JPWO2018012229A1 - 画像処理装置及び方法、プログラム、並びにインクジェット印刷システム - Google Patents

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Abstract

布帛への印刷に際して風合いと滲み抑制とを両立し得る画像形成を可能とする画像処理装置及び方法、プログラム、並びにインクジェット印刷システムを提供する。画像処理装置12は、被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報42と、布帛に印刷する絵柄の画像データ40と、を取り込み、布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像44を基材情報42及び画像データ40に基づいて生成する。

Description

本発明は画像処理装置及び方法、プログラム、並びにインクジェット印刷システムに係り、特にインクジェット捺染に好適な画像形成技術に関する。
近年、布帛に対する印刷は、スクリーン印刷を利用した所謂アナログ印刷方式からインクジェット印刷を利用したデジタル印刷方式への転換が図られている。これはデジタル印刷方式の持つ特性であるプリント絵柄のデザイン自由度や小部数印刷への対応性など、従来のアナログ印刷方式に対するデジタル印刷方式の優位性が評価されることによる。その一方で、アナログ印刷はインクジェット印刷よりも滲み抑制の点で優れた画像を得ることができる。
アナログ印刷では滲みを抑制する捺染糊を含んだ捺染用インクを使用できるのに対し、インクジェット印刷ではインクの吐出安定性を重視する等の理由から、高粘度の捺染用インクを使用することが困難である。インクジェット印刷用のインクはアナログ印刷用のインクに比べて低粘度であり、布帛に浸透しやすく、滲みが生じ易い。インクジェット印刷においても滲みによる画質劣化を抑制する観点から、前処理液や顔料インクを利用した印刷方法が提案され(特許文献1及び2参照)、滲みを抑制する試みがなされている。
特開2011−37228号公報 特開平8−35182号公報
しかしながら、滲みの抑制を行う前処理液や顔料インクの影響により、捺染後の布帛の風合いが劣化するという問題がある。風合いとは、素材の手触りや質感を指す。画質を重視して滲みを抑制すると風合いが劣化し、風合いを重視すると滲みを十分に抑制できずに画質が低下する。風合いと滲み抑制はトレードオフの関係にあり、双方を十分なレベルで両立させることが困難となっている。特に、布帛の種類によってインクの滲み方、つまり、インクの濡れ広がり方は様々であり、多種多様の布帛に対して風合いと画質を両立させることは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、風合いと滲み抑制とを両立し得る画像形成を可能とする画像処理装置及び方法、プログラム、並びにインクジェット印刷システムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段として、次の発明態様を提供する。
第1態様に係る画像処理装置は、被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得手段と、布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得手段と、布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を基材情報及び画像データに基づいて生成する前処理液画像生成手段と、を備える画像処理装置である。
第1態様によれば、基材情報に基づき、布帛の種類ごとのインクの濡れ広がり方が勘案された前処理液画像を生成することができる。前処理液画像は前処理液付与位置と前処理液非付与位置とを規定する情報を含んでおり、この前処理液画像を基に布帛への前処理液の付与を制御することによって、印刷する絵柄に応じた適切な位置に前処理液を付与することが可能となる。前処理液非付与位置に対する前処理液の付与が抑制されるため、風合いを保つことができる。これにより、風合いと滲み抑制とを両立させた印刷を実現できる。
第2態様として第1態様の画像処理装置において、基材情報は、繊維の材質を示す情報としての縦糸及び横糸の材質を特定する糸種情報を含む構成とすることができる。
第3態様として第1態様又は第2態様の画像処理装置において、基材情報には、織り方の種類を示す織り種情報と、糸の太さを示す太さ情報と、が含まれる構成とすることができる。
第4態様として第1態様から第3態様のいずれか一態様の画像処理装置において、ユーザから基材情報の入力操作を受け付ける操作手段と、基材情報を表示させる表示手段と、を備える構成とすることができる。
第5態様として第1態様から第4態様のいずれか一態様の画像処理装置において、前処理液画像生成手段は、基材情報を基に、前処理液の付与方向及び付与範囲の算出に用いる関数を決定する関数決定手段と、関数決定手段により決定された関数を用いて画像データに対応した前処理液付与位置及び前処理液の付与量を算出する演算処理手段と、を含む構成とすることができる。
第6態様として第5態様の画像処理装置において、複数種類の布帛について、予めそれぞれの布帛におけるインクの濡れ広がり方の特性を表す濡れ広がり情報が保持されており、関数決定手段は、基材情報に対応する濡れ広がり情報を利用することにより関数を決定する構成とすることができる。
第7態様として第6態様の画像処理装置において、濡れ広がり情報は、濡れ広がり方向と濡れ広がり範囲を表す情報を含んでいる構成とすることができる。
第8態様として第6態様又は第7態様の画像処理装置において、複数種類の布帛について、予めそれぞれの布帛のインクの濡れ広がり方の特性に対応した関数のデータを、濡れ広がり情報として記憶しておく関数データベース記憶手段を有し、関数決定手段は、関数データベース記憶手段に記憶されているデータを利用して基材情報に対応する関数を決定する構成とすることができる。
第9態様として第5態様から第8態様のいずれか一態様の画像処理装置において、関数決定手段は、関数として、方向依存性を有するエッジ強調フィルタを生成する構成とすることができる。
第10態様として第9態様の画像処理装置において、関数決定手段は、関数として、第1方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである第1方向フィルタと、第1方向に垂直な第2方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである第2方向フィルタと、を生成する構成とすることができる。
例えば、第1方向は縦糸方向とすることができ、第2方向は横糸方向とすることができる。
第11態様として第10態様の画像処理装置において、演算処理手段は、関数決定手段によって決定された関数を用いるフィルタ処理を行うフィルタ処理手段と、フィルタ処理によって得られる画像信号値の絶対値を取る絶対値処理を行う絶対値処理手段と、第1方向フィルタを用いたフィルタ処理の結果に対して絶対値処理を行うことによって生成される第1方向滲み抑制用前処理液画像と、第2方向フィルタを用いたフィルタ処理の結果に対して絶対値処理を行うことによって生成される第2方向滲み抑制用前処理液画像とを足し合わせる加算処理手段と、を含む構成とすることができる。
第12態様として第5態様から第11態様のいずれか一態様の画像処理装置において、画像データからグレースケール画像を生成するグレースケール画像生成手段を備え、演算処理手段は、グレースケール画像と関数決定手段によって決定された関数とを用いて前処理液画像を生成する構成とすることができる。
第13態様として第1態様から第12態様のいずれか一態様の画像処理装置において、前処理液画像から前処理液付与位置及び前処理液の付与量を規定する前処理液のドットパターン画像を生成するハーフトーン処理手段を備える構成とすることができる。
第14態様に係るインクジェット印刷システムは、第1態様から第13態様のいずれか一態様の画像処理装置と、布帛に対して前処理液画像から決定される前処理液付与位置に前処理液を付与する前処理液付与手段と、インクを吐出するインク吐出手段であって、布帛に対して画像データから決定されるインク付与位置にインクを付与するインク吐出手段と、前処理液付与手段及びインク吐出手段を制御する制御手段と、を備えるインクジェット印刷システムである。
第15態様に係るインクジェット印刷システムは、第14態様のインクジェット印刷システムにおいて、前処理液付与手段は、前処理液を吐出する前処理液吐出ヘッドを含んで構成され、前処理液付与位置に前処理液吐出ヘッドから前処理液の液滴を吐出することにより布帛に前処理液が付与される構成とすることができる。
第16態様に係る画像処理方法は、被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得ステップと、布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得ステップと、布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を基材情報及び画像データに基づいて生成する前処理液画像生成ステップと、を含む画像処理方法である。
第16態様において第2態様から第13態様にて特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像処理装置において特定される手段又は機能の要素は、これに対応する処理又は動作のステップの要素として把握することができる。
第17態様に係るプログラムは、コンピュータを、被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得手段と、布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得手段と、布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を基材情報及び画像データに基づいて生成する前処理液画像生成手段として機能させるためのプログラムである。
第17態様において、第2態様から第13態様にて特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像処理装置において特定される手段又は機能の要素は、これに対応する手段又は機能を実現するためのプログラムの要素として把握することができる。
本発明によれば、布帛の種類ごとのインクの濡れ広がり方の特性に合わせて、前処理液の付与位置と非付与位置とを適切に制御できるため、風合いと滲み抑制とを両立させることができる。
図1は実施形態に係るインクジェット印刷システムの構成を概略的に示したブロック図である。 図2は綿布にインクを滴下した際のインクの滲み具合を調べたインク滴下実験の結果を示す顕微鏡写真である。 図3は図2の破線で囲んだ領域を拡大した画像である。 図4は基材の材質の違いによる浸透距離の違いを示す印字実験の結果を示す写真である。 図5は基材に前処理液を付与した場合のインク浸透距離を調べたインク滴下実験の結果を示す顕微鏡写真である。 図6は基材に前処理液を付与しない場合のインク浸透距離を調べたインク滴下実験の結果を示す顕微鏡写真である。 図7は実施形態に係る画像処理装置における画像処理フローの概要を示すブロック図である。 図8は前処理液画像生成プロセスの内容を示した処理ブロック図である。 図9はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図10はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図11はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図12はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図13はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図14はフィルタ関数の具体例を示すグラフである。 図15は縦方向フィルタの一例を示す図である。 図16は横方向フィルタの一例を示す図である。 図17は再現目標としている出力画像と実際の出力画像との差異を説明するためのグラフである。 図18は目標としている出力画像の例である。 図19は実際に基材上に印刷された出力画像の例である。 図20は目標画像と実際画像のそれぞれの反射濃度を示すグラフである。 図21は目標画像と実際画像のそれぞれの近似関数を示すグラフである。 図22は目標画像の近似関数と実際画像の近似関数の差分を示すグラフである。 図23は図22に示された差分情報からの横軸を元画像の画素のサンプリング間隔に変換したグラフである。 図24は前処理液位置及び量算出処理の内容を概念的に示した説明図である。 図25はルーカス・ウォッシュバーンの式のパラメータに関する説明図である。 図26は糸の太さとインクの濡れ広がり距離の関係を模式的に示した説明図である。 図27は基材情報と前処理液印字パターン制御の関係を模式的に示した説明図である。 図28は目標とする印刷結果物を示す説明図である。 図29は実現したい画像の元になる元画像データを表す説明図である。 図30は前処理液を使用せずに印刷を実施した比較例の場合のイメージ図である。 図31は実施形態による印刷プロセスの一例を示すイメージ図である。 図32は実施形態による印刷プロセスの他の例を示すイメージ図である。 図33は実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。 図34は画像処理装置による画像処理の流れを示したフローチャートである。 図35はインクジェット印刷装置を用いた捺染プロセスの例を示すフローチャートである。 図36は画像処理装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。 図37はインクジェット印刷装置の他の構成例を示す図である。 図38はインクジェット印刷システムの制御系の構成を示すブロック図である。 図39は縦方向フィルタの他の例を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について詳説する。
[インクジェット印刷システムの概要]
図1は実施形態に係るインクジェット印刷システムの構成例を概略的に示したブロック図である。インクジェット印刷システム10は、画像処理装置12と、印刷制御装置14と、インクジェット印刷装置16と、を含んで構成される。インクジェット印刷装置16は、前処理液吐出ヘッド18と、インク吐出ヘッド20と、被印刷媒体である基材22を供給する基材供給部24と、基材搬送機構26と、基材回収部28と、を備える。
基材22は布帛である。「布帛」という用語は、テキスタイル(textile)基材、或いはファブリック(fabric)と同義である。「布帛」は、織物のみならず、編物及び不織布を含む概念の用語として用いる。基材22は、連続基材であってもよいし、1枚ずつ分離された基材であってもよい。
前処理液吐出ヘッド18は、前処理液の液滴を吐出するインクジェットヘッドである。「インクジェットヘッド」という用語は、インクジェット方式により液体を吐出する液体吐出ヘッドを意味し、吐出させる液体の種類はインクに限らず、前処理液その他の機能性液体である場合についても「インクジェットヘッド」という用語を用いる。本明細書においてインクジェットヘッドを単に「ヘッド」と記載する場合がある。前処理液は、基材22に対するインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料の成分を含有した液体である。
インク吐出ヘッド20は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色カラーインクを吐出するインクジェットヘッドである。色の表記に関して、シアンは「C」、マゼンタは「M」、イエローは「Y」、ブラックは「K」とそれぞれ表記される。インク吐出ヘッド20は、シアンのインクを吐出するCインク吐出ヘッド20Cと、マゼンタのインクを吐出するMインク吐出ヘッド20Mと、イエローのインクを吐出するYインク吐出ヘッド20Yと、ブラックのインクを吐出するKインク吐出ヘッド20Kと、を含んで構成される。
前処理液吐出ヘッド18及びインク吐出ヘッド20を構成するCMYKの各ヘッドは、液体の吐出口となる複数のノズルの開口が配列された吐出面を有する。吐出面は「ノズル面」と同義である。前処理液吐出ヘッド18及びインク吐出ヘッド20を構成するCMYKの各ヘッドは、記録信号に応じて吐出エネルギー発生素子を駆動することによりノズルから液滴を吐出するオンデマンド型のヘッドである。吐出エネルギー発生素子は例えば圧電素子である。
図1に例示のインクジェット印刷装置16は、前処理液吐出ヘッド18及びインク吐出ヘッド20を基材搬送方向と直交する基材幅方向に移動させて画像記録を行うシリアル走査方式のプリンタである。基材搬送方向とは基材22が搬送される方向であり、基材22の送り方向である。
前処理液吐出ヘッド18とインク吐出ヘッド20はキャリッジ30に搭載されている。インクジェット印刷装置16は、キャリッジ駆動機構32を有している。キャリッジ駆動機構32は、キャリッジ30を基材搬送方向と直交する基材幅方向に往復移動可能に支持する機構である。キャリッジ駆動機構32には、図示されない動力源となるモータ及び伝動装置並びにエンコーダ等のセンサが含まれる。
なお、前処理液吐出ヘッド18とインク吐出ヘッド20とは別々のキャリッジに搭載されていてもよい。また、シリアル走査方式に限らず、前処理液吐出ヘッド18又はインク吐出ヘッド20にラインヘッドを用いるライン走査方式のインクジェット印刷装置を採用してもよい。
基材搬送機構26は、基材供給部24から供給される基材22を搬送するための機構である。基材搬送機構26には、図示されない動力源となるモータ及び伝動装置並びに基材22の位置を検出するセンサが含まれる。
基材回収部28は、印刷が行われた基材22を回収する。例えば、ロールツーロール方式によって基材22が搬送される構成の場合の基材回収部28は、連続基材を巻き取る巻取側の機構部を含む。或いはまた、1枚ずつ分離された基材22が搬送される構成の場合の基材回収部28は、印刷済みの基材22が排出される基材排出部であってもよい。
また、インクジェット印刷装置16は、基材22に付与した前処理液及びインクを乾燥させる処理を行うための図示されない乾燥部を備えてもよい。図示されない乾燥部はキャリッジ30に搭載されてもよいし、キャリッジ30に非搭載の構成であってもよい。また、乾燥部として、前処理液の乾燥処理を行う第1乾燥部と、インクの乾燥処理を行う第2乾燥部とを別々に備えてもよい。
画像処理装置12には、画像データ40と基材情報42とが入力される。画像データ40は、基材22に印刷しようとする絵柄の電子画像データである。基材情報42は、印刷に用いる基材22に関する情報である。画像処理装置12は、入力された画像データ40と基材情報42とを基に画像データ40を処理して、インクジェット印刷装置16による前処理液の付与位置及び非付与位置を特定する前処理液画像情報を生成する。また、画像処理装置12は、入力された画像データ40から、インクジェット印刷装置16によるCMYK各色のインクの付与位置及び非付与位置を特定する色成分ごとの画像情報を生成する。
画像処理装置12はコンピュータのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現することができる。ソフトウェアはプログラムと同義である。また、画像処理装置12の処理機能の一部又は全部は集積回路によって実現することができる。画像処理装置12は印刷制御装置14と接続される。印刷制御装置14はインクジェット印刷装置16と接続される。
「接続される」とは、情報の伝達が可能な関係をいい、接触接続、非接触接続を問わない。接続は、例えば、対応する端子同士の接触接続、有線接続、無線接続、光通信接続、又はこれらの適宜の組み合わせを包含する用語である。また、接続には、図示せぬ電気通信回線を介して接続されるネットワーク接続の形態も含まれる。
印刷制御装置14は、画像処理装置12によって生成された画像情報を基に、インクジェット印刷装置16の印刷動作を制御する。印刷制御装置14は、基材搬送機構26と、キャリッジ駆動機構32との駆動を制御し、かつ、前処理液吐出ヘッド18及びインク吐出ヘッド20の各ヘッドの吐出動作を制御して、基材22に所望の画像を記録させる。
なお、印刷制御装置14は、画像処理装置12と別体の制御装置として構成されてもよいし、画像処理装置12と共に一台の制御装置として構成されてもよい。
Cインク吐出ヘッド20C、Mインク吐出ヘッド20M、Yインク吐出ヘッド20Y及びKインク吐出ヘッド20Kの各々は「インク吐出手段」の一形態に相当する。前処理液吐出ヘッド18は「前処理液付与手段」の一形態に相当する。
[テキスタイル捺染におけるインクの滲みの問題]
テキスタイル基材に印刷を行うと滲みが顕著に発生する。また、テキスタイル基材の構造及び糸の材質に依存して滲み方は変わる。テキスタイル基材の構造に関する要素には、例えば、縦糸と横糸の組み合わせ方を表す織り方、縦と横のそれぞれの糸の密度、並びに、縦糸と横糸のそれぞれの糸の太さなどが含まれる。
図2は綿布にインクを滴下した際のインクの滲み具合を調べたインク滴下実験の結果を示す顕微鏡写真である。図2のインク滴下実験においては前処理液を用いておらず、綿布34に前処理液を付与せずに、綿布34にマイクロシリンジからインクを直接滴下した際のインクの濡れ広がり方を観察した。図2に例示した綿布34は縦糸方向にインクが濡れ広がり易い性質があり、綿布34に滴下されたインクは綿布34上で円形に濡れ広がらず、横糸方向よりも縦糸方向に大きく濡れ広がり、縦糸方向に長く伸びた形状に濡れ広がっている。
図3は図2の破線で囲んだ領域35を拡大した画像である。図3に示すように、本例示の綿布34では、横糸36に比べて縦糸38の浸透距離が長い。また、図3中の破線円39で囲んだ領域から把握されるように、縦糸38から横糸36へのインクの浸透が発生している。
図4は基材の材質の違いによる浸透距離の違いを示す印刷実験の結果を示す顕微鏡写真である。図4の印刷実験においても前処理液は用いていない。図4の左側の顕微鏡写真は、綿布にインクジェット印刷した結果であり、図4の右側の顕微鏡写真はポリエステル布にインクジェット印刷した結果である。両者は同じ長方形パターンの印刷を実施したものであり、2つの顕微鏡写真の画像位置、視野範囲、及び拡大倍率は同じである。両者を比較すると分かるように、綿に比べてポリエステルの方がインクの浸透距離が長い。
図5及び図6は前処理液の有無による浸透距離の違いを調べたインク滴下実験の結果を示す顕微鏡写真である。テキスタイル基材に前処理液を付与する処理は「前処理」或いは「プレコート処理」と呼ばれる。前処理液は「プレコート液」とも呼ばれる。図5はプレコート処理有りの場合のインクの濡れ広がり結果を示している。図6はプレコート処理無しの場合のインクの濡れ広がり結果を示している。図5と図6のインク滴下実験では同種の綿布34を用いている。なお、既に示した図2は図6の一部分である。
図6に示すように、プレコート処理無しの場合には、インクは縦糸方向及び横糸方向に浸透し、かつ、横糸方向に比べて縦糸方向のインク浸透距離が長くなる。その結果、インクの濡れ広がり形状は縦糸方向に長く伸びた略楕円形となる。
これに対し、図5のインク滴下実験では綿布34の印字面に前処理液を一様に塗布して、前処理液が付与された状態の綿布34にインクを滴下した。図5に示すように、プレコート処理有りの場合には、平面方向へのインクの浸透が抑制され、インクの濡れ広がり形状は略円形となる。
図5と図6を比較すると明らかなように、プレコート処理有りの場合のインクの濡れ広がり範囲の長さDは、プレコート処理なしの場合のインクの濡れ広がり範囲の長さDに比べて短い。プレコート処理は滲みの抑制に効果的である一方、前処理液が付与された基材は硬くなり、風合いを損ねる。また、前処理液を用いて滲みを抑制する場合、通常は印刷後に、基材に付着している余分な前処理液の成分を洗い落とす洗浄工程が行われる。洗浄工程では大量の水を消費するという問題もある。
本開示では風合いと画質を両立させ、特に、各種基材の種類に依存する縦糸方向及び横糸方向の濡れ広がり方の違いに対応して、風合いと画質を両立させる画像形成技術を提案する。
[実施形態における画像形成技術の説明]
図7は実施形態に係る画像処理装置12における画像処理フローの概要を示すブロック図である。画像処理装置12は、テキスタイル基材の種類ごとのインクの濡れ広がり方の特性を勘案して、インクの濡れ広がりによる画質劣化を軽減するように、前処理液の印字パターンを決定するための前処理液画像生成プロセスP110を実施する。
すなわち、画像処理装置12は、画像データ40と基材情報42とを基に、滲み抑制に効果的な前処理液画像44を生成する前処理液画像生成プロセスP110を実行する機能を有する。前処理液画像44は、前処理液を付与する前処理付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定するパターンを表す画像情報である。前処理液画像44から前処理液の印字パターンが特定される。前処理液の印字パターンとは、前処理液の付与位置、付与量及び非付与位置が規定される前処理液付与パターンを意味する。
前処理液の印字パターンは、印刷しようとする絵柄の画像データ40と、被印刷媒体である基材22の基材情報42に応じて決定される。前処理液画像生成プロセスP110の詳細な内容については後述する。
画像処理装置12に入力される画像データ40のデータ形式は特に限定されない。本実施形態の画像データ40は、画素ごとにC、M、Y、及びKの各カラー成分の信号値が定められたCMYK画像であるとする。CMYK画像は、画素ごとにCの信号値、Mの信号値、Yの信号値、Kの信号値を有しているデジタル画像を指す。各色成分の信号値は、それぞれ8ビット、つまり0−255階調の信号値で表されるものとする。信号値は画素値とも呼ばれる。もちろん、画像データ40は、CMYK画像に限らず、例えば、画素ごとに、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の各カラー成分の信号値が定められたRGB画像などであってもよいし、CMYK信号と特色信号の組み合わせの形式などでもよい。また、画像信号の階調数(ビット数)についてもこの例に限らない。なお、画像データがRGB画像で与えられる場合は、RGBの色空間からCMYKの色空間に変換する色変換処理によってCMYK画像に変換することができる。画像処理装置12は色変換処理の機能を備えていてもよい。
本例では基材情報42として、縦糸及び横糸の糸の種類情報と、糸の太さ情報と、織り方の種類の情報と、を用いる。糸の種類情報とは、繊維の材質、つまり糸の種類に関する情報である。糸の種類は、「糸種」、「繊維種」、「基材種」などの用語で表現される場合がある。
代表的な糸の種類として、例えば、綿、ポリエステル、ウール、シルク、麻、レーヨン、又はアクリルなどを挙げることができる。糸は、純糸に限らず、混紡糸又は交撚糸であってもよい。縦糸と横糸とが同じ糸種である布帛については、縦糸又は横糸の一方の糸の種類情報が特定されればよい。交織の布帛のように縦糸の糸種と横糸が異なる布帛については、縦糸と横糸のそれぞれの糸の種類情報が特定されることが好ましい。
糸の太さは、例えば、「番手」と呼ばれる番号によって表される。番手は、数字が大きいほど糸の太さは細くなる。なお、糸の太さを表す単位は、番手に限らず、テックス又はデニールなどであってもよい。
織り方の種類には、縦糸と横糸の組み合わせにより、平織、綾織、及び繻子織などがある。織り方の種類を「織り種」という、織り方の種類の情報を「織り種情報」という。なお、織り種情報には、織物以外の編物や不織布などの種類を特定する情報が含まれてもよい。
前処理液画像44は、前処理液吐出ヘッド18によって描画する絵柄を表すデジタル画像データである。前処理液画像44は、例えば、各画素8ビットの信号値で表されるモノクロの連続調画像データである。前処理液画像44を基に、前処理液を付与する画像位置及び付与量が決定される。
また、画像処理装置12は、画像データ40をC,M,Y,Kの4色の各色画像に分解する分版処理P120を行う機能を有する。「分版」とは、インクジェット印刷装置16で使用するインクの色成分ごとにそれぞれ独立した画像データに分けることを指す。分版処理P120によって生成されるC画像、M画像、Y画像及びK画像を分版画像46という。図7において分版画像46は「C/M/Y/K画像」と表記されている。
画像処理装置12は、前処理液画像44及び分版画像46のそれぞれの画像に対してハーフトーン処理P130を行う機能を有する。ハーフトーン処理P130は、予め定められたハーフトーン処理規則にしたがい、連続階調の画像からドットパターン画像に変換する処理である。ハーフトーン処理P130では、例えば、0から255までの多階調数で表された画像データが、2値、又は入力画像データの階調数未満の3値以上の多値で表されるドットデータに変換される。ドットデータはドットの配置パターンを表すドットパターン画像のデータであり、ここでは、画素ごとのドットの有無を表す2値画像として説明する。
ハーフトーン処理P130によって各版の2値画像48が得られる。「各版の2値画像48」とはC、M、Y、K及び前処理液のそれぞれの版に相当するインクジェット出力に対応するドット配置を表すドットパターン画像を意味する。インクジェット印刷は無版印刷であるものの、Cインク吐出ヘッド20C、Mインク吐出ヘッド20M、Yインク吐出ヘッド20Y、Kインク吐出ヘッド20K及び前処理液吐出ヘッド18のそれぞれのヘッドによる印刷は「版」の概念を拡張して理解することができる。
ハーフトーン処理P130では、ディザ法又は誤差拡散法などのハーフトーンアルゴリズムを用いることができる。前処理液画像44に対するハーフトーン処理と、C、M、Y及びKの各々の分版画像46に対するハーフトーン処理とは、同じハーフトーン処理規則を適用してもよいし、異なるハーフトーン処理規則を適用してもよい。画像記録条件や印刷する絵柄に応じてハーフトーン処理規則が変更されてもよい。ハーフトーン処理規則は、ハーフトーンアルゴリズムとハーフトーンパラメータとの組み合わせによって特定される。ディザ法におけるハーフトーンパラメータとして、例えば、ディザマスクのサイズ及び閾値などがある。誤差拡散法におけるハーフトーンパラメータとして、例えば誤差拡散マトリクスのサイズ及び拡散係数などがある。
前処理液画像44をハーフトーン処理することにより、前処理液の印字パターンが決定される。C、M、Y及びKの各々の分版画像46をハーフトーン処理することにより、C、M、Y及びKの各色インクの印字パターンが決定される。
図8は前処理液画像生成プロセスP110の内容を示したブロック図である。図8において図7に示した構成と同一の要素には同一の符号が付されている。
前処理液画像生成プロセスP110は、前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112と、前処理液位置及び量算出処理P114と、を含む。前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112は、予め定められた関数生成ルールに従い、基材情報42から前処理液方向及び範囲算出関数50を生成する処理である。ここでいう「関数」はフィルタ関数を指す。前処理液方向及び範囲の「方向」とは、インクの濡れ広がりの方向に対応した前処理液の付与方向を意味しており、具体的には、縦糸方向又は横糸方向を指す。縦糸方向を縦方向といい、横糸方向を横方向という。
前処理液方向及び範囲の「範囲」とは、インクの濡れ広がりを勘案して前処理液を付与する画素の範囲を意味する。前処理液方向及び範囲算出関数50は、具体的には例えば、縦方向のインクの濡れ広がりを抑制するための前処理液の付与範囲を算出するために用いられる縦方向フィルタ、及び、横方向のインクの濡れ広がりを抑制するための前処理液の付与範囲の算出に用いられる横方向フィルタである。
縦方向フィルタは、画像の縦方向に並ぶ画素の列に作用するフィルタであり、縦方向の滲みを勘案したフィルタサイズ及びフィルタ係数の配置となっている。横方向フィルタは、画像の横方向に並ぶ画素の列に作用するフィルタであり、横方向の滲みを勘案したフィルタサイズ及びフィルタ係数の配置となっている。縦方向フィルタ及び横方向フィルタのそれぞれは、インクの濡れ広がりの方向を反映した方向依存性を有するフィルタである。
関数を「生成する」という概念には、予め用意された複数の基材種の各々に対応する関数のデータベースから、該当する関数を選択することが含まれる。本実施形態では、糸種、糸の太さ及び織り種のそれぞれの代表データの組み合わせに関して、縦方向及び横方向のそれぞれの方向のフィルタ関数が予め用意されている。この予め用意されたフィルタ関数のデータベースは、画像処理装置12の図示せぬ内部記憶装置若しくは画像処理装置12に接続される図示せぬ外部記憶装置に記憶されている。
前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112では、予め用意されているフィルタ関数のデータベースの中から基材情報42に対応するデータを読み出して、その読み出したデータを利用して縦方向フィルタ及び横方向フィルタが生成される。前処理液方向及び範囲算出関数50を生成することは、前処理液方向及び範囲算出関数50を決定することと同義である。
基材情報42には、糸種、糸の太さ及び織り種のうちの少なくとも糸種の情報が含まれる。基材情報42として、織り種、糸種及び糸の太さのうちの少なくとも糸種の情報を含み2つ以上の情報を用いることが好ましい。本実施形態では、画像処理装置12に備えられた図示せぬユーザインターフェースから、ユーザが織り種の指定、糸種の指定、及び糸の太さの指定を行うことにより、画像処理装置12に基材情報42が入力される。
織り種の指定に関しては、例えば、平織、綾織及び繻子織の代表3種の中から該当する織りの種類が指定される。また、必要に応じて、不織布又は編物などの種類の指定を受け付けてもよい。
糸種の指定に関しては、例えば、縦糸と横糸のそれぞれについて、綿、ポリエステル、ナイロン、麻、及び羊毛のうち、いずれかが指定される。なお、糸種を指定する際の選択候補として、上記に例示の純糸に限らず、綿とポリエステルの混紡など、複数種類の繊維を組み合わせた混紡糸、交撚糸その他の複合繊維糸が含まれてもよい。複合繊維糸の場合は繊維の種類の組み合わせを特定する情報に加えて、混紡率などの複合率を特定する情報を指定することができる。
糸の太さの指定に関しては、例えば、縦糸と横糸のそれぞれの番手が指定される。
前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112における関数生成ルールの一例として例えば、以下に示すルール1及びルール2とすることができる。
[ルール1]予め用意されたフィルタ関数の中から、基材情報42の縦糸及び横糸の糸種に対応するフィルタ関数を選択する。
[ルール2]基材情報42における糸の太さが、予め保持されている代表データと異なる場合には、代表データからの補間演算を行い、基材情報42における糸の太さに対応するフィルタ係数を決定する。補間演算として、例えば、線形補間による加重平均が算出される。
[フィルタ関数の具体例]
図9から図14は予め用意されたフィルタ関数の具体例を示すグラフである。図15及び図16は前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112によって生成された前処理液方向及び範囲算出関数50の具体例を示すフィルタである。
図9は糸種が綿であり、織り種が平織である基材についての横方向のフィルタ関数を示している。図9には糸の太さが綿番手の120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図9の横軸は横方向の画素番号を表し、単位は元画像の解像度と同等の画素間隔によるピクセル[pix]である。横軸の原点はフィルタの中心画素の位置に相当する。図9の縦軸はフィルタ係数を表す。
図10は糸種が綿であり、織り種が平織である基材についての縦方向のフィルタ関数を示している。図10には糸の太さが綿番手の120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図10の横軸は縦方向の画素番号を表し、単位は元画像の解像度と同等の画素間隔によるピクセル[pix]である。横軸の原点はフィルタの中心画素の位置に相当する。
図11は糸種が綿であり、織り種が綾織である基材についての横方向のフィルタ関数を示している。図11は糸の太さが120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図11の横軸及び縦軸の各軸の定義は図9と同様である。
図12は糸種が綿であり、織り種が綾織である基材についての縦方向のフィルタ関数を示している。図12には糸の太さが120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図12の横軸及び縦軸の各軸の定義は図10と同様である。
図13は糸種がポリエステルであり、織り種が平織である基材についての横方向のフィルタ関数を示している。図13には糸の太さが120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図13の横軸及び縦軸の各軸の定義は図9と同様である。
図14は糸種がポリエステルであり、織り種が平織である基材についての縦方向のフィルタ関数を示している。図14には糸の太さが120番手、60番手及び30番手の3種類についてのフィルタ関数が示されている。図14の横軸及び縦軸の各軸の定義は図10と同様である。
図9から図14に例示したようなフィルタ関数のデータが予め関数データベースとして保持されている。基材情報42を検索キーにして関数データベースから、基材情報42に対応する関数のデータが読み出され、読み出されたデータを利用してフィルタが生成される。
例えば、印刷に使用する基材22が綿の平織である基材であって、横糸は太さ60番手、縦糸は太さ120番手の基材であるとすると、図9に示された60番手のデータから横方向フィルタが生成され(図15参照)、かつ、図10の120番手のデータから縦方向フィルタが生成される(図16参照)。図15は図9に示された60番手のデータから生成される横方向フィルタ50Aを示す。横方向フィルタ50Aは、横方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである。図16は図10の120番手のデータから生成される縦方向フィルタ50Bを示す。縦方向フィルタ50Bは、縦方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである。
前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112では、基材情報42を基に、方向依存性を有するエッジ強調フィルタが生成される。
<フィルタ関数の作り方>
ここで図9から図14に例示したフィルタ関数の生成方法を説明する。基本的な考え方は、再現目標としている出力画像と、実際に基材上に印刷された出力画像の差分からフィルタを生成するというものである。ただし、実際には再現目標としている出力画像と実際の出力画像は共にランダムネスを有する。したがって、それぞれの画像についての近似関数を生成し、それらの差分からフィルタを生成する。近似関数としてシグモイド関数を用いることができる。
図17は再現目標としている出力画像と実際の出力画像との差異を説明するためのグラフである。横軸はインクジェット印刷装置16の出力画像の解像度における画素の番号であり、ここではX方向の画像位置を表す。縦軸は画像の反射濃度の相対値を表す。図17中のグラフgは再現目標としている出力画像の反射濃度である。グラフgは実際の出力画像の反射濃度である。グラフgは、グラフgとグラフgの差分を表すグラフである。図17では概念的な理解を容易にするために、グラフgとグラフgはそれぞれ単純な折れ線とした。グラフgからグラフgを減算して得られるグラフgに示された差分情報からフィルタ関数を生成し得る。
以下、具体的な例を用いてフィルタの生成方法を説明する。図18は目標としている出力画像の例である。再現目標としている出力画像を「目標画像」とよぶ。図18では説明を簡単にするために、目標画像62として長方形パターンを例示した。図18の横方向をX方向とし、縦方向をY方向として説明する。
目標画像62の画像境界を含む画像領域にサンプリング領域64が設定される。サンプリング領域64は印刷濃度を評価するための着目領域であり、目標画像62の画像領域の一部と非画像領域の一部とを含む連続領域である。図18に示されたサンプリング領域64は長辺がY方向と平行であり、短辺がX方向と平行な四角形領域として設定されている。サンプリング領域64の中に画像境界62Aが含まれる。
図19は実際にテキスタイル基材上に印刷された出力画像の例である。実際にテキスタイル基材上に印刷された出力画像を「実際画像」という。図19は図18の目標画像62に対応する実際画像72が示されている。図19に示された画像範囲は図18に示された画像範囲に対応している。図19の縦方向はテキスタイル基材の縦糸方向であり、横方向はテキスタイル基材の横糸方向である。縦糸方向と平行な方向がY方向であり、横糸方向と平行な方向がX方向であるとする。図19と図18とを比較すると明らかなように、実際画像72はX方向及びY方向にインクが濡れ広がっている。
図20は目標画像62と実際画像72のそれぞれの反射濃度を示すグラフである。横軸は、印刷結果を顕微鏡カメラなどの撮像装置を用いて撮像して得られる撮像画像のデータにおける画素の番号であり、本例の場合X方向の画像位置を表す。撮像画像の解像度はインクジェット印刷装置16の出力解像度よりも高解像度である。縦軸は反射濃度の濃度値を表す。撮像装置はスキャナなどの画像読取装置であってもよい。撮像画像は読取画像と言い換えてもよい。
図20中のグラフgは図18に示された目標画像62を撮像して得られる撮像画像のサンプリング領域64から測定される反射濃度のグラフである。グラフgは図19に示された実際画像72を撮像して得られる撮像画像におけるサンプリング領域64から測定される反射濃度のグラフである。グラフgとグラフgの各々はサンプリング領域64の反射濃度のY方向平均値を算出した反射濃度プロファイルである。グラフgとグラフgの各々は、シグモイド曲線の近似関数を用いて近似することができる。
図21は目標画像62の近似関数と実際画像72の近似関数を示すグラフである。図21においてグラフgは目標画像62の近似関数を表し、グラフgは実際画像72の近似関数を表す。図21ではグラフgとグラフgも併せて表示されている。横軸及び縦軸のそれぞれの定義は図20と同様である。
図22は目標画像62の近似関数と実際画像72の近似関数の差分を示すグラフである。グラフgはグラフgからグラフgを引いた値を表す。図22に横軸及び縦軸の定義は図20と同様である。図22のグラフgに示された差分情報から、撮像画像の画素間隔を元画像と同等のサンプリング間隔に変更してグラフの形を整形すると、図23のようなグラフgが得られる。図23の横軸は元画像における画素の番号であり、図17の横軸と同様に、本例の場合X方向の画像位置を表す。図23の横軸は図20及び図21の横軸の画素番号から元画像の画素番号に変換したものとなっている。
図23のグラフgに示す差分情報は目標画像62に対する実際画像72の差異を示す情報であり、この差分情報からフィルタサイズとフィルタ係数を定めることができる。図23に示された関数は、図19の実際画像72の形成に用いた基材における横方向の濡れ広がり方の特性を表す濡れ広がり情報に相当している。図23のグラフgは、X方向について、画素番号4から画素番号6の画素範囲において滲みが発生することを示している。
図17から図23の説明ではX方向のインクの濡れ広がりによる画像の差異について述べたが、Y方向のインクの濡れ広がりについても同様の方法により、差分情報を取得することができる。各種の基材とインクの組み合わせに対して、図17から図23で説明した方法を適用することにより、図9から図14に例示したような様々な種類の基材についての縦方向及び横方向の各々の関数の情報を得ることができる。図9から図14に例示した関数の情報は、濡れ広がり方向と濡れ広がり範囲の情報を含んでいる。図9から図14に例示した関数の情報は、濡れ広がり情報の例に相当する。
[前処理液位置及び量算出処理の説明]
図24は前処理液位置及び量算出処理P114の内容を概念的に示した説明図である。前処理液位置及び量算出処理P114は、グレースケール画像41に対して、前処理液方向及び範囲算出関数50を適用してフィルタ処理を行い、前処理液画像44を生成する処理である。前処理液位置及び量算出処理P114は、基材22におけるインクの濡れ広がりを勘案して縦方向及び横方向の各方向について重み付けしたフィルタ処理と、フィルタ処理の出力の絶対値を取る処理と、縦方向及び横方向のそれぞれのフィルタ処理の出力の絶対値を取った結果の画像同士を足し合わせる加算処理と、を含む。
前処理液方向及び範囲算出関数50は、前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112にて生成されたフィルタ関数である。図24に示された前処理液方向及び範囲算出関数50は、図15に示された横方向フィルタ50Aと図16に示された縦方向フィルタ50Bである。
グレースケール画像41は、CMYK画像である画像データ40を元に生成された連続調のモノクロ画像である。グレースケール画像41は、例えば、CMYK画像の画素ごとにC値、M値、Y値及びK値を加算した値を4で除算して得られる値を各画素の画素値とする加算平均値による白黒画像である。グレースケール画像41は、前処理液位置及び量算出処理P114の前段階で事前に生成されてもよいし、前処理液位置及び量算出処理P114の中で生成されてもよい。
グレースケール画像41に横方向フィルタ50Aを適用してフィルタ処理を行い、フィルタ処理の出力の絶対値を取ることにより、横方向の滲み抑制用前処理液画像43Aが得られる。また、グレースケール画像41に縦方向フィルタ50Bを適用してフィルタ処理を行い、フィルタ処理の出力の絶対値を取ることにより、縦方向の滲み抑制用前処理液画像43Bが得られる。
前処理液位置及び量算出処理P114において、横方向の滲み抑制用前処理液画像43Aと縦方向の滲み抑制用前処理液画像43Bとが足し合わされ、滲み抑制用の前処理液画像44が生成される。前処理液画像44において画素値が「0」の画像位置は前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置に対応している。前処理液画像44において画素値が「0」を超える値の画像位置は、前処理液が付与される前処理液付与位置に対応している。前処理液画像44の各画素における画素値に基づき前処理液の付与量が定められる。
横方向の滲み抑制用前処理液画像43Aの画素値と縦方向の滲み抑制用前処理液画像43Bの画素値とを加算して得られる値が階調の上限値を超えてしまう場合には、上限値にクリップして加算結果の値としてよい。例えば、階調の上限値が「255」である場合、横方向の滲み抑制用前処理液画像43Aの画素値と縦方向の滲み抑制用前処理液画像43Bの画素値とを加算して得られる値が「255」を超える画素の値は255としてよい。こうして得られた前処理液画像44は、グレースケール画像41のエッジが強調された画像となる。前処理液画像44をハーフトーン処理することによって、前処理液の印字パターンが決定される。
縦方向及び横方向のいずれか一方が第1方向に相当し、他方が第2方向に相当する。例えば、縦方向が第1方向に相当し、横方向が第2方向に相当し得る。この場合、縦方向フィルタが第1方向フィルタに相当し、横方向フィルタが第2方向フィルタに相当する。また、縦方向の滲み抑制用前処理液画像43Bが第1方向滲み抑制用前処理液画像の一例に相当し、横方向の滲み抑制用前処理液画像43Aが第2方向滲み抑制用前処理液画像の一例に相当する。
[基材に対するインクの濡れ広がりに関する説明]
繊維に対する液体の浸透を表す代表的な式は以下に示すルーカス・ウォッシュバーン(Lucas-Washburn)の式である。
式中のlは浸透深さ、rは毛管半径、γは液体の表面張力、θは液体と繊維の間の接触角、ηは液体の粘度、tは時間である。「浸透深さ」は「浸透距離」或いは「流動距離」と同じ意味である。
図25はルーカス・ウォッシュバーンの式のパラメータに関する説明図である。半径rの毛管80に沿って液体82が表面張力γによって浸透する場合、図25のように毛管80内の液体82のメニスカス84に作用する力によって液体が浸透する。
ルーカス・ウォッシュバーンの式は、基材面でのインクの接触角θが変わると浸透距離が変わることを示している。接触角は、基材の表面張力とインクの表面張力とから決定され、基材の表面張力は基材種が変わると変化する。すなわち、基材種が変わると浸透距離、つまり濡れ広がり距離が変わることが示されている。したがって、基材種の情報は、インクの濡れ広がり距離を評価するために有益な情報となり得る。
「濡れ広がり」という用語は、基材の面方向への液体の移動を表す用語として用いている。「浸透」という用語は、基材の面方向のみならず、基材の厚み方向についての液体の移動について表現する場合にも用いる。「浸透」は三次元的な液体の移動の概念を含む用語として用いるに対し、「濡れ広がり」は基材の面方向に沿った二次元的な液体の移動の概念を表している。「滲み」は「濡れ広がり」と同様に、基材の面方向に沿った二次元的な液体の移動の概念を表している。「濡れ広がり」と「滲み」は同義の意味に解釈し得る。
[インクの濡れ広がりに対する糸の太さの影響について]
図26は糸の太さとインクの濡れ広がり距離の関係を模式的に示した説明図である。図26には、糸の太さが異なる2種類の基材の断面図が模式的に示されている。図26の上段には相対的に細い糸90から成る基材92にインク94が付与された様子が示されている。図26の上段右側は基材92にインク94が浸透して濡れ広がった様子を表している。図26の下段には相対的に太い糸96の基材98にインク94が付与された様子が示されている。図26の下段右側は基材98にインク94が浸透して濡れ広がった様子を表している。細い糸90から成る基材92の面方向へのインク94の濡れ広がり距離Lは、太い糸96から成る基材98の面方向へのインク94の濡れ広がり距離Lよりも大きい。
図26から明らかなように、糸の太さが細くなると、深さ方向の厚みが薄くなる。「深さ方向」は図26における糸の断面方向を意味し、基材の厚み方向である。したがって、糸の太さが細い基材ほど、深さ方向に存在可能なインク量が制限されるため、深さ方向のみではインクを吸収しきれず、結果的に面方向への浸透、つまり濡れ広がりが大きくなる。
糸の太さの情報は、インクの濡れ広がり距離を評価するために有益な情報となり得る。糸の太さは、「番手」によって定義されており、基材に使用されている糸の番手がわかると、その糸の太さを知ることができる。
[インクの濡れ広がりに対する織り種の影響について]
織りの種類が異なると、印字面に表れている糸の量が縦糸と横糸とで異なる。例えば、綾織では縦糸と横糸の比率は概略1:2となっている。朱子織では縦糸と横糸の比率は、概略1:4となっている。印字面に表れている縦糸と横糸の比率が異なるとそれだけ受け取るインク量に違いが生じ、かつ受けとったインクが多いほど、濡れ広がりは大きくなる。したがって、織り種によるインク浸透距離の違いが縦糸及び横糸の間で生じることになる。このように、織り種はインクの濡れ広がりの方向依存性に関係しており、滲み易い方向を特定する上で有益な情報となり得る。
濡れ広がり易さに方向依存性がある基材にインクの液滴を付与した場合、インクは基材上で円形に濡れ広がらずに、濡れ広がり易い方向に長く伸びた長方形に近い形状に濡れ広がる。濡れ広がり易い糸種がある。また、織り方によって横糸よりも縦糸の方が濡れ広がり易いことを示している。
既に示された図4の右側の顕微鏡写真は繻子織のポリエステル布に対する印字結果を示すものであるが、この顕微鏡写真から明らかなように、繻子織の場合、縦糸の浸透距離が横糸に比べて顕著に長い。
[基材情報と前処理液印字パターン制御の関係]
図27は基材情報と前処理液印字パターン制御の関係を模式的に示した説明図である。基材情報42として、基材種、糸の太さ、及び織り種の情報を組み合わせて用いることができる。基材種は、繊維の種類を特定する情報であり、具体的には縦糸及び横糸のそれぞれの糸の種類を特定する糸種情報である。基材種は、表面張力に関係する。糸の太さは、厚みに関係する。基材ごとのインクの濡れ広がり方は、滲み量と滲み方向の組み合わせによって評価することができる。滲み量は、滲み範囲、濡れ広がり範囲、濡れ広がり距離、又は浸透距離などの用語に置き換えてもよい。滲み方向は、濡れ広がり方向、又は浸透方向などの用語に置き換えてもよい。織り種は、滲み方向と滲み量に関係する。
本実施形態では、基材情報42から、その基材におけるインクの濡れ広がり方の特性である滲み量と滲み方向を勘案した前処理液印字パターン制御が行われる。
[実施形態による印刷プロセスの概略イメージ]
ここで実施形態に係るインクジェット印刷システム10によって実現される画像形成プロセスの概略イメージを簡単な図を用いて説明する。
図28は目標とする印刷結果物を示す説明図である。基材22の上に目標とする絵柄の画像110が印刷されている。図28では基材22の縦糸102と横糸104とを分かり易く表示するために、縦糸102にグレートーンが付されている。
図29は、図28に示された実現したい画像110の元になる画像データである元画像114を表している。図29の元画像114は図1で説明した画像データ40に相当するものである。
図30は前処理液を使用せずに元画像114の印刷を実施した比較例の場合のイメージ図である。ここでは縦方向の滲み量が横方向の滲み量よりも大きい基材22の例を述べる。基材22に前処理液を付与することなく、インク付与プロセスにおいてインクジェット印刷を実行すると、その出力結果は縦糸方向の滲みが顕著に発生して、印刷画質が低下する。
図30の中央に示された印刷画像116は、インク付与プロセスにおけるインクジェット印刷直後のインクの付与範囲を示している。図30の右に示した出力結果画像117は、インクの滲みによって、特に縦糸方向の滲みによって、再現画像の画質が低下していることを示している。
図31は実施形態によって実現される印刷プロセスの一例を示すイメージ図である。図31によれば、前処理液付与プロセスにおいて、基材22に対して、方向性と位置依存での強度を有する前処理液付与パターン120にしたがい前処理液を付与する。「強度」とは前処理液の付与量についての量的程度を指す。図31では、縦方向に滲みやすい基材22の特性を勘案して、図29に示された元画像114の縦方向と交差する横方向に沿った画像エッジの付近に前処理液が付与される。
前処理液が付与された基材22に、インクジェット印刷を実行すると、滲みが抑制され、目標とする出力結果が得られる。図31の中央に示した印刷画像126は、インク付与プロセスによる印字直後のインクの付与位置を示している。図31の右に示した出力結果画像127は、滲みが抑制され、図28に示した実現したい画像110に近い画像となる。
図31では縦方向の滲みを抑制する例を説明したが、横方向の滲みを抑制する場合についても同様である。
図32には縦方向及び横方向のそれぞれの滲みを抑制する場合の例が示されている。図32は実施形態によって実現される印刷プロセスの他の例を示すイメージ図である。図32によれば、縦方向及び横方向の両方向にそれぞれ滲み易い基材の特性を勘案して、前処理液付与プロセスにおいて、基材22に対して、方向性と位置依存での強度を有する前処理液付与パターン120にしたがい前処理液を付与する。図32では、図29に示された元画像114の縦方向と交差する横方向に沿った画像エッジの付近に前処理液が付与され、かつ、元画像114の横方向と交差する縦方向に沿った画像エッジの付近に前処理液が付与される。この前処理液が付与された基材22に、インクジェット印刷を実行すると、縦方向及び横方向の滲みが抑制され、目標とする出力結果が得られる。
[画像処理装置の構成例]
図33は画像処理装置12の機能的構成を示すブロック図である。画像処理装置12は、画像取得部142と、基材情報取得部144と、前処理液画像生成部146とを備える。画像取得部142は、画像データ40を取り込む画像入力インターフェース部である。画像取得部142は、外部又は装置内の他の信号処理部から画像データ40を取り込むデータ入力端子で構成することができる。画像取得部142として、有線又は無線の通信インターフェース部を採用してもよいし、メモリカードなどの外部記憶装置の読み書きを行うメディアインターフェース部を採用してもよく、若しくは、これら態様の適宜の組み合わせであってもよい。
基材情報取得部144は、基材情報42を取り込む情報入力インターフェース部である。画像処理装置12は操作部148と表示部150とを備えている。操作部148は、ユーザが各種情報を入力する操作を行うため手段である。操作部148はユーザから基材情報42の入力操作を受け付ける。操作部148には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、又は操作ボタンなど、各種の入力装置を採用することができ、これらの適宜の組み合わせであってもよい。
表示部150には、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどの種々の表示方式による表示デバイスを用いることができる。ユーザによる画像処理装置12に対する指示の入力及び設定等の作業は、操作部148と表示部150を利用して行うことができる。操作部148と表示部150との組み合わせは、ユーザインターフェースとして機能する。ユーザは、表示部150の画面に表示される内容を確認しながら操作部148を使って各種情報の入力を行うことができ、画像処理装置12やインクジェット印刷装置16等を操作することができる。また、ユーザは表示部150を通じてシステムの状態等を把握することが可能である。
前処理液画像生成部146は、図8で説明した前処理液画像生成プロセスP110を実施する処理部である。前処理液画像生成部146は、前処理液方向及び範囲算出関数決定部152と、前処理液位置及び量算出処理部154とを含む。前処理液方向及び範囲算出関数決定部152は、図8で説明した前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112を行う。前処理液方向及び範囲算出関数決定部152は関数データベース記憶部156に記憶されている情報を利用して基材情報42に対応した前処理液方向及び範囲算出関数50を決定する。
関数データベース記憶部156には、図9から図14に例示したような複数種類の基材に関する関数情報の集合体である関数データベースが記憶されている。関数データベース記憶部156は画像処理装置12の内部に備えられていてもよいし、画像処理装置12に接続された外部記憶装置であってもよい。また、関数データベースは、図示せぬ他のコンピュータに保持されていてもよく、画像処理装置12がネットワーク経由で関数データベースから情報を取得する形態も可能である。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、若しくはワイドエリアネットワーク、又はこれらの組み合わせとすることができる。
前処理液位置及び量算出処理部154は、図8で説明した前処理液位置及び量算出処理P114を行う演算処理手段として機能する。
画像処理装置12はメモリ160、グレースケール画像生成部162、分版処理部164、ハーフトーン処理部166、及び情報出力部168を備える。画像取得部142を介して入力された画像データ40はメモリ160に記憶される。グレースケール画像生成部162は、画像データ40からグレースケール画像41を生成する。
グレースケール画像41は前処理液位置及び量算出処理部154に送られる。前処理液位置及び量算出処理部154は、フィルタ処理部154Aと、絶対値処理部154Bと、加算処理部154Cと、を含む。フィルタ処理部154Aは、前処理液方向及び範囲算出関数決定部152にて決定されたフィルタ関数を用いてグレースケール画像41にフィルタ処理を施す。絶対値処理部154Bは、フィルタ処理部154Aによるフィルタ処理後の画像信号値の絶対値を取る絶対値化の処理を行う。フィルタ処理後の画像信号値とは、フィルタ処理部154Aのフィルタ処理によって得られるフィルタ出力を指す。
縦方向のフィルタ関数を用いてグレースケール画像41にフィルタ処理を施し、フィルタ処理後の画像の各画素値の絶対値を取ることにより縦方向の滲み抑制用前処理画像が得られる。また、横方向のフィルタ関数を用いてグレースケール画像41にフィルタ処理を施し、フィルタ処理後の画像の各画素値の絶対値を取ることにより横方向の滲み抑制用前処理画像が得られる。
加算処理部154Cは、縦方向の滲み抑制用前処理画像と横方向の滲み抑制前処理画像とを足し合わせる処理を行うことにより、前処理液画像44を生成する。
分版処理部164は画像データ40の分版処理P120を行い、C,M,Y,Kの各色の分版画像46を生成する。ハーフトーン処理部166は、前処理液画像44及びC,M,Y,Kの各色の分版画像46の各々についてハーフトーン処理P130を行い、各版の2値画像48を生成する。
ハーフトーン処理部166では、予め決められたハーフトーン処理規則が適用される。ハーフトーン処理規則の例として、ディザ法、又は誤差拡散法などが挙げられる。ハーフトーン処理規則は、画像記録条件、又は画像データの内容等に応じて変更されてもよい。
情報出力部168は、画像処理装置12において生成された情報を出力するための出力インターフェースである。各版の2値画像48は情報出力部168を介して印刷制御装置14に出力される。情報出力部168は、画像処理装置12の外部に情報を出力してもよいし、画像処理装置12の他の処理部等に情報を出力してもよい。
なお、メモリ160は、グレースケール画像生成部162、分版処理部164、ハーフトーン処理部166、及び前処理液画像生成部146のそれぞれの演算処理に必要なデータや処理結果のデータを記憶する作業記憶領域として利用することができる。
画像処理装置12の前処理液画像生成部146、前処理液方向及び範囲算出関数決定部152、前処理液位置及び量算出処理部154、分版処理部164及びハーフトーン処理部166は、1つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)により構成され、画像処理装置12内に備えられた図示されない記録部に保存されているプログラムが1つ又は複数のCPUにロードされることにより動作する。
画像取得部142は画像取得手段の一形態に相当する。基材情報取得部144は基材情報取得手段の一形態に相当する。前処理液画像生成部146は前処理液画像生成手段の一形態に相当する。前処理液方向及び範囲算出関数決定部152は関数決定手段の一形態に相当する。前処理液位置及び量算出処理部154は演算処理手段の一形態に相当する。関数データベース記憶部156は関数データベース記憶手段の一形態に相当する。ハーフトーン処理部166は、ハーフトーン処理手段の一形態に相当する。操作部148は操作手段の一形態に相当する。表示部150は表示手段の一形態に相当する。フィルタ処理部154Aはフィルタ処理手段の一形態に相当する。絶対値処理部154Bは絶対値処理手段の一形態に相当する。加算処理部154Cは加算処理手段の一形態に相当する。グレースケール画像生成部162はグレースケール画像生成手段の一形態に相当する。
[実施形態に係る画像処理方法]
図34は実施形態に係る画像処理プロセスのフローチャートである。図34のフローチャートの各ステップは画像処理装置12によって実行される。
ステップS11において画像処理装置12は基材情報42を取得する。ステップS11は基材情報取得ステップの一形態に相当する。
ステップS12において画像処理装置12は画像データ40を取得する。ステップS12は画像取得ステップの一形態に相当する。
ステップS13において画像処理装置12は画像データ40からグレースケール画像41を生成する。
ステップS14において画像処理装置12の前処理液方向及び範囲算出関数決定部152は、基材情報42を基に縦方向フィルタ及び横方向フィルタを決定する。ステップS14は関数決定ステップの一形態に相当する。
ステップS15において画像処理装置12の前処理液位置及び量算出処理部154は、グレースケール画像41に対して、ステップS14にて決定した縦方向フィルタ及び横方向フィルタをそれぞれ適用するフィルタ処理を行う。ステップS15の処理は図33で説明したフィルタ処理部154Aによって実施される。
ステップS16において画像処理装置12の前処理液位置及び量算出処理部154は、ステップS15のフィルタ処理結果であるフィルタ出力の絶対値を取る。ステップS16の処理は図33で説明した絶対値処理部154Bによって実施される。
縦方向フィルタを用いてステップS15のフィルタ処理を行い、そのフィルタ出力についてステップS16の絶対値化処理を実施することにより、縦方向の滲み抑制用前処理画像が得られる。また、横方向フィルタを用いてステップS15のフィルタ処理を行い、そのフィルタ出力についてステップS16の絶対値化処理を実施することにより、横方向の滲み抑制用前処理画像が得られる。
ステップS17において画像処理装置12の前処理液位置及び量算出処理部154は、縦方向の滲み抑制用前処理画像と横方向の滲み抑制用前処理画像とを足し合わせて前処理液画像44を生成する。ステップS17の処理は図33で説明した加算処理部154Cによって実施される。ステップS15からステップS17は前処理液画像生成ステップの一形態に相当する。
ステップS18において画像処理装置12のハーフトーン処理部166は、前処理液画像44にハーフトーン処理を行い、前処理液印字用の2値画像を生成する。
ステップS19において画像処理装置12は、ステップS16にて生成した前処理液印字用の2値画像を出力する。
画像処理装置12は、ステップS13からステップS17で説明した前処理液の印字パターンを決定する処理を行い、かつ、CMYKの各色の印字パターンを決定する処理を行う。すなわち、ステップS20において画像処理装置12の分版処理部164は、画像データ40について分版処理を行い、C画像、M画像、Y画像及びK画像を生成する。
ステップS21において画像処理装置12のハーフトーン処理部166は、ステップS20にて生成したCMYK各色の分版画像にハーフトーン処理を行い、各色印字用の2値画像を生成する。ステップS21によりC印字用の2値画像、M印字用の2値画像、Y印字用の2値画像、及びK印字用の2値画像が生成される。
ステップS22において画像処理装置12は、ステップS21にて生成した各色印字用の2値画像を出力する。
ステップS19及びステップS22の出力処理が完了すると、図34のフローチャートは終了する。
図34に示されたフローチャートの各ステップの順番は、図示の例に限らず、処理の進行が可能な範囲で実施順番の変更が可能である。例えば、ステップS11とステップS12の順番は前後の入れ換えが可能である。ステップS13とステップS14の順番についても前後の入れ換えが可能である。
また、図34ではステップS13からステップS17の前処理液印字用の画像情報を取り扱うプロセスと、ステップS20からステップS22のCMYK印字用の画像情報を取り扱うプロセスとを並列に図示したが、ステップS17の後に、ステップS20からステップS22の処理を実施してもよいし、ステップS22の後にステップS13からステップS17の処理を実施してもよい。
[インクジェット印刷装置16を用いた捺染プロセス]
図35は本実施形態のインクジェット印刷装置16を用いた捺染プロセスの例を示すフローチャートである。図35に例示の捺染プロセスは、前処理液付与工程(ステップS51)と、インク付与工程(ステップS52)と、発色工程(ステップS53)と、洗浄工程(ステップS54)と、乾燥工程(ステップS55)と、を含む。
前処理液付与工程(ステップS51)は、画像処理装置12によって生成された前処理液印字用の2値画像に基づき、基材22に前処理液を付与する工程である。前処理液印字用の2値画像は、前処理液付与位置である画素の位置と前処理液非付与位置である画素の位置とを特定するドットパターンを表す画像データである。印刷制御装置14は、前処理液印字用の2値画像を基に前処理液吐出ヘッド18の記録信号を生成して前処理液吐出ヘッド18からの前処理液の吐出を制御する。前処理液吐出ヘッド18によって基材22に前処理液画像44のパターンが印字される。
インク付与工程(ステップS52)は、画像処理装置12によって生成されたCMYK各色印字用の2値画像に基づき、基材22にインクを付与する工程である。CMYK各色の印字用の2値画像は、インク付与位置とインク非付与位置とを規定する画像データに相当している。印刷制御装置14は、CMYK各色の印字用の2値画像を基にインク吐出ヘッド20の記録信号を生成してインク吐出ヘッド20からの各色インクの吐出を制御する。前処理液が付与された基材22にインク吐出ヘッド20によって画像データ40の絵柄が印字される。印刷制御装置14は前処理液付与及びインク吐出を制御する「制御手段」の一形態に相当する。
なお、図35には示さないが、前処理液付与工程(ステップS51)の後に、印字後の前処理液を乾燥させる工程が追加されてもよく、インク付与工程(ステップS52)の後に、印字後のインクを乾燥させる工程が追加されてもよい。
発色工程(ステップS53)は、基材に付与されたインクの色材を繊維に染着させる処理工程である。発色工程として、加熱空気を用いる方法、常圧飽和蒸気を用いる方法、若しくは過熱蒸気を用いる方法がある。常圧飽和蒸気を用いる方法が好ましい。
ここでは発色工程(ステップS53)として、インクが付与された基材に蒸気をあてる工程が採用される。基材に布帛に蒸気をあてる工程において、蒸気で処理する温度及び時間は、着色組成物の種類や基材の種類によって異なるが、温度は90℃から140℃が好ましく、100℃から108℃がより好ましい。時間は1分から60分が好ましく、1から30分がより好ましい。
発色工程(ステップS53)で使用する蒸気付与装置はインクジェット印刷装置16に備えられていてもよいし、インクジェット印刷装置16とは別の装置として構成されていてもよい。
洗浄工程(ステップS54)は、繊維に染着しない未固着の色材等を洗い流す工程である。一般に、常温から100℃の範囲の水若しくは温水を使用する。洗浄工程に用いる水は、ソーピング剤を含有してもよい。未固着の色材が完全に除去されていることで、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られる。
乾燥工程(ステップS55)は、洗浄後の基材を乾燥させる工程である。洗浄後の乾燥工程(ステップS55)は、具体的には、洗浄した基材を絞ったり脱水したりした後、干したり或いは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる工程である。
なお、洗浄工程(ステップS54)で使用する洗浄装置及び乾燥工程(ステップS55)で使用する乾燥機等の装置はインクジェット印刷装置16に備えられていてもよいし、インクジェット印刷装置16とは別の装置として構成されていてもよい。
また、本実施形態のインクジェット印刷システム10によれば、前処理液を基材の印字面の全体に一様に付与する構成と比較して、単位面積あたりの前処理液の付与量を大幅に減らすことができる。洗浄工程(ステップS54)及び乾燥工程(ステップS55)を省略することも可能である。
[前処理液の具体例]
本実施形態において使用する前処理液として、少なくとも高分子化合物及び水を含む糊溶液を用いることができる。具体的には、糊剤、溶媒及びヒドロトロピー剤を含有する糊溶液を前処理液として用いることができる。糊剤としては、スクリーン捺染等で使用する糊剤と同様のものを使用することができる。溶媒としては、水溶性溶媒が好ましく用いられ、水を少なくとも含む溶媒を使用することが最も好ましい。
ヒドロトロピー剤は、一般に、インク組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が使用される。また、公知のものも使用でき、『染色ノート』第24版(出版社:染色社)の第426頁〜第429頁に記載の染料固着剤などが挙げられる。糊溶液の全固形分に対するヒドロトロピー剤の含有量は0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
糊溶液は、必要に応じて、pH調整剤、水性(水溶性)金属塩、撥水剤、界面活性剤、マイグレーション防止剤、ミクロポーラス形成剤等を更に含有していてもよい。pHは水素イオン指数を指す。
[インクの具体例]
本実施形態において使用するインクジェット捺染用インクは、親油性媒体や水性媒体中に色材を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。色材は染料又は顔料である。
本実施形態では、単色又はフルカラーのインクを用いて画像形成に行うことができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色相インク、シアン色相インク、及びイエロー色相インクを用いることができ、また、色相を整えるために、さらにブラック色相インクを用いる。さらにレッド、グリーン、オレンジ、グレー、ホワイト、金、透明などの色相のインクを用いることもできる。適用できる色材としては、特に限定されるものではないが、特開2014−5462号公報の段落[0237]〜[0240]に記載のもの等を用いることができる。
また、インク適性、捺染適性、及び画像堅牢性を付与する目的で、インクジェット捺染用インクは、色材以外に、溶媒、界面活性剤を含有することができる。
溶媒としては、水性媒体、さらに好ましくは、水、又は水性有機溶媒が用いられる。水性有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類のほか、アミン類、一価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類等が挙げられる。また、特開2002−371079号公報の段落[0076]に記載の水混和性有機溶剤の例示として挙げられる各化合物が好適である。
インク中の有機溶媒の含有量は、インクの全質量に対して、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、又は非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる。また、本実施形態において使用するインクジェット捺染用インクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。
インクは、粘度が30mPa・s以下であるのが好ましい。また、その表面張力は25mN/m以上70mN/m以下であるのが好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤のうち1つ又は複数を添加することによって調整できる。
[画像処理装置のハードウェア構成]
図36は画像処理装置12のハードウェア構成の例を示すブロック図である。画像処理装置12は、コンピュータを用いて実現することができる。コンピュータには、デスクトップ型、ノート型、又はタブレット型など、各種形態のコンピュータが含まれる。また、コンピュータには、サーバコンピュータであってもよいし、マイクロコンピュータであってもよい。
画像処理装置12は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)181と、メモリ182と、ハードディスク装置(HDD;Hard Disk Drive)183と、入力インターフェース部184と、ネットワーク接続用の通信インターフェース部185と、表示制御部186と、周辺機器用インターフェース部187と、バス188と、を備える。図36において「IF」の表記は「インターフェース」を表す。
ハードディスク装置183には、画像処理に必要な各種プログラムやデータ等が格納されている。例えば、図9から図14で説明した関数情報の集合体である関数データベースはハードディスク装置183に記憶しておくことができる。ハードディスク装置183に格納されているプログラムがメモリ182にロードされ、これをCPU181が実行することにより、コンピュータは、プログラムで規定される各種の手段として機能する。メモリ182は、図33で説明したメモリ160として機能する。
操作部148は入力インターフェース部184に接続される。表示部150は表示制御部186に接続される。
[インクジェット印刷装置の他の構成例]
図37はインクジェット印刷装置の他の構成例を示す図である。図37に示されたインクジェット印刷装置210は、供給側ロール214、基材搬送部216、前処理部218、インク付与部220、後処理部224、及び巻取ロール228を備えている。供給側ロール214は、基材供給部の一例である。基材搬送部216は基材搬送機構の一例である。巻取ロール228は基材回収部の一例である。
供給側ロール214は、芯226に基材22が巻かれている。供給側ロール214は図示されない支持部材が用いられて芯226を回転軸として回転可能に支持されている。
基材搬送部216は、搬送ローラ230、複数のニップローラ対232、及びテンションローラ234を含んで構成されている。基材搬送部216は、供給側ロール214から引き出された基材22を、前処理部218、インク付与部220、及び後処理部224を通過させ、巻取ロール228へ搬送する。
搬送ローラ230の長手方向における全長は、基材22の幅方向の全長に対応している。搬送ローラ230の長手方向は、搬送ローラ230の軸方向と平行となる方向である。基材22の幅方向とは、基材22の搬送方向と直交する基材幅方向である。
搬送ローラ230は、供給側ロール214から引き出された基材22の裏面を支持する。基材22の裏面は、基材22の画像形成面である印字面の反対側の面である。搬送ローラ230は、長手方向について複数のローラが並べられた構造を有していてもよい。
ニップローラ対232は、基材搬送方向におけるインク付与部220の上流側、及び下流側に設けられている。図37には、基材搬送方向におけるインク付与部220の上流側、及び下流側のそれぞれにニップローラ対232が設けられている態様が図示されている。
テンションローラ234は、基材搬送部216によって搬送される基材22に対して、基材搬送方向の上流側から下流側へ向かう方向のテンションを付与する。また、テンションローラ234は、基材22の裏面を支持する。
前処理部218は、前処理液付与部218Aと前処理液乾燥部218Bとを含む。前処理液付与部218Aの前処理液付与手段として前処理液吐出ヘッド18を用いることができる。
前処理液乾燥部218Bは、基材搬送方向における前処理液付与部218Aの下流側の位置であって、インク付与部220の上流側の位置に配置される。前処理液乾燥部218Bは、基材22に付与された前処理液に乾燥処理を施す。乾燥処理の一例として、加熱装置が用いられる加熱処理、及び送風装置が用いられる送風処理が挙げられる。
インク付与部220は、Cインク吐出ヘッド20C、Mインク吐出ヘッド20M、Yインク吐出ヘッド20Y、及びKインク吐出ヘッド20Kを備える。インク付与部220は、基材22に対してC,M,Y及びKの少なくともいずれか一色のインクを用いて画像を形成する。
後処理部224は、インク付与後の基材22に後処理を施す処理部である。後処理には、蒸気を付与する処理、洗浄、及び乾燥のうち少なくとも1つの処理が含まれる。
後処理部224には、図示されない蒸気付与装置、洗浄装置、及び乾燥装置のうちの1つ又は複数の組み合わせを備える構成を採用し得る。
巻取ロール228は、芯236を回転軸として回転可能に支持される。巻取ロール228に基材22が巻き付け可能に構成される。巻取ロール228は画像が形成され、乾燥処理が施された基材22を芯236に巻き付けることで、基材22を収容する。
[制御系の概略構成]
図38はインクジェット印刷システム10Aの制御系の概略構成が示されるブロック図である。図38において、図1、図33及び図37に示された構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図38に示されたインクジェット印刷システム10Aは、印刷制御装置240とインクジェット印刷装置210とを含んで構成される。印刷制御装置240は、図1に示された画像処理装置12の画像処理機能と、印刷制御装置14の制御機能とを搭載した制御装置である。
印刷制御装置240は、システム制御部250と通信部252とを備える。システム制御部250は、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んで構成することができる。システム制御部250は、インクジェット印刷システム10Aの各部を統括的に制御する全体制御部として機能する。また、システム制御部250は、各種演算処理を行う演算部として機能し得る。
通信部252は、有線又は無線のデータ通信規格に従う通信インターフェースを備える。通信部252は通信インターフェースを介して接続されたホストコンピュータ254との間でデータの送受信を行うことができる。
印刷制御装置240は、画像取得部142、メモリ160、及び画像処理部260を備える。画像取得部142は、通信部252を介してホストコンピュータ254から取り込まれた画像データを取得する。画像データの一例としてシリアル形式のラスタデータが挙げられる。メモリ160は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。160は、システム制御部250を通じてデータの読み書きが行われる。通信部252を介してホストコンピュータ254から取り込まれ、画像取得部142を介して取得された画像データは、一旦メモリ160に格納される。
画像処理部260は、画像取得部142を介して取得された画像データに対して、分版処理、グレースケール画像生成処理、前処理液画像生成処理及びハーフトーン処理などの処理を実施して、CMYK及び前処理液のそれぞれの印字用のドットパターン画像を生成する。すなわち、画像処理部260は図33で説明した分版処理部164、グレースケール画像生成部162、前処理液画像生成部146、及びハーフトーン処理部166のそれぞれの処理機能を有する。また、画像処理部260は、C、M、Y、及びKの色ごとの画像データに対して補正処理を施す補正処理部の処理機能を有していてもよい。補正処理の例として、ガンマ補正処理、濃度むら補正処理、又は異常ノズル補正処理などが挙げられる。
印刷制御装置240は、関数データベース記憶部156、操作部148及び表示部150を備える。表示部150には基材情報の入力を受け付ける操作画面が表示される。ユーザは、操作部148を操作することにより、基材情報の入力操作を行うことができる。
システム制御部250は操作部148から入力された基材情報を画像処理部260に送る。またシステム制御部250は操作部148から入力された基材情報を基に関数データベース記憶部156から、対応する関数のデータを読み出し、その関数データを画像処理部260に供給する。
印刷制御装置240は、搬送制御部266、前処理液付与制御部268、前処理液乾燥制御部270、インク吐出制御部272、及び後処理制御部274を備えている。搬送制御部266は、システム制御部250から送出される指令信号に基づいて、基材搬送部216の動作を制御する。搬送制御部266は、基材22の搬送開始、基材22の搬送停止、及び基材22の搬送速度を制御する。搬送制御部266は、基材22の搬送条件、及びインク吐出ヘッド20の画像形成条件に基づいて、搬送ローラ230の回転速度及びニップローラ対232のニップ圧力を制御する。
前処理液付与制御部268は、システム制御部250から送出される指令に基づいて、前処理液吐出ヘッド18の前処理液付与動作を制御する。前処理液付与制御部268は、画像処理部260において生成される前処理液印字用の2値画像を基に、前処理液吐出ヘッド18の吐出を制御する。これにより、基材22の印字面に前処理液のパターンが印字される。
前処理液乾燥制御部270は、システム制御部250から送出される指令に基づいて、前処理液乾燥部218Bの乾燥処理動作を制御する。
インク吐出制御部272は、画像処理部260において生成されたCMYK各色版の2値画像データに基づいてインク吐出ヘッド20のインク吐出動作を制御する。
後処理制御部274は、システム制御部250から送出される指令に基づいて、後処理部224の後処理動作を制御する。後処理制御部274は、後処理部224の動作開始タイミング、後処理部224の動作停止タイミング、及び後処理部224における処理温度その他の処理条件を制御する。
印刷制御装置240は、パラメータ記憶部280及びプログラム格納部282を備えている。パラメータ記憶部280は、インクジェット印刷装置210の制御に使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部280に記憶されている各種パラメータは、システム制御部250を介して読み出され、装置各部に設定される。
プログラム格納部282は、印刷制御装置240の各部の機能を実現するために使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部282に格納されている各種プログラムは、システム制御部250を介して読み出され、装置各部において実行される。
なお、図38には機能ごとに各部が列挙されている。図38に示された各部は適宜、統合、分離、兼用、又は省略が可能である。例えば、搬送制御部266、前処理液付与制御部268、前処理液乾燥制御部270、インク吐出制御部272及び後処理制御部274のそれぞれの制御部の一部又は全部はインクジェット印刷装置210に搭載されてもよい。また、例えば、通信部252が画像取得部142として機能してもよい。
画像処理部260を含む印刷制御装置240は「画像処理装置」の一形態に相当する。システム制御部250と前処理液付与制御部268とインク吐出制御部272との組み合わせは「制御手段」の一形態に相当する。
[フィルタを生成するためのサンプリング領域の位置とフィルタ関数の関係について]
図18において説明したサンプリング領域64は、目標画像62の長方形パターンにおける右側の画像境界62Aを含む位置に設定されているが、目標画像62の長方形パターンにおける左側の画像境界を含む位置にサンプリング領域を設定することも可能である。
この場合、図20から図23に示されたグラフの形は縦軸に対して反転した形となる。そのため、図9から図14に示されたフィルタ関数のグラフに代えて、フィルタ係数の符号が反転したフィルタ関数が得られる。このようにして得られた関数データを利用して前処理液方向及び範囲算出関数50を生成した場合、例えば、図15に例示した横方向フィルタ50Aに代わって、図39に示すように、フィルタ係数の符号が反転した横方向フィルタが生成される。図15及び図39にそれぞれ示されたフィルタは互いに相違するものの、どちらのフィルタを用いても前処理液位置及び量算出処理P114の出力結果は同じである。これは前処理液位置及び量算出処理P114において、フィルタ処理後にフィルタ出力画像の絶対値を取るため、縦方向については上下対称の処理を行うことになり、横方向については左右対称の処理を行うことになるからである。
したがって、図9から図14に示すような関数データを生成するにあたり、サンプリング領域64の位置が目標画像62の長方形パターンにおける右側の画像境界62Aを含む位置に設定されるか、左側の画像境界を含む位置に設定されるかの違いは問題にならない。縦方向フィルタについても同様である。
<変形例1>
上述の実施形態では、基材情報として、基材種、糸の太さ、及び織り種の情報を用いて滲み抑制関数である前処理液方向及び範囲算出関数を決定する例を説明したが、発明の実施に際しては、基材情報のうち、特定の1つ、特に基材種のみの情報に基づいて滲み抑制関数を決定してもよい。
基材種、糸の太さ及び織り種のうち、滲みに最も影響を及ぼす要素は、基材の種類、つまり基材種である。したがって、基材情報として、必ずしも、基材種、糸の太さ及び織り種のすべての情報を使用しなくても、少なくとも、基材種の情報に基づいて滲み抑制関数を決定することにより、相応の課題解決効果の性能を得ることが可能である。
基材情報として、基材種のみの情報が与えられた場合の前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112の具体例として、次のような処理を採用し得る。
縦糸と横糸が同一の糸種である場合、前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112における関数生成ルールは、以下のルールとすることができる。
[ルール1A]予め用意されたフィルタ関数の中から、縦糸及び横糸ともに同一の基材種のものを選択する。
[ルール2A]糸の太さは、一般的な基材で使われている糸の濡れ広がりの上限付近である120番手近傍を選択する。
[ルール3A]織り種としては、最も良く使われている平織を選択する。
上述のルール1Aから3Aのルールに従うことにより、基材種の情報のみに基づいて、前処理液方向及び範囲算出関数である縦方向フィルタと横方向フィルタとを決定することができる。
例えば、基材情報として、基材種を示す「綿」という情報のみが与えられた場合、ルール1A、2A及び3Aにしたがい、図9に示された「120番手」の関数データから横方向フィルタが生成され、かつ、図10に示された「120番手」の関数データから縦方向フィルタが生成される。
<変形例2>
基材情報として、基材種のみの情報が与えられた場合の前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112の他の具体例として、次のような処理を採用し得る。
縦糸と横糸が異なる糸種である場合、前処理液方向及び範囲算出関数生成処理P112における関数生成ルールは、以下のルールとすることができる。
[ルール1B]縦糸と横糸で異なる糸種の組み合わせ情報のみが与えられた場合、予め用意されたフィルタ関数の中から、縦糸及び横糸のうち、より濡れ広がりの顕著な基材種のものを選択する。選択方法としては、フィルタ係数の絶対値の総和が大きい方を選択する。フィルタ係数の絶対値の総和が大きい方とは、より滲みが顕著な基材の方を選択する。
[ルール2B]糸の太さは、一般的な基材で使われている糸の濡れ広がりの上限付近である120番手近傍を選択する。
[ルール3B]織り種としては、最も良く使われている平織を選択する。
上述のルール1Bから3Bのルールに従うことにより、基材種の情報のみに基づいて、前処理液方向及び範囲算出関数である縦方向フィルタと横方向フィルタとを決定することができる。
例えば、基材情報として、基材種を示す「綿」と「ポリエステル」の交織という情報のみが与えられた場合、ルール1B、2B及び3Bにしたがい、図13に示された「120番手」の関数データから横方向フィルタが生成され、かつ、図14に示された「120番手」の関数データから縦方向フィルタが生成される。
<変形例3>
布帛の種類によっては縦糸方向又は横糸方向のいずれか一方向のみについてインクの濡れ広がりが顕著に発生するという場合も想定される。このように顕著な方向依存性を有する布帛に印刷を行う場合に、前処理液画像生成プロセスP110において横方向フィルタ又は縦方向フィルタのどちらか一方のフィルタだけを用いて前処理液画像44を生成することも考えられる。
<変形例4>
前処理液を付与する手段としてインクジェット方式による前処理液吐出ヘッド18を用いる構成に代えて、スクリーン印刷方式などの版を用いる有版式の印刷手段を採用してもよい。この場合、前処理液画像44の情報が製版装置に供給され、製版装置により前処理液用の版が作製される。前処理液画像44を基に作製された前処理液用の版を用いた印刷プロセスにより、基材22に前処理液が付与される。
<変形例5>
基材情報42はユーザインターフェースを通じて取得される構成に限らず、バーコードリーダー、無線タグ読取装置、若しくは撮像センサなどの情報読取装置及び/又はセンサを用いて自動的に取得される構成を採用してもよい。基材情報42を自動取得するための情報読取装置及び/又はセンサは、基材情報取得手段の一形態に該当する。
<変形例6>
上述の実施形態では、被印刷媒体である基材を搬送することにより、インク吐出ヘッドと基材とを相対移動させて描画を行う構成を例示したが、停止した基材に対してインク吐出ヘッドを移動させることにより、インク吐出ヘッドと基材とを相対移動させて描画を行う構成を採用してもよい。なお、シングルパス方式のラインヘッドは、通常、基材搬送方向と直交する基材幅方向に沿って配置されるが、基材搬送方向と直交する基材幅方向に対して、ある角度を持たせた斜め方向に沿ってラインヘッドを配置する態様もあり得る。
<変形例7>
画像処理装置12の機能は1台のコンピュータによって実現してもよいし、複数台のコンピュータを組み合わせて実現してもよい。例えば、分版処理P120及びハーフトーン処理P130を実施する機能を備えた画像処理装置と、前処理液画像生成プロセスP110を実施する機能を備えた画像処理装置と、を別々のコンピュータによって構成してもよい。また、画像処理装置12又は画像処理部260の処理機能の一部又は全部は集積回路を用いて実現してもよい。
上述の各実施形態で説明した構成や変形例において説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
<コンピュータを画像処理装置として機能させるプログラムについて>
上述の実施形態及び変形例1から7で説明した画像処理装置12又は画像処理部260の処理機能をコンピュータに実現させるプログラムをCD−ROM(Compact Disc read-only memory)や磁気ディスクその他の有体物たる非一時的な情報記憶媒体であるコンピュータ可読媒体に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。またこのような有体物たる非一時的な情報記憶媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの通信ネットワークを利用してプログラム信号をダウンロードサービスとして提供することも可能である。
また、画像処理装置12又は画像処理部260の処理機能の一部又は全部を前処理液画アプリケーションサーバとして提供し、通信ネットワークを通じて処理機能を提供するサービスを行うことも可能である。
さらに、上述の実施形態で説明した画像処理機能を含む印刷制御を実現するためのプログラムの一部又は全部をホストコンピュータなどの上位制御装置に組み込む態様や、インクジェット印刷装置のCPUの動作プログラムとして適用することも可能である。
[実施形態の利点]
上述した各実施形態及び変形例として説明した構成によれば、次のような利点がある。
(1)印刷に使用する基材の種類に合わせて、その基材におけるインクの濡れ広がり方の特性が勘案された前処理液の付与パターンが決定される。滲みの抑制にとって効果的な前処理液付与位置と付与量が決定され、無駄な前処理液の付与が抑制される。
(2)滲み抑制による高画質化と、前処理液の付与量の低減による風合いの良化とを両立することができる。
(3)基材の全面に前処理液を一様に塗布する構成に比べて、前処理液の付与量を大幅に低減することができる。
[インクジェットヘッドの吐出方式について]
前処理液吐出ヘッド18及びインク吐出ヘッド20の各ヘッドの吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。液体吐出ヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。なお、発熱素子に比べて圧電素子の方がより大きな吐出力を得ることができるため、比較的高粘度の液体を吐出させるヘッドの場合、圧電素子を採用することが好ましい。
[用語について]
「縦糸」は経糸と同義である。「横糸」は緯糸と同義である。縦糸方向と横糸方向は織物を織る製造工程において決定される。縦糸方向と横糸方向は印刷時における絵柄の天地方向及び水平方向とは必ずしも一致しない。インクジェット印刷装置における基材搬送方向と基材の縦糸方向又は横糸方向の関係を特定し、必要に応じて画像データ40を回転させて、関数データベースに保持されている関数データの縦方向及び横方向の条件と、印刷時の絵柄の向きとを整合させて前処理液画像44を生成すればよい。
「綾織」は「斜文織」とも呼ばれる。繻子織は「朱子織」とも呼ばれる。
「直交」又は「垂直」という用語には、90度を超える角度で交差する場合、又は90度未満の角度で交差する場合のうち、90度で交差する場合と実質的に同様の作用効果を奏する実質的な直交又は垂直が含まれる。
「平行」という用語には、二方向が非平行であるものの、平行と実質的に同様の作用効果を奏する実質的な平行が含まれる。
「濡れ広がり」という用語は「滲み」と置き換えて理解してよい。「滲み量」は「濡れ広がり量」と同義に理解してよく、「滲み範囲」は「濡れ広がり範囲」と同義に理解してよい。
「被印刷媒体」とは、印刷に使用される媒体であり、インクが付与されて画像が形成される媒体を意味する。「被印刷媒体」という用語は、印刷媒体、被記録媒体、記録媒体、被印字媒体、印字媒体、被画像形成媒体、画像形成媒体、受像媒体、被印刷基材、若しくは印刷基材などの用語と同義である。
「絵柄」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、その他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
「印刷」という用語は、画像記録、画像形成、描画、プリント、捺染、並びに印字などの用語の概念を含む。「捺染」は布帛への印刷をいう。「印字」は、画像記録、画像形成、並びに描画などの用語の概念を含む。「印字」には、デジタルデータに基づくデジタル印刷の概念が含まれる。
「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、画像記録装置、描画装置、若しくは画像形成装置などの用語と同義である。実施形態の構成は布帛に印刷を行うものであるため「印刷装置」は「捺染装置」と理解することができる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものでは無く、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10、10A インクジェット印刷システム
12 画像処理装置
14 印刷制御装置
16 インクジェット印刷装置
18 前処理液吐出ヘッド
20 インク吐出ヘッド
20C Cインク吐出ヘッド
20M Mインク吐出ヘッド
20Y Yインク吐出ヘッド
20K Kインク吐出ヘッド
22 基材
24 基材供給部
26 基材搬送機構
28 基材回収部
30 キャリッジ
32 キャリッジ駆動機構
34 綿布
35 領域
36 横糸
38 縦糸
39 破線円
40 画像データ
41 グレースケール画像
42 基材情報
43A 横方向の滲み抑制用前処理液画像
43B 縦方向の滲み抑制用前処理液画像
44 前処理液画像
46 分版画像
48 各版の2値画像
50 前処理液方向及び範囲算出関数
50A 横方向フィルタ
50B 縦方向フィルタ
62 目標画像
62A 画像境界
64 サンプリング領域
72 実際画像
80 毛管
82 液体
84 メニスカス
90 細い糸
92 基材
94 インク
96 太い糸
98 基材
102 縦糸
104 横糸
110 画像
114 元画像
116 印刷画像
117 出力結果画像
120 前処理液付与パターン
126 印刷画像
127 出力結果画像
142 画像取得部
144 基材情報取得部
146 前処理液画像生成部
148 操作部
150 表示部
152 前処理液方向及び範囲算出関数決定部
154 前処理液位置及び量算出処理部
154A フィルタ処理部
154B 絶対値処理部
154C 加算処理部
156 関数データベース記憶部
160 メモリ
162 グレースケール画像生成部
164 分版処理部
166 ハーフトーン処理部
168 情報出力部
181 中央演算処理装置(CPU)
182 メモリ
183 ハードディスク装置
184 入力インターフェース部
185 通信インターフェース部
186 表示制御部
187 周辺機器用インターフェース部
188 バス
210 インクジェット印刷装置
214 供給側ロール
216 基材搬送部
218 前処理部
218A 前処理液付与部
218B 前処理液乾燥部
220 インク付与部
224 後処理部
226 芯
228 巻取ロール
230 搬送ローラ
232 ニップローラ対
234 テンションローラ
236 芯
240 印刷制御装置
250 システム制御部
252 通信部
254 ホストコンピュータ
260 画像処理部
266 搬送制御部
268 前処理液付与制御部
270 前処理液乾燥制御部
272 インク吐出制御部
274 後処理制御部
280 パラメータ記憶部
282 プログラム格納部
P110 前処理液画像生成プロセス
P112 前処理液方向及び範囲算出関数生成処理
P114 前処理液位置及び量算出処理
P120 分版処理
P130 ハーフトーン処理
S11〜S22 画像処理方法のステップ
S51〜S55 捺染プロセスのステップ
すなわち、画像処理装置12は、画像データ40と基材情報42とを基に、滲み抑制に効果的な前処理液画像44を生成する前処理液画像生成プロセスP110を実行する機能を有する。前処理液画像44は、前処理液を付与する前処理付与位置及び前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定するパターンを表す画像情報である。前処理液画像44から前処理液の印字パターンが特定される。前処理液の印字パターンとは、前処理液の付与位置、付与量及び非付与位置が規定される前処理液付与パターンを意味する。
ここでは発色工程(ステップS53)として、インクが付与された基材に蒸気をあてる工程が採用される。布帛に蒸気をあてる工程において、蒸気で処理する温度及び時間は、着色組成物の種類や基材の種類によって異なるが、温度は90℃から140℃が好ましく、100℃から108℃がより好ましい。時間は1分から60分が好ましく、1から30分がより好ましい。
印刷制御装置240は、画像取得部142、メモリ160、及び画像処理部260を備える。画像取得部142は、通信部252を介してホストコンピュータ254から取り込まれた画像データを取得する。画像データの一例としてシリアル形式のラスタデータが挙げられる。メモリ160は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。メモリ160は、システム制御部250を通じてデータの読み書きが行われる。通信部252を介してホストコンピュータ254から取り込まれ、画像取得部142を介して取得された画像データは、一旦メモリ160に格納される。

Claims (17)

  1. 被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得手段と、
    前記布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得手段と、
    前記布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前記前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を前記基材情報及び前記画像データに基づいて生成する前処理液画像生成手段と、
    を備える画像処理装置。
  2. 前記基材情報は、前記繊維の材質を示す情報としての縦糸及び横糸の材質を特定する糸種情報を含む請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記基材情報には、織り方の種類を示す織り種情報と、糸の太さを示す太さ情報と、が含まれる請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. ユーザから前記基材情報の入力操作を受け付ける操作手段と、
    前記基材情報を表示させる表示手段と、
    を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記前処理液画像生成手段は、
    前記基材情報を基に、前記前処理液の付与方向及び付与範囲の算出に用いる関数を決定する関数決定手段と、
    前記関数決定手段により決定された前記関数を用いて前記画像データに対応した前記前処理液付与位置及び前記前処理液の付与量を算出する演算処理手段と、
    を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 複数種類の布帛について、予めそれぞれの布帛におけるインクの濡れ広がり方の特性を表す濡れ広がり情報が保持されており、
    前記関数決定手段は、前記基材情報に対応する前記濡れ広がり情報を利用することにより前記関数を決定する請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記濡れ広がり情報は、濡れ広がり方向と濡れ広がり範囲を表す情報を含んでいる請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 複数種類の布帛について、予めそれぞれの布帛のインクの濡れ広がり方の特性に対応した前記関数のデータを、前記濡れ広がり情報として記憶しておく関数データベース記憶手段を有し、
    前記関数決定手段は、前記関数データベース記憶手段に記憶されているデータを利用して前記基材情報に対応する前記関数を決定する請求項6又は7に記載の画像処理装置。
  9. 前記関数決定手段は、前記関数として、方向依存性を有するエッジ強調フィルタを生成する請求項5から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  10. 前記関数決定手段は、前記関数として、
    第1方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである第1方向フィルタと、
    前記第1方向に垂直な第2方向と平行な画像方向に作用するエッジ強調フィルタである第2方向フィルタと、
    を生成する請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記演算処理手段は、
    前記関数決定手段によって決定された関数を用いるフィルタ処理を行うフィルタ処理手段と、
    前記フィルタ処理によって得られる画像信号値の絶対値を取る絶対値処理を行う絶対値処理手段と、
    前記第1方向フィルタを用いた前記フィルタ処理の結果に対して前記絶対値処理を行うことによって生成される第1方向滲み抑制用前処理液画像と、前記第2方向フィルタを用いた前記フィルタ処理の結果に対して前記絶対値処理を行うことによって生成される第2方向滲み抑制用前処理液画像とを足し合わせる加算処理手段と、
    を含む請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記画像データからグレースケール画像を生成するグレースケール画像生成手段を備え、
    前記演算処理手段は、前記グレースケール画像と前記関数決定手段によって決定された関数とを用いて前記前処理液画像を生成する請求項5から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  13. 前記前処理液画像から前記前処理液付与位置及び前記前処理液の付与量を規定する前記前処理液のドットパターン画像を生成するハーフトーン処理手段を備える請求項1から12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
    前記布帛に対して前記前処理液画像から決定される前記前処理液付与位置に前記前処理液を付与する前処理液付与手段と、
    前記インクを吐出するインク吐出手段であって、前記布帛に対して前記画像データから決定されるインク付与位置に前記インクを付与する前記インク吐出手段と、
    前記前処理液付与手段及び前記インク吐出手段を制御する制御手段と、
    を備えるインクジェット印刷システム。
  15. 前記前処理液付与手段は、前記前処理液を吐出する前処理液吐出ヘッドを含んで構成され、前記前処理液付与位置に前記前処理液吐出ヘッドから前記前処理液の液滴を吐出することにより前記布帛に前記前処理液が付与される請求項14に記載のインクジェット印刷システム。
  16. 被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得ステップと、
    前記布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得ステップと、
    前記布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前記前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を前記基材情報及び前記画像データに基づいて生成する前処理液画像生成ステップと、
    を含む画像処理方法。
  17. コンピュータを、
    被印刷媒体である布帛の少なくとも繊維の材質を示す情報を含む基材情報を取り込む基材情報取得手段と、
    前記布帛に印刷する絵柄の画像データを取り込む画像取得手段と、
    前記布帛に対してインクの濡れ広がりを抑制する機能性材料を含んだ前処理液を付与する前処理液付与位置及び前記前処理液の付与が制限される前処理液非付与位置を規定する前処理液付与パターンを表す前処理液画像を前記基材情報及び前記画像データに基づいて生成する前処理液画像生成手段として機能させるためのプログラム。
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