JPWO2017168904A1 - Ni−Fe−Cr合金 - Google Patents
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Abstract
優れた耐粒界腐食性を有するNi−Fe−Cr合金を提供する。本実施形態によるNi−Fe−Cr合金は、質量%で、C:0.005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Cu:1.0〜5.0%、Ni:30.0〜45.0%、Cr:18.0〜30.0%、Mo:2.0〜4.5%、Ti:0.5〜2.0%、N:0.001〜0.015%、及び、Al:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する。平均結晶粒径d(μm)は、式(1)を満たす。d<4.386/(Crel+0.15) (1)ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
Description
本発明は、Ni−Fe−Cr合金に関する。
石油精製及び石油化学用プラントの加熱炉管等の設備は、高温環境で稼働する。これらの設備はさらに、硫化物及び/又は塩化物を含むプロセス流体と接触する。そのため、これらの設備に使用される材料には、優れた耐食性が求められる。これらの設備にはたとえば、Alloy825(商標)に代表される、優れた耐食性を有するNi基合金やNi−Fe−Cr合金が使用される。
上述のような設備に用いられるNi基合金は、特開昭61−227148号公報(特許文献1)及び特開平6−240407号公報(特許文献2)に提案されている。
特許文献1に開示された高ニッケル合金は、重量%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.5%以下、S:0.015%以下、Ni:30.0〜30.5%、Cr:19.0〜25.0%、Cu:1.0%以下、Al:0.1〜1.0%、Ti:0.05〜1.0%、Nb:0.05〜1.0%、残部は鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、(3Ti+Nb)/S≧150及び(Ti+Nb)/C≧15となる条件を満足する。これにより、この高ニッケル合金は優れた耐粒界腐食性が得られる、と記載されている。
特許文献2に開示された高強度クラッド鋼は、質量%で、母材組成が、C:0.03〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:1〜1.8%、Nb:0.06%以下、Mo:0.25%以下、V:0.06%以下、Al:0.01〜0.06%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる。この高強度クラッド鋼は、合せ材組成が、C:0.05%以下、Si:0.5%以下、Mn:1%以下、Cr:19.5〜23.5%、Mo:2.5〜3.5%、Al:0.2%以下、Ti:0.6〜1.2%、Cu:1.5〜3%、Ni:38〜46%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるNi基合金である。この高強度クラッド鋼を900〜1030℃に加熱後焼入し、500〜630℃の焼戻しを行うことで、優れた耐食性が得られる、と記載されている。
ところで、Ni基合金やNi−Fe−Cr合金では、溶接施工を行った場合に、溶接熱影響部が鋭敏化する場合がある。鋭敏化により粒界腐食が発生しやすくなる。そのため、上述のような高温環境下で使用されるNi基合金やNi−Fe−Cr合金には、鋭敏化抑制による優れた耐粒界腐食性が求められる。
しかしながら、上述の特許文献1及び特許文献2で開示された材料では、鋭敏化の抑制が不十分で、粒界腐食が発生する場合がある。
本発明の目的は、優れた耐粒界腐食性を有するNi−Fe−Cr合金を提供することである。
本実施形態によるNi−Fe−Cr合金は、質量%で、C:0.005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Cu:1.0〜5.0%、Ni:30.0〜45.0%、Cr:18.0〜30.0%、Mo:2.0〜4.5%、Ti:0.5〜2.0%、N:0.001〜0.015%、及び、Al:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する。平均結晶粒径d(μm)は、式(1)を満たす。
d<4.386/(Crel+0.15) (1)
ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
d<4.386/(Crel+0.15) (1)
ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明によるNi−Fe−Cr合金は、優れた耐粒界腐食性を有する。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。以降、元素に関する%は「質量%」を意味する。
本発明者らは、Ni−Fe−Cr合金の鋭敏化及び耐粒界腐食性について調査した。その結果、本発明者らは以下の知見を得た。
(A)鋭敏化は次のメカニズムで発生する。Ni−Fe−Cr合金が溶接施行等による熱影響を受けると、結晶粒界にCr炭化物が析出する。Cr炭化物の析出には結晶粒界周辺のCrが使用される。そのため、Cr炭化物が析出すると、結晶粒界に沿ってCr欠乏領域が発生する。この現象を鋭敏化という。Cr欠乏領域では、不動態皮膜が十分に形成されないため、耐食性が低下し、粒界腐食が発生しやすくなる。Ni−Fe−Cr合金中の固溶C量を低減すれば、鋭敏化を抑制することができ、耐粒界腐食性を高めることができる。
(B)Ni−Fe−Cr合金中のC含有量を低減すれば、Ni−Fe−Cr合金中の固溶C量が低減する。そこで、本実施の形態では、C含有量を0.005〜0.015%とする。
(C)CをTiで固定してTi炭化物にすれば、Ni−Fe−Cr合金中の固溶C量をさらに低減できる。しかしながら、Ni−Fe−Cr合金中にNが存在すると、NのほうがCよりもTiとの親和力が強いため、凝固時にTi炭化物よりも先にTi窒化物が析出する。その結果、Tiが不足して、Cを固定できなくなる。したがって、N含有量は低い方が好ましい。そこで、本実施の形態では、N含有量は0.015%以下とする。
上述のとおり、実際のNi−Fe−Cr合金中の固溶C量は、C、Ti及びNの含有量から相対的に決まる値である。そこで、理論上の固溶C量は次のとおり求められる。
固溶C量=合金中のC量−TiCとしてTiで固定されるC量
固溶C量=合金中のC量−TiCとしてTiで固定されるC量
ここで、Nが存在する場合、TiはTi窒化物として析出するため、Cの固定に使えるTi量は次のとおり求められる。
Cの固定に使えるTi量=Ti−48/14×N
Cの固定に使えるTi量=Ti−48/14×N
したがって、合金中の理論上の固溶C量(Ctotal)は次のとおり求められる。
Ctotal=C−(Ti−48/14×N)×12/48=C−0.250Ti+0.8571N
Ctotal=C−(Ti−48/14×N)×12/48=C−0.250Ti+0.8571N
しかしながら、実際の工業的な製造工程では、速度論を考慮する必要がある。すなわち、平衡状態では、固溶C量は上述の理論上の固溶C量(Ctotal)となる。一方、実際の製造工程では、短時間で反応が進むため、平衡状態に至る前に反応が完了する場合がある。したがって、全てのTiがTiCを形成しない場合があるため、Ctotalの式中のTiの係数を調整する必要がある。
発明者らの検討の結果、Ni−Fe−Cr合金中の実際の固溶C量(Creal)は次のとおりとなる。
Creal=C−0.125Ti+0.8571N+k1
k1は固溶C量の定数である。
Creal=C−0.125Ti+0.8571N+k1
k1は固溶C量の定数である。
実際の固溶C量(Creal)のうち、Cr炭化物析出に利用されるC量(総析出C量(Cpre))は、Cの固溶限をk2(%)としたとき、次のとおりとなる。
Cpre=C−0.125Ti+0.8571N+k1−k2
Cpre=C−0.125Ti+0.8571N+k1−k2
(D)耐粒界腐食性を高めるためにはさらに、結晶粒の微細化が有効である。この理由は次のとおりである。結晶粒が微細化されると、粒界総面積が大きくなる。合金中の総析出C量(Cpre)は変わらないため、粒界総面積が大きいほど、単位粒界面積当たりのCr炭化物析出に寄与するC量(単位析出C量(Cunit))が低減される。これにより、単位粒界面積あたりのCr炭化物の析出及び成長が抑制され、Cr欠乏領域の生成が抑制される。その結果、鋭敏化が抑制される。
平均結晶粒径dと単位析出C量(Cunit)との関係は次のとおり求められる。平均結晶粒径がd(μm)であるとき、結晶粒の粒界面積はk3×d2μm2(k3は定数である)で求められる。単位体積当たりの結晶粒の個数がk4/d3個(k4は定数である)であるとき、粒界総面積は次のとおり求められる。
粒界総面積=(k3×d2)×(k4/d3)=k3k4/d
粒界総面積=(k3×d2)×(k4/d3)=k3k4/d
この粒界総面積と総析出C量(Cpre)とを用いて、単位析出C量(Cunit)が次のとおり求められる。
Cunit=Cpre/(k3k4/d)=d×(Cpre/k3k4)
Cunit=Cpre/(k3k4/d)=d×(Cpre/k3k4)
この式より、平均結晶粒径dと単位析出C量(Cunit)とは比例する。つまり、平均結晶粒径dが小さくなるほど、単位析出C量(Cunit)は低減され、その結果、鋭敏化が抑制される。
(E)上述の平均結晶粒径dとCr炭化物析出に寄与するC量とから、耐粒界腐食性の指標について検討した。その結果、耐粒界腐食性を高めるためには、単に平均結晶粒径dが小さければ良いというわけではなく、Cr炭化物析出に寄与するC量との関係において、適切な平均結晶粒径dが存在することを、本発明者らは見出した。
図1は、Cr炭化物析出に寄与するC量(相対固溶C量(Crel))、平均結晶粒径d(μm)、及び耐粒界腐食性の関係を示す図である。図1において、横軸は、総析出C量(Cpre)の式から、定数のk1及びk2を省略したもの(後述の相対固溶C量(Crel))である。図1は後述の実施例により得られた。図1中、優れた耐粒界腐食性を示したものを「○」、耐粒界腐食性が劣ったものを「×」としてプロットした。
図1より、鋭敏化を抑制するためには、総析出C量(Cpre)が高くなるほど、平均結晶粒径dを微細化する必要がある。一方、総析出C量(Cpre)が低くなるほど、平均結晶粒径dを大きくできる。すなわち、総析出C量(Cpre)は平均結晶粒径と反比例の関係にあり、次のとおり表される。
d=k5/(Cpre+k6)
ここで、k5及びk6は定数である。
d=k5/(Cpre+k6)
ここで、k5及びk6は定数である。
図1の耐粒界腐食性の優劣(○及び×)の関係より、図1の破線を境界として、定数のk1、k2、k5及びk6を求めると、F1を得ることができる。
F1=4.386/(Crel+0.15)
ここで、CrelはC、Ti及びNの含有量から相対的に決まる固溶C量(相対固溶C量(Crel))として、次のとおり定義する。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
F1=4.386/(Crel+0.15)
ここで、CrelはC、Ti及びNの含有量から相対的に決まる固溶C量(相対固溶C量(Crel))として、次のとおり定義する。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
図1より、鋭敏化を抑制するためには、相対固溶C量(Crel)が高くなるほど、平均結晶粒径dを微細化する必要がある。一方、相対固溶C量(Crel)が低くなるほど、平均結晶粒径dを大きくできる。
F1は耐粒界腐食性の指標である。平均結晶粒径dがF1未満であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが適切である。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減され、鋭敏化が抑制される。その結果、耐粒界腐食性を高めることができる。一方、平均結晶粒径dがF1以上であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きすぎる。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減されず、鋭敏化が促進される。その結果、耐粒界腐食性が低下する。
図2は、平均結晶粒径d(μm)、F1とdとの差分(F1−d)、及び耐粒界腐食性の関係を示す図である。図2は図1と同様に後述の実施例から得られた。図2中、優れた耐粒界腐食性を示したものを「○」、耐粒界腐食性が劣ったものを「×」としてプロットした。図2を参照して、平均結晶粒径dが式(1)を満たせば、つまり、F1−dが正の値であれば、平均結晶粒径dが大きくても、優れた耐粒界腐食性を有することができる。平均結晶粒径dが式(1)を満たさなければ、つまり、F1−dが負の値であれば、平均結晶粒径dが小さくても、耐粒界腐食性が低下する。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態のNi−Fe−Cr合金は、質量%で、C:0.005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Cu:1.0〜5.0%、Ni:30.0〜45.0%、Cr:18.0〜30.0%、Mo:2.0〜4.5%、Ti:0.5〜2.0%、N:0.001〜0.015%、及び、Al:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成をする。平均結晶粒径d(μm)は、式(1)を満たす。
d<4.386/(Crel+0.15) (1)
ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
d<4.386/(Crel+0.15) (1)
ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成は、Al:0.05〜0.50%を含有してもよい。
[化学組成]
本実施形態のNi−Fe−Cr合金の化学組成は、次の元素を含有する。
本実施形態のNi−Fe−Cr合金の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.005〜0.015%
炭素(C)は、合金の強度を高める。Cはさらに、合金を脱酸する。C含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、粒界へのCr炭化物析出が増加し、耐粒界腐食性が低下する。したがって、C含有量は0.005〜0.015%である。C含有量の好ましい下限は0.008%である。C含有量の好ましい上限は0.013%であり、さらに好ましくは0.010%である。
炭素(C)は、合金の強度を高める。Cはさらに、合金を脱酸する。C含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、粒界へのCr炭化物析出が増加し、耐粒界腐食性が低下する。したがって、C含有量は0.005〜0.015%である。C含有量の好ましい下限は0.008%である。C含有量の好ましい上限は0.013%であり、さらに好ましくは0.010%である。
Si:0.05〜0.50%
シリコン(Si)は、合金を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、介在物が生成しやすくなる。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%である。Si含有量の好ましい下限は0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。Si含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
シリコン(Si)は、合金を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、介在物が生成しやすくなる。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%である。Si含有量の好ましい下限は0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。Si含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
Mn:0.05〜1.5%
マンガン(Mn)は、オーステナイト相を安定化する。Mnはさらに、合金を脱酸する。Mn含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、MnはSと結合して硫化物を形成し、非金属介在物となり、耐孔食性を低下させる。したがって、Mn含有量は0.05〜1.5%である。Mn含有量の好ましい下限は、0.15%であり、さらに好ましくは0.30%である。Mn含有量の好ましい上限は1.2%であり、さらに好ましくは1.0%である。
マンガン(Mn)は、オーステナイト相を安定化する。Mnはさらに、合金を脱酸する。Mn含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、MnはSと結合して硫化物を形成し、非金属介在物となり、耐孔食性を低下させる。したがって、Mn含有量は0.05〜1.5%である。Mn含有量の好ましい下限は、0.15%であり、さらに好ましくは0.30%である。Mn含有量の好ましい上限は1.2%であり、さらに好ましくは1.0%である。
P:0.030%以下
燐(P)は不純物である。Pは溶接凝固時に粒界に偏析し、熱影響部の脆化による割れ感受性を高める。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量の好ましい上限は0.025%であり、さらに好ましくは0.020%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
燐(P)は不純物である。Pは溶接凝固時に粒界に偏析し、熱影響部の脆化による割れ感受性を高める。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量の好ましい上限は0.025%であり、さらに好ましくは0.020%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
S:0.020%以下
硫黄(S)は不純物である。SはPと同様、溶接凝固時に粒界に偏析し、熱影響部の脆化による割れ感受性を高める。Sはさらに、MnSを形成し、耐孔食性を低下させる。したがって、Sの含有量は0.020%以下である。S含有量の好ましい上限は0.010%であり、さらに好ましくは0.005%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
硫黄(S)は不純物である。SはPと同様、溶接凝固時に粒界に偏析し、熱影響部の脆化による割れ感受性を高める。Sはさらに、MnSを形成し、耐孔食性を低下させる。したがって、Sの含有量は0.020%以下である。S含有量の好ましい上限は0.010%であり、さらに好ましくは0.005%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
Cu:1.0〜5.0%
銅(Cu)は、合金の耐食性を高める。Cu含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Cu含有量が高すぎれば、合金の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は1.0〜5.0%である。Cu含有量の好ましい下限は、1.2%であり、さらに好ましくは1.5%である。Cu含有量の好ましい上限は4.0%であり、さらに好ましくは3.0%である。
銅(Cu)は、合金の耐食性を高める。Cu含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Cu含有量が高すぎれば、合金の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は1.0〜5.0%である。Cu含有量の好ましい下限は、1.2%であり、さらに好ましくは1.5%である。Cu含有量の好ましい上限は4.0%であり、さらに好ましくは3.0%である。
Ni:30.0〜45.0%
ニッケル(Ni)は、合金の耐孔食性を高める。Ni含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ni含有量が高すぎれば、その効果は飽和する。したがって、Ni含有量は30.0〜45.0%である。Ni含有量の好ましい下限は、35.0%であり、さらに好ましくは38.0%である。Ni含有量の好ましい上限は44.5%であり、さらに好ましくは44.0%である。
ニッケル(Ni)は、合金の耐孔食性を高める。Ni含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ni含有量が高すぎれば、その効果は飽和する。したがって、Ni含有量は30.0〜45.0%である。Ni含有量の好ましい下限は、35.0%であり、さらに好ましくは38.0%である。Ni含有量の好ましい上限は44.5%であり、さらに好ましくは44.0%である。
Cr:18.0〜30.0%
クロム(Cr)は、合金の耐食性を高める。Cr含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、高温でのオーステナイトの安定性が低下し、合金の高温強度が低下する。したがって、Cr含有量は18.0〜30.0%である。Cr含有量の好ましい下限は、19.0%であり、さらに好ましくは20.0%である。Cr含有量の好ましい上限は26.0%であり、さらに好ましくは24.0%である。
クロム(Cr)は、合金の耐食性を高める。Cr含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、高温でのオーステナイトの安定性が低下し、合金の高温強度が低下する。したがって、Cr含有量は18.0〜30.0%である。Cr含有量の好ましい下限は、19.0%であり、さらに好ましくは20.0%である。Cr含有量の好ましい上限は26.0%であり、さらに好ましくは24.0%である。
Mo:2.0〜4.5%
モリブデン(Mo)は、合金の耐食性を高める。Mo含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Mo含有量が高すぎれば、Cr含有量の多い合金において、粒界にLaves相を析出して、合金の耐食性が低下する。したがって、Mo含有量は2.0〜4.5%である。Mo含有量の好ましい下限は、2.4%であり、さらに好ましくは2.8%である。Mo含有量の好ましい上限は4.0%であり、さらに好ましくは3.5%である。
モリブデン(Mo)は、合金の耐食性を高める。Mo含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Mo含有量が高すぎれば、Cr含有量の多い合金において、粒界にLaves相を析出して、合金の耐食性が低下する。したがって、Mo含有量は2.0〜4.5%である。Mo含有量の好ましい下限は、2.4%であり、さらに好ましくは2.8%である。Mo含有量の好ましい上限は4.0%であり、さらに好ましくは3.5%である。
Ti:0.5〜2.0%
チタン(Ti)は、Ti炭化物を形成して合金の鋭敏化を抑制する。Ti含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、合金の熱間加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.5〜2.0%である。Ti含有量の好ましい下限は、0.55%であり、さらに好ましくは0.60%である。Ti含有量の好ましい上限は1.5%であり、さらに好ましくは1.3%である。
チタン(Ti)は、Ti炭化物を形成して合金の鋭敏化を抑制する。Ti含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、合金の熱間加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.5〜2.0%である。Ti含有量の好ましい下限は、0.55%であり、さらに好ましくは0.60%である。Ti含有量の好ましい上限は1.5%であり、さらに好ましくは1.3%である。
N:0.001〜0.015%
窒素(N)は、粒内に微細な炭窒化物を形成し、強度を高めるので含有されてもよい。一方、N含有量が高すぎれば、Tiと結合してTiNを形成し、Ti炭化物としてのCの固定を阻害し、鋭敏化抑制を低下させる。したがって、N含有量は0.001〜0.015%である。N含有量の好ましい下限は、0.002%であり、さらに好ましくは0.005%である。N含有量の好ましい上限は0.013%であり、さらに好ましくは0.010%である。
窒素(N)は、粒内に微細な炭窒化物を形成し、強度を高めるので含有されてもよい。一方、N含有量が高すぎれば、Tiと結合してTiNを形成し、Ti炭化物としてのCの固定を阻害し、鋭敏化抑制を低下させる。したがって、N含有量は0.001〜0.015%である。N含有量の好ましい下限は、0.002%であり、さらに好ましくは0.005%である。N含有量の好ましい上限は0.013%であり、さらに好ましくは0.010%である。
本実施の形態によるNi−Fe−Cr合金の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、Ni−Fe−Cr合金を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本実施形態のNi−Fe−Cr合金に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
[任意元素について]
上述のNi−Fe−Cr合金はさらに、Feの一部に代えて、Alを含有してもよい。
上述のNi−Fe−Cr合金はさらに、Feの一部に代えて、Alを含有してもよい。
Al:0〜0.50%
アルミニウム(Al)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Alは、合金を脱酸する。しかしながら、Al含有量が高すぎれば、合金の清浄度が低下し、合金の加工性及び延性が低下する。したがって、Al含有量は、0〜0.50%である。Al含有量の好ましい下限は0.05%である。Al含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.20%である。本明細書において、Al含有量はsol.Al(酸可溶Al)を意味する。
アルミニウム(Al)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Alは、合金を脱酸する。しかしながら、Al含有量が高すぎれば、合金の清浄度が低下し、合金の加工性及び延性が低下する。したがって、Al含有量は、0〜0.50%である。Al含有量の好ましい下限は0.05%である。Al含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.20%である。本明細書において、Al含有量はsol.Al(酸可溶Al)を意味する。
[式(1)について]
F1=4.386/(Crel+0.15)と定義する。F1は耐粒界腐食性の指標である。平均結晶粒径dがF1未満であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが適切である。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減され、鋭敏化が抑制される。その結果、耐粒界腐食性を高めることができる。一方、平均結晶粒径dがF1以上であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きすぎる。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減されず、鋭敏化が促進される。その結果、耐粒界腐食性が低下する。
F1=4.386/(Crel+0.15)と定義する。F1は耐粒界腐食性の指標である。平均結晶粒径dがF1未満であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが適切である。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減され、鋭敏化が抑制される。その結果、耐粒界腐食性を高めることができる。一方、平均結晶粒径dがF1以上であれば、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きすぎる。この場合、単位析出C量(Cunit)が十分に低減されず、鋭敏化が促進される。その結果、耐粒界腐食性が低下する。
[式(2)について]
式(1)中の相対固溶C量(Crel)は、上述のとおりC、Ti及びNの含有量から相対的に決まるため、次のとおり定義する。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
式(1)中の相対固溶C量(Crel)は、上述のとおりC、Ti及びNの含有量から相対的に決まるため、次のとおり定義する。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
[製造方法]
本実施形態のNi−Fe−Cr合金は、種々の製造方法で製造される。以下、製造方法の一例として、Ni−Fe−Cr合金管の製造方法について説明する。
本実施形態のNi−Fe−Cr合金は、種々の製造方法で製造される。以下、製造方法の一例として、Ni−Fe−Cr合金管の製造方法について説明する。
初めに、上記化学組成を有する素材を準備する。素材はたとえば中空ビレットである。中空ビレットはたとえば、機械加工又は竪型穿孔により製造される。中空ビレットに対して熱間押出加工を実施する。熱間押出加工はたとえば、ユジーン・セジュルネ法である。以上の工程により、Ni−Fe−Cr合金管が製造される。熱間押出加工以外の他の熱間加工により、Ni−Fe−Cr合金管を製造してもよい。熱間加工は数度繰り返しても良い。
好ましくは、最終熱間加工後、900℃までの冷却速度は0.3℃/sec以上である。最終熱間加工後、900℃までの冷却速度が0.3℃/sec以上であれば、平均結晶粒径dが式(1)を満たすよう、平均結晶粒径dを調整することができる。その結果、優れた耐粒界腐食性を有することができる。
最終熱間加工後、たとえばミスト水冷を実施すれば、900℃までの冷却速度を0.3℃/sec以上とすることができる。
熱間加工後のNi−Fe−Cr合金管に対してさらに、冷間圧延及び/又は冷間抽伸といった冷間加工を実施してもよい。冷間加工を実施すれば、平均結晶粒径dを小さくすることができる。この場合、さらに耐粒界腐食性が高まる。
さらに、熱間加工後、又は、冷間加工後のNi−Fe−Cr合金管に対して、所望の機械的性質を得るために固溶化処理等の最終熱処理を実施してもよい。熱処理を実施する場合、熱処理温度の好ましい下限は900℃であり、さらに好ましくは915℃あり、さらに好ましくは930℃である。固溶化処理を実施する場合、好ましい熱処理温度の下限は1020℃である。この場合、Cr炭化物を固溶させることができる。その結果、さらに耐粒界腐食性を抑制できる。
熱処理温度の好ましい上限は、1100℃であり、さらに好ましくは1080℃であり、さらに好ましくは1060℃である。安定化処理を実施する場合、熱処理温度の好ましい上限は1000℃未満である。熱処理温度が1000℃未満であれば、TiCを析出させることができる。熱処理温度が1000℃未満であればさらに、平均結晶粒径dを小さくすることができる。この場合、鋭敏化をさらに抑制できる。その結果、さらに耐粒界腐食性を抑制できる。本実施形態のやNi−Fe−Cr合金は、1000〜1100℃の高温で熱処理を施しても、鋭敏化を抑制できる。最終熱処理の好ましい熱処理時間は2〜30分である。
上述の製造方法の一例では、Ni−Fe−Cr合金管の製造方法について説明した。しかしながら、Ni−Fe−Cr合金は、板材であってもよいし、溶接管、又は、棒材等であってもよい。要するに、Ni−Fe−Cr合金の製品形状は特に限定されない。
以上の製造方法により製造されるNi−Fe−Cr合金は、優れた耐粒界腐食性を有する。
表1に示す試験番号1〜試験番号23の合金を真空溶解して材料を製造した。
表1中の「Crel」及び「F1」欄にはそれぞれ、各試験番号のNi−Fe−Cr合金のCrel値及びF1値が記入される。
各材料からインゴットを製造した。試験番号1〜試験番号21では、各インゴットを1200℃で熱間鍛造した後、1200℃で断面減少率50%で熱間圧延を実施し、さらに断面減少率67%で冷間圧延を実施して、厚さ5mm、幅80mm、長さ650mmの板材を製造した。試験番号22及び試験番号23では、各インゴットを1200℃で熱間鍛造して、厚さ15mm、幅60mm、長さ290mmの板材を製造した。試験番号22及び試験番号23では、冷間圧延は実施しなかった。各板材に対して、表2に示す熱処理温度と熱処理時間で、最終熱処理を実施した。熱処理後の板材を急冷(水冷)した。
[平均結晶粒径測定]
各板材を圧延方向と垂直な方向に切断し、厚さ5mm、幅20mm、長さ10mmの試験片を採取した。板材の圧延方向を含む面(試験片の縦断面)が観察面となるように試験片を樹脂埋めし、観察面を鏡面研磨した。この研磨面を混酸で腐食した。腐食した観察面を光学顕微鏡で観察した。平均結晶粒径dは、倍率100倍で5視野撮影し、平均結晶粒径d(μm)を求めた。
各板材を圧延方向と垂直な方向に切断し、厚さ5mm、幅20mm、長さ10mmの試験片を採取した。板材の圧延方向を含む面(試験片の縦断面)が観察面となるように試験片を樹脂埋めし、観察面を鏡面研磨した。この研磨面を混酸で腐食した。腐食した観察面を光学顕微鏡で観察した。平均結晶粒径dは、倍率100倍で5視野撮影し、平均結晶粒径d(μm)を求めた。
[耐粒界腐食性試験]
各試験番号の板材から、厚さ5mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を採取した。試験片の長手方向は、板材の長手方向と平行であった。試験片に対して、溶接熱影響部を模擬した700℃で60分の鋭敏化熱処理を施した。鋭敏化熱処理を施した試験片の表面を湿式エメリー研磨600番で仕上げ、アセトンで脱脂し、乾燥した。試験片に対して、ASTM A262 C法にしたがって、粒界腐食試験により、各腐食試験片の耐粒界腐食性を評価した。試験浴は沸騰させた65%硝酸であり、48時間を1バッチとする浸漬試験を3バッチ行った。各バッチにおける腐食減量を測定して、3バッチの腐食速度から平均腐食速度を算出した。
各試験番号の板材から、厚さ5mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を採取した。試験片の長手方向は、板材の長手方向と平行であった。試験片に対して、溶接熱影響部を模擬した700℃で60分の鋭敏化熱処理を施した。鋭敏化熱処理を施した試験片の表面を湿式エメリー研磨600番で仕上げ、アセトンで脱脂し、乾燥した。試験片に対して、ASTM A262 C法にしたがって、粒界腐食試験により、各腐食試験片の耐粒界腐食性を評価した。試験浴は沸騰させた65%硝酸であり、48時間を1バッチとする浸漬試験を3バッチ行った。各バッチにおける腐食減量を測定して、3バッチの腐食速度から平均腐食速度を算出した。
耐粒界腐食性の評価は、3バッチの平均腐食速度が1g/m2・hr以下の場合、耐粒界腐食性に優れる(表2中で「○」)とした。平均腐食速度が1g/m2・hrを超える場合、耐粒界腐食性が劣る(表2中で「×」)と判断した。
[試験結果]
表2に試験結果を示す。
表2に試験結果を示す。
表1を参照して、試験番号1〜試験番号9及び試験番号22の板材の各元素の含有量は適切であり、かつ、化学組成と平均結晶粒径dが式(1)を満たした。その結果、結晶粒が微細になり、優れた耐粒界腐食性を示した。
試験番号22では、冷間圧延を実施しなかったため、試験番号5と比較して平均結晶粒径dが大きくなった。しかしながら、平均結晶粒径dが式(1)を満たしたため、優れた耐粒界腐食性を示した。
一方、試験番号10では、N含有量が高すぎた。そのため、TiがTi窒化物として析出し、十分にCを固定できなかった。それにより、相対固溶C量(Crel)が高くなり、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きくなりすぎた。その結果、平均結晶粒径dがF1以上になり、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号11では、Ti含有量が低すぎた。そのため、Tiが十分にCを固定できず、相対固溶C量(Crel)が高くなり、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きくなりすぎた。その結果、平均結晶粒径dがF1以上になり、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号12〜試験番号16では、化学組成は適切であったものの、平均結晶粒径dがF1以上であった。その結果、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号17では、Ti含有量が低すぎ、N含有量が高すぎた。そのため、相対固溶C量(Crel)が高くなり、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きくなりすぎた。その結果、平均結晶粒径dがF1以上になり、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号18では、C含有量が高すぎた。そのため、相対固溶C量(Crel)が高くなり、相対固溶C量(Crel)に対して平均結晶粒径dが大きくなりすぎた。その結果、平均結晶粒径dがF1以上になり、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号19では、Ti含有量が高すぎた。そのため、熱間加工性が低下し、加工できなかったため、試験対象外とした。
試験番号20では、最終熱間加工後、900℃までの冷却速度が0.3℃/s未満であった。そのため、熱処理温度を1000℃未満にしても、試験番号2と比較して平均結晶粒径dが大きくなり、平均結晶粒径dがF1以上になった。その結果、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号21では、最終熱間加工後、900℃までの冷却速度が0.3℃/s未満であった。そのため、試験番号3と比較して平均結晶粒径dが大きくなり、平均結晶粒径dがF1以上になった。その結果、耐粒界腐食性が低かった。
試験番号23では、最終熱間加工後、900℃までの冷却速度が0.3℃/s未満であった。試験番号23ではさらに、熱間加工後に冷間圧延も行わなかった。そのため、熱処理温度を1000℃未満にしても、試験番号5と比較して平均結晶粒径dが大きくなり、平均結晶粒径dがF1以上になった。その結果、耐粒界腐食性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
Claims (2)
- 質量%で、
C:0.005〜0.015%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.05〜1.5%、
P:0.030%以下、
S:0.020%以下、
Cu:1.0〜5.0%、
Ni:30.0〜45.0%、
Cr:18.0〜30.0%、
Mo:2.0〜4.5%、
Ti:0.5〜2.0%、
N:0.001〜0.015%、及び、
Al:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、
平均結晶粒径d(μm)が式(1)を満たす、Ni−Fe−Cr合金。
d<4.386/(Crel+0.15) (1)
ここで、式(1)中のCrelは、式(2)で定義される。
Crel=C−0.125Ti+0.8571N (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載のNi−Fe−Cr合金であって、
前記化学組成は、
Al:0.05〜0.50%、
を含有する、Ni−Fe−Cr合金。
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