JP5115534B2 - 無線通信システム及び無線通信方法 - Google Patents
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Description
図13は従来のOFDM無線通信システムにおけるOFDM送信装置の構成図である。符号部1は高速バイナリーデータを符号化、例えば畳み込み符号あるいはターボ符号により符号化し、変調部2はインタリーブ後に、符号化されたデータを、例えば、BPSK、QPSK、16-QAM等により変調する。ついで、シリアルパラレル変換器(S/P変換器)3は変調データシンボルをNシンボルの並列変調データ列に変換し、N個のサブキャリア成分を発生する。
Nポイントの高速逆フーリエ変換部4は、S/P変換器3から出力するN個の変調信号(サブキャリア成分)に逆フーリエ変換処理(IFFT)を施してN個の時間信号成分を並列出力する。パラレルシリアル変換器(P/S変換器)5はIFFT処理により得られるN個の時間信号成分をシリアルに変換してOFDMシンボルとして出力する。ガードインターバル挿入部6はこのOFDMシンボルにガードインターバルGIを挿入し、ディジタルアナログ変換器(D/A)はガードインターバル挿入部からの出力信号をアナログ信号に変換し、無線部8はべースバンド信号を無線信号に周波数アップコンバートした後、増幅してアンテナ9より空間に送信する。なお、以降においてフーリエ変換、逆フーリエ変換として、高速フーリエ変換FFT、高速逆フーリエ変換IFFTを採用する場合についで説明するが、離散フーリエ変換DFT、離散逆フーリエ変換IDFTを採用することもできる。
図14はガードインターバル挿入説明図である。ガードインターバル挿入とは、N個のサブキャリアサンプル(=1OFDMシンボル)に応じたIFFT出力信号を1単位とするとき、その先頭部に末尾部分をコピーすることである。ガードインターバルGIを挿入することによりマルチパスによる符号間干渉ISIの影響を無くすことが可能になる。
図15はOFDM無線通信システムにおけるOFDM受信装置の構成図である。バンドパスフィルタ(BPF)11はアンテナ10により受信された信号にフィルタリングを施して不要周波数成分を除去し、ダウンコンバータ(D/C)12は無線信号をべースバンド周波数に周波数変換し、アナログディジタル変換器(図示せず)は該べースバンド信号をアナログディジタル変換し、ガードインターバル除去部13はガードインターバルを除去する。S/P変換器14は、ガードインターバルが除去された時間信号をN個の並列データに変換してNポイントのフーリエ変換部15に入力する。フーリエ変換部15は、N個の時間信号成分に対してNポイントのFFT処理を施してN個のサブキャリア成分を出力する。チャネル推定部(図示せず)は、チャネル歪みの影響を軽減するために、周知のチャネル推定演算を行なって各サブキャリアのチャネルを推定してチャネル補償値を発生し、チャネル補償部16はN個のFFT処理結果にチャネル補償値を乗算してチャネル補償する。最後に、P/S変換器17はチャネル補償されたN個のサブキャリア成分を順番にシリアルに出力し、復調部18は入力信号を例えばBPSK,QPSK,16QAMなどにより復調し、復号部19はデインタリーブ後に入力データを復調して出力する。
無線通信においては複数の反射波が異なる経路で受信機に到達するマルチパスが問題となる。これは、異なる反射波がある時間差をもって受信機に到達した結果、前後のシンボルが重なり合ってしまうことによるシンボル間干渉として受信特性を劣化させる大きな要因となる。これを防ぐための方式としてガードインターバルを挿入することはOFDMに限らず有効な方式である。OFDMの場合は、図14で説明したように1シンボル内の信号の一部を前半にコピーすることにより、ガードインターバルとすることが一般的に行われている。マルチパスによる最大遅延がガードインターバル長よりも小さい場合は、マルチパスによるシンボル間干渉を完全に除去することが出来る。この時、ガードインターバル長を大きくするほど大きな遅延パスの影響を除去できる一方で伝送効率が低下し、ビットレートの低下を招く。このため、ガードインターバル長は最大パス遅延程度に設定するのが望ましい。しかし、携帯電話システムにOFDM無線通信方式を適用する場合、様々なセル配置・セル半径に対応する必要があり、システム全体として最適なガードインターバル長を決定することは不可能である。また、同一セル内であっても場所によって遅延パスの分布が異なるため最適なガードインターバル長も異なる。
第2の従来技術は、移動局でガードインターバル長を決定して基地局に通知し、基地局は移動局から指定されたガードインターバル長を用いて下り信号を送信する方式であり、特許文献3,4に開示されている。
第3の従来技術は、移動局がブラインドでガードインターバル長を検出(ブラインド検出)する方式であり、特許文献5、6に開示されている。
これらの従来方式を、スケジューリングや適応変調を行う機能を備えた無線通信システムに適用することを考える。かかる無線通信システムでは、基地局は移動局の受信品質を何らかの手段で推定し、該受信品質に基づいてパケットタイミング毎に移動局の割り当てや送信する変調方式、符号化方式などを決定する。その結果を受けて、基地局はデータパケットおよび送信制御情報(移動局識別番号、変調方式、符号化方式などを含む)を送信する。移動局は、基地局からの送信制御情報をまず受信した後にデータ信号を受信することによって、自分自身宛のデータパケットについて正確に復調、復号することが出来る。例えば、W-CDMAにおけるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やCDMA2000におけるHDR(High Data Rate)などはこのようなシステムを採用している。
図16はHSDPAシステムの構成概略図である。BSは基地局、UE#0,UE#1は移動局である。HSDPAシステムでは、パケットデータの伝送チャネルとして下り無線区間において(1)HS-PDSCH(High Speed Physical Downlink Shared Channel)を使用する。この下りデータチャネルは複数の移動局UE#0、UE#1…で共有される。また、下り無線区間において、高速制御チャネルとして(2)HS-SCCH(High Speed Shared Control Channel)を使用し、移動局UE#0,UE#1がHS-PDSCH上でパケットデータを受信するために必要な制御情報が伝送される。このHS-SCCHは複数のUE#0,UE#1…で共有される。また、上り無線区間において、フィードバック情報を伝送するための高速制御チャネルとして(3)HS-DPCCH(High Speed Dedicated Physical Control Channel)がユーザ毎に設定される。HSDPAシステムでは、基地局BSと移動局UE#0,UE#1…の間でデータの再送制御を行っており、UE#0,UE#1…は、受信データに対するACK(受信確認通知)やNACK(受信失敗通知)を、上記HS-DPCCHを使用して、基地局BSに通知する。
HS-SCCH上では、図17(A)に示すように、TTI(Transmission Time Interval = 2ms)と呼ばれる送信周期が設定されており、送信すべき制御情報が存在する場合のみ、該制御情報がTTIに合わせて基地局BSより送信され、移動局UE#0,#1により受信される。HS-SCCHで伝送される制御データには、ユーザ識別子(UEID:User Equipment Identifier)とHS-PDSCHのデータを受信するために必要な各種パラメータ(無線拡散コード、変調方式、データ長情報など)がある。
移動局UE#0,UE#1は全てのTTIでHS-SCCHデータを受信する。例えば、図17(B)のslot#1では、UE#0とUE#1が同時にHS-SCCHデータを受信する。ここで、各移動局UE#0,UE#1はデータ内のUEIDを参照し、自IDと比較する。この場合、slot#1におけるHS-SCCHデータのUEIDは、「UE#1」となっているため、移動局UE#0は、受信HS-SCCHデータを破棄し、一方、移動局UE#1は受信HS-SCCHデータ内の制御データを取り込む。その後、移動局UE#1は制御データ部分からHS-PDSCH受信用パラメタを抽出し、HS-PDSCH上でパケットデータを受信する(図17(C)、(D))。
移動局UE#1はデータを受信したのちデータ内に含まれているCRCビットを参照し、データの誤りがなかったかどうかを判定する。データ誤りなく受信できた場合には、HS-DPCCHを使用して基地局BSにACKを通知する。また、データの誤りがあった場合には、HS-DPCCHを使用して基地局BSにNACKを通知する。slot#2〜5,slot#7〜8についても同様であり、移動局UE#1はslot#1, 4のHS-PDSCHを介してパケットデータを受信し、移動局UE#0はslot#2〜3,5,7〜8のHS-PDSCHを介してパケットデータを受信する。
上記無線通信システムに第1従来技術を採用する場合、基地局は移動局にガードインターバル長を通知しなければならない。ところが、ガードインターバル長はOFDMにとって基本的なパラメータ(FFTを行うために必要)であるため、受信するためには最初に知るべきパラメータである。このため、どのような方法で、ガードインターバル長を通知するかが大きな問題となる。また、上記の無線通信システムのように、複数の移動局を時間多重するとユーザが頻繁に切り替わるため、頻繁にガードインターバル長を切り替える必要があり、移動局はパケット毎にガードインターバル長を判定する必要がある。この結果、移動局における処理遅延が問題となり、しかも回路規模が大きくなるという問題が生じる。一方、基地局ではガードインターバル長を送信する頻度が大きくなるため、データの伝送効率が低下し、又、制御情報を送信するための電力消費量が大きくなる問題がある。
また、第3従来技術を採用する場合は、高信頼度のブラインド検出が要求され、移動局の処理量が多くなって消費電力が大きくなり、しかも、相当の回路規模が必要になる。また、検出誤りが発生すると受信特性の劣化などの問題が生じ、実現が難しいと考えられる。
本発明の別の目的は、データの伝送効率を向上し、消費電力を低減することである。
本発明の第2は、複数の移動局と基地局との間で無線通信を行う無線通信システムにおける無線通信方法であり、前記基地局は、予めガードインターバル長が異なる複数のスロットフォーマットを用意し、かつ、各移動局の受信状態として遅延スプレッドを取得し、該各移動局の遅延スプレッドに基づいて遅延スプレッドの分布を求め、該遅延スプレッドの分布にしたがって各スロットに所定のガードインターバル長が異なるスロットフォーマットを割り当てて、1フレーム当たり、ガードインターバル長が異なる複数のスロットを含む無線信号を生成し、前記複数のスロットについて、それぞれどのようなガードインターバル長が適用されるかを示すフレームフォーマット情報を生成し、該フレームフォーマット情報を各移動局に送信し、かつ各移動局に適用するガードインターバル長に基づいて、前記複数のスロットの中から選択したスロットを該移動局に割当てて該移動局宛のデータを送信し、移動局は、前記基地局から受信した前記フレームフォーマット情報に基づいて該基地局より受信した各スロットの受信信号について、復調処理を実行し、自分宛のデータを取り込む。
また、本発明によれば、フレームフォーマットが実際の受信状態に適合しなくなる場合でも、スロット割り当てを継続することができる。
ガードインターバルを用いる無線通信においてガードインターバル長が異なるスロットフォーマットを複数持ち、各セルあるいは各セクタでそれらを時間軸上に整列したものをセルあるいはセクタ固有のフレームフォーマットとする。その上で、移動局の遅延スプレッドを考慮して移動局データに最適なガードインターバル長に対応するスロットを割り当てることによりスループットの向上を図る。
図1は本発明のスロットフォーマット説明図である。システム全体としてガードインターバル長が異なるスロットフォーマットを図1(A)あるいは図1(B)に示すように複数個用意する。図1(A),(B)の例では3種類のスロットフォーマットSlot Format #1〜 Slot
Format #3が用意されており、スロットフォーマットSlot Format #1→ Slot Format #2→ Slot Format #3の順にガードインターバル長が短くなっている。なお、スロットフォーマット数は3個に限らない。また、図1(A)はガードインターバル長が異なる各スロットフォーマットの有効シンボル長を一定にした例であり、図1(B)はガードインターバル長が異なる各スロットフォーマットの有効シンボル長と該ガードインターバル長の合計シンボル長を一定にした例である。
各基地局は自分がカバーする各セルあるいはセクタ毎に、移動局の受信状態(たとえば遅延スプレッド)に基づいてこれら複数のスロットフォーマットの中から所定の幾つかのスロットフォーマット選択して図2に示すように時間軸上に整列してそのセル(セクタ)のフレームフォーマットとする。なお、図2では、フレームは5スロットで構成されているとし、最初のスロット(Slot#1)にガードインターバル長の大きいSlot Format#1を割り当て、第2、第4スロット(Slot#2,Slot#4)にガードインターバル長が2番目に大きいSlot Format#2を割り当て、第3、第5スロット(Slot#3,Slot#5)にガードインターバル長が一番小さいSlot Format#3を割り当てている。このフレームフォーマットの組み合わせは例えば数秒単位の比較的長周期で変更する。
基地局は更に、複数の移動局に対してフレームフォーマットの各スロットを割り当てるスケジューリング機能を持ち、各移動局の遅延スプレッドを考慮して最適なガードインターバル長を持つスロットで各移動局へデータを送信するように制御する。すなわち、基地局はフレームフォーマットの更新周期より短い周期で各移動局の最新の遅延スプレッドに基づいてISIが生じないように前記フレームフォーマットの各スロットに各移動局宛のデータを割り当てて送信する。図3は移動局を各スロット割り当てる例を示す説明図である。パス遅延は基地局BSからの距離と相関があると考えられる。移動局UE#2は基地局BSに近くパス遅延が小さいため、Slot Format#3で送信することが可能なので、Slot#3及びSlot#5を割り当てられる(図2参照)。同様に移動局UE#1にはSlot#2,Slot#4が、移動局UE#0にはSlot#1が割り当てられる。ただし、実際には基地局と移動局間の距離からスロットを決定するわけではなく、あくまでもパス遅延情報(遅延スプレッド)を利用して後述するように割り当てスロットを決定する。
また、基地局は移動局に対して現在使用している最新のフレームフォーマットを報知チャネルにより通知する。これにより、移動局は内蔵のテーブルより通知されたフレームフォーマットの各スロットでどのスロットフォーマットが適用されているかを予め知ることが出来る。すなわち、移動局はフレームフォーマットをその更新毎に受信するだけで、各スロットのスロットフォーマットを識別でき、該スロットフォーマットに基づいてガードインターバルを削除して復調、復号処理ができる。復調、復号の結果に基づいてスロットのデータが自分宛のデータか否かを識別して自分宛であれば取り込み、自分宛でなければ取り込まないように取捨選択が可能となる。
移動局の遅延スプレッドは、移動局からの遅延スプレッド通知データにより、あるいは移動局からの上りリンク受信状態を検出することにより知ることが出来る。前者の例では、移動局が基地局からの下り信号から遅延スプレッドを推定し、該遅延スプレッドを量子化して基地局に通知する。後者の例では、基地局は内蔵の遅延スプレッド推定部を用いて各移動局の上り信号から各移動局の遅延スプレッドを推定する。
本発明によれば、頻繁にガードインターバル長情報を送受信する必要が無くなり、準最適なガードインターバル長で送信することが可能となり、スループットの向上を図ることが出来るようになる。
図4は本発明の基地局の構成図である。アンテナ30は移動局から送られてくる上りデータを受信して上り受信機31に入力し、受信状態取得部としての上り受信機31は該受信信号より移動局の伝搬遅延情報(遅延スプレッド)を復調し、該伝搬遅延情報をスロット割り当て制御部32とフレームフォーマット生成部33に入力する。フレームフォーマット生成部33は、図1(A),(B)に示すように予めガードインターバル長が異なる複数のスロットフォーマットを用意し、所定周期で各移動局の遅延スプレッドに基づいて遅延スプレッドの分布を求め、該遅延スプレッドの分布にしたがってフレームを構成する各スロットに所定のスロットフォーマットを割り当て、これによりフレームフォーマットを決定し(図2参照)、該フレームフォーマットをスロット割り当て制御部32とガードインターバル挿入部34と制御情報べースバンド処理部35に入力する。
制御情報べースバンド処理部35は通知されたフレームフォーマット情報を報知チャネルにマッピングしてユーザデータと多重してセルあるいはセクター内の全移動局に報知する。
ユーザ情報べースバンド処理部36において、データバッファ41は、複数の移動局のデータを取り込み、データマッピング部42はスロット割り当て制御部32から入力される割り当て情報に基づいて第1スロットから順番に各移動局宛データをデータバッファ41から抽出してシリアルに出力する。誤り訂正符号化部43は移動局宛データを符号化、例えば畳み込み符号あるいはターボ符号により符号化し、変調部44はインタリーブ後に、符号化されたデータを、例えば、BPSK、QPSK、16-QAM等により変調する。ついで、シリアルパラレル変換器(S/P変換器)45は変調データシンボルをNシンボルの並列データ列に変換し、N個のサブキャリア成分を発生する。なお、スロットフォーマットは図1(A)に示すように有効シンボル長一定(=N)とする。
多重部37はユーザ情報データべース処理部36と制御情報データべース処理部35から入力するデータを例えば符号分割多重して出力する。Nポイントの高速逆フーリエ変換部38は、多重部37から出力するN個のサブキャリア成分に逆フーリエ変換処理(IFFT)を施し、N個の時間信号成分をシリアルに変換してOFDMシンボルとして出力する。ガードインターバル挿入部34はフレームフォーマット生成部33から通知されたフレームフォーマットに基づいて各スロットのガードインターバル長を求め、入力されたOFDMシンボルに該長さのガードインターバルGIを挿入し、図示しないディジタルアナログ変換器(D/A)、無線部を介してアンテナ39より空間に送信する。
また、移動局の分布やセルの遅延パス環境は時間によって変動すると考えられる。このため、比較的長周期でセルあるいはセクター固有のフレームフォーマットを更新できるようにすることが好ましい。例えば、各移動局の遅延スプレッドの分布などの統計量を基地局で監視し、それに応じてフレームフォーマットを変更することが考えられる。すなわち、フレームフォーマット生成部33は、各移動局の遅延スプレッドに基づいてフレームフォーマットを更新する必要があるか判断し、更新する必要がある時にのみフレームフォーマットを更新するようにする。
図5は本発明の移動局の構成図である。図示しないバンドパスフィルタ50bはアンテナ50aにより受信された信号にフィルタリングを施して不要周波数成分を除去し、ダウンコンバータ(D/C)50cは無線信号をべースバンド周波数に周波数変換し、アナログディジタル変換器(図示せず)は該べースバンド信号をアナログディジタル変換してフレームフォーマット識別部51とGI除去部52に入力する。フレームフォーマット識別部51は制御チャネルを介して送られてくるフレームフォーマット情報を抽出、識別してGI除去部52に入力する。GI除去部52は通知されたフレームフォーマット情報に基づいてフレームを構成する各スロットのガードインターバル長を識別し、スロット毎にガードインターバルを除去してNシンボルのOFDMシンボルにして出力する。S/P変換器53は、ガードインターバルが除去された信号をN個の並列データに変換してNポイントのフーリエ変換部54に入力する。フーリエ変換部54は、N個の時間信号成分に対してNポイントのFFT処理を施してN個のサブキャリア成分を出力する。
遅延スプレッド推定部55内に設けられたチャネル推定部は、周知のチャネル推定演算を行なって各サブキャリアのチャネルを推定してチャネル補償値をチャネル補償部56に入力する。チャネル補償部56はN個のFFT処理結果にチャネル補償値を乗算してチャネル補償し、P/S変換器57はチャネル補償されたN個のサブキャリア成分を順番にシリアルに出力し、復調部58は入力信号を例えばBPSK,QPSK,16QAMなどにより復調し、復号部59はデインタリーブ後に入力データを誤り訂正復号して出力する。遅延スプレッド推定部55は、遅延スプレッドを推定し、上り送信機56は該遅延スプレッドを基地局に向けて送信する。
IFFT演算部62はチャネル推定部61から出力するサブキャリア数Nのチャネル推定値C0〜CN-1にIFFT演算を施し、図7に示す1OFDMシンボル期間当たりN個のサンプルからなる遅延プロファイルを出力する。各サンプル値はマルチパスにおける各パスの受信波(直接波、遅延波)の強さを示し、FFTウインドウ位置(=0)から遅延時間Mを越えると遅延プロファイルの各サンプル値は設定レベル以下の小さな値になる。遅延スプレッド検出部63はこの遅延時間Mを遅延スプレッドとして検出して出力する。遅延スプレッドは、マルチパスの広がりを示し、移動局の受信状態の良否判定に利用できる。遅延スプレッドが大きければ最大遅延時間が大きく受信状態は悪く、遅延スプレッドが小さければ最大遅延時間が小さく受信状態は良好である。
以上では、遅延スプレッドを移動局で測定して基地局に送信する場合であるが、各移動局の遅延スプレッドを基地局側で測定することができる。すなわち、下りリンクと上りリンクの送信周波数が同一あるいは周波数がそれ程離れておらず、パスの遅延特性が上りリンク、下りリンクでほぼ等しいことが見込まれる場合であり、かかる場合には、図6に示す遅延スプレッド推定部を基地局に設ける。
図8に示すようにスロット割り当て制御部32をスケジューラ部70に置き換えることもできる。このようにすれば、スケジューラ部70において、あるスロットで送信するデータパケットの送り先の移動局およびその符号化方式、変調方式を決定し、それに従って、誤り訂正符号化、データ変調、OFDM変調を行ない、所定長のガードインターバル挿入後に送信する。このときスケジューラ部70はガードインターバル長を決定する必要がない。共通制御チャネルを介してフレームフォーマットを通知されている移動局は、各スロットにおけるガードインターバル長をあらかじめ知っているので、その情報を用いてガードインターバルを削除してFFT処理を行う。
次に、フレームフォーマットの生成方法およびスロット割り当て方法を説明する。なお、以下では、説明を簡易化するため、ユーザ数≦フレーム内のスロット数(Nslot)と仮定するが、スロット割り当て制御部32を図8に示すようにスケジューラ部70に置き換えればユーザ数>Nslotの場合への拡張も可能である。すなわち、複数フレームに渡るスケジューリング制御(各ユーザの伝送品質、割り当て頻度等を指標とする優先付け制御)と組み合わせたスロット割り当てを行えば、ユーザ数>Nslotの場合への拡張も可能である。
フレーム内のスロット数Nslot、スロットフォーマットの数K、及び、スロットフォーマット#k(1≦k≦K)におけるガードインターバルGI長Tkは、あらかじめシステム固有に定義されているものとする。また、ユーザの割り当てがやり易いよう、T1>T2>…>TKの順にスロットフォーマットを定義し、kの若番より順にNk(0≦Nk≦Nslot)個ずつスロットを並べることで、1つのフレームフォーマットを形成する。ここで、NkはGI長Tkのスロットフォーマットを有するフレーム内のスロット数であり、例えば後述のように遅延スプレッドの分布に応じて決定される。
図9に、Nslot=5、K=3、N1=1、N2=N3=2におけるフレームフォーマットの例を示す。このNslot、K、Tkは、システム固有に定義されているため、移動局(ユーザ)に対しては、全スロットフォーマットのNkのみを通知することで、フレームフォーマットの通知が可能である。
図10はフレームフォーマット生成部33のフレームフォーマット生成処理フローである。
フレームフォーマット生成部33はフレームフォーマットを更新する必要が生じたか監視する(ステップ101)。フレームフォーマットの更新タイミングは、(1)一定周期で更新する方法では該更新周期で更新し、(2)受信環境を考慮して更新する方法では、最新の遅延スプレッドの分布を求め、前回のフレームフォーマット更新時の遅延スプレッドの分布と比較してフレームフォーマットを更新する必要があるか判断し、更新する必要が生じた時に更新する。ここで、一定周期で更新するものとする。
フレームフォーマット生成部33は、更新する必要が生じれば、上り受信機31より入力される各ユーザの伝搬遅延情報(遅延スプレッド)を統計処理し、所定の測定周期にわたる遅延スプレッドd(Tk+1≦d<Tk)の分布関数F(Tk+1≦d<Tk)を求める(ステップ102)。ただし、k=1〜K,T1>T2>…>TK>TK+1(=0)である。
ここで、分布関数F(Tk+1≦d<Tk)は、遅延スプレッドdがTk+1≦d<Tk の範囲にあるユーザの割合を表す。また、測定周期は、遅延パス環境の緩やかな変動に追従できるよう比較的長い周期に設定される。
ついで、フレームフォーマット生成部33は、GI長の短いスロットフォーマット#k(k=K,K−1,..1)から分布関数F(Tk+1≦d<Tk )に比例したスロット数Nkを小数点以下切り捨てで与えていき、余ったスロットを全てGI長最大のスロットフォーマット#1に与えて、フレームフォーマットを生成する(ステップ104)。すなわち、上記切り捨て時の端数については、累積値をN1に集中させることで、GI長が長いスロットフォーマットの確保を優先させている。
スロット割り当て制御部32(図1)は、フレームフォーマット生成部33で生成された前記フレームフォーマットを構成する各スロットを以下の手順に従って、各移動局(ユーザ)に割り当てる。
(1)遅延スプレッドdの長いユーザから順にユーザを並び替える。
(2)上記並び替えたユーザの順に、スロットの若番(GI長の長いスロットフォーマット)より前詰めでスロットの割り当てを行う。 Nkの配分と遅延スプレッドのユーザ分布が適合していれば、上記手順により、遅延スプレッド<GI長を満たすGI長のうち最も遅延スプレッドに近いGI長をもつスロットを各ユーザに割り当てることが可能となる。
(3)手順(2)において、Nkの配分と遅延スプレッドのユーザ分布が適合せず、遅延スプレッド>GI長となる場合でも、そのまま、上記並び替え後のユーザ順に割り当てを継続する。
(4)手順(2)及び(3)において、Nkの配分と遅延スプレッドのユーザ分布が適合せず、d≧Tk+1となる全ユーザにGI長Tkのスロットを割り当てても、該GI長Tkのスロットに空きがある場合には、上記並び替えたユーザの最下位ユーザ(遅延スプレッド最小のユーザ)に順にGI長Tkのスロットの割り当てを行う。
上記(4)の「d≧Tk+1となるユーザを全て割り当てても、GI長Tkのスロットに空きがある」条件の判定がステップ204の「dm<Tk+1かつn≦N1+N2+…+Nk(1≦k≦K)」の判定に該当している。
スロット割り当てが開始すると、スロット割り当て制御部32は、初期化してm=n=1,mmax=Mとする(ステップ201)。ただし、mは着目しているユーザが第m番目のユーザであることを意味し、n−1はそれまでに割り当てたスロット数、Mは総ユーザ数である。
ついで、遅延スプレッドの長いユーザ順にユーザを順番に並べ(ステップ202)、m≦Mであるかチェックし(ステップ203)、m=M+1であれば処理を終了する。
m≦Mであれば、dm <Tk+1で、かつn≦N1+N2+…+Nk(1≦k≦K)であるかチェックする(ステップ204)。すなわち、第mユーザの遅延スプレッドdmの範囲dm <Tk+1を求め、n≦N1+N2+…+Nkを満足するか判定する。ステップ204の条件を満たさなければ、第mユーザを第nスロットに割り当て(ステップ205)、n,mをインクリメントして(ステップ206)、ステップ203に戻る。
一方、ステップ204の条件を満たせば、GI長Tkのスロットに空きが存在する。そこで、第mmaxユーザをスロットnに割り当て(ステップ207)、nをインクリメント、mmaxをデクリメントして(ステップ208)、ステップ203に戻る。
ただし、ここでは、スロット数Nslot=5、スロットフォーマット数K=3、ユーザ数M=5とする。また、並び替え後のユーザ番号で、
(1)ユーザ1、ユーザ2の遅延スプレッドがT2≦d<T1のレンジ、
(2)ユーザ3の遅延スプレッドがT3≦d<T2のレンジ、
(3)ユーザ4、ユーザ5の遅延スプレッドが0≦d<T3のレンジ
に入っているものとする。
フレームフォーマット生成部33が生成したNkの配分(N1=2、N2=1、N3=2)が上記遅延スプレッドのユーザ分布に適合していれば、図12(A)に示すようにユーザにフレームフォーマットの各スロットを的確に割り当てることができ、実際の配分もN1=2、N2=1、N3=2となる。
しかし、フレームフォーマットの更新が遅延スプレッド分布の変動に追従できていない場合や、フレームフォーマットの上記Nk算出時の切り捨て処理に伴う丸め誤差により、上記Nkの配分が実際の遅延スプレッドのユーザ分布に適合してなければ、ユーザにフレームフォーマットの各スロットを的確に割り当てることができなくなる。
・動作例1(図12(A)参照):フレームフォーマットにおけるNkの配分(N1=2、N2=1、N3=2)と遅延スプレッドのユーザ分布(N1=2、N2=1、N3=2)が適合している場合
全ユーザに対して、ステップ204の条件が成立しないため、ステップ205、206の処理において、遅延スプレッドの長いユーザから順次、前詰めでスロットの割り当てが行われる。その結果、ユーザ1、ユーザ2はガードインターバル長T1のスロット、ユーザ3はT2のスロット、ユーザ4、ユーザ5はT3のスロットに正しく割り当てられる。
まず、ユーザ1は、T2≦d1<T1であり、ステップ204の条件に該当しないため、ステップ204の処理において、スロット1(T1スロット)に割り当てられる。
次いで、ユーザ2も、T2≦d2<T1であり、ステップ204の条件に該当しないため、ステップ204の処理において、スロット2(T2スロット)に割り当てられる。この場合、T2≦d2<T1であるためT1スロットへの割り当てが望ましいが、T1スロットは、既に空きがないため、T2スロットへの割り当てが行われる。
次いで、ユーザ3も、T3≦d3<T2、n=3>N1であり、ステップ204の条件に該当しないため、ステップ204の処理において、スロット3(T2スロット)に割り当てられる。
mはインクリメントされないため、再度、ユーザ4について、ステップ204の判定が実施される。今回は、T4≦d4<T3、n=5>N1+N2となって、ステップ204の条件に該当しないため、ステップ205の処理において、ユーザ4がスロット5(T3スロット)に割り当てられる。
32 スロット割り当て制御部
33 フレームフォーマット生成部
34 ガードインターバル挿入部
35 制御情報べースバンド処理部
36 ユーザ情報べースバンド処理部
37 多重部
38 高速逆フーリエ変換部
41 データバッフ
42 データマッピング部
43 誤り訂正符号化部
44 変調部
45 シリアルパラレル変換器(S/P変換器)
51 フレームフォーマット識別部
52 GI除去部
53 S/P変換器
54 フーリエ変換部
55 遅延スプレッド推定部
56 チャネル補償部
57 P/S変換器
58 復調部
59 復号部
Claims (2)
- 複数の移動局と基地局との間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
予めガードインターバル長が異なる複数のスロットフォーマットを用意し、かつ、各移動局の受信状態として遅延スプレッドを取得し、該各移動局の遅延スプレッドに基づいて遅延スプレッドの分布を求め、該遅延スプレッドの分布にしたがって各スロットに所定のガードインターバル長が異なるスロットフォーマットを割り当て、1フレーム当たりガードインターバル長が異なる複数のスロットを含む無線信号を生成するガードインターバル挿入手段と、
前記複数のスロットについて、それぞれどのようなガードインターバル長が適用されるかを示すフレームフォーマット情報を生成して各移動局に通知するフォーマット情報生成手段と、
各移動局に適用するガードインターバル長に基づいて、前記複数のスロットの中から選択したスロットを該移動局に割当てて該移動局宛のデータを送信する制御手段を備え、
移動局は、
前記基地局から受信した前記フレームフォーマット情報に基づいて該基地局より受信した各スロットの受信信号について、復調処理を実行し、自分宛のデータを取り込む復調手段を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。 - 複数の移動局と基地局との間で無線通信を行う無線通信システムにおける無線通信方法において、
前記基地局は、
予めガードインターバル長が異なる複数のスロットフォーマットを用意し、かつ、各移動局の受信状態として遅延スプレッドを取得し、
該各移動局の遅延スプレッドに基づいて遅延スプレッドの分布を求め、該遅延スプレッドの分布にしたがって各スロットに所定のガードインターバル長が異なるスロットフォーマットを割り当てて、1フレーム当たり、ガードインターバル長が異なる複数のスロットを含む無線信号を生成し、
前記複数のスロットについて、それぞれどのようなガードインターバル長が適用されるかを示すフレームフォーマット情報を生成し、
該フレームフォーマット情報を各移動局に送信し、かつ
各移動局に適用するガードインターバル長に基づいて、前記複数のスロットの中から選択したスロットを該移動局に割当てて該移動局宛のデータを送信し、
移動局は、
前記基地局から受信した前記フレームフォーマット情報に基づいて該基地局より受信した各スロットの受信信号について、復調処理を実行し、自分宛のデータを取り込む、
ことを特徴とする無線通信方法。
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