種類は特に制限されず、例えば、上述したp型熱電変換層形成用組成物に含まれ得る溶媒が挙げられる。
ドーパント含有液中のオニウム塩または無機塩の濃度は、0.01〜10000mmol/Lが好ましく、0.1〜1000mmol/Lがより好ましく、1〜100mmol/Lが特に好ましい。
p型化ドープの後に、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、基板側からの加熱、または、熱電変換層への熱風の吹き付け、により溶媒を揮発させ、乾燥させることができる。乾燥は減圧下または不活性雰囲気下で行ってもよい。
また、乾燥温度は特に制限されないが、生産性の点から、20〜300℃が好ましい。
また、乾燥時間は特に制限されないが、生産性の点から、0.5〜5時間が好ましい。
[n型熱電変換層]
n型熱電変換層は、ナノ炭素材料と、オニウム塩とを含む。
以下では、まず、n型熱電変換層に含まれる材料について詳述し、その後、n型熱電変換層の製造方法について述べる。
(ナノ炭素材料)
n型熱電変換層には、ナノ炭素材料が含まれる。ナノ炭素材料の定義は、上述の通りである。
熱電変換性能の点から、n型熱電変換層中のナノ炭素材料の含有量は、n型熱電変換層中の全固形分に対して、5〜99.9質量%であることが好ましく、20〜99.9質量%であることがより好ましく、40〜99.9質量%であることがさらに好ましく、60〜99.9質量%であることが特に好ましい。
ナノ炭素材料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(オニウム塩)
n型熱電変換層には、オニウム塩が含まれる。
オニウム塩としては、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が上述した範囲となれば、公知のオニウム塩を用いることができる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、式(2)で表されるオニウム塩が好ましい。
式(2)中、Z21は窒素原子、リン原子、硫黄原子、または、酸素原子を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、窒素原子が好ましい。
21が窒素原子またはリン原子の場合、rは1であり、Z21が硫黄原子または酸素原子の場合、rは0である。
21-は、共役酸のpKaが−10以上であるアニオンを表す。
上記アニオンの共役酸のpKaとしては、本発明の効果がより優れる点で、−10〜−3が好ましく、−7〜−3.7がより好ましい。
アニオンの具体例としては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3 -、HSO4 -、アルキルスルホン酸のアニオン(例えば、CH3SO3 -)、アリールスルホン酸のアニオン(例えば、p−CH364SO3 -、および、PhSO3 -)、OH-、アルコキシイオン(RO-)、SH、アルキルまたはアリールチオイオン(RS-)、シアン化物イオン(CN-)、および、カルボキシイオン(RCO2 -)等が挙げられる。
これらは、さらに置換基を有してもよく、置換基としてはフッ素原子が挙げられる。
なかでも、F-、Cl-、Br-、I-、NO3 -、または、HSO4 -が好ましく、Cl-、または、Br-がより好ましい。
51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。
上記有機基に含まれる炭素数は特に制限されないが、通常、1〜30程度が挙げられる。本発明の効果がより優れる点で、8以上が好ましく、8〜20がより好ましい。
また、上記炭化水素基に含まれる炭素数は特に制限されないが、通常、1〜30程度が挙げられ、本発明の効果がより優れる点で、8以上が好ましく、8〜20がより好ましい。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、および、環状のいずれであってもよい。
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基が挙げられる。
炭化水素基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子等が挙げられる。なかでも、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、−C(=Y3)Y4−、−SOt−、−SO2N(Rc)−、または、これらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
1〜Y4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子を表す。tは、1〜3の整数を表す。上記Ra、Rb、および、Rcは、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表す。
ヘテロ環基としては、例えば、例えば、フリル基、チオフリル基、ピリジル基、ピラゾール基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、プリン基、ピリミジル基、ピラジル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアジル基、カルバゾリル基、キノキサリル基、および、チアジン基等が挙げられる。
但し、X21-で表されるアニオンの共役酸のpKaが−10から−3.7の場合、R51〜R54のうち少なくとも3つは、炭素数8以上の有機基である。なお、上記炭素数8以上の有機基とは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基であって、含まれる炭素数が8以上の有機基を意図する。
熱電変換性能の観点から、n型熱電変換層中のオニウム塩の含有量は、n型熱電変換層中のナノ炭素材料の全質量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
オニウム塩は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
n型熱電変換層の平均厚さは、熱電性能向上の観点等から、1〜500μmが好ましく、5〜500μmがより好ましく、10〜500μmがさらに好ましい。
なお、n型熱電変換層の平均厚さは、任意の10点におけるn型熱電変換層の厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
(n型熱電変換層の製造方法)
n型熱電変換層を製造する方法は特に制限されないが、例えば、以下に示す2つ方法が挙げられる。
(第1方法)ナノ炭素材料と、オニウム塩とを含むn型熱電変換層形成用組成物を用いる方法
(第2方法)ナノ炭素材料を含むn型熱電変換層前駆体形成用組成物を用いてn型熱電変換層前駆体を作製した後に、オニウム塩をn型熱電変換層前駆体に付与してn型熱電変換層を形成する方法
上記方法の手順は、上述したp型熱電変換層の製造方法と同じである。
[基板]
基板は後述する各種部材を支持する機能を果たせばその種類は特に制限されないが、電極の形成、および、熱電変換層の形成時に影響を受けにくい基板を選択することが好ましい。
このような基板としては、例えば、樹脂基板、ガラス基板、透明セラミックス基板、および、金属基板が挙げられ、なかでも、コストおよび柔軟性の観点から、樹脂基板が好ましい。
より具体的には、樹脂基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等のポリエステル基板、ゼオノアフィルム(商品名、日本ゼオン社製)、アートンフィルム(商品名、JSR社製)、スミライトFS1700(商品名、住友ベークライト社製)等のポリシクロオレフィン基板、カプトン(商品名、東レ・デュポン社製)、アピカル(商品名、カネカ社製)、ユーピレックス(商品名、宇部興産社製)、ポミラン(商品名、荒川化学社製)等のポリイミド基板、ピュアエース(商品名、帝人化成社製)、エルメック(商品名、カネカ社製)等のポリカーボネート基板、スミライトFS1100(商品名、住友ベークライト社製)等のポリエーテルエーテルケトン基板、トレリナ(商品名、東レ社製)等のポリフェニルスルフィド基板、ポリアセタール基板、ポリアミド基板、ポリフェニレンエーテル基板、ポリオレフィン基板(例えば、ポリエチレン基板)、ポリスチレン基板、ポリアリレート基板、ポリサルフォン基板、ポリエーテルサルフォン基板、フッ素樹脂基板、および、液晶ポリマー基板等が挙げられる。入手の容易性、耐熱性(好ましくは100℃以上)、および、本発明の効果がより優れる点から、ポリイミド基板が好ましい。
基板の厚さは、取り扱い性および耐久性等の点から、5〜1000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましく、5〜100μmがさらに好ましく、5〜50μmが特に好ましい。
[電極]
電極(第1の電極、第2の電極、および、第3の電極)を構成する電極材料は特に制限されず、例えば、ITO(Indium−Tin−Oxide)もしくはZnO等の透明電極材料、銀、銅、金もしくはアルミニウム等の金属電極材料、CNTもしくはグラフェン等の炭素材料、または、PEDOT(poly(3,4−ethylenedioxythiophene))/PSS(polystyrene sulfonate)、PEDOT/Tos(Tosylate)等の有機材料が挙げられる。なお、電極は、金、銀、銅もしくはカーボン等の導電性微粒子を分散した導電性ペースト、はんだ、または、金、銀、銅、もしくはアルミニウム等の金属ナノワイヤーを含む導電性ペースト等を使用して形成することができる。
上記では、図1に示す熱電変換素子の態様について述べたが、上述したp型熱電変換層およびn型熱電変換層が含まれ、両者のイオン化ポテンシャルの差が所定の範囲であれば、熱電変換素子の構成は特に制限されない。
例えば、図2に示すように、p型熱電変換層14aとn型熱電変換層16aとが直接接触していてもよい。
なお、熱電変換素子は、例えば、図3に示すように、基板12上に、複数のp型熱電変換層14と複数のn型熱電変換層16とを交互に配置し、これらを電極とで直列接続することによって、より高い電圧を得ることができる。
図3に示すように、本発明においては、複数の熱電変換素子を電気的に接続させ、いわゆるモジュール(熱電変換モジュール)を構成してもよい。
[熱電発電用物品]
本発明の熱電発電用物品は、本発明の熱電変換素子を用いた熱電発電用物品である。
ここで、熱電発電用物品としては、具体的には、温泉熱発電機、太陽熱発電機、もしくは廃熱発電機等の発電機、または、腕時計用電源、半導体駆動電源、もしくは小型センサー用電源等の電源が挙げられる。また、本発明の熱電発電用物品は、ペルチェ素子として冷却または温度制御等に用いることもできる。
すなわち、上述した本発明の熱電変換素子は、これらの用途に好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに制限されるものではない。
[実施例1]
(p型熱電変換層の作製)
メカニカルホモジナイザー(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENiZER HF93)を用いて、単層CNT40mg(OCSiAl社製Tuball)とアセトン32mLとを18000rpmで5分間混合して、分散液を得た。次に、PTFE(polytetrafluoroethylene)製のメンブレンフィルターを設置したグラスフィルターと吸引瓶とを用いて、上記分散液を減圧濾過することにより、メンブレンフィルター上にCNT膜を得た。得られたCNT膜を1cm×3cmのサイズにカットした。
カットされたCNT膜を、9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液5.3mLに浸漬した。25℃で2時間にわたってCNT膜を上記メタノール溶液に浸漬した後、CNT膜をメタノール溶液から引き上げ、得られたCNT膜をメタノールでリンスした。次に、リンスされたCNT膜を真空下にて30℃で2時間乾燥して、p型のCNT膜(p型熱電変換層に該当)を得た。
(n型熱電変換層の作製)
ピリジン塩酸塩を塩化メチルトリオクチルアンモニウムに変えた以外は、(p型熱電変換層の作製)と同様の手順に従って、n型のCNT膜(n型熱電変換層に該当)を得た。
(pn接合素子の作製)
図1に示すように、p型のCNT膜(p型熱電変換層14)とn型のCNT膜(n型熱電変換層16)とをポリイミド基板の上に置き、両面テープにて固定した。図1に示すような電極(第1の電極18a、第2の電極18b、第3の電極18c)が形成されるように銀ペーストを塗布した。次に、銀ペーストが塗布されたポリイミド基板を120℃で1時間乾燥して、p型のCNT膜およびn型のCNT膜が電気的に接続されたpn接合素子(熱電変換素子に該当)を得た。
[実施例2]
メカニカルホモジナイザー(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENiZER HF93)を用いて、単層CNT40mg(OCSiAl社製Tuball)とアセトン32mLとを18000rpmで5分間混合して、分散液を得た。次に、PTFE(polytetrafluoroethylene)製のメンブレンフィルターを設置したグラスフィルターと吸引瓶とを用いて、上記分散液を減圧濾過することにより、メンブレンフィルター上にCNT膜を得た。CNT膜を幅1cmのコの字型にカットした。
得られたコの字型のCNT膜を、中心から半分の一方を9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液に浸漬し、片方を9.4mMの塩化メチルトリオクチルアンモニウムのメタノール溶液に同時に浸漬した。25℃で2時間にわたってCNT膜を上記2種のメタノール溶液に浸漬した後、CNT膜をメタノール溶液から引き上げ、得られたCNT膜をメタノールでリンスした。次に、リンスされたCNT膜を真空下にて30℃で2時間乾燥して、図2に示すように、ポリイミド基板(基板12)上に配置して、図2に示すような電極(第1の電極18a、第2の電極18b)が形成されるように、CNT膜の端部に銀ペーストを塗布した。次に、銀ペーストが塗布されたポリイミド基板を120℃で1時間乾燥して、p型のCNT膜(p型熱電変換層14a)およびn型のCNT膜(n型熱電変換層16a)が電気的に接続されたpn接合素子(熱電変換素子に該当)を得た。
[実施例3]〜[実施例7]、[実施例9〜11]、[実施例13〜15]、[実施例19〜実施例25]、[実施例29〜実施例42]、[実施例44〜実施例46]
表1に記載の素材に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例8]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を0.1mMのピレンメチルアミン塩酸塩のメタノール溶液にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例12]
ピリジン塩酸塩を塩化ナトリウムにかえ、溶媒をメタノールから水−メタノール(1:1)の混合溶媒にかえ、塩化メチルトリオクチルアンモニウムを臭化テトラオクチルアンモニウムにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例16]
ピリジン塩酸塩をカルシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(濃度0.25質量%)にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例17]
ピリジン塩酸塩をマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(濃度0.25質量%)にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例18]
ピリジン塩酸塩をビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド亜鉛(II)(濃度0.25質量%)にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例26]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を1mMの(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファートのメタノール溶液にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例27]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を1mMのトリメチルオキソニウムテトラフルオロボラートのメタノール溶液にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例28]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を1mMのトリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートのメタノール溶液にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例43]
(p型熱電変換層の作製)
メカニカルホモジナイザー(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENiZER HF93)を用いて、単層CNT40mg(OCSiAl社製Tuball)とアセトン32mLとを18000rpmで5分間混合して、分散液を得た。次に、PTFE製のメンブレンフィルターを設置したグラスフィルターと吸引瓶とを用いて、上記分散液を減圧濾過することにより、メンブレンフィルター上にCNT膜を得た。得られたCNT膜を50℃で30分、120℃で30分乾燥後、1cm×3cmのサイズにカットした。
カットされたCNT膜を、2質量%の[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのエタノール溶液5.3mLに浸漬し、窒素置換した。上記エタノール溶液にアゾビスイソブチロニトリルを0.7mg加え、加熱還流条件で2時間重合させた。重合終了後、エタノール溶液からCNT膜を引き上げ、CNT膜をメタノールでリンスした。次に、リンスされたCNT膜を真空下にて30℃で2時間乾燥して、以下のポリマー1を含むp型のCNT膜を得た。
得られたp型のCNT膜を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[比較例1]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を、38mMのピレンメチルアミン塩酸塩のメタノール溶液にかえ、塩化メチルトリオクチルアンモニウムを水酸化テトラオクチルアンモニウムにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[比較例2]
ピリジン塩酸塩をテトラシアノキノジメタン(TCNQ)にかえ、塩化メチルトリオクチルアンモニウムを水酸化テトラオクチルアンモニウムにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[比較例3]
ピリジン塩酸塩溶液に浸漬しなかったこと、および、塩化メチルトリオクチルアンモニウムを水酸化テトラブチルアンモニウムにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
<各種評価>
(イオン化ポテンシャルの差分の測定)
大気下にて、大気中光電子分光装置(AC−2、理研計器社製)により各実施例および各比較例におけるp型のCNT膜(p型熱電変換層)とn型のCNT膜(n型熱電変換層)とのイオン化ポテンシャル(フェルミ準位)をそれぞれ測定し、下記式に従って、イオン化ポテンシャル(Ip)の差分を算出した。
Ipの差分=(p型熱電変換層のIp)−(n型熱電変換層のIp)
なお、上記イオン化ポテンシャルの測定方法は、光量20nW、測定間隔0.05eV、測定範囲:4〜5.5eV、べき乗:0.5の装置条件にて行い、得られたグラフ(縦軸:eV、横軸:光量)においてグラフの平坦部(ベースライン)と回帰直線との交点を、イオン化ポテンシャル(光電子放出の閾値)とした。
(素子性能:発電量)
各実施例および各比較例にて得たpn接合素子を用いて、図4に示す、測定装置を作製した。
具体的には、図4に示すように、ポリイミド基板100と熱電変換層102(p型熱電変換層およびn型熱電変換層)とを含むpn接合素子104中の熱電変換層102側に、アラミドフィルム106を配置して、熱電変換素子108を作製した。次に、熱電変換素子108の一端側(図1中の第1の電極18aおよび第2の電極18b側)を効率的に加熱できるように、熱電変換素子108の一端を、ホットプレート110上に配置した銅プレート112で挟みこんで固定した。
次に、熱電変換素子108の両端における取り出し電極(図示せず)にソースメーター(ケースレーインスツルメンツ社製)の端子(図示せず)を取り付け、ホットプレート110の温度を100℃で一定に保って、熱電変換素子108に温度差を付与した。
熱電変換素子108の電流−電圧特性を測定し、短絡電流および開放電圧を測定した。測定結果から、「(発電量)=[(電流)×(電圧)/4]」によって発電量を算出した。
上記手順に従って、10個の熱電変換素子108を製造し、それぞれについて発電量を算出した。得られたそれらの値を算術平均して平均発電量を算出し、下記式より、規格化発電量を算出し、下記基準で評価した。
なお、基準比較例には比較例1を用いた。
(規格化発電量)=(各実施例または各比較例のpn接合素子の平均発電量)/(比較例1のpn接合素子の平均発電量)
A:規格化発電量が1.5以上
B:規格化発電量が1.1以上1.5未満
C:規格化発電量が1.1未満
(素子性能:発電量のばらつき)
各実施例および各比較例のpn接合素子を10個作製し、上記(素子性能:発電量)と同様の手順に従って、各熱電変換素子の発電量を測定した。得られた発電量の最小値と最大値を用いて、下記式より発電量のばらつきを算出し、以下の基準で評価した。
発電量のばらつき=(最小発電量)/(最大発電量)
A:発電量のばらつきが0.9以上
B:発電量のばらつきが0.7以上0.9未満
C:発電量のばらつきが0.7未満
(素子性能:耐久性)
各実施例および各比較例のpn接合素子をそれぞれ、100℃の恒温槽に一週間保管した。次に、保管前のpn接合素子および保管後のpn接合素子を用いて、上記(素子性能:発電量)と同様の手順に従って、各熱電変換素子の平均発電量を測定し、下記式より発電量保持率を算出し、以下の基準で評価した。
発電量保持率=(100℃で一週間保管した場合の平均発電量)/(作製直後の平均発電量)
A:発電量保持率が0.8以上
B:発電量保持率が0.6以上0.8未満
C:発電量保持率が0.6未満
表1中、「Ipの差分/eV」は、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差分を表す。
また、表1中の「p型熱電変換層」欄の「pKa」において、実施例1〜9、19〜46、比較例1では「オニウム塩」に含まれるアニオンの共役酸のpKaを示し、実施例10〜18では「無機塩」に含まれるアニオンの共役酸のpKaを示す。
また、表1中の「n型熱電変換層」欄の「pKa」においては、各実施例および比較例の「オニウム塩」に含まれるアニオンの共役酸のpKaを示す。
上記表1に示すように、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が0.15eV以下である実施例1〜46においては、所望の効果が得られることが確認された。
なかでも、実施例19〜22と実施例23〜28とを比較すると、式(1A)中のZ11が窒素原子の場合、より効果が優れることが確認された。また、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が0.10eV以下の場合、より効果が優れることが確認された。
また、実施例1と、実施例29〜35とを比較すると、p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとn型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が0.04〜0.10eVの場合、より効果が優れることが確認された。
一方で、所定のIpの差分を示さない比較例1および2、並びに、p型熱電変換層を用いていない比較例3では、所望の効果が得られなかった。
[実施例47]
(p型熱電変換層の作製)
メカニカルホモジナイザー(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENiZER HF93)を用いて、グラフェン(商品名「グラフェンナノプレートレット」東京化成社製)40mgとアセトン32mLとを18000rpmで5分間混合して、分散液を得た。次に、PTFE製のメンブレンフィルターを設置したグラスフィルターと吸引瓶とを用いて、上記分散液を減圧濾過することにより、メンブレンフィルター上にグラフェン膜を得た。得られたグラフェン膜を50℃で30分、120℃で30分乾燥後、1cm×3cmのサイズにカットした。
カットされたグラフェン膜を9.4mMのピリジン塩酸塩(東京化成社製)のメタノール溶液5.3mLに浸漬した。25℃で2時間にわたってグラフェン膜を上記メタノール溶液に浸漬した後、グラフェン膜をメタノール溶液から引き上げ、得られたグラフェン膜をメタノールでリンスした。次に、リンスされたグラフェン膜を真空下にて30℃で2時間乾燥して、p型のグラフェン膜を得た。
(n型熱電変換層の作製)
ピリジン塩酸塩を塩化メチルトリオクチルアンモニウムに変えた以外は、(p型熱電変換層の作製)と同様の手順に従って、n型のグラフェン膜(n型熱電変換層に該当)を得た。
p型のCNT膜のかわりに上記p型のグラフェン膜を、n型のCNT膜のかわりに上記n型のグラフェン膜を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[比較例4]
9.4mMのピリジン塩酸塩のメタノール溶液を38mMのピレンメチルアミン塩酸塩のメタノール溶液にかえ、塩化トリメチルアンモニウムを水酸化テトラオクチルアンモニウムにかえた以外は、実施例47と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
上記実施例47および比較例4にて得られたpn接合素子を用いて、上述した手順に従って、素子性能(発電量、ばらつき、耐久性)を評価した。なお、基準比較例としては、比較例4を用いた。結果を表2に示す。
上記表2に示すように、グラフェンを用いた場合も、所望の効果が得られることが確認された。
[実施例48]
単層CNTを二層CNTにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例49]
単層CNTを多層CNTにかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
上記実施例1と47〜49にて得られたpn接合素子を用いて、上述した手順に従って、素子性能(発電量、ばらつき、耐久性)を評価した。
実施例1と47〜49では、いずれも所望の効果が得られることが確認された。なかでも、実施例1と47〜49の結果を比較すると、ナノ炭素材料として、二層CNT、単層CNTを用いた場合、発電量がより優れることかが確認され、さらに、単層CNTを用いた場合、発電量がさらに優れることが確認された。
[実施例50]
実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例51]
真空下にて30℃で2時間の乾燥を、真空下にて100℃で3時間の乾燥にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[実施例52]
真空下にて30℃で2時間の乾燥を、真空下にて150℃で1時間の乾燥にかえた以外は、実施例1と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
[比較例5]
ピリジン塩酸塩のメタノール溶液に浸漬しなかったこと以外は、実施例50と同様の手順に従って、pn接合素子を得た。
上記実施例50〜52および比較例5にて得られたpn接合素子を用いて、上述した手順に従って、素子性能(発電量、ばらつき、耐久性)を評価した。なお、基準比較例としては、比較例5を用いた。結果を表3に示す。
上記表3に示すように、乾燥条件を変更しても、所望の効果が得られることが確認された。
10,10a,108 熱電変換素子
12 基板
14,14a p型熱電変換層
16,16a n型熱電変換層
18a 第1の電極
18b 第2の電極
18c 第3の電極
100 ポリイミド基板
102 熱電変換層
104 pn接合素子
106 アラミドフィルム
110 ホットプレート
112 銅プレート

Claims (9)

  1. p型熱電変換層と、前記p型熱電変換層と電気的に接続されたn型熱電変換層とを有する熱電変換素子であって、
    前記p型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩および無機塩からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、
    前記n型熱電変換層が、ナノ炭素材料と、オニウム塩とを含み、
    前記p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルと前記n型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.15eV以下である、熱電変換素子。
  2. 前記p型熱電変換層に含まれる前記オニウム塩が、式(1A)で表されるオニウム塩〜式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種であるか、または、前記式(1A)で表されるオニウム塩〜前記式(1D)で表されるオニウム塩からなる群から選択される1種から1個の水素原子を除いた残基を有するポリマーであり、
    前記無機塩のアニオンの共役酸のpKaが−3以下であり、
    前記n型熱電変換層に含まれる前記オニウム塩が、式(2)で表されるオニウム塩である、請求項1に記載の熱電変換素子。
    式(1A)中、
    11は、窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子、または、ハロゲン原子を表す。
    11が窒素原子またはリン原子の場合、m11およびm12はともに1であり、Z11が硫黄原子、酸素原子または炭素原子の場合、m11は1、m12は0であり、Z11がハロゲン原子の場合、m11およびm12はともに0である。
    11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。
    11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。
    但し、Z11が窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子であって、かつ、X11-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R11〜R14のうち少なくとも3つは、水素原子、または、炭素数7以下の有機基である。
    但し、Z11がハロゲン原子であって、かつ、X11-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R11およびR12は炭素数7以下の有機基である。
    式(1B)中、
    12は、窒素原子、または、酸素原子を表す。
    12が窒素原子の場合、pは1であり、Z12が酸素原子の場合、pは0である。
    11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。
    21は、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。Y11〜Y15は、それぞれ独立に、窒素原子または=CR61−を表す。R61は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、ホルミル基、チオエステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。
    但し、X11-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R21は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基である。
    式(1C)中、
    13は、窒素原子、酸素原子、または、硫黄原子を表す。
    13が窒素原子の場合、qは1であり、Z13が酸素原子または硫黄原子の場合、qは0である。
    11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。
    31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。Y21〜Y23は、それぞれ独立に、窒素原子または=CR61−を表す。R61は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、ホルミル基、チオエステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。
    但し、X11-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R31およびR32は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基である。
    式(1D)中、
    11-は、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを表す。
    41およびR42は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。Y31およびY32は、それぞれ独立に、−C(R622−、−NR63−、−O−、−C(=O)−、−CO2−、−S−、−SO−、または、−SO2−を表す。R62は、水素原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。R63は、水素原子、脂肪族炭化水素基、アラルキル基、アリール基、または、へテロ環基を表す。
    nは1〜18の整数を表す。
    但し、X11-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3の場合、R41およびR42は、水素原子、または、炭素数7以下の有機基である。
    式(2)中、
    21は窒素原子、リン原子、硫黄原子、または、酸素原子を表す。
    21が窒素原子またはリン原子の場合、rは1であり、Z21が硫黄原子または酸素原子の場合、rは0である。
    21-は、共役酸のpKaが−10以上であるアニオンを表す。
    51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、へテロ環基、および、これらの基を2つ以上組み合わせた基からなる群から選択される有機基を表す。
    但し、X21-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3.7の場合、R51〜R54のうち少なくとも3つが、炭素数8以上の有機基である。
  3. 前記p型熱電変換層が、Z11が窒素原子である前記式(1A)で表されるオニウム塩、Z12が窒素原子である前記式(1B)で表されるオニウム塩、Z13が窒素原子である前記式(1C)で表されるオニウム塩、前記式(1D)で表されるオニウム塩、および、共役酸のpKaが−3以下であるアニオンを含む無機塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記式(2)で表されるオニウム塩のZ21が窒素原子である、請求項2または3に記載の熱電変換素子。
  5. 前記式(2)におけるX21-で表される前記アニオンの共役酸のpKaが−10〜−3である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記p型熱電変換層に含まれる前記ナノ炭素材料および前記n型熱電変換層に含まれる前記ナノ炭素材料のいずれもが、カーボンナノチューブを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  7. 前記p型熱電変換層に含まれる前記ナノ炭素材料および前記n型熱電変換層に含まれる前記ナノ炭素材料のいずれもが、単層カーボンナノチューブを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  8. 前記p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルと前記n型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.10eV以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  9. 前記p型熱電変換層のイオン化ポテンシャルと前記n型熱電変換層のイオン化ポテンシャルとの差が、0.04〜0.10eVである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
JP2018527547A 2016-07-11 2017-07-05 熱電変換素子 Active JP6761473B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016136826 2016-07-11
JP2016136826 2016-07-11
PCT/JP2017/024700 WO2018012377A1 (ja) 2016-07-11 2017-07-05 熱電変換素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018012377A1 true JPWO2018012377A1 (ja) 2019-05-16
JP6761473B2 JP6761473B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=60952454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018527547A Active JP6761473B2 (ja) 2016-07-11 2017-07-05 熱電変換素子

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10991868B2 (ja)
JP (1) JP6761473B2 (ja)
WO (1) WO2018012377A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2579864A (en) 2018-12-18 2020-07-08 Univ Limerick Improvements relating to thermoelectric materials
JP6600108B1 (ja) * 2019-01-07 2019-10-30 有限会社Icea 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール
DE102019104062B3 (de) * 2019-02-18 2020-07-16 Skenderbeg Klaiqi Thermoelektrisches Element und Verfahren zur Herstellung
JP7474482B2 (ja) 2020-05-29 2024-04-25 国立研究開発法人産業技術総合研究所 熱電変換素子および熱電変換素子の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009023906A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Samsung Electronics Co Ltd 還元剤を用いて電子が注入されたcnt、その製造方法およびそれを利用した電気素子
JP2013095820A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Fujifilm Corp 導電性組成物、並びにこれを用いた導電性膜及び導電性積層体
JP2015012236A (ja) * 2013-07-01 2015-01-19 富士フイルム株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JP2016009851A (ja) * 2014-06-26 2016-01-18 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 ナノ材料−ドーパント組成物複合体の製造方法、ナノ材料−ドーパント組成物複合体およびドーパント組成物
JP2016513369A (ja) * 2013-02-14 2016-05-12 ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスターThe University Of Manchester グラフェンを含む熱電材料およびデバイス

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2630670B1 (en) * 2010-10-18 2015-07-01 Wake Forest University Thermoelectric apparatus and applications thereof
US20140302296A9 (en) * 2012-09-24 2014-10-09 C3Nano Inc. Transparent conductive films with carbon nanotubes, inks to form the films and corresponding processes
JP6340077B2 (ja) * 2014-06-26 2018-06-06 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 ナノ材料−ドーパント組成物複合体の製造方法、ナノ材料−ドーパント組成物複合体およびドーパント組成物
EP3322669A4 (en) * 2015-07-13 2019-03-20 Alliance for Sustainable Energy, LLC METHODS FOR PREPARING NETWORKS OF SINGLE WALL CARBON NANOTUBES

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009023906A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Samsung Electronics Co Ltd 還元剤を用いて電子が注入されたcnt、その製造方法およびそれを利用した電気素子
JP2013095820A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Fujifilm Corp 導電性組成物、並びにこれを用いた導電性膜及び導電性積層体
JP2016513369A (ja) * 2013-02-14 2016-05-12 ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスターThe University Of Manchester グラフェンを含む熱電材料およびデバイス
JP2015012236A (ja) * 2013-07-01 2015-01-19 富士フイルム株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JP2016009851A (ja) * 2014-06-26 2016-01-18 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 ナノ材料−ドーパント組成物複合体の製造方法、ナノ材料−ドーパント組成物複合体およびドーパント組成物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
NONOGUCHI, YOSHIYUKI ET AL.: "Systematic Conversion of Single Walled Carbon Nanotubes into n-type Thermoelectric Materials by Mole", SCIENTIFIC REPORTS, vol. 3:3344, JPN6017031856, 26 November 2013 (2013-11-26), pages 1 - 7, ISSN: 0004184257 *

Also Published As

Publication number Publication date
US20190112192A1 (en) 2019-04-18
US10991868B2 (en) 2021-04-27
WO2018012377A1 (ja) 2018-01-18
JP6761473B2 (ja) 2020-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xie et al. Stretchable all-solid-state supercapacitor with wavy shaped polyaniline/graphene electrode
JP6761473B2 (ja) 熱電変換素子
Maity et al. Optoelectronic and photovoltaic properties of graphene quantum dot–polyaniline nanostructures
TWI619275B (zh) 熱電轉換元件的製造方法及熱電轉換層用分散物的製造方法
JP6110818B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子ならびにこれを用いた熱電発電用物品およびセンサー用電源
JP6704577B2 (ja) カーボンナノチューブ−ドーパント組成物複合体の製造方法およびカーボンナノチューブ−ドーパント組成物複合体
WO2015050077A1 (ja) 熱電変換モジュール
JP6806898B2 (ja) 導電膜、熱電変換層、熱電変換素子、熱電変換モジュール、導電膜の製造方法、組成物
JP6771844B2 (ja) 熱電変換層、熱電変換層形成用組成物、熱電変換素子、熱電変換モジュール
JP6535106B2 (ja) 熱電変換層、熱電変換素子および熱電変換層形成用組成物
JP6283118B2 (ja) 熱電変換素子、n型熱電変換層、および、n型熱電変換層形成用組成物
WO2014119468A1 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
WO2014119469A1 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
TWI638463B (zh) 透明導電膜、染料敏化太陽能電池用光電極及觸控面板以及染料敏化太陽能電池
JP5931763B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
WO2014178284A1 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子、熱電発電用物品及びセンサー用電源
US10847704B2 (en) n-Type semiconductor layer, thermoelectric conversion layer, thermoelectric conversion element, thermoelectric conversion module, and composition for forming n-type semiconductor layer
JP5931762B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
JP6670382B2 (ja) p型半導体層、熱電変換層、熱電変換素子、熱電変換モジュール、及びp型半導体層形成用組成物
JP2015012261A (ja) 熱電変換素子
US10707398B2 (en) N-type thermoelectric conversion layer, thermoelectric conversion element, and composition for forming N-type thermoelectric conversion layer
WO2023058523A1 (ja) 熱電変換モジュール及びその製造方法
JP2024052591A (ja) センサー素子及びガスセンサー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200811

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6761473

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250