JPWO2018008175A1 - オフフレーバーを抑制した発酵ビール様発泡性飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、最終製品中の2M3MBの含有量を抑えることによってタマネギ様臭の発生が抑制された発酵ビール様発泡性飲料を製造する方法を提供する。本発明は、発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程を有し、酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を制御することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法、及び発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程を有し、酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を測定することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法である。

Description

本発明は、ビール様発泡性飲料におけるオフフレーバーの1種であるタマネギ様臭の発生が抑制された発酵ビール様発泡性飲料の製造方法に関する。
本願は、2016年7月6日に日本に出願された特願2016−134534号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ビールや発泡酒等の発酵ビール様発泡性飲料においては、コゲ臭・日光臭様臭やタマネギ様臭等のオフフレーバーが認められる場合があり、発酵ビール様発泡性飲料の品質向上のためには、これらのオフフレーバーの制御が重要である。原因物質やその生成機序が解明できれば、オフフレーバーを効率よく制御できることが期待できる。しかしながら、オフフレーバーの原因物質は様々であり、その生成機序の解明も困難である。例えば、ビール中のタマネギ様臭の原因物質が2−メルカプト−3−メチル−1−ブタノール(2-mercapto-3-methyl-1-butanol,2M3MB)であることは知られているが(例えば、非特許文献1参照。)、どのような作用機序により2M3MBが生成されるのかは未だ解明されていない。
一方で、発酵ビール様発泡性飲料においては、時間の経過、温度の上昇により酸化が加速されて品質が低下することが知られている。このため、各工程における酸素の混入量を抑えることが、より品質の安定した発酵ビール様発泡性飲料を製造する上で重要である。例えば特許文献1には、麦芽を含む原料と仕込用水とを攪拌混合し、加温して糖化させ、麦汁を採取する仕込工程と、酵母を添加して発酵させる発酵工程と、発酵終了液を貯蔵する貯酒工程と、貯酒終了液をろ過し容器に充填するろ過・充填工程を含む麦芽アルコール飲料の製造方法において、前記製造の全工程又はその一部工程における雰囲気中の酸素濃度を低減させることにより、麦芽アルコール飲料の製造工程における酸化を抑制する方法が開示されている。
特開2000−4866号公報
Olsen et al., Carlsberg Research Communication, 1988, vol.53, p.1-9. Coghe et al.,JOURNAL OF THE INSTITUTE OF BREWING,2005,vol.111(1),p.51-60. Iijima et al.,Journal of Applied Microbiology,2010,vol.109, p.1906-1913.
本発明は、最終製品中の2M3MBの含有量を抑えることによってタマネギ様臭の発生が抑制された発酵ビール様発泡性飲料を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、発酵ビール様発泡性飲料の製造工程において2M3MBの生成機序を調べたところ、2,3−エポキシ−3−メチルブタナール(2,3-epoxy-3-methyl-butanal,EMBal)が2M3MBの原因物質であること、EMBalが酸素の存在下で酵母によって代謝されることにより2M3MBが生成されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る発酵ビール様発泡性飲料の製造方法及び発酵原料液は、下記[1]〜[8]である。
[1] 発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程を有し、
酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を制御することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[2] 2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量の制御を、前記発酵原料液又は前記発酵液への酸素混入量を制御することによって行う、前記[1]の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[3] 前記発酵原料液又は前記発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度が17ppb以下となるように制御する、前記[1]又は[2]の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[4] 前記発酵原料液又は前記発酵液中のイソα酸の含有量が90ppm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかの発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[5] 前記発酵原料液又は前記発酵液の液温が5〜100℃である、前記[1]〜[4]のいずれかの発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[6] 前記発酵原料液又は前記発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度を測定する工程を有する、前記[1]〜[5]のいずれかの発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[7] 発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程と、
酵母を接種する前の前記発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を測定する工程と、
を有することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
[8] 2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度が、17ppb以下である、発酵原料液。
本発明に係る発酵ビール様発泡性飲料の製造方法により、製造工程における2M3MBの生成を抑制することができ、タマネギ様臭が抑制された発酵ビール様発泡性飲料が製造できる。
また、本発明に係る発酵原料液により、タマネギ様臭が抑制された発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。
図1は、参考例3において行った、異性化処理後のホップ抽出液に対する分取HPLCのクロマトグラフである。
本発明及び本願明細書において、「発酵ビール様発泡性飲料」とは、発酵工程を経て製造された飲料であって、アルコール含有量や麦芽の使用の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料を意味する。すなわち、発酵ビール様発泡性飲料は、アルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。また、麦芽を原料とする飲料であってもよく、麦芽を原料としない飲料であってもよい。発酵ビール様発泡性飲料としては、具体的には、ビール、麦芽を原料とする発泡酒、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、麦芽を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒等を用いることができる。
本発明に係る発酵ビール様発泡性飲料の製造方法のうち第一の態様に係る方法は、発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程を有し、酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中のEMBalの含有量を制御することを特徴とする。後記実施例に示すように、EMBalはタマネギ様臭の原因物質である2M3MBの前駆体であり、EMBalが酸素存在下で酵母によって代謝されることにより2M3MBが生成される。このため、製造工程においてEMBalの生成を制御する、特に、発酵液中におけるEMBalの含有量を制御することにより、最終製品である発酵ビール様発泡性飲料における2M3MBの含有量を制御することができる。すなわち、発酵工程終了時までのEMBalの含有量を低く抑えることにより、2M3MBの含有量が十分に低く、タマネギ様臭が抑えられた発酵ビール様発泡性飲料が製造できる。本発明においては、飲料中の2M3MBの含有量を充分に抑えることができるため、酵母接種前の発酵原料液や発酵工程中における発酵液のEMBal濃度を、17ppb以下に制御することが好ましく、10ppb以下に制御することがより好ましく、5ppb以下に制御することがさらに好ましい。
Figure 2018008175
本発明に係る発酵ビール様発泡性飲料の製造方法は、酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中のEMBalの含有量を制御する以外は、一般的な発酵ビール様発泡性飲料と同様にして製造できる。そこで、まずは一般的な発酵ビール様発泡性飲料の製造方法を説明する。一般的な発酵ビール様発泡性飲料は、仕込(発酵原料液調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。
まず、仕込工程(発酵原料液調製工程)として、穀物原料及び糖質原料からなる群より選択される1種以上から発酵原料液を調製する。具体的には、まず、穀物原料と糖質原料の少なくともいずれかと原料水とを含む混合物を調製して加温し、穀物原料等の澱粉質を糖化させる。糖液の原料としては、穀物原料のみを用いてもよく、糖質原料のみを用いてもよく、両者を混合して用いてもよい。穀物原料としては、例えば、大麦や小麦、これらの麦芽等の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる穀物粉砕物として用いることが好ましい。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物粉砕物としては、麦芽粉砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。本発明においては、用いられる穀物粉砕物は、麦芽粉砕物であることが好ましい。麦芽粉砕物を用いることにより、ビールらしさがよりはっきりとした発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。麦芽粉砕物は、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕したものであればよい。また、本発明において用いられる穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。例えば、主原料として麦芽粉砕物を、副原料として米やトウモロコシの粉砕物を用いてもよい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。
当該混合物には、穀物原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵ビール様発泡性飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35〜70℃で20〜90分間保持する等、常法により行うことができる。
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(糖液の煮沸物)を調製することができる。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖液の濾液に替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
仕込工程後、発酵工程前に、調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50〜80℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の発酵ビール様発泡性飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が4〜5μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。
後記実施例に示すように、EMBalは、異性化処理したホップに酸素を接触させることにより生成されており、EMBalの前駆体は異性化処理したホップに由来する成分である。このため、例えば、異性化処理によってEMBalの前駆体となる成分の含有量が比較的少ない品種のホップを選択して原料としたり、EMBalの前駆体の含有量が比較的少ない異性化処理済ホップを原料とすることにより、発酵工程における発酵液中のEMBalの含有量を低く抑えることができる。ホップを原料とする場合には、仕込工程における異性化処理の条件、すなわち糖化処理後に得られた糖液の煮沸条件を適宜調節することによっても、発酵液中のEMBalの含有量を低く抑えることができる。また、発酵原料液の苦味価が高い場合や、イソα酸濃度が高い場合には、発酵工程における発酵液中のEMBalの含有量が高くなる傾向にある。このため、例えば、酵母接種前の発酵原料液のイソα酸の濃度を、90ppm以下、好ましくは50ppm以下に調整することにより、発酵液中のEMBalの含有量を低く抑えることができる。
その他、EMBalの前駆体からのEMBalの生成反応は、5〜100℃の広い範囲内で可能であり、その生成効率は温度の影響も受ける。発酵原料液や発酵液の液温が高いほど、EMBalは生成されやすい。このため、仕込工程においてホップ添加後の液温の条件を制御したり、発酵工程において発酵温度を制御することにより、発酵液中のEMBalの含有量を低く抑えることができる。
また、仕込工程では、発酵原料液に意図的に酸素を混入することはないが、発酵工程の初期には、酵母を増殖させるために、発酵液に酸素を供給する。この酸素供給量が酵母の増殖に必要な量よりも多い場合には、発酵液中の余剰の酸素により、発酵原料液から持ち込まれたEMBalの前駆体が酸化されてEMBalが生成されてしまう。このため、発酵工程における発酵液の溶存酸素量を調節することによっても、発酵液中のEMBalの含有量を低く抑えることができる。発酵液の溶存酸素量は、発酵液に対する酸素を含むガスの供給条件を調節することにより調整できる。
酵母を接種する前の発酵原料液中のEMBal含有量が多い場合には、発酵工程開始前において、発酵原料液に意図せぬ酸素の混入が行われた可能性が高い。製造設備に微小な亀裂や空隙が存在している場合には、そこから酸素が混入する場合がある。このため、発酵原料液中のEMBal含有量が多い場合には、製造設備の点検を行うことが好ましい。なお、2M3MBは酸化により生成されるが、製造工程において液中の溶存酸素量をモニタリングしても、製造された発酵ビール様発泡性飲料にタマネギ様臭が発生するかどうかの指標とすることはできない。酸素は反応性が高く、溶液中の酸素は速やかに消費されてしまうため、意図せぬ酸素の混入の場合、溶液中の実際の酸素濃度と、当該溶液がどれだけ酸素が暴露したかということが関連しないためである。これに対して、EMBalは2M3MBの直接の基質であり、よってEMBalの含有量は、タマネギ様臭の指標、ひいては酸化劣化の指標として有用である。
EMBalの含有量の制御に当たり、発酵原料液又は発酵液中のEMBalの濃度を測定してもよい。得られた測定値を指標として、ホップからのEMBalの前駆体の持ち込み量を制御したり、発酵工程における酸素供給条件を調節することができる。EMBalの濃度の測定は、仕込工程や発酵工程に組込んで常に実施してもよく、定期的に(例えば、1〜3カ月ごとに)実施してもよく、製造条件や使用する原料のロット等が切り替わるたびに実施してもよい。
発酵原料液及び発酵液中のEMBalの濃度を測定する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、逆相カラムや陰イオン交換カラム等の固相抽出カラムを用いたクロマトグラフィーにより発酵原料液又は発酵液からその他の物質を吸着除去し、得られた粗精製物を、ジクロロメタン等の極性の低い有機溶媒で抽出し、脱水させた後、ガスクロマトグラフ−質量分析(GC/MS)により測定することができる。
また、本発明に係る発酵ビール様発泡性飲料の製造方法のうち第二の態様に係る方法は、発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程と、酵母を接種する前の前記発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中のEMBalの含有量を測定する工程とを有することを特徴とする。当該方法において、発酵工程を含む発酵ビール様発泡性飲料の製造、及びEMBal濃度の測定は、第一の態様に係る方法と同様に行うことができる。
当該方法により、従来は発酵完了後にしかわからなかったタマネギ様臭の発生を、発酵工程が終了する前に予測することができる。例えば、発酵原料液中のEMBalの含有量が多い場合には、当該発酵原料液から製造される発酵ビール様発泡性飲料は、タマネギ様臭が生じる可能性が高いと予測される。逆に発酵原料液中のEMBalの含有量が少ない場合には、当該発酵原料液からタマネギ様臭がほとんどしない発酵ビール様発泡性飲料が製造されると予測される。
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
<EMBalの含有量の測定>
以降の実験において、EMBalの含有量は次のようにして測定した。
まず、内部標準物質としてEMBalの安定同位体(D6-2,3-epoxy-3-methylbutanal)を100ppbとなるように添加した試料20gを、メタノール及び水でコンディショニングした固相抽出カラム(陰イオン交換カラム「InertSep MA−1」(ジーエルサイエンス株式会社製))へと負荷した。当該固相抽出カラムの素通り液を採取し、ジクロロメタン3mLを加えて抽出し、溶媒層を回収した。この溶媒抽出操作を3回繰り返し、回収した溶媒層を全て混合したものに無水硫酸ナトリウムを5g加え、30分間以上脱水した。その後、窒素パージにて約500μLまで濃縮した後、下記の条件でGC/MSにて測定した。
(GC/MS条件)
ガスクロマトグラフ:「Agilent 6890 ガスクロマトグラフ 」(Agilent Technologies社製)
検出器:「MSD5975」(Agilent Technologies社製)
カラム:「DB−WAX capillary column」(長さ:60m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、Agilent Technologies社製)
注入口温度:250℃
注入モード:パルス化スプリットレスインジェクションモード(pulsed splitless injection mode)
注入量:1μL
キャリアガス:ヘリウム(1mL/min)
カラム温度設定:40℃(5分間保持)−(5℃/min)−160℃(5分間)
イオン化条件:70eV
測定モード:シングルイオン−モニタリングモード(single ion-monitoring(SIM) mode)
定量:それぞれの香気成分のピークエリア面積と内部標準品のピークエリア面積との比較にて実施。
[参考例1]
下面発酵酵母を、EMBalの化学合成品を添加した合成培地で培養し、2M3MBの生成を確認した。
酵母の培養には、アミノ酸を含有していない完全合成培地であるYNB(Yeast Nitrogen Base)培地(ベクトン・ディッキンソン社製、表1参照。)に、最終濃度2質量%のグルコースと表2に記載のアミノ酸を配合したアミノ酸添加YNB培地を用いた。なお、添加するアミノ酸の組成は、Cogheらによる麦芽100%ビールに含まれているとの報告(非特許文献2)に準じて決定した。
Figure 2018008175
Figure 2018008175
前記アミノ酸添加YNB培地に、20ppbとなるようにEMBalの化学合成品を添加し、さらに酵母を20×10個/mLとなるように添加し、15℃で3日間発酵させた。発酵終了後の発酵液を遠心分離処理(7000rpm×15分間)して酵母を除去したものについて2M3MB濃度を測定した。対照として、EMBalの化学合成品を添加しなかった以外は同様にして発酵させ、発酵液の2M3MB濃度を測定した。発酵液の2M3MB濃度は、Iijimaらの方法(非特許文献3)に準じて行った。
この結果、EMBalを添加しなかった培地で培養した場合には、発酵後の発酵液からは2M3MBは検出されなかったのに対して、20ppbのEMBalを添加した培地で培養した発酵液の2M3MB濃度は1.26ppbであった。これらの結果から、2M3MBの前駆体はEMBalであること、発酵工程において、EMBalを酵母が代謝することによって2M3MBが合成されること、がわかった。
[参考例2]
異性化処理前のホップと異性化処理後のホップについてEMBalの含有量を測定し、EMBalが異性化処理済のホップに由来する成分であることを調べた。ホップはナゲット品種を用いた。
具体的には、ホップとエージングホップ(ホップペレットを37℃、1週間空気にさらして酸化させたホップ)について、異性化処理前と後でEMBalの含有量を測定した。EMBalは溶液状態でないと測定できないため、異性化処理前のホップとしては、室温で水にホップを縣濁した後、ホップを除去したものをサンプルとした。また、異性化処理後のホップには、さらに、ホットエア処理(90℃、5分間、2L/分で空気をバブリングした処理)を行って、酸素の巻き込みを行ったものについてもEMBalの含有量を測定した。さらに、前記アミノ酸添加YNB培地に、各ホップをイソα酸濃度が10ppmとなる量で添加し、さらに酵母を20×10個/mLとなるように添加し、15℃で3日間発酵させた。発酵終了後の発酵液を遠心分離処理(7000rpm×15分間)して酵母を除去したものについて2M3MB濃度を測定した。
各ホップのEMBal濃度及び2M3MB濃度の測定結果を表3に示す。表中、「ホップ」はエージング処理もホットエア処理もしていないホップ、「エージングホップ」はエージング処理したホップ、「ホップ+ホットエア」はエージング未処理のホップに異性化処理後にホットエア処理を行ったホップ、「エージングホップ+ホットエア」はエージング処理済のホップに異性化処理後にホットエア処理を行ったホップの結果をそれぞれ示す。
Figure 2018008175
この結果、EMBalは、異性化処理前のホップでは検出されず、異性化処理後のホップからは検出され、ホットエア処理によりEMBal濃度は増大した。また、使用したホップに含まれているEMBal量が多いほど、発酵において2M3MBが多く生成された。これらの結果から、EMBalは、異性化処理後のホップに酸素を接触させることによって生成されること、このEMBalが酵母に代謝されて2M3MBが生成されることが確認された。また、ホップとエージングホップでは異性化処理後のEMBal濃度に差がなかったことから、異性化処理前のホップにエージング処理(酸化処理)を行っても、EMBalは生成されないことも確認された。
[実施例1]
麦芽60g、副原料20g、及び320mLの水を混合し、得られた混合物を50℃、30分間保持してタンパク質分解処理を行った後、当該混合物を65℃、70分間保持することにより、麦芽由来成分を糖化させた。得られた麦汁を濾過し、得られた濾過液にホップ(アメリカナゲット種)を添加して90分間煮沸した。煮沸処理後、濃度調整湯を添加し、ホップ粕などを分離し、5℃に冷却することにより、麦汁(300mL)を得た。使用する麦芽のロット、添加するホップ量、副原料の種類等を適宜変更し、13種の麦汁(サンプル1〜13)を製造した。これらの麦汁中のEMBal濃度を測定した。測定結果を表4に示す。
次いで、これらの麦汁200mLに対して、20×10個/mLとなるように酵母を添加し、15℃で6日間発酵させた。発酵終了後の発酵液(発酵ビール様発泡性飲料)を遠心分離処理(7000rpm×15分間)して酵母を除去したものについて2M3MB濃度を測定した。また、得られた発酵液について、5名のパネルにて、タマネギ様臭を0〜3の4段階(0:感じない、1:やや感じる、2:感じる、3:強く感じる)の評点で官能評価を行った。各発酵液の2M3MB濃度の測定値及び全パネルの評価点の平均値を表4に示す。
Figure 2018008175
この結果、麦汁中のEMBal濃度が高いほど、得られた発酵液中の2M3MB濃度が高くなり、また、2M3MB濃度が高いほど、タマネギ様臭がより強く感じられる傾向が観察された。
[実施例2]
発酵中の発酵液のEMBal濃度に対する、発酵液への酸素供給量の影響を調べた。
具体的には、実施例1と同様にして、麦汁(300mL)を得た。得られた麦汁の苦味価(BU)を測定した。苦味価の測定は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法に準じて行った。
次いで、得られた麦汁200mLに対して、20×10個/mLとなるように酵母を添加し、10℃で6日間発酵させた。なお、発酵液へ空気のバブリングを実施し、発酵開始から240分間又は370分間、発酵液に酸素を接触させた。また、バブリング終了後の発酵液を一部分取し、EMBal濃度を測定した。発酵終了後の発酵液(発酵ビール様発泡性飲料)を遠心分離処理(7000rpm×15分間)して酵母を除去したものについて、実施例1と同様にして2M3MB濃度を測定した。
麦汁中の苦味価(BU)、発酵温度(℃)(表中、「液温」)、酸素接触時間(空気バブリング時間)(分)、発酵液の溶存酸素量(DO)(ppm)、バブリング終了後発酵途中の発酵液のEMBal濃度(表中、「発酵中EMBal」)(ppb)、及び発酵後の発酵液の2M3MB濃度(ppb)の測定結果を表5に示す。この結果、発酵中に発酵液に供給された酸素によってもEMBalが生成されること、このため、発酵液への酸素供給量が多いほど、得られる発酵液の2M3MB濃度が高くなることがわかった。
Figure 2018008175
[実施例3]
麦汁中のEMBal濃度に対する、温度の影響を調べた。
具体的には、まず、実施例1と同様にして、麦汁(300mL)を得、苦味価を測定した。次いで、得られた麦汁に対して、液温を0、20、50、70、又は90℃にし、5分間、酸素の巻き込み処理(2L/分で空気をバブリングする処理)を行った後、EMBal濃度を測定した。麦汁の液温を室温より上げる場合は、麦汁をホットプレートにて加熱し、室温より下げる場合は、恒温水槽を用いた。酸素の巻き込み処理後の麦汁200mLに対して、20×10個/mLとなるように酵母を添加し、15℃で6日間発酵させた。発酵終了後の発酵液について、実施例1と同様にして2M3MB濃度を測定した。
麦汁中の苦味価(BU)、酸素の巻き込み処理時の液温(℃)(表中、「液温」)、酸素接触時間(空気バブリング時間)(分)、発酵液の溶存酸素量(DO)(ppm)、酸素の巻き込み処理後の麦汁のEMBal濃度(表中、「麦汁中EMBal」)(ppb)、及び発酵後の発酵液の2M3MB濃度(ppb)の測定結果を表6に示す。この結果、麦汁に酸素が供給されている場合には、液温が高いほどより多くのEMBalが生成されることがわかった。
Figure 2018008175
[実施例4]
麦汁中のEMBal濃度に対する、高温時の酸素接触量の影響を調べた。
具体的には、まず、実施例1と同様にして、麦汁(300mL)を得、苦味価を測定した。次いで、得られた麦汁に対して、液温を90℃にし、0、1、5、又は20分間、実施例3と同様にして酸素の巻き込み処理を行った後、EMBal濃度を測定した。酸素の巻き込み処理後の麦汁200mLに対して、20×10個/mLとなるように酵母を添加し、15℃で6日間発酵させた。発酵終了後の発酵液について、実施例1と同様にして2M3MB濃度を測定した。
麦汁中の苦味価(BU)、酸素の巻き込み処理時の液温(℃)(表中、「液温」)、酸素接触時間(空気バブリング時間)(分)、発酵液の溶存酸素量(DO)(ppm)、酸素の巻き込み処理後の麦汁のEMBal濃度(表中、「麦汁中EMBal」)(ppb)、及び発酵後の発酵液の2M3MB濃度(ppb)の測定結果を表7に示す。この結果、高温ではEMBalの合成が低温より速やかに生じること、酸素の供給量が多いほどより多くのEMBalが生成されることがわかった。
Figure 2018008175
[実施例5]
麦汁中のEMBal濃度に対する、イソα酸量の影響を調べた。
具体的には、まず、ホップの添加量をイソα酸量が0.1〜2gとなるように調節した以外は実施例1と同様にして、麦汁(300mL)を得、苦味価を測定した。
次いで、得られた麦汁200mLに対して、液温を90℃にし、520分間、実施例3と同様にして酸素の巻き込み処理を行った後、EMBal濃度を測定した。酸素の巻き込み処理後の麦汁200mLに対して、20×10個/mLとなるように酵母を添加し、15℃で6日間発酵させた。発酵終了後の発酵液について、実施例1と同様にして2M3MB濃度を測定した。
また、対照として、麦汁200mLに対して、酸素の巻き込み処理を行わずにそのまま実施例1と同様にして発酵させた後、発酵後の発酵液中の2M3MB濃度を測定した。
麦汁中の苦味価(BU)、酸素の巻き込み処理時の液温(℃)(表中、「液温」)、酸素接触時間(空気バブリング時間)(分)、発酵液の溶存酸素量(DO)(ppm)、酸素の巻き込み処理後の麦汁のEMBal濃度(表中、「麦汁中EMBal」)(ppb)、及び発酵後の発酵液の2M3MB濃度(ppb)の測定結果を表8に示す。なお、酸素の巻き込み処理を行わなかったサンプルでは、発酵前の麦汁のEMBal濃度を表中に示す。この結果、麦汁の苦味価が高いほど、酸素の巻き込み処理後の麦汁のEMBal濃度が高くなることがわかった。また、酸素の巻き込み処理を行わなかった麦汁でも、苦味価が高い麦汁ほどEMBal濃度が高かった。
Figure 2018008175
[参考例3]
EMBalが異性化処理後のホップのいずれの成分に由来するかを調べるため、異性化処理後のホップに対して分取HPLCを行った。ホップはナゲット品種を用いた。
具体的には、まず、ホップをミルにより細かく粉砕し、湯で抽出した抽出液を、凍結乾燥した。得られた固形分を70%メタノール溶液に再度溶解させたものに対して、下記の条件にて分取HPLCを行った。
(分取HPLC条件)
カラム:C18カラム「XBridge C18 Prep Column」(長さ:250mm、内径:10mm、Waters社製)
移動相A:1% ギ酸水
移動相B:1% ギ酸含有メタノール溶液
流速:15mL/分
グラジエント条件: 移動相B濃度68%(0分)→移動相B濃度72%(1分)→移動相B濃度72%(18分)→移動相B濃度100%(18.01分)→移動相B濃度100%(23分)→移動相B濃度68%(23.01分)→移動相B濃度68%(30分)
検出波長:275nm
分取HPLCにより、イソコフムロンよりも速く溶出される画分(第1画分、S−フラクション)、イソコフムロンが溶出される画分(第2画分)、n−イソフムロンが溶出される画分(第3画分)、イソアドフムロンが溶出される画分(第4画分)、イソα酸よりも後に溶出される画分(第5画分)の5つの画分を分取した。分取HPLCのクロマトグラフを図1に示す。図1のFr.1〜Fr.5が、それぞれ第1画分〜第5画分として分取した部分である。得られた分取液を再度凍結乾燥し、pH5の酢酸バッファーへと再度溶解させた後、90℃、5分間のエアレーションを行った。エアレーション後の各溶液についてEMBal濃度を測定した。各画分のEMBal濃度(ppb)の測定結果を、主に含まれている成分と苦味価(B.U.)と共に表9に示す。
Figure 2018008175
ホップ由来の苦味成分は、主に、劣化画分(S−フラクション成分、第1画分、図1のクロマトグラム中の保持時間2.6分〜10分の画分)と、イソα酸(第2画分と第3画分と第4画分の合計、保持時間10分〜16分の画分)と、イソ化前のα酸及びβ酸(第5画分、保持時間21分〜26.5分の画分)とに分類できる。表9の結果から、異性化ホップに由来するEMBalは、S−フラクションに由来するものが全体の21.9%、イソα酸に由来するものが全体の65.5%、イソ化前のα酸等に由来するものが全体の12.6%であった。これらの結果から、EMBalは主にイソα酸に由来すること、このため、イソα酸含有量の多いホップやホップエキスを用いた場合には、イソα酸と共に持ち込まれるEMBal量が多くなってしまうことが判明した。

Claims (8)

  1. 発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程を有し、
    酵母を接種する前の発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を制御することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  2. 2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量の制御を、前記発酵原料液又は前記発酵液への酸素混入量を制御することによって行う、請求項1に記載の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  3. 前記発酵原料液又は前記発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度が17ppb以下となるように制御する、請求項1又は2に記載の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  4. 前記発酵原料液又は前記発酵液中のイソα酸の含有量が90ppm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  5. 前記発酵原料液又は前記発酵液の液温が5〜100℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  6. 前記発酵原料液又は前記発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度を測定する工程を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  7. 発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程と、
    酵母を接種する前の前記発酵原料液又は前記発酵工程中の発酵液中の2,3−エポキシ−3−メチルブタナールの含有量を測定する工程と、
    を有することを特徴とする、発酵ビール様発泡性飲料の製造方法。
  8. 2,3−エポキシ−3−メチルブタナール濃度が、17ppb以下である、発酵原料液。
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