JPWO2017169651A1 - 表示装置表面部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、硬化樹脂層との密着性が改良されたポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材を提供することである。また、当該表示装置表面部材の製造方法を提供することである。ポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材であって、前記ポリイミドフィルムの全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、前記ポリイミドフィルムが、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解し、かつ、前記ポリイミドフィルムが下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。【化1】(式中、Xはヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R1〜R4はそれぞれ水素原子又は置換基を表す。)

Description

本発明は、ポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材に関し、より詳しくは、ポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性が改良された表示装置表面部材等に関する。
ポリイミドフィルムは折り曲げ性に優れることや、高弾性率であることから有機エレクトロルミネッセンスデバイス(「有機ELデバイス」ともいう。)や液晶表示装置など表示装置のガラスに代わる表面部材としての用途が考えられている。しかし、従来のポリイミドフィルムは分子内共役や電荷移動錯体の形成により黄褐色に着色してしまい、透明性が要求される分野においては用いることが困難であった。
この対策として、例えばポリイミドにフッ素基を導入したり、主鎖に屈曲性を与えたり又は嵩高い側鎖を導入するなどして電荷移動錯体の形成を阻害する方法が提案されている。また、原理的に電荷移動錯体を形成しない半脂環式又は全脂環式のポリイミドを用いることにより透明性を発現させる方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
無色で透明性が改良されたポリイミドフィルムは、従来のポリイミドフィルムに比べ光学特性に優れ、かつ折り曲げ性に優れ高弾性率であることから、表示装置表面部材としての使用が期待される。
そこで、本発明者は、無色、透明のポリイミドフィルムを表示装置表面部材として使用する方法を種々検討した。その結果、表示装置表面部材として耐久性を強化させるために、ポリイミドフィルムの表面に硬化樹脂層を備えた際に、硬化樹脂層が剥離しやすいという問題があることがわかった。
特開2000−53767号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、硬化樹脂層との密着性が改良されたポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材を提供することである。また、当該表示装置表面部材の製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、ポリイミドフィルムに、特定の化合物を含有させることにより、ポリイミドフィルムと硬化樹脂層層との密着性が改良されることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.ポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材であって、
前記ポリイミドフィルムの全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、
前記ポリイミドフィルムが、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解し、かつ、
前記ポリイミドフィルムが、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする表示装置表面部材。
Figure 2017169651
(式中、Xは、ヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは、窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rは、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。)
2.前記ポリイミドフィルムの表面のいずれか一面に、硬化樹脂層が設けられていることを特徴とする第1項に記載の表示装置表面部材。
3.前記一般式(1)で表される構造の芳香族ヘテロ環が、トリアゾール環又はトリアジン環であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の表示装置表面部材。
4.前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、フッ化ポリイミドであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の表示装置表面部材。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の表示装置表面部材を製造する表示装置表面部材の製造方法であって、前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、ジアミンとして2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(2,2′−TFDB)を用い、酸二無水物として2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて重合して合成されたポリイミドであり、かつ前記合成されたポリイミドを用いて、ポリイミドフィルムを製造することを特徴とする表示装置表面部材の製造方法。
本発明の上記手段により、硬化樹脂層層の密着性が改良されたポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来のポリイミドフィルムにおいては、製膜プロセスにおいて300℃以上の高温プロセスを経てフィルムが製造され、剛直な構造を有する耐久性のよいフィルムが得られている。したがって、折り曲げ性や耐熱性が高いフィルムが得られるが、反面表示装置表面部材として、硬化樹脂層を備えた場合にはポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性が悪く剥離しやすい。
本発明に係るポリイミドフィルムに含有される一般式(1)で表される化合物は、ヒドロキシ基が、硬化樹脂層中のアクリレート基と相互作用しやすいと推察される。
また、本発明に係るポリイミドフィルムは、無色、透明で溶解性の高いポリイミドフィルムである。無色、透明で溶解性がよい目安として、全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解されることが好ましい。前記の無色、透明のポリイミドフィルムは、高分子の主鎖に屈曲性を付与したり又は嵩高い側鎖を導入するなどして電荷移動錯体の形成を阻害して、無色で透明性のある可溶性ポリイミドフィルムにしている。このため、通常のポリイミドと比べて高分子鎖が柔軟であり、また分子鎖間の隙間が多くなる。さらにポリイミドのイミド基と一般式(1)で表される化合物のアゾール基が相互作用しやすいとも推察される。
通常の剛直な構造を有するポリイミドでは、添加された化合物がブリードアウトされやすいが、本発明に係るポリイミドは一般式(1)で表される化合物との相溶性がよい。本発明に係るポリイミドと相溶性がよい一般式(1)で表される化合物が、硬化樹脂層と相互作用して密着性を改良していると推察している。
本発明の表示装置表面部材の構成例の模式図
本発明の表示装置表面部材は、ポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材であって、前記ポリイミドフィルムの全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、前記ポリイミドフィルムが、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解し、かつ、前記ポリイミドフィルムが、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
この特徴は、各請求項に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から前記ポリイミドフィルムの表面のいずれか一面に、硬化樹脂層が設けられていることが好ましい。硬化樹脂層が設けられることにより、表示装置表面部材として強度が改良され、ガラス代替え部材としても使用できる。
また、前記一般式(1)で表される構造の芳香族ヘテロ環が、トリアゾール環又はトリアジン環であることが、ポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性が改良される観点から好ましい。
また、前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、フッ化ポリイミドであることが、ポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性が改良される観点及び部材の透明性が改良される観点から好ましい。
本発明の表示装置表面部材を製造する製造方法としては、前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、ジアミンとして2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(2,2′−TFDB)を用い、酸二無水物として2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて重合して合成されたポリイミドであり、前記合成されたポリイミドを用いて、ポリイミドフィルムを製造することが、ポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性が改良される観点及び部材の透明性が改良される観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<本発明の表示装置表面部材の概要>
本発明の表示装置表面部材は、無色、透明のポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材である。
前記ポリイミドフィルムは、ポリイミドを主成分として含有するポリイミドフィルムであって、全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解され、かつ、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
Figure 2017169651
(式中、Xは、ヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは、窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rは、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。)
<ポリイミドフィルム>
本発明に係るポリイミドフィルムは、全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解される。
<ポリイミド>
本発明のフィルムに用いられるポリイミドは、イミド構造を有する透明耐熱性樹脂(以下、ポリイミドともいう。)であり、繰り返し単位にイミド結合を含む透明耐熱性樹脂である。本発明のポリイミドフィルムは、ポリアミド酸又はポリイミドを含有する。ポリアミド酸又はポリイミドは、ジアミン又はその誘導体と酸無水物又はその誘導体とから形成されることが好ましい。
本発明に好ましいポリイミドは、下記式(1.1)で表される構造を有するポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、及ぶポリエステルイミド等を挙げることができる。
(1.1)式(1.1)又は式(1.2)で表される構造を有するポリイミド
(1.1.1)酸無水物側の構造
本発明に用いることのできるポリイミド又はポリアミド酸としては、特に、下記式(1.1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、ポリイミド(A)と称する。)又は下記式(1.2)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸(以下、ポリアミド酸(A′)と称する。)が好ましい。
Figure 2017169651
ポリアミド酸(A′)は、上記のとおり、ポリイミド(A)のイミド結合の一部が解離した構造に当たり、ポリアミド酸(A′)の詳細説明はポリイミド(A)に対応させて考えることができるため、以下、代表的にポリイミド(A)について詳細に説明する。
式(1.1)及び式(1.2)中、Rは、芳香族炭化水素環若しくは芳香族複素環、又は、炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基である。Φは、炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる基であって、結合基として、−O−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−OSi(CH−、−CO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を含有していてもよい。
Rで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、フルオレン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
また同様に、Rで表される芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
Rで表される炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ブタン−1,1,4,4−トリイル基、オクタン−1,1,8,8−トリイル基、デカン−1,1,10,10−トリイル基等の基が挙げられる。
また、Rで表される炭素数4〜39の4価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトライル基、3,3′,4,4′−ジシクロヘキシルテトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジフェニルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等の基が挙げられる。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2017169651
上記構造式において、nは、繰り返し単位の数を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、Xは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、つまり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基であり、メチレン基が好ましい。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2017169651
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2017169651
Φで表される脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の組み合わせからなる基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2017169651
Φで表される基としては、結合基を有する炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の組み合わせであることが好ましく、特に、以下の構造式で表される基が好ましい。
Figure 2017169651
本発明に用いられる酸無水物はカルボン酸無水物であり、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸の誘導体であることが好ましく、例えば、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸エステル類、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
ここで、誘導体とは、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸に変化しうる化合物であり、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の場合、当該無水物に代えて二つのカルボキシ基を有する化合物、これら二つのカルボキシ基の中の片方又は両方がエステル化されたエステル化物である化合物、又はこれら二つのカルボキシ基の中の片方又は両方がクロル化された酸クロライド等が好適に用いられる。
このようなアシル化合物を用いることにより、高い耐熱性と優れた光学特性とを有し、着色(黄変)の少ないフィルムを得ることができる。
脂肪族テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂肪族テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。脂環式テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂環式テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。なお、アルキル基部位は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。特に好ましくは、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物である。一般に、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドは、中間生成物であるポリアミド酸とジアミンが強固な塩を形成するため、高分子量化するためには塩の溶解性が比較的高い溶媒(例えばクレゾール、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いることが好ましい。ところが、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドでも、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を構成成分としている場合には、ポリアミド酸とジアミンの塩は比較的弱い結合で結ばれているので、高分子量化が容易で、フレキシブルなフィルムが得られやすい。
他にも、例えば、4,4′−ビフタル酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4′−オキシジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(ピグメントレッド224)1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
また、フルオレン骨格を有する酸無水物又はその誘導体を用いてもよい。ポリイミド特有の着色を改善する効果を有する。フルオレン骨格を有する酸無水物としては、例えば、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン酸二無水物等を用いることができる。
芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリイミドの溶媒可溶性、フィルムのフレキシビリティ、熱圧着性、透明性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸又はその誘導体(特に二無水物)を併用してもよい。
かかる他のテトラカルボン酸又はその誘導体としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン等の芳香族系テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物);エチレンテトラカルボン酸等の炭素数1〜3の脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物)等が挙げられる。
酸二無水物としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物であることが、透明性に優れる点、及び熱収縮による熱矯正をしやすい観点で好ましい。
前記式(1.1)で表される繰り返し単位は、全ての繰り返し単位に対して好ましくは10〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。また、ポリイミド(A)1分子中の式(1.1)の繰り返し単位の個数は、10〜2000、好ましくは20〜200であり、この範囲において、更にガラス転移温度が230〜350℃であることが好ましく、250〜330℃であることがより好ましい。
(1.1.2)ジアミン側の構造
ジアミン又はその誘導体としては、例えば、芳香族ジアミン又はイソシアン酸エステル等が好ましく、芳香族ジアミンが好ましい。
本発明に用いられるジアミン又はその誘導体としては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン又はこれらの混合物のいずれでもよく、芳香族ジアミンであることがフィルムの白化を抑制できる観点から、好ましい。
なお、本発明において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香族環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいてもよい。「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香族炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいてもよい。
芳香族ジアミンの例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,4−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3−アミノベンジルアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−エチレンジアニリン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、シロキサンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノメチルシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
また、ポリイミド特有の着色を改善する目的でフルオレン骨格を有するジアミン又はその誘導体を用いてもよい。例えば、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−エチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレンなどを用いることができる。
また、下記式で表されるトリアジン母核を有するジアミン化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2017169651
トリアジン母核を有する上記式のジアミン化合物において、Rは水素原子又は炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基又はアリール基を表し、Rは炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基又はアリール基を表し、RとRは異なっていてもよく、同じであってもよい。
とRの炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基としては、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、フェニル、ベンジル、ナフチル、メチルフェニル、ビフェニルなどが挙げられる。
トリアジンの二つのNH基に接続するアミノアニリノ基は、4−アミノアニリノ又は3−アミノアニリノであり、同じであっても異なっていてもよいが、4−アミノアニリノが好ましい。
トリアジン母核を有する上記式で表されるジアミン化合物としては、具体的には、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アニリノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−アニリノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ベンジルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−ベンジルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ナフチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ビフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジベンジルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジナフチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−N−メチルアニリノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−N−メチルナフチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(3−アミノアニリノ)−6−アミノ−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
ジアミン誘導体であるイソシアン酸エステルとしては、例えば、上記芳香族又は脂肪族ジアミンとホスゲンを反応させて得られるジイソシアネートが挙げられる。
また、他のジアミン誘導体としては、ジアミノジシラン類も挙げられ、例えば上記芳香族又は脂肪族ジアミンとクロロトリメチルシランを反応させて得られるトリメチルシリル化した芳香族又は脂肪族ジアミンが挙げられる。
ジアミンとしては、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニルであることが、透明性に優れる点、及びポリイミドフィルムと硬化樹脂層との密着性に優れる観点で好ましい。
以上のジアミン及びその誘導体は任意に混合して用いてもよいが、それらの中におけるジアミンの量が50〜100モル%となることが好ましく、80〜100モル%となることがより好ましい。
(1.1.3)ポリアミド酸の合成法及びイミド化
(1.1.3.1)ポリアミド酸の合成
ポリアミド酸は、適当な溶媒中で、前記テトラカルボン酸類の少なくとも1種類と、前記ジアミン類の少なくとも1種類を重合反応させることにより得られる。
また、ポリアミド酸エステルは、前記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコールを用いて開環することによりジエステル化し、得られたジエステルを適当な溶媒中で前記ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。更に、ポリアミド酸エステルは、上記のように得られたポリアミド酸のカルボン酸基を、上記のようなアルコールと反応させることによりエステル化することによっても得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物との反応は、従来知られている条件で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリアミド酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1モル以上である。一方、通常1.2モル以下、好ましくは1.1モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリアミド酸の収率が向上し得る。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件やポリアミド酸溶液の粘度に応じて適宜設定する。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計の質量は、特段の制限はないが、全溶液量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは30質量%以下である。反応基質の量をこのような範囲とすることにより、低コストで収率よくポリアミド酸を得ることができる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、一方、通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、特段の制限はないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、一方、通常100時間以下、好ましくは24時間以下である。このような条件で反応を行うことにより、低コストで収率よくポリアミド酸を得ることができる。
この反応で用いられる重合溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン系極性溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン及びイソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール及びクレゾールのようなフェノール系溶媒、等が挙げられるが、特に限定されるものではない。重合溶媒としては、1種のみを用いることもできるし、2種類以上の溶媒を混合して用いることもできる。
ポリアミド酸の末端基は、重合反応時のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物のいずれか一方を過剰に用いることによって、酸無水物基とアミノ基を任意に選ぶことができる。
末端基を酸無水物末端とした場合には、その後の処理を行わず酸無水物末端のままでもよく、加水分解させてジカルボン酸としてもよい。また、炭素数が4以下のアルコールを用いてエステルとしてもよい。更に、単官能のアミン化合物又はイソシアネート化合物を用いて末端を封止してもよい。ここで用いるアミン化合物又はイソシアネート化合物としては、単官能の第一級アミン化合物又はイソシアネート化合物であれば、特に制限はなく用いることができる。例えば、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トリメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トリエチルアニリン、アミノフェノール、メトキシアニリン、アミノ安息香酸、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、シクロヘキシルアミン、フェニルイソシアナート、キシリレンイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、メチルフェニルイソシアネート、トリフルオロメチルフェニルイソシアネート等を挙げることができる。
また、末端基をアミン末端とした場合には、単官能の酸無水物によって、末端アミノ基を封止することで、アミノ基が末端に残ることを回避できる。ここで用いる酸無水物としては、加水分解した際にジカルボン酸又はトリカルボン酸となる単官能の酸無水物であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、コハク酸無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、4−(フェニルエチニル)フタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン、オクタヒドロ−1,3−ジオキソイソベンゾフラン−5−カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ジメチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
(1.1.3.2)イミド化法
ここで、ポリイミドは、ポリアミド酸溶液を加熱してポリアミド酸をイミド化させる方法(熱イミド化法)、又は、ポリアミド酸溶液に閉環触媒(イミド化触媒)を添加してポリアミド酸をイミド化させる方法(化学イミド化法)により得ることができる。
《フィルムのイミド化処理》
ポリアミド酸を用いて流延膜を形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことでポリイミドフィルムを製造することができる。
本発明のポリアミック酸流延膜は、段階的に加熱することが好ましい。例えば、加熱処理によって溶媒を除去するとともにイミド化(脱水閉環)することによって好適にポリイミドを得ることができる。
加熱処理条件は、特に限定されないが、50〜150℃、150〜250℃の温度範囲で乾燥した後、更に300〜400℃、好ましくは350〜400℃の温度で加熱処理することが好ましい。これはイミド化反応率に合わせてポリアミド酸及びポリイミドのガラス転移温度に合わせた温度で加熱することによりイミド化が促進させるためである。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、閉環触媒を含有しないポリアミド酸の溶液を流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥した後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する(熱イミド化法)を用いることができる。なお、この方法の場合には、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化の反応速度を向上させることができるが、脱水剤を含有させないことが好ましい。脱水剤を含有させないことで、残留脱水剤によるポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。
熱イミド化法においては、例えば赤外線ヒーターを用いることにより熱処理を行うことができる。赤外線ヒーターとしては、例えば、フィラメントを内管が囲むように形成されたヒーター本体が外管によって覆われ、ヒーター本体と外管との間に冷却流体が流通可能に構成されたものが用いられる。フィラメントは、700〜1200℃に通電加熱され、波長が3μm付近にピークを持つ赤外線を放射する。内管及び外管は、石英ガラスやホウケイ酸クラウンガラス等で作製されており、3.5μm以下の波長の赤外線を通過し、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルターとして機能する。このような赤外線ヒーターは、フィラメントから波長が3μm付近にピークを持つ赤外線が放射されると、そのうち3.5μm以下の波長の赤外線を内管や外管を通過してフィルムに照射する。この波長の赤外線が照射されることにより、フィルム内の混合溶媒を効率的に蒸発させることができるとともに、フィルム内のポリアミド酸をイミド化することができる。なお、内管や外管は、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するが、流路を流れる冷却流体によって冷却されるため、フィルムから蒸発する混合溶媒の着火点未満の温度に維持することが可能である。
また、閉環触媒及び脱水剤を含有させたポリアミド酸の溶液を流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させてフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う(化学イミド化法)を用いることもできる閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも1種のアミンを使用することが好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5〜8.0となる範囲が好ましい。
なお、この方法の場合、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化を低温で進行させることができるためポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。
また、ポリアミド酸溶液を加熱してポリアミド酸をイミド化させる方法(熱イミド化法)、又は、ポリアミド酸溶液に閉環触媒(イミド化触媒)を添加してポリアミド酸をイミド化させる方法(化学イミド化法)については、上述の流延膜上に限らず、例えば、酸無水物とジアミンからポリアミド酸を重合する反応釜をそのまま継続して反応釜中でイミド化させてもよい。
反応釜中での熱イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸を、例えば80〜300℃の温度範囲で0.1〜200時間加熱処理してイミド化を進行させる。また、上記温度範囲を150〜200℃とすることが好ましく、150℃以上とすることにより、イミド化を確実に進行させて完了させることができ、一方、200℃以下とすることにより、溶媒や未反応原材料の酸化、溶剤溶媒の揮発による樹脂濃度の上昇を防止することができる。
更に、熱イミド化法においては、イミド化反応により生成する水を効率よく除去するために、上記重合溶媒に共沸溶媒を加えることができる。共沸溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等を用いることができる。共沸溶媒を使用する場合は、その添加量は、全有機溶媒量中の1〜30質量%程度、好ましくは5〜20質量%である。
一方、化学イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸に対し、公知の閉環触媒を添加してイミド化を進行させる。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられるが、これ以外にも例えば、置換若しくは非置換の含窒素複素環化合物、含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換若しくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾール等の低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジン等の置換ピリジン、p−トルエンスルホン酸等を好適に使用することができる。閉環触媒の添加量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。閉環触媒を使用することによって、得られるポリイミドの物性、特に伸びや破断抵抗が向上する場合がある。
また、上記熱イミド化法又は化学イミド化法においては、ポリアミド酸溶液中に脱水剤を添加してもよく、そのような脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、脱水剤を用いると、低温で反応を進めることができ好ましい。なお、ポリアミド酸溶液に対し脱水剤を添加するのみでもポリアミド酸をイミド化させることが可能ではあるが、反応速度が遅いため、上記したように加熱又は閉環触媒の添加によりイミド化させることが好ましい。
このように反応釜中でイミド化させたポリイミド溶液は、ポリイミド溶液と比較して経時による加水分解による分子量低下が置き難いので有利である。
また、あらかじめイミド化反応が進んでいるため例えば、イミド化率100%のポリイミドの場合は、流延膜やフィルム上でのイミド化が不要となり乾燥温度を下げることができる。
また、閉環したポリイミドを、貧溶媒などを用いて再沈殿、精製して固体にしてから溶媒に溶解し流延乾燥して製膜を行ってもよい。
この方法によれば、重合溶剤と流延する溶剤とを異なる種類とすることが可能となり、それぞれに最適な溶剤を選択することで、ポリイミドフィルムの性能をより引き出すことが可能になる。
例えば、ポリアミド酸を高分子量化させるためにジメチルアセドアミドを用いて重合、閉環し、メタノールを用いて固体化、乾燥したのちにジクロロメタンで添加剤を入れた溶液化してから流延、乾燥することで、高分子量化と低温乾燥が可能となる。
また、溶剤としてジクロロメタンを使う場合、他の溶剤と組み合わせて使用することができる。テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γブチロラクトン、エタノール、メタノール、ブタノール、イロプロパノールなど、適宜補助溶剤を使用することもできる。
また、ポリアミド酸は、流延時においてイミド化されていてもよく、流延時のイミド化率としては10〜100%であることが好ましい。ここで、イミド化率としては、H−NMRスペクトルからカルボキシ基残量を測定し、イミド化率を求めることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用してもよいが、反応釜中での熱イミド化したポリイミド溶液を支持体上に流延する方法が、ポリイミド溶液中に残留物が少ない、また製膜温度を低温化できるという観点からより好ましい方法といえる。
(1.1.4)その他のポリイミド
上記したポリイミドの他に、リン、ケイ素、イオウなどの原子を含むポリイミドを用いることもできる。
例えば、リンを含むポリイミドとしては、特開2011−74209号公報の段落[0010]−[0021]及び特開2011−074177号公報の段落[0011]−[0025]にそれぞれ記載のポリイミドを用いることができる。
ケイ素を含むポリイミドとしては、特開2013−028796号公報の段落[0030]−[0045]に記載の、ポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドを用いることができる。
イオウを含むポリイミドとしては、特開2010−189322号公報の段落[0009]−[0025]、特開2008−274234号公報の段落[0012]−[0025]及び特開2008−274229号公報の段落[0012]−[0023]にそれぞれ記載の、ポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドを用いることができる。
その他にも、特開2009−256590号公報の段落[0008]−[0012]、特開2009−256589号公報の段落[0008]−[0012]に記載の脂環式ポリイミドなどを好ましく用いることができる。
(1.2)ポリアミドイミド
本発明に用いられるポリアミドイミドは、酸成分として、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸、ジカルボン酸、アミン成分としてジアミンを構成単位として含むポリアミドイミドである。
用いられるポリアミドイミドは、酸成分として、
a)トリカルボン酸;ジフェニルエーテル−3,3′,4′−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3′,4′−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3′,4′−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸等の一無水物、エステル化物などの単独、又は2種以上の混合物。
b)テトラカルボン酸;ジフェニルスルホン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸一無水物、二無水物、エステル化物などの単独、又は2種以上の混合物。
c)ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−4,4′−ジカルボン酸のジカルボン酸、及びこれらの一無水物やエステル化物。
アミン成分としては、
d)アミン成分
3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、ジアミノシロキサン、又はこれらに対応するジイソシアネート単独、又は2種以上の混合物が挙げられる。
特に、酸成分として、無水トリメリット酸(TMA)、3,3,4′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、及び3,3,4′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、イソシアネート成分として1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、を含む原料で重合されたポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
ポリアミドイミドのイミド結合とアミド結合のモル比は、99/1〜60/40モル比が好ましく、より好ましくは99/1〜75/25であり、さらにより好ましくは90/10〜80/20である。イミド結合とアミド結合のモル比が、60/40以上では、耐熱性、耐湿信頼性、耐熱信頼性が向上する。また、99/1以下であると、弾性率が低くなり、耐折特性、屈曲特性が向上する傾向にある。
(1.2.1)式(2)で表される構造を必須成分とするポリアミドイミド
一つの好ましい実施態様は、式(2)で表される構造を必須成分とし、更に、式(3)、式(4)及び式(5)で表される群より選ばれる少なくとも1種の構造を、繰り返し単位として分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂である。
Figure 2017169651
Figure 2017169651
(Xは、酸素原子、CO、SO、又は、結合を表し、nは0又は1を表す。)
Figure 2017169651
(Yは、酸素原子、CO、又はOOC−R−COOを表し、nは0又は1を、Rは二価の有機基を表す。)
Figure 2017169651
ここで、式(3)中、Xは、SO、又は、結合(ビフェニル結合)、又は、n=0が好ましく、更に好ましくは、結合(ビフェニル結合)、又はn=0の場合である。式(4)中、Yは、ベンゾフェノン型(CO)、又は、結合型(ビフェニル結合)が好ましい。
一つの好ましい実施態様は式(2)が無水トリメリット酸と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位、式(3)がテレフタル酸と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位、式(4)がビフェニルテトラカルボン酸二無水物、又は、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位で、その含有比が式(2)/{式(3)+式(4)+式(5)}=1/99〜40/60モル比で、かつ、式(3)/式(4)=10/90〜90/10モル比が好ましい。
イミド化率は高いほど好ましく上限は100%である。上記ポリアミドイミド樹脂は、通常の方法で合成することができる。例えば、イソシアネート法、アミン法(酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法等)などであるが、本発明で用いるポリアミドイミド樹脂は有機溶媒に可溶なものが好ましく、前記通り、ピール強度(接着強度)の信頼性確保などの理由から、イソシアネート法による製造が好ましい。また、工業的にも、重合時の溶液がそのまま塗布できるため好ましい。
(1.2.2)式(6)又は(7)で表される構造を有するポリアミドイミド
好ましいポリアミドイミド樹脂として、下記式(6)を構成単位として含む化合物を好ましく用いることができる。以下式(6)で表される構造を有する化合物について説明する。
Figure 2017169651
(式中、Rはアリール基、シクロアルカン基であり、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンを含んでもよい。)
(ポリアミドイミド樹脂のジアミン成分)
また、ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミンなどの単独、若しくは、2種以上の混合物、又は、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、若しくは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
好ましくは、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミンなどの単独、若しくは、2種以上の混合物、又は、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、若しくは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
より好ましくは、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4−メチル−1,3−フェニレンジアミンなどの単独、若しくは、2種以上の混合物、又は、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、若しくは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
さらに好ましくは、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4−メチル−1,3−フェニレンジアミンなどの単独、若しくは、2種以上の混合物、又は、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、若しくは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
(好ましい酸成分、ジアミン成分の組み合わせ)
上記酸成分、ジアミン成分の中でも、フィルム化するプロセスでの耐熱性、耐溶媒性、及び耐久性、並びに、製造されるポリアミドイミドフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性から、以下の成分が好ましく用いられる。
酸成分として、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を用いることができる。シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を酸成分とするポリアミドイミド樹脂を用いることができる。
ジアミン成分として、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル及び4−メチル−1,3−フェニレンジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種の化合物、又は、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート)、及び4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート(トリレンジイソシアネート)からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種の化合物を用いることができる。
また、好ましいポリアミドイミド樹脂として、下記式(7)で表される構造を構成単位として含む化合物を用いることができる。
Figure 2017169651
(式中、R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基であり、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンを含んでもよい。)
なお、全酸成分を100モル%とした場合、例示した酸成分は50モル%以上100%以下含まれるのがよく、より好ましくは70モル%以上100%以下含まれるのがよい。また、全ジアミン成分を100モル%とした場合、例示したジアミン成分は50モル%以上100%以下含まれるのがよく、より好ましくは70モル%以上100%以下含まれるがよい。これらの範囲であれば、フィルム化するプロセスでの耐熱性、耐久性がよく、得られるポリアミドイミドフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性が特によくなる。
用いられるポリアミドイミド樹脂の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/cm)、30℃での対数粘度にして0.3から2.5cm/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.5から2.0cm/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が0.3cm/g以上であればフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が十分となる。また、2.0cm/g以下であると溶液粘度が高くなり過ぎず、成形加工が容易となる。
(1.3)ポリエーテルイミド
本発明に用いられるポリエーテルイミドは、その構造単位に芳香核結合及びイミド結合を含む熱可塑性樹脂であり、特に制限されるものでなく、具体的には、下記式(8)又は下記式(9)で表される構造の繰り返し単位を有するポリエーテルイミドであることが好ましい。
Figure 2017169651
上記式(8)で表される構造の繰り返し単位を有するポリエーテルイミドは、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem 1000」(ガラス転移温度:216℃)、「Ultem 1010」(ガラス転移温度:216℃)、上記式(9)で表される構造の繰り返し単位を有するポリエーテルイミドは、「Ultem CRS5001」(ガラス転移温度Tg226℃)、が挙げられ、そのほかの具体例として、三井化学株式会社製の商品名「オーラムPL500AM」(ガラス転移温度258℃)などが挙げられる。
当該ポリエーテルイミドの製造方法は特に限定されるものではないが、通常、上記式(8)で表される構造を有する非晶性ポリエーテルイミドは、4,4′−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として、また上記構造式(9)で表される構造を有するポリエーテルイミドは、4,4′−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。
また、ポリエーテルイミドには、本発明の主旨を超えない範囲でアミド基、エステル基、スルホニル基など共重合可能なほかの単量体単位を含むものであってもよい。なお、ポリエーテルイミドは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(1.4)ポリエステルイミド
本発明に用いられるイミド構造を有する樹脂は、式(10)で表されるポリエステルイミド構造を構成単位中に含有することが好ましい。
Figure 2017169651
(式(10)中、Rは特定の構造を有する2価の基を表す。Rは2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基又は2価の芳香族基を表す。)
式(10)中、Rは、それぞれ、式(11)、式(12)又は式(13)で表される構造を有する2価の基を表す。
(式(11)で表される構造を有する2価の基)
Figure 2017169651
式(11)中、Rは、それぞれ2価の、鎖式脂肪族基、環式脂肪族基又は芳香族基を表し、複数個のRは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。これらの鎖式脂肪族基、環式脂肪族基又は芳香族基を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
mは1以上の正の整数であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。また、mの上限は特に限定されないが、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。25を超える場合では耐熱性が低下する傾向にある。
前記鎖式脂肪族基、環式脂肪族基又は芳香族基は、「2価のヒドロキシ基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価のヒドロキシ基を有する環式脂肪族化合物」又は「2価のヒドロキシ基を有する芳香族化合物」等のジオールから誘導される残基であることが望ましい。また、前記ジオールと炭酸エステル類やホスゲン等から重合され得る「ポリカーボネートジオール」から誘導される残基であってもよい。
「2価のヒドロキシ基を有する鎖式脂肪族化合物」としては、二つのヒドロキシ基を有する分岐状、又は直鎖状のジオールを用いることができる。例えば、アルキレンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。「2価のヒドロキシ基を有する鎖式脂肪族化合物」として使用できる二つのヒドロキシ基を有する分岐状又は直鎖状のジオールを以下に挙げる。
アルキレンジオールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンジオールとして、例えば、ジメチロールプロピオン酸(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸)、ジメチロールブタン酸(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシテトラメチレングリコールがよい。
ポリエステルジオールとしては、例えば、以下に例示される多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られる、ポリエステルジオール等が挙げられる。
ポリエステルジオールに用いる「多価アルコール成分」としては、任意の各種多価アルコールが使用可能である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンメタノール、ネオペンチルヒドロキシピパリン酸エステル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水添加ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール等を使用できる。
ポリエステルジオールに用いる「多塩基酸成分」としては、任意の各種多塩基酸を使用することができる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、2,2′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族や脂環族二塩基酸が使用できる。
ポリエステルジオールの市販品として、具体的には、ODX−688(DIC(株)製脂肪族ポリエステルジオール:アジピン酸/ネオペンチルグリコール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2000)、Vylon(登録商標)220(東洋紡(株)製ポリエステルジオール、数平均分子量約2000)などを挙げることができる。
ポリカプロラクトンジオールとして、例えば、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
上述の「2価のヒドロキシ基を有する鎖式脂肪族化合物」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
「2価のヒドロキシ基を有する環式脂肪族化合物」又は「2価のヒドロキシ基を有する芳香族化合物」としては、「芳香環やシクロヘキサン環に二つのヒドロキシ基を有する化合物」、「2個のフェノール若しくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」、「ビフェニル構造の両方の核にヒドロキシ基を一つずつ有する化合物」、「ナフタレン骨格に二つのヒドロキシ基を有する化合物」などが用いられる。
「芳香環やシクロヘキサン環に二つのヒドロキシ基を有する化合物」として、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、2−フェニルヒドロキノン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−アダマンタンジオール、ジシクロペンタジエンの2水和物、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のカルボキシ基含有ジオール等が使用できる。
「2個のフェノール」、又は、「脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」の例としては、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルスルホン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が使用できる。
また、「ビフェニル構造の両方の核にヒドロキシ基を一つずつ有する化合物」の例として、4,4′−ビフェノール、3,4′−ビフェノール、2,2′−ビフェノール、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノールなどが使用できる。
「ナフタレン骨格に二つのヒドロキシ基を有する化合物」の例としては2,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,8−ナフタレンジオール等が使用できる。
前記ジオールの数平均分子量は、100以上30000以下であることが好ましく、より好ましくは150以上20000以下であり、さらに好ましくは200以上10000以下である。数平均分子量が100未満では、低吸湿性、柔軟性が十分発揮できず、また、30000より大きいと、「ジオール」の組成、構造、後に説明するジアミン成分(又はイソシアネート成分)の組成、構造によっては、相分離し、機械的特性、無色透明性を十分発揮できない場合がある。
ポリカーボネートジオールとしては、その骨格中上述した複数種のアルキレン基を有するポリカーボネートジオール(共重合ポリカーボネートジオール)であってもよい。例えば、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせ、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせ、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせなどにより合成され得る共重合ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。好ましくは、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせより合成され得る共重合ポリカーボネートジオールである。これらのポリカーボネートジオールを2種以上併用することもできる。
使用できるポリカーボネートジオールの市販品として(株)クラレ製クラレポリオールCシリーズ、旭化成ケミカルズ(株)デュラノールシリーズなどが挙げられる。例えば、クラレポリオールC−1015N、クラレポリオールC−1065N((株)クラレ製カーボネートジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール、数平均分子量約1000)、クラレポリオールC−2015N、クラレポリオールC2065N((株)クラレ製カーボネートジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール、数平均分子量約2000)、クラレポリオールC−1050、クラレポリオールC−1090((株)クラレ製カーボネートジオール:3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約1000)、クラレポリオールC−2050、クラレポリオールC−2090((株)クラレ製カーボネートジオール:3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2000)、DURANOL−T5650E(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約500)、DURANOL−T5651(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約1000)、DURANOL−T5652(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2000)などを挙げることができる。好ましくは、クラレポリオールC−1015N等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールの製造方法としては、原料ジオールと炭酸エステル類とのエステル交換、原料ジオールとホスゲンとの脱塩化水素反応を挙げることができる。原料である炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;及びエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。
(式(12)で表される構造を有する2価の基)
式(12)で表される構造を有する2価の基について説明する。
Figure 2017169651
式(12)中、Rは、直結、アルキレン基(−C2n−)、パーフルオロアルキレン基(−C2n−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−S(=O)−)、スルフィニル基(−SO−)、スルフェニル基(−S−)、カーボネート基(−OCOO−)、又はフルオレニリデン基を表す。nは1以上の正の整数である。nの上限は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。X〜Xは、それぞれが同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン又はアルキル基を表す。
式(12)で表される構造を有する2価の基の具体例としては、特に限定されないが、ジフェニルエーテル骨格、ジフェニルスルホン骨格、9−フルオレニリデンジフェノール骨格、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物骨格又はビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格等が挙げられる。
前記骨格は、式(12)の両方のベンゼン環に各1個のヒドロキシ基を有する化合物から誘導される残基であることが好ましい。式(12)で表される構造を有する2価の基の原料としては、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、4,4′−ビフェノール、3,4′−ビフェノール、2,2′−ビフェノール、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノール、2,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール又は1,8−ナフタレンジオール等が使用できる。
好ましくは、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−(9−フルオレニリデン)ジフェノール又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物がよい。さらに好ましくは、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物である。
これらの化合物を単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの原料を用いることで、式(10)のR位に、前記ジフェニルエーテル骨格等を導入することができる。
(式(13)で表される構造を有する2価の基)
Figure 2017169651
式(13)中、Rは、直結、アルキレン基(−C2n−)、パーフルオロアルキレン基(−C2n−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−S(=O)−)、スルフィニル基(−SO−)、スルフェニル基(−S−)、カーボネート基(−OCOO−)、又はフルオレニリデン基を表す。nは1以上の正の整数である。nの上限は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。X′〜X′は、それぞれが同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン又はアルキル基を表す。
式(13)で表される構造を有する2価の基の具体例としては、特に限定されないが、ジシクロヘキシルエーテル骨格、ジシクロヘキシルスルホン骨格、水添ビスフェノールA骨格、水添ビスフェノールF骨格、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物骨格又は水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物骨格等が挙げられる。
前記骨格は、式(13)の両方のシクロヘキサン環に各1個のヒドロキシ基を有する化合物から誘導される残基であることが好ましい。式(13)で表される構造を有する2価の基の原料としては、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルスルホン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物又は水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が使用できる。
好ましくは、4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテル又は4,4′−ジヒドロキシジシクロヘキシルスルホンがよい。
これらの化合物を単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの原料を用いることで、式(10)のR位に、前記ジシクロヘキシルエーテル骨格等を導入することができる。
式(10)の構造は、一例を挙げるならば、シクロヘキサントリカルボン酸無水物のハロゲン化物とジオール類とを反応させエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得、次いで、そのエステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネート等とを縮合反応(ポリイミド化)させて得ることができる。
(式(14)で表される構造を有する2価の基)
ポリエステルイミド樹脂は、さらに、式(14)で表される構造を構成単位中に含有するのがよい。
Figure 2017169651
式(10)のR及び式(14)のR′について説明する。R及びR′はそれぞれ独立して、2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基又は2価の芳香族基であれば特に限定されない。これらの「2価の鎖式脂肪族基」、「2価の環式脂肪族基」、「2価の芳香族基」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
好ましくは、Rは下記式(15)で表される構造を有する2価の基であり、R′は下記式(16)で表される構造を有する2価の基である。
(式(15)で表される構造を有する2価の基)
前記式(10)におけるRとしては、耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、式(15)で表される構造を有する2価の基であることが好ましい。
Figure 2017169651
式(15)中、Rは、直結、アルキレン基(−C2n−)、パーフルオロアルキレン基(−C2n−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−S(=O)−)、スルフィニル基(−SO−)又はスルフェニル基(−S−)を表す。nは1以上10以下の正の整数であることが好ましく、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下である。X〜X16は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン又はアルキル基を表す。
(式(16)で表される構造を有する2価の基)
前記式(14)におけるR′としては、耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、式(16)で表される構造を有する2価の基であることが好ましい。
Figure 2017169651
式(16)中、R′は、直結、アルキレン基(−C2n−)、パーフルオロアルキレン基(−C2n−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−S(=O)−)、スルフィニル基(−SO−)又はスルフェニル基(−S−)を表す。nは1以上10以下の正の整数であることが好ましく、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下である。X′〜X16′は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン又はアルキル基を表す。
式(10)及び式(14)において、「2価の鎖式脂肪族基」、「2価の環式脂肪族基」又は「2価の芳香族基」を式(10)のR位及び式(14)のR′位に導入するためには、それぞれ対応するジアミン成分又はジイソシアネート成分を用いることが好ましい。すなわち、「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」、「環式脂肪族ジアミン又はそれに対応する環式脂肪族ジイソシアネート」、「鎖式脂肪族ジアミン又はそれに対応する鎖式脂肪族ジイソシアネート」を適宜選択することによって、耐熱性、柔軟性、低吸湿性に優れたポリエステルイミド樹脂を得ることができる。
式(10)のR及び式(14)のR′のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分は同一であっても異なっていてもよい。後述する好ましい製造方法に基づくならば、同一あるのが好ましい。
及びR′を基本骨格とするジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分について説明する。
「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」としては、具体的には、ジアミン化合物として例示すると、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、ベンジジン、3,3′−ジヒドロキシベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トリジン、m−トリジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノターフェニル等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
また、「環式脂肪族ジアミン又はそれに対応する環式脂肪族ジイソシアネート」としては、ジアミン化合物として例示すると、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン) (トタンス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
「鎖式脂肪族ジアミン又はそれに対応する鎖式脂肪族ジイソシアネート」としては、ジアミン化合物として例示すると、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、式(10)中のR及び式(14)中のR′のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分として好ましい成分は、ジアミン化合物として例示すると、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジアミン、o−トリジン、ジアミノターフェニル、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン等から誘導される残基である。より好ましくは、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジアミン、o−トリジンであり、さらに好ましいのは、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジンである。最も好ましくは4,4′−ジアミノジフェニルメタン、o−トリジンから誘導される残基である。
本発明に係るポリイミドには、フッ化ポリイミドを含有することが、フィルムの透明性に優れる点、及び硬化樹脂層との密着性に優れる観点から好ましい。フッ素の含有率としては、フィルム中に1〜40質量%の範囲で含有されることが本発明の効果が大きくより好ましい。
<ポリイミドフィルムの物性>
(全光線透過率)
本発明に係るポリイミドフィルムは、透明のポリイミドフィルムであり、透明性の目安として、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。全光線透過率は高いほど透明性が高くなるので好ましい。全光線透過率が80%以上という数値の記載は、その好ましい範囲を示したものである。全光線透過率が80%以上であるとフィルムの透明性が高く、種々の表示装置表面部材に適用の幅が広がるという利点がある。
フィルム試料の全光線透過率は、23℃・55%RHの空調室で24時間調湿したフィルム試料1枚をJIS K 7375−2008に従って測定できる。測定は(株)日立ハイテクノロジーズの分光光度計U−3300を用いて可視光領域(400〜700nmの範囲)の透過率を測定することができる。
全光線透過率を80%以上とするには、上記ポリイミドの種類を選択することで調整できる。
(イエローインデックス値(YI値))
本発明のフィルムは、無色のポリイミドフィルムであり、無色である目安としては、イエローインデックス値(YI値)が、4.0以下であることが好ましい。より好ましくは0.3〜2.0の範囲内であり、特に好ましくは0.3〜1.6の範囲内である。イエローインデックス値(YI値)は小さいほど着色が少ないので好ましい。イエローインデックス値(YI値)が4.0以下という数値の記載は、その好ましい範囲を示したものである。イエローインデックス値(YI値)が4.0以下であるとフィルムの透明性がよく、光学用途のフィルムとして、種々の表示装置表面部材に適用の幅が広がるという利点がある。
前記YI値の値は、上記ポリイミドの種類を選択することで調整することができる。
イエローインデックス値は、JIS K 7103に定められているフィルムのYI(イエローインデックス:黄色味の指数)に従って求めることができる。
イエローインデックス値の測定方法としては、フィルムのサンプルを作製し、(株)日立ハイテクノロジーズの分光光度計U−3300と附属の彩度計算プログラム等を用いて、JIS Z 8701に定められている光源色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式の定義に従ってイエローインデックス値を求める。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
(溶解度)
本発明のポリイミドフィルムは、25℃においてジクロロメタン100gに対する溶解度(溶解する限界量)が1g以上であることが好ましい。溶解度が1g以上であれば、溶液流延法により製造できやすくなる。溶解度は大きいほど溶液流延法による製造ができやすくなるので好ましい。溶解度が1g以上との数値の記載は、その好ましい範囲を示したものである。また、ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、25℃においてジクロロメタン100gに対する溶解度(溶解する限界量)が1g以上であることがより好ましい。
<一般式(1)で表される化合物>
本発明に係るポリイミドフィルムは、硬化樹脂層との密着性を改良するために、一般式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 2017169651
(式中、Xはヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表す。)
Xはヘテロ原子又は炭素原子を表し、Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表し、当該芳香族ヘテロ環は、置換基を有していてもよい。
芳香族ヘテロ環は、一般に不飽和ヘテロ環であり、好ましくは最多の二重結合を有するヘテロ環である。ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、N、S又はOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有するヘテロ環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,5−トリアジン環であることが好ましい。中でも、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,5−トリアジン環であることが好ましい。
ヘテロ環基は置換基を有してもよく、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。R〜Rの置換基、及び上記複素環基の置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を1個取り去った1価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリール基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を1個取り去った1価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を1個持つビシクロアルケンの水素原子を1個取り去った1価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を挙げることができる。
一般式(1)で表される構造を有する化合物は、前記ヘテロ環が、1,2,3−トリアゾール環であることが好ましく、以下の一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
Figure 2017169651
式中、Gは水素原子を表す。Gは水素原子、シアノ基、塩素原子、フッ素原子、−CF基、−CO−G基、ESO−基又はESO−基を表す。
は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数2ないし18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし4個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
は炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし4個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数2ないし18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし3個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
又はEは1個又はそれより多くの−OH基、−OCOE11基、−OE基、−NCO基、−NH基、−NHCOE11基、−NHE基又は−N(E基、又はそれらの混合物(前記式中、Eは炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す)により置換された炭素原子数1ないし24の前記アルキル基又は炭素原子数2ないし18の前記アルケニル基;又は1個又はそれより多くの−O−基、−NH−基、又は−NE−基、又はそれらの混合物により中断され、そして非置換又は1個又はそれより多くの−OH基、−OE基又は−NH基、又はそれらの混合物により置換され得る前記アルキル基又は前記アルケニル基を表す。
11は水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基、炭素原子数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基又は炭素原子数7〜15のアラルキル基を表す。
は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数2ないし20のヒドロキシアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個又は2個により置換された前記アリール基、又は1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロアルキル基(この基のペルフルオロアルキル部分は、6個ないし16個の炭素原子からなる)を表す〕で表される化合物、又は、一般式(2)〔式中、Gは水素原子を表し、Gは塩素原子、フッ素原子、−CF基、ESO−基又はESO−基を表し、Eは水素原子又は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Eは上記において定義されたものと同じ意味を表し、そしてEは炭素原子数1ないし7の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で表される化合物である。
本発明に特に好ましく用いられるベンゾトリアゾール化合物としては、一般式(1)で表される構造を有する化合物のうち、R〜Rの少なくとも一つの置換基が芳香環を有する化合物である。
以下、本発明に好ましいベンゾトリアゾール系化合物の具体例を、下記の例示化合物1〜6に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2017169651
上記のベンゾトリアゾール系化合物の例示化合物例のうち最も好ましい化合物は、上記例示化合物1である。
また、本発明にかかる一般式(1)で表される構造を有する化合物は、前記ヘテロ環が、1,3,5−トリアジン環を有する化合物であることが好ましく、好ましい化合物は以下の一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2017169651
式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。ただし、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、前記の置換及び中断は組み合わされてもよい。Rは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基を表し、Rは少なくとも一つはヒドロキシ基であり、ヒドロキシ基でない場合は水素原子を表し、Rは水素原子又は−O−Rを表す。
本発明に係る前記一般式(3)のRで表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(3)のRで表される炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
前記一般式(3)のRで表される炭素原子数6〜18のアリール基又は炭素原子7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,5−ジ第三ブチルフェニル、2,6−ジ−第三ブチルフェニル、2,4−ジ第三ペンチルフェニル、2,5−ジ第三アミルフェニル、2,5−ジ第三オクチルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル等が挙げられ、炭素数7〜18のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル等が挙げられる。
前記一般式(3)において、R及びRで表される炭素原子数3〜8のアルケニル基としては、例えば、直鎖及び分岐のプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルが不飽和結合の位置によらず挙げられる。
前記一般式(3)において、Rで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、オクチル、第三オクチル等が挙げられ、中でもメチル基が、紫外線吸収能力に優れるため好ましい。
前記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物の具体例として、下記の例示化合物7〜17を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2017169651
Figure 2017169651
本発明において、一般式(1)で表される構造を有する化合物は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
一般式(1)で表される構造を有する化合物の分子量は、当該化合物と溶媒又はポリイミド樹脂との相溶性の観点から、100〜3000の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100〜800の範囲内である。100〜800の範囲内であれば、化合物自体の析出やブリードアウトの発生を抑制でき、ドープ内で化合物を均一に分散させることができる。
前述した一般式(1)で表される構造を有する化合物の添加方法は、後述するメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやジクロロメタン、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。また、有機溶剤は、1種類の有機溶剤を単独で用いてもよく、2種類以上の有機溶剤を任意の割合で混合して用いてもよい。
一般式(1)で表される構造を有する化合物の使用量は、本発明の効果を奏する範囲で特に制限ないが、ブリードアウトや析出の防止の観点から、ポリイミド樹脂に対して2〜20質量%の範囲内が好ましく、3〜10質量%の範囲がさらに好ましい。
<その他の添加剤>
<無機フィラー>
本発明に係るポリイミドフィルムには、無機フィラーを混合することができる。
無機フィラーとしては、下記の無機化合物の微粒子を用いることが好ましい。無機化合物の微粒子の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの範囲内の2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの範囲内の粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
フィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
共流延法による多層構成のフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが、好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル、株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが、フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
(紫外線吸収剤)
本発明のポリイミドフィルムは、紫外線吸収剤を含有することが耐光性を向上する観点から好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐光性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が、0.1〜30%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜20%の範囲、更に好ましくは2〜10%の範囲である。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン(株)製の市販品であり好ましく使用できる。この中ではハロゲンフリーのものが好ましい。
このほか、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明のポリイミドフィルムは、紫外線吸収剤を2種以上含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤は、ハロゲン基を有していないことが好ましい。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやジクロロメタン、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒又はこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒とポリイミドフィルム中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、ポリイミドフィルムの乾燥膜厚が15〜100μmの場合は、ポリイミドフィルムに対して0.5〜10質量%の範囲が好ましく、0.6〜4質量%の範囲が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に電子デバイスなどが置かれた場合には、ポリイミドフィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、ポリイミドフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりポリイミドフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、本発明のポリイミドフィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、ポリイミドフィルムに対して質量割合で1ppm〜1.0%の範囲が好ましく、10〜1000ppmの範囲が更に好ましい。
(位相差制御剤)
液晶表示装置等の画像表示装置の表示品質の向上のため、ポリイミドフィルム中に位相差制御剤を添加するか、配向膜を形成して液晶層を設け、偏光板保護フィルムと液晶層由来の位相差を複合化することにより、ポリイミドフィルムに光学補償能を付与することができる。
位相差制御剤としては、欧州特許911656A2号明細書に記載されているような、2以上の芳香族環を有する芳香族化合物、特開2006−2025号公報に記載の棒状化合物等が挙げられる。また、2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。この芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む芳香族性ヘテロ環であることが好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に不飽和ヘテロ環である。なかでも、特開2006−2026号公報に記載の1,3,5−トリアジン環が好ましい。
なお、一般式(A1)で表される構造を有する化合物は、位相差制御剤としても機能する。このため、一般式(A1)で表される構造を有する化合物は、一つの化合物で位相差制御と温湿度環境変動に対する光学値変動抑制の両方の機能を付与することができる。
これらの位相差制御剤の添加量は、ポリイミドフィルム100質量%に対して、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(剥離促進剤)
ポリイミドフィルムの剥離抵抗を小さくする添加剤としては界面活性剤に効果の顕著なものが多く、好ましい剥離剤としてはリン酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸又はカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸又はスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離剤を例示する。
RZ−1 C17O−P(=O)−(OH)
RZ−2 C1225O−P(=O)−(OK)
RZ−3 C1225OCHCHO−P(=O)−(OK)
RZ−4 C1531(OCHCHO−P(=O)−(OK)
RZ−5 {C1225O(CHCHO)−P(=O)−OH
RZ−6 {C1835(OCHCHO}−P(=O)−ONH
RZ−7 (t−C−C−OCHCHO−P(=O)−(OK)RZ−8 (iso−C19−C−O−(CHCHO)−P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C1225SONa
RZ−10 C1225OSONa
RZ−11 C1733COOH
RZ−12 C1733COOH・N(CHCHOH)
RZ−13 iso−C17−C−O−(CHCHO)−(CHSONa
RZ−14 (iso−C19−C−O−(CHCHO)−(CHSONa
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−17 C1733CON(CH)CHCHSONa
RZ−18 C1225−CSO・NH
剥離促進剤の添加量は環状ポリイミドに対して0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。
<ポリイミドを含有するフィルムの製造方法>
上記ポリイミドフィルムの製造方法の具体例について以下説明する。
ポリイミドフィルムの製造方法としては、上述のポリアミド酸又はポリイミドを、溶媒に溶解してドープを調製する工程(ドープ調製工程)、前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程(流延工程)、支持体上で流延膜から溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、流延膜を支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(第1乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(第2乾燥工程)、得られたポリイミドフィルムを巻き取る工程(巻取り工程)、更に必要であればフィルムを加熱処理してイミド化させる工程(加熱工程)等を有することが好ましい。
以下、各工程について具体的に説明する。
(ドープ調製工程)
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、少なくともポリイミドと水素結合性化合物を低沸点溶媒に溶解してドープを調製し、当該ドープを用いて溶液流延製膜方法によって製膜することが好ましい。
低沸点溶媒は、沸点80℃以下の低沸点溶媒を主溶媒として用いることが、フィルムの製造プロセス温度(特に乾燥温度)を低減でき好ましい。ここで「主溶媒として用いる」とは、混合溶媒であれば、溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることをいい、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上用いることである。もちろん単独使用であれば100質量%となる。
低沸点溶媒は、ポリイミド、水素結合性化合物及びその他の添加剤を同時に溶解するものであればよく、例えば、塩素系溶媒としては、ジクロロメタン、非塩素系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
中でも沸点80℃以下の低沸点溶媒としては、上記溶媒の中で、ジクロロメタン(40℃)、酢酸エチル(77℃)、メチルエチルケトン(79℃)、テトラヒドロフラン(66℃)、アセトン(56.5℃)、及び1,3−ジオキソラン(75℃)の中から選択される少なくとも1種を主溶媒として含有することが好ましい(括弧内はそれぞれ沸点を表す。)。
また、混合溶媒の場合に含有される溶媒としては、本発明に係るポリイミド及びカルボニル基を有する有機化合物を溶解し得るものであれば、本発明の効果を阻害しない範囲で用いることができ、上記したもの以外の溶媒として、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、フェノール、p−クロルフェノール、2−クロル−4−ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、シクロペンタノン、イプシロンカプロラクタム、クロロホルム等が使用可能であり、2種以上を併用してもよい。また、これらの溶媒と併せて、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の貧溶媒を、本発明に係るポリイミド及びカルボニル基を有する有機化合物が析出しない程度に使用してもよい。
また、アルコール系溶媒を用いることもできる。当該アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。中でもメタノール又はエタノールを用いることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になる。
ポリイミド、カルボニル基を有する有機化合物、その他の添加剤の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の高圧で行う方法等、種々の溶解方法を用いることができる。
調製したドープは、送液ポンプ等により濾過器に導いて濾過する。例えば、ドープの主たる溶媒がジクロロメタンの場合、当該ジクロロメタンの1気圧における沸点+5℃以上の温度で当該ドープを濾過することにより、ドープ中のゲル状異物を取り除くことができる。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲内であることが更に好ましい。
また、多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%の範囲内程度含まれることがある。返材とは、何らかの理由で原料として再利用される部分のことをいい、例えばポリイミドフィルムを細かく粉砕した物で、ポリイミドフィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えたポリイミドフィルム原反等が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめポリイミド及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(流延膜形成工程)
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通してダイスに送液し、無限に移送する無端の支持体、例えば、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、ダイスからドープを流延する。
流延(キャスト)における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をめっき仕上げしたドラム、又はステンレスベルト若しくはステンレス鋼ベルト等の金属支持体が好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、更に好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。なお、支持体は、金属製でなくともよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン6,6フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン等のベルト等を用いることができる。フレキシブル基板としてポリイミドフィルムを用いる場合、ポリイミドを流延した金属支持体や上記フィルムごとポリイミドフィルムを巻き取ってもよい。
金属支持体の走行速度は特に制限されないが、通常は5m/分以上であり、好ましくは10〜180m/分、特に好ましくは80〜150m/分の範囲内である。金属支持体の走行速度は、高速であるほど、同伴ガスが発生しやすくなり、外乱による膜厚ムラの発生が顕著になる。
金属支持体の走行速度は、金属支持体外表面の移動速度である。
金属支持体の表面温度は、温度が高い方が流延膜の乾燥速度を速くできるため好ましいが、余り高すぎると流延膜が発泡したり、平面性が劣化したりする場合があるため使用する溶媒の沸点に対して−50〜−10℃の温度の範囲内で行うことが好ましい。
ダイスは、幅方向に対する垂直断面において、吐出口に向かうに従い次第に細くなる形状を有している。ダイスは通常、具体的には、下部の走行方向で下流側と上流側とにテーパー面を有し、当該テーパー面の間に吐出口がスリット形状で形成されている。ダイスは金属からなるものが好ましく使用され、具体例として、例えば、ステンレス、チタン等が挙げられる。本発明において、厚さが異なるフィルムを製造するとき、スリット間隙の異なるダイスに変更する必要はない。
ダイスは、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイを用いることが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスの吐出量は略一定の値に維持されるので、加圧ダイを用いる場合、押し出し圧力、せん断速度等の条件もまた略一定の値に維持される。また、製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(溶媒蒸発工程)
溶媒蒸発工程は、金属支持体上で行われ、流延膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。
溶媒を蒸発させるには、例えば、乾燥機により流延膜側及び金属支持体裏側から加熱風を吹き付ける方法、金属支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。金属支持体の表面温度は全体が同じであってもよいし、位置によって異なっていてもよい。加熱風の温度は10〜220℃の範囲内が好ましい。
加熱風の温度(乾燥温度)は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。
溶媒蒸発工程においては、流延膜の剥離性及び剥離後の搬送性の観点から、残留溶媒量が10〜150質量%の範囲内になるまで、流延膜を乾燥することが好ましい。
本発明において、残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは流延膜(フィルム)の所定の時点での質量、NはMのものを200℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に、溶媒蒸発工程において達成された残留溶媒量を算出するときのMは剥離工程直前の流延膜の質量である。
(剥離工程)
金属支持体上で溶媒が蒸発した流延膜を、剥離位置で剥離する。
金属支持体と流延膜とを剥離する際の剥離張力は、通常、60〜400N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜60℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜40℃の範囲内とするのが最も好ましい。
剥離された流延膜(剥離された後の流延膜はフィルムともいう。)は、延伸工程に直接送られてもよいし、所望の残留溶媒量を達成するように第1乾燥工程に送られた後に延伸工程に送られてもよい。本発明においては、延伸工程での安定搬送の観点から、剥離工程後、フィルムは、第1乾燥工程及び延伸工程に順次送られることが好ましい。
(第1乾燥工程)
第1乾燥工程は、フィルムを加熱し、溶媒を更に蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は、残留溶媒量及び搬送における伸縮率等を考慮して、30〜200℃の範囲が好ましい。
乾燥温度は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。
(延伸工程)
金属支持体から剥離されたフィルムを延伸することで、フィルムの膜厚や平坦性、配向性等を制御することができる。
本発明のフィルムの製造方法においては、長手方向又は幅手方向に延伸することが好ましい。また、長手方向及び幅手方向に二軸延伸してもよい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。ここで延伸倍率は、(フィルムの延伸後の幅手又は長手の長さ)/(フィルムの延伸前の幅手又は長手の長さ)である。
延伸開始時の残留溶媒量は0.1〜200質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、0.1質量%未満であれば、延伸による平面性向上の効果が得られず、200%を超えると、フィルム強度が低いため、延伸し難い。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に延伸してもよい。フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、(Tg−200℃)〜(Tg+100℃)の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れたポリイミドフィルムが得られる。延伸温度は、(Tg−150℃)〜(Tg+50℃)の範囲で行うことがより好ましい。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するフィルムを、延伸ローラーで走行速度を規制することにより長手方向に延伸することができる。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全処理又は一部の処理を幅方向にクリップ又はピンでフィルムの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる。)、中でも、クリップを用いるテンター方式が好ましく用いられる。
長手方向に延伸されたフィルム又は未延伸のフィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態にてテンターへ導入され、テンタークリップとともに走行しながら、幅方向へ延伸されることが好ましい。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に50〜1000%/minの範囲内の延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は50%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、1000%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
より好ましい延伸速度は、100〜500%/minの範囲内である。延伸速度は下記式によって定義される。
延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(上記式において、dは延伸後の樹脂フィルムの延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の樹脂フィルムの延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えばよい。
(第2乾燥工程)
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
第2乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
(巻取り工程)
巻取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻取り機は、一般的に使用されているものでよく、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
本発明に係るポリイミドフィルムの厚さは、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、25〜100μmの範囲内であることがより好ましい。膜厚が25μm以上であると鉛筆硬度が改良される観点でより好ましい。また100μm以下であれば表示装置の薄型化の効果がある観点からより好ましい。
巻取り工程においては、延伸搬送したときにテンタークリップ等で挟み込んだフィルムの両端をスリット加工してもよい。スリットしたフィルム端部は、1〜30mm幅の範囲内に細かく断裁された後、溶媒に溶解させて返材として再利用することが好ましい。
成形されたフィルムのうち返材として再利用される部分の比は、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲内である。
製膜工程の途中又は最終的に発生する返材の量により投入量は若干変わるが、通常、ドープ中の全固形分に対する返材の混合率は10〜50質量%程度であり、好ましくは、15〜40質量%程度の範囲内である。返材の混合率は、できるだけ一定量とすることが生産安定上好ましい。
上述した溶媒蒸発工程から巻取り工程までの各工程は、空気雰囲気下で行ってもよいし、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、各工程、特に乾燥工程や延伸工程は、雰囲気における溶媒の爆発限界濃度を考慮して行う。
(加熱工程)
上記巻取り工程後に、ポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化を進行させて機械的特性を向上させるべく、上記第2乾燥工程で乾燥したフィルムを更に熱処理する加熱工程を行う。
また、ポリイミド(イミド化率100%)を用いてドープを調製した場合や、上記第2乾燥工程を行うことによりフィルムのイミド化率が100%となった場合であっても、フィルムの残留応力を緩和させる目的で、加熱工程を行う。
なお、上記第2乾燥工程が、加熱工程を兼ねるものであってもよい。
加熱手段は、例えば、熱風、電気ヒーター、マイクロ波等の公知の手段を用いて行われる。電気ヒーターとしては、上記した赤外線ヒーターを用いることができる。
加熱工程において、フィルムを急激に加熱すると表面欠点が増加する等の不具合が生じるため、加熱方法は適宜選択することが好ましい。また、加熱工程は、低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
第二乾燥工程及び加熱工程における加熱温度は450℃を超えると、加熱に必要なエネルギーが非常に大きくなることから製造コストが高くなり、更に、環境負荷が増大するため、当該加熱温度は450℃以下にすることが好適である。
なお、巻取り工程後であって、加熱工程の前又は後に、ポリイミドフィルムの幅方向端部をスリットする工程や、ポリイミドフィルムが帯電していた場合にはこれを除電する工程等を更に行うものとしてもよい。
<ポリイミドフィルムの形状>
本発明のフィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の範囲内の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明のポリイミドフィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
<硬化樹脂層>
本発明では、表示装置表面保護部材の表面の強度を増加させるために、ポリイミドフィルムの表面に硬化樹脂層を設け、表面加工されていることが好ましい。
本発明では、高硬度を発揮する点から、硬化樹脂層の膜厚(ドライ膜厚)は3〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜15μm以下の範囲であることがより好ましい。
図1に本発明の表示装置表面部材の構成例の模式図を示す。ポリイミドフィルム(10)に隣接して、硬化樹脂層(20)が備えられ、表示装置表面部材(101)を構成する。
LCD等の表示装置の表面における使用や偏光板化工程において傷が付きにくいことから望まれおり、本発明でいう高硬度とは、硬度の指標である鉛筆硬度が3H以上であり、より好ましくは4H以上である。
鉛筆硬度は、作製した硬化樹脂層を温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
また、硬化樹脂層のマルテンス硬さ(HMs)が、400N/mm以上、800N/mm以下であることが好ましい。
マルテンス硬さ(ビッカース硬さ)とは、ビッカース圧子及び稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、フィルムの硬化樹脂表面を、硬化樹脂層の膜厚の略1/10の厚さまで圧子を押し込んだ時の負荷試験力−押し込み深さ曲線において、該負荷試験力−押し込み深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義される値をいう。
1HMs=1/(26.4m
本発明に係る硬化樹脂層は、公知のものがそのまま使用することができる。硬化樹脂層を形成する樹脂バインダーについて説明する。樹脂バインダーとしては、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。
活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、特に、紫外線硬化樹脂が機械的膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。
ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する化合物である。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。エネルギー活性線硬化性樹脂の添加量は、硬化樹脂層形成組成物中(以下、硬化樹脂層塗布液とも言う。)では、固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが好ましい。
また、硬化樹脂層にはエネルギー活性線硬化性樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤;エネルギー活性線硬化性樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
硬化樹脂層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを用いることもできる。また、硬化樹脂層には滑り性や屈折率を調整するために無機化合物又は有機化合物の粒子を含んでもよい。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5.00μmが好ましく0.1〜5.0μm、さらに、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。硬化性樹脂組成物と微粒子の割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30.0質量部となるように配合することが望ましい。
硬化樹脂層は、透明な樹脂であることが、表示装置表面部材の透明性がよい観点から好ましい。硬化樹脂層は、前記全光線透過率が80%以上であることが好ましい。85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。全光線透過率を80%以上とすることにより、表示装置表面部材として、種々な電子デバイスに適用の幅が広がるという利点がある。
<用途>
本発明の表示装置表面部材が適用される電子デバイスは、特に限定されないが、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、液晶表示デバイス(LCD)、有機光電変換デバイス、タッチパネル等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス及びフレキシブルディスプレイ用前面部材に好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
実施例に用いた化合物の構造を以下に列挙する。
Figure 2017169651
なお、上記の化合物の市販品の入手先は以下のとおりである。
酸無水物1:ダイキン工業株式会社
酸無水物2:マナック株式会社
酸無水物5:三菱化学株式会社
ジアミン1:ダイキン工業株式会社
<ポリイミドフィルム101の作製>
(ポリイミド溶液Aの調製)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、トルエンを満たしたDean−Stark凝集器、撹拌機を備えた4口フラスコに、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(酸無水物1:ダイキン工業株式会社製)25.59g(57.6mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(134g)に加え、窒素気流下、室温で撹拌した。
それに4,4′−ジアミノ−2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(ジアミン1:ダイキン工業株式会社製)19.2g(60mmol)を加え、80℃で6時間加熱撹拌した。その後、外温を190℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンとともに共沸留去した。6時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。引き続きトルエンを留去しながら7時間加熱し、さらにトルエン留去後にメタノールを投入して再沈殿し、固形分を乾燥後に8質量%のジクロロメタン溶液にしてポリイミド樹脂Aを含有するポリイミド溶液Aを調製した。
(ドープの調製)
下記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにジクロロメタン(沸点40℃)を添加した。溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミド溶液A及び残りの成分を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
(主ドープの組成)
ジクロロメタン 350質量部
ポリイミド溶液A 100質量部
一般式(1)で表される化合物、例示化合物1 1.0質量部
マット剤(アエロジル R812、日本アエロジル(株)製)
0.5質量部
(流延工程)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
(剥離工程)
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)した流延膜中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
(延伸工程)
剥離した流延膜を、120℃の熱をかけながらクリップ式テンターを用いて幅方向に、1.50倍延伸しフィルムを得た。延伸開始時の残留溶媒量は20質量%であった。
(乾燥工程)
延伸したフィルムを、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となるまで乾燥温度120℃で乾燥させ、乾燥膜厚20μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取って、フィルム101を得た。
<ポリイミドフィルム102〜117の作製>
上記ポリイミドフィルム101の作製における、使用した酸無水物及びジアミンの種類、一般式(1)で表される化合物の種類を表1で表されるように変更した以外はポリイミドフィルム101と同様にして、ポリイミドフィルム102〜117を作製した。なお、ポリイミドフィルム102〜117の作製において、酸無水物とジアミンは、それぞれポリイミドフィルム1と同モル量を用いた。
また、表1中、TINUVIN400及びTINUVIN405は、いずれもBASFジャパン社製の市販品である。
<表示装置表面部材101〜116及び120の作製>
前記ポリイミドフィルム101〜116及び117に、下記硬化樹脂層塗布組成物1を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して硬化樹脂層塗布液を調製し、ダイコータにより塗布し、70℃で乾燥後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が300mW/cm、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させた。さらに加熱処理ゾーンにおいて、130℃で5分間、搬送張力300N/mで加熱処理し、ドライ膜厚7μmの硬化樹脂層が設けられた表示装置表面部材101〜116及び120を作製した。
<硬化樹脂層組成物1の調製>
下記材料を撹拌、混合し硬化樹脂層塗布組成物1とした。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20.0質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50.0質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30.0質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 30.0質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5.0質量部
フッ素−シロキサングラフトポリマーI(35質量%) 5.0質量部
シーホスターKEP−50(粉体のシリカ粒子、平均粒径0.47〜0.
61μm、日本触媒株式会社製) 24.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0質量部
酢酸メチル 40.0質量部
メチルエチルケトン 60.0質量部
≪フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製≫
以下、フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調整に用いた素材の市販品名を示す。 ラジカル重合性フッ素樹脂(A):セフラルコートCF−803(水酸基価60、数平均分子量15000;セントラル硝子(株)製)
片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B):サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5000;チッソ(株)製)
ラジカル重合開始剤:パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)
硬化剤:スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;住化バイエルウレタン(株)製)
<ラジカル重合性フッ素樹脂(A)の合成>
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554質量部)、キシレン(233質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介して50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂(A)を得た。
(フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製)
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、上記合成したラジカル重合性フッ素樹脂(A)(26.1質量部)、キシレン(19.5質量部)、酢酸n−ブチル(16.3質量部)、メチルメタクリレート(2.4質量部)、n−ブチルメタクリレート(1.8質量部)、ラウリルメタクリレート(1.8質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8質量部)、FM−0721(5.2質量部)、及びパーブチルO(0.1質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1部)を追加し、さらに90℃で5時間保持することによって、重量平均分子量が171000である35質量%フッ素−シロキサングラフトポリマーIの溶液を得た。
重量平均分子量はGPCにより求めた。また、フッ素−シロキサングラフトポリマーIの質量%はHPLC(液体クロマトグラフィー)により求めた。
次に、硬化樹脂層として、表2に示す組合せで硬化樹脂層の種類を変化させた以外は、表示装置表面部材105と同様にして表示装置表面部材117〜119を作製した。
なお、硬化樹脂層を変化させる場合は、下記の硬化樹脂層を用い、硬化後の膜厚が表示装置表面部材105と同一となるように作製した。
(硬化樹脂層2)
多官能ウレタンアクリレート(DIC株式会社製、ユニディック 17−813(80質量%))31質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックス M402)19質量部、イソシアヌル酸トリアクリレート(MIWON社製、Miramer M370)19質量部を用い、光重合開始剤として、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製イルガキュア184)4質量部、有機溶媒として酢酸エチル27質量部を混合して硬化樹脂とした。
(硬化樹脂層3)
硬化樹脂用紫外線硬化性樹脂組成物(エポキシアクリレート含有、(株)ADEKA製、HC−504、固形分濃度40質量%)を硬化樹脂とした。
(硬化樹脂層4)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以下、「EMS」と称する)161.5ミリモル(39.79g)、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PMS」と称する)9ミリモル(1.69g)、及びアセトン165.9gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液4.70g(炭酸カリウムとして1.7ミリモル)を5分で滴下した後、水1700ミリモル(30.60g)を20分かけて滴下した。なお、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で4時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、40℃の条件で上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。
得られたエポキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサン(S−1)100質量部、メチルイソブチルケトン(関東化学(株)製)20質量部、及び硬化触媒1([ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート])1質量部の混合溶液を作製し、これを硬化樹脂液とした。
<ポリイミドフィルムの物性値の測定>
上記のようにして得られたポリイミドフィルム101〜117の全光線透過率、YI値、溶解度を測定した。
(全光線透過率)
各ポリイミドフィルムの全光線透過率は、23℃・55%RHの空調室で24時間調湿した試料1枚をJIS K 7375に従って、(株)日立ハイテクノロジーズの分光光度計U−3300を用いて可視光領域(400〜700nmの範囲)の透過率を測定し、10点測定の平均値を求め、以下の評価基準で評価した。
◎:88%以上
○:80%以上、88%未満
×:80%未満
(イエローインデックス値(YI値))
各ポリイミドフィルム試料1枚について、JIS K 7373−2006に従って、(株)日立ハイテクノロジーズの分光光度計U−3300と附属の彩度計算プログラム等を用いて測定した。10点測定の平均値を求め、以下の評価基準で評価した。
◎:0.3以上、2.0未満
○:2.0以上、4.0未満
×:4.0以上
(溶解度)
各ポリイミドフィルムを、25℃においてジクロロメタン100gに対して溶解させ溶解できる上限を測定した。以下の評価基準で評価した。
○:溶解度1g以上
×:溶解度1g未満
<表示装置表面部材の評価>
前記の表示装置表面部材101〜120の、硬化樹脂層密着性、耐光YI値、鉛筆硬度を評価した。
(硬化樹脂層密着性)
各表示装置表面部材の表面にJIS K 5400に従ってカッターで傷を入れて1mm角の碁盤目を100個作り、セロハン接着テープ(積水化学製、#252、25mm幅、SP粘着力:7.35mN/25mm幅)を付着させた。このテープの一端を試料の表面に直角に保ち、瞬間的に剥離して残った基盤目の数を観察した。剥離後に残存した碁盤目の数の、剥離前の碁盤目の数(100)に対する割合をもって硬化樹脂密着性の目安とした。なお、硬化樹脂層密着性を表記する時は、[残存した碁盤目の数]/[剥離前の碁盤目の数(100)]の分数表記とした。
(鉛筆硬度)
各表示装置表面部材の表面硬度を、JIS K 5400に準拠した鉛筆高度評価法にて測定した。具体的には、各表示装置表面部材を23℃、55%・RH下で24時間調湿した。その後、硬化樹脂層の表面を1kgの重りを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻く操作を5回繰り返し、傷が1本以下となる硬度の最大値を求めた。最大値の値が大きいほど、硬度が高いことを示す。
(耐光YI値)
各表示装置表面部材に対し、63℃、40%RHの環境下、メタルハライドランプで、100mW/cmの光量を15分間照射した。照射後の各試料のYI値を、前記YI値の測定方法で測定し評価した。
各ポリイミドフィルムの組成と、ポリイミドフィルム101〜117の全光線透過率、YI値、溶解度の測定結果を表1に示す。
また、表示装置表面部材101〜120の、硬化樹脂層密着性、耐光YI値、鉛筆硬度の評価結果を表2に示す。
Figure 2017169651
Figure 2017169651
表1に示されるように。本発明に係るポリイミドフィルムは、全光線透過率及びYI値に優れる透明無着色なフィルムであることがわかる。
表2に示されるように、本発明の表示装置表面部材は、硬化樹脂層密着性がよく、鉛筆硬度が高く、耐光YI値が低いことがわかる。
本発明の表示装置表面部材は、硬化樹脂層との密着性が改良されたポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材であるため、有機エレクトロルミネッセンスデバイスやフレキシブルディスプレイ用の表面部材として好適である。
10 ポリイミドフィルム
20 硬化樹脂層
101 表示装置表面部材

Claims (5)

  1. ポリイミドフィルムを有する表示装置表面部材であって、
    前記ポリイミドフィルムの全光線透過率が80%以上、及びイエローインデックス値(YI値)が4.0以下であり、
    前記ポリイミドフィルムが、25℃においてジクロロメタン100gに対し1g以上溶解し、かつ、
    前記ポリイミドフィルムが、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする表示装置表面部材。
    Figure 2017169651
    (式中、Xは、ヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは、窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rは、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。)
  2. 前記ポリイミドフィルムの表面のいずれか一面に、硬化樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置表面部材。
  3. 前記一般式(1)で表される構造の芳香族ヘテロ環が、トリアゾール環又はトリアジン環であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置表面部材。
  4. 前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、フッ化ポリイミドであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の表示装置表面部材。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の表示装置表面部材を製造する表示装置表面部材の製造方法であって、
    前記ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドが、ジアミンとして2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(2,2′−TFDB)を用い、酸二無水物として2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて重合して合成されたポリイミドであり、かつ、
    前記合成されたポリイミドを用いて、ポリイミドフィルムを製造することを特徴とする表示装置表面部材の製造方法。
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