実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E−UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局203は、eNB207と、Home−eNB206とに分類される。通信システム200は、複数のeNB207を含むeNB群203−1と、複数のHome−eNB206を含むHome−eNB群203−2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS−GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
Home−eNB206は、MME部204とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB206とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのMME部204に対して、複数のHome−eNB206が接続される。あるいは、Home−eNB206は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)205を介してMME部204と接続される。Home−eNB206とHeNBGW205とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW205とMME部204とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome−eNB206が一つのHeNBGW205と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW205は、一つまたは複数のMME部204と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部204およびHeNBGW205は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207およびHome−eNB206と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203およびHeNBGW205は、E−UTRAN201を構成する。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB206間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB206間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB206間で制御情報が通信される。MME部204からは、HeNBGW205はHome−eNB206として見える。Home−eNB206からは、HeNBGW205はMME部204として見える。
Home−eNB206が、HeNBGW205を介してMME部204に接続される場合および直接MME部204に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB206とMME部204との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
図3は、本発明に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307から基地局203に送信信号が送信される。
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図3では省略しているが、各部301〜309と接続している。
図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)、HeNBGW205などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータはEPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図4では省略しているが、各部401〜410と接続している。
図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
HeNBGW通信部504は、HeNBGW205が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME204aとHeNBGW205との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部504から受信した制御データは、HeNBGW通信部504から制御プレイン制御部505へ渡される。制御プレイン制御部505での処理の結果は、PDN GW通信部501経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部505で処理された結果は、基地局通信部502経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局203へ送信され、またHeNBGW通信部504経由で1つあるいは複数のHeNBGW205へ送信される。
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505−1、SAEベアラコントロール部505−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505−3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505−2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるHome−eNB206のCSGの管理、CSG−IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505−3で行われてもよい。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ701を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ701に比べて範囲が小さいカバレッジ702を有する。
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「704」または「705」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合がある。
また、参照符号「705」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合もある。移動端末(UE)703は、例えばスモールセルのカバレッジ702内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
また図7に示すセルの構成では、参照符号「706」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが複雑に重複する場合が生じる。
また、参照符号「707」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが重複しない場合も生じる。
さらには、参照符号「708」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ701内に構成される場合も生じる。
従来LTEおよびLTE−Aにおいて、MIMO(Multiple Input Multiple Output)方式が規定されている。MIMOは、信号を空間多重し、同一周波数および同一タイミングで複数の信号を送ることを可能とし、周波数利用効率を向上させる技術として知られている。送信ウェイトの計算の方法も種々ある。例えば、コードブック(codebook)と呼ばれる送信ウェイトのテーブルをセル側で予め持ち、通信端末からのフィードバック情報を用いて、送信ウェイトをコードブックから選択する方法が、LTEおよびLTE−Aで採用されている。
前述の方法とは別に、次世代の通信方式ではコードブックを用いずに、セルと通信端末との間の伝送路情報を測定し、その伝送路情報から都度、送信ウェイトを計算する方法の採用が検討されている。送信ウェイトを、通信端末が受信するCSI−RS(Channel State Information Reference Signal)、もしくは基地局が受信するSRS(Sounding Reference Signal)から伝送路情報を得て送信ウェイトを計算し、より精度の高い送信ウェイトを導出することが可能となる。この送信ウェイトのことを、プリコーディングウェイトという。
コードブックの選択方法は、セルと通信端末の一対一の対応で決定される。したがって、他のセルの傘下の通信端末に対しての干渉の影響が問題となる。コードブックのテーブルの例が、非特許文献6の6.3.4章のテーブル6.3.4.2.3‐2に示される。該テーブルは、セルのアンテナポート数が4の場合であり、通信端末で測定されたCSIに基づいて、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)が求められる。求められたテーブルをセル側にフィードバックすることによって、MIMOに用いる送信ウェイトを決定する。
従来のMIMOでは、セルは傘下のUEに対して自セルのみのアンテナポートを考慮してコードブックを決定する。UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルは考慮されていない。したがって、複数のセルが存在する通信環境の場合、UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルからの干渉を受けてしまう。同一のセル内でセルの傘下のUEに対して最適と思われる送信ウェイトを設定した場合に、他のセルの傘下のUEに対して強い干渉が発生してしまうことがある。他のセルからの干渉によって、通信品質が劣化し、通信速度が低減する。また、システムとしての通信容量も低減する。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
複数のセルを用いてMIMOを行う。複数のセルとセルの傘下のUEとによって、MIMOを行う。MIMOを行うときに、複数のセルの傘下のUEに対して複数のセルを用いたプリコーディングを行う。本実施の形態では、MIMOとして、SU−MIMO(Single User‐MIMO)を行う。
図8〜図10は、複数のセルを用いたSU−MIMOを行う方法の概念を示す図である。図8〜図10では、セル1およびセル2の2つのセルの場合について示している。UE1−n(nは自然数)は、セル1の傘下のUEであり、UE2−m(mは自然数)は、セル2の傘下のUEである。セル1およびセル2の傘下の各UEに対して、セル1およびセル2を用いてMIMOが行われる。各UEには、異なる周波数−時間軸上のリソース(以下「f−tリソース」という場合がある)がアロケーション(allocation)される。各UEにアロケーションされるf−tリソースが異なっている場合は、各UEは同じ時間にアロケーションされてもよい。
図8は、セル1の傘下のUE1−1に対してSU−MIMOを行う場合の通信システムの構成の一例を示す図である。UE1−1に対して、セル1およびセル2を用いて複数のレイヤでプリコーディングが行われ、ビームが形成される。UE1−1に対して、レイヤ毎に異なるストリームが送信される。レイヤ毎に形成されるビーム間は、プリコーディングによって直交性が保たれるので、UE1−1は、送信された複数のストリームを受信することができる。このようにすることによって、UE1−1に対して、セル1およびセル2を用いてSU−MIMOが行われる。
図8に示す例では、セル1およびセル2を用いてSU−MIMOが行われる。これによって、UE1−1に対して、セル1だけでなく、セル2からの送信も考慮してプリコーディングが行われる。したがって、セル1のみでSU−MIMOを行う場合に比べて、UE1−1に対するセル2からの干渉を低減することができるので、UEに対する非サービングセルからの干渉を低減することが可能となる。
図9は、セル1の傘下のUE1−3に対してSU−MIMOを行う場合の通信システムの構成の一例を示す図である。図10は、セル2の傘下のUE2−3に対してSU−MIMOを行う場合の通信システムの構成の一例を示す図である。各UEに対して、セル1およびセル2を用いてSU−MIMOを行うことによって、UEに対する非サービングセルからの干渉を低減することが可能となる。
複数のセルを用いてSU−MIMOを実行する場合の通信システムの構成の具体例を開示する。セルは、周辺のセルに、自セルの伝送路情報を測定するための設定(以下「CSI設定」という場合がある)を通知する。また、自セルの識別子をCSI設定とともに、あるいはCSI設定に含めて通知してもよい。これによって、CSI設定を受信したセルは、どのセルのCSI設定であるかを認識することができる。このようにすることによって、セルは、周辺のセルのCSI設定を認識することが可能となる。
CSI設定は、例えば、セル毎の伝送路情報の測定のための信号の情報である。セル毎の伝送路情報の測定のための信号は、既知系列の信号とするとよい。セル毎の伝送路情報の測定のための信号の該既知系列の情報としてもよい。例えば、セル毎のアンテナポート毎の参照信号(CSI−RS)に関する情報としてもよい。
CSI設定として、セル毎の伝送路情報の測定のための信号のマッピング情報を含めてもよい。マッピング情報としては、例えば、周波数および時間などの挿入位置、挿入周期、送信電力、あるいは基準送信電力値に対するオフセット電力値がある。
CSI設定として、伝送路情報の測定のための情報(以下「伝送路測定用情報」という場合がある)を含めてもよい。伝送路測定用情報としては、例えば、フィルタリング回数、フィルタリング期間および測定周期がある。
CSI設定として、伝送路情報の測定結果の報告のための情報を含めてもよい。伝送路情報の測定結果の報告のための情報としては、例えば、報告タイミングおよび報告周期がある。
CSI設定として、伝送路の推定方法の情報を含めてもよい。CSI設定として含まれる伝送路の推定方法の情報として、推定に用いる推定値の情報を含めてもよい。推定値は、瞬時値としてもよい。フィルタリングを行った一定期間の平均値としてもよい。CSI設定として、サービングセルの信号との相互相関の情報を含めてもよい。CSI設定として、CSI−RSおよびSRSのどちらを使用するかの情報を含めてもよい。前の測定結果から求まるサービングセルの信号との相互相関の情報を伝送路の推定値の代わりとしてもよい。
伝送路の推定方法とは、伝送路情報を推定するために用いられる方法である。ここで、伝送路情報とは、セルと通信端末との間の空間で与えられる信号の位相および振幅の歪み情報である。伝送路情報は、既知系列の信号、例えばCSI−RSおよびSRSなどの参照信号を用いて導出される。伝送路情報を導出する方法としては、CSI−RSを用いて測定する方法(ダウンリンク)と、SRSを用いて測定する方法(アップリンク)との2通りがある。このうち、CSI−RSを用いた測定方法については、特許文献6に記載されている。また、SRSを用いた測定方法については、非特許文献13に記載されている。
サービングセル(Serving Cell)とは、無線通信端末と無線リンクを確立しているシステムのセルのことである。サービングセルの信号とは、前述のサービングセルから受け取る信号全般である。このときの信号とは、データチャネル、制御チャネル、RSと全ての信号を含む。特に説明がない場合は、信号はRSを示す。図8〜図10において、UE1−n(nは自然数)のサービングセルは、セル1である。また、UE2−m(mは自然数)のサービングセルは、セル2である。
サービングセルの信号との相互相関の情報とは、サービングセルとそれに接続する通信端末との間の伝送路情報と、非サービングセルと該通信端末との間の伝送路情報との相互相関を示す情報である。例えば図8〜図10では、サービングセルの信号との相互相関の情報は、セル1とUE1−1との間の伝送路情報と、セル2とUE1−1との間の伝送路情報との相関値のことを表す。
RSを用いて伝送路情報を推定する場合、サービングセルの信号との相互相関の情報は、サービングセルから送信されてUEで受信されるRSの受信ベクトルと、非サービングセルから送信されてUEで受信されるRSの受信ベクトルとの相関情報に相当する。
CSI設定は、X2インタフェースを用いて通知するとよい。CSI設定は、セル設置時、あるいは、CSI設定更新時に周辺のセルに通知するとよい。また、CSI設定を既存のメッセージに含めてもよい。例えば、CSI設定を「X2 SETUP REQUEST」メッセージに含めて、セル設置時に該メッセージを用いて通知するとよい。また、CSI設定を「eNB Configuration Update」メッセージに含めて、CSI設定更新時に該メッセージを用いて通知するとよい。CSI設定を既存のメッセージに含めることによって、新たなメッセージを設ける必要が無く、セル間の通信の制御を簡易にでき、また、セル間のシグナリングの負荷を低減することができる。また、X2インタフェースを用いることによって、低遅延で通知を行うことができる。
CSI設定は、S1インタフェースを用いて通知してもよい。CSI設定は、セル設置時、あるいは、CSI設定更新時に周辺のセルに通知するとよい。CSI設定は、コアネットワークノード、例えばMMEを介して通知してもよい。CSI設定は、既存のメッセージに含めて通知してもよい。CSI設定は、例えば、「S1 SETUP REQUEST」メッセージ、「eNB Configuration Update」メッセージ、「eNB Configuration Transfer」メッセージ、「MME Direct Information Transfer」メッセージなどに含めて通知してもよい。CSI設定を既存のメッセージに含めることによって、新たなメッセージを設ける必要が無く、セル間の通信の制御を簡易にでき、また、セル間のシグナリングの負荷を低減することができる。
CSI設定を各セルが行うとよい。これによって、自セルのアンテナポート数およびリソースの使用状況に応じた設定が可能となる。
他の方法として、各セルのCSI設定を、複数のセルを集中制御する機能を有するノードが行ってもよい。以下、複数のセルを集中制御する機能を有するノードを「コンセントレータ」と称する。eNBが該機能を有してもよい。eNBが該機能を有する場合、eNBがコンセントレータとなる。また、MMEがコンセントレータの機能を有してもよい。このときはS1インタフェースを用いる。
また、次世代の通信方式では、基地局がセントラライズドユニット(Centralized Unit;略称:CU)とディストリビューテッドユニット(Distributed Unit;略称:DU)とに分割される場合が検討されている(非特許文献8参照)。このような場合も、基地局内、すなわち、CUあるいはDUのどちらかに該機能を有してもよい。あるいは、該機能の一部をCUが有し、他の部分をDUが有してもよい。例えば、1つのDU内の複数のセルを用いてMIMOを行う場合は、該機能をDUが有するようにしてもよい。例えば、異なるDU内のセルを用いてMIMOを行う場合は、該機能をCUが有するようにしてもよい。このようにすることによって、CUとDUとが分離して配置されるような場合にも、複数のセルを用いたMIMOを行うことが可能となる。
コンセントレータが各セルのCSI設定を行う場合、コンセントレータが傘下のセルに、各セルのCSI設定を通知する。また、各セルの識別子をCSI設定とともに、あるいはCSI設定に含めて通知するとよい。これによって、CSI設定を受信したセルは、どのセルのCSI設定であるかを認識することができる。
他の方法として、各セルのCSI設定を、OAM(operation administration and maintenance)が行ってもよい。OAMが各セルのCSI設定を行う場合、OAMが傘下のセルに、各セルのCSI設定を通知する。また、各セルの識別子をCSI設定とともに、あるいはCSI設定に含めて通知するとよい。これによって、CSI設定を受信したセルは、どのセルのCSI設定であるかを認識することができる。
セルは傘下のUEに、自セルのCSI設定を通知する。また、セルは、傘下のUEに、周辺のセルのCSI設定を通知する。セルは、CSI設定を報知情報として報知してもよい。あるいは、CSI設定を個別シグナリングでUEに個別に通知してもよい。
MIMOを行うことが可能なセルの組を設定してもよい。あるいは、MIMOを行うことが可能なセルのペアを設けてもよい。ここでは、MIMOを行うことが可能なセルの組、あるいは、MIMOを行うことが可能なセルのペアを、MIMOセルと称する。MIMOセルは、OAMが決定してもよい。あるいは、MIMOセルは、コンセントレータが決定してもよい。OAMあるいはコンセントレータは、MIMOセルに、MIMOセルに含まれるセルの識別子を通知する。これによって、MIMOセルに含まれる各セルは、どのセルとMIMOを行うことが可能かを認識することが可能となる。また、MIMOに含まれる各セルは、CSI設定を通知するセルを認識することが可能となる。
CSI設定を通知するセルを、自セルとMIMOを行うことが可能なセルとに限定してもよい。CSI設定を通知するセルを、MIMOセルに限定してもよい。UE毎にMIMOを行うことが可能なセルを変えてもよい。このようにすることによって、セル間で行われるCSI設定のためのシグナリング量を低減することが可能となる。
サービングセルからサービングセルのCSI設定および周辺のセルのCSIを受信したUEは、該CSI設定を用いて伝送路情報を測定する。UEは、伝送路情報の測定結果をサービングセルに通知する。伝送路情報の測定のための信号がCSI−RSの場合、UEは、測定結果としてCSIを通知する。
CSI−RSまたはSRSから求まる伝送路情報は、該当セルの送信アンテナポート数と該当UEの受信アンテナ数との積のサイズの複素数行列としてもよい。
UEからサービングセルへの伝送路情報の測定結果の通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。再送制御が行われるので、RRCシグナリングを用いることによって、低い誤り率で送信することが可能となる。
他の方法として、L1/L2制御チャネルを用いてもよい。例えばLTEでは、PUCCHを用いるとよい。L1/L2制御チャネルを用いることによって、送信遅延を低減することが可能となる。したがって、UEが測定した伝送路情報を早期にサービングセルに通知することができ、早期にMIMOに反映させることが可能となる。
このようにすることによって、サービングセルは、傘下のUEから、自セルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得することが可能となる。
傘下のUEから自セルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得したセルは、スケジューリングおよびプリコーディングを行うノードに、伝送路情報の測定結果を通知する。スケジューリングおよびプリコーディングを行うノードが別であってもよい。スケジューリングおよびプリコーディングを行うノードが別である場合、セルは、傘下のUEからの伝送路情報の測定結果を、スケジューリングを行うノードとプリコーディングを行うノードとの両方に通知するとよい。
ここでは、スケジューリングおよびプリコーディングを行うノードをコンセントレータとする。
協調してMIMOを行うセルを構成する1つのeNBがコンセントレータの場合、伝送路情報の測定結果をeNB間で通知することになる。伝送路情報の測定結果の通知に、X2インタフェースを用いてもよい。あるいは、S1インタフェースを用いて伝送路情報の測定結果を通知してもよい。コアネットワークノード、例えばMMEを介して伝送路情報の測定結果を通知してもよい。また、伝送路情報の測定結果を、X2インタフェースあるいはS1インタフェースの既存のメッセージに含めて通知してもよい。この場合、CSI設定の通知方法で開示した方法を適用するとよい。これによって、CSI設定の通知方法で開示した方法と同様の効果を得ることができる。
傘下のセルから、自セルの傘下のUEのサービングセルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得したコンセントレータは、MIMOを協調して行う複数のセルの傘下の全てのUEのスケジューリングを行う。スケジューリングとしては、f−tリソースのアロケーション(allocation)およびMCS(Modulation and Coding Scheme)などがある。SU−MIMOでは、1つのf−tリソースに対して1つのUEがスケジューリングされる。コンセントレータが全てのUEのスケジューリングを行うことによって、SU−MIMOの実行を容易にすることができる。
MIMOを協調して行う複数のセルの傘下の全てのUEのスケジューリングを行ったコンセントレータは、MIMOを協調して行う複数のセルの傘下の全てのUEのプリコーディングを行う。具体的には、傘下のセルから取得したUEの伝送路情報の測定結果を用いて、プリコーディングウェイトを導出する。このようにすることによって、コンセントレータは、複数のセルを用いたSU−MIMOのためのプリコーディングを行うことが可能となる。
コンセントレータは、MIMOを協調して行う各セルに、スケジューリングの結果を通知する。このとき、各セルのスケジューリング情報を通知すればよい。
コンセントレータは、MIMOを協調して行う各セルに、プリコーディングの結果を通知する。このとき、各セルに関するプリコーディング情報を通知する。
このようにすることによって、全てのUEに対して、MIMOを協調して行う各セルからの送信を可能とする。
協調してMIMOを行うセルを構成する1つのeNBがコンセントレータの場合、スケジューリング情報またはプリコーディング情報をeNB間で通知することになる。スケジューリング情報またはプリコーディング情報の通知に、X2インタフェースを用いてもよい。あるいは、S1インタフェースを用いてスケジューリング情報またはプリコーディング情報を通知してもよい。コアネットワークノード、例えばMMEを介してスケジューリング情報またはプリコーディング情報を通知してもよい。また、X2インタフェースあるいはS1インタフェースの既存のメッセージにスケジューリング情報またはプリコーディング情報を含めて通知してもよい。または、CSI設定の通知方法で開示した方法を適用するとよい。これによって、CSI設定の通知方法で開示した方法と同様の効果を得ることができる。
各セルは、コンセントレータから通知されたスケジューリング情報を用いて、全てのUEのスケジューリングを行う。
各セルは、コンセントレータから通知されたプリコーディング情報を用いて、全てのUEに対してMIMOの設定を行う。
MIMOの設定として、対象となる各UEにおいて測定されたCSIに基づいて、コンセントレータによるプリコーディングウェイトの計算を含むとよい。MIMOの設定には、送信データストリームと計算されたプリコーディングウェイトとを関連付けた情報が含まれてもよい。MIMOの設定には、送信データと送信対象UEとを関連付けた情報が含まれてもよい。MIMOの設定には、プリコーディングウェイトと送信データとの掛け合わせた情報が含まれてもよい。MIMOの設定には、送信データストリームの変調方式の設定が含まれてもよい。MIMOの設定には、コーディングレートが含まれてもよい。MIMOの設定には、ランクアダプテーションによる送信ストリーム数の設定が含まれてもよい。
ランクアダプテーションは、伝送路情報から計算される、送信可能なデータストリーム数である。
セルは、全てのUEに、SU−MIMO送信を行うためにDL送信を行う。セルは、非傘下のUEにDL送信することになる。従来、セルは、非傘下のUEにDL送信を行わない。セルは、非傘下のUEにもDL送信を行うことによって、複数のセルを用いたSU−MIMOを可能とする。このようにすることによって、UEは、非サービングセルからの干渉を低減することが可能になる。
セルは、傘下のUEに、DL送信のための下り物理チャネル(PDSCH)のスケジューリング情報を通知する。該スケジューリング情報の通知には、L1/L2制御チャネルを用いるとよい。例えば、PDCCHあるいはEPDCCHを用いるとよい。
セルは、非傘下のUEにDL送信を行うために、非傘下のUEに対するDL送信のための下り物理チャネル(PDSCH)に、DM−RSなどのUE個別のUE固有参照信号(UE Specific Reference Signal)を用いるとよい。従来は、PDSCHにセル毎の参照信号(CRS)を用いている。しかし、UE個別の参照信号を用いることによって、UEは、非サービングセルからのPDSCHを受信することができる。
UE個別の参照信号は、サービングセルが決定するとよい。サービングセルは、UE個別の参照信号に関する情報をUEに通知する。UE個別の参照信号に関する情報の通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。UE個別の参照信号に関する情報は、UE個別の情報であるので、個別シグナリングを用いて通知するとよい。
あるいは、MACシグナリングを用いて通知してもよい。あるいは、L1/L2制御チャネルを用いて通知してもよい。これによって、動的に、少ない遅延で適用可能になる。
UE個別の参照信号は、コンセントレータが決定してもよい。コンセントレータは、サービングセル経由で、UE個別の参照信号に関する情報をUEに通知する。UE個別の参照信号をコンセントレータが決定することによって、複数のセルでUE個別の参照信号を重複なく割り当てることが可能となる。これによって、UEが他のUEに送信されたPDSCHを誤って受信することを無くすことが可能となる。
サービングセルは、傘下のUEに、非サービングセルのセル識別子を通知する。UEは、該識別子を用いて、非サービングセルからの信号を受信することが可能となる。サービングセルの識別子と非サービングセルの識別子とが同じ場合は、通知を省略してもよい。UEは、非サービングセルの識別子の通知が無い場合、非サービングセルの識別子を、サービングセルの識別子と同じとみなすとよい。
図11および図12は、複数のセルを用いてSU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図11と図12とは、境界線BL1の位置で、つながっている。図11および図12では、一例として、セル1とセル2とを用いてSU−MIMOを行う場合について示している。また、図11および図12では、セル1の傘下のUE1−1およびUE1−3、ならびにセル2の傘下のUE2−3の処理について示している。
ステップST901において、セル2は、自セルのCSI設定を周辺のセルであるセル1に通知する。
ステップST902において、セル1は、自セルのCSI設定を周辺のセルであるセル2に通知する。
ステップST903において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1に、自セルのCSI設定およびセル2のCSI設定を通知する。
ステップST904において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、自セルのCSI設定およびセル2のCSI設定を通知する。
ステップST905において、セル2は、傘下のUEであるUE2−3に、自セルのCSI設定およびセル1のCSI設定を通知する。
サービングセルおよび周辺のセルのCSI設定を受信したUE2−3、UE1−3およびUE1−1は、ステップST906、ステップST907およびステップST908において、CSI設定を用いて伝送路情報の測定を行う。UEは、サービングセルだけでなく、周辺のセル、換言すると非サービングセルの伝送路情報の測定を行う。
ステップST909において、UE1−1は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル1に通知する。
ステップST910において、UE1−3は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル1に通知する。
ステップST911において、UE2−3は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル2に通知する。
ステップST912において、セル1は、傘下のUE1−1から取得したセル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST913において、セル1は、傘下のUE1−3から取得したセル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST914において、セル2は、傘下のUE2−3から取得したセル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST912、ステップST913およびステップST914において、セル1およびセル2の傘下のUEから、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を取得したコンセントレータは、ステップST915の処理を行う。ステップST915において、コンセントレータは、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのスケジューリングを行う。
ステップST912、ステップST913およびステップST914において、セル1およびセル2の傘下のUEから、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を取得したコンセントレータは、ステップST916の処理を行う。ステップST916において、コンセントレータは、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST917において、コンセントレータは、セル2に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル2に関するスケジューリング情報を通知する。
図12のステップST918において、コンセントレータは、セル1に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル1に関するスケジューリング情報を通知する。
ステップST919において、コンセントレータは、セル2に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル2に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST920において、コンセントレータは、セル1に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル1に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST921において、セル1は、ステップST918で受信したスケジューリング情報を用いて、全てのUEのスケジューリングを行う。
ステップST922において、セル2は、ステップST917で受信したスケジューリング情報を用いて、全てのUEのスケジューリングを行う。
ステップST923において、セル1は、ステップST920で受信したプリコーディング情報を用いて、全てのUEのMIMO設定を行う。
ステップST924において、セル2は、ステップST919で受信したプリコーディング情報を用いて、全てのUEのMIMO設定を行う。
ステップST925において、セル2は、ステップST921で行ったスケジューリングおよびステップST923で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST926において、セル2は、ステップST921で行ったスケジューリングおよびステップST923で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST927において、セル2は、ステップST921で行ったスケジューリングおよびステップST923で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST928において、セル1は、ステップST922で行ったスケジューリングおよびステップST924で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST929において、セル1は、ステップST922で行ったスケジューリングおよびステップST924で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST930において、セル1は、ステップST922で行ったスケジューリングおよびステップST924で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してSU−MIMO送信を行う。
このようにすることによって、UE1−1、UE1−3およびUE2−3は、複数のセル、ここではセル1およびセル2によってSU−MIMO送信が行われる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、複数のセルを用いたプリコーディングを行うことが可能となる。複数のセルとそれらのセルの傘下のUEとによって、SU−MIMOを行うことが可能となる。SU−MIMOを行うときに、複数のセルの傘下のUEに対して複数のセルを用いたプリコーディングを行うことが可能となる。
UEのサービングセル以外の周辺のセルからの伝送路情報の測定結果を用いてSU−MIMOを行うことによって、サービングセル以外の周辺のセルからの干渉を低減することが可能となる。周辺のセルからの干渉が低減されることによって、UEに対する通信品質を向上させることが可能となる。また、システムとしての通信容量を向上させることが可能となる。特に、スモールセルの数が多数存在して、セル間の干渉が増大するような状況において、顕著な効果を得ることが可能となる。
実施の形態1 変形例1.
複数のセルを考慮してSU−MIMOを行う方法については、実施の形態1で開示した。しかしながら、実施の形態1では、複数のセルを考慮にいれたSU−MIMOの方法を開示したのみで、SU−MIMOの対象となる通信端末(UE)の選択については言及をしていない。対象となるUEを効率的に選択することは、複数のセルを用いたMIMOの効果を十分に得るために必要となる。また、UEを選択しない場合には、UEからセルに通知される情報量が膨大なものになってしまう。UEは、サービングセルだけでなく、非サービングセルである他のセルのCSIの測定を行い、その結果を報告しなければならない。したがって、次の(1)〜(5)の5つが課題となる。
(1)UEの消費電力が増大する。(2)測定結果を報告するために、多大な上りf−tリソースが必要となる。(3)データ用のリソースが低減する。(4)プリコーディングの演算処理の増大および複雑化が生じる。(5)多数のUEを対象としてスケジューリングの複雑化が生じる。
このような課題を解決するために、実施の形態1の変形例1における解決方法を以下に開示する。
UEは、CSIの測定結果から、干渉が問題となるセルが存在するかを判断する。UEは、干渉が問題とならないセルのCSIの測定結果をセルに通知しない。
CSIの測定結果をセルに通知しないことによって、上りf−tリソースの削減ができる。
UEの干渉が問題にならない場合、セルは、コンセントレータに、CSIの測定結果を通知しない。コンセントレータは、CSIの測定結果が通知されない場合、予め定める値を用いてプリコーディングウェイトの導出を行う。このとき、予め定める値は、一例として、振幅0の値を用いてもよい。計算から除くことによって、プリコーディングウェイトの導出のときに考慮に入れなくてもよい。
このとき、実施の形態1のように、対象となる、干渉が問題となるUE以外の各セルの傘下のUEに対してのスケジュールは、コンセントレータに情報を送信して処理を行うのではなく、各セルにおいて独立に処理を行ってもよい。この場合、干渉が問題となる自セルの傘下のUE1−1に対して、複数のセルで協調をしてSU−MIMOを行い、他セルの干渉が問題ならないUEに対しては、各セルで通常のSU−MIMOを行う。
UEは、干渉が問題とならないセルの特定を行う必要がある。干渉が問題とならないセルの特定方法は、UE側で測定される情報を使用することもできる。このとき、CSI−RSから測定できる下りRSRP(Reference Signal Received Power)を用いてもよいし、RSRQ(Reference Signal Received Quality)を用いてもよいし、信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference plus Noise power Ratio;略称:SINR)を用いてもよい。測定された伝送路情報の行列から求められる固有値の大きさを使用してもよい。測定された値が予め定める閾値よりも小さい場合、干渉が問題とならないと判断してもよい。UEが、干渉が問題となるセルを特定するときに測定する信号は、CSI−IM(CSI-Interference Measurement)を用いてもよいし、CSI−RS(Zero Power)を用いてもよい。あるいは、CRSを用いてもよい。
予め定める閾値は、予め静的に決められてもよいし、サービングセルからUEに通知されてもよい。また、予め定める閾値は、報知チャネルを用いてもよいし、個別にシグナリングしてもよい。干渉が問題とならないと判断されたとき、UEから干渉なしの情報を送信してもよい。
図13〜図15は、複数のセルを用いてSU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図13と図14とは、境界線BL2の位置で、つながっている。図14と図15とは、境界線BL3の位置で、つながっている。図13〜図15では、セル1とセル2とを用いてSU−MIMOを行う場合について示している。また、図13〜図15では、セル1の傘下のUE1−1およびUE1−3、ならびにセル2の傘下のUE2−3の処理について示している。図13〜図15に示すシーケンスは、図11および図12に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST901〜ステップST908の処理を行った後に、ステップST1001において、UE2−3は、ステップST906の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST1002において、UE1−3は、ステップST907の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST1003において、UE1−1は、ステップST908の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST1004において、UE2−3は、干渉が問題とならないセルをセル1に特定する。
ステップST1005において、UE1−3は、干渉が問題とならないセルをセル2に特定する。
ステップST1006において、UE1−1は、干渉が問題とならないセルが無いことを特定する。
次に、図14のステップST909の処理を行った後、ステップST910aにおいて、UE1−3は、セル1の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル1に通知する。
ステップST911aにおいて、UE2−3は、セル2の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル2に通知する。
ステップST913aにおいて、セル1は、傘下のUE1−3から取得したセル1の伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST914aにおいて、セル2は、傘下のUE2−3から取得したセル2の伝送路情報の測定結果を、UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
次に、ステップST915およびステップST916の処理を行う。
ステップST917aにおいて、コンセントレータは、セル2に、セル2の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
ステップST918aにおいて、コンセントレータは、セル1に、セル1の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
次に、ステップST919およびステップST920の処理を行う。UEが測定したCSIをセルからコンセントレータの順に通知し、コンセントレータによって、複数のセルの傘下の全てのUEのスケジューリング、およびプリコーディングウェイトの導出を行う。導出されたプリコーディングウェイトは、各セルに通知される。
図15のステップST1007において、セル1は、ステップST918でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1008において、セル2は、ステップST917でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
次に、ステップST923およびステップST924の処理を行う。
次に、ステップST925〜ステップST930において、図12と同様に、傘下のUEに対してMIMO送信を行う。
以上のようにすることによって、CSIの測定結果の報告のための上りf−tリソースを低減することができる。CSIを送るために必要なULのデータ用リソースの低減を抑えることができる。対象となるUEを減らすことによって、プリコーディングウェイトの導出、およびUEに対するスケジュールが複雑化することを軽減することができる。
実施の形態1 変形例2.
複数のセルを考慮してSU−MIMOを行う処理は、複数のセルの傘下の全てのUEを含むプリコーディング処理を行わなければならず、処理が複雑になる。これによって、基地局の消費電力の増大、回路規模の増大、および制御遅延の増大が引き起こされる。また、多数のUEを対象としているので、スケジューリングが複雑化するという問題が生じる。
このような課題を解決するために、実施の形態1の変形例2における解決方法を以下に開示する。
複数のセルを考慮してSU−MIMOを行う方法については、実施の形態1の変形例1で開示した。しかしながら、実施の形態1の変形例1では、SU−MIMOの対象となる通信端末の選択についてはUEで行っていた。本変形例では、UEからの情報に基づいて、セルにおいて、干渉が問題となるUEを選択する方法を開示する。UEではなく、セルで選択を行うことによって、UEでの演算負荷を低減することが可能となる。また、セルとコンセントレータとの間の通知に使用される情報量を低減することが可能となる。
SU−MIMOの対象となるUEの決定方法としては、セルが判断する方法、コンセントレータまたは上位ノードが判断する方法が挙げられる。
SU−MIMOの対象となるUEの決定方法としては、下りCSI−RSを用いて、RSRP、RSRQあるいはSINRなどによって受信品質を測定して判断する方法を用いてもよい。このとき、測定された値が、予め定める閾値よりも小さい場合、干渉が問題とならないと判断してもよい。
また伝送路情報から求められる各UEに対応する固有値から判断してもよい。判断方法としては、UEからのCSI−RS(Non Zero Power)の測定結果で判断してもよい。または、UEからのCSI−IMの測定結果に基づいて、信号によって他のUEに生じる干渉の量を求めて判断してもよい。CSI−RS(Zero Power)の測定結果から判断してもよい。CRSの測定結果から判断してもよい。
測定結果から、干渉が問題にならない場合は、UEから干渉なしの情報を送信してもよい。
下りCSIではなく、上りSRSをサービングセルおよび非サービングセルにおいて測定し、どのセルがどのUEに干渉を与えているかを測定して判断してもよい。
実施の形態1の変形例1との違いとして、干渉が問題となるUEを、セル側またはコンセントレータ側で判断してもよい。
UEからの通知で干渉量が閾値よりも大きい場合、与干渉セルと考えてもよい。このとき、予め定める閾値は、予め静的に決められてもよいし、コンセントレータからセルに通知されてよい。干渉が問題とならないと判断されたとき、セルからコンセントレータに、干渉なしと通知してもよい。
図16〜図18は、干渉が問題となるUEに限定してSU−MIMOを行う方法の概念を示す図である。図16は、SU−MIMOの対象となるUEを限定した後に、セル1およびセル2で協調して、UE1−1にSU−MIMOを行う場合を示している。図17は、セル1で自セル内のUEのみにSU−MIMOを行う場合を示している。図18は、セル2で自セル内のUEのみにSU−MIMOを行う場合を示している。
図19〜図21は、複数のセルを用いてSU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図19と図20とは、境界線BL4の位置で、つながっている。図20と図21とは、境界線BL5の位置で、つながっている。図19〜図21では、一例として、セル1とセル2とを用いてSU−MIMOを行う場合について示している。また、図19〜図21では、セル1の傘下のUE1−1およびUE1−3、ならびにセル2の傘下のUE2−3の処理について示している。図19〜図21に示すシーケンスは、図11および図12に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
UEにおけるCSIの測定の後に、セルにおいて干渉が問題となるUEがあるかを判定する点が、前述の実施の形態1と異なる。
ステップST901〜ステップST911の処理を行った後、ステップST1201において、セル1は、干渉が問題となるUEが存在するかを判断する。このときの判断では、CSIとしてUEから報知される伝送路情報を用いてもよい。あるいは、RSRP、RSRQまたはSINRを用いてもよい。
ステップST1202において、セル2は、干渉が問題となるUEが存在するかを判断する。
ステップST1203において、セル1は、干渉が問題となるUEをUE1−1に特定する。
ステップST1204において、セル2は、干渉が問題となるUEが無いことを特定する。
次に図20のステップST1205において、セル1は、コンセントレータにCSIおよび特定したUE2−1のUEIDを報知する。
ステップST1206において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのスケジューリングを行う。
ステップST1207において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのプリコーディングウェイトの導出を行う。
ステップST1208において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのスケジュール情報をセル2に報知する。
ステップST1209において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのスケジュール情報をセル1に報知する。
ステップST1210において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのセル2に関するプリコーディング情報をセル2に報知する。
ステップST1211において、コンセントレータは、干渉が問題となるUEのセル1に関するプリコーディング情報をセル1に報知する。
ステップST1212において、セル1は、干渉が問題となるUEのスケジューリングを行う。
ステップST1213において、セル2は、干渉が問題となるUEのスケジューリングを行う。
ステップST1214において、セル1は、傘下の他のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1215において、セル2は、傘下の他のUEのスケジューリングを行う。
前述の他のUEは、干渉が問題とならないUEであるので、それぞれのセルで独立してSU−MIMOを行う。このとき、スケジューリングによって、複数のセルにおけるMIMOと単一セルのMIMOとを行うRBは異なるものを使う必要がある点も考慮してスケジューリングが行われる。
ステップST1216において、セル1は、セル1の傘下のUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST1217において、セル2は、セル2の傘下のUEのプリコーディングを導出する。
ステップST1218において、セル1は、傘下のUEと干渉が問題となるUEのMIMO設定を行う。
ステップST1219において、セル2は、傘下のUEと干渉が問題となるUEのMIMO設定を行う。
図19〜図21に示す各ステップの処理を行うことによって、複数のセルを考慮したSU−MIMOとその他の他セルが干渉とならない自セルのUEに対してMIMOを行うことが可能となる。
干渉が問題となるUEに対してのみ複数のセルを考慮したMIMOを行うことができる。プリコーディング処理を干渉が問題となるUEのみに限定することが可能になる。したがって、プリコーディング処理が複雑化することを低減することが可能となる。基地局の消費電力の低減、回路規模の削減、および制御遅延の低減が可能となる。
実施の形態1 変形例3.
従来技術のMIMOにおいて、セルは、UEに対して自セルのアンテナポートのみを考慮してコードブックを決定して、MIMOを行っている。このとき、UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルは考慮されていない。したがって、複数のセルが存在する通信環境の場合、UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルからの干渉を受けてしまう。
また、同一のセル内で、セルの傘下のUEに対して最適と思われる送信ウェイトを設定してMIMOを行うので、他のセルの傘下のUEに対して強い干渉が発生してしまうことがある。これによって、他のセルからの干渉によって通信品質が劣化し、通信速度が低減する。また、システムとしても通信容量が低減する。
本変形例の目的は、以上の課題を解決して、複数のセルが存在する通信環境において、他のセルからの干渉による通信品質の劣化、通信速度の低下および通信容量の低下を抑えることができる通信システムを提供することである。
前述の課題を解決するための、実施の形態1の変形例3における解決方法を以下に開示する。
本変形例では、複数のセルを考慮してSU−MIMOを行う実施の形態1の変形例を開示する。本変形例では、複数のセルからのMIMOを1台のUEに限定したSU−MIMOで考えるのではなく、複数のユーザを考慮したMU−MIMOとする。
図22は、複数のセルを考慮して傘下のUEに対してMU−MIMOを行う方法の概念を示す図である。図22に示すように、セル1およびセル2の複数のセルが協調してMU−MIMOを行う。実施の形態1のSU−MIMOの場合と同様の方法を適用するとよい。セル2は、セル1によってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号を用いてPDSCHを送信する。同様に、セル1は、セル2によってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号を用いてPDSCHを送信する。UEは、サービングセルによってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号を用いたPDSCHを受信する。
コードブックを利用するときは、サービングセルとなるセル1、および非サービングセルとなるセル2の両方から、UEにPCIの通知が必要となる。UEは、セル1およびセル2のPCIを用いて、プリコーディングに用いられている送信ウェイトを知ることによって、PDSCHを受信する。
図23および図24は、干渉が問題となるUEを含めて、複数のセルを用いてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図23と図24とは、境界線BL6の位置で、つながっている。図23および図24に示すシーケンスは、図11および図12、ならびに図13〜図15に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST901〜ステップST915の処理は、図11と同様に行う。
ステップST1401において、コンセントレータは、MU−MIMOを行うUEのプリコーディングウェイトを導出する。
図24のステップST1402において、コンセントレータは、セル2に、MU−MIMOを行うUEのセル2に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST1403において、コンセントレータは、セル1に、MU−MIMOを行うUEのセル1に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST1404において、セル1は、セル1の傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1405において、セル2は、セル2の傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1406において、セル1は、MU−MIMOを行うUEのMIMO設定を行う。
ステップST1407において、セル2は、MU−MIMOを行うUEのMIMO設定を行う。
MU−MIMOのために導出されたプリコーディング情報を用いることによって、複数のセルを考慮したMU−MIMOを行うことができる。
複数のセルを用いたプリコーディングによってMU−MIMOを行うことが可能となる。サービングセル以外の他のセルからの伝送路情報を考慮したMU−MIMOを行うことによって、他のセルからの干渉を低減することが可能となる。他のセルの干渉を低減することによって、通信品質を向上させることが可能となる。また、システムとしての通信容量を向上させることが可能となる。特に、スモールセルの数が多数存在して、セル間の干渉が増大するような状況において、顕著な大きな効果を得ることができる。
実施の形態1 変形例4.
複数のセルを考慮してMU−MIMOを行う処理は、複数のセルの傘下の全てのUEを含むプリコーディング処理を行わなければならず、処理が複雑になる。これによって、基地局の消費電力の増大、回路規模の増大、および制御遅延の増大につながる。また、多数のUEを対象としているので、スケジューリングが複雑化するという問題がある。
このような課題を解決するために、実施の形態1の変形例4における解決方法を以下に開示する。
本変形例では、複数のセルを考慮してMU−MIMOを行う実施の形態1の変形例を開示する。本変形例では、複数のユーザを考慮したMU−MIMOを行う場合について開示する。
セルの傘下に複数のUEが存在することによって、MU−MIMOの処理量は増加し、処理は複雑化する。したがって、セルの傘下の、干渉が問題となるUEに、複数のセルを考慮したMU−MIMOの適用を限定することによって、セルまたはコンセントレータの処理の低減が可能となる。
非サービングセルからの干渉が問題とならないUEに対しては、サービングセルが自セルのみを考慮して、MU−MIMOを行うことが可能となる。したがって、複数のセルで行うMIMOの対象となるUEの数を低減することが可能となる。
干渉が問題とならないUEに対しては、サービングセルが自セルのみを考慮して、DL送信を行う。MU−MIMOを行ってもよい。このとき、複数のセルではなく、自セルのみを考慮してプリコーディングを行う。
複数のセルによるMU−MIMOの対象となるUEの決定方法は、実施の形態1の変形例2と同様になる。複数のセルを考慮したMIMOと自セルのみを考慮したMIMOとにおいて同じf−tリソースにアロケーションを行うと、互いの直交性を保つことが困難であるので、異なるf−tリソースを利用する。
セルの傘下のUEが複数の場合は、MU−MIMOを行うが、セルの傘下のUEが1台のみの場合は、MU−MIMOを行う必要がないので、MU−MIMOからSU−MIMOへの切り替えを行う。
複数のセルによるMU−MIMOの対象となるUEが決定した後のスケジューリングは、各セルが傘下のUEに対して行う。各セルは、対象となるUEのスケジューリング情報をコンセントレータに通知する。このとき、コンセントレータ経由でUEに情報を送ってもよい。該スケジューリング情報を受信した協調セルは、同じf−tリソースを用いてスケジューリングしているUEを、コンセントレータに通知する。このとき、CSIも通知する。
コンセントレータは、同じf−tリソースを用いているUEでMU−MIMOを行う。
MU−MIMOの対象となるUEの決定において、UEの能力(capability)情報を基地局が受け取ることによって、UEが干渉除去アルゴリズムを搭載していると判断した場合、MU−MIMOを行う対象からは外してもよい。
図25〜図27は、干渉が問題となるUEに限定して複数のセルを用いてMU−MIMOを行う方法の概念の一例を示す図である。図25は、MU−MIMOの対象となるUEを限定した後に、セル1およびセル2で協調して、UE1−1およびUE2−1にMU−MIMOを行う場合を示している。また、図26は、セル1が単独でUE1−2およびUE1−3にMU−MIMOを行う場合を示している。図27は、セル2が単独でUE2−2およびUE2−3にMU−MIMOを行う場合を示している。
図28〜図30は、干渉が問題となるUEに限定して複数のセルを用いてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図28と図29とは、境界線BL7の位置で、つながっている。図29と図30とは、境界線BL8の位置で、つながっている。図28〜図30に示すシーケンスは、図11および図12、ならびに図19〜図21に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST1601において、セル2は、干渉が問題となるUEをUE2−1に特定する。
ステップST1602において、セル2は、コンセントレータにCSIおよび特定したUEのUEIDを報知する。
本変形例と、実施の形態1の変形例3との違いは、実施の形態1の変形例3がSU−MIMO、本変形例がMU−MIMOとしている点にある。MU−MIMOの場合は、送信アンテナに自由度がある場合は、最大で送信アンテナ数のUEを考慮に入れることが可能となる。
また、干渉が問題となるUEに対してのみ、複数のセルを考慮したMIMOを行うことによって、処理が重くなる複数のセルを考慮したプリコーディング処理を、干渉が問題となるUEに限定して行うことが可能となる。したがって、プリコーディング処理が複雑化することを低減することが可能となる。また、基地局の消費電力の低減、回路規模の削減、および制御遅延の低減が可能となる。
また、複数のセルを考慮したMU−MIMOを行うことによって、システムの伝送速度の向上が可能となる。
実施の形態1 変形例5.
複数のセルを考慮してMU−MIMOを行う処理は、複数のセルの傘下の全てのUEを含むプリコーディング処理を行わなければならず、処理が複雑になる。これによって、基地局の消費電力の増大、回路規模の増大、および制御遅延の増大につながる。また、多数のUEを対象としているので、スケジューリングが複雑化するという問題がある。
このような課題を解決するために、本変形例では、実施の形態1の変形例4における解決方法とは異なる他の方法を以下に開示する。
非サービングセルからの干渉が問題となるUEに、複数のセルを考慮したMU−MIMOの適用を限定することによって、処理量を低減することが可能となる。
非サービングセルからの干渉が問題とならないUEに対しては、サービングセルが自セルのみを考慮してMU−MIMOを行う。干渉が問題になるかどうかの判断は、UE自身が行ってもよい。あるいは、コンセントレータにCSIおよびUEIDを通知し、コンセントレータが判断してもよい。
対象となるUEの決定方法は、実施の形態1の変形例2と同様で、各セルがUEから測定したCSIを通知され、そのCSIに基づいて、非サービングセルからの干渉が問題となるUEを特定する。
各セルがCSIを通知され、そのCSIを利用して、傘下のUEのスケジューリングを行う。このとき、コンセントレータを利用しないので、処理の遅延も少なくなり、各セルは柔軟にスケジューリングを行うことが可能となる。複数のセルを考慮したプリコーディングウェイトの計算のみコンセントレータが行う。
図31および図32は、干渉が問題となるUEに限定して複数のセルを用いてMU−MIMOを行う方法の概念の他の例を示す図である。図31は、MU−MIMOの対象となるUEを限定した後に、セル1およびセル2で協調して、UE1−1およびUE2−2にMU−MIMOを行う場合を示している。また、図32は、それぞれセル1およびセル2で協調して、UE2−1およびUE1−3にMU−MIMOを行う場合を示している。
図33〜図35は、干渉が問題となるUEに限定して複数のセルを用いてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図33と図34とは、境界線BL9の位置で、つながっている。図34と図35とは、境界線BL10の位置で、つながっている。図33〜図35に示すシーケンスは、図11および図12、ならびに図19〜図21に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
本変形例と、実施の形態1の変形例4との差は、各セルが傘下のUEに対してスケジューリングを行い、コンセントレータなどの上位レイヤを介さずに処理を行う点にある。
ステップST1701において、セル1は、セル1の傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1702において、セル2は、セル2の傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST1801において、セル1は、干渉が問題となるUEのスケジュール情報と、特定したUE1−1のUEIDをセル2に報知する。
ステップST1802において、セル2は、干渉が問題となるUEのスケジュール情報と、特定したUE2−1のUEIDをセル1に報知する。
ステップST1803において、セル1は、干渉が問題となるUE2−1と同じリソースにスケジューリングしているUEをUE1−3に特定する。
ステップST1804において、セル2は、干渉が問題となるUE1−1と同じリソースにスケジューリングしているUEをUE2−2に特定する。
ステップST1805において、セル2は、コンセントレータにCSI、特定したUE2−2のUEID、およびスケジューリング情報を通知する。
ステップST1806において、セル1は、コンセントレータにCSI、特定したUE1−3のUEID、およびスケジューリング情報を通知する。
ステップST1807において、コンセントレータは、複数のセルを考慮して、干渉が問題となるUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST1808において、コンセントレータは、セル2に、干渉が問題となるUEと同じリソースを用いるUEのセル2に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST1809において、コンセントレータは、セル1に、干渉が問題となるUEと同じリソースを用いるUEのセル1に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST1810において、セル1は、セル1の傘下の他のUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST1811において、セル2は、セル2の傘下の他のUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST1812において、セル1は、傘下のUEと干渉が問題となるUEのMIMO設定を行う。
ステップST1813において、セル2は、傘下のUEと干渉が問題となるUEのMIMO設定を行う。
本変形例では、実施の形態1の変形例4の効果に加えて、各セルが傘下のUEのスケジューリングを行うことができる。各セルが独立に判断を行うので、伝送路の状況に応じて柔軟にスケジューリングを行うことができる。
実施の形態1 変形例6.
前述の実施の形態1において、セルは、既知信号、例えばSRSから上り伝送路情報を推定する。本変形例では、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)のように、上りおよび下りが同一の周波数である場合に、上りおよび下りの伝送路特性の双対性を利用して、上り伝送路情報の推定結果に基づいて、下り伝送路情報を推定する。このようにして下り伝送路情報を推定する方法(以下「伝送路推定方法」という場合がある)は、上り伝送と下り伝送とがTDDである場合に、特に有効である。以下、本変形例の伝送路推定方法について、具体的に説明する。
サービングセルは、傘下のUEに、自セルの伝送路測定用情報を通知する。サービングセルは、傘下のUEに、協調してMIMOを行うセルの伝送路測定用情報を通知する。例えば、サービングセルがセル1であり、協調してMIMOを行うセルがセル2である場合、セル1は、傘下のUEに、自セルであるセル1の伝送路測定用情報と、セル2の伝送路測定用情報とを通知する。
サービングセルは、UEのスケジュールを調整することによって、容易に伝送路情報を推定できるようにする。例えば、サービングセルは、各UEのSRSが同一の周波数および同一のタイミングにならないように、各UEの送信タイミングを調整する。また、SRSがCDM(Code Division Multiplex)分離できる信号の場合、サービングセルは、分離できる分の複数のUEが同時にSRSを送信するようにスケジュールを調整してもよい。
UEは、サービングセルから通知されたスケジュールに従って、伝送路測定用情報から得たセルID、スケジューリング情報および同期用情報に基づいて、SRSをセル1およびセル2に送信する。ここで、セルIDとは、セルの識別情報である。
UEは、送信するセル毎に異なるセル固有サウンディング参照信号(Cell specific Sounding Reference Signal)を送信してもよい。仮に、セル1への送信タイミングとセル2への送信タイミングとが異なる場合、UEが送信する既知信号は、UE固有であればよい。また、この場合にUEが送信する既知信号は、UE毎に異なるUE固有サウンディング参照信号(UE specific Sounding Reference Signal)としてもよい。
図36〜図38は、本発明の実施の形態1の変形例6における伝送路推定方法を用いてSU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図36と図37とは、境界線BL11の位置で、つながっている。図37と図38とは、境界線BL12の位置で、つながっている。
図36〜図38では、複数のセル、具体的にはセル1とセル2とを用いてSU−MIMOを行う場合のシーケンスを示している。図36〜図38では、セル1の傘下のUE1−1およびUE1−3の処理と、セル2の傘下のUE2−3の処理とを示している。
ステップST2701において、セル2は、伝送路測定用情報をセル1に通知する。
ステップST2702において、セル1は、伝送路測定用情報をセル2に通知する。
ステップST2703において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、セル1およびセル2の伝送路測定用情報を通知する。
ステップST2704において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1に、セル1およびセル2の伝送路測定用情報を通知する。
ステップST2705において、セル2は、傘下のUEであるUE2−3に、セル1およびセル2の伝送路測定用情報を通知する。
伝送路測定用情報としては、例えば、フィルタリング回数、フィルタリング期間および測定周期がある。伝送路測定用情報は、UEがSRSを測定するためのスケジューリング情報を含む。
UE2−3、UE1−3およびUE1−1は、ステップST2706、ステップST2707およびステップST2708において、それぞれ、受信した伝送路測定用情報を用いて、下り伝送路情報の測定を行う。UEは、サービングセルだけでなく、周辺のセル、すなわち非サービングセルの下り伝送路情報の測定を行う。
ステップST2709において、UE2−3は、ステップST2706の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST2710において、UE1−3は、ステップST2707の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST2711において、UE1−1は、ステップST2708の測定結果から、干渉が問題とならないセルの有無を判断する。
ステップST2712において、UE2−3は、ステップST2709の判断結果に基づいて、干渉が問題となるセルを特定する。図36〜図38に示す例では、UE2−3は、干渉が問題となるセルをセル1と特定する。
ステップST2713において、UE1−3は、ステップST2710の判断結果に基づいて、干渉が問題となるセルを特定する。図36〜図38に示す例では、UE1−3は、干渉が問題となるセルをセル2と特定する。
ステップST2714において、UE1−1は、ステップST2711の判断結果に基づいて、干渉が問題となるセルを特定する。図36〜図38に示す例では、UE1−1は、干渉が問題となるセルは無いと特定する。
本変形例では、各UEは、前述のステップST2706、ステップST2707およびステップST2708において、伝送路測定用情報によって通知されたスケジューリング情報に基づいて、上り伝送路情報としてSRSを測定する。
各UEは、測定したSRSを、上り伝送路情報を測定するための信号(以下「上り伝送路測定用信号」という場合がある)として、セル1およびセル2に送信する。セル1およびセル2は、各UEから受信したSRSから上り伝送路情報を測定し、測定した上り伝送路情報から双対性を利用して下り伝送路情報を推定する。具体的には、以下のステップST2715〜ステップST2723の処理を行うことによって、下り伝送路情報を推定する。
ステップST2715において、UE1−1は、ステップST2708で測定したSRSを上り伝送路測定用信号としてセル1に通知する。
ステップST2716において、UE1−3は、ステップST2707で測定したSRSを上り伝送路測定用信号としてセル1に通知する。
ステップST2717において、UE2−3は、ステップST2706で測定したSRSを上り伝送路測定用信号としてセル1に通知する。
ステップST2718において、セル1は、各UEから通知された上り伝送路測定用信号、具体的にはSRSから、上り伝送路情報を測定する。またセル1は、測定した上り伝送路情報から、双対性を利用して、下り伝送路情報を推定する。
ステップST2719において、セル1は、伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。伝送路情報の測定結果は、全てのUEの伝送路情報である上り伝送路情報の測定結果と、セル1の伝送路情報である下り伝送路情報の測定結果とを含む。
ステップST2720において、UE1−3は、ステップST2707で測定したSRSを伝送路測定用信号としてセル2に通知する。
ステップST2721において、UE2−3は、ステップST2706で測定したSRSを上り伝送路測定用信号としてセル2に通知する。
ステップST2722において、セル2は、UE1−3およびUE2−3から通知された上り伝送路測定用信号、具体的にはSRSから、上り伝送路情報を測定する。またセル2は、測定した上り伝送路情報から、双対性を利用して、下り伝送路情報を推定する。
ステップST2723において、セル2は、伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。伝送路情報の測定結果は、UE1−3およびUE2−3の伝送路情報である上り伝送路情報の測定結果と、セル2の伝送路情報である下り伝送路情報の測定結果とを含む。
ステップST2724において、コンセントレータは、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのスケジューリングを行う。
ステップST2725において、コンセントレータは、セル1およびセル2から通知された伝送路情報の測定結果から、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST2726において、コンセントレータは、セル2に、セル2の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
ステップST2727において、コンセントレータは、セル1に、セル1の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
ステップST2728において、コンセントレータは、セル2に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル2に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST2729において、コンセントレータは、セル1に、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのセル1に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST2730において、セル1は、ステップST2727でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST2731において、セル2は、ステップST2726でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST2732において、セル1は、ステップST2729で受信したプリコーディング情報を用いて、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのMIMO設定を行う。
ステップST2733において、セル2は、ステップST2728で受信したプリコーディング情報を用いて、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのMIMO設定を行う。
ステップST2734において、セル2は、ステップST2731で行ったスケジューリングおよびステップST2733で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST2735において、セル2は、ステップST2731で行ったスケジューリングおよびステップST2733で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST2736において、セル2は、ステップST2731で行ったスケジューリングおよびステップST2733で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST2737において、セル1は、ステップST2730で行ったスケジューリングおよびステップST2732で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST2738において、セル1は、ステップST2730で行ったスケジューリングおよびステップST2732で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してSU−MIMO送信を行う。
ステップST2739において、セル1は、ステップST2730で行ったスケジューリングおよびステップST2732で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してSU−MIMO送信を行う。
以上のようにすることによって、UE1−1、UE1−3およびUE2−3は、複数のセル、ここではセル1およびセル2によってSU−MIMO送信が行われる。
本変形例では、実施の形態1と同様に、UEが周辺のセルの伝送路情報を測定することによって、セル間で協調してMIMOを行うことが可能となる。これによって、UEは、サービングセル以外の周辺セルからの干渉を低減することが可能となるので、通信品質を向上させることができる。
本変形例は、特に、スモールセルが多数存在する場合などのように、セル間の干渉が増大する可能性がある場合に効果を奏する。すなわち、本変形例を用いることによって、スモールセルが多数存在する場合などのように、セル間の干渉が増大する可能性がある場合でも、セル間の干渉を低減することができるので、通信品質を向上させることができる。
また、実施の形態1では、セルが送信する下り信号を伝送路情報の推定に用いているが、本変形例では、下り信号を伝送路情報の推定に用いる必要はない。したがって、オーバーヘッドを削減することができるので、スループットを向上させることができる。
実施の形態1 変形例7.
実施の形態1の変形例1では、UEは干渉が問題とならないセルを判定し、干渉が問題とならないUEは、伝送路情報を送信しないことによって、セルおよびコンセントレータの計算量を削減する。本変形例では、実施の形態1の変形例1においてSINRに基づいて干渉の有無を判断するときに考慮する条件を開示する。
セルは、伝送路情報を測定するための伝送路測定用情報を用いて、干渉の有無を判断する。セル毎の伝送路情報を測定するための信号は、既知系列の信号であり、CSI−RSを用いる。セル毎の該信号の情報としては、セル毎のアンテナポート毎の参照信号、具体的にはCSI−RSのマッピング情報を用いる。マッピング情報としては、例えば、周波数および時間などの挿入位置、挿入周期、送信電力、あるいは基準送信電力値に対するオフセット電力値を用いてもよい。
伝送路情報の推定のために、サービングセルの信号との相互相関を、伝送路測定用情報の代わりに用いてもよい。サービングセルのCSI−IMを用いて、干渉成分の伝送路情報を測定してもよい。
干渉が問題となるかどうかを、基地局がプリコーディング方式で判断してもよい。例えば、従来のLTE、LTE−Aと同様に、コードブックを用いたプリコーディングを行ってもよい。また、伝送路情報に基づいて、非線形のプリコーディングを行ってもよい。非線形のプリコーディングウェイトを用いる場合、干渉抑圧能力の高い信号は、SINRの判定閾値を下げてもよい。
干渉が問題となるかどうかを、UEの位置関係を用いてUEが判断してもよい。複数のUEが存在する環境において、セルが下り伝送路情報を用いて、UEのアンテナ(以下「UEアンテナ」という場合がある)間の相関を求める。本変形例では、各UEは、複数のUEアンテナを備える。また各セルは、基地局のアンテナ(以下「基地局アンテナ」という場合がある)を複数備える。
図39は、UEアンテナ間の相関を模式的に示す図である。UEアンテナjとUEアンテナkとの間の相関Rjkは、UEアンテナiを送信アンテナとして用い、UEアンテナjおよびUEアンテナkを受信アンテナとして用いて、以下に示す式(1)を用いて求められる。
ここで、hij(t)は、送信アンテナiから受信アンテナjまでの下り伝送路情報を示す。h* ik(t)は、hik(t)の複素共役を示す。hik(t)は、送信アンテナiから受信アンテナkまでの下り伝送路情報である。Eは、時間tで変動する値を平均する演算子を示す。
UEアンテナ間の相関Rjkが予め定める閾値以上であり、その相関Rjkを示す2つのUEアンテナが接続されているUEが異なる場合、そのUEに対しては別々にMIMOを行うようにスケジューリングする。これによって、通信品質を向上させることができる。
UEアンテナjとUEアンテナkとの間の相関Rjkは、コンセントレータで計算してもよい。基地局のアンテナのアンテナパターンを活用し、自セル内の干渉を最小化するようにスケジューリングしてもよい。基地局のアンテナの指向性を変更することによって、相関を弱めてもよい。
干渉が問題となるかどうかを、UEが検出してもよい。図40は、UEによる干渉が問題となるかどうかの検出方法を説明するための図である。図40に示すように、UE1がUE2の上り信号を測定する。UE1が受信したUE2の信号が、予め定める閾値以上である場合は、UE1は、次の上り信号送信時に、セルに、UE2のスケジューリングをUE1と異なるスケジューリングとするように要求する。UE1とUE2とは逆でもよい。
干渉が問題となるかどうかを、UEの干渉抑圧能力で判断してもよい。例えば、受信アンテナ数、信号処理能力およびUEのカテゴリをパラメータとして、干渉抑圧能力が高いUEに対しては、SINRの判定閾値を下げることが考えられる。UEの干渉抑圧能力の通知には、SRSを用いてもよい。
複数のセルを用いてSU−MIMOを行う方法のシーケンスは、図13〜図15の通りである。本変形例では、図13〜図15のうち、干渉が問題となるかどうかを判断する部分(以下「干渉判断部」という場合がある)のブロック内部をSINR規範で動作させる。
図41は、干渉判断部のブロック内部の動作を示すフローチャートである。
ステップST2821において、UEは、UEカテゴリ情報を取得する。ステップST2822において、UEは、UEカテゴリから受信アンテナ数を求める。ステップST2823において、UEは、送信ストリーム数を取得する。ステップST2824において、UEは、SINR判定閾値を取得する。
ステップST2825において、UEは、受信アンテナ数が送信ストリーム数よりも多いか否かを判断する。受信アンテナ数が送信ストリーム数よりも多いと判断された場合は、ステップST2826に移行する。受信アンテナ数が送信ストリーム数よりも多くないと判断された場合は、ステップST2827に移行する。受信アンテナ数は、UEから通知されたUEカテゴリによって判断する。
ステップST2826において、SINR判定閾値を下げる。ステップST2826の処理が終了すると、ステップST2827に移行する。
ステップST2827において、UEは、受信SINRがSINR判定閾値よりも大きいか否かを判断する。受信SINRがSINR判定閾値よりも大きいと判断された場合は、ステップST2828に移行する。受信SINRがSINR判定閾値よりも大きくないと判断された場合は、ステップST2829に移行する。
ステップST2828において、UEは、干渉が問題にならないと判断する。ステップST2828の処理が終了すると、全ての処理手順を終了する。
ステップST2829において、UEは、干渉が問題になると判断する。ステップST2829の処理が終了すると、全ての処理手順を終了する。
以上のように、図41に示すフローチャートの処理を行い、セル間干渉の影響の有無の判定精度を向上させることによって、同じセルキャパシティにおいても、実際に干渉が問題となるUEのみ抽出することができ、基地局の負荷を低減させることが可能となる。
実施の形態1 変形例8.
実施の形態1の変形例6と同様、セルは、SRSから上り伝送路情報を取得し、双対性を利用して下り伝送路情報を推定する。UEは、セル1およびセル2に、SRSを送信する。UEが送信するSRSが、セル1の固有信号もしくはセル2の固有信号を含む場合、セル1およびセル2に対するSRSは、同一のf−tリソースを用いてよい。
図42〜図44は、本発明の実施の形態1の変形例8における伝送路推定方法を用いてSU−MIMOを行う場合のシーケンスの一例を示す図である。図42と図43とは、境界線BL13の位置で、つながっている。図43と図44とは、境界線BL14の位置で、つながっている。
ステップST2901において、セル2は、伝送路測定用情報をセル1に通知する。
ステップST2902において、セル1は、伝送路測定用情報をセル2に通知する。
ステップST2903において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST2904において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST2905において、セル2は、傘下のUEであるUE2−3に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST2906において、UE1−1は、上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST2907において、UE1−3は、上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST2908において、UE2−3は、上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST2909において、セル1は、各UEから通知された上り伝送路測定用信号に基づいて、SRSを測定し、上り伝送路情報を導出する。セル1は、導出した上り伝送路に基づいて、下り伝送路情報を推定する。
ステップST2910において、セル1は、全てのUEの伝送路情報の測定結果およびセル1の伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST2911において、UE1−1は、上り伝送路測定用信号をセル2に通知する。
ステップST2912において、UE1−3は、上り伝送路測定用信号をセル2に通知する。
ステップST2913において、UE2−3は、上り伝送路測定用信号をセル2に通知する。
ステップST2914において、セル2は、各UEから通知された上り伝送路測定用信号に基づいて、SRSを測定し、上り伝送路情報を導出する。セル2は、導出した上り伝送路に基づいて、下り伝送路情報を推定する。
ステップST2915において、セル2は、全てのUEの伝送路情報の測定結果およびセル2の伝送路情報の測定結果を、各UEの識別子であるUEIDとともにコンセントレータに通知する。
ステップST2916において、コンセントレータは、セル1およびセル2の傘下の全てのUEのスケジューリングを行う。
ステップST2917において、MU−MIMOを行うUEのプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST2918において、コンセントレータは、セル2に、セル2の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
ステップST2919において、コンセントレータは、セル1に、セル1の傘下のUEのスケジューリング情報を通知する。
ステップST2920において、コンセントレータは、セル2に、MU−MIMOを行うUEのセル2に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST2921において、コンセントレータは、セル1に、MU−MIMOを行うUEのセル1に関するプリコーディング情報を通知する。
ステップST2922において、セル1は、ステップST2919でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST2923において、セル2は、ステップST2918でコンセントレータから通知されたスケジューリング情報に基づいて、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST2924において、セル1は、ステップST2921で受信したプリコーディング情報を用いて、MU−MIMOを行うUEのMIMO設定を行う。
ステップST2925において、セル2は、ステップST2920で受信したプリコーディング情報を用いて、MU−MIMOを行うUEのMIMO設定を行う。
ステップST2926において、セル2は、ステップST2923で行ったスケジューリングおよびステップST2925で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMIMO送信を行う。
ステップST2927において、セル2は、ステップST2923で行ったスケジューリングおよびステップST2925で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMIMO送信を行う。
ステップST2928において、セル2は、ステップST2923で行ったスケジューリングおよびステップST2925で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してMIMO送信を行う。
ステップST2929において、セル1は、ステップST2922で行ったスケジューリングおよびステップST2924で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMIMO送信を行う。
ステップST2930において、セル1は、ステップST2922で行ったスケジューリングおよびステップST2924で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMIMO送信を行う。
ステップST2931において、セル1は、ステップST2922で行ったスケジューリングおよびステップST2924で行ったMIMO設定に従って、UE2−3に対してMIMO送信を行う。
以上のようにすることによって、UE1−1、UE1−3およびUE2−3は、複数のセル、ここではセル1およびセル2によってSU−MIMO送信が行われる。
本変形例では、実施の形態1および実施の形態1の変形例6と同様に、UEが周辺のセルの伝送路情報を測定することによって、セル間で協調してMIMOを行うことが可能となる。これによって、UEは、サービングセル以外の周辺セルからの干渉を低減することが可能となるので、通信品質を向上させることができる。
本変形例は、特に、スモールセルが多数存在する場合などのように、セル間の干渉が増大する可能性がある場合に効果を奏する。すなわち、本変形例を用いることによって、スモールセルが多数存在する場合などのように、セル間の干渉が増大する可能性がある場合でも、セル間の干渉を低減することができるので、通信品質を向上させることができる。
また、実施の形態1では、セルが送信する下り信号を伝送路情報の推定に用いているが、本変形例では、実施の形態1の変形例6と同様に、下り信号を伝送路情報の推定に用いる必要はない。したがって、オーバーヘッドを削減することができるので、スループットを向上させることができる。
実施の形態2.
実施の形態1でも述べたように、従来のMIMOでは、セルは傘下のUEに対して、自セルのアンテナポートのみを考慮してMIMOを行う。したがって、複数のセルが存在する通信環境の場合、UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルからの干渉を受けてしまうという問題がある。
このような問題を解決するために、実施の形態1では、複数のセルを用いてMIMOを行う方法を開示した。しかし、複数のセルを用いてMIMOを行う場合、複数のセルの全てのアンテナポートを含むプリコーディング処理を行わなければならず、処理が複雑となってしまう。このような処理の複雑化は、基地局の消費電力の増大、回路規模の増大、および制御遅延の増大につながる。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
セル毎に、他のセルの傘下のUEを含めてMIMOを行う。MIMOを行うときに、セルは、他のセルの傘下のUEも含めてプリコーディングを行う。該他のセルの傘下のUEとしては、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEとしてもよい。干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMIMOを行うことによって、該UEへの干渉を低減することが可能となる。したがって、周辺のセルからの干渉が低減されることによって、UEに対する通信品質を向上させることが可能となる。
本実施の形態では、MIMOとして、MU−MIMO(Multi User‐MIMO)を行う。
他のセルからの干渉が問題となるUEに対して、該UEのサービングセルからはビームが形成され、非サービングセルからはヌルが形成されるように、プリコーディングが行われる。言い換えると、セルは、他のセルからの干渉が問題となるUEが傘下のUEである場合はビームを形成し、傘下のUEでない場合はヌルを形成するように、プリコーディングを行う。該非サービングセルとしては、該UEに干渉を与えているセルとするとよい。
図45は、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う方法の概念を示す図である。図45では、セル1およびセル2の2つのセルの場合について示している。UE1−n(nは自然数)は、セル1の傘下のUEであり、UE2−m(mは自然数)は、セル2の傘下のUEである。UE1−1は、セル2からの干渉が問題となるUEとする。UE2−1は、セル1からの干渉が問題となるUEとする。
セル1は、セル1の傘下のUEと、自セルからの干渉が問題となるセル2の傘下のUE、すなわちUE2−1とに対してMIMOを行う。UE1−1、UE1−2、UE1−3およびUE2−1に対して、セル1を用いて、複数のレイヤでプリコーディングが行われ、ビームが形成される。レイヤ毎に異なるストリームが送信される。MU−MIMOの場合、各UEには同じf‐tリソースがアロケーションされてもよい。レイヤ毎に形成されるビーム間は、プリコーディングによって直交性が保たれるので、各UEは、送信されたストリームを受信することができる。一つのUEに対して複数のレイヤが割り当てられてもよい。
セル1は、セル1の傘下のUEであるUE1−1、UE1−2およびUE1−3にはビームが形成されるように、また他のセルの傘下のUEであるUE2−1にはヌルが形成されるように、プリコーディングを行う。他のセルの傘下のUEであるUE2−1は、自セルからの干渉が問題となるUEであるので、該UEに対してヌルを形成することによって、該UEへの干渉を低減することが可能となる。
セル2は、セル2の傘下のUEと、自セルからの干渉が問題となるセル1の傘下のUE、すなわちUE1−1に対してMIMOを行う。UE2−1、UE2−2、UE2−3およびUE1−1に対して、セル2を用いて、複数のレイヤでプリコーディングが行われ、ビームが形成される。レイヤ毎に異なるストリームが送信される。MU−MIMOの場合、各UEには同じf‐tリソースがアロケーションされてもよい。レイヤ毎に形成されるビーム間は、プリコーディングによって直交性が保たれるので、各UEは、送信されたストリームを受信することができる。一つのUEに対して複数のレイヤが割り当てられてもよい。
セル2は、セル2の傘下のUEであるUE2−1、UE2−2およびUE2−3にはビームが形成されるように、他のセルの傘下のUEであるUE1−1にはヌルが形成されるように、プリコーディングを行う。他のセルの傘下のUEであるUE1−1は、自セルからの干渉が問題となるUEであるので、該UEに対してヌルを形成することによって、該UEへの干渉を低減することが可能となる。
このように、セルは、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMIMOを行うことによって、該他のセルの傘下のUEに与える干渉を低減することが可能となる。
セルは、他のセルの傘下の全てのUEを含めてMIMOを行うことは困難である。他のセルの傘下のUEの数は膨大なためである。したがって、他のセルの傘下のUEのうち、どのUEをMIMOに含めるかが問題となる。本実施の形態では、他のセルの傘下のUEのうち、MIMOに含めるUEを決定する方法を開示する。
セルは、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを含めてMIMOを行うとよい。
他のセルの傘下のUEで、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードの例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)干渉が問題となるUEのサービングセル。
(2)干渉が問題となるUEに干渉を与えるセル。
(3)干渉が問題となるUE。
前記例(1)では、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを、該UEのサービングセルが決定する。サービングセルが、他のセルからの干渉が問題となるUEを決定するとしてもよい。
前記例(2)では、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを、自セルが決定する。非サービングセルが、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するとしてもよい。
セル毎に、他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを実行する具体例を開示する。
セルは、周辺のセルに、自セルの伝送路情報の測定のための設定を通知する。これに関する方法は、実施の形態1で開示した方法を適用するとよい。これによって、セルは、周辺のセルのCSI設定を認識することが可能となる。
セルは、傘下のUEに、自セルのCSI設定を通知する。また、セルは、傘下のUEに、周辺のセルのCSI設定を通知する。セルは、CSI設定を報知情報として報知してもよい。あるいは、CSI設定を個別シグナリングでUE個別に通知してもよい。
サービングセルから、サービングセルのCSI設定および周辺のセルのCSIを受信したUEは、該CSI設定を用いて伝送路情報を測定する。
前述した、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、干渉が問題となるUEのサービングセル、あるいは干渉が問題となるUEに干渉を与えるセルの場合、UEは、伝送路情報の測定結果をサービングセルに通知する。伝送路情報の測定のための信号がCSI−RSである場合、測定結果としてCSIを通知する。また、伝送路情報の測定結果として、干渉量の測定結果を含んでもよい。UEからサービングセルへの伝送路情報の測定結果の通知方法は、実施の形態1で開示した方法を適用するとよい。
このようにすることによって、サービングセルは、傘下のUEから、自セルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得することが可能となる。
前述した、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、干渉が問題となるUEのサービングセルの場合、傘下のUEから自セルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得したセルは、他のセルからの干渉が問題となるUEを決定する。
セルは、自セルの傘下のUEから送信される、他のセルからの干渉量に関する情報を取得する。他のセルからの干渉量に関する情報としては、セルの識別子と、該セルからの干渉量の測定結果とを含めるとよい。
他のセルからの干渉量に関する情報としては、自セルの傘下のUEから取得した、他のセルからの伝送路情報の測定結果を用いてもよい。
セルは、自セルの傘下のUEから送信される、他のセルからの干渉量の測定結果を用いて、他のセルからの干渉が問題となるUEを決定する。
干渉が問題となるUEの決定方法は、実施の形態1の変形例2で開示した方法を適用するとよい。
セルは、該UEの他のセルからの干渉量の測定結果を用いて、干渉を与えているセルを特定する。
干渉を与えているセルの決定方法は、実施の形態1の変形例2で開示した与干渉セルと判断する方法を適用するとよい。
セルは、傘下のUEのスケジューリングを行う。スケジューリングとして、f−tリソースのアロケーションおよびMCSなどがある。MU−MIMOでは、1つのf−tリソースに対して複数のUEがスケジューリングされてもよい。
セルは、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEに干渉を与えていることを通知する。また、セルは、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEを用いてMU−MIMOを行うことを要求してもよい。また、セルは、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEに対してヌルを形成するように要求してもよい。
セルは、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEのスケジューリング情報を通知する。該UEの識別子も通知するとよい。UEの識別子と該UEのスケジューリング情報とを関連付けて通知するとよい。1つのメッセージに含めて通知してもよい。このようにすることによって、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルが、該UEのスケジューリング情報を取得することが可能となる。干渉を与えているセルは、該UEがどのf−tリソースにアロケーションされているかなどを認識することが可能となる。
セルは、該UEに干渉を与えているセルに、該UEの、干渉を与えているセルに対する伝送路情報の測定結果を通知する。該UEの識別子も通知するとよい。UEの識別子と該UEの該測定結果とを関連付けて通知するとよい。1つのメッセージに含めて通知してもよい。また、該UEに干渉を与えているセルの識別子を併せて通知してもよい。このようにすることによって、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルが、該UEの伝送路情報の測定結果を取得することが可能となる。
干渉が問題となるUEのスケジューリング情報と伝送路情報の測定結果とを一緒に通知してもよい。UEの識別子と一緒に通知するとよい。UEの識別子と、該UEのスケジューリング情報と、該UEの該測定結果とを関連付けて通知するとよい。1つのメッセージに含めて通知してもよい。また、該UEに干渉を与えているセルの識別子を併せて通知してもよい。このようにすることによって、セル間で通知されるメッセージ量を削減することが可能となる。また、セル間のシグナリングの負荷を低減することが可能となる。
異なるeNBによって構成されるセル間における前述の情報の通知には、X2インタフェースを用いてもよい。あるいは、S1インタフェースを用いて通知してもよい。コアネットワークノード、例えばMMEを介して通知してもよい。また、X2インタフェースあるいはS1インタフェースの既存のメッセージに含めて通知してもよい。実施の形態1のCSI設定の通知方法で開示した方法を適用してもよい。これによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
他のセルの傘下のUEに干渉を与えているセルは、該UEの自セルとの伝送路情報の測定結果を取得することによって、該UEを含めてMIMOを行うことが可能となる。
セルは、傘下のUEのスケジューリングを行う。他のセルの傘下のUEに対して干渉を与えているセルは、取得した、該UEのスケジューリング情報を用いて、同一のf−tリソースにアロケーションされる傘下のUEを決定する。
セルは、同一のf−tリソースにアロケーションされる傘下のUEと他のセルの傘下の干渉が問題となるUEとを含めたプリコーディングウェイトを導出する。
セルは、傘下のUEから送信される、自セルとの伝送路情報の測定結果と、他のセルの傘下のUEから送信される、自セルとの伝送路情報の測定結果とを用いて、プリコーディングウェイトを導出する。
セルは、導出したプリコーディングウェイトを用いて、傘下のUEと他のセルの傘下の干渉が問題となるUEとに対して、MIMOを行う。
他のセルの傘下のUEで、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、干渉が問題となるUEに干渉を与えるセルの場合について開示する。干渉が問題となるUEに干渉を与えるセルの場合、傘下のUEから自セルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得したセルは、周辺のセルに、該測定結果を通知する。該測定を行ったUEの識別子、どのセルに対する測定結果かを示す情報、例えば測定したセルの識別子、および自セルの識別子、言い換えると該測定を行ったUEのサービングセルの識別子などを関連付けて通知するとよい。1つのメッセージに含めて通知してもよい。
セルは、傘下のUEのスケジューリングを行う。スケジューリングとしては、f−tリソースのアロケーションおよびMCSなどがある。セルは、周辺のセルに、傘下のUEのスケジューリング結果を通知する。傘下のUEの該測定結果などと関連付けて通知してもよい。1つのメッセージに含めて通知してもよい。
異なるeNBによって構成されるセル間における前述の情報の通知には、X2インタフェースを用いてもよい。あるいは、S1インタフェースを用いて通知してもよい。コアネットワークノード、例えばMMEを介して通知してもよい。また、X2インタフェースあるいはS1インタフェースの既存のメッセージに含めて通知してもよい。実施の形態1のCSI設定の通知方法で開示した方法を適用してもよい。これによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
周辺のセルから該セルの傘下のUEのサービングセルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を取得したセルは、自セルからの干渉が問題となるUEを決定する。
セルは、他のセルの傘下のUEから送信される、自セルからの干渉量に関する情報を取得する。自セルからの干渉量に関する情報として、セルの識別子と、自セルからの干渉量の測定結果とを含めるとよい。
自セルからの干渉量に関する情報として、周辺のセルから取得した、周辺のセルの傘下のUEのサービングセルおよび周辺のセルの伝送路情報の測定結果を用いてもよい。
セルは、他のセルの傘下のUEから送信される、自セルからの干渉量の測定結果を用いて、自セルからの干渉が問題となるUEを決定する。
干渉が問題となるUEを決定する方法は、実施の形態1の変形例2で開示した方法を適用するとよい。
セルは、干渉が問題となるUEを決定するとともに、該UEのサービングセルを特定する。周辺のセルから取得した、UEの伝送路情報の測定結果に付随して通知された該UEのサービングセルの識別子を用いるとよい。
干渉が問題となるUEを決定したセルは、該UEのサービングセルから取得した該UEのスケジューリング情報を用いて、同一のf−tリソースにアロケーションされる傘下のUEを決定する。
セルは、同一のf−tリソースにアロケーションされる傘下のUEと他のセルの傘下の干渉が問題となるUEとを含めたプリコーディングウェイトを導出する。
セルは、傘下のUEから送信される、自セルとの伝送路情報の測定結果と、他のセルの傘下のUEから送信される、自セルとの伝送路情報の測定結果とを用いて、プリコーディングウェイトを導出する。
セルは、導出したプリコーディングウェイトを用いて、傘下のUEと他のセルの傘下の干渉が問題となるUEとに対して、MIMOを行う。
前述の方法では、セルは、周辺のセルに、傘下のUEのスケジューリング結果を通知することとした。この場合、スケジューリングからプリコーディングウェイトの導出までを短期間で行うことが可能となる。
他の方法として、干渉が問題となるUEを決定したセルが、該UEのサービングセルに対して、該UEのスケジューリング情報の要求を通知するようにしてもよい。干渉が問題となるUEと該UEのスケジューリング情報の要求とを関連付けて通知するとよい。
干渉が問題となるUEのスケジューリング情報の要求を取得したセルは、該UEのスケジューリング情報を、要求したセルに通知する。自セルの識別子を併せて通知してもよい。該UEのスケジューリング情報の要求を取得したセルは、該UEのスケジューリング情報を、送付したセルに通知する。
このようにすることによって、干渉が問題となるUEを決定したセルは、該UEのスケジューリング情報を取得することが可能となる。前述の方法に比べて、各セルから周辺のセルにスケジューリング情報を通知しなければならないUEの数を大きく低減することが可能となる。また、セル間のシグナリング量を低減することができる。
他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、UEである場合について開示する。
UEが、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを判断する。UEは、非サービングセルからの干渉量を導出し、該干渉量から、自UEが非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定する。非サービングセルからの干渉量として、非サービングセルからの伝送路情報の測定結果を用いてもよい。伝送路情報の測定には、サービングセルから取得した周辺のセルのCSI設定を用いるとよい。
UEが、自UEが非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定する方法は、実施の形態1の変形例2で開示した、干渉が問題となるUEを決定する方法を適用するとよい。
UEが、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定することは、静的に規格などで決めておいてもよい。あるいは、サービングセルは、傘下のUEに、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定することを要求してもよい。要求のためのメッセージを通知するとよい。サービングセルは、傘下のUEに、該要求のための設定情報を通知してもよい。要求のためのメッセージに含めて通知してもよい。設定情報として、干渉量測定のための参照信号の種類、干渉量閾値などを含めるとよい。このように、サービングセルが要求することによって、セルおよびUEの状況に応じて適宜柔軟に、UEに対して、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定させることが可能となる。
該要求メッセージおよび設定情報の通知方法としては、報知情報に含めて報知してもよい。あるいは、個別シグナリングで通知してもよい。
傘下のUEとしては、サービングセルとRRC接続状態にあるUEとしてもよいし、RRC接続状態にあるUEのうちの任意のUEとしてもよい。UEの数を限定することによって、個別シグナリングで通知するような場合のシグナリング量を低減することが可能となる。
非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定したUEは、該決定結果をサービングセルに通知するとよい。非サービングセルの識別子と関連付けて、該決定結果をサービングセルに通知してもよい。これによって、サービングセルは、どのセルからの干渉が問題となるか否かを認識することが可能となる。
UEは、非サービングセルからの伝送路情報を測定し、サービングセルに該測定結果を通知するとよい。UEは、非サービングセルの識別子、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かの決定結果、および非サービングセルとの伝送路情報の測定結果を関連付けてサービングセルに通知してもよい。これによって、サービングセルは、干渉が問題となるUEと、該UEに干渉を与えているセルとの伝送路情報の測定結果を取得することが可能となる。
他の方法として、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定したUEは、干渉が問題となる非サービングセルとの伝送路情報の測定結果のみを、サービングセルに通知するようにしてもよい。干渉が問題となる非サービングセルの識別子と該非サービングセルとの伝送路情報の測定結果とを関連付けて通知してもよい。このように、UEからサービングセルに通知する情報を、干渉が問題となる非サービングセルに限定することによって、UEとサービングセルとの間で通知される情報量を大きく低減することが可能となる。また、無線インタフェース上のシグナリング負荷を大きく低減することが可能となる。また、UEにおいても、非サービングセルからの干渉が問題とならないUEは、サービングセルに非サービングセルとの伝送路情報の測定結果を通知する必要が無いので、消費電力を低減することが可能となる。
UEからサービングセルへの該情報の通知方法は、実施の形態1で開示した、UEからサービングセルへの伝送路情報の測定結果の通知の方法を適用するとよい。
干渉が問題となるUE識別子と、該UEに干渉を与えているセルの識別子と、伝送路情報の測定結果とを該UEから取得したサービングセルは、該UEに干渉を与えているセルに、該UEの識別子と該UEに干渉を与えているセルの伝送路情報とを通知する。自セルのセル識別子を併せて通知してもよい。
セルが傘下のUEのスケジューリングを行う方法、セルが、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEのスケジューリング情報を通知する方法、セルが、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルに、該UEの、干渉を与えているセルに対する伝送路情報の測定結果を通知する方法、ならびに他のセルの傘下のUEに干渉を与えているセルが該UEを含めてMIMOを行う方法は、前述した、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、干渉が問題となるUEのサービングセルである場合の方法を適用するとよい。
このようにすることによって、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードがUEである場合にも、他のセルの傘下のUEに干渉を与えているセルは、該UEを含めてMIMOを行うことが可能となる。
前述のように、サービングセルが傘下のUEに、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かを決定することを要求する方法を開示した。
他の方法として、サービングセルが傘下のUEに該要求を行うことを、周辺のセルからサービングセルに要求してもよい。言い換えると、セルは、周辺のセルが傘下のUEに、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かの決定を行うことを要求するように、周辺セルに要求してもよい。該要求のあったセルは、傘下のUEに、非サービングセルからの干渉が問題となるか否かの決定を行うことを要求する。セルは、周辺のセルが、自セルからの干渉が問題となるUEの存在の有無の判断、およびそのUEの特定を行うことができるようにする。これによって、セルは、自セルが干渉を与えているUEに対して、干渉を低減する措置を講じることが可能となる。
セルが、傘下のUEおよび自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMIMOを行うときのMIMOの設定は、実施の形態1で開示した方法を適用するとよい。セルは、他のセルの傘下の、自セルからの干渉が問題となるUEに対して、ヌルが形成されるように、プリコーディングを行う。
このようにすることによって、他のセルの傘下のUEに干渉を与えているセルは、該UEを含めてMIMOを行うことが可能となる。このように、該UEに対してヌルを形成するようにMIMOを行うことによって、セルは、他のセルの傘下のUEに与える干渉を低減することが可能となる。
干渉が問題となるUEのサービングセルは、該UEに対してビームを形成するようにMIMOを行ってもよい。
他のセルからの干渉が問題となるUEに対して、該UEのサービングセルからはビームが形成され、非サービングセルからはヌルが形成されるように、プリコーディングが行われる。言い換えると、セルは、他のセルからの干渉が問題となるUEが傘下のUEの場合はビームを形成し、傘下のUEでない場合はヌルを形成するように、プリコーディングを行う。該非サービングセルは、該UEに干渉を与えているセルとするとよい。
このように、該UEに対してサービングセルはビームを形成し、干渉を与えているセルがヌルを形成するようにMIMOを行うことによって、非サービングセルからの干渉を低減し、さらにサービングセルからの通信品質を高めることが可能となる。したがって、さらに高速な伝送を行うことが可能となる。
図46および図47は、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスを示す図である。図46と図47とは、境界線BL15の位置で、つながっている。
図46および図47では、一例として、セル1は、自セルであるセル1の傘下のUEと、セル2の傘下のセル1からの干渉が問題となるUEであるUE2−1とによって、MU−MIMOを行う場合について示している。また、図46および図47では、セル2は、自セルであるセル2の傘下のUEと、セル1の傘下のセル2からの干渉が問題となるUEであるUE1−1とによって、MU−MIMOを行う場合について示している。
また、図46および図47では、セル1の傘下のUE1−1およびUE1−3、ならびにセル2の傘下のUE2−3の処理について示している。また、図46および図47では、他のセルの傘下のUEのうち、自セルからの干渉が問題となるUEを決定するノードが、干渉が問題となるUEのサービングセルである場合について示している。
図46および図47に示すシーケンスは、図11および図12に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST905aにおいて、セル2は、傘下のUEであるUE2−1に、自セルのCSI設定およびセル1のCSI設定を通知する。
サービングセルおよび周辺のセルのCSI設定を受信したUE2−1は、ステップST906aにおいて、CSI設定を用いて伝送路情報の測定を行う。
ステップST911aにおいて、UE2−1は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、サービングセルであるセル2に通知する。
ステップST2001において、セル1は、傘下のUE1−1およびUE1−3から取得したセル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を用いて、干渉が問題となるUEを決定する。セル1は、UE1‐1およびUE1−3から取得したセル2からの伝送路情報の測定結果を用いて、セル2からの干渉量が問題となるか否かを判断する。
該判断のために、予め定める干渉量を導入する。該判断のための干渉量の閾値とするとよい。セルは、干渉量が該閾値を超えた場合は、干渉が問題となると判断し、閾値以下の場合は干渉が問題とならないと判断する。予め定める干渉量は、予め静的に規格などで決めておいてもよい。あるいは、コアネットワークノードがセルに通知してもよい。あるいは、OAMがセルに通知してもよい。あるいは、コンセントレータがセルに通知してもよい。
ここでは、UE1−1がセル2から予め定める干渉量より高い干渉を受けている場合について示す。
ステップST2001において、セル1は、UEから取得したセル2からの干渉量が閾値を超えた場合は、干渉が問題となると判断する。閾値以下の場合は、干渉が問題とならないと判断する。ステップST2001において、UE1−1が閾値を超えていると判断したセル1は、ステップST2003において、該UE1−1を干渉が問題となるUEと特定する。セル1は、特定したUE、ここではUE1−1のUE識別子と、干渉を与えているセル、ここではセル2の識別子と、セル2からの伝送路情報の測定結果とを関連付けて記憶する。
同様に、ステップST2002において、セル2は、傘下のUE2−1から取得したセル2およびセル1の伝送路情報の測定結果を用いて、干渉が問題となるUEを決定する。セル2は、UE2−1から取得したセル1からの伝送路情報の測定結果を用いて、セル1からの干渉量が問題となるか否かを判断する。
ここでは、UE2−1がセル1から予め定める干渉量より高い干渉を受けている場合について示す。
ステップST2002において、セル2は、UEから取得したセル1からの干渉量が閾値を超えた場合は、干渉が問題となると判断する。閾値以下の場合は、干渉が問題とならないと判断する。ステップST2002において、UE2−1が閾値を超えていると判断したセル2は、ステップST2004において、該UE2−1を干渉が問題となるUEと特定する。セル2は、特定したUE、ここではUE2−1のUE識別子と、干渉を与えているセル、ここではセル1の識別子と、セル1からの伝送路情報の測定結果とを関連付けて記憶する。
ステップST2005において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEから取得したセル2の伝送路情報の測定結果(CSI(セル2))とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
同様に、ステップST2006において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEから取得したセル1の伝送路情報の測定結果(CSI(セル1))とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST2007において、セル1は、傘下のUEのスケジューリングを行う。ステップST2008において、セル2は、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST2009において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
同様に、ステップST2010において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST2011において、セル1は、セル2から取得したUE2−1のスケジューリング情報から、UE2−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3に対しては、ビームを形成するようにプリコーディングを行い、他のセルの傘下のUEであるUE2−1に対しては、ヌルを形成するようにプリコーディングを行う。
同様に、ステップST2012において、セル2は、セル1から取得したUE1−1のスケジューリング情報から、UE1−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
セル2は、傘下のUEであるUE2−1に対しては、ビームを形成するようにプリコーディングを行い、他のセルの傘下のUEであるUE1−1に対しては、ヌルを形成するようにプリコーディングを行う。
ステップST2013において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE2−1のMIMO設定を行う。
同様に、ステップST2014において、セル2は、傘下のUEであるUE2−1、および他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE1−1のMIMO設定を行う。
ステップST2015において、セル2は、ステップST2008で行ったスケジューリングおよびステップST2014で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST2016において、セル2は、ステップST2008で行ったスケジューリングおよびステップST2014で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST2017において、セル1は、ステップST2007で行ったスケジューリングおよびステップST2013で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST2018において、セル1は、ステップST2007で行ったスケジューリングおよびステップST2013で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST2019において、セル1は、ステップST2007で行ったスケジューリングおよびステップST2013で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
このようにすることによって、セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下の自セルからの干渉が問題となるUE2−1に対して、MU−MIMO送信を行うことができる。
また、セル2は、傘下のUEであるUE2−1および他のセルの傘下の自セルからの干渉が問題となるUE1−1に対して、MU−MIMO送信を行うことが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、セルは、他のセルの干渉が問題となるUEを含めたMU−MIMOを行うことが可能となる。また、UEに対して、サービングセル以外の他のセルからの伝送路情報を考慮したMU−MIMOを行うことによって、他のセルからの干渉を低減することが可能となる。他のセルからの干渉を低減することによって、通信品質を向上させることが可能となる。また、システムとしての通信容量を向上させることが可能となる。
特に、スモールセルの数が多数存在して、セル間の干渉が増大するような状況において、顕著な効果を得ることができる。
また、実施の形態1で開示した方法に比べて、複数のセルを用いてMIMOを行う必要が無く、セル毎にMIMOを行うことが可能である。したがって、複数のセルの全てのアンテナポートを含むプリコーディング処理を行う必要が無く、セル毎のアンテナポートを用いたプリコーディング処理を行えばよい。これによって、プリコーディング処理を簡易に行うことが可能となり、基地局の消費電力の増大、回路規模の増大、および制御遅延の増大を低減することが可能となる。
また、各セルがセル毎にMIMOを行うことが可能になるので、傘下のUEのスケジューリングを実行することが可能となる。各セルの状況、例えば、電波伝搬環境および負荷などに応じて、柔軟にスケジューリングすることが可能となる。
実施の形態2 変形例1.
実施の形態2では、UEが接続していない、もしくは通信を行っていないセルからの干渉を受けてしまう問題に対して、干渉が問題となるUEを含めたセル毎のMIMOを行う方法を開示した。この方法では、サービングセルの傘下のUEに対してはビームを向け、非サービングセルの傘下のUEに対してはヌルを向けることによって、問題を解決している。本変形例では、サービングセルからヌルを形成し、非サービングセルからビームを形成する方法によって、実施の形態2で示した課題を解決する方法を開示する。
サービングセルからヌルを形成し、非サービングセルからビームを形成する。このとき、各セルは、他のセルの傘下の干渉が問題となるUEを含めてプリコーディングを行う。さらに、各セルは、干渉が問題となるUEが傘下のUEである場合はヌルを形成し、傘下のUEでない場合はビームを形成するように、プリコーディングウェイトを導出する。
各セルは、DL送信を行う。ここでは、セル1およびセル2の2つのセルがある場合の例を示す。ここで、セル1をサービングセルとし、セル2を非サービングセルとする。
セル2は、セル1によってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)を用いてPDSCHを送信する。同様に、セル1は、セル2によってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号を用いてPDSCHを送信する。
UEは、サービングセルによってスケジューリングされたリソースで、UE固有参照信号を用いたPDSCHを受信する。プリコーディングウェイトは、CSIから導出してもよいし、LTE/LTE−Aのように、コードブックを用いてもよい。コードブックを用いる場合は、セル1からUEに、セル1およびセル2の両方のPCIの通知が必要となる。UEは、該PCIを用いてPDSCHを受信する。
図48は、干渉が問題となるUEを含めたセル毎のMU−MIMOを行い、非サービングセルからビーム形成を行う方法の概要を示す図である。図48では、干渉が問題となるUEに対して、サービングセルからはヌルを形成し、非サービングセルからはビームを形成する方法を示している。このとき、UE1−n(nは自然数)は、セル1の傘下のUEであり、UE2−m(mは自然数)は、セル2の傘下のUEである。図48では、UE1−1およびUE2−1が、干渉が問題となるUEとなる。図48に示すように、干渉が問題となると考えられるUE1−1およびUE2−1に対して、非サービングセルからビームを向け、サービングセルからヌルを向ける。
実施の形態2の効果に加えて、干渉が問題となるUEがサービングセルとの通信品質よりも非サービングセルとの通信品質が良い場合、非サービングセルからビームを形成して通信を行うことによって、より高速な伝送が可能となる。
図46および図47では、サービングセルからUEにビームを向け、非サービングセルからヌルを向ける場合のシーケンスについて示しているが、本変形例の処理は、図46および図47に示すシーケンスの処理と同じになる。
実施の形態2と、実施の形態2の変形例1とは、図38のステップST2007〜ステップST2014の処理が、サービングセルのUEに対してビームを向けるのか、非サービングセルのUEに対して向けるのかが異なる。
実施の形態2では、サービングセルの干渉が問題となるUEに対して該セルからヌルを向ける方法を開示した。実施の形態2の変形例1では、非サービングセルからの干渉が問題となるUEに対して該セルからヌルを向ける方法を開示した。図48では、UE1−3が実施の形態2の変形例1の場合に当たり、その他のUEは、実施の形態2の場合となる。該UEがサービングセルおよび非サービングセルからのCSIの測定を行うことによって、その結果を用いて、サービングセルおよび非サービングセルのどちらからデータを受信するかを適宜組み合わせることも可能である。
図48では、サービングセルのUEにビームを向け、非サービングセルの干渉が問題となるUEに対してヌルを向けている。この場合では、UE1−1およびUE2−1が、干渉が問題となるUEである。伝送路の環境が変化し、UE1−1およびUE2−1が自セルからではなく、他のセルからのビームを受ける方が特性が良いと判断された場合、図48の実施の形態2の変形例1の構成へと切り替える制御が可能となる。逆も同様で、図48から図45への切り替え制御も伝送路の環境によって行うことが可能となる。
実施の形態2 変形例2.
実施の形態2の変形例1では、干渉が問題となるUEに非サービングセルからデータを送信する方法を開示した。本変形例では、干渉が問題となるUEに非サービングセルからデータを送信させるための他の方法を開示する。
干渉が問題となるUEに非サービングセルからデータを送信させるために、HO(Hand Over)させる。サービングセルは、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルへのHOを実行させる。HOを行うことによって、セル2がサービングセルとなり、UE1−1が、セル2からの信号を受信することが可能となるので、サービングセルからビームを形成し、通信することが可能となる。
各セルは、他のセルの傘下の干渉が問題となるUEを含めてプリコーディングを行う。各セルは、干渉が問題となるUEが傘下のUEの場合はビームを形成し、傘下のUEでない場合はヌルを形成するように、プリコーディングウェイトを導出して、データ伝送を行うことが可能となる。
以下の(1)〜(3)に示す手順で、非サービングセルからMIMOによってデータ伝送を行う。
(1)HO前にUE1−nは、セル1の傘下のUE、UE2−nは、セル2の傘下のUE。
(2)UE1−1およびUE2−1が、干渉が問題となるUE。UE1−1は、セル1からセル2にHOを行う。
(3)UE2−1は、セル2からセル1にHOを行う。
前記(1)〜(3)の手順から、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからビームを形成し、サービングセルからはヌルを形成することが可能となる。
図49〜図51は、干渉が問題となるUEを含めたセル毎のMU−MIMOを行い、HOを用いて非サービングセルからビーム形成を行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図49と図50とは、境界線BL16の位置で、つながっている。図50と図51とは、境界線BL17の位置で、つながっている。図49〜図51に示すシーケンスは、図11および図12、図19〜図21ならびに図46および図47に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。図49〜図51に示すシーケンスでは、HOを行う前に、ステップST2301において、UE1−1は、測定(measurement)を行い、セル1に、測定報告(Measurement report)を通知する。ステップST2302において、UE1−3は、測定を行い、セル1に、測定報告を通知する。ステップST2303において、UE2−1は、測定を行い、セル2に、測定報告を通知する。
セル1によって、干渉が問題となるUEがUE1−1であると特定され、セル2によって、干渉が問題となるUEがUE2−1であると特定された後に、ステップST2304の処理を行う。
ステップST2304において、UE1−1をセル1からセル2にHOさせる。次に、ステップST2305において、UE2−1をセル2からセル1にHOさせる。
HOによって、サービングセルに属していたUEが非サービングセルに移動するので、HO前の非サービングセルからビームを向けることが可能となる。
図50のステップST2201において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、自セルのCSI設定およびセル2のCSI設定を通知する。
ステップST2202において、セル2は、傘下のUEであるUE1−1に、自セルのCSI設定およびセル1のCSI設定を通知する。
ステップST2203において、セル1は、UE2−1に、自セルのCSI設定およびセル2のCSI設定を通知する。
ステップST2204において、UE1−1は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、セル2に通知する。
ステップST2205において、UE1−3は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、セル1に通知する。
ステップST2206において、UE2−1は、セル1およびセル2の伝送路情報の測定結果を、セル1に通知する。
ステップST2005aにおいて、セル2は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEから取得したセル2の伝送路情報の測定結果(CSI(セル2))とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST2006aにおいて、セル1は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEから取得したセル1の伝送路情報の測定結果(CSI(セル1))とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル2に通知する。
次に、図51のステップST2007およびステップST2008の処理を行う。
次に、ステップST2009aにおいて、セル1は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST2010aにおいて、セル2は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル1に通知する。
次にステップST2011〜ステップST2014、ならびにステップST925およびステップST926の処理を行う。
ステップST927aにおいて、セル2は、ステップST2008で行ったスケジューリングおよびステップST2012で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
次に、ステップST928およびステップST929の処理を行う。その後、ステップST930aにおいて、セル1は、ステップST2007で行ったスケジューリングおよびステップST2013で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してSU−MIMO送信を行う。このように、ステップST925、ステップST926、ステップST927a、ステップST928、ステップST929およびステップST930aの処理を行うことによって、MIMOでビームを向けることが可能となる。
図52〜図54は、干渉が問題となるUEを含めたセル毎のMU−MIMOを行い、HOを用いて非サービングセルからビーム形成を行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図52と図53とは、境界線BL18の位置で、つながっている。図53と図54とは、境界線BL19の位置で、つながっている。図52〜図54に示すシーケンスは、図11および図12に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST2301およびステップST2302において、UE1−1およびUE1−3は、測定(measurement)を行い、セル1に、測定報告(Measurement report)を通知する。〜ステップST2303において、UE2−1は、測定(measurement)を行い、セル2に、測定報告(Measurement report)を通知する。
測定(measurement)を行うことによって、周辺のセルを測定し、HOを行うことができるネイバリングセルリストを作成する。該セルリストにセル2があるとして、図52〜図54のシーケンスを説明する。
UEが測定報告を行った後は、ステップST901〜ステップST905において、実施の形態1と同様にCSI設定を行う。
次に、ステップST1201、ステップST1202、ステップST1203およびステップST1204aにおいて、各セルで干渉が問題となるUEの特定を行う。ここで、干渉が問題となるUEが非サービングセルに対してHOを行うことができる場合、すなわちネイバリングセルリストに存在している場合に、ステップST2304およびステップST2305において、サービングセルから非サービングセルにHOを行う。
次に、図53のステップST2005aおよびステップST2006aの処理を行う。
次に、図54のステップST2007、ステップST2008、ステップST2009a、ステップST2010a、およびステップST2011〜ステップSTステップST2014、ならびにステップST925、ステップST926、ステップST927a、ステップST928、ステップST929およびステップST930aの処理を行う。
このように、ステップST925、ステップST926、ステップST927a、ステップST928、ステップST929およびステップST930aの処理を行うことによって、MIMOでビームを向けることが可能となる。
図49〜図51に示すシーケンスの例では、該通信端末でのCSIの測定のタイミングと、該セルへの報告のタイミングとが近いので、図52〜図54に示すシーケンスの例と比較して高精度の伝送路情報を、MIMOを行うための伝送路情報として得ることが可能である。
図52〜図54に示すシーケンスの例では、該通信端末での測定(measurement)のタイミングとCSIの測定のタイミングとが近いので、干渉が問題となる端末を、図49〜図51に示すシーケンスの例と比較して高精度に判定することが可能である。
該通信端末の移動速度が速い場合は、伝送路情報の精度を得るために、図49〜図51に示すシーケンスの例を使うようにシーケンスを切り替えることも可能である。
本変形例では、CSI設定をUEに通知しているが、該CSI設定を、干渉を与えているセルのCSI設定に限定してもよい。すなわち、UEが測定するセルを、干渉を与えているセルに限定することが可能である。
このときに、HOを行った方がよいかどうかの判断は、UEから報知される測定報告(measurement report)に含まれている測定のレベルで判断してもよい。または、RSRP、RSRQで判断してもよい。SINRで判断してもよい。
また、HOによって、一度データ接続が切断されることから、考えられるオーバーヘッドを考慮して閾値を設けてもよい。HOを行わないと判断した場合は、サービングセルからビーム形成を行い、非サービングセルからヌルを形成する方法を選択してもよい。
HOを選択した場合、各セルは、干渉が問題となるUEが傘下のUEである場合、MIMOでビームを形成し、データ伝送をする。そのときにHOを用いることによって、非サービングセルは、干渉が問題となるUEに対してビームを向け、データ伝送を行うことが可能となる。サービングセルは、該UEに対してヌルを向かせることが可能となる。
これによって、実施の形態2の変形例1と同様のことを行うことが可能となる。
実施の形態2 変形例3.
実施の形態2の変形例1では、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからビームを形成する方法を開示した。干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからデータを送信する方法を開示した。他の方法として、実施の形態2の変形例2では、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからデータを送信させるために、干渉が問題となるUEを該セルにHOさせてからデータを送信する方法を開示した。
本変形例では、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからデータを送信させるための他の方法を開示する。
干渉が問題となるUEと2つのセルとを接続させる。2つに限らず、2つ以上の複数のセルと、干渉が問題となるUEとを接続させるようにしてもよい。2つ以上のセルから干渉を受けている場合に有効である。干渉が問題となるUEと2つのセルとを接続させることによって、干渉が問題となるUEに対して、干渉を与えている2つ以上の複数の非サービングセルからデータを送信させることが可能となる。
干渉が問題となるUEと少なくとも2つのセルを接続させる場合、デュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;略称:DC)(非特許文献1参照)を用いるとよい。
セルは、干渉が問題となる傘下のUEに対して、該UEに干渉を与えているセルを用いてDCの設定を行う。DCによって設定された、干渉を与えているセルを構成するSeNBは、該UEを含めてMIMOを行う。SeNBは、MIMOを行うときに、該UEを含めてプリコーディングを行う。
干渉が問題となる傘下のUEにDCを設定したMeNBは、該UEを含めてMIMOを行う。MeNBは、MIMOを行うときに、該UEを含めてプリコーディングを行う。
MeNBが構成するサービングセルは、干渉が問題となるUEに対してヌルを形成するように、プリコーディングを行う。SeNBが構成する干渉を与えているセルは、干渉が問題となるUEに対してビームを形成するように、プリコーディングを行う。
MeNBが構成するサービングセルは、干渉が問題となるUEに、データの送信を行わない。SeNBが構成する干渉を与えているセルは、干渉が問題となるUEに、データの送信を行う。
このようにすることによって、干渉が問題となるUEに、非サービングセルからデータを送信させることが可能となる。
図55は、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う方法の概念を示す図である。図55では、セル1およびセル2の2つのセルの場合について示している。UE1−n(nは自然数)は、セル1の傘下のUEであり、UE2−m(mは自然数)は、セル2の傘下のUEである。UE1−1は、セル2からの干渉が問題となるUEとする。UE2−1は、セル1からの干渉が問題となるUEとする。図55は、図48と類似しているので、ここでは主として異なる部分について説明する。
セル1は、非サービングセルからの干渉が問題となるセル1の傘下のUE1−1に対して、セル2を用いてDCを設定する。UE1−1は、サービングセルであるセル1によって、干渉を与えているセルであるセル2を用いてDCが設定される。UE1−1は、DCが設定されることによって、セル1およびセル2の両方に接続することになる。
セル2は、非サービングセルからの干渉が問題となるセル2の傘下のUE2−1に対して、セル1を用いてDCを設定する。UE2−1は、サービングセルであるセル2によって、干渉を与えているセルであるセル1を用いてDCが設定される。UE2‐1は、DCが設定されることによって、セル2およびセル1の両方に接続することになる。
セル1は、自セルからの干渉が問題となるセル2の傘下のUE、すなわちUE2−1に対してMIMOを行う。UE1−1、UE1−2、UE1−3およびUE2−1に対して、セル1を用いて、複数のレイヤでプリコーディングが行われ、ビームが形成される。レイヤ毎に異なるストリームが送信される。MU−MIMOの場合、各UEには同じf‐tリソースがアロケーションされてもよい。レイヤ毎に形成されるビーム間は、プリコーディングによって直交性が保たれるので、各UEは、送信されたストリームを受信することが可能となる。1つのUEに対して複数のレイヤが割り当てられてもよい。
セル1は、セル1の傘下のUEであるUE1−2およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下のUEであるUE2−1には、ビームが形成されるようにプリコーディングを行う。また、セル1は、セル1の傘下の他のセルからの干渉が問題となるUEであるUE1−1には、ヌルが形成されるようにプリコーディングを行う。
UE2−1は、セル2によって、セル1を用いてDCが設定されており、セル2およびセル1の両方に接続している。したがって、セル1は、ビームを形成したUE2−1に、データの送信を行うことが可能になる。
セル1の傘下のUEであるUE1−1は、自セルからの干渉が問題となるUEであるので、該UEに対してヌルを形成することによって、該UEへの干渉を低減することが可能となる。
セル2は、セル2の傘下のUEであるUE2−2およびUE2−3、ならびに他のセルの傘下のUEであるUE1−1には、ビームが形成されるようにプリコーディングを行う。また、セル2は、セル2の傘下の他のセルからの干渉が問題となるUEであるUE2−1には、ヌルが形成されるようにプリコーディングを行う。
UE1−1は、セル1によって、セル2を用いてDCが設定されており、セル1およびセル2の両方に接続している。したがって、セル2は、ビームを形成したUE1−1に対して、データの送信を行うことが可能になる。
セル2の傘下のUEであるUE2−1は、自セルからの干渉が問題となるUEであるので、該UEに対してヌルを形成することによって、該UEへの干渉を低減することが可能となる。
このように、セルが、他のセルからの干渉が問題となる傘下のUEに対して、干渉を与えている他のセルを用いてDCを行うことによって、干渉を与えているセルは、ビームを形成した該UEにデータを送信することが可能となる。
図56〜図58は、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図56と図57とは、境界線BL20の位置で、つながっている。図57と図58とは、境界線BL21の位置で、つながっている。図56〜図58では、DCを用いる場合について示している。
図56〜図58に示すシーケンスは、図11および図12、図46および図47、図49〜図51ならびに図52〜図54に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST2501において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1に対して、干渉を与えているセル2を用いてDCの設定を行う。DCによって、セル1を構成するeNBがMeNBになり、セル2を構成するeNBがSeNBになる。
また、ステップST2502において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1に対して、干渉を与えているセル1を用いてDCの設定を行う。DCによって、セル2を構成するeNBがMeNBになり、セル1を構成するeNBがSeNBになる。
図52〜図54では、ステップST2304およびステップST2305において、干渉が問題となるUEに干渉を与えるセルにHOさせる処理を行ったが、本変形例では、HOさせるのではなく、DCを行う。このようにすることによって、他のセルの傘下のUEに干渉を与えているセルは、ビームを形成した該UEにデータを送信することが可能となる。
本変形例で開示した方法を用いることによって、干渉が問題となるUEに非サービングセルからデータを送信させることが可能となる。
本変形例では、干渉が問題となるUEと、少なくとも2つのセルとを接続させるためにDCを用いた場合を開示したが、他の方法を用いてもよい。例えば、RRCダイバーシチ(非特許文献9参照)などの方法を用いてもよい。また、3GPPにおいて検討されているマルチコネクティビティ(非特許文献10参照)を用いてもよい。
このように、干渉が問題となるUEに対して干渉を与えている1つまたは複数の非サービングセルを、該UEと接続させることによって、該干渉を与えている1つまたは複数のセルからデータを送信させることが可能となる。
また、干渉が問題となるUEと接続した1つまたは複数のセルは、該UEのサービングセルとなる場合がある。
DCを用いることによって、干渉が問題となるUEに対してHO処理を行う必要が無くなる。
HO処理では、UEは、HO元のセルとのデータの伝送を停止し、HO先のセルと同期をとってHO先のセルからデータの伝送を行う。UEは、1つのセルのみとデータの伝送を行うことになる。他方、デュアルコネクティビティは、少なくとも2つのセルと同期をとってデータの伝送を行う方法である。
したがって、DCを用いることによって、HO処理中のHO失敗などによるデータの伝送ができなくなることに起因するデータの伝送遅延およびデータの損失、ならびにHO失敗からの再接続による遅延などの影響を無くすことが可能となる。
干渉が問題となるUEに対して、サービングセルからビームが形成され、非サービングセルからヌルが形成されるように、プリコーディングが行われてもよい。言い換えると、各セルは、干渉が問題となる傘下のUEに対してビームを形成し、非傘下のUEに対してヌルを形成するように、プリコーディングを行ってもよい。
実施の形態2では、干渉が問題となるUEに、非サービングセルからデータの送信を行わずに、サービングセルからデータの送信を行う方法を開示した。
干渉が問題となるUEに、例えばDCのような、少なくとも2つのセルを接続させる方法を用いることによって、このようなデータの送信を行うことが可能となる。
実施の形態2で開示したような、干渉が問題となるUEに対して、サービングセルからビームを形成する方法と、実施の形態2の変形例1で開示したような、干渉が問題となるUEに対して、非サービングセルからビームを形成する方法とを切替えて実行してもよい。
切替可能単位を、MIMOが行われる時間単位としてもよい。あるいはTTI単位、あるいはサブフレーム単位、あるいはスロット単位としてもよい。あるいは、シンボル単位としてもよい。
TTI単位、サブフレーム単位あるいはスロット単位に切替えを可能にすることによって、データがマッピングされるf−tリソースの時間単位ごとに切替えが可能となる。したがって、MIMO送信されるデータを送信するセルを、データ単位で変更することが可能となる。このようにすることによって、セルによるスケジューリングが容易になる。
切替可能単位をシンボル単位とすることによって、例えば、制御チャネルあるいは制御信号のためのビーム形成とデータチャネルのビーム形成とで切替えることが可能となる。制御チャネルあるいは制御信号は、サービングセルからビームを形成し、データは、非サービングセルからビームを形成して、MIMO送信することが可能となる。制御チャネルあるいは制御信号を送信するセルと、データを送信するセルとを変更することが可能となる。
他の例として、共通チャネルあるいは共通信号のためのビーム形成と、個別チャネルあるいは個別信号のためのビーム形成とで切替えてもよい。共通チャネルあるいは共通信号は、サービングセルからビームを形成し、個別チャネルあるいは個別信号は、非サービングセルからビームを形成して、MIMO送信することが可能となる。制御チャネルあるいは制御信号を送信するセルと、データを送信するセルとを変更することが可能となる。
シンボル単位で切替えを可能とすることによって、チャネルおよび信号に応じて適宜ビームを形成するセルを変更し、MIMO送信を行うことが可能となる。これによって、柔軟なシステムの運用が可能となる。
切替設定は、コンセントレータが行ってもよいし、OAMが行ってもよい。コンセントレータが切替設定を行う場合、コンセントレータは、傘下のセルに、各セルの切替設定情報を通知する。OAMが切替設定を行う場合、OAMは、傘下のセルに、各セルの切替設定情報を通知する。
切替設定情報には、セルが、干渉が問題となるUEに対してどのようにビーム形成を行うかを示す情報を含めるとよい。例えば、干渉が問題となる傘下のUEに対してビームを形成するようにプリコーディングするか、ヌルを形成するようにプリコーディングをするかを示す情報とするとよい。
他の方法として、切替設定は、サービングセルが行ってもよい。サービングセルを構成するeNBが行ってもよい。DCの場合、MeNBである。これは、DCを行う前にサービングセルを構成するeNBは、MeNBとなるからである。サービングセルは、干渉が問題となる傘下のUEに干渉を与えているセルに、切替設定情報を通知するとよい。該干渉を与えているセルを構成するeNBに、切替設定情報を通知してもよい。DCの場合、該干渉を与えているセルを構成するeNBは、SeNBである。
また、セルは、他のセルに切替設定を要求してもよい。該要求に応じて、セルが切替設定を行ってもよい。切替設定を要求したセルに、設定した切替設定情報を通知するとよい。干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルが、該UEのサービングセルに、切替設定を要求してもよい。例えばDCの場合、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルを構成するSeNBが、該UEのサービングセルを構成するMeNBに、切替設定を要求してもよい。
このようにすることによって、干渉が問題となるUEに干渉を与えているセルの状況に応じて、切替設定を要求することが可能となり、切替設定に、干渉を与えているセルの状況を反映させることが可能となる。
セル間の通知には、X2インタフェースを用いてもよい。DCの場合、X2−Uインタフェースを用いてもよい。あるいは、コアネットワークノード、例えばMMEを介して通知してもよい。S1インタフェースを用いて通知してもよい。また、X2インタフェースあるいはS1インタフェースの既存のメッセージに含めて通知してもよい。実施の形態1で開示したCSI設定の通知方法で開示した方法を適用してもよい。これによって、実施の形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
切替設定をサービングセルが行う場合、コンセントレータあるいはOAMが、切替設定を判断するための指標をサービングセルに通知してもよい。切替設定を判断するための指標として、干渉を与えているセルからの干渉量閾値としてもよい。該干渉量閾値が、予め定める値を超えた場合、非サービングセルからビームを形成し、非サービングセルからデータの送信を行うとするとよい。該干渉量閾値が予め定める値以下である場合、サービングセルからビームを形成し、サービングセルからデータの送信を行うとするとよい。
切替設定を判断するための干渉量閾値は、前述した、干渉が問題となるUEを決定するための干渉量閾値と異ならせてもよい。例えば、干渉が問題となるUEを決定するための干渉量閾値よりも、切替設定を判断するための干渉量閾値を大きくするとよい。
干渉が問題となるUEが存在する場合に、どのようなビーム形成方法にするかを設定することが可能となる。
切替設定情報に、同期情報を含めてもよい。どのタイミングから該設定を適用するかをセル間で同期させるための情報とするとよい。同期情報は、例えば、SFN(System Frame Number)、無線フレームナンバ、サブフレームナンバ、スロットナンバなどである。この情報を各セルに通知することによって、切替を同期させることが可能となる。
切替設定情報は、セルが傘下のUEに通知してもよい。干渉が問題となるUEにのみに通知してもよい。報知情報に含めて報知してもよいし、個別情報に含めて個別シグナリングで通知してもよい。RRCシグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよい。あるいは、L1/L2信号を用いてもよい。
UEが切替設定を認識することによって、ビームを形成しているセルを認識することが可能となる。データが送信されるセルを認識することが可能となる。あるいは、制御チャネルが送信されるセルを認識することが可能となる。したがって、UEは、データおよび制御チャネルを、どのセルの識別子を用いて受信するか、あるいは、どのセルから割当てられるRNTIを用いて受信するかを認識することが可能となる。
実施の形態2 変形例4.
実施の形態2の変形例3では、干渉が問題となるUEに対して非サービングセルからデータの送信を行わせるための方法として、干渉が問題となるUEと2つのセルとを接続させる方法を開示した。本変形例では、干渉が問題となるUEと2つのセルとを接続させて、干渉が問題となるUEを含めたセル毎のMU−MIMOを実行する他の方法を開示する。
干渉が問題となるUEと2つ以上の複数のセルとを接続させ、該UEが、各セルの伝送路情報の測定結果を各セルに通知するようにする。
実施の形態2の変形例3で開示した方法では、該UEは、各セルの伝送路情報の測定結果をサービングセルに通知していたが、本変形例では、該UEは、各セルの伝送路情報の測定結果を各セルに通知する。
図59〜図61は、自セルからの干渉が問題となる他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図59と図60とは、境界線BL22の位置で、つながっている。図60と図61とは、境界線BL23の位置で、つながっている。
図59〜図61では、DCを用いる場合について示している。また、図59〜図61では、干渉が問題となるUEが、各セルの伝送路情報の測定結果を各セルに通知する方法について示している。
図59〜図61に示すシーケンスは、図11および図12、図46および図47、図49〜図51ならびに図52〜図54に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST2601において、干渉が問題となるUE1−1は、セル2の伝送路情報の測定結果をセル2に通知する。
ステップST2602において、干渉が問題となるUE1−1は、セル1の伝送路情報の測定結果をセル1に通知する。
また、ステップST2603において、干渉が問題となるUE2−1は、セル2の伝送路情報の測定結果をセル2に通知する。
ステップST2604において、干渉が問題となるUE2−1は、セル1の伝送路情報の測定結果をセル1に通知する。
図56〜図58では、ステップST2005aおよびステップST2006aにおいて、セルは、干渉が問題となるUEから伝送路情報の測定結果を取得した後、干渉を与えているセルに、該測定結果に関する情報を通知する。
しかし、本変形例では、図59〜図61に示すように、セルは、干渉が問題となるUEから伝送路情報の測定結果を取得した後、干渉を与えているセルに、該測定結果に関する情報を通知しなくてよい。干渉が問題となるUEは、各セルの伝送路情報の測定結果を各セルに通知するので、干渉を与えるセルの伝送路情報の測定結果は、サービングセルを経由せずに、干渉を与えるセルに直接通知されることになる。
本変形例で開示した方法を用いることによって、セル間で伝送路情報の測定結果に関する情報の通知を不要とすることが可能となる。これによって、セルは、UEが測定した伝送路情報の測定結果を低遅延でMIMOの実行に反映することができる。セルは、UEが測定した伝送路情報の測定結果を低遅延でプリコーディングウェイトの導出に反映することができる。
したがって、セルは、プリコーディングウェイトの導出時のUEとの伝送路情報の精度を高めることができ、ビーム形成をさらに高精度に実行することができる。
これによって、MU−MIMOを行うUEに対する干渉を低減することが可能となり、UEは、さらに高速な通信が可能となる。
本変形例では、DCによってUEがセル1およびセル2と接続しているので、MeNBからのMU−MIMOを用いた通信だけではなく、SeNBからMU−MIMOを用いた通信も可能となる。
実施の形態2 変形例5.
実施の形態2で示した課題を解決する方法として、サービングセルがビームを形成し、他の干渉セルがヌルを形成する方法を開示した。本変形例では、干渉が問題となるUEに対して、ヌルを形成せずにデータ送信を行う方法を開示する。実施の形態2との相違点は、干渉が問題となるUEに対して、サービングセルおよび非サービングセルが共に同一のf−tリソースで同一のデータ系列を送信する協調送信(ジョイントトランスミッション(Joint Transmission))を行う点である。
最初に、サービングセルおよびは、他のセルの傘下の干渉が問題となるUEを含めてプリコーディングを行う。このとき、干渉が問題となるUEに、同一のデータ系列が送信されるように制御する。同一のデータ系列を送信するために、サービングセルが同一の信号を送信するように非サービングセルへ通知する。サービングセルの代わりに、コンセントレータが通知してもよい。
干渉が問題となるUEに対してのみ、協調送信の処理が行われる。干渉の判定は、基地局が行う。
干渉判定として、実施の形態1の変形例7に示すSINRに基づいた判定方法を用いてもよい。UEの受信方法として、遅延波を等化した後のダイバーシチ受信が可能である。例えば、等利得合成、もしくは下りCSIに基づいた最大比合成(Maximum Ratio Combining;略称:MRC)が考えられる。
図62は、セル毎に他のセルの傘下のUEを含めてMU−MIMOを行う場合の通信システムの構成の一例を示す図である。図62において、干渉が問題となるUEは、UE1−1およびUE2−1である。干渉が問題となるUEに対して、サービングセルおよび非サービングセルは、ともにビームを形成する。データ系列は、サービングセルと非サービングセルとで同一である。
図62では、セル1が、UEにとって非サービングセルとなるUE2−1も含めてMIMOを行っている。図62では、セル2が、UEにとって非サービングセルとなるUE1−1も含めてMIMOを行っている。UE1−1およびUE2−1にとっては、セル1からもセル2からもビームが向けられており、信号が到来するが、同一の信号である。したがって、遅延波と見なすことが可能であり、等化することによってダイバーシチ受信が可能となる。
本変形例における、干渉が問題となるUEを含めてセル毎にMU−MIMOおよび協調送信を行う方法は、前述の図46および図47に示すシーケンスと同様のシーケンスによって実行することができる。
このようにして、干渉が問題となるUEを含めてセル毎にMU−MIMOおよび協調送信を行う方法を実行することによって、セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下の自セルからの干渉が問題となるUE2−1に対して、MU−MIMO送信を行うことができる。
また、セル2は、傘下のUEであるUE2−1および他のセルの傘下の自セルからの干渉が問題となるUE1−1に対して、MU−MIMO送信を行うことが可能となる。
干渉が問題となるUEは、サービングセルおよび非サービングセルからデータを受信することによって、送信ダイバーシチおよびアレイ利得を獲得し、UEの受信端における信号品質を高くすることが可能である。本変形例は、特に、セル間干渉が問題となりやすく、かつ受信電力が低いセルエッジにおいて、顕著な効果を奏する。
実施の形態2 変形例6.
実施の形態2では、干渉を判定するための方法を開示したが、本変形例では、その干渉を判定するための方法をより具体的にし、SINRを判定閾値としたときにおける干渉の問題の有無の判断例を開示する。また、上りSRSから伝送路情報を測定し、測定結果から下り伝送路情報を推定するときの干渉の判断例を開示する。
下り伝送路をUEからフィードバックする場合について説明する。UEは、伝送路測定用情報として、セル1およびセル2のセルID、伝送路推定用信号のスケジューリング情報、ならびに同期用情報をUEに通知する。
UEは、伝送路測定用情報に基づいて、セル1およびセル2の伝送路、RSSIおよびRSRPを測定する。
伝送路情報、RSSIおよびRSRPの測定には、プリコーディングされていないCRS(non-precoded CRS)、もしくはプリコーディングされていないCSI−RS(non-precoded CSI-RS)を用いる。UEは、測定したRSSIおよびRSRPから、受信SINRを決定する。RSSIおよびRSRPの測定に、プリコーディングされたCRS(precoded CRS)およびプリコーディングされたCSI−RS(precoded CSI-RS)を用いた場合、干渉の判定の精度を高くすることができる。受信SINRの決定のために、時間方向の平均化を行ってもよい。
受信SINRを決定した後、UEは、UE固有のシーケンスを用いて、セル1およびセル2それぞれに測定したセル1およびセル2のCSI、自セルのSINRおよびUEカテゴリを送信する。UEカテゴリによって、セルがUEアンテナ数および信号処理能力といった干渉抑圧能力を把握することができる。実施の形態1の変形例7と同様に、受信アンテナ数が送信ストリーム数よりも多いとUEカテゴリから判断可能な場合、干渉が問題となるか否かを判定するSINRの閾値を一定量小さくする。UEの受信SINRが予め定める閾値よりも小さい場合、UEを、干渉が問題となると判定する。
干渉が問題となるか否かの判定をUEが行ってもよい。伝送路測定用情報をセル1およびセル2が通知するとき、セルが受信SINRの閾値も併せて通知する必要がある。UEは、受信SINRの閾値と比較して、干渉が問題となるか否かを判定し、判定結果をセルに送信する。
図63および図64は、下り伝送路情報をUEからフィードバックしてSU−MIMOを行う場合のシーケンスの一例を示す図である。図63と図64とは、境界線BL24の位置で、つながっている。
ステップST3201において、セル2は、伝送路測定用情報をセル1に通知する。
ステップST3202において、セル1は、伝送路測定用情報をセル2に通知する。
ステップST3203において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST3204において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST3205において、セル2は、傘下のUEであるUE2−1に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST3206において、UE2−1は、ステップ3205で受信した伝送路測定用情報のセルの情報に基づいて、伝送路、RSSIおよびRSRPを測定する。
ステップST3207において、UE1−3は、ステップ3203で受信した伝送路測定用情報のセルの情報に基づいて、伝送路、RSSIおよびRSRPを測定する。
ステップST3208において、UE1−1は、ステップ3204で受信した伝送路測定用情報のセルの情報に基づいて、伝送路、RSSIおよびRSRPを測定する。
ステップST3209において、UE2−1は、ステップST3206で測定したRSSIおよびRSRPに基づいて、SINRの推定を行う。
ステップST3210において、UE1−3は、ステップST3207で測定したRSSIおよびRSRPに基づいて、SINRの推定を行う。
ステップST3211において、UE1−1は、ステップST3208で測定したRSSIおよびRSRPに基づいて、SINRの推定を行う。
ステップST3212において、UE1−1は、伝送路情報、SINRおよびUEカテゴリを、UE1−1のサービングセルであるセル1に送信する。
ステップST3213において、UE1−3は、伝送路情報、SINRおよびUEカテゴリを、UE1−3のサービングセルであるセル1に送信する。
ステップST3214において、UE2−1は、伝送路情報、SINRおよびUEカテゴリを、UE2−1のサービングセルであるセル2に送信する。
ステップST3215において、セル1は、UE1−1およびUE1−3から取得した情報と、SINR閾値とを比較することによって、干渉が問題となるUEの有無を判断する。セル1は、UEから取得したSINRがSINR閾値を超えた場合は、干渉が問題となると判断する。SINR閾値以下の場合は、干渉が問題とならないと判断する。ステップST3215において、UEから取得したSINRがSINR閾値を超えていると判断したセル1は、ステップST3217において、UE1−1を干渉が問題となるUEと特定する。
ステップST3216において、セル2は、UE2−1から取得した情報と、SINR閾値とを比較することによって、干渉が問題となるUEの有無を判断する。セル2は、UEから取得したSINRがSINR閾値を超えた場合は、干渉が問題となると判断する。SINR閾値以下の場合は、干渉が問題とならないと判断する。ステップST3216において、UEから取得したSINRがSINR閾値を超えていると判断したセル2は、ステップST3218において、UE2−1を干渉が問題となるUEと特定する。
ステップST3215およびステップST3216の判断は、UEが行ってもよい。セル1およびセル2は、受信した干渉が問題となるUEの伝送路情報を共有する。図63および図64では、干渉が問題となるUEの伝送路情報を、セル間通信によって共有しているが、コンセントレータを介して共有してもよい。
ステップST3219において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEから取得したセル2の伝送路情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST3220において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEから取得したセル1の伝送路情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST3221において、セル1は、傘下のUEのスケジューリングを行う。ステップST3222において、セル2は、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST3223において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST3224において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST3225において、セル1は、セル2から取得したUE2−1のスケジューリング情報から、UE2−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST3226において、セル2は、セル1から取得したUE1−1のスケジューリング情報から、UE1−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST3225およびステップST3226では、共有した他のセルの傘下の干渉が問題となるUEに対して、ヌルを向けるようにプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST3227において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE2−1のMIMO設定を行う。
ステップST3228において、セル2は、傘下のUEであるUE2−1、および他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE1−1のMIMO設定を行う。
ステップST3229において、セル2は、ステップST3228で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3230において、セル2は、ステップST3228で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3231において、セル2は、ステップST3228で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3232において、セル1は、ステップST3227で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3233において、セル1は、ステップST3227で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3234において、セル1は、ステップST3227で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
セルが、SRSから上り伝送路情報を取得し、双対性を利用して下り伝送路とする場合について説明する。サービングセルは、伝送路測定用情報として、セル1およびセル2のセルID、伝送路推定用信号のスケジューリング情報および同期用情報をUEに通知する。UEは、伝送路測定用情報に基づいて、UE固有かつセル固有のシーケンスをセル1およびセル2に向けて送信する。セル1およびセル2は、それぞれの傘下のUEの送信信号を受信し、伝送路、RSRPおよびUEカテゴリを測定する。セル1およびセル2は、測定したRSRP情報を交換してもよい。RSRPおよびRSSIは、時間方向で平均化してもよい。セル1およびセル2は、測定した情報から、それぞれのUEのSINRを測定する。あるUEのSINRが予め定める閾値よりも小さい場合、UEを、干渉が問題となると判定する。
干渉が問題となるか否かの判定をUEが行ってもよい。伝送路測定用情報をセル1およびセル2が通知するとき、セルが受信SINRの閾値も併せて通知する必要がある。UEは、受信SINRの閾値と比較して、干渉が問題となるか否かを判定し、判定結果をセルに送信する。
このとき、UEは、サービングセルに、セル1およびセル2のRSSI、RSRP、およびUEカテゴリを通知しなくてもよい。干渉が問題とならないと判定した場合において、UEは、サービングセル以外のセルの伝送路情報を通知しなくてもよい。
図65および図66は、SRSから上り伝送路情報を取得し、双対性を利用して下り伝送路情報を推定して、SU−MIMOを行う場合のシーケンスの一例を示す図である。図65と図66とは、境界線BL25の位置で、つながっている。
図65および図66では、UEが干渉の判定を行う場合を示している。また、図65および図66では、複数のセルを考慮してMU−MIMOを行う方法について示している。
ステップST3301において、セル2は、伝送路測定用情報をセル1に通知する。
ステップST3302において、セル1は、伝送路測定用情報をセル2に通知する。
ステップST3303において、セル1は、傘下のUEであるUE1−3に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST3304において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1に、伝送路測定用情報を通知する。
ステップST3305において、セル2は、傘下のUEであるUE2−1に、伝送路測定用情報を通知する。
伝送路測定用情報は、UEがSRSを測定するためのスケジューリング情報を含む。
伝送路測定用情報を受信したUE2−1、UE1−3およびUE1−1は、ステップST3306、ステップST3307およびステップST3308において、伝送路測定用情報を用いて伝送路情報の測定を行う。
ステップST3309において、UE2−1は、ステップST3306の測定結果から、干渉が問題となるか否かを判断する。
ステップST3310において、UE1−3は、ステップST3307の測定結果から、干渉が問題となるか否かを判断する。
ステップST3311において、UE1−1は、ステップST3308の測定結果から、干渉が問題となるか否かを判断する。
ステップST3309、ステップST3310およびステップST3311の判断には、RSSI、RSRP、推定したSINR、およびUEのアンテナ数が考慮される。
ステップST3312において、UE2−1は、干渉が問題となると判断する。ステップST3313において、UE1−1は、干渉が問題となると判断する。干渉が問題となるとUEが判断した場合、UEは、伝送路情報をセル1に対してのみ送信する。図65および図66に示すシーケンスでは、UE1−1およびUE2−1を、干渉が問題となるUEとしている。
ステップST3314において、UE1−1は、ステップST3308の測定結果に基づく上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST3315において、UE1−3は、ステップST3307の測定結果に基づく上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST3316において、UE2−1は、ステップST3306の測定結果に基づく上り伝送路測定用信号をセル1に通知する。
ステップST3317において、セル1は、各UEから通知された上り伝送路測定用信号に基づいて、伝送路情報を測定する。
ステップST3318において、UE1−1は、ステップST3308の測定結果に基づく上り伝送路測定用信号をセル2に通知する。
ステップST3319において、UE2−1は、ステップST3306の測定結果に基づく上り伝送路測定用信号をセル2に通知する。
ステップST3320において、セル2は、UE1−3およびUE2−3から通知された上り伝送路測定用信号に基づいて、伝送路情報を測定する。
ステップST3321において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEから取得したセル2の伝送路情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST3322において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEから取得したセル1の伝送路情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST3323において、セル1は、傘下のUEのスケジューリングを行う。ステップST3324において、セル2は、傘下のUEのスケジューリングを行う。
ステップST3325において、セル1は、干渉が問題となるUE1−1のUE識別子(UEID(UE1−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE1−1に干渉を与えているセル2に通知する。
ステップST3326において、セル2は、干渉が問題となるUE2−1のUE識別子(UEID(UE2−1))と、該UEのスケジューリング情報とを、干渉が問題となるUE2−1に干渉を与えているセル1に通知する。
ステップST3327において、セル1は、セル2から取得したUE2−1のスケジューリング情報から、UE2−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST3328において、セル2は、セル1から取得したUE1−1のスケジューリング情報から、UE1−1がスケジューリングされているf−tリソースと同じリソースにスケジューリングするUEを決定し、それらのUEに対するプリコーディングウェイトを導出する。
ステップST3329において、セル1は、傘下のUEであるUE1−1およびUE1−3、ならびに他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE2−1のMIMO設定を行う。
ステップST3330において、セル2は、傘下のUEであるUE2−1、および他のセルの傘下の干渉が問題となるUEであるUE1−1のMIMO設定を行う。
ステップST3331において、セル2は、ステップST3330で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3332において、セル2は、ステップST3330で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3333において、セル2は、ステップST3330で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3334において、セル1は、ステップST3329で行ったMIMO設定に従って、UE1−1に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3335において、セル1は、ステップST3329で行ったMIMO設定に従って、UE1−3に対してMU−MIMO送信を行う。
ステップST3336において、セル1は、ステップST3329で行ったMIMO設定に従って、UE2−1に対してMU−MIMO送信を行う。
上り伝送路情報を取得し、双対性を利用する方法の効果について説明する。双対性を利用することによって、セルがデータ送信を行うために導出するプリコーディングウェイトを得るために必要なレイテンシが短くなる。これによって、セルが推定している伝送路と実際の伝送路とのレイテンシによる推定誤差が小さくなる。したがって、UEの移動への耐性が増す。すなわち、UEが移動する場合でも、伝送路情報の推定誤差を可及的に小さくすることができる。
本実施の形態との組合せとして、干渉が問題となるセルに対して、サービングセルからビームを形成し、他のセルからヌルを形成するのではなく、全てのセルの信号強度を測定し、最も信号強度の高いセルからビームを形成し、サービングセルを含む他のセルにヌルを向けることが挙げられる。この組合せによって、干渉を抑圧しつつ、受信品質をさらに向上させることが可能となる。
実施の形態3.
LTEにおける1つのキャリアには、1つのフレームフォーマット(「フレームストラクチャ」とも称する)が用いられる。また、同一キャリア上にマッピングされる制御チャネル、例えば、P−SSおよびS−SSなどの同期信号、PBCHおよびRACHなどの共通チャネルも1つのフレームフォーマットで構成される。
また、次世代の第5世代(以下「5G」という場合がある)の通信方式では、多種のサービスの運用が期待される。例えば、高速伝送サービス(eMBB(enhanced mobile broadband))、高信頼性・低遅延サービス(URLLC(ultra-reliable and low latency communications))、大規模端末数接続サービス(mMTC(massive machine type communications))などである(非特許文献11参照)。通信端末においても、これら各サービス対応の通信端末が設けられることが考えられる。
5G無線アクセスシステムでは、サービス毎に使用するフレームフォーマットが、サービス毎の要求性能に応じて最適化されることが考えられる。3GPPでは、5G無線アクセス方式として、複数のフレームフォーマットの運用が検討されている。例えば、同一キャリア上で複数のフレームフォーマットがアダプティブに用いられる方法(adaptive frame structure)が提案されている(非特許文献12参照)。
フレームフォーマットとして、送信時間間隔(Transmission Time Interval:TTI)およびニューメロロジー(numerology)などがある。
また、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)では、下りリンクと上りリンクとを同じサブフレームに設けた構成などがある。また、ニューメロロジーとして、シンボル期間、サブキャリア間隔、CP(cyclic prefix)長、サンプリング周波数、サブフレーム長などがある。
フレームフォーマット毎に、1つまたは複数のサブキャリアが割当てられる。あるいは、フレームフォーマット毎に、予め定める周波数−時間軸上のリソースが割り当てられる。以降、フレームフォーマット毎のサブキャリア、および、予め定める周波数−時間軸上のリソースを、フレームフォーマット毎のリソースと称する。
同一キャリア上で複数のフレームフォーマットが用いられる場合、何ら工夫がなされないと、最初のアクセス、すなわち初期アクセスを行うことができない通信端末が生じる。例えば、互いに異なるフレームフォーマットAとフレームフォーマットBとがある場合に、セルが同期信号および報知チャネルをフレームフォーマットAで送信しているとき、フレームフォーマットB対応の通信端末は、該セルに初期アクセスできないことになる。本実施の形態では、上記のような問題を解決する方法を開示する。
フレームフォーマット毎に同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設ける。フレームフォーマット毎のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングする。言い換えると、同期信号および共通チャネルの少なくとも一方には、マッピングするリソースのフレームフォーマットを用いる。
例えば、フレームフォーマット毎に同期信号(SS)および報知チャネル(PBCH)を設け、下りリンク(DL)において、フレームフォーマット毎のリソースにマッピングする。
また、例えば、フレームフォーマット毎にランダムアクセスチャネル(PRACH)を設け、上りリンク(UL)において、フレームフォーマット毎のリソースにマッピングする。
フレームフォーマット毎の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成は、予め決めておいてもよい。例えば、該構成を規格などで静的に決めておいてもよい。あるいは、UEのSIM(Subscriber Identity Module)に記憶しておいてもよい。SIMに記憶することによって、オペレータ毎の構成をとることが可能となる。
フレームフォーマット毎の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成として、マッピングされるサブキャリア、シンボル数、オフセット時間、マッピングされるリソースの配置、使用されるシーケンスなどがある。オフセット時間は、例えばサブフレームタイミングからのオフセット時間、オフセットシンボルであってもよい。また、フレームフォーマット毎の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成は、周期的に構成してもよく、その場合、周期などがある。
UEは、該フレームフォーマット毎の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成を用いて、無線アクセスネットワークにアクセスするときに、自UEの対応するフレームフォーマットのリソースにマッピングされた、自UEの対応するフレームフォーマットの同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信する。
このようにすることによって、同一キャリア上で複数のフレームフォーマットが用いられる場合にも、自UEの対応するフレームフォーマットの同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することが可能となる。これによって、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
フレームフォーマット毎のリソースについても、予め決めておいてもよい。例えば、リソースを規格などで静的に決めておいてもよい。あるいは、UEのSIMに記憶しておいてもよい。SIMに記憶することによって、オペレータ毎の構成をとることが可能となる。
図67は、フレームフォーマット毎に同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設け、フレームフォーマット毎のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングした場合の構成の一例を示す図である。図67において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示す。図67では、予め定める期間のみを示している。同様のマッピングが、これ以外の時間においても行われる。
1つのキャリア上に、フレームフォーマットFF1,FF2,FF3がサポートされている。キャリアは、コンポーネントキャリアであってもよい。各フレームフォーマットFF1,FF2,FF3に対して、1つまたは複数のサブキャリアからなる領域が割り当てられている。
フレームフォーマットFF3の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、参照符号「5301」、「5302」、「5303」で示されており、フレームフォーマットFF3に割当てられる領域に構成される。フレームフォーマットFF3の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされる。
同様に、フレームフォーマットFF2の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、参照符号「5304」、「5305」、「5306」で示されており、フレームフォーマットFF2に割当てられる領域に構成される。フレームフォーマットFF2の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされる。
同様に、フレームフォーマットFF1の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、参照符号「5307」、「5308」、「5309」で示されており、フレームフォーマットFF1に割当てられる領域に構成される。フレームフォーマットFF1の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされる。
同期信号および共通チャネルの少なくとも一方として、下りリンクではSSおよびPBCHの少なくとも一方がある。上りリンクではPRACHがある。PRACHの場合は、PRACHを送信することが可能な領域とするとよい。UEは、必ずしも全部でPRACHを送信する必要はなく、必要な場合に該領域において自UEのフレームフォーマットのPRACHを送信すればよい。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、同一キャリア上で複数のフレームフォーマットが用いられる場合にも、UEは、自UEの対応するフレームフォーマットの同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することが可能となり、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
実施の形態3 変形例1.
本変形例では、実施の形態3で開示した問題に対する他の解決方法を開示する。
フレームフォーマットによらない共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設ける。共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方には、同一のフレームフォーマットを用いる。言い換えると、共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方のためのフレームフォーマットを設ける。フレームフォーマットによらない共通のリソース上に、該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングする。
例えば、フレームフォーマットによらない共通の同期信号(SS)および報知チャネル(PBCH)を設け、下りリンク(DL)において、共通のフレームフォーマットで共通のリソースにマッピングする。
また、例えば、フレームフォーマットによらない共通のランダムアクセスチャネル(PRACH)を設け、上りリンク(UL)において、共通のフレームフォーマットで共通のリソースにマッピング可能とする。
共通のフレームフォーマットならびに、同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成は、予め決めておいてもよい。例えば、該構成を規格などで静的に決めておいてもよい。あるいは、UEのSIMに記憶しておいてもよい。SIMに記憶することによって、オペレータ毎の構成をとることが可能となる。
共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成として、マッピングされるサブキャリア、シンボル数、オフセット時間、マッピングされるリソースの配置、使用されるシーケンスなどがある。オフセット時間は、例えばサブフレームタイミングからのオフセット時間、オフセットシンボルであってもよい。また、共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成は、周期的に構成してもよく、その場合、周期などがある。
共通のリソースについても、予め決めておいてもよい。例えば、リソースを規格などで静的に決めておいてもよい。あるいは、UEのSIMに記憶しておいてもよい。SIMに記憶することによって、オペレータ毎の構成をとることが可能となる。
また、UEは、自UEがサポートする各フレームフォーマットに加えて、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方も受信または送信可能とするように構成される。このようにすることによって、UEの種類に関わらず、共通のリソースを構成することができる。
共通のリソースは、1つのキャリアに1つとするとよい。1つのf−tリソースとするとよい。また、共通のタイミングとするとよい。共通のリソースのタイミングは、任意に設定されてもよいが、TTIのタイミングおよびサブフレームタイミングなどの各フレームフォーマットのタイミングと相関をもたせてもよい。
相関をもたせることによって、共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信できた場合に、各フレームフォーマットの、例えばサブフレームタイミングを特定することが可能となる。
このようにすることによって、UEが共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信した後、早期に、自UEのフレームフォーマットを有するリソースにマッピングされる信号あるいはチャネルを受信することが可能となる。
共通のフレームフォーマットのニューメロロジーは、基準となるニューメロロジーとしてもよい。基準となるニューメロロジーの一例として以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)サンプリング周波数を最も低速、すなわち最も低周波数の周波数に合わせる。
(2)サブキャリア間隔を最も狭帯域に合わせる。
(3)シンボル期間を最も長期間に合わせる。
(4)FFTサイズを最も小さいサイズに合わせる。
これらの(1)〜(4)を組み合わせてもよい。他の指標と組み合わせてもよい。また、基準となるニューメロロジーは、最も能力の低いUEが受信可能となるニューメロロジーであってもよい。
このようにすることによって、1つのキャリア内でサポートするニューメロロジーがスケーラブルであるような場合に、UEは、各UEがサポートするニューメロロジーに加えて、該基準となるニューメロロジーを構成することが容易になる。
共通のPBCHに、各フレームフォーマットを受信するのに必要な情報をのせてもよい。例として以下の(1)〜(7)の7つを開示する。
(1)UEの種類(タイプ、カテゴリ)による、使用フォーマット。
(2)サービスの種類および要求性能による、使用フォーマット。
(3)要求QoS(Quality of Service)値による、使用フォーマット。
(4)各フレームフォーマットの構成。
(5)タイミング相関値。
(6)SFN相関値。
(7)周波数、時間、シンボル長、CP長、TTIなど。
このようにすることによって、各フレームフォーマットのPBCHを不要としてもよい。共通のPBCHを受信した後、直接各フレームフォーマットのPDCCHなどの制御チャネルあるいはRSなどの制御信号を受信してもよい。これによって、UEは、早期に、自UEがサポートする各フレームフォーマットへ移行することが可能となる。
また、各フレームフォーマットのsub_PBCHを設けてもよい。共通のPBCHで不足の情報が有るような場合に設けるとよい。
このような場合、sub_PBCHの周波数、時間、MCSなどの情報を共通PBCHにのせるようにしてもよい。
UEは、共通のフレームフォーマットならびに、同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の構成を用いて、無線アクセスネットワークにアクセスするときに、共通のフレームフォーマットのリソースにマッピングされた、共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信する。
このようにすることによって、同一キャリア上で複数のフレームフォーマットが用いられる場合にも、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することが可能となり、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
図68は、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設け、共通のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングした場合の構成の一例を示す図である。図68において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示す。図68では、予め定める期間のみ示しており、同様のマッピングがこれ以外の時間においても行われる。
1つのキャリア上で、フレームフォーマットFF1、FF2、FF3の他に、UE共通のフレームフォーマットであるFF4がサポートされる。各フレームフォーマットFF1,FF2,FF3,FF4に対して、1つまたは複数のサブキャリアからなる領域が割り当てられている。フレームフォーマットFF4の領域は、参照符号「5401」、「5402」、「5403」、「5404」、「5405」、「5406」で示されている。フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、参照符号「5401」、「5403」、「5405」で示されており、フレームフォーマットFF4に割当てられる領域に構成される。フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされる。
フレームフォーマットFF4の領域のうち、参照符号「5402」、「5404」、「5406」で示される領域には、フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされない。該領域5402,5404,5406は、図68の例では、何も送信されない領域としている。
同期信号および共通チャネルの少なくとも一方として、下りリンクではSSおよびPBCHの少なくとも一方がある。上りリンクではPRACHがある。PRACHの場合は、PRACHを送信することが可能な領域とするとよい。UEは、必ずしも全部でPRACHを送信する必要はなく、必要な場合に該領域において自UEのフレームフォーマットのPRACHを送信すればよい。
UEは、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することによって、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
図69は、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設け、共通のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングした場合の構成の他の例を示す図である。
図69に示す例では、図68に示す例とは異なり、共通のフレームフォーマットFF4が割当てられる1つまたは複数のサブキャリアを全期間で構成しない。共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされるf−tリソースのみを、共通のフレームフォーマットFF4で構成する。
共通のフレームフォーマットFF4の領域は、参照符号「5401」、「5403」、「5405」で示されている。参照符号「5401」、「5403」、「5405」で示される領域には、フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされる。フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされてもよい。
フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされない領域は、図69に示す例では、フレームフォーマットFF2の領域となる。フレームフォーマットFF2の領域において、一部の領域に、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングする、としてもよい。共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングする領域には、フレームフォーマットFF2の信号あるいはチャネルはマッピングしない。該領域では、フレームフォーマットFF2の信号およびチャネルの少なくとも一方をパンクチャ(puncture)するとしてもよい。
UEは、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされる領域を予め認識する。例えば、予め規格で静的に決めておいてもよい。このようにしておくことによって、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信できるとともに、フレームフォーマットFF2の信号およびチャネルの少なくとも一方を受信または送信可能となる。
または、UEあるいは基地局は、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をブラインドディテクションしてもよい。フレームフォーマットFF2を受信するUEあるいは基地局は、CRCなどによる復調利得を得ることによって、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方の影響を抑制してもよい。
このようにすることによって、UEは、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することによって、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。また、図69に示す例では、図68に示す例に比べて、フレームフォーマットFF2に用いるf−tリソースを増大させることが可能となり、リソースの使用効率を向上させることが可能となる。
図70は、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設け、共通のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングした場合の構成の他の例を示す図である。
図70に示す例は、共通のフレームフォーマットFF4が割当てられるf−tリソースとして、キャリア全体の周波数で予め定める期間のシンボル数に構成した場合である。図70に示す例では、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされるf−tリソースのみを、共通のフレームフォーマットFF4で構成する。
共通のフレームフォーマットFF4の領域は、参照符号「5601」、「5602」、「5603」で示されている。参照符号「5601」、「5602」、「5603」で示される領域には、フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされる。フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされてもよい。
フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされない領域は、図70に示す例では、フレームフォーマットFF1,FF2,FF3の領域となる。この多重方法としては、図69で開示した方法と同様の方法を適用するとよい。
このようにすることによって、UEは、共通のフレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することによって、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
図71は、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を設け、共通のリソース上に該同期信号および共通チャネルの少なくとも一方をマッピングした場合の構成の他の例を示す図である。図71において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示す。図71では、予め定める期間のみを示している。同様のマッピングが、これ以外の時間においても行われる。
フレームフォーマットFF1,FF2,FF3がサポートされるキャリアと異なるキャリアに、UE共通のフレームフォーマットであるFF4がサポートされる。キャリアは、コンポーネントキャリアであってもよい。共通のフレームフォーマットに対して、1つまたは複数のサブキャリアからなる領域が割り当てられている。
フレームフォーマットFF4の領域は、参照符号「5701」、「5702」、「5703」で示されている。参照符号「5701」、「5702」、「5703」で示される領域には、フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされる。フレームフォーマットFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方は、周期的にマッピングされてもよい。
図71に示す例では、共通のフレームフォーマットFF4が割当てられる1つまたは複数のサブキャリアを全期間で構成しない。共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされるf−tリソースのみを、共通のフレームフォーマットFF4で構成する。
これに限らず、共通のフレームフォーマットFF4が割当てられる1つまたは複数のサブキャリアを全期間で構成してもよい。共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方がマッピングされるf−tリソース以外のリソースは、何も送信しないようにするとよい。あるいは、フレームフォーマットFF4の他の信号およびチャネルの少なくとも一方を送信してもよい。
フレームフォーマットFF1,FF2,FF3がサポートされるキャリアと、UE共通のフレームフォーマットであるFF4がサポートされるキャリアとを異ならせることによって、フレームフォーマットFF1,FF2,FF3で送受信される信号およびチャネルの少なくとも一方に影響を与えることなく、UE共通のフレームフォーマットであるFF4の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を送受信することが可能となる。キャリアは、コンポーネントキャリアであってもよい。
本変形例で開示した方法を用いることによって、同一キャリア上で複数のフレームフォーマットが用いられる場合にも、共通のフレームフォーマットの共通の同期信号および共通チャネルの少なくとも一方を受信または送信することが可能となり、無線アクセスネットワークにアクセスすることが可能となる。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。